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特開2025-162655サーバ装置、移動体、システム、サーバ装置の制御方法及びプログラム
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  • 特開-サーバ装置、移動体、システム、サーバ装置の制御方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162655
(43)【公開日】2025-10-28
(54)【発明の名称】サーバ装置、移動体、システム、サーバ装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20251021BHJP
   H04W 4/021 20180101ALI20251021BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20251021BHJP
   G05D 1/648 20240101ALI20251021BHJP
   G05D 1/46 20240101ALN20251021BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04W4/021
H04W36/08
G05D1/648
G05D1/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024065974
(22)【出願日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168310
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】山崎 啓司
【テーマコード(参考)】
5H301
5K067
5K201
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301BB10
5H301DD07
5H301DD17
5H301KK02
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067JJ39
5K201BA01
5K201BA02
5K201CA06
5K201CC04
5K201CC08
5K201CC09
5K201DC02
5K201EB07
5K201EC06
5K201EC08
5K201ED09
5K201FA03
5K201FB03
(57)【要約】
【課題】移動体が送信するデータを受信する端末が、当該受信したデータを高品質に利用可能とする、サーバ装置を提供する。
【解決手段】サーバ装置は、移動体制御手段と、データ通信制御手段と、を備える。移動体制御手段は、無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する。データ通信制御手段は、移動体が所定エリアに進入したことに応じて、所定エリアに設置された通信端末が無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御手段と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御手段と、
を備える、サーバ装置。
【請求項2】
前記データ通信制御手段は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記データ通信制御手段は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示した後に、前記移動体に対し前記第1の装置に向けてデータを送信するように指示する、請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記データ通信制御手段は、前記移動体が前記第1の装置に向けて送信するデータの単位時間あたりの通信量を計測し、前記計測された通信量に応じて前記所定エリアに設置された通信端末に対して前記通信量の低減を指示するか否か決定する、請求項3に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記データ通信制御手段は、前記計測した通信量に基づいて、前記通信端末による通信量の低減率を決定し、前記決定した低減率を前記通信端末に通知する、請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記複数のエリアそれぞれに設置された各通信端末から受信したデータに基づいて、前記複数のエリアのうち所定のイベントが発生したエリアを検出する、イベント検出手段をさらに備え、
前記移動体制御手段は、前記移動体に対し前記所定のイベントが発生したエリアに移動するように指示する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記通信端末は、自端末が設置されたエリアの基地局を介して前記第2の装置に向けてデータを送信し、
前記データ通信制御手段は、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記所定エリアとは異なるエリアに設置された基地局にハンドオーバするように指示する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のサーバ装置。
【請求項8】
サーバ装置から目的地を含む移動開始指示を受信することとで、前記目的地に向けて自機の移動を開始する、第1の制御手段と、
前記サーバ装置から、データ送信指示を受信したことに応じて、所定のデータを外部装置に向けて送信する、第2の制御手段と、
を備える、移動体。
【請求項9】
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体と、
複数のエリアそれぞれに設置された、複数の通信端末と、
サーバ装置と、
を含み、
前記サーバ装置は、
前記移動体が、前記複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御手段と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記複数の通信端末のうち前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御手段と、
を備える、システム。
【請求項10】
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御工程と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御工程と、
を備える、サーバ装置の制御方法。
【請求項11】
サーバ装置に搭載されたコンピュータに、
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御処理と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、移動体、システム、サーバ装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンを不審者の検出に活用する技術が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、対象領域内の対象者を適切に検知して防犯力を向上可能なセキュリティシステムを提供する、と記載されている。特許文献1のセキュリティシステムは、対象領域内を移動可能なドローンと、対象領域内に配置されて、呼出操作部と警告部とを有する複数の子機と、ドローン及び複数の子機と通信可能な制御部を有する親機とを備えている。ドローンは、所定条件を満たした場合に、対象領域内の対象者を追尾するように構成されている。制御部は、対象者の位置情報をドローンから取得し、取得した位置情報に基づいて、対象者が対象領域内のうち進入禁止領域に進入したか否かを判断する。制御部は、対象者が進入禁止領域内に進入したと判断された場合には、複数の子機のうち所定の子機の警告部から警告情報を発報させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-149312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたように、ドローン等の移動体が所定領域の警備等に用いられることがある。移動体は、無線通信を用いてカメラから得られる動画データをネットワークに送信する。ここで、移動体や他の装置、端末が収容されたネットワークのスループットが十分でないと、所定領域の監視を担当する担当者に対し、当該担当者が業務を遂行するのに必要な高品質の映像が提供できないことがある。
【0006】
本発明は、移動体が送信するデータを受信する端末が、当該受信したデータを高品質に利用可能とすることに寄与する、サーバ装置、移動体、システム、サーバ装置の制御方法及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点によれば、無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御手段と、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御手段と、を備える、サーバ装置が提供される。
【0008】
本発明の第2の視点によれば、サーバ装置から目的地を含む移動開始指示を受信することとで、前記目的地に向けて自機の移動を開始する、第1の制御手段と、前記サーバ装置から、データ送信指示を受信したことに応じて、所定のデータを外部装置に向けて送信する、第2の制御手段と、を備える、移動体が提供される。
【0009】
本発明の第3の視点によれば、無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体と、複数のエリアそれぞれに設置された、複数の通信端末と、サーバ装置と、を含み、前記サーバ装置は、前記移動体が、前記複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御手段と、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記複数の通信端末のうち前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御手段と、を備える、システムが提供される。
【0010】
本発明の第4の視点によれば、無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御工程と、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御工程と、を備える、サーバ装置の制御方法が提供される。
【0011】
本発明の第5の視点によれば、サーバ装置に搭載されたコンピュータに、無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御処理と、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御処理と、を実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の各視点によれば、移動体が送信するデータを受信する端末が、当該受信したデータを高品質に利用可能とすることに寄与する、サーバ装置、移動体、システム、サーバ装置の制御方法及びプログラムが提供される。なお、本発明の効果は上記に限定されない。本発明により、当該効果の代わりに、又は当該効果と共に、他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態の概要を説明するための図である。
図2図2は、一実施形態の動作概要を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、本開示の実施形態に係る情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作を説明するための図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係るサーバ装置の処理構成の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係るカメラ装置の処理構成の一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係る移動体の処理構成の一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係るサーバ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、本開示に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。また、特段の釈明がない場合には、各図面に記載されたブロックはハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を表す。各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。なお、本明細書及び図面において、同様に説明されることが可能な要素については、同一の符号を付することにより重複説明が省略され得る。
【0015】
一実施形態に係るサーバ装置100は、移動体制御手段101と、データ通信制御手段102と、を備える(図1参照)。移動体制御手段101は、無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する(図2のステップS1)。データ通信制御手段102は、移動体が所定エリアに進入したことに応じて、所定エリアに設置された通信端末が無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う(ステップS2)。
【0016】
サーバ装置100は、移動体が所定エリアに進入すると、移動体と使用する通信リソースが競合し得る通信端末が送信する通信量に関する制御を行う。例えば、サーバ装置100は、移動体が所定エリアに進入すると、通信端末が送信する通信量を低減するように当該通信端末に指示をする。当該指示に応じて通信端末が通信量を低減することで、移動体が通信に使用する無線リソースが確保される。その結果、移動体が送信するデータ(例えば、動画データ)を受信する端末は、当該受信したデータを高品質に利用できる。例えば、移動体から動画データを受信した端末は、コマ落ち等のない高品質な映像を利用者に提供できる。
【0017】
以下に具体的な実施形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0019】
[システムの構成及び概略動作]
図3は、本願開示の実施形態に係る情報処理システム(ネットワークシステム)の概略構成の一例を示す図である。図3に示すように、情報処理システムには、サーバ装置10と、基地局20と、カメラ装置30と、センサ装置40と、移動体50と、端末60と、が含まれる。
【0020】
図3に示す各装置は、有線又は無線の通信手段により接続され、相互に通信可能に構成されている。具体的には、カメラ装置30、センサ装置40及び移動体50は、無線通信を用いてネットワークに接続可能である。より具体的には、カメラ装置30、センサ装置40及び移動体50は、基地局20を介してネットワークに接続されている。
【0021】
なお、カメラ装置30等は、種々の規格の無線通信手段を用いることができる。例えば、カメラ装置30等は、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、LTE(Long Term Evolution)、5G(5th Generation)等のモバイル回線を使ってネットワークに接続されている。あるいは、カメラ装置30等は、Wi-Fi(Wireless Fidelity)を用いてネットワークに接続されていてもよい。また、カメラ装置30等は、ローカル5G、プライベートLTE等の構成の無線通信手段を用いることができる。
【0022】
ここで、図3に示す情報処理システムの構成は例示であって、その構成を限定する趣旨ではない。例えば、複数のサーバ装置10がシステムに含まれていてもよい。複数のサーバ装置10により負荷分散や冗長化が実現されてもよい。
【0023】
図3に示すように、第1の実施形態に係る情報処理システムでは、フィールドの各所に基地局20が設置されている。以降の説明において、各基地局20のカバー範囲(セル)を「エリア」と表記する。図3の例では、2つのエリアA及びエリアBが図示されている。
【0024】
また、各エリアには、必要に応じて、少なくとも1以上のカメラ装置30及び/又は少なくとも1以上のセンサ装置40が設置されている。カメラ装置30及びセンサ装置40は、基地局20を介してデータを他の装置(第2の装置)に向けて送信する通信端末の一例である。
【0025】
第1の実施形態に係る情報処理システムにおいて、各エリアは監視され、所定エリアに発生したイベントが検出される。
【0026】
例えば、農場が監視され、当該農場への害獣の進入が検出される。あるいは、沿岸エリア、湾岸エリアが監視され、当該沿岸エリアにおける不審船の侵入、不審物の漂着、遭難船の進入等が検出される。あるいは、重要施設(例えば、政府関係施設、気象や地震の観測施設等)が監視され、当該重要施設への不審者等の侵入が検出される。あるいは、所定エリアが監視され、当該所定エリアで発生した事故や自然災害(土砂崩れ、噴火、河川氾濫、地震等)が検出される。
【0027】
上記所定エリアの監視はカメラ装置30及びセンサ装置40を用いて行われる。
【0028】
カメラ装置30は、カメラを備える装置(通信端末)である。また、センサ装置40は、温度センサ、赤外線センサ等のセンサを備える装置(通信端末)である。カメラ装置30は、フィールドに固定され、所定範囲を撮影可能に設置されている。同様に、センサ装置40は、フィールドに固定され、所定範囲の環境を数値化した計測データを取得可能に設置されている。
【0029】
カメラ装置30及びセンサ装置40は、最寄りの基地局20を介して、動画データ(少なくとも1以上の画像データ)や計測データをリアルタイムにサーバ装置10に送信する。
【0030】
サーバ装置10は、エリアの監視及び所定エリアに発生したイベントの検出に関する制御を行うサーバ(アプリケーションサーバ)である。サーバ装置10は、エリアの監視を行う事業者の建物内に設置されていてもよいし、ネットワーク上(クラウド上)に設置されていてもよい。
【0031】
サーバ装置10は、カメラ装置30から得られる動画データやセンサ装置40から得られる計測データを解析し、所定エリアに発生したイベントを検出する。即ち、サーバ装置10は、カメラ装置30から得られる動画データ、センサ装置40から得られる計測データに基づいて、各エリアにおける事象の変化を検出する。
【0032】
例えば、サーバ装置10は、農場に進入した害獣を検出する。あるいは、サーバ装置10は、沿岸エリア等に侵入した不審船を検出する。あるいは、サーバ装置10は、所定エリアで発生した事故等を検出する。
【0033】
所定エリアにおけるイベントの発生を検出すると、サーバ装置10は、移動体50に対し、当該イベントが発生したエリアに向かうように指示する。なお、以降の説明において、イベントが発生したエリアを「イベント発生エリア」と表記する。
【0034】
移動体50は、例えば、空中を移動するドローンである。あるいは、移動体50は、地上を移動する車両であってもよいし、水上を移動する船舶(水上ドローン)であってもよい。移動体50は、無線通信手段を用いて他の装置(第1の装置;例えば、サーバ装置10、端末60)と通信する。第1の実施形態では、空中を移動するドローンを移動体50の例にとり情報処理システムの構成、動作等を説明する。
【0035】
移動体50は、カメラを備える。移動体50は、イベント発生エリア内の目的地に到達すると、カメラを用いてフィールドを撮影する。移動体50は、撮影によって得られる動画データをサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、移動体50から得られる動画データを端末60に送信(転送)する。
【0036】
監視室には、所定エリアの監視業務を担う担当者が待機している。当該担当者は、端末60で再生される映像を確認する。担当者は、端末60で再生される映像に基づいて、所定エリアで検出されたイベントの詳細を確認し、発生したイベントに応じた対処を行う。より具体的には、担当者は、端末60を用いて移動体50を操作し、発生したイベントに対処する。
【0037】
例えば、農場に害獣が進入すると、担当者は、移動体50を用いて害獣を農場から追い出す。あるいは、沿岸エリア等に不審船が侵入すると、担当者は、移動体50を用いて、不審船に対して沿岸エリアから離れるように警告を行う。あるいは、所定エリアで事故等が発生すると、担当者は、移動体50を用いて、事故現場等の撮影や大気成分の測定等を行う。
【0038】
以下、所定エリアでイベント発生が検出されてから、移動体50がイベント発生エリアに進入し、当該イベント発生エリアのフィールドを撮影することで得られる動画データをサーバ装置10に送信するまでの情報処理システムの動作について説明する。
【0039】
所定エリアでイベントの発生が検出されると、サーバ装置10は、当該検出されたイベントの発生場所を移動体50の目的地に設定する。その後、サーバ装置10は、目的地の位置情報(座標情報;X座標、Y座標)を含む「移動開始指示」を移動体50に送信する(図4のステップS01)。
【0040】
移動開始指示を受信すると、移動体50は、指定された目的地に向けて移動を開始する。その際、移動体50は、自機の現在位置(位置情報)をリアルタイムに算出し、当該算出した現在位置をサーバ装置10に通知する。具体的には、移動体50は、算出した現在位置を含む「現在位置通知」をサーバ装置10に送信する(ステップS02)。
【0041】
サーバ装置10は、移動体50の現在位置に基づいて、移動体50がイベント発生エリアに進入したか否か判定する。
【0042】
移動体50がイベント発生エリアに進入したと判定すると、サーバ装置10は、移動体50がフィールドを撮影することで得られる動画データの品質が落ちずに、当該動画データが端末60で再生されるように制御する。例えば、サーバ装置10は、監視室に待機している担当者に提供される映像にコマ落ちが発生しないように制御する。
【0043】
具体的には、サーバ装置10は、イベント発生エリアに設置された装置に対し、当該装置から基地局20への通信量を低減するように指示する。とりわけ、サーバ装置10は、イベント発生エリア(移動体50の目的地を含むエリア)に設置されたカメラ装置30に対し、基地局20への通信量を低減するように指示する。
【0044】
より具体的には、サーバ装置10は、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対し、「通信量低減指示」を送信する(ステップS03)。
【0045】
当該通信量低減指示を受信したカメラ装置30は、基地局20を介してサーバ装置10に送信する動画データの解像度を低くする、動画データのフレームレートを下げる、動画データの圧縮率を上げるといった通信量低減処理を実行する。あるいは、カメラ装置30は、一時的に(所定期間の間)動画データの送信を停止してもよい。
【0046】
カメラ装置30に対して通信量低減を指示すると、サーバ装置10は、移動体50に対して動画データの送信を指示する。具体的には、サーバ装置10は、「動画送信指示」を移動体50に送信する(ステップS04)。
【0047】
なお、基地局20、サーバ装置10と端末60の間のスループットは、移動体50と端末60の間の無線ネットワークのスループットよりも十分高いものとする。換言すれば、上記無線ネットワークのスループットが、移動体50が送信する動画データのビットレートよりも高ければ、端末60で再生される映像品質の劣化が生じることはない。
【0048】
このように、サーバ装置10は、カメラ装置30から得られるフィールドを撮影した監視カメラ映像やセンサ装置40から得られるセンサ情報に基づいて、フィールドの状況を把握する。サーバ装置10は、映像データ等に基づいて害獣等の対象物体を検知すると、所定の場所に待機している移動体50に対して移動開始(発進)を指示する。サーバ装置10は、移動体50が対象区域(イベント発生エリア)に進入すると、当該移動体50に搭載されたカメラによる撮影を移動体50に指示する。その際、サーバ装置10は、イベント発生エリアに属するカメラ装置30の転送スループットの変更に関する制御を行う。例えば、カメラ装置30は、サーバ装置10からの指示に応じて、動画データの解像度を落としたり、アップリンクのデータ送信を停止(一時的に停止)したりする。
【0049】
続いて、第1の実施形態に係る情報処理システムに含まれる各装置の詳細について説明する。
【0050】
[サーバ装置]
図5は、本願開示の実施形態に係るサーバ装置10の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図5を参照すると、サーバ装置10は、通信制御部201と、イベント検出部202と、移動体制御部203と、データ通信制御部204と、記憶部205と、を備える。
【0051】
通信制御部201は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部201は、端末60からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部201は、端末60に向けてデータを送信する。通信制御部201は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部201は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部201を介して他の装置とデータの送受信を行う。通信制御部201は、他の装置からデータを受信する受信部としての機能と、他の装置に向けてデータを送信する送信部としての機能と、を備える。
【0052】
イベント検出部202は、所定エリアに発生したイベントを検出する手段である。イベント検出部202は、複数のエリアそれぞれに設置された各通信端末(カメラ装置30、センサ装置40)から受信したデータに基づいて、複数のエリアのうち所定のイベントが発生したエリアを検出する。
【0053】
イベント検出部202は、各エリアに設置されたカメラ装置30、センサ装置40から得られるデータに基づいてイベントの発生を検出する。イベント検出部202は、各エリア(フィールド)を監視する目的に応じたイベントの発生を検出する。
【0054】
例えば、農場における害獣の進入をイベントとして検出する場合、イベント検出部202は、カメラ装置30から得られ動画データ(少なくとも1以上の画像データ)を機械学習により得られる学習モデルに入力することで害獣の進入を検出する。
【0055】
なお、当該学習モデルは、画像データにラベル(害獣の有無)が付与された数多くの教師データを用いた機械学習により得られる。学習モデルの生成には、サポートベクタマシン、ブースティングやニューラルネットワーク等の任意のアルゴリズムを用いることができる。なお、上記サポートベクタマシン等のアルゴリズムは公知の技術を使用することができるので、その説明を省略する。
【0056】
あるいは、所定エリアにおける火事の発生をイベントとして検出する場合、イベント検出部202は、カメラ装置30から得られる画像データを用いて当該イベントの発生を検出する。あるいは、イベント検出部202は、センサ装置40から得られる計測データを用いてイベントの発生を検出してもよい。例えば、イベント検出部202は、フィールドの温度が所定値よりも高ければ所定エリアにイベント(火事)が発生したと判定する。
【0057】
イベント検出部202は、イベントが検出されたエリア(イベント発生エリア)とイベント発生場所を特定する。
【0058】
ここで、カメラ装置30は、動画データと共にカメラIDをサーバ装置10に送信する。カメラIDは、各カメラ装置30を識別するためのIDである。カメラIDには、カメラ装置30のMAC(Media Access Control)アドレスやIP(Internet Protocol)アドレスを用いることができる。同様に、センサ装置40は、計測データと共にセンサIDをサーバ装置10に送信する。
【0059】
イベント検出部202は、イベント検出に用いた画像データや計測データと共に受信したカメラIDやセンサIDに基づいて、イベント検出に用いられたカメラ装置30やセンサ装置40を特定する。
【0060】
さらに、イベント検出部202は、カメラID、設置場所(座標情報)及び所属エリアやセンサID、設置場所及び所属エリアを対応付けて記憶するテーブル情報を参照し、イベントが発生したエリアを特定する。例えば、図3の例では、エリアAに属するカメラ装置30から得られる画像データに基づいてイベントが検出された場合、イベント検出部202は、当該エリアAを「イベント発生エリア」に設定する。
【0061】
また、イベント検出部202は、イベント検出に用いられたカメラ装置30やセンサ装置40の設置場所をイベント発生場所に設定する。
【0062】
イベント検出部202は、上記特定したイベント発生エリアとイベント発生場所に関する情報を移動体制御部203に通知する。
【0063】
移動体制御部203は、移動体50に関する制御を行う手段である。移動体制御部203は、移動体50に対し所定のイベントが発生したエリアに移動するように指示する。移動体制御部203は、無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体50が、複数のエリアのうち所定エリア(イベント発生エリア)に進入したことを検出する。
【0064】
具体的には、イベント検出部202からイベント発生エリアとイベント発生場所の通知を受けると、移動体制御部203は、移動体50に対してイベント発生場所を含む「移動開始指示」を送信する。
【0065】
移動体制御部203は、移動体50から現在位置通知を受信する。移動体制御部203は、当該現在位置通知に含まれる移動体50の現在位置(位置情報)に基づいて、移動体50がイベント発生エリアに進入したか否か判定する。
【0066】
移動体制御部203は、各エリアの範囲(座標範囲)が記載されたテーブル情報を参照し、移動体50がイベント発生エリアに進入(到達)したか否か判定する。
【0067】
移動体50がイベント発生エリアに進入していなければ、移動体制御部203は、特段の動作を行わない。
【0068】
移動体50がイベント発生エリアに進入していれば、移動体制御部203は、データ通信制御部204にその旨(移動体50がイベント発生エリアに進入)を通知する。
【0069】
データ通信制御部204は、イベント発生エリアに属する機器や移動体50のデータ通信に関する制御を実行する手段である。
【0070】
データ通信制御部204は、移動体50が所定エリア(イベント発生エリア)に進入したことに応じて、当該所定エリアに設置された通信端末(カメラ装置30等)が無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う。具体的には、データ通信制御部204は、所定エリアに設置された通信端末(例えば、カメラ装置30)に対し、第2の装置(サーバ装置10)に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示する。
【0071】
より具体的には、移動体制御部203から移動体50がイベント発生エリアに進入した旨の通知を受けると、データ通信制御部204は、当該イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対して「通信量低減指示」を送信する。
【0072】
また、通信量低減指示の送信後に、データ通信制御部204は、移動体50に対して「動画送信指示」を送信する。
【0073】
動画送信指示を移動体50に送信したことに応じて、データ通信制御部204は、当該移動体50から動画データを受信する。データ通信制御部204は、受信した動画データを端末60に送信(転送)する。
【0074】
このように、所定エリア(イベント発生エリア)に設置された通信端末に対し、第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示した後に、データ通信制御部204は、移動体50に対し第1の装置に向けてデータを送信するように指示する。
【0075】
記憶部205は、サーバ装置10の動作に必要な情報を記憶する手段である。例えば、記憶部205は、各エリアの基準となる基地局20の位置情報(座標情報)や基地局ID等を記憶する。
【0076】
[カメラ装置]
図6は、本願開示の実施形態に係るカメラ装置30の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図6を参照すると、カメラ装置30は、通信制御部301と、通信量制御部302と、記憶部303と、を備える。
【0077】
通信制御部301は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部301は、サーバ装置10からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部301は、サーバ装置10に向けてデータを送信する。通信制御部301は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部301は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部301を介して他の装置とデータの送受信を行う。通信制御部301は、他の装置からデータを受信する受信部としての機能と、他の装置に向けてデータを送信する送信部としての機能と、を備える。
【0078】
通信制御部301は、例えば、3G、4G(LTE)、5G等の無線通信規格に準拠した通信を行う。通信制御部301は、基地局20を介して、サーバ装置10とデータの送受信を行う。また、通信制御部301は、自装置に設定されたカメラIDと共に動画データをサーバ装置10に送信する。
【0079】
通信量制御部302は、外部装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う手段である。具体的には、通信量制御部302は、サーバ装置10から通信量低減指示を受信したことに応じて、基地局20を介してサーバ装置10に送信する動画データの通信量を低減する。
【0080】
例えば、通信量制御部302は、カメラモジュール(カメラ装置30に搭載されたカメラを含む撮像モジュール)に対し、解像度を低くして動画データを出力するように指示(設定)する。あるいは、通信量制御部302は、カメラモジュールに対し、フレームレートを下げて動画データを出力するように指示する。あるいは、通信量制御部302は、カメラモジュールに対し、高い圧縮率で動画データを圧縮して出力するように指示する。
【0081】
あるいは、通信量制御部302は、解像度の低下、フレームレートの低下及び圧縮率の上昇の3つの通信量低減手段のなかから任意の組み合わせを選択し、当該選択した組み合わせによる動画データの出力をカメラモジュールに指示してもよい。
【0082】
あるいは、通信量制御部302は、カメラモジュールから取得した動画データの解像度を変換したり、基地局20に送出する動画データを間引いたりしてサーバ装置10に送信する動画データの通信量を低減してもよい。
【0083】
あるいは、通信量制御部302は、カメラモジュールから取得した動画データの送信を一時的に停止してもよい。
【0084】
記憶部303は、カメラ装置30の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0085】
[移動体]
【0086】
図7は、本願開示の実施形態に係る移動体50の処理構成(処理モジュール)の一例を示す図である。図7を参照すると、移動体50は、通信制御部401と、移動制御部402と、位置情報制御部403と、カメラ制御部404と、記憶部405と、を備える。
【0087】
通信制御部401は、他の装置との間の通信を制御する手段である。例えば、通信制御部401は、サーバ装置10からデータ(パケット)を受信する。また、通信制御部401は、サーバ装置10に向けてデータを送信する。通信制御部401は、他の装置から受信したデータを他の処理モジュールに引き渡す。通信制御部401は、他の処理モジュールから取得したデータを他の装置に向けて送信する。このように、他の処理モジュールは、通信制御部401を介して他の装置とデータの送受信を行う。通信制御部401は、他の装置からデータを受信する受信部としての機能と、他の装置に向けてデータを送信する送信部としての機能と、を備える。
【0088】
通信制御部401は、例えば、3G、4G(LTE)、5G等の無線通信規格に準拠した通信を行う。通信制御部401は、基地局20を介して、サーバ装置10とデータの送受信を行う。
【0089】
移動制御部402は、移動体50の移動に関する制御を実行する手段である。移動制御部402は、サーバ装置10から目的地を含む移動開始指示を受信することとで、当該目的地に向けて自機の移動を開始する、第1の制御手段である。
【0090】
サーバ装置10から移動開始指示を受信すると、移動制御部402は、当該移動開始指示に含まれる目的地(イベント発生場所)に向けて移動体50を移動(自律移動;自律飛行)する。なお、移動体50の移動に関する詳細は、当業者にとって明らかであると共に本願開示の趣旨とは異なるので詳細な説明を省略する。
【0091】
移動制御部402は、移動体50に搭載された、ジャイロセンサや加速度計等の各種センサを用いて移動体50の姿勢、加速度等を検出し、当該検出した姿勢、加速度等を用いて移動制御を行えばよい。
【0092】
位置情報制御部403は、移動体50の位置情報に関する制御を実行する手段である。位置情報制御部403は、移動体50が移動を開始すると、定期的又は所定のタイミングで、自装置(移動体50)の現在位置を算出する。例えば、位置情報制御部403は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信して測位を実行し、移動体50の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。
【0093】
位置情報制御部403は、生成した位置情報をサーバ装置10に通知する。具体的には、位置情報制御部403は、生成した位置情報を含む現在位置通知をサーバ装置10に送信する。
【0094】
カメラ制御部404は、移動体50に搭載されたカメラ(カメラモジュール)を制御する手段である。カメラ制御部404は、サーバ装置10から、データ送信指示である動画送信指示を受信したことに応じて、所定のデータ(動画データ)を外部装置に向けて送信する、第2の制御手段である。
【0095】
サーバ装置10から動画送信指示を受信すると、カメラ制御部404は、カメラモジュールを起動する。カメラモジュールから出力された動画データは、通信制御部401を介してサーバ装置10に送信される。
【0096】
記憶部405は、移動体50の動作に必要な情報を記憶する手段である。
【0097】
なお、移動体50は、端末60からの指示に応じて移動したり、フィールドを撮影したり、音声等を出力したりする。移動体50のこれらの機能の実現は、当業者にとって明らかであると共に、本願開示の趣旨とは異なるのでより詳細な説明を省略する。
【0098】
[基地局]
基地局20の構成等は当業者にとって明らかであるので、詳細な説明を省略する。
【0099】
[センサ装置]
センサ装置40の構成等は当業者にとって明らかであるので、詳細な説明を省略する。センサ装置40は、温度センサ等の各種センサか得られる計測データを、定期的又は所定のタイミングでサーバ装置10に送信する。その際、センサ装置40は、自装置に設定されたセンサIDと共に計測データをサーバ装置10に送信する。
【0100】
[端末]
端末60には、スマートフォン、携帯電話機、ゲーム機、タブレット等の携帯端末装置やコンピュータ(パーソナルコンピュータ、ノートパソコン)等が例示される。端末60は、担当者の操作を受け付け、サーバ装置10等と通信可能であれば任意の機器、デバイスとすることができる。また、端末60の構成等は当業者にとって明らかであるので、詳細な説明を省略する。
【0101】
上述のように、担当者は、端末60を操作端末として用いて移動体50を遠隔操作(マニュアル操作)できる。当該移動体50の遠隔操作は、当業者にとって明らかであると共に、本願開示の趣旨とは異なるのでより詳細な説明を省略する。
【0102】
続いて、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作について説明する。
【0103】
図8は、本願開示の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。図8を参照し、第1の実施形態に係る情報処理システムの動作について説明する。
【0104】
カメラ装置30は、定期的又は所定のタイミングで、フィールドを撮影することで得られた動画データをサーバ装置10に送信する(ステップS11)。なお、図8には図示を省略しているが、センサ装置40は、定期的又は所定のタイミングで、計測データをサーバ装置10に送信する。
【0105】
サーバ装置10は、カメラ装置30から受信した動画データやセンサ装置40から受信した計測データに基づいて、所定エリアに発生したイベントを検出する(ステップS12)。
【0106】
イベントを検出すると、サーバ装置10は、移動開始指示を移動体50に送信する(ステップS13)。
【0107】
移動開始指示を受信すると、移動体50は、当該移動開始指示に含まれる目的地に向けて移動を開始する(ステップS14)。
【0108】
移動中の移動体50は、定期的又は所定のタイミングで、自機の現在位置を含む現在位置通知をサーバ装置10に送信する(ステップS15)。
【0109】
移動体50の現在位置に基づいて、移動体50がイベント発生エリアに進入したと判定すると、サーバ装置10は、当該イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対して通信量低減指示を送信する(ステップS16)。
【0110】
当該通信量低減指示を受信したことに応じて、カメラ装置30は、基地局20を介してサーバ装置10に送信する通信量を低減する処理を実行する(通信量を低減;ステップS17)。
【0111】
また、通信量低減指示の送信後に、サーバ装置10は、移動体50に対して動画送信指示を送信する(ステップS18)。
【0112】
当該動画送信指示を受信したことに応じて、移動体50は、フィールドを撮影することで得られた動画データを、基地局20を介してサーバ装置10に送信する(ステップS19)。
【0113】
以上のように、第1の実施形態に係るサーバ装置10は、イベントが発生したエリアに移動体50が進入した際、当該移動体50が出力するカメラ画像(動画データ)の転送を優先するため、カメラ装置30等に対し通信量の低減を指示する。即ち、サーバ装置10は、カメラ装置30の通信量を低減することで、無線リソースを移動体50のデータ転送に集中する。その結果、移動体50が送信する動画データは、エリアを監視する担当者の端末60において高品質に再生される。
【0114】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0115】
第1の実施形態では、サーバ装置10は、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対して通信量の低減を指示する場合について説明した。第2の実施形態では、サーバ装置10は、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対し、イベント発生エリア以外のエリアに設置された基地局20と通信をするように指示する場合について説明する。
【0116】
なお、第2の実施形態に係る情報処理システム(ネットワーク)の構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図3に相当する説明を省略する。また、第2の実施形態に係るサーバ装置10、カメラ装置30、移動体50の処理構成も第1の実施形態と同一とすることができるので、その説明を省略する。
【0117】
以下、第1の実施形態と第2の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0118】
図9は、本願開示の実施形態に係る情報処理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。図9を参照し、第2の実施形態に係る情報処理システムの動作について説明する。なお、図9において、図8に記載された処理と同一とすることができる処理の記載を省略している。
【0119】
第2の実施形態に係るサーバ装置10は、移動体50がイベント発生エリアに進入すると、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対し、当該イベント発生エリアに設置された基地局20とは異なるエリアの基地局20へのハンドオーバを指示する。
【0120】
具体的には、データ通信制御部204は、所定エリアでイベントの発生が検出され、移動体50がイベント発生エリアに進入すると、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に「ハンドオーバ指示」を送信する(ステップS21)。
【0121】
より詳細には、データ通信制御部204は、イベント発生エリアに設置された基地局20の基地局IDを含むハンドオーバ指示をイベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に送信する。
【0122】
例えば、図3の例において、イベントがエリアAで発生した場合を考える。この場合、データ通信制御部204は、移動体50がエリアAに進入したタイミングで、エリアAに設置されたカメラ装置30に対してハンドオーバ指示を送信する。
【0123】
ハンドオーバ指示を受信したカメラ装置30は、イベント発生エリアに設置された基地局20から当該イベント発生エリアとは異なるエリアに設置された基地局20へのハンドオーバを実行する(ステップS22)。
【0124】
具体的には、カメラ装置30の通信制御部301は、自装置がハンドオーバ指示に含まれる基地局IDに対応する基地局20と通信をしている場合、当該通信中の基地局20とは異なる基地局20にハンドオーバする。
【0125】
なお、通信制御部301によるハンドオーバ処理は当業者にとって明らかであると共に、本願開示の趣旨とは異なるので詳細な説明を省略する。通信制御部301は、周辺の各基地局20との間の信号強度を測定し、イベント発生エリアの基地局20以外の基地局20のなかから最も信号強度が高い基地局20へハンドオーバ処理を実行すればよい。
【0126】
ハンドオーバ指示の送信後に、サーバ装置10は、移動体50に動画送信指示を送信する(ステップS23)。
【0127】
動画送信指示の受信に応じて、移動体50は、動画データをネットワーク(基地局20、サーバ装置10)へ送信する(ステップS24)。
【0128】
以上のように、第2の実施形態に係るカメラ装置30(通信端末)は、自端末が設置されたエリアの基地局20を介して第2の装置(サーバ装置10)に向けてデータを送信している。サーバ装置10のデータ通信制御部204は、移動体50が所定エリアに進入したことに応じて、当該所定エリアに設置された通信端末に対し、所定エリアとは異なるエリアに設置された基地局20にハンドオーバするように指示する。即ち、サーバ装置10は、移動体50がイベント発生エリアに進入すると、カメラ装置30を周辺の他の基地局20に強制的にハンドオーバさせ、カメラ装置30を移動体50の収容基地局から退避させる。その結果、カメラ装置30の動画データ及び移動体50が送信する動画データの映像品質の低下が防止される。
【0129】
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0130】
第1の実施形態では、サーバ装置10は、イベント発生エリアのカメラ装置30に対して通信量の低減処理を実行するように指示する場合について説明した。第3の実施形態では、サーバ装置10が移動体50から受信した動画データのビットレートに基づいて、イベント発生エリアのカメラ装置30の通信量を制御する場合について説明する。
【0131】
なお、第3の実施形態に係る情報処理システム(ネットワークシステム)の構成は第1の実施形態と同一とすることができるので図3に相当する説明を省略する。また、第3の実施形態に係るサーバ装置10、カメラ装置30、移動体50の処理構成も第1の実施形態と同一とすることができるので、その説明を省略する。
【0132】
以下、第1の実施形態乃至第3の実施形態の相違点を中心に説明する。
【0133】
第3の実施形態では、サーバ装置10は、移動体50がイベント発生エリアに進入しても当該イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対し、直ちに通信量低減指示を送信することはない。
【0134】
図10は、本願開示の実施形態に係るサーバ装置10の動作の一例を示すフローチャートである。図10を参照し、第3の実施形態に係るサーバ装置10の動作について説明する。
【0135】
第3の実施形態に係るサーバ装置10は、移動体50がイベント発生エリアに進入すると、当該移動体50に対して動画送信指示を送信する(ステップS101)。
【0136】
その後、サーバ装置10は、移動体50が他の装置に向けて送信するデータの単位時間あたりの通信量を計測する。具体的には、サーバ装置10は、移動体50から受信した動画データのビットレートを計算する(ステップS102)。
【0137】
データ通信制御部204は、受信した動画データをデコードして、当該動画データの解像度、フレームレート及び圧縮率(複数の画像の圧縮率の平均値)を取得する。データ通信制御部204は、取得した解像度、フレームレート及び圧縮率を用いて動画データのビットレートを計算する。
【0138】
データ通信制御部204は、当該計算したビットレートを動画データが端末60において高品質で再生されるために必要なネットワーク(サーバ装置10とカメラ装置30の間のネットワーク)のスループットとして扱う。
【0139】
ビットレートを計算すると、サーバ装置10は、当該計算したビットレートに対して閾値処理を実行する(ステップS103)。
【0140】
計算したビットレートが所定の閾値よりも高い場合(ステップS104、No分岐)、サーバ装置10は、第1の実施形態において説明したように、カメラ装置30に対して通信量低減指示を送信する(ステップS105)。
【0141】
即ち、サーバ装置10(データ通信制御部204)は、移動体50にはハイスペックなカメラ(高解像度で高画質な動画データを出力するカメラ)が搭載されていると判断し、ネットワークの通信量低減処理を実行する。
【0142】
計算したビットレートが所定の閾値以下の場合(ステップS104、Yes分岐)、サーバ装置10は、カメラ装置30に対して通信量低減指示を送信しない。即ち、サーバ装置10は、移動体50にはロースペックなカメラ(低解像度で低画質な動画データを出力するカメラ)が搭載されていると判断し、ネットワークの通信量低減処理は不要と判定する。
【0143】
このように、サーバ装置10のデータ通信制御部204は、移動体50が第1の装置(端末60)に向けて送信するデータの単位時間あたりの通信量(動画データのビットレート)を計測する。データ通信制御部204は、計測された通信量に応じて所定エリアに設置された通信端末(カメラ装置30)に対して第2の装置(サーバ装置10)に向けて送信するデータの通信量の低減を指示するか否か決定する。
【0144】
続いて、第3の実施形態の変形例について説明する。
【0145】
サーバ装置10のデータ通信制御部204は、上記計測した通信量(動画データのビットレート)に基づいて、通信端末(カメラ装置30)による通信量の低減率を決定し、当該決定した低減率を通信端末に通知してもよい。
【0146】
即ち、データ通信制御部204は、計算したビットレート(推定したネットワークに求められるスループット)に応じて、通信量を低減する程度を指定した通信量低減指示をカメラ装置30に送信してもよい。
【0147】
例えば、計算したビットレートが第1の閾値よりも大きい場合、データ通信制御部204は、移動体50には極めてハイスペックなカメラが搭載されていると判定する。この場合、データ通信制御部204は、通信停止を指示する通信量低減指示をカメラ装置30に送信する。この場合、通信量の低減率は100%に相当する。
【0148】
あるいは、計算したビットレートが第2の閾値よりも小さい場合、データ通信制御部204は、移動体50には極めてロースペックなカメラが搭載されていると判定する。この場合、データ通信制御部204は、通信量の低減率を10%に設定して通信量低減指示をカメラ装置30に送信する。
【0149】
あるいは、計算したビットレートが第1の閾値以下、且つ、第2の閾値以上の場合、データ通信制御部204は、移動体50には中スペックのカメラが搭載されていると判定する。この場合、データ通信制御部204は、通信量の低減率を50%に設定して通信量低減指示をカメラ装置30に送信する。
【0150】
通信量の低減率が指定された通信量低減指示を受信したカメラ装置30は、指定された通信量の低減率に応じた処理を実行する。例えば、低減率が50%に指定された通信量低減指示を受信した場合、通信量制御部302は、動画データの解像度を半減して出力するような設定をカメラモジュールに行う。
【0151】
以上のように、第3の実施形態に係るサーバ装置10は、移動体50が出力する動画データのビットレートを計算し、当該移動体50に搭載されたカメラのスペックを推定する。サーバ装置10は、移動体50にハイスペックなカメラが搭載されていると判定した場合には、当該移動体50が送信する動画データを優先するようにカメラ装置30の通信を制御する。対して、移動体50にロースペックなカメラが搭載されていると判定した場合には、当該移動体50が送信する動画データを優先する制御を実行しない。即ち、サーバ装置10は、移動体50に搭載されたカメラのスペックに応じた適切なネットワーク制御を実現できる。
【0152】
続いて、情報処理システムを構成する各装置のハードウェアについて説明する。図11は、サーバ装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0153】
サーバ装置10は、情報処理装置(所謂、コンピュータ)により構成可能であり、図11に例示する構成を備える。例えば、サーバ装置10は、プロセッサ311、メモリ312、入出力インターフェイス313及び通信インターフェイス314等を備える。上記プロセッサ311等の構成要素は内部バス等により接続され、相互に通信可能に構成されている。
【0154】
但し、図11に示す構成は、サーバ装置10のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。サーバ装置10は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス313を備えていなくともよい。また、サーバ装置10に含まれるプロセッサ311等の数も図11の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ311がサーバ装置10に含まれていてもよい。
【0155】
プロセッサ311は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルなデバイスである。あるいは、プロセッサ311は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のデバイスであってもよい。プロセッサ311は、オペレーティングシステム(OS;Operating System)を含む各種プログラムを実行する。
【0156】
メモリ312は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。メモリ312は、OSプログラム、アプリケーションプログラム、各種データを格納する。
【0157】
入出力インターフェイス313は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザ操作を受け付ける装置である。
【0158】
通信インターフェイス314は、他の装置と通信を行う回路、モジュール等である。例えば、通信インターフェイス314は、NIC(Network Interface Card)等を備える。
【0159】
サーバ装置10の機能は、各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ312に格納されたプログラムをプロセッサ311が実行することで実現される。また、当該プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transitory)なものとすることができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。また、上記プログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。
【0160】
なお、カメラ装置30、移動体50、端末60等もサーバ装置10と同様に情報処理装置により構成可能であり、その基本的なハードウェア構成はサーバ装置10と相違する点はないので説明を省略する。
【0161】
サーバ装置10は、コンピュータを搭載し、当該コンピュータにプログラムを実行させることでサーバ装置10の機能が実現できる。また、サーバ装置10は、当該プログラムによりサーバ装置10の制御方法を実行する。
【0162】
[変形例]
なお、上記実施形態にて説明した情報処理システムの構成、動作等は例示であって、システムの構成等を限定する趣旨ではない。
【0163】
上記実施形態では、移動体50等は5G等のモバイル通信を無線通信手段として用いる場合について説明した。移動体50等の無線通信手段としてWi-Fi(Wireless Fidelity)が用いられる場合には、基地局20に変えてアクセスポイントがシステムに含まれていればよい。システムにアクセスポイントが含まれる場合であっても、サーバ装置10は、上記実施形態で説明したように、カメラ装置30等を制御すればよい。
【0164】
上記実施形態では、サーバ装置10は、移動体50がイベント発生エリアに進入すると、当該イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対して通信量の低減を指示する場合について説明した。しかし、サーバ装置10は、移動体50がイベント発生エリアに進入しても直ちにカメラ装置30に対して通信量の低減を指示しなくてもよい。例えば、サーバ装置10は、移動体50がイベント発生エリアのなかを移動し目的地に到着するまでの間は、カメラ装置30に対して通信量の低減を指示しなくてもよい。サーバ装置10は、移動体50が目的地に到着した後に、通信量低減指示をカメラ装置30に送信してもよい。即ち、サーバ装置10は、移動体50が目的地に向けて移動している最中(移動体50から現在位置通知を受信し、且つ、動画データを受信していない場合)は、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対して通信量低減指示を送信しなくてもよい。
【0165】
サーバ装置10は、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に搭載されたカメラのスペックに基づいて当該カメラ装置30に対する通信量低減指示の要否を判定してもよい。例えば、イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30のカメラが極めてロースペックなカメラ(低画質の動画を出力するカメラ、コマ送り型の監視カメラ)の場合、サーバ装置10は、当該カメラ装置30に対して通信量低減指示をしない。このようなロースペックなカメラは、無線ネットワークにおけるリソースの逼迫を引き起こすことがないためである。
【0166】
上記実施形態では、カメラ装置30が通信量低減の対象に設定され、センサ装置40は通信量低減の対象から除外されている場合について説明した。しかし、サーバ装置10は、カメラ装置30と同様に、センサ装置40に対しても通信量の低減を指示してもよい。
【0167】
上記実施形態では、移動体50はサーバ装置10を介して端末60に動画データを送信する場合について説明した。しかし、移動体50は、動画データを直接、端末60に送信してもよい。
【0168】
上記実施形態では、移動体50がGPS信号を用いて測位することで得られる現在位置情報に基づいて、当該移動体50がイベント発生エリアに進入したか否か判定される場合について説明した。しかし、当該判定は異なる方法、手段によって行われてもよい。例えば、移動体50は、在圏しているセルの情報(通信している基地局20の情報)をサーバ装置10に通知してもよい。サーバ装置10は、通知された在圏セルの情報に基づいて、移動体50がイベント発生エリアに進入したか否か判定してもよい。
【0169】
移動体50は、動画データの送信を開始した後も現在位置通知をサーバ装置10に送信してもよい。この場合、サーバ装置10のデータ通信制御部204は、移動体50がイベント発生エリアから退出した場合には、通信量の低減を指示したカメラ装置30に対して通信量の回復を指示してもよい。当該指示に応じて、カメラ装置30は、通信量の低減処理を解除する。
【0170】
イベント発生エリアが複数のエリアに跨がる場合が考えられる。この場合には、サーバ装置10は、移動体50が異なるイベント発生エリアに進入するたびに、当該移動体50が進入したイベント発生エリアに設置されたカメラ装置30に対して通信量の低減を指示すればよい。
【0171】
サーバ装置10は、移動体50から受信した動画データのビットレートと、移動体50とサーバ装置10の間のネットワークのスループットと、を比較してカメラ装置30に対する通信量の低減制御を実行してもよい。例えば、データ通信制御部204は、受信した動画データから計算されたビットレートがネットワークのスループットよりも大きい場合には、カメラ装置30に対して通信量の低減を指示する。対して、受信した動画データから計算されたビットレートがネットワークのスループットよりも小さい場合には、データ通信制御部204は、カメラ装置30に対して通信量の低減を指示しない。あるいは、受信した動画データから計算されたビットレートがネットワークのスループットよりも小さい場合には、データ通信制御部204は、カメラ装置30に対して通信量の増加(通信量の回復)を指示してもよい。あるいは、データ通信制御部204は、ビットレートとスループットの差分値に応じて、カメラ装置30に指示する通信量の低減率(低減量)や増加率(増加量)を決定してもよい。
【0172】
上記実施形態では、ネットワーク通信におけるアプリケーションレイヤーにおいて移動体50の通信を優先するためにカメラ装置30の通信が制御される場合について説明した。しかし、当該移動体50の通信に関する優先制御は、アプリケーションレイヤーよりも下位のレイヤーにおいて実行されてもよい。例えば、通信量低減指示を受信したカメラ装置30は、基地局20に報告する端末カテゴリを変更することで、アップリンクにおける最高伝送速度を低下してもよい。
【0173】
第2の実施形態では、移動体50がイベント発生エリアに進入すると、当該イベント発生エリアに設置されたカメラ装置30は他のエリアに設置された基地局20にハンドオーバする場合について説明した。しかし、サーバ装置10は、イベント発生エリアに進入した移動体50に対してイベント発生エリア以外のエリアに設置された基地局20にハンドオーバするように指示をしてもよい。例えば、サーバ装置10は、カメラ装置30やセンサ装置40の設置台数が少ないエリアの基地局20にハンドオーバするように移動体50に指示をしてもよい。
【0174】
上記実施形態では、1台の移動体50がイベント発生エリアで発生したイベントに対処する場合について説明した。しかし、複数の移動体50がイベント発生エリアで発生したイベントに対処する場合もあり得る。この場合、サーバ装置10は、イベント発生エリアに進入した移動体50の台数に応じて、カメラ装置30による通信量の低減率を決定すればよい。具体的には、サーバ装置10は、同一のイベント発生エリアに進入する移動体50の台数が増加することに伴い、カメラ装置30における通信量の低減率を大きくすればよい。
【0175】
サーバ装置10の一部の機能は別の装置に実装されていてもよい。より具体的には、上記説明した「移動体制御部(移動体制御手段)」、「データ通信制御部(データ通信制御手段)」等がシステムに含まれるいずれかの装置に実装されていればよい。
【0176】
上記説明で用いた流れ図(フローチャート、シーケンス図)では、複数の工程(処理)が順番に記載されているが、実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0177】
上記の実施形態は本願開示の理解を容易にするために詳細に説明したものであり、上記説明したすべての構成が必要であることを意図したものではない。また、複数の実施形態について説明した場合には、各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。例えば、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることや、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。さらに、実施形態の構成の一部について他の構成の追加、削除、置換が可能である。
【0178】
上記の説明により、本発明の産業上の利用可能性は明らかであるが、本発明は、移動体を用いてエリア内のイベント発生を検出する情報処理システムなどに好適に適用可能である。
【0179】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0180】
[付記1]
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御手段と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御手段と、
を備える、サーバ装置。
[付記2]
前記データ通信制御手段は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示する、付記1に記載のサーバ装置。
[付記3]
前記データ通信制御手段は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示した後に、前記移動体に対し前記第1の装置に向けてデータを送信するように指示する、付記2に記載のサーバ装置。
[付記4]
前記データ通信制御手段は、前記移動体が前記第1の装置に向けて送信するデータの単位時間あたりの通信量を計測し、前記計測された通信量に応じて前記所定エリアに設置された通信端末に対して前記通信量の低減を指示するか否か決定する、付記3に記載のサーバ装置。
[付記5]
前記データ通信制御手段は、前記計測した通信量に基づいて、前記通信端末による通信量の低減率を決定し、前記決定した低減率を前記通信端末に通知する、付記4に記載のサーバ装置。
[付記6]
前記複数のエリアそれぞれに設置された各通信端末から受信したデータに基づいて、前記複数のエリアのうち所定のイベントが発生したエリアを検出する、イベント検出手段をさらに備え、
前記移動体制御手段は、前記移動体に対し前記所定のイベントが発生したエリアに移動するように指示する、付記1乃至5のいずれか一項に記載のサーバ装置。
[付記7]
前記通信端末は、自端末が設置されたエリアの基地局を介して前記第2の装置に向けてデータを送信し、
前記データ通信制御手段は、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記所定エリアとは異なるエリアに設置された基地局にハンドオーバするように指示する、付記1乃至5のいずれか一項に記載のサーバ装置。
[付記8]
サーバ装置から目的地を含む移動開始指示を受信することとで、前記目的地に向けて自機の移動を開始する、第1の制御手段と、
前記サーバ装置から、データ送信指示を受信したことに応じて、所定のデータを外部装置に向けて送信する、第2の制御手段と、
を備える、移動体。
[付記9]
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体と、
複数のエリアそれぞれに設置された、複数の通信端末と、
サーバ装置と、
を含み、
前記サーバ装置は、
前記移動体が、前記複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御手段と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記複数の通信端末のうち前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御手段と、
を備える、システム。
[付記10]
前記データ通信制御手段は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示する、付記9に記載のシステム。
[付記11]
前記データ通信制御手段は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示した後に、前記移動体に対し前記第1の装置に向けてデータを送信するように指示する、付記10に記載のシステム。
[付記12]
前記データ通信制御手段は、前記移動体が前記第1の装置に向けて送信するデータの単位時間あたりの通信量を計測し、前記計測された通信量に応じて前記所定エリアに設置された通信端末に対して前記通信量の低減を指示するか否か決定する、付記11に記載のシステム。
[付記13]
前記データ通信制御手段は、前記計測した通信量に基づいて、前記通信端末による通信量の低減率を決定し、前記決定した低減率を前記通信端末に通知する、付記12に記載のシステム。
[付記14]
前記複数のエリアそれぞれに設置された各通信端末から受信したデータに基づいて、前記複数のエリアのうち所定のイベントが発生したエリアを検出する、イベント検出手段をさらに備え、
前記移動体制御手段は、前記移動体に対し前記所定のイベントが発生したエリアに移動するように指示する、付記9乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
[付記15]
前記通信端末は、自端末が設置されたエリアの基地局を介して前記第2の装置に向けてデータを送信し、
前記データ通信制御手段は、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記所定エリアとは異なるエリアに設置された基地局にハンドオーバするように指示する、付記9乃至13のいずれか一項に記載のシステム。
[付記16]
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御工程と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御工程と、
を備える、サーバ装置の制御方法。
[付記17]
前記データ通信制御工程は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示する、付記16に記載のサーバ装置の制御方法。
[付記18]
前記データ通信制御工程は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示した後に、前記移動体に対し前記第1の装置に向けてデータを送信するように指示する、付記17に記載のサーバ装置の制御方法。
[付記19]
前記データ通信制御工程は、前記移動体が前記第1の装置に向けて送信するデータの単位時間あたりの通信量を計測し、前記計測された通信量に応じて前記所定エリアに設置された通信端末に対して前記通信量の低減を指示するか否か決定する、付記18に記載のサーバ装置の制御方法。
[付記20]
前記データ通信制御工程は、前記計測した通信量に基づいて、前記通信端末による通信量の低減率を決定し、前記決定した低減率を前記通信端末に通知する、付記19に記載のサーバ装置の制御方法。
[付記21]
前記複数のエリアそれぞれに設置された各通信端末から受信したデータに基づいて、前記複数のエリアのうち所定のイベントが発生したエリアを検出する、イベント検出工程をさらに備え、
前記移動体制御工程は、前記移動体に対し前記所定のイベントが発生したエリアに移動するように指示する、付記16乃至20のいずれか一項に記載のサーバ装置の制御方法。
[付記22]
前記通信端末は、自端末が設置されたエリアの基地局を介して前記第2の装置に向けてデータを送信し、
前記データ通信制御工程は、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記所定エリアとは異なるエリアに設置された基地局にハンドオーバするように指示する、付記16乃至20のいずれか一項に記載のサーバ装置の制御方法。
[付記23]
サーバ装置に搭載されたコンピュータに、
無線通信手段を用いて第1の装置と通信する移動体が、複数のエリアのうち所定エリアに進入したことを検出する、移動体制御処理と、
前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末が前記無線通信手段を用いて第2の装置に向けて送信するデータの通信量に関する制御を行う、データ通信制御処理と、
を実行させるためのプログラム。
[付記24]
前記データ通信制御処理は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示する、付記23に記載のプログラム。
[付記25]
前記データ通信制御処理は、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記第2の装置に向けて送信するデータの通信量を低減するように指示した後に、前記移動体に対し前記第1の装置に向けてデータを送信するように指示する、付記24に記載のプログラム。
[付記26]
前記データ通信制御処理は、前記移動体が前記第1の装置に向けて送信するデータの単位時間あたりの通信量を計測し、前記計測された通信量に応じて前記所定エリアに設置された通信端末に対して前記通信量の低減を指示するか否か決定する、付記25に記載のプログラム。
[付記27]
前記データ通信制御処理は、前記計測した通信量に基づいて、前記通信端末による通信量の低減率を決定し、前記決定した低減率を前記通信端末に通知する、付記26に記載のプログラム。
[付記28]
前記複数のエリアそれぞれに設置された各通信端末から受信したデータに基づいて、前記複数のエリアのうち所定のイベントが発生したエリアを検出する、イベント検出処理をさらに実行させ、
前記移動体制御処理は、前記移動体に対し前記所定のイベントが発生したエリアに移動するように指示する、付記23乃至27のいずれか一項に記載のプログラム。
[付記29]
前記通信端末は、自端末が設置されたエリアの基地局を介して前記第2の装置に向けてデータを送信し、
前記データ通信制御処理は、前記移動体が前記所定エリアに進入したことに応じて、前記所定エリアに設置された通信端末に対し、前記所定エリアとは異なるエリアに設置された基地局にハンドオーバするように指示する、付記23乃至27のいずれか一項に記載のプログラム。
【0181】
また、上述した付記1に従属する付記2~付記7に記載した構成の一部または全ては、付記9、付記16及び付記23に対しても付記2~付記7と同様の従属関係により従属し得る。さらには、付記1、付記9、付記16及び付記23に限らず、上述した各実施の形態から逸脱しない範囲において、様々なハードウェア、ソフトウェア、ソフトウェアを記録するための種々の記録手段、またはシステムに対しても同様に、付記として記載した構成の一部または全てを従属させ得る。
【0182】
なお、引用した上記の先行技術文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は例示にすぎないということ、及び、本発明のスコープ及び精神から逸脱することなく様々な変形が可能であるということは、当業者に理解されるであろう。即ち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得る各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0183】
10 サーバ装置
20 基地局
30 カメラ装置
40 センサ装置
50 移動体
60 端末
100 サーバ装置
101 移動体制御手段
102 データ通信制御手段
201 通信制御部
202 イベント検出部
203 移動体制御部
204 データ通信制御部
205 記憶部
301 通信制御部
302 通信量制御部
303 記憶部
311 プロセッサ
312 メモリ
313 入出力インターフェイス
314 通信インターフェイス
401 通信制御部
402 移動制御部
403 位置情報制御部
404 カメラ制御部
405 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11