(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016267
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】大深度掘削機の作業支援システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119423
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】511091933
【氏名又は名称】株式会社宮本組
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】川本 真司
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】オペレータが適切に作業状況を把握できしかも利便性の高い大深度掘削機の作業支援システムを提供する。
【解決手段】バケット10を備えた掘削機1により大深度の竪穴内を掘削する作業を支援するシステム20であって、竪穴D内に設置される撮影装置21と、撮影装置21が撮影した画像を表示する画像表示部22と、撮影装置21から撮影した画像の情報が供給され、画像表示部22に対して画像表示部22に表示する画像に関する情報を供給する制御部25と、を備えており、撮影装置21は、竪穴D内においてバケット10によって掘削される位置を撮影するように配置されている。バケット10によって掘削される位置を撮影装置21によって撮影すれば、オペレータが掘削状況を視認できるので、掘削機1による掘削作業を適切に行うためのサポートをすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケットを備えた掘削機により大深度の竪穴内を掘削する作業を支援するシステムであって、
前記竪穴内に設置される撮影装置と、
該撮影装置が撮影した画像を表示する画像表示部と、
前記撮影装置から撮影した画像の情報が供給され、前記画像表示部に対して該画像表示部に表示する画像に関する情報を供給する制御部と、を備えており、
前記撮影装置は、
前記バケットによって掘削される位置を撮影するように竪穴内に配置されている
ことを特徴とする大深度掘削機の作業支援システム。
【請求項2】
前記撮影装置は、
前記竪穴内に一つ設けられており、該竪穴内において移動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の大深度掘削機の作業支援システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記バケットに設けられた、該バケットより下方の距離を測定する距離測定装置を備えており、
該距離測定装置が測定した距離を、前記画像表示部または前記掘削機を操作する際に使用する操作画面に表示する機能を有している
ことを特徴とする請求項1記載の大深度掘削機の作業支援システム。
【請求項4】
前記バケットは、
開閉する一対のシェルと、
該一対のシェルが揺動可能に設けられるフレームと、を備えており、
前記距離測定装置は、
前記フレームにおいて、前記一対のシェルが閉じている状態における該一対のシェルの上方に位置し、該一対のシェルが開くと該距離測定装置の下方から前記一対のシェルが退避する位置に設置されている
ことを特徴とする請求項3記載の大深度掘削機の作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大深度掘削機の作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の土木・建設工事において、竪穴の掘削にはバケットを備えたクローラクレーン等の掘削機が使用される(特許文献1参照)。かかる掘削機による掘削では、竪穴に降下させたバケットにより掘削が行われるが、竪穴が深い場合には、掘削機のオペレータがバケットによる掘削状況を直接視認することができない。このため、オペレータはバケットを吊り下げるワイヤーの弛みやバケットの着地による衝撃等を体感することによりバケットの状況を把握している。つまり、オペレータの勘や経験に頼って掘削状況などを把握しており、掘削機の操作に熟練を要している。また、オペレータが掘削機の操作に熟練したとしても、オペレータは掘削状況を直接視認できないため、掘削を正確に行うことは困難である。
【0003】
オペレータが掘削状況を直接視認できない状況でも掘削を正確に行うために、特許文献2には、掘削機に取り付けた複数の各種センサからの信号により掘削状況を検出し、検出した掘削状況の情報をオペレータ室のディスプレイに視覚的に表示するようにした技術が開示されている。しかし、特許文献2では、クラブバケットの高さや掘削状態はセンサからの信号に基づいてオペレータが推定しているにすぎず、クラブバケットの高さや掘削状態をオペレータは正確に把握することはできない。
【0004】
一方、クレーン等のブームやフックにカメラを設けて、カメラで撮影した画像によってクレーン等のフックや吊荷の状態を確認し、作業状況や作業者に危険がないかなどを把握できるようにした技術が開示されている(特許文献3~5参照)。この技術のようにカメラで撮影した画像でクレーン等のフックや吊荷の状態等をオペレータが確認できれば、センサからの信号だけに基づく作業状況などの把握に比べて、オペレータが作業状況などを適切に把握できる。しかし、この技術でも、クレーン等のフックや吊荷を上方から撮影した画像しか得られないので、フックや吊荷等の地面等からの高さや地面等との関係性を適切に把握することは難しい。
【0005】
特許文献6には、クレーンのブームやフック以外の場所に設けられたカメラによって作業状況を撮影し、オペレータの操作画面にカメラで撮影した画像を提供する技術が開示されている。この技術では、据付カメラや、人が身に着けるウェアラブル端末に搭載されたカメラ、ドローン等に搭載されたカメラ等の複数のカメラによって作業状況を撮影することが開示されている。そして、クレーンの状態に応じて制御装置がオペレータの操作画面に表示する画像を切り換えて表示することや、クレーンの状態に応じて複数の画像を操作画面に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7‐127371号公報
【特許文献2】特開2001‐64993号公報
【特許文献3】特開2022‐16497号公報
【特許文献4】特開2022‐82974号公報
【特許文献5】特開2022‐143224号公報
【特許文献6】実用新案登録第3226637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献6のように、クレーンの状態に応じて制御装置が複数の画像を切り換えて表示する場合、必ずしもオペレータが確認したい画像が制御装置によって選択されて操作画面に表示されるとは限られない。
また、操作画面に複数の画像が同時に表示されれば、その中にオペレータが見たい画像が含まれている可能性はあるが、オペレータは画像以外にも様々な計器やインジケータを確認しなければならず、複数の画像が表示されることは必ずしもオペレータの作業状況把握に役立つとは限らず、複数の画像が表示されることによってオペレータが誤った認識をする可能性もある。とくに、画像が多くなればなるほど、オペレータが誤った認識をする可能性は高くなる。
つまり、特許文献6の技術は、オペレータによるクレーンの作業状況把握を必ずしも十分にサポートするものとはいえず、クレーン等の作業において、オペレータが適切に作業状況を把握できしかも利便性の高い作業支援システムが求められている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、オペレータが適切に作業状況を把握できしかも利便性の高い大深度掘削機の作業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の大深度掘削機の作業支援システムは、バケットを備えた掘削機により大深度の竪穴内を掘削する作業を支援するシステムであって、前記竪穴内に設置される撮影装置と、該撮影装置が撮影した画像を表示する画像表示部と、前記撮影装置から撮影した画像の情報が供給され、前記画像表示部に対して該画像表示部に表示する画像に関する情報を供給する制御部と、を備えており、前記撮影装置は、前記バケットによって掘削される位置を撮影するように竪穴内に配置されていることを特徴とする。
第2発明の大深度掘削機の作業支援システムは、第1発明において、前記撮影装置は、前記竪穴内に一つ設けられており、該竪穴内において移動可能に設けられていることを特徴とする。
第3発明の大深度掘削機の作業支援システムは、第1発明において、前記制御部は、前記バケットに設けられた、該バケットより下方の距離を測定する距離測定装置を備えており、該距離測定装置が測定した距離を、前記画像表示部または前記掘削機を操作する際に使用する操作画面に表示する機能を有していることを特徴とする。
第4発明の大深度掘削機の作業支援システムは、第3発明において、前記バケットは、開閉する一対のシェルと、該一対のシェルが揺動可能に設けられるフレームと、を備えており、前記距離測定装置は、前記フレームにおいて、前記一対のシェルが閉じている状態における該一対のシェルの上方に位置し、該一対のシェルが開くと該距離測定装置の下方から前記一対のシェルが退避する位置に設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、バケットによって掘削される位置を撮影装置によって撮影すれば、オペレータが掘削位置の掘削状況を視認できるので、掘削機による掘削作業を適切に行うためのサポートをすることができる。
第2発明によれば、撮影装置によって得られる画像が一つであるので、オペレータが掘削状況の状況を容易に把握できる。
第3、第4発明によれば、距離測定装置が測定した距離によってオペレータがバケットの位置を把握できる。すると、オペレータは必要なときだけ画像を確認すればよいので、オペレータの掘削機の操作や掘削状況確認が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(A)は大深度掘削機の作業支援システム20の概略ブロック図であり、(B)は画像表示部22の概略説明図である。
【
図2】大深度掘削機の作業支援システム20を備えた掘削機1による掘削作業の概略説明図である。
【
図3】バケット10の概略説明図であり、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【
図4】バケット10の概略断面説明図であり、(A)はバケット10の一対のシェル11,11を閉じた状態であり、(B)はバケット10の一対のシェル11,11を開いた状態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の大深度掘削機の作業支援システムは、大深度掘削機による掘削作業を支援するシステムであり、例えば、深さ40m以上の大深度の竪穴内の地面を掘削する際に安全かつ効率よく実施することができるようにしたことに特徴を有している。
【0013】
<掘削機1>
まず、本実施形態の大深度掘削機の作業支援システムの詳細を説明する前に、本実施形態の大深度掘削機の作業支援システムを利用する掘削機1について説明する。
【0014】
図2に示すように、本実施形態の大深度掘削機の作業支援システムを利用する掘削機1は、掘削機本体2と、この掘削機本体2に設けられたブーム5と、ワイヤー6によってブーム5に吊り下られたバケット10と、を備えている。
【0015】
掘削機本体2は駆動用のクローラ2cを備えたものである。この掘削機本体2には、ブーム5の基端が連結されている。具体的には、ブーム5は掘削機本体2に対して左右上下方向への揺動が可能となるように連結されており、ブーム5を揺動させることによってブーム5の先端の位置、つまり、バケット10を配置する位置を調整できるようになっている。なお、掘削機本体2やブーム5は一般的なクレーン等と同等の構成を有していればよく、その構造や形状はとくに限定されない。
【0016】
図2に示すように、バケット10は、ブーム5の先端にワイヤー6によって吊り下げられており、ワイヤー6によって昇降が制御されている。具体的には、掘削機本体2に設けられたドラム3から繰り出されているワイヤー6は、バケット10に設けられたシーブ10a(
図3参照)に巻き掛けられており、このワイヤー6の一端はブーム5の先端に固定されている。したがって、ドラム3によってワイヤー6を繰り出し巻取りすることによって、バケット10をブーム5の先端に対して昇降させることができる。
【0017】
図3および
図4に示すように、バケット10は、先端部に爪11aを有する一対のシェル11,11を有しており、この一対のシェル11,11はフレーム12に設けられた軸13にそれぞれ独立して揺動可能に取り付けられている。この一対のシェル11,11は、フレーム12との間に設けられた一対の油圧シリンダ15,15によってそれぞれ独立して上下方向に揺動することができるようになっている。つまり、一対の油圧シリンダ15,15を作動することによって、バケット10の一対のシェル11,11を開閉させることができるようになっている(
図4(A)、(B)参照)。
【0018】
以上のような構造であるので、以下のように掘削機1を作動させれば、竪穴Dの地面を掘削して、掘削した土などを排出することができる。
【0019】
まず、掘削作業を実施する竪穴Dの近傍に掘削機1を配置し、ブーム5を揺動させてブーム5の先端を竪穴D上に配置する。つまり、バケット10を竪穴D上に配置する。その状態からワイヤー6を繰り出せば、バケット10を竪穴D内に降ろすことができる。
【0020】
バケット10が所定の高さまで降下すると、バケット10の一対のシェル11,11を開き、一対のシェル11,11を開いた状態でバケット10をさらに下降させれば、一対のシェル11,11の爪11aが地面に突き刺さる状態となる。その状態から一対のシェル11,11を閉じれば、竪穴Dの地面を掘削して掘削した土などをバケット10内に収容することができる。
【0021】
土などをバケット10内に収容すると、ワイヤー6を巻き取ってバケット10を上昇させる。そして、バケット10が竪穴Dから出ると、ブーム5を揺動させて、竪穴Dの近傍に配置されているトラックなどの荷台上までバケット10を移動する。その状態でバケット10の一対のシェル11,11を開けば、バケット10内の土などをトラックなどの荷台に積載することができる。
【0022】
トラックなどの荷台への土などの積載が終了すると、一対のシェル11,11を閉じ、再びブーム5を揺動させてブーム5の先端を竪穴D上に配置する。そして、上記作業を繰り返せば、竪穴Dの地面を掘削することができる。
【0023】
<本実施形態の大深度掘削機の作業支援システム20>
上述したような掘削機1による竪穴D内の地面の掘削作業を実施する場合、竪穴Dの深さが深い場合、例えば、竪穴Dの深さが40m以上もある場合、掘削機1を操作する作業者からはバケット10の状態、つまり、バケット10の竪穴Dの地面からの高さや、竪穴D内におけるバケット10の一対のシェル11,11と地面との相対的な位置等は直接視認することは難しい。そこで、本実施形態の大深度掘削機の作業支援システム20では、竪穴Dの状況を把握する撮影装置21を設けることによって、掘削機1を操作する作業者が竪穴Dにおけるバケット10の状態を把握できるようにしている。
【0024】
図1(A)に示すように、大深度掘削機の作業支援システム20は、竪穴D内に設置される撮影装置21と、撮影装置21が撮影した画像を表示する画像表示部22と、この画像表示部22に表示する画像を制御する制御部25と、を有している。
【0025】
<撮影装置21>
図2に示すように、撮影装置21は、竪穴D内においてバケット10によって掘削を行う場所を撮影できる位置に設けられるものである。この撮影装置21は、一般的なカメラ21a(例えば、CCDカメラや映像素子等)を備えた装置である。具体的には、
図1(A)に示すように、撮影装置21は、フレーム21b内にカメラ21aと、このカメラ21aの作動するために必要な制御機器21c(電源や制御器等)と、カメラ21aで撮影した画像(以下現場画像という場合がある)を制御部25に対して送信する通信機器21dと、を備えている。
【0026】
<画像表示部22>
画像表示部22は、掘削機1のオペレータ室に設けられている。この画像表示部22は、掘削機1の操作画面とは別に設けられた表示装置であり、
図1(B)に示すように、撮影装置21の現場画像22aを表示するものである。なお、掘削機1の操作画面に現場画像22aを表示できる機能を有している場合には、掘削機1の操作画面に現場画像22aを表示してもよい。しかし、掘削機1の操作画面とは別に画像表示部22を設ければ、現場画像22aの表示サイズや表示する場所をオペレータが自由に設定できるので、オペレータによる現場画像22aの把握が容易になる。
【0027】
<制御部25>
制御部25は、撮影装置21から供給される現場画像22aを受信し、受信した現場画像22aを画像表示部22に表示する機能を有している。例えば、制御部25は、撮影装置21から現場画像22aが供給されると、現場画像22aをほぼリアルタイムで画像表示部22に表示する機能を有している。
【0028】
また、制御部25は、バケット10より下方の距離を測定する距離測定装置26を備えている。具体的には、
図3および
図4に示すように、距離測定装置26は、バケット10のフレーム12に設けられている。より詳しくは、距離測定装置26は、一対のシェル11,11が閉じている状態では一対のシェル11,11の上方に位置し、一対のシェル11,11が開くと距離測定装置26の下方から一対のシェル11,11が退避する位置に設置されている。つまり、一対のシェル11,11が開くと竪穴Dの地面までの距離が測定できる位置に距離測定装置26が設けられている。
【0029】
また、制御部25は、画像表示部22または操作画面に、距離測定装置26の測定結果に基づいてバケット10から竪穴Dの地面までの距離を算出し算出した距離を表示する機能も有している。例えば、
図1(B)に示すように、制御部25は、画像表示部22の距離表示部22bにバケット10から竪穴Dの地面までの距離を表示する機能も有している。
【0030】
<大深度掘削機の作業支援システム20>
大深度掘削機の作業支援システム20は、以上のような構成を有しているので、オペレータは、画像表示部22に表示されている現場画像22aを確認すれば、掘削状態を画像として確認できる。したがって、バケット10の一対のシェル11,11と竪穴Dの地面とがどのように接触するかを画像として確認できるので、掘削機1による掘削作業のサポートを適切に行うことができる。
【0031】
しかも、距離測定装置26が設けられておりバケット10の位置を具体的な数値としてもオペレータが把握できるので、オペレータがバケット10の操作を適切に行うことができる。つまり、バケット10の昇降とバケット10の一対のシェル11,11の開閉を適切に行うことができる。例えば、バケット10の昇降はワイヤー6の繰り出し量や巻取り量で把握できるが、バケット10が竪穴Dの地面に近づくと、ワイヤー6の繰り出し量や巻取り量ではバケット10と竪穴Dの地面との距離を精度よく把握することができない。しかし、バケット10と竪穴Dの地面との距離がある程度近づいた状態でバケット10の一対のシェル11,11が開けば、距離測定装置26がバケット10と竪穴Dの地面との距離を精度よく把握できる。すると、距離測定装置26が測定した距離と現場画像22aの両方を利用してオペレータがバケット10による掘削を制御できるので、掘削機1による掘削作業のサポートを適切に行うことができる。
【0032】
<撮影装置21について>
撮影装置21の制御機器21cは、カメラ21aによって撮影された現場画像22aを常時制御部25に送信するようにしてもよいし、制御部25からの信号に応じて撮影された現場画像22aを制御部25に送信するようにしてもよい。
【0033】
また、撮影装置21は、
図2に示すように竪穴D内の地面に直接配置するようにしてもよいし、三脚等の保持器具によって地面に配置してもよい。フレーム21bの底面をある程度大きくした箱状としこの底面が竪穴D内の地面に直接載せられた状態となるように配置すれば、バケット10が掘削を行った際に振動などが発生しても、その振動などによる撮影装置21の移動を防止しやすくなる。つまり、バケット10によって掘削を行った際に生じる振動などによって撮影位置がずれることを防止しやすくなるので、オペレータが掘削状況を安定して把握できる。なお、撮影装置21は、上記条件を満たしつつ、作業者が容易に持ち運びできる大きさや重量になっていることが望ましい。
【0034】
撮影装置21は、無線通信によって撮影装置21から制御部25に現場画像22aを送信するようにすれば、竪穴Dの深さなどに係わらず現場画像22aを制御部25に供給できるし、竪穴D内において撮影装置21を配置する場所を自由に設定することができる。しかし、撮影装置21は、竪穴Dの深さがある程度の深さまでであれば、制御部25と通信線によって接続されていてもよい。
【0035】
また、
図1および
図2では、撮影装置21は、竪穴D内に一つだけ設け、その撮影装置21から供給される現場画像22aだけを画像表示部22に表示する場合を説明している。この場合、オペレータが視認する現場画像22aが一つだけになるので、現場画像22aの確認作業が容易になり、オペレータが現場画像22aを使用して掘削状況の状況を容易に把握できる。
一方、撮影装置21は複数設けることもでき、画像表示部22に複数の現場画像22aを表示するようにしてもよい。例えば、撮影装置21を2つ設け、2つの現場画像22aを表示するようにする。この場合、2つの撮影装置21を両者のカメラ21aの光軸がほぼ直交するように配置すれば、バケット10の作業状況をオペレータが詳細に把握できる。例えば、一つの撮影装置21はバケット10をほぼ側方(
図3(B)参照)から撮影し、もう一つの撮影装置21はバケット10をほぼ正面(
図4参照)から撮影するように設置すれば、バケット10の作業状況をオペレータが詳細に把握できる。
【0036】
<制御部25について>
上記例では、制御部25が、撮影装置21から供給される現場画像22aをほぼリアルタイムで画像表示部22に表示する機能を有している場合を説明した。制御部25は、撮影装置21から供給された現場画像22aを一定の条件を満たしたときに現場画像22aを画像表示部22に表示するようにしてもよい。例えば、距離測定装置26が測定する距離が一定の距離になったときに現場画像22aを画像表示部22に表示するようにしてもよい。また、上記のように距離測定装置26が設けられている場合には、バケット10の一対のシェル11,11が完全に開いた後、つまり、距離測定装置26によって竪穴Dの地面までの距離を測定できるようになった段階で、現場画像22aを画像表示部22に表示するようにしてもよい。
【0037】
距離測定装置26はとくに限定されず、距離測定装置26が設置された位置、つまり、バケット10のフレーム11から竪穴Dの地面までの距離を測定できる機能を有するものであればよい。例えば、レーザー距離計や超音波距離計、ロータリーエンコーダ等を採用することができる。
【0038】
距離測定装置26を設ける数はとくに限定されず、1つでもよいし複数設けてもよい。例えば、
図3および
図4に示すように、距離測定装置26を4カ所設けることができる。複数の距離測定装置26を設ければ、複数の距離測定装置26が測定した距離によってバケット10と竪穴Dの地面との距離を適切に把握できるので、掘削作業を適切に行うことができる。例えば、複数の距離測定装置26が測定した距離を平均してバケット10と竪穴Dの地面との距離とすることができる。また、竪穴Dの地面に凹凸や一部に大きな盛り上がりやくぼみがあった場合には、一部の距離測定装置26が測定した距離が他の距離測定装置26が測定した距離から大きく異なる可能性がある。この場合には、他の距離測定装置26が測定した距離から大きく異なる大きく測定値を除いて、その他の測定値の平均値をバケット10と竪穴Dの地面との距離とすることができる。
【0039】
また、制御部25は、必ずしも距離測定装置26を有していなくてもよいが、距離測定装置26を有していれば、オペレータがバケット10の位置、つまり、竪穴Dの地面からバケット10までの距離を把握できる。すると、バケット10から竪穴Dの地面までの距離を確認して必要な状況になったときに現場画像を確認すればよくなるので、オペレータが掘削画像を確認する手間を少なくできる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の大深度掘削機の作業支援システムは、残置回収などの工事現場などにおいて大深度の竪穴内などにおける掘削を行う作業を支援するシステムとして適している。
【符号の説明】
【0041】
1 掘削機
10 バケット
11 シェル
12 フレーム
20 システム
21 撮影装置
22 画像表示部
25 制御部
26 距離測定装置
D 竪穴