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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016274
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】給電システム及び受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20250124BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20250124BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/12
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119438
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 実
(72)【発明者】
【氏名】大西 智貴
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA06
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】有線による給電と同一のシーケンスに基づくワイヤレス給電を実現する給電システム及び受電装置を提供する。
【解決手段】給電システムは、電力を高周波磁束に変換して給電コイルからワイヤレス送信する給電装置と、バッテリを搭載した電動モビリティに搭載され、前記バッテリへの充電を制御する充電制御装置と、前記給電装置からの高周波磁束を受電する受電コイルを備え、前記受電コイルで受電した電力を、前記充電制御装置との信号の授受を経た上で前記バッテリへ出力する受電装置とを含むワイヤレス給電システムにおいて、前記受電装置は、前記給電装置との間で前記バッテリに関するデータの授受のための無線通信の通信接続が確立された場合、前記充電制御装置から許可信号を受信する前に、前記給電装置から電力の出力を開始させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を高周波磁束に変換して給電コイルからワイヤレス送信する給電装置と、バッテリを搭載した電動モビリティに搭載され、前記バッテリへの充電を制御する充電制御装置と、前記給電装置からの高周波磁束を受電する受電コイルを備え、前記受電コイルで受電した電力を、前記充電制御装置との信号の授受を経た上で前記バッテリへ出力する受電装置とを含むワイヤレス給電システムにおいて、
前記受電装置は、
前記給電装置との間で前記バッテリに関するデータの授受のための無線通信の通信接続が確立された場合、前記充電制御装置から許可信号を受信する前に、前記給電装置から電力の出力を開始させる
給電システム。
【請求項2】
前記給電装置は、前記受電装置との間で前記バッテリに関するデータの授受のための無線通信の通信接続が確立されたことを契機に、前記給電コイルからの電力の出力を開始する
請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記給電装置は、前記受電装置との間で前記バッテリに関するデータの授受のための無線通信の通信接続が確立され、且つ、前記受電装置から出力開始指示を受信した場合に、前記給電コイルからの電力の出力を開始する
請求項1に記載の給電システム。
【請求項4】
前記電動モビリティは、
前記バッテリへ電力を供給する電力線との有線コネクタと、
前記有線コネクタと前記バッテリとを接続するか、前記受電装置から出力される電力を前記バッテリへ供給するかを切り換えるスイッチと
を有し、
前記受電装置は、前記給電装置との間で前記バッテリに関するデータの授受のための無線通信の通信接続が確立された場合、前記スイッチを、前記受電装置から出力される電力を前記バッテリへ供給するように切り換える
請求項1から3のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記有線コネクタは、J1772規格に準じたコネクタであり、
前記受電装置は、前記J1772規格に基づくシーケンスによって前記充電制御装置から許可信号を受信した場合、前記給電装置から供給された電力を前記バッテリへ出力する
請求項4に記載の給電システム。
【請求項6】
バッテリを搭載した電動モビリティに搭載され、前記バッテリへの充電を制御する充電制御装置と信号を授受し、給電コイルから受電コイルで受電した電力を前記バッテリへ供給する受電装置において、
給電コイルを制御する給電装置との間で前記バッテリに関するデータの授受のための無線通信の通信接続が確立された場合、前記充電制御装置から許可信号を受信する前に、前記給電装置から電力の出力を開始させる
受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有線による給電と同一のシーケンスに基づくワイヤレス給電を実現する給電システム及び受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量のリチウムイオン電池を駆動用バッテリとし、駆動用バッテリに蓄積された電力で走行用のモータを駆動する電動モビリティが普及し始めている。バッテリを駆動エネルギー源とする電動モビリティは、電気自動車のみならず、無人搬送車、フォークリフト、所謂ドローン等の飛行体、電気推進船等の水上モビリティ等を含む。これらの電動モビリティに搭載された駆動用バッテリへの給電方法として、電力ケーブル経由ではなく、無線によって給電するワイヤレス給電システムが実用化されている。
【0003】
有線による給電システムでは、給電装置は、コネクタによって信号線、通信線及び電力線が導通することで車両が接続されたことを検知し、給電側と受電側との間で通信接続を確立させると、所定のシーケンスでの信号の授受により充電の準備を行なってから充電が開始される。これに対し、ワイヤレス給電システムでは、給電装置と受電装置との間で合意ができれば給電コイルからの給電と、受電側での受電開始は自動的に行なわれていることが多い。
【0004】
有線による給電方式においても、異なる通信方式での給電のいずれにも対応できる技術が提案されている(特許文献1)が、有線による給電と、ワイヤレス給電とのいずれも選択可能な車両の実現は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2020-501479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
有線による給電においても、異なる方式の給電装置に対応可能な受電装置を車両に搭載することが容易でなく、異なるコネクタを用意したり、異なる通信方式の通信デバイスを用意したりして対処している。更に、有線による給電と、ワイヤレス給電とのいずれも対応可能な受電装置を実現する場合、ワイヤレス給電においても、充電開始前に、給電装置とバッテリの制御装置との間での情報の授受の所定手順を、有線による給電と同様に実行する必要がある。
【0007】
ワイヤレス給電は、絶縁によって保護された電力線を用いた有線による給電よりも、手順に時間を要する場合があり、有線による給電と同一のシーケンスで給電を実施するには諸々の工夫が必要である。
【0008】
本発明は、有線による給電と同一のシーケンスに基づくワイヤレス給電を実現する給電システム及び受電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態の給電システムは、電力を高周波磁束に変換して給電コイルからワイヤレス送信する給電装置と、バッテリを搭載した電動モビリティに搭載され、前記バッテリへの充電を制御する充電制御装置と、前記給電装置からの高周波磁束を受電する受電コイルを備え、前記受電コイルで受電した電力を、前記充電制御装置との信号の授受を経た上で前記バッテリへ出力する受電装置とを含むワイヤレス給電システムにおいて、前記受電装置は、前記給電装置との間で前記バッテリに関するデータの授受のための無線通信の通信接続が確立された場合、前記充電制御装置から許可信号を受信する前に、前記給電装置から電力の出力を開始させる。
【0010】
本開示の給電システム及び受電装置では、有線による給電と同一のシーケンスを行なっている間に、給電装置から磁束の発生が開始されており、車両側の充電制御装置にて準備が完了した時点で、所定の電圧が印加された状態とすることが可能である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ワイヤレス給電にて給電装置から高周波の磁束を発生させ、受電装置に所定の電圧が印加されるまでに時間を要するところ、有線による充電における所定のシーケンスに合わせた処理を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のワイヤレス給電システムの概要図である。
図2】スイッチの概要図である。
図3】受電装置の構成を示すブロック図である。
図4】受電装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
図5】給電装置の構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態におけるワイヤレス給電システムでの充電開始手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示のワイヤレス給電システムの実施の形態を、以下に図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態のワイヤレス給電システム300の概要図である。ワイヤレス給電システム300は、給電装置1及び受電装置2を含む。給電装置1は例えば、図1に示すように、車両Vが駐車する駐車エリアの奥側に設置されている。車両Vは、リチウムイオン電池等のバッテリ30に蓄積された電力でモータを駆動することにより走行する電気自動車である。車両Vは、走行用のモータと、燃料の燃焼により動力を発生させるエンジンとの両方を搭載した、いわゆるハイブリッド型の電気自動車であってもよい。
【0015】
給電装置1は、駐車エリアの地面若しくは床面の上に設置された給電コイル11、又は、地点若しくは床面の下に埋め込まれた給電コイル11と接続されており、給電コイル11からの給電を制御する。給電コイル11は、駐車エリアの側部に設置され、車両Vの側部に設けられた受電コイル21に対応するものであってもよい。
【0016】
車両Vには、給電装置1からワイヤレスで供給される電力を受電する受電コイル21を備える受電装置2が設けられている。受電装置2は、受電コイル21で受電した電力を車両Vに搭載されている駆動用のバッテリ30へ出力する。受電装置2は、バッテリ30へ向けて電力を供給するに際し、バッテリ30への充電を制御する車両V側の充電制御装置3と信号を授受して充電準備ができたことを確認してから電力を出力する。
【0017】
車両Vは、ワイヤレス給電用の受電装置2のみならず、有線による給電を受け付けるコネクタ4を有している。コネクタ4は例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)のJ1772規格に準拠している。充電制御装置3は、有線による給電を実行する図示しない給電設備の充電ケーブルがコネクタ4に接続されたことを検知できる。車両Vでは、充電制御装置3が、ワイヤレス給電と有線による給電とを、同一のJ1772規格に基づくシーケンスで実行する限り区別なく対応するように配線されている。このため、本実施形態のワイヤレス給電システム300では、受電装置2から、ワイヤレス給電を実行する際には、有線による給電が行なえないように制御可能なスイッチ22を設けると共に、受電装置2が、J1772規格に準じたシーケンスでの充電ができるように処理手順を実行する。
【0018】
図2は、スイッチ22の概要図である。スイッチ22は、バッテリ30に対し、コネクタ4と、受電装置2とでいずれから受電するかを切り替え可能にしてある。スイッチ22は、C接点リレーによって構成され、OFF状態ではコネクタ4から受電するように接続されている。スイッチ22は、受電装置2からの制御信号あるいは、充電制御装置3からの制御信号によって切り替え可能である。
【0019】
図3は、受電装置2の構成を示すブロック図である。受電装置2は、受電コイル21を備え、給電装置1からの電力をバッテリ30へ供給する装置である。受電装置2は、受電コイル21、整流平滑回路23、キャパシタ24(EDLC:Electric Double-Layer Capacitor、又はSupercapacitor)、DC/ACコンバータ25、及び制御回路20を備える。受電装置2の構成はこれに限らず、キャパシタ24を備えずに、整流平滑回路23により直流電圧に平滑化させる構成であってもよい。
【0020】
受電コイル21は、給電装置1から発せられる高周波磁束を高周波信号へ変換する。受電コイル21は、車両Vの車体の例えば底部に、軸方向を鉛直方向に沿うようにして、設けられる。この場合、受電コイル21は、地面又は床面に鉛直方向を軸として埋められた送電コイルと近接している状態で、受電可能である。受電コイル21は、車両Vの車体の側部に、軸方向を水平方向に沿うようにして設けられてもよい。この場合、受電コイル21は、立設された送電装置内に水平方向を軸として設けられた給電コイル11と近接している状態で、受電可能である。
【0021】
整流平滑回路23は、電力の高周波信号を直流電流へ整流する整流回路と、直流電流に含まれる脈流を平滑化する平滑化回路を組み合わせた回路である。整流平滑回路23は、受電コイル21で受電できた電力を直流電力へ変換して出力する。
【0022】
キャパシタ24は、電気二重層を利用したスーパーキャパシタである。キャパシタ24は、整流平滑回路23の出力端に接続されている。キャパシタ24は、整流平滑回路23を介して得られる受電コイル21で受信した電力を蓄電する。
【0023】
DC/ACコンバータ25は、直流電力を、交流電力へ変換する。DC/ACコンバータ25は、整流平滑回路23若しくはキャパシタ24から出力される直流電力を、車両Vのバッテリ30のAC/DCコンバータに対応する交流電力へ変換して出力する。
【0024】
制御回路20は、受電装置2の動作を制御する。制御回路20は、DC/ACコンバータ25をONにすることで受電装置2からバッテリ30に向けた給電が開始され、OFFにすることによってバッテリ30への給電が停止する。制御回路20は、受電装置2のキャパシタ24を参照することにより、バッテリ30の充電状態(満充電状態であるか否か)を判断可能である。具体的には、制御回路20は、キャパシタ24の充電電流の有無を電流センサによって検知して判断できる。制御回路20は、充電制御装置3との信号の授受によりバッテリ30へ向けた給電用の処理を実行する。制御回路20は、給電コイル11を制御する給電装置1と無線により通信し、受電開始を制御する。
【0025】
図4は、受電装置2の制御回路20の構成を示すブロック図である。制御回路20は、プロセッサ200(制御部)及びメモリ201と、通信回路202とを含む。プロセッサ200、メモリ201、及び通信回路202は、1つの基板上に集積されてマイクロコントローラとして構成されてよいし、各々の構成部として実装されてもよい。
【0026】
プロセッサ200は、メモリ201に記憶してあるプログラムP2を読み出して実行して後述の制御処理を実現する。プロセッサ200は、充電制御装置3との間でパラメータを示す信号を授受して制御に利用する。プロセッサ200は、スイッチ22及びDC/ACコンバータ25へ制御信号を出力する。
【0027】
メモリ201は、不揮発性メモリを用いる。メモリ201にはプログラム(プログラムプロダクト)P2が記憶されている。プログラムP2は、受電装置2の製造時にメモリに組み込まれている。プログラムP2は、コンピュータ(プロセッサ)により読み取り可能な記録媒体に記録されているものを、プロセッサ200が読み取ってメモリ201に記憶したものであってもよい。
【0028】
通信回路202は、給電装置1との無線通信を実現する。通信回路202は、例えばBluetooth(登録商標)により通信する。通信回路202による無線通信の規格はBluetoothに限らない。
【0029】
図5は、給電装置1の構成を示すブロック図である。給電装置1は、制御回路10と、整流平滑化回路12と、インバータ回路13と、給電コイル11と、検知部14とが接続されて構成されている。
【0030】
整流平滑化回路12は、電源Eからの交流電力を整流し、平滑化して出力する。整流平滑化回路12は、フィルタ回路を含み、電力信号から不要な高周波成分を除去して出力する。
【0031】
インバータ回路13は、複数のスイッチング素子を備え、制御回路10からのスイッチング素子のスイッチング制御により、整流平滑化回路12から出力された電力信号を高周波信号へ変換する。
【0032】
給電コイル11は、インバータ回路13からの高周波信号を高周波磁束へ変換する。これにより、給電コイル11は、電磁誘導を通じて高周波信号を受電装置2へワイヤレス送電する。給電コイル11は、直列共振回路に限らず並列共振回路であってもよい。
【0033】
制御回路10は、プロセッサ100及びメモリ101を用いて構成されている。プロセッサ100は、インバータ回路13の駆動を制御して給電コイル11への給電のON/OFFを切り換える。メモリ101には、給電装置1側の処理を規定するプログラム(プログラムプロダクト)P1が記憶されている。制御回路10は、通信回路102を備え、受電装置2との無線通信を実現する。通信回路102は、受電装置2の通信回路202と同一の通信規格により通信する。
【0034】
検知部14は、超音波センサ、カメラ、近接センサ等を用い、給電装置1が載置されている駐車エリアに車両Vが駐車されたか否かを検知する。検知部14は、制御回路10と接続されており、プロセッサ100が検知部14の結果を取得できる。
【0035】
このように構成されているワイヤレス給電システム300において、給電装置1及び受電装置2の処理によって実現される、J1772に準拠したワイヤレス給電の開始の処理手順について、シーケンスを参照して説明する。
【0036】
図6は、本実施形態におけるワイヤレス給電システム300での充電開始手順の一例を示すシーケンス図である。給電装置1は、電源から電力の供給を受けている状態で、以下に示す処理を繰り返し実行し、受電装置2は、イグニッションスイッチがオフとなると処理を開始する。
【0037】
プロセッサ100は、検知部14で車両Vが駐車されたことが検知されたか否かを判断する(ステップS101)。検知部14で駐車が検知されていないと判断された場合(S101:NO)、プロセッサ100は、所定の待機時間経過後に処理をステップS101へ戻す。
【0038】
検知部14で駐車が検知されたと判断された場合(S101:YES)、プロセッサ100は、通信回路102により、受電装置2の通信回路202との通信接続を試行し(ステップS102)、通信が可能か否かを判断する(ステップS103)。プロセッサ100は、S103において、車両Vの車両番号等で照合するなど、通信相手が正しいか否かを検証するとよい。
【0039】
通信が可能でないと判断された場合(S103:NO)、ワイヤレス給電の対象の車両でないと判断してエラーで終了する。
【0040】
通信が可能であると判断された場合(S103:YES)、プロセッサ100は、通信回路102にて通信回路202との通信接続を確立する(ステップS104)。プロセッサ100は、受電装置2から充電許可の通知がされたか否かを判断する(ステップS105)。
【0041】
受電装置2では、プロセッサ200が、イグニッションスイッチがオフとなった後所定期間の間、通信回路202にてワイヤレス給電を実行する給電装置1との通信が確立されたか否かを判断する(ステップS201)。ステップS201においてプロセッサ200は通信回路202と協働して、給電装置1からの通信電波を受信でき、且つ、メモリ201に記憶されている車両番号等の認証情報を用いて通信相手を確認できるか否かを判断する。
【0042】
プロセッサ200は、通信が確立されたと判断された場合(S201:YES)、スイッチ22をONとし、受電装置2とのバッテリ30との電力線とを接続する方へ切り替える(ステップS202)。
【0043】
プロセッサ200は、車両Vの充電制御装置3へ、充電準備信号を出力すると(ステップS203)、出力した充電準備信号に対する充電制御装置3からの応答(充電許可)を待つことなしに、給電装置1へ通信回路202により充電許可を通知する(ステップS204)。
【0044】
受電装置2のプロセッサ200は、ステップS203で出力した充電準備信号に応じて充電制御装置3から許可信号を受信すると(ステップS205)、J1772規格に準拠した信号の授受による所定のシーケンスを充電制御装置3との間で実行する(ステップS206)。プロセッサ200は、所定時間以内に受電コイル21から受電する電力を所定の電圧値で出力できるか否か判断する(ステップS207)。
【0045】
プロセッサ200は、電力を出力できていると判断した場合(S207:YES)、以後、充電制御装置3の制御によってバッテリ30への充電が実行される。
【0046】
ステップS204にて充電許可を給電装置1へ先行的に通知している。これにより、ステップS206で所定のシーケンスを実行している間に、給電装置1にて給電準備が進行しており、ステップS207で確認するタイミングでは、受電装置2のDC/ACコンバータ25には所定電圧が印加されて直ちに給電が可能な状態となる。
【0047】
ステップS207において、所定時間以内に所定の電圧値で電力を出力できなかったと判断された場合(S207:NO)、プロセッサ200は、処理をステップS203へ戻して数回試行する。このときプロセッサ200は、時間の計測等をリセットしてから試行する。プロセッサ200は、数回充電開始を試行しても所定時間以内に所定の電圧値で電力を出力できなかったと判断された場合、通信接続を切断して、エラーで処理を終了するとよい。
【0048】
ステップS201において、通信が確立していないと判断された場合(S201:NO)、駐車した場所はワイヤレス給電が可能な駐車エリアではないと判断し、処理を終了する。この場合、給電装置1からの給電もされず、受電装置2を介したワイヤレス給電は実行されない。この間、充電制御装置3にて有線による充電が開始されてもよく、スイッチ22は、コネクタ4とバッテリ30との間が接続される。
【0049】
給電装置1においてプロセッサ100は、ステップS105にて充電許可の通知がされたと判断された場合(S105:YES)、インバータ回路13を駆動させる信号を出力し(ステップS106)、給電コイル11からの電力供給を開始させる(ステップS107)。これにより、開始処理は終了し、充電が開始される。
【0050】
プロセッサ100は、ステップS105にて充電許可が通知されないと判断した場合(S105:NO)、処理をステップS105へ処理を戻し、充電許可の通知を受信するまで待機する。ここで待機時間が所定の待機上限時間以上となった場合、プロセッサ100は、エラーで処理を終了する。
【0051】
従来、ステップS203において、充電制御装置3からの応答(充電許可)を待ってから、給電装置1へ充電許可を通知していた。この場合、充電制御装置3から充電許可がされてから、所定時間以内に所定の電圧値で電力がバッテリ30へ印加される状態となっていないと、充電制御装置3にて充電できないと判断されてエラーで充電が開始されない。これに対し、ステップS203において、応答を待つことなしに給電装置1へ充電許可を通知することで、給電装置1からの磁束の出力開始を早め、受電装置2から所定の電圧値での電力の出力を、コネクタ4経由の有線による給電と同様の即応性で対応できる。
【0052】
このように、スイッチ22を含む構成や、図6及び図7のフローチャートに示した処理手順により、ワイヤレス給電と有線による給電とのいずれでも充電可能なバッテリ30を搭載した車両Vを実現できる。
【0053】
本実施形態では、給電対象は車両Vに搭載されているバッテリ30を例に挙げて説明した。しかしながら、本開示のワイヤレス給電システム300は、車両Vに限らず、船舶やドローンのような蓄電池を搭載した電動モビリティに適用されてもよいし、モビリティではない電子機器に適用されてもよい。
【0054】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 給電装置
10 制御回路
100 プロセッサ
102 通信回路
11 給電コイル
14 検知部
2 受電装置
20 制御回路
200 プロセッサ
202 通信回路
21 受電コイル
22 スイッチ
300 ワイヤレス給電システム
30 バッテリ
3 充電制御装置
4 コネクタ
V 車両(電気自動車)
図1
図2
図3
図4
図5
図6