(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016279
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 8/60 20250101AFI20250124BHJP
H10D 8/01 20250101ALI20250124BHJP
【FI】
H01L29/86 301F
H01L29/86 301M
H01L29/86 301D
H01L29/86 301E
H01L29/86 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119445
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】宮本 辰
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 悠一
(57)【要約】
【課題】電気的特性を向上させたJBS構造の半導体装置を提供すること。
【解決手段】半導体基板10のおもて面側に、n
-型ドリフト領域2とショットキー電極11とのショットキー接合と、p
+型領域3とn
-型ドリフト領域2とのpn接合と、を混在させたJBS構造が設けられている。また、半導体基板10のおもて面に、p
+型領域3の形成時に副次的に形成された第1トレンチ4と、意図的に形成された第2トレンチ5と、が設けられている。第2トレンチ5は、p
+型領域3よりも浅い深さで当該p
+型領域3に交差するストライプ状に設けられ、ショットキー接合によるSBDとpn接合によるpn接合ダイオードとに交差する。第1,2トレンチ4,5によって半導体基板10のおもて面に高低差の異なる段差41,42,51,52が所定パターンで繰り返し配置されることで、半導体基板10のおもて面側でのn
-型ドリフト領域2の露出面が増える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面に選択的に設けられ、前記第1主面に平行な方向に延在する第2導電型領域と、
前記半導体基板の前記第2導電型領域を除く部分であり、前記第1主面において前記第1主面に平行な方向に前記第2導電型領域に沿って延在する第1導電型領域と、
前記第1主面に設けられ、前記第1導電型領域にショットキー接合し、かつ前記第1主面で前記第2導電型領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極と、
を備え、
前記第1主面に、
前記第1電極と前記第1導電型領域との接触面の高さ位置よりも前記第1電極と前記第2導電型領域との接触面の高さ位置を低くする第1段差と、
前記第1段差に交差し、前記第1導電型領域の長手方向に高低差を有して前記第1電極と前記第1導電型領域との接触面の高さ位置を部分的に低くする第2段差と、
前記第1段差に交差して前記第2段差に連続し、前記第2導電型領域の長手方向に高低差を有して前記第1電極と前記第2導電型領域との接触面の高さ位置を部分的に低くする第3段差と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1主面に設けられ、前記第1主面に平行な方向に前記第2導電型領域に沿って延在し、底面を前記第2導電型領域に囲まれた第1トレンチと、
前記第1主面に前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に交差して設けられ、底面を前記第1導電型領域および前記第2導電型領域にそれぞれ選択的に囲まれた第2トレンチと、
を備え、
前記第1トレンチによって前記第1段差が形成され
前記第2トレンチによって前記第2段差および前記第3段差が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面に設けられ、前記第1主面に平行な方向に延在する第1トレンチと、
前記半導体基板に選択的に設けられ、前記第1主面に平行な方向に前記第1トレンチに沿って延在し、前記第1トレンチの底面を囲む第2導電型領域と、
前記半導体基板の前記第2導電型領域を除く部分であり、前記第1主面において前記第1主面に平行な方向に前記第2導電型領域に沿って延在する第1導電型領域と、
前記第1主面に前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に交差して設けられ、底面を前記第1導電型領域および前記第2導電型領域にそれぞれ選択的に囲まれた第2トレンチと、
前記第1主面に設けられ、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチに埋め込まれ、前記第1導電型領域にショットキー接合し、かつ前記第2導電型領域に接する第1電極と、
前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記第2導電型領域は、少なくとも深さ方向に前記第2トレンチに対向する部分で前記第2トレンチの底面よりも前記第2主面側に深くなっていることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2導電型領域の前記第1主面からの深さは一様であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2トレンチの底面は、前記第1トレンチの底面よりも前記第2主面側に深い位置にあることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2導電型領域は、前記第1主面に平行な方向にストライプ状に延在し、
前記第2トレンチは、前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に交差するストライプ状に延在し、
前記第2トレンチの幅は、前記第2導電型領域の配置間隔よりも狭いことを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2導電型領域は、前記第1トレンチの内壁の全面を囲むことを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1電極は、
前記第1主面、前記第1トレンチの内壁および前記第2トレンチの内壁に沿って設けられ、前記第1導電型領域にショットキー接合し、かつ前記第2導電型領域に接する第1金属層と、
前記第1トレンチの内部および前記第2トレンチの内部において前記第1金属層の上に設けられ、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチを埋め込まれた第2金属層と、を有することを特徴とする請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2金属層は、窒化チタンまたはタングステンからなることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パワーデバイスとして用いられるショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)では、半導体基板のおもて面側にショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS(Junction Barrier Schottky)構造を採用し、当該pn接合を形成するp+型領域をアノードトレンチの内壁の表面領域に形成した装置が公知である(例えば、下記特許文献1~3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-116471号公報
【特許文献2】特開2018-101668号公報
【特許文献3】特開2011-009797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SBDの導通損失は、n-型の半導体基板とショットキー電極との接触面積(ショットキー接合の面積)が大きいほど低減される。しかしながら、JBS構造のSBDでは、半導体基板のおもて面側にショットキー接合とpn接合とが混在し、当該pn接合で形成されるpn接合ダイオードの面積分だけショットキー接合の面積が小さくなるため、同じチップサイズでショットキー接合のみを有するSBDと比べて導通損失が大きくなる。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、電気的特性を向上させたJBS構造の半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。第2導電型領域は、第1導電型の半導体基板の第1主面に選択的に設けられ、前記第1主面に平行な方向に延在する。第1導電型領域は、前記半導体基板の前記第2導電型領域を除く部分であり、前記第1主面において前記第1主面に平行な方向に前記第2導電型領域に沿って延在する。第1電極は、前記第1主面に設けられ、前記第1導電型領域にショットキー接合し、かつ前記第1主面で前記第2導電型領域に接する。第2電極は、前記半導体基板の第2主面に設けられている。
【0007】
前記第1主面に、第1段差と、第2段差と、第3段差と、が形成されている。
前記第1段差は、前記第1電極と前記第1導電型領域との接触面の高さ位置よりも前記第1電極と前記第2導電型領域との接触面の高さ位置を低くする。
前記第2段差は、前記第1段差に交差し、前記第1導電型領域の長手方向に高低差を有して前記第1電極と前記第1導電型領域との接触面の高さ位置を部分的に低くする。
前記第3段差は、前記第1段差に交差して前記第2段差に連続し、前記第2導電型領域の長手方向に高低差を有して前記第1電極と前記第2導電型領域との接触面の高さ位置を部分的に低くする。
【0008】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、第1トレンチは、前記第1主面に設けられ、前記第1主面に平行な方向に前記第2導電型領域に沿って延在し、底面を前記第2導電型領域に囲まれている。第2トレンチは、前記第1主面に前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に交差して設けられ、底面を前記第1導電型領域および前記第2導電型領域にそれぞれ選択的に囲まれている。前記第1トレンチによって前記第1段差が形成されている。前記第2トレンチによって前記第2段差および前記第3段差が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。第1トレンチは、第1導電型の半導体基板の第1主面に設けられ、前記第1主面に平行な方向に延在する。第2導電型領域は、前記半導体基板に選択的に設けられ、前記第1主面に平行な方向に前記第1トレンチに沿って延在し、前記第1トレンチの底面を囲む。第1導電型領域は、前記半導体基板の前記第2導電型領域を除く部分であり、前記第1主面において前記第1主面に平行な方向に前記第2導電型領域に沿って延在する。第2トレンチは、前記第1主面に前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に交差して設けられ、底面を前記第1導電型領域および前記第2導電型領域にそれぞれ選択的に囲まれている。第1電極は、前記第1主面に設けられ、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチに埋め込まれ、前記第1導電型領域にショットキー接合し、かつ前記第2導電型領域に接する。第2電極は、前記半導体基板の第2主面に設けられている。
【0010】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型領域は、少なくとも深さ方向に前記第2トレンチに対向する部分で前記第2トレンチの底面よりも前記第2主面側に深くなっていることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型領域の前記第1主面からの深さは一様であることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2トレンチの底面は、前記第1トレンチの底面よりも前記第2主面側に深い位置にあることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型領域は、前記第1主面に平行な方向にストライプ状に延在する。前記第2トレンチは、前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に交差するストライプ状に延在する。前記第2トレンチの幅は、前記第2導電型領域の配置間隔よりも狭いことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型領域は、前記第1トレンチの内壁の全面を囲むことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1電極は、第1金属層と、第2金属層と、を有する。前記第1金属層は、前記第1主面、前記第1トレンチの内壁および前記第2トレンチの内壁に沿って設けられ、前記第1導電型領域にショットキー接合し、かつ前記第2導電型領域に接する。前記第2金属層は、前記第1トレンチの内部および前記第2トレンチの内部において前記第1金属層の上に設けられ、前記第1トレンチおよび前記第2トレンチを埋め込まれていることを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2金属層は、窒化チタンまたはタングステンからなることを特徴とする。
【0017】
上述した発明によれば、半導体基板の第1主面側での第1導電型領域もしくは第2導電型領域の露出面が増えるため、半導体基板の第1主面側での第1導電型領域もしくは第2導電型領域とショットキー電極との接触面積が大きくなる。第1導電型領域とショットキー電極との接触面積が大きくなると、SBDの内部抵抗が低くなり、SBDの導通損失が低減される。第2導電型領域とショットキー電極との接触面積が大きくなると、第2導電型領域と第1導電型領域とのpn接合によるpn接合ダイオードの許容電流量が大きくなり、定格電流を超える大電流に対する耐量が向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる半導体装置によれば、電気的特性を向上させたJBS構造の半導体装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。
【
図2】
図1の切断線A-A’における断面構造を示す断面図である。
【
図3】
図1の切断線B-B’における断面構造を示す断面図である。
【
図4】
図1の切断線C-C’における断面構造を示す断面図である。
【
図5】
図1の切断線D-D’における断面構造を示す断面図である。
【
図6】
図1の切断線D-D’における断面構造の別例を示す断面図である。
【
図7】実施の形態1にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトの別例を示す平面図である。
【
図8】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
【
図9】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
【
図10】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
【
図11】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
【
図12】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
【
図13】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
【
図14】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その7)。
【
図15】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その8)。
【
図16】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図17】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図18】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図19】実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図20】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
【
図21】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
【
図22】参考例の半導体装置の構造を示す斜視図である。
【
図23】
図22の切断線AA-AA’における断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
(概要)
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、次のことを見出した。参考例の半導体装置の構造について説明する。
図22は、参考例の半導体装置の構造を示す斜視図である。
図22では、JBS構造とトレンチ104とのレイアウトを明確にするためにアノード電極114を図示省略する。
図23は、
図22の切断線AA-AA’における断面構造を示す断面図である。
図22,23に示す参考例の半導体装置120は、炭化珪素(SiC)からなる半導体基板(半導体チップ)110のおもて面側にショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造のSiC-SBDであり、ショットキー接合領域121とpn接合領域122とを半導体基板110のおもて面に平行な第1方向Xに交互に繰り返し有する。
【0022】
ショットキー接合領域121には、n-型ドリフト領域102とアノード電極114の最下層のショットキー電極111とのショットキー接合によるSBDが形成されている。pn接合領域122には、p+型領域103とn-型ドリフト領域102とのpn接合によるpn接合ダイオードが形成されている。ショットキー接合領域121のSBDとpn接合領域122のpn接合ダイオードとは、ショットキー電極111およびカソード電極115によって並列接続されている。ショットキー接合領域121とpn接合領域122とは、半導体基板110のおもて面に平行でかつ第1方向Xと直交する第2方向Yにストライプ状に延在する。
【0023】
p+型領域103は、トレンチ104とn-型ドリフト領域102との間に設けられている。p+型領域103は、第1方向Xに互いに離れて複数設けられ、第2方向Yにストライプ状に延在する。互いに隣り合うp+型領域103間を、n-型ドリフト領域102が半導体基板110のおもて面まで達する。p+型領域103を設けた部分がpn接合領域122であり、互いに隣り合うp+型領域103間に挟まれた部分がショットキー接合領域121である。トレンチ104は、p+型領域103の形成に用いるイオン注入用マスクに確実に開口部を形成するためのオーバーエッチングによってマスク開口パターンと同じパターンで半導体基板110のおもて面に副次的に形成される。
【0024】
SiC中の不純物は、拡散係数が小さく、ほぼ拡散しない。p+型領域103は、イオン注入用マスクを介してトレンチ104の底面にp型不純物がイオン注入されることで形成され、トレンチ104の底面と略同じ幅となり、トレンチ104の底面のみを囲む。ショットキー電極111は、活性領域における半導体基板110のおもて面およびトレンチ104の内壁に沿って設けられている。ショットキー電極111は、半導体基板110のおもて面およびトレンチ104の側壁でn-型ドリフト領域102に接し、トレンチ104の底面でp+型領域103に接する。半導体基板110の裏面側には、n+型カソード領域101およびカソード電極115が設けられている。
【0025】
一般的に、SBDの導通損失は、n-型半導体基板とショットキー電極との接触面積(ショットキー接合の面積)が大きいほど低減される。その理由は、配線の直径(断面積)が大きいほど配線抵抗が低くなることと同様に、ショットキー接合の面積が大きいほどSBDの順方向電流の経路の断面積が大きくなり、SBDの内部抵抗が低くなるからである。上述した参考例の半導体装置120(JBS構造のSiC-SBD)では、半導体基板110のおもて面からトレンチ104の側壁にわたってn-型ドリフト領域102とショットキー電極111とがショットキー接合するため、トレンチ104によってショットキー接合の面積が大きくなり、導通損失が低減される。
【0026】
一方、シリコン(Si)中の不純物は、拡散係数が大きく、拡散しやすい。Siを半導体材料として用いたJBS構造のSi-SBD(不図示)に上述した参考例の半導体装置120を適用すると、JBS構造のpn接合を形成するp+型領域は、イオン注入用マスク形成時のオーバーエッチングによるトレンチの底面にイオン注入されたp型不純物が放射状に拡散されて当該トレンチの内壁の全面を囲むように形成される。当該トレンチによって、JBS構造のpn接合を形成するp+型領域とショットキー電極との接触面積が大きくなる。このため、pn接合ダイオードの許容電流量が大きくなり、定格電流を超える大電流(サージ電流や突入電流)に対する耐量が向上する。また、pn接合の面積が増えるため、逆バイアス時のリーク電流の抑制効果が高くなる。
【0027】
しかしながら、トレンチ104は、p+型領域103を形成するためのイオン注入用マスクの形成時のオーバーエッチングによってp+型領域103と同じ幅で形成される。このため、活性領域に形成可能なトレンチ104の本数がp+型領域103のパターンに制約され、トレンチ104によってショットキー電極111との接触面積を増やす効果は限定的である。また、トレンチ104は、所定効果を狙って意図的に形成された構成ではないため、JBS構造のSBDの電気的特性の向上(例えば導通損失の低減や破壊耐量の向上等)に対して寄与率が低い。したがって、本実施の形態において解消する課題としては、JBS構造のSBDの電気的特性の向上が挙げられる。
【0028】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置の構造について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す斜視図である。
図1では、アノード電極14を図示省略する。
図2~5は、それぞれ
図1の切断線A-A’、切断線B-B’、切断線C-C’および切断線D-D’における断面構造を示す断面図である。
図6は、
図1の切断線D-D’における断面構造の別例を示す断面図である。
図2,5,6には、半導体基板10のおもて面の第1n型面2aの高さ位置を破線で示す。
図7は、実施の形態1にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトの別例を示す平面図である。
図7には、第2トレンチ5(5a,5b)のレイアウトの別例を示す。
【0029】
図1~5に示す実施の形態1にかかる半導体装置20は、SiCからなる半導体基板(半導体チップ)10のおもて面側にショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造のSiC-SBDであり、活性領域にショットキー接合領域21とpn接合領域22とを有する。ショットキー接合領域21とpn接合領域22とは、半導体基板10のおもて面に平行な第1方向Xに交互に繰り返し隣接して配置され、半導体基板10のおもて面に平行でかつ第1方向Xと直交する第2方向Yにストライプ状に延在する。隣接するショットキー接合領域21およびpn接合領域22の1組が第2方向Yに直線状に延在してもよい。活性領域とは、SBDの導通時に順方向電流が流れる領域である。
【0030】
エッジ終端領域(不図示)における半導体基板10のおもて面の全面が層間絶縁膜に覆われ、層間絶縁膜の開口部に活性領域の全域が露出されている。エッジ終端領域は、活性領域と半導体基板10の側面との間の領域であり、活性領域の周囲を囲む。エッジ終端領域は、半導体基板10のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない最大の電圧である。エッジ終端領域には、フィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)や、接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造などの所定の耐圧構造が配置される。
【0031】
ショットキー接合領域21には、n-型ドリフト領域(第1導電型領域)2とショットキー電極(第1金属層)11との接合(ショットキー接合)面に形成されるショットキー障壁の整流性を利用したSBDが形成されている。pn接合領域22には、p+型領域(第2導電型領域)3とn-型ドリフト領域2とのpn接合によるpn接合ダイオードが形成されている。ショットキー接合領域21のSBDとpn接合領域22のpn接合ダイオードとは、アノード電極(第1電極)14およびカソード電極(第2電極)15によって並列接続されている。
【0032】
ショットキー接合領域21のSBDは、順バイアス時に定格電流で導通する。pn接合領域22のpn接合ダイオードは、電源のオン・オフ時や負荷短絡時に定格電流を超える大電流(サージ電流や突入電流)が流れたときに導通して順方向電圧の上昇を抑制する機能を有する。pn接合領域22のpn接合ダイオードに順方向電流が流れ込むタイミングは、ショットキー電極11とp+型領域3とのコンタクト抵抗値で決まる。また、逆バイアス時にp+型領域3とn-型ドリフト領域2とのpn接合から広がる空乏層によってリーク電流が抑制される。
【0033】
半導体基板10は、SiCからなるn+型出発基板31のおもて面上にn-型ドリフト領域2となるn-型エピタキシャル層32を積層してなる。半導体基板10は、n-型エピタキシャル層32側の第1主面をおもて面とし、n+型出発基板31側の第2主面(n+型出発基板31の裏面)を裏面とする。n+型出発基板31は、n+型カソード領域1となる。n-型エピタキシャル層32のうち、p+型領域3を除く部分がn-型ドリフト領域2である。p+型領域3は、第1トレンチ4の底面とn-型ドリフト領域2との間に、n-型ドリフト領域2に接して設けられ、第1トレンチ4の底面を囲む。p+型領域3は、第1方向Xに互いに離れて複数設けられ、第2方向Yにストライプ状に延在する。
【0034】
p+型領域3の幅(第1方向Xの幅)は、例えば2.3μm以上3μm以下程度である。p+型領域3のピッチ(第1方向Xの配置間隔(ストライプの間隔))は、例えば2.3μm以上3μm以下程度である。互いに隣り合うp+型領域3間を、n-型ドリフト領域2が半導体基板10のおもて面まで達し、半導体基板10のおもて面に露出されている。n-型ドリフト領域2とp+型領域3とは、半導体基板10のおもて面側に露出された部分において、第1方向Xに交互に繰り返し隣接して配置され、第2方向Yにストライプ状に延在する。半導体基板10のおもて面側に露出とは、半導体基板10のおもて面または後述する第1,2トレンチ4,5の内壁(側壁および底面)に露出され、後述するショットキー電極11に接することである、p+型領域3を設けた部分がpn接合領域22である。互いに隣り合うp+型領域3間に挟まれた部分がショットキー接合領域21である。
【0035】
活性領域における半導体基板10のおもて面に、互いに交差する第1,2トレンチ4,5が設けられている。第1,2トレンチ4,5によって半導体基板10のおもて面に高低差の異なる3つ以上の段差(
図1では段差41,42,51,52)が所定パターンで繰り返し配置される。第1,2トレンチ4,5の底面は、p
+型領域3の深さ方向Zに対向する部分の下面(n
+型カソード領域1側の面)よりも半導体基板10のおもて面側に浅い深さに位置する。第1,2トレンチ4,5は、略矩形状であってもよいし、底面へ向かうにしたがって第1方向Xの幅を狭くした台形状であってもよい。第1,2トレンチ4,5によって半導体基板10のおもて面側でのn
-型ドリフト領域2の露出面が増えるため、n
-型ドリフト領域2とショットキー電極11との接触面積(ショットキー接合の面積)が大きくなる。
【0036】
具体的には、第1トレンチ4は、p
+型領域3の形成に用いるイオン注入用マスク形成時のオーバーエッチングによりマスク開口パターンと同じパターンで形成される。このため、第1トレンチ4は、p
+型領域3の幅と略同じ幅(底面の幅)を有し、p
+型領域3と同じ位置にp
+型領域3と同じパターンで複数形成されている。第1トレンチ4の底面の全面にp
+型領域3が露出され、第1トレンチ4の側壁の全面にn
-型ドリフト領域2が露出されている。各第1トレンチ4によって、半導体基板10のおもて面において隣接するn
-型ドリフト領域2とp
+型領域3との間に、n
-型ドリフト領域2の上面(以下、第1,2n型面とする)2a,2bよりもp
+型領域3の上面(以下、第1,2p型面とする)3a,3bをn
+型カソード領域1側に低くした段差(第1段差)41,42が形成されている(
図3,2)。
【0037】
第1n型面2aと第1p型面3aとは、第2トレンチ5の長手方向に段差41を介して交互に繰り返し配置される。第1n型面2aと第1p型面3aとをつなぐ第4n型面2d(第1トレンチ4の側壁)にはn-型ドリフト領域2が露出される。第2n型面2bと第2p型面3bとは、第2トレンチ5の長手方向に段差42を介して交互に繰り返し配置される。第2n型面2bと第2p型面3bとをつなぐ第5n型面2e(第1トレンチ4の側壁)にはn-型ドリフト領域2が露出される。段差41,42は第1トレンチ4によって同時に形成され、同じ高低差を有する。段差41,42同士は段差51,52に交差して第2方向Yに連続する。第1,2n型面2a,2b間および第1,2p型面3a,3b間には、それぞれ第2トレンチ5による段差51,52が形成されている。
【0038】
第2トレンチ5は、p
+型領域3に交差するストライプ状に複数設けられ、ショットキー接合領域21のSBDとpn接合領域22のpn接合ダイオードとに交差する。第2トレンチ5は、p
+型領域3と直交(すなわち第1方向Xに延在)してもよいし(
図1参照)、p
+型領域3に対して斜めに交差してもよい(
図7参照)。第2トレンチ5は、半導体基板10のおもて面側に最も突出してn
-型ドリフト領域2(すなわち第1n型面2a)が部分的に残るようにp
+型領域3に交差していればよく、互いに異なる2方向以上にp
+型領域3に交差してもよい。この場合、互いに異なる方向にp
+型領域3に交差する第2トレンチ5同士を互いに異なる深さで形成することによって、n
-型ドリフト領域2およびp
+型領域3と第2トレンチ5との交差箇所で後述するする段差51,52の高低差をさらに大きくすることができる。
図7には、p
+型領域3に斜めに交差して互いに異なる2方向XY1,XY2に延在する第2トレンチ5(5a,5b)の一部を太線で示す。
【0039】
各第2トレンチ5によって、半導体基板10のおもて面に、第1n型面2aよりも第2n型面2bをn
+型カソード領域1側に低くした段差(第2段差)51が複数形成される(
図4)。第1n型面2aと第2n型面2bとは、第2方向Y(半導体基板10のおもて面におけるn
-型ドリフト領域2の長手方向)に段差51を介して交互に繰り返し配置される。第1n型面2aと第2n型面2bとをつなぐ第3n型面2c(第2トレンチ5の側壁)にはn
-型ドリフト領域2が露出される。また、各第2トレンチ5によって、半導体基板10のおもて面に、第1p型面3aよりも第2p型面3bをn
+型カソード領域1側に低くした段差(第3段差)52が複数形成される(
図5,6)。第1p型面3aと第2p型面3bとは、第2方向Y(p
+型領域3の長手方向)に段差52を介して交互に繰り返し配置される。第1p型面3aと第2p型面3bとをつなぐ第3p型面3c(第2トレンチ5の側壁)には、p
+型領域3が露出される。段差51,52は第2トレンチ5によって同時に形成され、同じ高低差を有する。段差51,52同士は、段差41,42に交差して第2トレンチ5の長手方向(
図1~6では第1方向X)に連続する。
【0040】
半導体基板10のおもて面側において、第1,2トレンチ4,5ともの存在しない第1n型面2aは、最も高い(最も突出した)高さ位置にある。第1トレンチ4と第2トレンチ5との各交差部分にあたる第2p型面3b(第1,2トレンチ4,5の底面)は、異なるタイミングで形成される第1,2トレンチ4,5の総深さ分だけ低くなるため、最も低い(最もn+型カソード領域1側へ凹んだ)高さ位置にある。第2トレンチ5の底面にあたる第2n型面2bと、第1トレンチ4の底面にあたる第1p型面3aとの高さ位置(段差41,51の高低差)は同じであってもよい。ショットキー接合領域21と第2トレンチ5とが交差する部分で、第2トレンチ5の内壁にn-型ドリフト領域2が露出される。pn接合領域22と第2トレンチ5とが交差する部分で、第2トレンチ5の内壁にp+型領域3が露出される。
【0041】
第2トレンチ5の底面の短手方向の幅は可能な限り狭いことがよく、例えばp+型領域3のピッチよりも狭い。好ましくは、第2トレンチ5の底面の短手方向の幅は、エッチングの加工限界の最小幅であることがよい。第2トレンチ5の底面の短手方向の幅を狭くするほど、活性領域に配置可能な第2トレンチ5の本数を増やすことができる。これによって、半導体基板10のおもて面側でのn-型ドリフト領域2の露出面を増やすことができるため、ショットキー接合の面積が大きくなる。半導体基板10のおもて面側でのp+型領域3の露出面も増えるため、ショットキー電極11とp+型領域3との接触面積も大きくなる。第2トレンチ5の底面は、第1トレンチ4の底面よりもn+型カソード領域1側に深い位置にあってもよい。第2トレンチ5の深さが深くなるほど、半導体基板10のおもて面側でのn-型ドリフト領域2およびp+型領域3の露出面を増やすことができる。
【0042】
第2トレンチ5は、半導体装置20の製造プロセス開始後、ショットキー電極11の形成前までのいずれかのタイミングで意図的に形成される。例えば、第2トレンチ5は、アライメントマーク(素子構造の各部を形成する際のマスクの位置合わせ用の目印となる凹部)と同時に形成されてもよい。第2トレンチ5をアライメントマークと同時に形成することで、製造プロセスの工程数増加を抑制することができるため、製造プロセスを簡略化することができる。第2トレンチ5をアライメントマークと同時に形成する場合、例えば、第2トレンチ5は0.5μm程度のピッチで0.4μm程度の深さ(もしくは0.8μm程度の深さ)に形成される。第2トレンチ5の深さに合わせてアライメントマークの深さを設定してもよい。
【0043】
第2トレンチ5をp
+型領域3(第1トレンチ4)の形成前に形成した場合、p
+型領域3を形成するための後述するイオン注入65(
図13参照)において第1,2トレンチ4,5の底面にp型不純物がイオン注入される。このため、p
+型領域3の深さは、深さ方向Zに第2トレンチ5に対向する部分でn
+型カソード領域1側に突出して深くなる(
図5)。一方、第2トレンチ5をp
+型領域3の形成後に形成した場合、第1トレンチ4の底面へのp型不純物のイオン注入65によってp
+型領域3が形成された後に、p
+型領域3を貫通しない深さで第2トレンチ5が形成される。このため、p
+型領域3の半導体基板10のおもて面からの深さは略一様となり、p
+型領域3の下面は半導体基板10のおもて面な平行な略平坦面となる(
図6)。
【0044】
アノード電極14は、活性領域における半導体基板10のおもて面上にショットキー電極11、埋込電極(第2金属層)12および表(ひょう)面電極13を順に積層してなる。ショットキー電極11は、半導体ウエハ60のおもて面に第1,2トレンチ4,5によって形成された段差41,42,51,52による凹凸に沿って形成される。ショットキー電極11は、第1~5n型面2a~2eでn-型ドリフト領域2にショットキー接合し、第1~3p型面3a~3cでp+型領域3に接する。ショットキー電極11の材料は、n-型ドリフト領域2に対してショットキー障壁高さが大きく、かつp+型領域3に対してショットキー障壁高さが小さい金属であり、具体的には例えばチタン(Ti)やモリブデン(Mo)を用いることができる。
【0045】
埋込電極12は、第1,2トレンチ4,5を埋め込むように、ショットキー電極11の上に設けられている。埋込電極12は、アノード電極14の表面に第1,2トレンチ4,5による凹凸が生じることを抑制して、アノード電極14の表面を平坦化する機能を有する。埋込電極12の材料は、例えば窒化チタン(TiN)やタングステン(W)を用いることができる。アノード電極14の表面が平坦化されることで、アノード電極14とボンディングワイヤとの密着性低下を抑制することができる。アノード電極14の表面の平坦性を必要としない場合、埋込電極12は設けられなくてもよい。表面電極13は、例えばアルミニウム(Al)膜か、またはシリコン(Si)や銅(Cu)を含むアルミニウム合金膜である。半導体基板10の裏面の全面に、ショットキー接合領域21のSBDおよびpn接合領域22のpn接合ダイオードに共通のカソード電極15が設けられている。カソード電極15は、n+型カソード領域1にオーミック接触する。
【0046】
実施の形態1にかかる半導体装置20(JBS構造のSiC-SBD)の動作について説明する。実施の形態1にかかる半導体装置20に流れる順方向電流が定格電流値以下である場合、アノード電極14からショットキー電極11とn-型ドリフト領域2とのショットキー接合を通ってカソード電極15へ向かう経路(ショットキー接合領域21のSBDの電流経路)に順方向電流が流れる。半導体装置20に流れる順方向電流が定格電流値以下である場合、pn接合領域22のpn接合ダイオードに順方向電流は流れない。
【0047】
半導体基板10のおもて面に第1,2トレンチ4,5による段差41,42,51,52が形成されていることで、半導体基板10のおもて面にトレンチによる段差の凹凸がない場合(不図示)や参考例(半導体装置120:
図22,23参照)のように第1トレンチ(トレンチ104)のみを設けた場合と比べて、半導体基板10のおもて面側でのn
-型ドリフト領域2の露出面が増えて、ショットキー接合の面積が増える。このため、ショットキー接合領域21のSBDの内部抵抗が低くなり、SBDの導通損失が低減される。
【0048】
半導体装置20を実装した回路の電源のオン・オフ時や負荷短絡時に半導体装置20に流れる順方向電流が定格電流値を超える大電流(サージ電流や突入電流)になると、ショットキー電極11とn-型ドリフト領域2とのショットキー接合を通る経路だけでは全電流を負担することができず、アノード電極14からからp+型領域3にも電流が流れ込み、pn接合領域22のpn接合ダイオードにも順方向電流が流れる。これによって、大電流によって半導体装置20が破壊に至ることを抑制することができる。
【0049】
一方、アノード電極14に対してカソード電極15に正の電圧(逆方向電圧)が印加される逆バイアス時、p+型領域3とn-型ドリフト領域2との各pn接合からp+型領域3およびn-型ドリフト領域2に空乏層が広がる。逆方向電圧が高くなると、互いに隣り合うp+型領域3間の空乏層同士がつながってパンチスルーする。これによって、最大電界箇所が半導体基板10のおもて面からp+型領域3の下面へと移動し、半導体基板10のおもて面にかかる電界が低くなるため、リーク電流が抑制される。
【0050】
実施の形態1にかかる半導体装置20の製造方法について説明する。
図8~15は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図8~15には、
図3に対応する断面を示す。まず、
図8に示すように、SiCからなる出発ウエハ(ダイシング後にn
+型出発基板31となる部分)のおもて面上にn
-型ドリフト領域2となるn
-型エピタキシャル層32をエピタキシャル成長させることでSiCからなる半導体ウエハ60を作製する。半導体ウエハ60は、n
-型エピタキシャル層32側の第1主面をおもて面とし、出発ウエハ側の第2主面を裏面とする。
【0051】
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、半導体ウエハ60のおもて面において無効領域にアライメントマーク(不図示)を形成するとともに、半導体ウエハ60のおもて面の有効領域に第2トレンチ5(
図1参照)を形成する。半導体ウエハ60の有効領域とは、ダイシング後に半導体チップ(半導体基板10)に個片化される領域である。半導体ウエハ60の無効領域とは、ダイシングライン等の半導体チップに含まれない領域である。次に、半導体ウエハ60のおもて面に酸化膜(SiO
2膜)61を形成する。
【0052】
次に、
図9に示すように、酸化膜61の上にレジスト膜62を形成する。次に、
図10に示すように、アライメントマーク(不図示)を基準として、p
+型領域3のパターンを有するマスク(レチクル)63の位置合わせを行う。次に、マスク63を通して所定光源の光64をレジスト膜62に照射し、マスク63のパターンをレジスト膜62に投影して転写する(露光)。次に、
図11に示すように、レジスト膜62の露光部を溶して(現像)、レジスト膜62にマスク63のパターンと同じパターンの開口部62aを形成する。
【0053】
次に、
図12に示すように、レジスト膜62をマスクとして酸化膜61をエッチングして部分的に除去し、酸化膜61にp
+型領域3の形成領域に対応する部分を露出した開口部61aを形成する。酸化膜61のエッチングは、開口部61aが深さ方向Zに酸化膜61を確実に貫通するようにオーバーエッチングとする。このオーバーエッチングによって酸化膜61の開口部61aに露出した部分で半導体ウエハ60のおもて面の表面領域(SiC部)が除去され、半導体ウエハ60のおもて面に第1トレンチ4が副次的に形成される。
【0054】
このオーバーエッチング時、SiC部のエッチングは半導体ウエハ60のおもて面に平行な方向(横方向)にも進行するため、第1トレンチ4の開口側の幅は酸化膜61の開口部61aの幅よりも若干広くなる。第1トレンチ4が形成されることで、半導体ウエハ60のおもて面に第1,2トレンチ4,5による高低差の異なる段差41,42,51,52が形成される(
図1参照)。オーバーエッチングの時間を意図的に長くして、第1トレンチ4の深さを深くしてもよい。そして、レジスト膜62を除去する。
【0055】
次に、
図13に示すように、酸化膜61の残部をマスクとしてp型不純物をイオン注入65することで、第1トレンチ4の底面(第1~p型面3a~3c)の表面領域にp
+型領域3を形成する。第1トレンチ4の側壁(第4,5n型面2d,2e)にはp型不純物がイオン注入65されない。このため、酸化膜61に覆われた部分(第1~3n型面2a~2c)および第1トレンチ4の側壁は、エピタキシャル成長時のn
-型エピタキシャル層32(n
-型ドリフト領域2)のまま維持される。
【0056】
第2トレンチ5をp+型領域3の形成後に形成する場合にも、第1~5n型面2a~2eにn-型ドリフト領域2が露出される。第2n型面2b(n-型ドリフト領域2の上面)と第2p型面3b(p+型領域3の上面)との高低差で形成された第1トレンチ4による段差42が第2トレンチ5によって全体的にn+型カソード領域1側に低い位置へ移動し、n-型ドリフト領域2の、p+型領域3との接触面(界面)が第2n型面2bと第2p型面3bとをつなぐ第5n型面2eとして露出されるからである。
【0057】
第2トレンチ5をp+型領域3の形成後に形成する場合にも、第1~3p型面3a~3cにp+型領域3が露出される。p+型領域3の上面(第1トレンチ4の底面)に第2トレンチ5によって第1,2p型面3a,3bの高低差による段差52が形成される。第2トレンチ5の底面(第2p型面3b)はp+型領域3の下面よりも半導体ウエハ60のおもて面側に浅い深さ位置であることで、p+型領域3の上面における第2トレンチ5の側壁(第3p型面3c)にp+型領域3が露出されるからである。
【0058】
次に、
図14に示すように、酸化膜61の残部を除去する。そして、
図15に示すように、一般的な方法により、半導体ウエハ60のおもて面に、半導体ウエハ60とのシリサイド反応によるショットキー電極11を形成する。ショットキー電極11は、半導体ウエハ60のおもて面および第1,2トレンチ4,5の内壁に沿って形成された例えばニッケル(Ni)膜中のNiと半導体ウエハ60中のSiCとを熱処理により反応させてなるニッケルシリサイド(NixSiy、ただしx、yは正数)膜である。
【0059】
ショットキー電極11のシリサイド化のための熱処理は、半導体ウエハ60にイオン注入65されたp型不純物の活性化のための熱処理を兼ねる。半導体ウエハ60にイオン注入された不純物の活性化のための熱処理(活性化アニール)を、ショットキー電極11のシリサイド化のための熱処理と異なるタイミングで行ってもよい。SiC中の不純物は、拡散係数が小さく、ほぼ拡散しない。このため、活性化アニール後においても、p+型領域3の深さが若干深くなる程度であり、第1トレンチ4の側壁はn型のまま維持される。
【0060】
次に、ショットキー電極11の上に第1,2トレンチ4,5を埋め込むように埋込電極12を形成し、埋込電極12の上に表面電極13を形成することで、ショットキー電極11、埋込電極12および表面電極13を順に積層してなるアノード電極14を形成する。半導体ウエハ60の裏面にカソード電極15を形成する。その後、半導体ウエハ60の有効領域をダイシング(切断)して個々の半導体チップ(半導体基板10)に個片化することで、
図1~5に示すJBS構造のSiC-SBDが完成する。
【0061】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、半導体基板のおもて面側に、ショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造と、JBS構造のpn接合をなすp+型領域を形成するためのイオン注入マスク形成時のオーバーエッチングにより副次的に形成された第1トレンチと、意図的に形成された第2トレンチと、が設けられている。ショットキー接合によるSBDとpn接合によるpn接合ダイオードとは、隣接して配置され、半導体基板のおもて面に平行な方向に延在する。第2トレンチは、JBS構造のpn接合を形成するp+型領域よりも浅い深さで当該p+型領域に交差するストライプ状に設けられ、SBDとpn接合ダイオードとに交差する。第1,2トレンチによって半導体基板のおもて面に高低差の異なる3つ以上の段差が所定パターンで繰り返し配置される。
【0062】
第1,2トレンチによる段差によって、半導体基板のおもて面側でのn-型ドリフト領域の露出面が増えるため、n-型ドリフト領域とショットキー電極との接触面積(ショットキー接合の面積)が大きくなる。例えば0.5μmのピッチで深さおよび底面の幅をそれぞれ0.4μmおよび0.5μmとした第2トレンチを形成する場合、半導体基板のおもて面にトレンチによる段差の凹凸がないと仮定した場合と比べてショットキー接合の面積が1.8倍以上に拡大する。これによって、SBDの内部抵抗が低くなるため、チップサイズを維持した場合、SBDの導通損失が低減される。SBDの導通損失を維持した場合には、チップサイズを縮小化することができ、1枚の半導体ウエハから作製可能な半導体チップの枚数が増えるため、コストを低減することができる。
【0063】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる半導体装置の構造について説明する。
図16~19は、実施の形態2にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
図1の符号1,2,2a~2e,3,3a~3c,4,5,10~15をそれぞれ符号81,82,82a~82e,83,83a~83c,84,85,70~75と読み替え、かつp
+型領域83の幅を第1トレンチ84の幅よりも広くした構造の切断線A-A’、切断線B-B’、切断線C-C’および切断線D-D’における断面構造がそれぞれ
図16~19に対応する。
図16,19には、半導体基板70のおもて面の第1面82aの高さ位置を破線で示す。
【0064】
実施の形態2にかかる半導体装置80は、シリコン(Si)を半導体材料とするJBS構造のSi-SBDに実施の形態1にかかる半導体装置20(
図1~5参照)を適用したものである。実施の形態2においては、SiCと比べてSi中の不純物の拡散係数が大きいことで、半導体基板(半導体チップ)70のおもて面側においてJBS構造を構成するp
+型領域83の幅が当該p
+型領域83の形成時のオーバーエッチングによって副次的に形成される第1トレンチ84の幅よりも広くなっている。
【0065】
半導体基板70は、Siからなるn-型のバルク単結晶基板である。半導体基板70のおもて面側には、JBS構造を構成するp+型領域83と、半導体基板70のおもて面側の段差41,42,51,52を形成する第1,2トレンチ84,85と、アノード電極74を構成するショットキー電極71、埋込電極72および表(ひょう)面電極73と、が設けられている。半導体基板70の裏面側には、n+型カソード領域81およびカソード電極75が設けられている。
【0066】
n+型カソード領域81は、半導体基板70の裏面とn-型ドリフト領域82との間に設けられている。n+型カソード領域81の構成は、イオン注入によって形成された拡散領域であることを除いて、実施の形態1のn+型カソード領域1と同様である。アノード電極74(ショットキー電極71、埋込電極72および表面電極73)およびカソード電極75の構成は、それぞれ実施の形態1のアノード電極14(ショットキー電極11、埋込電極12および表面電極13)およびカソード電極15と同様である。
【0067】
n-型の半導体基板70のうち、n+型カソード領域81およびp+型領域83を除く部分がn-型ドリフト領域82である。p+型領域83は、第1トレンチ84の内壁(側壁および底面)とn-型ドリフト領域82との間に、n-型ドリフト領域82に接して設けられ、第1トレンチ84の内壁を囲む。第1トレンチ84の内壁の全面にp+型領域83が露出されている。p+型領域83の構成は、第1トレンチ84の内壁の全面に露出することを除いて、実施の形態1のp+型領域3と同様である。
【0068】
第1,2トレンチ84,85は、それぞれ実施の形態1の第1,2トレンチ4,5と同様に形成される。第1,2トレンチ84,85によって形成される半導体基板70のおもて面の段差41,42,51,52の構成は、それぞれ実施の形態1の半導体基板10のおもて面の段差41,42,51,52と同様である。実施の形態2においては、段差41,42,51,52によって半導体基板70のおもて面側でのp+型領域83の露出面を増やして、ショットキー電極71とp+型領域83との接触面積を大きくしている。
【0069】
具体的には、第1トレンチ84は、p+型領域83の形成に用いるイオン注入用マスク形成時のオーバーエッチングによってマスク開口パターンと同じパターンで形成され、イオン注入時のp+型領域83と同じパターンで形成される。p+型領域83は、その後の活性化アニールによる不純物拡散によって幅が広くなり、第1トレンチ84の内壁に沿って後述する第1~3面82a~82c(第2トレンチ85をp+型領域83の形成後に形成した場合には半導体基板70のおもて面)まで達する。このため、p+型領域83は、第1トレンチ84の内壁の全面を覆う。第1トレンチ84の内壁にn-型ドリフト領域82は露出されていない。
【0070】
各第1トレンチ84によって、半導体基板70のおもて面に、n
-型ドリフト領域82の上面(以下、第1,2面とする)82a,82bよりもp
+型領域83の上面(第1,2p型面)83a,83bをn
+型カソード領域81側に低くした段差41,42が複数形成される(
図17,16)。p
+型領域83は、段差41,42を介して第1,2面82a,82bまで延在する。第2方向Y(半導体基板70のおもて面におけるn
-型ドリフト領域82の長手方向)に互いに隣り合う第1,2面82a,82b間に段差51が形成されている。第2方向Y(p
+型領域83の長手方向)に互いに隣り合う第1,2p型面83a,83b間に段差52が形成されている。
【0071】
第1面82aと第1p型面83aとは、第2トレンチ85の長手方向に段差41を介して交互に繰り返し配置される。第1面82aと第1p型面83aとをつなぐ第4p型面83d(第1トレンチ4の側壁)にはp+型領域83が露出される。第2面82bと第2p型面83bとは、第2トレンチ85の長手方向に段差42を介して交互に繰り返し配置される。第2面82bと第2p型面83bとをつなぐ第5p型面83e(第1トレンチ4の側壁)にはp+型領域83が露出される。段差41,42は第1トレンチ84によって同時に形成され、同じ高低差を有する。段差41,42同士は第2方向Yに連続する。
【0072】
第2トレンチ85は、実施の形態1の第2トレンチ5と同様に、JBS構造を構成するp
+型領域83に交差するストライプ状に設けられている。各第2トレンチ85によって、半導体基板70のおもて面に、第1面82aよりも第2面82bをn
+型カソード領域81側に低くした段差51が複数形成される(
図18)。第1面82aと第2面82bとは、第2方向Yに段差51を介して交互に繰り返し配置される。第1,2面82a,82b、および、第1面82aと第2面82bとをつなぐ第3面82c(第2トレンチ85の側壁)に、n
-型ドリフト領域82が露出されるとともに、p
+型領域83が露出される。
【0073】
また、各第2トレンチ85によって、半導体基板70のおもて面に、第1p型面83aよりも第2p型面83bをn
+型カソード領域81側に低くした段差52が複数形成される(
図19)。第1p型面83aと第2p型面83bとは、第2方向Yに段差52を介して交互に繰り返し配置される。第1p型面83aと第2p型面83bとをつなぐ第3p型面83c(第2トレンチ5の側壁)には、p
+型領域83が露出される。段差51,52は同時に形成され、同じ高低差を有する。段差51,52同士は、段差41,42に交差して第2トレンチ85の長手方向(
図16~19では第1方向X)に連続する。
【0074】
このように第1,2トレンチ84,85によって半導体基板70のおもて面側でのp+型領域83の露出面が増える。半導体基板70のおもて面側において、第1,2トレンチ84,85ともの存在しない第1面82aは、最も高い高さ位置にある。第1トレンチ84と第2トレンチ85との各交差部分にあたる第2p型面83bは、異なるタイミングで形成される第1,2トレンチ84,85の総深さ分だけ低くなり、最も低い高さ位置にある。第2トレンチ85の底面にあたる第2面82bと、第1トレンチ84の底面にあたる第1p型面83aとの高さ位置は同じであってもよい。
【0075】
実施の形態2にかかる半導体装置80の製造方法は、Siからなるn
-型のバルク単結晶ウエハ自体を半導体基板70となる半導体ウエハ60とすることと、活性化アニールにおける不純物拡散が広くなることと、を除いて実施の形態1にかかる半導体装置20の製造方法(
図8~12参照)と同様である。
図20,21は、実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図20,21には、
図17に対応する断面を示す。
【0076】
まず、実施の形態1と同様に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、Siからなる半導体ウエハ60のおもて面にアライメントマーク(不図示)および第2トレンチ85(
図18,19参照)を形成する。半導体ウエハ60を、Siからなるn
+型のバルク単結晶ウエハ(n
+型カソード領域81)のおもて面にn
-型エピタキシャル層(n
-型ドリフト領域82)をエピタキシャル成長させてなる半導体ウエハとしてもよい。
【0077】
次に、
図20に示すように、実施の形態1と同様に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、半導体ウエハ60のおもて面上に、p
+型領域83の形成領域に対応する部分を開口した酸化膜61を形成する。酸化膜61の形成時のオーバーエッチングによって、半導体ウエハ60のおもて面に第1,2トレンチ84,85による高低差の異なる段差41,42,51,52が形成される。
【0078】
次に、実施の形態1と同様に酸化膜61の残部をマスクとしてp型不純物をイオン注入65することで、第1トレンチ84の底面(第1~3p型面83a~83c)の表面領域にp
+型領域83を形成する。次に、
図21に示すように、酸化膜61の残部を除去した後、実施の形態1と同様に、半導体ウエハ60のおもて面に、半導体ウエハ60とのシリサイド反応によるショットキー電極71を形成する。
【0079】
このショットキー電極71のシリサイド化のための熱処理は、実施の形態1と同様に、半導体ウエハ60にイオン注入65されたp型不純物の活性化のための熱処理を兼ねる。SiCと比べてSi中の不純物は拡散しやすく、この熱処理により第1トレンチ84の底面から半導体ウエハ60中に不純物が放射状に拡散され、p+型領域83によって第1トレンチ4の内壁の全面(第4,5p型面83d,83e)が覆われる。
【0080】
次に、実施の形態1と同様に、ショットキー電極71の上に埋込電極72および表面電極73を形成することで、アノード電極74を形成する。半導体ウエハ60の裏面側にn
+型カソード領域81およびカソード電極75を形成する。その後、半導体ウエハ60の有効領域をダイシングして個々の半導体チップ(半導体基板70)に個片化することで、
図16~19に示すJBS構造のSiC-SBDが完成する。
【0081】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、Siを半導体材料としたJBS構造のSBDに実施の形態1を適用することで、半導体基板のおもて面側でのp+型領域の露出面が増えるため、半導体基板のおもて面側でのp+型領域とショットキー電極との接触面積が大きくなる。したがって、チップサイズを維持した場合には、pn接合ダイオードの許容電流量が大きくなり、定格電流を超える大電流に対する耐量が向上する。pn接合ダイオードの許容電流量を維持した場合には、チップサイズを縮小化することができ、1枚の半導体ウエハから作製可能な半導体チップの枚数が増えるため、コストを低減することができる。また、実施の形態2によれば、JBS構造のpn接合を形成するp+型領域が第1トレンチの内壁の全面を囲むことによって、当該pn接合の面積が増えるため、逆バイアス時のリーク電流の抑制効果が高くなる。
【0082】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明にかかる半導体装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用であり、特にSiCを半導体材料とした場合に適している。
【符号の説明】
【0084】
1,81,101 n+型カソード領域
2,82,102 n-型ドリフト領域
2a,2b,2c,2d,2e 半導体基板のおもて面の第1~5n型面
3,83,103 p+型領域
3a,3b,3c 半導体基板のおもて面の第1~3p型面
4,84 第1トレンチ
5,85 第2トレンチ
10,70,110 半導体基板
11,71,111 ショットキー電極
12,72 埋込電極
13,73 表面電極
14,74,114 アノード電極
15,75,115 カソード電極
20,80,120 半導体装置
21,121 ショットキー接合領域
22,122 pn接合領域
31 n+型出発基板
32 n-型エピタキシャル層
41,42,51,52 半導体基板のおもて面の段差
60 半導体ウエハ
61 酸化膜
61a 酸化膜の開口部
62 レジスト膜
62a レジスト膜の開口部
63 マスク(レチクル)
64 露光装置の所定光源の光
65 イオン注入
82a,82b,82c 半導体基板のおもて面の第1~3面
83a,83b,83c,83d,83e 半導体基板のおもて面の第1~5p型面
104 トレンチ
X 半導体基板のおもて面に平行な第1方向
XY1,XY2 p+型領域に斜めに交差する方向
Y 半導体基板のおもて面に平行でかつ第1方向Xと直交する第2方向
Z 深さ方向