IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ 図1
  • 特開-コネクタ 図2
  • 特開-コネクタ 図3
  • 特開-コネクタ 図4
  • 特開-コネクタ 図5
  • 特開-コネクタ 図6
  • 特開-コネクタ 図7
  • 特開-コネクタ 図8
  • 特開-コネクタ 図9
  • 特開-コネクタ 図10
  • 特開-コネクタ 図11
  • 特開-コネクタ 図12
  • 特開-コネクタ 図13
  • 特開-コネクタ 図14
  • 特開-コネクタ 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025162880
(43)【公開日】2025-10-28
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6591 20110101AFI20251021BHJP
   H01R 4/34 20060101ALI20251021BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20251021BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20251021BHJP
【FI】
H01R13/6591
H01R4/34
H01R13/04 E
H01R13/11 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066368
(22)【出願日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴斗
【テーマコード(参考)】
5E012
5E021
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E021FA03
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC27
5E021FC29
5E021LA09
(57)【要約】
【課題】電線側端子がハウジングに固定された場合でも、ボルト締結方向での公差を吸収して電線側端子と機器側端子の締結を可能にする、コネクタを開示する。
【解決手段】車載機器14に設けられた機器側端子16に締結ボルト18によりボルト締結されるように構成されたコネクタ10であって、電線20の端末に電線側端子12が接続された端子付き電線28と、電線側端子12が固定状態で収容されているハウジング22と、ハウジング22の外部に装着されてハウジング22を外部から覆うシールドシェル30と、を備え、シールドシェル30は、車載機器14に固定される固定部190を有し、ハウジング22は、電線側端子12の機器側端子16に対するボルト締結方向である第1方向において、シールドシェル30に対して変位可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器に設けられた機器側端子に締結ボルトによりボルト締結されるように構成されたコネクタであって、
電線の端末に電線側端子が接続された端子付き電線と、
前記電線側端子が固定状態で収容されているハウジングと、
前記ハウジングの外部に装着されて前記ハウジングを外部から覆うシールドシェルと、を備え、
前記シールドシェルは、前記車載機器に固定される固定部を有し、
前記ハウジングは、前記電線側端子の前記機器側端子に対するボルト締結方向である第1方向において、前記シールドシェルに対して変位可能である、コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記第1方向に直交する第2方向においても、前記シールドシェルに対して変位可能である、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングと前記シールドシェルの一方に設けられた係合突起と、
前記ハウジングと前記シールドシェルの他方に設けられた係合孔と、をさらに備え、
前記ハウジングに前記シールドシェルが装着された状態で、前記係合突起が前記係合孔の内部に収容されており、
前記係合孔の前記第1方向と前記第2方向における内法寸法が、前記係合突起の前記第1方向と前記第2方向における外法寸法よりも大きい、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端子付き電線は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる前記電線の端末に前記電線側端子が接続されてなる端子付きアルミ電線であり、
前記電線側端子は、電線側締結部を有して銅または銅合金を含んでなる第1端子と、前記第1端子に連接されて前記電線の端末に接続されるアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる第2端子と、を含み、
前記第1端子の第1接触面が、前記第2端子の第2接触面に重ね合わされた状態で、前記第1端子と前記第2端子が相互にボルト締結されて前記ハウジングに固定されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1接触面には、複数の錐状突起が形成されている、請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電線の端末に接続された電線側端子と、電線側端子を収容するハウジングとを備えたコネクタが開示されている。このコネクタは、車載機器に設けられた機器側端子に対して、ハウジングの開口部を通じたボルト締結によって電気的に接続されるようになっている。
【0003】
車両の製造時やメンテナンス時において、車載機器とコネクタの配置位置の公差によって、機器側端子と電線側端子のボルト締結が困難になる場合が想定される。そこで、特許文献1のコネクタでは、ボルト締結方向で電線側端子のハウジングに対する変位が許容されるようになっており、想定される公差を吸収して、機器側端子へ電線側端子をボルト締結できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-104837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コネクタによっては、電線側端子をハウジングに固定する必要がある場合がある。そのような場合には、電線側端子の撓みを利用して公差を吸収せざるを得えない。特に、近年の車載機器の大電流化に対応すべく、電線側端子の板厚が大きくなる場合には、電線側端子を撓ませることも困難となる。その結果、公差を巧く吸収できず、電線側端子の機器側端子への締結が困難になる可能性も考えられた。
【0006】
そこで、電線側端子がハウジングに固定された場合でも、ボルト締結方向での公差を吸収して電線側端子と機器側端子の締結を可能にする、コネクタを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、車載機器に設けられた機器側端子に締結ボルトによりボルト締結されるように構成されたコネクタであって、電線の端末に電線側端子が接続された端子付き電線と、前記電線側端子が固定状態で収容されているハウジングと、前記ハウジングの外部に装着されて前記ハウジングを外部から覆うシールドシェルと、を備え、前記シールドシェルは、前記車載機器に固定される固定部を有し、前記ハウジングは、前記電線側端子の前記機器側端子に対するボルト締結方向である第1方向において、前記シールドシェルに対して変位可能である、ものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示のコネクタによれば、電線側端子がハウジングに固定された場合でも、ボルト締結方向での公差を吸収して電線側端子と機器側端子の締結を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係るコネクタを機器側端子との接続状態で示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたコネクタにおける平面図である。
図3図3は、図1に示されたコネクタを拡大して示す正面図である。
図4図4は、図2におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、図2におけるV-V断面を拡大して示す縦断面図である。
図6図6は、図1に示されたコネクタを構成するコネクタ本体を示す斜視図である。
図7図7は、図6に示されたコネクタ本体における縦断面斜視図であって、図2のIV-IV断面に相当する切断面における断面図である。
図8図8は、図6に示されたコネクタ本体における分解斜視図である。
図9図9は、図8に示されたコネクタ本体の分解状態における縦断面斜視図であって、図7に対応する図である。
図10図10は、図9に示されたコネクタ本体をさらに分解した状態を示す縦断面斜視図である。
図11図11は、図6に示されたコネクタ本体における電線側端子を機器側端子と接続して第2開口部をサービスカバーで覆う状態を示す縦断面斜視図であって、図7に対応する図である。
図12図12は、図11において電線側端子と機器側端子のボルト締結が未完了の状態でサービスカバーを組み付けた状態を示す縦断面図であって、図4に対応する図である。
図13図13は、図1に示されたコネクタを構成する第1端子を示す斜視図である。
図14図14は、図1に示されたコネクタを構成する第1端子と第2端子を第1接触面と第2接触面との重ね合わせ状態で示す縦断面図であって、要部を拡大して示す図である。
図15図15は、図14に示された第1端子および第2端子において熱膨張や熱収縮に伴う各端子の変位をモデル的に説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)車載機器に設けられた機器側端子に締結ボルトによりボルト締結されるように構成されたコネクタであって、電線の端末に電線側端子が接続された端子付き電線と、前記電線側端子が固定状態で収容されているハウジングと、前記ハウジングの外部に装着されて前記ハウジングを外部から覆うシールドシェルと、を備え、前記シールドシェルは、前記車載機器に固定される固定部を有し、前記ハウジングは、前記電線側端子の前記機器側端子に対するボルト締結方向である第1方向において、前記シールドシェルに対して変位可能である、ものである。
【0011】
本開示のコネクタによれば、電線側端子が固定状態でハウジングに収容されているものの、ハウジングが、電線側端子と機器側端子のボルト締結方向(第1方向)で、ハウジングの外部に装着されて車載機器に固定される固定部を備えたシールドシェルに対して、変位可能とされている。これにより、コネクタを車載機器に載置してシールドシェルを組み付けた後、電線側端子を機器側端子にボルト締結する際には、車載機器に固定されたシールドシェルに対してハウジングがボルト締結方向で変位することにより、電線側端子と機器側端子のボルト締結方向の公差を吸収することができる。それゆえ、本開示のコネクタによれば、電線側端子がハウジングに固定された場合でも、ボルト締結方向での公差を吸収して電線側端子と機器側端子の締結を可能にすることができるのである。
【0012】
(2)上記(1)において、前記ハウジングは、前記第1方向に直交する第2方向においても、前記シールドシェルに対して変位可能である、ことが好ましい。ハウジングが、ボルト締結方向である第1方向に直交する第2方向においてもシールドシェルに対して変位可能であることから、ボルト締結方向に直交する方向における電線型端子と機器側端子の公差を吸収してそれらのボルト締結を可能にすることができる。
【0013】
(3)上記(2)において、前記ハウジングと前記シールドシェルの一方に設けられた係合突起と、前記ハウジングと前記シールドシェルの他方に設けられた係合孔と、をさらに備え、前記ハウジングに前記シールドシェルが装着された状態で、前記係合突起が前記係合孔の内部に収容されており、前記係合孔の前記第1方向と前記第2方向における内法寸法が、前記係合突起の前記第1方向と前記第2方向における外法寸法よりも大きい、ことが好ましい。
【0014】
ハウジングにシールドシェルが装着された状態で、係合突起が係合孔の内部に収容されることで、ハウジングからのシールドシェルの離脱を阻止できる。しかも、係合孔の第1方向と第2方向における内法寸法が、係合突起の第1方向と第2方向における外法寸法よりも大きくされていることから、第1方向と第2方向におけるシールドシェルに対するハウジングの変位を許容できる。第1方向と第2方向における係合孔の内法寸法と係合突起の外法寸法の差分は、公差を考慮して適宜に設定され得る。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記端子付き電線は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる前記電線の端末に前記電線側端子が接続されてなる端子付きアルミ電線であり、前記電線側端子は、電線側締結部を有して銅または銅合金を含んでなる第1端子と、前記第1端子に連接されて前記電線の端末に接続されるアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる第2端子と、を含み、前記第1端子の第1接触面が、前記第2端子の第2接触面に重ね合わされた状態で、前記第1端子と前記第2端子が相互にボルト締結されて前記ハウジングに固定されている、ことが好ましい。
【0016】
端子付き電線として端子付きアルミ電線を採用することで、コネクタの軽量化が図られている。加えて、電線側端子が、銅または銅合金を含んでなり電線側締結部を有する第1端子と、第1端子に連接されてアルミニウムまたはアルミニウム合金製の電線の端末に接続される第2端子と、を含んで構成されている。しかも、第1端子の第1接触面が第2端子の第2接触面に重ね合わされた状態で第1端子と第2端子が相互にボルト締結されている。これにより、端子付きアルミ電線を備えるコネクタであっても、車載機器に設けられた銅または銅合金製の機器側端子へ同種金属の電線側端子として接続することが可能となる。特に、第1端子と第2端子が相互にボルト締結されてハウジングに固定されている。これにより、ボルトの軸力を利用した大きな接触圧力でアルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2端子の第2接触面の酸化被膜を破壊して第1端子と第2端子の良好な接続状態を維持することができる。また、その後のメンテナンス時等にコネクタを車載機器から外す必要がある場合でも、第1端子と第2端子の締結を外す必要はなく、第2端子の第2接触面が大気に晒されて酸化被膜が形成されて導通抵抗が上昇する不具合を有利に抑制することができる。加えて、上述の効果を享受するために、電線側端子がハウジングに固定された固定状態でハウジングに収容されている場合であっても、シールドシェルに対するハウジングの変位によって、ボルト締結方向での公差を吸収して電線側端子と機器側端子の締結を可能にすることができるのである。
【0017】
(5)上記(4)において、前記第1接触面には、複数の錐状突起が形成されている、ことが好ましい。銅または銅合金を含んでなる第1端子とアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる第2端子をボルト締結によって接続する構造において、第1端子の第1接触面に複数の錐状突起が形成されている。第1端子は第2端子よりも硬度が高いことから、第1端子と第2端子がボルト締結された際には、第1接触面の錐状突起が第2接触面に食い込み易い。それゆえ、第2接触面上に酸化被膜が形成されている場合には、酸化被膜を突き破って第2接触面に接触することができ、第1端子と第2端子の導通を確実に確保することができる。しかも、銅または銅合金の錐状突起が、アルミニウムまたはアルミニウム合金の第2接触面に食い込むことで、接触面積を有利に確保することができ、初期の接触抵抗の低減を図ることができる。
【0018】
加えて、車載時の熱影響により、第1端子と第2端子が熱膨張・熱収縮により相互に変位する際にも、第1端子の錐状突起の先端部分が、第2接触面に食い込むことによって第2接触面に対して接触した状態で追従し易い。そのため、第1端子の錐状突起と第2接触面の接触状態を有利に維持できて、熱膨張・熱収縮により第1端子と第2端子の接触界面に摺動による接点の減少や、接触界面の再露出による酸化被膜の生成といった不具合の発生を抑制できる。
【0019】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のコネクタ10について、図1から図15を用いて説明する。このコネクタ10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車に設けられるものであり、コネクタ10に設けられる電線側端子12と相手側となる車載機器(一部を相手側筐体14として図示)に設けられる機器側端子16とが締結ボルト18によりボルト締結されるように構成されている。そして、電線側端子12と機器側端子16とがボルト締結により接続されることで、コネクタ10側の図示しない車載機器と相手側の車載機器とが電気的に接続されるようになっている。なお、車両中においてコネクタ10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上方とは図3中の上方、下方とは図3中の下方、左方とは図2中の上方、右方とは図2中の下方、前方とは図2中の左方、後方とは図2中の右方として説明する。また、上下方向を第1方向、上下方向に直交する左右方向を第2方向という場合がある。さらに、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0021】
<コネクタ10>
実施形態1のコネクタ10は、電線としての被覆電線20の端末に電線側端子12が接続された端子付き電線と、電線側端子12が収容されたハウジング22と、ハウジング22の内部に収容されたインナハウジング24と、ハウジング22の内部に収容された締結ボルト18と、を備えている。実施形態1では、被覆電線20を構成する芯線26がアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成される単芯線であり、端子付き電線が、端子付きアルミ電線28として構成されている。すなわち、端子付き電線は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる被覆電線20の端末に電線側端子12が接続されてなる端子付きアルミ電線28である。
【0022】
また、コネクタ10は、上述のように車載機器(相手側筐体14)に設けられた機器側端子16に締結ボルト18によりボルト締結されるように構成されたものである。コネクタ10における電線側端子12は、ハウジング22に固定状態で収容されている。さらに、コネクタ10は、ハウジング22の外部に装着されてハウジング22を外部から覆うシールドシェル30を備えている。そして、コネクタ10は、図6等に示されるコネクタ本体31を備えており、コネクタ本体31における電線側端子12と機器側端子16とを締結ボルト18により固定した後に、後述するようにコネクタ本体31にサービスカバー126を組み付けることで、コネクタ10が構成されるとともに、電線側端子12と機器側端子16との接続が完了するようになっている。
【0023】
<電線側端子12>
電線側端子12は、上記機器側端子16にボルト締結される電線側締結部32を有している。電線側締結部32には、締結ボルト18が挿通される電線側ボルト挿通孔34が設けられている。実施形態1では、電線側端子12が、上記電線側締結部32を有して銅または銅合金を含んでなる第1端子36と、第1端子36に連接されて被覆電線20の端末に接続されるアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる第2端子38と、を含んでいる。
【0024】
特に、実施形態1では、第1端子36と第2端子38とが前後方向で接続されており、第1端子36の第1接触面40と第2端子38の第2接触面42とが相互に重ね合わされた状態で、第1端子36と第2端子38とがボルト44により締結されるようになっている。具体的には、第1端子36における後端部の上面に第1接触面40が設けられているとともに、第2端子38における前端部の下面に第2接触面42が設けられている。
【0025】
<第1端子36>
第1端子36は、図13,14にも示されるように、全体として前後方向に延びる帯状の部材であり、上述のように銅または銅合金を含んで構成されている。第1端子36は、所定の厚さ寸法、幅寸法(左右方向寸法)および長さ寸法(前後方向寸法)を有している。実施形態1では、第1端子36の長さ方向中間部分がクランク状に屈曲しており、第1端子36の長さ方向両端部(前端部および後端部)がそれぞれ水平方向(上下方向に対して直交する方向)に広がっているとともに、第1端子36の長さ方向中間部分が上下方向に延びている。これにより、第1端子36では、前端部に対して後端部の方が上方に位置している。
【0026】
より詳細には、第1端子36の後端部は平面視において略矩形状とされており、この第1端子36の後端部により、上述のように第2端子38が接続される第1接続部46が構成されている。第1接続部46の中央部分には、上述のボルト44が挿通される第1ボルト挿通孔48が、第1接続部46を厚さ方向(上下方向)で貫通して形成されている。そして、第1接続部46の上面において第1ボルト挿通孔48の周囲の部分が第2端子38に重ね合わされて接触する第1接触面40とされている。換言すれば、第1接触面40が、第1ボルト挿通孔48の周囲を囲って設けられている。
【0027】
また、第1端子36の前端部は平面視において略矩形状とされており、この第1端子36の前端部により、上記機器側端子16にボルト締結される電線側締結部32が構成されている。電線側締結部32の中央部分において、上述の電線側ボルト挿通孔34が、電線側締結部32を厚さ方向(上下方向)で貫通して形成されている。この電線側ボルト挿通孔34に挿通される締結ボルト18により、機器側端子16と第1端子36(電線側端子12)とが相互に固定される。機器側端子16と電線側締結部32とは上下方向で重ね合わされるようになっており、電線側締結部32の下面49が機器側端子16に重ね合わされる第1面であり、反対側である上面50が第2面である。そして、第1接続部46と電線側締結部32とが、上下方向に延びる上下方向延出部51によって繋がっている。
【0028】
<第1接触面40>
上述のように、第1接続部46の上面における第1ボルト挿通孔48の周囲の部分が第1接触面40である。そして、第1接触面40における前後方向中間部分および左右方向中間部分において、後述する複数の錐状突起54が形成される錐状突起形成領域52が構成されている。第1ボルト挿通孔48は第1接続部46の中央部分に形成されることから、第1ボルト挿通孔48は錐状突起形成領域52の中央部分に形成されており、換言すれば、第1ボルト挿通孔48の周囲に錐状突起形成領域52が設けられている。実施形態1では、後述するように錐状突起54が正四角錐形状であり、錐状突起54を構成する底面56は平面視において正方形である。複数の錐状突起54は前後方向および左右方向で整列して配置されており、実施形態1では、錐状突起形成領域52が平面視において略正方形状とされている。なお、第1端子36における少なくとも第1接触面40には銀めっき等の公知のめっきが設けられてもよく、例えば錫めっきが好適に採用され得る。
【0029】
<錐状突起54>
第1接触面40における錐状突起形成領域52には、複数の錐状突起54が形成されている。各錐状突起54はそれぞれ略同形状であり、各錐状突起54は四角錐形状である。実施形態1では、複数の錐状突起54が格子状に、すなわち前後方向および左右方向で整列して配置されており、各錐状突起54が正四角錐形状である。要するに、各錐状突起54の底面56は平面視において正方形であり、この正方形における2つの対角線の交点の上方に頂点58が位置している。各錐状突起54を構成する面のうち、底面56以外の4つの側面60は二等辺三角形状である。そして、これら側面60を構成する線として、頂点58から底面56における4つの角部に向かって4本の稜線62が延び出しており、各稜線62は長さが等しくされている。したがって、平面視において、各稜線62は、頂点58を通り上下方向に延びる各錐状突起54の中心軸回りに周方向で等間隔(90度毎)に配置されている。
【0030】
図14にも示されるように、実施形態1では、各錐状突起54の底面56が、第1接触面40における錐状突起形成領域52以外の部分(第1接触面40における錐状突起形成領域52の周囲の部分)よりも上下方向で低い位置にある。すなわち、実施形態1では、各錐状突起54における上方部分が、第1接触面40よりも上方に突出している。また、図14に示されるように、各錐状突起54において頂点58を通る縦断面では、2本の稜線62,62が所定の角度αで交差している。この交差角度αは限定されるものではないが、例えば45°≦α≦120°の範囲内で設定され得て、実施形態1では、この交差角度αが90度とされている。なお、各頂点58は、縦断面においてある程度丸まった円弧形状であってもよいが、先鋭形状であることが好ましい。さらに、図13,14にも示されるように、前後方向および左右方向で整列配置された各錐状突起54において、隣り合う錐状突起54,54の間には、各錐状突起54に対して相対的に凹となる谷部64が形成されている。実施形態1では、この谷部64の底面がR面状の曲面とされているが、V字状の傾斜面とされてもよいし、水平方向に広がる平坦面とされてもよい。上記のような形状の各錐状突起54を有する第1端子36の形成方法は限定されるものではないが、例えば銅または銅合金を含んでなる金属素板をプレス加工することにより形成され得る。
【0031】
<第2端子38>
第2端子38は、被覆電線20を構成する芯線26と一体的に形成されている。実施形態1では、芯線26がアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成される単芯線であり、この芯線26が合成樹脂等からなる絶縁被覆66により覆われている。すなわち、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる単芯線の端末(前端部分)において絶縁被覆66が剥がされて芯線26が露出しており、この露出する芯線26の前端部分において第2端子38が構成されている。この第2端子38における特に前端部が、第1端子36における第1接続部46が接続される第2接続部68である。第2接続部68は、平面視において略矩形状の領域とされている。そして、第2接続部68の中央部分に、前述のボルト44が挿通される第2ボルト挿通孔70が、第2接続部68を厚さ方向(上下方向)で貫通して形成されている。第2接続部68の下面において第2ボルト挿通孔70の周囲の部分が第1端子36に重ね合わされて接触する第2接触面42である。換言すれば、第2接触面42が、第2ボルト挿通孔70の周囲を囲って設けられている。
【0032】
実施形態1では、第1端子36に重ね合わされる前における第2接触面42が、水平方向に広がる平坦面とされている。また、図14にも示されるように、第1接触面40と第2接触面42とが重ね合わされてボルト44が締結されることで、第2接触面42に対して第1接触面40から突出する各錐状突起54が食い込むようになっており、第1端子36と第2端子38との固定後における第2接触面42には、各錐状突起54と略対応する形状の収容凹部72が形成されるようになっている。なお、図14は、第1接触面40と第2接触面42との重ね合わせ部分のうち、特に第1ボルト挿通孔48および第2ボルト挿通孔70の後方部分を拡大して示す図である。また、第1端子36と第2端子38との固定に際して、第2接触面42により各錐状突起54がある程度潰されるように変形することで、各収容凹部72は明確には先鋭形状とならない場合がある。アルミニウムは反応性の高い金属であることから、第2端子38を大気に晒すことで、後述する図15に示されるように、第2接触面42を含む第2端子38の表面には酸化被膜73が形成される。
【0033】
上述のような形状とされた第1端子36と第2端子38とは、第1接触面40と第2接触面42とが相互に重ね合わされることで、第1ボルト挿通孔48と第2ボルト挿通孔70とが上下方向で連通する。そして、これら第1ボルト挿通孔48と第2ボルト挿通孔70に対してボルト44が挿通されてナット74に締結されることで、第1端子36と第2端子38とが相互に固定されるようになっている。これにより、端子付きアルミ電線28が構成される。ナット74は、第1端子36における第1接続部46の下面に重ね合わされて配置されており、実施形態1では、ナット74が、上記電線側端子12(第1端子36および第2端子38)を収容するハウジング22に固定的に支持されている。それゆえ、上記端子付きアルミ電線28はボルト締結によりハウジング22に固定される。
【0034】
<車載機器(相手側筐体14)および機器側端子16>
上述の電線側端子12が接続される機器側端子16は、相手側筐体14を含んで構成される車載機器に設けられている。すなわち、車載機器における表面の一部が、図1等に示される相手側筐体14である。相手側筐体14は、例えば金属により形成されて、水平方向(上下方向に対して直交する方向)に広がるベース板部76を備えている。このベース板部76には、実施形態1のコネクタ10の下部が挿入されて装着されるコネクタ装着孔78が形成されており、コネクタ装着孔78がベース板部76を上下方向で貫通して形成されている。コネクタ装着孔78は平面視において、左右方向に比して前後方向の方が長い長円形状とされている。ベース板部76においてコネクタ装着孔78の周縁部には下方に突出する略筒状の相手側周壁部80が設けられており、相手側周壁部80の内孔を含んでコネクタ装着孔78が構成されている。なお、実施形態1では、相手側筐体14において、一対のコネクタ装着孔78,78が左右方向で並んで設けられており、相手側筐体14(車載機器)に対して一対のコネクタ10,10が接続され得るようになっているが、図1等では右側のコネクタ装着孔78のみにコネクタ10が接続された状態を示している。
【0035】
また、実施形態1では、機器側端子16が、例えば金属製のバスバーにより形成されており、車載機器の内部から後方に延び出す機器側端子16の先端部(後端部)に、上下方向に貫通するボルト締結孔82が形成されている。ボルト締結孔82には、例えば雌ねじが形成されており、機器側端子16と電線側端子12(電線側締結部32)とを固定する締結ボルト18における後述するねじ部90が螺合し得るようになっている。この機器側端子16は相手側筐体14の下方において後方に延び出しており、機器側端子16の先端部に設けられるボルト締結孔82が、平面視においてコネクタ装着孔78の内部に位置している。
【0036】
そして、相手側筐体14のベース板部76において、各コネクタ装着孔78の周囲の部分には、シールドシェル30に設けられる後述する固定部190が固定される被固定部84が設けられている。実施形態1では、被固定部84として、ベース板部76の前方部分において、シールドシェル30との重ね合わせ状態において図示しないボルトが締結されるボルト締結穴84aが形成されているとともに、ベース板部76の後方部分においてシールドシェル30に挿通されてシールドシェル30を位置決めする位置決めピン84bが設けられている。また、ベース板部76において各コネクタ装着孔78の間(ベース板部76の左右方向中央部分)には、上方に突出してシールドシェル30を位置決めする位置決め突部86が設けられている。
【0037】
<締結ボルト18>
上述の電線側端子12(電線側締結部32)と機器側端子16とは締結ボルト18により締結される。締結ボルト18は公知の形状であり、ボルト頭部88と、ボルト頭部88から下方に突出するねじ部90を備えている。このボルト頭部88は、合成樹脂からなる絶縁被覆としての絶縁キャップ92により覆われている。絶縁キャップ92は、全体として略筒状であり、ボルト頭部88に対して絶縁キャップ92が固定されている。すなわち、締結ボルト18と絶縁キャップ92とは、例えば一体的に形成されたり圧入されたりすることで固定され得る。そして、絶縁キャップ92は、締結ボルト18を締結するための図示しない締結用工具が組み付けられる中央部94と、中央部94の外周側に広がるフランジ部96とを有している。
【0038】
実施形態1では、ボルト頭部88における外径寸法が電線側締結部32における電線側ボルト挿通孔34の内径寸法よりも大きくされており、それゆえ、ボルト頭部88の外周側に位置するフランジ部96の外径寸法も電線側ボルト挿通孔34の内径寸法よりも大きくされている。これにより、締結ボルト18のねじ部90が電線側ボルト挿通孔34に挿通された状態では、ボルト頭部88およびフランジ部96が電線側ボルト挿通孔34の周縁に係合することで、ボルト頭部88が電線側締結部32の第2面である上面50上に載置される。また、フランジ部96は、後述するように、インナハウジング24における第3開口部152の内径寸法よりも大きな外径寸法を有している。
【0039】
<ハウジング22>
上述の電線側端子12(第1端子36および第2端子38)や締結ボルト18は、ハウジング22に収容されている。ハウジング22は、ハウジング本体97と、ハウジング本体97における後述する上方開口部106に組み付けられるサービスカバー126とを含んで構成されている。上記電線側端子12や締結ボルト18は、ハウジング本体97に収容される。ハウジング本体97は、図8から図10にも示されているように、全体として前後方向に延びて被覆電線20が挿通される略筒状の電線挿通筒部98と、全体として上下方向に延びて電線側端子12と機器側端子16のボルト締結を行うことができる略筒状のボルト締結筒部100とを備えている。これら電線挿通筒部98とボルト締結筒部100とは前後方向で連通しており、電線挿通筒部98の前方にボルト締結筒部100が一体的に形成されている。換言すれば、ボルト締結筒部100の内周面における後方部分において、上下方向中間部分には、電線挿通筒部98の前方開口部102が開口している。そして、電線挿通筒部98は、上記前方開口部102と後方に開口する後方開口部104を備えているとともに、ボルト締結筒部100は、それぞれ上方および下方に開口する上方開口部106と下方開口部108とを備えている。
【0040】
また、ハウジング本体97では、内部に第1端子36が固定され電線側ボルト挿通孔34に締結ボルト18のねじ部90が挿通された状態において、機器側端子16が重ね合わされる電線側締結部32の第1面(下面49)およびねじ部90が下方開口部108から露出している。これにより、ハウジング本体97において、電線側締結部32の下面49およびねじ部90を露出させる第1開口部が、下方開口部108により構成されている。さらに、ハウジング本体97において、電線側締結部32において下面49と反対側の面である第2面(上面50)に上下方向で対向して配置されて、締結ボルト18を締結するための図示しない締結用工具を挿し入れ可能な第2開口部が、上方開口部106により構成されている。
【0041】
実施形態1では、上方開口部106と下方開口部108とがいずれも平面視において、左右方向寸法に比して前後方向寸法の方が大きな略長円形状とされている。特に、実施形態1では、下方開口部108に比して上方開口部106の方が、前後方向寸法が大きくされている。具体的には、上方開口部106と下方開口部108は前端部における前後方向位置が略等しくされているとともに、上方開口部106の後端部が下方開口部108の後端部よりも後方に位置している。これにより、ハウジング本体97の前端部分では、ボルト締結筒部100の周壁における前方部分を構成する前壁部109が略ストレートに延びている。
【0042】
より詳細には、ボルト締結筒部100の上方部分は、上方開口部106と略等しい内径寸法で上下方向に略ストレートに延びているとともに、ボルト締結筒部100の下方部分は下方開口部108と略等しい内径寸法で上下方向に略ストレートに延びている。これにより、ボルト締結筒部100の内周面における後方部分において、上下方向中間部分には、水平方向に広がる段差壁部110が設けられている。なお、上述の電線挿通筒部98における前方開口部102は、段差壁部110よりも上方(ボルト締結筒部100の上方部分)に開口しているとともに、段差壁部110には前述のナット74が固定的に設けられている。後述するように、このナット74の配設位置において第1端子36と第2端子38とがボルト44により固定されることから、これら第1端子36と第2端子38とのボルト締結領域が上方開口部106を通じて上方に露出している。限定されるものではないが、ハウジング本体97は、例えばナット74を備える一体成形品として形成され得る。
【0043】
さらに、ハウジング本体97には、シールドシェル30における後述する係合孔184と係合する係合突起112が設けられている。実施形態1では、ボルト締結筒部100の外周面における上下方向中間部分において、前方に突出する一対の係合突起112,112が左右方向で相互に離隔して設けられている。これら各係合突起112は、所定の長さ寸法を有する略円柱形状とされている。また、ボルト締結筒部100の外周面における下方部分には、ゴム等の弾性体からなる環状のシール部材114が外挿されて固定されている。
【0044】
そして、ボルト締結筒部100の内周面における上方部分において、左右方向両側には、後述するようにハウジング本体97に対してインナハウジング24が組み付けられる際に、インナハウジング24における係合部としての前方係合部160が係合される被係合部116が、左右方向内方に突出して設けられている。また、ハウジング本体97の後端部分、すなわち電線挿通筒部98を構成する周壁の後端部分には、上下方向両側に、一対の係止孔118が形成されている。これら各係止孔118は、電線挿通筒部98を構成する周壁の後端部分において、厚さ方向で貫通して形成されている。
【0045】
上述のように、電線挿通筒部98には、被覆電線20が挿通される。ここで、被覆電線20の長さ方向中間部分にはゴム等の弾性体からなる環状のシール部材120が外挿されている。そして、電線挿通筒部98に対して被覆電線20が挿通される際に、電線挿通筒部98の後方開口部104からシール部材120が圧入されることで、電線挿通筒部98の後方開口部104が液密的に封止されるようになっている。また、電線挿通筒部98において、シール部材120の後方にはシール部材120の脱落を防止するバックリテーナ122が装着される。バックリテーナ122は全体として略環状であり、被覆電線20に外挿されるとともに電線挿通筒部98の周壁部に内挿される。バックリテーナ122の上下方向両側には外周側(上下方向外方)に突出する係止凸部124が設けられており、各係止凸部124が電線挿通筒部98の後端部分に設けられる各係止孔118に係止されることで、バックリテーナ122が電線挿通筒部98における後方開口部104に装着されるようになっている。そして、ハウジング本体97に対して端子付きアルミ電線28が挿通状態で固定されるとともに、上記シール部材114,120およびバックリテーナ122が組み付けられることで、図8,9等に示されるようなハウジング組立体125が構成される。
【0046】
<サービスカバー126>
また、上述のように、ハウジング22は、第2開口部(上方開口部106)を覆って組み付けられるサービスカバー126を含んでいる。このサービスカバー126は、図11等にも示されるように、上方開口部106を覆う蓋部128と、蓋部128から締結ボルト18側に向かって下方に突出する異常検知突起130とを有している。
【0047】
具体的には、蓋部128は上下方向に延びる略筒形状であり、所定の上下方向寸法を有している。蓋部128の外形状は、平面視において上方開口部106と略対応しており、左右方向寸法に比して前後方向寸法の方が大きくされた長円形状とされている。なお、蓋部128の内部には、前後方向に延びる略板状の補強リブ131が設けられている。蓋部128の上端部には、外周側に突出する環状の鍔部132が設けられており、蓋部128(サービスカバー126)が上方開口部106に組み付けられた際に、鍔部132が全周にわたってボルト締結筒部100の上端面に重ね合わされるようになっている。また、蓋部128の外周面には、ゴム等の弾性体からなる環状のシール部材134が外挿されている。そして、上方開口部106にサービスカバー126が組み付けられることで、シール部材134により上方開口部106が液密的に封止されるようになっている。
【0048】
この蓋部128には上方から蓋板部136が重ね合わされて、蓋部128と蓋板部136とがねじ138により固定されている。蓋板部136は、シールドシェル30における後述する上側開口部180に略対応する長円形状とされており、金属により形成されている。これにより、コネクタ本体31における上方開口部106に対してサービスカバー126が組み付けられることで、上方開口部106の周縁部の上端面に上記鍔部132が重ね合わされるとともに、上側開口部180の周縁部の上端面に蓋板部136の外周縁部が重ね合わされる。
【0049】
蓋板部136には、サービスカバー126をシールドシェル30に固定するための後述するボルト186が挿通されるボルト挿通孔139が、前後方向で相互に離隔する2箇所に形成されている。また、蓋部128には前後方向で離隔する2箇所において、上方に突出する位置決めピン140が設けられているとともに、蓋板部136においてこれら各位置決めピン140と対応する位置には、各位置決めピン140が挿通される位置決め孔142が形成されている。これにより、蓋部128に対して蓋板部136を重ね合わせる際に各位置決め孔142に対して各位置決めピン140が挿通されることで、蓋部128と蓋板部136とが相互に位置決めされて、ねじ138の締結を容易に行うことができる。
【0050】
<異常検知突起130>
異常検知突起130は、蓋部128と一体的に形成されており、蓋部128の前方部分から下方に突出している。異常検知突起130は全体として略円柱形状とされた部分であり、インナハウジング24における後述するインナ側ボルト締結筒部148に挿入可能な外径寸法と、所定の上下方向寸法を有している。実施形態1では、異常検知突起130の外径寸法が上方から下方になるにつれて次第に小さくなっている。特に、異常検知突起130の突出端部分(下端部分)には環状の段差部144が設けられており、異常検知突起130の下端部には、他の部分より小径とされた当接部146が設けられている。図4にも示されているように、段差部144における外径寸法は、インナ側ボルト締結筒部148に設けられる第1覆蓋壁150の内径寸法(第3開口部152の内径寸法)よりも大きくされているとともに、当接部146における外径寸法は、第1覆蓋壁150(第3開口部152)の内径寸法よりも小さくされている。
【0051】
これにより、図4に示されるように、締結ボルト18を締結した後に上方開口部106に対してサービスカバー126を組み付けた場合には、異常検知突起130における段差部144がインナ側ボルト締結筒部148の第1覆蓋壁150における第3開口部152の周縁部分に当接するか、上下方向で僅かな隙間を隔てて対向する。また、異常検知突起130の下端における当接部146は、第1覆蓋壁150における第3開口部152内に入り込み、締結ボルト18の上端に当接するか、上下方向で僅かな隙間を隔てて対向するようになっている。
【0052】
一方、例えば締結ボルト18を締め忘れた場合等、締結ボルト18の締結が未完了の場合には、後述するように締結ボルト18はインナ側ボルト締結筒部148の下端における小径筒部154内でフリーな状態であることから、締結ボルト18におけるねじ部90の先端(下端)が機器側端子16のボルト締結孔82における上方開口部の周縁部分に当接することで、締結ボルト18は小径筒部154内において上方へと変位させられる。これにより、締結ボルト18のボルト頭部88を覆う絶縁キャップ92のフランジ部96が、第1覆蓋壁150における第3開口部152の周縁部分に下方から当接するとともに、絶縁キャップ92における中央部94が第3開口部152を通じて第1覆蓋壁150よりも上方へ突出する。この状態で、サービスカバー126を上方開口部106に組み付けようとした場合には、異常検知突起130の下端に設けられた当接部146が締結ボルト18の上端に当接(干渉)することで、それ以上の組付けができず、蓋部128および蓋板部136を上方開口部106および上側開口部180の周縁部における上端面に当接させることが阻止される。これにより、サービスカバー126が上方開口部106および上側開口部180から上方へ浮いた状態となり、作業者が締結ボルト18の締結が未完了であることを把握することができる。
【0053】
<インナハウジング24>
インナハウジング24は、前述のようにハウジング22に収容される部材であり、特にハウジング22におけるハウジング本体97に収容される。インナハウジング24は、全体として前後方向に延びる部材であり、絶縁性を有する合成樹脂により形成されている。インナハウジング24は、前方部分において、上下方向に延びる略筒状のインナ側ボルト締結筒部148を備えている。インナ側ボルト締結筒部148は全体として略円筒形状であり、後述するようにハウジング本体97にインナハウジング24が収容された状態では、インナ側ボルト締結筒部148が、ボルト締結筒部100における前壁部109と第1端子36における上下方向延出部51との前後方向間に配置されるようになっている。
【0054】
また、インナハウジング24は、電線側締結部32の第2面である上面50をハウジング22(ハウジング本体97)の第2開口部(上方開口部106)側から覆う第1覆蓋壁150と、第1覆蓋壁150を貫通する第3開口部152とを有している。具体的には、インナ側ボルト締結筒部148の下方部分における内周面には、内周側に突出する略環状の第1覆蓋壁150が設けられており、この第1覆蓋壁150の内孔が第3開口部152とされている。上述のように、インナ側ボルト締結筒部148は、ボルト締結筒部100における前壁部109と第1端子36における上下方向延出部51との前後方向間に配置されることから、インナ側ボルト締結筒部148は第1端子36における電線側締結部32の上方に配置される。それゆえ、インナ側ボルト締結筒部148において内周側に突出する第1覆蓋壁150により、電線側締結部32の第2面である上面50が上側から覆われるようになっている。すなわち、インナハウジング24における第1覆蓋壁150によって、電線側締結部32の上面50における上方開口部106からの露出が阻止されている。
【0055】
そして、後述するように、締結ボルト18のボルト頭部88および絶縁キャップ92は、インナハウジング24における第1覆蓋壁150と第1端子36における電線側締結部32との上下方向間に配置される。ここで、第1覆蓋壁150の中央部分には厚さ方向(上下方向)で貫通する第3開口部152が形成されていることから、この第3開口部152によって、ボルト頭部88および絶縁キャップ92の一部(特に、中央部94)が、第2開口部(上方開口部106)側に露出している。また、インナハウジング24における第3開口部152は、絶縁キャップ92におけるフランジ部96の外径寸法よりも小さい内径寸法を有している。これにより、フランジ部96が第3開口部152の周縁に係合することで、締結ボルト18における第1覆蓋壁150からの離脱が阻止されている。
【0056】
なお、第1覆蓋壁150は、インナ側ボルト締結筒部148の下端から、所定距離だけ上方に離隔した位置に設けられている。インナ側ボルト締結筒部148において、第1覆蓋壁150よりも下方の部分は、第1覆蓋壁150よりも上方の部分に比して小径とされている。要するに、インナ側ボルト締結筒部148の下方部分において、第1覆蓋壁150よりも下方の部分には、第1覆蓋壁150よりも上方の部分に比して小径とされた小径筒部154が構成されている。この小径筒部154は、所定の上下方向寸法を有している。ハウジング本体97内にインナハウジング24が収容された際には、インナ側ボルト締結筒部148の下端が電線側締結部32の上面50に当接するか、僅かに上方に離隔するようになっている。上述のように、締結ボルト18は、第3開口部152を通じての上方への離脱が阻止されていることから、締結ボルト18の締結前では、締結ボルト18が小径筒部154の内周側においてフリーな状態で配置されている。換言すれば、締結ボルト18の締結前では、締結ボルト18が小径筒部154の上下方向寸法の分だけ、上下方向で変位可能である。
【0057】
また、インナハウジング24は、インナ側ボルト締結筒部148の上端部における後方部分から後方に延び出す第2覆蓋壁156を有している。この第2覆蓋壁156は、インナハウジング24がハウジング本体97に収容された状態(後述する各前方係合部160および各後方係合部164がそれぞれ各被係合部116および第1接続部46の左右方向両端部に係合した状態)において、上方開口部106の後端部まで至る長さで形成されている。これにより、第2覆蓋壁156は、第1端子36と第2端子38とのボルト締結領域をハウジング本体97の第2開口部(上方開口部106)側から覆うようになっている。実施形態1では、第2覆蓋壁156が、前後方向に略ストレートに延びている。
【0058】
そして、インナ側ボルト締結筒部148を構成する周壁部において左右方向両側には、インナ側ボルト締結筒部148の径方向(左右方向)で弾性変形可能な前方弾性片158が上方に突出して設けられている。各前方弾性片158の突出端部(上端部)には、略爪状の係合部としての前方係合部160が左右方向外方に突出して設けられている。インナハウジング24がハウジング本体97に収容された状態では、図7に示されるように、各前方係合部160が、ハウジング本体97の内面に設けられた各被係合部116に下方から係合するようになっている。同様に、第2覆蓋壁156の前後方向中間部分における左右方向両側には、左右方向で弾性変形可能な後方弾性片162が下方に突出して設けられている。各後方弾性片162の突出端部(下端部)には、略爪状の係合部としての後方係合部164が左右方向内方に突出して設けられている。インナハウジング24がハウジング本体97に収容された状態では、図5に示されるように、各後方係合部164が第1端子36における第1接続部46の左右方向両端部に対して下方から係合するようになっている。これら各前方係合部160および各後方係合部164により、ハウジング本体97からのインナハウジング24の上方への抜出しが防止され得る。なお、各前方係合部160と各後方係合部164は、いずれか一方が設けられるだけであってもよい。
【0059】
また、実施形態1では、インナ側ボルト締結筒部148の上端部における前方部分において、前方に突出する圧入リブ166が設けられているとともに、第2覆蓋壁156における後端部においても、後方に突出する圧入リブ166が設けられている。インナハウジング24がハウジング本体97に組み付けられる際に、これら各圧入リブ166がボルト締結筒部100における上方部分の内周面に圧接されることで、ハウジング本体97からのインナハウジング24の上方への抜出しがより確実に防止され得る。
【0060】
<シールドシェル30>
シールドシェル30は導電性を有する金属により形成されており、ハウジング22を外部から覆い得る形状で形成されている。実施形態1のシールドシェル30は、図8図9等にも示されるように、ハウジング22を前方から覆う前側壁部168と、上方から覆う上側壁部170と、左右両側から覆う左側壁部172と右側壁部174とを有している。要するに、シールドシェル30は全体として下側および後側に開放された略箱形状であり、下側開口部176および後側開口部178を有している。
【0061】
そして、シールドシェル30における上側壁部170の前方部分には、ハウジング22を覆った際にハウジング22におけるボルト締結筒部100の上端部分(上方開口部106)を上側に露出させる上側開口部180が形成されている。上側開口部180は、左右方向寸法に比して前後方向寸法の方が大きな略長円形状として形成されており、上側壁部170を厚さ方向(上下方向)で貫通して形成されている。上側開口部180における左右方向および前後方向の開口寸法は、ボルト締結筒部100の左右方向寸法および前後方向寸法よりも大きくされている。これにより、シールドシェル30とハウジング本体97(ハウジング組立体125)とを相互に組み付けた際には、ハウジング本体97における上方開口部106およびシールドシェル30における上側開口部180を通じて、ハウジング本体97におけるボルト締結筒部100の内部空間が上方に露出されるようになっている。
【0062】
また、シールドシェル30を構成する前側壁部168、左側壁部172および右側壁部174は、それぞれ上側壁部170における前端、左端および右端から下方に突出している。実施形態1では、前側壁部168が下方になるにつれて前方へ向かう方向に傾斜しているとともに、左側壁部172および右側壁部174が下方になるにつれて左右方向外方へ向かう方向に傾斜している。これにより、シールドシェル30とハウジング本体97とを相互に組み付けた際には、これら前側壁部168、左側壁部172および右側壁部174とボルト締結筒部100との間に隙間182が形成されるようになっており、この隙間182は下方になるにつれて次第に大きくなっている。なお、シールドシェル30とハウジング本体97とを相互に組み付けた際には、ハウジング本体97における電線挿通筒部98と上側壁部170との間にも所定の大きさの隙間が形成される。
【0063】
さらに、シールドシェル30における前側壁部168の下端部分には、ハウジング本体97から前方に突出する各係合突起112が収容される係合孔184が、前後方向で貫通して形成されている。実施形態1では、各係合突起112に対応して一対の係合孔184,184が設けられており、これら各係合孔184が左右方向で相互に離隔している。シールドシェル30とハウジング本体97とを相互に組み付けてハウジング本体97にシールドシェル30を装着した際には、各係合突起112が各係合孔184の内部に収容されている。なお、各係合突起112と各係合孔184とは反対に設けられてもよく、シールドシェルに後方に突出する係合突起が設けられるとともに、ハウジング本体に前後方向で貫通する係合孔が設けられてもよい。
【0064】
特に、実施形態1では、各係合孔184が左右方向寸法に比して上下方向寸法の方が大きな略長円形状とされている。そして、各係合孔184における上下方向(第1方向)の内法寸法が、各係合突起112における上下方向(第1方向)の外法寸法(実施形態1では、外径寸法)よりも大きくされている。また、各係合孔184における左右方向(第2方向)の内法寸法が、各係合突起112における左右方向(第2方向)の外法寸法(実施形態1では、外径寸法)よりも大きくされている。これにより、各係合孔184の内部において、各係合突起112が上下方向(第1方向)および左右方向(第2方向)で変位可能とされている。このように、各係合孔184の内部において各係合突起112の周囲に空間が設けられていることに加えて、シールドシェル30とハウジング本体97との間に上記隙間182が形成されている。これにより、シールドシェル30とハウジング本体97(ハウジング組立体125)とが相互に組み付けられた際には、ハウジング本体97(ハウジング組立体125)は、電線側端子12の機器側端子16に対するボルト締結方向である上下方向(第1方向)において、シールドシェル30に対して変位可能である。また、シールドシェル30とハウジング本体97(ハウジング組立体125)とが相互に組み付けられた際には、ハウジング本体97(ハウジング組立体125)は、上下方向に直交する左右方向(第2方向)においても、シールドシェル30に対して変位可能である。
【0065】
また、シールドシェル30において、上側開口部180の周縁部には、前述のサービスカバー126をボルト186により固定するためのボルト締結穴188が形成されている。実施形態1では、上側開口部180の周縁部における2箇所において、ボルト締結穴188が設けられている。さらに、シールドシェル30の下端部における外周縁部には、車載機器(相手側筐体14)に固定される固定部190が設けられている。実施形態1では、固定部190として、相手側筐体14との重ね合わせ状態において図示しないボルトが挿通されるボルト挿通孔190aが形成されているとともに、相手側筐体14から上方に突出する各位置決めピン84bが挿通される位置決め孔190bが形成されている。
【0066】
そして、シールドシェル30には、内部に挿し入れられたハウジング本体97および被覆電線20の下方や後方への脱落を防止する押さえ金具192がねじ194により固定されるようになっている。すなわち、押さえ金具192は、前後方向に延びてハウジング本体97における電線挿通筒部98の後方部分が挿通される筒状部196と、筒状部196から上方に突出するフランジ状部198とを備えている。フランジ状部198における左右方向両端部にはそれぞれねじ194が挿通されるねじ挿通孔200が形成されている。この押さえ金具192における筒状部196にハウジング本体97における電線挿通筒部98の後方部分が挿通され、押さえ金具192がシールドシェル30の後端部に後方から重ね合わされて、各ねじ194が各ねじ挿通孔200を通じて上側壁部170の後端部に締結される。これにより、ハウジング本体97および被覆電線20におけるシールドシェル30からの脱落が防止され得る。なお、筒状部196と電線挿通筒部98の後方部分との間には隙間があり、電線挿通筒部98の後方部分が筒状部196に挿通されて押さえ金具192がシールドシェル30に固定された状態でも、ハウジング本体97は筒状部196およびシールドシェル30に対して上下方向および左右方向で変位可能である。
【0067】
さらに、上記筒状部196には、略筒状のかしめ金具202が外挿状態で固定されるようになっている。かしめ金具202は、例えば被覆電線20に外挿される図示しない編組線等からなる略筒状のシールド部材の端部を間に挟んだ状態で筒状部196に固定されるようになっており、被覆電線20に外挿されるシールド部材が、押さえ金具192およびシールドシェル30を介して相手側筐体14に電気的に接続されるようになっている。
【0068】
<コネクタ10の組立て>
以下、コネクタ10の組立方法の具体的な一例を説明する。なお、コネクタ10の組立方法は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0069】
先ず、図10に示されるように、ハウジング本体97における上方開口部106を通じて第1端子36を上方からハウジング本体97内に挿入して、第1端子36における第1接続部46をナット74上に重ね合わせる。また、ハウジング本体97における後方開口部104を通じて被覆電線20と一体的に形成された第2端子38をハウジング本体97内に挿入して、第2端子38における第2接続部68を第1接続部46上に重ね合わせる。これにより、ナット74の内孔と第1ボルト挿通孔48と第2ボルト挿通孔70とが上下方向で連通する。そして、ボルト44を、上方開口部106を通じてハウジング本体97内に挿し入れて、ボルト44を上記第1ボルト挿通孔48と第2ボルト挿通孔70に対して挿通して、ナット74に締結する。
【0070】
また、被覆電線20にはシール部材120が外挿されており、シール部材120を、後方開口部104を通じて電線挿通筒部98の内部に圧入する。さらに、シール部材120の後方から電線挿通筒部98内にバックリテーナ122を挿入して、各係止凸部124を各係止孔118に係止することでシール部材120の後方にバックリテーナ122を固定する。なお、ボルト締結筒部100の下方部分には、任意のタイミングでシール部材114が外挿状態で固定される。これにより、被覆電線20の端末に電線側端子12(第1端子36および第2端子38)が接続された端子付き電線(実施形態1では被覆電線20がアルミ電線とされていることから、端子付きアルミ電線28)が構成される。また、ハウジング本体97内に上記端子付きアルミ電線28が固定されることで、ハウジング組立体125(図8,9等参照)が構成される。
【0071】
その後、図8,9に示されるように、シールドシェル30における下側開口部176を通じて上記ハウジング組立体125をシールドシェル30内に収容する。その際、ハウジング本体97から前方に突出する各係合突起112を、シールドシェル30における各係合孔184に挿通する。そして、ハウジング組立体125の後方部分に押さえ金具192の筒状部196を外挿して、押さえ金具192を各ねじ194によりシールドシェル30に固定する。また、必要に応じて被覆電線20に外挿される図示しないシールド部材を押さえ金具192における筒状部196の外周面に重ね合わせた状態で、筒状部196に対してかしめ金具202を外挿して固定する。これにより、シールドシェル30に対して、ハウジング組立体125が、上下方向(第1方向)および左右方向(第2方向)で所定量だけ変位可能に組み付けられる。
【0072】
次に、シールドシェル30における上側開口部180およびハウジング本体97における上方開口部106を通じて、ボルト締結筒部100内に締結ボルト18を挿入する。締結ボルト18のねじ部90を電線側締結部32における電線側ボルト挿通孔34に挿通させることで、締結ボルト18のボルト頭部88および絶縁キャップ92が電線側締結部32における上面50上に載置される。また、上側開口部180および上方開口部106を通じて、ボルト締結筒部100内にインナハウジング24を挿入する。インナハウジング24におけるインナ側ボルト締結筒部148を、ボルト締結筒部100における前壁部109と第1端子36における上下方向延出部51の前後方向対向間に挿し入れる。インナ側ボルト締結筒部148の下端(小径筒部154の下端)が、電線側締結部32における上面50に当接したり、インナハウジング24における前後方向両端に設けられた各圧入リブ166がボルト締結筒部100の内周面に圧接することで、ボルト締結筒部100内でインナハウジング24が固定される。また、その際、インナハウジング24における各前方係合部160および各後方係合部164がそれぞれ、ハウジング組立体125における各被係合部116および第1接続部46における左右方向両端部に係合することにより、ハウジング本体97からのインナハウジング24の上方への抜けが防止される。これにより、図6,7に示されるコネクタ本体31が完成する。
【0073】
このコネクタ本体31では、図6,7に示されるように、ハウジング本体97におけるボルト締結筒部100の下方部分がシールドシェル30の下端部よりも下方に突出している。そして、ボルト締結筒部100における下方開口部108からは、電線側締結部32における下面49および電線側ボルト挿通孔34に挿通される締結ボルト18のねじ部90が、外方(下方)に露出している。また、コネクタ本体31においては、シールドシェル30とハウジング組立体125との上下方向間や左右方向間に隙間182が形成されていること、および各係合突起112が隙間を隔てて各係合孔184内に挿通されていること等から、シールドシェル30に対してハウジング組立体125が上下方向や左右方向で変位可能である。
【0074】
そして、上記コネクタ本体31を相手側筐体14に組み付けて、電線側端子12と機器側端子16とを締結ボルト18によりボルト締結して接続する。具体的には、図11に示されるように、コネクタ本体31において下方に突出するボルト締結筒部100の下方部分を、相手側筐体14におけるコネクタ装着孔78に挿入する。なお、図11では、相手側筐体14における右側のコネクタ装着孔78にコネクタ本体31が挿入される状態を示している。その際、相手側筐体14における位置決め突部86や、被固定部84としての位置決めピン84bが固定部190としての位置決め孔190bに挿通されることによって、コネクタ本体31と相手側筐体14とが相互に位置決めされた状態で、ボルト締結筒部100の下方部分がコネクタ装着孔78に挿入される。これにより、固定部190としてのボルト挿通孔190aと被固定部84としてのボルト締結穴84aとが上下方向で連通して、ボルト挿通孔190aに挿通される図示しないボルトがボルト締結穴84aに締結されることで、コネクタ本体31と相手側筐体14とが相互に固定される。
【0075】
この状態では、電線側ボルト挿通孔34に挿通された締結ボルト18は機器側端子16に締結されておらず、締結ボルト18のねじ部90がボルト締結孔82の上方開口部における周縁部に当接して、締結ボルト18はインナハウジング24における小径筒部154内において上方に変位している。その後、図11に示されるように、締結ボルト18をボルト締結孔82に締結することで、電線側端子12と機器側端子16とを固定して接続するとともに、締結ボルト18におけるボルト頭部88および絶縁キャップ92を電線側締結部32の上面50に載置する。次に、コネクタ本体31における上方開口部106および上側開口部180に対してサービスカバー126を組み付けて、上方開口部106を蓋部128により覆蓋するとともに上側開口部180を蓋板部136により覆蓋する。続いて、各ボルト挿通孔139に各ボルト186を挿通して各ボルト締結穴188に締結することで、コネクタ本体31に対してサービスカバー126を固定する。これにより、実施形態1のコネクタ10が完成するとともに、電線側端子12と機器側端子16との接続が完了する。
【0076】
上記のように製造されたコネクタ10では、前述のように、被覆電線20に外挿される図示しない編組線等からなる略筒状のシールド部材の端部が、押さえ金具192およびかしめ金具202間に固定されることから、シールド部材、押さえ金具192、シールドシェル30および相手側筐体14が電気的に接続する。そして、例えば相手側筐体14がアース接続されることで、上記シールド部材、押さえ金具192、シールドシェル30および相手側筐体14によってアース経路が構成されて、シールド機能が発揮され得る。
【0077】
また、コネクタ10における第1端子36と第2端子38との接続部分における作用効果について、特に図15を用いてモデル的に説明する。先ず、第2端子38は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んで構成されていることから、第1端子36とのボルト締結前において、第2接触面42を含むその表面には酸化被膜73が形成されている。なお、図15は、各部材等をモデル的に示すものであり、各部材の厚さ寸法や変位量等は正確なものでない場合がある。また、図15では、分かり易さのために、酸化被膜73の厚さ寸法を誇張して示している。
【0078】
そして、上述のように、第1端子36における第1接触面40と第2端子38における第2接触面42とを相互に重ね合わせて、ボルト44の締結によりこれらを固定する。ここで、第1接触面40からは上方に各錐状突起54が突出している。一般に、第1端子36を構成する銅系金属は第2端子38を構成するアルミニウム系金属よりも硬いものであることから、第1接触面40と第2接触面42とを重ね合わせて固定することで、第1接触面40上から突出する各錐状突起54が第2接触面42上の酸化被膜73を突き破り、第2接続部68の内部にまで食い込む。要するに、各錐状突起54が第2接触面42に食い込むことで、第2接触面42上に各錐状突起54と略対応する形状の各収容凹部72が形成されて、各収容凹部72に第1接触面40よりも上方に突出する各錐状突起54の上方部分が収容される。これにより、第1端子36と第2端子38とが酸化被膜73を介することなく接触して、電気的に導通する状態とされる。この状態が、図15中の最も上方に示される[基準時]である。
【0079】
次に、上記コネクタ10を基準時よりも高温の高温環境下に晒した場合を想定する。高温環境下では、第1端子36と第2端子38はいずれも熱により膨張する。例えば、第1端子36と第2端子38との接続部分である第1接続部46および第2接続部68においては、中央部分に設けられた第1ボルト挿通孔48および第2ボルト挿通孔70を中心として、径方向外方に広がるように膨張する。具体的には、第1ボルト挿通孔48および第2ボルト挿通孔70の後方部分を示す図14においては、第1接続部46および第2接続部68がいずれも後方(図14中の右方)に延びるように変形する。
【0080】
ここで、図15中の真ん中に示される[高温環境時]の図において、上記熱膨張に伴う第1端子36の変位量をR1、熱膨張に伴う第2端子38の変位量をR2として、図15中の右方へと向かう白矢印で示す。一般に、第2端子38を構成するアルミニウム系金属は第1端子36を構成する銅系金属よりも線膨張係数が大きいことから、第2端子38の変位量R2は第1端子36の変位量R1よりも大きくなる。すなわち、高温環境時では、各錐状突起54に対して各錐状突起54を収容する各収容凹部72の方が、例えば図15中の右方へと大きく変位することとなるが、銅系金属は比較的靱性の高い金属であることから、各錐状突起54は折れたりすることなく、各収容凹部72の変位に追従して変形することができる。これにより、高温環境時においても各錐状突起54が第2接続部68に食い込み各収容凹部72に収容された状態を維持することができて、要するに第1端子36と第2端子38との導通状態を維持することができる。
【0081】
また、上述の熱に伴って、第1端子36および第2端子38は、厚さ方向である上下方向にも膨張する。この熱膨張に伴う第1端子36の上方への変位量をA1、熱膨張に伴う第2端子38の下方への変位量をA2として、図15中に白矢印で示す。熱膨張に伴う変位は、第1端子36と第2端子38とが相互に接近する方向の変位であることから、高温環境時では基準時に比して、第2接続部68への各錐状突起54の食い込みが大きくなる(すなわち、より深く食い込む)。これによっても、高温環境時において、第1端子36と第2端子38との導通状態を維持することができる。
【0082】
また、上記コネクタ10を基準時よりも低温の低温環境下に晒した場合を想定して、図5中の最も下方において[低温環境時]として示す。低温環境下では、第1端子36と第2端子38はいずれも熱により収縮する。[低温環境時]の図において、熱収縮に伴う第1端子36の変位量をF1、熱収縮に伴う第2端子38の変位量をF2として、図15中の左方へと向かう白矢印で示す。上述のように、一般に、アルミニウム系金属は銅系金属よりも線膨張係数が大きいことから、第2端子38の変位量F2は第1端子36の変位量F1よりも大きくなる。すなわち、低温環境時では、各錐状突起54に対して各錐状突起54を収容する各収容凹部72の方が、例えば図15中の左方へと大きく変位することとなるが、各錐状突起54は折れたりすることなく、各収容凹部72の変位に追従して変形することができる。これにより、低温環境時においても各錐状突起54が第2接続部68に食い込み各収容凹部72に収容された状態を維持することができて、第1端子36と第2端子38との導通状態を維持することができる。
【0083】
また、上述の熱に伴って、第1端子36および第2端子38は、厚さ方向である上下方向にも収縮する。この熱収縮に伴う第1端子36の下方への変位量をS1、熱収縮に伴う第2端子38の上方への変位量をS2として、図15中の白矢印で示す。熱収縮に伴う変位は、第1端子36と第2端子38とが相互に離隔する方向の変位であるが、基準時の時点で各錐状突起54が第2接続部68にある程度食い込んでいる。そして、これら第1端子36と第2端子38とは締結ボルト18により締結されていることから、離隔方向に大きく変位することはなく、仮に低温環境時において各錐状突起54と第2接続部68とが僅かに離隔する方向に変位したとしても、各錐状突起54における第2接続部68への食い込み状態が維持される。これによっても、低温環境時において、第1端子36と第2端子38との導通状態を維持することができる。
【0084】
以上のような構造とされたコネクタ10によれば、コネクタ本体31の内部にインナハウジング24が設けられており、インナハウジング24における第1覆蓋壁150が、電線側締結部32の上面50における上方への露出を阻止している。また、第1覆蓋壁150の内孔により第3開口部152が構成されており、平面視において第3開口部152の内部に締結ボルト18のボルト頭部88が位置することとなるが、ボルト頭部88は絶縁被覆としての絶縁キャップ92によって覆われている。これにより、締結ボルト18の締結に伴って活電部になり得る電線側締結部32や締結ボルト18の上方への露出が阻止されて、作業者が電線側締結部32や締結ボルト18に意図せず接触して感電するおそれが低減され得る。
【0085】
実施形態1では、端子付き電線が端子付きアルミ電線28であり、電線側端子12が、銅または銅合金を含んでなる第1端子36とアルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる第2端子38とを含んで構成されている。また、第1端子36における第1接触面40と第2端子38における第2接触面42とが重ね合わされた状態で、第1端子36と第2端子38がボルト44によりボルト締結されている。これにより、第1端子36と第2端子38との接続をより確実に実現することができる。
【0086】
特に、上記第1端子36における第1接触面40には、複数の錐状突起54が形成されており、第1端子36と第2端子38とを接続するに際して、第1端子36における第1接触面40から突出する各錐状突起54が第2端子38における第2接触面42に食い込むようになっている。これにより、各錐状突起54が第2接触面42上に発生する酸化被膜73を突き破り、第1端子36と第2端子38とを導通させることができる。また、温度変化によって第1端子36と第2端子38とが膨張したり収縮したりする際にも、第2接触面42に食い込む各錐状突起54が第2接触面42の変位に追従して変形することで、各錐状突起54の食い込み状態を保ち、第1端子36と第2端子38との導通状態を安定して維持することができる。
【0087】
そして、これら第1端子36と第2端子38とは異種金属であるが、これらの線膨張係数の差に伴う導電性能の悪化等の問題を解消することができ、且つ軽量化も図ることができる。特に、端子付きアルミ電線28では、第1端子36における前端部が電線側締結部32となり、不必要に第1端子36と第2端子38とのボルト締結を解除することもない。それゆえ、各錐状突起54の変形や摩耗を抑制して、第1端子36と第2端子38との導通状態を長期にわたって維持することができる。
【0088】
上記絶縁キャップ92は中央部94とフランジ部96とを備えており、フランジ部96の外径寸法が電線側ボルト挿通孔34の内径寸法よりも大きくされることで、締結ボルト18が電線側ボルト挿通孔34を通じて下方へ抜け落ちることが防止される。また、フランジ部96の外径寸法が第3開口部152の内径寸法よりも大きくされることで、締結ボルト18が第3開口部152を通じて上方へ抜け落ちることが防止される。これにより、インナハウジング24における小径筒部154内において締結ボルト18をフリーな状態で配置することができて、締結ボルト18の締結作業における作業効率の向上が図られるとともに、締結作業時において作業者が感電してしまうおそれを一層低減することができる。
【0089】
インナハウジング24は、ハウジング本体97に組み付けられた状態において、第1端子36と第2端子38のボルト締結領域を上方から覆う第2覆蓋壁156を有している。これにより、締結ボルト18の締結に伴って活電部になり得る第1端子36と第2端子38とのボルト締結領域における上方への露出が阻止されて、作業者が当該ボルト締結領域に意図せず接触して感電するおそれが低減され得る。
【0090】
ハウジング22は、上方開口部106を覆って組み付けられるサービスカバー126を備えており、サービスカバー126は上方開口部106を覆う蓋部128と、蓋部128から下方に突出する異常検知突起130を有している。締結ボルト18の締結後には、サービスカバー126はハウジング本体97およびシールドシェル30における上方開口部106および上側開口部180を覆うように組み付けられ得るが、締結ボルト18における締結が未完了な状態では、異常検知突起130の下端部(当接部146)が締結ボルト18の上端部に当接することで、サービスカバー126の組付けが不能となる。それゆえ、このような異常検知突起130を有するサービスカバー126を採用することで、作業者が締結ボルト18の締結忘れ等を速やかに把握することができる。
【0091】
また、コネクタ10はシールドシェル30を備えており、図6,7等に示されるコネクタ本体31において、シールドシェル30とハウジング組立体125との間には所定の大きさの隙間182が形成されている。さらに、シールドシェル30には各係合孔184が設けられているとともに、ハウジング組立体125には各係合突起112が設けられており、各係合突起112は各係合孔184の内周面から離隔して挿通されている。これにより、ハウジング組立体125は、シールドシェル30に対して締結ボルト18のボルト締結方向である上下方向(第1方向)で変位可能とされている。この結果、例えばコネクタ本体31(シールドシェル30)を固定部190(ボルト挿通孔190aおよび位置決め孔190b)により相手側筐体14に固定した状態において、公差等により電線側端子12と機器側端子16との間に比較的大きな隙間が生じている場合にも、シールドシェル30に対してハウジング組立体125を変位させることで、電線側端子12と機器側端子16とを略隙間なく接触させることができて、締結ボルト18によるボルト締結を安定して実現することができる。
【0092】
上記隙間182や各係合突起112と各係合孔184との間の隙間は、シールドシェル30とハウジング組立体125との上下方向間だけでなく、左右方向間にも設けられている。これにより、ハウジング組立体125は、シールドシェル30に対して左右方向(第2方向)でも変位可能であり、この結果、電線側端子12と機器側端子16とのボルト締結をより確実に実現することができる。
【0093】
上述のように、各係合突起112は各係合孔184の内周面から離隔して挿通されており、要するに、各係合孔184の上下方向(第1方向)と左右方向(第2方向)における内法寸法が、各係合突起112の上下方向(第1方向)と左右方向(第2方向)における外法寸法よりも大きくされている。これにより、ハウジング組立体125は、シールドシェル30に対して上下方向および左右方向で変位することができる。
【0094】
特に、シールドシェル30を構成する前側壁部168、左側壁部172および右側壁部174は、それぞれ下方になるにつれ、前方、左方および右方へ傾斜しており、シールドシェル30とハウジング組立体125との間の隙間182は、下方になるにつれて次第に大きくなっている。これにより、ハウジング組立体125は、シールドシェル30に対して上下方向や左右方向で揺動するような変位が可能である。この結果、相手側筐体14におけるコネクタ装着孔78に対してハウジング組立体125の下方部分(ボルト締結筒部100の下方部分)を挿入する際にも、ハウジング組立体125は上側に比して下側の変位可能量を大きくすることができる。それゆえ、コネクタ装着孔78に対してハウジング組立体125の下方部分を安定して挿入することができて、電線側端子12と機器側端子16とのボルト締結を一層確実に実現することができる。
【0095】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0096】
(1)前記実施形態では、被覆電線20における芯線26と第2端子38とが一体的に形成されていたが、これらは別体として形成されて電気的に接続されてもよい。
【0097】
(2)前記実施形態では、電線側端子12が銅または銅合金を含んでなる第1端子36と、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含んでなる第2端子38により構成されていたが、このような態様に限定されるものではない。すなわち、例えば電線側端子は単一の部材によって構成されてもよい。その場合、電線側端子の材質は限定されるものではなく、銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)であってもよい。あるいは、電線側端子は、3つ以上の部材によって構成されてもよい。電線側端子が複数の部材により構成される場合、それらの部材の接続はボルト締結に限定されるものではなく、接着や溶接であってもよい。また、電線側端子が被覆電線における芯線とは別体として形成される場合、電線側端子と芯線との接続方法は限定されるものではなく、ボルト締結や接着、溶接等であってもよい。
【0098】
(3)前記実施形態では、各錐状突起54が正四角錐形状とされて前後方向および左右方向で整列して配置されていたが、この態様に限定されるものではない。例えば、錐状突起を構成する底面は平面視において略菱形形状とされて、前後方向および左右方向で略隙間なく整列して配置されてもよい。また、複数の錐状突起は環状に配置されて、これら複数の錐状突起からなる環状体が、第1ボルト挿通孔の径方向で略隙間なく、あるいは所定の隙間を隔てて複数設けられてもよい。これら複数の環状体を構成する複数の錐状突起の頂点の位置は、径方向で隣り合う各錐状突起において、第1ボルト挿通孔の径方向で延びる同一の直線上に位置していてもよいし、径方向で隣り合う各錐状突起において、第1ボルト挿通孔の径方向で延びる異なる直線上に位置していてもよい。なお、例えば第2接触面が略全面にわたって錐状突起形成領域に重ね合わされる場合、各錐状突起は第1接触面よりも上方まで突出していなくてもよい。
【0099】
(4)各錐状突起の形状は限定されるものではなく、底面が五角以上の多角形とされた角錐形状や円錐形状(底面が楕円や長円、半円等を含む)、またはこれらの混合や組み合わせであってもよい。また、各錐状突起の形状は全てが同形状である必要はなく、熱膨張や熱収縮による変位量を考慮する等して、例えば径方向内方側と径方向外方側とで各錐状突起の形状を異ならせてもよい。なお、本開示に係るコネクタにおいて、このような錐状突起は必須なものではなく、錐状突起は設けられなくてもよい。また、錐状突起が設けられる場合であっても、第1端子に代えて、または加えて、第2端子に設けられてもよい。さらに、前記実施形態では、錐状突起形成領域52の中央部分に第1ボルト挿通孔48が形成されていたが、第1ボルト挿通孔は錐状突起形成領域から外れた位置に形成されてもよい。
【0100】
(5)前記実施形態では、サービスカバー126が異常検知突起130を備えていたが、本開示に係るコネクタにおいて異常検知突起は必須なものではなく、締結ボルトの締結忘れを検知する機構は設けられてなくもよい。
【0101】
(6)前記実施形態では、コネクタ10が、ハウジング22の内部に収容されるインナハウジング24を備えていたが、本開示に係るコネクタにおいて、インナハウジングは必須なものではなく、インナハウジングは設けられなくてもよい。すなわち、前記実施形態では、ハウジング22の内部において締結ボルト18が小径筒部154から離脱不能に配置されていたが、締結ボルトはコネクタとは別個に設けられて、ハウジング本体における上方開口部およびシールドシェルにおける上側開口部から挿し入れられて、電線側端子と機器側端子とをボルト締結するようになっていてもよい。また、本開示に係るコネクタにおいて、締結ボルトのボルト頭部に設けられる絶縁被覆としての絶縁キャップは必須なものではない。
【符号の説明】
【0102】
10 コネクタ
12 電線側端子
14 相手側筐体(車載機器)
16 機器側端子
18 締結ボルト
20 被覆電線(電線)
22 ハウジング
24 インナハウジング
26 芯線
28 端子付きアルミ電線(端子付き電線)
30 シールドシェル
31 コネクタ本体
32 電線側締結部
34 電線側ボルト挿通孔
36 第1端子
38 第2端子
40 第1接触面
42 第2接触面
44 ボルト
46 第1接続部
48 第1ボルト挿通孔
49 下面(第1面)
50 上面(第2面)
51 上下方向延出部
52 錐状突起形成領域
54 錐状突起
56 底面
58 頂点
60 側面
62 稜線
64 谷部
66 絶縁被覆
68 第2接続部
70 第2ボルト挿通孔
72 収容凹部
73 酸化被膜
74 ナット
76 ベース板部
78 コネクタ装着孔
80 相手側周壁部
82 ボルト締結孔
84 被固定部
84a ボルト締結穴
84b 位置決めピン
86 位置決め突部
88 ボルト頭部
90 ねじ部
92 絶縁キャップ(絶縁被覆)
94 中央部
96 フランジ部
97 ハウジング本体
98 電線挿通筒部
100 ボルト締結筒部
102 前方開口部
104 後方開口部
106 上方開口部(第2開口部)
108 下方開口部(第1開口部)
109 前壁部
110 段差壁部
112 係合突起
114 シール部材
116 被係合部
118 係止孔
120 シール部材
122 バックリテーナ
124 係止凸部
125 ハウジング組立体
126 サービスカバー
128 蓋部
130 異常検知突起
131 補強リブ
132 鍔部
134 シール部材
136 蓋板部
138 ねじ
139 ボルト挿通孔
140 位置決めピン
142 位置決め孔
144 段差部
146 当接部
148 インナ側ボルト締結筒部
150 第1覆蓋壁
152 第3開口部
154 小径筒部
156 第2覆蓋壁
158 前方弾性片
160 前方係合部(係合部)
162 後方弾性片
164 後方係合部(係合部)
166 圧入リブ
168 前側壁部
170 上側壁部
172 左側壁部
174 右側壁部
176 下側開口部
178 後側開口部
180 上側開口部
182 隙間
184 係合孔
186 ボルト
188 ボルト締結穴
190 固定部
190a ボルト挿通孔
190b 位置決め孔
192 押さえ金具
194 ねじ
196 筒状部
198 フランジ状部
200 ねじ挿通孔
202 かしめ金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15