(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001629
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】先端構成部、内視鏡挿入部、内視鏡、及び超音波内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/012 20060101AFI20241225BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241225BHJP
A61B 8/12 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
A61B1/012 511
A61B1/00 715
A61B1/00 530
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035317
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】63/521,956
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 高広
【テーマコード(参考)】
4C161
4C601
【Fターム(参考)】
4C161BB03
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF36
4C161FF40
4C161FF42
4C161GG11
4C161HH24
4C161LL02
4C161WW16
4C601EE16
4C601FE02
4C601GC01
4C601GC13
(57)【要約】
【課題】洗浄用のブラシのワイヤにより先端部材が傷つくことを防止した先端構成部を提供すること。
【解決手段】先端構成部は、内視鏡の挿入部の先端に配置されている先端部材と、前記先端部材の外表面に形成されている開口から基端側に連通しており、前記開口から基端側の所定の位置に設けられている屈曲部を有する流体チャンネルと、を備え、前記流体チャンネルは、前記屈曲部から先端側に向かって第1方向に沿って前記開口まで延在している第1部分と、前記屈曲部から基端側に向かって前記第1方向と鈍角である第1角度をなす第2方向に沿って延在している第2部分と、を有し、前記先端部材には、前記開口から前記第1方向が前記第2方向に対して屈曲している方向と反対側に凹んでいる第1凹部が形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部の先端に配置されている先端部材と、
前記先端部材の外表面に形成されている開口から基端側に連通しており、前記開口から基端側の所定の位置に設けられている屈曲部を有する流体チャンネルと、
を備え、
前記流体チャンネルは、
前記屈曲部から先端側に向かって第1方向に沿って前記開口まで延在している第1部分と、
前記屈曲部から基端側に向かって前記第1方向と鈍角である第1角度をなす第2方向に沿って延在している第2部分と、
を有し、
前記先端部材には、前記開口から前記第1方向が前記第2方向に対して屈曲している方向と反対側に凹んでいる第1凹部が形成されている先端構成部。
【請求項2】
前記第1凹部は、先端側に向かって前記第2方向と前記第1角度より大きい第2角度をなす第3方向に向かって延在している傾斜部を有する請求項1に記載の先端構成部。
【請求項3】
前記第2方向は、前記挿入部の長手方向に沿った方向である請求項1に記載の先端構成部。
【請求項4】
前記開口は、円形状をなし、
前記第1凹部は、前記円形の径を拡大した拡径部である請求項1に記載の先端構成部。
【請求項5】
前記開口は、円形状をなし、
前記第1凹部は、前記円形のよりも径が小さい半円状をなす請求項1に記載の先端構成部。
【請求項6】
前記第1凹部が凹んでいる深さは、0.3mm以上である請求項1に記載の先端構成部。
【請求項7】
前記先端部材には、前記開口から前記第1方向が前記第2方向に対して屈曲している方向に凹んでいる第2凹部が形成されている請求項1に記載の先端構成部。
【請求項8】
前記先端部材は、
前記挿入部の長手方向と交差する先端面と、前記長手方向に沿った側面とを有し、
前記開口は、前記先端面に形成されている請求項1に記載の先端構成部。
【請求項9】
前記先端部材は、バルーンバンドを係止するバルーン溝を有し、
前記開口は、前記バルーン溝よりも先端側に形成されている請求項8に記載の先端構成部。
【請求項10】
前記先端部材は、
前記挿入部の長手方向と交差する先端面と、前記長手方向に沿った側面とを有し、
前記開口は、前記側面に形成されている請求項1に記載の先端構成部。
【請求項11】
前記先端部材は、基端側のバルーンバンドを係止する第1バルーン溝と、前記第1バルーン溝よりも先端側に位置し、先端側のバルーンバンドを係止する第2バルーン溝と、を有し、
前記開口は、前記第1バルーン溝と前記第2バルーン溝との間に形成されている請求項10に記載の先端構成部。
【請求項12】
請求項1に記載の先端構成部と、
前記先端構成部が先端に配置されている挿入部と、
を備える内視鏡挿入部。
【請求項13】
請求項1に記載の先端構成部と、
前記先端構成部が先端に配置されている挿入部と、
を備える内視鏡。
【請求項14】
請求項1に記載の先端構成部と、
前記先端構成部が先端に配置されている挿入部と、
を備え、
前記先端構成部に超音波振動子が配置されている超音波内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端構成部、内視鏡挿入部、内視鏡、及び超音波内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検体内に挿入される挿入部の先端に取り付けられたバルーン内に空気や脱気水等を注入し、消化管等の観察部位に密着させる技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、先端硬質部(先端部材)を貫通して形成された通気孔からバルーン内にエアを注入し、膨張させる技術が記載されている。また、通気孔の出入口が挿入部の長手方向に対して傾斜していることにより、この通気孔の出入口から洗浄用のブラシが挿入しやすくなることも記載されている。
【0004】
洗浄用のブラシは、通気孔に連通する管路全体を洗浄するため、長尺なワイヤの先端に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通気孔の出入口が挿入部の長手方向に対して傾斜していると、洗浄用のブラシのワイヤが出入口の縁に接触し、先端部材を傷つける恐れがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、洗浄用のブラシのワイヤにより先端部材が傷つくことを防止した先端構成部、内視鏡挿入部、内視鏡、及び超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る先端構成部は、内視鏡の挿入部の先端に配置されている先端部材と、前記先端部材の外表面に形成されている開口から基端側に連通しており、前記開口から基端側の所定の位置に設けられている屈曲部を有する流体チャンネルと、を備え、前記流体チャンネルは、前記屈曲部から先端側に向かって第1方向に沿って前記開口まで延在している第1部分と、前記屈曲部から基端側に向かって前記第1方向と鈍角である第1角度をなす第2方向に沿って延在している第2部分と、を有し、前記先端部材には、前記開口から前記第1方向が前記第2方向に対して屈曲している方向と反対側に凹んでいる第1凹部が形成されている。
【0009】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記第1凹部は、先端側に向かって前記第2方向と前記第1角度より大きい第2角度をなす第3方向に向かって延在している傾斜部を有する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記第2方向は、前記挿入部の長手方向に沿った方向である。
【0011】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記開口は、円形状をなし、前記第1凹部は、前記円形の径を拡大した拡径部である。
【0012】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記開口は、円形状をなし、前記第1凹部は、前記円形のよりも径が小さい半円状をなす。
【0013】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記第1凹部が凹んでいる深さは、0.3mm以上である。
【0014】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記先端部材には、前記開口から前記第1方向が前記第2方向に対して屈曲している方向に凹んでいる第2凹部が形成されている。
【0015】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記先端部材は、前記挿入部の長手方向と交差する先端面と、前記長手方向に沿った側面とを有し、前記開口は、前記先端面に形成されている。
【0016】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記先端部材は、バルーンバンドを係止するバルーン溝を有し、前記開口は、前記バルーン溝よりも先端側に形成されている。
【0017】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記先端部材は、前記挿入部の長手方向と交差する先端面と、前記長手方向に沿った側面とを有し、前記開口は、前記側面に形成されている。
【0018】
また、本発明の一態様に係る先端構成部は、前記先端部材は、基端側のバルーンバンドを係止する第1バルーン溝と、前記第1バルーン溝よりも先端側に位置し、先端側のバルーンバンドを係止する第2バルーン溝と、を有し、前記開口は、前記第1バルーン溝と前記第2バルーン溝との間に形成されている。
【0019】
また、本発明の一態様に係る内視鏡挿入部は、先端構成部と、前記先端構成部が先端に配置されている挿入部と、を備える。
【0020】
また、本発明の一態様に係る内視鏡は、先端構成部と、前記先端構成部が先端に配置されている挿入部と、を備える。
【0021】
また、本発明の一態様に係る超音波内視鏡は、先端構成部と、前記先端構成部が先端に配置されている挿入部と、を備え、前記先端構成部に超音波振動子が配置されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、洗浄用のブラシのワイヤにより先端部材が傷つくことを防止した先端構成部、内視鏡挿入部、内視鏡、及び超音波内視鏡を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る内視鏡システムを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、先端構成部の長手方向に直交する断面図である。
【
図5】
図5は、先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、バルーン送水口を先端側から見た図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係る先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、バルーン送水口を先端側から見た図である。
【
図10】
図10は、変形例2に係る先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
【
図11】
図11は、変形例3に係る先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
【
図14】
図14は、処置具チャンネルの先端部の部分拡大図である。
【
図15】
図15は、処置具チャンネルブロックの断面図である。
【
図16】
図16は、処置具チャンネルブロックの斜視図である。
【
図17】
図17は、処置具チャンネルブロックの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して本発明に係る先端構成部、内視鏡挿入部、内視鏡、及び超音波内視鏡の実施の形態を説明する。なお、これらの実施の形態により本発明が限定されるものではない。本発明は、先端構成部、内視鏡挿入部、内視鏡、及び超音波内視鏡一般に適用することができる。
【0025】
また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0026】
(実施の形態)
〔内視鏡システムの構成〕
図1は、実施の形態に係る内視鏡システムを模式的に示す図である。内視鏡システム1は、超音波内視鏡を用いて人等の被検体内の超音波診断を行うシステムである。この内視鏡システム1は、
図1に示すように、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、内視鏡観察装置4と、表示装置5と、光源装置6と、を備える。
【0027】
超音波内視鏡2は、その先端部に設けられた超音波振動子によって、超音波観測装置3から受信した電気的なパルス信号を超音波パルスに変換して被検体へ照射するとともに、被検体にて反射された超音波エコーを電圧変化によって表現する電気的なエコー信号に変換してから出力する。
【0028】
超音波内視鏡2は、通常は撮像光学系及び撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、又は呼吸器(気管、気管支)へ挿入され、消化管や、呼吸器のいずれかの撮像を行うことが可能である。また、その周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)を、超音波を用いて撮像することが可能である。また、超音波内視鏡2は、光学撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、先端部が超音波内視鏡2の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置6に接続されている。
【0029】
超音波内視鏡2は、
図1に示すように、挿入部21と、操作部22と、ユニバーサルコード23と、コネクタ24と、を備える。
【0030】
挿入部21は、被検体内に挿入される部分である。この挿入部21は、
図1に示すように、超音波内視鏡2の先端側に設けられ、コンベックス型の超音波振動子7を保持する硬性の先端部材211と、中心軸に直交する湾曲方向に湾曲する湾曲管212と、可撓性を有し、中心軸を有する挿入管213と、を備える。先端部材211は、湾曲管212の先端側に設けられており、湾曲管212は、挿入管213の先端側に設けられており、挿入管213は、操作部22の先端側に設けられている。挿入部21の先端の構成、及び湾曲管212の構成については、後述する。
【0031】
操作部22は、挿入部21の基端側に連結され、医師等の操作者からの各種操作を受け付ける部分である。この操作部22は、
図1に示すように、湾曲管212を湾曲させる湾曲操作を受け付ける湾曲ノブ221と、各種操作を行うための複数の操作部材222と、を備える。また、操作部22には、処置具用挿通路に連通し、当該処置具用挿通路に処置具を挿通するための処置具挿入口223が形成されている。
【0032】
ユニバーサルコード23は、操作部22から延在し、各種信号を伝送する複数の信号ケーブル、及び光源装置6から供給された照明光を伝送する光ファイバ等が配設されたケーブルである。
【0033】
コネクタ24は、ユニバーサルコード23の先端に設けられている。そして、コネクタ24は、超音波ケーブル31が接続される第1コネクタ部241、ビデオケーブル41が接続される第2コネクタ部242、及び、光ファイバケーブル61が接続される第3コネクタ部243を備える。
【0034】
超音波観測装置3は、超音波ケーブル31(
図1参照)を経由して超音波内視鏡2に電気的に接続し、超音波ケーブル31を経由して超音波内視鏡2にパルス信号を出力するとともに超音波内視鏡2からエコー信号が入力される。そして、超音波観測装置3は、当該エコー信号に所定の処理を施して超音波画像を生成する。
【0035】
内視鏡観察装置4は、ビデオケーブル41(
図1参照)を経由して超音波内視鏡2に電気的に接続し、ビデオケーブル41を経由して超音波内視鏡2からの画像信号を入力する。そして、内視鏡観察装置4は、当該画像信号に所定の処理を施して内視鏡画像を生成する。
【0036】
表示装置5は、液晶又は有機EL(ElectroLuminescence)、プロジェクタ、CRT(CathodeRayTube)などを用いて構成され、超音波観測装置3にて生成された超音波画像や、内視鏡観察装置4にて生成された内視鏡画像等を表示する。
【0037】
光源装置6は、光ファイバケーブル61(
図1参照)を経由して超音波内視鏡2に接続し、光ファイバケーブル61を経由して被検体内を照明する照明光を超音波内視鏡2に供給する。
【0038】
〔先端構成部の構成〕
図2は、
図1のA矢視図である。
図3は、
図2のB矢視図である。
図2、
図3に示すように、超音波内視鏡2の挿入部21の先端に配置されている先端構成部10において、先端部材211の先端には、被検体からの光を集光する撮像レンズ101と、被検体内に照明光を照射する照明レンズ102と、鉗子等の処置具を突出させる処置具突出口103と、
図3の上方に向かって処置具を起上させる処置具起上台104と、空気等の気体又は水等の液体を放出する開口である送気送水口105と、バルーン内に水等の液体を送出する開口であるバルーン送水口106と、バルーン内から水等の液体を吸引する開口であるバルーン吸引口107と、が配置されている。先端部材211は、バルーンバンドを係止するバルーン溝2111を有し、バルーン送水口106は、バルーン溝2111よりも先端側に形成されている。
【0039】
〔先端構成部の内部の構成〕
図4は、先端構成部の長手方向に直交する断面図である。
図4に示すように、先端部材211の内部には、撮像レンズ101が受光した光を変換した画像信号を伝送する信号ケーブル111と、照明レンズ102に照明光を伝送するライトガイド112と、処置具が挿通されるチャンネルチューブ113と、超音波振動子7に信号を送受信する振動子ケーブル114と、送気送水口105に気体又は液体を伝送する送気送水チューブ115と、バルーン送水口106に液体を伝送するバルーン送水チューブ116と、バルーン吸引口107から吸引された液体を伝送するバルーン吸引チューブ117と、処置具起上ワイヤ119が挿通される処置具起上チューブ118と、操作部22に対する操作に応じて処置具起上台を起上させる処置具起上ワイヤ119と、が挿通されている。
【0040】
〔バルーン送水チャンネルの構成〕
図5は、先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
図5に示すように、先端構成部10は、超音波内視鏡2の挿入部21の先端に配置されている先端部材211と、先端部材211の外表面に形成されているバルーン送水口106から基端側に連通しており、バルーン送水口106から基端側の所定の位置に設けられている屈曲部1061を有し、基端側にバルーン送水チューブ116が接続されている流体チャンネルであるバルーン送水チャンネル1060と、を備える。
【0041】
バルーン送水チャンネル1060は、屈曲部1061から先端側に向かって第1方向D1に沿ってバルーン送水口106まで延在している第1部分1062と、屈曲部1061から基端側に向かって第1方向D1と鈍角である第1角度A1をなす第2方向D2に沿って延在している第2部分1063と、を有する。第2方向D2は、挿入部21の長手方向に沿った方向であるが、挿入部21の長手方向と交差する方向であってもよい。
【0042】
先端部材211は、挿入部21の長手方向と交差する先端面と、長手方向に沿った側面とを有し、バルーン送水口106は、先端面に形成されている。先端部材211には、バルーン送水口106から第1方向D1が第2方向D2に対して屈曲している方向(
図5の上方)と反対側に凹んでいる第1凹部1064が形成されている。第1凹部1064は、先端側に向かって第2方向D2と第1角度A1より大きい第2角度A2をなす第3方向D3に向かって延在している傾斜部を有する。第1凹部1064が凹んでいる深さDe1は、例えば0.3mm以上である。なお、第1凹部1064は、円形の径を拡大した拡径部であってもよい。
【0043】
図6は、バルーン送水口を先端側から見た図である。
図6に示すように、バルーン送水口106は、円形状をなす。第1凹部1064は、バルーン送水口106の円形よりも径が小さい半円状をなす。
【0044】
〔ブラシの構成〕
図7は、ブラシの概略的な構成図である。
図7に示すブラシ300を操作部22側から挿入し、バルーン送水口106から突出させることにより、バルーン送水チャンネル1060全体を洗浄することができる。ブラシ300は、ワイヤ301と、先端チップ302と、ブラシ部303と、を有する。先端チップ302は、ワイヤ301の先端に金属部品をカシメることにより形成されている。その結果、先端チップ302により、ワイヤ301の長手方向と直交する方向に段差部が形成される。この段差部のワイヤ301の長手方向と直交する方向の高さは、0.3mm未満である。
【0045】
以上説明した先端構成部10によれば、先端部材211に第1凹部1064が形成されているため、バルーン送水口106から突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106の縁に引っ掛かり、先端部材211が傷つくことが防止されている。
【0046】
さらに、第1凹部1064の深さDe1を0.3mm以上とすることにより、先端チップ302により形成される段差部の高さより第1凹部1064の深さDe1方が大きくなるため、バルーン送水口106から突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106の縁に引っ掛かることを確実に防止することができる。
【0047】
なお、バルーン送水口106の他に、送気送水口105又はバルーン吸引口107に実施の形態と同様の構成を採用してもよい。この場合にも同様に、洗浄用のブラシのワイヤにより先端部材が傷つくことを防止することができる。
【0048】
また、先端部材211は、挿入部21の長手方向と交差する先端面と、長手方向に沿った側面とを有し、バルーン送水口106は、側面に形成されていてもよい。先端部材211は、基端側のバルーンバンドを係止する第1バルーン溝と、第1バルーン溝よりも先端側に位置し、先端側のバルーンバンドを係止する第2バルーン溝と、を有し、バルーン送水口106は、第1バルーン溝と第2バルーン溝との間に形成されていてもよい。
【0049】
(変形例1)
図8は、変形例1に係る先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
図9は、バルーン送水口を先端側から見た図である。
図8、
図9に示すように、先端構成部10Aの先端部材211Aには、バルーン送水口106Aから第1方向が第2方向に対して屈曲している方向(
図8の上方)と反対側に凹んでいる第1凹部1064Aが形成されている。さらに、先端部材211Aには、バルーン送水口106Aから第1方向が第2方向に対して屈曲している方向に凹んでいる第2凹部1065Aが形成されている。
【0050】
以上説明した先端構成部10Aによれば、先端部材211Aに第1凹部1064Aが形成されているため、バルーン送水口106Aから突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106Aの下方の縁に引っ掛かり、先端部材211Aが傷つくことが防止されている。
【0051】
さらに、先端構成部10Aによれば、先端部材211Aに第2凹部1065Aが形成されているため、バルーン送水口106Aから突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106Aの上方の縁に引っ掛かり、先端部材211Aが傷つくことが防止されている。
【0052】
(変形例2)
図10は、変形例2に係る先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
図10に示すように、先端構成部10Bの先端部材211Bには、バルーン送水口106Bから第1方向が第2方向に対して屈曲している方向(
図10の上方)と反対側に凹んでいる第1凹部1064Bが形成されている。第1凹部1064Bは、先端側に向かってR状をなす滑らかな曲面を有する。さらに、先端部材211Bには、バルーン送水口106Bから第1方向が第2方向に対して屈曲している方向に凹んでいる第2凹部1065Bが形成されている。
【0053】
以上説明した先端構成部10Bによれば、先端部材211Bに第1凹部1064Bが形成されているため、バルーン送水口106Bから突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106Bの下方の縁に引っ掛かり、先端部材211Bが傷つくことが防止されている。
【0054】
さらに、先端構成部10Bによれば、先端部材211Bに第2凹部1065Bが形成されているため、バルーン送水口106Bから突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106Bの上方の縁に引っ掛かり、先端部材211Bが傷つくことが防止されている。
【0055】
(変形例3)
図11は、変形例3に係る先端構成部の長手方向に沿った断面図である。
図11に示すように、先端構成部10Cの先端部材211Cには、バルーン送水口106Cから第1方向が第2方向に対して屈曲している方向(
図11の上方)と反対側に凹んでいる第1凹部1064Cが形成されている。第1凹部1064Cは、先端側に向かって第2方向D2と第1角度A1より大きい第2角度A21をなす第3方向D31に向かって延在している傾斜部を有する。なお、第2角度A21は、第2方向D2から反時計回りに第3方向D31に向かう角度と、第2方向D2から時計回りに第3方向D31に向かう角度とのいずれか小さい方の角度である。変形例3のように、第2角度A21が、第2方向D2から時計回りに第3方向D31に向かう角度である場合、90°<第2角度A21≦180°を満たす角度であればよい。さらに、先端部材211Cには、バルーン送水口106Cから第1方向が第2方向に対して屈曲している方向に凹んでいる第2凹部1065Cが形成されている。
【0056】
以上説明した先端構成部10Cによれば、先端部材211Cに第1凹部1064Cが形成されているため、バルーン送水口106Cから突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106Cの下方の縁に引っ掛かり、先端部材211Cが傷つくことが防止されている。
【0057】
さらに、先端構成部10Cによれば、先端部材211Cに第2凹部1065Cが形成されているため、バルーン送水口106Cから突出させたブラシ300の先端チップ302の基端側の面がバルーン送水口106Cの上方の縁に引っ掛かり、先端部材211Cが傷つくことが防止されている。
【0058】
〔撮像部の構成〕
図12は、撮像部の部分拡大図である。
図12に示すように、撮像部は、先端に位置する撮像レンズ101と、撮像レンズ101が集光した光を画像信号に変換する撮像素子を含む撮像ユニット121と、撮像素子が生成した画像信号を内視鏡観察装置4に伝送する信号ケーブル111と、を含む。
【0059】
図13は、先端部材の断面図である。
図13に示すように、先端部材211には、突き当て部2112が形成されている。突き当て部2112は、先端側から中ぐり加工で段差を削ることにより形成されている。この突き当て部2112に撮像ユニット121を突き当てて固定し、撮像レンズ101を取り付けることにより撮像部が形成される。
【0060】
これに対して、基端側から中ぐり加工を行う場合、側面に加工穴が空くため、加工穴を埋めるためにフタ構造を採用する必要がある。フタ構造は、リプロセスやコストの観点から好ましくないため、先端側からの中ぐり加工によりフタ構造を回避することができる。
【0061】
〔処置具チャンネルの構成〕
図14は、処置具チャンネルの先端部の部分拡大図である。
図14に示すように、処置具チャンネル1130は、処置具突出口103の基端側に配置されている処置具チャンネルブロック1131と、処置具チャンネルブロック1131の基端側に接続されているチャンネルチューブ113と、を有する。
【0062】
図15は、処置具チャンネルブロックの断面図である。
図15に示すように、処置具チャンネルブロック1131には、処置具突出口103に向けて傾斜する傾斜部の基端側より内径を拡大する拡径部1131a及び1131bが設けられている。その結果、傾斜部の基端側の内径Di1よりも、傾斜部の先端側の内径Di2yの方が大きい。
【0063】
図16は、処置具チャンネルブロックの斜視図である。
図16に示すように、拡径部1131a及び1131bは、縦方向(y方向)に設けられているため、横方向(x方向)の内径Di2xよりも縦方向の内径Di2yの方が大きい。その結果、処置具チャンネルブロック1131の先端側は、長円形の開口をなす。
【0064】
図14に戻り、処置具チャンネル1130に太径の処置具Tを挿通し、処置具Tを起上する際、点P1が力点、点P2が支点となる。支点P2の位置は、拡径部1131aにより先端側にずれる。その結果、力点である点P1と支点である点P2との距離が近くなり、反力が小さくなるため、処置具Tを起上する際に必要な力が低減される。さらに、支点P2の位置が先端側にずれることにより、処置具Tを起上する角度を大きくすることができる。
【0065】
また、拡径部1131bが形成されていることにより、処置具Tを処置具チャンネルブロック1131に挿通する際に、傾斜部の基端側に対して拡径部1131bが180°より大きい角度で接続しているため、処置具Tが傾斜部に引っかかることが防止されている。
【0066】
図17は、処置具チャンネルブロックの断面図である。
図17に示すように、処置具チャンネルブロック1131Aは、処置具突出口103に向けて傾斜する傾斜部の基端側より内径を拡大する段差部1131Abを有していてもよい。段差部1131Abが形成されていることにより、処置具Tを処置具チャンネルブロック1131に挿通する際に、処置具Tが傾斜部に引っかかることが防止されている。
【0067】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表し、かつ記述した特定の詳細及び代表的な実施の形態に限定されるものではない。従って、添付のクレーム及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 内視鏡システム
2 超音波内視鏡
3 超音波観測装置
4 内視鏡観察装置
5 表示装置
6 光源装置
7 超音波振動子
10、10A、10B、10C 先端構成部
21 挿入部
22 操作部
23 ユニバーサルコード
24 コネクタ
31 超音波ケーブル
41 ビデオケーブル
61 光ファイバケーブル
101 撮像レンズ
102 照明レンズ
103 処置具突出口
104 処置具起上台
105 送気送水口
106、106A、106B、106C バルーン送水口
107 バルーン吸引口
111 信号ケーブル
112 ライトガイド
113 チャンネルチューブ
114 振動子ケーブル
115 送気送水チューブ
116 バルーン送水チューブ
117 バルーン吸引チューブ
118 処置具起上チューブ
119 処置具起上ワイヤ
121 撮像ユニット
211、211A、211B、211C 先端部材
212 湾曲管
213 挿入管
221 湾曲ノブ
222 操作部材
223 処置具挿入口
300 ブラシ
301 ワイヤ
302 先端チップ
303 ブラシ部
1060 バルーン送水チャンネル
1061 屈曲部
1062 第1部分
1063 第2部分
1064、1064A、1064B、1064C 第1凹部
1065A、1065B、1065C 第2凹部
1030 処置具チャンネル
1131 処置具チャンネルブロック
1131a、1131b 拡径部
1131Ab 段差部
2112 突き当て部