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特開2025-16290データ処理システム、管理装置およびデータ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016290
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】データ処理システム、管理装置およびデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20250124BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
G06F11/34 147
G06F11/07 151
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119473
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 悠一
(72)【発明者】
【氏名】任 鵬達
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ17
5B042JJ29
5B042MA08
5B042MA11
5B042MA14
5B042MC40
(57)【要約】
【課題】算出する機器異常度の精度を向上し、ユーザが数値によって異常度を正確に把握することが可能な技術を提供する。
【解決手段】データ処理システムであって、一つ以上の機器とデータ通信可能に接続された通信装置と、通信装置とデータ通信可能に接続され、当該通信装置から取得した情報を解析する管理装置とを備え、通信装置は、接続された機器の稼働ログおよび/または当該通信装置の稼働ログを含む情報を取得して管理装置に送信する情報取得部を有し、管理装置は、通信装置から受信した情報に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する分類部と、分類部の分類結果に基づいて、当該機器の稼働ログまたは当該通信装置の稼働ログと、当該機器または当該通信装置と同じグループに分類された他の機器および/または通信装置の稼働ログとを比較して、比較結果を出力する統計処理部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理システムであって、
一つ以上の機器とデータ通信可能に接続された通信装置と、
前記通信装置とデータ通信可能に接続され、当該通信装置から取得した情報を解析する管理装置と
を備え、
前記通信装置は、
接続された機器の稼働ログおよび/または当該通信装置の稼働ログを含む情報を取得して前記管理装置に送信する情報取得部を有し、
前記管理装置は、
前記通信装置から受信した情報に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する分類部と、
前記分類部の分類結果に基づいて、当該機器の稼働ログまたは当該通信装置の稼働ログと、当該機器または当該通信装置と同じグループに分類された他の機器および/または通信装置の稼働ログとを比較して、比較結果を出力する統計処理部と
を有する
データ処理システム。
【請求項2】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置の稼働時間を含み、
前記分類部は、稼働時間に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記稼働時間は、累積稼働時間である、請求項2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置の位置情報を含み、
前記分類部は、位置情報に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記位置情報は、当該位置情報に係る通信装置が行うモバイル無線通信における基地局の情報を表す基地局IDに基づいて取得される、請求項4に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記位置情報は、当該位置情報に係る通信装置が行う無線通信に関する情報であるSSIDに基づいて取得される、請求項4に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置に設置された温度センサの値を含み、
前記分類部は、温度センサの値に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置における異常イベントの発生回数、部品の劣化度合または消耗品の消耗度合の少なくともいずれか一つを含み、
前記分類部は、異常イベントの発生回数、部品の劣化度合または消耗品の消耗度合の少なくともいずれか一つに基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記稼働ログは、
当該稼働ログに係る機器または通信装置の稼働時間と、
当該稼働ログに係る機器または通信装置の位置情報および/または当該稼働ログに係る機器または通信装置に設置された温度センサの値と
を含み、
前記稼働時間は、位置情報毎および/または温度センサの値毎に、前記位置情報および/または前記温度センサの値と対応付けられて記録され、
前記分類部は、位置情報および/または温度センサの値と対応付けられた稼働時間に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記統計処理部は、前記比較結果として、当該機器の稼働ログまたは当該通信装置の稼働ログが、当該機器または当該通信装置と同じグループに分類された他の全ての機器および通信装置の稼働ログと比較してどの程度の外れ値に当たるかを出力する、請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記統計処理部は、前記稼働ログに係る事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、前記算出された発生確率を表す数値を当該稼働ログに係る機器または通信装置の異常度を表す値として出力する、請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
前記統計処理部は、前記稼働ログに係る事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、前記算出された発生確率を表す値を、ヒストグラムの形式で表した前記確率分布にプロットして前記比較結果として出力する、請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項13】
前記統計処理部は、前記稼働ログに係る事象の全ての種別について、種別毎に、当該事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、算出された発生確率の値が相対的に大きい事象を異常要因となる蓋然性が高い事象として出力する、請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項14】
一つ以上の機器とデータ通信可能に接続された通信装置とデータ通信可能に接続され、当該通信装置から取得した情報を解析する管理装置であって、
前記通信装置から受信した情報に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する分類部と、
前記分類部の分類結果に基づいて、当該機器の稼働ログまたは当該通信装置の稼働ログと、当該機器または当該通信装置と同じグループに分類された他の機器および/または通信装置の稼働ログとを比較して、比較結果を出力する統計処理部と
を有する管理装置。
【請求項15】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置の稼働時間を含み、
前記分類部は、稼働時間に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項14に記載の管理装置。
【請求項16】
前記稼働時間は、累積稼働時間である、請求項15に記載の管理装置。
【請求項17】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置の位置情報を含み、
前記分類部は、位置情報に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項14に記載の管理装置。
【請求項18】
前記位置情報は、当該位置情報に係る通信装置が行うモバイル無線通信における基地局の情報を表す基地局IDに基づいて取得される、請求項17に記載の管理装置。
【請求項19】
前記位置情報は、当該位置情報に係る通信装置が行う無線通信に関する情報であるSSIDに基づいて取得される、請求項17に記載の管理装置。
【請求項20】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置に設置された温度センサの値を含み、
前記分類部は、温度センサの値に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項14に記載の管理装置。
【請求項21】
前記稼働ログは、当該稼働ログに係る機器または通信装置における異常イベントの発生回数、部品の劣化度合または消耗品の消耗度合の少なくともいずれか一つを含み、
前記分類部は、異常イベントの発生回数、部品の劣化度合または消耗品の消耗度合の少なくともいずれか一つに基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項14に記載の管理装置。
【請求項22】
前記稼働ログは、
当該稼働ログに係る機器または通信装置の稼働時間と、
当該稼働ログに係る機器または通信装置の位置情報および/または当該稼働ログに係る機器または通信装置に設置された温度センサの値と
を含み、
前記稼働時間は、位置情報毎および/または温度センサの値毎に、前記位置情報および/または前記温度センサの値と対応付けられて記録され、
前記分類部は、位置情報および/または温度センサの値と対応付けられた稼働時間に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する
請求項14に記載の管理装置。
【請求項23】
前記統計処理部は、前記比較結果として、当該機器の稼働ログまたは当該通信装置の稼働ログが、当該機器または当該通信装置と同じグループに分類された他の全ての機器および通信装置の稼働ログと比較してどの程度の外れ値に当たるかを出力する、請求項14に記載の管理装置。
【請求項24】
前記統計処理部は、前記稼働ログに係る事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、前記算出された発生確率を表す数値を当該稼働ログに係る機器または通信装置の異常度を表す値として出力する、請求項14に記載の管理装置。
【請求項25】
前記統計処理部は、前記稼働ログに係る事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、前記算出された発生確率を表す値を、ヒストグラムの形式で表した前記確率分布にプロットして前記比較結果として出力する、請求項14に記載の管理装置。
【請求項26】
前記統計処理部は、前記稼働ログに係る事象の全ての種別について、種別毎に、当該事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、算出された発生確率の値が相対的に大きい事象を異常要因となる蓋然性が高い事象として出力する、請求項14に記載の管理装置。
【請求項27】
データ処理方法であって、
一つ以上の機器とデータ通信可能に接続された通信装置と、
前記通信装置とデータ通信可能に接続され、当該通信装置から取得した情報を解析する管理装置と
を備えるデータ処理システムにおいて、
前記通信装置が、
接続された機器の稼働ログおよび/または当該通信装置の稼働ログを含む情報を取得して前記管理装置に送信し、
前記管理装置が、
前記通信装置から受信した情報に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類し、
前記分類結果に基づいて、当該機器の稼働ログまたは当該通信装置の稼働ログと、当該機器または当該通信装置と同じグループに分類された他の機器および/または通信装置の稼働ログとを比較して、比較結果を出力する
データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ以上の機器とデータ通信可能に接続された通信装置と、当該通信装置とデータ通信可能に接続され、当該通信装置から取得した情報を解析する管理装置とを備えるシステムにおいて、データを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業分野において、機器の稼働率向上や遠隔地からの機器状態の把握などを目的とする産業IoT(Internet of Things)の導入が進んでいる。産業IoTでは、産業機器から取得したデータを、無線通信を介してサーバへ集約し、サーバ側でデータを参照・利活用する事で、機器の予兆検知や状態監視に役立てる。
【0003】
一般に、産業機器は通信機能を持たないため、通信機能を持つ通信装置が産業機器と接続される場合が多い。本用法において通信装置はRS232、RS485などの、所定の通信規格を介して産業機器から稼働情報などのデータを取得し、取得したデータを周期的にサーバへと送信する。サーバは取得したデータを参照することで、産業機器の稼働状態把握や、障害の発生検知を行う。
【0004】
本アプリケーションにおいて、システムとしての障害検知には取得データに対する単純な閾値検知のみでは十分でない場合が存在する。例えば、通信量の急増や電源電圧の低下などの個別機器の動作保証範囲内における異常動作を検知するには事前に閾値を設定できない。このことから、過去データを学習することでシステムの異常度を算出する手法が提案されている。過去データの学習においては精度向上のために過去データに前処理を加えることで異常度算出の精度や効率を向上させる手法が提案されている。
【0005】
例えば、取得した複数のログデータも基づいて複数の特徴量ベクトルを生成し、生成した複数の特徴量ベクトル間の距離に基づき異常度算出を行う技術が存在する(特許文献1参照)。本技術は膨大な取得データを時間毎に区切り、データ種類毎に最大・最小・平均値などの特徴量を計算して高次元ベクトルを生成する。本ベクトルを次元圧縮する事で重要ではない要素を取り除き、その後同様の手順で異常データから生成したベクトルとの距離を求める。時間を基に取得データをグルーピングして、特徴量ベクトルへの変換という前処理を実施することで検知精度の向上を図っている。
【0006】
また、例えば、地理空間内で測定されたデータの集合を予め決められた複数の部分地理空間を表す複数のグループに分割し、グループ毎に算出した特徴量を用いて異常なデータが含まれるグループの有無を判定する技術が存在する(特許文献2)。本技術では位置情報を基に取得データをグルーピングして、特徴量の算出という前処理を実施することで異常検知効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-115745号公報
【特許文献2】国際公開第2021/048989号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
産業システムにおいて異常度を算出するには、同様の劣化度合にある機器同士を比較しないと算出する異常度の精度が低下する。特に機器を使用するユーザが客観的に使用機器の異常度を測るためには、信頼に足る精度の異常度が必要となる。
【0009】
特許文献1に記載の技術では時間で取得ログをグルーピングしているが、同一時間内で異なる劣化具合の機器から取得したデータが混在している場合、同じ種類のログにおいても異なる振る舞いを示す可能性がある。結果として、平均や標準偏差の異なる本来別個の分布に属するデータをひとまとめにして特徴量ベクトルを計算することとなり、算出する異常度の精度が低下する。
【0010】
特許文献2に記載の技術では位置情報を基に取得ログをグルーピングしているが、地理空間内でグループを分けたとしても、異なる劣化度合の機器同士が同一のグループに属するとは限らない。また、予め決められた複数の地理空間を表すグループは、出荷先を特定できず位置を把握できない機器に対しては適用できない。
【0011】
以上より、既存の技術では同様の劣化度合にある機器同士でのグルーピングが実現されておらず、結果として算出される異常度や異常有無の精度が低下する。ここで、異常度の用途として所有する機器の状態把握が考えられる。ユーザが客観的に使用機器の異常度を測るためには数値による異常度が必要となるが、本課題を残したままだと異常度に対して信頼に足る精度が得られない。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、算出する機器異常度の精度を向上し、ユーザが数値によって異常度を正確に把握することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるシステムは、データ処理システムであって、一つ以上の機器とデータ通信可能に接続された通信装置と、通信装置とデータ通信可能に接続され、当該通信装置から取得した情報を解析する管理装置とを備え、通信装置は、接続された機器の稼働ログおよび/または当該通信装置の稼働ログを含む情報を取得して管理装置に送信する情報取得部を有し、管理装置は、通信装置から受信した情報に基づいて、当該機器または当該通信装置の少なくともいずれか一つを分類する分類部と、分類部の分類結果に基づいて、当該機器の稼働ログまたは当該通信装置の稼働ログと、当該機器または当該通信装置と同じグループに分類された他の機器および/または通信装置の稼働ログとを比較して、比較結果を出力する統計処理部とを有する。
【0014】
その他、本願が開示する課題、およびその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、算出される機器異常度の精度が向上し、ユーザが数値によって異常度を正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1のデータ処理システムを含むシステム全体の構成の一例を示す図である。
図2】実施例1における、通信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】実施例1において、通信装置の情報取得部が実行する情報取得処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】実施例1における、管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】実施例1における、受信ログデータの構成例を示す図である。
図6】実施例1における、機器一覧表示画面のGUIの一例を示す図である。
図7】実施例1における、比較設定画面のGUIの一例を示す図である。
図8】実施例1における、比較結果表示画面のGUIの一例を示す図である。
図9】実施例1において、管理装置が実行する比較結果表示画面のGUI生成処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図10】実施例1における、比較設定データの構成例を示す図である。
図11】実施例1における、分類結果応答データの構成例を示す図である。
図12】実施例1において、管理装置の分類部が実行する分類処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】実施例1において、管理装置の統計処理部が実行する比較処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】実施例2における、通信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図15】実施例2における、管理装置の受信ログデータの構成例を示す図である。
図16】実施例3における、複数種別データの比較結果表示画面のGUIの一例を示す図である。
図17】実施例3において、管理装置の統計処理部が実行する複数種別データ比較処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザインターフェースデバイス、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、または、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0020】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0021】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0022】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置および/またはインターフェース装置などを用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0023】
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0024】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部または一部が一つのテーブルであってもよい。
【0025】
また、以下の説明では、「データ処理システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。データ処理システムが表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0026】
以下、図面を参照しつつ、さまざまな実施形態を詳細に説明する。
【0027】
なお、以下の説明においては、同一の、または類似する構成に共通の符号を付すことにより、重複した説明を省略することがある。
【0028】
また、同一あるいは同様の機能を有する要素が複数存在する場合に、当該複数の要素を区別するために、同一の符号に異なる添字を付して説明することがある。他方、当該複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明することがある。
【実施例0029】
(システム全体の構成例)
図1は、実施例1のデータ処理システム1を含むシステム全体の構成の一例を概略的に示した図である。
【0030】
データ処理システム1は、一つ以上の接続機器100(以下、単に「機器100」とも称する)とデータ通信可能に接続された通信装置110a、110b、110c・・・110n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「通信装置110」と総称する)と、当該通信装置110とネットワーク120を介してデータ通信可能に接続され、当該通信装置110から取得した情報を解析する管理装置140とを含んで構成される。
【0031】
接続機器100は、産業機器や情報機器である。例えば、サーバや空気圧縮機、インバータなどが接続機器100に該当する。本実施例では、接続機器100の代わりに、温度や湿度などを出力するセンサ類を設置する場合も想定される。接続機器100は、IPネットワークもしくは産業用ネットワークを介して通信装置110と接続される。接続機器100から取得可能なデータである稼働情報101や設定情報102は、Modbusなどの通信規格に準拠した情報として通信装置110に取得される。
【0032】
通信装置110は、接続機器100や通信装置110自身からデータを取得し、ネットワーク120を介して管理装置140へと送信する装置である。管理装置140には、ネットワーク120を介して複数の通信装置110が接続される。
【0033】
ネットワーク120は、モバイル通信網、インターネット網、LAN(Local Area Network)、USB(Universal Sereial Bus)など、ネットワーク形態を問わず、管理装置140に接続可能なインターフェース全般である。管理装置140とその他の構成要素間の通信は、ネットワーク120を介して行われる。なお、データ処理システム1を構成している通信装置110および管理装置140とネットワーク120とは周知の通信用機器(不図示)を介して有線で接続されるが、無線で接続されてもよい。
【0034】
管理装置140は、プログラムが動作するサーバを想定しており、複数の通信装置110から受信した情報を蓄積し、情報を比較した上で、その結果を可視化する装置である。
【0035】
通信装置110は、情報取得部111で構成される。情報取得部111は予め設定された情報に基づき、定期的に接続機器100の稼働情報101や設定情報102および通信装置110のデータを取得する。取得データは、ネットワーク120を介して管理装置140へと送信される。
【0036】
このデータ処理システム1は、図1に例示したように、データ処理システム1のユーザが保有するPCやモバイル端末などのユーザ機器130a、130b、130c・・・130n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「ユーザ機器130」と総称する)と、ネットワーク120を介して相互にデータ通信可能に接続されている。ユーザ機器130は、主として、ネットワーク120を介して管理装置140にアクセスして設定やログの比較結果を参照するために使用される。なお、ユーザ機器130とネットワーク120とは無線で接続されるが、有線で接続されてもよい。ユーザ機器130を保有するデータ処理システム1の各ユーザには、それぞれユーザIDとよばれる一意のIDが予め付与されている。
【0037】
また、データ処理システム1に対して、さらに別の装置や端末が、ネットワーク120を介して相互にデータ通信可能に接続されていてもよい。データ処理システム1は、然様なさらに別の装置や端末から、各種データを取得してもよい。
【0038】
なお、以下の本実施例の説明では、ユーザ機器130をはじめとする、データ処理システム1に対して接続される他の装置・端末を、単に「他の装置」や「他の端末」と省略して表記する場合がある。
【0039】
なお、本実施例では、図1に示したように、通信装置110や管理装置140が一つの装置からなるものとして説明した。しかしながら、例えば、通信装置110や管理装置140が、複数の装置から構成されていてもよい。
【0040】
また、本実施例では、図1に示したように、データ処理システム1が、ユーザ機器130などの他の装置や端末とネットワーク120を介して相互に接続されているものとして説明した。しかしながら、例えば、データ処理システムは、そうした他の装置や端末を含むシステムとして構成されていてもよい。また、例えば、データ処理システムは、他の装置や端末が担う一部または全部の機能を含む形で構成されていてもよい。
【0041】
(管理装置140の機能ブロック例)
次に、管理装置140が備える各種機能のブロックの一例について説明する。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0042】
なお、管理装置140のハードウェア構成の一例については、図4に関連して後述する。
【0043】
管理装置140は、制御部(不図示)、記憶部(不図示)および通信部141の各機能ブロックを備えて構成される。
【0044】
制御部は、記憶部が格納しているプログラムやデータ、および、通信部141により取得されたデータに基づいて各種データ処理を実行する。制御部は、記憶部および通信部141のインターフェースとしても機能する。
【0045】
制御部は、GUI生成部143、統計処理部144および分類部145の各機能ブロックを有する。
【0046】
GUI生成部143は、通信部141の問い合わせに対してGUI(Graphical User Interface)を生成して応答する。データ応答にあたり、GUIを表示するために必要な要素を、ログDB142や統計処理部144から取得する。
【0047】
統計処理部144は、GUI生成部143からの問い合わせに応じて接続機器100のログデータ同士を比較する処理を実施して、比較結果に関わるデータを応答する。データ応答にあたり、比較処理に必要な接続機器100のログデータを、分類部145から取得する。
【0048】
分類部145は、統計処理部144の問い合わせに応じてログDB142に格納された接続機器100のログデータを取得し、取得したログデータを分類したうえで、統計処理部144に接続機器100のログデータを応答する。
【0049】
制御部は、後述するCPU400をはじめとするプロセッサを用いて構成され、所定のプログラムを実行することによって、これらの機能ブロックを実現することができる。なお、プロセッサの代わりに、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)などの論理回路を用いて制御部を構成してもよい。また、プロセッサと論理回路との組合せによって制御部を構成してもよい。
【0050】
記憶部は、例えば後述する主記憶装置401および補助記憶IF402からなる記憶装置を用いて構成されており、制御部に各種処理命令を供給するプログラム、および制御部が実行する処理において用いられる各種情報を表すデータを格納する。
【0051】
記憶部は、ログDB142を格納する。ログDB142は、通信装置110から受信した、接続機器100や通信装置110から取得したデータを格納するデータベースである。
【0052】
通信部141は、ネットワーク120を介して行われる、通信装置110やユーザ機器130などの他の機器との通信処理を担当する。通信部141は、例えばNIC(Network Interface Card)やHBA(Host Bus Adapter)などを用いて構成される。
【0053】
また、管理装置140は、入力部(不図示)および出力部(不図示)の各機能ブロックを含んで構成されるユーザインターフェース部(不図示)を備えていてもよい。
【0054】
入力部は、ユーザインターフェースに関する処理のうち、ユーザからの入力操作の受け付けなど、入力に関する処理を担当する。入力部は、例えばタッチパネルなどを用いて構成され、ユーザからの各種操作を検出する。
【0055】
出力部は、ユーザインターフェースに関する処理のうち、表示装置への各種画面の表示や音声出力など、出力に関する処理を担当する。出力部は、例えばタッチスクリーンや液晶ディスプレイなどを用いて構成される。
【0056】
なお、上述した各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0057】
また、本実施例では、管理装置140の各機能が一台のコンピュータ装置により一体的に実現されているものとして説明した。しかしながら、これらの各機能は、相互に接続された複数台のコンピュータ装置またはサーバ装置によって実現されてもよい。また、管理装置140は、ラップトップPCなどの汎用コンピュータ装置と、これにインストールされたウェブブラウザとを含む構成であってもよいし、ウェブサーバや各種携帯機器を含む構成であってもよい。
【0058】
また、データ処理システム1を構成する、通信装置110および/または管理装置140が、上述した各種機能に加えて、さらに別の機能を備えていてもよい。例えば、通信装置110は、管理装置140が備える上記機能の一部を含む形で構成されていてもよいし、管理装置140は、通信装置110が備える上記機能の一部を含む形で構成されていてもよい。
【0059】
(実施例1における通信装置110のハードウェア構成例)
図2は、実施例1における、通信装置110のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0060】
図2において、通信装置110は、CPU(Central Processing Unit)200、主記憶装置201、ネットワークIF202、補助記憶IF203、入出力IF204、シリアル通信IF205およびLAN通信IF206を備え、各部がバスにより結合された形態になっている。
【0061】
CPU200は、通信装置110の各部を制御し、主記憶装置201に必要なプログラムをロードして実行する。
【0062】
主記憶装置201は、通常、RAM(Random Access Memory)などの揮発メモリで構成され、主記憶装置201には、CPU200が実行するプログラム、およびCPU200が参照するデータが記憶される。
【0063】
ネットワークIF202は、ネットワーク120と接続するためのインターフェースである。
【0064】
入出力IF204は、キーボードやマウスなどの入出力装置を接続するためのインターフェースである。
【0065】
補助記憶IF203は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を接続するためのインターフェースである。
【0066】
シリアル通信IF205は、接続機器100とModbus-RTU(Remote Terminal Unit)などのシリアル通信を実施する場合に、接続機器100のシリアル通信IFと接続するインターフェースである。
【0067】
LAN通信IF206は、接続機器100とModbus-TCP(Transmission Control Protocol)などのLAN通信を実施する場合に、接続機器100のLAN通信IFと接続するインターフェースである。
【0068】
補助記憶装置は、大容量の記憶容量を有しており、本実施例を実行するための情報取得プログラム210や情報取得設定ファイル220が格納されている。
【0069】
情報取得プログラム210は、情報取得部111の機能を実現するプログラムである。
【0070】
情報取得設定ファイル220は、情報取得に関わる設定情報が記載されているファイルである。情報取得設定ファイル220には、情報取得周期221、インターフェース情報222、通信方法223、情報の格納場所224、データの情報225が記載される。インターフェース情報222は、LANやシリアルなどの接続機器100のインターフェースに関する情報である。通信方法223は、Modbus-RTUやModbus-TCPなどの情報取得に使用する通信規格に関する情報である。情報の格納場所224は、Modbus通信で必要となるレジスタアドレスの情報や取得ファイルのファイルパスなどの情報である。データの情報225は、取得データのデータ長・データ型などのデータ読み取りに必要な情報である。
【0071】
(情報取得処理)
図3は、実施例1のデータ処理システム1において、通信装置110の情報取得部111が実行する情報取得処理の流れの一例を示したフローチャート300である。
【0072】
以下、図3に示したフローチャート300に沿って、情報取得部111の動作を説明する。
【0073】
なお、情報取得部111は、下記のステップS301~S303の各処理を、情報取得設定ファイル220の情報取得周期221毎、すなわち定期的に実行する。
【0074】
ステップS301において、通信装置110の制御部は、情報取得部111により、情報取得設定ファイル220のインターフェース情報222、通信方法223、情報の格納場所224およびデータの情報225に基づき、接続機器100と通信装置110から複数の情報を取得する処理を実行する。これにより、接続機器100と通信装置110から複数の情報が取得される。通信装置110の制御部は、ステップS301における処理が完了すると、ステップS302に進む。
【0075】
ステップS302において、通信装置110の制御部は、情報取得部111により、ステップS301で取得された情報を表すデータを、JSON形式へと変換する処理を実行する。これにより、当該データが、JSON形式へと変換される。通信装置110の制御部は、ステップS302における処理が完了すると、ステップS303に進む。
【0076】
ステップS303において、通信装置110の制御部は、情報取得部111により、ステップS302でJSON形式へと変換されたデータを、管理装置140へと送信する処理を実行する。これにより、当該データが、管理装置140へと送信される。管理装置140は、通信部141を介して当該データを通信装置110から受信する。通信装置110の制御部は、ステップS303における処理が完了すると、図3のフローチャート300に示した情報取得処理を終了する。
【0077】
(管理装置140のハードウェア構成例)
図4は、実施例1における、管理装置140のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0078】
管理装置140は、CPU400、主記憶装置401、補助記憶IF402、入出力IF403およびネットワークIF404を備え、各部がバスにより結合された形態になっている。
【0079】
CPU400は、管理装置140の各部を制御し、主記憶装置401に必要なプログラムをロードして実行する。
【0080】
主記憶装置401は、通常、RAMなどの揮発メモリで構成されCPU400が実行するプログラム、参照するデータが記憶される。
【0081】
補助記憶IF402は、HDDやSSDなどの補助記憶装置を接続するためのインターフェースである。
【0082】
入出力IF403は、キーボードやマウスなどの入出力装置を接続するためのインターフェースである。
【0083】
ネットワークIF404は、ネットワーク120に接続して他の端末と通信を行うための通信インターフェースである。
【0084】
補助記憶装置は、大容量の記憶容量を有しており、本実施例を実行するためのデータベース管理ソフトウェア410、通信プログラム420、GUI生成プログラム421、統計処理プログラム422および分類プログラム423が格納されている。
【0085】
データベース管理ソフトウェア410は、ログDB142を管理するソフトウェアである。データベース管理ソフトウェア410は、SQLなどで記述された特定の制御命令を受信することでログDB142に対してデータの保存、検索、削除、出力、集計および演算処理を行う。ログDB142には、通信装置110から受信したデータである受信ログデータ412が格納されている。
【0086】
通信プログラム420、GUI生成プログラム421、統計処理プログラム422および分類プログラム423は、それぞれ通信部141、GUI生成部143、統計処理部144および分類部145の機能を実現するプログラムである。
【0087】
(実施例1における、受信ログデータ412の構成例)
図5は、実施例1における、受信ログデータ412の構成例を示した図である。
【0088】
受信ログデータ412は、JSON形式であり、要素としてタイムスタンプ500、接続機器データ510および通信装置データ520を持つ。
【0089】
タイムスタンプ500は、ログの取得時間を示す値である。実施例1ではタイムスタンプ500はエポック秒形式で格納される。
【0090】
接続機器データ510は、機器種別511、機器ID512、累積稼働時間513および接続機器詳細データ514で構成される要素である。
【0091】
機器種別511には、接続機器100の種類を一意に分類可能なモデル情報やハードウェア識別子が格納される。
【0092】
機器ID512には、機器を一意に識別可能な各接続機器100固有の識別子が格納される。
【0093】
累積稼働時間513には、接続機器100に電源が入り動作した時間の累積値が格納される。実施例1では累積稼働時間513は時間単位の数値が格納される。
【0094】
接続機器詳細データ514は、通信装置110の情報取得部111が情報取得設定ファイル220を参照して取得する接続機器100のデータが格納される。
【0095】
通信装置データ520は、通信装置ID521、累積稼働時間522および通信装置詳細データ523で構成される要素である。
【0096】
通信装置ID521には、通信装置110を一意に識別可能な各通信装置110固有の識別子が格納される。
【0097】
累積稼働時間522には、通信装置110に電源が入り動作した時間の累積値が格納される。実施例1では累積稼働時間522は時間単位の数値が格納される。
【0098】
通信装置詳細データ523は、通信装置110の情報取得部111が情報取得設定ファイル220を参照して取得する通信装置110のデータが格納される。
【0099】
以降は、接続機器データ510もしくは通信装置データ520を構成する要素(機器種別511、機器ID512、累積稼働時間513など)をログ種別と称する。
【0100】
(機器一覧表示画面600)
図6は、実施例1における、機器一覧表示画面600のGUIの一例を示した図である。
【0101】
機器一覧表示画面600には、接続機器100の一覧表610が表示される。
【0102】
接続機器100の一覧表610は、ログDB142のデータからユニークな要素を抽出することで生成される。接続機器100の一覧表610は、機器種別611、機器ID612、通信装置ID613および比較設定へのリンク614で構成される。機器種別611、機器ID612、通信装置ID613は、それぞれ受信ログデータ412の接続機器データ510における機器種別511、機器ID512および通信装置データ520の通信装置ID521に対応する値が格納される。比較設定へのリンク614には、行に対応する接続機器100を比較対象機器とした比較設定画面(図7に関連して詳細後述)へとリンクする文字列が格納される。
【0103】
以降は、機器一覧表示画面600にて比較設定へのリンク614を選択した行における機器ID612もしくは通信装置IDをもつ接続機器100および通信装置110を比較対象機器と称し、それ以外の機器を他機器と称する。また、比較対象機器から取得した受信ログデータ412を比較対象機器ログもしくは比較対象機器ログデータ、他機器から取得した受信ログデータ412を他機器ログもしくは他機器ログデータと称する。
【0104】
(比較設定画面700)
図7は、実施例1における、比較設定画面700のGUIの一例を示した図である。
【0105】
比較設定画面700では、統計処理部144で実行する比較処理に関わる設定を行う。比較設定画面700には、分類設定710、分類設定追加ボタン720、ログの時間範囲設定730、他機器ログの時間範囲設定740、比較データ設定750、比較データ設定追加ボタン760および比較実行ボタン770が表示される。
【0106】
分類設定710は、分類方法設定711、分類範囲設定712および分類設定削除ボタン713で構成される。
【0107】
分類方法設定711は、比較処理の途中で実施される分類部145の分類処理において、どの受信ログデータ412のログ種別を用いて分類を行うかを二つのプルダウンから指定する設定である。一つ目のプルダウンでは、接続機器データ510もしくは通信装置データ520のどちらかを指定する。二つ目のプルダウンでは、受信ログデータ412の接続機器データ510および通信装置データ520の要素の全てのキーが選択でき、そのうち一つを指定する。
【0108】
分類範囲設定712は、分類処理において、比較対象機器と同一グループに分類する他機器ログデータの数値範囲を指定する設定である。分類方法設定711で指定した種別のログデータにおける比較対象機器の平均値からの距離を数値入力により指定する。
【0109】
分類設定削除ボタン713は、選択すると分類設定削除ボタン713が含まれる分類設定710をGUIから削除する。
【0110】
分類設定追加ボタン720は、選択すると分類設定710をGUI上に一つ追加表示するボタンである。
【0111】
ログの時間範囲設定730は、比較対象機器のログの時間範囲を文字列入力で指定し、時間範囲による比較対象機器のログの絞り込み条件を指定する。
【0112】
他機器ログの時間範囲設定740は、他機器のログの時間範囲を文字列入力で指定し、時間範囲による他機器ログデータの絞り込み条件を指定する。
【0113】
比較データ設定750は、比較データ種別設定751、前処理設定752および比較データ設定削除ボタン753で構成される。
【0114】
比較データ種別設定751は、比較するデータのログ種別を指定する。一つ目のプルダウンでは、接続機器データ510もしくは通信装置データ520のどちらかを指定する。二つ目のプルダウンでは、受信ログデータ412の接続機器データ510および通信装置データ520の要素の全てのキーが選択でき、そのうち一つを指定する。プルダウンの選択肢は、ログDB142に格納された接続機器詳細データ514と通信装置詳細データ523に格納されたデータのキーにおけるユニークな要素を抽出することで生成される。
【0115】
前処理設定752は、比較するデータの前処理を指定する。前処理の内容をプルダウン方式で単純比較、変化量(増)および変化量(減)の3種類から指定する。単純比較では、前処理を行わない。変化量(増)では、データを時間単位での正方向の変化量へと変換した上で比較を行う。変化量(減)では、データを時間単位での負方向の変化量へと変換した上で比較を行う。
【0116】
比較データ設定削除ボタン753は、選択すると比較データ設定削除ボタン753が含まれる比較データ設定750をGUIから削除する。
【0117】
比較データ設定追加ボタン760は、選択すると比較データ設定750をGUI上に一つ追加表示するボタンである。
【0118】
比較実行ボタン770は、選択すると比較処理が開始され、比較処理が終了すると比較結果表示画面(図8に関連して詳細後述)が表示される。
【0119】
(比較結果表示画面800)
図8は、実施例1における、比較結果表示画面800のGUIの一例を示した図である。
【0120】
比較結果表示画面800には、比較設定画面700で設定した比較データ設定750毎に比較結果プロット810、比較結果820、コメント830、全体傾向プロット840が表示される。
【0121】
比較結果プロット810には、他機器ログデータと、比較対象機器ログデータの分布が分かるヒストグラムやグラフが表示される。例えば、他機器のログを比較群とし、比較対象機器のログを対象機器としてそれぞれ異なる色でヒストグラムを表示し、それぞれの平均値にマーカを配置するなどのプロットが考えられる。
【0122】
比較結果820は、異常度821と比較結果詳細822で構成される。
【0123】
異常度821は、1~5までの数値で表され、他機器ログデータを母集合とした対象機器ログの平均値の発生確率を示す指標である。異常度821が「5」の場合は1%以下、異常度821が「4」の場合は10%以下、異常度821が「3」の場合は50%以下、異常度821が「2」の場合は75%以下、異常度821が「1」の場合は75%より大きい発生確率を示す。
【0124】
比較結果詳細822は、異常度821に応じて異なるテキストを表示する。テキストには、比較対象機器ログデータと他機器ログデータの関係性や、劣化や故障の存在有無に関する情報が含まれる。
【0125】
コメントは、異常度821が「3」以上の場合、機器のメンテナンスや買い替えを勧める情報を表示する。異常度821が「2」の場合、メンテナンスを勧める情報を表示する。異常度821が「1」の場合、機器に対するメンテナンス、買い替えの必要がない旨を表示する。
【0126】
全体傾向プロット840は、対象機器ログデータと他機器ログデータについて、分類設定で指定したデータ種別と稼働時間の関係性をグラフ化して表示する。さらに、グラフ上で比較処理に使用したログの範囲や平均の機器の買い替え時期などの情報を合わせて表示する。比較設定画面700で複数の比較データ設定750を設定した場合、複数のグラフを縦に並べて表示する。
【0127】
(比較結果表示画面800のGUI生成処理)
図9は、管理装置140において実行される比較結果表示画面800のGUI生成処理の流れの一例を示したシーケンス図900である。
【0128】
以下、図9に示したシーケンス図900に沿って、管理装置140の各部の動作を説明する。
【0129】
ステップS901において、比較設定画面にて比較実行ボタンが選択されたことを示す入力が発生すると、GUI生成部143は、当該選択に係る比較設定データを統計処理部144に送信する。
【0130】
ステップS902において、統計処理部144は、比較設定データを受信すると、当該比較設定データを分類部145へと送信する。
【0131】
ステップS903において、分類部145は、受信した比較設定データを基に分類処理を行い、その結果として、分類結果応答データを生成して統計処理部144に送信する。
【0132】
ステップS904において、統計処理部144は、受信した分類結果応答データを基に比較処理を行い、その結果として、比較結果応答データを生成してGUI生成部143に送信する。
【0133】
(比較設定データ1000の構成例)
図10は、実施例1における、比較設定データ1000の構成例を示した図である。
【0134】
比較設定データ1000は、機器種別1010、機器ID1020、分類設定1030、ログの時間範囲1040、他機器ログの時間範囲1050および比較データ1060で構成される。
【0135】
機器種別1010および機器ID1020には、機器一覧表示画面600において比較設定へのリンク614を選択した行の機器種別611、機器ID612が格納される。
【0136】
分類設定1030、ログの時間範囲1040、他機器ログの時間範囲1050および比較データ1060には、比較設定画面700における分類設定710、ログの時間範囲設定730、他機器ログの時間範囲設定740および比較データ設定750の設定値が格納される。設定に複数の項目がある場合は、リスト形式で設定が格納される。比較データ1060は、比較データ種別設定751と前処理設定752の内容を合わせて一つの項目として、リスト形式で比較データ種別1061と前処理1062に設定が格納される。
【0137】
(分類結果応答データ1100の構成例)
図11は、実施例1における、分類結果応答データ1100の構成例を示した図である。
【0138】
分類結果応答データ1100は、分類設定詳細1110、分類結果1120および全体傾向1130で構成される。
【0139】
分類設定詳細1110は、分類処理の設定について詳細を通知する項目である。分類設定詳細1110は、リスト形式の項目であり、各リストは分類キー1111と範囲1112で構成される。
【0140】
分類キー1111には、比較設定データ1000の分類方法1031と同じ値が格納される。
【0141】
範囲1112は、分類処理にて取得した比較対象機器のログデータの平均値に、比較設定データ1000の分類範囲を加算および減算した値がリスト形式で格納される。
【0142】
分類結果1120は、分類処理の出力を示し、グループ分けした他機器ログデータと対象機器ログデータをログ種別毎に格納し、比較結果プロット810の生成に必要なデータを通知する項目である。分類結果1120は、比較設定データ1000の比較データ1060の要素数と同じ長さのリストであり、項目毎に比較データ1060の1要素の各項目を使用して比較データ種別1121、他機器ログ1122および対象機器ログ1123が生成され格納される。
【0143】
比較データ種別1121は、比較設定データ1000の比較データ1060における比較データ種別1061と前処理1062の文字列が結合された文字列が格納される。
【0144】
他機器ログ1122は、ログDB142から取得した他機器ログデータの内、比較設定データ1000の比較データの比較データ種別で指定された接続機器データ510もしくは通信装置データ520の要素の値が分類処理により絞り込まれ、リスト形式で格納される。
【0145】
対象機器ログ1123は、比較に用いた対象機器ログの内、比較設定データ1000の比較データ1060の比較データ種別1061で指定された接続機器データ510もしくは通信装置データ520の要素の値がリスト形式で格納される。
【0146】
全体傾向1130は、分類処理中に取得した他機器ログデータと対象機器ログデータをログ種別毎に格納し、全体傾向プロット840の生成に必要なデータを通知する項目である。全体傾向1130は、比較設定データ1000の比較データ1060の要素数と同じ長さのリストであり、項目毎に比較データ1060の1要素の各項目を使用して比較データ種別1131、他機器ログ1140および対象機器ログ1150が生成され格納される。
【0147】
比較データ種別1131は、比較設定データ1000の比較データ1060における比較データ種別1061と前処理1062の文字列が結合された文字列が格納される。
【0148】
他機器ログ1140は、分類キーの値1141とログの値1144で構成される。
【0149】
分類キーの値1141は、比較設定データ1000の分類設定1030毎に全体傾向プロット840を生成するため、分類に使用するログ種別のデータをリスト形式で格納する。分類キーの値1141における各リストは、分類キー1142と値1143で構成され、分類設定詳細1110と同様の長さを持つ。
【0150】
分類キー1142は、分類設定詳細1110の分類キー1111の値が格納される。
【0151】
値1143は、ログDB142から取得した他機器ログデータの内、比較設定データ1000の分類方法1031で指定された接続機器データ510もしくは通信装置データ520の要素の値が、分類処理実行後の状態で、リスト形式で格納される。
【0152】
ログの値1144は、ログDB142から取得した他機器ログデータの内、比較設定データ1000の比較データ1060の比較データ種別1061で指定された接続機器データ510もしくは通信装置データ520の要素の値が、分類処理実行後の状態で、リスト形式で格納される。
【0153】
対象機器ログ1150は、分類キーの値1151とログの値1154で構成される。
【0154】
分類キーの値1151は、比較設定データ1000の分類設定1030毎に全体傾向プロット840を生成するため、分類に使用するログ種別のデータをリスト形式で格納する。分類キーの値1151における各リストは、分類キー1152と値1153で構成され、分類設定詳細1110と同様の長さを持つ。
【0155】
分類キー1152は、分類設定詳細1110の分類キー1111の値が格納される。
【0156】
値1153は、ログDB142から取得した比較対象機器ログデータの内、比較設定データ1000の分類方法1031で指定された接続機器データ510もしくは通信装置データ520の要素の値が、分類処理実行後の状態で、リスト形式で格納される。
【0157】
ログの値1154は、ログDB142から取得した比較対象機器ログデータの内、比較設定データ1000の比較データ1060の比較データ種別1061で指定された接続機器データ510もしくは通信装置データ520の要素の値が、分類処理実行後の状態で、リスト形式で格納される。
【0158】
(分類処理)
図12は、実施例1において、管理装置140の分類部145が実行する分類処理の流れの一例を示したフローチャート1200である。
【0159】
以下、図12に示したフローチャート1200に沿って、分類部145の動作を説明する。
【0160】
分類部145は、統計処理部144から比較設定データ1000を受信すると、下記のステップS1201以降の各処理の実行を開始する。
【0161】
ステップS1201において、管理装置140の制御部は、分類部145により、比較設定データ1000の機器種別1010、機器ID1020、ログの時間範囲1040および比較データ1060を参照して制御命令を生成してログDB142に送り、比較対象機器ログデータを取得する処理を実行する。制御命令には、ログDB142の受信ログデータ412の中から機器種別511と機器ID512が比較設定データ1000の内容と一致し、タイムスタンプ500が時間範囲内に存在する分類設定1030の分類方法1031および比較データ1060の比較データ種別1061で指定されたデータを取得する内容を記載する。比較データ1060で前処理1062に変化量(増)もしくは変化量(減)が指定されている比較データ種別1061には、取得時にそれぞれ正および負の差分を取る演算を実行する制御命令を追記する。分類部145は、分類結果応答データ1100のフォーマットに従い、全体傾向1130の比較データ種別1131に比較設定データ1000の比較データ1060における比較データ種別1061と前処理1062の文字列が結合された文字列を、対象機器ログ1150の分類キーの値1141に取得値のうち分類設定1030の分類方法1031で指定されたデータの値を、ログの値1144に比較設定データ1000の比較データ1060毎に比較データ種別1061で指定されたデータの値をリスト形式で格納する処理を実行する。これにより、当該比較対象機器ログデータが取得される。管理装置140の制御部は、ステップS1201における処理が完了すると、ステップS1202に進む。
【0162】
ステップS1202において、管理装置140の制御部は、分類部145により、比較設定データ1000の機器種別1010、機器ID1020、他機器ログの時間範囲1050および比較データ1060を参照して他機器ログデータを取得する処理を実行するための制御命令を生成する。制御命令には、ログDB142の受信ログデータ412の中から機器種別511が比較設定データ1000の内容と一致し、機器ID512が比較設定データ1000の内容と一致せず、タイムスタンプ500が他機器ログの時間範囲1050内に存在する、分類設定1030の分類方法1031および比較データ1060の比較データ種別1061で指定されたログ種別のデータを取得する内容を記載する。比較データ1060で前処理1062に変化量(増)もしくは変化量(減)が指定されている比較データ種別1061には、取得時にそれぞれ正および負の差分を取る演算を実行する制御命令を追記する。分類結果応答データ1100のフォーマットに従い、全体傾向1130の他機器ログ1140の分類キー1141の値に取得値のうち分類設定1030の分類方法1031で指定されたデータの値を、ログの値1144に比較設定データ1000の比較データ1060毎に比較データ種別1061で指定されたデータの値をリスト形式で格納する。これにより、当該他機器ログデータが取得される。管理装置140の制御部は、ステップS1202における処理が完了すると、ステップS1203に進む。
【0163】
ステップS1203において、管理装置140の制御部は、分類部145により、ステップS1201で取得した比較対象機器ログデータに対して、比較設定データ1000の分類設定1030の分類方法1031で指定されたログデータ種別における平均値を計算し、計算した平均値に対して比較設定データ1000の分類範囲1032の数値だけ加算および減算した値を分類範囲1032として計算する処理を実行する。分類結果応答データ1100のフォーマットに従い、分類設定詳細1110の分類キー1111に、比較設定データ1000の分類設定1030の分類方法1031の値を、範囲1112に計算した分類範囲1032を一つの要素として格納する。管理装置140の制御部は、分類部145により、本処理を、比較設定データ1000の分類設定1030の数だけ繰り返す。これにより、分類範囲が決定される。管理装置140の制御部は、ステップS1203における処理が完了すると、ステップS1204に進む。
【0164】
ステップS1204において、管理装置140の制御部は、分類部145により、ステップS1202で取得した他機器ログデータに対して、比較設定データ1000の比較データ1060の比較データ種別1061毎に分類方法1031で指定されたログデータの種別の値がステップS1203で計算した分類範囲1032内に収まるデータのみを抽出して、他機器分類結果データとして出力する処理を実行する。分類部145は、分類結果応答データ1100のフォーマットに従い、分類結果1120の比較データ種別1121に比較設定データ1000の比較データ1060における比較データ種別1061と前処理1062の文字列が結合された文字列を格納し、他機器ログ1122に他機器分類結果データをログ種別毎にリスト形式で格納し、対象機器ログにステップS1201で取得した比較対象機器ログデータをログ種別毎にリスト形式で格納する処理を実行する。これにより、当該他機器ログデータが分類される。管理装置140の制御部は、ステップS1204における処理が完了すると、ステップS1205に進む。
【0165】
ステップS1205において、管理装置140の制御部は、分類部145により、ステップS1204までの手順を経て生成した分類結果応答データ1100を、統計処理部144に送信する処理を実行する。これにより、当該分類結果応答データ1100が統計処理部144に送信される。管理装置140の制御部は、ステップS1205における処理が完了すると、図12のフローチャート1200に示した分類処理を終了する。
【0166】
図12のフローチャート1200に示した分類処理を終了した管理装置140の制御部は、分類部145により、比較設定データ1000の受信を待ち受ける。
【0167】
(比較処理)
図13は、実施例1において、管理装置140の統計処理部144が実行する比較処理の流れの一例を示したフローチャート1300である。
【0168】
以下、図13に示したフローチャート1300に沿って、統計処理部144の動作を説明する。
【0169】
統計処理部144は、GUI生成部143から比較設定データ1000を受信すると、下記のステップS1301以降の各処理の実行を開始する。
【0170】
ステップS1301において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、GUI生成部143から受信した比較設定データ1000を分類部145へ転送する処理を実行する。これにより、GUI生成部143から受信した比較設定データ1000が分類部145へ転送される。管理装置140の制御部は、ステップS1301における処理が完了すると、ステップS1302に進む。
【0171】
ステップS1302において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、分類部145からの応答を待って、分類部145から分類結果応答データ1100を受信する処理を実行する。これにより、分類部145から分類結果応答データ1100が受信される。管理装置140の制御部は、ステップS1302における処理が完了すると、ステップS1303に進む。
【0172】
ステップS1303において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、分類結果応答データ1100の分類結果1120を参照して、リストの項目毎に他機器ログ1122と対象機器ログ1123の平均値と標準偏差を統計値として算出する処理を実行する。これにより、他機器ログ1122と対象機器ログ1123の平均値と標準偏差が統計値として算出される。管理装置140の制御部は、ステップS1303における処理が完了すると、ステップS1304に進む。
【0173】
ステップS1304において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、ステップS1303で算出した他機器ログ1122の平均値と標準偏差を用いて、対象機器ログ1123の平均値が、他機器ログ1122から、どの程度外れ値に当たるかを比較データのログ種別毎に計算する処理を実行する。他機器ログ1122の平均値から標準偏差の何倍の距離にあるかを計算することで、対象機器ログ1123の平均値の発生確率を算出する。さらに、発生確率を用いて、異常度と外れ値の割合を算出する。異常度は、1~5までの数値で表され、他機器ログ1122を母集合とした対象機器ログ1123の平均値の発生確率を示す指標である。異常度が「5」の場合は1%以下、異常度が「4」の場合は10%以下、異常度が「3」の場合は50%以下、異常度が「2」の場合は75%以下、異常度が「1」の場合は75%より大きい発生確率を示す。外れ値の割合は、100から発生確率を差し引いた数値である。これにより、当該比較対象機器ログデータと当該他機器ログデータとの比較が行われる。管理装置140の制御部は、ステップS1304における処理が完了すると、ステップS1305に進む。
【0174】
ステップS1305において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、分類結果応答データの分類結果を使用して、比較結果表示画面800を表示するためのGUIデータを生成する。リストの項目毎に比較結果表示画面800の比較結果プロット810、全体傾向プロット840を生成する。さらに、ステップS1304で算出した異常度と外れ値の割合を用いて比較結果表示画面800の比較結果820、コメント830を生成する。統計処理部144は、こうして生成したGUIデータを、GUI生成部143へと送信する処理を実行する。本処理では、例えば、ブラウザで比較結果表示画面を表示するためのHTMLが生成される。比較結果プロット810および全体傾向プロット840はHTMLにJavaScript(登録商標)のソースコードを埋め込むことで表示できる。比較結果820、コメント830は算出する異常度毎にテンプレートを用意しておき、テンプレート内に数値を格納する形式で表示する方法が考えられる。HTMLの他にも、専用の可視化ソフトウェアを使用する場合にも、分類結果応答データ1100を加工することで対応できる。このように、統計処理部144は、分類結果応答データ1100を基にGUIデータを生成する。これにより、当該GUIデータがGUI生成部143へと送信される。管理装置140の制御部は、ステップS1305における処理が完了すると、図13のフローチャート1300に示した比較処理を終了する。
【0175】
実施例1のデータ処理システム1によると、複数の通信装置110に接続された接続機器100の異常度の算出にあたり、累積稼働時間(513、522)をはじめとするログデータ種別の値が指定した範囲内に収まるかを判断基準として分類(グルーピング)することで同様の劣化度合にある機器同士を比較することができる。これにより、収集したログデータに様々な劣化度合の機器データが混在している場合にも、算出する異常度の精度低下を防ぐ。結果として、機器を使用するユーザが客観的に使用機器の異常度を測るのに信頼に足る精度の異常度の出力が可能となる。
【実施例0176】
実施例1では、累積稼働時間(513、522)をはじめとする指定のログ種別のデータが指定した範囲内に収まるかを判断基準として分類を実現した。しかしながら、取得可能なログデータの種別には限りがあり、必ずしも劣化度合が近い機器の分類が可能となるかは分からない。産業機器の状態把握や異常検知においては、劣化度合に関係性が強い情報として、使用環境を表すデータが必要となる。例えば、同一の拠点内で使用されていることを示す位置情報もしくは拠点で共通する情報や、機器の劣化やパフォーマンスに大きな影響を与える温度の情報などが挙げられる。これらのデータが接続機器100によらず通信装置110にて取得可能でない限り、分類部145で同程度の劣化具合の機器同士を区別できず、異常度の算出精度が低下する可能性がある。
【0177】
このため、実施例2の通信装置110では、同一の拠点内で使用されていることを示す情報として位置情報、モバイル無線における基地局ID、無線LAN通信におけるSSIDおよびBluetooth(登録商標)のビーコン情報を受信可能なハードウェアを搭載し、温度情報が取得可能な温度センサを搭載する。そして、追加搭載したハードウェアから取得可能な情報を、情報取得部111が取得可能な通信装置110の情報に追加する。以下、実施例2の実施例1からの差分について図を用いて説明する。
【0178】
(実施例2における通信装置110のハードウェア構成例)
図14は、実施例2における、通信装置110のハードウェア構成の一例を示した図である。
【0179】
実施例1からの差分として、GNSS信号受信器1401、無線信号受信器1402および温度センサ1403が追加されている。
【0180】
GNSS信号受信器1401は、GNSS(全球測位衛星システム)からの信号を受信して位置情報として緯度・経度を出力する。
【0181】
無線信号受信器1402は、モバイル無線、無線LANおよびBluetooth(登録商標)でやり取りされる信号を受信して、各信号に含まれるデータを解釈し出力する。
【0182】
温度センサ1403は、温度を出力するセンサである。
【0183】
(実施例2における、受信ログデータ412の構成例)
図15は、実施例2における、受信ログデータ412の構成例を示した図である。
【0184】
実施例1からの差分として通信装置データ520に位置情報1501、セルID1502、無線LANSSID1503、Bluetoothビーコン1504および温度センサ値1505が追加されている。
【0185】
位置情報1501は、GNSS信号受信器1401から取得する位置情報であり、緯度・経度の情報がリスト形式で格納される。
【0186】
セルID1502は、無線信号受信器1402から取得するモバイル無線における基地局の識別子が格納される。周辺に存在する基地局の内、最も信号強度の高い基地局のセルIDが格納される。
【0187】
無線LANSSID1503は、無線信号受信器1402から取得する無線LANのSSIDである。周辺に存在する無線LANのアクセスポイントの内、最も信号強度の高いアクセスポイントのSSIDが格納される。
【0188】
Bluetoothビーコン1504は、無線信号受信器1402から取得するBluetooth(登録商標)のビーコン情報に含まれるデータ内容が格納される。周辺に存在するBluetoothビーコン1504の内、最も信号強度の高いBluetoothビーコン1504の情報が格納される。
【0189】
温度センサ値1505は、温度センサ1403から取得する温度の値が格納される。
【0190】
なお、位置情報は、リスト形式、無線LANSSIDおよびBluetoothビーコン1504は文字列であることから、管理装置140における統計処理部144の分類処理の内容を変更する。
【0191】
図12のフローチャート1200に示した分類処理における、ステップS1203の処理内容には、次の処理が追加される。
【0192】
比較設定データ1000における分類設定1030の分類方法1031として通信装置データ520の位置情報1501が指定されている場合、生成する分類結果応答データ1100の分類設定詳細1110の範囲1112には、0と比較設定データ1000の分類設定1030における分類範囲の値1032をリスト形式で格納する。
【0193】
比較設定データ1000における分類設定1030の分類方法1031として通信装置データ520の無線LANSSID1503およびBluetoothビーコン1504が指定されている場合、生成する分類結果応答データ1100の分類設定詳細1110の範囲1112には、比較設定データ1000の分類設定1030における分類範囲1032の値を二つ要素に持つリストを格納する。
【0194】
また、図12のフローチャート1200に示した分類処理における、ステップS1204の処理内容には、次の処理が追加される。
【0195】
ステップS1201で取得した比較対象機器ログデータの位置情報1501における緯度・経度の平均値を算出する。そして、算出した緯度・経度と他機器ログデータの位置情報1501における緯度・経度を用いて距離を求める。距離はユークリッド距離の他、マハラノビス距離などを計算しても良い。算出した距離がステップS1203で計算した分類範囲1032内に収まるデータのみを抽出して、他機器分類結果データとして出力する。分類結果応答データ1100のフォーマットに従い、分類結果1120の他機器ログ1122に値を格納する際には、本処理で求めた他機器分類結果データをリスト形式で格納する。全体傾向1130における他機器ログ1140の分類キーの値1141の値1143に値を格納する際には、位置情報1501の代わりに本処理で計算した距離を格納リスト形式で格納する。これにより、位置情報1501のリスト形式の値をリストに格納する多重配列となることを防ぎ、距離に変換することで他のログ種別と同じく数値のリストとして値を格納できる。
【0196】
比較設定データ1000における分類設定1030の分類方法1031として通信装置データ520の無線LANSSID1503およびBluetoothビーコン1504が指定されている場合、ステップS1201で取得した比較対象機器ログデータの無線LANSSID1503およびBluetoothビーコン1504の内、最頻値となる文字列を求める。この最頻値の文字列と一致する無線LANSSID1503およびBluetoothビーコン1504を要素として持つ他機器ログデータを抽出する。これにより、同一拠点内で使用されている無線LANのSSIDやBluetooth(登録商標)のビーコン情報を参照している機器のみを抽出することができる。
【0197】
実施例2のデータ処理システム1によると、通信装置110に位置情報、モバイル無線における基地局ID、無線LAN通信におけるSSID、Bluetooth(登録商標)のビーコン情報および温度センサ値を取得可能なハードウェアを追加し、情報取得部111で取得可能とした。これにより、接続機器100によらず通信装置110にて上記の情報を取得可能とし、分類部145で情報取得部111が取得したデータを基に同程度の劣化具合の機器同士を区別することで、異常度の算出精度低下を防止できる。
【実施例0198】
実施例1および2では、比較結果を表示する際に、比較設定データ1000の比較データ1060で指定する全てのログ種別に対して比較結果を表示していた。しかしながら、ユーザからすると、どのログ種別で異常度が高くなるのかは予測ができない。このため、データ処理システム1を使用するユーザは、比較データ1060の設定項目数を増やし、多くのログ種別において比較を行う可能性が高い。現状の表示内容では、全てのログ種別の比較結果が縦に並べて表示される上、その順番は異常度の順とはならず、データ種別毎に異常度の高さを比較する事が難しい。
【0199】
このため、実施例2の管理装置140では、複数種別データの比較結果表示画面800と画面表示に関連する処理を追加する。複数種別データの比較結果表示画面800は、比較データ1060で指定された複数のログ種別の比較結果をまとめて表示する。さらに、比較データの種別毎に異常度への寄与度を算出して、リスト化して表示する。リスト内には、ログ種別毎に比較結果表示画面800へのリンクが示されており、実施例1における比較結果表示画面800も個別表示できる。以下、実施例3の実施例1および2からの差分について、図を用いて説明する。
【0200】
(複数種別データの比較結果表示画面1600)
図16は、実施例3における、複数種別データの比較結果表示画面1600のGUIの一例を示した図である。
【0201】
複数種別データの比較結果表示画面1600には、比較設定画面700で設定した比較データ設定750の全てのログ種別に対する複数種別比較結果プロット1610、比較結果1620、コメント1630および寄与度テーブル1640が表示される。
【0202】
複数種別比較結果プロット1610は、他機器ログデータと比較対象機器ログデータを2次元でプロット表示する。比較データ設定750の個数が三つ以上の場合は、主成分分析やt-SNE(t-distributed Stochastic Neighbor Embedding)などの手法を用いて2次元プロットに変換して表示する。
【0203】
比較結果1620、コメント1630は、比較結果表示画面800の比較結果820とコメント830と同じ内容が、複数ログ種別のデータを用いて算出された異常度を使用して表示される。
【0204】
寄与度テーブル1640は、寄与順位1641、ログ種別1642、寄与度1643および個別結果へのリンク1644で構成されるテーブルである。寄与度テーブル1640は、比較設定画面700で設定された比較データ設定750の数だけ行が生成される。
【0205】
寄与順位1641は、その行の項目が全体の中で何番目に寄与度が高いかを示す数値が格納される。
【0206】
ログ種別1642は、その行の項目のログ種別を示す文字列が格納される。例えば、比較設定画面700における比較データ設定750の比較データ種別と前処理の内容を結合した文字列が格納される。
【0207】
寄与度1643は、その行の項目を対象として統計処理部144の複数種別データ比較処理の結果算出された寄与度が格納される。
【0208】
個別結果へのリンク1644は、その行のログ種別のみを比較データに設定した場合の比較結果表示画面800へのリンクである。個別結果へのリンク1644を選択すると、統計処理部144に比較結果表示画面800を表示する際と同様に比較設定データ1000が送信される。このとき、比較データ1060以外の設定については、複数種別データの比較結果表示画面1600を表示した場合と同じ設定内容が格納される。比較データ1060のみ、個別結果へのリンク1644と同じ行のログ種別の情報が格納される。
【0209】
比較設定画面700で比較データ設定750が二つ以上設定されて比較実行ボタン770が選択された場合、複数種別データの比較結果表示画面1600を表示する処理が実行される。比較データ設定750が一つだけ設定された場合は、比較結果表示画面800を表示する処理が実行される。このため、統計処理部144では、比較設定データ1000における比較データ1060のリストの長さを参照して処理を切り替える。
【0210】
(複数種別データ比較処理)
図17は、実施例3において、管理装置140の統計処理部144が実行する複数種別データ比較処理の流れの一例を示したフローチャート1700である。
【0211】
以下、比較処理フローチャート1300からの差分について、図17に示したフローチャート1700に沿って、統計処理部144の動作を説明する。
【0212】
なお、図17のフローチャート1700の前後に実行される処理は、いずれも図13のフローチャート1300の前後に実行される処理と同じである。
【0213】
また、図17のフローチャート1700でステップS1701~S1702として示した処理は、図13のフローチャート1300でステップS1301~S1302として示した処理と同じ処理である。
【0214】
管理装置140の制御部は、ステップS1702における処理が完了すると、ステップS1703に進む。
【0215】
ステップS1703において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、分類結果応答データ1100の分類結果1120の全ての対象機器ログ1123に対して、平均値を求める。そして、分類結果1120のリスト毎に対象機器ログ1123の平均値と他機器ログ1122の距離を求める。具体的には、求めた対象機器ログの平均値のベクトルと分類結果応答データの分類結果のリストの全ての他機器ログの1番目の値をベクトルと見なして、二つのベクトルの距離を求める。この計算を2番目、3番目と他機器ログ1122の長さ分だけ繰り返す。求める距離は、ユークリッド距離やマハラノビス距離などが想定される。ログ種別毎にスケールが異なる場合には、前処理として対象機器ログ1123と他機器ログ1122に正規化を行い、全てのログ種別におけるスケールを整える。マハラノビス距離を計算する距離として用いる場合、マハラノビス距離がカイ二乗分布に従うことから、その距離の異常度を測ることができる。本実施例では、求めた距離までに分布の何%が含まれているかを求め、発生確率とする。求めた発生確率の平均値を用いて、図13のフローチャート1300におけるステップS1304と同様に異常度と外れ値の割合を求める。統計処理部144は、このようにして比較対象機器ログデータと他機器ログデータを比較する処理を実行する。これにより、当該比較対象機器ログデータと当該他機器ログデータとの比較が行われる。管理装置140の制御部は、ステップS1703における処理が完了すると、ステップS1704に進む。
【0216】
ステップS1704において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、ステップS1703で求めた外れ値の割合の値が10%以下となった他機器ログ1122のベクトルに対して、寄与度を求める処理を実行する。計算する距離にマハラノビス距離を用いた場合、SN比を求めることで、寄与度とすることができる。SN比は、各データに対して、変数毎(今回の場合、ログ種別毎)に求めることができ、ノイズとなる異常なデータには値が大きくなる特性を持つ。本実施例では、データ毎に求めたSN比をログ種別毎に平均化し、寄与度として出力する。寄与度が高い順にログ種別を並び替え、ログ種別毎に寄与順位1641、ログ種別1642、寄与度1643および個別結果へのリンク1644を生成して寄与度テーブル1640として出力する。これにより、寄与度テーブル1640が生成される。管理装置140の制御部は、ステップS1704における処理が完了すると、ステップS1705に進む。
【0217】
ステップS1705において、管理装置140の制御部は、統計処理部144により、分類結果応答データ1100の分類結果とステップS1704までの処理で算出された計算結果を使用して、複数種別データの比較結果表示画面1600を表示するためのGUIデータを生成する処理を実行する。分類結果応答データ1100における分類結果1120の全リストの他機器ログ1122および対象機器ログ1123を多次元配列とし、主成分分析やt-SNEなどの手法を用いて2次元プロットに変換して複数種別比較結果プロット1610を出力する。さらに、ステップS1703で算出した異常度と外れ値の割合を用いて比較結果表示画面の比較結果1620、コメント1630を生成する。また、ステップS1704で生成した寄与度テーブル1640をGUIデータに埋め込む。生成したGUIデータは、GUI生成部143へと送信する。これにより、当該GUIデータがGUI生成部143へと送信される。管理装置140の制御部は、ステップS1705における処理が完了すると、図17のフローチャート1700に示した複数種別データ比較処理を終了する。
【0218】
実施例3のデータ処理システム1によると、管理装置140に複数種別データの比較結果表示画面と複数種別データ比較処理を追加した。これにより、データ種別毎に異常度の大きさを一つの表示で比較する事を可能とする。
【0219】
以上説明した本発明の実施形態は、以下のように総括される。
【0220】
(1)データ処理システム1であって、一つ以上の機器100とデータ通信可能に接続された通信装置110と、通信装置110とデータ通信可能に接続され、当該通信装置110から取得した情報を解析する管理装置140とを備え、通信装置110は、接続された機器100の稼働ログおよび/または当該通信装置110の稼働ログを含む情報を取得して管理装置140に送信する情報取得部111を有し、管理装置140は、通信装置110から受信した情報に基づいて、当該機器100または当該通信装置110の少なくともいずれか一つを分類する分類部145と、分類部145の分類結果に基づいて、当該機器100の稼働ログまたは当該通信装置110の稼働ログと、当該機器100または当該通信装置110と同じグループに分類された他の機器100および/または通信装置110の稼働ログとを比較して、比較結果を出力する統計処理部144とを有する。このようにしたので、データ処理システム1は、機器100の異常度を客観的に測ることにより、当該異常度の算出精度を向上させることができる。その結果、データ処理システム1のユーザは、数値によって当該機器100の異常度を正確に把握することができるようになる。
【0221】
(2)稼働ログは、当該稼働ログに係る機器100または通信装置110の稼働時間を含み、分類部145は、稼働時間に基づいて、当該機器100または当該通信装置110の少なくともいずれか一つを分類する。
【0222】
(3)稼働時間は、累積稼働時間である。累積稼働時間は通信装置110もしくは通信装置110に接続される機器100から取得され、出荷後に電源が入り稼働した時間を示しており、機器100を構成する部品や消耗品の劣化度合を読み取るのに好適な指標である。
【0223】
(4)稼働ログは、当該稼働ログに係る機器100または通信装置110の位置情報を含み、分類部145は、位置情報に基づいて、当該機器100または当該通信装置110の少なくともいずれか一つを分類する。
【0224】
(5)位置情報は、当該位置情報に係る通信装置110が行うモバイル無線通信における基地局の情報を表す基地局IDに基づいて取得される。
【0225】
(6)位置情報は、当該位置情報に係る通信装置110が行う無線通信に関する情報であるSSIDに基づいて取得される。
【0226】
(7)稼働ログは、当該稼働ログに係る機器100または通信装置110に設置された温度センサ1403の値を含み、分類部145は、温度センサ1403の値に基づいて、当該機器100または当該通信装置110の少なくともいずれか一つを分類する。
【0227】
(8)稼働ログは、当該稼働ログに係る機器100または通信装置110における異常イベントの発生回数、部品の劣化度合または消耗品の消耗度合の少なくともいずれか一つを含み、分類部145は、異常イベントの発生回数、部品の劣化度合または消耗品の消耗度合の少なくともいずれか一つに基づいて、当該機器100または当該通信装置110の少なくともいずれか一つを分類する。
【0228】
(9)統計処理部144は、比較結果として、当該機器100の稼働ログまたは当該通信装置110の稼働ログが、当該機器100または当該通信装置110と同じグループに分類された他の全ての機器100および通信装置110の稼働ログと比較してどの程度の外れ値に当たるかを出力する。
【0229】
(10)統計処理部144は、稼働ログに係る事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、算出された発生確率を表す数値を当該稼働ログに係る機器100または通信装置110の異常度を表す値として出力する。
【0230】
(11)統計処理部144は、稼働ログに係る事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、算出された発生確率を表す値を、ヒストグラムの形式で表した確率分布にプロットして比較結果として出力する。
【0231】
(12)統計処理部144は、稼働ログに係る事象の全ての種別について、種別毎に、当該事象の発生確率を確率分布に基づいて算出し、算出された発生確率の値が相対的に大きい事象を異常要因となる蓋然性が高い事象として出力する。
【0232】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。
【0233】
(13)例えば、データ処理システム1において、稼働ログは、当該稼働ログに係る機器100または通信装置110の稼働時間と、当該稼働ログに係る機器100または通信装置110の位置情報および/または当該稼働ログに係る機器100または通信装置110に設置された温度センサ1403の値とを含み、稼働時間は、位置情報毎および/または温度センサ1403の値毎に、位置情報および/または温度センサ1403の値と対応付けられて記録され、分類部145は、位置情報および/または温度センサ1403の値と対応付けられた稼働時間に基づいて、当該機器100または当該通信装置110の少なくともいずれか一つを分類してもよい。このようにした場合、データ処理システム1は、位置情報毎および/または温度センサ1403の値から稼働環境の違いを把握することができる。また、このようにした場合、データ処理システム1は、稼働時間が位置情報および/または温度センサ1403の値と対応付けられていることにより、異なる稼働環境毎に稼働時間を区切って把握することができる。その結果、データ処理システム1は、機器100の異常度を、当該機器100の稼働環境の差異を反映させた形で正確かつ客観的に測ることにより、当該異常度の算出精度をさらに向上させることができる。その結果、データ処理システム1のユーザは、数値によって当該機器100の異常度をより正確に把握することができるようになる。
【0234】
上記の実施形態や実施例、変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や実施例、変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0235】
上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。例えば、実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0236】
また、以上に説明したデータ処理システム1の各機能部の配置形態は一例に過ぎない。各機能部の配置形態は、データ処理システム1が備えるハードウェアやソフトウェアの性能、処理効率、通信効率などの観点から最適な配置形態に変更し得る。
【符号の説明】
【0237】
1 データ処理システム
100 接続機器
101 稼働情報
102 設定情報
110 通信装置
111 情報取得部
120 ネットワーク
130 ユーザ機器
140 管理装置
141 通信部
142 ログDB
143 GUI生成部
144 統計処理部
145 分類部
200 CPU
201 主記憶装置
202 ネットワークIF
203 補助記憶IF
204 入出力IF
205 シリアル通信IF
206 LAN通信IF
210 情報取得プログラム
220 情報取得設定ファイル
400 CPU
401 主記憶装置
402 補助記憶IF
403 入出力IF
404 ネットワークIF
410 データベース管理ソフトウェア
411 ログDB
412 受信ログデータ
420 通信プログラム
421 GUI生成プログラム
422 統計処理プログラム
423 分類プログラム
600 機器知覧表示画面
700 比較設定画面
800 比較結果表示画面
1000 比較設定データ
1100 分類結果応答データ
1401 GNSS信号受信器
1402 無線信号受信器
1403 温度センサ
1600 複数種別データの比較結果表示画面
図1
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