(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016306
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】包装容器及びその展開体
(51)【国際特許分類】
B65D 5/00 20060101AFI20250124BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20250124BHJP
B65D 5/4805 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B65D5/00 Z
B65D5/42 Z
B65D5/4805
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119505
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000106715
【氏名又は名称】ザ・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】福冨 悟史
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA07
3E060CC02
3E060CC17
3E060CC33
3E060CC43
3E060DA30
3E060EA13
(57)【要約】
【課題】小皿となる部分を備え、生産性に優れる包装容器及びその展開体を提供。
【解決手段】第1底辺4L及び背側鉛直辺5Bを有する第1背壁1Lと、第2底辺4R及び背側鉛直辺5Bを有する第2背壁1Rと、第1背壁1Lに重ねられた第1前壁2Lと、第2背壁1Rに重ねられた第2前壁2Rと、第1背壁1Lに沿って斜め上方に延びる第1斜辺6L、背側鉛直辺5Bから前側に立ち上がる突辺7、第1斜辺6L及び突辺7の終点S,T同士を繋ぐ第1縁端辺8Lからなる第1突出壁3L、第2背壁1Rに沿って斜め上方に延びる第2斜辺6R、突辺7、並びに、第2斜辺6R及び突辺7の終点同士(U,T)を繋ぐ第2縁端辺8Rからなる第2突出壁3Rと、を有し、第1底辺4Lと第1斜辺6Lとの成す角、及び、第2底辺4Rと第2斜辺6Rとの成す角が略等しく、第1斜辺6Lに沿った第1接着領域9L及び第2斜辺6Rに沿った第2接着領域9Rで接着されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1底辺及び該第1底辺と一端が共通する背側鉛直辺を有する第1背壁と、
前記背側鉛直辺と一端を共通する第2底辺及び前記背側鉛直辺を有し、前記背側鉛直辺で前記第1背壁から前側に折り起こされた第2背壁と、
前記第1底辺で前側に折り返されて前記第1背壁に重ね合わされた第1前壁と、
前記第2底辺で前側に折り返されて前記第2背壁に重ね合わされた第2前壁と、
前記第1前壁及び前記第2前壁が連なっている場合には前記第1前壁と前記第2前壁との間に介在し、前記第1底辺及び前記第2底辺と一端が共通する前側鉛直辺の他端を基準点とし、連なっていない場合には前記第1底辺及び前記第2底辺の一端を基準点とし、これら何れかの基準点を始点として、前記第1背壁の前側の面に沿って斜め上方に延びる第1斜辺、同様に前記基準点を始点として、前記背側鉛直辺から前側に立ち上がる突辺、並びに、前記第1斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第1縁端辺の3辺からなる三角形状の第1突出壁と、
同様に前記基準点を始点として、前記第2背壁の前側の面に沿って斜め上方に延びる第2斜辺、前記第1突出壁との間に介在する前記突辺、並びに、前記第2斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第2縁端辺の3辺からなる三角形状の第2突出壁と、を有し、
前記第1底辺と前記第1斜辺との成す角、及び、前記第2底辺と前記第2斜辺との成す角が略等しく、
重ね合わされた前記第1背壁及び前記第1前壁の対向面のうち、前記第1斜辺に沿った帯状の第1接着領域で前記第1背壁と前記第1前壁とが接着されていて、
重ね合わされた前記第2背壁及び前記第2前壁の対向面のうち、前記第2斜辺に沿った帯状の第2接着領域で前記第2背壁と前記第2前壁とが接着されている、包装容器。
【請求項2】
請求項1に記載の包装容器からなる1または2以上の小皿部と、該小皿部よりも収容量が大きい主収容部を備え、前記小皿部が前記主収容部の上方に配されている、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記主収容部が、少なくとも第1収容側壁と、第2収容側壁と、前側収容周壁と、を備え、前記第1収容側壁と、前記第2収容側壁と、前記前側収容周壁とがこの順で環状に連なって前記主収容部の周壁を構成し、
前記主収容部の上部開口の一部を構成する開口縁辺を介して前記第2収容側壁と前記第2前壁とが連なり、当該開口縁辺で折り返されて前記第2収容側壁と前記第2背壁とが重ね合わされ、かつ、前記第1収容側壁と前記第1背壁とが重ね合わされ、
前記第1前壁及び前記第1背壁の少なくとも何れか一方は、前記第1収容側壁と前記前側収容周壁との間に介在する境界線に沿った辺を有するとともに、当該辺から突出する突出片を備え、
前記境界線には、前記突出片が嵌合し係止される孔部が設けられている、請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
1枚のシートが折られて接着されることで形成された包装容器の展開体であって、
第1底辺、及び、該第1底辺と一端が共通し直交する折り線としての背側鉛直辺を有する第1背板と、
前記第1底辺の延長線上にある第2底辺、及び、前記背側鉛直辺を有する第2背板と、
前記第1底辺で前側に折り返されて前記第1背板に重ね合わされた第1前板と、
前記第2底辺で前側に折り返されて前記第2背板に重ね合わされた第2前板と、
前記第1前板及び前記第2前板が連なっている場合には前記第1前板と前記第2前板との間に介在し、前記第1底辺及び前記第2底辺と一端が共通する前側鉛直辺の他端を基準点とし、連なっていない場合には前記第1底辺及び前記第2底辺の一端を基準点とし、これら何れかの基準点を始点として、前記第1背板面の前側で斜め上方に延びる前記第1前板との間の折り線としての第1斜辺、同様に前記基準点を始点として、前記背側鉛直辺の前側で同方向に延びる折り線としての突辺、並びに、前記第1斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第1縁端辺の3辺からなる三角形状の第1突出板と、
同様に前記基準点を始点として、前記第2背板面の前側で斜め上方に延びる前記第2前板との間の折り線としての第2斜辺、前記第1突出板と共有する前記突辺、並びに、前記第2斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第2縁端辺の3辺からなる三角形状の第2突出板と、を有し、
前記第1底辺と前記第1斜辺との成す角、及び、前記第2底辺と前記第2斜辺との成す角が略等しく、
重ね合わされた前記第1背板及び前記第1前板の対向面のうち、前記第1斜辺に沿った帯状の第1接着領域で前記第1背板と前記第1前板とが接着されていて、
重ね合わされた前記第2背板及び前記第2前板の対向面のうち、前記第2斜辺に沿った帯状の第2接着領域で前記第2背板と前記第2前板とが接着されている、包装容器の展開体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器及びその展開体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フライドポテトの如き食品をその場で喫食に供するために、手軽に摘まみやすいように上部が開口した紙製の包装容器が用いられている。食品の提供者は、折り畳まれた包装容器の展開体を広げて、上部が開口した収容部を形成し、当該収容部にフライドポテト等の食品を収容して、そのまま顧客に提供している。受け取った顧客は、包装容器をテーブル等の上に置いて、あるいは、手に持ちながら、上部開口から表出している食品を手で摘まんで喫食する。
【0003】
フライドポテトやナゲット等の食品は、そのまま喫食に供される他、ケチャップや各種ソース等のディップソースを付けて食べることが行われている。この場合、食品の提供者は、メインの食品が収容された包装容器とともに、ディップソースが充填された、あるいは、取り分けられた別の容器を顧客に提供することが多い。
【0004】
ディップソースを別の容器で提供された場合、メインの食品とディップソースの両方を手に持ちながら喫食することは困難になるため、例えば、食べ歩きやスポーツ観戦の際の喫食には向かない。そこで、ディップソースを取り分けることが可能な小皿を備えた包装容器が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
【0005】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載の包装容器は、形状やのりしろ部が複雑だったり、小皿を構成する部材が別部品であったり等の理由から機械生産には向いていない。そのため、これら文献に記載の包装容器は、1つ1つ手作業で組み立てる必要があり、生産性に劣っていた。
【0006】
また、食品用途に限らず各種用途において、簡易的な紙製の小皿を提供する技術が種々提案されている(例えば、特許文献3や特許文献4参照)。しかし、特許文献3や特許文献4に記載の包装容器は、のりしろ部の面積が広く、また、形状も複雑なので、機械生産には向いていない。そのため、これら文献に記載の包装容器も、1つ1つ手作業で組み立てる必要があり、生産性に劣っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】意匠第1147239号公報
【特許文献2】意匠第1515788号公報
【特許文献3】特開2001-122229号公報
【特許文献4】特開2003-327236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、小皿となる部分を備えた包装容器であって、生産性に優れる包装容器及びその展開体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、以下の本発明の各態様により達成される。即ち、本発明の一態様である包装容器は、第1底辺及び該第1底辺と一端が共通する背側鉛直辺を有する第1背壁と、
前記背側鉛直辺と一端を共通する第2底辺及び前記背側鉛直辺を有し、前記背側鉛直辺で前記第1背壁から前側に折り起こされた第2背壁と、
前記第1底辺で前側に折り返されて前記第1背壁に重ね合わされた第1前壁と、
前記第2底辺で前側に折り返されて前記第2背壁に重ね合わされた第2前壁と、
前記第1前壁及び前記第2前壁が連なっている場合には前記第1前壁と前記第2前壁との間に介在し、前記第1底辺及び前記第2底辺と一端が共通する前側鉛直辺の他端を基準点とし、連なっていない場合には前記第1底辺及び前記第2底辺の一端を基準点とし、これら何れかの基準点を始点として、前記第1背壁の前側の面に沿って斜め上方に延びる第1斜辺、同様に前記基準点を始点として、前記背側鉛直辺から前側に立ち上がる突辺、並びに、前記第1斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第1縁端辺の3辺からなる三角形状の第1突出壁と、
同様に前記基準点を始点として、前記第2背壁の前側の面に沿って斜め上方に延びる第2斜辺、前記第1突出壁との間に介在する前記突辺、並びに、前記第2斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第2縁端辺の3辺からなる三角形状の第2突出壁と、を有し、
前記第1底辺と前記第1斜辺との成す角、及び、前記第2底辺と前記第2斜辺との成す角が略等しく、
重ね合わされた前記第1背壁及び前記第1前壁の対向面のうち、前記第1斜辺に沿った帯状の第1接着領域で前記第1背壁と前記第1前壁とが接着されていて、
重ね合わされた前記第2背壁及び前記第2前壁の対向面のうち、前記第2斜辺に沿った帯状の第2接着領域で前記第2背壁と前記第2前壁とが接着されている。
【0010】
上記一態様の包装容器からなる1または2以上の小皿部と、該小皿部よりも収容量が大きい主収容部を備え、前記小皿部が前記主収容部の上方に配されていてもよい。当該態様においては、前記主収容部が、少なくとも第1収容側壁と、第2収容側壁と、前側収容周壁と、を備え、前記第1収容側壁と、前記第2収容側壁と、前記前側収容周壁とがこの順で環状に連なって前記主収容部の周壁を構成し、
前記主収容部の上部開口の一部を構成する開口縁辺を介して前記第2収容側壁と前記第2前壁とが連なり、当該開口縁辺で折り返されて前記第2収容側壁と前記第2背壁とが重ね合わされ、かつ、前記第1収容側壁と前記第1背壁とが重ね合わされ、
前記第1前壁及び前記第1背壁の少なくとも何れか一方は、前記第1収容側壁と前記前側収容周壁との間に介在する境界線に沿った辺を有するとともに、当該辺から突出する突出片を備え、
前記境界線には、前記突出片が嵌合し係止される孔部が設けられていてもよい。
【0011】
一方、本発明の一態様である包装容器の展開体は、1枚のシートが折られて接着されることで形成された包装容器の展開体であって、
第1底辺、及び、該第1底辺と一端が共通し直交する折り線としての背側鉛直辺を有する第1背板と、
前記第1底辺の延長線上にある第2底辺、及び、前記背側鉛直辺を有する第2背板と、
前記第1底辺で前側に折り返されて前記第1背板に重ね合わされた第1前板と、
前記第2底辺で前側に折り返されて前記第2背板に重ね合わされた第2前板と、
前記第1前板及び前記第2前板が連なっている場合には前記第1前板と前記第2前板との間に介在し、前記第1底辺及び前記第2底辺と一端が共通する前側鉛直辺の他端を基準点とし、連なっていない場合には前記第1底辺及び前記第2底辺の一端を基準点とし、これら何れかの基準点を始点として、前記第1背板面の前側で斜め上方に延びる前記第1前板との間の折り線としての第1斜辺、同様に前記基準点を始点として、前記背側鉛直辺の前側で同方向に延びる折り線としての突辺、並びに、前記第1斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第1縁端辺の3辺からなる三角形状の第1突出板と、
同様に前記基準点を始点として、前記第2背板面の前側で斜め上方に延びる前記第2前板との間の折り線としての第2斜辺、前記第1突出板と共有する前記突辺、並びに、前記第2斜辺及び前記突辺の終点同士を繋ぐ第2縁端辺の3辺からなる三角形状の第2突出板と、を有し、
前記第1底辺と前記第1斜辺との成す角、及び、前記第2底辺と前記第2斜辺との成す角が略等しく、
重ね合わされた前記第1背板及び前記第1前板の対向面のうち、前記第1斜辺に沿った帯状の第1接着領域で前記第1背板と前記第1前板とが接着されていて、
重ね合わされた前記第2背板及び前記第2前板の対向面のうち、前記第2斜辺に沿った帯状の第2接着領域で前記第2背板と前記第2前板とが接着されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小皿となる部分を備えた包装容器であって、生産性に優れる包装容器及びその展開体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の例示的態様である第1の実施形態にかかる包装容器を示す正面図である。
【
図2】第1の実施形態にかかる包装容器を示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる包装容器を示す上面図である。
【
図4】第1の実施形態にかかる包装容器及びその展開体を製造するためのシートを示す平面図(展開図)である。
【
図5】第1の実施形態にかかる包装容器の展開体を製造する過程を説明するための製造途中の斜視図である。
【
図6】第1の実施形態にかかる包装容器の展開体の正面図である。
【
図7】第1の実施形態にかかる包装容器の展開体の背面図である。
【
図8】本発明の例示的態様である第2の実施形態にかかる包装容器を示す正面図である。
【
図9】第2の実施形態にかかる包装容器を示す左側面図である。
【
図10】第2の実施形態にかかる包装容器を示す上面図である。
【
図11】第2の実施形態にかかる包装容器の使用状態の一例を示す斜視図である。
【
図12】第2の実施形態にかかる包装容器及びその展開体を製造するためのシートを示す平面図(展開図)である。
【
図13】第2の実施形態にかかる包装容器の展開体の正面図である。
【
図14】第2の実施形態にかかる包装容器の展開体の背面図である。
【
図15】本発明の例示的態様である第3の実施形態にかかる包装容器を示す斜視図である。
【
図16】第3の実施形態にかかる包装容器を示す、
図15とは別の角度から見た斜視図である。
【
図17】第3の実施形態にかかる包装容器及びその展開体を製造するためのシートを示す平面図(展開図)である。
【
図18】本発明の例示的態様である第4の実施形態にかかる包装容器を示す斜視図である。
【
図19】第4の実施形態にかかる包装容器の正面からの分解図である。
【
図20】第4の実施形態にかかる包装容器及びその展開体を製造するためのシートを示す平面図(展開図)である。
【
図21】第4の実施形態にかかる包装容器における容器本体上方の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的態様である4つの実施形態にかかる包装容器及びその展開体について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本発明の包装容器は、一般的には紙製のシートを打ち抜き(切断)、折り曲げ、並びに接着することで組み立てられるものである。また、本発明において、「展開体」とは、最終製品となる包装容器を組み立てる前段階まで組み立てられた半製品の状態であり、包装容器の使用者は、展開体の状態で受け取り、使用に際して折り起こす等の簡単な組み立て操作で包装容器を完成させて実用に供する。「展開体」は、保管性並びに搬送性の観点から、折り畳まれて全体として厚みの少ない板状に形成されている。なお、本発明において、包装容器の使用時に上に保たれる側を上側、その逆を下側とし、使用時に通常向けられる側を前側、その逆側を背側または後側とし、その際に向かって左を左側、右を右側とする。
【0015】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態にかかる包装容器10を示す正面図であり、
図2は同斜視図であり、
図3は同上面図である。図中の矢印x方向及びその逆方向は右左方向を、矢印y方向及びその逆方向は前後方向を、矢印z方向及びその逆方向は上下方向を、それぞれ表す(以降、展開体及び展開図を除く全ての図面において同様。)。
図1~3に示されるように、本実施形態にかかる包装容器10は、第1背壁1Lと、第2背壁1Rと、第1前壁2Lと、第2前壁2Rと、第1突出壁3Lと、第2突出壁3Rと、を有する。
【0016】
第1背壁1Lは、第1底辺4L、及び、該第1底辺4Lと一端(点P)が共通する背側鉛直辺5Bを有する。本実施形態にかかる包装容器10においては、製造適性、取り扱い性及び意匠性の観点から、第1背壁1Lにはフラップ片11Lが設けられている。ただし、フラップ片11Lは必須の構成ではなく、形状も任意である。第1背壁1Lの左側(矢印x方向とは逆側。以下、「左側」といった場合に同様。)の端部は、背側鉛直辺5Bと平行な左側鉛直辺12Lになっていて、上側(矢印z方向側。以下、「上側」といった場合に同様。)の端部でフラップ片11Lに連なっている。
【0017】
第2背壁1Rは、背側鉛直辺5Bと一端(点P)を共通する第2底辺4R、及び、背側鉛直辺5Bを有する。第2背壁1Rの右側(矢印x方向。以下、「右側」といった場合に同様。)の端部は、背側鉛直辺5Bと平行な右側鉛直辺12Rになっている。右側鉛直辺12Rは左側鉛直辺12Lと同じ長さであり、上側の端部からは背側鉛直辺5Bに向かう上側斜辺11Rに連なっている。第2背壁1Rは、背側鉛直辺5Bで第1背壁1Lから前側(矢印y方向側。以下、「前側」といった場合に同様。)に折り起こされている。第1背壁1Lと第2背壁1Rとの成す角γは、180度未満の鈍角~直角程度とされるが、使用態様や利用する者(店員や喫食者等)の事情により適宜自由に選択され、鋭角であっても構わない。第1背壁1L及び第2背壁1Rの上側の端部には、円弧状の切り欠き13Bが設けられている。切り欠き13Bの左側はフラップ片11Lになだらかに連なっており、右側は上側斜辺11Rの上側の端部に連なっている。
【0018】
第1前壁2Lは、第1底辺4Lで第1背壁1Lから前側に折り返されて第1背壁1Lに重ね合わされている。また、第2前壁2Rは、第2底辺4Rで第2背壁1Rから前側に折り返されて第2背壁1Rに重ね合わされている。第1前壁2Lと第2前壁2Rとの間は連なっており、第1底辺4L及び第2底辺4Rと一端(点P)が共通する前側鉛直辺5Fが、その間に介在している。前側鉛直辺5Fは、点Pから他端である基準点Qまで延在している。
【0019】
第1前壁2Lの左側の端部は、第1背壁1Lと同一形状になっており、重なって一体化して左側鉛直辺12Lになっている。第1前壁2Lにおいて、左側鉛直辺12Lの上側の端部からは、第1底辺4Lとの成す角が略45度となる角度で背側鉛直辺5Bに向けて斜めに第1前壁斜辺14Lが延びている。第1前壁2Lにおいて、第1前壁斜辺14Lは点Sで終了し、点Sから基準点Qまでは第1斜辺6Lが延在している。第1斜辺6Lについては後述する。したがって、第1前壁2Lは、第1底辺4L、左側鉛直辺12L、第1前壁斜辺14L、第1斜辺6L及び前側鉛直辺5Fの5辺からなる五角形状になっている。
【0020】
第2前壁2Rの右側の端部は、第2背壁1Rと同一形状になっており、重なって一体化して右側鉛直辺12Rになっている。第2前壁2Rにおいて、右側鉛直辺12Rの上側の端部からは、第2底辺4Rとの成す角が略45度となる角度で背側鉛直辺5Bに向けて斜めに第2前壁斜辺14Rが延びている。第2前壁2Rにおいて、第2前壁斜辺14Rは点Uで終了し、点Uから基準点Qまでは第2斜辺6Rが延在している。第2斜辺6Rについては後述する。したがって、第2前壁2Rは、第2底辺4R、右側鉛直辺12R、第2前壁斜辺14R、第2斜辺6R及び前側鉛直辺5Fの5辺からなる五角形状になっている。
【0021】
第1突出壁3Lは、第1斜辺6Lと突辺7と第1縁端辺8Lの3辺からなる三角形状の壁である。第1斜辺6Lは、前側鉛直辺5Fの他端である基準点Qを始点として、第1背壁1Lの前側の面に沿って斜め上方(矢印x方向の逆方向と矢印z方向の合成方向)に延びていて、第1前壁斜辺14Lの一方の端部である点Sに達している。突辺7は、基準点Qを始点として、背側鉛直辺5Bから前側に立ち上がっている。第1縁端辺8Lは、第1斜辺6L及び突辺7の終点同士(点S及び点T)を繋いでいる。
【0022】
第2突出壁3Rは、第2斜辺6Rと突辺7と第2縁端辺8Rの3辺からなる三角形状の壁である。第2斜辺6Rは、基準点Qを始点として、第2背壁1Rの前側の面に沿って斜め上方(矢印x方向と矢印z方向の合成方向)に延びている。突辺7は、第1突出壁3Lと共有する辺である。第2縁端辺8Rは、第2斜辺6R及び突辺7の終点同士(点U及び点T)を繋いでいる。第1底辺4Lと第1斜辺6Lとの成す角θL、及び、第2底辺4Rと第2斜辺6Rとの成す角θRが、ともに略45度となっている。なお、ここでいう「略○○度」とは、対象の部位の角度が○○度になるように製造する際に多少の誤差を許容する趣旨である(本発明乃至本明細書において「略○○度」というとき、全て同様)。
【0023】
重ね合わされた第1背壁1L及び第1前壁2L、並びに、重ね合わされた第2背壁1R及び第2前壁2Rは、何れも貼り合わされて接着固定されている。このとき、重ね合わされた第1背壁1L及び第1前壁2Lの対向面のうち、第1斜辺6Lに沿った帯状の第1接着領域9Lで第1背壁1Lと第1前壁2Lとが接着されている。また、重ね合わされた第2背壁1R及び第2前壁2Rの対向面のうち、第2斜辺6Rに沿った帯状の第2接着領域9Rで第2背壁1Rと第2前壁2Rとが接着されている。なお、本発明において「沿った」あるいは「沿って」というときは、対象物に対して隣接あるいは近傍でおよそ平行に延在している状態をいう。第1背壁1L及び第1前壁2L、並びに、重ね合わされた第2背壁1R及び第2前壁2Rが接着されているので、第1前壁2Lと第2前壁2Rとの成す角は、第1背壁1Lと第2背壁1Rとの成す角γと略同じになる。
図2及び3においては、両者を区別することなくγで表している。以上のように構成された包装容器10は、第1背壁1Lと第2背壁1Rと第2突出壁3Rと第1突出壁3Lと、で逆四角錐状に形成される小皿15を備えた状態になっている。
【0024】
第1背壁1L及び第1前壁2L、並びに、第2背壁1R及び第2前壁2Rの接着状態について説明する。
図4は、本実施形態にかかる包装容器10並びに後述する包装容器の展開体(以下、単に「展開体」と称する。)10′を製造するための、1枚の紙材に打ち抜き加工を施して、折り曲げや糊付け等が施されていないシート110を示す平面図(展開図と等価)である。実際の包装容器10の製造においては、シート110を形成し、後述するのりしろ109に接着剤等を付着させた後、折り曲げ加工を行って、形作るとともに接着させて製造する。機械生産する場合には、1枚の紙材への打ち抜き加工から製品としての展開体(後述する符号10′)の製造までを一貫して機械によって加工される。したがって、シート110は、一般的には市場に流通しない半製品(中間製品)である(以上、後述する他の実施形態のシート120,130,140においても同様である。)。
【0025】
シート110は、扁平な六角形の一辺に相当する箇所からフラップ111Lが延びた形状をしている。シート110には、打ち抜き加工時に直線状にプレスすることで折り曲げ加工をしやすくする折り線104,105,106L,106Rが設けられている。折り線104と折り線105とは直交しており、交点が
図1及び
図2に示す点Pになる点である。折り線105における点Pからフラップ111Lとは反対側に進んだ点Qの位置から、折り線106L,106Rが、折り線104及び折り線105の双方と成す角δ
1,δ
2,δ
3,δ
4が45度になる方向に延びている。
【0026】
これら折り線104,105,106L,106Rによって、第1背板101Lと、第2背板101Rと、第1前板102Lと、第2前板102Rと、第1突出板103Lと、第2突出板103Rと、に領域が仕切られている。第1背板101Lは第1背壁1Lに、第2背板101Rは第2背壁1Rに、第1前板102Lは第1前壁2Lに、第2前板102Rは第2前壁2Rに、第1突出板103Lは第1突出壁3Lに、第2突出板103Rは第2突出壁3Rに、それぞれ、なる部分である。また、点Pを中心とし、折り線106Lに沿って、帯状で一直線状ののりしろ109が形成されている。のりしろ109には、接着剤を塗布するか、または両面テープを貼付する(これらを「接着剤等」と称する。)。この折り線106Lは、包装容器10の完成時、第1斜辺6Lになる部位である。
【0027】
図5は、包装容器10の展開体(後述する展開体10′)を製造する過程を説明するための製造途中の斜視図である。
図5は、折り線104を折り線としてシート110のフラップ111L側を水平に維持し、102L第1前板及び第2前板102Rを含む面を、のりしろ109が設けられた側に直角まで折り起こした状態である。
図5に示されるように、直線状だったのりしろ109が点Pを中心に折れている。さらにシート110を折り曲げて、第1背板101Lと第1前板102L、並びに、第2背板101Rと第2前板102R、を重ね合わせて、のりしろ109に付着した接着剤等により接着させる。以上のようにして、シート110から展開体10′が製造される。
図6は、このように製造された展開体10′の正面図であり、
図7は背面図である。本実施形態にかかる展開体10′は、第1背板101Lと、第2背板101Rと、第1前板102Lと、第2前板102Rと、第1突出板103Lと、第2突出板103Rと、を有する。なお、図中の矢印z方向は
図1~3と同じ向きであるが、矢印x方向は、折り線105で折り曲げられていないので
図1~3と一致しない。
【0028】
第1背板101Lは、第1底辺4L、及び、第1底辺4Lと一端が共通し直交する背側鉛直辺5Bを有する。第2背板101Rは、第1底辺4Lの延長線上にある第2底辺4R、及び、背側鉛直辺5Bを有する。シート110において折り線104であった箇所は、折り返されて第1底辺4L及び第2底辺4Rになっている。また、背側鉛直辺5Bは、シート110において折り線105の一部であった箇所であり、そのまま折り線となる。なお、シート110においてフラップ111Lであった箇所は、第1背板101Lに設けられたフラップ片11Lになる。その他、第1背板101Lは、包装容器10の説明で挙げた左側鉛直辺12Lを備えている。また、第2背板101Rは、包装容器10の説明で挙げた右側鉛直辺12R及び上側斜辺11Rを備えている。さらに、第1背板101L及び第2背板101Rの上側の端部には、包装容器10の説明で挙げた切り欠き13Bが設けられている。
【0029】
第1前板102Lは、第1底辺4Lとなる折り線104の一部で第1背板101Lから前側に折り返されて重ね合わされた部位である。また、第2前板102Rは、第2底辺4Rとなる折り線104の一部で第2背板101Rから前側に折り返されて重ね合わされた部位である。第1前板102Lと第2前板102Rとの間は連なっており、第1底辺4L及び第2底辺4Rと一端(点P)が共通する前側鉛直辺5Fが、その間に介在している。前側鉛直辺5Fは、点Pから他端である基準点Qまで延在している。前側鉛直辺5Fは、シート110において折り線105の一部であった箇所であり、そのまま折り線となる。その他、第1前板102Lは、包装容器10の説明で挙げた左側鉛直辺12L、第1前壁斜辺14L及び第1斜辺6Lを備えていて、既述の第1底辺4L及び前側鉛直辺5Fとともに5辺を備えた五角形状となっている。また、第2前板102Rは、包装容器10の説明で挙げた右側鉛直辺12R、第2前壁斜辺14R及び第2斜辺6Rを備えていて、既述の第2底辺4R及び前側鉛直辺5Fとともに5辺を備えた五角形状となっている。
【0030】
第1突出板103Lは、第1斜辺6Lと突辺7と第1縁端辺8Lの3辺からなる三角形状の板である。第1斜辺6Lは、前側鉛直辺5Fの他端である基準点Qを始点として、第1背板101Lの前側の面に沿って斜め上方(矢印x方向の逆方向と矢印z方向の合成方向)に延びていて、第1前壁斜辺14Lの一方の端部である点Sに達している。突辺7は、基準点Qを始点として、背側鉛直辺5Bから前側に立ち上がっている。第1縁端辺8Lは、第1斜辺6L及び突辺7の終点同士(点S及び点T)を繋いでいる。
【0031】
第2突出板103Rは、第2斜辺6Rと突辺7と第2縁端辺8Rの3辺からなる三角形状の板である。第2斜辺6Rは、前側鉛直辺5Fの他端である基準点Qを始点として、第2背板101Rの前側の面に沿って斜め上方(矢印x方向と矢印z方向の合成方向)に延びていて、第2前壁斜辺14Rの一方の端部である点Uに達している。突辺7は、第1突出板103Lと共有する辺である。第2縁端辺8Rは、第2斜辺6R及び突辺7の終点同士(点U及び点T)を繋いでいる。
【0032】
第1底辺4Lと第1斜辺6Lとの成す角θL、及び、第2底辺4Rと第2斜辺6Rとの成す角θRが、ともに略45度となっている。第1斜辺6Lは、シート110において折り線106Lであった箇所であり、そのまま折り線となる。第2斜辺6Rは、シート110において折り線106Rであった箇所であり、そのまま折り線となる。突辺7は、シート110において折り線105の一部であった箇所であり、そのまま折り線となる。
【0033】
重ね合わされた第1背板101L及び第1前板102Lの対向面のうち、第1斜辺6Lに沿った帯状の第1接着領域9Lで第1背板101Lと第1前板102Lとが接着されている。また、重ね合わされた第2背板101R及び第2前板102Rの対向面のうち、第2斜辺6Rに沿った帯状の第2接着領域9Rで第2背板101Rと第2前板102Rとが接着されている。シート110においてのりしろ109であった領域は、第1前板102L側の面の第1接着領域9Lと、第2背板101R側の面の第2接着領域9Rになっている。そして、接着剤等が付着していない(即ち、のりしろではない)それぞれの対向面(第1背板101L及び第2前板102R)と接着した状態になっている。即ち、左右両側で、のりしろ109が形成される面が、折り線105を基準に、前側(第1前板102L)と背側(第2背板101R)とに切り替わっている。
【0034】
図6に示されるように、第1接着領域9Lと第2接着領域9Rは直交している(略90度になっている。)。しかし、シート110においてのりしろ109は一直線状になっている。本実施形態にかかる展開体10′を機械生産しようとした場合に、ロール状の紙材をシート状に切断し、あるいは既にシート状の紙材を一方向に搬送しながら、当該紙材に打ち抜き加工、接着剤等の付着、並びに折り曲げ加工等が順次施されて製造される。このとき、紙材(シート110)の搬送方向を
図4に示す両矢印C1の何れかの方向に設定することで、接着剤等を付着させる操作において、一直線状ののりしろ109に対して、搬送方向に沿って機械装置で一筋に接着剤等を付着することができる。したがって、本実施形態にかかる展開体10′、さらには本実施形態にかかる包装容器10は、生産性に優れている。
【0035】
本実施形態にかかる展開体10′は、第1背板101L及び第2背板101Rの上側の端部に切り欠き13Bが形成されているため、これらに対向する第1突出板103L及び第2突出板103Rの上側の端部は、表裏面が露出した摘まみ部13Fになっている。展開体10′を受け取った包装容器10の使用者(例えば、店員。以下同様。)は、摘まみ部13Fを指で摘まんで、あるいはポテトスクープ等の調理器具で第1突出板103L及び第2突出板103Rを第1背板101L及び第2背板101Rから前側に引き剥がす。この際に、正面から見て、突辺7が山折り、前側鉛直辺5F及び背側鉛直辺5Bが谷折りで、第1斜辺6L及び第2斜辺6Rも谷折りになるように適宜調節する。これら各板間が適切な角度になって、小皿15が所望の大きさの収容部となり、第1底辺4L及び第2底辺4Rの間が安定的な角度となるように折り癖を付ける。以上のようにして、
図1~3に示される本実施形態にかかる包装容器10を展開体10′から容易に組み立てることができる。展開体10′の状態では一直線状だった、第1底辺4L及び第2底辺4Rが点Pを基点として鈍角に開いた形状になるので、当該第1底辺4L及び第2底辺4Rを底部として、テーブル等の平面上に置くことができる。以上のように、本実施形態にかかる包装容器10は、小皿15に調味料等を収容し、平面上に置いて使用することができる。
【0036】
[第2の実施形態]
図8は、第2の実施形態にかかる包装容器20を示す正面図であり、
図9は同左側面図であり、
図10は同上面図である。また、
図11は、本実施形態にかかる包装容器20の使用状態の一例を示す斜視図である。これら
図8~11並びに後述する
図12及び
図13において、第1の実施形態にかかる包装容器10やその展開体10′と同様の構成の各部材には、第1の実施形態における各部材と同一の符号とし、近似した構成の各部材には、同一の符号の末にアルファベットを付すことで、各部材における同様の構成等については説明を省略し、以下主として相違点について説明する。
【0037】
図8~11に示されるように、本実施形態にかかる包装容器20は、主収容部21を備え、主収容部21の上方(矢印z方向)に1つの小皿部16が配されている。小皿部16とは、第1の実施形態にかかる包装容器10と近似した形状の部材である。また、主収容部21は、小皿部16よりも収容量が大きい。主収容部21は、第1収容側壁22Lと、第2収容側壁22Rと、前側収容周壁23Fと、を備え、この順で環状(ここでいう「環状」とは、連なり方が環を形成していることを指し、本実施形態のように角錐となって、結果として開口が塞がっているような場合を含む概念とする。)に連なって主収容部21の周壁23を構成している。
【0038】
また、前側収容周壁23Fは、第1前側壁23Lと第2前側壁23Rとからなる。周壁23の4つの側壁(第1収容側壁22L、第2収容側壁22R、第2前側壁23R及び第1前側壁23L)の相互間には、境界線28a,28b,28c,28dが介在している。周壁23の4つの側壁は上下方向に長く、最短辺(後述する開口縁辺24a~d)が上側に、当該最短辺に対向する頂点が下側に位置する三角形状であり、周壁23全体として、頂点が下側(矢印z方向とは逆側。以下、「下側」といった場合に同様。)にある四角錐形状になっている。
【0039】
第1収容側壁22L、第2収容側壁22R、第2前側壁23R及び第1前側壁23Lの最上部に位置する開口縁辺24a,24b,24c,24d、並びに、小皿部16の第1縁端辺8L及び第2縁端辺8Rにより、主収容部21の上部開口24が形成されている。本実施形態にかかる包装容器20によれば、
図11に示すように、主収容部21にフライドポテトの如き主食品25aを収容し、小皿15aにケチャップの如き副食品25bを収容することができる。そして、喫食者は、片手で主収容部21の周壁23を持ち、もう片方の手で主食品25aを摘まんで副食品25bに漬けて塗すことで、テーブル等の台が無くても容易に喫食することができる。
【0040】
図12は、本実施形態にかかる包装容器20並びに後述する包装容器の展開体(以下、単に「展開体」と称する。)20′を製造するためのシート120を示す平面図(展開図と等価)である。シート120は、小皿部16となる小皿部分110aと、主収容部21となる主収容部部分121からなる。主収容部部分121は、第2前側板123R、第2収容側板122R、第1収容側板122L及び第1前側板123Lからなる略正方形の部分と、さらに第1前側板123Lに連なる重ね側板123Dと、を備える。シート120において、第2前側板123Rは第2前側壁23Rに、第2収容側板122Rは第2収容側壁22Rに、第1収容側板122Lは第1収容側壁22Lに、第1前側板123Lは第1前側壁23Lに、それぞれ、なる部分である。本実施形態における小皿部分110aにおいて、第1の実施形態におけるシート110とは、折り線105aが折り線105より長い点、フラップ111Lが無い点、のりしろが符号109Aと符号109Bの2筋設けられている点の3点が主な相違点である。
【0041】
のりしろ109Bは、第1前板102Laにおける折り線106Lに沿って、帯状で一直線状に形成され、第2前板102Raを経由して、第2背板101Raの端近傍まで延びている。折り線106Lは、包装容器20の完成時、第1斜辺6Lになる部位である。のりしろ109Aは、折り線104と折り線105の交点である点Pを挟んで点Pと等距離な位置に、のりしろ109Bと同じ長さで平行に形成されている。展開体20′の完成時、のりしろ109Aの一部は、第2前板102Raにおける折り線106Rに沿った領域に重ね合わされる。のりしろ109A,109Bには、接着剤等が付着される。
【0042】
第2前側板123R、第2収容側板122R、第1収容側板122L、第1前側板123L、及び、重ね側板123Dの順で連なるそれぞれの間には、折り線128c,128b,128a,128dがこの順で形成されている。小皿部分110aの第2前板102Raと第2収容側板122Rとの間は開口縁辺24bを介して連なっており、開口縁辺24bには折り線128eが形成されている。小皿部分110aの第2突出板103Rと主収容部部分121の第2収容側板122Rとの間は、切り込み127が設けられている。
【0043】
第2前側板123Rの縁の辺のうち、長辺となる縁辺128d′には、間隔を置いて2つの差込片125aが設けられている。差込片125aには、第2前側板123Rとの境界部分の両側に幅が狭くなるくびれ部125bが形成されている。一方、折り線128dには、間隔を置いて2つのスリット125cが設けられている。スリット125cの両端にはスリット125cから折り線128aに向けてスリット125cと垂直のごく短い切り込み125dが設けられている。さらに、折り線128aには、やや幅広のスリット状の孔部26bが設けられている。一方、後述する展開体20′において第1背板101Laと重なり合う第1前板102Laの辺112Lは、第1背板101Lの左側鉛直辺12Laと一直線上になく角度を有し張り出しているとともに、途中に突出片26aを備えている。また、第1収容側板122Lの開口縁辺24aと第2収容側板122Rの開口縁辺24bとの間には、切り欠き13Bと同一形状の切り欠き129が設けられている。切り欠き129は、包装容器20が組みあがった際に切り欠き13Bと重なって一体化する(
図11参照)。
【0044】
第1の実施形態と同様に、シート120における小皿部分110aについて、のりしろ109A,109Bが設けられた側が谷になるように折り線104を折り線として折り返す。そして、第1背板101Laと第1前板102La、並びに、第2背板101Raと第2前板102Ra、を重ね合わせて、のりしろ109A,109Bに付着した接着剤等によりそれぞれ接着させる。以上のようにして、シート120から展開体20′が製造される。
図13は、このように製造された展開体20′の正面図であり、
図14は背面図である。
【0045】
重ね合わされた第1背板101La及び第1前板102Laの対向面のうち、第1斜辺6Lに沿った帯状の第1接着領域9LAで第1背板101Laと第1前板102Laとが接着されている。また、重ね合わされた第2背板101Ra及び第2前板102Raの対向面のうち、第2斜辺6Rに沿った帯状の第2接着領域9RAで第2背板101Raと第2前板102Raとが接着されている。本実施形態においては、のりしろ109Aの状態における第2接着領域9RAの延長は、L字状の第4接着領域9LB(二点鎖線で示されている)になっている。第4接着領域9LBにより、第1背板101Laと第1前板102Laとが接着されている。また、のりしろ109Bの状態における第1接着領域9LAの延長は、L字状の第3接着領域9RB(二点鎖線で示されている)なっている。第3接着領域9RBにより、第2背板101Raと第2前板102Raとが接着されている。
【0046】
シート120においてのりしろ109Bであった領域は、第1前板102La側の面の第1接着領域9LAと、第2前板102Raの面及び第2背板101Raの面に跨る第3接着領域9RBになっている。また、シート120においてのりしろ109Aであった領域は、第2背板101Ra側の面の第2接着領域9RAと、第1背板101Laの面及び第1前板102Laの面に跨る第4接着領域9LBになっている。そして、接着剤等同士が接着する領域を除き、接着剤等が付着していない(即ち、のりしろではない)それぞれの対向面に接着した状態になっている。即ち、折り線104を基準に、のりしろ109A,109Bが形成される面が、前側(第1前板102L,第2前板102R)と背側(第1背板101L,第2背板101R)とに切り替わっている。なお、第1接着領域9LAと平行に並ぶ第4接着領域9LBは、第1接着領域の一部とみなすことができ、第2接着領域9RAと平行に並ぶ第3接着領域9RBは、第1接着領域の一部とみなすことができる。即ち、本発明において第1接着領域及び第2接着領域は、本実施形態のように2列形成されていても構わないし、3列以上形成されていても構わない。
【0047】
図13に示されるように、小皿15aを形成するために必要な第1接着領域9LAと第2接着領域9RAは直交している(略90度になっている。)。そのため、同じ面にのりしろを設けようとすると、のりしろを途中で直交させなければならず、一般的に搬送方向に順じて接着剤等を付着させる機械生産に向かない状態になる。しかし、
図12に示されるように、シート120においてのりしろ109A,109Bはそれぞれ一直線状になっている。本実施形態にかかる展開体20′を機械生産しようとした場合に、紙材(シート120)の搬送方向を
図12に示す両矢印C2の何れかの方向に設定することで、接着剤等を付着させる操作において、一直線状ののりしろ109A,109Bに対して、搬送方向に沿って機械装置でそれぞれ一筋に接着剤等を付着することができる。
【0048】
したがって、本実施形態にかかる展開体20′、さらには本実施形態にかかる包装容器20は、生産性に優れている。なお、接着剤等が付着される領域としては、第1斜辺6Lに沿った帯状の第1接着領域9LA、及び、第2斜辺6Rに沿った帯状の第2接着領域9RAのみでも十分であるが、第3接着領域9RB及び第4接着領域9LBを備えることで、接着箇所が2重になり、より接着強度が増す。
【0049】
展開体20′を受け取った包装容器20の使用者は、正面(
図13の面)から見て折り線128a,128b,128c,128dを谷折りにし、第2前側板123Rが前側(外側)、重ね側板123Dが背側(内側)になるように重ね合わせる。そして、第2前側板123Rに設けられた2つの差込片125aの根元の折り線128fを谷折りに折って折り癖を付けた上で、2つの差込片125aを折り線128dの対応する位置に設けられた2つのスリット125cにそれぞれ差し込む。すると、差込片125aのくびれ部125bがスリット125cの両端の切り込み125dに引っ掛かり、簡単には抜けないように強固に係止される。以上のようにして、四角錐形状の主収容部21が形成される。形成された主収容部21では、展開体20′において折り線128d(スリット125cを含む)及び縁辺128d′(差込片125aを含む)であった部分が重なって、境界線28dを構成する。
【0050】
次に、使用者は、正面から見て折り線128eを谷折りにして折り返し、小皿部16となる部分を前側(主収容部21がある側)に持ってくるとともに、摘まみ部13Fを指で摘まんで第1突出板103L及び第2突出板103Rを第1背板101La及び第2背板101Raから前側に引き剥がす。この際に、正面から見て、突辺7が山折り、前側鉛直辺5F及び背側鉛直辺5Bが谷折りで、第1斜辺6L及び第2斜辺6Rも谷折りになるように適宜調節する。そして、第1背板101La及び第2背板101Raの第1底辺4L及び第2底辺4Rを開口縁辺24a,24b,24c,24dからなる開口の中に入れ込み、第1背板101Laと第2背板101Raの背側の面(のりしろ109A,109Bが設けられていない面)を、それぞれ、第1収容側板122Lと第2収容側板122Rの前側の面に重ね合わせる。この状態で、第1前板102Laの辺112Lは、第1収容側板122Lと第2収容側板122Rとの間に介在する境界線28aに沿った形状をしている。そして、境界線28aに設けられた孔部26bに突出片26aを嵌合させて係止することで、小皿部16が主収容部21の上方に固定された包装容器20が完成する。以上のようにして、
図8~11に示される本実施形態にかかる包装容器20を展開体20′から容易に組み立てることができる。
【0051】
完成した包装容器20の状態では、主収容部21の上部開口24の一部を構成する開口縁辺24bを介して第2収容側壁22Rと第2前壁2Rとが連なっている。また、包装容器20の状態では、開口縁辺24bで折り返されて第2収容側壁22Rと第2背壁1Rとが重ね合わされ、かつ、第1収容側壁22Lと第1背壁1Lとが重ね合わされている。さらに、第1前壁2Lは、第1収容側壁22Lと前側収容周壁23F(さらには第1前側壁23L)との間に介在する境界線28aに沿った辺112Lを有するとともに、辺112Lから突出する突出片26aを備えている。そして、境界線28dには、突出片26aが嵌合し係合される孔部26bが設けられている。
【0052】
第1背壁1L及び第1前壁2Lと第2背壁1R及び第2前壁2Rとの間(背側鉛直辺5B及び前側鉛直辺5F)が谷折りに折り曲げられた状態で、主収容部21の上方に固定されているが、この折り曲げが元に戻ろうとする(角度が開こうとする)復元力により、突出片26aはより孔部26bに向けて押圧力が働く。そのため、孔部26bと突出片26aとの係止は、容易には外れることがない。
【0053】
なお、境界線28aに沿った形状の左側鉛直辺12Lと突出片26aは、本実施形態において第1前板102Laに備えられているが、重ね合わされる第1背板101La側に備えられていてもよいし、第1前板102Laと第1背板101Laの両方に備えられていてもよい。第1背板101La側に備えられる場合には、例えば
図12において、第1背板101La側が、辺112L及び突出片26aの形状と同様な形状になる。ただし、第1背板101La側にのみ備える場合には、係止されない第1前壁2Lが前側に位置することから不安定であるため、本実施形態のように第1前板102Laに備えるか、第1前板102Laと第1背板101Laの両方に備える態様が望ましい。
【0054】
本実施形態においては、前側収容周壁23Fが第1前側壁23Lと第2前側壁23Rの2の側壁からなる、全体として四角錐形状の例を挙げて説明しているが、前側収容周壁23Fの部分の形状は、第1収容側壁22Lとの境界線28aと、第2収容側壁22Rとの境界線28cとを結果的に前側収容周壁23Fで連結していればよく、側壁の数が1でも3以上でもよく、曲面状でもよく、その他各種形状であっても構わない。
【0055】
また、第1収容側壁22L及び第2収容側壁22Rについては、第1背壁1L及び第2背壁1Rと重ね合わされる重要な構成であるが、第1背壁1L及び第2背壁1Rと重ね合わされる領域以外については特に制限はなく、例えば、第1背壁1Lや第2背壁1Rと接しない下方の領域については、周方向の側壁の数が1でも3以上でもよく、曲面状でもよく、その他各種形状であっても構わない。さらに、第1収容側壁22L及び第2収容側壁22Rと第1背壁1L及び第2背壁1Rとの間は接着されるわけではないので、突出片26aと孔部26bとの係止が維持される範囲内で、多少のクリアランスが設けられていてもよいし、第1収容側壁22Lと第2収容側壁22Rとの成す角が第1背壁1Lと第2背壁1Rとの成す角と一致していなくてもよいし、第1収容側壁22Lと第2収容側壁22Rとの間あるいはその全体にわたって曲面を持たせてもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、主収容部21に底面の無い食べ歩きに適した包装容器20の例を挙げているが、これに限定されるものではなく、周壁の下端に水平方向の平面あるいは曲面を有する底面を設けたり、さらには足部を設けたりしても構わない。
以上の主収容部の形状については、以降の実施形態においても同様である。
【0057】
[第3の実施形態]
図15は、第3の実施形態にかかる包装容器30を示す正面側の左斜め上方からの斜視図であり、
図16は背面側の左斜めやや上方からの斜視図である。また、
図17は、本実施形態にかかる包装容器30並びにその展開体(本実施形態おいては図示を省略)を製造するためのシート130を示す平面図(展開図と等価)である。
図15~17において、第2の実施形態にかかる包装容器20やその展開体20′と同様の構成の各部材には、第2の実施形態における各部材と同一の符号を付すことで、各部材における同様の構成並びに構造等については説明を省略し、以下主として相違点について説明する。
【0058】
図15及び16に示されるように、本実施形態にかかる包装容器30は、2つの小皿部である第1小皿部16a及び第2小皿部16bと、第1小皿部16aや第2小皿部16bよりも収容量が大きい主収容部21aを備えている。包装容器30において、第1小皿部16a及び第2小皿部16bが主収容部21aの上方(矢印z方向)に配されている。また、包装容器30において、第2小皿部16bは、第1収容側壁22Lの背側に取り付けられている。本実施形態において、主収容部21a及び第1小皿部16aは、第2の実施形態における主収容部21a及び小皿部16とほぼ同一である。本実施形態においては、第2の実施形態にかかる包装容器20の構成に加えて、第2小皿部16bを備えている点が第2の実施形態とは異なっている。第2小皿部16bにおいても、第2の実施形態における小皿部16と同様の構成の各部材には、第2の実施形態における各部材と同一の符号を付している。
【0059】
図17に示されるように、シート130は、
図12に示される第2の実施形態におけるシート120に近似する主収容部部分131及び第1小皿部分130aに、第2小皿部分130bが付属した形状になっている。第2小皿部分130bは、突出片26aを備えていないこと以外は第1小皿部分130aと同一形状である。第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bは、第1前板102La′同士が、包装容器30の完成時に開口縁辺24aと連続する折り返し辺36となる部位で連結している。当該部位は、シート130において、折り線133となっている。折り線133の延長線上の第1突出板103L同士の間は、切り込み137になっている。
【0060】
シート130において、のりしろ139Bは、第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bの双方の第1前板102La′における折り線106Lに沿って、帯状で一直線状に形成される。そして、第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bの両方向において、第2前板102Ra′を経由して、第2背板101Ra′の端近傍まで延びている。第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bの折り線106Lは、包装容器30の完成時、それぞれの第1斜辺6Lになる部位である。のりしろ139Aは、第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bの双方の点Pを挟んで点Pと等距離な位置に、のりしろ139Bと同じ長さで平行に形成されている。展開体30′の完成時、第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bの双方において、のりしろ139Aの一部は、第2前板102Ra′における折り線106Rに沿った領域に重ね合わされる。のりしろ139A,139Bには、接着剤等が付着される。
【0061】
また、シート130においては、第1収容側板122Lにおける開口縁辺24aに、開口縁辺24aにおける他の位置や第1前側板123Lにおける開口縁辺24dよりも端が欠けている段差部132が設けられている。さらに、シート130においては、第1収容側板122Lにおける折り線128bの線分の中心よりやや切り欠き129寄りの位置に、弦がと直交し円弧が切り欠き129側に向く円弧状の切り込み135が形成されている。この切り込み135の減に当たる箇所は、折り線138になっている。
【0062】
第2の実施形態と同様に、シート130における第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bの双方について、のりしろ139A,139Bが設けられた側が谷になるように折り線104を折り線として折り返す。そして、第1背板101Laと第1前板102La′、並びに、第2背板101Ra′と第2前板102Ra′、を重ね合わせて、のりしろ139A、139Bに付着した接着剤等によりそれぞれ接着させる。以上のようにして、シート130から展開体(不図示)が製造される。
【0063】
このように製造された本実施形態にかかる展開体は、第1小皿部分130a及び第2小皿部分130bの双方について、第2の実施形態と同様、重ね合わされた第1背板101La及び第1前板102La′の対向面のうち、第1斜辺6Lに沿った帯状の第1接着領域(不図示)で第1背板101Laと第1前板102La′とが接着されている。また、重ね合わされた第2背板101Ra′及び第2前板102Ra′の対向面のうち、第2斜辺6Raに沿った帯状の第2接着領域(不図示)で第2背板101Ra′と第2前板102Ra′とが接着されている。
【0064】
そして、
図17に示されるように、シート130においてのりしろ139A,139Bはそれぞれ一直線状になっている。本実施形態にかかる展開体を機械生産しようとした場合に、紙材(シート130)の搬送方向を
図17に示す両矢印C3の何れかの方向に設定することで、接着剤等を付着させる操作において、一直線状ののりしろろ139A,139Bに対して、搬送方向に沿って機械装置でそれぞれ一筋に接着剤等を付着することができる。したがって、本実施形態にかかる展開体、さらには本実施形態にかかる包装容器30は、生産性に優れている。
【0065】
本実施形態にかかる展開体を受け取った包装容器の使用者は、第2の実施形態と同様にして、主収容部21a及び第1小皿部16aを容易に組み立てることができる。その後、組み立てていない第2小皿部分130bを折り線133で、
図17の展開図で見た場合が谷折りになるように折り曲げると、ちょうど段差部132を乗り越えるようになっている。折り返された折り線133の山折り側の面は、折り返し辺36になる。さらに、第2小皿部分130bを第1の実施形態にかかる包装容器10と同様にして組み立てて、第2小皿部16bを得る。この状態では、第2小皿部16bは、折り線133であった辺のみが第1小皿部16aと繋がっていて、下方がフリーになっているため安定しない。しかし、第1収容側壁22Lの外表面における第1小皿部16aの第2底辺4Rが重なる位置に、切り込み135をやや外側に起こして形成される舌片34があるので、
図16に示されるように、使用者は、第2底辺4Rを舌片34と第1収容側壁22Lとの隙間に挟み込めばよい。この舌片34による第2底辺4Rの係止によって、第2小皿部16bは上下2カ所で第1収容側壁22Lの外表面に固定される。以上のようにして、
図15及び
図16に示される本実施形態にかかる包装容器30を展開体から容易に組み立てることができる。
【0066】
本実施形態にかかる包装容器30は、第1小皿部16a及び第2小皿部16bによる2つの小皿15a,15bを備えているので、例えば、味の異なる2種類のディップソースの如き副食品をそれぞれの小皿15a,15bに入れることができる。喫食者は、片手で主収容部21aの周壁23を持ち、もう片方の手で主収容部21aに収容されたフライドポテトの如き主食品25aを摘まみ出すことができる。そして、摘まんだ主食品25aを2種類の副食品に漬けて塗すことができる。したがって、テーブル等の台が無くても容易に喫食することができるとともに、2種類の副食品による異なる味を楽しむことができる。
【0067】
[第4の実施形態]
図18は、第4の実施形態にかかる包装容器40を示す斜視図であり、
図19は包装容器40の正面からの分解図である。
図18及び
図19、並びに、後述する
図20及び
図21において、第1の実施形態にかかる包装容器10やその展開体10′、並びに、第2の実施形態にかかる包装容器20やその展開体20′と同様の構成の各部材には、第1及び第2の実施形態における各部材と同一の符号を付すことで、各部材における同様の構成並びに構造等については説明を省略し、以下主として相違点について説明する。
【0068】
図18に示されるように、本実施形態にかかる包装容器40は、容器本体41と第2小皿部16sとからなる。容器本体41と第2小皿部16sは、別々の部材になっている。容器本体41は、第2の実施形態にかかる包装容器20と近似した構造及び構成になっている。一方、第2小皿部16sは、第1の実施形態にかかる包装容器10と同一のものである。
図19に示されるように、第2小皿部16sを矢印D方向に移動させて容器本体41に組み付けることで、本実施形態にかかる包装容器40を得ることができる。
【0069】
第2小皿部16sの展開体及びその製造方法、第2小皿部16sの展開図(シート110)、展開体からの第2小皿部16sの組み立て方法は、第1の実施形態にかかる包装容器10と同一なので、第1の実施形態における図面及び説明を参照されたい。また、細かい点において相違はあるものの、容器本体41の展開体の製造方法や容器本体41の組み立て方法についても、第2の実施形態にかかる包装容器20と略同一なので、第2の実施形態における図面及び説明を参照されたい。
【0070】
図20は、本実施形態にかかる包装容器40における容器本体41の展開体(本実施形態おいては図示を省略)を製造するためのシート140を示す平面図(展開図と等価)である。
図20に示されるように、シート140は、
図12に示される第2の実施形態におけるシート120に近似する主収容部部分141及び小皿部分140aからなる。小皿部分140aは、第1背板101La″及び第2背板101Ra″が、シート120における切り欠き13Bまで達さず、折り線105と直交する後退辺45で切り落とされている点が、小皿部分110aと相違している。また、主収容部部分141は、第1収容側板122Lb及び第2収容側板122Rbにおける開口縁辺24a,24bの切り欠き129に近い位置に、三角形状の一対の切り欠き42と、それぞれの切り欠き42の底の角から延びる一対のスリット43と、が設けられている点が、主収容部部分121と相違している。一対のスリット43には、それぞれその終端に、スリット43と垂直のごく短い切り込み44が設けられている。
【0071】
第2の実施形態で説明した方法で、
図20に示されるシート140から、容器本体41の展開体(不図示)を製造し、それをさらに組み立てることによって、
図18及び
図19に示される容器本体41を製造することができる。
図21に、本実施形態にかかる包装容器40における容器本体41上方の拡大斜視図を示す。
図21に示されるように、容器本体41は、上側の端部近傍の形状が第2の実施形態にかかる包装容器20と異なっている。まず、容器本体41の上側の端部近傍においては、第1背壁1L′及び第2背壁1R′の上端近傍が後退辺45で切り落とされているため、第1収容側壁22L及び第2収容側壁22Rの上端(切り欠き129)まで達してはいない。
【0072】
そのため、第1収容側壁22L及び第2収容側壁22Rの前側の面が表出しており、第1収容側壁22L及び第2収容側壁22Rと第1背壁1L′及び第2背壁1R′が重ね合わせられた隙間への差込口46が現れている。また、差込口46の左右方向の両端には、切り欠き42、スリット43及び切り込み44がこの順で下側に向けて連なっている。
図19に示すように第2小皿部16sを矢印D方向に移動させ、第1底辺4L及び第2底辺4Rを差込口46に差し込むと、切り欠き42に誘導されてスリット43を進み、切り込み44に当たるまで差し込まれる。すると、第1収容側壁22L及び第2収容側壁22Rと第1背壁1L′及び第2背壁1R′が重ね合わせられた隙間における切り込み44から上側の全面積によって第2小皿部16sを挟み込んで保持される。そのため、本実施形態の包装容器40においては、第2小皿部16sが容器本体41にしっかりと固定される。
【0073】
本実施形態にかかる包装容器40は、第1小皿部16f及び第2小皿部16sによる2つの小皿15a,15bを備えているので、第3の実施形態にかかる包装容器30と同様、2種類の副食品をそれぞれの小皿15s,15fに入れることができ、喫食者は、テーブル等の台が無くても容易に喫食することができるとともに、2種類の副食品による異なる味を楽しむことができる。特に、本実施形態にかかる包装容器40は、小皿15s及び15fが同じ方向を向いているので、包装容器40の使用者が2種類の副食品を入れやすいし、喫食者は主食品に漬けやすい。また、本実施形態にかかる包装容器40においては、第2小皿部16sを容器本体41から外すことができるので、第2小皿部16sをテーブル等の台に置きながら喫食することができる。
【0074】
本実施形態にかかる包装容器40は、別々の紙材を用いて、
図20に示すシート140及び
図4に示すシート110から容器本体41及び第2小皿部16sの各展開体を製造しても構わないが、シート140とシート110とを1枚の紙材にて形成して両展開体を製造することもできる。この場合に、シート140ののりしろ109A,109Bとシート110ののりしろ109とが平行になるように配置することで、搬送方向に沿って機械装置でそれぞれ一筋に接着剤等を付着することができので、一度に両展開体を製造することができ、生産性に優れている。さらに、この場合に、シート110ののりしろ109が、シート140ののりしろ109Aまたはのりしろ109Bと同一線上に位置するようにすれば、一度に接着剤等を付着させる筋の数を最大2までにすることができ、より生産性に優れている。例えば、
図17のシート130における第2小皿部分130bの位置に第2小皿部16sのシートを、のりしろの方向が揃うように配置して、一度に両展開体を製造した後、両展開体の境界線(
図17のシート130でいえば符号137及び符号133の線)で分離して個々の展開体にもしてもよい。
【0075】
以上説明した4つの実施形態は、本発明の代表的な形態の例を示したに過ぎず、本発明は、これら実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、小皿部の数が1または2の例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、小皿部を3以上備えていても構わない。のりしろの本数や太さについても、ほぼ同じ太さで1本または2本の例のみを挙げているが、3本以上でも構わないし、太さがより広くても狭くても構わない。
【0076】
また、上記実施形態においては、第1底辺と前記第1斜辺との成す角θL、及び、第2底辺と第2斜辺との成す角θRが略45度の例を挙げているが、これに限定されるものではなく、成す角θLと成す角θRが略等しければ(θL≒θR)よい。θL≒θRでさえあれば、折り返された第1底辺及び第2底辺を元に戻して平面状にした場合に、第1接着領域となるのりしろと第2接着領域となるのりしろは、平行あるいは一直線上に延在した状態になる。したがって、θL≒θRを満たす包装容器及びその展開体は、紙材の搬送方向をのりしろの延在方向に合わせることで機械生産することができる。即ち、θL≒θRを満たす包装容器及びその展開体は、生産性に優れている。勿論、上記実施形態の如くθL≒θR≒45度とすることは、形状が整いやすく、設計がしやすい点で好ましい。なお、「成す角θLと成す角θRが略等しい」というときの「略等しい」とは、製造する際の多少の誤差を許容する趣旨である。
【0077】
また、第2~第4の実施形態においては、主収容部と少なくとも1の小皿部とが1枚の紙から作られている例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、主収容部と小皿部とが別体になっていても構わない。例えば、第4の実施形態において、容器本体に小皿部を備えず主収容部のみを備え、これに別体の小皿部が接続した態様も本発明の範疇に含まれる。主収容部と別体の小皿部の接続方法も第4の実施形態の構成に限定されるものではなく、従来公知のあらゆる係止あるいは固定方法を採用することができる。
【0078】
また、上記実施形態においては、包装容器(主収容部を備える場合には、特に小皿部)における第1前壁及び第2前壁が連なっている例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1前壁及び第2前壁が連なっていない、即ち、前側鉛直辺を有しない構成であっても構わない。また、包装容器の展開体においても同様に、第1前板及び第2前板が連なっていない、即ち、前側鉛直辺を有しない構成であっても構わない。これらの場合には、第1斜辺、第2斜辺及び突辺の始点となる基準点(図中の点Q)を、第1底辺及び第2底辺が共通する一端(図中の点P)の位置にすればよい。
【0079】
また、上記実施形態においては、各シートにおけるのりしろの方向を一定の方向(第1斜辺になる折り線の方向。)に形成する例を挙げているが、のりしろはこれらと直交する方向(第2斜辺になる折り線の方向。)に形成しても構わない。この場合には、シートの搬送方向も直交する方向にすることで、のりしろに対して、機械装置で一筋に接着剤等を付着することができる。なお、第1の実施形態においてのりしろの方向を変える場合には、フラップ111Lを第2背板101Rに設けておくとよい。
【0080】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の包装容器あるいは包装容器の展開体の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1L,1L′:第1背壁、1R,1R′:第2背壁、2L:第1前壁、2R:第2前壁、3L:第1突出壁、3R:第2突出壁、4L:第1底辺、4R:第2底辺、5B:背側鉛直辺、5F:前側鉛直辺、6L:第1斜辺、6R:第2斜辺、7:突辺、8L:第1縁端辺、8R:第2縁端辺、9L,9LA:第1接着領域、9R,9RA:第2接着領域、9RB:第3接着領域、9LB:第4接着領域、10,20,30,40:包装容器、10′,20′:展開体、11L:フラップ片、11R:上側斜辺、12L,12La:左側鉛直辺、12R:右側鉛直辺、13B,42,129,142:切り欠き、13F:摘まみ部、14L:第1前壁斜辺、14R:第2前壁斜辺、15,15a,15b,15s,15f:小皿、16:小皿部、16a,16f:第1小皿部、16b,16s:第2小皿部、20:包装容器、21:主収容部、22L:第1収容側壁、22R:第2収容側壁、23:周壁、23F:前側収容周壁、23L:第1前側壁、23R:第2前側壁、24:上部開口、24a,24b,24c,24d:開口縁辺、25a:主食品、25b:副食品、26a:突出片、26b:孔部、28a,28b,28c,28d:境界線、30:包装容器、34:舌片、36:折り返し辺、40:包装容器、41:容器本体、42:切り欠き、43,125c:スリット、44,125d,127,135,137:切り込み、45:後退辺、46:差込口、104,105,105a,106L,106R,128a~f,133,138:折り線、101L,101La,101La″:第1背板、101R,101Ra,101Ra′,101Ra″:第2背板、102L,102La,102La′:第1前板、102R,102Ra,102Ra′:第2前板、103L:第1突出板、103R:第2突出板、109,109A,109B,139A,139B:のりしろ、110,120,130,140:シート(展開図と等価)、110a,140a:小皿部分、111L:フラップ、112L,142:辺、121,131,141:主収容部部分、122L,122La,122L:第1収容側板、122R,122Rb:第2収容側板、123L:第1前側板、123R:第2前側板、123D:重ね側板、125a:差込片、125b:くびれ部、128a,128b,128c,128d,128e,128f:折り線、128d′:縁辺、130a:第1小皿部分、130b:第2小皿部分、132:段差部