(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016312
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】予測水位測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/18 20060101AFI20250124BHJP
G01F 23/263 20220101ALI20250124BHJP
【FI】
G01F23/18
G01F23/263
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119515
(22)【出願日】2023-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000161998
【氏名又は名称】京葉瓦斯株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000134903
【氏名又は名称】株式会社ニシヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【弁理士】
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】菊池 光洋
(72)【発明者】
【氏名】岩上 純次
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 鉄平
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB01
2F014BA10
2F014EA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】この発明は、抽水管内の水位を、抽水管内の気体圧の変化で水面に非接触のセンサーを用いて測定することを特徴とする。
【解決手段】地下に埋設されている都市ガス供給配管より低い位置に水取器を配置し、前記水取器の底部から地上の人孔まで上下に伸びた抽水管を設け、該抽水管の下端は開放し、上端は開閉可能な密閉体で封止してなる公知の水取器において、前記抽水管の上部に、抽水管内の気体圧を計測する気体圧センサーを設けてなり、気体圧センサーの変化で水取器内の水位を予測推移換算してなることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に埋設されている都市ガス供給配管より低い位置に水取器を配置し、前記水取器の底部から地上の人孔まで上下に伸びた抽水管を設け、
該抽水管の下端は開放し、上端は開閉可能な密閉体で封止してなり、
前記抽水管の上部に、抽水管内の気体圧を計測する気体圧センサーを設けてなり、気体圧センサーの変化で水取器内の水位を予測推移換算してなることを特徴とする水取器の予測水位測定装置。
【請求項2】
気体圧センサーが、抽水管頂部の密閉体に内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載の水取器の予測水位測定装置。
【請求項3】
気体圧センサーに静電容量式レベルセンサーを併用することにより精度向上が可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の予測水位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ガスを流通させるガス管に水が浸入することでガスの供給に支障が生じないように設定した水取器の予測水位測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地下に埋設されている都市ガス供給配管に腐食等が原因で空いた穴や隙間に水が浸入すると、ガス管内に徐々に溜まった水により配管が閉塞されて都市ガスが流れなくなり、都市ガスの供給に支障をきたす事象が発生するおそれがあった。
そこで前記事象を未然に防止するために、従来は、水取器(水溜め装置など)を供給配管より低い位置に配置し、前記水取器に水が溜まると、水取器の底部から地上の人孔(ハンドホール)まで上下に伸びた細い抽水管から水をポンプなどで汲み上げて水取器内に溜まった水量を測定し、また水取器内に水が溜まると水をポンプなどで汲み上げて管内に溜まった水量を測定し、また水取器内の水が無くなり都市ガスが抽出管の上端から吐出するまで定期的に確認している(
図1参照)。
しかしながら、一般の道路下に設置されている水取器のすべてにおいて溜水の有無を定期的に点検する作業は煩雑で業務負荷が高い。
また、水が溜まった場合には水取器の容量を超える前に抽水を行わなければならないが、現状では溜まる水の量や速さがわからないため、高頻度で現場へ行き毎回地上からの抽水作業により確認を行う必要がある。
なお、現場にて抽水した際に、抽水量と抽水間隔の変化を記録して水の進入する速さを予測することも可能であるが、作業は長期間繰り返し行う必要がある。
そこで、水取器から内部に溜まった水の高さを計測する水位センサーを水取器の頭部から挿入し、抽水管に溜まった水の高さを測定する方法も考えられるが、小さな人孔(ハンドホール)にて、前記地上まで伸びて都市ガスの噴出を抑制しながら細い抽水管の頂部にセンサー挿入し、現場ごとに高さの異なる水取器底部へ有線でセンサーを垂らして頂部を閉塞するといった一連の工程が必要となり、作業性、安全性の面で好ましくない。
また、前記抽水管は内径が細い場合は、市販の水位センサーを中に挿入することができない。さらに、抽水管内の水位は水取器内に溜まる溜水の水位の値とは一致しない。
【0003】
そこで、特許文献1の特開2021-188666号の水取り器では、水平方向にガス流路が配置されたガス管の下壁に穿孔された水抜き孔の外周を囲むように融着された受部と、前記受部と連続して形成され、前記水抜き孔と連通され、下方へ突出する筒状とされた水導入部と、前記水導入部と連接され、水を貯留する水貯留管と、前記水貯留管に連接され、前記水貯留管の外側で上方へ延出される水抜き管と、を備えた水取り器が提案されている。
上記構成ではガス管の下壁に水抜き孔を設けこれに連通する水貯留管に連設して水貯留管の外側で上方に延出された水抜き管を設けている。
従って、設置されている水取器のすべてにおいて溜水の有無を定期的に点検する作業は業務負荷が高い。
また、水が溜まった場合には水取器の容量を超える前に抽水を行わなければならないが、現状では溜まる水の量や速さがわからないため、高頻度で現場へ行き毎回地上からの抽水作業により確認を行う必要がある。なお、現場にて抽水した際には、抽水量と抽水間隔の変化を記録して水の進入する速さを予測するため、作業は長期間繰り返し行われる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、地上から数メートルの深さの水取器底部上から垂直または縦方向に設置された抽水管の頭部側に気体圧センサーを設けて、抽水管に溜まった水の高さによって圧縮される抽水管内部の気体圧を測定して、電気信号に変換して出力し、抽水管の水位を測定する方法が考えられる。
即ち、小さな人孔内にて、都市ガスの噴出を抑制しながら細い抽水管の中にセンサー挿入し、上記気体圧の変化によって、抽水管内の水位を計測することができる。
【発明の効果】
【0006】
この発明では、抽水管の上端を密封する着脱可能な密封体を設け、内部に気体圧力センサー設置し、抽水管内の密封された気体の内圧から抽水管および水取器内の溜水の水位を予測する方法を用いて水位を算出することで、抽水管または水取器内に溜まっている水の水位を計測して、抽水時期を予測、判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】抽水管の上端に設けられたキャップの一例を示す斜視図である。
【
図3】キャップに設けた気体圧センサーの一例を示す説明図である。
【
図4】水取器に水が溜まっていないか、抽水管の下端を塞がない状態の説明図である。
【
図5】水取器に水が溜まりはじめ、抽水管の下端を完全に塞いだ状態の説明図である。
【
図6】
図5の状態から更に水が溜まって、抽水管の任意の位置まで水が浸入した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
本実施例では、地中に埋設された都市ガス供給配管1より低い個所に、前記都市ガス供給配管1の一部と連通した水取器2を設置して、配管1内に浸入した水を水取器2に溜めることができる(
図1)。
水取器2は、地上に蓋3が設けられた人孔(ハンドホール)4内に縦向きに挿入されて下端が水取器2の底部近傍に配置され、上端が人孔4内の上部に配置された抽水管5が設置されている、
そして、この抽出管5は、下端が開放されており、上端は、プラグ6によって密閉された中空管からなっている
【0009】
本実施例では、抽水管5内の圧力を圧力センサーSで測定し、抽水管5内に閉塞された内圧を基に抽水管5内の溜水の水位を予測して算出することを特徴とする。
【0010】
図示例では、水取器2の底面はほぼ平面となっており、抽水管5の底面と対峙する面が略平行となっていることが好ましい。
そして、
図4に例示するように、水取器2内に水が溜まっていない場合には、水取器2を経由して、配管1内のガスが抽水管5内にも通っており、抽水管5内の圧力P0は都市ガスの圧力とほぼ同様となっている。
従って、圧力センサーSは、都市ガスの圧力とほぼ同様の圧力を感知しており、上記圧力を検知したセンサーSは、抽水管5内の水位は0mmと判定する。
これは、水取器2内に水が溜まっている場合でも、抽水管5の底面が水取器2に溜まった水の表面で塞がれず密閉される位置H1まで水が溜まっていない場合も同様である。
【0011】
次に、
図5には、水取器2の底部に徐々に水が溜まり、抽水管5の底面が水取器2に溜まった水の表面で塞がれて抽水管5内が密閉される位置H1まで水が溜まる(例えば1~2cmとする)場合を図示している。
抽水管5の上端は、プラグ6等の蓋や栓で着脱可能に封止されているので、前記位置H1を超えて水が溜まると、抽水管5内は都市ガスが流れず、密閉状態となり、抽水管5内の気体の圧力は所定圧P1なり、抽出管水位は+0mmと判定される。
【0012】
次に、水取器2の内部に抽水管5の底部を超えて水が溜まり、水取器2を経由して更に水が水取器2に浸入してH2まで溜まると、それに応じて抽水管5内にも水がh2まで上昇し、抽水管5内の気体の圧力がP2まで上昇する。
従って、上記圧力P2を基に抽水管5内の水位を測定する。
このように、上記抽水管5内の気体の圧力P0~P2は、予め、実験的に抽水管5の断面や長さに所定の抽水管5を用いることで、抽水管5内の気体圧力から水位を測定することができる。
なお、水取器2は同一形状、同一容量のものに限定することなく測定を可能とする。
更に、水取器2内の溜水の水位h2は抽水管5の水位H2と相関関係にあるので、抽水管5内の圧力を測定するだけで、抽水管5の水位だけでなく、水取器2の水位も併せて算出することができる。
【0013】
本実施例では抽出管5の上端に設けた密閉体6として、
図2では、着脱可能なプラグ6を用い、密閉された管内の圧力を測定できる個所に気体圧センサーSを設置することが好ましい。
本実施例では、小型の気体圧力センサーを人孔(ハンドホール)4内の抽水管5頂部のプラグ6近傍に設置することで、抽水管5の水位の測定を可能としたが、センサーSの取付位置は、抽出管5の管内の気体圧を測定することができる個所であれば、抽出管5内のいずれでもよく、特に実施例に限定する必要は無い。
図3は、密閉体6と気体圧センサーSの異なる実施例を示す。
気体圧センサーは公知の密閉体6と一体に設けられ、抽出管5内の圧縮された気体の圧力を測定しうるものであればよい。
【0014】
本発明では、気体圧センサーSを用いたので、水位を抽水管5内に溜まった水と接触させることなく、気体圧で検出するので検出に手間がかからず、水取器2が細管であっても測定できる。
また、都市ガス供給配管の複数個所に設置されている水取器や抽水管における水位も任意の個所の抽水管の気体圧を測定することで、全体の水位を推測することができる。
また計測結果は電気信号に変換されるので、上記計測結果を管理者宛てに送信することもできる。
また、気体圧センサーの検出結果を同じ供給配管に設けた異なる抽出管の気体圧センサーの検出結果と接続させておくことで、供給配管における全体の水漏れを監視することができる。
また、抽水確認作業負荷の低減、設置および取り外し作業時の都市ガス噴出量低減による安全性向上、狭い人孔(ハンドホール)内への設置性の向上、装置製造費用の低減が可能となる。
更に、気体圧センサーSに加えて、静電容量式レベルセンサーS2(
図7参照)を併用することにより精度向上が可能となる。