(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016324
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】固体担持型マンガン触媒及びその製造方法並びに使用方法
(51)【国際特許分類】
B01J 31/22 20060101AFI20250124BHJP
B01J 37/16 20060101ALI20250124BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20250124BHJP
B01J 31/40 20060101ALI20250124BHJP
B01J 38/52 20060101ALI20250124BHJP
B01J 38/68 20060101ALI20250124BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20250124BHJP
C07D 403/14 20060101ALI20250124BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20250124BHJP
【FI】
B01J31/22 Z
B01J37/16
B01J37/04 102
B01J31/40 Z
B01J38/52
B01J38/68 A
C07D401/14
C07D403/14
C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023219617
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】202310898327.4
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】515126422
【氏名又は名称】浙江工▲業▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】凌 飛
(72)【発明者】
【氏名】鍾 為慧
(72)【発明者】
【氏名】陳 奕鋭
(72)【発明者】
【氏名】呉 航涛
(72)【発明者】
【氏名】成 宇▲チー▼
【テーマコード(参考)】
4C063
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB03
4C063CC12
4C063CC26
4C063DD03
4C063EE10
4G169AA04
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA10
4G169BA02B
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4G169BB16C
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4G169BD01A
4G169BD01B
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4G169BD02B
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4G169BD06A
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4G169BE08A
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4G169BE41A
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4G169CB25
4G169CB57
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4G169DA05
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4G169EB01
4G169EC02Y
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4G169EC15Y
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4G169FA01
4G169FA02
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4G169FC02
4G169FC04
4G169FC06
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC10
4G169GA10
4H039CA63
4H039CC40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】固体担持型マンガン触媒及びその製造方法並びに使用方法を提供する。
【解決手段】固体担持型マンガン触媒の製造過程は、有機配位子を金属マンガン塩と錯体化して、触媒活性単位を形成し、そしてコモノマーと重合させて、式I又はIIに示す固体担持型マンガン触媒を得ることを含む。前記固体担持型マンガン触媒は、不均一キラル触媒に属し、高い触媒活性と優れたエナンチオ選択性(ee値が98.3%まで)を有し、反応溶媒に不溶であるため、反応系からの分離回収が容易であり、安定性が高い。また、連続フロー触媒と組み合わせることで、高い触媒活性を長期間維持することができ、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応に使用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体担持型マンガン触媒であって、式I又は式IIに示す構造を有し、
【化1】
一般式Iにおいて、R
1は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールから選択され、好ましくはメチル、エチル又はシクロへキシルであり、R
2は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、ハロゲンから選択される1つであり、好ましくは水素又はBrであり、
一般式I、IIにおいて、前記nは、1~200自然数から選択される1つであり、好ましくは30であり、Xは、
-OTf、
-OAc、ClO
4
-1、NO
3
-1、ハロゲンアニオンから選択される1つであり、好ましくは
-OTfである、ことを特徴とする固体担持型マンガン触媒。
【請求項2】
Boc-L-プロリナールと式1に示す4-ビニルベンジルアミンが反応してイミン中間体を生成し、NaBH
4で還元し、中間体2を得るステップ(1)と、
トリフルオロ酢酸の触媒作用で、中間体2にBoc保護基の除去反応を行い、中間体3を得るステップ(2)と、
K
2CO
3の存在下で、中間体3が置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと求核置換反応し、N
4中心を有する有機配位子L1又はL2を生成するステップ(3)と、
有機配位子L1又はL2が金属マンガン塩MnX
2と配位反応して、触媒活性単位C1又はC2を得るステップ(4)と、
触媒活性単位C1又はC2がジビニルベンゼンDVBとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の作用で、共重合反応を行い、式I又は式IIに示す固体担持型マンガン触媒を得るステップ(5)とを含み、反応式は、以下のとおりであり、
【化2】
ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾールの置換基R
1、R
2は、式Iと同じであり、ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX
2のアニオンXは、式I又はIIと同じである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)において、Boc-L-プロリナールと4-ビニルベンジルアミンとのモル比は、0.8~1.5:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が0~40℃であり、反応時間が0.5~12hであり、NaBH4と4-ビニルベンジルアミンとのモル比が2~6:1であり、前記NaBH4還元反応は、メタノール溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~12hである、ことを特徴とする請求項2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(2)において、TFAと中間体2とのモル比は、5~50:1であり、好ましくは15~25:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~24hである、ことを特徴とする請求項2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと中間体3とのモル比は、2.0~4.0:1であり、K2CO3と中間体3とのモル比は、1.0~4.0:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が1~12hである、ことを特徴とする請求項2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX2と有機配位子L1又はL2とのモル比は、1.0~1.5:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が0.5~12hである、ことを特徴とする請求項2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(5)において、DVBと触媒活性単位C1又はC2とのモル比は、10~100:1であり、好ましくは20~40:1であり、AIBNとDVBとのモル比は、0.1%~10%:1であり、好ましくは1%~3%:1であり、前記反応は、テトラヒドロフラン溶液中で行われ、反応温度が60~120℃であり、反応時間が8~48hである、ことを特徴とする請求項2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項8】
α,β-不飽和カルボニル化合物を有機溶媒に溶かし、固体担持型マンガン触媒I又はIIを添加し、同時に酸添加剤と酸化剤を添加し、反応温度が-45~30℃であり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造し、固体担持型マンガン触媒I又はIIを遠心回収し、反応式は、以下のとおりであり、
【化3】
上記反応式α,β-不飽和カルボニル化合物の構造において、R
3は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールであり、R
4は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、アルコキシ、アミノ又は置換アミノである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における使用方法。
【請求項9】
前記酸化物は、過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸、t-ブチルパーオキサイド、及びヨードシルベンゼンのうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、1.2~2:1であり、反応に添加する酸は、酢酸、2,2-ジメチル酪酸、2-エチルへキサン酸、酪酸、4-メチル吉草酸、4-フェニル酪酸、2-エチル酪酸、及び2,2-ジメチルプロピオン酸のうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、2~8:1であり、前記有機溶媒は、アセトニトリルである、ことを特徴とする請求項8に記載の使用方法。
【請求項10】
使用方法は、固体担持型マンガン触媒I又はIIとシリカゲルを乳鉢でよく粉砕し、固定床反応器に充填し、1つのチャンネルにはα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤を有機溶媒に溶かして調製された溶液Aがあり、溶液A中のα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤の濃度がそれぞれ0.2~0.4mol/Lと0.8~2mol/Lであり、もう1つのチャンネルには酸化剤を有機溶媒に溶かして調製された溶液Bがあり、溶液B中の酸化剤の濃度が0.5~2mol/Lであり、注射ポンプによって液体の流速をそれぞれ制御し、反応温度が-45~30℃であり、反応系の滞留時間が10~30minであり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造することである、ことを特徴とする請求項8に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒化学の技術分野に関し、具体的に固体担持型マンガン触媒及びその製造方法並びに使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの不斉エポキシ化は、有機合成反応の重要なタイプであり、生成されたキラルのエポキシ化合物は、重要な医薬中間体である。そのため、このようなエポキシ化反応に効率的な触媒を開発することは非常に重要である。多くの研究者は、金属酸化酵素P450の活性サイトを模倣することによって、生体模倣触媒を開発し、これらの触媒のうち、Salen配位子は、金属と形成された錯体の製造が容易であり、触媒活性が高いなどの特徴により研究者の注目を集めている。その後、科学者らは、非ヘムN4キラル配位子と金属マンガンによって形成されるマンガン錯体により触媒される反応がより高い反応選択性とエナンチオ選択性を有することを発見し、不斉エポキシ化反応の効率的な触媒であることが証明されている。
【0003】
1990年に、Jacobsonらは、キラルシッフ塩基錯体を触媒として用いた反応系を報告しており(非特許文献1)、得られたエポキシドは、収率が93%に達し、ee値が93%に達し、非官能性オレフィンの不斉エポキシ化反応において非常に良好な結果が得られているが、この均一触媒は、分離・回収・再利用が困難であり、反応系にダイマー失活が生じやすいなどの欠陥がある。これらの問題を解決するために、2000年に、Kimの研究グループは、樹脂に付着できる不均一JandaJel触媒を開発しており、得られたエポキシドは、ee値が97%に達することができ、しかしながら、この複合物は、3回しかサイクル使用されなかった(非特許文献2)。2008年に、包河彬の研究グループは、スチレンの不斉エポキシ化をプローブ反応とし、Salen-Mn(III)錯体を触媒とし、メタクロロ過安息香酸を酸素源とし、NMOを軸配位子として用いると、触媒効果が最適であり、生成物は、転化率が85%であり、選択性が90%であり、ee値が60%に達することができ、この反応において、固体担持キラルSalen-Mn(III)触媒は、性質が安定し、6回サイクル使用できることを発見した(非特許文献3)。2021年に、Sunの研究グループは、有機多孔質骨格に担持した非ヘムマンガンN4触媒の設計及び合成を報告しており、このPOP系マンガン触媒は、オレフィンの不斉エポキシ化に対して高い反応活性を有し、生成物は、ee値が96%に達することができ且つ回収再利用が容易であるが、触媒の基質の種類が少なく、触媒が5回しかサイクル使用されないとともに、グラムスケールの反応では一定の増幅効果がある(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 1990, 112, 2801-2803.
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 6929-6934.
【非特許文献3】高等学校化学学報,2008, 29, 927-931.
【非特許文献4】ACS Catal. 2021, 11, 10964-10973.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術にある上記課題に対して、本発明は、均一触媒を回収再利用できないという問題を解決するとともに、連続フロー触媒に用いることで、増幅反応において収率とエナンチオ選択性が下がるという課題を解決する、固体担持型マンガン触媒の製造方法を提供する。この触媒は、高い触媒活性と優れたエナンチオ選択性を有し、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって採用される技術案は、以下のとおりである。
【0007】
固体担持型マンガン触媒であって、式(I)又は式(II)に示す構造を有し、
【化1】
一般式Iにおいて、R
1は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールから選択され、R
2は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、ハロゲンから選択される1つであり、
一般式I、IIにおいて、前記nは、1~200自然数から選択される1つであり、Xは、OTf
-1、OAc
-1、ClO
4
-1、NO
3
-1、ハロゲンアニオンから選択される1つである。
【0008】
本発明の式I又はIIに示す固体担持型マンガン触媒は、それぞれ触媒活性単位C1又はC2をジビニルベンゼン(DVB)と重合させて得られる。
【0009】
前記固体担持型マンガン触媒の製造方法であって、
Boc-L-プロリナールと式1に示す4-ビニルベンジルアミンが反応してイミン中間体を生成してから、NaBH
4で還元し、中間体2を得るステップ(1)と、
トリフルオロ酢酸(TFA)の触媒作用で、中間体2のBoc保護基を除去し、中間体3を得るステップ(2)と、
K
2CO
3の存在下で、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンを添加して求核置換を行い、N
4中心を有する有機配位子L1又はL2を生成するステップ(3)と、
L1又はL2に金属マンガン塩MnX
2を添加して配位反応して、触媒活性単位C1又はC2を得るステップ(4)と、
C1又はC2にジビニルベンゼン(DVB)とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加し、共重合反応を行い、固体担持型マンガン触媒I又はIIを得るステップ(5)とを含み、
【化2】
ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾールの置換基R
1、R
2は、式Iと同じであり、ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX
2のアニオンXは、式I又はIIと同じである。
【0010】
前記ステップ(1)において、Boc-L-プロリナールと4-ビニルベンジルアミンとのモル比は、0.8~1.5:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が0~40℃であり、反応時間が0.5~12hであり、NaBH4と4-ビニルベンジルアミンとのモル比が2~6:1であり、前記NaBH4還元反応は、メタノール溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~12hである。
【0011】
前記ステップ(2)において、TFAと中間体2とのモル比は、5~50:1であり、好ましくは15~25:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~24hである。
【0012】
前記ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと中間体3とのモル比は、2.0~4.0:1であり、K2CO3と中間体3とのモル比は、1.0~4.0:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が1~12hである。
【0013】
前記ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX2と有機配位子L1又はL2とのモル比は、1.0~1.5:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が0.5~12hである。
【0014】
前記ステップ(5)において、DVBと触媒活性単位C1又はC2とのモル比は、10~100:1であり、好ましくは20~40:1であり、AIBNとDVBとのモル比は、0.1%~10%:1であり、好ましくは1%~3%:1であり、前記反応は、テトラヒドロフラン溶液中で行われ、反応温度が60~120℃であり、反応時間が8~48hである。
【0015】
さらに、本発明は、上記技術案で製造される固体担持型マンガン触媒の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途をさらに提供し、
α,β-不飽和カルボニル化合物をアセトニトリル溶媒に溶かし、固体担持型マンガン触媒I又はIIを添加し、同時に酸添加剤と酸化剤を添加し、反応温度が-45~30℃であり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造し、固体担持型マンガン触媒I又はIIを遠心回収し、触媒を酢酸エチルで洗浄した後、次の反応に再投入することができ、反応式は、以下のとおりであり、
【化3】
R
3は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールであり、
R
4は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、アルコキシ、アミノ、置換アミノである。
【0016】
前記酸化物は、過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸、t-ブチルパーオキサイド、及びヨードシルベンゼンのうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、1.2~2:1であり、反応に添加する酸は、酢酸、2,2-ジメチル酪酸、2-エチルへキサン酸、酪酸、4-メチル吉草酸、4-フェニル酪酸、2-エチル酪酸、及び2,2-ジメチルプロピオン酸のうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、2~8:1である。
【0017】
さらに、本発明は、上記技術案で製造される固体担持型マンガン触媒の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応の連続フロー触媒における用途をさらに提供し、
前記固体担持型マンガン触媒I又はIIとシリカゲルを乳鉢でよく粉砕し、固定床反応器に充填する。1つのチャンネルにはα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤をアセトニトリルに溶かして調製された溶液Aがあり、溶液A中のα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤の濃度がそれぞれ0.2~0.4mol/Lと0.8~2mol/Lであり、もう1つのチャンネルには酸化剤をアセトニトリルに溶かして調製された溶液Bがあり、溶液B中の酸化剤の濃度が0.5~2mol/Lであり、注射ポンプによって液体の流速をそれぞれ制御し、反応温度が-45~30℃であり、反応系の滞留時間が10~30minであり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造することである。
【発明の効果】
【0018】
上記技術を用いることによって、従来技術に比べて、本発明は、以下の特徴を有する。
【0019】
本発明は、固体担持型マンガン触媒の製造方法を提供し、その過程は、有機配位子を金属マンガン塩と錯体化して、触媒活性単位を形成し、そしてコモノマーと重合させて、式I又はIIに示す固体担持型マンガン触媒を得ることを含む。前記固体担持型マンガン触媒は、不均一キラル触媒に属し、高い触媒活性と優れたエナンチオ選択性(ee値が98.3%まで)を有し、反応溶媒に不溶であるため、反応系からの分離回収が容易であり、安定性が高い。また、連続フロー触媒と組み合わせることで、高い触媒活性を長期間維持することができ、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】固体担持型マンガン触媒I-1の走査型電子顕微鏡による特徴づけ(500nm)の結果である。
【
図2】固体担持型マンガン触媒I-1の透過型電子顕微鏡による特徴づけ(10nm)、X線エネルギースペクトル(100nm)及び各元素の特徴づけ(100nm)の結果である。
【
図3】固体担持型マンガン触媒I-1の窒素吸脱着曲線である。
【
図4】固体担持型マンガン触媒I-1の細孔径パターンである。
【
図5】固体担持型マンガン触媒I-1の熱重量分析パターンの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、具体的な実施例を併せて本発明をさらに説明するが、本発明の保護範囲は、これに限らない。
【0022】
[実施例1:固体担持型マンガン触媒I-1の製造]
【化4】
(1)100mLの一口フラスコにBoc-L-プロリナール(996mg、5.0mmol)、4-ビニルベンジルアミン(595mg、5.0mmol)と10mLのジクロロメタン溶液を添加し、窒素ガス雰囲気において40℃で8h反応させ、溶媒を回収して黄色の油状液体を得、20mLのメタノール溶液を添加し、0℃でNaBH
4(908mg、24.0mmol)をバッチで添加し、8h反応させた後、溶媒を回収し、20mLの水を添加して溶解し、そしてジクロロメタン(20mL×3)で3回抽出し、有機相を合わせ、乾燥後、黄色の油状液体の中間体2(1.45g、4.6mmol、収率92%)を得、
(2)100mLの一口フラスコに20mLのジクロロメタン溶液を添加して溶解して得られた中間体2(1.0g、3.2mmol)を添加し、25℃でTFA(7.21g、63.2mmol)を添加し、12h反応させ、20mLの飽和NaHCO
3を添加してクエンチし、ジクロロメタン(20mL×2)で2回抽出し、有機相を合わせ、乾燥後、黄色の油状液体の中間体3(608mg、2.8mmol、収率88%)を得、
(3)100mLの一口フラスコに中間体3(216mg、1.0mmol)、2-(クロロメチル)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール(451mg、2.5mmol)、K
2CO
3(415mg、3.0mmol)、20mLのアセトニトリル溶液を添加して溶解し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させ、8h反応させた後、溶媒を回収し、20mLの水を添加して溶解し、そしてジクロロメタン(20mL×3)で3回抽出し、有機相を合わせ、乾燥後、カラムクロマトグラフィー法で精製し、黄色の泡状固体L1-1(352mg、0.7mmol、収率70%)を得た。
【0023】
L1-1の構造特徴は、以下のとおりである。Yellow solid; 1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.72 - 7.67 (m, 2H), 7.34 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.26 - 7.20 (m, 8H), 6.68 (dd, J = 17.6, 3.2 Hz, 1H), 5.72 (dd, J = 17.6, 1.2 Hz, 1H), 5.23 (dd, J = 11.2, 1.2 Hz, 1H), 4.20 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.79 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.71 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.67 - 3.56 (m, 5H), 3.55 - 3.52 (m, 1H), 3.48 (s, 3H), 2.77 - 2.64 (m, 3H), 2.50 (dd, J = 12.4, 7.2 Hz, 1H), 2.28 (td, J = 9.2, 7.2 Hz, 2H), 2.02 - 1.91 (m, 1H), 1.67 - 1.46 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, Chloroform-d) δ 152.27, 151.72, 142.17, 142.12, 137.98, 136.80, 136.42, 136.20, 129.77, 126.17, 122.63, 122.38, 121.97, 121.80, 119.53, 119.46, 113.87, 109.12, 109.10, 62.33, 59.85, 59.38, 54.82, 52.38, 52.10, 30.49, 30.00, 29.72, 22.37; HRMS-ESI (m/z): calcd for C32H37N6 [M + H]+: 505.3074, found: 505.3073.
【0024】
(4)100mLの一口フラスコにL1-1(352mg、0.7mmol)、Mn(OTf)2(270mg、0.77mmol)、30mLのアセトニトリル溶液を添加し、窒素ガス雰囲気において60℃で6h反応させて配位し、反応終了後、溶媒を回収して淡黄色の固体C1-1(458mg、0.67mmol、収率97%)を得た。
【0025】
C1-1の構造特徴は、以下のとおりである。HRMS-ESI (m/z): calcd for C34H36F6MnN6NaO6S2 [M + Na]+: 880.1315, found: 880.1295.
【0026】
(5)C1-1(172mg、0.2mmol)にDVB(780mg、6.0mmol)とAIBN(15mg)、10mLのテトラヒドロフラン溶液を添加し、室温で1h反応させた後、100℃で24h反応させ、濾過後、固体担持型マンガン触媒I-1を収率75%で得た。
【0027】
触媒I-1の構造において、DVBの数は、30であり(参照文献ACS Catal.2021, 11,10964-10973)、重合反応は、フリーラジカル重合であるため、デフォルトで担持触媒中のDVBと触媒C1-1の比率は、重合反応の仕込み比であり、30:1である。
【0028】
固体担持型マンガン触媒I-1の走査型電子顕微鏡による特徴づけ(500nm)は、
図1に示し、この図は、固体担持型マンガン触媒I-1が大量のメソポーラス構造を持っていることを直観的に示しており、触媒反応中の原料と生成物の移動により有利となる。
【0029】
固体担持型マンガン触媒I-1の透過型電子顕微鏡による特徴づけ(10nm)、X線エネルギースペクトル(100nm)及び各元素の特徴づけ(100nm)の結果は、
図2にまとめられ、固体担持型触媒I-1中の触媒モノマーC1-1が固体担持に成功し、多孔質有機重合担体に単独で均一に分布することが示される。
【0030】
固体担持型マンガン触媒I-1の窒素吸脱着曲線は、
図3に示し、この担持触媒が高い比表面積(98.78m
2/g)を有することが示される。
【0031】
固体担持型マンガン触媒I-1の細孔径パターンは、
図4に示し、この担持触媒の細孔径範囲が主に7~20nmにあり、メソポーラス担持材料に属することが示される。
【0032】
固体担持型マンガン触媒I-1の熱重量分析パターン結果は、
図5に示し、この図には、この担持触媒が良好な熱力学的安定性を有することが示される。
【0033】
[実施例2:固体担持型マンガン触媒I-2の製造]
【化5】
(1)100mLの一口フラスコに中間体3(216mg、1.0mmol)、2-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ベンゾイミダゾール(487g、2.5mmol)、K
2CO
3(415mg、3.0mmol)、20mLのアセトニトリル溶液を添加して溶解し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させ、8h反応させた後、溶媒を回収し、20mLの水を添加して溶解し、そしてジクロロメタン(20mL×3)で3回抽出し、有機相を合わせ、乾燥後、カラムクロマトグラフィー法で精製し、黄色の泡状固体L1-2(330mg、0.62mmol、収率62%)を得た。
【0034】
L1-2の構造特徴は、以下のとおりである。Yellow solid; 1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δδ 7.90 - 7.59 (m, 2H), 7.44 - 7.28 (m, 4H), 7.26 - 7.19 (m, 6H), 6.70 (dd, J = 17.6, 10.8 Hz, 1H), 5.74 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 5.24 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.26 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 4.17 - 3.96 (m, 2H), 3.85 - 3.78 (m, 2H), 3.76 - 3.72 (m, 2H), 3.65 - 3.56 (m, 3H), 2.83 - 2.75 (m, 1H), 2.76 - 2.60 (m, 2H), 2.58 - 2.52 (m, 1H), 2.30 - 2.21 (m, 1H), 2.00 - 1.93 (m, 1H), 1.62 - 1.57 (m, 1H), 1.50 - 1.36 (m, 2H), 1.28 - 1.16 (m, 3H), 1.14 - 1.05 (m, 3H); 13C NMR (100 MHz, Chloroform-d) δ 151.86, 150.99, 142.42, 142.30, 137.85, 136.87, 136.39, 135.13, 135.10, 129.87, 126.17, 122.58, 122.31, 121.88, 121.68, 119.62, 119.53, 113.90, 109.39, 109.33, 62.18, 59.79, 59.57, 54.77, 52.33, 51.83, 38.44, 38.27, 30.56, 22.34, 14.79, 14.72; HRMS-ESI (m/z): calcd for C34H41N6 [M + H]+: 533.3387, found: 533.3387.
【0035】
(2)100mLの一口フラスコにL1-2(330mg、0.62mmol)、Mn(OTf)2(241mg、0.68mmol)、30mLのアセトニトリル溶液を添加し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させて6h配位し、反応終了後、溶媒を回収して淡黄色の固体C1-2(424mg、0.6mmol、収率97%)を得た。
【0036】
C1-2の構造特徴は、以下のとおりである。HRMS-ESI (m/z): calcd for C36H40F6MnN6NaO6S2 [M + Na]+: 908.1628, found: 908.1619.
【0037】
(3)C1-2(177mg、0.2mmol)にDVB(780mg、6.0mmol)とAIBN(15mg)、10mLのテトラヒドロフラン溶液を添加し、室温で1h反応させた後、100℃で24h反応させ、濾過後、固体担持型マンガン触媒I-2を収率72%で得た。
【0038】
[実施例3:固体担持型マンガン触媒I-3の製造]
【化6】
(1)100mLの一口フラスコに中間体3(216mg、1.0mmol)、2-(クロロメチル)-1-シクロへキシル-1H-ベンゾイミダゾール(622mg、2.5mmol)、K
2CO
3(415mg、3.0mmol)、20mLのアセトニトリル溶液を添加して溶解し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させ、8h反応させた後、溶媒を回収し、20mLの水を添加して溶解し、そしてジクロロメタン(20mL×3)で3回抽出し、有機相を合わせ、乾燥後、カラムクロマトグラフィー法で精製し、黄色の泡状固体L1-3(340mg、0.53mmol、収率53%)を得た。
【0039】
L1-3の構造特徴は、以下のとおりである。Yellow solid; 1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.71 - 7.67 (m, 2H), 7.59 - 7.48 (m, 2H), 7.38 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.21 - 7.15 (m, 4H), 6.70 (dd, J = 17.6, 10.8 Hz, 1H), 5.73 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 5.23 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.43 (tdt, J = 12.0, 7.6, 4.0 Hz, 2H), 4.11 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.94 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.69 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.59 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.44 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 2.79 - 2.67 (m, 2H), 2.67 - 2.48 (m, 2H), 2.37 - 2.19 (m, 2H), 2.17 - 2.00 (m, 3H), 1.98 - 1.84 (m, 5H), 1.81 - 1.72 (m, 3H), 1.56 - 1.47 (m, 1H), 1.36 - 1.20 (m, 5H), 1.17 - 1.05 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, Chloroform-d) δ 151.77, 150.90, 143.08, 142.94, 138.05, 136.86, 136.44, 134.11, 134.09, 129.60, 126.33, 122.04, 121.83, 121.45, 121.27, 119.96, 119.84, 113.80, 112.43, 112.27, 62.22, 59.93, 59.21, 56.16, 55.62, 54.34, 52.85, 52.48, 31.40, 31.34, 31.31, 31.10, 30.76, 26.20, 25.95, 25.83, 25.76, 25.47, 25.40, 22.59; HRMS-ESI (m/z): calcd for C42H53N6 [M + H]+: 641.4326, found: 641.4325.
【0040】
(2)100mLの一口フラスコにL1-3(340mg、0.53mmol)、Mn(OTf)2(206mg、0.58mmol)、30mLのアセトニトリル溶液を添加し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させて6h配位し、反応終了後、溶媒を回収して淡黄色の固体C1-3(510mg、0.51mmol、収率96%)を得た。
【0041】
C1-3の構造特徴は、以下のとおりである。HRMS-ESI (m/z): calcd for C44H52F6MnN6NaO6S2 [M + Na]+: 1016.2567, found: 1016.2560.
【0042】
(3)C1-3(199mg、0.2mmol)にDVB(780mg、6.0mmol)とAIBN(15mg)、10mLのテトラヒドロフラン溶液を添加し、室温で1h反応させた後、100℃で24h反応させ、濾過後、固体担持型マンガン触媒I-3を収率70%で得た。
【0043】
[実施例4:固体担持型マンガン触媒I-4の製造]
【化7】
(1)100mLの一口フラスコに中間体3(216mg、1.0mmol)、2-(クロロメチル)-1-メチル-4-ブロモ-1H-ベンゾイミダゾール(649mg、2.5mmol)、K
2CO
3(415mg、3.0mmol)、20mLのアセトニトリル溶液を添加して溶解し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させ、8h反応させた後、溶媒を回収し、20mLの水を添加して溶解し、そしてジクロロメタン(20mL×3)で3回抽出し、有機相を合わせ、乾燥後、カラムクロマトグラフィー法で精製し、黄色の泡状固体L1-4(240mg、0.36mmol、収率36%)を得た。
【0044】
L1-4の構造特徴は、以下のとおりである。Yellow solid; 1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 7.82 - 7.80 (m, 2H), 7.38 - 7.27 (m, 4H), 7.25 - 7.18 (m, 2H), 7.12 - 7.08 (m, 1H), 7.06 - 7.02 (m, 1H), 6.68 (ddd, J = 18.0, 11.2, 2.8 Hz, 1H), 5.72 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 5.23 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 4.18 - 4.10 (m, 1H), 3.81 - 3.72 (m, 1H), 3.71 - 3.58 (m, 3H), 3.53 - 3.48 (m, 7H), 2.70 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.63 - 2.54 (m, 2H), 2.50 - 2.45 (m, 1H), 2.32 - 2.22 (m, 1H), 2.11 - 1.87 (m, 3H); 13C NMR (100 MHz, Chloroform-d) δ 153.35, 152.87, 143.37, 137.72, 136.92, 136.35, 135.14, 135.08, 129.73, 126.18, 125.66, 125.46, 122.31, 122.23, 114.96, 114.83, 113.96, 110.35, 110.32, 62.33, 59.88, 59.37, 54.83, 52.21, 51.83, 30.43, 30.11, 29.97, 22.43; HRMS-ESI (m/z): calcd for C32H35Br2N6 [M + H]+: 661.1284, found: 661.1283.
【0045】
(2)100mLの一口フラスコにL1-4(240mg、0.36mmol)、Mn(OTf)2(140mg、0.40mmol)、30mLのアセトニトリル溶液を添加し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させて6h配位し、反応終了後、溶媒を回収して淡黄色の固体 C1-4(346mg、0.34mmol、収率95%)を得た。
【0046】
C1-4の構造特徴は、以下のとおりである。HRMS-ESI (m/z): calcd for C34H34Br2F6MnN6NaO6S2 [M + Na]+: 1035.9525, found: 1035.9523.
【0047】
(3)C1-4(346mg、0.34mmol)にDVB(1.33g、10.2mmol)とAIBN(15mg)、10mLのテトラヒドロフラン溶液を添加し、室温で1h反応させた後、100℃で24h反応させ、濾過後、固体担持型マンガン触媒I-4を収率68%で得た。
【0048】
[実施例5:固体担持型マンガン触媒IIの製造]
【化8】
(1)100mLの一口フラスコに中間体3(216mg、1.0mmol)、2-(クロロメチル)ピリジン(319mg、2.5mmol)、K
2CO
3(415mg、3.0mmol)、20mLのアセトニトリル溶液を添加して溶解し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させ、8h反応させた後、溶媒を回収し、20mLの水を添加して溶解し、そしてジクロロメタン(20mL×3)で3回抽出し、有機相を合わせ、乾燥後、カラムクロマトグラフィー法で精製し、黄色の泡状固体L2(279mg、0.7mmol、収率70%)を得た。
【0049】
L2の構造特徴は、以下のとおりである。Yellow solid; 1H NMR (400 MHz, Chloroform-d) δ 8.52 - 8.48 (m, 2H), 7.64 - 7.56 (m, 2H), 7.55 - 7.49 (m, 1H), 7.39 - 7.24 (m, 5H), 7.16 - 7.06 (m, 2H), 6.68 (dd, J = 17.6, 10.8 Hz, 1H), 5.71 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 5.20 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 4.37 - 4.10 (m, 1H), 3.82 - 3.68 (m, 2H), 3.68 - 3.39 (m, 3H), 2.82 - 2.37 (m, 3H), 2.25 - 2.14 (m, 1H), 2.10 - 1.83 (m, 2H), 1.76 - 1.50 (m, 3H); 13C NMR (100 MHz, Chloroform-d) δ 160.22, 148.92, 148.78, 139.04, 136.66, 136.37, 136.35, 136.32, 129.19, 126.09, 123.07, 123.00, 121.89, 121.79, 113.35, 62.35, 61.30, 61.16, 59.44, 59.02, 54.87, 30.11, 22.57; HRMS-ESI (m/z): calcd for C26H31N4 [M + H]+: 399.2543, found: 399.2540.
【0050】
(5)100mLの一口フラスコにL2(279mg、0.7mmol)、Mn(OTf)2(270mg、0.77mmol)、30mLのアセトニトリル溶液を添加し、窒素ガス雰囲気において60℃で反応させて6h配位し、反応終了後、溶媒を回収して淡黄色の固体C2(499mg、0.67mmol、収率96%)を得た。
【0051】
C2の構造特徴は、以下のとおりである。HRMS-ESI (m/z): calcd for C28H30F6MnN4NaO6S2 [M + Na]+: 774.0784, found: 774.0777.
【0052】
(3)C2(150mg、0.2mmol)にDVB(780mg、6.0mmol)とAIBN(15mg)、10mLのテトラヒドロフラン溶液を添加し、室温で1h反応させた後、100℃で24h反応させ、濾過後、固体担持型マンガン触媒IIを収率80%で得た。
【0053】
[実施例6:固体担持型マンガン触媒I-5の製造]
【化9】
C1-1(172mg、0.2mmol)にDVB(261mg、2mmol)とAIBN(5mg)、10mLのテトラヒドロフラン溶液を添加し、室温で1h反応させた後、100℃で24h反応させ、濾過後、固体担持型マンガン触媒I-5を得た。
【0054】
[実施例7:固体担持型マンガン触媒I-6の製造]
【化10】
C1-1(172mg、0.2mmol)にDVB(1.57g、12mmol)とAIBN(30mg)、10mLのテトラヒドロフラン溶液を添加し、室温で1h反応させた後、100℃で24h反応させ、濾過後、固体担持型マンガン触媒I-6を得た。
【0055】
[実施例8:固体担持型マンガン触媒I-1の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途]
【化11】
カルコン4(52mg、0.25mmol)を1mLのアセトニトリル溶液に溶け、固体担持型マンガン触媒I-1(11.9mg)と2,2-ジメチル酪酸(145mg、1.25mmol)を添加し、-40℃まで冷却し、50%の過酸化水素水(26mg、0.375mmol)をアセトニトリルで0.5mLまで希釈し、2hの滴下が終了した後、2h保温反応させ、反応終了後、遠心濾過して触媒I-1を回収し、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:20、v/v)分離し、黄色の固体(53.2mg、0.237mmol、収率95%、ee値95.7%)を得た。
【0056】
[実施例9:固体担持型マンガン触媒I-2の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途]
【化12】
カルコン4(52mg、0.25mmol)を1mLのアセトニトリル溶液に溶け、固体担持型マンガン触媒I-2(12.0mg)と2,2-ジメチル酪酸(145mg、1.25mmol)を添加し、-40℃まで冷却し、50%の過酸化水素水(26mg、0.375mmol)をアセトニトリルで0.5mLまで希釈し、2hの滴下が終了した後、2h保温反応させ、反応終了後、遠心濾過して触媒I-2を回収し、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:20、v/v)で分離し、黄色の固体(52.7mg、0.235mmol、収率94%、ee値94.5%)を得た。
【0057】
[実施例10:固体担持型マンガン触媒I-3の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途]
【化13】
カルコン4(52mg、0.25mmol)を1mLのアセトニトリル溶液に溶け、固体担持型マンガン触媒I-3(12.2mg)と2,2-ジメチル酪酸(145mg、1.25mmol)を添加し、-40℃まで冷却し、50%の過酸化水素水(26mg、0.375mmol)をアセトニトリルで0.5mLまで希釈し、2hの滴下が終了した後、2h保温反応させ、反応終了後、遠心濾過して触媒I-3を回収し、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:20、v/v)で分離し、黄色の固体(52.1mg、0.232mmol、収率93%、ee値94.6%)を得た。
【0058】
[実施例11:固体担持型マンガン触媒I-4の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途]
【化14】
カルコン4(52mg、0.25mmol)を1mLのアセトニトリル溶液に溶け、固体担持型マンガン触媒I-4(12.3mg)と2,2-ジメチル酪酸(145mg、1.25mmol)を添加し、-40℃まで冷却し、50%の過酸化水素水(26mg、0.375mmol)をアセトニトリルで0.5mLまで希釈し、2hの滴下が終了した後、2h保温反応させ、反応終了後、遠心濾過して触媒I-4を回収し、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:20、v/v)で分離し、黄色の固体(37.5mg、0.167mmol、収率67%、ee値91.3%)を得た。
【0059】
[実施例12:固体担持型マンガン触媒IIの、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途]
【化15】
カルコン4(52mg、0.25mmol)を1mLのアセトニトリル溶液に溶け、固体担持型マンガン触媒II(11.6mg)と2,2-ジメチル酪酸(145mg、1.25mmol)を添加し、-40℃まで冷却し、50%の過酸化水素水(26mg、0.375mmol)をアセトニトリルで0.5mLまで希釈し、2hの滴下が終了した後、2h保温反応させ、反応終了後、遠心濾過して触媒IIを回収し、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:20、v/v)で分離し、黄色の固体(51.6mg、0.230mmol、収率92%、ee値89.5%)を得た。
【0060】
[実施例13:固体担持型マンガン触媒I-5の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途]
【化16】
カルコン4(52mg、0.25mmol)を1mLのアセトニトリル溶液に溶け、固体担持型マンガン触媒I-5(5.4mg)と2,2-ジメチル酪酸(145mg、1.25mmol)を添加し、-40℃まで冷却し、50%の過酸化水素水(26mg、0.375mmol)をアセトニトリルで0.5mLまで希釈し、2hの滴下が終了した後、2h保温反応させ、反応終了後、遠心濾過して触媒I-5を回収し、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:20、v/v)で分離し、黄色の固体(52.1mg、0.232mmol、収率93%、ee値95.4%)を得た。
【0061】
[実施例14:固体担持型マンガン触媒I-6の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における用途]
【化17】
カルコン4(52mg、0.25mmol)を1mLのアセトニトリル溶液に溶け、固体担持型マンガン触媒I-6(21.7mg)と2,2-ジメチル酪酸(145mg、1.25mmol)を添加し、-40℃まで冷却し、50%の過酸化水素水(26mg、0.375mmol)をアセトニトリルで0.5mLまで希釈し、2hの滴下が終了した後、2h保温反応させ、反応終了後、遠心濾過して触媒I-6を回収し、濾液を減圧濃縮乾固し、残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n-ヘキサン=1:20、v/v)で分離し、黄色の固体(44.8mg、0.200mmol、収率80%、ee値95.5%)を得た。
【0062】
[実施例15:固体担持型マンガン触媒I-1の回収サイクル実験]
実施例8における前記実験過程に従って、遠心後、触媒I-1を1mLの酢酸エチルで洗浄し、乾燥させた後、反応に投入し、この実験過程を繰り返した。5回目のサイクル使用で収率が大幅に低下し、メタルロスの問題があることを発見したため、6回目のサイクル反応の前に、回収されたI-1を1mLのアセトニトリルに入れ、Mn(OTf)2(0.4mg)を添加し、窒素ガス雰囲気において60℃で6h反応させて再配位し、遠心乾燥後、反応に再投入した。回収サイクル実験の収率及びee値は、表1に示す。
【0063】
【0064】
[実施例16:固体担持型マンガン触媒I-1の、連続フロー触媒における用途]
I-1(238mg)とシリカゲル(2.0g)を乳鉢でよく粉砕し、固定床反応器の配管に充填した。カルコン4(2.08g、10mmol)と2,2-ジメチル酪酸(5.8g、50mmol)をアセトニトリルに溶け且つ36mLまで希釈し、注射ポンプ1(流量、40μL/min)で固定床反応器に注入し、同時に50%の過酸化水素水(816mg、12mmol)をアセトニトリルで18mLまで希釈し、注射ポンプ2(流量、20μL/min)で固定床反応器に注入し、反応温度を-40℃に制御し、固定床での反応液の滞留時間が20minであり、90~900min連続的に運転し、収率及びee値は、表2に示す。
【0065】
【0066】
表2に示すのは、連続フロー触媒における触媒の連続的な運転時間での収率及びee値であり、反応結果からわかるように、触媒の連続的な運転時間が900minの場合、反応収率が依然として87%にも達し、触媒が非常に高い安定性を持つことが示される。
【0067】
実施例17-44に記載の操作ステップは、反応原料のα,β-不飽和カルボニル化合物誘導体の構造を変更する以外、実施例8を繰り返し、対応するエポキシ化生成物の収率、純度及びee値は、表3に示す。
【0068】
【0069】
(実施例17~44は、いずれも既知物である)
本明細書に記載された内容は、発明の構想の実施形態を列挙したものにすぎず、本発明の保護範囲を実施例に記載された特定の形態に限定されるものとみなすべきではない。
【0070】
(付記)
(付記1)
固体担持型マンガン触媒であって、式I又は式IIに示す構造を有し、
【化18】
一般式Iにおいて、R
1は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールから選択され、好ましくはメチル、エチル又はシクロへキシルであり、R
2は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、ハロゲンから選択される1つであり、好ましくは水素又はBrであり、
一般式I、IIにおいて、前記nは、1~200自然数から選択される1つであり、好ましくは30であり、Xは、
-OTf、
-OAc、ClO
4
-1、NO
3
-1、ハロゲンアニオンから選択される1つであり、好ましくは
-OTfである、ことを特徴とする固体担持型マンガン触媒。
【0071】
(付記2)
Boc-L-プロリナールと式1に示す4-ビニルベンジルアミンが反応してイミン中間体を生成し、NaBH
4で還元し、中間体2を得るステップ(1)と、
トリフルオロ酢酸の触媒作用で、中間体2にBoc保護基の除去反応を行い、中間体3を得るステップ(2)と、
K
2CO
3の存在下で、中間体3が置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと求核置換反応し、N
4中心を有する有機配位子L1又はL2を生成するステップ(3)と、
有機配位子L1又はL2が金属マンガン塩MnX
2と配位反応して、触媒活性単位C1又はC2を得るステップ(4)と、
触媒活性単位C1又はC2がジビニルベンゼンDVBとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の作用で、共重合反応を行い、式I又は式IIに示す固体担持型マンガン触媒を得るステップ(5)とを含み、反応式は、以下のとおりであり、
【化19】
ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾールの置換基R
1、R
2は、式Iと同じであり、ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX
2のアニオンXは、式I又はIIと同じである、ことを特徴とする付記1に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【0072】
(付記3)
前記ステップ(1)において、Boc-L-プロリナールと4-ビニルベンジルアミンとのモル比は、0.8~1.5:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が0~40℃であり、反応時間が0.5~12hであり、NaBH4と4-ビニルベンジルアミンとのモル比が2~6:1であり、前記NaBH4還元反応は、メタノール溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~12hである、ことを特徴とする付記2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【0073】
(付記4)
前記ステップ(2)において、TFAと中間体2とのモル比は、5~50:1であり、好ましくは15~25:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~24hである、ことを特徴とする付記2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【0074】
(付記5)
前記ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと中間体3とのモル比は、2.0~4.0:1であり、K2CO3と中間体3とのモル比は、1.0~4.0:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が1~12hである、ことを特徴とする付記2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【0075】
(付記6)
前記ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX2と有機配位子L1又はL2とのモル比は、1.0~1.5:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が0.5~12hである、ことを特徴とする付記2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【0076】
(付記7)
前記ステップ(5)において、DVBと触媒活性単位C1又はC2とのモル比は、10~100:1であり、好ましくは20~40:1であり、AIBNとDVBとのモル比は、0.1%~10%:1であり、好ましくは1%~3%:1であり、前記反応は、テトラヒドロフラン溶液中で行われ、反応温度が60~120℃であり、反応時間が8~48hである、ことを特徴とする付記2に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【0077】
(付記8)
α,β-不飽和カルボニル化合物を有機溶媒に溶かし、固体担持型マンガン触媒I又はIIを添加し、同時に酸添加剤と酸化剤を添加し、反応温度が-45~30℃であり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造し、固体担持型マンガン触媒I又はIIを遠心回収し、反応式は、以下のとおりであり、
【化20】
上記反応式α,β-不飽和カルボニル化合物の構造において、R
3は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールであり、R
4は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、アルコキシ、アミノ又は置換アミノである、ことを特徴とする付記1に記載の固体担持型マンガン触媒の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における使用方法。
【0078】
(付記9)
前記酸化物は、過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸、t-ブチルパーオキサイド、及びヨードシルベンゼンのうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、1.2~2:1であり、反応に添加する酸は、酢酸、2,2-ジメチル酪酸、2-エチルへキサン酸、酪酸、4-メチル吉草酸、4-フェニル酪酸、2-エチル酪酸、及び2,2-ジメチルプロピオン酸のうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、2~8:1であり、前記有機溶媒は、アセトニトリルである、ことを特徴とする付記8に記載の使用方法。
【0079】
(付記10)
使用方法は、固体担持型マンガン触媒I又はIIとシリカゲルを乳鉢でよく粉砕し、固定床反応器に充填し、1つのチャンネルにはα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤を有機溶媒に溶かして調製された溶液Aがあり、溶液A中のα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤の濃度がそれぞれ0.2~0.4mol/Lと0.8~2mol/Lであり、もう1つのチャンネルには酸化剤を有機溶媒に溶かして調製された溶液Bがあり、溶液B中の酸化剤の濃度が0.5~2mol/Lであり、注射ポンプによって液体の流速をそれぞれ制御し、反応温度が-45~30℃であり、反応系の滞留時間が10~30minであり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造することである、ことを特徴とする付記8に記載の使用方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α、β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応に用いる固体担持型マンガン触媒であって、
前記固体担持型マンガン触媒は、下記式C1で示される触媒活性単位C1、又は下記式C2で示される触媒活性単位C2と、ジビニルベンゼン(DVB)との共重合体であり、
【化1】
一般式I又は
一般式IIに示す構造を有し、
【化2】
式C1、C2及び一般式I
、IIにおいて、R
1は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールから選択され
、R
2は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、ハロゲンから選択される1つであり、
Xは、
-
OTf、
-
OAc、ClO
4
-1
、NO
3
-1
、ハロゲンアニオンから選択される1つであり、
一般式I、IIにおいて、前記nは、
10~
60の自然数から選択される1つで
ある、ことを特徴とする固体担持型マンガン触媒。
【請求項2】
前記R
1
は、メチル、エチル又はシクロへキシルである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒。
【請求項3】
前記R
2
は、水素又はBrである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒。
【請求項4】
前記nは、30である、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒。
【請求項5】
前記Xは、
-
OTfである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒。
【請求項6】
Boc-L-プロリナールと式1に示す4-ビニルベンジルアミンが反応してイミン中間体を生成し、NaBH
4で還元し、中間体2を得るステップ(1)と、
トリフルオロ酢酸の触媒作用で、中間体2にBoc保護基の除去反応を行い、中間体3を得るステップ(2)と、
K
2CO
3の存在下で、中間体3が置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと求核置換反応し、N
4中心を有する有機配位子L1又はL2を生成するステップ(3)と、
有機配位子L1又はL2が金属マンガン塩MnX
2と配位反応して、触媒活性単位C1又はC2を得るステップ(4)と、
触媒活性単位C1又はC2がジビニルベンゼン
(DVB
)とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の作用で、共重合反応を行い、
一般式I又は
一般式IIに示す固体担持型マンガン触媒を得るステップ(5)とを含み、反応式は、以下のとおりであり、
【化3】
ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾールの置換基R
1、R
2は、
一般式Iと同じであり、ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX
2のアニオンXは、
一般式I又はIIと同じである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(1)において、Boc-L-プロリナールと4-ビニルベンジルアミンとのモル比は、0.8~1.5:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が0~40℃であり、反応時間が0.5~12hであり、NaBH4と4-ビニルベンジルアミンとのモル比が2~6:1であり、前記NaBH4還元反応は、メタノール溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~12hである、ことを特徴とする請求項6に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(2)において、TFAと中間体2とのモル比は、5~50:1であり、前記反応は、ジクロロメタン溶液中で行われ、反応温度が-10~40℃であり、反応時間が0.5~24hである、ことを特徴とする請求項6に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項9】
前記ステップ(2)において、TFAと中間体2とのモル比は、15~25:1である、ことを特徴とする請求項8に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項10】
前記ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと中間体3とのモル比は、2.0~4.0:1であり、K2CO3と中間体3とのモル比は、1.0~4.0:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が1~12hである、ことを特徴とする請求項6に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項11】
前記ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX2と有機配位子L1又はL2とのモル比は、1.0~1.5:1であり、前記反応は、アセトニトリル溶液中で行われ、反応温度が20~70℃であり、反応時間が0.5~12hである、ことを特徴とする請求項6に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項12】
前記ステップ(5)において、DVBと触媒活性単位C1又はC2とのモル比は、10~100:1であり、AIBNとDVBとのモル比は、0.1%~10%:1であり、前記反応は、テトラヒドロフラン溶液中で行われ、反応温度が60~120℃であり、反応時間が8~48hである、ことを特徴とする請求項6に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項13】
前記DVBと前記触媒活性単位C1又はC2とのモル比は、20~40:1である、ことを特徴とする請求項12に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項14】
前記AIBNと前記DVBとのモル比は、1%~3%:1である、ことを特徴とする請求項12に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【請求項15】
α,β-不飽和カルボニル化合物を有機溶媒に溶かし、固体担持型マンガン触媒I又はIIを添加し、同時に酸添加剤と酸化剤を添加し、反応温度が-45~30℃であり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造し、固体担持型マンガン触媒I又はIIを遠心回収し、反応式は、以下のとおりであり、
【化4】
上記反応式α,β-不飽和カルボニル化合物の構造において、R
3は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールであり、R
4は、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、アルコキシ、アミノ又は置換アミノである、ことを特徴とする請求項1に記載の固体担持型マンガン触媒の、α,β-不飽和カルボニル化合物の不斉エポキシ化反応における使用方法。
【請求項16】
前記酸化剤は、過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸、t-ブチルパーオキサイド、及びヨードシルベンゼンのうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、1.2~2:1であり、反応に添加する酸は、酢酸、2,2-ジメチル酪酸、2-エチルへキサン酸、酪酸、4-メチル吉草酸、4-フェニル酪酸、2-エチル酪酸、及び2,2-ジメチルプロピオン酸のうちの1つであり、それとα,β-不飽和カルボニル化合物とのモル比は、2~8:1であり、前記有機溶媒は、アセトニトリルである、ことを特徴とする請求項15に記載の使用方法。
【請求項17】
使用方法は、固体担持型マンガン触媒I又はIIとシリカゲルを乳鉢でよく粉砕し、固定床反応器に充填し、1つのチャンネルにはα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤を有機溶媒に溶かして調製された溶液Aがあり、溶液A中のα,β-不飽和カルボニル化合物と酸添加剤の濃度がそれぞれ0.2~0.4mol/Lと0.8~2mol/Lであり、もう1つのチャンネルには酸化剤を有機溶媒に溶かして調製された溶液Bがあり、溶液B中の酸化剤の濃度が0.5~2mol/Lであり、注射ポンプによって液体の流速をそれぞれ制御し、反応温度が-45~30℃であり、反応系の滞留時間が10~30minであり、反応と精製の後、エナンチオ選択性の高いエポキシ化合物を製造することである、ことを特徴とする請求項15に記載の使用方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
固体担持型マンガン触媒であって、式(I)又は式(II)に示す構造を有し、
【化1】
一般式Iにおいて、R
1は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールから選択され、R
2は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、ハロゲンから選択される1つであり、
一般式I、IIにおいて、前記nは、1~200自然数から選択される1つであり、Xは、OTf
-1、OAc
-1、ClO
4
-1、NO
3
-1、ハロゲンアニオンから選択される1つである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記固体担持型マンガン触媒の製造方法であって、
Boc-L-プロリナールと式1に示す4-ビニルベンジルアミンが反応してイミン中間体を生成してから、NaBH
4で還元し、中間体2を得るステップ(1)と、
トリフルオロ酢酸(TFA)の触媒作用で、中間体2のBoc保護基を除去し、中間体3を得るステップ(2)と、
K
2CO
3の存在下で、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンを添加して求核置換を行い、N
4中心を有する有機配位子L1又はL2を生成するステップ(3)と、
L1又はL2に金属マンガン塩MnX
2を添加して配位反応して、触媒活性単位C1又はC2を得るステップ(4)と、
C1又はC2にジビニルベンゼン(DVB)とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加し、共重合反応を行い、固体担持型マンガン触媒I又はIIを得るステップ(5)とを含み、
【化2】
ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾールの置換基R
1、R
2は、式Iと同じであり、ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX
2のアニオンXは、式I又はIIと同じである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
(付記)
(付記1)
固体担持型マンガン触媒であって、式I又は式IIに示す構造を有し、
【化18】
一般式Iにおいて、R
1は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリールから選択され、好ましくはメチル、エチル又はシクロへキシルであり、R
2は、水素、C
1~C
6直鎖状または分岐鎖状のアルキル、C
3~C
6のシクロアルキル、置換アリール又は複素環アリール、ハロゲンから選択される1つであり、好ましくは水素又はBrであり、
一般式I、IIにおいて、前記nは、1~200自然数から選択される1つであり、好ましくは30であり、Xは、
-OTf、
-OAc、ClO
4
-1、NO
3
-1、ハロゲンアニオンから選択される1つであり、好ましくは
-OTfである、ことを特徴とする固体担持型マンガン触媒。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
(付記2)
Boc-L-プロリナールと式1に示す4-ビニルベンジルアミンが反応してイミン中間体を生成し、NaBH
4で還元し、中間体2を得るステップ(1)と、
トリフルオロ酢酸の触媒作用で、中間体2にBoc保護基の除去反応を行い、中間体3を得るステップ(2)と、
K
2CO
3の存在下で、中間体3が置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾール又は2-クロロメチルピリジンと求核置換反応し、N
4中心を有する有機配位子L1又はL2を生成するステップ(3)と、
有機配位子L1又はL2が金属マンガン塩MnX
2と配位反応して、触媒活性単位C1又はC2を得るステップ(4)と、
触媒活性単位C1又はC2がジビニルベンゼンDVBとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の作用で、共重合反応を行い、式I又は式IIに示す固体担持型マンガン触媒を得るステップ(5)とを含み、反応式は、以下のとおりであり、
【化19】
ステップ(3)において、置換基含有2-クロロメチルベンゾイミダゾールの置換基R
1、R
2は、式Iと同じであり、ステップ(4)において、金属マンガン塩MnX
2のアニオンXは、式I又はIIと同じである、ことを特徴とする付記1に記載の固体担持型マンガン触媒の製造方法。
【外国語明細書】