(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016343
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】連結具および吊り下げ構造体
(51)【国際特許分類】
F16B 7/04 20060101AFI20250124BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20250124BHJP
F16B 1/00 20060101ALI20250124BHJP
F16B 2/06 20060101ALI20250124BHJP
F16B 2/24 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
F16B7/04 301F
F16B7/18 C
F16B7/18 D
F16B7/18 E
F16B1/00 A
F16B2/06 A
F16B2/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024079675
(22)【出願日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2023119422
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】393024717
【氏名又は名称】オーケー器材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】坂下 朗彦
【テーマコード(参考)】
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
3J022DA12
3J022EA38
3J022EB14
3J022EC12
3J022EC22
3J022FB06
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA02
3J022GA12
3J022GA14
3J022GB17
3J039AA06
3J039BB01
3J039CA02
3J039GA02
3J039GA07
3J039LA10
(57)【要約】
【課題】簡単に空調関連物を支持できる支持部材、空調関連物の支持構造、および、空調関連物の施工方法を提供する。
【解決手段】連結具10は、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6とを連結する連結機構20を備える。連結機構20は、第1吊りボルト5に結合する第1結合部21および第2結合部22と、第2吊りボルト6に結合する第3結合部23および第4結合部24と、を有する。第1結合部21と第2結合部22との間の距離が拡縮可能であり、かつ、第3結合部23と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように構成される。または、連結機構20は、第1結合部21と第3結合部23との間の距離が拡縮可能であり、かつ、第2結合部22と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように、構成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井スラブから吊り下げられる第1吊りボルト(5)と第2吊りボルト(6)とを連結する連結具(10)であって、
前記第1吊りボルト(5)と前記第2吊りボルト(6)とを連結する連結機構(20)を備え、
前記連結機構(20)は、
前記第1吊りボルト(5)に結合する第1結合部(21)と、
前記第1吊りボルト(5)において前記第1結合部(21)よりも下の位置で結合する第2結合部(22)と、
前記第2吊りボルト(6)に結合する第3結合部(23)と、
前記第2吊りボルト(6)において前記第3結合部(23)よりも下の位置で結合する第4結合部(24)と、を有し、かつ、
前記第1結合部(21)と前記第2結合部(22)との間の距離が拡縮可能であり、かつ、前記第3結合部(23)と前記第4結合部(24)との間の距離が拡縮可能であるように、または、
前記第1結合部(21)と前記第3結合部(23)との間の距離が拡縮可能であり、かつ、前記第2結合部(22)と前記第4結合部(24)との間の距離が拡縮可能であるように、構成される、
連結具。
【請求項2】
前記連結機構(20)は、
前記第1結合部(21)を有する第1部材(11)と、
前記第2結合部(22)を有する第2部材(12)と、
前記第3結合部(23)を有する第3部材(13)と、
前記第4結合部(24)を有する第4部材(14)と、を有し、
前記第1部材(11)~前記第4部材(14)のそれぞれの部材は、前記第1部材(11)~前記第4部材(14)のうちで当該部材以外の他の2つの部材と連結する、
請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記連結機構(20)は、第1係合部材(41)と、第2係合部材(42)と、をさらに、備え、
前記第1部材(11)は、前記第2部材(12)と回転可能に連結し、
前記第3部材(13)は、前記第4部材(14)と回転可能に連結し、
前記第1係合部材(41)は、前記第1部材(11)および前記第3部材(13)に摺動可能に、前記第1部材(11)と前記第3部材(13)との交差部に配置され、かつ、前記第1部材(11)および前記第3部材(13)に係合し、
前記第2係合部材(42)は、前記第2部材(12)および前記第4部材(14)に摺動可能に、前記第2部材(12)と前記第4部材(14)との交差部に配置され、かつ、前記第2部材(12)および前記第4部材(14)に係合する、
請求項2に記載の連結具。
【請求項4】
前記第1結合部(21)、前記第2結合部(22)、前記第3結合部(23)および前記第4結合部(24)は、前記第1係合部材(41)および前記第2係合部材(42)の可動領域(SX)を含む面(S)に対する垂直な方向(DA)において、前記第1係合部材(41)および前記第2係合部材(42)に対してずれた位置に配置される、
請求項3に記載の連結具。
【請求項5】
前記連結機構(20)は、第3係合部材(65)と、第4係合部材(66)と、をさらに、備え、
前記第1部材(11)は、前記第3部材(13)と回転可能に連結し、
前記第2部材(12)は、前記第4部材(14)と回転可能に連結し、
前記第3係合部材(65)は、前記第1部材(11)および前記第2部材(12)に摺動可能に、前記第1部材(11)と前記第2部材(12)との交差部に配置され、かつ、前記第1部材(11)および前記第2部材(12)に係合し、
前記第4係合部材(66)は、前記第3部材(13)および前記第4部材(14)に摺動可能に、前記第3部材(13)と前記第4部材(14)との交差部に配置され、かつ、前記第3部材(13)および前記第4部材(14)に係合する、
請求項2に記載の連結具。
【請求項6】
前記連結機構(20)は、第5係合部材(73)、をさらに、備え、
前記第1部材(11)は、前記第1部材(11)の長手方向に沿って前記第4部材(14)に摺動可能に連結し、
前記第2部材(12)は、前記第2部材(12)の長手方向に沿って前記第3部材(13)に摺動可能に連結し、
前記第5係合部材(73)は、
前記第1部材(11)および前記第4部材(14)のいずれか一方または両方と、前記第2部材(12)および前記第3部材(13)のいずれか一方または両方とに摺動可能であり、
前記第1部材(11)と前記第4部材(14)とによって構成される第1伸縮部材(71)と、前記第2部材(12)と前記第3部材(13)とによって構成される第2伸縮部材(72)との交差部に配置され、かつ、前記第1伸縮部材(71)および前記第2伸縮部材(72)に係合する、
請求項2に記載の連結具。
【請求項7】
前記第1吊りボルト(5)および前記第2吊りボルト(6)それぞれは、吊りボルト(3)を含み、
前記第1結合部(21)、前記第2結合部(22)、前記第3結合部(23)および前記第4結合部(24)それぞれは、前記吊りボルト(3)を挟持する挟持部(50)を含む、
請求項2に記載の連結具。
【請求項8】
前記挟持部(50)は、前記第1部材(11)~前記第4部材(14)のうちの前記挟持部(50)が設けられている部材における外端部(17)と、前記外端部(17)に取り付けられて前記吊りボルト(3)を挟持する挟持片(51)と、前記挟持片(51)を前記外端部(17)に締結する締結ボルト(53)と、を備える、
請求項7に記載の連結具。
【請求項9】
前記挟持部(50)は、さらに、前記挟持片(51)を前記外端部(17)に付勢する付勢部材(52)を備える、
請求項8に記載の連結具。
【請求項10】
前記挟持片(51)は、前記第1部材(11)~前記第4部材(14)のうちの前記挟持部(50)が設けられている部材における前記外端部(17)に回転可能に取り付けられる、
請求項8に記載の連結具。
【請求項11】
前記第1部材(11)~前記第4部材(14)それぞれの前記挟持部(50)の前記締結ボルト(53)または前記締結ボルト(53)に係合するナット(54)が、前記連結具(10)に対して同じ面から締め付け可能であるように、前記締結ボルト(53)または前記ナット(54)の回転止め構造(48)を備える、
請求項8に記載の連結具。
【請求項12】
前記第1部材(11)~前記第4部材(14)それぞれの前記挟持部(50)の前記締結ボルト(53)、ナット(54)、および、係合部材(41、42)それぞれが、前記連結具(10)に対して同じ面から締め付け可能であるように、前記締結ボルト(53)または前記ナット(54)の回転止め構造(48)および前記係合部材(41、42)の回転止め構造(49)を備え、
前記係合部材(41、42)は、前記第1部材(11)、前記第2部材(12)、前記第3部材(13)、および前記第4部材(14)の2つを互いに係合させる部材である、
請求項8に記載の連結具。
【請求項13】
物を吊り下げる吊り下げ構造体(1)であって、
天井スラブから吊り下げられる前記第1吊りボルト(5)と、
前記天井スラブから吊り下げられる前記第2吊りボルト(6)と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の連結具(10)と、を備える、
吊り下げ構造体。
【請求項14】
物を吊り下げる吊り下げ構造体(1)であって、
天井スラブから吊り下げられる前記第1吊りボルト(5)と、
前記天井スラブから吊り下げられる前記第2吊りボルト(6)と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の複数の連結具(10)と、を備え、
前記複数の連結具(10)のそれぞれは、前記第1吊りボルト(5)および前記第2吊りボルト(6)を連結し、
前記複数の連結具(10)のうちの1つは、他の前記連結具(10)よりも上に配置され、
前記複数の連結具(10)のうちで他の前記連結具(10)よりも上に配置される連結具(10)において、第2部材(12)は、前記他の連結具(10)の第1部材(11)に交差し、第4部材(14)は、前記他の連結具(10)の第3部材(13)に交差する、
吊り下げ構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吊りボルトを連結する連結具、および、吊り下げ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
室内機を吊り下げた状態で支持する吊り下げ構造体が知られている(特許文献1参照)。吊り下げ構造体は、幾つかの吊りボルトを有する。吊り下げ構造体の耐震性を高めるため、2個のブレースを2つの吊りボルトに連結させる。2個のブレースは、2つの吊りボルトの間で交差させた状態で、2つの吊りボルトに取り付けられる。
【0003】
しかし、このような連結構造は、2つの吊りボルトを互い連結させるまでに手間を要する。具体的には、ブレースを所定長さに切断し、2つのブレースを2つの吊りボルトの間に配置し、そして、2つのブレースを保持しながら吊りボルトに固定する、という一連の作業を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業の効率化の観点で、2つの吊りボルトを連結する連結構造について改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する第1観点の連結具は、天井スラブから吊り下げられる第1吊りボルトと第2吊りボルトとを連結する連結具であって、前記第1吊りボルトと前記第2吊りボルトとを連結する連結機構を備え、前記連結機構は、前記第1吊りボルトに結合する第1結合部と、前記第1吊りボルトにおいて前記第1結合部よりも下の位置で結合する第2結合部と、前記第2吊りボルトに結合する第3結合部と、前記第2吊りボルトにおいて前記第3結合部よりも下の位置で結合する第4結合部と、を有し、かつ、前記第1結合部と前記第2結合部との間の距離が拡縮可能であり、かつ、前記第3結合部と前記第4結合部との間の距離が拡縮可能であるように、または、前記第1結合部と前記第3結合部との間の距離が拡縮可能であり、かつ、前記第2結合部と前記第4結合部との間の距離が拡縮可能であるように、構成される。この構成によれば、連結具は、第1結合部~第4結合部の位置関係を変更できるため、部材長さ調整のための切断といった手間をかけずに、連結具を様々な幅の吊り下げ構造体に適用できる。また、連結具は、天井スラブまでの高さが様々な吊り下げ構造体に適用できる。
【0007】
第2観点の連結具は、第1観点の連結具において、前記連結機構は、前記第1結合部を有する第1部材と、前記第2結合部を有する第2部材と、前記第3結合部を有する第3部材と、前記第4結合部を有する第4部材と、を有し、前記第1部材~前記第4部材のそれぞれの部材は、前記第1部材~前記第4部材のうちで当該部材以外の他の2つの部材と連結する。この構成によれば、第1部材~第4部材のそれぞれの部材は、当該部材以外の他の2つの部材と連結するため、連結機構の構造を強化できる。
【0008】
第3観点の連結具は、第2観点の連結具において、前記連結機構は、第1係合部材と、第2係合部材と、をさらに、備え、前記第1部材は、前記第2部材と回転可能に連結し、前記第3部材は、前記第4部材と回転可能に連結し、前記第1係合部材は、前記第1部材および前記第3部材に摺動可能に、前記第1部材と前記第3部材との交差部に配置され、かつ、前記第1部材および前記第3部材に係合し、前記第2係合部材は、前記第2部材および前記第4部材に摺動可能に、前記第2部材と前記第4部材との交差部に配置され、かつ、前記第2部材および前記第4部材に係合する。
【0009】
この構成によれば、第1部材と第2部材とによって屈曲可能な第1屈曲部材が構成される。第3部材と第4部材とによって屈曲可能な第2屈曲部材が構成される。そして、第1係合部材および第2係合部材によって、第1屈曲部材と第2屈曲部材とが連結される。これによって、第1結合部~第4結合部のたがいの距離を円滑に調整できるとともに、連結機構の強度を向上できる。
【0010】
第4観点の連結具は、第3観点の連結具において、前記第1結合部、前記第2結合部、前記第3結合部および前記第4結合部は、前記第1係合部材および前記第2係合部材の可動領域を含む面に対する垂直な方向において、前記第1係合部材および前記第2係合部材に対してずれた位置に配置される。
【0011】
第1部材および第3部材に対する第1係合部材の係合位置に応じて、第1部材において第1結合部と反対側の内端部および第3部材において第3結合部と反対側の内端部が移動する。同様に、第2部材および第4部材に対する第2係合部材の係合位置に応じて、第2部材において第2結合部と反対側の内端部および第4部材において第4結合部と反対側の内端部が移動する。そして、第1結合部、第2結合部、第3結合部および第4結合部が、第1係合部材および第2係合部材の可動領域を含む面に対して垂直な方向で同じ位置にある場合、第1部材~第4部材の内端部が、第1吊りボルトと第2吊りボルトとに干渉する虞がある。この点、上記構成によれば、第1結合部、第2結合部、第3結合部および第4結合部は、第1係合部材および第2係合部材の可動領域を含む面に対して垂直な方向にずれた位置に配置される。このため、第1部材~第4部材の内端部が第1吊りボルトと第2吊りボルトに干渉し難くできる。
【0012】
第5観点の連結具は、第2観点の連結具において、前記連結機構は、第3係合部材と、第4係合部材と、をさらに、備え、前記第1部材は、前記第3部材と回転可能に連結し、前記第2部材は、前記第4部材と回転可能に連結し、前記第3係合部材は、前記第1部材および前記第2部材に摺動可能に、前記第1部材と前記第2部材との交差部に配置され、かつ、前記第1部材および前記第2部材に係合し、前記第4係合部材は、前記第3部材および前記第4部材に摺動可能に、前記第3部材と前記第4部材との交差部に配置され、かつ、前記第3部材および前記第4部材に係合する。
【0013】
この構成によれば、第1部材と第3部材とによって屈曲可能な第3屈曲部材が構成される。第2部材と第4部材とによって屈曲可能な第4屈曲部材が構成される。そして、第3係合部材および第4係合部材によって、第3屈曲部材と第4屈曲部材とが連結される。これによって、第1結合部~第4結合部のたがいの距離を円滑に調整できるとともに、連結機構の強度を向上できる。
【0014】
第6観点の連結具は、第2観点の連結具において、前記連結機構は、第5係合部材、をさらに、備え、前記第1部材は、前記第1部材の長手方向に沿って前記第4部材に摺動可能に連結し、前記第2部材は、前記第2部材の長手方向に沿って前記第3部材に摺動可能に連結し、前記第5係合部材は、前記第1部材および前記第4部材のいずれか一方または両方と、前記第2部材および前記第3部材のいずれか一方または両方とに摺動可能であり、前記第1部材と前記第4部材とによって構成される第1伸縮部材と、前記第2部材と前記第3部材とによって構成される第2伸縮部材との交差部に配置され、かつ、前記第1伸縮部材および前記第2伸縮部材に係合する。
【0015】
この構成によれば、第1部材と第4部材とによって伸縮可能な第1伸縮部材が構成される。第2部材と第3部材とによって伸縮可能な第2伸縮部材が構成される。そして、第5係合部材によって、第1伸縮部材と第2伸縮部材とが連結される。これによって、第1結合部~第4結合部のたがいの距離を円滑に調整できるとともに、連結機構の強度を向上できる。
【0016】
第7観点の連結具は、第1~第6観点のいずれか1つの連結具において、前記第1吊りボルトおよび前記第2吊りボルトそれぞれは、吊りボルトを含み、前記第1結合部、前記第2結合部、前記第3結合部および前記第4結合部それぞれは、前記吊りボルトを挟持する挟持部を含む。この構成によれば、結合部を簡潔な構造にすることができる。
【0017】
第8観点の連結具は、第7観点の連結具において、前記挟持部は、前記第1部材~前記第4部材のうちの前記挟持部が設けられている部材における外端部と、前記外端部に取り付けられて前記吊りボルトを挟持する挟持片と、前記挟持片を前記外端部に締結する締結ボルトと、を備える。
【0018】
この構成によれば、挟持部を簡潔な構造にすることができる。
【0019】
第9観点の連結具は、第7観点の連結具において、前記挟持部は、さらに、前記挟持片を前記外端部に付勢する付勢部材を備える。この構成によれば、挟持部によって、第1結合部~第4結合部それぞれを吊りボルトに簡単に仮結合できる。第1結合部~第4結合部それぞれを吊りボルトに仮結合することによって、連結具を2個の吊りボルトに仮固定できる。このため、連結具の取り付け時において連結具を手で保持し続ける労力を軽減できる。
【0020】
第10観点の連結具は、第7または第8観点の連結具において、前記挟持片は、前記第1部材~前記第4部材のうちの前記挟持部が設けられている部材における前記外端部に回転可能に取り付けられる。この構成によれば、第1結合部~第4結合部それぞれを吊りボルトに仮結合した状態で、吊りボルトに対して連結具を移動したり、連結具を展開したりすることができる。このため、連結具を吊りボルトに取り付ける作業において、その作業効率を向上できる。
【0021】
第11観点の連結具は、第7~第10観点のいずれか1つの連結具において、前記第1部材~前記第4部材それぞれの前記挟持部の前記締結ボルトまたは前記締結ボルトに係合するナットが、前記連結具に対して同じ面から締め付け可能であるように、前記締結ボルトまたは前記ナットの回転止め構造を備える。この構成によれば、連結具を吊りボルトに取り付けるとき、作業者は、連結具に対して同じ面から、第1部材~第4部材それぞれの締結ボルトまたはナットを締めることができる。このため、連結具を吊りボルトに取り付ける作業において、その作業効率を向上できる。
【0022】
第12観点の連結具は、第7~第11観点のいずれか1つの連結具において、前記第1部材~前記第4部材それぞれの前記挟持部の前記締結ボルト、ナット、および、係合部材それぞれが、前記連結具に対して同じ面から締め付け可能であるように、前記締結ボルトまたは前記ナットの回転止め構造および前記係合部材の回転止め構造を備え、前記係合部材は、前記第1部材、前記第2部材、前記第3部材、および前記第4部材の群から選択される2つを互いに係合させる部材である。
【0023】
この構成によれば、連結具を吊りボルトに取り付けるとき、作業者は、連結具に対して同じ面から、第1部材~第4部材それぞれの締結ボルトまたはナット、および、係合部材を締めることができる。このため、連結具を吊りボルトに取り付ける作業において、その作業効率を向上できる。
【0024】
第13観点の吊り下げ構造体は、物を吊り下げる吊り下げ構造体であって、天井スラブから吊り下げられる前記第1吊りボルトと、前記天井スラブから吊り下げられる前記第2吊りボルトと、第1~第12観点のいずれか1つに記載の連結具と、を備える。この構成によれば、吊り下げ構造体は連結具を備える。連結具は、第1結合部~第4結合部の位置関係を変更できる。このため、吊り下げ構造体を設置するときの作業効率を向上できる。
【0025】
第14観点の吊り下げ構造体は、物を吊り下げる吊り下げ構造体であって、天井スラブから吊り下げられる前記第1吊りボルトと、前記天井スラブから吊り下げられる前記第2吊りボルトと、第1~第12観点のいずれか1つに記載の複数の連結具と、を備え、前記複数の連結具のそれぞれは、前記第1吊りボルトおよび前記第2吊りボルトを連結し、前記複数の連結具のうちの1つは、他の前記連結具よりも上に配置され、前記複数の連結具のうちで他の前記連結具よりも上に配置される連結具において、第2部材は、前記他の連結具の第1部材に交差し、第4部材は、前記他の連結具の第3部材に交差する。この構成によれば、複数の連結具のうちの1つは、他の連結具に重なるため、吊り下げ構造体の強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態の吊り下げ構造体の斜視図である。
【
図2】
図1に示される吊り下げ構造体について、伸展された状態の吊り下げ構造体の斜視図である。
【
図3】2つの吊りボルトに連結する連結具の正面図である。
【
図7】
図6に示される第1部材の外端部を他の方向からみた斜視図である。
【
図9】
図8に示される第1部材の内端部を他の方向からみた斜視図である。
【
図10】連結具について、第1態様の結合部の斜視図である。
【
図11】
図10に示される第1態様の結合部について、他の方向からみた斜視図である。
【
図12】連結具について、第2態様の結合部の斜視図である。
【
図13】
図12に示される第2態様の結合部について、他の方向からみた斜視図である。
【
図14】
図3に示される連結具の中央部の斜視図である。
【
図15】
図14に示される連結具の中央部を他の方向からみた斜視図である。
【
図16】第2実施形態の吊り下げ構造体の一部分の斜視図である。
【
図17】第3実施形態の吊り下げ構造体であって、吊り下げ構造体の正面図である。
【
図18】
図17に示される吊り下げ構造体について、伸展された状態の吊り下げ構造体の正面図である。
【
図19】第4実施形態の吊り下げ構造体の斜視図である。
【
図20】第4実施形態の吊り下げ構造体について、
図19に示される状態から縮小された状態の吊り下げ構造体の斜視図である。
【
図21】第5実施形態について、吊り下げ距離が大きい場合の、吊り下げ構造体の斜視図である。
【
図22】第5実施形態について、吊り下げ距離が小さい場合の、吊り下げ構造体の斜視図である。
【
図23】第5実施形態について、
図22に示される吊り下げ構造体の一部の拡大図である。
【
図24】第5実施形態について、第1部材における第1結合部の斜視図である。
【
図25】第5実施形態について、2つの吊りボルトに連結する連結具の側面図である。
【
図26】第5実施形態について、2つの吊りボルトに連結する連結具の平面図である。
【
図27】連結具の変形例について、連結具の第1部材の端面図である。
【
図29】
図28に示される連結具によって補強された天井吊下構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
図1~
図15を参照して、吊り下げ構造体1および連結具10について説明する。
図1には、4つの連結具10が仮固定された吊り下げ構造体1が示されている。
図2には、4つの連結具10が固定された吊り下げ構造体1が示されている。
【0028】
[吊り下げ構造体]
図1および
図2に示されるように、吊り下げ構造体1は、物を吊り下げる。物は、吊り下げ構造体1の下に接続される。本実施形態では、物は、室内機2である。室内機2の吹出口は、室内の天井9の開口から露出する。物の例として、天井埋込型の室内機2、空気清浄機、ダクト、および、チャンバーが挙げられる。
【0029】
吊り下げ構造体1は、天井スラブから吊り下げられる第1吊りボルト5と、天井スラブから吊り下げられる第2吊りボルト6と、連結具10と、を備える。吊り下げ構造体1は、さらに、第3吊りボルト7、および、第4吊りボルト8を備えてもよい。第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8それぞれは、吊りボルト3を含む。第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8それぞれは、吊りボルト3と、吊りボルト3以外の部品とを備えてもよい。吊りボルト3以外の部品として、吊りボルト3をカバーする筒状の化粧カバーが挙げられる。
【0030】
本実施形態では、吊り下げ構造体1は、室内機2を吊り下げる。吊り下げ構造体1は、第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8を備える。第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8は、室内機2の4つの隅部それぞれに結合される。
【0031】
図2に示されるように、吊り下げ構造体1は、4つの連結具10を備える。4つの連結具10のうちの1つ目の連結具10は、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6とを連結する。4つの連結具10のうちの2つ目の連結具10は、第2吊りボルト6と第3吊りボルト7とを連結する。4つの連結具10のうちの3つ目の連結具10は、第3吊りボルト7と第4吊りボルト8とを連結する。4つの連結具10のうちの4つ目の連結具10は、第4吊りボルト8と第1吊りボルト5とを連結する。4つの連結具10は、同じ構造を有する。
【0032】
[連結具]
図3および
図4を参照して、連結具10を説明する。
図3は、正面からみた連結具10が示される。
図4は、上からみた連結具10が示される。ここでは、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6とを連結する連結具10について説明する。連結具10において、内側または内方は、連結具10の中心寄りの部分を示す。連結具10において、外側または外方は、第1吊りボルト5寄りまたは第2吊りボルト6寄りの部分を示す。連結具10の第1部材11~第4部材14において、内端部16は、外端部17と反対側の端部を示す。連結具10の第1部材11~第4部材14において、外端部17は、第1吊りボルト5寄りまたは第2吊りボルト6寄り部分を示す。
【0033】
連結具10は、連結機構20を備える。連結機構20は、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6とを連結する。連結機構20は、第1結合部21と、第2結合部22と、第3結合部23と、第4結合部24とを備える。第1結合部21は、第1吊りボルト5に結合する。第2結合部22は、第1吊りボルト5に結合し、かつ、第1吊りボルト5において第1結合部21よりも下の位置で結合する。第3結合部23は、第2吊りボルト6に結合する。第4結合部24は、第2吊りボルト6に結合し、かつ、第2吊りボルト6において第3結合部23よりも下の位置で結合する。
【0034】
連結機構20は、第1結合部21と第2結合部22との間の距離が拡縮可能であり、かつ、第3結合部23と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように構成される(以下、第1構造)。または、連結機構20は、第1結合部21と第3結合部23との間の距離が拡縮可能であり、かつ、第2結合部22と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように、構成される(以下、第2構造)。連結機構20は、第1構造を備え、かつ、第2構造を備えてもよい。本実施形態では、連結機構20は、第1構造を備え、かつ、第2構造を備える。
【0035】
連結機構20は、第1結合部21を有する第1部材11と、第2結合部22を有する第2部材12と、第3結合部23を有する第3部材13と、第4結合部24を有する第4部材14と、を有する。
【0036】
第1部材11~第4部材14のそれぞれの部材は、第1部材11~第4部材14のうちで当該部材以外の他の2つの部材と連結する。第1部材11は、第2部材12に連結するとともに、第1係合部材41を介して第3部材13に連結する。第2部材12は、第1部材11に連結するとともに、第2係合部材42を介して第4部材14に連結する。第3部材13は、第4部材14に連結するとともに、第1係合部材41を介して第1部材11に連結する。第4部材14は、第3部材13に連結するとともに、第2係合部材42を介して第2部材12に連結する。
【0037】
[第1部材および第2部材]
第1部材11および第2部材12について説明する。
第1部材11の外端部17には、第1結合部21が設けられる。第2部材12の外端部17には、第2結合部22が設けられる。第1部材11は、第2部材12と回転可能に連結する。具体的には、第1部材11の内端部16は、第2部材12の内端部16に回転可能に結合する。第1部材11と第2部材12とは第1屈曲部材25を構成する。
【0038】
第1屈曲部材25は、第1部材11と第2部材12との連結部で屈曲する。第1屈曲部材25が屈伸することによって、第1結合部21と第2結合部22との間の距離が増減する。
【0039】
第1屈曲部材25において、第1部材11の内端部16と第2部材12の内端部16とは、ボルト(以下、中間締結ボルト28)によって回転可能かつ締結可能に構成されてもよい。中間締結ボルト28が締められることによって、第1部材11に対して所定の角度で第2部材12が固定される。中間締結ボルト28が緩められることによって、第1部材11に対して第2部材12が回転可能になる。
【0040】
[第3部材および第4部材]
第3部材13および第4部材14について説明する。
第3部材13の外端部17には、第3結合部23が設けられる。第4部材14の外端部17には、第4結合部24が設けられる。第3部材13は、第4部材14と回転可能に連結する。具体的には、第3部材13の内端部16は、第4部材14の内端部16に回転可能に結合する。第3部材13と第4部材14とは第2屈曲部材26を構成する。
【0041】
第2屈曲部材26は、第3部材13と第4部材14との連結部で屈曲する。第2屈曲部材26が屈伸することによって、第3結合部23と第4結合部24との間の距離が増減する。
【0042】
第2屈曲部材26において、第3部材13の内端部16と第4部材14の内端部16とは、中間締結ボルト28によって締結可能に構成されてもよい。中間締結ボルト28が締められることによって、第3部材13に対して所定の角度で第4部材14が固定される。中間締結ボルト28が緩められることによって、第3部材13に対して第4部材14が回転可能になる。
【0043】
[第1部材~第4部材の配置]
連結具10が第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に取り付けられた状態を、連結具取付状態という。
【0044】
連結具取付状態において、第1部材11の殆ど部分および第2部材12の殆どの部分は、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6との間に配置される。連結具取付状態において、第1部材11の殆ど部分は、第2部材12よりも上に位置する。
【0045】
第1部材11は、第1吊りボルト5から第2吊りボルト6に向かって下方に延び、かつ、第3部材13に交差するように、配置される。第2部材12は、第1吊りボルト5から第2吊りボルト6に向かって上方に延び、かつ、第4部材14に交差するように、配置される。
【0046】
連結具取付状態において、第3部材13の殆ど部分および第4部材14の殆どの部分は、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6との間に配置される。連結具取付状態において、第3部材13の殆ど部分は、第4部材14よりも上に位置する。
【0047】
第3部材13は、第2吊りボルト6から第1吊りボルト5に向かって下方に延び、かつ、第1部材11に交差するように、配置される。第4部材14は、第2吊りボルト6から第1吊りボルト5に向かって上方に延び、かつ、第2部材12に交差するように、配置される。
【0048】
[第1部材の構造]
図5~
図9を参照して、第1部材11の構造を説明する。第2部材12~第4部材14は、第1部材11と同じ構造を有する。第2部材12~第4部材14において、第1部材11と同じ構成要素には、第1部材11の構成要素と同じ名称および同じ符号が付される。
【0049】
図5に示されるように、第1部材11は長尺部材によって構成される。第1部材11は、長手方向に延びるベース部31と、ベース部31に直交する第1リブ32と、ベース部31に直交する第2リブ33とを有する。
【0050】
ベース部31は、第1面31Aと、第1面31Aと反対側の第2面31Bとを有する。連結具取付状態における連結具10の平面視において、第1面31Aは、吊りボルト3に向く。第1リブ32および第2リブ33は、ベース部31の第2面31Bから突出するように設けられる。
【0051】
第1部材11のベース部31には、第1孔34、第2孔35、長孔36、第1段差部37、および、第2段差部38が設けられる。
【0052】
図6および
図7に示されるように、第1孔34は、第1部材11の外端部17付近においてベース部31に設けられる。第1孔34は、締結ボルト53が挿通するように構成される。第1孔34の周囲には第1凸部39が設けられる。第1凸部39は、ベース部31の第2面31Bから突出するように構成される。第1凸部39は、締結ボルト53に係合するナット54または付勢部材52に係合するように構成される。
【0053】
第1段差部37は、第1部材11においてベース部31に設けられる。第1段差部37は、第1部材11の長手方向に延びる。第1段差部37は、ベース部31の第1面31Aから突出するように構成される。第1段差部37は、第1孔34と第2孔35との間に設けられ、かつ、第2孔35寄りに設けられる。長孔36は、第1段差部37に設けられる。長孔36は、第1部材11の長手方向に延びる。長孔36は、係合用締結ボルト43が挿通するように構成される。
【0054】
第1段差部37は、第1部材11と第3部材13とが互いに交差する部分に対応するように構成される。連結具10において、第1部材11および第3部材13それぞれの第1段差部37は互いに接触する。第1部材11は、第3部材13に交差する。そして、第1部材11および第3部材13それぞれの長孔36は互いに交差する。第1部材11および第3部材13それぞれの長孔36の交差によって連通孔が構成される。第1部材11および第3部材13の交差による連通孔には、係合用締結ボルト43が挿通する。係合用締結ボルト43と係合用ナット44とによって、第1部材11と第3部材13とが互いに結合される(
図14参照)。
【0055】
図8に示されるように、第2段差部38は、第1部材11において内端部16に設けられる。第2段差部38は、第1部材11においてベース部31に設けられる。第2段差部38は、ベース部31の第1面31Aから突出するように構成される。第2段差部38には、第2孔35が設けられる。第2孔35は、中間締結ボルト28が挿通するように構成される。
【0056】
図9に示されるように、第1部材11において、第2段差部38の反対側には凹部38Aが設けられる。凹部38Aには、中間締結ボルト28と係合する中間ナット29が配置されてもよい。
【0057】
第2段差部38は、第1部材11と第2部材12とが互いに重なる部分に対応するように構成される。第1屈曲部材25において、第1部材11および第2部材12それぞれの第2段差部38は互いに接触する。第1部材11および第2部材12それぞれの第2段差部38の第2孔35によって構成される連通孔には、中間締結ボルト28が挿通する。中間締結ボルト28と中間ナット29とによって、第1部材11と第2部材12とは互いに回転可能に連結される。
【0058】
[第1係合部材および第2係合部材]
図14および
図15を参照して、第1係合部材41および第2係合部材42を説明する。第1係合部材41は、互いに第1部材11と第3部材13とを係合させる部材である。第2係合部材42は、互いに第2部材12と第4部材14とを係合させる部材である。
【0059】
連結機構20は、第1係合部材41と、第2係合部材42と、を備える。第1係合部材41は、第1部材11および第3部材13に摺動可能に、第1部材11と第3部材13との交差部40Aに配置され、かつ、第1部材11および第3部材13に係合する。
【0060】
具体的には、第1係合部材41は、係合用締結ボルト43と、係合用ナット44とを含む。上述のように、係合用締結ボルト43は、第1部材11および第3部材13の交差による連通孔に挿通する。係合用ナット44は、係合用締結ボルト43に係合する。係合用ナット44は、フランジ44Aを有する(
図15参照)。フランジ44Aは第1リブ32および第2リブ33に接触するように構成される。
【0061】
第1部材11または第3部材13の一方の第2面31Bには、係合用締結ボルト43のボルトヘッド43Aが配置される。第1部材11または第3部材13の他方の第2面31Bには、係合用ナット44が配置される。
【0062】
本実施形態では、ボルトヘッド43Aは、第1部材11の第2面31Bに設けられる第1凹部37Aに配置される。ボルトヘッド43Aは、第1凹部37Aに沿って摺動する。第1凹部37Aは、第1段差部37の反対側の部分である。係合用ナット44は、第3部材13の第2面31Bに設けられる。係合用ナット44は、係合用ナット44の一部が第3部材13の第2面31Bに設けられる第1凹部37Aに収容するように配置される。係合用ナット44は、第1リブ32および第2リブ33にガイドされるようにして移動する。
【0063】
第2係合部材42は、第2部材12および第4部材14に摺動可能に、第2部材12と第4部材14との交差部40Bに配置され、かつ、第2部材12および第4部材14に係合する。第2係合部材42は、第1係合部材41と同じ構成を有する。
【0064】
[挟持部]
第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24それぞれは、吊りボルト3を挟持する挟持部50を含む。
【0065】
図10~
図13を参照して、挟持部50を説明する。
図10は、所定方向から見た第3結合部23の挟持部50を示す。
図11は、他の方向から見た第3結合部23の挟持部50を示す。
図12は、所定方向から見た第1結合部21の挟持部50を示す。
図13は、他の方向から見た第1結合部21の挟持部50を示す。
【0066】
挟持部50は、第1部材11~第4部材14のうちの挟持部50が設けられている部材における外端部17と、挟持片51と、挟持片51を外端部17に付勢する付勢部材52と、挟持片51を外端部17に締結する締結ボルト53と、を備える。
【0067】
挟持片51は、外端部17に取り付けられる。挟持片51は、吊りボルト3を挟持する。挟持片51は、第1部材11~第4部材14のうちの挟持部50が設けられている部材における外端部17において、当該部材の第1面31Aに配置される。上述のように、第1面31Aは、吊りボルト3に向く面である。第1面31Aは、吊りボルト3に接触する。
【0068】
挟持片51は、第1部材11~第4部材14のうちの挟持部50が設けられている部材における外端部17に回転可能に取り付けられる。
【0069】
図10を参照して、第3部材13に設けられる挟持部50について説明する。
挟持片51は、取付部55と、取付部55から延びるアーム部56と、アーム部56の先端に設けられる接触部57とを有する。
【0070】
取付部55は、締結ボルト53によって第3部材13の外端部17に取り付けられる。取付部55には、取付孔55Aが設けられる。取付孔55Aの周囲には第2凸部58が設けられる。第2凸部58は、取付部55から突出するように構成される。第2凸部58は、ナット54または付勢部材52に係合するように構成される。
【0071】
締結ボルト53は、第3部材13の第1孔34と取付孔55Aとに挿通する。取付部55は、吊りボルト3に対して第3部材13の第3結合部23の位置が定められたとき、締結ボルト53によって締め付けられる。
【0072】
接触部57は、吊りボルト3が入る溝部57Aを有する。溝部57Aは、吊りボルト3が入るように曲面に構成される。接触部57において溝部57Aの反対側の面には、突起59が設けられる。突起59は、接触部57において上側部分と下側部分とに設けられる。突起59は、吊りボルト3に対して第3部材13の第3結合部23を移動させるとき、把手として使われる。
【0073】
付勢部材52は、締結ボルト53のボルトヘッド53Aと挟持片51の取付部55との間に配置される。本実施形態のように、締結ボルト53の軸部にワッシャ53Bが配置されてもよい。この場合、付勢部材52は、ワッシャ53Bと挟持片51の取付部55との間に配置される。
【0074】
付勢部材52は、コイルばねによって構成される。好ましくは、付勢部材52は、円錐形のコイルばねによって構成される。円錐形のコイルばねによれば、締結ボルト53によってコイルばねが圧縮されたときに、コイルばねを薄くできる。付勢部材52は、V字形状の板バネでもよい。
【0075】
付勢部材52は、締結ボルト53が緩められた状態において、挟持片51を第3部材13の外端部17に押し付ける。これによって、挟持片51は、第3部材13の外端部17に対して回転可能な状態で、かつ、第3部材13に対して任意の角度で保持される。このため、締結ボルト53が緩められた状態で、かつ、接触部57の溝部57Aが吊りボルト3に接触した状態で、吊りボルト3に対して第3部材13の第3結合部23を円滑に移動させることができる。
【0076】
[挟持部の態様]
挟持部50は、締結ボルト53の向きによって異なる2つの態様を有する。
図10および
図11に示されるように、第1態様の挟持部50では、締結ボルト53は、第1孔34に対して第1面31Aから挿入される。締結ボルト53のボルトヘッド53Aおよび付勢部材52は、第1面31Aに配置される。そして、締結ボルト53は、第2面31Bに設けられるナット54と係合する。ナット54は、第1凸部39によって回転が阻止される。このため、締結ボルト53とナット54とを簡単に締めることができる。第1態様の挟持部50は、第2部材12および第3部材13に設けられる。
【0077】
図12および
図13に示されるように、第2態様の挟持部50では、締結ボルト53は、第1孔34に対して第2面31Bから挿入される。締結ボルト53のボルトヘッド53Aおよび付勢部材52は、第2面31Bに配置される。そして、締結ボルト53は、挟持片51を介して第1面31Aに配置されるナット54と係合する。ナット54は、挟持片51に設けられる第2凸部58によって回転が阻止される。このため、締結ボルト53とナット54とを簡単に締めることができる。第2態様の挟持部50は、第1部材11および第4部材14に設けられる。
【0078】
図10~
図14に示されるように、締結ボルト53およびナット54の回転止め構造48の配置について説明する。連結具10が2つの吊りボルト3に連結したとき、連結具10は、2つの吊りボルト3の間に1つの面構造体を構成する。連結具10が構成する面構造体において、平面視で、一方の面を第1面10Aといい、第1面10Aと反対側の面を第2面10Bという(
図4参照)。本実施形態では、ナット54の回転止め構造48は、第1面10Aおよび第2面10Bのうちの一方の面に設けられる。本実施形態では、ナット54の回転止め構造48は、第1凸部39、および、第2凸部58を含む。これによって、連結具10の4つの締結ボルト53の全てを同じ面から挿入できる。これによって、4つの締結ボルト53の全てを同じ面から締め付け可能である。このため、連結具10の取り付け作業の効率が向上する。
【0079】
本実施形態では、第1凸部39および第2凸部58は、ともに、ボルトヘッド53Aおよびナット54の両方の回転を止めることができるように構成される。これによって、連結具10の第1面10Aにナット54を配置する場合、または、連結具10の第2面10Bにナット54を配置する場合のいずれの場合においても、連結具10において同じ面から、締結ボルト53またはナット54の締め付けを行うことが出来る。以下、連結具10において同じ面から締結ボルト53またはナット54の締め付けを行うことが出来る構造を、同面締付構造という。同面締付構造は、連結具10の同じ面において、ボルトヘッド53Aおよびナット54の両方の回転を止めることができる回転止め構造である。
【0080】
同面締付構造は、第1係合部材41および第2係合部材42における回転止め構造49にも適用されてもよい。第1係合部材41および第2係合部材42における回転止め構造49は、係合用ナット44によって構成される。係合用ナット44は、係合用ナット44の外形が矩形構造をとることによって、第1リブ32および第2リブ33によって回転止めされる。連結具10の平面視において、第1係合部材41および第2係合部材42の回転止め構造49は、ボルトヘッド53Aまたはナット54の回転止め構造48と同じ面に設けられてもよい。これによって、連結具10において同じ面から、締結ボルト53またはナット54の締め付けを行うことが出来るとともに、第1係合部材41および第2係合部材42の締め付けを行うことが出来る。
【0081】
さらに、同面締付構造は、中間ナット29における回転止め構造47にも適用されてもよい。中間ナット29における回転止め構造47は、凹部38Aの構造である。凹部38Aは、中間締結ボルト28のボルトヘッドと、中間ナット29とがともに係合できる構造に構成されてもよい。連結具10の平面視において、中間ナット29における回転止め構造47は、ボルトヘッド53Aまたはナット54の回転止め構造48と同じ面に設けられてもよい。これによって、連結具10において同じ面から、締結ボルト53またはナット54の締め付けを行うことが出来るとともに、中間ナット29の締め付けを行うことが出来る。
【0082】
[連結具における締結ボルトの向き]
図3に示されるように、第1部材11~第4部材14それぞれの挟持部50の締結ボルト53は、同じ向きに配置される。以下、この点について具体的に説明する。
第1屈曲部材25において、第1部材11の第1面31Aの向きは、第2部材12の第1面31Aの向きと逆向きである。第1部材11の第1面31Aの向きは、第4部材14の第1面31Aの向きと同じ向きである。そして、第1部材11と第4部材14には、第2態様の挟持部50が設けられる。第1部材11と第4部材14において、締結ボルト53は、第2面31Bから挿通される。
【0083】
第2屈曲部材26において、第3部材13の第1面31Aの向きは、第4部材14の第1面31Aの向きと逆向きである。第2部材12の第1面31Aの向きは、第3部材13の第1面31Aの向きと同じ向きである。そして、第2部材12と第3部材13には、第1態様の挟持部50が設けられる。第2部材12と第3部材13において、締結ボルト53は、第1面31Aから挿通される。
【0084】
すなわち、第1部材11~第4部材14それぞれの第1面31Aの向きに応じて、締結ボルト53の挿通の向きが異なる。これによって、締結ボルト53が同じ向きに配置される。締結ボルト53が同じ向きに配置されることによって、2つの吊りボルト3に対して連結具10を固定するときに、作業者は、同じ方向から4つの締結ボルト53を締めることができるため、作業効率が向上する。
【0085】
第1部材11~第4部材14それぞれの挟持部50の締結ボルト53、および、係合部材それぞれは、同じ向きに配置されてもよい。この点について具体的に説明する。
第1部材11と第4部材14において、締結ボルト53は、第2面31Bから挿通される。第2部材12と第3部材13において、締結ボルト53は、第1面31Aから挿通される。第1部材11と第3部材13との交差部40Aでは、係合用ボルトが第1部材11の第2面31Bから挿通される。第2部材12と第4部材14との交差部40Bでは、係合用ボルトが第4部材14の第2面31Bから挿通される。これによって、4つの締結ボルト53および2つの係合用ボルトは、同じ向きに配置される。
【0086】
第1部材11~第4部材14それぞれの挟持部50の締結ボルト53、第1係合部材41、第2係合部材42、および、中間締結ボルト28は、同じ向きに配置されてもよい。この点について具体的に説明する。
第1部材11と第4部材14において、締結ボルト53は、第2面31Bから挿通される。第2部材12と第3部材13において、締結ボルト53は、第1面31Aから挿通される。第1部材11と第3部材13との交差部40Aでは、係合用ボルトが第1部材11の第2面31Bから挿通される。第2部材12と第4部材14との交差部40Bでは、係合用ボルトが第4部材14の第2面31Bから挿通される(
図14参照)。
【0087】
第1部材11と第2部材12との連結部では、中間締結ボルト28が第1部材11の第2面31Bから挿通される。第3部材13と第4部材14との連結部では、中間締結ボルト28が第4部材14の第2面31Bから挿通される。これによって、4つの締結ボルト53、2つの係合用ボルト、および、2つの中間締結ボルト28は、同じ向きに配置される(
図14参照)。
【0088】
<動作>
連結具10の取り付け作業前、締結ボルト53、第1係合部材41、第2係合部材42、および中間締結ボルト28は緩められている。このため、第1結合部21~第4結合部24それぞれの相対位置を自由に設定できる。
【0089】
図1には、第1吊りボルト5~第4吊りボルト8に4つの連結具10が仮固定された状態が示されている。第1吊りボルト5と第2吊りボルト6との間の連結具10では、第1結合部21および第2結合部22が第1吊りボルト5に仮結合され、かつ、第3結合部23および第4結合部24が第2吊りボルト6に仮結合される。このとき、第1部材11~第4部材14それぞれの挟持部50は回転可能である。また、締結ボルト53、第1係合部材41、第2係合部材42、および中間締結ボルト28は緩められた状態で保持されている。このため、連結具10を簡単に伸ばすことができる。第1結合部21~第4結合部24が所定位置に配置されると(
図2参照)、締結ボルト53、第1係合部材41、第2係合部材42、および中間締結ボルト28が締められる。これによって、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6とが強固に連結される。
【0090】
<実施形態の作用>
吊り下げ構造体1は、吊り下げ構造体1によって吊り下げられる物の大きさ、および、天井スラブからの物の位置によって、様々な態様を取り得る。具体的には、吊り下げ構造体1が4つの吊りボルト3を備える場合、4つの吊りボルト3それぞれの長さ、および、4つの吊りボルト3の間の距離は様々に設定される。物の揺れの防止のため、4つの吊りボルト3において、2個1組の吊りボルト3それぞれにブレースが取り付けられる。上述のように、4つの吊りボルト3それぞれの長さ、および、4つの吊りボルト3の間の距離は様々に設定されるため、これらの設定の長さまたは距離に応じて、ブレースの長さが定められる。ブレースの長さの調整は手間を要するため、物の吊り下げ作業の効率化の妨げになる。吊り下げ構造による物の設置の作業効率化の妨げになる。
【0091】
本実施形態の連結具10は、連結機構20を備える。連結機構20は、第1結合部21~第4結合部24を有する。連結機構20は、第1結合部21と第2結合部22との間の距離が拡縮可能に構成される。連結機構20は、第3結合部23と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように構成される。これによって、第1結合部21~第4結合部24の位置関係を変更できる。具体的には、4つの吊りボルト3それぞれの長さ、および、4つの吊りボルト3の間の距離に応じて第1結合部21~第4結合部24それぞれの相対位置を自由に設定できる。
【0092】
具体的には、第1部材11と第2部材12とは回転可能に連結されるため、第1結合部21と第2結合部22との間の距離は自由に設定できる。同様に、第3部材13と第4部材14とは回転可能に連結されるため、第3結合部23と第4結合部24との間の距離は自由に設定できる。第1部材11と第3結合部23とは、両部材に摺動する第1係合部材41によって係合されるため、第1結合部21と第3結合部23との間の距離は自由に設定できる。第2部材12と第4結合部24とは、両部材に摺動する第2係合部材42によって係合されるため、第2結合部22と第4結合部24との間の距離は自由に設定できる。
【0093】
このように、第1結合部21~第4結合部24の任意の2つの間の距離を変更できるため、長さ調整のための切断といった手間をかけずに、連結具10を様々な幅の吊り下げ構造体1に適用できる。また、連結具10を様々な上下方向長さの吊り下げ構造体1に適用できる。これによって、吊り下げ構造による物の設置の作業効率化を向上できる。
【0094】
<本実施形態の効果>
(1)連結具10は、連結機構20を備える。連結機構20は、第1結合部21~第4結合部24を有する。連結機構20は、第1結合部21と第2結合部22との間の距離が拡縮可能であり、かつ、第3結合部23と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように構成される。この構成によれば、連結具10は、第1結合部21~第4結合部24の位置関係を変更できるため、部材長さ調整のための切断といった手間をかけずに、連結具10を様々な幅の吊り下げ構造体1に適用できる。また、連結具10は、天井スラブまでの高さが様々な吊り下げ構造体1に適用できる。
【0095】
(2)連結機構20において、第1部材11~第4部材14のそれぞれの部材は、第1部材11~第4部材14のうちで当該部材以外の他の2つの部材と連結する。この構成によれば、第1部材11~第4部材14のそれぞれは、当該部材以外の他の2つの部材と連結するため、連結機構20の構造を強化できる。
【0096】
(3)連結機構20において、第1部材11は、第2部材12と回転可能に連結する。第3部材13は、第4部材14と回転可能に連結する。第1係合部材41は、第1部材11および第3部材13に摺動可能に、第1部材11と第3部材13との交差部40Aに配置され、かつ、第1部材11および第3部材13に係合する。第2係合部材42は、第2部材12および第4部材14に摺動可能に、第2部材12と第4部材14との交差部40Bに配置され、かつ、第2部材12および第4部材14に係合する。
【0097】
この構成によれば、第1部材11と第2部材12とによって屈曲可能な第1屈曲部材25が構成される。第3部材13と第4部材14とによって屈曲可能な第2屈曲部材26が構成される。そして、第1係合部材41および第2係合部材42によって、第1屈曲部材25と第2屈曲部材26とが連結される。これによって、第1結合部21~第4結合部24のたがいの距離を円滑に調整できるとともに、連結機構20の強度を向上できる。
【0098】
(4)連結機構20において、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24それぞれは、吊りボルト3を挟持する挟持部50を含む。
【0099】
この構成によれば、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24それぞれを簡潔な構造にすることができる。
【0100】
(5)連結機構20において、挟持部50は、第1部材11~第4部材14のうちの挟持部50が設けられている部材における外端部17と、挟持片51と、締結ボルト53と、を備える。この構成によれば、挟持部50を簡潔な構造にすることができる。
【0101】
(6)連結機構20において、挟持部50は、挟持片51を外端部17に付勢する付勢部材52を備える。
【0102】
この構成によれば、挟持部50によって、第1結合部21~第4結合部24それぞれを吊りボルト3に簡単に仮結合できる。第1結合部21~第4結合部24それぞれを吊りボルト3に仮結合することによって、連結具10を2個の吊りボルト3に仮固定できる。このため、連結具10の取り付け時において連結具10を手で保持し続ける労力を軽減できる。
【0103】
(7)連結機構20において、挟持片51は、第1部材11~第4部材14のうちの挟持部50が設けられている部材における外端部17に回転可能に取り付けられる。この構成によれば、第1結合部21~第4結合部24それぞれを吊りボルト3に仮結合した状態で、吊りボルト3に対して連結具10を移動したり、連結具10を展開したりすることができる。このため、連結具10を吊りボルト3に取り付ける作業において、その作業効率を向上できる。
【0104】
(8)連結機構20において、第1部材11~第4部材14それぞれの挟持部50の締結ボルト53は、同じ向きに配置される。この構成によれば、連結具10を吊りボルト3に取り付けるとき、作業者は、連結具10に対して同じ向きから、第1部材11~第4部材14それぞれの締結ボルト53を締めることができる。このため、連結具10を吊りボルト3に取り付ける作業において、その作業効率を向上できる。
【0105】
(9)連結機構20において、第1部材11~第4部材14それぞれの挟持部50の締結ボルト53、第1係合部材41および第2係合部材42それぞれは、同じ向きに配置される。
【0106】
この構成によれば、連結具10を吊りボルト3に取り付けるとき、作業者は、連結具10に対して同じ向きから、第1部材11~第4部材14それぞれの締結ボルト53、および、第1係合部材41および第2係合部材42を締めることができる。このため、連結具10を吊りボルト3に取り付ける作業において、その作業効率を向上できる。
【0107】
(10)吊り下げ構造体1は、天井スラブから吊り下げられる第1吊りボルト5および第2吊りボルト6と、連結具10と、を備える。この構成によれば、吊り下げ構造体1は連結具10を備える。連結具10は、第1結合部21~第4結合部24の位置関係を変更できる。このため、吊り下げ構造体1を設置するときの作業効率を向上できる。
【0108】
<第2実施形態>
図16を参照して、第2実施形態に係る吊り下げ構造体1を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0109】
本実施形態では、上下方向に長い吊り下げ構造体1における補強構造を説明する。本実施形態では、2つの吊りボルト3に対して複数の連結具10は取り付けられる。以下、本実施形態の一例として、上下に2つの連結具10が設けられる吊り下げ構造体1を説明する。
【0110】
吊り下げ構造体1は、天井スラブから吊り下げられる第1吊りボルト5および第2吊りボルト6と、2つの連結具10と、を備える。
2つの連結具10のそれぞれは、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6を連結する。2つの連結具10のうちの1つは、他の連結具10よりも上に配置される。
【0111】
2つの連結具10のうちで他の連結具10よりも上に配置される連結具10において、第2部材12は、他の連結具10の第1部材11に交差する。第4部材14は、他の連結具10の第3部材13に交差する。このような構成によれば、2つの連結具10のうちの1つは、他の連結具10に重なるため、吊り下げ構造体1の強度を向上できる。
【0112】
本実施形態において、互いに交差する部材同士を金具で互いに結合してもよい。例えば、2つの連結具10のうちで一方の連結具10の第2部材12は、他の連結具10の第1部材11と交差する部分は、金具で固定される。2つの連結具10のうちで一方の連結具10の第4部材14は、他の連結具10の第3部材13と交差する部分は、金具で固定される。
【0113】
<第3実施形態>
図17および
図18を参照して、第3実施形態に係る連結具10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0114】
本実施形態では、連結機構20は、第1結合部21と第2結合部22との間の距離が拡縮可能であるように構成される。連結機構20は、第3結合部23と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように構成される。
【0115】
さらに、連結機構20は、第1結合部21と第3結合部23との間の距離が拡縮可能であるように、構成される。連結機構20は、第2結合部22と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように、構成される。
【0116】
本実施形態では、第1部材11と第3部材13とによって第3屈曲部材61が構成される。第2部材12と第4部材14とによって第4屈曲部材62が構成される。第3屈曲部材61は、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に結合する。第4屈曲部材62は、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に結合する。以下、具体的に説明する。
【0117】
連結機構20は、第1部材11~第4部材14を備える。
第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に対する第1部材11~第4部材14の配置は、第1実施形態と同じである。連結機構20は、さらに、第3係合部材65と、第4係合部材66とを備える。
【0118】
第1部材11は、第3部材13と回転可能に連結する。第2部材12は、第4部材14と回転可能に連結する。
【0119】
第3係合部材65は、第1部材11および第2部材12に摺動可能に、第1部材11と第2部材12との交差部40Cに配置され、かつ、第1部材11および第2部材12に係合する。
【0120】
第4係合部材66は、第3部材13および第4部材14に摺動可能に、第3部材13と第4部材14との交差部40Dに配置され、かつ、第3部材13および第4部材14に係合する。
【0121】
本実施形態の連結具10は、第1実施形態の連結具10を90度回転させることによって実現できる。この場合において、挟持部50は、吊りボルト3が入るように適宜、設計変更される。
【0122】
<本実施形態の効果>
(1)本実施形態において、連結具10は、第1結合部21~第4結合部24の位置関係を変更できるため、部材長さ調整のための切断といった手間をかけずに、連結具10を様々な幅の吊り下げ構造体1に適用できる。
【0123】
(2)本実施形態の連結具10によれば、第1部材11と第3部材13とによって屈曲可能な第3屈曲部材61が構成される。第2部材12と第4部材14とによって屈曲可能な第4屈曲部材62が構成される。そして、第3係合部材65および第4係合部材66によって、第3屈曲部材61と第4屈曲部材62とが連結される。これによって、第1結合部21~第4結合部24のたがいの距離を円滑に調整できるとともに、連結機構20の強度を向上できる。
【0124】
<第4実施形態>
図19および
図20を参照して、第4実施形態に係る連結具10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0125】
本実施形態では、連結機構20は、第1結合部21と第2結合部22との間の距離が拡縮可能であるように構成される。連結機構20は、第3結合部23と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように構成される。
【0126】
さらに、連結機構20は、第1結合部21と第3結合部23との間の距離が拡縮可能であるように、構成される。連結機構20は、第2結合部22と第4結合部24との間の距離が拡縮可能であるように、構成される。
【0127】
本実施形態では、第1部材11と第4部材14とによって第1伸縮部材71が構成される。第2部材12と第3部材13とによって第2伸縮部材72が構成される。第1伸縮部材71は、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に結合する。第2伸縮部材72は、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に結合する。以下、具体的に説明する。
【0128】
連結機構20は、第1部材11~第4部材14を備える。第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に対する第1部材11~第4部材14の配置は、第1実施形態と同じである。また、第1部材11は、第1実施形態と同様に第1結合部21を有する。第2部材12は、第1実施形態と同様に第2結合部22を有する。第3部材13は、第1実施形態と同様に第3結合部23を有する。第4部材14は、第1実施形態と同様に第4結合部24を有する。
【0129】
連結機構20は、さらに、第5係合部材73を備える。第5係合部材73の構造は、第1実施形態の第1係合部材41に準ずる。
【0130】
第1部材11は、第1部材11の長手方向に沿って第4部材14に摺動可能に連結する。第1部材11と第4部材14とによって第1伸縮部材71が構成される。
【0131】
第2部材12は、第2部材12の長手方向に沿って第3部材13に摺動可能に連結する。第2部材12と第3部材13とによって第2伸縮部材72が構成される。
【0132】
第1部材11において長孔36は、第4部材14において長孔36に重なるように構成される。第2部材12において長孔36は、第3部材13において長孔36に重なるように構成される。
【0133】
第1部材11は、第4部材14に収容されるように摺動する。具体的には、第1部材11の第1面31Aは、第4部材14の第1面31Aと同じ方向を向く。第1部材11の第1リブ32および第2リブ33は、第4部材14の第1リブ32と第2リブ33との間に配置される。
【0134】
第3部材13は、第2部材12に収容されるように摺動する。具体的には、第3部材13の第1面31Aは、第2部材12の第1面31Aと同じ方向を向く。第3部材13の第1リブ32および第2リブ33は、第2部材12の第1リブ32と第2リブ33との間に配置される。
【0135】
第1部材11の第1面31Aおよび第4部材14の第1面31Aは、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に向き、かつ、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に接触する。第2部材12の第1面31Aおよび第3部材13の第1面31Aは、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に向き、かつ、第1吊りボルト5および第2吊りボルト6に接触する。第2部材12の第1面31Aおよび第3部材13の第1面31Aは、第1部材11の第1面31Aおよび第4部材14の第1面31Aと反対方向に向く。
【0136】
第5係合部材73は、第1部材11および第4部材14のいずれか一方または両方と、第2部材12および第3部材13のいずれか一方または両方とに摺動可能である。
【0137】
第5係合部材73は、第1伸縮部材71と第2伸縮部材72との交差部40Eに配置される。第5係合部材73は、第1伸縮部材71および第2伸縮部材72に係合する。
【0138】
連結機構20は、さらに、第1固定締結ボルト75~第4固定締結ボルト78を備える。
【0139】
第1固定締結ボルト75は、第1部材11の内端部16に設けられる。第1固定締結ボルト75は、第1部材11の長孔36とは別の孔に挿通するとともに、第4部材14の長孔36に挿通する。第2固定締結ボルト76は、第2部材12の内端部16に設けられる。第2固定締結ボルト76は、第2部材12の長孔36とは別の孔に挿通するとともに、第3部材13の長孔36に挿通する。
【0140】
第3固定締結ボルト77は、第3部材13の内端部16に設けられる。第3固定締結ボルト77は、第3部材13の長孔36とは別の孔に挿通するとともに、第2部材12の長孔36に挿通する。第4固定締結ボルト78は、第4部材14の内端部16に設けられる。第4固定締結ボルト78は、第4部材14の長孔36とは別の孔に挿通するとともに、第1部材11の長孔36に挿通する。
【0141】
第1固定締結ボルト75および第4固定締結ボルト78の締め付けによって、第1伸縮部材71が補強される。第2固定締結ボルト76および第3固定締結ボルト77の締め付けによって、第2伸縮部材72が補強される。
【0142】
<本実施形態の効果>
連結機構20において、第5係合部材73によって、第1伸縮部材71と第2伸縮部材72とが連結される。これによって、第1結合部21~第4結合部24のたがいの距離を円滑に調整できるとともに、連結機構20の強度を向上できる。
【0143】
<第5実施形態>
図21~
図26を参照して、第5実施形態に係る連結具10を説明する。本実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。本実施形態では、第1実施形態の連結具10を「第1連結具10X」といい、第5実施形態の連結具10を「第2連結具10Y」という。
【0144】
第1実施形態の第1連結具10Xでは、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24は、第1係合部材41および第2係合部材42の可動領域SXを含む面Sに対する垂直な方向DAにおいて、第1係合部材41および第2係合部材42と同じ位置に配置されている。
【0145】
これに対して、本実施形態の第2連結具10Yでは、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24は、第1係合部材41および第2係合部材42の可動領域SXを含む面Sに対する垂直な方向DAにおいて、第1係合部材41および第2係合部材42に対してずれた位置に配置される。以下、この構造をシフト構造という。
【0146】
図21および
図22を参照して、本実施形態の吊り下げ構造体1について説明する。本実施形態の吊り下げ構造体1は、第1実施形態の第1連結具10Xと、第5実施形態の第2連結具10Yとを含む。吊り下げ構造体1は、2つの第1連結具10Xと、2つの第2連結具10Yとを備える。
【0147】
吊り下げ構造体1は、室内機2を吊り下げる。吊り下げ構造体1は、第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8を備える。第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8は、室内機2の4つの隅部それぞれに結合される。本実施形態では、室内機2が平面視で矩形または矩形に近い形状を有する。このため、第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8は、平面視で、矩形の頂点の位置に配置される。本実施形態では、第1吊りボルト5、第2吊りボルト6、第3吊りボルト7および第4吊りボルト8は、平面視で、左回りにこの順で室内機2の周りに配置される。平面視で、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6との間の距離と、第3吊りボルト7と第4吊りボルト8との間の距離とが等しい。平面視で、第2吊りボルト6と第3吊りボルト7との間の距離と、第4吊りボルト8と第1吊りボルト5との間の距離とが等しい。平面視で、第2吊りボルト6と第3吊りボルト7との間の距離は、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6との間の距離よりも短い。
【0148】
ところで、天井スラブに吊り下げられる室内機2について、上下方向における天井スラブと室内機2との間の距離(以下、吊り下げ距離)は、物件または各階で異なる。このため、連結具10は、吊り下げ距離に応じて折り畳まれる。具体的には、連結具10において、第1部材11と第2部材12との間の角度、および、第3部材13と第4部材14との間の角度が調整されることによって、第1結合部21と第2結合部22との間の距離および第3結合部23と第4結合部24との間の距離が調整される。しかし、吊り下げ距離が小さく、かつ、2つの吊りボルト3の間の間隔距離が小さい場合、連結具10の折り畳みによって、第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16が、2つの吊りボルト3の間の範囲から外に出る場合がある。このような場合、第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16が吊りボルト3に干渉するため、連結具10を適切に吊りボルト3に取り付けることが出来なくなる。
【0149】
以上のような事情を考慮し、本実施形態では、吊り下げ構造体1は、第1連結具10Xおよび第2連結具10Yを備える。第1連結具10Xは、間隔距離が大きい2つの吊りボルト3を連結する。第2連結具10Yは、間隔距離が小さい2つの吊りボルト3を連結する。
【0150】
吊り下げ構造体1において、2つの第1連結具10Xは、互いに向かい合うように配置される。一方の第1連結具10Xは、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6とを連結する。他方の第1連結具10Xは、第3吊りボルト7と第4吊りボルト8とを連結する。吊り下げ構造体1において、2つの第2連結具10Yは、互いに向かい合うように配置される。一方の第2連結具10Yは、第2吊りボルト6と第3吊りボルト7とを連結する。他方の第2連結具10Yは、第4吊りボルト8と第1吊りボルト5とを連結する。
【0151】
図21には、吊り下げ距離が大きい場合における、本実施形態の吊り下げ構造体1が示されている。
図22および
図23には、吊り下げ距離が小さい場合における、本実施形態の吊り下げ構造体1が示されている。
【0152】
図21では、第1連結具10Xおよび第2連結具10Yは、広げられた展開状態にある。第1連結具10Xにおける第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16は、2つの吊りボルト3の間の範囲内にある。また、第2連結具10Yにおける第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16は、2つの吊りボルト3の間の範囲内にある。
【0153】
図22では、第1連結具10Xおよび第2連結具10Yは、
図21に示される場合に比べて折り畳まれた折畳状態にある。第1連結具10Xにおいて、第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16は、2つの吊りボルト3の間の範囲内にある。一方、第2連結具10Yにおける第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16は、2つの吊りボルト3の間の範囲外にある(
図23参照)。第2連結具10Yはシフト構造を有するため、第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16は2つの吊りボルト3の間の範囲外にあっても、吊りボルト3に接触しない。
【0154】
図26に示されるように、第2連結具10Yは、シフト構造を有するため、第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16は、吊りボルト3と干渉していない。具体的には、第1部材11~第4部材14それぞれの内端部16は、平面視において、第2吊りボルト6と第3吊りボルト7とを含む第1面SAに垂直な方向DAにおいて、第1面SAの外側の領域Aに配置される。本実施形態において、「第1面SAの外側」は、第1面SAを境にして区分される2つの空間のうち、第1吊りボルト5~第4吊りボルト8によって囲まれるボルト領域を含まない空間を示す。
【0155】
図24~
図26を参照して、シフト構造の一例を説明する。
図24に示されるように、第1結合部21は、挟持部50を含む。挟持部50の挟持片51は、第1部材11の外端部17に設けられる。第1部材11は長尺部材によって構成される。第1部材11は、長手方向に延びるベース部31を有する。第1部材11の外端部17は、平面視で、第1部材11のベース部31の中間部に対して、可動領域SXを含む面Sに対する垂直な方向DAかつ外側にずれた位置に配置される。挟持部50の挟持片51は、このような外端部17に設けられる。
【0156】
外端部17は、ベース部31と別部材によって構成される。外端部17は、吊りボルト3に接触する接触部101と、接触部101とベース部31とを繋ぐ側部102とを備える。接触部101は、ベース部31と平行に構成される。接触部101は、可動領域SXを含む面Sに対する垂直な方向DAかつ外側にずれた位置に配置される。挟持片51は、接触部101に設けられる。挟持片51の構造は実質的に第1実施形態に示されるものと同じである。外端部17は、ベース部31に溶接によって固定されてもよい。外端部17は、締結部材によってベース部31に対して着脱可能に構成されてもよい。
【0157】
第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24は、第1結合部21と実質的に同じ構造を有する。そして、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24のそれぞれの外端部17の接触部101(後述参照)が同一平面に位置できるように、各結合部の外端部17が構成される。
【0158】
第2連結具10Yにおいて、第1係合部材41の位置は第1部材11および第1部材11に交差する第3部材13によって規定される。第2係合部材42の位置は第2部材12および第2部材12に交差する第4部材14によって規定される。このため、第1係合部材41および第2係合部材42の可動領域SXは、所定の広さを有する面として定義される。第1係合部材41および第2係合部材42は、可動領域SXを含む面Sに垂直な方向DAには移動できず、かつ、可動領域SX内で移動可能である。
【0159】
そして、上述のとおり、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24は、第1係合部材41および第2係合部材42の可動領域SXを含む面Sに対する垂直な方向DAにおいて、第1係合部材41および第2係合部材42に対してずれた位置に配置される。
【0160】
具体的には、
図25に示されるように、第2連結具10Yの側面視において、第1係合部材41および第2係合部材42は、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24それぞれの外端部17の接触部101よりも外側に配置される。
【0161】
また、
図26に示されるように、第2連結具10Yの平面視において、第1係合部材41および第2係合部材42は、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24それぞれの外端部17の接触部101よりも外側に配置される。
【0162】
<本実施形態の効果>
第2連結具10Yにおいて、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24は、第1係合部材41および第2係合部材42の可動領域SXを含む面Sに対する垂直な方向DAにおいて、第1係合部材41および第2係合部材42に対してずれた位置に配置される。
【0163】
この構成によれば、第1部材11および第3部材13に対する第1係合部材41の係合位置に応じて、第1部材11において第1結合部21と反対側の内端部16および第3部材13において第3結合部23と反対側の内端部16が移動する。同様に、第2部材12および第4部材14に対する第2係合部材42の係合位置に応じて、第2部材12において第2結合部22と反対側の内端部16および第4部材14において第4結合部24と反対側の内端部16が移動する。そして、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24が、第1係合部材41および第2係合部材42の可動領域SXを含む面Sに対して垂直な方向DAで同じ位置にある場合、第1部材11~第4部材14の内端部16が、第1吊りボルト5と第2吊りボルト6とに干渉する虞がある。この点、上記構成によれば、第1結合部21、第2結合部22、第3結合部23および第4結合部24は、第1係合部材41および第2係合部材42の可動領域SXを含む面Sに対して垂直な方向DAにずれた位置に配置される。このため、第1部材11~第4部材14の内端部16が第1吊りボルト5と第2吊りボルト6に干渉し難くできる。
【0164】
<変形例>
本開示の連結具10および吊り下げ構造体1は、上記実施形態以外に、例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0165】
・第1実施形態において、第1部材11と第2部材12とは、中間締結ボルト28によって回転可能にかつ締結可能に連結されている。これに対して、第1部材11と第2部材12とは、軸部材によって回転可能に連結されてもよい。同様に、第3部材13と第4部材14とは、軸部材によって回転可能に連結されてもよい。
【0166】
・第3実施形態において、第1部材11と第3部材13とは、軸部材によって回転可能に連結されてもよい。同様に、第2部材12と第4部材14とは、軸部材によって回転可能に連結されてもよい。
【0167】
・
図27は、長手方向に対して垂直に切った第1部材11の断面図である。
図27に示されるように、第1部材11において、第1リブ32および第2リブ33の先端が曲がっていてもよい。第2部材12~第4部材14は、同様に、第1リブ32および第2リブ33の先端が曲がっていてもよい。これによって、作業者が誤って第1リブ32および第2リブ33に指を擦ることによって生じる傷の発生頻度を軽減できる。
【0168】
・第1部材11~第4部材14において、第1リブ32および第2リブ33は省略されてもよい。第1部材11~第4部材14は、パイプ構造を含んでもよい。
【0169】
・挟持部50は、吊りボルト3を挟む2つの挟持片51を備えてもよい。2つの挟持片51は、第1部材11~第4部材14それぞれの外端部17に回転可能に取り付けられる。2つの挟持片51の一方は、他方に対して付勢される。
【0170】
<<その他の技術A>>
本明細書は、次の技術を開示する。
本技術は、吊りボルト3を補強する。本技術は、上記実施形態に記載された技術と、次の点で異なる。上記実施形態に記載された技術は、クロス構造を有するが、本技術では、クロス構造を有しない。以下、本技術について説明する。
【0171】
図28および
図29を参照して、本技術にかかる連結具80を説明する。本技術において、第1実施形態または第4実施形態と共通する構成については、第1実施形態または第4実施形態の構成と同一の符号を付し、重複する構成についてはその説明を省略する。
【0172】
連結具80は、連結機構80Xを備える。連結機構80Xは、2つの吊りボルト3を連結する。連結機構80Xは、2つの部材が摺動することによって伸縮する伸縮構造を有する。連結機構80Xは、実質的に、第4実施形態の第1伸縮部材71と同じ構造を有する。
【0173】
連結機構80Xは、第1部材81と第2部材82とを備える。第1部材81と第2部材82とによって伸縮部材83が構成される。伸縮部材83は、2つの吊りボルト3に結合する。
【0174】
第1部材81は、第4実施形態の第1部材11の構造に準ずる。第1部材81は、第1結合部81Aを有する。第1結合部81Aは、第4実施形態における第1部材11の第1結合部21と同じ構造を有する。第1部材81は、第4実施形態における第1固定締結ボルト75と同じ機能を有する第5固定締結ボルト85を有する。
【0175】
第2部材82は、第4実施形態の第4部材14の構造に準ずる。第2部材82は、第2結合部82Aを有する。第2結合部82Aは、第4実施形態における第4部材14の第4結合部24と同じ構造を有する。第2部材82は、第4実施形態における第4固定締結ボルト78と同じ機能を有する第6固定締結ボルト86を有する。
【0176】
このような連結具80によれば、所定間隔をあけて配置される2つの吊りボルト3を補強できる。
【0177】
図29に示されるように、連結具80は、天井スラブ90から吊り下げられて、天井材91を支持する2つの吊りボルト3を補強する。連結具80は、従来のブレースの代わりに使用できる。連結具80は伸縮できるため、長さの調整が簡易である。また、連結具80は、第1結合部81Aおよび第2結合部82Aを備える。このため、連結具80を吊りボルト3に取り付ける取付作業が簡単である。
【0178】
<付記1>
連結具(80)は、天井スラブから吊り下げられる2つの吊りボルト(3)を連結する。前記連結具(80)は、2つの前記吊りボルト(3)を連結する連結機構(80X)を備える。前記連結機構(80X)は、一方の前記吊りボルト(3)に結合する第1結合部(81A)と、他方の前記吊りボルト(3)において上下方向で前記第1結合部(81A)よりも下の位置で結合する第2結合部(82A)とを有する。前記連結機構(80X)は、前記第1結合部(81A)と前記第2結合部(82A)との間の距離が拡縮可能であるように構成される。
【0179】
<付記2>
付記1に記載の連結具において、前記連結機構(80X)は、前記第1結合部(81A)を有する第1部材(81)と、前記第2結合部(82A)を有する第2部材(82)と、を有し、前記第1部材(81)と前記第2部材(82)のそれぞれの部材は、互いに摺動可能に連結する。
【0180】
<<その他の技術B>>
本明細書は、次の技術を開示する。本技術にかかる結合部は、本実施形態に示される連結具10,80のみならず、ブレースにも適用可能である。結合部は、吊りボルト3を挟持する。本技術にかかる結合部の構造は、第1実施形態に開示されている第1結合部21~第4結合部24のいずれか1つと実質同じである。
【0181】
<付記3>
結合部は、吊りボルト(3)に結合する。結合部は、前記吊りボルト(3)を挟持する挟持部(50)を含む。前記挟持部(50)は、部材の端部と、前記端部に取り付けられて前記吊りボルト(3)を挟持する挟持片(51)と、前記挟持片(51)を前記端部に付勢する付勢部材(52)と、前記挟持片(51)を前記端部に締結する締結ボルト(53)と、を備える。付記1における部材は、ブレース、および、伸縮可能な部材を含む。伸縮可能な部材の例として、上記その他の技術Aに示される伸縮部材83が挙げられる。
【0182】
以上、連結具10および吊り下げ構造体1について実施形態およびその変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された連結具10および吊り下げ構造体1の趣旨、および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0183】
1…吊り下げ構造体、3…吊りボルト、5…第1吊りボルト、6…第2吊りボルト、10…連結具、11…第1部材、12…第2部材、13…第3部材、14…第4部材、17…外端部、20…連結機構、21…第1結合部、22…第2結合部、23…第3結合部、24…第4結合部、40A…交差部、40B…交差部、40C…交差部、40D…交差部、40E…交差部、41…第1係合部材、42…第2係合部材、50…挟持部、51…挟持片、52…付勢部材、53…締結ボルト、65…第3係合部材、66…第4係合部材、71…第1伸縮部材、72…第2伸縮部材、73…第5係合部材。