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特開2025-16354非飽和パラメータ数値の決定方法、装置および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016354
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】非飽和パラメータ数値の決定方法、装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20250124BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024105427
(22)【出願日】2024-06-28
(31)【優先権主張番号】202310897971.X
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
2.iOS
(71)【出願人】
【識別番号】524248094
【氏名又は名称】長江三峡集団実業発展(北京)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA THREE GORGES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.1 Liuhe Road, Jiang’an District, Wuhan, Hubei, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】譚 尭昇
(72)【発明者】
【氏名】裴 磊
(72)【発明者】
【氏名】徐 李達
(72)【発明者】
【氏名】張 凌凡
(72)【発明者】
【氏名】尚 超
(72)【発明者】
【氏名】▲ごん▼ 攀
(72)【発明者】
【氏名】梁 程
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲埼▼
【テーマコード(参考)】
5L050
【Fターム(参考)】
5L050CC07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】不飽和パラメータ数値の決定方法、装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での不飽和パラメータの値の範囲を決定するステップと、不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップと、取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得るステップと、不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得るステップと、シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得るステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和パラメータ数値の決定方法であって、
予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での前記不飽和パラメータの値の範囲を決定するステップであって、前記予め設定されたモデルはVGモデルであり、前記予め設定されたモデルは、下記式で表され、
sはモデル変数であり、y、nは、細孔分布に関するパラメータであり,αは、吸気値に関するパラメータであり、θは、含水率であり、θは、飽和体積含水量であり、θは、残存体積含水量であり、kは、土壤不飽和浸透係数であり、sは、中間変数である、ステップと、
前記不飽和パラメータ及び前記値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップと、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得るステップと、
前記不飽和パラメータ組み合わせ、前記有限要素モデル、及び前記シミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得るステップと、
前記シミュレーション計算結果及び前記水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、前記不飽和パラメータの数値を得るステップと、を含み、
前記不飽和パラメータ及び前記値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する前記ステップは、
前記第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータの中から第1の不飽和パラメータ、第2の不飽和パラメータ、及び残りの不飽和パラメータを決定するステップと、
前記第1の不飽和パラメータと第2の不飽和パラメータとの間の関係方程式を取得するステップであって、前記関係方程式及び前記第1の不飽和パラメータは、前記第2の不飽和パラメータを表すものである、ステップと、
前記第1の不飽和パラメータ、前記関係方程式、前記残りの不飽和パラメータ、前記値の範囲、及び直交設計法である予め設定された方法によって、前記浸透区画での各前記不飽和パラメータの候補数値を得て、第3の予め設定された個数の前記不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップと、を含み、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得る前記ステップは、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、プロファイルデータ点を得るステップと、
前記プロファイルデータ点及び予め設定されたグリッドタイプに基づいて、前記有限要素モデルを得るステップと、
前記有限要素モデルを一般化して、前記有限要素モデルを第2の予め設定された個数の前記浸透区画に分割するステップと、
前記浸透区画の浸透区画パラメータを取得するステップと、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、前記有限要素モデルの境界条件及び初期水位条件を得るステップと、
前記浸透区画パラメータ、前記境界条件及び前記初期水位条件に基づいて、前記シミュレーション計算条件を得るステップと、を含み、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、前記有限要素モデルの境界条件及び初期水位条件を得る前記ステップは、
水力発電工事の観測データに基づいて、予め設定された期間の水位線を得るステップと、
前記水位線に基づいて、前記有限要素モデルの斜面水頭境界を決定するステップと、
前記有限要素モデルの左側境界を水頭境界として、前記水力発電工事の観測データに基づいて前記水頭境界の水位値を決定するステップであって、前記水力発電工事の観測データに基づいて前記水頭境界の水位値を決定する前記ステップは、
水力発電工事の観測データにおけるボーリング孔水位観測資料によって反転して前記水頭境界の水位値を決定するステップを含むステップと、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、実測観測水頭値を得るステップと、
第4の予め設定された個数の分水界水位値を取得するステップと、
予め設定された浸透解析方法及び前記分水界水位値によって、各ボーリング位置の水頭計算値及び対応する境界水頭値を得るステップと、
前記水頭計算値及び前記境界水頭値を利用して、初期ニューラルネットワークを訓練し、訓練済みニューラルネットワークを得るステップと、
前記実測観測水頭値を前記訓練済みニューラルネットワークに入力して、前記初期水位条件を得るステップと、を含む、ことを特徴とする不飽和パラメータ数値の決定方法。
【請求項2】
前記不飽和パラメータ組み合わせ、前記有限要素モデル、及び前記シミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得る前記ステップは、
前記第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの前記不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択するステップと、
前記計算対象の不飽和パラメータ組み合わせ、前記有限要素モデル、及び前記シミュレーション計算条件に基づいて、シミュレーション計算を行い、前記計算対象の不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得るステップと、
前記前記第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの前記不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択するステップから、各前記不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果が得られるまで、後続のステップを実行するステップと、
すべての前記単一組み合わせシミュレーション計算結果を統合し、前記シミュレーション計算結果を得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シミュレーション計算結果及び前記水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、前記不飽和パラメータの数値を得る前記ステップは、
第5の予め設定された個数の検出データ点を決定するステップと、
前記シミュレーション計算結果に基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせに対応する予め設定された時間での零圧力面位置を得るステップと、
前記零圧力面位置及び前記検出データ点に基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせの各前記検出データ点での予測データを得るステップと、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、前記予測データに対応する実測データを得るステップと、
前記予測データ及び前記実測データに基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせの各前記検出データ点での誤差を計算するステップと、
前記誤差に基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせに対応する総誤差を計算するステップと、
最小総誤差に対応する前記不飽和パラメータ組み合わせを、前記不飽和パラメータの前記数値を含む前記目標不飽和パラメータ組み合わせとして特定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
不飽和パラメータ数値の決定装置であって、
予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での前記不飽和パラメータの値の範囲を決定する決定モジュールであって、
前記予め設定されたモデルはVGモデルであり、前記予め設定されたモデルは、下記式で表され、
sはモデル変数であり、y、nは、細孔分布に関するパラメータであり、αは、吸気値に関するパラメータであり、θは、含水率であり、θは、飽和体積含水量であり、θは、残存体積含水量であり、kは、土壤不飽和浸透係数であり、sは、中間変数である、決定モジュールと、
前記不飽和パラメータ及び前記値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する生成モジュールと、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得る第1の獲得モジュールと、
前記不飽和パラメータ組み合わせ、前記有限要素モデル、及び前記シミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得る計算モジュールと、
前記シミュレーション計算結果及び前記水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、前記不飽和パラメータの数値を得る第2の獲得モジュールと、を含み、
前記生成モジュールは、
前記第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータの中から第1の不飽和パラメータ、第2の不飽和パラメータ、及び残りの不飽和パラメータを決定する第1の決定ユニットと、
前記第1の不飽和パラメータと第2の不飽和パラメータとの間の関係方程式を取得する第1の取得ユニットであって、前記関係方程式及び前記第1の不飽和パラメータは、前記第2の不飽和パラメータを表すものである、第1の取得ユニットと、
前記第1の不飽和パラメータ、前記関係方程式、前記残りの不飽和パラメータ、前記値の範囲、及び予め設定された方法によって、前記浸透区画での各前記不飽和パラメータの候補数値を得て、第3の予め設定された個数の前記不飽和パラメータ組み合わせを生成する生成ユニットと、を含み、
前記第1の獲得モジュールは、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、プロファイルデータ点を得る第1の獲得ユニットと、
前記プロファイルデータ点及び予め設定されたグリッドタイプに基づいて、前記有限要素モデルを得る第2の獲得ユニットと、
前記有限要素モデルを一般化して、前記有限要素モデルを第2の予め設定された個数の前記浸透区画に分割する分割ユニットと、
前記浸透区画の浸透区画パラメータを取得する第2の取得ユニットと、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、前記有限要素モデルの境界条件及び初期水位条件を得る第3の獲得ユニットと、
前記浸透区画パラメータ、前記境界条件及び前記初期水位条件に基づいて、前記シミュレーション計算条件を得る第4の獲得ユニットと、を含み、
前記第3の獲得ユニットは、
水力発電工事の観測データに基づいて、予め設定された期間の水位線を得る第1の獲得サブモジュールと、
水位線に基づいて、有限要素モデルの斜面水頭境界を決定する第1の決定サブモジュールと、
有限要素モデルの左側境界を水頭境界として、水力発電工事の観測データに基づいて水頭境界の水位値を決定する第2の決定サブモジュールであって、前記水力発電工事の観測データに基づいて前記水頭境界の水位値を決定することは、水力発電工事の観測データにおけるボーリング孔水位観測資料によって反転して前記水頭境界の水位値を決定するステップを含む、第2の決定サブモジュールと、
水力発電工事の観測データに基づいて、実測観測水頭値を得る第2の獲得サブモジュールと、
第4の予め設定された個数の分水界水位値を取得する取得サブモジュールと、
予め設定された浸透解析方法及び分水界水位値に基づいて、各ボーリング位置の水頭計算値及び対応する境界水頭値を得る第4の獲得サブモジュールと、
水頭計算値及び境界水頭値を利用して、初期ニューラルネットワークを訓練し、訓練済みニューラルネットワークを得る訓練サブモジュールと、
実測観測水頭値を訓練済みニューラルネットワークに入力して、初期水位条件を得る第3の獲得サブモジュールと、を含む、ことを特徴とする不飽和パラメータ数値の決定装置。
【請求項5】
プロセッサと、通信インターフェースと、メモリと、通信バスと、を含み、
前記プロセッサ、前記通信インターフェース、及び前記メモリは、前記通信バスを介して互いに通信する電子機器であって、
前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するものであり、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶された前記コンピュータプログラムを動作することにより請求項1~3のいずれか1項に記載の方法ステップを実行するものである、ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法ステップを実行する、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水利・水力発電工事の技術分野に関し、特に不飽和パラメータ数値の決定方法、装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な水利・水力発電工事では、浸透流の問題はダムの安全性の鍵となり、浸透流解析はダム設計上の非常に重要なことであり、浸透流及び浸透抑制は、水利・水力発電工事にとって非常に重要な課題である。従来の浸透流場解析は、飽和又は安定浸透流場解析が多く、降雨浸透や洪水放流などの不飽和条件下での浸透流解析はほとんど行われていない。このような不飽和の状況は実際の工事ではよくあることであるが、既存のフィールド実験方法では不飽和パラメータを取得することは非常に難しく、ほとんど誤差が大きい。近年、水利・水力発電工事の分野では、浸透圧力や水頭などの実際のデータを取得し、特定の逆解析方法を使用して、浸透流場の不飽和パラメータを合理的に導き出す浸透流逆解析研究が徐々に増加している。
【0003】
屋内試験や逆解析を通じて不飽和パラメータを取得する現在一般的に使用されている方法には、主に次のような欠点が存在する。水利・水力発電工事の実際の建設と運営中には、境界水頭の変更、ダム基礎の掘削・盛土や降雨、洪水放流などの影響により、岩盤の浸透流場は動的に変化することが多く、屋内試験でこの動的変化過程を正確にシミュレーションすることが困難である。現在の逆解析方法では、主に等分法が用いられており、パラメータの組み合わせが極めて多く、反転効率が低い。
【0004】
したがって、従来技術では、岩盤浸透流場の動的変化過程をシミュレーションすることができず、正確な不飽和パラメータ数値を決定することが困難であり、取得効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、岩盤浸透流場の動的変化過程をシミュレーションすることができず、正確な不飽和パラメータ数値を決定できず、取得効率が低いという、関連技術に存在する問題を少なくとも解決するために、不飽和パラメータ数値の決定方法、装置、及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例の一態様によれば、
予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での前記不飽和パラメータの値の範囲を決定するステップと、
前記不飽和パラメータ及び前記値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップと、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得るステップと、
前記不飽和パラメータ組み合わせ、前記有限要素モデル、及び前記シミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得るステップと、
前記シミュレーション計算結果及び前記水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、前記不飽和パラメータの数値を得るステップと、を含む不飽和パラメータ数値の決定方法を提供する。
【0007】
本願の実施例の別の態様によれば、
予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での前記不飽和パラメータの値の範囲を決定する決定モジュールと、
前記不飽和パラメータ及び前記値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する生成モジュールと、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得る第1の獲得モジュールと、
前記不飽和パラメータ組み合わせ、前記有限要素モデル、及び前記シミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得る計算モジュールと、
前記シミュレーション計算結果及び前記水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、前記不飽和パラメータの数値を得る第2の獲得モジュールと、を含む、不飽和パラメータ数値の決定装置をさらに提供する。
【0008】
任意選択で、生成モジュールは、
前記第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータの中から第1の不飽和パラメータ、第2の不飽和パラメータ、及び残りの不飽和パラメータを決定する第1の決定ユニットと、
前記第1の不飽和パラメータと第2の不飽和パラメータとの間の関係方程式を取得する第1の取得ユニットであって、前記関係方程式及び前記第1の不飽和パラメータは、前記第2の不飽和パラメータを表すものである、第1の取得ユニットと、
前記第1の不飽和パラメータ、前記関係方程式、前記残りの不飽和パラメータ、前記値の範囲、及び予め設定された方法によって、前記浸透区画での各前記不飽和パラメータの候補数値を得て、第3の予め設定された個数の前記不飽和パラメータ組み合わせを生成する生成ユニットと、を含む。
【0009】
任意選択で、第1の獲得モジュールは、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、プロファイルデータ点を得る第1の獲得ユニットと、
前記プロファイルデータ点及び予め設定されたグリッドタイプに基づいて、前記有限要素モデルを得る第2の獲得ユニットと、
前記有限要素モデルを一般化して、前記有限要素モデルを第2の予め設定された個数の前記浸透区画に分割する分割ユニットと、
前記浸透区画の浸透区画パラメータを取得する第2の取得ユニットと、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、前記有限要素モデルの境界条件及び初期水位条件を得る第3の獲得ユニットと、
前記浸透区画パラメータ、前記境界条件及び前記初期水位条件に基づいて、前記シミュレーション計算条件を得る第4の獲得ユニットと、を含む。
【0010】
任意選択で、第3の獲得ユニットは、
水力発電工事の観測データに基づいて、予め設定された期間の水位線を得る第1の獲得サブモジュールと、
前記水位線に基づいて、前記有限要素モデルの斜面水頭境界を決定する第1の決定サブモジュールと、
前記有限要素モデルの左側境界を水頭境界として、前記水力発電工事の観測データに基づいて前記水頭境界の水位値を決定する第2の決定サブモジュールと、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、実測観測水頭値を得る第2の獲得サブモジュールと、
前記実測観測水頭値を訓練済みニューラルネットワークに入力して、前記初期水位条件を得る第3の獲得サブモジュールと、を含む。
【0011】
任意選択で、第3の獲得ユニットは、
第4の予め設定された個数の分水界水位値を取得する取得サブモジュールと、
予め設定された浸透解析方法及び前記分水界水位値によって、各ボーリング位置の水頭計算値及び対応する境界水頭値を得る第4の獲得サブモジュールと、
前記水頭計算値及び前記境界水頭値を利用して、初期ニューラルネットワークを訓練し、獲得前記訓練済みニューラルネットワーク訓練サブモジュールと、をさらに含む。
【0012】
任意選択で、計算モジュールは、
前記第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの前記不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択する選択ユニットと、
前記計算対象の不飽和パラメータ組み合わせ、前記有限要素モデル、及び前記シミュレーション計算条件に基づいて、シミュレーション計算を行い、前記計算対象の不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得る第1の計算ユニットと、
前記前記第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの前記不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択するステップからと、後続のステップを実行し始め、各前記不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一の組み合わせ単一組み合わせシミュレーション計算結果が得られるまで、後続のステップを実行する循環ユニットと、
すべての前記単一組み合わせシミュレーション計算結果を統合し、前記シミュレーション計算結果を得る統合ユニットと、を含む。
【0013】
任意選択で、第2の獲得モジュールは、
第5の予め設定された個数の検出データ点を決定する第2の決定ユニットと、
前記シミュレーション計算結果に基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせに対応する予め設定された時間での零圧力面位置を得る第5の獲得ユニットと、
前記零圧力面位置及び前記検出データ点に基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせの各前記検出データ点での予測データを得る第6の獲得ユニットと、
前記水力発電工事の観測データに基づいて、前記予測データに対応する実測データを得る第7の獲得ユニットと、
前記予測データ及び前記実測データに基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせの各前記検出データ点での誤差を計算する第2の計算ユニットと、
前記誤差に基づいて、各前記不飽和パラメータ組み合わせに対応する総誤差を計算する第3の計算ユニットと、
最小総誤差に対応する前記不飽和パラメータ組み合わせを、前記不飽和パラメータの前記数値を含む前記目標不飽和パラメータ組み合わせとして特定する特定ユニットと、を含む。
【0014】
本願の実施例の更なる態様によれば、プロセッサと、通信インターフェースと、メモリと、通信バスと、を含み、前記プロセッサ、前記通信インターフェース、及び前記メモリは、前記通信バスを介して互いに通信する電子機器であって、
前記メモリは、コンピュータプログラムを記憶するものであり、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶された前記コンピュータプログラムを動作することにより上記の実施例の何れか1項に記載の方法ステップを実行するものである、電子機器をさらに提供する。
【0015】
本願の実施例の更なる態様によれば、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上記の実施例のいずれか1項に記載の方法ステップを実行するように構成されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供する。
【0016】
本願の実施例では、予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での不飽和パラメータの値の範囲を決定し、不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成し、取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得て、不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得て、シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得る。上記の方法によって、有限要素モデルを構築し、シミュレーション計算条件を設定し、蓄水における水位変化過程に対してシミュレーション計算を行い、それによって、各地質学的要因による影響を効果的に考慮するため、パラメータ取得の正確性を向上させる。不飽和パラメータを組み合わせて、目標不飽和パラメータ組み合わせを判定することにより、各不飽和パラメータの数値を得ることにより、計算量を効果的に減少させ、最適不飽和パラメータ組み合わせを取得する効率を向上させる。水力発電工事の観測データに基づいてシミュレーション計算結果の誤差解析を行い、目標不飽和パラメータ組み合わせを選択することによって、簡単かつ簡便で、局所最適解を効率的に取得することができる。岩盤浸透流場の動的変化過程をシミュレーションすることができず、正確な不飽和パラメータ数値を決定できず、取得効率が低いという、関連技術に存在する問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する図面は、本発明に適合する実施例を示し、本明細書とともに本発明の原理を説明するためのものである。
本発明の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するため、以下、実施例又は従来技術の説明において使用する必要がある図面について簡単に説明するが、当業者にとっては、創造的な労力を加えることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
図1】本願の実施例に係る任意選択の不飽和パラメータ数値の決定方法の流れ模式図である。
図2】本願の実施例に係る任意選択の有限要素モデル及び浸透区画の模式図である。
図3】本願の実施例に係る任意選択の上流水位と日付の変化の関係を示す図である。
図4】本願の実施例に係る任意選択の不飽和パラメータ組み合わせに使用されるパラメータの浸透流順解析の結果図である。
図5】本願の実施例に係る別の任意選択の不飽和パラメータ数値の決定方法の流れ模式図である。
図6】本願の実施例に係る任意選択の不飽和パラメータ数値の決定装置の構造ブロック図である。
図7】本願の実施例に係る任意選択の電子機器の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者が本願の態様をよりよく理解するために、以下、本願の実施例における図面を参照して、本願の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は、本願の一部の実施例にすぎず、全ての実施形態ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに得た他のすべての実施例は、本願の保護範囲に属するべきである。
【0019】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲、並びに上記図面における「第1」、「第2」等の用語は、類似物体を区別するためのものであり、特定の順序や優先順位を説明するために用いられるものではない。このように使用されるデータは、適切な場合には交換可能であることを理解しておくべきであり、本明細書に記載された本願の実施例は、本明細書に図示又は記載されたもの以外の順序で実施可能であることを理解しておくべきである。さらに、用語「含む」及び「有する」、並びにこれらの任意の変形例は、排他的な包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又は機器が、明示的に記載されているステップ又はユニットに限定される必要はなく、明示的に記載されていない、又はこれらのプロセス、方法、製品又は機器に固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0020】
本願の実施例の一態様によれば、不飽和パラメータ数値の決定方法を提供し、図1に示すうように、該方法の流れは、以下のステップS101~ステップS105を含んでもよい。
【0021】
ステップS101:予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での不飽和パラメータの値の範囲を決定する。
【0022】
任意選択で、本実施例では、予め設定されたモデルは、van Genuchten(VG)モデルであってもよく、このモデルは、Mualem理論に基づく滑らかで連続的な保水曲線モデルである。
【0023】
sはモデル変数であり、y、nは、細孔分布に関するパラメータであり、αは、吸気値に関するパラメータであり、θは、含水率であり、θは、飽和体積含水量であり、θは、残存体積含水量であり、kは、土壤不飽和浸透係数であり、sは、中間変数であり、また、kは、飽和浸透係数である。
【0024】
まず、van Genuchten(VG)モデル中の決定対象の不飽和パラメータを決定する。不飽和パラメータの選択には、α、y、n、θの4つのパラメータを用いて解析するのが一般的である。また、飽和体積含水量θ及び飽和浸透係数kには、屋内試験で得られたデータを使用するのが一般的である。その後、従来の屋内試験及び工事の経験に従って第2の予め設定された個数の浸透区画でα、y、n、θ数値の範囲を決定する。浸透区画ごとに浸透流の性質が異なるため同、第1の予め設定された個数及び第2の予め設定された個数は、いずれも複数であり、第1の予め設定された個数は、4や他の数値であってもよい。
【0025】
ステップS102:不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する。
【0026】
任意選択で、ステップS101で決定された不飽和パラメータ(α、y、n、θ)の第2の予め設定された個数の浸透区画での値の範囲に基づいて、直交設計法によって、不飽和パラメータについてスキームを合理的に組み合わせ、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する。不飽和パラメータ組み合わせごとにα、y、n、θの具体的な数値が存在し、第3の予め設定された個数は複数であるが、特に限定されるものではない。
【0027】
ステップS103:取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得る。
【0028】
任意選択で、水力発電工事の観測データ、例えば、中国南西部のある水力発電工事における長い観測孔を備えた観測点の観測データを取得し、該水力発電工事観測データに基づいて川岸プロファイルを生成し、川岸プロファイルにグリッド分割を行い、2次元又は3次元の有限要素モデルを作成する。該水力発電工事の観測データの中から川岸の初期水位条件を決定し、境界条件及び浸透区画ごとの浸透区画パラメータを設定し、シミュレーション計算条件を得る。
【0029】
ステップS104:不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得る。
【0030】
任意選択で、GEO-studioソフトウェアのSEEP/Wモジュールを利用して、上記の有限要素モデル、シミュレーション計算条件に基づいて、不飽和パラメータ組み合わせごとにシミュレーション計算、例えば浸透流シミュレーション解析を行い、各不飽和パラメータ組み合わせに対応するシミュレーション計算結果を得る。ここで、シミュレーション計算結果には、蓄水における水位変化に基づく上流水位及び測定点位置での水頭(浸透圧)の分布が含まれる。
【0031】
ステップS105:シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得る。
【0032】
任意選択で、水力発電工事の観測データに基づいて実測データを得る。ステップS104で取得されたシミュレーション計算結果及び実測データに基づいて、実測データとシミュレーション計算結果との間の誤差二乗和を計算し、すべての不飽和パラメータ組み合わせの誤差二乗和の計算を完了した後、誤差二乗和が最も小さい不飽和パラメータ組み合わせを目標不飽和パラメータ組み合わせとし、目標不飽和パラメータ組み合わせの不飽和パラメータの数値を上記の決定対象の不飽和パラメータの最適値とする。
【0033】
本願の実施例では、予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での不飽和パラメータの値の範囲を決定し、不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成し、取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得て、不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得て、シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得る。上記の方法によって、有限要素モデルを構築し、シミュレーション計算条件を設定し、蓄水における水位変化過程に対してシミュレーション計算を行い、各地質学的要因による影響を効果的に考慮するため、パラメータ取得の正確性を向上させる。不飽和パラメータを組み合わせて、目標不飽和パラメータ組み合わせを判定することにより、各不飽和パラメータの数値を得ることにより、計算量を効果的に減少させ、最適不飽和パラメータ組み合わせを取得する効率を向上させる。水力発電工事の観測データに基づいてシミュレーション計算結果の誤差解析を行い、目標不飽和パラメータ組み合わせを選択することによって、簡単かつ簡便で、局所最適解を効率的に取得することができる。岩盤浸透流場の動的変化過程をシミュレーションすることができず、正確な不飽和パラメータ数値を決定できず、取得効率が低いという、関連技術に存在する問題を解決する。
【0034】
任意選択の実施例として、不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップは、
第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータの中から第1の不飽和パラメータ、第2の不飽和パラメータ及び残りの不飽和パラメータを決定するステップと、
第1の不飽和パラメータと第2の不飽和パラメータとの間の関係方程式を取得するステップであって、関係方程式及び第1の不飽和パラメータは、第2の不飽和パラメータを表すものである、ステップと、
第1の不飽和パラメータ、関係方程式、残りの不飽和パラメータ、値の範囲及び予め設定された方法によって、浸透区画内の各不飽和パラメータの候補数値を得て、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップと、を含む。
【0035】
任意選択で、本実施例において、不飽和パラメータがα、y、n、θである場合を例にして説明する。この場合、第1の予め設定された個数は4である。α、y、n、θの中から第1の不飽和パラメータ、例えば、n、及び第2の不飽和パラメータ、例えば、yから選択すると、残りの不飽和パラメータにはα、θが含まれる。
【0036】
nとyとの間の関係方程式、例えば、y=1-1/nを取得し、該関係方程式によって、yはnで表されてもよい。したがって、nの数値を決定すると、nの数値及び該関係方程式により、yの数値を得ることができ、不飽和パラメータ組み合わせを生成することにyの数値を考慮しなくてもよく、それによって、計算量を減少させる。次に、第1の不飽和パラメータn、残りの不飽和パラメータα及びθ、上記の不飽和パラメータの第2の予め設定された個数の浸透区画での値の範囲に基づいて、予め設定された方法(例えば、直交設計法)によって、不飽和パラメータについてスキームを合理的に組み合わせ、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する。3種類の浸透区画がある場合を例にすると、浸透区画1でのαの値の範囲は、例えば、0.02~0.14であり、浸透区画2でのnの値の範囲は、例えば、0~4.00であり、他の値の範囲は詳しく説明されず、詳細な値の範囲は以下の表に示される。生成される不飽和パラメータ組み合わせは以下の表に示される。
【0037】
【0038】
この場合、第2の予め設定された個数は3であり、不飽和パラメータ組み合わせは、群1~群7を含み、第3の予め設定された個数は7である。
【0039】
本願の実施例では、直交設計によって不飽和パラメータを組み合わせることによって、組み合わせの計算を効果的に減少させ、最適不飽和パラメータ組み合わせを取得する効率を向上させることができる。
【0040】
任意選択の実施例として、取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得るステップは、
水力発電工事の観測データに基づいて、プロファイルデータ点を得るステップと、
プロファイルデータ点及び予め設定されたグリッドタイプに基づいて、有限要素モデルを得るステップと、
有限要素モデルを一般化して、有限要素モデルを第2の予め設定された個数の浸透区画に分割するステップと、
浸透区画の浸透区画パラメータを取得するステップと、
水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデルの境界条件及び初期水位条件を得るステップと、
浸透区画パラメータ、境界条件及び初期水位条件に基づいて、シミュレーション計算条件を得るステップと、を含む。
【0041】
任意選択で、本実施例において、中国南西部のある水力発電工事における長い観測孔を備えた観測点の観測データを水力発電工事の観測データとして、2次元の有限要素モデルを作成する場合を例にして説明する。該水力発電工事の観測データに基づいて、プロファイルデータ点を得て、プロファイルデータ点をGEO-studioソフトウェアのSEEP/Wモジュールにインポートし、左側の海抜が1010メートル(m)、右側の海抜が575m、底面が1100mの川岸プロファイルを生成し、次に、予め設定されたグリッドタイプを利用して、川岸プロファイルグラフに対してグリッド分割を行い、2次元の有限要素モデルを作成し、ここで、予め設定されたグリッドタイプは、10m四角形のグリッドであってもよい。モデルを適切に一般化すると、当該有限要素モデルは、第2の予め設定された個数、例えば、3個の浸透区画に分割され、一般化は、通常の方法であり、すなわち、影響が小さい断層や構造面などの因素の一部を無視することである。この場合、該有限要素モデルは、図2に示すように、浸透区画1、浸透区画2、浸透区画3を含み、図2の右上隅は川の谷であり、図2における2次元の有限要素モデルには、初期地下水位線があり、また、監視点1及び監視点2が存在し、2つの監視点は、水力発電工事の観測データ及びシミュレーション計算結果からデータを選択して比較するためのものであり、その詳細は図2を参照する。
【0042】
なお、GEO-studioソフトウェアのSEEP/Wモジュールにおいて境界条件、初期水位条件及び浸透区画パラメータを設定することは、具体的には、
浸透区画の浸透区画パラメータを取得することを含み、ここで、本願では、区域ごとの浸透能力に応じてモデルを、飽和浸透係数が、それぞれ1.00×10-5m/s、3.00×10-6m/s、9.00×10-7m/sである浸透区画1、3、及び3の3つの浸透区画に分割し、これらの、浸透区画1の飽和体積含水量は0.30、浸透区画2及び3の飽和体積含水量はいずれも0.40として決定される。具体的な浸透区画パラメータを以下の表に示す。
【0043】
【0044】
該水力発電工事の観測データの中から川岸の初期水位条件を決定し、境界条件を設定し、上記の浸透区画パラメータ、境界条件及び初期水位条件を統合し、シミュレーション計算条件を得て、該シミュレーション計算条件及び上記の有限要素モデルに基づいて、シミュレーション計算を行ってもよい。
【0045】
本願の実施例では、水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデルを作成し、シミュレーション計算条件とともに、後のシミュレーション計算のための基礎を提供する。上記の有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づき、蓄水における水位変化過程での水位と測定点浸透圧及び水頭との関係に従って反転解析を行い、各地質学的要因による影響を効果的に考慮するため、パラメータ取得の正確性を向上させる。
【0046】
任意選択の実施例として、水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデルの境界条件及び初期水位条件を得るステップは、
水力発電工事の観測データに基づいて、予め設定された期間の水位線を得るステップと、
水位線に基づいて、有限要素モデルの斜面水頭境界を決定するステップと、
有限要素モデルの左側境界を水頭境界として、水力発電工事の観測データに基づいて水頭境界の水位値を決定するステップと、
水力発電工事の観測データに基づいて、実測観測水頭値を得るステップと、
実測観測水頭値を訓練済みニューラルネットワークに入力して、初期水位条件を得るステップと、を含む。
【0047】
任意選択で、本実施例において、中国南西部のある水力発電工事における長い観測孔を備えた観測点の観測データを水力発電工事の観測データとして、この水力発電工事の観測データに基づいて、中国南西部のある水力発電工事における上流水位の経時的な変化(すなわち、水位線)を取得する。この水位線は図3に示され、図3には、2021/4/3~2021/10/3の間の上流水位(m)の変化が含まれる。図3から、予め設定された期間の水位線を得る。予め設定された期間は、2021年4月23日から2021年5月7日まで合計15日間であってもよい。
【0048】
この水位線に基づいて有限要素モデルの川の谷側を斜面水頭境界(すなわち、図2の右上隅)とし、該水位線に基づいて斜面水頭境界の水位値を決定する。
【0049】
有限要素モデルの左側(右岸の山体側の境界、すなわち川の谷から離れる側)境界水位を水頭境界として決定し、水力発電工事の観測データに基づいて水頭境界の水位値を決定し、例えば、水力発電工事の観測データにおけるボーリング孔水位観測資料によって反転して該水頭境界の水位値を決定する。
【0050】
水力発電工事の観測データに基づいて、実測観測水頭値を得て、該実測観測水頭値を訓練済みニューラルネットワークに入力して、最適分水界境界水位条件、すなわち初期水位条件を得る。
【0051】
本願の実施例では、水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデルの境界条件を決定し、訓練済みニューラルネットワークを利用して、初期水位条件を得ることによって、初期水位条件を決定するのにかかる時間を短縮させる。
【0052】
任意選択の実施例として、在実測観測水頭値を訓練済みニューラルネットワークに入力する前に、方法は、
第4の予め設定された個数の分水界水位値を取得するステップと、
予め設定された浸透解析方法及び分水界水位値に基づいて、各ボーリング位置の水頭計算値及び対応する境界水頭値を得るステップと、
水頭計算値及び境界水頭値を利用して、初期ニューラルネットワークを訓練し、訓練済みニューラルネットワークを得るステップと、をさらに含む。
【0053】
任意選択で、複数の提案された分水界水位値を取得し、第4の予め設定された個数は複数である。安定浸透流解析方法(すなわち、予め設定された浸透解析方法)を用いて、上記の分水界水位値から左岸山体の浸透流場及び各ボーリング位置での水頭計算値を計算し、これらに対応する境界水頭値を得る。水頭計算値を入力サンプル、境界水頭値を出力サンプルとして、初期ニューラルネットワークを訓練し、訓練済みニューラルネットワークを得る。初期ニューラルネットワークは、遺伝的ニューラルネットワークであってもよい。
【0054】
本願の実施例では、水頭計算値及び境界水頭値を利用して、初期ニューラルネットワークを訓練し、訓練済みニューラルネットワークを得ることによって、初期水位条件を決定するのにかかる時間を短縮させ、不飽和パラメータ数値を決定する効率を向上させる。
【0055】
任意選択の実施例として、不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得るステップは、
第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択するステップと、
計算対象の不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいて、シミュレーション計算を行い、計算対象の不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得るステップと、
第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択すると、後続のステップを実行し始め、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得るステップと、
すべての単一組み合わせシミュレーション計算結果を統合し、シミュレーション計算結果を得るステップと、を含む。
【0056】
任意選択で、本実施例において、不飽和パラメータ組み合わせごとにシミュレーション計算を行い、該不飽和群合に対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得る必要がある。すべての不飽和パラメータ組み合わせに対するシミュレーション計算が完了するまでこのプロセスを繰り返し、具体的には、以下を含む。
【0057】
第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択し、上記の有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づき、該計算対象の不飽和パラメータに対して組み合わせシミュレーション計算を行い、計算対象の不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得る。第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から、シミュレーション計算を行っていない不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択し、上記のプロセスを繰り返し、該計算対象の不飽和パラメータ組み合わせの単一組み合わせシミュレーション計算結果を得る。各不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得ると、終了する。
【0058】
すべての単一組み合わせシミュレーション計算結果を統合し、シミュレーション計算結果を得て、該シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定してもよい。
【0059】
本願の実施例では、不飽和パラメータ組み合わせごとにシミュレーション計算を行い、各不飽和パラメータ組み合わせに対応するシミュレーション計算結果を得る。後でシミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、不飽和パラメータ組み合わせから標不飽和パラメータ組み合わせを選択するための基礎を提供する。
【0060】
任意選択の実施例として、シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得るステップは、
第5の予め設定された個数の検出データ点を決定するステップと、
シミュレーション計算結果に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する予め設定された時間での零圧力面位置を得るステップと、
零圧力面位置及び検出データ点に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせの各検出データ点での予測データを得るステップと、
水力発電工事の観測データに基づいて、予測データに対応する実測データを得るステップと、
予測データ及び実測データに基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせの各検出データ点での誤差を計算するステップと、
誤差に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する総誤差を計算するステップと、
最小総誤差に対応する不飽和パラメータ組み合わせを、不飽和パラメータの数値を含む目標不飽和パラメータ組み合わせとして特定するステップと、を含む。
【0061】
任意選択で、第5の予め設定された個数の検出データ点を決定し、第5の予め設定された個数は複数である。本実施例では、2つの検出データ点、すなわち、図2の監視点1及び監視点2を用いて、群1~群7の合計7個の不飽和パラメータ組み合わせを例にして説明する。
【0062】
シミュレーション計算結果に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせに使用されるパラメータの図4に示す浸透流順解析結果図を得る。図4は、圧力の異なる水頭の有限要素モデルでの分布を示し、この浸透流順解析結果図から、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する予め設定された時間での零圧力面位置を得ることができる。零圧力面位置は、圧力水頭が0mの位置であり、予め設定された時間は、1、5、7、11、15日間である。上記の零圧力面位置、監視点1及び監視点2に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせの各検出データ点での予測データを得る。予測データは、零圧力面位置の2つの検出データ点での海抜(m)である。水力発電工事の観測データに基づいて、予測データに対応する実測データ(m)を得る。上記の予測データ及び実測データを以下の表に示す。
【0063】
【0064】
上記の予測データ及び実測データに基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせの各検出データ点での標準偏差(すなわち、誤差)を計算し、該誤差に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する母集団標準偏差和(すなわち、総誤差)を計算し、各不飽和パラメータ組み合わせの監視点1及び監視点2での誤差及び母集団標準偏差和(すなわち、総誤差)を以下の表に示す。
【0065】
比較の結果、群5について算出されたデータは、監視点1でのデータと比較すると、母集団標準偏差は0.04166であり、監視点2でのデータと比較すると、母集団標準偏差は0.04470であり、母集団標準偏差和(すなわち、監視点1と監視点2での誤差の和)は、すべての群のうち母集団標準偏差和が最も小さい不飽和パラメータ組み合わせであり、このため、群5は、目標不飽和パラメータ組み合わせとして決定される。α、n及びθの各浸透区画での具体的な数値を取得して、nとyとの間の関係方程式y=1-1/nにより、nの具体的な数値を用いて、yの各浸透区画での具体的な数値を算出する。
【0066】
本願の実施例では、計算実測データと数値のシミュレーション計算結果との間の誤差二乗和を採用して誤差解析を行うことによって、簡単かつ簡便で、局所最適解を効率的に取得することができる。
【0067】
本願の実施例の一態様によれば、別の不飽和パラメータ数値の決定方法を提供し、図5に示すように、該方法の流れは、以下のステップを含む。
【0068】
VGモデル反転解析パラメータの数及びそのおおよその範囲を決定するステップと、直交設計法によって不飽和パラメータについてスキームを合理的に組み合わせるステップと、3次元の有限要素モデルを作成し、不飽和浸透流順解析を行うステップと、実測データと数値のシミュレーション計算結果との間の誤差二乗和を計算し、最適組み合わせを求めるステップと、結果を反転するステップと、を含む。
【0069】
本願の実施例では、蓄水における水位変化プロセスでの水位と測定点浸透圧及び水頭との関係に従って反転解析を行い、各地質学的要因による影響を効果的に考慮するため、パラメータ取得の正確性を向上させる。直交設計によって不飽和パラメータを組み合わせることによって、組み合わせの計算を効果的に減少させ、最適不飽和パラメータ組み合わせを取得する効率を向上させる。計算実測データと数値のシミュレーション計算結果との間の誤差二乗和を用いて誤差解析を行うことによって、簡単かつ簡便で、局所最適解を効率的に取得することができる。
【0070】
本願の実施例の別の態様によれば、上記の不飽和パラメータ数値の決定方法を実施するための不飽和パラメータ数値の決定装置も提供される。図6は、本願の実施例に係る任意選択の不飽和パラメータ数値の決定装置の構造ブロック図であり、図6に示すように、該装置は、予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での不飽和パラメータの値の範囲を決定する決定モジュール601と、
不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する生成モジュール602と、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得る第1の獲得モジュール603と、
不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得る計算モジュール604と、
シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得る第2の獲得モジュール605と、を含んでもよい。
【0071】
なお、該実施例における決定モジュール601は、上記のステップS101を実行してもよく、該実施例における生成モジュール602は、上記のステップS102を実行してもよく、該実施例における第1の獲得モジュール603は、上記のステップS103を実行してもよく、該実施例における計算モジュール604は、上記のステップS104を実行してもよく、該実施例における第2の獲得モジュール605は、上記のステップS105を実行してもよい。
【0072】
上記のモジュールによって、有限要素モデルを構築し、シミュレーション計算条件を設定し、蓄水における水位変化過程に対してシミュレーション計算を行い、各地質学的要因による影響を効果的に考慮するため、パラメータ取得の正確性を向上させる。不飽和パラメータを組み合わせて、目標不飽和パラメータ組み合わせを判定することにより、各不飽和パラメータの数値を得ることにより、計算量を効果的に減少させ、最適不飽和パラメータ組み合わせを取得する効率を向上させる。水力発電工事の観測データに基づいてシミュレーション計算結果の誤差解析を行い、目標不飽和パラメータ組み合わせを選択することによって、簡単かつ簡便で、局所最適解を効率的に取得することができる。岩盤浸透流場の動的変化過程をシミュレーションすることができず、正確な不飽和パラメータ数値を決定できず、取得効率が低いという、関連技術に存在する問題を解決する。
【0073】
任意選択の実施例として、生成モジュールは、
第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータの中から第1の不飽和パラメータ、第2の不飽和パラメータ及び残りの不飽和パラメータを決定する第1の決定ユニットと、
第1の不飽和パラメータと第2の不飽和パラメータとの間の関係方程式を取得する第1の取得ユニットであって、関係方程式及び第1の不飽和パラメータは、第2の不飽和パラメータを表すものである、第1の取得ユニットと、
第1の不飽和パラメータ、関係方程式、残りの不飽和パラメータ、値の範囲及び予め設定された方法によって、浸透区画内の各不飽和パラメータの候補数値を得て、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成する生成ユニットと、を含む。
【0074】
任意選択の実施例として、第1の獲得モジュールは、
水力発電工事の観測データに基づいて、プロファイルデータ点を得る第1の獲得ユニットと、
プロファイルデータ点及び予め設定されたグリッドタイプに基づいて、有限要素モデルを得る第2の獲得ユニットと、
有限要素モデルを一般化して、有限要素モデルを第2の予め設定された個数の浸透区画に分割する分割ユニットと、
浸透区画の浸透区画パラメータを取得する第2の取得ユニットと、
水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデルの境界条件及び初期水位条件を得る第3の獲得ユニットと、
浸透区画パラメータ、境界条件及び初期水位条件に基づいて、シミュレーション計算条件を得る第4の獲得ユニットと、を含む。
【0075】
任意選択の実施例として、第3の獲得ユニットは、
水力発電工事の観測データに基づいて、予め設定された期間の水位線を得る第1の獲得サブモジュールと、
水位線に基づいて、有限要素モデルの斜面水頭境界を決定する第1の決定サブモジュールと、
有限要素モデルの左側境界を水頭境界として、水力発電工事の観測データに基づいて水頭境界の水位値を決定する第2の決定サブモジュールと、
水力発電工事の観測データに基づいて、実測観測水頭値を得る第2の獲得サブモジュールと、
実測観測水頭値を訓練済みニューラルネットワークに入力して、初期水位条件を得る第3の獲得サブモジュールと、を含む。
【0076】
任意選択の実施例として、第3の獲得ユニットは、
第4の予め設定された個数の分水界水位値を取得する取得サブモジュールと、
予め設定された浸透解析方法及び分水界水位値に基づいて、各ボーリング位置の水頭計算値及び対応する境界水頭値を得る第4の獲得サブモジュールと、
水頭計算値及び境界水頭値を利用して、初期ニューラルネットワークを訓練し、訓練済みニューラルネットワークを得る訓練サブモジュールと、をさらに含む。
【0077】
任意選択の実施例として、計算モジュールは、
第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択する選択ユニットと、
計算対象の不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいて、シミュレーション計算を行い、計算対象の不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得る第1の計算ユニットと、
第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせの中から1つの不飽和パラメータ組み合わせを計算対象の不飽和パラメータ組み合わせとして選択すると、後続のステップを実行し始め、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する単一組み合わせシミュレーション計算結果を得る循環ユニットと、
すべての単一組み合わせシミュレーション計算結果を統合し、シミュレーション計算結果を得る統合ユニットと、を含む。
【0078】
任意選択の実施例として、第2の獲得モジュールは、
第5の予め設定された個数の検出データ点を決定する第2の決定ユニットと、
シミュレーション計算結果に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する予め設定された時間での零圧力面位置を得る第5の獲得ユニットと、
零圧力面位置及び検出データ点に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせの各検出データ点での予測データを得る第6の獲得ユニットと、
水力発電工事の観測データに基づいて、予測データに対応する実測データを得る第7の獲得ユニットと、
予測データ及び実測データに基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせの各検出データ点での誤差を計算する第2の計算ユニットと、
誤差に基づいて、各不飽和パラメータ組み合わせに対応する総誤差を計算する第3の計算ユニットと、
最小総誤差に対応する不飽和パラメータ組み合わせを、不飽和パラメータの数値を含む目標不飽和パラメータ組み合わせとして特定する特定ユニットと、を含む。
【0079】
ここで、上記のモジュールは、対応するステップで実現される例や応用シナリオと同じであるが、上記の実施例で開示された内容に限定されるものではない。
【0080】
本願の実施例の更なる態様によれば、上記の不飽和パラメータ数値の決定方法を実施する電子機器も提供され、該電子機器は、サーバ、端末、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0081】
図7は、本願の実施例に係る任意選択の電子機器の構造ブロック図であり、図7に示すように、この電子機器は、プロセッサ701と、通信インターフェース702と、メモリ703と、通信バス704と、を含み、プロセッサ701、通信インターフェース702、及びメモリ703は、通信バス704を介して互いに通信し、
メモリ703は、コンピュータプログラムを記憶するものであり、
プロセッサ701は、メモリ703に保存されたコンピュータプログラムを実行すると、
予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での不飽和パラメータの値の範囲を決定するステップと、
不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップと、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得るステップと、
不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得るステップと、
シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得るステップと、を実現する。
【0082】
任意選択で、本実施例では、上記の通信バスは、周辺コンポーネント相互接続(PCI:Peripheral Component Interconnect)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(EISA:Extended Industry Standard Architecture)バス等であってもよい。この通信バスは、アドレスバス、データバス、制御バス等に分類することができる。図7では、図示を容易にするために太線が1本のみで示されているが、バスが1本又は1種類のバスのみであることを示すものではない。
【0083】
通信インターフェースは、上記の電子機器と他の機器との通信に用いられる。
【0084】
メモリは、RAMを含んでもよいし、例えば少なくとも1つの磁気ディスクメモリなど、不揮発性メモリ(non-volatile memory)を含んでもよい。任意選択で、メモリは、プロセッサから遠く離れた少なくとも1つの記憶装置であってもよい。
【0085】
一例として、図7に示すように、上記のメモリ703は、上記の不飽和パラメータ数値の決定装置の決定モジュール601、生成モジュール602、第1の獲得モジュール603、計算モジュール604、第2の獲得モジュール605を含んでもよいが、これらに限定されない。さらに、上記の不飽和パラメータ数値の決定装置の他のモジュールユニットを含んでもよいが、これらに限定されないが、本例では詳しく説明しない。
【0086】
上記プロセッサは汎用プロセッサであってもよく、中央処理装置(CPU:Central ProcessingUnit)、ネットワークプロセッサ(NP:Network Processor)などを含むがこれらに限定されない。また、デジタル信号プロセッサ(DSP:DigitalSignal Processing)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific IntegratedCircuit)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)、又はその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであってもよい。
【0087】
任意選択で、本実施例における具体例としては、上記の実施例で説明した例を参照することができるので、本実施例では詳しく説明しない。
【0088】
当業者が理解できるように、図7に示す構造は概略的なものであり、上記の不飽和パラメータ数値の決定方法を実施する機器は端末機器であってもよく、端末機器は、スマートフォン(例えばAndroid携帯電話、iOS携帯電話など)、タブレット端末、ハンドヘルドコンピュータ、モバイルインターネット機器(MID:Mobile Internet Devices)、PADなどの端末機器であってもよい。図7は、上記の電子機器の構造を限定するものではない。例えば、端末機器は、図7に示すものよりも多く又は少ないコンポーネント(例えば、ネットワークインターフェース、表示装置など)を含んでもよく、又は図7に示すものとは異なる構成を有してもよい。
【0089】
当業者が理解できるように、上記の実施例の様々な方法におけるステップの全部又は一部が、端末機器に関連するハードウェアにプログラムを指示することによって行われ得、このプログラムは、フラッシュメモリ、ROM、RAM、磁気ディスク又は光ディスクなどを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。
【0090】
本願の実施例の更なる態様によれば、記憶媒体も提供される。任意選択で、本実施例では、上記の記憶媒体は、不飽和パラメータ数値の決定方法を実行するプログラムコードを記憶するものであってもよい。
【0091】
任意選択で、本実施例において、上記記憶媒体は、上記実施例に示したネットワークにおける複数のネットワーク機器のうちの少なくとも1つのネットワーク機器上に配置されていてもよい。
【0092】
任意選択で、本実施例では、記憶媒体は、
予め設定されたモデルに従って、第1の予め設定された個数の決定対象の不飽和パラメータと第2の予め設定された個数の浸透区画での不飽和パラメータの値の範囲を決定するステップと、
不飽和パラメータ及び値の範囲に基づいて、第3の予め設定された個数の不飽和パラメータ組み合わせを生成するステップと、
取得した水力発電工事の観測データに基づいて、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件を得るステップと、
不飽和パラメータ組み合わせ、有限要素モデル及びシミュレーション計算条件に基づいてシミュレーション計算を行い、シミュレーション計算結果を得るステップと、
シミュレーション計算結果及び水力発電工事の観測データに基づいて、目標不飽和パラメータ組み合わせを決定し、不飽和パラメータの数値を得るステップと、を実行するプログラムコードを記憶するように構成される。
【0093】
任意選択で、本実施例における具体例としては、上記の実施例で説明した例を参照することができるが、本実施例ではこれについては詳しく説明しない。
【0094】
任意選択で、本実施例において、上記記憶媒体には、USBメモリ、ROM、RAM、リムーバブルハードディスク、磁気ディスク、光ディスク等、プログラムコードを記憶可能な各種媒体が含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0095】
本明細書の説明において、「本実施例」、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」などを参照する記載とは、その実施例又は例に関連して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の概略的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例を対象とするわけではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方法で組み合わせてもよい。また、当業者は、本明細書に記載された異なる実施例又は例、並びに異なる実施例又は例の特徴を相互に矛盾することなく組み合わせてもよい。本開示の説明において、「複数」とは、特に明示的に特定されない限り、少なくとも2個、例えば2個、3個等を意味する。
【0096】
上記実施例は、明確な説明のための例示に過ぎず、実施例を限定するものではないことは明らかである。当業者にとっては、上記説明に基づいて、他の異なる形態の変化又は変更を行うことができる。ここでは、すべての実装の完全なリストは必要ではなく、また、不可能なことである。すそれによって引き出される明らかな変化又は変更は、本発明の保護範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】