(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016357
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20250124BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
G06T7/00 350B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110932
(22)【出願日】2024-07-10
(31)【優先権主張番号】P 2023118898
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】三村 完
(72)【発明者】
【氏名】寺田 俊行
(72)【発明者】
【氏名】李 想
(72)【発明者】
【氏名】大原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】千葉 宏樹
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA01
5L096FA06
5L096FA52
5L096FA66
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】有価証券や非有価証券の識別や分類に必要な情報の生成にかかる手間を削減する。
【解決手段】情報処理装置10は、識別対象の商品券GTの画像である第1画像を示す第1画像情報を取得する画像情報取得部122と、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を第1画像に対して実行することにより、第1画像の特徴ベクトルを生成する特徴抽出部124と、予め登録された、複数のリファレンスの商品券GTの各々の画像である第2画像の特徴ベクトルと第1画像の特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する距離算出部125と、ベクトル間距離に基づいて、識別対象の商品券GTを識別する識別部126と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別対象の証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得する取得部と、
画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトルを生成する生成部と、
予め登録された、複数のリファレンスの証券の各々の画像である第2画像の前記特徴ベクトルと、前記第1画像の前記特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する算出部と、
前記ベクトル間距離に基づいて、前記識別対象の証券を識別する識別部と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数のリファレンスの証券の各々の前記第2画像の前記特徴ベクトルは、各リファレンスにおいて1つの証券の前記第2画像から、前記生成部で、距離学習により学習されたモデルを使用することで算出されていることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記識別部は、
前記ベクトル間距離が第1距離以下である前記第2画像が特定された場合、前記識別対象の証券の種類が、前記ベクトル間距離が前記第1距離以下である前記第2画像により示される前記リファレンスの証券の種類と同じであると判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ベクトル間距離が前記第1距離以下である前記第2画像が特定された場合に、前記ベクトル間距離が前記第1距離以下である前記第2画像と前記第1画像とを表示装置に表示させる表示制御部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記識別部は、
前記ベクトル間距離が第1距離以下である前記第2画像が特定されない場合、前記第1画像の前記特徴ベクトルを示す特徴情報と前記第1画像情報とを互いに対応付けて、記憶装置に記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
表面特定部をさらに備え、
前記取得部は、
前記識別対象の証券の第1面の画像を示す第1面画像情報と、前記識別対象の証券の前記第1面の反対側の第2面の画像を示す第2面画像情報とを取得し、
前記表面特定部は、
前記第1面画像情報により示される前記第1面の画像に含まれる輪郭の数と、前記第2面画像情報により示される前記第2面の画像に含まれる輪郭の数とに基づいて、前記識別対象の証券の表面と裏面とを特定し、
前記第1面画像情報及び前記第2面画像情報のうち前記表面の画像を示す画像情報を、前記第1画像情報として特定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
識別対象の証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得し、
画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトルを生成し、
リファレンスの証券の画像である第2画像の前記特徴ベクトルと前記第1画像の前記特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出し、
前記ベクトル間距離に基づいて、前記識別対象の証券を識別する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
登録対象の証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得し、
画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトルを生成し、
前記第1画像情報と、前記生成した特徴ベクトルと、前記登録対象の証券の名称及び額面価格とを、互いに対応付けて登録する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
プロセッサを、
識別対象の証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得する取得部と、
画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトを生成する生成部と、
リファレンスの証券の画像である第2画像の前記特徴ベクトルと前記第1画像の前記特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する算出部と、
前記ベクトル間距離に基づいて、前記識別対象の証券を識別する識別部と、
として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の小売店では、貨幣以外に商品券等の有価証券が取り扱われることがある。例えば、商品券を取り扱う小売店では、営業時間の終了後に、使用された商品券を種類別に仕分けする作業等が行われる。このため、例えば、複数枚の商品券を、第1の種類の商品券の種類及び金額と同じ商品券と、第1の種類の商品券とは種類又は金額が異なる商品券とに振り分ける商品券入金機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、POS(Point Of Sales)レジスタ及び釣銭機に商品券入金機を接続することで、小売店等の店員が、顧客から預かった商品券を識別し、購入商品の清算処理を行うことも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-044663号公報
【特許文献2】特開2015-200938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、AI(Artificial Intelligence)を使って商品券を識別する研究が進んでいる。例えば、商品券を振り分ける一般的な方法として、市場に流通している様々な商品券の画像を教師データとして商品券の種類等を学習したモデル(以下、画像識別モデルとも称する)を用いて、商品券の画像を識別する方法が知られている。このような識別方法は、画像識別モデルを作成するために、多くの教師データによる学習が必要である。近年、市場に流通している商品券や地域振興券等の有価証券の種類は増加しており、また有価証券のみでなく、サービス券及びクーポン券等の非有価証券の種類も増加している。このため、画像識別モデルを用いる従来のAIを使った識別方法では、教師データによる学習に非常に多くの時間と手間を要してしまい、振り分ける商品券の識別に必要な情報の生成に膨大な労力がかかるという課題があった。以下では、有価証券及び非有価証券を証券と総称する場合がある。
【0006】
また、近年、小売店等では、顧客が購入した商品を清算する際に、セミセルフレジやセルフレジを利用するケースも増えてきている。そのため、商品券等の有価証券やサービス券の識別を、より短時間で高精度に行うことが望まれている。しかしながら、従来の識別方法では、商品券の識別に10秒以上の時間を要することも有り、また処理時間を短くすると識別の精度が低下してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な態様に係る情報処理装置は、識別対象の証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得する取得部と、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトルを生成する生成部と、予め登録された、複数のリファレンスの証券の各々の画像である第2画像の前記特徴ベクトルと前記第1画像の前記特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する算出部と、前記ベクトル間距離に基づいて、前記識別対象の有価証券を識別する識別部と、を備えている。
【0008】
また、本発明の好適な態様に係る情報処理方法は、識別対象の証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得し、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトルを生成し、リファレンスの証券の画像である第2画像の前記特徴ベクトルと前記第1画像の前記特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出し、前記ベクトル間距離に基づいて、前記識別対象の証券を識別する。
【0009】
また、本発明の好適な態様に係る情報処理方法は、登録対象の証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得し、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトルを生成し、前記第1画像情報と、前記生成した特徴ベクトルと、前記登録対象の証券の名称及び額面価格とを、互いに対応付紐づけて登録する。
【0010】
また、本発明の好適な態様に係るプログラムは、プロセッサを、識別対象の有価証券の画像である第1画像を示す第1画像情報を取得する取得部と、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を前記第1画像に対して実行することにより、前記第1画像の前記特徴ベクトルを生成する生成部と、リファレンスの有価証券の画像である第2画像の前記特徴ベクトルと前記第1画像の前記特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する算出部と、前記ベクトル間距離に基づいて、前記識別対象の有価証券を識別する識別部と、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、証券の識別を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの概要を説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した券種テーブルの一例を説明するための説明図である。
【
図3】券種テーブルに新たな商品券を登録する場合の情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】識別対象の商品券を画像入力装置で読み取った際に、表示装置に表示される確認画面の一例を説明するための説明図である。
【
図5】
図1に示した情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図5に示した表面特定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第1変形例に係る情報処理システムの概要を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。なお、本発明では、情報処理システム1が、商品券GT等の有価証券を種類ごとに識別し分類する有価証券処理システムである場合を例示するが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、情報処理システム1は、有価証券以外の非有価証券(例えば、サービス券、クーポン券、割引券等)を識別するシステムであってもよい。本発明では、有価証券及び非有価証券を証券と称する。
【0014】
[1.第1の実施形態]
先ず、
図1を参照しながら、実施形態に係る情報処理システム1の概要の一例について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の概要を説明するための説明図である。
【0016】
本実施形態では、情報処理システム1が、商品券GT等の有価証券を識別し種類ごとに分類する有価証券処理システムである場合を想定する。また、本実施形態では、有価証券が商品券GTである場合を想定する。
【0017】
情報処理システム1は、例えば、情報処理装置10、画像入力装置20及び表示装置30を有する。
図1に示す例では、情報処理装置10は、画像入力装置20及び表示装置30の各々と通信可能に接続されている。なお、情報処理装置10と画像入力装置20との接続、及び、情報処理装置10と表示装置30との接続は、有線及び無線の一方を用いた接続であってもよいし、有線及び無線の両方を用いた接続であってもよい。また、情報処理装置10等を含む複数の要素間の接続は、例えば、複数の要素間を互いに通信可能にする接続であればよく、ネットワークを介する接続であってもよい。ネットワークは、インターネット及びローカルエリアネットワークを含み得る。
【0018】
本実施形態では、例えば、情報処理装置10、画像入力装置20及び表示装置30が、商品券GTを取り扱う小売店に設置される場合を想定する。この場合、画像入力装置20及び表示装置30の一方又は両方は、情報処理装置10に含まれてもよい。
【0019】
画像入力装置20は、例えば、カメラ及びイメージスキャナ等の光学的な装置である。例えば、画像入力装置20は、商品券GTを撮像することにより、商品券GTの画像を示す画像情報を生成する。画像入力装置20により生成された画像情報は、情報処理装置10に送信される。例えば、画像入力装置20が設置された小売店の従業員等のユーザは、商品券GTを識別し種類ごとに分類する場合に、識別対象の商品券GTを画像入力装置20に読み取らせる。画像入力装置20は、例えば、読み取った商品券GTの画像(識別対象の商品券GTの画像)を示す画像情報を生成し、生成した画像情報を情報処理装置10に送信する。なお、画像入力装置20は、画像情報を図示しない共有メモリに記憶してもよい。この場合、情報処理装置10は、共有メモリから画像情報を読み出してもよい。
【0020】
情報処理装置10としては、任意の情報処理装置を採用することができる。例えば、情報処理装置10は、情報処理装置10の各部を制御する処理装置120と、各種情報を記憶する記憶装置140と、通信装置160とを有する。
【0021】
通信装置160は、情報処理装置10の外部に存在する外部装置との通信を行うためのハードウェアである。
【0022】
記憶装置140は、例えば、処理装置120の作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、制御プログラムPG1等の各種情報を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリとの、一方又は両方を含む。なお、記憶装置140は、情報処理装置10に着脱可能であってもよい。具体的には、記憶装置140は、情報処理装置10に着脱されるメモリカード等の記憶媒体であってもよい。また、記憶装置140は、例えば、情報処理装置10とネットワーク等を介して通信可能に接続された記憶装置(例えば、オンラインストレージ)であってもよい。
【0023】
本実施形態では、記憶装置140は、制御プログラムPG1の他に、券種テーブルTBLを記憶している。なお、券種テーブルTBLについては、後述する
図2において説明される。
【0024】
処理装置120は、情報処理装置10の全体を制御するプロセッサであり、例えば、1又は複数のCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。例えば、処理装置120は、記憶装置140に記憶された制御プログラムPG1を実行することにより、画像情報取得部122、表面特定部123、特徴抽出部124、距離算出部125、識別部126、及び、表示制御部128として機能する。この結果、情報処理装置10は、例えば、商品券GTを識別し種類ごとに集計する有価証券処理装置として機能する。なお、制御プログラムPG1は、ネットワークを介して他の装置から送信されてもよい。
【0025】
また、例えば、処理装置120が複数のCPUを含んで構成される場合、処理装置120の機能の一部又は全部は、これら複数のCPUが制御プログラムPG1等のプログラムに従って協働して動作することで実現されてもよい。また、処理装置120は、1又は複数のCPUに加え、又は、1又は複数のCPUのうち一部又は全部に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されるものであってもよい。この場合、処理装置120の機能の一部又は全部は、DSP等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0026】
このように、本実施形態では、制御プログラムPG1は、処理装置120を画像情報取得部122、表面特定部123、特徴抽出部124、距離算出部125、識別部126、及び、表示制御部128として機能させるためのアプリケーションプログラムを含む。なお、制御プログラムPG1は、例えば、処理装置120が情報処理装置10の各部を制御するためのオペレーティングシステムプログラムを含んでもよい。制御プログラムPG1は、「プログラム」の一例である。また、画像情報取得部122は、「取得部」の一例であり、特徴抽出部124は、「生成部」の一例であり、距離算出部125は、「算出部」の一例である。
【0027】
画像情報取得部122は、例えば、識別対象の商品券GTの画像である第1画像を示す第1画像情報を、通信装置160を介して画像入力装置20から取得する。なお、画像入力装置20が第1画像情報を図示しない共有メモリに記憶する場合、画像情報取得部122は、第1画像情報を共有メモリから取得してもよい。また、画像情報取得部122は、識別対象の商品券GTの第1面の画像を示す第1面画像情報と、識別対象の商品券GTの第1面の反対側の第2面の画像を示す第2面画像情報とを取得してもよい。なお、商品券GTの第1面及び第2面の一方が商品券GTの表面に該当し、第1面及び第2面の他方が商品券GTの裏面に該当する。本実施形態では、画像情報取得部122が第1面画像情報及び第2面画像情報を取得する場合を想定する。
【0028】
表面特定部123は、第1面画像情報により示される第1面の画像に含まれる輪郭の数と、第2面画像情報により示される第2面の画像に含まれる輪郭の数とに基づいて、識別対象の商品券GTの表面と裏面とを特定する。例えば、表面特定部123は、第1面及び第2面のうち、輪郭の数が少ない面を商品券GTの表面として特定し、輪郭の数が多い面を商品券GTの裏面として特定する。そして、表面特定部123は、第1面画像情報及び第2面画像情報のうち表面の画像を示す画像情報を、第1画像情報として特定する。なお、画像に含まれる輪郭の数の算出方法としては、例えば、画像に含まれるエッジを検出する既知の方法(例えば、Canny法)を採用することができる。
【0029】
特徴抽出部124は、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を、画像情報取得部122により取得された第1画像情報により示される第1画像(識別対象の商品券GTの表面の画像)に対して実行することにより、第1画像の特徴ベクトルを生成する。そして、特徴抽出部124は、第1画像の特徴ベクトルを示す特徴情報を生成する。特徴ベクトルを生成する処理は、例えば、畳み込みニューラルネットワークにおける複数の畳み込み層及びプーリング層を含む。本実施形態では、例えば、特徴抽出部124は、互いに同じ券種の複数の画像の特徴ベクトル間の距離を小さくし、互いに異なる券種の複数の画像の特徴ベクトル間の距離を大きくするように学習(距離学習:Metric Learning)されたモデルを用いて、第1画像の特徴ベクトルを生成する。このように、本実施形態では、商品券専用の距離学習が行われたモデルが使用される。
【0030】
距離算出部125は、リファレンスの商品券GTの画像である第2画像の特徴ベクトルと第1画像の特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する。ここで、リファレンスの商品券GTは、例えば、商品券GTの表面の画像(第2画像)の特徴ベクトル、及び、商品券GTの種類(券種)が互いに対応付けられて、券種テーブルTBLに登録されている商品券GTである。例えば、リファレンスの商品券GTには、商品券GTの種類を示す券種情報、及び、商品券GTの表面の画像の特徴ベクトルを示す特徴情報が関連付けられている。
【0031】
識別部126は、ベクトル間距離に基づいて、識別対象の商品券GTを識別し分類する。例えば、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下であるか否かを判定する。そして、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である場合、第1画像と第2画像とが同一又は類似している(関連性が高い)と判定し、ベクトル間距離が第1距離よりも大きい場合、第1画像と第2画像とが異なる(関連性が低い)と判定する。
【0032】
ここで、例えば、第1距離は、第1画像の特徴ベクトルと第2画像の特徴ベクトルとの間の距離(ベクトル間距離)が第1距離以下であれば、第1画像及び第2画像によりそれぞれ示される2つの商品券GTの種類が互いに同じであると見なせる値に設定される。従って、本実施形態では、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定された場合、識別対象の商品券GTの種類が、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像により示されるリファレンスの商品券GTの種類と同じであると判定する。すなわち、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定された場合、特定された第2画像により示されるリファレンスの商品券GTの券種情報を、識別対象の商品券GTの券種情報として特定する。
【0033】
なお、第1距離は任意に設定可能であるが、第1距離を大きく設定すると、識別できる商品券GTの割合は増加するが、誤認識が増えるというリスクがある。一方、第1距離を小さく設定すると、識別できる商品券GTの割合は減少するというリスクがあるが、誤認識を低減させることができる。従って、第1距離は、要求される基準に応じて適切に設定することが好ましい。また、便宜上設定した第1距離を、「1.0」や「10」、「100」とすることで、判断基準の理解を容易にすることも可能である。
【0034】
また、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定されない場合、第1画像の特徴ベクトルを示す特徴情報と第1画像情報とを互いに対応付けて、券種テーブルTBLに登録することもできる。なお、本実施形態では、特徴情報と第1画像情報とを互いに対応付けて券種テーブルTBLに登録することは、特徴情報と第1画像情報とを互いに対応付けて記憶装置140に記憶することに該当する。また、本実施形態では、特徴情報と第1画像情報とを互いに対応付けて記憶装置140等のメモリに記憶することを、特徴情報と第1画像情報とを互いに対応付けて券種テーブルTBLに記憶すると称する場合がある。
【0035】
表示制御部128は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定された場合に、特定された第2画像と第1画像とを表示装置30に表示させる。例えば、表示制御部128は、後述する
図4に示す確認画面SCを表示装置30に表示させる。
【0036】
表示装置30は、外部への出力を実施するディスプレイ等の出力デバイスである。表示装置30は、例えば、情報処理装置10の処理装置120(より詳細には、表示制御部128)による制御のもとで、後述する
図4に示す確認画面SC等の画像を表示する。なお、表示装置30は、情報処理装置10の管理者等による操作を受け付ける操作装置と一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。本実施形態では、表示装置30が操作装置と一体となった構成である場合を想定する。
【0037】
なお、情報処理システム1の構成は、
図1に示す例に限定されない。例えば、情報処理装置10は、情報処理装置10の管理者等による操作を受け付ける操作装置を有してもよい。
【0038】
また、情報処理装置10は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、画像入力装置20及び表示装置30と通信可能に接続されてもよい。この場合、情報処理装置10は、商品券GTを識別し種類ごとに分類するためのサーバとして機能してもよい。例えば、表示装置30として機能する端末装置等により実行されるアプリケーションが、画像情報取得部122、表面特定部123、特徴抽出部124、距離算出部125、識別部126、及び、表示制御部128の各々の処理に関するAPIを呼び出すことによって、商品券GTを識別し種類ごとに分類する処理が実行されてもよい。
【0039】
次に、
図2を参照しながら、券種テーブルTBLの一例について説明する。
【0040】
図2は、
図1に示した券種テーブルTBLの一例を説明するための説明図である。券種テーブルTBLは、例えば、1以上のレコードを有する。
図2に示す例では、券種テーブルTBLは、券種テーブルTBLに登録される商品券GTの複数の種類と1対1に対応する複数のレコードを有する。
【0041】
券種テーブルTBLの各レコードは、例えば、券種情報、画像情報の格納先を示す情報、及び、特徴情報の格納先を示す情報を有する。また、券種情報は、例えば、識別情報、券種名を示す情報、及び、額面価格を示す情報を含む。識別情報は、商品券GTの複数の種類の中から、各種類を識別するための情報である。券種名は、識別情報と対応する商品券GTの種類の名称である。例えば、券種名は、表示装置30が設置された小売店の従業員等に当該小売店で使用された商品券GTの種類を容易に認識させるために、後述する
図4に示す確認画面SCに表示される。額面価格は、商品券GTに記載された金額である。
【0042】
ここで、商品券GTの種類は、例えば、商品券GTの発行元及び額面価格の組み合わせにより区分される。このため、例えば、識別情報が“001”、“002”及び“003”の3つの券種にそれぞれ対応する3つの商品券GTは、商品券GTの発行元は同じであるが、額面価格が互いに異なるため、互いに異なる種類である。また、例えば、識別情報が“003”、“006”及び“022”の3つの券種にそれぞれ対応する3つの商品券GTは、額面価格は同じであるが、商品券GTの発行元が互いに異なるため、互いに異なる種類である。
【0043】
なお、商品券GTの種類は、商品券GTの発行元及び額面価格の組み合わせに限定されない。例えば、商品券GTの種類は、商品券GTの発行元により区分されてもよい。あるいは、例えば、商品券GTの発行元となる一の会社が、互いに異なる複数の銘柄の商品券GTを発行している場合、商品券GTの種類は、商品券GTの発行元、額面価格及び銘柄の組み合わせにより区分されてもよい。商品券GTの銘柄には、全国共通の商品券GT及び地域限定の商品券GT等が含まれてもよい。
【0044】
画像情報の格納先は、例えば、識別情報により示される券種に対応する商品券GTの表面の画像及び裏面の画像をそれぞれ示す画像情報が格納されている記憶領域を示すアドレスである。また、特徴情報の格納先は、例えば、識別情報により示される券種に対応する商品券GTの表面の画像の特徴ベクトルを示す特徴情報が格納されている記憶領域を示すアドレスである。なお、画像情報及び特徴情報の一方又は両方は、券種テーブルTBLが記憶される記憶装置140に記憶されてもよいし、記憶装置140と異なる記憶装置に記憶されてもよい。
【0045】
このように、券種テーブルTBLでは、商品券GTの種類、画像及び特徴ベクトルが互いに対応付けされている。
【0046】
次に券種テーブルTBLに新たな商品券TGを登録する方法を、
図3のフローチャートを使って説明する。
【0047】
図3は、券種テーブルTBLに新たな商品券TGを登録する場合の情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。なお、最初に登録する商品券GTを、
図2の券種テーブルTBLにおいて識別情報が“001”であるXXギフトカード1000円券として説明する。また、以下では、n枚目の商品券GTを商品券GTnと称する場合がある。例えば、
図3では、
図2に示した識別情報“001”のXXギフトカード1000円券、すなわち、最初に登録する商品券GTは、商品券GT1とも称される。また、
図3に示す動作で券種テーブルTBLに登録された商品券TGは、「リファレンスの証券」に該当する。
【0048】
先ず、ステップS51において、処理装置120は、画像情報取得部122として機能し、登録対象の商品券GTの第1面及び第2面の画像をそれぞれ示す第1面画像情報及び第2面画像情報を画像入力装置20から取得する。
【0049】
次に、ステップS52において、処理装置120は、表面特定部123として機能し、第1面及び第2面のどちらの面が商品券GTの表面であるかを特定する表面特定処理を実行する。詳細は
図6において説明されるが、例えば、表面特定部123は、第1面の画像内の輪郭の数と第2面の画像内の輪郭の数とに基づいて、商品券GT1の表面の画像を特定する。
【0050】
なお、ステップS51において、商品券の表面が特定されている場合は、表面の画像のみを取得することで、ステップS52を省略することもできる。
【0051】
次に、ステップS53において、処理装置120は、特徴抽出部124として機能し、ステップS52で特定された商品券GT1の表面の画像(第2画像)の特徴量を示す特徴ベクトルを算出する。すなわち、ステップS53の処理により、第2画像の特徴ベクトルが算出される。
【0052】
特徴ベクトルの算出には、前述のMetric Learning(距離学習)により学習されたモデルを使用する。最初に登録する商品券GT1の特徴ベクトルは、特定の空間のある領域(第1領域)に位置づけられる。
【0053】
次に、ステップS54において、処理装置120は、ステップS52で特定された商品券GT1の表面の画像情報を、
図2に示した画像情報の格納先“ab123”に格納する。また、ステップS53で算出された特徴ベクトルを、
図2に示した特徴情報の格納先“tke98”に格納する。なお、処理装置120は、商品券GT1の表面の画像情報を、ステップS52の直後に格納してもよい。
【0054】
次に、ステップS55において、処理装置120は、券種テーブルTBLの各項目である、商品券GT1の識別情報、券種名、額面価格、画像情報の格納先、及び、特徴情報の格納先を互いに対応付けて券種テーブルTBLに記憶する。これにより商品券GT1の登録は完了する。
【0055】
次に、ステップS56において、処理装置120は、続けて登録する商品券GTが有るか否かを確認し、続けて登録する商品券がない場合は登録完了となる。続けて登録する商品券がある場合は、2枚目の商品券GT2の登録を行う。
【0056】
2枚目に登録する商品券GT2を、
図2の券種テーブルTBLにおいて識別情報が“002”であるXXギフトカード5000円券とする。処理装置120は、商品券GT1と同様に、ステップS51からステップS55の一連の処理を実行する。商品券GT2の表面の画像情報は、
図2に示した画像情報の格納先“kh296”に格納される。また、ステップS53で算出された特徴ベクトルは、
図2に示した特徴情報の格納先“raw47”に格納される。
【0057】
なお、ステップS53の商品券GT2の表面画像の特徴ベクトルの算出は、すでに登録されている商品券GT1の特徴ベクトルを示す第1領域から、距離が離れた領域(第2領域)に位置づけられる。
【0058】
以下、同様にステップS53における3枚目以降のn枚目の商品券GTnの特徴ベクトルは、すでに登録されているn-1枚の商品券のn-1個の領域のそれぞれと、距離が離れた領域(第n領域)に位置づけられる。
【0059】
このようにして券種テーブルTBLには、各商品券TGnの識別情報、券種名、額面価格、画像情報の格納先、及び、特徴情報の格納先が記憶される。
【0060】
このような、券種テーブルTBLに新たな商品券TGを登録する方法は、登録する商品券TGを1枚読み込ませることで、Metric Learning(距離学習)により、既に登録されている商品券GTの特徴ベクトルの空間領域と、所定の距離を隔てた特徴ベクトルの空間領域に位置づけることができる。
【0061】
なお、
図3に示す動作は、情報処理装置10と通信可能に接続されるサーバにより実行されてもよい。また、券種テーブルTBLの構成は、
図2に示す例に限定されない。例えば、券種テーブルTBLの各レコードは、特徴情報の格納先を示す情報の代わりに、特徴情報そのものを含んでもよい。また、例えば、券種テーブルTBLの各レコードは、画像情報の格納先を示す情報の代わりに、画像情報そのものを含んでもよい。
【0062】
次に、
図4を参照しながら、識別対象の商品券TGを識別する際に、表示装置30に表示される確認画面SCの一例について説明する。
【0063】
図4は、識別対象の商品券TGを画像入力装置20で読み取った際に、表示装置30に表示される確認画面SCの一例を説明するための説明図である。例えば、表示装置30は、後述する
図5に示す動作を情報処理装置10が実行した場合に、情報処理装置10の処理装置120(より詳細には、表示制御部128)による制御のもとで、確認画面SCを表示する。例えば、識別対象の商品券GTは、券種テーブルTBLに登録された複数の券種のうち、ベクトル間距離が第1距離以下である券種に分類される。
【0064】
確認画面SCには、例えば、読取順、券種名、額面価格、リファレンス画像RIMG、読取画像、及び、GUI(Graphical User Interface)用の複数のボタンBT等が表示される。
【0065】
読取順は、例えば、画像入力装置20が識別対象の商品券GTを複数読み取った場合の読取順である。券種名は、識別対象の商品券GTの種類の名称である。例えば、券種テーブルTBLに登録された複数の券種のうち、ベクトル間距離が第1距離以下である券種の券種名が、識別対象の商品券GTの券種名として特定される。額面価格は、識別対象の商品券GTの額面価格である。例えば、券種テーブルTBLに登録された複数の券種の額面価格のうち、識別対象の商品券GTと同じ券種の額面価格が、識別対象の商品券GTの額面価格として特定される。また、リファレンス画像RIMGは、券種テーブルTBLに登録された複数の券種のうち、識別対象の商品券GTと同じ券種に対応する商品券GTの表面の画像である。例えば、リファレンス画像RIMGは、券種テーブルTBLに登録された複数の画像情報の格納先のうち、識別対象の商品券GTと同じ券種の画像情報の格納先から読み出される。
【0066】
読取画像は、識別対象の商品券GTの画像(画像入力装置20により読み取られた商品券GTの画像)である。
図4に示す例では、識別対象の商品券GTの画像として、識別対象の商品券GTの表面の画像IIMGf及び裏面の画像IIMGbが確認画面SCに表示される。なお、商品券GTの裏面の画像IIMGb内の番号領域NARは、商品券GTを発行したカード会社が、商品券GTを管理するための商品券番号が記載されている領域である。商品券番号が記載される番号領域NARは、カード会社又は券種によって異なる。また、商品券番号が記載されていない商品券GTも存在する。本実施形態では、商品券GTの分類を中心に情報処理装置10の動作が説明されるため、商品券番号が読み取られない場合を想定するが、商品券番号は、後述する第1変形例に示すように、情報処理装置10により読み取られてもよい。
【0067】
なお、
図4に示す券種名が不明の商品券GT(読取順が“4”の商品券GT)は、券種テーブルTBLに登録された複数の券種のいずれにも該当しないと判定された商品券GTである。この場合、不明の商品券GTに対応する券種が、券種テーブルTBLに新規に登録されてもよい。券種の新規登録等は、例えば、“新規登録”のボタンBT等を押下することにより、
図3に示したフロー(例えば、
図3のステップS54及びS55の一連の処理)に従って券種テーブルTBLへの登録を開始してもよい。
【0068】
商品券GTを識別するユーザは、確認画面SCを確認することにより、識別対象の商品券GTが正しく識別されたか等を容易に確認することができる。例えば、ユーザは、正しく分類された商品券GTを確認画面SC上で選択し、選択した商品券GTの分類を、“確定”のボタンBTを押下することにより、確定してもよい。なお、商品券GTの分類は、“確定”のボタンBTが押下されることなく、確定されてもよい。また、ユーザは、誤って識別された商品券GTを確認画面SC上で選択し、選択した商品券GTの識別(分類)を、“削除”のボタンBTを押下することにより、取り消してもよい。
【0069】
なお、確認画面SCは、
図4に示す例に限定されない。例えば、“削除”、“確定”、及び、“新規登録”等のボタンBTは、確認画面SCに表示されなくてもよい。また、券種テーブルTBLへの券種の新規登録、及び、券種テーブルTBLからの券種の削除等の券種テーブルTBLの編集を行うための操作画面は、確認画面SCとは別に表示装置30に表示されてもよい。
【0070】
次に、
図5及び
図6を参照しながら、情報処理装置10の動作の概要について説明する。
【0071】
図5は、
図1に示した情報処理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示す動作は、商品券GTを識別し種類ごとに集計する場合に実行される。
【0072】
先ず、ステップS100において、処理装置120は、画像情報取得部122として機能し、識別対象の商品券GTの第1面及び第2面の画像をそれぞれ示す第1面画像情報及び第2面画像情報を画像入力装置20から取得する。
【0073】
次に、ステップS200において、処理装置120は、表面特定部123として機能し、第1面及び第2面のどちらの面が商品券GTの表面であるかを特定する表面特定処理を実行する。詳細は
図6において説明されるが、例えば、表面特定部123は、第1面の画像内の輪郭の数と第2面の画像内の輪郭の数とに基づいて、商品券GTの表面の画像を特定する。
【0074】
次に、ステップS300において、処理装置120は、特徴抽出部124として機能し、ステップS200で特定された商品券GTの表面の画像(第1画像)の特徴量を示す特徴ベクトルを算出する。すなわち、ステップS300の処理により、第1画像の特徴ベクトルが算出される。
【0075】
そして、ステップS400において、処理装置120は、距離算出部125として機能し、ステップS300において算出された特徴ベクトル(第1画像の特徴ベクトル)と、予め券種テーブルTBLに登録済のリファレンスの商品券GTのリファレンス特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する。リファレンス特徴ベクトルは、例えば、リファレンスの商品券GTの画像である第2画像の特徴ベクトル(券種テーブルTBLに登録された券種の特徴ベクトル)である。例えば、券種テーブルTBLに複数の券種が登録されている場合、距離算出部125は、複数の券種の各々の特徴ベクトル(すなわち、複数の第2画像の各々の特徴ベクトル)と、第1画像の特徴ベクトルとの間のベクトル間距離を算出する。従って、券種テーブルTBLに複数の券種が登録されている場合、複数の券種に対応する複数のベクトル間距離が算出される。
【0076】
次に、ステップS500において、処理装置120は、識別部126として機能し、ベクトル間距離が第1距離以下であるリファレンス特徴ベクトルを検索する。例えば、処理装置120は、ステップS400で算出されたベクトル間距離が第1距離以下であるか否かを判定する。なお、例えば、複数のベクトル間距離がステップS400で算出された場合、処理装置120は、ステップS400で算出された複数のベクトル間距離の各々に対して、ベクトル間距離が第1距離以下であるか否かを判定する。
【0077】
そして、ステップS520において、処理装置120は、識別部126として機能し、ベクトル間距離が第1距離以下であるリファレンス特徴ベクトルが存在するか否かを判定する。
【0078】
ステップS520における判定の結果が肯定の場合、処理装置120は、処理をステップS600に進める。一方、ステップS520における判定の結果が否定の場合、
図4に示す読取順“4”の商品券GTの様に、券種テーブルTBLに登録された複数の券種のいずれにも該当しないと判定され「不明」として登録される。
【0079】
なお、ステップS520における判定の結果が否定の場合、処理装置120は、
図5のステップS700に進めることもできる。なお、処理装置120は、ステップS520における判定の結果が否定で、ステップS700の処理を実行しない場合は、
図5に示す動作を終了させてもよい。
【0080】
ステップS600において、処理装置120は、識別部126として機能し、識別対象の商品券GTの種類を特定する。例えば、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下であるリファレンス特徴ベクトルに対応する券種を、識別対象の商品券GTの種類として特定する。なお、ベクトル間距離が第1距離以下である複数のリファレンス特徴ベクトルが存在する場合、識別部126は、ベクトル間距離が最小のリファレンス特徴ベクトルに対応する券種を、識別対象の商品券GTの種類として特定してもよい。あるいは、処理装置120は、表示制御部128として機能し、ベクトル間距離が第1距離以下である複数のリファレンス特徴ベクトルに対応する複数の商品券GTの画像と、識別対象の商品券GTの画像とを確認画面SCに表示し、ユーザに選択させてもよい。そして、識別部126は、確認画面SCを介してユーザに選択された商品券GTの種類を、識別対象の商品券GTの種類として特定してもよい。
【0081】
このように、識別対象の商品券GTは、ステップS600で特定された種類に分類される。
【0082】
次に、ステップS620において、処理装置120は、表示制御部128として機能し、識別対象の商品券GTの画像等を表示装置30に表示させる。例えば、表示制御部128は、確認画面SCを表示装置30に表示させる。これにより、例えば、ベクトル間距離が第1距離以下であるリファレンスの商品券GTの画像(例えば、
図4のリファレンス画像RIMG)と、識別対象の商品券GTの画像(例えば、
図4の商品券GTの画像IIMGf及びIIMGb)とが表示装置30に表示される。
【0083】
また、ステップS700において、処理装置120は、識別部126として機能し、
図3に示したフロー(例えば、
図3のステップS54及びS55の一連の処理)に従って、識別対象の商品券GTの画像及び特徴ベクトルを互いに対応付けて、券種テーブルTBLに登録する。これにより、例えば、識別対象の商品券GTの画像である第1画像を示す第1画像情報と、第1画像の特徴ベクトルを示す特徴情報とが、互いに対応付けられて記憶装置140に記憶される。
【0084】
例えば、ユーザは、
図4に示した確認画面SCを介して、種類が特定されなかった商品券GTの券種情報を券種テーブルTBLに登録してもよい。なお、券種情報に含まれる識別情報は、処理装置120(例えば、識別部126)により自動的に分類されてもよい。
【0085】
また、例えば、ステップS700の処理が実行された場合、識別対象の商品券GTの種類は、特定されずに不明である。このため、処理装置120は、当該識別対象の商品券GTの種類が不明である旨をユーザに通知してもよい。この場合、ユーザは、当該識別対象の商品券GTを画像入力装置20に再度読み取らせることにより、情報処理装置10に
図5に示す動作を再度実行させてもよい。例えば、画像入力装置20による商品券GTの読み取りの精度によっては、種類が特定されなかった商品券GTであっても、画像入力装置20により再度読み取られた画像を用いることにより、商品券GTの種類が特定される場合がある。
【0086】
ステップS700の処理が実行された場合は、ステップS700が終了することにより、
図5に示す動作が終了する。なお、ステップS600及びS620の一連の処理が実行された場合は、ステップS620の処理が終了することにより、
図5に示す動作が終了する。
【0087】
このように、本実施形態では、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定された場合、識別対象の商品券GTの種類が、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像により示されるリファレンスの商品券GTの種類と同じであると判定する。そして、表示制御部128は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像と第1画像とを表示装置30に表示させる。また、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定されない場合、第1画像の特徴ベクトルを示す特徴情報と第1画像情報とを互いに対応付けて、記憶装置140に記憶する。
【0088】
次に、
図6を参照しながら、ステップS200の表面特定処理について説明する。
【0089】
図6は、
図5に示した表面特定処理の一例を示すフローチャートである。例えば、表面特定部123として機能する処理装置120は、
図5に示したステップS200の表面特定処理として、
図6に示すステップS220からステップS280までの一連の処理を実行する。従って、ステップS220の処理は、
図5に示したステップS100の処理が実行された後に実行される。また、ステップS280の処理が実行された後、
図5に示したステップS300の処理が実行される。
【0090】
先ず、ステップS220において、表面特定部123は、第1面の画像(第1面画像情報により示される画像)に含まれる輪郭の数(以下、輪郭数N1とも称する)を算出する。
【0091】
次に、ステップS222において、表面特定部123は、第2面の画像(第2面画像情報により示される画像)に含まれる輪郭の数(以下、輪郭数N2とも称する)を算出する。
【0092】
そして、ステップS240において、表面特定部123は、輪郭数N1が輪郭数N2以下であるか否かを判定する。
【0093】
ステップS240における判定の結果が肯定の場合、表面特定部123は、ステップS260において、第1面及び第2面のうち、輪郭の数が少ない第1面を商品券GTの表面として特定し、処理をステップS280に進める。
【0094】
一方、ステップS240における判定の結果が否定の場合、表面特定部123は、ステップS262において、第1面及び第2面のうち、輪郭の数が少ない第2面を商品券GTの表面として特定し、処理をステップS280に進める。
【0095】
ステップS280において、表面特定部123は、商品券GTの表面の画像を、特徴ベクトルが算出される画像(第1画像)に特定する。
【0096】
一般的な商品券GTでは、商品券GTの取扱店、及び、注意事項等が裏面に記載されているため、表面の方が裏面よりも輪郭の数が少ない。このため、本実施形態では、上述したように、第1面及び第2面のうち、輪郭の数が少ない面が商品券GTの表面として特定される。
【0097】
なお、例えば、光学文字認識(OCR:Optical character recognition)技術を用いて、画像に含まれる文字を認識する文字認識処理により、第1面の文字数及び第2面の文字数を算出する方法が採用されてもよい。この場合、第1面及び第2面のうち、文字数が少ない面が商品券GTの表面として特定される。但し、画像に含まれる文字の数を文字認識処理により算出する処理では、画像に含まれる輪郭の数を算出する処理に比べて、処理にかかる時間が増加する傾向がある。すなわち、画像に含まれる輪郭の数を算出する処理にかかる時間は、画像に含まれる文字の数を文字認識処理により算出する処理にかかる時間に比べて、短くなる。このため、本実施形態では、第1面及び第2面の各々の画像に含まれる文字の数を文字認識処理により算出する態様に比べて、商品券GTの表面を特定する表面特定処理にかかる時間を短くすることができる。
【0098】
また、情報処理装置10の動作は、
図3、
図5及び
図6に示した例に限定されない。例えば、画像入力装置20が商品券GTを読み取る際に表面及び裏面が指定される場合、
図3に示した動作からステップS52の表面特定処理が省かれ、
図5に示した動作からステップS200の表面特定処理が省かれてもよい。また、例えば、商品券GTの裏面に記載された情報(例えば、商品券番号等)を参照しない態様では、画像情報取得部122は、識別対象の商品券GTの裏面の画像を示す画像像情報を取得しなくてもよい。例えば、画像情報取得部122は、識別対象の商品券GTの表面の画像を示す画像像情報を第1画像情報として画像入力装置20から取得する。この場合においても、
図3に示した動作からステップS52の表面特定処理が省かれ、
図5に示した動作からステップS200の表面特定処理が省かれてもよい。また、例えば、
図6のステップS222の処理は、ステップS220の処理より先に実行されてもよいし、ステップS220の処理と並列に実行されてもよい。
【0099】
また、
図5では、情報処理装置10の動作を分かり易くするために、識別対象の1つの商品券GTを識別し分類する場合の情報処理装置10の動作が示されている。従って、複数の商品券GTを分類する場合には、
図5に示す動作が繰り返し実行される。なお、複数の商品券GTを分類する場合には、識別対象の複数の商品券GTの画像情報を全て取得した後、ステップS200からS620までの一連の処理が繰り返し実行されてもよい。
【0100】
また、例えば、
図5に示した動作で種類が特定されなかった商品券GTの券種情報を券種テーブルTBLに登録する作業は、ステップS700の処理が実行される度に実行されてもよい。あるいは、
図5に示した動作で種類が特定されなかった商品券GTの券種情報を券種テーブルTBLに登録する作業は、ステップS100からステップS700までの一連の処理が複数の商品券GTの全てに対して実行された後に、実行されてもよい。
【0101】
ここで、本実施形態では、上述したように、商品券専用の距離学習が行われたモデルが商品券GTの識別に使用される。なお、商品券GTを識別する一般的な方法(以下、対比例とも称する)では、例えば、商品券GTを種類ごとに識別するように学習した画像識別モデルが使用される。画像識別モデルを使用する対比例では、画像識別モデルを作成するために、商品券GTの種類を識別するための学習を多くの教師データを用いて券種ごとに行う必要である。また、対比例では、画像識別モデルの作成に使用されていない新しい券種を画像識別モデルに学習させる場合、新しい券種用の多くの教師データが必要である。このため、対比例では、学習に必要な時間と手間が増加する。
【0102】
これに対し本実施形態における商品券専用の距離学習では、新しい券種を券種テーブルTBLに追加する場合、1枚の画像で学習が完了する。このため、本実施形態では、新しい券種の追加(リファレンスの券種の追加)をユーザが簡易に実行することができる。すなわち、商品券専用のMetric Learning(距離学習)により生成されたモデルを使用しているため、券種ごとに多くの教師データを用いて学習させる必要がない。このため、
図3のフローチャーで示したように、新規の商品券GTを登録する際は、リファレンスとなる1枚の商品券GTを読み込ませるだけで登録が完了するため、学習に必要な時間と手間を削減させることができる。すなわち、本実施形態では、商品券GTの識別に必要な情報の生成にかかる手間を削減することができる。
【0103】
また、本実施形態では、画像識別モデルに比べて、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成し、予め登録されたリファレンスの特徴ベクトルとの距離であるベクトル間距離を算出するだけの軽量なモデルを使用している。従って、
図5のフローチャートで示した新たな識別対象の商品券GTを識別する際に、従来に比べ高速に処理することが可能である。また、一般的なパーソナルコンピュータを情報処理装置10として採用することができるため、コスト的にも安価に実現することが可能である。
【0104】
また、本実施形態では、商品券GT全体の画像から特徴ベクトルが抽出される。そして、2つの特徴ベクトル間の距離(ベクトル間距離)に基づいて、2つの特徴ベクトルに対応する2つの商品券GTが同じ種類であるか否かが判定される。このため、本実施形態では、商品券GTの汚れ、メモ書き及び印影等のノイズによって、商品券GTの種類を特定する精度が低下することを抑制することができる。
【0105】
以上、本実施形態では、情報処理装置10は、識別対象の商品券GTの画像である第1画像を示す第1画像情報を取得する画像情報取得部122と、画像の特徴量を示す特徴ベクトルを生成する処理を第1画像に対して実行することにより、第1画像の特徴ベクトルを生成する特徴抽出部124と、予め登録された、複数のリファレンスの商品券GTの各々の画像である第2画像の特徴ベクトルと第1画像の特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離を算出する距離算出部125と、ベクトル間距離に基づいて、識別対象の商品券GTを識別する識別部126と、を備えている。
【0106】
このように、本実施形態では、識別対象の商品券GTの画像である第1画像の特徴ベクトルとリファレンスの商品券GTの画像である第2画像の特徴ベクトルとの間の距離であるベクトル間距離に基づいて、識別対象の商品券GTが識別され分類される。このため、本実施形態では、商品券GTの種類を識別するための学習を多くの教師データを用いて券種ごとに行う必要がない。これにより、本実施形態では、学習に必要な時間と手間とを削減することができる。すなわち、本実施形態では、商品券GTの識別に必要な情報(例えば、学習済モデル)の生成にかかる手間を削減することができる。
【0107】
また、本実施形態では、複数のリファレンスの商品券GTの各々の第2画像の特徴ベクトルは、各リファレンスにおいて1つの商品券GTの第2画像から、特徴抽出部124で、距離学習により学習されたモデルを使用することで算出されている。これにより、本実施形態では、リファレンスの商品券GTの追加をユーザが簡易に実行することができる。
【0108】
また、本実施形態では、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定された場合、識別対象の商品券GTの種類が、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像により示されるリファレンスの商品券GTの種類と同じであると判定する。このように、本実施形態では、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像により示されるリファレンスの商品券GTの種類が、識別対象の商品券GTの種類として特定される。これにより、本実施形態では、識別対象の商品券GTを種類ごとに容易に識別し分類することができる。
【0109】
また、本実施形態では、情報処理装置10は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定された場合に、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像と第1画像とを表示装置30に表示させる表示制御部128をさらに有する。このように、本実施形態では、識別対象の商品券GTの画像(第1画像)、及び、識別対象の商品券GTと同じ種類のリファレンスの商品券GTの画像(第2画像)が、表示装置30に表示される。これにより、本実施形態では、識別対象の商品券GTが正しく分類されたか等の確認をユーザが容易に実行することができる。この結果、本実施形態では、識別対象の商品券GTが誤って分類された状態で、商品券GTの分類作業等が終了することを抑制することができる。
【0110】
また、本実施形態では、識別部126は、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定されない場合、第1画像の特徴ベクトルを示す特徴情報と第1画像情報とを互いに対応付けて、記憶装置140に記憶する。この場合、例えば、記憶装置140に記憶された第1画像情報及び特徴情報に対応付けて、第1画像情報により示される商品券GTの種類を示す券種情報が記憶装置140に記憶されることにより、リファレンスの商品券GTが新たに登録される。このように、本実施形態では、ベクトル間距離が第1距離以下である第2画像が特定されない場合、識別対象の商品券GTをリファレンスの商品券GTとして容易に登録することができる。
【0111】
また、本実施形態では、情報処理装置10は、表面特定部123をさらに有する。画像情報取得部122は、識別対象の商品券GTの第1面の画像を示す第1面画像情報と、識別対象の商品券GTの第1面の反対側の第2面の画像を示す第2面画像情報とを取得する。表面特定部123は、第1面画像情報により示される第1面の画像に含まれる輪郭の数と、第2面画像情報により示される第2面の画像に含まれる輪郭の数とに基づいて、識別対象の商品券GTの表面と裏面とを特定し、第1面画像情報及び第2面画像情報のうち表面の画像を示す画像情報を、第1画像情報として特定する。
【0112】
このように、本実施形態では、識別対象の商品券GTの第1面及び第2面の各々の画像に含まれる輪郭の数に基づいて、識別対象の商品券GTの表面と裏面とが特定される。これにより、本実施形態では、ベクトル間距離の算出に用いられる第1画像の特徴ベクトルが、商品券GTの裏面の画像から抽出されることを抑制することができる。この結果、本実施形態では、識別対象の商品券GTの種類を効率よく特定することができる。また、例えば、ユーザは、商品券GTの表面及び裏面を意識することなく、画像入力装置20に商品券GTを読み取らせることができる。このため、本実施形態では、情報処理装置10に識別対象の商品券GTを分類させる場合の使い勝手を向上させることができる。また、本実施形態では、画像に含まれる輪郭の数に基づいて商品券GTの表面が特定されるため、画像に含まれる文字の数に基づいて商品券GTの表面が特定される場合に比べて、商品券GTの表面を特定する表面特定処理にかかる時間を短縮することができる。
【0113】
[2.変形例]
本発明は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
【0114】
[第1変形例]
上述した実施形態において、情報処理装置10は、カード会社が商品券GTを管理するための商品券番号を、識別対象の商品券GTから読み取ってもよい。
【0115】
図7は、第1変形例に係る情報処理システム1の概要を説明するための説明図である。
図1から
図6において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0116】
図7に示す情報処理システム1は、
図1に示した情報処理システム1と同一の構成である。例えば、情報処理システム1は、処理装置120、記憶装置140及び通信装置160を含む情報処理装置10と、画像入力装置20と、表示装置30とを有する。但し、情報処理装置10が有する記憶装置140に記憶される制御プログラムPG2は、
図1に示した制御プログラムPG1と相違する。なお、制御プログラムPG2は、「プログラム」の一例である。本実施形態では、制御プログラムPG2は、処理装置120を画像情報取得部122、表面特定部123、特徴抽出部124、距離算出部125、識別部126、文字認識部127及び表示制御部128として機能させるためのアプリケーションプログラムを含む。なお、制御プログラムPG2は、例えば、処理装置120が情報処理装置10の各部を制御するためのオペレーティングシステムプログラムを含んでもよい。また、制御プログラムPG2は、ネットワークを介して他の装置から送信されてもよい。
【0117】
図7に示す処理装置120は、
図1に示した制御プログラムPG1の代わりに制御プログラムPG2を実行することを除いて、
図1に示した処理装置120と同様である。例えば、処理装置120は、記憶装置140に記憶された制御プログラムPG2を実行することにより、画像情報取得部122、表面特定部123、特徴抽出部124、距離算出部125、識別部126、文字認識部127、及び、表示制御部128として機能する。すなわち、本変形例では、処理装置120が文字認識部127として機能する点が、上述した実施形態と相違する。
【0118】
画像情報取得部122、画像情報取得部122、表面特定部123、特徴抽出部124、距離算出部125、識別部126、及び、表示制御部128は、上述した実施形態と同様である。以下では、上述した実施形態と相違する文字認識部127を中心に説明する。
【0119】
文字認識部127は、識別部126により識別された商品券GTの裏面の画像IIMGb内の番号領域NARに対して文字認識処理を実行することにより、画像IIMGb内の番号領域NARに記載された商品券番号を認識する。なお、商品券番号が記載される番号領域NARは、
図4において説明したように、カード会社又は券種によって異なる。このため、文字認識部127は、商品券番号の読み取り対象となる商品券GTの種類に基づいて、番号領域NARの位置を特定する。そして、文字認識部127は、商品券GTの裏面の画像IIMGb内の番号領域NARに対して文字認識処理を実行する。
【0120】
番号領域NARに対して文字認識処理が実行されることにより、識別対象の商品券GTの商品券番号が認識される。例えば、文字認識部127は、商品券GTの裏面の画像IIMGb内の番号領域NARに対する文字認識処理により認識した商品券番号を示す文字情報を生成する。なお、文字認識部127は、例えば、番号領域NARに記載された商品券番号を示す文字画像を文字認識処理により文字コードに変換することにより、文字情報を生成してもよい。また、文字認識部127は、画像入力装置20が第1画像情報を図示しない共有メモリに記憶する場合、文字認識処理により認識した商品券番号を示す文字情報を、第1画像情報に対応付けて共有メモリに記憶してもよい。
【0121】
文字認識部127による識別対象の商品券GTの商品券番号を認識する文字認識処理は、例えば、
図5に示したステップS600の処理が実行された後に、実行される。従って、本変形例では、識別対象の商品券GTの種類が不明である場合、商品券GTの商品券番号を認識する文字認識処理は、実行されない。これにより、本変形例では、商品券GTの商品券番号を認識する文字認識処理を効率よく実行することができる。
【0122】
また、表示制御部128は、
図5に示したステップS620において、識別対象の商品券GTの画像等に加えて、文字認識部127により認識された商品券番号を表示装置30に表示させてもよい。
【0123】
以上、本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本変形例では、券種が特定された商品券GTから商品券番号が読み取られるため、読み取った商品券GTを使用済の商品券GTとして特定し処理(消込処理)することができ、商品券GTの管理等の作業を効率よく実行することができる。
【0124】
[第2変形例]
上述した実施形態及び変形例において、1つの券種情報に複数の商品券GTの画像が対応付けられてもよい。この場合、例えば、複数の商品券GTの画像から抽出された複数の特徴ベクトルが1つの券種情報に対応付けられる。本変形例では、例えば、デザインの変更等により、同一券種の商品券GTに対して複数のデザインの商品券GTが存在する場合においても、リファレンスの商品券GTの管理が煩雑になることを抑制しつつ、商品券GTを種類ごとに識別することができる。
【0125】
以上、本変形例においても、上述した第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0126】
[第3変形例]
上述した実施形態及び変形例では、情報処理システム1が商品券GT等の有価証券を種類ごとに識別する有価証券処理システムである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、情報処理システム1は、有価証券以外の非有価証券(例えば、サービス券、クーポン券、割引券等)を識別するシステムであってもよい。以上、本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0127】
[第4変形例]
上述した実施形態及び変形例では、情報処理システム1が商品券GT等の有価証券を識別し種類ごとに分類する有価証券処理システムである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、情報処理システム1は、POSレジスタ等の既存のシステム上に組み込まれてもよい。この場合、既存のアプリケーションが、画像情報取得部122、表面特定部123、特徴抽出部124、距離算出部125、識別部126、及び、表示制御部128の各々の処理に関するAPI(Application Programming InterFace)を呼び出すことによって、商品券GTを識別し種類ごとに分類する処理が実行されてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1…情報処理システム、10…情報処理装置、20…画像入力装置、30…表示装置、120…処理装置、122…画像情報取得部、123…表面特定部、124…特徴抽出部、125…距離算出部、126…識別部、127…文字認識部、128…表示制御部、140…記憶装置、160…通信装置、GT…商品券。