(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016362
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】ウォーターアクティビティ用マスク
(51)【国際特許分類】
B63C 11/12 20060101AFI20250124BHJP
A41D 13/11 20060101ALI20250124BHJP
【FI】
B63C11/12
A41D13/11 L
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024112174
(22)【出願日】2024-07-12
(31)【優先権主張番号】63/514,922
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508126022
【氏名又は名称】誠加興業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】薛 志誠
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA00
3B211AB12
3B211AC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マスクの小型化、携帯性及び使用の安全性を向上すること。
【解決手段】ウォーターアクティビティ用マスクは、2つのレンズと、防水密封スカート及び緊締装置を含む。前記防水密封スカートには、2つのレンズフレームと、鼻マスク部及び後縁が一体的に形成されている。前記2つのレンズフレームはそれぞれ独立している。各レンズフレームは内側部を有する。前記2つのレンズは、それぞれ、前記2つのレンズフレームに防水状に嵌め込まれる。前記鼻マスク部は、前記2つのレンズフレームの間から前方へ突出する。前記後縁は使用者の顔部に密着する。前記使用者が前記緊締装置を用いて前記マスクを装着するときに、前記2つのレンズフレームの前記内側部は、前記使用者の2つの眼窩骨にそれぞれ隣接可能となる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォーターアクティビティ用マスクにおいて、
2つのレンズと、
それぞれ独立している2つのレンズフレームであって、各々が内側部を有し、前記2つのレンズがそれぞれ防水状に嵌め込まれる2つのレンズフレームと、
前記2つのレンズフレームを接続するとともに、前記2つのレンズフレームの間から前方へ突出する鼻マスク部と、
使用者の顔部に密着可能な後縁、が一体的に形成されている防水密封スカートと、
前記防水密封スカートの2つの外端の間に設けられる緊締装置と、
を含み、
前記使用者が前記緊締装置を用いて前記マスクを装着するときに、前記2つのレンズフレームの前記内側部は、前記使用者の2つの眼窩骨にそれぞれ隣接可能となるマスク。
【請求項2】
更に、2つの接続部を含み、前記2つの接続部のうちの一方は、前記鼻マスク部と、前記2つのレンズフレームのうちの一方との間に形成され、且つ、前記2つの接続部のうちの他方は、前記鼻マスク部と、前記2つのレンズフレームのうちの他方との間に形成され、
前記使用者が前記マスクを装着するときに、前記鼻マスク部は前記使用者の鼻全体を覆うことが可能であり、
前記2つの接続部は、実質的に前記使用者の前記顔部の頬骨を覆う請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記後縁は、前記鼻マスク部の上部の上方に形成されるノッチ部を有し、前記ノッチ部は、わずかに前方へ突出して隆起領域を形成し、
前記使用者が前記マスクを装着するときに、前記隆起領域は、前記使用者の顔部における眉間と鼻骨で定義される輪郭に沿って密着可能となる請求項2に記載のマスク。
【請求項4】
各前記レンズフレームの上部、下部及び前記内側部のうちの少なくとも1つには補強構造が設けられており、前記使用者が前記マスクを装着するときに、前記補強構造は、前記使用者の前記2つの眼窩骨の少なくとも一部に密着する請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
前記補強構造は、前記2つのレンズフレームそれぞれの前記上部及び前記下部のうちの少なくとも1つに設けられ、且つ、前記補強構造は、前記防水密封スカートにより一体的に成形される陥凹領域である請求項4に記載のマスク。
【請求項6】
前記補強構造は補強リブであり、前記防水密封スカートの内側に固定されるか、前記防水密封スカートと一体的に成形される請求項4に記載のマスク。
【請求項7】
前記補強リブは前記防水密封スカートと異なる材質で製造され、且つ、20~60の間のショアA硬度を有する請求項6に記載のマスク。
【請求項8】
前記補強リブは、前記防水密封スカートの厚さを増大させることで形成され、且つ、40~80の間のショアA硬度を有する請求項6に記載のマスク。
【請求項9】
前記補強構造は、各前記レンズフレームの前記内側部に設けられるガスケットである請求項4に記載のマスク。
【請求項10】
各前記レンズフレームの内縁には、各前記レンズが相応に防水状に嵌め込まれる環状の溝が形成されている請求項1に記載のマスク。
【請求項11】
前記2つのレンズフレームと前記2つのレンズは一体的にオーバーモールド成形される請求項1に記載のマスク。
【請求項12】
前記緊締装置は弾性のヘッドバンドである請求項1に記載のマスク。
【請求項13】
更に、前記鼻マスク部の内部空間に対し流体を連通可能とするシュノーケルを含む請求項1~12のいずれか1項に記載のマスク。
【請求項14】
更に、互いに流体を連通させるマウスピース部、排水弁部及び鼻連通部を有する三方管を含み、前記鼻連通部は前記鼻マスク部の前記内部空間に対し流体を連通させる請求項13に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターアクティビティ用マスクに関し、特に、水泳、シュノーケリング、フリーダイビング、ボウフィッシング等のウォーター(水上及び水中を含む)アクティビティ用のマスクに関し、且つ、通常は使用者の目及び鼻を覆うマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のウォーターアクティビティ用マスクには、一般的に、例えば、目のみを覆うスイミングゴーグルや、目及び鼻を同時に覆うシュノーケルマスクのほか、シュノーケルマスクと類似の構造を有する一般的なダイビングマスク、トレーニング用のスイミングゴーグル、フリーダイビング及びボウフィッシング用のマスク等がある。このようなマスは、一眼式と二眼式の2種類に大別可能である。
【0003】
例えば、
図1Aに示すように、一眼式マスク1aは、レンズ11a、レンズフレーム13a、防水密封スカート15a及びヘッドバンド17aを含む。一眼式マスク1aを組み立てるには、レンズ11a、防水密封スカート15a及びヘッドバンド17aを全てレンズフレーム13aに接続せねばならない。また、
図1Bに示すように、二眼式マスク1bは、左右の目を別々に覆う2つの独立したレンズ11bと、レンズフレーム13b、防水密封スカート15b及びヘッドバンド17bを含む。二眼式マスク1bを組み立てる場合にも、レンズ11b、防水密封スカート15b及びヘッドバンド17bを全てレンズフレーム13bに接続せねばならない。この点は、一眼式マスク1aと同様である。違いは、一眼式マスク1aの中央のブリッジ部位が、レンズ11a及びレンズフレーム13aの直接的且つ連続的な連結により構成されるのに対し、二眼式マスク1bの中央のブリッジ部位はレンズフレーム13bのみで構成される点だけである。
【0004】
しかしながら、一眼式マスク1aか二眼式マスク1bかに関わらず、装着時に硬質のレンズフレーム又はレンズが鼻梁に接触するのを避けるために、レンズ領域は、前方に突出させて、使用者の目から一定の距離だけ離す必要がある。そのため、視野の面では、ウォーターアクティビティ中の視野が十分となるよう、当然ながら、レンズのサイズを一定程度まで大きくしなければ、レンズフレームに遮られてしまう。また、視界の歪みの防止については、硬質のレンズフレーム及び/又はレンズにより左右のレンズを連結することで、左右2つのレンズ間の一体性を確保せねばならない。そうしなければ、左右のレンズが水圧を受けて過剰な相対変位又は反りを生じることで、水中での使用者の視界が歪み、ひいてはめまいを生じさせる。
【0005】
また、防水面では、一眼式マスク1aの場合を例示すると(ただし、二眼式マスク1bにも同様の問題が存在する)、
図1Cに示すように、防水密封スカート15aは、水密(watertight)可能な後縁15a1を備えていなければならない。後縁15a1は、使用者の額、頬骨の両側及び人中部位を取り囲む防水リングを構成するよう、十分な幅を有している必要がある。しかしながら、このような構造は、
図1Dに示すように、レンズフレーム13a及びレンズ11aの領域が相対的に重く、且つ、使用者の目UEから離れる。よって、構造上、下向きの引っ張り力が発生して、防水密封スカート15aの水密効果に影響を及ぼす。この場合には、マスク1aがより良好な装着バランス及び安定性を発揮できるよう、防水密封スカート15aの壁厚(特に、両側及び上方の壁厚)を増大させる必要がある。
【0006】
そのほか、使用者の年齢や人種の違いによって、顔型や輪郭も大きく異なる。特に、鼻骨の上方領域から眉間までは上下の落差が極めて大きいことから、この落差を避けて、レンズフレームの中央領域が眉間と接触しないようにするためには、設計上、レンズフレーム13aとレンズ11aの領域を外側に押し出すか、左右のレンズの間のブリッジ部位を更に上方に置く設計とすることで、張り出した眉間を避けねばならない(
図1E参照)。しかしながら、これらの設計は、マスクの小型化及び軽量化にとって明らかに不利である。
【0007】
加えて、理解し得るように、上記の構造的制約から、フリーダイビング、ボウフィッシング又は水泳トレーニングを行う際に、目や鼻を覆うマスク内では呼吸ができなくなる。そのため、使用者は、空気を十分に吸い込んで息を止めてから、一定時間内に必要な活動を終えなければならない。また、マスク内の容積が大きすぎる場合には、水圧がかかると、マスク内の空間が圧縮されて使用者の顔部を押圧してしまう。そのため、使用者は、マスク内の圧力のバランスを取るために、しばしば息をわずかに吐かざるを得ない。こうして、溜めた息が犠牲になることで、活動時間の長さに深刻な影響が及ぶ。
【0008】
また、フルフェイスマスクの構造において、マスクの内部が呼吸を可能とする吸排気構造となっている場合には、一回換気量及び負圧理論より、マスク内の容積が大きすぎると、二酸化炭素が急速に蓄積されるとの欠点も存在し、安全性についての懸念もある。これらの問題は、いずれもマスクが大きすぎることに起因する。よって、推察し得るように、現在の設計は、マスクの小型化、携帯性及び使用の安全性にとって明らかに不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に鑑みて、上記の課題を部分的又は全面的に解決可能なウォーターアクティビティ用マスクを設計することが、業界が全力で追求する目標となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的の1つは、左側のレンズフレームと右側のレンズフレームが実質的に互いに独立しており、且つ、それらの設置位置が使用者の左右の眼窩骨(orbital bone)にそれぞれ対応しているとともに、左側のレンズと右側のレンズも実質的に互いに独立しており、且つ、使用者の左右の目にそれぞれ対応しているウォーターアクティビティ用マスクを提供することである。また、左右のレンズフレームの間には硬質のブリッジ部材が存在せず、軟質の防水密封スカートが左右のレンズフレームを連結する主な役割を果たす。
【0011】
視野の面では、マスクのレンズが目に相当接近可能となることから、レンズのサイズを大きくしすぎなくても広い視野が得られ、レンズフレームに遮られることがない。また、視界の歪みの防止については、硬質のレンズフレーム及び硬質のブリッジ部材が存在しなくても、マスクが水圧の作用を受けた場合に、左右のレンズフレームが使用者の左右の眼窩骨に直接当接し得るため、これらに相対変位や反りが発生することはなく、視界の歪みやめまいといった現象は発生しない。このような構造では、レンズフレーム及びレンズ領域の重さが大幅に減少するとともに、目からの距離も大幅に小さくなるため、防水密封スカートがレンズフレームやレンズに引っ張られることがなく、自ずと水密の負担が減少する。そのため、防水面において、本発明の防水密封スカートの中央最上部は、使用者の眉間(glabella)領域(最適には、それよりも1cm上又は1cm下の範囲内)まで下方に設計することができる。また、その軟質材料が各使用者の当該領域における高低差にフィットするため、防水密封スカートの壁厚を変更しなくても、大変優れた水密効果を提供できる。これらの設計は、いずれもマスク全体の体積及び内容積を著しく縮小可能とする。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、2つのレンズと、防水密封スカート及び緊締装置を含むウォーターアクティビティ用マスクを開示する。前記防水密封スカートには、2つのレンズフレームと、鼻マスク部及び後縁が一体的に形成されている。前記2つのレンズフレームはそれぞれ独立している。各レンズフレームは内側部を有する。前記2つのレンズは、それぞれ、前記2つのレンズフレームに防水状に嵌め込まれる。前記鼻マスク部は、前記2つのレンズフレームを接続するとともに、当該2つのレンズフレームの間から前方へ突出する。前記後縁は使用者の顔部に密着可能である。前記緊締装置は、前記防水密封スカートの2つの外端の間に設けられる。前記使用者が前記緊締装置を用いて前記マスクを装着するときに、前記2つのレンズフレームの前記内側部は、前記使用者の2つの眼窩骨にそれぞれ隣接可能となる。
【0013】
一事例において、前記マスクは更に2つの接続部を含む。当該2つの接続部のうちの一方は、前記鼻マスク部と、前記2つのレンズフレームのうちの一方との間に形成され、且つ、当該2つの接続部のうちの他方は、前記鼻マスク部と、前記2つのレンズフレームのうちの他方との間に形成される。前記使用者が前記マスクを装着するときに、前記鼻マスク部は前記使用者の鼻全体を覆うことが可能であり、前記2つの接続部は、実質的に前記使用者の前記顔部の頬骨を覆う。
【0014】
一事例において、前記後縁は、前記鼻マスク部の上部の上方に形成されるノッチ部(notch portion)を有する。当該ノッチ部は、わずかに前方へ突出して隆起領域を形成する。前記使用者が前記マスクを装着するときに、前記隆起領域は、前記使用者の顔部における眉間と鼻骨で定義される輪郭に沿って密着可能となる。
【0015】
一事例において、各前記レンズフレームの上部、下部及び前記内側部のうちの少なくとも1つには補強構造が設けられている。前記使用者が前記マスクを装着するときに、前記補強構造は、前記使用者の前記2つの眼窩骨の少なくとも一部に密着する。
【0016】
一事例において、前記補強構造は、前記2つのレンズフレームそれぞれの前記上部及び前記下部のうちの少なくとも1つに設けられる。且つ、前記補強構造は、前記防水密封スカートにより一体的に成形される陥凹領域である。
【0017】
一事例において、前記補強構造は補強リブであり、前記防水密封スカートの内側に固定されるか、前記防水密封スカートと一体的に成形される。
【0018】
一事例において、前記補強リブは前記防水密封スカートと異なる材質で製造され、且つ、20~60の間のショアA硬度を有する。
【0019】
一事例において、前記補強リブは、前記防水密封スカートの厚さを増大させることで形成され、且つ、40~80の間のショアA硬度を有する。
【0020】
一事例において、前記補強構造は、各前記レンズフレームの前記内側部に設けられるガスケット(gasket)である。
【0021】
いずれかの事例において、前記緊締装置は弾性のヘッドバンドである。
【0022】
いずれかの事例において、前記マスクは、更に、前記鼻マスク部の内部空間に対し流体を連通可能とするシュノーケルを含む。
【0023】
一事例において、前記マスクは、更に、互いに流体を連通させるマウスピース部、排水弁部及び鼻連通部を有する三方管を含む。前記鼻連通部は前記鼻マスク部の前記内部空間に対し流体を連通させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1D】
図1Dは、
図1Aの一部断面の概略図であって、従来の一眼式マスクのレンズと使用者との間には相当大きな距離が生じるため、防水密封スカートを分厚くする必要があることを説明する図である。
【
図1E】
図1Eは、
図1Aの別の一部断面の概略図であって、従来の一眼式マスクは使用者の眉間と鼻骨との間の落差の制約を受けるため、防水密封スカートを更に上方に延伸させるか、幅を増大させてレンズフレーム及びレンズを更に前方に移動させる必要があることを説明する図である。
【
図2A】
図2Aは、本発明におけるウォーターアクティビティ用マスクの一実施例の前方概略斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、使用者が
図2Aのマスクを装着した場合の概略図であり、図中のマスクは
図2Bの断面線2c-2cに沿って得た断面図となっている。
【
図2E】
図2Eは、使用者が
図2Aのマスクを装着した場合の概略図であり、図中のマスクは
図2Bの断面線2e-2eに沿って得た断面図となっている。
【
図2F】
図2Fは、本発明におけるマスクを2つ折りにして収納可能とした場合の概略図である。
【
図2H】
図2Hは、本発明の別の実施例における緊締装置を省略したマスクの後方概略斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明のもう一つの実施例におけるシュノーケル及び三方管を有するマスクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施例に関する説明は、本発明の内容を詳述するためのものにすぎず、本発明を制限するためのものではない。また、本発明に直接関係しない部材は図示していない。且つ、図中の各部材間のサイズの関係は理解を容易とするためのものにすぎず、実際の比率を制限するためのものではない。そのほか、各説明における前、後、左、右、内、外、前、後等は、いずれも使用者の向きを基準として定義した相対関係にすぎず、制限を意図していない。
【0026】
本発明は、ウォーターアクティビティ用マスクに関する。当該ウォーターアクティビティ用マスクは、スイミングゴーグル(swimming goggles)、スイミングマスク(swimming mask)、ダイビングマスク(diving mask)又は何等かの形式の呼吸を可能とするマスク(breathable mask)としてもよい(ただし、これらに限らない)。これらはいずれも本発明におけるマスクの構造を採用可能であるが、マスクが使用者の目を覆うのか、目と鼻を覆うのか、及び、使用者の目と鼻を覆う場合に鼻が自由に呼吸できるのか等の態様の変化においてのみ異なっている。
【0027】
次に、
図2A~
図2Hを参照して、使用者の目及び鼻を覆うマスク(例えば、ダイビングマスク、シュノーケルマスク又はボウフィッシング用マスク)に代表される実施例について説明する。
図2Aに示すように、具体的に、ウォーターアクティビティ用マスク2は、2つのレンズ21、防水密封スカート23及び緊締装置25を含む。緊締装置25は、防水密封スカート23の2つの外端23eの間に設けられる(角度の関係から、
図2Aには防水密封スカート23における一方の外端23eのみを示している)。例えば、緊締装置25は、弾性のヘッドバンドとしてもよく、好ましくは、両端が防水密封スカート23の2つの外端23e(通常は、レンズフレーム23aの外側に対応しているのが最適である)に固定される。ただし、これに限らず、使用者がマスク2をしっかりと装着するのを補助可能ないずれの機構であっても実施可能である。なお、説明を簡略化するために、
図2B~
図2E及び
図2Hでは、いずれも、緊締装置25に遮られることなくマスク2の主要な構造について詳細に説明すべく、緊締装置25を省略している。
【0028】
図2Bに示すように、防水密封スカート23は、最適には、一体式であり、且つ、軟質材料であるシリコーンゴム(silicone rubber)からなる。ただし、例えば、熱可塑性ゴム(thermoplastic rubber,TPR)(例えば、熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer,TPE))、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane,TPU)又はポリ塩化ビニル(polyvinylchloride,PVC)等の軟質で防水性及び延伸特性を有するその他の材料をベース材料としてもよい。具体的構造において、防水密封スカート23には、2つのレンズフレーム23a、鼻マスク部23b及び後縁23cが一体的に形成されている。2つのレンズフレーム23aはそれぞれ独立している。且つ、各レンズフレーム23aは内側部23a1を有する。2つのレンズ21は、それぞれ、2つのレンズフレーム23a内に防水状に嵌め込み可能である。また、鼻マスク部23bは、2つのレンズフレーム23aを接続するとともに、2つのレンズフレーム23aの間から前方へ突出する。後縁23cは使用者の顔に密着可能である。
図2Cに示すように、使用者が緊締装置25を用いてマスク2を装着するときに、2つのレンズフレーム23aの内側部23a1は、使用者の2つの眼窩骨UB1にそれぞれ隣接可能となる。ここで言う隣接とは、相当接近すること又はすでに接触していることを含む。
【0029】
防水密封スカート23は、更に、鼻マスク部23bと各レンズフレーム23aの間にそれぞれ形成される2つの接続部23dを含む。即ち、左側の接続部23dは鼻マスク部23bと左側のレンズフレーム23aの間に形成され、右側の接続部23dは鼻マスク部23bと右側のレンズフレーム23aの間に形成される。使用者がマスク2を装着するときに、鼻マスク部23bは使用者の鼻全体を覆うことが可能であり、使用者の鼻が鼻マスク部23bの内部空間220内に収容される。且つ、2つの接続部23dは、実質的に使用者の顔部の頬骨UB2の位置を覆う。
【0030】
従来のマスクとは異なり、防水密封スカート23の後縁23cは、鼻マスク部23bの上部23b1の上方に形成されるノッチ部(notch portion)23c1を有し得る。ノッチ部23c1は、わずかに前方へ突出して隆起領域を形成する。これは、平面視では、開放部(open portion)を形成するのと同様である。よって、
図2Eに示すように、使用者がマスク2を装着するときに、ノッチ部23c1の隆起領域は、使用者の顔部における眉間UGと鼻骨UB3で定義される輪郭に沿って密着可能となる。このような設計によって、本発明の防水密封スカート23は、レンズフレーム23a付近の後縁23cを大きな上方平坦領域として設計する必要がなくなる。これにより、防水密封スカート23の後縁23cの幅を大幅に縮小可能となり、レンズフレーム23a及びレンズ21と使用者との距離を明らかに短くすることができる。加えて、左右のレンズフレーム23aは、眉間及び鼻骨領域に阻まれることなく、使用者の眼窩骨UB1に相応に隣接するため、マスク2を顔にいっそう密着させられる。また、このような構造は、極めて小さく且つ互いに分離したレンズフレーム23a及びレンズ21を有するとともに、2つのレンズフレーム23aの間に硬質の接続部材が存在しない。そのため、
図2Fに示すように、マスク2を簡単に2つ折りにすることが可能であり、収納体積を極めて小さくできるため、梱包及び携帯時の利便性が大幅に向上する。
【0031】
より好ましくは、各レンズフレーム23aの上部、下部及び内側部のうちの少なくとも1つには補強構造23rが設けられている。これにより、使用者がマスク2を装着するときに、使用者の眼窩骨UB1の少なくとも一部に補強構造23rが密着可能となる。一実施例において、
図2A~
図2Fに示すように、補強構造23rは、各レンズフレーム23aの下部に設けられるとともに、防水密封スカート23により一体的に成形される陥凹領域(recess)231であってもよい。
【0032】
別の実施例において、
図2Gに示すように、補強構造23rは、防水密封スカート23の外側、内側に別途固定されるか、防水密封スカート23と一体的に成形される補強リブ(reinforced rib)233であってもよい。また、一実施例において、補強リブ233は防水密封スカート23と異なる材質で製造されてもよく、且つ、好ましくは、20~60の間のショアA硬度を有する。また、更なる実施例において、補強リブ233は防水密封スカート23と同じ材質で製造されてもよい。且つ、補強リブ233は防水密封スカート23の厚さを増大させることで形成される。この場合、好ましくは、防水密封スカート23全体の硬度は、40~80の間のショアA硬度を有する。
【0033】
更に、一実施例において、
図2Hを参照して、補強構造23rは、各レンズフレーム23aの内側部23a1に設けられて、使用者の眼窩骨UB1に直に対面及び隣接するガスケット(gasket)235であってもよい。
【0034】
使用者がウォーターアクティビティを行うときに、水圧はマスク2を使用者の顔部に向かって押圧する。このとき、陥凹領域、補強リブ又はガスケットのいずれかに関わらず、各種補強構造は使用者の眼窩骨UB1の少なくとも一部に押し付けられて当接することで、マスク2を安定的に顔部に密着させる。この場合、左右のレンズフレーム23a及び左右のレンズ21は相対変位を生じなくなるため、防水効果が更に強化される。特に、眼窩骨UB1を全体的に取り囲むガスケット235を使用する実施例では、周囲を取り囲むガスケット235を補強構造23rとすることで、マスク2の内外に2層の防水メカニズムが同様に提供される(即ち、内側についてはガスケット235により提供され、外側については防水密封スカート23により提供される)ため、目に対する防水性がいっそう良好となる。
【0035】
いずれの実施例においても、各レンズフレーム23aの内縁に、対応する各レンズ21を防水状に嵌め込むための溝23agを設けてもよいし、2つのレンズフレーム23aを2つのレンズ21にそれぞれ一体的にオーバーモールド成形する等としてもよい。これらはいずれも実施可能な方式である。
【0036】
また、上述したように、本発明の要点は、マスク2が使用者に接触して使用者の顔部の器官(例えば、目及び鼻)を収容することにあり、マスク2をどのような用途又は形式とするのかについては問わない。例えば、
図3に示す変形実施例において、本発明のマスク3は、更に、鼻マスク部23bの内部空間220に対し流体を連通可能とするシュノーケル31を含む。マスク3は、更に、互いに流体を連通させるマウスピース部33a、排水弁部33b及び鼻連通部33cを有する三方管33を含んでもよい。マウスピース部33aは使用者が口に含むことが可能である。また、鼻連通部33cは鼻マスク部23bの内部空間220に対し流体を連通させる。これにより、使用者は、鼻連通部33cを通じて鼻で息を吸い吐きし、マウスピース部33aを通じて口で息を吸い吐きすることが可能になるとともに、排水弁部33bの排水弁によってマスク3内に溜まった水を排出可能となる。この構造によって、マスク3は、体積が極めて小さく、非常に携帯しやすい呼吸を可能とするマスクを実現し得る。
【0037】
上記の実施例は例示にすぎず、どのような方式の変更であっても、本発明により保護される実施可能な代替方案となる。例えば、より良好な防水効果を達成しつつ、より多くの異なる顔型の使用者に適するよう、防水密封スカートの後縁のノッチ部は、前方に突出せずに、後縁におけるその他の部分と面一になっていてもよい。この場合、使用者がマスクを装着するときに、ノッチ部が柔軟に使用者の眉間と鼻骨で定義される輪郭に密着して、鼻マスク部の内部空間と外部との連通を遮断できればよい。そのほか、
図2H及び
図3に示すように、鼻マスク部23bの下方の両側には、使用者の指を挿し込んで鼻をつまみ、フレンツェルイコライジングを行いやすいよう、くぼみ23hがそれぞれ設けられていてもよい。これもまた、別の好ましい設計及び対策である。
【0038】
総括すると、本発明におけるウォーターアクティビティ用マスクは、左右のレンズが組み付けられる互いに独立した左右のレンズフレームを軟質の防水密封スカートと一体的に成形することで、左右のレンズフレーム及び左右のレンズの間に硬質のブリッジ部材を介在不要にすることができる。且つ、レンズが目に相当接近可能となるため、レンズのサイズを大きくしすぎなくても広い視野を得ることができる。加えて、左右のレンズフレームは、使用者の左右の眼窩骨に直接当接可能なため、装着時の安定性が付与される。また、レンズフレーム及びレンズ領域の重さが大幅に減少するとともに、目からの距離も大幅に小さくなるため、防水密封スカートがレンズフレームやレンズに引っ張られることがなく、非常に優れた水密効果を提供可能となる。従って、本発明は、これらの設計に基づき、マスク全体の体積及び内容積を著しく縮小可能とすることで、小型化、携帯性及び使用の安全性等の利点を備える。
【0039】
上記の実施例は、本発明の実施形態を例示し、且つ本発明の技術的特徴を詳述するためのものにすぎず、本発明の保護の範囲を制限するためのものではない。本技術を熟知する者が容易に完成させ得る変更又は均等な調整は、いずれも本発明が主張する範囲に属する。よって、本発明の権利の保護範囲は特許請求の範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0040】
1a マスク
1b マスク
11a レンズ
11b レンズ
13a レンズフレーム
13b レンズフレーム
15a 防水密封スカート
15a1 後縁
15b 防水密封スカート
17a ヘッドバンド
17b ヘッドバンド
2 マスク
3 マスク
21 レンズ
23 防水密封スカート
23a レンズフレーム
23a1 内側部
23ag 溝
23b 鼻マスク部
23b1 上部
23c 後縁
23c1 ノッチ部
23d 接続部
23e 外端
23h くぼみ
23r 補強構造
25 緊締装置
31 シュノーケル
33 三方管
33a マウスピース部
33b 排水弁部
33c 鼻連通部
220 内部空間
231 陥凹領域
233 補強リブ
235 ガスケット
UE 目
UB1 眼窩骨
UB2 頬骨
UB3 鼻骨
UG 眉間
【外国語明細書】