(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016369
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】導電香
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20250124BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20250124BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20250124BHJP
A61L 9/02 20060101ALN20250124BHJP
C11B 9/00 20060101ALN20250124BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q13/00 200
A61K8/9789
A61L9/02
C11B9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114102
(22)【出願日】2024-07-17
(31)【優先権主張番号】202310904053.5
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202410097198.3
(32)【優先日】2024-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524270372
【氏名又は名称】呉 兆豊
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】呉 兆豊
【テーマコード(参考)】
4C083
4C180
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB131
4C083AB132
4C083AB191
4C083AD351
4C083AD352
4C083BB41
4C083CC50
4C083DD21
4C083EE05
4C083KK11
4C180AA03
4C180CA02
4C180EC01
4C180GG03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃焼による汚染物質を回避することができる導電香を提供する。
【解決手段】香料、並びに黒鉛粉末、カーボンブラック、金属粉末又はグラフェンから選択される導電材料、更に粘着剤としてグアーガムを含んで構成された導電香であって、前記香料及び前記導電材料は、混合されて特定の形状に形成され、前記導電香は、導電可能である、ことを特徴とする導電香が提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料及び導電材料を含んで構成された導電香であって、
前記香料及び前記導電材料は、混合されて特定の形状に形成され、
前記導電香は、導電可能である、
ことを特徴とする導電香。
【請求項2】
粘着剤を更に含み、
前記粘着剤、前記香料及び前記導電材料は、均一に混合されている、
請求項1に記載の導電香。
【請求項3】
前記導電材料の総重量に占める割合は、20%~90%であり、
残りは、前記香料及び前記粘着剤である、
請求項2に記載の導電香。
【請求項4】
前記導電材料は、黒鉛粉末、カーボンブラック、金属粉末又はグラフェンであり、
前記粘着剤は、グアーガムである、
請求項2に記載の導電香。
【請求項5】
前記導電香における前記導電材料の含有量は、70%であり、
残りは、前記香料及び前記粘着剤である、
請求項2に記載の導電香。
【請求項6】
前記黒鉛粉末は、粒度が10μm~178μmである、
請求項4に記載の導電香。
【請求項7】
前記黒鉛粉末は、70%であり、
前記グアーガムは、7%であり、
前記香料は、23%である、
請求項4に記載の導電香。
【請求項8】
導電材料と、前記導電材料の外周に付着するか又は前記導電材料の内部に充填された香料と、を含む、
ことを特徴とする導電香。
【請求項9】
粘着剤を更に含み、
前記粘着剤は、前記香料と混合されて前記導電材料の外側に一緒に付着している、
請求項8に記載の導電香。
【請求項10】
前記導電材料は、互いに接続された正極導電バー及び負極導電バーを含み、
前記正極導電バーは、外部電源の正極に接続されるように構成され、
前記負極導電バーは、外部電源の負極に接続されるように構成されている、
請求項8に記載の導電香。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の技術分野に関し、特に導電香に関する。
【背景技術】
【0002】
史料の記載によれば、中国では、香の使用歴史が非常に古く、春秋時代以前に遡ることができる。漢代では、薫香、薫服が流行するだけでなく、様々な香料を調合する技術も出現し、唐、宋の時代では、人々の日常生活に完全に融合した。様々な宗教儀式で焼香する必要があるだけではなく、日常生活においても人々は、香料を大量に使用し、香の調合(天然香料を調合する)、薫き、評価、試合を高級な芸術に発展させる。
【0003】
現代の日常生活では、香の使用方法は、主に焼香である。また、炭火で練香又はジンコウ切片を間接的に加熱して使用するより伝統的な方法もある。しかしながら、これらの使用方法は、当代の若者の生活に受け入れられているとは言い難い。例えば、線香は、使用中に発煙する。炭素粉末を多量に加えたいわゆる発煙しない線香であっても、一定量の煙が出る。煙は、粒子状物質であり、一定の空気汚染を引き起こす。
【0004】
従来の技術では、香の使用方法は、2種に分けられ、1つは、普通の線香の場合、直接的に点火して使用することであり、もう1つは、練香の場合、間隔を置いて加熱する方法で加熱して使用することである。
【0005】
線香の特徴としては、使用しやすく、香立又は香炉などの大量の香使用ツールを必要とせず、ライター又は明火で使用することができ、非常に携帯して使用しやすい。しかしながら、短所としては、明火で引火する必要があり、また、使用過程において燃焼状態を常に保持し、別の場所に燃焼すると、線香が消えやすく、又は火災を引き起こす一定の安全上のリスクがある。また、燃焼のため、煙の問題も生じ、一定の量の吸入性粒子状物質を生成する。同様に、香りも変化し、純粋ではなくなる。現代のますます狭い生活環境での使用は、不適切となる。
【0006】
練香は、最初に炭火で間隔を置いて加熱する方法で使用され、練香が燃焼中の炭素に直接的に接触しないようにし、間隔を置いて加熱する方法で練香の温度を燃焼点以下に保持し、低温で薫る方法で加熱して香りを放つ。同様に、炭素で加熱する方法では、狭い空間内で一定の量の一酸化炭素などのガスを生成しやすく、使用者の不快感又は中毒の問題が生じやすい。また、線香であるか練香であるかにかかわらず、何らかの外部ツール、例えば香炉、ライター、香灰などを配置する部品を使用する必要がある、携帯しにくいだけでなく、使用上の安全性に問題があり、身体に一定の影響を与える。
【0007】
したがって、現代の社会生活における大衆の品格と趣味が徐々に向上する過程において、空気質に対する要求が高い在宅寝室環境、会社内の個人使用環境、安全性に対する要求が高い車載アロマセラピー、ネオ中華ホテルのフレグランスシステムなどの使用シーンにおいて、大衆生活の品質を向上させるために、フレグランス環境の向上及び安全性への配慮に対する要求がますます高くなる。安全性の問題を解決し、フレグランス環境を向上させる必要があるだけでなく、消費者の使用の好みと習慣も考慮する必要があり、使用時に人体の安全健康に配慮する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主な利点によれば、導電の方法で香料物質を加熱して外部に揮発させ、燃焼による汚染物質を回避することができる導電香が提供される。
【0009】
本発明のもう1つの利点によれば、電気加熱の方法で使用でき、明火で点火する必要がなく、使用しやすく、安全性が高い導電香が提供される。
【0010】
本発明のもう1つの利点によれば、電気加熱の方法で外部に香り物質を揮発させ、明火で点火して加熱する必要がなく、揮発後に香灰を生成せず、環境を清潔に保持し、香灰の汚染を回避することに有利である導電香が提供される。
【0011】
本発明のもう1つの利点によれば、香料及び導電材料を含む導電香であって、特定の割合の香料及び導電材料が混合されて導電可能な導電香を形成し、使用しやすく、安全性が高い導電香が提供される。
【0012】
本発明のもう1つの利点によれば、電源の電圧又は電流の大きさを調整することによって揮発速度を調整することができ、更に環境の大きさに応じて使用時間を調整することができる導電香が提供される。つまり、環境空間が大きい場合、導電香の電源電圧又は電源電流の大きさを増加させることにより、香料物質の揮発速度を増大させて、香料を当該環境空間に迅速に揮発させることができる。
【0013】
本発明のもう1つの利点によれば、線香に導電性を有する適量の黒鉛粉末を加え、線香に一定の導電性を持たせ、安全性のある新しい線香使用方法を提供する導電薫香が提供される。
【0014】
本発明のもう1つの利点によれば、電気で薫香を加熱する方法で香の温度を制御することにより、香りがより純粋になり、煙を生成しにくく、吸入可能な粒子状物質を生成しにくい導電薫香が提供される。
【0015】
本発明のもう1つの利点によれば、電気加熱の方法で温度を制御することにより、香りの放ち速度又は香りの放ち範囲を向上させることができる導電薫香が提供される。
【0016】
本発明のもう1つの利点によれば、前記黒鉛粉末が薫香の中心に円柱形を呈し、導電性を利用して黒鉛粉末を発熱させることにより香の味を放つ導電薫香が提供される。
【0017】
本発明のもう1つの利点によれば、前記黒鉛粉末を導電にする位置が薫香の同じ側にあることにより、その使用者の使用又は繰り返し使用を容易にする導電薫香が提供される。
【0018】
本発明のもう1つの利点によれば、導電薫香であって、前記黒鉛粉末は、前記導電薫香の20%~90%を占めることが最適であり、前記導電薫香の導電発熱程度に有利であり、異なるシーンでの前記導電薫香の使用を容易にする導電薫香が提供される。
【0019】
本発明のもう1つの利点によれば、導電薫香であって、グアーガムが最適である粘着剤を更に含み、前記導電薫香の前記香料と前記黒鉛粉末との粘着と結合を容易にする導電薫香が提供される。それにより、前記導電薫香は、電流が印加されて導電になったため、加熱されて使用された後、壊れて飛散しやすくなることがなく、使用効果に影響を与えることを防止する。
【0020】
本発明のもう1つの利点によれば、いつでも使用を停止することができ、ネットワークに接続された後にオン、オフ、香り濃度の調節を遠隔制御することができ、リズムの速い現代の生活においてより実用的である導電薫香が提供される。
【0021】
導電香が東亜地域において木本草本に基づく香文化から派生して改善された香使用方法であり、西洋のエッセンス、香油、香水の香使用方法とは全く異なり、東亜地域の香文化における木本草本の使用を好むという慣行を残すと共に、携帯しやすく、安全で、健康で、純粋であるという特性を有することに鑑み、筆者は、導電香が、東亜地域の香文化において線香が発明された数百年後の香使用方法の進化方向における新しい試みになると考えている。
【0022】
当該導電香の製造方法は、従来の線香と完全に一致し、全く新しい設備及び香製造装置を開発する必要がなく、従来の香製造企業は、ほぼゼロコストで導電香を生産して製造する試み、ひいては産業の構造転換を完成することができ、大量の資本を投入して新しい設備を購入する必要がない。
【0023】
本発明の一態様によれば、前述の目的及び他の目的と利点を実現できる本発明の導電香は、香料及び導電材料を含んで構成され、前記香料及び前記導電材料は、混合されて特定の形状に形成され、かつ乾燥した後に凝固して成形される。
【0024】
本発明の1つの実施例によれば、前記導電香は、粘着剤を更に含み、前記粘着剤、前記香料及び前記導電材料は、均一に混合されている。
【0025】
本発明の1つの実施例によれば、前記導電材料の総重量に占める割合は、20%~90%であり、残りは、前記香料及び前記粘着剤である。
【0026】
本発明の1つの実施例によれば、前記導電材料は、黒鉛粉末であり、前記粘着剤は、グアーガムである。
【0027】
本発明の1つの実施例によれば、前記導電香における前記導電材料(黒鉛粉末)の含有量は、70%であり、残りは、前記香料及び前記粘着剤である。
【0028】
本発明の1つの実施例によれば、前記黒鉛粉末は、粒度が10μm~178μmである。
【0029】
本発明の1つの実施例によれば、前記黒鉛粉末は70%であり、前記グアーガムは7%であり、前記香料は23%である。
【0030】
本願の別の態様によれば、本願に更に係る導電香は、
導電材料と、前記導電材料の外周に付着するか又は前記導電材料の内部に充填された香料と、を含む。
【0031】
本発明の1つの実施例によれば、粘着剤を更に含み、前記粘着剤は、前記香料と混合されて前記導電材料の外側に一緒に付着する。
【0032】
本発明の1つの実施例によれば、前記導電材料は、互いに接続された正極導電バー及び負極導電バーを含み、前記正極導電バーは、外部電源の正極に接続されるように構成され、前記負極導電バーは、外部電源の負極に接続されるように構成されている。
【0033】
本発明の更なる他の目的及び利点は、後述する説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【0034】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び添付図面によって十分に示される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の好適実施例に係る導電香の概略構成図である。
【
図2】本発明の上記好適実施例に係る前記導電香の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明は、本発明を開示して当業者が本発明を実施することができるよう記載したものである。以下の説明における好適実施例は、例としてのみ示されており、当業者は、他の自明な変形を想到することができる。以下の説明において定義された本発明の基本原理は、他の実施例、変形例、改良例、同等例及び本発明の精神と範囲を逸脱しない他の技術手段に適用できる。
【0037】
当業者が理解すべきこととして、本発明の開示において、用語「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などで示す方向又は位置関係は、図面に示す方向又は位置関係に基づくものであり、本発明を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方向を有し、特定の方向で構成され動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、上記用語が本発明を限定するものであると理解すべきではない。
【0038】
理解できるように、用語「1」は、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」として理解されるべきであり、即ち、1つの実施例では、1つの部品の数は1つであってもよく、別の実施例では、当該部品の数は複数であってもよく、用語「1」は、数を制限するものとして理解されるべきではない。
【0039】
本願の一態様によれば、本願に係る導電香は、香料及び導電材料を含んで構成され、前記香料及び前記導電材料は、混合されて特定の形状に形成され、かつ乾燥した後に凝固して成形される。前記導電香に導電材料が含まれているため、前記導電香が外部電源に接続されると、前記導電香は、前記導電材料の作用により電気的に導通することができる。そして、前記導電香は、外部電源の作用により自ら熱を生成し、前記導電香における前記香料は、自ら生成した熱で加熱される過程において外部に香料物質を揮発放出する。
【0040】
本願の1つの具体的な例では、前記導電香は、粘着剤を更に含む。前記粘着剤、前記香料及び前記導電材料は、均一に混合され、かつ混合後に乾燥して凝固して成形される。例として、本願の当該好適実施例では、前記導電香は、線香、練香に製造されてもよい。
【0041】
前記香料は、芯のない香であり、棒状線香、フローラル系線香とも呼ばれ、骨材、粘着材、香料、色素及び補助材などの材料で構成されている。粘着材は、通常、粘着性粉体(一般的に、スリッパリーエルムバークパウダーと呼ばれる)であり、スリッパリーエルムバークパウダーの質量が異なる。粘着性粉体と骨材との割合について、重量比は、約1:1~1:2(材料に依存する)であり、コーンスターチを加えてもよい。高級な香料には、例えばサンダル、ジンコウなどの様々な天然香料があり、例えばトウシキミ、ウイキョウなどの様々な漢方薬のうちの香辛料があってもよい。例として、本願の当該好適実施例では、前記香料は、サンダル粉末又はジンコウ粉末であってもよいが、これらに限定されない。
【0042】
本願の当該好適実施例では、前記導電材料は、黒鉛粉末、カーボンブラック粉末又はグラフェン粉末であることが好ましい。本願の別の好適実施例では、前記導電材料は、金属粉末であってもよい。
【0043】
本願の1つの具体的な例では、前記導電材料は、黒鉛粉末である。前記導電材料が黒鉛粉末である場合、導電材料の総重量に占める割合は、20%~90%であることが好ましく、黒鉛粉末の粒度は、10μm~178μmであることがより好ましい。
【0044】
前記黒鉛粉末は、異臭がなく、粒子が小さく、燃焼点が高く(燃焼点が1000℃程度に達する)、導電性などの特性を有するため、前記導電アロマの製造原料として選択される。前記黒鉛粉末を含む前記導電香は、電気を用いて香の温度を制御することができ、このような香使用方法の利点は、香りがより純粋であり、使用過程において、他の煙又は吸入可能な粒子状物質を生成しないことである。このように、既存の線香又は練香に前記黒鉛粉末を加えることにより、使用温度の高さを自由に調整することができるだけでなく、必要なツール部品がより少なく、携帯性、使用上の安全性、健康性を兼ね備えると共に、香りがより純粋であることを保証することができる。
【0045】
本願の当該好適実施例では、前記導電香の前記導電材料(黒鉛粉末)の総重量に占める割合は、20%~90%であり、残りは、前記香料及び前記粘着剤である。なお、前記黒鉛粉末3が前記導電薫香1の全ての成分の20%以下である場合、製造された前記導電薫香1は、電気加熱の過程において電気抵抗が大きすぎ、使用効果に影響を与える。
【0046】
本願の1つの具体的な例では、前記導電香における前記導電材料(黒鉛粉末)の含有量は、70%であり、残りは、前記香料及び前記粘着剤であることが好ましい。
【0047】
例として、本願の当該好適実施例では、前記粘着剤は、グアーガムであってもよい。理解できるように、本願の他の好ましい実施形態では、前記粘着剤の種類が限定されない。
【0048】
粘着剤を加えるため、前記導電香は壊れて飛散しにくい。前記導電香に一定の量の黒鉛粉末を加えるため、前記導電香は導電性を有する。したがって、導電性を有する前記導電香に一定の量の電圧の電流が印加される場合に、前記導電香は、自体が発熱するため、香りを揮発する役割を果たすことができる。
【0049】
本願の1つの実施例では、前記導電香の前記導電材料が黒鉛粉末である場合、黒鉛粉末は、粒度が10μm~178μmであり、様々な複合材料の充填物として、導電性、摺動性を有する。本願の1つの具体的な例では、32~42μmの大きさの黒鉛粉末を導電材料として選択することが好ましい。
【0050】
(実施例1)
材料:黒鉛粉末2g、サンダル2g、グアーガム1g
実験結果:焼香できる硬度に達するが、導電性が弱く、電気抵抗値が十万オームであった。したがって、当該配合成分で製造した香は、導電香としては好適ではない。
【0051】
(実施例2)
材料:黒鉛粉末2g、サンダル2g、グアーガム0.7g
実験結果:乾燥前状態の電気抵抗値は約10000Ωであり、線香を形成することができたが、抵抗値が大きすぎた。
【0052】
(実施例3)
材料:黒鉛粉末2g、サンダル2g、グアーガム0.7g
実験結果:乾燥状態で線香の導電性は、乾燥前に比べて改善された。電気抵抗値は、約3、500Ω/cmであった。U=21.9V、I=0.02A、P=0.4Wであり、長さが約1cmであるとき、50℃に加熱することができた。燃焼試験では、香火のように直接的に燃焼することができなかった。黒鉛粉末の燃焼点が約1000℃であるため、燃焼は持続しなかった。
【0053】
(実施例4)
材料:黒鉛粉末2g、サンダル2g、グアーガム0.7g
実験結果:直径が約10mmである太い線香を乾燥させる前の実験では、電気抵抗値が高く、伝導性がなかった。
【0054】
(実施例5)
材料:黒鉛粉末2g、サンダル2g、グアーガム0.7g
実験結果:直径が約1cmである太い線香を用いて、表面が乾燥したが芯がまだ乾燥していないサンプルに対して実験を行ったところ、電気抵抗値が約25%低下し、約600Ω/cmであった。
【0055】
(実施例6)
材料:黒鉛粉末2g、サンダル2g、グアーガム0.7g
実験結果:直径が約1cmである太い線香の芯が十分に乾燥したサンプルを用いたところ、電気抵抗値が大幅に低下し、約300Ω/cmであった。
【0056】
(実施例7)
材料:導電性を向上させるため、黒鉛粉末の割合を2倍増加させ、黒鉛粉末が2gで、サンダルが1gで、グアーガムが0.5gである材料を製造した。
実験結果:黒鉛粉末の割合が2倍増加した材料も線香を形成することができる。
【0057】
黒鉛粉末は、超微粉(直径が約40μである)であるため、粒子の大きさでサンダルの隙間に入り込んだ。したがって、混合割合を向上させると、導電率が指数関数的に増加することが予想される。
【0058】
(実施例8)
材料:黒鉛粉末2g、サンダル1g、グアーガム0.5g
実験結果:直径が約1cmである太い線香で十分に乾燥させたサンプルを用いて実験を行ったところ、電気抵抗値が約35Ω/cmであり、電圧が約20Vであった。長さが約2cmである場合、電流及び電力が急激に増加した。電圧が約7Vである場合、導電香は、煙を生成したが、燃焼しなかった。
【0059】
実施例7及び8から分かるように、従来の実験結果から、香料、黒鉛粉末、粘着剤の最適な割合を求めることができる。導電香の総重量の半分以上に黒鉛粉末を用いる必要があり、具体的には、黒鉛粉末を香の総重量の約57%とし、グアーガムを香の総重量の約14%とした。残りの29%が香料であった。
【0060】
(実施例9)
練香は、香とゲルとを適当な割合で混合してなるものである。導電香の材料として、練香で製造された粉末を用いて実験を行った。練香としては、ボタン香を用いた。
材料:ボタン練香1.39g、黒鉛粉末2.5g、グアーガム0.5g
実験結果:想定した適切な電気抵抗値に到達して通電した後に香りを生んだ。
【0061】
(実施例10)
香料としてコーヒーを用いて実験を行った。コーヒーがそのまま燃焼すると、コーヒーの豊かな香りを放つだけでなく、刺激臭のある匂いも放つが、導電香が燃焼せず、低温で加熱されるため、良い香りしか放たないと予想される。
【0062】
本願の1つの具体的な例では、導電性を有する導電香に一定の量の電圧の電流が印加されると、導電香は、自体が発熱する。外部電源の電圧が8vである場合、最初に導電香が昇温し始め、徐々に香りを放つことを明らかに感知することができた。導電香は、8vの電圧では、薄い香りを1時間以上持続的に放つことができる。電圧を15vに上昇させると、最初に煙状態になり、この状態で香りを非常に濃く放ち、10分程度持続した後に導電香が香りを完全に失い、導電香が脆く壊れやすい。電圧が高いほど香りが濃いが、20vを超えると、香りが濃くなりすぎるため、20vを超える電圧を使用することが好ましくない。
【0063】
なお、約8vで駆動できれば、非常に安全である。人体の安全電圧が36v以下であり、持続的に接触する場合の安全電圧が24vであるため、両手が持続的に作業している導電香に直接的に接触しても、導電香が持続的に発熱して火傷する可能性がある以外、電流によっていかなる不快感を引き起こすことがない。
【0064】
なお、本願の当該具体的な例では、導電香における黒鉛粉末の割合は約70%であり、導電香の電気抵抗は約35Ω/cmである。理解できるように、本願の当該好適実施例の前記導電香は、電圧の調整によって導電香自体の温度の調整を実現することができることにより、低温環境で焼く状態と、高温で煙を生成する状態との間に自由に切り替えることができる。低温で焼く場合、電圧を正確に制御することにより香りの拡散範囲及び香りの濃厚さを調整することができる。
【0065】
前記導電薫香は、8V~15V及び15V~20Vの電圧である場合、2種の異なる香り放ち状態を実現することができる。電圧の調整によって導電香自体の温度の調整を実現することができることにより、前記導電薫香1は、低温環境で焼く状態と、高温で煙を生成する状態との間に自由に切り替えることができる。低温で焼く場合、電圧を正確に制御することにより前記導電薫香1の香りの拡散範囲及び香りの放ち速度を調整することができ、異なる使用シーンの空間の大きさ及び使用者の官能感を満たすことができる。試験によりテストして分かるように、前記導電香は、最適な使用電圧が8V~20Vであり、従来の乾電池、充電式電池又はチャージパルなどによりいずれも前記導電香の正常な使用を可能することができる。
【0066】
一連のテストを経過した、最終的な完成品は、20v内の電圧だけで上記に説明される機能を実現することができ、従来の乾電池又は充電式電池、チャージパルを使用すれば、当該導電香の正常な使用を可能にすることができる。
【0067】
本願の1つの具体的な例では、前記導電香は、香料、導電材料(黒鉛粉末)及び粘着剤(グアーガム)で構成され、それらの配合割合は、黒鉛粉末70%、グアーガム7%、香料23%であることが好ましい。説明すべきこととして、本願において、グアーガムなどの粘着剤を使用しなくてもよく、高圧プレスで製造された導電香であれば、丈夫であり、散り落ちにくく、グアーガムなどの粘着剤を加えると、効果が最適であり、製造コストが低く、効果が高い。前記粘着剤(即ち、グアーガム)が7%~10%である場合、粘着効果が最適であり、黒鉛粉末が20%未満であると、導電効果が非常に低くなる。
【0068】
前記導電香における香料は、単一の香料であってもよく、様々な香料成分を組み合わせたものであってもよく、導電材料としては、黒鉛粉末が最適であり、カーボンブラック棒、金属粉末、金属棒などの導電材料であってもよい。
【0069】
本願の明細書の添付図面の
図1に示すように、本願の別の好適実施例に係る導電香は、以下の説明において明らかにされる。前記導電香は、導電材料10と、前記導電材料10の外周に付着するか又は前記導電材料10の内部に充填された香料20と、を含む。前記導電材料は、電源を入れると発熱し、前記導電材料に付着するか又は前記導電材料10に充填された前記香料20は、前記導電材料の加熱作用で香り物質を外部に放つことができる。
【0070】
前記導電材料は、金属棒又はカーボンブラック棒であってもよいが、これらに限定されず、前記香料20は、上記好適実施例の前記香料の種類及びタイプと同じであり、ここでは説明を省略する。前記香料20は、粘着によって前記導電材料の外側に付着されてもよく、又は前記導電材料10は、前記香料20によって内側に包まれてもよい。
【0071】
前記導電香は、粘着剤を更に含み、前記粘着剤は、前記香料20と混合されて前記導電材料10の外側に一緒に付着している。理解できるように、前記粘着剤を加えることにより、前記香料と前記導電材料との結合安定性を向上させることができ、そして前記粘着剤は、前記香料の散り落ちを防止することができ、電気加熱過程において、前記粘着剤は、香料の灰が外へ散り落ちることも防止することができる。
【0072】
前記導電材料10は、互いに接続された正極導電バー11及び負極導電バー12を含み、前記正極導電バー11は、外部電源の正極に接続されるように構成され、前記負極導電バー12は、外部電源の負極に接続されるように構成されている。本願の1つの具体的な例では、前記導電材料10の前記正極導電バー11及び前記負極導電バー12は、前記香料20の内部に平行に包まれる。前記正極導電バー11は、前記負極導電バー12の一端に電気的に接続され、前記正極導電バー11及び前記負極導電バー12の他端は、外部電源に接続されてもよい。
【0073】
特に注目したいのは、前記導電香の製造方法は、従来の線香、練香と一致し、全く新しい設備及び香製造装置を開発する必要がなく、従来の香製造企業は、ほぼゼロコストで導電香の製造と加工を完成することができる。前記導電香の電気抵抗は、前記黒鉛粉末に反比例する。前記導電香の電気抵抗は、前記導電香の長さに正比例し、前記導電香の太さに反比例する。前記導電香は、使用期間において、電気抵抗と温度が反比例する。温度が高すぎると、前記粘着剤の効果が失われてしまうが、前記導電香は、自然発火せず、柔らかくてもろくて折れやすくなり、最終的に粉末状になる。
【0074】
当業者であれば、上記説明及び図面に示された本発明の実施例が単なる例であり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。本発明の目的は、完全かつ効果的に達成される。本発明の機能及び構造原理は実施例に示されて説明され、前記原理から逸脱することなく、本発明の実施形態は任意の変形又は修正が可能である。
【外国語明細書】