(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016370
(43)【公開日】2025-01-31
(54)【発明の名称】リニアモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 41/03 20060101AFI20250124BHJP
【FI】
H02K41/03 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114432
(22)【出願日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】10-2023-0095366
(32)【優先日】2023-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0088623
(32)【優先日】2024-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520376144
【氏名又は名称】コベリ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520376166
【氏名又は名称】キム ホンチュン
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ホンチュン
【テーマコード(参考)】
5H641
【Fターム(参考)】
5H641BB06
5H641BB16
5H641GG02
5H641GG06
5H641HH03
5H641HH09
5H641JB04
(57)【要約】
【課題】電機子モジュールのコイルから発生する熱を放散させるリニアモータを提供する。
【解決手段】リニアモータは、複数個の電機子モジュール10を含む一次部材、及び、複数個の電機子モジュール10が羅列される第1の方向Zに極を変えながら配置される複数個の永久磁石を含む永久磁石モジュールを含む二次部材を備える。一次部材又は二次部材のうちのいずれか一方が移動子となり、他方が固定子となり、第1の方向Zに互いに相対的に移動する。各電機子モジュール10は、接続部11と、接続部11から突出する2つ以上の突極12を含む磁性体コアと、磁性体コアに巻かれて同じ位相の電流が流れるようにつながるコイル13と、を有する。永久磁石モジュールは、電機子モジュール10の2つの突極12の間に置かれ、隣接する2つの電機子モジュール10間の間隔が、同じ電機子モジュール10内の隣接する2つの突極12間の間隔よりも大きい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の電機子モジュールを含む一次部材、及び、
前記複数個の電機子モジュールが羅列される第1の方向に極を変えながら配置される複数個の永久磁石を含む永久磁石モジュールを有する二次部材を備え、
前記一次部材又は前記二次部材のうちのいずれか一方が移動子となり、他方が固定子となり、前記第1の方向に互いに相対的に移動し、
各々の前記電機子モジュールは、接続部と、前記接続部から突出する2つ以上の突極を含む磁性体コアと、前記磁性体コアに巻かれて同じ位相の電流が流れるようにつながるコイルと、を有し、
前記永久磁石モジュールは、前記電機子モジュールの前記2つの突極の間に置かれ、
隣接する2つの前記電機子モジュール間の間隔が、同じ前記電機子モジュール内の隣接する前記2つの突極間の間隔よりも大きい、リニアモータ。
【請求項2】
前記突極に前記第1の方向に貫通する孔が形成されて露出される、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記突極に嵌合されて前記コイルが巻かれるのを案内するボビンの角がラウンド処理される、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記隣接する2つの電機子モジュール間の前記間隔を維持するためのスペーサ、及び、
前記スペーサを介して前記複数個の電機子モジュールを固定するベースをさらに備え、
前記スペーサによって前記ベースと前記電機子モジュールの前記接続部との間に間隔が形成される、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記スペーサの上端が前記接続部の上端よりも突出する、請求項4に記載のリニアモータ。
【請求項6】
前記電機子モジュールと前記ベースを固定する前記スペーサとを前記第1の方向から見たとき、前記2つ以上の突極が羅列される第2の方向を基準に前記スペーサの中間に前記スペーサの前記上端よりも低い陥没部が形成される、請求項5に記載のリニアモータ。
【請求項7】
前記ベースに取り付けられるファンをさらに備える、請求項4に記載のリニアモータ。
【請求項8】
前記ベースは、前記電機子モジュールに向かって突出し、前記第1の方向に沿って前記電機子モジュールの両側に位置するサイド突極よりも外側に形成される第1の風防を含む、請求項7に記載のリニアモータ。
【請求項9】
前記ベースは、さらに、前記電機子モジュールに向かって突出し、前記2つ以上の突極が羅列される第2の方向に沿って前記一次部材の一番目の前記電機子モジュール及び最後の前記電機子モジュールよりも外側に形成される第2の風防を含む、請求項8に記載のリニアモータ。
【請求項10】
前記第1の風防は、前記突極が突出する第3の方向において、前記電機子モジュールの前記コイルが巻かれる位置よりも突出する、請求項8に記載のリニアモータ。
【請求項11】
前記隣接する2つの電機子モジュールの間で前記コイルが巻かれる部分に設置されて冷媒が通る導管をさらに備える、請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項12】
前記導管は、千鳥状に曲げられた状態で前記電機子モジュールの間に嵌合されて前記一次部材に結合される、請求項11に記載のリニアモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書はリニアモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リニアモータ、すなわち線形電動機は、直線状に並んだ可動子と固定子との間に推力を発生する構造となっている。永久磁石型リニアモータは、可動子及び固定子のいずれか一方に永久磁石を置き、残りの一方に交番する多相電力を送り、両者の間に電磁力が作用して一定方向に推力が発生するようにする。
【0003】
従来、ほとんどのリニアモータは、電磁気コアの突極から出た磁束が永久磁石を経てヨークを介して磁気閉回路を構成し、引力と斥力を発生させて推力が発生する構造を採用するので、永久磁石は突極とヨークとの間に置かれてヨークに付着される場合がほとんどである。
【0004】
本明細書の実施例を発明した発明者は、進行方向に一列に配置される複数個の電機子モジュールで構成される一次部材、及び、進行方向で極を変えながら配置される複数個の永久磁石を含む永久磁石モジュールを1つ以上(又は複数個)含む二次部材を有する新しい構造のリニアモータにつき、韓国特許出願番号KR10-2010-0081522を通じて出願した(特許文献1に対応)。
【0005】
推進力(推力)を上げて可動速度を高めるために電動機(モータ)に多くの電力を供給すると、電機子モジュールに多くの熱が発生するようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書はこのような状況に鑑み、本明細書の目的は、電機子モジュールのコイルから発生する熱を放散させることができるリニアモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施例に係るリニアモータは、複数個の電機子モジュールを含む一次部材、及び、前記複数個の電機子モジュールが羅列(配列)される第1の方向に極を変えながら配置される複数個の永久磁石を含む永久磁石モジュールを有する二次部材を備え、前記一次部材又は前記二次部材のうちのいずれか一方が移動子となり、他方が固定子となり、前記第1の方向に互いに相対的に移動する。各々の前記電機子モジュールは、接続部と、前記接続部から突出する2つ以上の突極を含む磁性体コアと、前記磁性体コアに巻かれて同じ位相の電流が流れるようにつながるコイルと、を有し、前記永久磁石モジュールは、前記電機子モジュールの前記2つの突極の間に置かれ、隣接する前記2つの電機子モジュール間の間隔が同じ前記電機子モジュール内の隣接する前記2つの突極間の間隔よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
電機子モジュール間に空気がスムーズに流れる構造を採用することで、リニアモータを高い推力と高い速度で動作させる際に発生する熱を効果的に発散させることができる。
【0009】
また、ファンや冷媒導管を介して電機子モジュールのコイルから発生する熱を外部に排出する構成とすれば、電機子モジュールの動作温度を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書の発明者が出願した韓国特許出願番号KR10-2010-0081522に記載された開放型リニアモータを図示したものである。
【
図2】一次部材を構成する9個の電機子モジュールを分散させて配置したリニアモータを図示したものである。
【
図3】一実施例に係るリニアモータの分解斜視図である。
【
図4】
図3のリニアモータを構成する一次部材の平面図である。
【
図6】一次部材と電機子モジュールベースを、スペーサを介して固定するリニアモータの分解斜視図を図示したものである。
【
図7】
図6のリニアモータのベースから一次部材に向かって風防が突出した実施例を図示したものである。
【
図8】電機子モジュール間にコイルが巻かれる部分に冷媒が通る導管が設けられる実施例を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照してリニアモータに関する望ましい実施例を詳しく説明する。
【0012】
本明細書の実施例が適用されるリニアモータの発明者は、進行方向に一列に配置される複数個の電機子モジュールで構成される一次部材、及び、進行方向に極を変えながら配置される複数個の永久磁石を含む永久磁石モジュールを1つ以上、又は複数個を有する二次部材を備えたリニアモータにつき、韓国特許出願番号KR10-2010-0081522を通じて出願した。
【0013】
出願番号KR10-2010-0081522に記載されたリニアモータのうち、
図1のような開放型リニアモータで、電機子モジュール10の接続部(又はコア)11は、二次部材である永久磁石モジュールを囲むためのC字状ではなく、例えば直線形態であり、複数の突極12は、接続部11から同じ方向で、例えば直角に突出した形態であり、二次部材の複数の永久磁石モジュール20も並ぶように置かれた各突極12の間で接続部11に向かって突出した形態をしている。
【0014】
出願番号KR10-2010-0081522に記載されている他のリニアモータは、電機子モジュールのコアにおける突極の突出角度が互いに異なり、金型の製作に費用がかかって精度を上げることに限界がある。しかしながら、
図1のリニアモータでは、各電機子モジュール10における全ての突極12は接続部11に対して同じ角度、例えば直角をなし、各永久磁石モジュール20も永久磁石ベース22に対して同じ角度、例えば直角をなした状態で固定されているため、製造精度を上げることができ、金型コストも節減できる。
【0015】
本明細書の実施例に係るリニアモータは、出願番号KR10-2010-0081522に記載されたリニアモータのうち、
図1の開放型リニアモータを永久磁石可動型に変形したものである。永久磁石可動型リニアモータを採用する搬送システムは、電機子モジュール間の間隔を調節して長距離搬送を可能にする。
【0016】
例えば永久磁石21を移動させる推力は、突極12と永久磁石21とが接する表面積の和に比例し、また進行方向に配置される電機子モジュール10の個数にも比例し、コイル13に印加される電流の大きさ、突極12に巻くコイル13の巻線数、永久磁石21の磁力の大きさなどにも比例関係を有する。
【0017】
モータ定数Mの倍数となる電機子モジュール10の個数Sと2(N極とS極)の倍数である永久磁石21の個数Pとの組み合わせを基本に推力が発生する。ここで、モータ定数Mは、3相電源で電機子を駆動する場合は3であり、5相電源で電機子を駆動する場合は5であり、3以上の奇数にするのが一般的であり、モータ定数Mによって各電機子モジュール10のコイル13に印加される電流の位相差が決定される。
【0018】
もちろん、S個の電機子モジュール10とP個の永久磁石21とが空隙を介して対置する部分の長さ(移動方向への長さ)を一次部材の単位長さとするとき、複数の電機子モジュール10で構成される一次部材又は多数の永久磁石21で構成される二次部材のうちのいずれか一方は単位長さよりも長く構成すべきであり、それによって可動子を移動させる推力を発生させることができる有効距離を確保することができる。
【0019】
すなわち、一次部材と二次部材とが重なる長さを単位長さより長く(電機子モジュール10の個数をS個以上又は永久磁石21の個数をP個以上で)構成すべきであり、これによって推力発生のための有効距離を確保するようになり、互いに重なり合う一次部材と二次部材との間に形成される空隙の面積に比例して推力が増加する。
【0020】
一次部材の各電機子モジュール10(10U,10V,10W)に、進行方向にUuU(又はuUu)(U相群)、VvV(又はvVv)(V相群)、WwW(又はwWw)(W相群)の順に三相電流を印加するが、ここで、小文字は大文字とは逆の位相の電流が供給されることを意味する。
【0021】
逆位相の電流を供給する意味は、異なる突極に巻かれた巻線にそれぞれ位相差が180度の、互いに異なる電流を供給することを意味する場合もあり、あるいは巻線には同じ位相の電流を供給し、突極に巻線を巻く方向を互いに異なるようにすることを意味する場合もある。電動機(モータ)を駆動する立場では、1本のラインを介して電流を供給しつつ180度の位相差が出る2つの電流を同時に供給することになるため、後者が遥かに有利である。
【0022】
一次部材は、(一次部材のコアと同じ材質である強磁性体で)互いに接続されておらず独立した電機子モジュール10で構成されるため、各電機子モジュール10に同じ大きさの電源が提供されると、各電機子モジュール10には独立して同じ大きさの磁束が流れるようになり、各電機子モジュール10を介して生成される推進力において偏差が少なくなり、推力に発生するリップルが少なくなる。
【0023】
突極12と永久磁石21とを通過する磁束の量は、突極12から出たり、突極12に入ったりする磁束の分布が一定であるとするとき、突極12の表面と永久磁石21の表面とが互いに重なり合う部分の面積に比例するようになる。
【0024】
電機子モジュール10の突極12から出る磁束又は突極12に入る磁束が通過する永久磁石21の断面は、矩形又は平行四辺形に限られず、菱形、円形又は楕円形であってもよく、矩形や平行四辺形の四隅を切った八角形の形状であってもよい。
【0025】
図2は、一次部材を構成する9個の電機子モジュールを分散させて配置したリニアモータを図示したものであり、
図1に図示されたリニアモータと同様の原理を適用して突極が3個で1グループの電機子モジュール(9個)を使用する電動機を図示したものである。
【0026】
例えば、基本単位(S,P)=(9,8)の電動機で、9個の電機子モジュールを一例に配置して、uUuvVvwWw(又はUuUVvVWwW)の順序で三相電流を印加してもよい。リニアモータにおける磁気回路の対称効率(対称性)を高めて推力を高めるために、電動機の基本単位において電機子モジュールの個数Sに大きな値を使用し、永久磁石の個数PにSに近い値を使用し、さらに基本単位を複数個つないで使用することもできる。
【0027】
一次部材に多数の電機子モジュールが連続して配置される場合、電機子モジュールが密集した一次部材に多くの電流が供給され、熱によってコアや突極に変形が発生して精度が低下し、コギングの原因になる。
【0028】
熱による変形、コギングなどの問題を解決して精度を高めるために、
図2に図示したもののように、一次部材において複数の電機子モジュールを分散させて配置し、同じか180度位相(すなわち、逆位相)の電流が供給される電機子モジュール同士をグループ化して(束ねて)、異なる位相(120度位相)の電流が供給される電機子モジュールから分離する。
【0029】
図2で、例えばUVWの3相(モータ定数Mが3に該当)の電源で電動機を駆動するとき、uUu位相の電流が供給されるU相グループ(U_phase group)、vVv位相の電流が供給されるV相グループ(V_phase group)、及びwWw位相の電流が供給されるW相グループ(W_phase group)が互いに分離されて分散配置される。U相グループ、V相グループ、及びW相グループの電機子モジュールを、電機子モジュールグループ又は電機子ブロックと称する。
【0030】
同じ位相の電流が供給される電機子モジュール同士を束ねて電機子モジュールグループとして連続して配置する場合、該当グループに属する電機子モジュールのコイルを直列に互いにつなぐことができ、このようにすれば、該当グループには一対の配線のみをつなげばよいので、一次部材の組み立て、及び、一次部材とコントローラとの接続に有利である。
【0031】
本明細書のリニアモータでない他のほとんどのリニアモータは、一次部材を構成する電機子モジュールが互いに分離されずにつながる構造を有するため、隣接する電機子モジュールには異なる位相の電流が流れるようにしなければならない。したがって、他の構造のリニアモータは、
図2のように同じ位相の電機子モジュールを連続して配置することが不可能である。
【0032】
図1及び
図2を参照して説明したリニアモータは、直線方向に沿って複数個の電機子モジュールを並ぶように配置し、複数個の永久磁石が直線で羅列される永久磁石モジュールを採用して直進運動を引き起こす。
【0033】
一方、本明細書が適用されるリニアモータの推進力を上げたり、可動速度を上げたりするためにコイルに多量の電流を高い周波数で流す場合、コイルが多数回巻かれた突極が複数個突設された電機子モジュールが、進行方向に複数個羅列されてなる一次部材に熱が多く発生する。
【0034】
この明細書は、電機子モジュールの突極に巻かれたコイルにより発生する熱を冷ますために、電機子モジュール間に空気が円滑に流れるようにする一次部材の構造を提供する。
【0035】
図3は、一実施例に係るリニアモータの分解斜視図である。
図3では、複数個の永久磁石モジュールで構成される二次部材は省かれている。
【0036】
図3のリニアモータは、進行方向である第1の方向(
図3でZ方向)に沿って羅列される複数個の電機子モジュール10を含む一次部材、一次部材の複数個の電機子モジュール10が設けられる電機子モジュールベース30、及び、電機子モジュールベース30に取り付けられたファン40を含むように構成される。
【0037】
各電機子モジュール10は、磁性体コアで形成される接続部11と、複数個の突極12と、突極12に巻かれるコイル13とを含むように構成される。
【0038】
第2の方向(
図3でX方向)に羅列される複数個の突極12は、接続部11から第3の方向(
図3でY方向)に突出する。
【0039】
突極12における接続部11に近い部分に、コイル13が巻かれる。
【0040】
1つの電機子モジュール10には、同じ位相の電流が流れる1つのコイル13が巻かれ、コイル13が巻かれる方向は隣接する突極12同士で互いに異なる。
【0041】
図3に図示したように、同じ又は逆の位相の電流が流れるコイル13が巻かれる電機子モジュール10同士をグループ化して互いに隣接するように配置する。すなわち、同じ(又は逆の)位相の電流が供給される電機子モジュール10同士をグループ化して互いに隣接するように配置し、異なる位相(例えば120度位相)の電流が供給される電機子モジュール10と分離する。
【0042】
同じ(又は逆の)位相の電流が供給される電機子モジュール10のグループを電機子ブロックと称する。
図3では、U相電機子ブロック100U、V相電機子ブロック100V、及びW相電機子ブロック100Wがこの順に羅列される。
【0043】
各電機子ブロック100U、100V、100W内で隣接する電機子モジュール10間の間隔は一定である。一方、電機子ブロック100U、100V、100W間の間隔は、その電機子ブロック100U、100V、100W内の電機子モジュール10間の間隔とは異なる。
【0044】
電機子モジュール10の各突極12の末端と接続部11とにはそれぞれ、第1の方向に貫通する第1の貫通孔14が形成される。また、第1の貫通孔14と電機子モジュール10との間に配置されるスペーサ(図示せず)に形成された貫通孔を介してスティック(図示せず)を通過させ、複数個の電機子モジュール10の位置や間隔を第1の方向を基準に固定させる。
【0045】
電機子モジュール10の少なくとも1つの突極12に第1の方向に貫通する第2の貫通孔15を形成する。第2の貫通孔15は、外部に露出されるように、突極12においてコイル13が巻かれてない末端側に形成される。第2の貫通孔15は、複数個の電機子モジュール10を組み立てる際にスティックを通過させることなくそのまま露出させ、これを通じて空気が流れるようにし、電機子モジュール10のコイル13から発生する熱を冷やすことができる。
【0046】
第2の貫通孔15は、第1の貫通孔14より孔の断面がより大きい。また、第2の貫通孔15は、
図3に図示したように、第2の方向に幅がより大きい中央の突極12に形成する。
【0047】
一次部材が設けられる電機子モジュールベース30にはベース溝31が形成されてファン40が設けられる。
【0048】
また、電機子モジュールベース30は、複数個の電機子モジュール10を含む一次部材に向かう方向に突出する風防(又は壁)32を含む。
【0049】
図3では、風防32が第1の方向(Z方向)と第2の方向(X方向)とにそれぞれ2個ずつ形成されているが、第1の方向(Z方向)にのみ2個が形成されてもよい。
【0050】
図4は、
図3のリニアモータを構成する一次部材の平面図である。
【0051】
電機子モジュール10間に空気がスムーズに流れるように、隣接する突極12に巻かれたコイル13が互いに当接しないように電機子モジュール10が設計されて、空気が流れる通路が設けられる。
【0052】
これのために、隣接する電機子モジュール10間の間隔aと、同じ電機子モジュール10内の隣接する突極12間の間隔bとが大きく形成される。
【0053】
あるいは、隣接する電機子モジュール10間の間隔aが、同じ電機子モジュール10内の隣接する突極12間の間隔bよりも大きく形成される。
【0054】
図5は、コイル13を巻くボビン13_1の平面図である。
【0055】
コイル13はボビン13_1に巻かれたまま突極12に嵌合される。このとき、コイル13が巻かれるのを案内するボビン13_1の角を、コイル13が巻かれる外郭の形状に似るようにラウンド(R)処理し、ボビン13_1によって空気の流れが妨害されることを最小化する。
【0056】
図6は、一次部材と電機子モジュールベース30とを、スペーサを介して固定するリニアモータの分解斜視図を図示したものである。
【0057】
図6で、電機子モジュールベース30にはファン40が取り付けられているが、風防32は形成されていない。
【0058】
同じ位相の電流が流れる電機子ブロック内の電機子モジュール10は、接続部11だけでなく突極12の末端で、第1及び第2のスペーサ17,18により、隣接する2つの電機子モジュール10間の間隔を一定に維持する。
【0059】
電機子ブロックとこれに隣接する電機子ブロックとは、第3のスペーサ19によって隣接する2つの電機子ブロックにおいて互いに対向する電機子モジュール10間の間隔を一定に維持することができる。
【0060】
第1及び第2のスペーサ17,18は第1の方向に長さが同じであるが、第1のスペーサ17(又は第2のスペーサ18)と第3のスペーサ19とは、第1の方向で長さが互いに異なる。
【0061】
第1、第2及び第3のスペーサ17,18,19には、電機子モジュール10に形成された第1の貫通孔14を通過する貫通スティック16が通過する貫通孔が形成される。
【0062】
貫通スティック16の両末端に締結手段、例えばリベット(図示せず)を形成する。すなわち、一次部材の最初の電機子モジュール10と最後の電機子モジュール10とがリベットによって固定される。
【0063】
図6で、複数個の電機子モジュール10は、同じ電機子ブロック内の電機子モジュール10間の間隔を維持するための第2のスペーサ18によって電機子モジュールベース30に固定される。
【0064】
第2のスペーサ18と電機子モジュールベース30とは、スクリューが形成されたネジやボルトによって互いに固定される。
【0065】
第2のスペーサ18の上端が電機子モジュール10の接続部11の上端よりも第3の方向(Y方向)に突出し、第2のスペーサ18を電機子モジュールベース30に固定すると、電機子モジュール10の接続部11と電機子モジュールベース30との間に間隔が形成される。
【0066】
ファン40によって形成される空気の流れが、電機子モジュール10と電機子モジュールベース30との間の間隔を通じて進行し、電機子モジュール10に巻かれるコイル13から発生する熱を放散させることができる。
【0067】
あるいは、複数個の電機子モジュール10は、第3のスペーサ19によって電機子モジュールベース30に固定されてもよい。
【0068】
隣接する2つの電機子モジュール10間の間隔を維持するための第1のスペーサ17は、中央に孔が開いた円筒状である。あるいは、第1のスペーサ17は、中央に孔が開いて断面積が円でない多角形の筒状であってもよい。中央の孔には貫通スティック16が挿通される。
【0069】
隣接する2つの電機子モジュール10間の間隔を維持して電機子モジュール10を電機子モジュールベース30に固定するための第2のスペーサ18は、第2の方向(X方向)に細長い直方体形状である。第2のスペーサ18の第2の方向における長さは、電機子モジュール10の接続部11の第2の方向における長さに対応する。
【0070】
第2のスペーサ18を第2の方向(X方向)に細長く形成し、第2のスペーサ18と電機子モジュールベース30との結合強度、又は電機子モジュール10と電機子モジュールベース30との結合強度を高める。
【0071】
第2のスペーサ18が2つの電機子モジュール10の間に挟まれた状態で第2のスペーサ18を第1の方向から見たとき、第2のスペーサ18の上端が電機子モジュール10の接続部11の上端よりも上方に突出する。
【0072】
第2のスペーサ18の上端が電機子モジュール10の接続部11の上端よりも上方に突出するため、第2のスペーサ18が電機子モジュールベース30に固定されるとき、電機子モジュール10と電機子モジュールベース30との間に隙間が形成される。
【0073】
また、第2のスペーサ18を第1の方向から見たとき、第2の方向(X方向)を基準に第2のスペーサ18の中間(第2の方向の中央付近)に、第2のスペーサ18の上端よりも低い陥没部が形成される。すなわち、第2のスペーサ18は、第1の方向から見ると断面がU字状であり、第2の方向と第3の方向から見ると断面が矩形である。
【0074】
第2のスペーサ18の陥没部は、第2のスペーサ18と電機子モジュールベース30とが第2の方向(X方向)における全区間で密着することなく、第2の方向において少なくとも一部の区間で間隔を維持するために形成されたものである。
【0075】
第2のスペーサ18の陥没部を通じて、第1の方向への空気の流れが円滑になり、ファン40によって圧力が形成された空気の流れがファン40から遠く離れた電機子モジュール10まで進行する。
【0076】
第2のスペーサ18を第1の方向から見たときの下方の3個の孔は、電機子モジュール10の第1の貫通孔14を通過した貫通スティック16を通過させるための孔であり、第2のスペーサ18を第3の方向から見たときの両側の2つの孔は、第2のスペーサ18と電機子モジュールベース30とを固定するためにネジやボルトを打ち込むための孔である。
【0077】
図7は、
図6のリニアモータのベースから一次部材に向かって風防が突出した実施例を図示したものである。
【0078】
図7に図示したように、電機子モジュールベース30の下端から一次部材又は電機子モジュール10に向かう方向に風防(又は壁)32が突出する。
【0079】
風防32は、
図7に図示したように、第1の方向(Z方向)に沿って電機子モジュール10の両側に位置するサイド突極12(X方向の両サイドの突極12)よりも外側に並ぶように2つが形成される。
【0080】
あるいは、風防32は、第2の方向(X方向)に沿って一次部材の一番目の電機子モジュール10及び最後の電機子モジュール10よりも外側に並ぶように、追加で2つ形成される。
【0081】
風防32は、電機子モジュール10の突極12におけるコイル13が巻かれる位置よりも低い位置まで、電機子モジュールベース30から突出する。
【0082】
風防32によって、ファン40の回転に伴う圧力によって生成される空気がファン40から遠い電機子モジュール10に到達されずにファン40から近い電機子モジュール10の外側に逃れるのを防ぐことができる。すなわち、風防32によって、ファン40によって発生する空気の流れが一次部材を構成する電機子モジュール10全体に続いていく。
【0083】
図8は、電機子モジュール間でコイルが巻かれる部分に冷媒が通る導管が設けられる実施例を図示したものである。
【0084】
図8に図示したように、電機子モジュール10の突極12に巻かれたコイル13から発生した熱を冷やすために、冷媒が通る導管50を電機子モジュール10間でコイル13が巻かれる部分に配置する。
【0085】
高周波の多くの電流が流れるコイル13から発生する熱が、導管50を流れる冷媒を通じて外部に排出される。
【0086】
導管50は、千鳥状に曲げられた状態で製作され、電機子モジュール10の間に嵌合される方式で一次部材に結合される。
【0087】
本明細書のリニアモータに関する多様な実施例を簡単かつ明瞭に説明すると、次の通りである。
【0088】
一実施例に係るリニアモータは、複数個の電機子モジュールを含む一次部材、及び、前記複数個の電機子モジュールが羅列される第1の方向に極を変えながら配置される複数個の永久磁石を含む永久磁石モジュールを有する二次部材を備え、前記一次部材又は前記二次部材のうちのいずれか一方が移動子となり、他方が固定子となり、前記第1の方向に互いに相対的に移動し、各々の前記電機子モジュールは、接続部と、前記接続部から突出する2つ以上の突極を含む磁性体コアと、前記磁性体コアに巻かれて同じ位相の電流が流れるようにつながるコイルとを有し、前記永久磁石モジュールは、前記電機子モジュールの前記2つの突極の間に置かれ、隣接する2つの前記電機子モジュール間の間隔が、同じ前記電機子モジュール内の隣接する前記2つの突極間の間隔より大きい。
【0089】
一実施例において、前記突極に前記第1の方向に貫通する孔が形成されて露出される。
【0090】
一実施例において、前記突極に嵌合されて前記コイルが巻かれるのを案内するボビンの角がラウンド処理される。
【0091】
一実施例において、リニアモータは、さらに、前記隣接する2つの電機子モジュール間の間隔を維持するためのスペーサ、及び、前記スペーサを介して前記複数個の電機子モジュールを固定するベースを備え、前記スペーサによって前記ベースと前記電機子モジュールの前記接続部との間に間隔が形成される。
【0092】
一実施例において、前記スペーサの上端が前記接続部の上端よりも突出する。
【0093】
一実施例において、前記電機子モジュールと前記ベースを固定する前記スペーサを前記第1の方向から見たとき、前記2つ以上の突極が羅列される第2の方向を基準に前記スペーサの中間に前記スペーサの前記上端よりも低い陥没部が形成される。
【0094】
一実施例において、前記リニアモータは、さらに、前記ベースに取り付けられるファンを含む。
【0095】
一実施例において、前記ベースは、前記電機子モジュールに向かって突出し、前記第1の方向に沿って前記電機子モジュールの両側に位置するサイド突極よりも外側に形成される第1の風防を含む。
【0096】
一実施例において、前記ベースは、さらに、前記電機子モジュールに向かって突出し、前記2つ以上の突極が羅列される第2の方向に沿って前記一次部材の一番目の前記電機子モジュール及び最後の前記電機子モジュールよりも外側に形成される第2の風防を含む。
【0097】
一実施例において、前記第1の風防は、前記突極が突出する第3の方向において、前記電機子モジュールの前記コイルが巻かれる位置よりも突出する。
【0098】
一実施例において、リニアモータは、さらに、前記隣接する2つの電機子モジュールの間で前記コイルが巻かれる部分に設置されて冷媒が通る導管を備える。
【0099】
一実施例において、前記導管は千鳥状に曲げられた状態で前記電機子モジュールの間に嵌合されて前記一次部材に結合される。
【0100】
以上で説明した内容を通じて当業者であれば、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で多様な変更及び修正が可能であることが分かるであろう。したがって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定されるべきではなく、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0101】
10 電機子モジュール
11 接続部
12 突極
13 コイル
13_1 ボビン
14 第1の貫通孔
15 第2の貫通孔(貫通する孔)
16 貫通スティック
17 第1のスペーサ
18 第2のスペーサ(スペーサ)
19 第3のスペーサ
20 永久磁石モジュール
21 永久磁石
30 電機子モジュールベース
31 ベース溝
32 風防
40 ファン
50 導管
100U、100V、100W 電機子ブロック
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】