(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025163755
(43)【公開日】2025-10-30
(54)【発明の名称】導電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/519 20210101AFI20251023BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20251023BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20251023BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20251023BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20251023BHJP
【FI】
H01M50/519
H01M50/507
H01M50/209
H01M50/284
H01M50/569
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067250
(22)【出願日】2024-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】大平 雄貴
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY10
5H040DD03
5H040DD08
5H040DD10
5H040DD26
5H043AA13
5H043AA19
5H043CA05
5H043DA05
5H043FA04
5H043GA25
5H043GA30
5H043HA09
5H043JA07
(57)【要約】
【課題】カバー部材の組付け作業性を向上させること。
【解決手段】電池モジュールBMにおける複数の電池セルBCを電気的に接続させる複数のバスバ10と、バスバを電池監視ユニットに電気接続させるバスバ毎の回路導体を備え、かつ、可撓性を持たせて平たく形成された回路導体部品20と、バスバと回路導体部品を開口から収容する収容部材40と、収容部材に組み付けられ、かつ、開口を塞ぐカバー部材50と、を備え、回路導体部品は、バスバ毎の回路導体が配線され、かつ、収容部材の中で規定位置に収容された幹線部21と、幹線部からバスバ毎に回路導体を分岐させ、かつ、規定位置の幹線部からバスバまでの間にて弾性域内で規定形状に折り曲げて配索される分岐部22と、を有し、収容部材には、分岐部が規定形状に折り曲げられた状態で幹線部を規定位置に係止する幹線係止部42を設けること。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールにおける複数の電池セルを電気的に接続させる複数のバスバと、
前記バスバを電池監視ユニットに電気接続させる前記バスバ毎の回路導体を備え、かつ、可撓性を持たせて平たく形成された回路導体部品と、
前記バスバと前記回路導体部品を開口から収容する収容部材と、
前記収容部材に組み付けられ、かつ、前記開口を塞ぐカバー部材と、
を備え、
前記回路導体部品は、前記バスバ毎の前記回路導体が配線され、かつ、前記収容部材の中で規定位置に収容された幹線部と、前記幹線部から前記バスバ毎に前記回路導体を分岐させ、かつ、前記規定位置の前記幹線部から前記バスバまでの間にて弾性域内で規定形状に折り曲げて配索される分岐部と、を有し、
前記収容部材には、前記分岐部が前記規定形状に折り曲げられた状態で前記幹線部を前記規定位置に係止する幹線係止部を設けることを特徴とした導電モジュール。
【請求項2】
前記分岐部は、前記幹線部と前記収容部材の底部との間に潜り込ませる形で前記幹線部における前記分岐部の分岐起点側からU字状に折り曲げられ、
前記収容部材は、回転軸が前記幹線部の前記分岐起点側に設けられ、かつ、前記幹線係止部を前記幹線部の係止位置と非係止位置との間で回動させるヒンジ部を有することを特徴とした請求項1に記載の導電モジュール。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、前記幹線係止部の一端に設けられ、
前記収容部材は、前記幹線係止部の他端に設けた第1係合部と、前記第1係合部を係合させて、前記幹線係止部による前記規定位置の前記幹線部の係止状態を保つ第2係合部と、を有することを特徴とした請求項2に記載の導電モジュール。
【請求項4】
前記幹線部は、前記分岐部を分岐させた前記分岐起点側を固定端とする片持ち梁となっており、
前記収容部材に組み付けられ、かつ、前記回路導体部品と前記カバー部材との間に介在して前記係止位置の前記幹線係止部と一緒に前記回路導体部品を覆う回路カバー部材を備え、
前記回路カバー部材は、前記収容部材に対する組付け完了状態のときに、前記規定位置の前記幹線部の自由端側で当該自由端を外した位置に配置される第1カバー係合部を有し、
前記収容部材は、前記第1カバー係合部を係合させて、前記回路カバー部材を前記収容部材に対する組付け完了状態に保つ第2カバー係合部を有することを特徴とした請求項1,2又は3に記載の導電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
導電モジュールは、複数の電池セルが配列された電池モジュールにおいて、複数のバスバを用いて複数の電池セルを電気的に接続させる。そして、この導電モジュールは、バスバ毎の回路導体が設けられ且つ可撓性を持たせた平らな回路導体部品を介して、それぞれのバスバを電池監視ユニットに電気的に接続させる。その回路導体部品は、シート状の絶縁層と複数の回路導体が設けられた導体層とを備える例えばフレキシブルプリント回路基板であり、バスバと共に収容部材に収容され且つカバー部材で覆われる。この回路導体部品は、バスバ毎の回路導体が配線された幹線部と、この幹線部からバスバ毎に回路導体を分岐させた分岐部と、を有しており、分岐部の回路導体をバスバに電気的に接続させる。この種の導電モジュールについては、例えば、下記の特許文献1に開示されている。この特許文献1の導電モジュールでは、端子金具を介して分岐部の回路導体をバスバに電気的に接続させる。そして、この特許文献1の導電モジュールでは、分岐部が幹線部から端子金具までの間において弾性域内で折り曲げて配索される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、導電モジュールにおいては、例えば、分岐部の端部又は分岐部の端部に固定された端子金具を収容部材の中で位置決めされたバスバに固定し、その後で分岐部を規定形状に折り曲げて、収容部材にカバー部材を組み付ける。よって、回路導体部品においては、分岐部の折り曲げに伴う反力をバスバ又は端子金具に作用させるが、その反力がバスバ又は端子金具から分岐部に返されて、この分岐部が折り曲げる前の形状に戻ろうとしながら、幹線部を浮き上がらせる。これ故、従来の導電モジュールは、カバー部材の組付け作業性を低下させる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、カバー部材の組付け作業性を向上させ得る導電モジュールを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電池モジュールにおける複数の電池セルを電気的に接続させる複数のバスバと、前記バスバを電池監視ユニットに電気接続させる前記バスバ毎の回路導体を備え、かつ、可撓性を持たせて平たく形成された回路導体部品と、前記バスバと前記回路導体部品を開口から収容する収容部材と、前記収容部材に組み付けられ、かつ、前記開口を塞ぐカバー部材と、を備え、前記回路導体部品は、前記バスバ毎の前記回路導体が配線され、かつ、前記収容部材の中で規定位置に収容された幹線部と、前記幹線部から前記バスバ毎に前記回路導体を分岐させ、かつ、前記規定位置の前記幹線部から前記バスバまでの間にて弾性域内で規定形状に折り曲げて配索される分岐部と、を有し、前記収容部材には、前記分岐部が前記規定形状に折り曲げられた状態で前記幹線部を前記規定位置に係止する幹線係止部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る導電モジュールにおいて、幹線部は、幹線係止部によって浮き上がりを抑えて規定位置に保持される。よって、本発明に係る導電モジュールは、幹線部の状態を鑑みることなく収容部材にカバー部材を組み付けることができるので、収容部材に対するカバー部材の組付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の導電モジュールを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の導電モジュールを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、カバー部材と回路カバー部材を取り外した導電モジュールの一部を抜粋した平面図であり、幹線係止部で幹線部を規定位置に係止している状態を示す。
【
図6】
図6は、電池モジュールをバスバと共に示す模式図である。
【
図7】
図7は、カバー部材と回路カバー部材を取り外した導電モジュールの一部を抜粋した平面図であり、幹線係止部が非係止位置に位置している状態を示す。
【
図9】
図9は、カバー部材を取り外した導電モジュールの一部を抜粋した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る導電モジュールの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係る導電モジュールの実施形態の1つを
図1から
図10に基づいて説明する。
【0011】
図1から
図5の符号1は、本実施形態の導電モジュールを示す。この導電モジュール1は、複数の電池セルBCが配列された(例えば、1列に配列された)電池モジュールBM(
図6)に組み付け、この電池モジュールBMにおける複数の電池セルBCを電気的に接続させる。また、この導電モジュール1は、この電池モジュールBMを電池監視ユニット(図示略)に電気接続させることによって、その電池監視ユニットに電池セルBCの電池状態を監視させる。この導電モジュール1は、電池モジュールBMと共に電池パックを構成する。電池パックとは、例えば、回転機を駆動源として備える車両(BEV:Battery Electric Vehicle、HEV:Hybrid Electric Vehicle等)に搭載されるものであり、その回転機に対する給電等に供される。
【0012】
電池セルBCは、セル本体BCaと正負それぞれの電極端子BCbとを備える(
図6)。ここで示す電池セルBCは、セル本体BCaが6つの外壁面を持つ方体状に形成されている。そして、電池モジュールBMを成す複数の電池セルBCにおいては、その配列方向で隣り合うセル本体BCaが1つの外壁面同士を向かい合わせにして配置されている。この電池モジュールBMは、それぞれの電池セルBCにおける一方の電極端子BCbが配列方向に沿って並べられた一方の電極端子群BCcと、それぞれの電池セルBCにおける他方の電極端子BCbが配列方向に沿って並べられた他方の電極端子群BCcと、を備える(
図6)。
【0013】
以下において特段の言及もなく「配列方向」と記した場合、それは、複数の電池セルBCの配列方向や電極端子群BCcにおける複数の電極端子BCbの配列方向のことをいう。
【0014】
この例示では、それぞれの電池セルBCがセル本体BCaの6つの外壁面の内の1つに正負それぞれの電極端子BCbを備えている(
図6)。よって、電池モジュールBMにおいては、1つの平面の上に2つの電極端子群BCcが設けられている(
図6)。
【0015】
また、ここで示す電極端子BCbは、平板状に形成され、後述するバスバ10を溶接等で物理的且つ電気的に接続させるものとする(
図6)。但し、電極端子BCbは、雄螺子部を有する極柱形状に形成されたものであってもよい。この場合には、その電極端子BCbの雄螺子部に雌螺子部材を螺合させることによって、この電極端子BCbにバスバ10を螺子止め固定する。
【0016】
導電モジュール1は、電池モジュールBMにおける複数の電池セルBCを電気的に接続させる複数のバスバ10を備える(
図6)。そして、この導電モジュール1は、バスバ10を電池監視ユニットに電気接続させるバスバ10毎の回路導体を備え、かつ、可撓性を持たせて平たく形成された回路導体部品20を備える(
図1から
図5)。本実施形態の導電モジュール1は、更に、回路導体を接続対象のバスバ10に電気接続させるバスバ10毎の端子金具30を備える(
図2及び
図3)。この導電モジュール1は、バスバ10と回路導体部品20を開口から収容する収容部材40と、この収容部材40に組み付けられ、かつ、開口を塞ぐカバー部材50と、を備える(
図1及び
図2)。また更に、この導電モジュール1は、収容部材40に組み付けられ、かつ、回路導体部品20とカバー部材50との間に介在して回路導体部品20を覆う回路カバー部材60を備える(
図2)。ここでは、例えば、回路導体部品20にバスバ10毎の端子金具30が予め取り付けられており、この端子金具30付きの回路導体部品20が収容部材40に収容される。
【0017】
バスバ10と端子金具30は、金属等の導電性材料で成形される。回路導体部品20は、金属等の導電性材料と合成樹脂等の絶縁性材料とで構成される。収容部材40とカバー部材50と回路カバー部材60は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。
【0018】
バスバ10は、金属製の板状の導電部品であり、例えば、金属板を母材してプレス成形される。ここで示すバスバ10は、矩形の平板状に成形されている。
【0019】
導電モジュール1は、このバスバ10として、例えば、電池モジュールBMにおける一対の電池セルBCの隣り合う電極端子BCbに対して物理的且つ電気的に接続させるものと、電池モジュールBMにおける総負極となる電極端子BCbに対して物理的且つ電気的に接続させるものと、電池モジュールBMにおける総正極となる電極端子BCbに対して物理的且つ電気的に接続させるものと、を備える。
【0020】
回路導体部品20としては、例えば、回路導体としての導体パターンがバスバ10毎に形成されたフレキシブルプリント回路基板(FPC)が用いられる。
【0021】
この回路導体部品20は、バスバ10毎の回路導体が配線され、かつ、収容部材40の中で規定位置に収容された幹線部21と、この幹線部21からバスバ10毎に回路導体を分岐させ、かつ、規定位置の幹線部21からバスバ10までの間にて弾性域内で規定形状に折り曲げて配索される分岐部22と、を有する(
図2から
図4)。
【0022】
幹線部21は、配列方向に延在させ、かつ、接続対象のそれぞれのバスバ10に対して、配列方向に対する直交方向で横並びに配置される。この幹線部21においては、その配列方向に沿ってバスバ10毎の回路導体が配線されている。分岐部22は、接続対象のバスバ10の回路導体と一緒に幹線部21から分岐させる。この分岐部22においては、その回路導体が先端部にまで配線されている。
【0023】
ここで示す幹線部21は、配列方向に沿う一方の辺部を接続対象のそれぞれのバスバ10側に置く矩形のシート状に形成され、配列方向に沿う他方の辺部側を分岐起点にしてバスバ10毎に分岐部22を分岐させる。ここで示す分岐部22は、矩形のシート状に形成されている。
【0024】
幹線部21は、分岐部22側から見れば、この分岐部22を分岐させた他方の辺部(つまり、分岐起点側)を固定端とする片持ち梁といえるものになっている。また、分岐部22は、幹線部21側から見れば、分岐起点側を固定端とする片持ち梁といえるものになっている。
【0025】
分岐部22は、幹線部21と収容部材40の底部との間に潜り込ませる形で幹線部21における分岐部22の分岐起点側からU字状に折り曲げられる(
図4)。つまり、分岐部22は、収容部材40の中で、幹線部21の他方の辺部から分岐させ、幹線部21と収容部材40の底部との間を通って幹線部21の一方の辺部側に折り返される。
【0026】
この分岐部22は、その先端部に接続対象のバスバ10の端子金具30が取り付けられる(
図4)。端子金具30は、金属製の板状の導電部品であり、例えば、金属板を母材してプレス成形される。この端子金具30は、バスバ10毎に分岐部22の先端部に取り付けられて、その分岐部22の回路導体に対して物理的且つ電気的に接続させる。分岐部22の回路導体には、端子金具30が例えば溶接等で物理的且つ電気的に接続される。
【0027】
ここで示す分岐部22の先端部は、収容部材40の中で幹線部21と収容部材40の底部との間に配置される(
図4)。また、ここで示す端子金具30は、収容部材40の中で分岐部22の先端部よりも収容部材40の底部側に配置される(
図4)。よって、分岐部22の先端部には、幹線部21と収容部材40の底部との間で端子金具30が取り付けられている。ここで示す端子金具30は、その分岐部22の先端部に予め取り付けられる。
【0028】
尚、端子金具30は、収容部材40の中で分岐部22の先端部との取付位置から接続対象のバスバ10側に延在させ、その延在させた先でバスバ10に対して物理的且つ電気的に接続される。この端子金具30は、収容部材40の中でバスバ10に載せ置かれ、このバスバ10に対して例えば溶接等で物理的且つ電気的に接続される。
【0029】
ここで示す回路導体部品20は、幹線部21とバスバ毎の分岐部22の集合体を電極端子群BCc毎に備える(
図2及び
図3)。
【0030】
回路導体部品20は、一方の電極端子群BCcの幹線部21と他方の電極端子群BCcの幹線部21における配列方向のそれぞれの端部同士を連結させ、かつ、その双方の幹線部21の複数の回路導体を一箇所に集めた回路集合部23を有する(
図2)。回路導体部品20においては、この回路集合部23を電池監視ユニットに対して電気的に接続させる。
【0031】
また、この回路導体部品20においては、一方の電極端子群BCcの幹線部21と他方の電極端子群BCcの幹線部21とが連結部24で繋がれている(
図2)。この連結部24は、幹線部21の配列方向の長さに応じて1つ又は複数設けられる。
【0032】
導電モジュール1においては、収容部材40の本体41のそれぞれのバスバ収容室41a(
図2から
図5、
図7及び
図8)にバスバ10を収容し、このバスバ10の上に端子金具30を載せ置いて、バスバ10と端子金具30をバスバ10毎に溶接等で物理的且つ電気的に接続する。この導電モジュール1においては、そのそれぞれの端子金具30に回路導体部品20が取り付けられている。よって、この導電モジュール1においては、それぞれの分岐部22を規定形状(前述したU字状)に折り曲げて幹線部21を規定位置に配置しようとしても、それぞれの分岐部22の折り曲げに伴う反力で幹線部21が規定位置から元の位置に向けて戻されて、この幹線部21を浮き上がらせてしまう。
【0033】
そこで、収容部材40には、分岐部22が規定形状に折り曲げられた状態で幹線部21を規定位置に係止する幹線係止部42を設ける(
図3から
図5、
図7及び
図8)。この幹線係止部42は、配列方向に対する直交方向に延在させ、幹線部21の一部を配列方向に対する直交方向(言うなれば幹線部21の幅方向)に亘って覆わせる(
図3から
図5)。この幹線係止部42は、配列方向で複数箇所に設ける。
【0034】
収容部材40は、回転軸が幹線部21の分岐起点側に設けられ、かつ、幹線係止部42を幹線部21の係止位置と非係止位置との間で回動させるヒンジ部43を有している(
図3から
図5、
図7及び
図8)。このヒンジ部43は、幹線係止部42の一端に設けられる。ここでは、
図7及び
図8の幹線係止部42の位置を幹線係止部42で幹線部21を係止していない非係止位置とする。尚、
図7では、図示の便宜上、幹線部21が規定位置に配置されている。
【0035】
幹線係止部42は、非係止位置から係止位置に向けてヒンジ部43の回転軸の軸周りに回動させる。そして、この幹線係止部42は、それぞれの分岐部22の折り曲げに伴う反力で元の位置に戻ろうとしている幹線部21(
図8)を押さえ付けながら係止位置まで回動させ、その係止位置で幹線部21を規定位置に保つ。
【0036】
幹線係止部42は、収容部材40とは別の部品として成形し当該収容部材40に組み付けるものであってもよく、収容部材40の一部分として形成されたものであってもよい。この例示では、収容部材40の一部分として幹線係止部42が形成される。よって、ヒンジ部43は、本体41と幹線係止部42の一端とを繋ぐリビングヒンジとして形成されている。
【0037】
収容部材40は、幹線係止部42の他端に設けた第1係合部44aと、この第1係合部44aを係合させて、幹線係止部42による規定位置の幹線部21の係止状態を保つ第2係合部44bと、を有している(
図5及び
図8)。この第1係合部44aと第2係合部44bは、幹線係止部42による規定位置の幹線部21の係止状態を保つためのロック機構44を構成する(
図3及び
図5)。
【0038】
例えば、第1係合部44aは、幹線係止部42の他端から突出させ、かつ、可撓性を持たせた片持ち梁形状の可撓片部44a
1と、この可撓片部44a
1の自由端から突出させた爪部44a
2と、を有する(
図5及び
図8)。第2係合部44bは、本体41の貫通孔44cの周縁部に設ける(
図5及び
図8)。第1係合部44aは、その貫通孔44cに挿入される。この第1係合部44aにおいては、幹線係止部42が係止位置のときに、貫通孔44cを通り抜けた爪部44a
2が当該貫通孔44cの周縁部の第2係合部44bに係止される。
【0039】
第1係合部44aは、係止位置の幹線係止部42において、規定位置の幹線部21の一方の辺部側(つまり、自由端側)で当該一方の辺部(自由端)を外した位置に配置される(
図5)。これにより、第1係合部44aと第2係合部44bは、係合状態で規定位置の幹線部21の一方の辺部(自由端)をバスバ10側から覆う。よって、規定位置の幹線部21は、その一方の辺部(自由端)の位置が係合状態の第1係合部44aと第2係合部44bによって規制される。
【0040】
収容部材40には、係止位置の幹線係止部42と第1係合部44aと第2係合部44bで幹線部21が規定位置に保持された状態で回路カバー部材60が組み付けられる(
図9)。この回路カバー部材60は、係止位置の幹線係止部42と一緒に回路導体部品20を覆うカバー部材であり、一方の電極端子群BCcと他方の電極端子群BCcとの間に亘って配置される。
【0041】
この回路カバー部材60は、収容部材40に対する組付け完了状態のときに、規定位置の幹線部21の一方の辺部側(自由端側)で当該一方の辺部(自由端)を外した位置に配置される第1カバー係合部61を有している(
図9及び
図10)。また、収容部材40は、第1カバー係合部61を係合させて、回路カバー部材60を収容部材40に対する組付け完了状態に保つ第2カバー係合部45を有している(
図9及び
図10)。
【0042】
例えば、第1カバー係合部61は、配列方向に間隔を空けて対向配置された撓み変形可能な片持ち梁形状の一対の可撓軸部61aと、この一対の可撓軸部61aの自由端同士を連結させた連結部61bと、を有する(
図9及び
図10)。第2カバー係合部45は、収容部材40の本体41の底部側から垂設させ、かつ、可撓性を持たせた片持ち梁形状の可撓片部45aと、この可撓片部45aから突出させた爪部45bと、を有する(
図9及び
図10)。この第2カバー係合部45においては、第1カバー係合部61における一対の可撓軸部61aと連結部61bとで囲まれた空間内に爪部45bが挿入され、この爪部45bを連結部61bに引っ掛けることで第1カバー係合部61との係合状態を保つ。
【0043】
この第1カバー係合部61と第2カバー係合部45は、回路カバー部材60を収容部材40に組み付けることによって係合状態となる。そして、この第1カバー係合部61と第2カバー係合部45は、係合状態で規定位置の幹線部21の一方の辺部(自由端)とバスバ10との間に配置される。先に示したように、幹線部21は、幹線係止部42によって浮き上がりを抑えて規定位置に保持される。そして、この幹線部21においては、その規定位置での一方の辺部(自由端)の位置が係合状態の第1係合部44aと第2係合部44bによって規制されている。よって、この導電モジュール1においては、回路カバー部材60を収容部材40に組み付ける際に、第1カバー係合部61と第2カバー係合部45の間で幹線部21を噛み込まずに済むので、幹線部21の状態を鑑みることなく収容部材40に回路カバー部材60を組み付けることができる。
【0044】
以上示したように、本実施形態の導電モジュール1は、収容部材40に対する回路カバー部材60の組付け作業性を向上させることができる。また、本実施形態の導電モジュール1は、その回路カバー部材60の上からカバー部材50を被せて、このカバー部材50を収容部材40に組み付ける。本実施形態の導電モジュール1においては、回路カバー部材60を組み付けるときと同じように、既に、幹線部21が幹線係止部42によって浮き上がりを抑えた状態で規定位置に保持されている。従って、本実施形態の導電モジュール1は、幹線部21の状態を鑑みることなく収容部材40にカバー部材50を組み付けることができるので、収容部材40に対するカバー部材50の組付け作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 導電モジュール
10 バスバ
20 回路導体部品
21 幹線部
22 分岐部
40 収容部材
42 幹線係止部
43 ヒンジ部
44a 第1係合部
44b 第2係合部
45 第2カバー係合部
50 カバー部材
60 回路カバー部材
61 第1カバー係合部
BC 電池セル
BM 電池モジュール