(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025163951
(43)【公開日】2025-10-30
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体装置の製品履歴管理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L  21/66        20060101AFI20251023BHJP        
【FI】
H01L21/66 A 
H01L21/66 J 
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067616
(22)【出願日】2024-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金尾  剛史
(72)【発明者】
【氏名】野中  淳平
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AA07
4M106AB01
4M106CA38
4M106CA50
4M106CB19
4M106DA15
4M106DB21
4M106DJ20
4M106DJ21
(57)【要約】
【課題】コストの増加を抑制できると共に、半導体装置のトレーサビリティを精度良く行える技術が求められる。
【解決手段】複数のチップ領域(CHPa)において、それぞれ最上層配線層中に金属膜MFを有する多層配線層を形成する。複数のチップ領域(CHPa)において、それぞれ金属膜MFのうち特定エリア1Aの表面モフォロジー画像1AIを取得する。ウェハ識別番号IDと、複数のチップ領域(CHPa)の位置情報と、チップ領域(CHPa)内における特定エリア1Aの位置情報と、複数のチップ領域(CHPa)毎の表面モフォロジー画像1AIとを紐づけて、記憶装置に記憶させる。
【選択図】
図1
 
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体材料からなるウェハにウェハ識別番号を割り当てる工程、
(b)前記ウェハを行列状に配置された複数のチップ領域に区画し、ウェハマップを生成する工程、
(c)前記複数のチップ領域において、それぞれ半導体素子を形成する工程、
(d)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記半導体素子よりも上方に位置し、且つ、その最上層配線層中に金属膜を有する多層配線層を形成する工程、
(e)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記金属膜のうち特定エリアの第1表面モフォロジー画像を取得する工程、
(f)前記ウェハ識別番号と、前記複数のチップ領域の位置情報と、前記チップ領域内における前記特定エリアの位置情報と、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、記憶装置に記憶させる工程、
  を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記金属膜は、アルミニウムを主成分とする膜である、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記金属膜には、外部接続用部材が接続されない、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記特定エリアの平面サイズは、50μm×50μm以上且つ200μm×200μm以下である、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記(d)工程では、前記特定エリアを覆うように、前記金属膜の一部上に、保護膜が形成され、
  前記(e)工程では、前記保護膜を介して前記第1表面モフォロジー画像が取得される、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記(e)工程では、前記第1表面モフォロジー画像の複数の第1特徴量が抽出され、
  前記(f)工程では、前記複数の第1特徴量は、前記第1表面モフォロジー画像に関連する情報として、前記記憶装置に記憶される、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記特定エリア内若しくは前記特定エリアの周囲、または、それらの両方に位置する前記金属膜に、幾何学模様パターンが設けられている、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記(e)工程では、前記複数のチップ領域において、それぞれ、複数の前記特定エリアの複数の前記第1表面モフォロジー画像が取得される、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
(g)前記(c)工程における前記半導体素子の製造過程と、前記(d)工程における前記多層配線層の製造過程とに含まれる処理履歴を、前記記憶装置に記憶させる工程、
(h)前記(c)工程中および前記(d)工程中に、インライン検査を行う工程、
(i)前記処理履歴と、前記インライン検査の検査データと、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、前記記憶装置に記憶させる工程、
  を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
  請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
  前記インライン検査は、異物検査、欠陥検査、寸法検査、重ね合わせ検査および外観検査のうち、何れか1つ以上を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
(j)前記複数のチップ領域毎の前記半導体素子に対して電気的特性試験を行う工程、
(k)前記電気的特性試験の試験データと、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、前記記憶装置に記憶させる工程
  を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
  請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
(l)前記ウェハの前記複数のチップ領域を個片化することで、複数の半導体チップを取得する工程、
(m)前記複数の半導体チップを封止樹脂でそれぞれ封止することで、複数の第1半導体装置を形成する工程、
(n)前記複数の第1半導体装置のそれぞれの信頼性を選別する選別試験を行う工程、
(o)前記選別試験の試験データと、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、前記記憶装置に記憶させる工程、
  を更に備える、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
(a)半導体材料からなるウェハにウェハ識別番号を割り当てる工程、
(b)前記ウェハを行列状に配置された複数のチップ領域に区画し、ウェハマップを生成する工程、
(c)前記複数のチップ領域において、それぞれ半導体素子を形成する工程、
(d)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記半導体素子よりも上方に位置する多層配線層のうち最上層配線層中に、金属膜を形成する工程、
(e)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記金属膜のうち特定エリアの第1表面モフォロジー画像を取得する工程、
(f)前記ウェハ識別番号と、前記複数のチップ領域の位置情報と、前記チップ領域内における前記特定エリアの位置情報と、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、記憶装置に記憶させる工程、
(g)前記ウェハの前記複数のチップ領域を個片化することで、複数の半導体チップを取得する工程、
(h)前記複数の半導体チップを封止樹脂でそれぞれ封止することで、複数の第1半導体装置を形成する工程、
(i)不良判定された第2半導体装置を取得する工程、
(j)前記第2半導体装置の前記封止樹脂を開封し、前記第2半導体装置に設けられた前記金属膜のうち前記特定エリアに相当する箇所の第2表面モフォロジー画像を取得する工程、
(k)前記第2表面モフォロジー画像を、前記記憶装置に格納された前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像に照合することで、前記第2半導体装置が製造された前記ウェハの前記ウェハ識別番号と、前記第2半導体装置が製造された前記チップ領域の位置とを特定する工程、
  を備える、半導体装置の製品履歴管理方法。
【請求項14】
  請求項13に記載の半導体装置の製品履歴管理方法において、
(l)前記(c)工程における前記半導体素子の製造過程と、前記(d)工程における前記多層配線層の製造過程とに含まれる処理履歴を、前記記憶装置に記憶させる工程、
(m)前記処理履歴と、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、前記記憶装置に記憶させる工程、
  を更に備え、
  前記(k)工程で前記第2半導体装置が製造された前記チップ領域の位置を特定することで、前記第2半導体装置に対応する前記処理履歴を特定できる、半導体装置の製品履歴管理方法。
【請求項15】
  請求項14に記載の半導体装置の製品履歴管理方法において、
(n)前記(c)工程中および前記(d)工程中に、インライン検査を行う工程、
(o)前記半導体素子に対して電気的特性試験を行う工程、
(p)前記(h)工程後、前記複数の第1半導体装置のそれぞれの信頼性を選別する選別試験を行う工程、
(q)前記インライン検査の検査データと、前記電気的特性試験の試験データと、前記選別試験の試験データと、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、前記記憶装置に記憶させる工程、
  を更に備え、
  前記(k)工程で前記第2半導体装置が製造された前記チップ領域の位置を特定することで、前記第2半導体装置に対応する前記インライン検査の前記検査データ、前記電気的特性試験の前記試験データおよび前記選別試験の前記試験データのうち何れか1つ以上を特定できる、半導体装置の製品履歴管理方法。
【請求項16】
  請求項15に記載の半導体装置の製品履歴管理方法において、
(r)前記第2半導体装置に対して故障解析を行う工程、
  を更に備え、
  前記故障解析の解析データと、前記第2半導体装置に対応する前記インライン検査の前記検査データ、前記電気的特性試験の前記試験データおよび前記選別試験の前記試験データのうち何れか1つ以上との関係から、前記第2半導体装置の不良原因を特定できる、半導体装置の製品履歴管理方法。
【請求項17】
  請求項16に記載の半導体装置の製品履歴管理方法において、
  前記故障解析は、発光解析、OBIRCH解析、DLS解析、IDDQ解析、発熱解析、ナノプローバ解析およびEBAC解析のうち何れか1つ以上を含む、半導体装置の製品履歴管理方法。
【請求項18】
  請求項17に記載の半導体装置の製品履歴管理方法において、
  特定された前記第2半導体装置の不良原因は、前記(c)工程および前記(d)工程にフィードバックされる、半導体装置の製品履歴管理方法。
【請求項19】
  請求項13に記載の半導体装置の製品履歴管理方法において、
  前記第2表面モフォロジー画像が、前記記憶装置に格納された前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像の何れにも一致しない場合、前記第2半導体装置が、偽造製品であると特定できる、半導体装置の製品履歴管理方法。
【請求項20】
  請求項1に記載の半導体装置の製品履歴管理方法において、
  前記(e)工程では、前記第1表面モフォロジー画像の複数の第1特徴量が抽出され、
  前記(g)工程では、前記複数の第1特徴量は、前記第1表面モフォロジー画像に関連する情報として、前記記憶装置に記憶され、
  前記(j)工程では、前記第2表面モフォロジー画像の複数の第2特徴量が抽出され、
  前記(k)工程では、前記第2表面モフォロジー画像と、前記記憶装置に格納された前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像との照合は、前記複数の第2特徴量と、前記記憶装置に格納された前記複数の第1特徴量とを比較することで行われる、半導体装置の製品履歴管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置の製品履歴管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
  半導体装置の製造後に不良が発見された場合、早期に不良原因を特定し、半導体装置の製造工程へのフィードバックを行うことが求められている。そのために、不良と判定された半導体装置のトレーサビリティが有効である。すなわち、不良と判定された半導体装置が、どのロット番号およびどのウェハ識別番号に属するウェハで製造され、ウェハ内のどの位置で製造されていたかを明らかにすることが有効である。
【0003】
  例えば特許文献1では、半導体チップの4隅において、ウェハ側面のダイシング痕の画像と、プローブ検査時に形成されたパッド電極の表面の接触痕の画像とを記憶装置に記憶している。不良判定された半導体チップについても同様の画像を取得し、それらの画像を記憶装置に記憶された画像に照合することで、不良判定された半導体チップが製造されたウェハ識別番号およびウェハ内の位置を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  一般的に、半導体の前工程段階では、ウェハに識別記号が付されている。しかし、ウェハから個片化された半導体チップには、識別記号が付されていない。全ての半導体チップに識別記号を付すことで、トレーサビリティが可能になるが、そのような手法は、コストの増加につながる。
【0006】
  ウェハから個片化された半導体チップは、半導体の後工程処理を経てパッケージ化され、半導体装置が製造される。その過程で、パッド電極の表面上には、ボンディングワイヤまたはバンプ電極などの外部接続用部材が形成される。また、半導体チップは、封止樹脂に覆われる。不良判定された半導体装置のトレーサビリティを行うためには、封止樹脂を開封し、外部接続用部材を除去した後でも、半導体チップの特定に繋がる情報を精度良く取得する必要がある。
【0007】
  すなわち、コストの増加を抑制できると共に、半導体装置のトレーサビリティを精度良く行える技術が求められる。また、早期に半導体装置の不良原因を特定でき、早期に半導体装置の製造方法へのフィードバックを行える技術が求められる。それらの技術によって、フィードバック後において、信頼性の高い半導体装置を供給でき、歩留まりを改善でき、市場への不良品の流出を抑制できる。
【0008】
  その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
  本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
  一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、(a)半導体材料からなるウェハにウェハ識別番号を割り当てる工程、(b)前記ウェハを行列状に配置された複数のチップ領域に区画し、ウェハマップを生成する工程、(c)前記複数のチップ領域において、それぞれ半導体素子を形成する工程、(d)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記半導体素子よりも上方に位置し、且つ、その最上層配線層中に金属膜を有する多層配線層を形成する工程、(e)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記金属膜のうち特定エリアの第1表面モフォロジー画像を取得する工程、(f)前記ウェハ識別番号と、前記複数のチップ領域の位置情報と、前記チップ領域内における前記特定エリアの位置情報と、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、記憶装置に記憶させる工程、を備える。
【0011】
  一実施の形態に係る半導体装置の製品履歴管理方法は、(a)半導体材料からなるウェハにウェハ識別番号を割り当てる工程、(b)前記ウェハを行列状に配置された複数のチップ領域に区画し、ウェハマップを生成する工程、(c)前記複数のチップ領域において、それぞれ半導体素子を形成する工程、(d)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記半導体素子よりも上方に位置する多層配線層のうち最上層配線層中に、金属膜を形成する工程、(e)前記複数のチップ領域において、それぞれ前記金属膜のうち特定エリアの第1表面モフォロジー画像を取得する工程、(f)前記ウェハ識別番号と、前記複数のチップ領域の位置情報と、前記チップ領域内における前記特定エリアの位置情報と、前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像とを紐づけて、記憶装置に記憶させる工程、(g)前記ウェハの前記複数のチップ領域を個片化することで、複数の半導体チップを取得する工程、(h)前記複数の半導体チップを封止樹脂でそれぞれ封止することで、複数の第1半導体装置を形成する工程、(i)不良判定された第2半導体装置を取得する工程、(j)前記第2半導体装置の前記封止樹脂を開封し、前記第2半導体装置に設けられた前記金属膜のうち前記特定エリアに相当する箇所の第2表面モフォロジー画像を取得する工程、(k)前記第2表面モフォロジー画像を、前記記憶装置に格納された前記複数のチップ領域毎の前記第1表面モフォロジー画像に照合することで、前記第2半導体装置が製造された前記ウェハの前記ウェハ識別番号と、前記第2半導体装置が製造された前記チップ領域の位置とを特定する工程、を備える。
【発明の効果】
【0012】
  一実施の形態によれば、コストの増加を抑制できると共に、半導体装置のトレーサビリティを精度良く行える。また、早期に半導体装置の不良原因を特定でき、早期に半導体装置の製造方法へのフィードバックを行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
            【
図1】実施の形態1における半導体装置の製造方法および半導体装置の製品履歴管理方法を示すフローチャートである。
 
            【
図2】実施の形態1におけるウェハマップを示す平面図である。
 
            【
図3】実施の形態1におけるチップ領域を示す平面図である。
 
            【
図4】実施の形態1における記憶装置へのデータの格納を示す模式図である。
 
            【
図5】実施の形態1における記憶装置へのデータの格納を示す模式図である。
 
            【
図6】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
 
            
            
            
            
            【
図11】
図10に続く製造工程と、その後の半導体装置の製品履歴管理工程とを示す模式図である。
 
            
            
            【
図14】実施の形態2における表面モフォロジー画像の照合方法を示す模式図である。
 
            【
図15】実施の形態3における金属膜の形状パターンを示す平面図である。
 
            【
図16】実施の形態4におけるチップ領域を示す平面図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0014】
  以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
  また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0016】
  (実施の形態1)
  <半導体装置の製造方法および半導体装置の製品履歴管理方法>
  以下に
図1を用いて、実施の形態1における半導体装置100の製造方法および半導体装置100の製品履歴管理方法について説明する。半導体装置100の製品履歴管理方法は、
図1に示されるステップS1からステップS18を備える。半導体装置100の製造方法は、半導体装置100の製品履歴管理方法の一部であり、ステップS1からステップS13を備える。
 
【0017】
  また、ステップS1からステップS18の説明において、必要に応じて
図2から
図13を用いる。
 
【0018】
  ステップS1では、まず、ウェハWFを用意し、
図4に示されるように、ウェハWFの一部にウェハ識別番号IDを割り当てる。次に、
図2に示されるように、ウェハWFを行列状に配置された複数のチップ領域CHPaに区画し、ウェハマップWFMを生成する。複数のチップ領域CHPaは、それぞれダイシングラインDLによって区画される。複数のチップ領域CHPaがダイシングラインDLに沿って個片化されることで、複数の半導体チップCHPが取得される。
 
【0019】
  図3は、チップ領域CHPa(半導体チップCHP)の詳細を示す平面図である。チップ領域CHPaは、多層配線層を有し、多層配線層のうち最上層配線層中に複数の金属膜MFを有する。複数の金属膜MFは、複数の配線M9および複数のダミーパターンDPを含む。
 
【0020】
  ここでは図示していないが、複数の配線M9および複数のダミーパターンDPは、保護膜PFによって覆われている。保護膜PFの一部には、開口部が設けられている。複数の配線M9のうち上記開口部で露出している箇所が、パッド電極PADになる。
図3に示される破線に囲まれた箇所が、パッド電極PADである。パッド電極PAD上に、ボンディングワイヤまたはバンプ電極などの外部接続用部材が接続されることで、半導体チップCHPが、他の半導体チップまたは配線基板などに電気的に接続できる。
 
【0021】
  複数の配線M9は、後述する半導体素子1Qに電気的に接続されている。複数のダミーパターンDPは、半導体素子1Qに電気的に接続されず、電気的にフローティングである。また、複数のダミーパターンDPには、外部接続用部材が接続されない。
【0022】
  ステップS2では、複数のチップ領域CHPaにおいて、それぞれ半導体素子1Qを形成する。以下に
図6から
図8を用いて、半導体素子1Qを形成するための各製造工程について説明する。ここでは、半導体素子1Qとしてn型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を例示する。なお、n型のMOSFETは半導体素子1Qの一例であり、ウェハWFには、p型のMOSFET、容量素子および抵抗素子など、他の複数の半導体素子が形成されるが、ここでは、それらの説明を省略する。
 
【0023】
  図6に示されるように、まず、p型の単結晶シリコン基板からなるウェハWFを用意する。ウェハWFは、上記単結晶シリコン基板と、上記単結晶シリコン基板上にエピタキシャル成長法を用いて形成されたシリコン層との積層体であってもよい。
 
【0024】
  次に、ウェハWF上に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いた成膜処理によって、例えば窒化シリコン膜のような絶縁膜を形成する。次に、上記絶縁膜をパターニングすることで、ハードマスクを形成する。次に、上記ハードマスクをマスクとして、ウェハWF内に溝を形成する。次に、上記溝の内部を埋め込むように、ウェハWF上に、例えばCVD法を用いた成膜処理によって、酸化シリコン膜のような絶縁膜を形成する。次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法による研磨処理によって、上記溝の外部に位置する上記絶縁膜を除去する。次に、ウェットエッチング処理によって、上記ハードマスクを除去する。以上により、ウェハWF内に、活性領域を規定する複数の素子分離部STIを形成する。
【0025】
  図7に示されるように、まず、ウェハWF内に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、n型の不純物領域であるウェル領域DNWを形成する。次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、ウェル領域DNW内に、p型の不純物領域であるウェル領域PWを形成する。
 
【0026】
  次に、ウェハWF上に、熱酸化処理によって、酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GIを形成する。次に、ゲート絶縁膜GI上に、例えばCVD法を用いた成膜処理によって、例えばn型の多結晶シリコン膜を形成する。次に、上記多結晶シリコン膜をパターニングすることで、ゲート電極GEを形成する。
【0027】
  図8に示されるように、まず、ゲート電極GEから露出しているウェル領域PW内に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、n型の不純物領域であるエクステンション領域NEXを形成する。
 
【0028】
  次に、ゲート電極GEを覆うように、例えばCVD法を用いた成膜処理によって、例えば酸化シリコン膜と窒化シリコン膜とを順次形成する。次に、異方性エッチング処理によって、上記酸化シリコン膜および上記窒化シリコン膜を加工する。これにより、ゲート電極GEの側面上に、サイドウォールスペーサSWを形成する。
【0029】
  次に、サイドウォールスペーサSWから露出しているウェル領域PW内に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、n型の不純物領域である高濃度拡散領域NRを形成する。高濃度拡散領域NRは、エクステンション領域NEXよりも高い不純物濃度を有する。
【0030】
  以上により、半導体素子1Qとしてn型のMOSFETが形成される。n型のMOSFETは、ゲート絶縁膜GI、ゲート電極GE、サイドウォールスペーサSW、エクステンション領域NEXおよび高濃度拡散領域NRを有する。エクステンション領域NEXおよび高濃度拡散領域NRが、n型のMOSFETのソース領域またはドレイン領域を構成する。ウェル領域PWのうち、2つのエクステンション領域NEXに挟まれ、且つ、ゲート電極GE下に位置する箇所が、n型のMOSFETのチャネル領域を構成する。
【0031】
  ステップS3では、複数のチップ領域CHPaにおいて、それぞれ半導体素子1Qよりも上方に位置する多層配線層を形成する。以下に
図9および
図10を用いて、多層配線層を形成するための各製造工程について説明する。
 
【0032】
  多層配線層は、例えば、第1配線層WL1から第9配線層WL9によって構成される。ここでは、第9配線層WL9が、多層配線層の最上層配線層であるが、配線層の層数は一例であり、適宜変更できる。
【0033】
  図9に示されるように、第1配線層WL1中から第8配線層WL8中に、それぞれ、複数の配線M1から複数の配線M8を形成する。複数の配線M1から複数の配線M8は、それぞれ、既存のダマシン法またはデュアルダマシン法を用いて形成できる。複数の配線M1から複数の配線M8は、それぞれ、例えば、タンタル膜および窒化タンタル膜を含むバリアメタル膜と、バリアメタル膜上に形成され、且つ、バリアメタル膜よりも厚い厚さを有する銅膜とによって構成される。
 
【0034】
  図10に示されるように、まず、第8配線層WL8上に、例えばCVD法を用いた成膜処理によって、層間絶縁膜IL9を形成する。層間絶縁膜IL9は、例えば酸化シリコン膜からなる。次に、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、層間絶縁膜IL9に、選択的にコンタクトホールを形成する。次に、上記コンタクトホールの内部を埋め込むように、スパッタリング法またはCVD法を用いた成膜処理によって、層間絶縁膜IL9上に、窒化チタン膜およびタングステン膜を順次形成する。次に、CMP法による研磨処理によって、上記コンタクトホールの外部に位置する上記窒化チタン膜および上記タングステン膜を除去することで、上記コンタクトホールの内部に、ビアV9を形成する。
 
【0035】
  次に、スパッタリング法またはCVD法を用いた成膜処理によって、層間絶縁膜IL9上に、アルミニウムを主体とする膜を形成する。具体的には、上記アルミニウムを主体とする膜は、例えば、チタンタングステン膜からなるバリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成され、且つ、例えば銅またはシリコンが添加されたアルミニウム合金膜との積層膜である。
【0036】
  次に、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、上記アルミニウムを主体とする膜をパターニングする。これにより、第9配線層中に、複数の金属膜MFを形成する。
図2に示されるように、複数の金属膜MFは、複数の配線M9および複数のダミーパターンDPを含む。
 
【0037】
  次に、複数の配線M9および複数のダミーパターンDPを覆うように、層間絶縁膜IL9上に、例えばCVD法を用いた成膜処理によって、保護膜PFを形成する。保護膜PFは、例えば、酸化シリコン膜、酸窒化シリコン膜または窒化シリコン膜であるか、これらを適宜積層させた積層膜である。次に、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、配線M9上に位置する保護膜PFの一部をパターニングすることで、配線M9のうちパッド電極PADになる領域を露出させる。なお、保護膜PFは、更にポリイミド膜を含んでいてもよい。
【0038】
  パッド電極PADの表面上には、後述のステップS7において、ボンディングワイヤまたはバンプ電極などの外部接続用部材BWが形成される。
【0039】
  以上により、最上層配線層(第9配線層WL9)中に金属膜MFを有する多層配線層が形成される。
【0040】
  また、ステップS2における半導体素子1Qの製造過程と、ステップS3における多層配線層の製造過程とに含まれる処理履歴は、記憶装置MDに記憶される。
【0041】
  ステップS4では、複数のチップ領域CHPaにおいて、それぞれ金属膜MFのうち特定エリア1Aの表面モフォロジー画像1AIを取得する。
【0042】
  図3に示されるように、チップ領域CHPa内に存在する金属膜MFのうち一部は、特定エリア1Aとして設けられている。複数のチップ領域CHPa毎に特定エリア1Aの位置は同じである。
図3の例では、特定エリア1Aとして、例えばダミーパターンDPの一部を使用する。特定エリア1Aとして、配線M9のうちパッド電極PADとして用いられない箇所を使用してもよい。特定エリア1Aの平面サイズは、例えば50μm×50μm以上且つ200μm×200μm以下である。
 
【0043】
  図11に示されるように、複数のチップ領域CHPa毎に特定エリア1Aの表面モフォロジー画像1AIを取得し、それらの表面モフォロジー画像1AIを記憶装置MDに記憶させる。
 
【0044】
  なお、ステップS4では、特定エリア1Aが保護膜PFに覆われた状態で、保護膜PFを介して表面モフォロジー画像1AIを取得することが望ましい。表面モフォロジー画像1AIは、後に、不良判定された半導体装置200の表面モフォロジー画像2AIとの照合に使用される。例えばパッド電極PAD内に特定エリア1Aを設定すると、特定エリア1Aに外部接続用部材BWが設けられる虞がある。そうすると、半導体装置200の表面モフォロジー画像2AIが取得できなくなる。
【0045】
  また、表面モフォロジー画像2AIを取得する際に、特定エリア1Aが保護膜PFに覆われていないと、半導体装置200の特定エリア1Aの表面状態が変化する虞がある。そうすると、正確な表面モフォロジー画像2AIの取得が困難になる。
【0046】
  ステップS5では、
図4に示されるように、ウェハ識別番号IDと、複数のチップ領域CHPaの位置情報と、チップ領域CHPa内における特定エリア1Aの位置情報と、複数のチップ領域CHPa毎の表面モフォロジー画像1AIとを紐づけて、記憶装置MDに記憶させる。このように各情報と紐づけられた表面モフォロジー画像1AIは、不良判定された半導体装置200のトレーサビリティに有効に利用できる。
 
【0047】
  ステップS6では、ウェハWFの複数のチップ領域CHPaをダイシングラインDLに沿って個片化することで、複数の半導体チップCHPを取得する。
【0048】
  ステップS7では、複数の半導体チップCHPを封止樹脂SRでそれぞれ封止することで、複数の半導体装置100を形成する。
【0049】
  例えば、まず、半導体チップCHPをリードフレームに搭載し、外部接続用部材BWを用いて、パッド電極PADを、それぞれリード端子に電気的に接続させる。次に、エポキシ樹脂のような封止樹脂SRで、半導体チップCHPおよび各リード端子を封止する。各リード端子をリードフレームから切り離すことで、
図11に示されるような半導体装置100が形成される。
 
【0050】
  以上のように、ウェハWFから複数の半導体装置100を取得できる。
【0051】
  実施の形態1では、ウェハWFから半導体装置100を製造する過程で、インライン検査、電気的特性試験および選別試験を行い、取得した各検査データまたは各試験データを、後述の半導体装置200の不良の特定に利用する。
【0052】
  ステップS8では、ステップS3およびステップS4を行っている最中に、インライン検査を適宜行う。インライン検査は、例えば、異物検査、欠陥検査、寸法検査、重ね合わせ検査および外観検査のうち、何れか1つ以上を含む。
【0053】
  ステップS9では、ステップS6を行う前に、複数のチップ領域CHPa毎の半導体素子1Qに対して電気的特性試験を行う。
【0054】
  ステップS10では、ステップS9を行う前に、複数の半導体装置100のそれぞれの信頼性を選別する選別試験を行う。選別試験は、例えばバーンイン試験である。
【0055】
  なお、上述のように、ステップS2における半導体素子1Qの製造過程と、ステップS3おける多層配線層の製造過程とに含まれる処理履歴は、記憶装置MDに記憶されている。
【0056】
  ステップS11では、
図5に示されるように、処理履歴と、インライン検査の検査データと、電気的特性試験の試験データと、選別試験の試験データと、複数のチップ領域CHPa毎の表面モフォロジー画像1AIとを紐づけて、記憶装置MDに記憶させる。
 
【0057】
  例えば、インライン検査として異物検査を行った際に、あるチップ領域CHPaで異物が検出されたとする。この時点で処理履歴を参照し、異物が発生した製造工程の製造条件を見直してもよいが、全ての異物が不良に直結するわけではなく、放置しても不良に繋がらない異物も存在する。従って、半導体素子1Qの電気的特性および半導体装置100の信頼性に影響が無ければ、その異物を放置してもよいと判断する場合がある。
【0058】
  しかしながら、半導体装置100の使用中に、何らかの理由で半導体装置100が不良品になり、故障解析の結果、放置した異物が不良原因になっていたという可能性もある。このように、潜在的な不良要因を有する半導体装置100に対して、早急にトレーサビリティを行い、不良原因を特定するために、処理履歴、各検査データおよび各試験データを、表面モフォロジー画像1AIに紐づけておく。
【0059】
  ステップS12では、
図11に示されるように、不良判定された半導体装置200を取得する。不良判定された半導体装置200は、例えば、顧客へ製品出荷された後、顧客から不具合を指摘されて返品された半導体装置である。このような半導体装置200のトレーサビリティを行うために、半導体装置200の封止樹脂SRを開封する。また、必要に応じて半導体装置200の外部接続用部材BWを除去する。
 
【0060】
  ステップS13では、半導体装置200に設けられた金属膜MFのうち特定エリア1Aに相当する箇所の表面モフォロジー画像2AIを取得する。この際、特定エリア1Aに相当する箇所が保護膜PFに覆われている場合、保護膜PFを残した状態で表面モフォロジー画像2AIを取得してもよいし、保護膜PFを除去した後に表面モフォロジー画像2AIを取得してもよい。特定エリア1Aが保護膜PFによって保護されていたことで、封止樹脂SRの開封後にも、特定エリア1Aの表面が良好に保たれている。従って、精度の良い表面モフォロジー画像2AIを取得できる。
【0061】
  ステップS14では、
図12に示されるように、表面モフォロジー画像2AIを、記憶装置MDに格納された複数のチップ領域CHPa毎の表面モフォロジー画像1AIに照合することで、半導体装置200が製造されたウェハWFのウェハ識別番号IDと、半導体装置200が製造されたチップ領域CHPa1の位置とを特定する。
 
【0062】
  なお、表面モフォロジー画像2AIが、記憶装置MDに格納された複数のチップ領域CHPa毎の表面モフォロジー画像1AIの何れにも一致しない場合、半導体装置200が、偽造製品であると特定できる。
【0063】
  ステップS15では、半導体装置200が製造されたチップ領域CHPa1の位置が特定されたことで、半導体装置200に対応する処理履歴を特定でき、半導体装置200に対応するインライン検査の検査データ、電気的特性試験の試験データおよび選別試験の試験データのうち何れか1つ以上を特定できる。
【0064】
  例えば、半導体装置200が製造されたチップ領域CHPa1が、異物検査を行った際に、放置しても問題無さそうな異物が検出されたチップ領域CHPaであったとすれば、その異物が不良原因になった可能性があると推測できる。
【0065】
  ステップS16では、半導体装置200に対して故障解析を行う。故障解析は、発光解析、OBIRCH解析、DLS解析、IDDQ解析、発熱解析、ナノプローバ解析およびEBAC解析のうち何れか1つ以上を含む。
【0066】
  ステップS17では、故障解析の解析データと、半導体装置200に対応するインライン検査の検査データ、電気的特性試験の試験データおよび選別試験の試験データのうち何れか1つ以上との関係から、半導体装置200の不良原因を特定できる。
【0067】
  ステップS15で、半導体装置200に対応するインライン検査の検査データ、電気的特性試験の試験データおよび選別試験の試験データが特定されていれば、ステップS16で行う故障解析のうち、適切な解析を優先的に行える。例えば、異物検査において異物が検出された履歴を有し、且つ、寸法検査において異常が検出されなかった履歴を有する半導体装置200の場合、検出されていた異物によって、不良が引き起こされた可能性が高いと予想できる。従って、予想される不良を検出するために適した故障解析を優先的に行える。
【0068】
  ステップS18では、ステップS17の結果を、半導体装置100の製造方法へフィードバックする。例えば、ステップS17の結果をステップS2およびステップS3へフィードバックし、各製造条件の見直しを行う。例えば、インライン検査として異物検査を行った際に検出された異物が不良原因であると特定できた場合、処理履歴を参照して、異物が発生する直前の製造工程の見直しを行うという対策を行える。または、チップ領域CHPa1の製品化を行わない等の対策も行える。
【0069】
  また、
図13に示されるように、ステップS15において、半導体装置200(チップ領域CHPa1)に対応するインライン検査の検査データ、電気的特性試験の試験データおよび選別試験の試験データと、類似した各データを有する他のチップ領域CHPaが存在する場合がある。その場合、該当するチップ領域CHPaから製造された半導体装置100についても、半導体装置200と同じ不良が発生する可能性が高いと推定できる。従って、ウェハマップWFM上において、該当するチップ領域CHPaを照合し、該当するチップ領域CHPaについてもステップS18と同じフィードバックを行ってもよい。
 
【0070】
  このように、実施の形態1によれば、全ての半導体チップCHPに識別記号を付す必要が無く、ウェハWF内において特殊な加工を行う必要も無く、トレーサビリティを行える。従って、トレーサビリティに係るコストの増加を抑制できる。
【0071】
  また、封止樹脂SRを開封し、外部接続用部材BWを除去した後でも、正確な表面モフォロジー画像2AIを取得できる。すなわち、半導体チップCHPの特定に繋がる情報を精度良く取得できる。そして、早期に半導体装置200の不良原因を特定でき、早期に半導体装置100の製造方法へのフィードバックを行える。これにより、フィードバック後において、信頼性の高い半導体装置100を供給でき、歩留まりを改善でき、市場への不良品の流出を抑制できる。
【0072】
  (実施の形態2)
  以下に
図14を用いて、実施の形態2における半導体装置100の製造方法および半導体装置100の製品履歴管理方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
 
【0073】
  実施の形態2では、
図14に示されるように、表面モフォロジー画像1AIと表面モフォロジー画像2AIとの照合に、それぞれの画像から抽出した複数の特徴量を用いる。
 
【0074】
  ステップS4では、表面モフォロジー画像1AIを取得すると共に、表面モフォロジー画像1AIの複数の特徴量を抽出する。例えば、表面モフォロジー画像1AI内で、複数の線分が集まる交点、または、線分に囲まれた領域の中央を特徴点として定め、その特徴点における特徴量を抽出する。
【0075】
  ステップS5では、複数の特徴量は、表面モフォロジー画像1AIに関連する情報として、記憶装置MDに記憶される。
【0076】
  ステップS13では、表面モフォロジー画像2AIを取得すると共に、表面モフォロジー画像2AIの複数の特徴量を抽出する。
【0077】
  ステップS14では、表面モフォロジー画像2AIと、記憶装置MDに格納された複数のチップ領域CHPa毎の表面モフォロジー画像1AIとの照合は、表面モフォロジー画像2AIの複数の特徴量と、表面モフォロジー画像1AIの複数の特徴量とを比較することで行われる。
【0078】
  実施の形態2では、互いの複数の特徴量を照合するので、表面モフォロジー画像1AIおよび表面モフォロジー画像2AIの各々の座標が完全に一致していなくても、特定エリア1A内の画像か否かを判定できる。
【0079】
  例えば、表面モフォロジー画像2AIを撮像する際の座標が、表面モフォロジー画像1AIを撮像した際の座標から若干ずれていた場合、または、表面モフォロジー画像2AIが、表面モフォロジー画像1AIに対して回転した状態で撮像された場合などがある。それらの場合でも、互いの複数の特徴量が一致すれば、これらの画像が特定エリア1A内の画像であると判定できる。従って、互いの複数の特徴量を使用することで、表面モフォロジー画像1AIと表面モフォロジー画像2AIとの照合精度を高めることができる。
【0080】
  (実施の形態3)
  以下に
図15を用いて、実施の形態3における半導体装置100の製造方法および半導体装置100の製品履歴管理方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
 
【0081】
  実施の形態3では、
図15に示されるように、特定エリア1A内若しくは特定エリア1Aの周囲、または、それらの両方に位置する金属膜MFに、幾何学模様パターン20が設けられている。なお、
図15では、金属膜MFのうち破線で囲まれた領域を特定エリア1Aとして示している。また、
図15では、特定エリア1Aを含む金属膜MFとして、四角形状のダミーパターンDPを用いた場合を例示する。
 
【0082】
  幾何学模様パターン20を設けることで、表面モフォロジー画像1AIまたは表面モフォロジー画像2AIの取得する際に、特定エリア1Aを探し易くなる。従って、特定エリア1Aの正確な座標を合わせ易くなり、表面モフォロジー画像1AIと表面モフォロジー画像2AIとの照合の精度を向上できる。なお、幾何学模様パターン20の形状データは、チップ領域CHPa内における特定エリア1Aの位置情報に関連する情報として、記憶装置MDに記憶されている。
【0083】
  幾何学模様パターン20として、
図15に示される「パターン1」から「パターン4」を例示する。「パターン1」では、幾何学模様パターン20として複数の凹凸が、平面視における金属膜MFの4辺のうち、少なくとも1辺に設けられている。「パターン2」では、幾何学模様パターン20として3つの二次元コードパターンが、金属膜MFに設けられている。「パターン2」の場合、3つの幾何学模様パターン20に囲まれた領域を特定エリア1Aとして認識できる。「パターン3」および「パターン4」では、幾何学模様パターン20としてスリットが、金属膜MFに設けられている。
 
【0084】
  幾何学模様パターン20は、「パターン1」から「パターン4」の形状に限られず、特定エリア1Aを探し易い形状であれば、幾何学模様パターン20は、他のパターンであってもよい。
【0085】
  なお、実施の形態3で開示した技術は、実施の形態2で開示した技術と組み合わせて適用できる。
【0086】
  (実施の形態4)
  以下に
図16を用いて、実施の形態4における半導体装置100の製造方法および半導体装置100の製品履歴管理方法について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
 
【0087】
  実施の形態4では、
図16に示されるように、チップ領域CHPaに、複数の特定エリア1Aが設けられている。ステップS4では、複数のチップ領域CHPaにおいて、複数の特定エリア1A毎に、表面モフォロジー画像1AIを取得する。
 
【0088】
  ステップS13では、複数の特定エリア1Aに相当する箇所の複数の表面モフォロジー画像2AIを取得する。
【0089】
  ステップS14では、複数の表面モフォロジー画像2AIを、記憶装置MDに格納された複数のチップ領域CHPa毎の複数の表面モフォロジー画像1AIに照合する。
【0090】
  1つのチップ領域CHPaに対して1つの特定エリア1Aのみの表面モフォロジー画像1AIを取得していた場合で、且つ、不良判定された半導体装置200の特定エリア1Aに相当する箇所が破損または変形していた場合、表面モフォロジー画像2AIの取得が困難になる。例えば、封止樹脂SRまたは保護膜PFからの応力によって、金属膜MFの一部が破損または変形する場合がある。
【0091】
  1つのチップ領域CHPaに対して複数の特定エリア1Aの複数の表面モフォロジー画像1AIを取得しておけば、ある箇所の表面モフォロジー画像2AIの取得が困難であったとしても、他の箇所で表面モフォロジー画像2AIを取得すればよい。従って、実施の形態4によれば、表面モフォロジー画像1AIと表面モフォロジー画像2AIとの照合が出来なくなるという虞を解消し易くなる。
【0092】
  なお、実施の形態4で開示した技術は、実施の形態2および実施の形態3で開示した技術と組み合わせて適用できる。
【0093】
  以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
100    半導体装置
200    不良判定された半導体装置
20    幾何学模様パターン
1A    特定エリア
1AI、2AI    表面モフォロジー画像
1Q    半導体素子
BW    外部接続用部材
CHP    半導体チップ
CHPa    チップ領域
CHPa1    特定されたチップ領域
DL    ダイシングライン
DP    ダミーパターン
DNW    ウェル領域
GE    ゲート電極
GI    ゲート絶縁膜
ID    ウェハ識別番号
IL9    層間絶縁膜
M1からM9    配線
MD    記憶装置
MF    金属膜
NEX    エクステンション領域
NR    高濃度拡散領域
PAD    パッド電極
PF    保護膜
PW    ウェル領域
SR    封止樹脂
STI    素子分離部
SW    サイドウォールスペーサ
V9    ビア
WF    ウェハ
WFM    ウェハマップ
WL1からWL9    配線層