(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025163980
(43)【公開日】2025-10-30
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10D 30/47 20250101AFI20251023BHJP
【FI】
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067664
(22)【出願日】2024-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】清水 達雄
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102FA01
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GJ03
5F102GK04
5F102GL04
5F102GM04
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GR04
5F102GR07
5F102GS04
5F102GV06
5F102GV07
5F102GV08
5F102HC07
5F102HC22
(57)【要約】
【課題】特性を向上可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、半導体装置は、第1~第3電極及び半導体部材を含む。半導体部材は、第1半導体領域及び第2半導体領域を含む。第1半導体領域は、Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含み、炭素を含む。第1半導体領域の第6部分領域における第1水素濃度は、第1半導体領域の第5部分領域における第2水素濃度よりも低い。第2半導体領域は、Al
x2Ga
1-x2N(x1<x2≦1)を含む。第2半導体領域は、第1半導体部分を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第1電極部分を含む第3電極であって、前記第1電極部分の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第2電極の前記第1方向における位置と、の間にある、前記第3電極と、
半導体部材と、
を備え、前記半導体部材は、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、炭素を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域及び第6部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への方向は、前記第1方向と交差する第2方向に沿い、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第1電極部分への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にあり、前記第6部分領域の少なくとも一部は、前記第1方向において前記第1電極部分と前記第5部分領域との間にあり、前記第6部分領域における第1水素濃度は、前記第5部分領域における第2水素濃度よりも低い、前記第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第1半導体部分を含み、前記第5部分領域から前記第1半導体部分への方向は、前記第2方向に沿う、前記第2半導体領域と、
を含む、半導体装置。
【請求項2】
前記第1水素濃度は、前記第6部分領域における第1炭素濃度の1/10以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2水素濃度は、前記第5部分領域における第2炭素濃度の1/2以上である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1電極と前記第1電極部分との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第1電極部分と前記第2電極との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2半導体領域は、第2半導体部分をさらに含み、
前記第4部分領域から前記第2半導体部分への方向は、前記第2方向に沿う、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体領域は、第7部分領域をさらに含み、
前記第7部分領域の少なくとも一部は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第1電極部分との間にあり、
前記第7部分領域における第3水素濃度は、前記第4部分領域における第4水素濃度よりも低い、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1電極部分は、前記第1方向において前記第2半導体部分と前記第1半導体部分との間にある、請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1電極と、
第2電極と、
第1電極部分を含む第3電極と、
半導体部材と、
を備え、前記半導体部材は、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、炭素を含む第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、
Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含み、シリコンを含む第3半導体領域と、
を含み、
前記第2電極から前記第1電極部分への第2方向は、前記第1電極から前記第2電極への第1方向と交差し、
前記第3半導体領域は、第1部分、第2部分及び第3部分を含み、
前記第1部分から前記第2電極への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第2部分から前記第1電極部分への方向は前記第1方向に沿い、
前記第3部分は、前記第1部分と前記第2部分との間にあり、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第2方向において前記第2部分領域と前記第1電極部分との間にあり、
前記第1部分領域及び前記第2部分領域は、前記第1方向において前記第3部分と前記第2半導体領域との間にあり、
前記第1部分領域における第1水素濃度は、前記第2部分領域における第2水素濃度よりも低い、半導体装置。
【請求項9】
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、水素及び炭素を含む第1半導体領域と、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、を含む半導体部材を準備し、
前記第1半導体領域の第1領域に含まれる水素の一部を除去し、前記第1領域における第1領域水素濃度を、前記第1半導体領域の第2領域における第2領域水素濃度よりも低くし、
前記第2半導体領域及び前記第2領域の一部を除去して凹部を形成し、前記凹部に電極を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、水素及び炭素を含む第1半導体領域と、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、を含む半導体部材を準備し、
前記第2半導体領域の一部及び前記第1半導体領域の一部を除去して凹部を形成し、
前記凹部及び前記第2半導体領域の一部に電極を形成し、前記第1半導体領域は、前記電極と重なる第1領域と、前記電極と重ならない第2領域と、を含み、
前記電極をマスクとして前記半導体部材に水素を導入し、前記第1領域における第1領域水素濃度を前記第2領域における第2領域水素濃度より低くする、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トランジスタなどの半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上可能な半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、及び、半導体部材を含む。前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う。前記第3電極は、第1電極部分を含む。前記第1電極部分の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第2電極の前記第1方向における位置と、の間にある。前記半導体部材は、第1半導体領域及び第2半導体領域を含む。前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、炭素を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域及び第6部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への方向は、前記第1方向と交差する第2方向に沿う。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第1電極部分への方向は、前記第2方向に沿う。前記第4部分領域は前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にある。前記第5部分領域は前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にある。前記第6部分領域の少なくとも一部は、前記第1方向において前記第1電極部分と前記第5部分領域との間にある。前記第6部分領域における第1水素濃度は、前記第5部分領域における第2水素濃度よりも低い。前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む。前記第2半導体領域は、第1半導体部分を含む。前記第5部分領域から前記第1半導体部分への方向は、前記第2方向に沿う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
【
図3】
図3は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9(a)~
図9(f)は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【
図10】
図10(a)~
図10(e)は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53及び半導体部材10Mを含む。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向は、第1方向D1に沿う。
図1の例では、第1方向D1は、X軸方向に沿う。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第3電極53は、第1電極部分53aを含む。第1電極部分53aの第1方向D1における位置は、第1電極51の第1方向D1における位置と、第2電極52の第1方向D1における位置と、の間にある。
【0011】
半導体部材10Mは、第1半導体領域10及び第2半導体領域20を含む。第1半導体領域10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域10は、炭素を含む。組成比x1は、例えば、0以上0.13以下で良い。第1半導体領域10は、GaN層で良い。
【0012】
第1半導体領域10は、第1部分領域11、第2部分領域12、第3部分領域13、第4部分領域14、第5部分領域15及び第6部分領域16を含む。第1部分領域11から第1電極51への方向は、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿う。第2方向D2は、例えば、Z軸方向である。
【0013】
第2部分領域12から第2電極52への方向は、第2方向D2に沿う。第3部分領域13から第1電極部分53aへの方向は、第2方向D2に沿う。第1電極51、第2電極52及び第3電極53は、第3方向D3に沿って延びて良い。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、例えば、Y軸方向で良い。
【0014】
第4部分領域14は、第1部分領域11と第3部分領域13との間にある。第5部分領域15は、第3部分領域13と第2部分領域12との間にある。例えば、第4部分領域14の第1方向D1における位置は、第1部分領域11の第1方向D1における位置と、第3部分領域13の第1方向D1における位置と、の間にある。第5部分領域15の第1方向D1における位置は、第3部分領域13の第1方向D1における位置と、第2部分領域12の第1方向D1における位置との間にある。
【0015】
第6部分領域16の少なくとも一部は、第1方向D1において、第1電極部分53aと第5部分領域15との間にある。第6部分領域16における水素濃度(第1水素濃度)は、第5部分領域15における水素濃度(第2水素濃度)よりも低い。
【0016】
第2半導体領域20は、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む。組成比x2は、例えば、0.15以上0.4以下で良い。第2半導体領域20は、例えば、AlGaN層で良い。第2半導体領域20は、第1半導体部分21を含む。第5部分領域15から第1半導体部分21への方向は、第2方向D2に沿う。
【0017】
第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御できる。例えば、第3電極53の電位は、第1電極51の電位を基準にした電位で良い。例えば、第1電極51は、ソース電極及びドレイン電極の一方である。第2電極52は、ソース電極及びドレイン電極の他方である。第3電極53は、ゲート電極である。半導体装置110は、例えば、トランジスタである。
【0018】
第1半導体領域10は、第2半導体領域20と対向する部分を含む。この部分にキャリア領域が形成される。キャリア領域は、例えば、2次元電子ガスである。半導体装置は、例えばHEMT(High Electron Mobility Transistor)である。
【0019】
実施形態において、第1半導体領域10は炭素を含むことで高いしきい値電圧が得られることが分かった。さらに、第1半導体領域10における水素の濃度によっても、しきい値電圧が変化することが分かった。
【0020】
図2は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図2は、上記の半導体装置110の構成において、第1半導体領域10の全体が炭素を含む試料におけるしきい値電圧の測定結果を例示している。試料において、第1半導体領域10は水素を実質的に含まない。
図2の横軸は、炭素濃度CCである。縦軸はしきい値電圧Vthである。
図2に示すように、炭素濃度CCが高いと、高いしきい値電圧Vthが得られる。
【0021】
図3は、半導体装置の特性を例示するグラフである。
図3は、上記の半導体装置110の構成において、第1半導体領域10の全体が炭素及び水素を含む場合のしきい値電圧を例示している。この例において、炭素濃度CCは、7×10
16/cm
3で一定である。
図3の横軸は、濃度比R1である。濃度比R1は、水素濃度CHの炭素濃度CCに対する比である。縦軸はしきい値電圧Vthである。
図2に示すように、濃度比R1が低いときに高いしきい値電圧Vthが得られる。濃度比R1が高いと、しきい値電圧Vthが低下する。
【0022】
実施形態において、第1電極51と第2電極52との間の1つの位置で高いしきい値電圧が得られれば、半導体装置110の全体として、高いしきい値電圧が得られる。高いしきい値電圧が得られる特定の位置以外においては、しきい値電圧は低いことが好ましい。これにより、低いオン抵抗が得られる。
【0023】
実施形態においては、第6部分領域16における第1水素濃度は、第5部分領域15における第2水素濃度よりも低い。水素濃度が低い第6部分領域16により、第6部分領域16において、高いしきい値が得られる。一方、水素濃度が高い第5部分領域15により、低いオン抵抗が得られる。実施形態においては、高いしきい値と、低いオン抵抗と、が得られる。第5部分領域15の水素濃度が高いことで、例えば、第5部分領域15のトラップを少なくできる。トラップが少ないことで、電流コラプスを小さくできる。実施形態によれば、特性を向上可能な半導体装置を提供できる。
【0024】
実施形態において、第6部分領域16において、濃度比R1は、1/10以下であることが好ましい。これにより、高いしきい値電圧が得られる(
図3参照)。例えば、第1水素濃度は、第6部分領域16における第1炭素濃度の1/10以下であることが好ましい。
【0025】
実施形態において、第5部分領域15において、濃度比R1は、1/2以上であることが好ましい。例えば、低いしきい値電圧Vthが得られる(
図3参照)。低いオン抵抗が得られる。例えば、第2水素濃度は、第5部分領域15における第2炭素濃度の1/2以上であることが好ましい。
【0026】
実施形態において、第6部分領域16及び第5部分領域15において、炭素濃度は実質的に一定で良い。例えば、第1炭素濃度と第2炭素濃度との第1差の第1絶対値の、第2炭素濃度に対する比は、0.2以下で良い。
【0027】
実施形態において、第2水素濃度は、第1水素濃度の5倍以上100倍以下で良い。
【0028】
図1に示すように、第1電極51と第1電極部分53aとの間の第1方向D1に沿う距離(第1距離)は、第1電極部分53aと第2電極52との間の第1方向D1に沿う距離(第2距離)よりも短いことが好ましい。高い耐圧が得易い。第1電極51は、ソース電極であり、第2電極52は、ドレイン電極である。
【0029】
半導体装置110において、第2半導体領域20は、第2半導体部分22をさらに含んで良い。第4部分領域14から第2半導体部分22への方向は、第2方向D2に沿う。
【0030】
半導体装置110は、第1絶縁部材41をさらに含んで良い。第1絶縁部材41の少なくとも一部は、第3電極53と半導体部材10Mとの間に設けられる。
【0031】
半導体装置110は、第1化合物部材45をさらに含んで良い。第1化合物部材45は、Alz1Ga1-z1N(0<z1≦1)を含む。組成比z1は、例えば、0.7以上1以下で良い。第1化合物部材45は、例えば、AlN層で良い。第1化合物部材45は、半導体部材10Mと第1絶縁部材41との間に設けられる。第1絶縁部材41は、例えば、シリコン及び酸素を含む。
【0032】
半導体装置110は、第2絶縁部材42をさらに含んで良い。第1半導体部分21は、第2方向D2において、第5部分領域15と、第2絶縁部材42の少なくとも一部と、の間に設けられる。第2半導体部分22は、第2方向D2において、第4部分領域14と、第2絶縁部材42の少なくとも一部と、の間に設けられる。第2絶縁部材42は、例えば、シリコン及び窒素を含む。第1半導体部分21は、第2絶縁部材42により保護される。高い耐圧が得易い。電流コラプスを小さくできる。
【0033】
図1に示すように、半導体部材10Mは、基体18sと、窒化物層18bと、を含んで良い。窒化物層18bは、基体18sと第2半導体領域20との間に設けられる。第1半導体領域10は、窒化物層18bと第2半導体領域20との間に設けられる。基体18sは、例えば、シリコン基板などを含んで良い。窒化物層18bは、Al、Ga及びNを含んで良い。窒化物層18bは、例えば、バッファ層である。
【0034】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態に係る半導体装置111において、第6部分領域16の形状が半導体装置110におけるそれとは異なる。これを除く半導体装置111の構成は、半導体装置110の構成と同様で良い。
【0035】
半導体装置111において、第6部分領域16の一部は、第2方向D2において、第3部分領域13と第1電極部分53aとの間にある。高いしきい値電圧が、より確実に得られる。オフ動作時のリーク電流を小さくできる。
【0036】
第6部分領域16における水素濃度(第1水素濃度)は、第3部分領域13における水素濃度よりも低くて良い。第2電極52に高い電圧を印加すると、第6部分領域16の電界が大きくなる。第6部分領域16の水素濃度が高いと、強い電界により、水素の結合が切断されやすく、水素が拡散し、デバイス動作が不安定になりやすい。水素濃度が低いことで、デバイス動作が安定しやすい。第6部分領域16の水素濃度が高いと、リーク電流が大きくなりやすい。第6部分領域16の水素濃度が低いことで、オフ動作時のリーク電流を小さくできる。
【0037】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る半導体装置112において、第1半導体領域10は、第7部分領域17をさらに含む。これを除く半導体装置112の構成は、半導体装置110または半導体装置111の構成と同様で良い。
【0038】
半導体装置112において、第2半導体領域20は、第2半導体部分22を含む。第4部分領域14から第2半導体部分22への方向は、第2方向D2に沿う。第7部分領域17から第2半導体部分22への方向は、第2方向D2に沿う。
【0039】
第7部分領域17の少なくとも一部は、第1方向D1において第4部分領域14と第1電極部分53aとの間にある。第7部分領域17における水素濃度(第3水素濃度)は、第4部分領域14における水素濃度(第4水素濃度)よりも低い。高いしきい値電圧と、低いオン抵抗と、が得られる。
【0040】
例えば、第7部分領域17における第3水素濃度は、第7部分領域17における炭素濃度(第3炭素濃度)の1/10以下であることが好ましい。第4部分領域14における第4水素濃度は、第4部分領域14における第4炭素濃度の1/2以上であることが好ましい。高いしきい値電圧と、低いオン抵抗と、が得易い。
【0041】
例えば、第3炭素濃度と第4炭素濃度との第2差の第2絶対値の、第4炭素濃度に対する比は、0.2以下で良い。
【0042】
半導体装置112において、第6部分領域16及び第7部分領域17の少なくともいずれかは、第3部分領域13と第1電極部分53aとの間に設けられて良い。
【0043】
半導体装置110、半導体装置111及び半導体装置112においては、第1電極部分53aは、第1方向D1において第2半導体部分22と第1半導体部分21との間にあるる。
【0044】
半導体装置110、半導体装置111及び半導体装置112において、第6部分領域16は、第2方向D2において、第3電極53の少なくとも一部と重なる。第5部分領域15は、第2方向D2において、第3電極53と重ならなくて良い。
【0045】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置113において、第1電極51のZ軸方向における位置が、半導体装置110などにおけるそれとは異なる。これを除く半導体装置110の構成は、半導体装置110などの構成と同様で良い。
【0046】
半導体装置113においても、第6部分領域16における第1水素濃度は、第5部分領域15における第2水素濃度よりも低い。半導体装置113においても、高いしきい値電圧と、低いオン抵抗と、が得られる。
【0047】
半導体装置113は、第2絶縁部材42をさらに含む。第1半導体部分21は、第2方向D2において、第5部分領域15と、第2絶縁部材42の少なくとも一部と、の間に設けられる。第2絶縁部材42は、例えば、シリコン及び窒素を含む。第1半導体部分21は、第2絶縁部材42により保護される。高い耐圧が得易い。電流コラプスを小さくできる。
【0048】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置120は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、及び、半導体部材10Mを含む。第3電極53は、第1電極部分53aを含む。
【0049】
半導体部材10Mは、第1半導体領域10、第2半導体領域20、及び、第3半導体領域30を含む。第1半導体領域10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域10は、例えば、GaN層で良い。第1半導体領域10は、炭素を含む。第2半導体領域20は、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む。第2半導体領域20は、例えば、AlGaN層で良い。第3半導体領域30は、Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含む。第3半導体領域30は、例えば、GaN層で良い。第3半導体領域30は、シリコンを含む。第3半導体領域30は、n形である。
【0050】
第2電極52から第1電極部分53aへの第2方向D2は、第1電極51から第2電極52への第1方向D1と交差する。第1方向D1は、例えば、Z軸方向である。第2方向D2は、例えば、X軸方向である。
【0051】
例えば、第1半導体領域10は、第1方向D1において、第3半導体領域30と第2半導体領域20との間にある。
【0052】
第3半導体領域30は、第1部分31、第2部分32及び第3部分33を含む。第1部分31から第2電極52への方向は、第1方向D1に沿う。第2部分32から第1電極部分53aへの方向は第1方向D1に沿う。
【0053】
第3部分33は、第1部分31と第2部分32との間にある。第3部分33の第2方向D2における位置は、第1部分31の第2方向D2におけると、第2部分32の第2方向D2におけると、の間にある。
【0054】
第1半導体領域10は、第1部分領域11及び第2部分領域12を含む。第1部分領域11は、第2方向D2において第2部分領域12と第1電極部分53aとの間にある。第1部分領域11及び第2部分領域12は、第1方向D1において第3部分33と第2半導体領域20との間にある。
【0055】
第1部分領域11における第1水素濃度は、第2部分領域12における第2水素濃度よりも低い。例えば、水素濃度が低い第1部分領域11により、第1部分領域11において、高いしきい値が得られる。一方、水素濃度が高い第2部分領域12により、低いオン抵抗が得られる。実施形態においては、高いしきい値と、低いオン抵抗と、が得られる。実施形態によれば、特性を向上可能な半導体装置を提供できる。
【0056】
半導体装置120は、第1絶縁部材41をさらに含んで良い。第1絶縁部材41の少なくとも一部は、第3電極53と半導体部材10Mとの間に設けられる。
【0057】
半導体装置120は、第4半導体領域30Dをさらに含んで良い。第4半導体領域30Dは、第1電極51と第3半導体領域30との間に設けられる。第4半導体領域30Dにおけるシリコンの濃度は、第3半導体領域30にけるシリコンの濃度よりも高い。第3半導体領域30は、例えば、n-層である。第4半導体領域30Dは、例えば、n+層である。より低いオン抵抗が得られる。
【0058】
図8は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係る半導体装置121において、第1半導体領域10は、第3部分領域13を含む。これを除く半導体装置121の構成は、半導体装置120の構成と同様で良い。
【0059】
半導体装置121において、第3部分領域13は、第1方向D1において、第1部分31と第1電極51との間にある。第3部分領域13における第3水素濃度は、第2部分領域12における第2水素濃度よりも低い。例えば、第2電極52と第1半導体領域10との間において、低いリーク電流を得易い。スイッチング時の動作が安定しやすい。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態は、半導体装置の製造方法に係る。
図9(a)~
図9(f)は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図9(a)に示すように、半導体部材10Mが準備される。半導体部材10Mは、第1半導体領域10及び第2半導体領域20を含む。第1半導体領域10は、Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域10は、水素及び炭素を含む。第2半導体領域20は、Al
x2Ga
1-x2N(x1<x2≦1)を含む。例えば、第1半導体領域10の上に第2半導体領域20が設けられる。
【0061】
図9(b)に示すように、第2半導体領域20の上に、第2絶縁部材42(たとえba保護層)が設けられて良い。
【0062】
図9(c)に示すように、第1半導体領域10の第1領域p1に含まれる水素の一部を除去する。例えば、レーザ照射による局所的な加熱により、第1領域p1に含まれる水素の一部が除去される。第1半導体領域10の第2領域p2に含まれる水素は、実質的に除去されない。
【0063】
これにより、
図9(d)に示すように、水素濃度が異なる複数の領域が形成される。第1領域p1における第1領域水素濃度を、第1半導体領域10の第2領域p2における第2領域水素濃度よりも低くできる。
【0064】
図9(e)に示すように、第2半導体領域20及び第2領域p2の一部を除去して凹部10dを形成する。
【0065】
図9(f)に示すように、凹部10dに電極50Eを形成する。電極50Eの形成の前に、凹部10dに第1絶縁部材41が形成されて良い。電極50Eは、例えば、第3電極53となる。さらに、第1電極51及び第2電極52を形成することで、例えば、半導体装置110が得られる。
【0066】
図10(a)~
図10(e)は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図10(a)に示すように、半導体部材10Mが準備される。半導体部材10Mは、第1半導体領域10及び第2半導体領域20を含む。第1半導体領域10は、Al
x1Ga
1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域10は、水素及び炭素を含む。第2半導体領域20は、Al
x2Ga
1-x2N(x1<x2≦1)を含む。例えば、第1半導体領域10の上に第2半導体領域20が設けられる。
【0067】
図10(b)に示すように、第2半導体領域20の上に、第2絶縁部材42(たとえba保護層)が設けられて良い。
【0068】
図10(c)に示すように、第2半導体領域20の一部、及び、第1半導体領域10の一部を除去して凹部10dを形成する。凹部10dの内部に第1絶縁部材41が形成されて良い。
【0069】
図10(d)に示すように、凹部10d、及び、第2半導体領域20の一部に、電極50Eを形成する。第1半導体領域10は、電極50Eと重なる第1領域p1と、電極50Eと重ならない第2領域p2と、を含む。
【0070】
図10(e)に示すように、電極50Eをマスクとして半導体部材10Mに水素を導入する。例えば、イオン注入が行われる。これにより、第1領域p1における第1領域水素濃度を第2領域p2における第2領域水素濃度よりも低くすることができる。
【0071】
実施形態において、半導体領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。半導体領域における組成及び元素濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。半導体領域における組成に関する情報は、例えば、逆格子空間マッピングなどにより得られて良い。
【0072】
実施形態は、以下の技術案を含んで良い。
(技術案1)
第1電極と、
第2電極であって、前記第1電極から前記第2電極への方向は、第1方向に沿う、前記第2電極と、
第1電極部分を含む第3電極であって、前記第1電極部分の前記第1方向における位置は、前記第1電極の前記第1方向における位置と、前記第2電極の前記第1方向における位置と、の間にある、前記第3電極と、
半導体部材と、
を備え、前記半導体部材は、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、炭素を含む第1半導体領域であって、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域、第5部分領域及び第6部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への方向は、前記第1方向と交差する第2方向に沿い、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第1電極部分への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域は前記第1部分領域と前記第3部分領域との間にあり、前記第5部分領域は前記第3部分領域と前記第2部分領域との間にあり、前記第6部分領域の少なくとも一部は、前記第1方向において前記第1電極部分と前記第5部分領域との間にあり、前記第6部分領域における第1水素濃度は、前記第5部分領域における第2水素濃度よりも低い、前記第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域であって、前記第2半導体領域は、第1半導体部分を含み、前記第5部分領域から前記第1半導体部分への方向は、前記第2方向に沿う、前記第2半導体領域と、
を含む、半導体装置。
【0073】
(技術案2)
前記第1水素濃度は、前記第6部分領域における第1炭素濃度の1/10以下である、技術案1に記載の半導体装置。
【0074】
(技術案3)
前記第2水素濃度は、前記第5部分領域における第2炭素濃度の1/2以上である、技術案2に記載の半導体装置。
【0075】
(技術案4)
前記第1炭素濃度と前記第2炭素濃度との第1差の第1絶対値の前記第2炭素濃度に対する比は、0.2以下である、技術案3に記載の半導体装置。
【0076】
(技術案5)
前記第2水素濃度は、前記第1水素濃度の5倍以上である、技術案1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0077】
(技術案6)
前記第1電極と前記第1電極部分との間の前記第1方向に沿う第1距離は、前記第1電極部分と前記第2電極との間の前記第1方向に沿う第2距離よりも短い、技術案1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0078】
(技術案7)
前記第6部分領域の一部は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第1電極部分との間にある、技術案1~6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0079】
(技術案8)
前記第2半導体領域は、第2半導体部分をさらに含み、
前記第4部分領域から前記第2半導体部分への方向は、前記第2方向に沿う、技術案1~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0080】
(技術案9)
前記第1半導体領域は、第7部分領域をさらに含み、
前記第7部分領域の少なくとも一部は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第1電極部分との間にあり、
前記第7部分領域における第3水素濃度は、前記第4部分領域における第4水素濃度よりも低い、技術案8に記載の半導体装置。
【0081】
(技術案10)
前記第3水素濃度は、前記第7部分領域における第3炭素濃度の1/10以下である、技術案9に記載の半導体装置。
【0082】
(技術案11)
前記第4水素濃度は、前記第4部分領域における第4炭素濃度の1/2以上である、技術案10に記載の半導体装置。
【0083】
(技術案12)
前記第3炭素濃度と前記第4炭素濃度との第2差の第2絶対値の前記第4炭素濃度に対する比は、0.2以下である、技術案11に記載の半導体装置。
【0084】
(技術案13)
前記第1電極部分は、前記第1方向において前記第2半導体部分と前記第1半導体部分との間にある、技術案8~12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0085】
(技術案14)
第1絶縁部材をさらに備え、
前記第1絶縁部材の少なくとも一部は、前記第3電極と前記半導体部材との間に設けられた、技術案1~13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0086】
(技術案15)
Alz1Ga1-z1N(0<z1≦1)を含む第1化合物部材をさらに備え、
前記第1化合物部材は、前記半導体部材と前記第1絶縁部材との間に設けられた、技術案14に記載の半導体装置。
【0087】
(技術案16)
第2絶縁部材をさらに備え、
前記第1半導体部分は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2絶縁部材の少なくとも一部との間に設けられた、技術案14または15に記載の半導体装置。
【0088】
(技術案17)
第1電極と、
第2電極と、
第1電極部分を含む第3電極と、
半導体部材と、
を備え、前記半導体部材は、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、炭素を含む第1半導体領域と、
Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、
Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含み、シリコンを含む第3半導体領域と、
を含み、
前記第2電極から前記第1電極部分への第2方向は、前記第1電極から前記第2電極への第1方向と交差し、
前記第3半導体領域は、第1部分、第2部分及び第3部分を含み、
前記第1部分から前記第2電極への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第2部分から前記第1電極部分への方向は前記第1方向に沿い、
前記第3部分は、前記第1部分と前記第2部分との間にあり、
前記第1半導体領域は、第1部分領域及び第2部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第2方向において前記第2部分領域と前記第1電極部分との間にあり、
前記第1部分領域及び前記第2部分領域は、前記第1方向において前記第3部分と前記第2半導体領域との間にあり、
前記第1部分領域における第1水素濃度は、前記第2部分領域における第2水素濃度よりも低い、半導体装置。
【0089】
(技術案18)
前記第1半導体領域は、第3部分領域をさらに含み、
前記第3部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分と前記第1電極との間にあり、
前記第3部分領域における第3水素濃度は、前記第2水素濃度よりも低い、技術案17に記載の半導体装置。
【0090】
(技術案19)
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、水素及び炭素を含む第1半導体領域と、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、を含む半導体部材を準備し、
前記第1半導体領域の第1領域に含まれる水素の一部を除去し、前記第1領域における第1領域水素濃度を、前記第1半導体領域の第2領域における第2領域水素濃度よりも低くし、
前記第2半導体領域及び前記第2領域の一部を除去して凹部を形成し、前記凹部に電極を形成する、半導体装置の製造方法。
【0091】
(技術案20)
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、水素及び炭素を含む第1半導体領域と、Alx2Ga1-x2N(x1<x2≦1)を含む第2半導体領域と、を含む半導体部材を準備し、
前記第2半導体領域の一部及び前記第1半導体領域の一部を除去して凹部を形成し、
前記凹部及び前記第2半導体領域の一部に電極を形成し、前記第1半導体領域は、前記電極と重なる第1領域と、前記電極と重ならない第2領域と、を含み、
前記電極をマスクとして前記半導体部材に水素を導入し、前記第1領域における第1領域水素濃度を前記第2領域における第2領域水素濃度より低くする、半導体装置の製造方法。
【0092】
実施形態によれば、特性を向上可能な半導体装置及びその製造方法が提供される。
【0093】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0094】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる、電極、半導体部材、半導体領域、及び、基体などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0095】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0096】
その他、本発明の実施の形態として上述した、半導体装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0097】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
10、20,30:第1、第2、第3半導体領域、 10M:半導体部材、 10d:凹部、 11~17:第1~第7部分領域、 18b:窒化物層、 18s:基体、 21、22:第1、第2半導体部分、 30D:第4半導体領域、 31~33:第1~第3部分、 41、42:第1、第2絶縁部材、 45:第1化合物部材、 50E:電極、 51~53:第1~第3電極、 53a:第1電極部分、 110~113、120、121:半導体装置、 CC:炭素濃度、 D1~D3:第1~第3方向、 R1:濃度比、 Vth:しきい値電圧、 p1、p2:第1、第2領域