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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025163988
(43)【公開日】2025-10-30
(54)【発明の名称】ウエーハ、及び、半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/20 20060101AFI20251023BHJP
   H10D 30/47 20250101ALI20251023BHJP
【FI】
H01L21/20
H01L29/80 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024067681
(22)【出願日】2024-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】武田 聖矢
(72)【発明者】
【氏名】金子 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】名古 肇
(72)【発明者】
【氏名】彦坂 年輝
【テーマコード(参考)】
5F102
5F152
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD10
5F102GJ03
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
5F102GM04
5F102GQ01
5F102GR04
5F102GR12
5F102GS04
5F152LN05
5F152MM04
5F152MM05
5F152MM18
5F152NN03
5F152NP09
5F152NQ09
(57)【要約】
【課題】安定した特性を得ることが可能な、ウエーハ、及び、半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、ウエーハは、基体及び第1層を含む。前記第1層は、Alz1Ga1-z1N(0<z1≦1)を含む。前記第1層は、第1領域及び第2領域を含む。前記第1領域は、前記基体と前記第2領域との間にある。前記第1領域における第1領域酸素濃度は、前記基体における基体酸素濃度よりも低い。前記第1領域酸素濃度は、前記第2領域における第2領域酸素濃度よりも低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、
Alz1Ga1-z1N(0<z1≦1)を含む第1層と、
を備え、
前記第1層は、第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は、前記基体と前記第2領域との間にあり、
前記第1領域における第1領域酸素濃度は、前記基体における基体酸素濃度よりも低く、
前記第1領域酸素濃度は、前記第2領域における第2領域酸素濃度よりも低い、ウエーハ。
【請求項2】
前記第2領域酸素濃度は、前記基体酸素濃度よりも低い、請求項1に記載のウエーハ。
【請求項3】
前記第1領域は、前記基体と接し、
前記第2領域は、前記第1領域と接した、請求項1に記載のウエーハ。
【請求項4】
前記基体は、シリコンを含む、請求項3に記載のウエーハ。
【請求項5】
Alz2Ga1-z2N(0<z2<1、z2<z1)を含む第2層をさらに備え、
前記第1層は、前記基体と前記第2層との間に設けられ、
前記第2層は、酸素を含まない、または、前記第2層における第2層酸素濃度は、前記第2領域酸素濃度よりも低い、請求項1に記載のウエーハ。
【請求項6】
Alz3Ga1-z3N(0≦z3≦1)を含む第3層をさらに備え、
前記第2層は、前記第1層と前記第3層との間にあり、
前記第3層は、酸素を含まない、または、前記第3層における第3層酸素濃度は、前記第2領域酸素濃度よりも低い、請求項5に記載のウエーハ。
【請求項7】
前記第3層は、複数の第1膜と、複数の第2膜と、を含み、
前記基体から前記第1層への第1方向において、前記複数の第1膜の1つは、前記複数の第2膜の1つと前記複数の第2膜の別の1つとの間にあり、前記複数の第2膜の前記1つは、前記複数の第1膜の前記1つと、前記複数の第1膜の別の1つとの間にあり、
前記複数の第1膜は、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)を含み、
前記複数の第2膜は、Aly2Ga1-y2N(0≦y2<y1)を含む、請求項6に記載のウエーハ。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1つに記載のウエーハと、
第1電極と、
第2電極と、
第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体層と、
を備え、
前記第1半導体層は、前記第1層と前記第2半導体層との間に設けられ、
前記第1電極から前記第2電極への第2方向は、前記基体から前記第1層への第1方向と交差し、
前記第3電極の前記第2方向における位置は、前記第1電極の前記第2方向における位置と、前記第2電極の前記第2方向にける位置と、の間にあり、
前記第2半導体層は、第1半導体部分と第2半導体部分と含み、
前記第1半導体部分から前記第2半導体部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1電極は、前記第1半導体部分と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2半導体部分と電気的に接続された、半導体装置。
【請求項9】
前記第3電極の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第1半導体部分と前記第2半導体部分との間に設けられた、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3電極の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第1半導体層の一部と前記第1半導体層の別の一部との間に設けられた、請求項8に記載の半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ウエーハ、及び、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、窒化物を含むウエーハに基づく半導体装置において、安定した特性が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-26838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定した特性を得ることが可能な、ウエーハ、及び、半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、ウエーハは、基体及び第1層を含む。前記第1層は、Alz1Ga1-z1N(0<z1≦1)を含む。前記第1層は、第1領域及び第2領域を含む。前記第1領域は、前記基体と前記第2領域との間にある。前記第1領域における第1領域酸素濃度は、前記基体における基体酸素濃度よりも低い。前記第1領域酸素濃度は、前記第2領域における第2領域酸素濃度よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係るウエーハを例示する模式的断面図である。
図2図2は、ウエーハにおける元素の濃度を例示するグラフである。
図3図3は、ウエーハにおける元素の濃度を例示するグラフである。
図4図4(a)及び図4(b)は、ウエーハの顕微鏡像である。
図5図5は、第1実施形態に係るウエーハを例示する模式的断面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るウエーハを例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係るウエーハ210は、基体18s及び第1層11を含む。後述するように、ウエーハ210は、他の層をさらに含んでも良い。
【0009】
基体18sから第1層11への第1方向D1をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。基体18s及び第1層11は、X-Y平面に沿う。
【0010】
第1層11は、Alz1Ga1-z1N(0<z1≦1)を含む。組成比z1は、例えば、0.8以上1以下で良い。第1層11は、例えばAlN層で良い。
【0011】
第1層11は、第1領域11a及び第2領域11bを含む。第1領域11aは、基体18sと第2領域11bとの間にある。これらの領域における酸素の濃度の関係により、基体18sの反り量が異なることが分かった。
【0012】
図2及び図3は、ウエーハにおける元素の濃度を例示するグラフである。
これらの横軸は、Z軸方向(厚さ方向)における位置pZである。これらの図の左の軸は、酸素濃度C(O)である。これらの図の右の軸は、Alのカウント数C(Al)である。図2は、第1試料SPL1に対応する。図3は、第2試料SPL2に対応する。
【0013】
図2に示すように、第1試料SPL1においては、第1領域11aにおける第1領域酸素濃度C11aは、基体18sにおける基体酸素濃度C18sよりも低い。第1領域酸素濃度C11aは、第2領域11bにおける第2領域酸素濃度C11bよりも低い。
【0014】
図3に示すように、第2試料SPL2においては、第1領域11aにおける第1領域酸素濃度C11aは、基体18sにおける基体酸素濃度C18sよりも低い。第1領域酸素濃度C11aは、第2領域11bにおける第2領域酸素濃度C11bよりも高い。
【0015】
このように、第1試料SPL1と第2試料SPL2とにおいて、酸素のプロファイルが異なる。一方、第1試料SPL1において、ウエーハ210の反り量は、32μmである。第2試料SPL2において、ウエーハ210の反り量は、96μmである。
【0016】
第1層11における酸素の濃度のプロファイルにより、ウエーハの反りを抑制できる。例えば、クラックの発生を抑制できる。クラックなどに起因した特性の不安定性を抑制できる。実施形態によれば、安定した特性を得ることが可能なウエーハを提供できる。
【0017】
図4(a)及び図4(b)は、ウエーハの顕微鏡像である。
これらの図は、ウエーハ210における第1層11の表面のAFM(Atomic Force Microscope)像である。図4(a)は、第1試料SPL1に対応する。図4(b)は、第2試料SPL2に対応する。図4(b)に示すように、第2試料SPL2においては、表面は比較的均質である。図4(a)に示すように、第1試料SPL1においては、島状の領域(凸部)が観察される。第1試料SPL1においては、島状の領域(凸部)により、応力が緩和され、反り量が小さくなると考えられる。
【0018】
実施形態において、基体酸素濃度C18sは高くて良い。例えば、第1層11と基体18sとの間の界面特性が改善される。例えば、第1層11の転位密度を下げることができる。
【0019】
実施形態において、第2領域酸素濃度C11bは、基体酸素濃度C18sよりも低くて良い。第1領域酸素濃度C11a及び第2領域酸素濃度C11bが基体酸素濃度C18sよりも低いことで、過度な凹凸の発生が抑制される。適度な凹凸により、小さい反り量がえられる 。例えば、高い結晶品質が維持できる。
【0020】
第1試料SPL1と第2試料SPL2との間の違いは、例えば、第1層11の形成(例えば、エピタキシャル成長)の条件の変更により得られる。例えば、第2領域11bの形成における雰囲気の酸素の濃度を、第1領域11aの形成におけるそれよりも高くすることで、高い第2領域酸素濃度C11bが得易くなる。例えば、第2領域11bの形成における雰囲気の水の濃度を、第1領域11aの形成におけるそれよりも高くすることで、高い第2領域酸素濃度C11bが得易くなる。例えば、第2領域11bの形成における、Al原料ガスの水の濃度を、第1領域11aの形成におけるそれよりも高くすることで、高い第2領域酸素濃度C11bが得易くなる。例えば、第2領域11bの形成における窒素原料ガスの水の濃度を、第1領域11aの形成におけるそれよりも低くすることで、高い第2領域酸素濃度C11bが得易くなる。
【0021】
実施形態において、第1領域11aは、基体18sと接する。第2領域11bは、第1領域11aと接して良い。基体18sは、例えば、シリコンを含む。
【0022】
第1領域酸素濃度C11aは、例えば、1×1016cm-3以上5×1017cm-3以下で良い。第2領域酸素濃度C11bは、例えば、1×1017cm-3以上1×1018cm-3以下で良い。基体酸素濃度C18sは、例えば、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下で良い。
【0023】
第1層11の第1層厚tr1(図1参照)は、例えば、100nm以上200nm以下で良い。第1領域11aの第1領域厚t1(図1参照)は、例えば、50nm以上100nm以下で良い。第2領域11bの第2領域厚t2(図1参照)は、例えば、50nm以上100nm以下で良い。
【0024】
図1に示すように、ウエーハ210は、第2層12をさらに含んで良い。第2層12は、Alz2Ga1-z2N(0<z2<1、z2<z1)を含む。第1層11は、基体18sと第2層12との間に設けられる。図2の第1試料SPL1のように、第2層12は、酸素を含まない。または、第2層12における第2層酸素濃度C12は、第2領域酸素濃度C11bよりも低い。第2層酸素濃度C12は、第1領域酸素濃度C11aよりも低くて良い。第2層12は、例えば、AlGaN層である。第2層12におけるAlの組成比は、第2層12から遠ざかるに従って低下しても良い。第2層12の第2層厚tr2(図1参照)は、例えば、10nm以上500nm以下で良い。
【0025】
図1に示すように、ウエーハ210は、第3層13をさらに含んで良い。第3層13は、Alz3Ga1-z3N(0≦z3≦1)を含む。第2層12は、第1層11と第3層13との間にある。図2の第1試料SPL1のように、第3層13は、酸素を含まない。または、第3層13における第3層酸素濃度C13は、第2領域酸素濃度C11bよりも低い。第3層酸素濃度C13は、第1領域酸素濃度C11aよりも低くて良い。
【0026】
図1に示すように、ウエーハ210は、第4層14をさらに含んで良い。第4層14は、Alz4Ga1-z4N(0≦z4≦1)を含む。第4層14は、例えば、GaN層で良い。第3層13は、第2層12と第4層14との間にある。第4層14は、酸素を含まない。または、第4層14における第4層酸素濃度C14は、第2領域酸素濃度C11bよりも低い。第4層酸素濃度C14は、第1領域酸素濃度C11aよりも低くて良い。
【0027】
図1に示すように、ウエーハ210は、第1半導体層10及び第2半導体層20をさらに含んで良い。第1半導体層10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第2半導体層20は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。第3層13と第2半導体層20との間に第1半導体層10が設けられる。第4層14と第2半導体層20との間に第1半導体層10が設けられる。組成比x1は、例えば、0以上、0.15以下で良い。第1半導体層10は、例えば、GaN層である。組成比x2は、例えば、0.15を超え、0.3以下で良い。第2半導体層20は、例えば、AlGaN層である。
【0028】
第4層14における炭素の濃度は、第1半導体層10における炭素の濃度よりも高くて良い。
【0029】
第1層11、第2層12、第3層13、第4層14、第1半導体層10、及び、第2半導体層20は、窒化物部材10Mに含まれる。
【0030】
図5は、第1実施形態に係るウエーハを例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係るウエーハ211において、第3層13は、複数の膜を含む。これを除くウエーハ211の構成は、ウエーハ210の構成と同様で良い。
【0031】
ウエーハ211において、第3層13は、複数の第1膜13aと、複数の第2膜13bと、を含む。基体18sから第1層11への第1方向D1において、複数の第1膜13aの1つは、複数の第2膜13bの1つと、複数の第2膜13bの別の1つと、の間にある。複数の第2膜13bの1つは、複数の第1膜13aの1つと、複数の第1膜13aの別の1つと、の間にある。第1膜13aは、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)を含む。第2膜13bは、Aly2Ga1-y2N(0≦y2<y1)を含む。第3層13は、例えば、超格子層である。高い結晶品質が得られる。反り量を抑制できる。
【0032】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体装置に係る。半導体装置は、第1実施形態に関して説明したウエーハ210及びその変形を含む。
【0033】
図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1実施形態に係るウエーハ210、窒化物部材10M、第1電極51、第2電極52、及び、第3電極53を含む。
【0034】
窒化物部材10Mは、例えば、第1半導体層10及び第2半導体層20を含む。第1半導体層10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第2半導体層20は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。組成比x1は、例えば、0以上、0.15以下で良い。第1半導体層10は、例えば、GaN層である。組成比x2は、例えば、0.15を超え、0.3以下で良い。第2半導体層20は、例えば、AlGaN層である。
【0035】
第1半導体層10は、第3層13と第2半導体層20との間に設けられる。第1半導体層10は、第4層14(図1参照)と第2半導体層20との間に設けられる。
【0036】
第1電極51から第2電極52への第2方向D2は、第1方向D1と交差する。第2方向D2は、例えば、X軸方向である。第3電極53の第2方向D2における位置は、第1電極51の第2方向D2における位置と、第2電極52の第2方向D2にける位置と、の間にある。
【0037】
第2半導体層20は、第1半導体部分21と第2半導体部分22と含む。第1半導体部分21から第2半導体部分22への方向は、第2方向D2に沿う。第1電極51は、第1半導体部分21と電気的に接続される。第2電極52は、第2半導体部分22と電気的に接続される。
【0038】
第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御される。第3電極53の電位は、例えば、第1電極51の電位を基準にした電位で良い。第1電極51は、例えば、ソース電極として機能する。第2電極52は、ドレイン電極として機能する。第3電極53は、ゲート電極として機能する。半導体装置110は、例えば、トランジスタである。
【0039】
第1半導体層10は、第2半導体層20と対向する領域を含む。この領域に、キャリア領域が形成される。キャリア領域は、例えば、2次元電子ガスである。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。
【0040】
実施形態に係る半導体装置110において、例えば、クラックが抑制される。実施形態によれば、安定した特性を得ることが可能な半導体装置を提供できる。
【0041】
図6に示すように、この例では、第3電極53の少なくとも一部は、第2方向D2において、第1半導体部分21と第2半導体部分22との間に設けられる。第3電極53は、例えば、リセス型のゲート電極である。例えば、高いしきい値電圧が得られる。例えば、ノーマリオフ動作が得られる。第3電極53の少なくとも一部は、第2方向D2において、第1半導体層10の一部と、第1半導体層10の別の一部と、の間に設けられて良い。
【0042】
例えば、第1半導体層10は、第1部分領域10a、第2部分領域10b、第3部分領域10c、第4部分領域10d、及び、第5部分領域10eを含む。第1部分領域10aから第1電極51への方向は、第1方向D1に沿う。第2部分領域10bから第2電極52への方向は、第1方向D1に沿う。第3部分領域10cから第3電極53への方向は、第1方向D1に沿う。
【0043】
第4部分領域10dの第2方向D2における位置は、第1部分領域10aの第2方向D2における位置と、第3部分領域10cの第2方向D2における位置と、の間にある。第5部分領域10eの第2方向D2における位置は、第3部分領域10cの第2方向D2における位置と、第2部分領域10bの第2方向D2における位置と、の間にある。
【0044】
第4部分領域10dから第1半導体部分21への方向は、第1方向D1に沿う。第5部分領域10eから第2半導体部分22への方向は、第1方向D1に沿う。この例では、第3電極53の一部は、第2方向D2において、第4部分領域10dと第5部分領域10eとの間にある。高いしきい値電圧が得られる。例えば、ノーマリオフ動作が安定して得られる。
【0045】
図6に示すように、半導体装置110は、第1絶縁部材41をさらに含んで良い。第1絶縁部材41は、第1絶縁部分41pを含む。第1絶縁部分41pは、第3電極53と窒化物部材10Mとの間に設けられる。第1絶縁部分41pは、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。
【0046】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置111は、第1実施形態に係るウエーハ210、窒化物部材10M、第1電極51、第2電極52、及び、第3電極53を含む。半導体装置111において、第3電極53は、第2方向D2において、第2半導体層20と重ならない。これを除く半導体装置111の構成は、半導体装置110と同様で良い。
【0047】
半導体装置111において、例えば、ノーマリオン動作が得られる。半導体装置111において、第1絶縁部材41は省略されても良い。半導体装置111は、例えば、高周波スイッチング素子として利用できて良い。
【0048】
実施形態において、窒化物領域の形状などに関する情報は、例えば、電子顕微鏡観察などにより得られる。窒化物領域における組成及び元素濃度に関する情報は、例えば、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)、または、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。窒化物領域における組成に関する情報は、例えば、逆格子空間マッピングなどにより得られて良い。
【0049】
実施形態は、以下の技術案を含んで良い。
(技術案1)
基体と、
Alz1Ga1-z1N(0<z1≦1)を含む第1層と、
を備え、
前記第1層は、第1領域及び第2領域を含み、
前記第1領域は、前記基体と前記第2領域との間にあり、
前記第1領域における第1領域酸素濃度は、前記基体における基体酸素濃度よりも低く、
前記第1領域酸素濃度は、前記第2領域における第2領域酸素濃度よりも低い、ウエーハ。
【0050】
(技術案2)
前記第2領域酸素濃度は、前記基体酸素濃度よりも低い、技術案1に記載のウエーハ。
【0051】
(技術案3)
前記第1領域は、前記基体と接し、
前記第2領域は、前記第1領域と接した、技術案1または2に記載のウエーハ。
【0052】
(技術案4)
前記基体は、シリコンを含む、技術案3に記載のウエーハ。
【0053】
(技術案5)
前記第1領域酸素濃度は、1×1016cm-3以上5×1017cm-3以下である、技術案1~4のいずれか1つに記載のウエーハ。
【0054】
(技術案6)
前記第2領域酸素濃度は、1×1017cm-3以上1×1018cm-3以下である、技術案5に記載のウエーハ。
【0055】
(技術案7)
前記基体酸素濃度は、1×1018cm-3以上1×1020cm-3以下である、技術案1~6のいずれか1つに記載のウエーハ。
【0056】
(技術案8)
前記第1層の第1層厚は、100nm以上200nm以下である、技術案1~7のいずれか1つに記載のウエーハ。
【0057】
(技術案9)
前記第1領域の第1領域厚は、50nm以上100nm以下である、技術案8に記載のウエーハ。
【0058】
(技術案10)
前記第2領域の第2領域厚は、50nm以上100nm以下である、技術案9に記載のウエーハ。
【0059】
(技術案11)
Alz2Ga1-z2N(0<z2<1、z2<z1)を含む第2層をさらに備え、
前記第1層は、前記基体と前記第2層との間に設けられ、
前記第2層は、酸素を含まない、または、前記第2層における第2層酸素濃度は、前記第2領域酸素濃度よりも低い、技術案1~10のいずれか1つに記載のウエーハ。
【0060】
(技術案12)
前記第2層酸素濃度は、前記第1領域酸素濃度よりも低い、技術案11に記載のウエーハ。
【0061】
(技術案13)
Alz3Ga1-z3N(0≦z3≦1)を含む第3層をさらに備え、
前記第2層は、前記第1層と前記第3層との間にあり、
前記第3層は、酸素を含まない、または、前記第3層における第3層酸素濃度は、前記第2領域酸素濃度よりも低い、技術案11または12に記載のウエーハ。
【0062】
(技術案14)
前記第3層酸素濃度は、前記第1領域酸素濃度よりも低い、技術案13に記載のウエーハ。
【0063】
(技術案15)
前記第3層は、複数の第1膜と、複数の第2膜と、を含み、
前記基体から前記第1層への第1方向において、前記複数の第1膜の1つは、前記複数の第2膜の1つと前記複数の第2膜の別の1つとの間にあり、前記複数の第2膜の前記1つは、前記複数の第1膜の前記1つと、前記複数の第1膜の別の1つとの間にあり、
前記複数の第1膜は、Aly1Ga1-y1N(0<y1≦1)を含み、
前記複数の第2膜は、Aly2Ga1-y2N(0≦y2<y1)を含む、技術案13または14に記載のウエーハ。
【0064】
(技術案16)
Alz4Ga1-z4N(0≦z4≦1)を含む第4層をさらに備え、
前記第3層は、前記第2層と前記第4層との間にあり、
前記第4層は、酸素を含まない、または、前記第4層における第4層酸素濃度は、前記第2領域酸素濃度よりも低い、技術案13~15のいずれか1つに記載のウエーハ。
【0065】
(技術案17)
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体層と、
をさら備え、
前記第3層と前記第2半導体層との間に前記第1半導体層が設けられた、技術案13~16のいずれか1つに記載のウエーハ。
【0066】
(技術案18)
技術案1~12のいずれか1つに記載のウエーハと、
第1電極と、
第2電極と、
第3電極と、
Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体層と、
Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む第2半導体層と、
を備え、
前記第1半導体層は、前記第1層と前記第2半導体層との間に設けられ、
前記第1電極から前記第2電極への第2方向は、前記基体から前記第1層への第1方向と交差し、
前記第3電極の前記第2方向における位置は、前記第1電極の前記第2方向における位置と、前記第2電極の前記第2方向にける位置と、の間にあり、
前記第2半導体層は、第1半導体部分と第2半導体部分と含み、
前記第1半導体部分から前記第2半導体部分への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1電極は、前記第1半導体部分と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2半導体部分と電気的に接続された、半導体装置。
【0067】
(技術案19)
前記第3電極の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第1半導体部分と前記第2半導体部分との間に設けられた、技術案18に記載の半導体装置。
【0068】
(技術案20)
前記第3電極の少なくとも一部は、前記第2方向において、前記第1半導体層の一部と前記第1半導体層の別の一部との間に設けられた、技術案18に記載の半導体装置。
【0069】
実施形態によれば、安定した特性を得ることが可能な、ウエーハ、及び、半導体装置を提供できる。
【0070】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0071】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、ウエーハ及び半導体装置に含まれる、基体、層、及び、電極などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0072】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0073】
その他、本発明の実施の形態として上述した、ウエーハ及び半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのウエーハ及び半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0074】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10、20:第1、第2半導体層、 10M:窒化物部材、 10a~10e:第1~第5部分領域、 11~14:第1~第4層、 11a、11b:第1、第2領域、 13a、13b:第1、第2膜、 18s:基体、 21、22:第1、第2半導体部分、 41:第1絶縁部材、 41p:第1絶縁部分、 51~53:第1~第3電極、 110、111:半導体装置、 210、211:ウエーハ、 C(Al):カウント数、
C(O):酸素濃度、 C11a、C11b:第1、第2領域酸素濃度、 C12~C14:第2~第4層酸素濃度、 C18s:基体酸素濃度、 D1、D2:第1、第2方向、 SPL1、SPL2:第1、第2試料、 pZ:位置、 t1、t2:第1、第2領域厚、 tr1、tr2:第1、第2層厚
図1
図2
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図5
図6
図7