(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016403
(43)【公開日】2025-02-03
(54)【発明の名称】支柱、電気機器設置装置、及び電気機器の設置構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20250127BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20250127BHJP
B60L 53/14 20190101ALN20250127BHJP
B60L 53/31 20190101ALN20250127BHJP
【FI】
H02G3/04 093
H02G3/04 087
H05K7/00 L
B60L53/14
B60L53/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119520
(22)【出願日】2023-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121429
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
【テーマコード(参考)】
4E352
5G357
5H125
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352BB02
4E352CC11
4E352DD11
4E352DR02
4E352DR19
4E352DR25
4E352DR40
4E352GG01
4E352GG04
5G357DA10
5G357DB01
5G357DB02
5G357DC11
5G357DC20
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE05
5G357DE08
5G357DF05
5G357DG10
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125DD02
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】電気機器が取り付けられるものであって、給電設備から敷設されたケーブルを途中で人や車両の通行の支障にならないように電気機器へと配線できる支柱を提供する。
【解決手段】設置面70に立設されて、上端側に電気機器50が取り付けられる支柱1であって、立設方向に延びる筒状部11を有し、筒状部11に中空の内部空間12が設けられた支柱本体10を備える。内部空間12を周方向に取り囲む周壁13の一部に貫通孔が形成され、貫通孔に電気機器50を取り付け可能となっている。更に、内部空間12は、ケーブル60を内部へ導入可能な導入口が貫通孔と反対側の位置であって設置面70よりも上方に離れて形成されており、導入口には、電線管61が接続可能な電線管接続体30が設けられている。これにより、ケーブル60及び電線管61が支柱1まで駐車場等の通路上に敷設されることによって人、車両等の通行の支障になるのが防止される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に立設されて、上端側に電気機器が取り付けられる支柱であって、
立設方向に延びる筒状部を少なくとも上端側に有し、前記筒状部の軸方向の少なくとも一部に中空の内部空間が設けられた支柱本体を備え、
前記内部空間を周方向に取り囲む周壁の一部に、前記内部空間を外側と連通させる貫通孔が貫通形成され、前記貫通孔に前記電気機器を取り付け可能であり、
前記内部空間は、ケーブルを内側へ導入可能な導入口が、前記支柱の立設長の半分よりも上方に形成され、
前記導入口には、前記ケーブルの配線経路を内部に構成する電線管が接続可能な接続部が設けられていることを特徴とする支柱。
【請求項2】
前記導入口は、前記貫通孔に対して前記周方向にずれた位置であって、前記立設方向の高さが前記貫通孔と重なる位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支柱。
【請求項3】
前記導入口は、前記貫通孔と対向した位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支柱。
【請求項4】
前記導入口は、前記支柱本体の上端に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支柱。
【請求項5】
前記接続部は、接続される前記電線管の端部を前記支柱本体の立設方向に沿わせた状態に接続可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の支柱。
【請求項6】
前記接続部は、前記電線管の端部を内側に受け入れる外筒部を備え、前記支柱本体の立設方向に対して前記外筒部の軸心が平行しているまたは45°以内の範囲で傾斜していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の支柱。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記周壁の周方向にずれた位置に複数形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の支柱。
【請求項8】
前記支柱本体は、立設方向に前記内部空間が連続する中空筒状を成し、下端側から前記電気機器へ接続するケーブルを導入し、前記貫通孔まで前記支柱本体の内部に配線可能であり、
前記接続部を取り外した前記導入口は、前記貫通孔と同一形状を成し、前記貫通孔に対して前記周方向にずれた位置であって、前記立設方向の高さが前記貫通孔と重なる位置に形成され、前記貫通孔に取り付けられる前記電気機器とは異なる別の電気機器を取り付け可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の支柱。
【請求項9】
設置面に立設されて、上端側に電気機器が取り付けられる支柱と、該支柱に固定される電線管接続体と、からなる電気機器設置装置であって、
前記支柱は、
立設方向に延びる筒状部を少なくとも上端側に有し、前記筒状部の軸方向の少なくとも一部に中空の内部空間が設けられた支柱本体を備え、
前記内部空間を周方向に取り囲む周壁の一部に、前記内部空間を外側と連通させる貫通孔が貫通形成され、前記貫通孔に前記電気機器を取り付け可能であり、
前記内部空間は、ケーブルを内側へ導入可能な導入口が、前記支柱の立設長の半分よりも上方に形成され、
前記電線管接続体は、
前記ケーブルの配線経路を内部に構成する電線管を接続可能な接続部を有し、前記導入口に固定されて、前記導入口を介して前記電線管の内部から前記内部空間へと連続した配線路を構成することを特徴とする電気機器設置装置。
【請求項10】
設置面に支柱が立設され、前記支柱の上端側に電気機器が取り付けられ、
上方から垂下された電線管の下側端部が前記支柱の前記設置面から離れた箇所に接続されており、前記電線管内を配線されたケーブルが前記支柱に設けられた内部空間を通過して前記電気機器と接続されていることを特徴とする電気機器の設置構造。
【請求項11】
設置面に支柱が立設され、前記支柱の上端側に電気機器が取り付けられ、
上方から垂下された電線管の下側端部が前記電気機器に接続されており、前記電線管内を配線されたケーブルが前記電気機器と接続されていることを特徴とする電気機器の設置構造。
【請求項12】
設置面に固定される固定部と、使用者が操作する操作部を備えた電気機器と、を有する電気機器装置が、前記操作部を前記設置面から離れた上方に配置した状態で前記設置面に固定され、
上方から垂下された電線管の下側端部が前記電気機器装置に接続されており、前記電線管内を配線されたケーブルが前記電気機器と接続されていることを特徴とする電気機器の設置構造。
【請求項13】
前記設置面の上方の天井から吊り下げられたケーブルラックが構成する配線路に敷設された前記ケーブルが前記電線管内に配線されていることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の電気機器の設置構造。
【請求項14】
前記電線管の少なくとも一部は、可撓性を備えていることを特徴とする請求項13に記載の電気機器の設置構造。
【請求項15】
前記電線管は、前記支柱の立設方向に沿って上方に配管されていることを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の電気機器の設置構造。
【請求項16】
支柱が設置面に立設され、前記支柱の上端側の側方に電気機器が取り付けられ、
前記支柱の前記電気機器が設置された側と異なる側に位置する構造物の外面または内部に配線されたケーブルの、前記構造物から前記支柱に向けて配線される配線路を形成する、可撓性を備えた電線管が、前記支柱の前記異なる側に接続されており、
前記電線管内を配線された前記ケーブルが前記支柱に設けられた内部空間を通過して前記電気機器と接続されていることを特徴とする電気機器の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EV充電用コンセント、パーキングメーター等の電気機器を設置するための支柱、電気機器設置装置、及び電気機器の設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の蓄電池に充電するためのEV充電用コンセントは、駐車場等に立設された支柱に設置されている。支柱は、一般に、下端部を地面に埋設して固定されている。しかし、この場合、駐車場を採掘しコンクリート基礎を打つため、支柱の設置に手間と費用が嵩み、設置後に場所を移動したりする必要が生じた場合は、コンクリート基礎から撤去する工事が必要であった。
【0003】
これに対して、特許文献1には、支柱の下端部を地面に埋設することなく駐車場等に設置する技術が開示されている。特許文献1に記載の充電設備の設置構造は、駐車場の地面に基礎ブロックを載置し、この基礎ブロックにベース部材を介してボルト、ナットで固定することで支柱を設置するものであり、基礎ブロックの重量により支柱の転倒が阻止され、基礎を打つことなく設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の充電設備の設置構造は、支柱の設置箇所に自由度がある反面、EV充電用コンセントが設置される支柱は、電力が供給される給電ケーブルのコンセントから駐車場を挟んで離れた箇所に設置されているから、給電ケーブルのコンセントから支柱のEV充電用コンセントまでのケーブルは、途中で駐車場の通路面上に敷設される。このため、駐車場の人の往来においてケーブルに躓くなどの危険があり、また、ケーブルはここを通過する車両に耐え得る配線プロテクター等の囲い部材で上部を覆うなどの保護手段を講じる必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、電気機器が取り付けられるものであって、給電設備から敷設されたケーブルを配線途中で人や車両の通行の支障にならないようにまた特別な保護手段を講じることなく電気機器へと配線できる支柱、電気機器設置装置、及び電気機器の設置構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の支柱は、
設置面に立設されて、上端側に電気機器が取り付けられるものであって、
立設方向に延びる筒状部を少なくとも上端側に有し、前記筒状部の軸方向の少なくとも一部に中空の内部空間が設けられた支柱本体を備え、
前記内部空間を周方向に取り囲む周壁の一部に、前記内部空間を外側と連通させる貫通孔が貫通形成され、前記貫通孔に前記電気機器を取り付け可能であり、
前記内部空間は、ケーブルを内側へ導入可能な導入口が、前記支柱の立設長の半分よりも上方に形成され、
前記導入口には、前記ケーブルの配線経路を内部に構成する電線管が接続可能な接続部が設けられている。
ここで、「支柱の立設長」は、支柱における設置面から上の露出部分の長さをいう。仮に、支柱の下端部が地中に埋設されて立設面に立設されることがあるとしても、埋設部分の長さはこれに含まれない。なお、立設長の半分よりも上であるから、支柱の上端部は立設長に含まれる。
【0008】
請求項2の支柱は、特に、導入口が、貫通孔に対して周方向にずれた位置であって、立設方向の高さが前記貫通孔と重なる位置に形成されている。
これにより、導入口は、貫通孔に取り付けられる電気機器とは周方向にずれているので、電気機器を操作する際に邪魔にならないし、導入口に設けられている接続部が目立たず、また、電気機器との高さ方向のバランスがとれて、見栄えが良い。
請求項3の支柱は、特に、導入口が、前記貫通孔と対向した位置に形成されている。
これにより、導入口から貫通孔に設けられた電気機器までの配線路が直線的となり、ケーブルを配線し易い。また、導入口から電気機器までの間のケーブルを最短距離で配線できる。
【0009】
請求項4の支柱は、導入口が、支柱本体の上端に形成されている。
これにより、電線管を支柱本体の真上に接続することができ、電線管は、その配管経路の側方に障害物が存在するときにはこれと干渉しにくい。
【0010】
請求項5の支柱は、接続部が、接続される電線管の端部を支柱本体の立設方向に沿わせた状態に接続可能である。
これにより、電線管は、支柱本体の側方へはあまりはみ出さず、支柱本体とともに立設方向にまとまり良く配管されるので、接続部周辺の見栄えが良い。
請求項6の支柱は、接続部が、電線管の端部を内側に受け入れる外筒部を備え、支柱本体の立設方向に対して外筒部の軸心が、平行しているまたは45°以内の範囲で傾斜している。
これにより、請求項5の支柱と同じく、電線管は支柱本体の側方へのはみ出しが少なく、接続部周辺の見栄えが良い。
【0011】
請求項7の支柱は、貫通孔が、周壁の周方向にずれた位置に複数形成されている。
請求項8の支柱は、
支柱本体が、立設方向に内部空間が連続する中空筒状を成し、下端側から電気機器へ接続するケーブルを導入し、貫通孔まで支柱本体の内部に配線可能であり、
接続部を取り外した導入口は、貫通孔と同一形状を成し、前記貫通孔に対して前記周方向にずれた位置であって、前記立設方向の高さが前記貫通孔と重なる位置に形成されて、前記貫通孔に取り付けられる前記電気機器とは異なる別の電気機器を取り付け可能である。
これにより、導入口に電線管接続体を使用しないことで、2つの電気機器を設置する際に導入口を電気機器の取り付けに使用することも可能となる。
【0012】
請求項9の電気機器設置装置は、
設置面に立設されて、上端側に電気機器が取り付けられる支柱と、該支柱に固定される電線管接続体と、からなるものであって、
前記支柱は、
立設方向に延びる筒状部を少なくとも上端側に有し、前記筒状部の軸方向の少なくとも一部に中空の内部空間が設けられた支柱本体を備え、
前記内部空間を周方向に取り囲む周壁の一部に、前記内部空間を外側と連通させる貫通孔が貫通形成され、前記貫通孔に前記電気機器を取り付け可能であり、
前記内部空間は、ケーブルを内側へ導入可能な導入口が前記支柱の立設長の半分よりも上方に形成され、
前記電線管接続体は、
前記ケーブルの配線経路を内部に構成する電線管を接続可能な接続部を有し、前記導入口に対して固定されて、前記導入口を介して前記電線管内部から前記内部空間へと連続した配線路を構成している。
【0013】
請求項10の電気機器の設置構造は、
設置面に支柱が立設され、前記支柱の上端側に電気機器が取り付けられ、
上方から垂下された電線管の下側端部が前記支柱の前記設置面から離れた箇所に接続されており、前記電線管内を配線されたケーブルが前記支柱に設けられた内部空間を通過して前記電気機器と接続されている。
請求項11の電気機器の設置構造は、
設置面に支柱が立設され、前記支柱の上端側に電気機器が取り付けられ、
上方から垂下された電線管の下側端部が前記電気機器に接続されており、前記電線管内を配線されたケーブルが前記電気機器と接続されている。
【0014】
請求項12の電気機器の設置構造は、
設置面に固定される固定部と、使用者が操作する操作部を備えた電気機器と、を有する電気機器設置装置が、前記操作部を前記設置面から離れた上方に配置した状態で前記設置面に固定され、
上方から垂設された電線管の下側端部が前記電気機器装置に接続されており、前記電線管内を配線されたケーブルが前記電気機器と接続されている。
【0015】
請求項13の電気機器の設置構造は、設置面の上方の天井から吊り下げられたケーブルラックが構成する配線路に敷設されたケーブルが電線管内に配線されている。
これにより、支柱の上方で配線経路が邪魔にならない状態で、ケーブルを電気機器まで敷設することができる。
請求項14の電気機器の設置構造は、特に、電線管の少なくとも一部が、可撓性を備えている。
これにより、地震発生時に支柱とケーブルラックとが揺れの状態が異なっても、電線管の可撓性のある部分が両者の揺れのずれを吸収して支柱及びケーブルラックが破損するのを回避できる。
請求項15の電気機器の設置構造は、電線管が、支柱の立設方向に沿って上方に配管されている。
【0016】
請求項16の電気機器の設置構造は、
支柱が設置面に立設され、前記支柱の上端側に電気機器が取り付けられ、
前記支柱の前記電気機器が設置された側と異なる側に位置する構造物の外面または内部に配線されたケーブルの、前記構造物から前記支柱に向けて配線される配線経路を形成する、可撓性を備えた電線管が、前記支柱の前記異なる側に接続されており、
前記電線管内を配線された前記ケーブルが前記支柱に設けられた内部空間を通過して前記電気機器と接続されている。
これにより、ケーブルは、近くの構造物を利用して配線し、そこから短い経路で支柱まで配線できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、導入口が設置面よりも上方に離れて支柱の立設長の半分よりも上方に形成されていて、ケーブルが挿通された電線管は上方等から支柱の接続部に接続され、給電設備から配線されたケーブルは支柱に対して横方向や上方から導入口内に挿入されており、支柱までの経路途中で駐車場等の通路上には敷設されないので、経路途中でケーブル及び電線管が邪魔になって人、車両等の通行に支障となるのを防止できる。また、経路途中でケーブルの上部を囲い部材で覆うなどの特別の保護手段を講じることなく電気機器へと配線できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一実施形態の支柱の正面図である。
【
図3】
図1の支柱の斜視図であり、(a)は電線管接続体を取り付ける前の状態、(b)は取り付け後の状態を示す。
【
図4】
図1の支柱を斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】
図3(b)のA-A切断線による断面図である。
【
図6】
図5の電線管接続体を示し、(a)は分解縦断面図、(b)は斜視図である。
【
図7】本発明の第二実施形態の支柱の正面図である。
【
図8】
図7の支柱の斜視図であり、(a)は電線管接続具を取り付ける前の状態、(b)は取り付け後の状態を示す。
【
図9】
図8(b)のB-B切断線による断面図である。
【
図10】本発明の第三実施形態の支柱の斜視図である。
【
図12】
図11の電線管接続体を示し、(a)は要部拡大断面図、(b)は(a)の接続具固定体の斜視図である。
【
図13】本発明の別例の支柱を示す斜視図であり、(a)は斜め上方から見た斜視図、(b)は斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態の支柱を
図1乃至
図6に基づいて説明する。
図1及び
図5において、本実施形態の支柱1は、地下駐車場や自走式立体駐車場、ガソリンスタンドなどの施設の地面等の設置面70に立設されて、上端側に電気機器50が取り付けられるものであり、立設方向に延びる筒状部11を上端側に有し、筒状部11の軸方向全体に至って中空の内部空間12が設けられた支柱本体10を備える。支柱本体10の内部空間12には、電気機器50を取り付け可能な貫通孔26が形成されているとともに、貫通孔26と異なる位置に、ケーブル60を内側へ導入可能な導入口28が設置面70よりも上方に離れて支柱1の立設長の半分よりも上方に形成されている。導入口28には、ケーブル60の配線経路を内部に構成する電線管61を接続可能な接続部36が設けられている。本実施形態では、電気機器50としてEV充電用コンセントを例示する。以下、各部材について説明する。
【0020】
図1及び
図2において、天井83に吊りボルト82を介して吊り下げられた梯子状のケーブルラック80上の配線路に敷設され、そこから垂下されたケーブル60が、電線管61で保護されて、駐車場の地面の設置面70に立設された支柱1の上部から内部空間12に挿入され、電気機器50に接続されている。
【0021】
ケーブル60を内部に収容して保護する電線管61は、本実施形態では、合成樹脂により大径部62と小径部63とが軸方向の全長に至って管軸方向に交互に形成され、外面に山部64と谷部65とが管軸方向に交互に形成された蛇腹状の波付管からなり、全長に至って可撓性を有する。電線管61は、ケーブルラック80と支柱1の上部に設けられた接続部36との間に配管され、その上側端部は、図示を省くが、結束バンド等を使用してケーブルラック80の子桁81に結束されるなどしてケーブルラック80に固定されている。なお、
図2には、後述する第二実施形態の支柱1も記載しており、第一実施形態の支柱1は
図2の右側の支柱1である。
【0022】
支柱本体10は、
図3乃至
図5に示すように、立設方向に延びる四角筒体からなる筒状部11が形成され、筒状部11は、立設方向の全体に至って中空の内部空間12が連続して形成されている。内部空間12は周囲全体が周壁13によって取り囲まれている。支柱本体10の上端である頂部14の上端開口15は、平板からなる天板16によって一体に塞がれている。
【0023】
支柱本体10の底部17の下端開口18には、設置面70に載置される固定部19が設けられている。固定部19は、支柱本体10の下端開口18より面積の大きい四角板状の固定板20からなる。固定部19は、
図4に示すように、中央に支柱本体10の下端開口18とほぼ同じ大きさ、形状の四角穴21が形成され、四角穴21の4辺の各周縁からは垂直上方に向けて略台形板状の切起こし片22が切起こされ、各切起こし片22の中央には挿通孔22aが設けられている。また、固定部19の固定板20の4隅部にはアンカーボルトが挿通される固定孔20aが形成されており、これにアンカーボルトを挿通して地面に打ち込むことにより支柱1は設置面70に固定される。
図5に示すように、支柱本体10の下部の周壁13において固定部19の切起こし片22の挿通孔22aと対向する位置には、ボルト23が挿通される通孔25が形成されており、ボルト23を支柱本体10の通孔25及び切起こし片22の挿通孔22aに挿入し、ナット24を締め付けることにより、支柱本体10は固定部19に組付けられている。
【0024】
支柱本体10の4面の周壁13のうち1面の上端側には、
図4に示すように、内部空間12を外側と連通させる四角形状の貫通孔26が貫通形成されている。貫通孔26の上方の幅方向中央及び下方の幅方向中央には、電気機器50を取り付けるための取付ビスが取着される雌ねじを有する取付孔27が上下一対設けられている。
【0025】
ここで、電気機器50は、
図5に示すカバー53の内部にEV充電用のコンセント51が内蔵され、コンセント51は四角枠状の器具取付枠52の中央開口部52aに取り付けられ、器具取付枠52は、上下両端部にビス挿通孔52bが形成されており、これに取付ビスが挿通され、貫通孔26の上下周辺の一対の取付孔27,27にねじ込まれることにより貫通孔26に取り付けられる。カバー53は裏面側の開口面が貫通孔26より僅かに大きく形成され、貫通孔26全体を表側から覆う。また、カバー53の前面側のく字板状に屈曲した2面の外板のうち下側は屈曲した頂部53aを軸に上下方向に回動可能な蓋部54となっており、コンセント51を使用する際は、蓋部54を手前側に開いてプラグを差し込めるようになっている。カバー53は、雨水の浸入を防止し、塵埃、虫類が侵入するのを防ぐ。また、蓋部54は、カバー53のく字板状に屈曲した下側に設けられているので、雨水が浸入するのがより防止される。
【0026】
支柱本体10の内部空間12は、ケーブル60を内側へ導入可能な導入口28が貫通孔26と周方向に異なる位置であって設置面70よりも上方に離れて支柱1の立設長の半分よりも上方である上端側に形成されている。具体的には、導入口28は、
図3(a)、
図5に示すように、支柱本体10の4面の周壁13のうち貫通孔26が設けられている面とは反対側の面において貫通孔26と立設方向において略同一高さに形成され、貫通孔26とほぼ同一の四角形状、大きさに形成されている。導入口28の上方の幅方向中央及び下方の幅方向中央には、後述する接続具固定体32を取り付けるためのビス41が取着される雌ねじを有するビス孔29が上下一対設けられている。ここで、支柱1の立設長は、支柱1における設置面70から上の露出部分の長さをいい、立設面70に固定された固定部19から頂部14までの長さをいう。
【0027】
導入口28には、電線管61を接続可能な接続部36を備えた電線管接続体30が取り付けられている。電線管接続体30は、
図5及び
図6に示すように、支柱本体10とは別体に形成され、コネクタからなり接続部36を有する電線管接続具31と、電線管接続具31を導入口28に取り付けるための接続具固定体32と、で構成されている。電線管接続体30は、ビス41を接続具固定体32に使用して支柱本体10に分離可能に組み付けられている。
【0028】
電線管接続具31は、電線管61の端部を内側に受け入れる円形筒状の外筒部33を備えている。電線管接続具31は、詳細には、外筒部33が、電線管61が挿入される側に配置された挿入側円筒部33aと、その下方に配置された外筒本体部33bとで形成されている。挿入側円筒部33aには管挿入側開口部34が形成されている。そして、挿入側円筒部33aには内壁に沿って周方向に所定間隔で短冊板状の弾性片35が複数配設されている。更に、各弾性片35の反管挿入側の先端部には電線管61の谷部65に係合する係合爪35aが形成されており、電線管61が電線管接続具31の管挿入側開口部34内に押し入れられたときに弾性片35が管挿入側を軸に弾性的に外周方向に撓んで電線管61の山部64の挿入を受け入れた後、係合爪35aが電線管61の端部の谷部65内に係合することにより、電線管61は電線管接続具31に接続される。
【0029】
なお、電線管接続具31は、弾性片35を備えた挿入側円筒部33aを周方向に所定角度回動することにより弾性片35を外周方向に弾性的に拡張させて、接続されている電線管61への係合爪35aの係合を解除し、電線管61を電線管接続具31から取り外すこともできる。電線管接続具31において、電線管61を接続可能な弾性片35が形成された部分は、接続部36を構成している。なお、電線管接続具31全体が接続部36を構成しているものとしてもよい。
【0030】
電線管接続具31の反管挿入側である下部側は、外筒部33の下部側に段部37が形成され、その下方には径の小さい縮径筒部38が形成されており、縮径筒部38は支柱本体10の導入口28に取り付けられる接続具固定体32に上方から接続されている。
【0031】
接続具固定体32は、導入口28全体を囲むようにその周縁に当接するフランジからなる当接部40を備えた平板状の基部39と、基部39に横方向に突出して設けられ、電線管接続具31が取り付けられる接続具取付部42と、を備えている。基部39は、中央に導入口28と略同一の形状、大きさの連通口39aが形成され、連通口39aの上下に当接部40が支柱本体10の周壁13に沿って延出しており、上下の当接部40の各中央にビス挿通孔40aが形成されている。
【0032】
接続具取付部42は、上側の当接部40の下辺から水平側方に張り出した水平板部43と、水平板部43の先端から下方に湾曲形成された一定幅の湾曲板部44と、が形成されており、水平板部43の中央には電線管接続具31の縮径筒部38が取り付けられる接続具取付孔43aが形成されている。電線管接続具31は、段部37の段部下面37aが接着により接続具取付孔43aの周縁に接着されて接続具固定体32に固定される。湾曲板部44は、上方から挿入されたケーブル60を湾曲面内壁に沿って円滑に導入口28へと導く。
【0033】
これにより、接続具固定体32は、導入口28を塞ぐように支柱本体10の上端部の周壁13に横方向から取り付けられ、電線管接続具31は、接続される電線管61の端部が支柱本体10の立設方向に沿った状態に接続される。
【0034】
このように接続部36を備えた電線管接続具31と接続具固定体32とからなる電線管接続体30は、導入口28に固定された状態で、電線管61内のケーブル60を電線管接続具31内から接続具取付部42内を通過させて導入口28更には支柱本体10の内部空間12に導く。
なお、電線管接続体30は、広く電線管61を支柱本体10の導入口28に接続するものをいい、後述する第二実施形態のように、接続具固定体32を含まず電線管接続具31が単独で直接導入口28に接続されるものも含む。
【0035】
次に、このように構成された本実施形態の支柱1に電気機器50を取り付け、ケーブル60を接続する方法を説明する。
まず、設置面70に固定されている支柱1の導入口28に電線管61を接続するための電線管接続体30を取り付ける。そのためには、最初に、接続具固定体32の基部39の当接部40に設けられた上下一対のビス挿通孔40aにビス41を挿通し、支柱本体10の導入口28の上方及び下方に設けられた上下一対のビス孔29,29に螺着して接続具固定体32を導入口28に取り付ける。次いで、接続具取付部42の接続具取付孔43a内に上方から電線管接続具31の縮径筒部38を挿入し段部下面37aを接続具取付部42の水平板部43の接続具取付孔43aの周縁上面に載置し接着固定する。これにより、
図5に示すように、電線管接続体30が導入口28に取り付けられる。
【0036】
これとは別途に、駐車場等の天井83に吊りボルト82を介して吊り下げられたケーブルラック80から電線管61を垂下し、下側端部を電線管接続具31の管挿入側開口部34から外筒部33内に押し付けながら挿入し、電線管61の外面の谷部65に電線管接続具31の弾性片35の係合爪35aを係合させて、電線管接続具31の接続部36に接続する。そして、ケーブルラック80の配線路に敷設されているケーブル60を電線管61の上側端部の開口から挿入して電線管61内を垂直下方に通した後、先端部を電線管接続具31内から接続具取付部42の湾曲板部44の湾曲面内壁に沿って移動させつつ接続具取付部42内を通し、更に、支柱本体10の導入口28から内部空間12内に送り込む。
【0037】
続けて、ケーブル60の先端部を支柱本体10の反対側に位置する貫通孔26内に通して一旦支柱本体10の外方に引き出す。そして、ケーブル60の先端を予め器具取付枠52に取り付けられている電気機器50であるEV充電用のコンセント51の裏面側の端子に接続する。その後、ケーブル60の先端部を内部空間12内に押し戻しつつ電気機器50の器具取付枠52のビス挿通孔52bに取付ビスを挿通し、貫通孔26の上下の周縁の取付孔27にねじ込んで器具取付枠52を貫通孔26に取り付ける。次いで、器具取付枠52の外側からカバー53を嵌め込んで取り付け、コンセント51及び器具取付枠52の全体を覆う。以上により、
図1及び
図2に示したように、ケーブルラック80の配線路に敷設されたケーブル60を垂下された電線管61内に挿通して支柱本体10内に配線し、支柱1に電気機器50を取り付け、これにケーブル60を接続する作業が終了する。
【0038】
次に、第一実施形態の支柱1の作用を説明する。
支柱1は、導入口28が設置面70よりも上方に離れて支柱本体10の上端側に形成され、ケーブル60が挿通された電線管61はケーブルラック80から垂下して上方から支柱1の接続部36に接続され、ケーブル60は支柱1に対して横方向から導入口28内に挿入されており、ケーブル60及び電線管61は支柱1までの経路途中で駐車場等の通路上に這わせて敷設しなくてよいから、ケーブル60及び電線管61が邪魔になって人、車両等の通行に支障となるのが防止される。
【0039】
また、導入口28は、支柱本体10の上端側に形成され、同じく支柱本体10の上端側に形成された貫通孔26に取り付けられる電気機器50とは近接位置にあるので、従来のように支柱本体10の下端底部の導入口からケーブル60を内部空間12に配線することに比べて、支柱本体10内のケーブル60の配線路を短くすることができる。
【0040】
更に、支柱1の導入口28は、支柱本体10において立設方向の高さが貫通孔26と略同一であって、貫通孔26とは反対側の周壁13にこれと対向して形成されている。
このため、貫通孔26に取り付けられる電気機器50とは周方向にずれているので、電気機器50を操作する際に導入口28に取り付けられた電線管接続体30が邪魔にならないし、導入口28に設けられている接続部36が目立たない。そして、電気機器50との高さ方向のバランスがとれて、見栄えが良い。
また、導入口28に設けられている接続部36は、電気機器50とは反対側にあって目立ちにくい位置にあるから、見栄えが良い。
更に、導入口28から貫通孔26に設けられた電気機器50までの配線路が直線的であるから、ケーブル60を配線し易いし、導入口28から電気機器50までケーブル60を最短距離で配線できる。
【0041】
そして、電線管接続具31の接続部36は、電線管61の端部を内側に受け入れる外筒部33の軸心が支柱本体10の立設方向と平行し、接続される電線管61の下側端部が支柱本体10の立設方向に沿わせた状態に接続されるので、電線管61は支柱本体10とともに立設方向にまとまり良く配管され、接続部周辺の見栄えが良い。また、電線管61は、支柱本体10から横方向にはほとんど張り出さないので、人の通行の支障になりにくい。
【0042】
加えて、天井83から吊り下げられたケーブルラック80の配線路に敷設されたケーブル60が、ケーブルラック80から垂下する電線管61内に配線されているので、支柱1の上方で電線管61が邪魔にならない状態で、ケーブル60を電気機器50まで敷設することができる。
【0043】
更には、電線管61は可撓性を備えているから、地震発生時に支柱1とケーブルラック80とで揺れの状態が異なっても、電線管61の可撓性のある部分が両者の揺れのずれを吸収し、支柱1及びケーブルラック80が破損するのが回避される。また、支柱1の側方あるいは上端に設けられた電線管接続具31が、上方のケーブルラック80から垂下された電線管61の上側端部の取付位置の直下に位置していなくても、可撓性を有する電線管61の撓みを利用して電線管61の下側端部を電線管接続具31に対して上方から円滑に接続することができる。
【0044】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態の支柱を
図7乃至
図9に基づいて説明する。
第二実施形態の支柱1は、第一実施形態の支柱1とは、ケーブル60の導入口28の位置及び電線管接続具31の取付位置のみが異なり、第一実施形態の導入口28は、支柱本体10の上端側の周壁13の一部に側方に臨んで形成されているのに対し、第二実施形態の導入口28は、
図8等に示すように、支柱本体10の頂部14の天板16に上方に臨んで形成されている。以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0045】
図8(a)において、支柱1は、支柱本体10の頂部14の天板16の中央部に円形状の導入口28が形成されている。導入口28は、電線管接続具31の下端部の縮径筒部38の外径より僅かに大きい内径を有する。電線管接続具31は、縮径筒部38を上方から導入口28に挿入し段部下面37aを天板16における導入口28周縁の上面に載置し接着することにより、
図8(b)及び
図9に示すように、支柱本体10の頂部14に固定される。電線管接続具31に電線管61を接続すると、電線管61の下側端部は、支柱本体10の立設方向に沿う状態になる。なお、第二実施形態の電線管接続具31は、第一実施形態で使用された接続具固定体32を介さずに導入口28に直接取り付けられる。ここで、第二実施形態の導入口28は、別言すると、内外貫通方向が立設方向に沿ったものであり、貫通孔26の内外貫通方向とは90°ずれている。
【0046】
第二実施形態の支柱1に電気機器50を取り付け、ケーブル60を接続するには、支柱本体10の頂部14の導入口28に設けられた電線管接続具31に、第一実施形態と同様にして、電線管61の下側端部を電線管接続具31の管挿入側開口部34から押し付けながら挿入し、電線管接続具31の接続部36に接続する。接続後、電線管61は、電線管接続具31の接続部36とケーブルラック80との間に配管され、電線管接続具31に対して支柱1の立設方向に沿って上方に配管され、電線管61の下側端部の軸心は、支柱1の立設方向に対して平行する。続いて、
図2及び
図7に示すように、ケーブルラック80の配線路に敷設されたケーブル60を、ケーブルラック80に垂設された電線管61内に上方から挿通し、電線管接続具31から導入口28を通して支柱本体10の内部空間12内に引き込み、電気機器50に接続する。なお、
図2において、第二実施形態の支柱1は左側の支柱1である。
【0047】
第二実施形態の支柱1は、電線管61を支柱本体10の真上に接続することができ、電線管61は、その配管経路の側方に障害物が存在するときにこれと干渉しにくい。
【0048】
ここで、第一実施形態及び第二実施形態における構成は、請求項の、
設置面70に支柱1が立設され、支柱1の上端側に電気機器50が取り付けられ、
上方から垂下された電線管61の下側端部が設置面70から離れた箇所に接続されており、電線管61内を配線されたケーブル60が支柱1に設けられた内部空間12を通過して電気機器50と接続されている電気機器の設置構造を構成するものでもある。
【0049】
〈第三実施形態〉
次に、本発明の第三実施形態の支柱及び電気機器の設置構造を
図10乃至
図12に基づいて説明する。
【0050】
第三実施形態では、
図10に示すように、支柱1における電気機器50が設置された側と異なる反対側に位置する構造物である建物の壁面84に沿って保護管66が水平方向に配管され、中継する配電函85に接続されており、配電函85からは支柱1まで電線管61が水平方向に配管されている。保護管66は、金属製パイプ、合成樹脂製パイプ等で形成され、内部に配線されたケーブル60を保護する。なお、保護管66は建物の壁内に配管されていてもよいし、電線管61と同様のものであってもよい。電線管61は、第一、第二実施形態と同じく可撓性を備えている。
【0051】
第三実施形態の支柱本体10は、第一実施形態とほぼ同じであるが、電線管接続体が第一実施形態と異なる。第一実施形態の電線管接続体30は、電線管接続具31と接続具固定体32とからなるのに対し、第三実施形態の電線管接続体45は、電線管接続具31と接続具固定体46とからなり、電線管接続具31は同一であるが、接続具固定体が異なる。但し、電線管接続具31も、第一、第二実施形態と異なるもので構成してもよい。第一実施形態の電線管接続体30は、電線管61が支柱本体10の立設方向に沿って上方に配管されるが、第三実施形態の電線管接続体45は、
図10及び
図11に示すように、支柱本体10の上端側において、電気機器50が取り付けられる貫通孔26とは反対側の周壁13に形成された導入口28に取り付けられており、電線管61は、支柱本体10の立設方向と直交し支柱本体10の周壁13に横方向に配管される。導入口28は、円形状に形成されている。
【0052】
電線管接続体45の接続具固定体46は、
図12に示すように、支柱本体10の導入口28全体を覆う矩形板状の基部47と、基部47の中央部に立設され、電線管接続具31が取り付けられる短円管状の接続具取付部49と、を備えている。基部47は、中央に接続具取付部49と略同一の大きさの円形状の開口が形成され、この開口の外側に、導入口28の周縁の周壁13に全面的に当接する当接部48が形成されている。当接部48の上下端部の各幅方向中央にはビス41が挿通されるビス挿通孔48aが上下一対設けられている。接続具取付部49における基部47とは反対側の接続具取付孔49aの内径は、電線管接続具31の下端部の縮径筒部38の外径より僅かに大きく形成されている。
【0053】
第三実施形態の支柱1に電気機器50を取り付けてケーブル60を接続するには、接続具固定体46の基部47に設けられた上下一対のビス挿通孔48a,48aにビス41を挿通し、支柱本体10の導入口28の上方及び下方に設けられた上下一対のビス孔29,29に取着して接続具固定体46を導入口28に取り付ける。次に、接続具取付部49に水平側方から電線管接続具31の縮径筒部38を挿入し段部下面37aを接続具取付部49の接続具取付孔49aの開口端面49bに載置し接着固定する。なお、電線管接続体45は、先に接続具固定体46に電線管接続具31を接着固定してから、接続具固定体46をビス41を用いて導入口28に取り付けてもよい。
【0054】
続いて、電線管61の下側端部を電線管接続具31の管挿入側開口部34から挿入し、電線管接続具31の接続部36に接続する。接続後、電線管61は、電線管接続具31の接続部36と配電函85との間に配管される。続いて、保護管66及び電線管61の配線経路に敷設されたケーブル60を電線管接続具31から導入口28を通過させて支柱本体10の内部空間12内に引き込み、電気機器50に接続する。
【0055】
第三実施形態の支柱1及び電気機器の設置構造は、近くの構造物を利用して支柱1の電気機器50に配線できるから、配電函85からの電線管61を、従来の、建物の壁面84に沿って下方に配管し電線管61内のケーブル60を支柱1の下端側から内部空間12に導入して電気機器50に接続する場合に比べて、電線管61の配線経路を短くできる。
【0056】
ここで、上記第一~第三実施形態の各構成は、請求項の、
設置面70に立設されて、上端側に電気機器50が取り付けられる支柱1と、該支柱1に固定される電線管接続体30,45と、からなる電気機器設置装置であって、
支柱1は、
立設方向に延びる筒状部11を少なくとも上端側に有し、筒状部11に中空の内部空間12が設けられた支柱本体10を備え、
内部空間12を周方向に取り囲む周壁13の一部に、内部空間12を外側と連通させる貫通孔26が貫通形成され、貫通孔26に電気機器50を取り付け可能であり、
内部空間12は、ケーブル60を内側へ導入可能な導入口28が、支柱1の立設長の半分よりも上方に形成され、
電線管接続体30,45は、
ケーブル60の配線経路を内部に構成する電線管61を接続可能な接続部36を有し、導入口28に固定されて、導入口28を介して電線管61の内部から内部空間12へと連続したケーブル60の配線路を構成する電気機器設置装置を構成するものでもある。
【0057】
なお、第一及び第三実施形態の電線管固定体32,46の構成からは、次の技術的思想の電線管接続具固定体を把握することもできる。
すなわち、
中空筒状の支柱1の側方に開口する導入口28に固定される電線管接続具固定体であって、
導入口28を囲むように導入口28の周縁に当接する当接部40,48を備えた基部39,47と、基部39,47に設けられた、電線管接続具31を取り付ける接続具取付部42,49と、を備え、支柱1に固定された状態で、取り付けられた電線管接続具31に接続された電線管61内から、導入口28を介して支柱1の内部へとケーブル60を配線可能である、ことを特徴とする電線管接続具固定体。
【0058】
〈別例〉
次に、第一、第二実施形態の支柱及び電気機器の設置構造の別例を説明する。
図13において、別例の支柱は、設置面70に固定される固定部2aを備えて設置面70に立設され、立設方向に延びる四角筒状の筒状部11を上端側に有し、筒状部11に中空の内部空間12が設けられた支柱本体10を備えている。支柱本体10は、その下面から設置面70までは円形パイプ状の支柱2が立設され、その下端に設けられた固定部2aによって設置面70に設置される。すなわち、第一実施形態の支柱1は、立設方向全体に至って一定断面の四角筒体からなる筒状部11が形成されているのに対し、別例の支柱は、筒状部11が立設方向の上端側のみに形成され、筒状部11より下側は円形パイプ状の支柱2で構成されている。
【0059】
更に、別例の支柱の支柱本体10は、4面の周壁13のうち3面に電気機器50を取り付け可能な貫通孔26が形成され、3つの電気機器50が取り付けられている。また、4面の周壁13のうち貫通孔26が形成された3面と異なる1面には貫通孔26と立設方向の高さが同一の位置に、ケーブル60を内側へ導入可能な導入口28が形成されている。導入口28には、第一実施形態と同一の電線管接続体30が取り付けられている。支柱本体10の下端面には円盤2eと短円筒2fとからなる連結具2dが固定され、連結具2dを介して支柱本体10と支柱2とが上下に連結されている。支柱2の下端は、連結具2dとほぼ同様の構成の円盤2bと短円筒2cとからなる固定部2aが設けられている。但し、円盤2bは連結具2dの円盤2eより大きい外径を有している。
この構成は、電気機器の設置構造を構成するものでもある。
【0060】
なお、
図13では、第一実施形態の別例を示しているが、上記支柱本体10及び支柱2の構成を第二実施形態の別例とする場合は、
図13において、電線管接続具31は支柱本体10の側方でなく頂部14に接続される。
【0061】
ここで、別例の各構成部材を別の用語で表すことにより、上記第一、第二実施形態及び別例は、次のように別の表現で表すこともできる。
すなわち、
設置面70に固定される固定部19,2aを備えた支柱1,2と、使用者が操作する操作部を備えた電気機器50,55と、を有する電気機器装置3が、操作部が設置面70から離れた上方に配置された状態で設置面70に固定され、
上方から垂下された電線管61の下側端部が電気機器装置3に接続されており、電線管61内を配線されたケーブル60が電気機器50,55に接続されている電気機器の設置構造。
【0062】
このうち、別例の、「支柱2」は、前述のように、支柱本体10の下面から設置面70までの円形パイプ状の支柱のことであり、別例の、「電気機器55」は、連結具2dの円盤e上に載置された部分全体である、支柱本体10と3つの電気機器50と電線管接続体30とから成るものである。電気機器装置3は、第一、第二実施形態では、支柱1と電気機器50とを備えたもの、別例では、支柱2と電気機器55とを備えたものである。
【0063】
ここで、操作部は、電気機器50がEV充電用コンセントの場合は、コンセントの差込口、押しボタンやスイッチ等が該当し、電気機器50がパーキングメーターの場合は、コイン投入口、領収書発行ボタン等が該当する。
【0064】
〈変形例〉
ところで、上記第一~第三実施形態では、支柱本体10に貫通孔26及び導入口28はそれぞれ1つ形成されているが、本発明を実施する場合には、これに限られるものではなく、貫通孔26は別例のように複数形成してもよく、導入口28も複数形成してもよい。例えば、貫通孔26及び導入口28をそれぞれ2つ形成し、2つの導入口28それぞれに挿入されたケーブル60を、2つの貫通孔26にそれぞれ取り付けられた電気機器50に別々に接続するものとしてもよい。
【0065】
更に、貫通孔26及び導入口28は、矩形状、円形状に形成されているが、これらの形状に限定されるものではなく、また、複数形成した場合は、それらのなかで互いに異なる形状であってもよいし、支柱本体10の周壁13において立設方向の高さが互いに異なる位置に形成してもよい。更に、同一面の周壁13に、導入口28及び貫通孔26を形成してもよい。また、導入口28は、複数形成する場合、支柱本体10の周壁13と頂部14とに形成してもよい。
【0066】
上記各実施形態の導入口28は、電気機器50が設置される貫通孔26として使用することもできる。
この場合の支柱1は、支柱本体10が、立設方向全体に至って内部空間12が連続する中空の筒状部11に形成され、下端側から電気機器50に接続するケーブル60を導入し、貫通孔26まで支柱本体10の内部にケーブル60を配線可能となっている。そして、導入口28は、貫通孔26と同一形状を成し、貫通孔26に対して周方向にずれた位置であって、立設方向の高さが貫通孔26と重なる位置に形成されており、貫通孔26に取り付けられる電気機器50とは異なる別の電気機器を取り付け可能となっている。
【0067】
この支柱1は、貫通孔26には電気機器50を取り付け、導入口28には電線管接続体30を取り付けずに電気機器50とは異なる別の電気機器を取り付けることで、計2つの電気機器50を設置する際に使用することもできる。
【0068】
そして、上記各実施形態の導入口28は、立設方向の高さが貫通孔26に対してほぼ同一の位置に形成されているが、これに限られるものではなく、貫通孔26とは高さがずれた異なる位置に形成してもよい。例えば、貫通孔26が4面全ての周壁13に1つずつ形成され、電気機器50が異なる周壁13に同じ高さに計4つ取り付けられている場合に、導入口28は、各貫通孔26より高い位置に形成してもよい。
【0069】
また、上記第一~第三実施形態の導入口28は、四角筒体からなる支柱本体10の4面の周壁13において貫通孔26と対向する反対側の周壁13に形成されているが、貫通孔26が形成された周壁13と90°異なる他の周壁13に形成してもよく、貫通孔26が複数形成されている別例では、導入口28は、貫通孔26と対向する面の他、貫通孔26と90°ずれた面に形成されている。
【0070】
次に、上記第一~第三実施形態の支柱1は、筒状部11が四角筒状に形成されているが、これに限られるものではなく、三角形、五角形、八角形等の多角筒状、円筒状などに形成してもよい。
また、上記実施形態の支柱1の筒状部11は、立設方向の全体に至って同一断面形状に形成されているが、これに限られるものではなく、立設方向の途中で形状が異なっていてもよい。
【0071】
更には、筒状部11は、支柱1の立設方向全体に至って備えられているが、上記別例のように支柱1の上端側のみや中間部のみなど立設方向の一部のみに備え、立設方向の他の部分には備えていないものであってもよく、あるいは、立設方向に間隔を置いて複数備えたものであってもよい。
【0072】
加えて、支柱本体10は、底部17に下端開口18が形成され、そこからケーブル60を導入することも可能であるが、底部17に下端開口18が形成されておらず、下端からはケーブル60を挿入できないものであってもよい。この場合、支柱本体10の下端開口から塵埃、地中の湿気、虫類等が内部空間12に流入あるいは侵入するのを防止できる。
【0073】
更に、上記第一、第二実施形態の電線管接続体30は、電線管接続具31の接続部36が備える外筒部33の軸心が支柱本体10の立設方向と平行するように周壁13に取り付けられているが、これに限られるものではなく、外筒部33の軸心が45°以内の範囲で支柱本体10の立設方向に対して傾斜して取り付けられるものでもよい。45°以内とするのは、これを越えると、周囲の構造物や通路空間などと干渉するおそれが高くなるからである。外筒部33の軸心の傾斜は、30°以内とするのがより望ましい。なお、外筒部33が傾斜している場合は、外筒部33の近くで電線管61を屈曲させて、周囲との干渉を回避する。
【0074】
上記各実施形態の接続部36は、電線管接続具31が合成樹脂製のコネクタで、弾性変形する弾性片35の係合爪35aが電線管61の下側端部に係合することにより電線管61が接続されるものになっているが、電線管61は、他に、先端で電線管61の外面を径方向に押圧する押圧ボルトによる結合手段や、結束バンドで縛り付けるなどによる連結手段、接着や溶接などによる接合手段など、簡単に分離しないように分離防止手段が講じられていれば、いかなる方法を用いて導入口28に接続してもよい。また、電線管接続具31は、図に示したコネクタに限られるものでもない。
【0075】
更に、上記各実施形態では、電線管接続具31は、接続具取付孔43aに接着されているが、縮径筒部38の外面に雄ネジを形成し、接続具取付孔43aの反対側である下方から雌ネジを有するロックナットを取り付けて固定してもよいし、接続具取付孔43aの内面に雌ネジを形成し、直接螺着して固定する構成としてもよい。
【0076】
加えて、電線管61は、合成樹脂製の波付管で形成され、全長に至って可撓性を有しているが、一部のみが可撓性を有するものであってもよい。
ここで、「一部」とは、電線管61が複数本接続されていて、そのうちの1本あるいは幾本かが可撓性を有し、他は金属管などのような可撓性を有しないものである場合での一部と、使用される電線管61は1本のみであり、その1本の電線管61における途中に可撓性を備えた部分と備えない部分とが形成されている場合での一部と、の両方がある。
【0077】
そして、上記各実施形態では、電線管61は、合成樹脂製の波付管が用いられているが、これ以外の管であってもよく、金属製管や、外面平滑な直状管などを使用してもよい。
【0078】
更に、各実施形態の接続部36は、支柱本体10に組み付けられて分離可能な別体の電線管接続体30,45を介して電線管61を接続するものであるが、これに限られず、支柱本体10に一体に形成され、分離不能なものであってもよい。
例えば、図示しないが、支柱本体10の周壁13の導入口28にこれと略同一内径の短円筒を一体に外方に突設し、この短円筒の外壁面または内壁面に電線管接続具31の縮径筒部38の端部を接着剤で接着固定したもので接続部を構成することもでき、この場合の接続部は、支柱本体10に分離不能に設けられたものとなる。
【0079】
また、支柱本体10の周壁13に一体に突設した前記短円筒に対して、電線管として外面平滑な合成樹脂製、金属製等の直状管を使用し、その端部の外面または内面に接着剤を塗布して短円筒に直接接着固定することもでき、この場合の短円柱からなる接続部も支柱本体と分離不能に設けられたものとなる。
【0080】
なお、導入口28及び貫通孔26は、必ずしも支柱本体10の上端側でなくてもよく、立設方向の中間位置や下端側に設けることを妨げない。また、支柱1は、ケーブル60が駐車場、ガソリンスタンド等で人、車両等の通路を横切って敷設されるものでなければ、ケーブル60を支柱本体10の下端側から内部空間12に導入してもよい。
【0081】
加えて、電線管接続体30は、例えば、電線管接続具31の縮径筒部38を接続具取付部42に接着固定せずに、縮径筒部38の下端部が、接続具取付部42の接続具取付孔43aから離脱不能であり、かつ、接続具取付孔43a内で縮径筒部38の管軸を自在に傾斜できる状態で、接続具取付部42に連結されるものとしてもよい。この場合、電線管接続具31は、管軸を中心に回して、接続具取付部42に対して任意の角度に自在に傾斜させて連結され、支柱本体10に対して全方位の角度に傾斜させて接続される。この構成の電線管接続体30は、電線管61のケーブルラック80の垂設位置と電線管接続具31の取付位置とが水平方向に多少ずれていたり、電線管61が可撓性を有しないものであっても、電線管61を安定して接続部36に接続し配管することができる。
【0082】
更に、上記実施形態において、ケーブルラック80からの電線管61の垂下位置と支柱の立設位置とが水平方向にかなりずれている場合は、電線管61は直管で一旦ケーブルラック80から垂直に下がった後、配電函85を介したりして水平方向に屈曲配管し、支柱1の電線管接続体30に横方向から接続して、支柱の導入口28に接続することもできる。
【0083】
なお、電気機器がパーキングメーターの場合、パーキングメーターは、設置面70上に立設された金属製パイプ等の支柱の上端側に取り付けられ、上部に上方や横方向から配管された電線管61が接続される。
【0084】
本発明は、庭などに設置される照明灯やドライブスルーの注文受付用インターホンなどの電気機器が取り付けられる支柱にも同様に適用される。
【符号の説明】
【0085】
1、2:支柱、3:電気機器装置、10:支柱本体、11:筒状部、12:内部空間、13:周壁、19:固定部、26:貫通孔、28:導入口、30:電線管接続体、31:電線管接続具、32:接続具固定体、33:外筒部、36:接続部、39:基部、40:当接部、42:接続具取付部、45:電線管接続体、46:接続具固定体、47:基部、48:当接部、49:接続具取付部、50、55:電気機器、60:ケーブル、61:電線管、70:設置面、80:ケーブルラック。