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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016434
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 25/12 20060101AFI20250128BHJP
【FI】
B01D25/12 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115171
(22)【出願日】2024-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2023119534
(32)【優先日】2023-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517375738
【氏名又は名称】株式会社笹山工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】古橋 孝將
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA02
4D116CC02
4D116CC06
4D116CC14
4D116CC22
4D116CC35
4D116FF13A
4D116KK05
4D116QA13C
4D116QB31
4D116SS06
4D116VV15
(57)【要約】
【課題】土壌又は固液混合体を処理するシステムを遠隔地で管理し得る。
【解決手段】管理システム100は、フィルタープレス装置を含む処理システム、又は土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システムを管理する管理システムである。管理システム100は、処理システムと直接又は他の装置を介して通信を行い、処理システムに設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する情報取得部と、情報取得部が取得した情報に基づいて、処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う報知部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタープレス装置を含む処理システム、又は土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システムを管理する管理システムであって、
前記処理システムと直接又は他の装置を介して通信を行い、前記処理システムに設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報に基づいて、前記処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う報知部と、
を有する管理システム。
【請求項2】
前記処理システムは、前記検知部の検知結果が異常条件を満たす場合に異常信号を送信し、
前記情報取得部は、前記処理システムが前記異常信号を送信した場合に前記異常信号を受信し、
前記報知部は前記情報取得部が前記異常信号を受信した場合に異常を報知する
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
フィルタープレス装置を含む処理システム、又は土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システムを管理する管理方法であって、
情報取得部が、前記処理システムと直接又は他の装置を介して通信を行い、前記処理システムに設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する工程と、
報知部が、前記情報取得部が取得した情報に基づいて、前記処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う工程と、
を含む管理方法。
【請求項4】
前記処理システムは、前記検知部の検知結果が異常条件を満たす場合に異常信号を送信し、
前記情報を取得する工程では、前記情報取得部は、前記処理システムが前記異常信号を送信した場合に前記異常信号を受信し、
前記報知を行う工程では、前記報知部は前記情報取得部が前記異常信号を受信した場合に異常を報知する
請求項3に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルタープレスにおけるろ板開閉異常検出装置が開示されている。特許文献1のろ布走行型フィルタープレスは、検出装置と制御装置とを有する。検出装置は、ろ板列の開閉移動時にスライドシャフトに作用するスラスト荷重を検出する。制御装置は、スラスト荷重と予め設定した基準値とを比較し、スラスト荷重の値が基準値を超えた時に、ろ板の開閉移動を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011―251230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルタープレス装置などの処理システムには、様々な物理量を検知するセンサや異常を検知する検知部などが設けられる。しかし、一般的には、検知部が検知した情報は、フィルタープレス装置が設けられた拠点内で扱われるため、フィルタープレス装置の状況は、拠点から離れた遠隔地では迅速に把握されにくい。
【0005】
本開示の目的の一つは、土壌又は固液混合体を処理するシステムを遠隔地で管理し得る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである管理システムは、
フィルタープレス装置を含む処理システム、又は土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システムを管理する管理システムであって、
前記処理システムと直接又は他の装置を介して通信を行い、前記処理システムに設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報に基づいて、前記処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う報知部と、
を有する。
【0007】
本開示の一つである管理方法は、
フィルタープレス装置を含む処理システム、又は土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システムを管理する管理方法であって、
情報取得部が、前記処理システムと直接又は他の装置を介して通信を行い、前記処理システムに設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する工程と、
報知部が、前記情報取得部が取得した情報に基づいて、前記処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る技術によれば、土壌又は固液混合体を処理する処理システムを、処理システムから離れた遠隔地で管理し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るフィルタープレス装置の濾板構造を概略的に例示する断面図である。
図2図1の濾板構造において一の濾板と他の濾板が密着した状態で固液混合体が流入した状態を例示する説明図である。
図3図1の濾板構造の1つの濾板の正面図である。
図4図3の濾板から濾布を省略した状態を例示する正面図である。
図5図3の濾板の背面図である。
図6図5の濾板から濾布を省略した状態を例示する背面図である。
図7図1の濾板構造の一部を拡大して示す拡大図である。
図8図2の状態の濾板構造の一部を拡大して概念的に示す拡大図である。
図9図1の濾板構造を有するフィルタープレス装置を概念的に示す側面図である。
図10図2の構成を具体化した一例を示す説明図である。
図11図3の構成を具体化した一例を示す説明図である。
図12図4の構成を具体化した一例を示す説明図である。
図13図5の構成を具体化した一例を示す説明図である。
図14図6の構成を具体化した一例を示す説明図である。
図15図9のフィルタープレス装置の一部を具体化した一例を示す説明図である。
図16図15のフィルタープレス装置の一部を上側から見た構成を概念的に例示する説明図である。
図17図15のフィルタープレス装置の一部を前側から見た構成を概念的に例示する説明図である。
図18】第1実施形態に係る管理システムを概略的に示す説明図である。
図19】第1実施形態に係る管理システムの電気的構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の〔1〕~〔4〕の各々は、本開示に含まれる特徴的技術の一例である。
【0011】
〔1〕フィルタープレス装置を含む処理システム、又は土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システムを管理する管理システムであって、
前記処理システムと直接又は他の装置を介して通信を行い、前記処理システムに設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報に基づいて、前記処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う報知部と、
を有する管理システム。
【0012】
上記〔1〕の管理システムは、土壌又は固液混合体を処理する処理システムを、処理システムから離れた遠隔地で管理し得る。
【0013】
〔2〕前記処理システムは、前記検知部の検知結果が異常条件を満たす場合に異常信号を送信し、
前記情報取得部は、前記処理システムが前記異常信号を送信した場合に前記異常信号を受信し、
前記報知部は前記情報取得部が前記異常信号を受信した場合に異常を報知する
〔1〕に記載の管理システム。
【0014】
上記〔2〕の管理システムは、処理システムで異常が生じた場合に、処理システムから離れた遠隔地で異常を報知し得る。
【0015】
〔3〕フィルタープレス装置を含む処理システム、又は土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システムを管理する管理方法であって、
情報取得部が、前記処理システムと直接又は他の装置を介して通信を行い、前記処理システムに設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する工程と、
報知部が、前記情報取得部が取得した情報に基づいて、前記処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う工程と、
を含む管理方法。
【0016】
上記〔3〕の管理方法は、土壌又は固液混合体を処理する処理システムを、処理システムから離れた遠隔地で管理し得る。
【0017】
〔4〕前記処理システムは、前記検知部の検知結果が異常条件を満たす場合に異常信号を送信し、
前記情報を取得する工程では、前記情報取得部は、前記処理システムが前記異常信号を送信した場合に前記異常信号を受信し、
前記報知を行う工程では、前記報知部は前記情報取得部が前記異常信号を受信した場合に異常を報知する
〔3〕に記載の管理方法。
【0018】
上記〔4〕の管理方法は、処理システムで異常が生じた場合に、処理システムから離れた遠隔地で異常を報知し得る。
【0019】
<第1実施形態>
1.管理システム100の概要
図18には、第1実施形態に係る管理システム100の一例が概念的に示される。図19には、管理システム100の管理対象である処理システム110の一例が示される。第1実施形態の代表例では、処理システム110は、フィルタープレス装置1を含む。処理システム110は、フィルタープレス装置1のみによって構成されていてもよく、フィルタープレス装置1以外の装置や部品が付加されていてもよい。
【0020】
2.フィルタープレス装置の詳細
図1図17には、処理システム110に含まれるフィルタープレス装置1の一例が示される。フィルタープレス装置1は、図1のような濾板構造3を含み、図15図16のような装置構成をなす。
【0021】
図1で示す濾板構造3は、例えば、図9のような単式のフィルタープレス装置1に用いられる。図9で示すフィルタープレス装置1は、固液混合体(例えば、汚泥、掘削土、セメントなどが水中にまざったスラリーなど)を脱水し、固液混合体を脱水した残余物を固めた物体(ケーキ)を排出し得る装置である。
【0022】
フィルタープレス装置1は、図1等で示す濾板構造3を用いており、この濾板構造3は、濾板10を直列に配置した構成をなしており、濾板10は、中心部に貫通孔としての孔部16が形成された板状の基板部11を覆うように濾布18を張った構成をなしている。図9で示すフィルタープレス装置1は、濾板構造3を構成する複数の濾板10を互いに接近及び離間し得る接近離間装置(図9では、詳細な図示は省略)を有しており、固液混合体の供給時には、隣り合う濾板10を互いに密着させた積層状態(図2図8参照)で、固液混合体(例えば、泥水等のスラリー)をポンプによって各濾板10の孔部16に流し込むように加圧圧入する。圧入された固液混合体は、内圧が高い状態で図2図8等で示す濾室(濾過室)40内に溜まり、水分が濾布18の微少の隙間から排出される。そして、隣り合う濾板10の間(具体的には、隣り合う濾板10における濾布18の間)には、ポンプから供給された固液混合体から大量の水分を除去した残余物を固めた固形物(脱水ケーキ)が形成される。なお、図1図2等では、濾布18の目を通って濾板10の内部に流入する水の流路の詳細(排水路28の詳細)は省略しているが、実際には、濾布18の目を通って濾板10の内部に流入した水は、濾板10内の排水路28を通って濾板10の外部(下部)に排出されるようになっている。
【0023】
次に、濾板構造3を詳述する。
図1のように、濾板構造3は、複数の濾板10によって構成される構造である。各々の濾板10は、同一の構造をなしている。
【0024】
以下の説明では、一つおきに配置される所定の複数の濾板10を濾板部8とし、これら複数の濾板部8の間に介在するように一つおきに配置される複数の濾板10を密着部9とする。濾板構造3では、全ての濾板部8と全ての密着部9が同一の構造となっている。各々の密着部9は、濾板部8と対向して配置され、濾板部8に対する相対位置が濾板部8に密着する密着位置と濾板部8から変位した開放位置とに切り替わる構成をなすものであり、内部に収容空間が構成されてなるものである。濾板構造3では、密着部9が密着位置にある密着状態のときに濾板部8及び密着部9とによって濾室が構成されるようになっている。
【0025】
ここで、濾板部8及び密着部9のうちの1つの構成(濾板10の構成)について説明する。濾板10は、濾板部8又は密着部9となる板状部であり、主に、基板部11及び濾布18によって構成されている。
【0026】
基板部11は、全体として板状の形態をなしており、厚さ方向両側に設けられた2つの中央側凹部12と、厚さ方向両側に設けられた2つの押圧部14と、孔部16と、を備えている。
【0027】
2つの中央側凹部12は、いずれも、基板部11の周縁から離れた中央側の位置において基板部11の厚さ方向に凹となる部分であり、図1等では、各濾板10に形成された2つの中央側凹部12のうち、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の凹部を一方の中央側凹部12A(又は、単に中央側凹部12A)とし、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の凹部を他方の中央側凹部12B(又は、単に中央側凹部12B)とする。図4のように一方の中央側凹部12Aは、正面側から見て外径が矩形状の凹部となっており、図6のように他方の中央側凹部12Bは、背面側から見て外径が矩形状の凹部となっている。
【0028】
本構成では、濾板部8として機能する濾板10の一方の中央側凹部12Aが窪み部8Aとして機能し、濾板部8として機能する濾板10の他方の中央側凹部12Bが窪み部8Bとして機能する。窪み部8A,8Bは、濾板部8を構成する基板部11において両側の外面部(具体的には、両密着部9に対向する両板面部)にそれぞれ形成され、後述する濾室40の一部を構成する。更に、密着部9として機能する濾板10の一方の中央側凹部12Aが収容部9Aとして機能し、密着部9として機能する濾板10の他方の中央側凹部12Bが収容部9Bとして機能する。収容部9Aは、凹状に構成され、密着部9が収容部9Aに対向する側の濾板部8に密着する密着状態のときには、その濾板部8の窪み部8Bと共に濾室40を構成する。収容部9Bは、凹状に構成され、密着部9が収容部9Bに対向する側の濾板部8に密着する密着状態のときには、その濾板部8の窪み部8Aと共に濾室40を構成する。
【0029】
押圧部14は、中央側凹部12を囲んで環状に配置される部分である。このうち、各濾板10の一方の押圧部14Aは、他の濾板10における他方の押圧部14Bと対向して互いに押圧し合う部分である。図4のように一方面側(環状凸部24が形成された面側)の押圧部14Aは、正面側から見て矩形状の枠部となっており、濾板10の周縁部に沿うように四角形状(具体的には正方形状)に配置される。図6のように他方面側(環状凹部34が形成された面側)の押圧部14Bは、正面から見て矩形状の枠部となっており、濾板10の周縁部に沿うように四角形状(具体的には正方形状)に配置される。
【0030】
濾板部8として機能する濾板10に設けられた押圧部14は、一方側の押圧部14Aが第1押圧部8Cとして機能し、他方側の押圧部14Bが第1押圧部8Dとして機能する。第1押圧部8Cは、基板部11における板厚方向片側(一方の密着部9側)の外面部において窪み部8Aを囲んで配置され、密着状態のときには、第1押圧部8Cに対向する密着部9を押圧するように機能する。第1押圧部8Dは、基板部11における板厚方向片側(他方の密着部9側)の外面部において窪み部8Bを囲んで配置され、密着状態のときには、第1押圧部8Dに対向する密着部9を押圧するように機能する。
【0031】
密着部9として機能する濾板10に設けられた押圧部14は、一方側の押圧部14Aが第2押圧部9Cとして機能し、他方側の押圧部14Bが第2押圧部9Dとして機能する。第2押圧部9Cは、基板部11における板厚方向片側(一方の濾板部8側)の外面部において収容部9Aを囲んで配置され、密着状態のときには、第2押圧部9Cに対向する濾板部8の第1押圧部8Dを押圧するように機能する。第2押圧部9Dは、基板部11における板厚方向片側(他方の濾板部8側)の外面部において収容部9Bを囲んで配置され、密着状態のときには、第2押圧部9Dに対向する濾板部8の第1押圧部8Cを押圧するように機能する。
【0032】
図4図7のように、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の押圧部14Aには、中央側凹部12Aの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置される対向部22と、中央側凹部12Aの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置されるとともに対向部22の表面から突出した構成をなす環状凸部24と、が形成されている。
【0033】
環状凸部24は、ゴム、ゴム以外のエラストマーなどの弾性材料によって構成されており、押圧部14Aの対向部22に形成された溝(中央側凹部12Aを囲むように形成された溝)内に嵌り込んだ構成で押圧部14Aに固定されている。図7のように、環状凸部24は、当該環状凸部24が延びる方向と直交する平面方向に切断した断面の外形が外側に凸となるように湾曲した形状をなしている。また、環状凸部24は、内部に空隙部24Aが形成された中空状をなしている。空隙部24Aは、濾板10の厚さ方向において対向部22の位置よりも外側(厚さ方向の中心よりも遠い側)に形成され、環状凸部24が延びる方向に沿って延びた構成且つ中央側凹部12の周りに環状に配置された構成となっている。
【0034】
図6図7のように、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の押圧部14Bには、中央側凹部12Bの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置される対向部32と、中央側凹部12Bの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置されるとともに対向部32の表面から窪んだ構成をなす環状凹部34と、が形成されている。
【0035】
本構成では、濾板部8として機能する濾板10の一方の対向部22が第1対向部8Eとして機能し、濾板部8として機能する濾板10の他方の対向部32が第1対向部8Fとして機能する。第1対向部8E,8Fの各々は、窪み部8A,8Bの周囲にそれぞれ配置され、密着状態のときに表面が第2押圧部9D,9Cの各々の側に面する部分である。同様に、密着部9として機能する濾板10の一方の対向部22が第2対向部9Eとして機能し、密着部9として機能する濾板10の他方の対向部32が第2対向部9Fとして機能する。第2対向部9E,9Fの各々は、収容部9A,9Bの周囲にそれぞれ配置され、密着状態のときに表面が第1押圧部8D,8Cの各々の側に面する部分である。
【0036】
図1のように、各々の濾板10において、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の中央側凹部12Aと他方面側(環状凹部34が形成された面側)の中央側凹部12Bとの間を板厚方向に貫通するように孔部16が形成されている。孔部16は、濾板10の内部を通すように固液混合体を濾板10の厚さ方向に流動させる流路として機能する。濾板部8として機能する濾板10の孔部16は、基板部11の内部を通る構成で窪み部8A,8Bへと続く流路となる。同様に、密着部9として機能する濾板10の孔部16は、基板部11の内部を通る構成で収容部9A,9Bへと続く流路となる。
【0037】
図1図3のように、板厚方向一方面側において孔部16の外側の領域を覆うように濾布18が配置されており、図1図5のように、板厚方向他方面側において孔部16の外側の領域を覆うように濾布18が配置されている。なお、図2図8では、対向部22と対向部32との間及び環状凸部24と環状凹部34との間に介在する2つの濾布18を省略して示している。図1図8では、濾布18のうち一方面側(環状凸部24が形成された面側)を覆うものを濾布18Aとし、他方面側(環状凹部34が形成された面側)のものを濾布18Bとしている。
【0038】
図3のように、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の濾布18Aは、後述する環状板部15Aに固定され、環状板部15Aの外側の領域において基板部11の周縁部に至るまで全体的に配置されている。図5のように、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の濾布18Bは、後述する環状板部15Bに固定され、環状板部15Bの外側の領域において基板部11の周縁部に至るまで全体的に配置されている。図1図2図7図8等では、濾布18を二点鎖線にて概念的に示しており、図3図5では、濾布18を模様の領域として概念的に示している。図2図8の例では、押圧部14A,14Bに挟まれた部分にも濾布18A,18Bが存在するが、この部分の濾布18A,18Bの図示(二点鎖線の図示)は省略している。図1等の例では、各々の濾板10において、濾布18Aの周縁部と濾布18Bの周縁部とが連結されているが、各々の周縁部が連結されていなくてもよい。濾布18Aは、少なくとも、孔部16を外れた領域において中央側凹部12Aの内面を覆うように配置されていればよく、濾布18Aの被覆領域は図1図3等の構成に限定されない。
【0039】
本構成では、濾板部8として機能する濾板10に配置された濾布18は、窪み部8A,8Bの内面を覆い、第1押圧部8C,8Dの表面を覆うように配置され、一方側の濾布18Aは、窪み部8Aと第1押圧部8Cとに跨って配置され、他方側の濾布18Bは、窪み部8Bと第1押圧部8Dとに跨って配置される。密着部9として機能する濾板10に配置された濾布18は、収容部9A,9Bの内面を覆い、第2押圧部9C,9Dの表面を覆うように配置され、一方側の濾布18Aは、収容部9Aと第2押圧部9Cとに跨って配置され、他方側の濾布18Bは、収容部9Bと第2押圧部9Dとに跨って配置される。
【0040】
上記構成では、第1押圧部8Cに設けられる環状凸部24が第1シール部8Gとして機能し、窪み部8Aの周囲に配置され、第1対向部8Eの表面から凸となる。第1押圧部8Dに設けられる環状凹部34が第1シール部8Hとして機能し、窪み部8Bの周囲に配置され、第1対向部8Fの表面から凹となる。
【0041】
第2押圧部9Cに設けられる環状凸部24は第2シール部9Gとして機能する。第2シール部9Gは、収容部9Aの周囲に配置され、第2対向部9Eの表面から凸となり、密着状態のときに第1シール部8Hと押圧し合う。第2押圧部9Dに設けられる環状凹部34は第2シール部9Hとして機能する。第2シール部9Hは、収容部9Bの周囲に配置され、第2対向部9Fの表面から凹となり、密着状態のときに第1シール部8Gと押圧し合う。
【0042】
図1等で示す濾板構造3は、図1図7のように隣り合う濾板10が離間している状態と、図2図8のように隣り合う濾板10が密着する状態とに切り替え得る。なお、複数の濾板10は、図1等において図示していないレールによって図1のように厚さ方向が揃えられ(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となるように揃えられ)且つ各々の濾板10における外周縁の位置(厚さ方向と直交する平面方向における外周縁の位置)が揃えられており、このように揃えられた状態でレールに沿って動くことにより、複数の濾板10において隣り合う濾板が互いに接近及び離間し得るようになっている。
【0043】
複数の濾板10は、図2図8のように、一の濾板10と他の濾板10とが密着するように重ねられたとき、一の濾板10の環状凸部24が他の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内の内面を押圧し、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32とが互いに押圧し合う構成をなす。図8の例では、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32との間に2つの濾板10をそれぞれ覆う2つの濾布18A,18Bが介在し、この状態で、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32とが押圧し合う。つまり、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32とが、一の濾板10の濾布18A及び他の濾板10の濾布18Bを介して互いに押圧し合う。そして、環状凸部24と環状凹部34との間にも2つの濾板10をそれぞれ覆う2つの濾布18A,18Bが介在し、この状態(即ち、環状凸部24の外面と環状凹部34の内面との間に濾布18A,18Bが介在した状態)で、環状凸部24と環状凹部34とが押圧し合う。即ち、一の濾板10の環状凸部24が、一の濾板10の濾布18A及び他の濾板10の濾布18Bを介して環状凹部34内の内面を押圧する。
【0044】
図8のように隣り合う濾板10を密着させた積層状態で、図15で示す第1注入装置60(例えば、ポンプを含んだスラリー供給装置)により孔部16を介して固液混合体を流し込めば、圧入された固液混合体は、内圧が高い状態で図2図8等で示す濾室(濾過室)40内に溜まり(図15も参照)、水分が濾布18の微少の隙間から基板部11側(即ち、濾布18の裏側)に排出される。そして、隣り合う濾板10の間(具体的には、隣り合う濾板10における濾布の間)には、脱水ケーキが形成される。なお、脱水ケーキは、図2のように濾室40内に注入された固液混合体7からある程度の水分が除去された物体である。
【0045】
本構成では、各々の濾板10において基板部11が設けられ、基板部11は、板状に構成されるとともに、2つの中央側凹部12のうちの一方の中央側凹部12Aと2つの押圧部14のうちの一方の押圧部14Aとが一方の板面側(上述の一方面側)に形成され、2つの中央側凹部12のうちの他方の中央側凹部12Bと2つの押圧部14のうちの他方の押圧部14Bとが他方の板面側(上述の他方面側)に形成されている。そして、一方の中央側凹部12Aの内壁部を覆うように濾布18Aが設けられ、他方の中央側凹部12Bの内壁部を覆うように濾布18Bが設けられている。一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bにおいて濾布18の裏側には、濾板10の外部に通じる排水路28(一方の排水路28A及び他方の排水路28B)が設けられている。
【0046】
濾板10の一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bの各々において、各々の深さ方向最深部側の内壁部(内面部)には、液体を自身の板厚方向に通過させる通水部を備えた排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)がそれぞれ設けられている。排水板13A,13Bのいずれの通水部も、多数の孔部によって構成されていてもよく、溝や切欠きによって構成されていてもよい。排水板13A,13Bは、表面側で濾布18を支持している状態で表面側から裏面側に水が通過し得る構成であればよく、板状体に複数の貫通孔を多数形成したような構成であってもよく、網状の構成などであってもよい。
基板部11において各々の排水板13よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)の内側には、各々の排水板13によって板厚方向の両側が覆われる板状体11Aが設けられている。そして、図1図4のように、一方の押圧部14Aは、この板状体11Aの一方面側において板状体11Aの周縁部に沿って固定される矩形状の枠体となっている。また、他方の押圧部14Bは、この板状体11Aの他方面側において板状体11Aの周縁部に沿って固定される矩形状の枠体となっている。一方の排水板13Aは、その周縁部が板状体11Aと押圧部14Aを構成する枠体の内縁部との間に挟み込まれた形で固定される。一方の排水板13Bは、その周縁部が板状体11Aと押圧部14Bを構成する枠体の内縁部との間に挟み込まれた形で固定される。
【0047】
各々の排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)と板状体11Aとの間には、濾板10の外側に通じる排水路28A,28Bがそれぞれ構成されている。排水路28A,28Bはいずれも水を通す通水路として構成されている。
【0048】
一方の中央側凹部12Aにおいて濾布18Aの裏側に形成された排水路28Aは、例えば、図10図12のようになっている。図10図12の例では、基板部11の一方面側の下端側(設置時における鉛直方向下端側)において、複数の排水路28Aが溝状に形成されており、各々の排水路28Aにおいて水が流れ得る構成となっている。複数の排水路28Aは、一方の端部(上端部)側が排水板13Aの裏側に位置し、排水板13Aの裏面の一部が各々の排水路28Aの内部空間に面している。そして、各々の排水路28Aの他方の端部(下端部)側は濾板10の下端部まで達しており、各々の排水路28Aの内部空間が濾板10の外側の空間に連通している。なお、排水板13Aの裏面と板状体11Aの表面との間には空間が存在し、この空間が各々の排水路28Aに連通するようになっていることが望ましく、このように構成されていれば、排水板13Aの裏面側に流れ込んだ水分が各々の排水路28Aを介して濾板10の外側に流れやすくなる。
【0049】
一方の中央側凹部12Bにおいて濾布18Bの裏側に形成された排水路28Bは、例えば、図10図13図14のようになっている。図10図13図14の例では、基板部11の一方面側の下端側(設置時における鉛直方向下端側)において、複数の排水路28Bが溝状に形成されており、各々の排水路28Bにおいて水が流れ得る構成となっている。複数の排水路28Bは、一方の端部(上端部)側が排水板13Bの裏側に位置し、排水板13Bの裏面の一部が各々の排水路28Bの内部空間に面している。そして、各々の排水路28Bの他方の端部(下端部)側は濾板10の下端部まで達しており、各々の排水路28Bの内部空間が濾板10の外側の空間に連通している。なお、排水板13Bの裏面と板状体11Bの表面との間には空間が存在し、この空間が各々の排水路28Bに連通するようになっていることが望ましく、このように構成されていれば、排水板13Bの裏面側に流れ込んだ水分が各々の排水路28Bを介して濾板10の外側に流れやすくなる。
【0050】
なお、図10図15の例では、濾板10の下端部側に複数の排水路28を設けた構成を例示したが、濾布18を通って排水板13側に流れ込んだ水を濾板10の外部に排出し得る流路であればよい。
【0051】
図1図2図3図5のように、濾板10は、基板部11の一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内にそれぞれ固定される一対の環状板部15A,15Bを有する。そして、環状板部15A,15Bには、濾板10の板厚方向に突出する貫通孔側突起部17A,17Bが形成されている。一方面側の環状板部15Aからは、一方面側の貫通孔側突起部17Aが複数突出しており、複数の貫通孔側突起部17Aは、図11のように、孔部16の周囲において孔部16を囲むように配置されている。同様に、他方面側の環状板部15Bからは、他方面側の貫通孔側突起部17Bが複数突出しており、複数の貫通孔側突起部17Bは、図13のように、孔部16の周囲において孔部16を囲むように配置されている。孔部16は、一対の環状板部15A,15Bのうちの一方の環状板部15A側から他方の環状板部15B側に連通する構成で形成されており、具体的には、一対の環状板部15A,15Bを連結する筒状部の内部が孔部16となっている。この構成では、図2のように、一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとが互いに対向する構成となっている。図2のように一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとが対向したとき、これら貫通孔側突起部17A,17Bの間隔(先端部の間隔)は、環状板部15A,15Bの板面間隔よりも小さくなっており、0であってもよい(即ち、対向する貫通孔側突起部17A,17Bが接触していてもよい)。なお、図2等の例では、対向する貫通孔側突起部17A,17Bの間には濾布18が介在しない。
【0052】
一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内には、各々の排水板13よりも板厚方向に突出する排水板側突起部19(一方の排水板側突起部19A及び他方の排水板側突起部19B)がそれぞれ形成されている。一方の排水板側突起部19Aは、排水板13A又は板状体11Aの少なくともいずれかに固定され、排水板13Aの表面よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)に突出した構成をなす。排水板側突起部19Aは、自身の突出方向の先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしている。図4の例では、このような構成をなす複数の排水板側突起部19Aが孔部16を囲むように配置されている。他方の排水板側突起部19Bは、排水板13B又は板状体11Aの少なくともいずれかに固定され、排水板13Bの表面よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)に突出した構成をなす。排水板側突起部19Bは、自身の突出方向の先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしている。図6の例では、このような構成をなす複数の排水板側突起部19Bが孔部16を囲むように配置されている。そして、図2のように一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の各々の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の各々の排水板側突起部19Bとが互いに対向する構成となっている。図2のように一の濾板10の一方面側の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の排水板側突起部19Bとが対向したとき、これら排水板側突起部19A,19Bの間隔(先端部の間隔)は、互いに対向する排水板13A、3Bの間隔よりも小さくなっている。なお、図2等の例では、対向する排水板側突起部19A,19Bの間に濾布18A,18Bが介在しており、対向する排水板側突起部19A,19Bによって濾布18A,18Bが挟み込まれている。
【0053】
図9で示すフィルタープレス装置1は、このような濾板構造3を有しており、具体的には、図15図16のように、濾板構造3を構成する複数の濾板10を所定の姿勢(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となる姿勢且つ各々の濾板10の外周縁の位置が揃えられた姿勢)で揃えた状態で、ガイドレール90(ガイドレール90A,90B)に沿って複数の濾板10を移動させ得るようになっており、このような移動動作によって、複数の濾板10において隣り合う濾板が互いに接近及び離間し得るようになっている。
【0054】
図1図14では図示は省略しているが、図16図17のように、各々の濾板10には、各々の濾板10における基板部11の左右両側部から側方に張り出す一対の張出部41,42が設けられている。そして、これら一対の張出部41,42が一対の被支持部として機能し、それぞれがガイドレール90A,90B上に載置されつつ支持される。一対の張出部41,42がガイドレール90A,90B上に載置されながら移動することで、各々の濾板10は所定姿勢を保ちながら所定方向(各々の濾板10の板厚方向)に移動するようになっている。
【0055】
フィルタープレス装置1は、上述した濾板構造3に加え、保持装置50、第1注入装置60(以下、スラリー供給装置とも称する)、第2注入装置70(以下、エア供給装置とも称する)、固液混合体7を供給する供給路62、エアを供給する供給路72、供給路62の開放と遮断を切り替える第1切替部81、供給路72の開放と遮断を切り替える第2切替部82、などを備える。なお、図1図17では図示はしていないが、フィルタープレス装置1は、図19のように、保持装置50、第1注入装置60、第2注入装置70、第1切替部81、第2切替部82の動作(動作タイミングや制御量など)を制御する制御装置112(例えばコンピュータなどの情報処理装置)も設けられている。制御装置112は、単一の装置によって構成されていてもよく、複数の装置によって構成されていてもよい。
【0056】
保持装置50は、一対のガイドレール90(ガイドレール90A,90B)と、駆動装置54と、固定壁51,52とを備えてなり、これらが一体的に組み付けられた構成をなす。駆動装置54は、濾板群5の端部(固定壁52側の端部)の濾板10に作用する作用部54Cと、作用部54Cに連結される駆動軸54Bと、駆動軸54Bを所定方向(濾板群5の各濾板10の板厚保方向)に移動させる駆動部54Aとを備える。駆動部54Aが駆動軸54Bを介して作用部54Cを固定壁51側に移動させることで、複数の濾板10が所定姿勢を保ちながら固定壁51側に押し付けられ、図15図16のように、濾板群5において隣り合う濾板間が互いに接触した状態となる。一方、駆動部54Aが駆動軸54Bを介して作用部54Cを固定壁52側に移動させることで、濾板群5において隣り合う濾板間が互いに離間した状態となる。例えば、複数の濾板10において隣り合う濾板間の最大間隔が所定間隔となるように間隔を規制する間隔規制部(図示略)が設けられていれば、作用部54Cが濾板群5の端部(固定壁52側の端部)の濾板10と係合又は保持しながらその濾板10を固定壁52側に移動させようと動作したときに、それぞれの濾板間において隣り合う濾板が離間するように各濾板が移動するようになる。なお、ここで示す例はあくまで一例であり、複数の濾板10を所定姿勢(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となる姿勢且つ各々の濾板10の外周縁の位置が揃えられた姿勢)で揃えつつ各々の濾板間を接近及び離間し得る構成であれば、保持装置は他の構成としてもよい。
【0057】
このように、保持装置50は、作用部54Cを固定壁51側に移動させることにより、図15図16のように、複数の濾板10を重ねた状態で配置しつつ、隣り合う濾板間において片方の濾板10の環状凸部24がもう片方の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内を押圧し且つ片方の濾板10の対向部22ともう片方の濾板10の対向部32とが互いに押圧し合う保持状態(第1保持状態)で保持することができる(隣り合う濾板間の具体的な状態は図2図8を参照)。
【0058】
第1注入装置60は、図示しない固液混合体収容部(例えば、スラリー収容槽など)から濾板群5側へ固液混合体を移送する移送装置であり、第1切替部81が開放状態となっており且つ供給路62が濾板群5の端部の孔部16に連通しているときに、供給路62を介して濾板群5の内部に固液混合体を注入し得る。具体的には、第1注入装置60は、図15図16のように保持装置50によって複数の濾板10からなる濾板群5が第1保持状態で保持されているときに、濾板群5の一端部の濾板10の孔部16から複数の濾板10の内部に固液混合体7を注入するようになっている。なお、第1切替部81は、濾板群5における一端部側での流体の流出入を停止する第1停止状態と、第1停止状態を解除する第1解除状態とに切り替える装置であり、供給路62(管路)を開放状態と遮断状態とに切り替える公知の電磁弁によって構成されており、第1切替部81の開放及び遮断は制御装置112(図19)によって制御される。
【0059】
第2注入装置70は、エア(空気)を圧送し得る公知のエア(空気)供給装置として構成されており、第2切替部82が開放状態となっており且つ供給路72が濾板群5の端部の孔部16に連通しているときに、供給路72を介して濾板群5の内部にエア(空気)を注入し得る。具体的には、第2注入装置70は、図15図16のように保持装置50によって複数の濾板10からなる濾板群5が第1保持状態で保持されているときに、濾板群5における一端部とは反対側の他端部の孔部16から複数の濾板10の内部にエアを注入するようになっている。なお、第2切替部82は、濾板群5における他端部側での流体の流出入を停止する第2停止状態と、第2停止状態を解除する第2解除状態とに切り替える装置であり、供給路72(管路)を開放状態と遮断状態とに切り替える公知の電磁弁によって構成されており、第2切替部82の開放及び遮断は制御装置112(図19)によって制御される。
【0060】
フィルタープレス装置1では、図16のように保持装置50が第1保持状態で保持しているときに、第2切替部82が第2停止状態(供給路72を遮断した状態)に切り替えた状態且つ第1切替部81が第1解除状態(供給路62を開放した状態)に切り替えた状態で第1注入装置60が濾板群5の内部に固液混合体7を注入する。そして、第1注入装置60による固液混合体7の注入後、図15図16のように保持装置50が第1保持状態で保持されているときに、第1切替部81が第1停止状態(供給路62を遮断した状態)に切り替えた状態且つ第2切替部82が第2開放状態(供給路72を開放した状態)に切り替えた状態で第2注入装置70が濾板群5の内部にエアを注入することで、他端部の孔部16側から各々の濾板10の排水路28側へとエアを流し、濾板群5の内部に存在する固液混合体7の液体(水分)をエアと共に排水路28を介して濾板群5の外部に排出するようになっている。なお、各装置の動作タイミングや動作時間等は制御装置112(図19)によって制御される。
【0061】
図19のように、フィルタープレス装置1には、様々な検知部が設けられる。図19には、そのうちの4つの検知部114A~114Dが例示される。検知部114A~114Dは、気温や水温などの温度、流量、電圧、電流、電力、気圧や水圧などの圧力、等の物理量を検知するセンサであってもよく、物体の存在、近接などを検知するセンサであってもよく、その他の検知部であってもよい。検知部は、フィルタープレス装置1の所定位置に異常が存在するか否かを判定する機能(例えば、所定位置の温度が所定値以上であるか否かを判定する機能や、所定位置の水圧が所定値以上であるか否かを判定する機能等)を有していてもよい。
【0062】
3.管理システム100の要部
図18に示される管理システム100は、フィルタープレス装置1を含む処理システム110を管理するシステムである。なお、処理システム110は、フィルタープレス装置1を含む処理システム以外の「土壌及び固液混合体の少なくともいずれかを処理する処理システム」であってもよい。以下で詳述される代表例は、処理システム110はフィルタープレス装置1を含むシステムである。
【0063】
管理システム100は、処理システム110を管理するシステムである。管理システム100が行う「管理」としては、処理システム110に設けられる検知部(例えば、検知部114A~114D)の検知結果である各種の情報(例えば、温度、流量、電圧、電流、電力、圧力、等の物理量や物体の存在、近接等の検知結果)を取得する情報取得管理や処理システム110に異常が生じているか否かを判定する異常管理などを含む。
【0064】
管理システム100は、管理装置104や情報端末190を含む。管理装置104は、制御部、記憶部、通信部、表示部などを有する。管理装置104に含まれる制御部は、CPUなどの情報処理装置を含み、各種制御や演算などを行う情報処理機能を有する。管理装置104に含まれる記憶部は、例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなどの記憶媒体を有し、各種情報を記憶し得る。管理装置104に含まれる通信部は、処理システム110や情報端末190と通信を行う装置である。通信部は、有線通信を行う機能を有していてもよく、無線通信を行う機能を有していてもよい。通信部は、アクセスポイントやルータなどの中継装置又はその他の外部装置と有線又は無線通信を行う機能を有し、上記中継装置や上記外部装置を介して処理システム110や情報端末190と通信を行う。
【0065】
情報端末190は、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、その他の携帯型情報処理端末である。情報端末190は、制御部192、表示部193、記憶部194、操作部195、通信部196などを含む。
【0066】
本実施形態では、管理装置104の制御部及び通信部が情報取得部の一例に相当し、処理システム110と直接又は他の装置を介して通信を行い、処理システム110に設けられた検知部の検知結果に基づく情報を取得する。検知部の検知結果に基づく情報は、検知部114A~114Dのいずれかが検知した物理量(例えば、温度、流量、電圧、電流、電力、圧力、等の物理量)であってもよく、検知部114A~114Dのいずれかが検知した物体の存在、近接等の検知結果であってもよく、処理システム110に異常が生じているか否かを判定した結果であってもよい。
【0067】
管理システム100では、管理装置104に設けられた表示部(文字や数字などの情報や絵柄などを表示し得る表示装置等)又は音声出力部(スピーカ等)が報知部として機能してもよく、情報端末190(具体的には情報端末190に設けられた制御部192及び表示部193等)が報知部として機能してもよい。いずれの場合でも、報知部は、情報取得部が取得した情報に基づいて、処理システム110から離れた拠点又は携帯型情報処理端末で報知を行う。報知部が行う報知は、検知部114A~114Dのいずれかが検知した物理量(例えば、温度、流量、電圧、電流、電力、圧力、等の物理量)の報知であってもよく、検知部114A~114Dのいずれかが検知した物体の存在、近接等の検知結果の報知であってもよく、処理システム110に異常が生じているか否かを判定した結果の報知であってもよい。
【0068】
報知部が、「処理システム110に異常が生じているか否かを判定した結果の報知」を行う例としては、例えば、検知部114A~114Dの検知結果が異常条件を満たす場合に処理システム110が管理装置104に異常信号を送信するようになっていてもよい。この場合、上記情報取得部は、処理システム110が上記異常信号を送信した場合に上記異常信号を受信し、報知部は上記情報取得部が上記異常信号を受信した場合に異常を報知するようになっていてもよい。例えば、処理システム110の検知部114Aが固液混合体の水圧を検出するセンサである場合、処理システム110は、検知部114Aが検知する水圧が閾値を超える場合に、遠隔地にある管理装置104に異常信号を送信するようになっていてもよい。この場合、管理装置104の表示部において異常の報知(例えば、固液混合体の水圧が異常値である旨の報知)を行ってもよく、固液混合体の水圧が異常値である旨の情報を情報端末190に送信し、情報端末190にて異常の報知を行うようにしてもよい。
【0069】
上述の異常条件は、上述の例に限定されず、様々な例が考えられる。例えば、「フィルタープレス装置において濾室内に固液混合体を供給している最中に、濾板と濾板の間から固液混合体が噴き出す異常が生じた場合」が異常条件を満たす場合であってもよい。或いは、「フィルタープレス装置内の所定位置の圧力が正常範囲を外れた場合」が異常条件を満たす場合であってもよい。或いは、「フィルタープレス装置に設けられた開板機が正常動作を行わない場合」が異常条件を満たす場合であってもよい。これら異常条件以外の異常としては、例えば、システム異常(工程異常)、樋異常、コンプレッサー異常、固液混合体の有無の異常などが挙げられる。
【0070】
報知部が行う報知は、静止画や動画などの画像情報を提供する報知であってもよい。具体的には、フィルタープレス装置の所定位置を監視するようなカメラを設け、このカメラが撮像した静止画や動画を処理システムから離れた拠点又は携帯型情報処理端末に表示させて報知を行うようにしてもよい。
【0071】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0072】
処理システムは、土壌を処理する処理システムはフィルタープレス装置を含むシステムに限定されず、破砕機や選別機などの土壌処理機を含む処理システムであってもよい。
【0073】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 :フィルタープレス装置
100 :管理システム
104 :管理装置
110 :処理システム
112 :制御装置
114A :検知部
114B :検知部
114C :検知部
114D :検知部
190 :情報端末
192 :制御部
193 :表示部
194 :記憶部
195 :操作部
196 :通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19