(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025164393
(43)【公開日】2025-10-30
(54)【発明の名称】券処理システム、券処理装置、サーバおよび券処理方法
(51)【国際特許分類】
G07B 1/00 20060101AFI20251023BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20251023BHJP
【FI】
G07B1/00 A
G07B15/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024068347
(22)【出願日】2024-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 貴行
【テーマコード(参考)】
3E026
3E127
【Fターム(参考)】
3E026AA06
3E026BA01
3E026BA06
3E127AA12
3E127BA01
3E127CA02
3E127CA03
3E127CA39
(57)【要約】
【課題】 コストをかけずにコード画像による券を用いた運用に移行できる券処理システム、券処理装置、サーバおよび券処理方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、券処理システムは、券処理装置とサーバとを有する。前記券処理装置は、第1通信部と操作部と読取部と制御部とを有する。前記サーバは、第2通信部と記憶部とプロセッサとを有する。第1通信部は、サーバと通信する。操作部は、券に対する処理要求を受け付ける。読取部は、処理対象となる券を示すコード画像を読み取る。制御部は、コード画像が示す券の原券情報をサーバから取得し、サーバから取得する原券情報に基づいて操作部に入力された処理要求に応じた券処理を実行する。第2通信部は、券処理装置を含む駅務機器と通信する。記憶部は、コード画像が示す券の原券情報を記憶する。プロセッサは、券処理装置からの要求に応じて券処理装置が読み取ったコード画像が示す券の原券情報を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
券処理装置とサーバとを有する券処理システムであって、
前記券処理装置は、
前記サーバと通信する第1通信部と、
券に対する処理要求を受け付ける操作部と、
処理対象となる券を示すコード画像を読み取る読取部と、
前記コード画像が示す券の原券情報を前記サーバから取得し、前記サーバから取得する原券情報に基づいて前記操作部に入力された処理要求に応じた券処理を実行する制御部と、を有し、
前記サーバは、
券処理装置を含む駅務機器と通信する第2通信部と、
前記コード画像が示す券の原券情報を記憶する記憶部と、
前記券処理装置からの要求に応じて前記券処理装置が読み取ったコード画像が示す券の原券情報を送信するプロセッサと、を有する、
券処理システム。
【請求項2】
前記サーバの前記記憶部は、さらに、前記コード画像が示す券による改札口の通行の可否を判定するための判定データを記憶し、
前記サーバの前記プロセッサは、改札口に設置された改札機が読み取ったコード画像が示す券による当該改札口の通行の可否を前記判定データに基づいて判定し、判定結果を当該改札機へ送信する、
請求項1に記載の券処理システム。
【請求項3】
前記券処理装置の前記制御部は、前記操作部に前記コード画像が示す券に対する払戻が要求された場合、前記サーバから取得する原券情報を用いて払戻処理を実行して払戻の完了を前記サーバへ通知し、
前記サーバの前記プロセッサは、前記券処理装置からの前記コード画像が示す券に対する払戻の完了の通知に基づいて払戻が完了した券を無効化する、
請求項2に記載の券処理システム。
【請求項4】
サーバと通信する通信部と、
券に対する処理要求を受け付ける操作部と、
処理対象となる券を示すコード画像を読み取る読取部と、
前記コード画像が示す券の原券情報を前記サーバから取得し、前記サーバから取得する原券情報に基づいて前記操作部に入力された処理要求に応じた券処理を実行する制御部と、
を有する券処理装置。
【請求項5】
コード画像を表示したコード券を発券する発券部を有し、
前記制御部は、前記操作部により発券が指示された券の券IDをサーバから取得し、前記サーバから取得した券IDを示すコード画像を表示したコード券を前記発券部に発券させる、
請求項4に記載の券処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記操作部により前記コード券に対する払戻が要求された場合、前記サーバから取得する前記コード券の原券情報を用いて払戻処理を実行し、前記払戻処理の完了に応じて払戻の完了を前記サーバへ通知する、
請求項5に記載の券処理装置。
【請求項7】
券処理装置を含む駅務機器と通信する通信部と、
コード画像を表示するコード券として発券された券の原券情報を記憶する記憶部と、
券処理装置からの要求に応じて前記券処理装置が読み取ったコード画像が示す券の原券情報を送信するプロセッサと、
を有するサーバ。
【請求項8】
前記記憶部は、さらに、前記コード画像が示す券による改札口の通行の可否を判定するための判定データを記憶し、
前記プロセッサは、改札口に設置された改札機が読み取ったコード画像が示す券による当該改札口の通行の可否を前記判定データに基づいて判定し、判定結果を当該改札機へ送信する、
請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記券処理装置からの前記コード画像が示す券に対する払戻の完了の通知に基づいて払戻が完了した券を無効化する、
請求項8に記載のサーバ。
【請求項10】
券処理装置とサーバとを有する券処理システムに用いられる券処理方法であって、
前記サーバが、コード画像が示す券の原券情報を記憶部に記憶し、
前記券処理装置が、券に対する処理要求を受け付け、
前記券処理装置が、処理対象となる券を示すコード画像を読み取り、
前記サーバが、前記券処理装置からの要求に応じて前記券処理装置が読み取ったコード画像が示す券の原券情報を送信し、
前記券処理装置が、前記コード画像が示す券の原券情報を前記サーバから取得し、前記サーバから取得する原券情報に基づいて受け付けた処理要求に応じた券処理を実行する、
券処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、券処理システム、券処理装置、サーバおよび券処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道などの交通機関では、普通乗車券、定期券、団体券などの各種の券の発券処理および払戻処理などを行う券処理装置および各駅等で改札処理を行う改札機などの駅務機器を有する券処理システムとしての駅務システムが運用されている。従来の駅務システムは、券媒体として磁気情報を記録する磁気券を処理することを前提として設計されている。このような磁気券を処理する駅務機器は磁気券を取り込んで磁気情報の読取および書込み等の処理を行うための機器費用やメンテナンス費用がかかるという問題がある。
【0003】
このため、近年では、2次元バーコードなどのコード画像を用いて改札機等の利用を可能とする駅務システムが提案されている。このような駅務システムにおいて、コード画像を表示する券(以下、コード券)は、コード画像が示す券IDに対応する情報がサーバに管理され、券自体には磁気券などと同様な券情報などを記録されることがない。このため、サーバが改札機でコード券のコード画像から読み取った券IDに対する入出場の可否を判定するものとなる。
【0004】
しかしながら、磁気券を処理する駅務システムをコード券の処理が可能なシステムに変更する場合、サーバが既存の磁気券対応の各駅務機器が実施している券処理を全て実施できるようにするのは、容易ではない。例えば、従来の磁気券対応の券処理装置に実装されている磁気券の定期券に対する払戻処理は、鉄道事業者ごとに払戻しに関するルールが決められているため、複雑な計算処理を含んでいる。このような従来の券処理装置が実施している磁気券に対する券処理を全てサーバに実装するには多大なコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するために、コストをかけずにコード画像による券を用いた運用に移行できる券処理システム、券処理装置、サーバおよび券処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、券処理システムは、券処理装置とサーバとを有する。前記券処理装置は、第1通信部と操作部と読取部と制御部とを有する。前記サーバは、第2通信部と記憶部とプロセッサとを有する。第1通信部は、サーバと通信する。操作部は、券に対する処理要求を受け付ける。読取部は、処理対象となる券を示すコード画像を読み取る。制御部は、コード画像が示す券の原券情報をサーバから取得し、サーバから取得する原券情報に基づいて操作部に入力された処理要求に応じた券処理を実行する。第2通信部は、券処理装置を含む駅務機器と通信する。記憶部は、コード画像が示す券の原券情報を記憶する。プロセッサは、券処理装置からの要求に応じて券処理装置が読み取ったコード画像が示す券の原券情報を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る券処理システムとしての駅務システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る券処理装置としての券売機の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る券処理システムとしての駅務システムにおけるサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る券処理装置としての券売機とサーバとを含む駅務システムによるコード券の発券処理を説明するためのシーケンスである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る券処理装置としての券売機とサーバとを含む駅務システムによるコード券の払戻動作を説明するためのシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る券処理装置としての券売機(券処理装置)1、サーバ4および改札機5を含む駅務システム(券処理システム)1の構成例を示す図である。
本実施形態に係る駅務システム1は、鉄道などの交通機関における種々の駅務処理を行う種々の駅務機器から構成されるシステムである。駅務システムは、普通乗車券、定期券、および、団体券などの券により鉄道などの交通機関の利用を可能とするものである。駅務システム1は、磁気情報又は電子情報が記録される記録媒体としての券だけでなく、2次元コードなどのコード画像が示す券によって交通機関の利用を可能とする。
【0010】
図1に示す構成例において、駅務システム1は、券売機2、改札機3、および、サーバ4などにより構成される。サーバ4には、券売機2および改札機が接続される。なお、駅務システム1は、券売機2および改札機3の他に、精算機および係員処理機などの駅務機器がサーバ4に通信接続されるものであっても良い。
【0011】
券売機2は、利用者自身により操作される券処理装置としての機能を有する。券売機2は、例えば、各駅などに設置される。券売機2は、利用者の操作に応じてコード画像Saを表示するコード券Sを発券する。券売機2は、普通乗車券だけでなく、定期券、団体券、あるいは、企画券などの券をコード券として発券する。また、券売機2は、利用者が所持する券に対する払戻処理などの券処理を実行する機能も有する。
【0012】
本実施形態において、券売機2は、サーバ4と通信し、券IDを示すコード画像Saを媒体に印刷(表示)するコード券Sを発券する。コード券Sに印刷されるコード画像Saは、券IDとして券を識別する識別情報を示す情報となる。また、券売機2は、コード券Sを発券するだけでなく、コード券Sに対する払戻処理などの券処理を実行する。なお、券IDを示すコード画像Saは、媒体に印刷されるものに限定されず、利用者が保持する携帯端末の表示部に表示するものとしても良い。
【0013】
改札機3は、利用者が所持(提示)する券に基づいて当該利用者に対して通行(入出場)を制御する処理(改札処理)を行うものである。改札機3は、例えば、駅の改札口などに設置される。改札機3は、利用者が提示する券に対する通行(入場あるいは出場)の可否判定を行い、その判定結果に基づいて当該利用者の通行を制御する。
【0014】
本実施形態において、改札機3は、サーバ4と通信し、コード券Sに対する通行制御を行う。例えば、改札機3は、利用者が提示するコード券Sに印刷されているコード画像Saを読み取り、コード画像Saを示す券に対する通行(入出場)の可否判定をサーバ4に依頼する。改札機3は、コード画像Saが示す券に対する判定結果をサーバ4から取得し、その判定結果に基づいて利用者に対する通行制御を行う。
【0015】
サーバ4は、券売機2および改札機3などの駅務機器と通信する。サーバ4は、券売機2からの要求に応じて発行する券IDに対応する券に関する情報を記憶する。サーバ4は、発行済みの有効なコード券Sの券IDごとに当該券に対して通行の可否を判定するための判定データを記憶する。また、サーバ4は、コード画像Saとして発行したコード券Sに関する原券情報を記憶する。つまり、サーバ4は、発行済みの有効なコード券Sについて、判定データと原券情報とを記憶する。
【0016】
また、判定データは、改札機3等におけるコード券Sに対する通行の可否判定に用いる情報である。例えば、判定データは、各コード券Sについて、各駅における通行の可否を示す情報をリスト形式で並べた情報であっても良い。
また、原券情報は、所定の券情報を含み、コード券Sに対する払戻処理等の券処理を行うために必要な情報を含むものである。例えば、原券情報は、磁気券であれば券自体に書き込まれるべき券情報を含む。例えば、コード券としての定期券の原券情報としては、定期券としての有効期間および有効区間などの定期券情報が含まれる。
【0017】
次に、実施形態に係る券処理装置としての券売機2の構成について説明する。
図2は、実施形態に係わる券処理装置としての券売機2の構成例を示すブロック図である。
券売機2は、
図2に示す構成例において、制御部10、表示部11、操作部12、運賃メモリ13、データメモリ14、通信部15、コードリーダ16、カード処理部17、現金処理部18および発券部19を有する。
【0018】
制御部10は、当該券売機2全体の制御を司るものである。制御部10は、プロセッサ10a、メモリ10b、および、各種のインターフェースなどを有する。プロセッサ10aは、プログラムを実行するCPUなどである。メモリ10bは、RAM、ROM、および、書換え可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPORM、FROM等)などを含む。制御部10は、プロセッサ10aがメモリ10bに記憶したプログラムを実行することにより種々の機能を実現する。例えば、制御部10は、券売機2内の各部にインターフェースを介して接続され、券売機2内の各部を制御する。また、制御部10は、プロセッサ10aがメモリ10bに記憶したプログラムを実行することにより種々の演算処理を実行する。
【0019】
表示部11は、利用者に対して種々の案内などを表示する表示装置である。タッチパネル12は、利用者による操作を受け付ける操作部の一例である。例えば、表示部11は、操作部としてのタッチパネル12を備える液晶表示装置などにより構成される。制御部10は、表示部11および操作部(タッチパネル)12を制御する機能を有している。制御部10は、表示部11に表示する内容を制御し、操作部12としてのタッチパネルにより利用者が指示(タッチ)した部位を検出する。
【0020】
例えば、表示部11は、券の発券ボタン又は払戻ボタンなどを選択するためのボタンなどを表示する。制御部10は、操作部12としてのタッチパネルにより発券ボタンがタッチされたことを検知した場合、利用者の指示に応じたコード券の発券処理を実行する。また、制御部10は、操作部12としてのタッチパネルにより払戻ボタンがタッチされたことを検知した場合、利用者の指示に応じた券の払戻処理を実行するようになっている。
【0021】
運賃メモリ13は、料金データなどを記憶する。制御部10は、運賃メモリ13に記憶されている料金データに基づいて発券する券の金額などを算出する。また、制御部10は、運賃メモリ13に記憶されている料金データに基づいて定期券などの払戻金額などを算出する処理を含む払戻処理(券処理)を実行する。
【0022】
データメモリ14は、各種のデータを記憶する。例えば、データメモリ14は、払戻処理における払戻の金額を計算するための計算ルールおよび計算式などを記憶しても良い。また、データメモリ14は、払戻処理を実行するためのプログラムなどを記憶するようにしても良い。
【0023】
通信部15は、サーバ4とのデータ通信を行うための外部通信ユニットである。例えば、通信部15は、ネットワークインターフェースである。また、通信部15は、他の駅務機器とデータ通信を行うようにしても良い。
【0024】
コードリーダ16は、撮像部16aに接続されている。コードリーダ16と撮像部16aとはコード券におけるコード画像を読み取る読取部として機能する。撮像部16aは、カメラなどにより構成される。コードリーダ16は、撮像部16aが撮像した画像を取得し、撮像した画像からコード画像を抽出する。また、コードリーダ16は、撮像したコード画像を制御部10へ供給する。また、コードリーダ16は、撮像部16aが撮像したコード画像を券IDにエンコードし、券IDを制御部10へ供給するようにしても良い。
【0025】
カード処理部17は、カード口17aに接続されている。カード処理部17は、カード口17aに挿入されたカードを処理し、処理済みのカードをカード口17aから排出する。カード処理部17は、取り扱うカードとして記憶媒体の種類に応じた処理ユニットを有している。例えば、カード処理部17には、接触式又は非接触式のICカードに対応するリーダライタであっても良いし、磁気情報が記憶される磁気カードを処理するユニットであっても良い。
【0026】
現金処理部18は、現金口18aに接続されている。現金処理部18は、現金(紙幣又は硬貨)の種類を判定したり、紙幣又は硬貨の真偽を検査したりする機能を有する。現金処理部18は、現金口18に投入された現金を処理したり、現金処理部18内で処理された払い出し用の現金を現金口18aから放出したりする。
【0027】
発券部19は、発券口19aに接続されている。発券部19は、制御部10の指示に応じて印刷画像を券面に印刷した券を発券する。本実施形態において、発券部19は、制御部10から供給される券IDを示すコード画像Saを含む印刷画像を印刷したコード券Sを発券する。
【0028】
次に、実施形態に係る券処理システムとしての駅務システム1におけるサーバ4の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る券処理システムとしての駅務システム1におけるサーバ4の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ4は、プロセッサ21、ROM22、RAM23、記憶部24、および、通信部25などを有する。
プロセッサ21は、サーバ4の制御を司る。プロセッサ21は、プログラムを実行することにより種々の機能を実現する。プロセッサ21は、例えば、CPUである。
【0029】
ROM22は、不揮発性のメモリである。RAM22は、基本的な動作を司る制御プログラムおよび制御データなどを記憶する。RAM23は、揮発性のメモリである。RAM23は、作業用のデータを一時的に格納するワーキングメモリとして機能する。
【0030】
記憶部24は、データを記憶するメモリである。記憶部24は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置で構成される。記憶部24は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)などで構成される。
【0031】
記憶部24は、判定データを記憶する記憶領域24a、および、原券情報を記憶する記憶領域24bを有する。
記憶領域24aは、コード券に印刷又は表示するコード画像が示す券IDに対応する券に対する入出場判定に用いる判定データを格納する。判定データは、例えば、リスト形式で券IDごとの各駅における入出場の可否を示す情報である。
【0032】
記憶領域24bは、コード券に印刷又は表示するコード画像が示す券IDに対応する券の原券情報を格納する。原券情報は、有効期間および有効区間などの券の有効性を示す券情報を含む情報である。例えば、原券情報は、磁気券として発券する場合に券媒体に書き込む券情報を含む。具体的には、コード券としての定期券の原券情報としては、発券時の金額、有効期間(有効開始日と有効終了日)、有効区間、購入者情報(利用者名など)、発行日、および、発行事業者などの情報が含まれる。また、原券情報としては、券情報に加えて付加的な情報を含むものとしても良い。
【0033】
通信部25は、各駅務機器とのデータ通信を行うための通信インターフェースである。例えば、通信部25は、ネットワークを介して各駅務機器と通信するネットワークインターフェースである。本実施形態において、通信部25は、券売機2および改札機3と通信する通信部(第2通信部)として機能する。
【0034】
次に、実施形態に係る券処理装置としての券売機2とサーバ4とを含む駅務システム(券処理システム)1によるコード券の発券動作について説明する。
図4は、実施形態に係る券処理装置としての券売機2とサーバ4とを含む駅務システム1によるコード券の発券処理を説明するためのフローチャートである。
ここでは、利用者が操作する券売機2においてコード券としての定期券を発券する場合の動作を想定して説明するものとする。まず、利用者は、定期券のコード券を購入する場合、券売機2の操作部12を用いて定期券の購入を指示する。
【0035】
券売機2の制御部10は、操作部12により定期券の発行が指示されたことを検知すると、発行する定期券の条件を発行情報の入力を受け付ける(ステップST11)。例えば、利用者は、購入する定期券について、有効区間、および、有効期間などの発行情報を操作部12としてのタッチパネルを用いて入力する。制御部10は、操作部12により入力された情報により発行する定期券に関する発行情報を生成する。制御部10は、定期券の発行に必要な発行情報が完成すると、操作部12への発券実行の指示を受け付ける。この場合、制御部10は、入力された情報に基づく発行情報の定期券の料金などを表示部11に表示するようにしても良い。
【0036】
券売機2の制御部10は、操作部12により定期券の発券実行が指示されると、通信部15によりサーバ4にアクセスし、定期券の券IDの発行要求をサーバ4へ送信する(ステップST12)。ここで、券売機2の制御部10がサーバ4へ送信する発行要求は、発券する定期券の券IDの発行を要求するものであれば良い。
【0037】
サーバ4は、通信部25により券売機2からの定期券の券IDの発行要求を受信する。サーバ4のプロセッサ21は、券売機2からの発行要求に応じて発券される定期券の券IDを発行する(ステップST13)。プロセッサ21は、券IDとしてユニークな識別情報を発行する。券IDは、コード画像に変換可能なユニークな識別情報であればよく、ランダムに発行しても良いし、所定のルールに基づいて発行しても良い。サーバ4のプロセッサ21は、定期券の券IDの発行要求に応じて券IDを発行すると、発行した券IDを示すコード画像を生成する(ステップST14)。
【0038】
サーバ4のプロセッサ21は、発行した券IDを示すコード画像を生成すると、発行した券IDと券IDを示すコード画像とを発行要求元である券売機2へ送信する(ステップST15)。ただし、サーバ4が発行する券IDを示すコード画像は、券売機2で生成するようにしても良い。この場合、サーバ4のプロセッサ21は、発行要求に応じて発行した券IDを券売機2へ送信するようにすれば良い。
【0039】
券売機2は、通信部15によりサーバ4からの券IDおよびコード画像を受信する。券売機2の制御部10は、発券要求に対応して券IDとコード画像とを受信すると、受信したコード画像Saを券媒体に印刷した定期券としてのコード券Sを発券する発券処理を実行する(ステップST16)。券売機2の制御部10は、コード画像Saを含むコード券である定期券Sの券面に印刷すべき印刷画像を生成する。例えば、制御部10は、コード画像Saの他に定期券として印刷すべき所定事項(例えば、有効期間、有効区間など)を表示する印刷画像を生成する。制御部10は、券面に印刷すべき印刷画像を含む発券指示を発券部19へ供給する。発券部19は、制御部10からの指示に応じてコード画像Saを含む印刷画像を券面に印刷したコード券(定期券)Sを発券する。
【0040】
券売機2の制御部10は、コード券としての定期券Sを発券すると、発券する定期券の券情報を含む原券情報を生成する(ステップST17)。原券情報は、発券する定期券としてのコード券に関する情報としてサーバ4で保管する情報である。原券情報は、少なくとも券情報を含む情報である。ここで、券情報は、従来の磁気券に記録する情報であるものとする。例えば、定期券の券情報としては、有効区間、有効期間、発行日、発券金額、発行事業者などである。
【0041】
券売機2の制御部10は、発券したコード券の原券情報を作成すると、生成した原券情報を券IDに対応づけた情報としてサーバ4へ送信する(ステップST18)。
サーバ4は、発行した券IDに対応する原券情報を券売機2から受信する。サーバ4のプロセッサ21は、券売機2から原券情報を取得すると、受信した発券されたコード券の原券情報を券IDに対応づけて記憶部24の記憶領域24bに保存する(ステップST19)。
【0042】
また、サーバ4のプロセッサ21は、発券されたコード券の原券情報を受信すると、当該コード券を有効化する(ステップST20)。プロセッサ21は、原券情報が示す券情報から当該券IDのコード券に対する判定データを記憶部24の記憶領域24aに登録する。例えば、プロセッサ21は、当該コード券で入出場が許可される駅等を示す情報をリスト形式で示す判定データを当該コード券の券IDに対応づけて記憶領域24aに登録する。これにより、サーバ4は、当該コード券が改札機3に提示された場合の当該コード券に対する入出場判定が可能となる。
【0043】
以上の発券処理によって、券売機は、定期券などの券として利用可能なコード画像を印刷したコード券を発券でき、コード券として発券した券の原券情報がサーバに保管することができる。また、サーバは、券売機が発券したコード券を利用可能とする判定データを記憶することによりコード券を有効化し、券売機が発券したコード券を利用可能とする判定データとは別に当該コード券の券IDに対応づけた原券情報を保存できる。
【0044】
上記のような発券処理によって発券されたコード券は、改札機3における改札処理(通行制御)に利用可能となる。すなわち、駅務システム1は、改札機3とサーバ4とが双方向に通信することにより、券売機2で発券したコード画像Saを表示するコード券Sを用いた改札機3における改札処理を実行する。
【0045】
例えば、改札機3は、利用者が提示するコード券Sにおけるコード画像Saを読み取り、読み取ったコード画像Saが示す券IDの券による通行判定(入出場の可否判定)をサーバ4に依頼する。サーバ4は、改札機3から券IDを含む通行判定の依頼を受けた場合、当該券IDの券による通行の可否を記憶部24の記憶領域24aに記憶している判定データに基づいて判定し、その判定結果を改札機3へ返す。改札機3は、コード画像Saを読み取ったコード券Sに対する通行判定結果をサーバ4から取得し、サーバ4から取得した通行判定結果に基づいて利用者の通行を制御する。
【0046】
次に、実施形態に係る券処理装置としての券売機2とサーバ4とを含む駅務システム(券処理システム)1によるコード券としての定期券の払戻動作について説明する。
図5は、実施形態に係る券処理装置としての券売機2とサーバ4とを含む駅務システム(券処理システム)1によるコード券としての定期券に対する払戻動作を説明するためのシーケンスである。
ここでは、利用者が操作する券売機2における券処理の一例としてコード券としての定期券に対する払戻処理を行う場合の処理について説明するものとする。まず、利用者は、券売機2において、コード券としての定期券の払戻を行う場合、券売機2の操作部12を用いて定期券の払戻を指示するものとする。
【0047】
券売機2の制御部10は、操作部12によって定期券の払戻が指示されたことを検知する(ステップST30)。券売機2の制御部10は、定期券の払戻が指示されたことを検知すると、表示部11に払戻の対象となる定期券としてのコード券におけるコード画像が印刷されている券面をコードリーダ16の撮像部16aに提示することを案内する案内画面を表示する。
【0048】
券売機2の制御部10は、払戻対象となるコード券の提示を案内するとともに、コードリーダ16による撮像部16aが撮像する画像に基づくコード画像の読み取り処理を行う(ST31)。例えば、コードリーダ16は、撮像部16aが撮像する画像からコード画像を抽出し、抽出したコード画像をデコードすることによりコード画像が示す券IDを読み取る。
【0049】
券売機2の制御部10は、コードリーダ16によるコード画像の読取結果として券IDを取得すると、通信部15によりサーバ4にアクセスし、取得した券IDに対する原券情報の要求をサーバ4へ送信する(ステップST32)。
【0050】
サーバ4は、通信部25により券売機2からの原券情報の要求を受信する。サーバ4のプロセッサ21は、券売機2から原券情報の要求を受信すると、原券情報が要求された券IDに対応する原券情報を記憶部24の記憶領域24bから抽出する(ステップST33)。サーバ4のプロセッサ21は、記憶領域24bから原券情報を抽出すると、記憶領域24bから抽出した券IDに対応する原券情報を要求元である券売機2へ送信する(ステップST34)。
【0051】
券売機2は、通信部15により原券情報の要求に応じてサーバ4から送信された原券情報を受信する。これにより、券売機2の制御部10は、利用者が払戻対象とする定期券としてのコード券の原券情報を取得する。券売機2の制御部10は、払戻対象の定期券(コード券)の原券情報を取得すると、取得した定期券(コード券)の原券情報に基づいて払戻処理(券処理)を実行する(ステップST35)。
【0052】
例えば、制御部10は、所定の払戻処理用のプログラムを実行することにより、定期券の原券情報に対する払戻金額の算出などを実行し、算出した払戻金額の払い出しを実行する。ここで、払戻処理用のプログラムは、磁気券から読み取る券情報(定期券情報)に対する払戻処理を実行するためのプログラム(磁気券用の払戻処理プログラム)の一部又は全部を流用できる。原券情報には、磁気券の定期券であれば券媒体に定期券情報として記録されるべき券情報が含まれる。
【0053】
上記のような定期券情報が含まれる原券情報をサーバ4から取得することで、券売機2の制御部10は、原券情報に含まれる定期券情報に対する磁気券用の払戻処理プログラムによる払戻金額の算定などを行える。制御部10は、コード券の原券情報から払戻額を算出すると、現金又はカードによる払戻額の払戻を行う。
【0054】
例えば、制御部10は、払戻額の払戻を複数から選択可能である場合には払戻方法を利用者に選択させるようにしても良い。券売機2の制御部10は、現金による払戻額の払い出しを行う場合、現金処理部から払戻額の現金を放出する。また、制御部10は、利用者が払戻額をICカード等に電子マネーなどで受領することを選択した場合、カード処理部を用いて利用者が提示するカードに払戻額分の払戻を実行する。
【0055】
券売機2の制御部10は、定期券(コード券)に対する払戻処理が完了すると、通信部15によりサーバ4にアクセスし、券IDが示す券に対する払戻完了の通知をサーバ4へ送信する(ステップST36)。
【0056】
サーバ4は、通信部25によりコード券としての定期券に対する払戻完了の通知を受信する。サーバ4のプロセッサ21は、券売機2からコード券としての定期券の払戻完了の通知を受信すると、受信した払戻が完了した定期券を無効化する処理を行う(ステップST37)。例えば、プロセッサ21は、記憶部24の記憶領域24bに保存している払戻が完了した定期券に関する原券情報を削除する(又は無効な情報とする)。また、サーバ4のプロセッサ21は、当該券IDに対応する判定データを記憶部24の記憶領域24aから削除することにより、当該コード券(定期券)が利用できないように無効化する。
【0057】
なお、上述した動作例では、券売機がサーバから取得するコード券の原券情報を用いて実行する券処理の一例として定期券の払戻処理について説明したが、券売機が原券情報を用いて実行する券処理が定期券の払戻処理に限定されるものではない。例えば、継続定期券の発行、所定期間分の有効期間の延長処理、又は、団体券の払戻処理などの券処理についても、券売機がサーバから取得するコード券の原券情報を用いて券処理するようにしても良い。
【0058】
すなわち、実施形態に係る券処理装置としての券売機は、磁気券などから読み取る券情報と同様な情報を含む原券情報をサーバから取得するようにしたため、既存の券売機が磁気券などから読み取る券情報に対して実行する券処理を、サーバから取得するコード券の原券情報に対して実行する券処理とすることができる。言い換えると、実施形態に係る券処理装置としての券売機は、既存の券売機が磁気券などから読み取る券情報に対する券処理を実行するための既存の処理プログラムをサーバから取得するコード券の原券情報に対する券処理に適用するようにできる。
【0059】
以上のように、実施形態に係る券処理システムは、サーバが有効とするコード券のコード画像が示す券の原券情報を記憶部に記憶する。券処理装置は、処理対象となるコード券から読み取ったコード画像が示す券の原券情報をサーバから取得し、サーバから取得した原券情報に基づいて券処理を実行する。
【0060】
これにより、実施形態によれば、サーバがコード券に対する通行判定を行う形態とする場合であっても、払戻などの券処理を既存の磁気券対応の券処理装置が備える券処理機能を用いて実施できる。この結果、既存の磁気券を処理する駅務システムを、従来と同様な品質での券処理をコード券に対して行えるシステムに低コストで移行できる。また、既存の磁気券を処理する駅務システムにおける磁気券を処理するための機器を撤廃する場合であっても、簡単に低コストでコード券を処理する駅務システムに完全に移行することができる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1…駅務システム(券処理システム)、
2…券売機(券処理装置、駅務機器)、
3…改札機(駅務機器)、
4…サーバ、
10…制御部、
10a…プロセッサ、
10b…メモリ、
11…表示部、
12…操作部(タッチパネル)、
14…データメモリ、
15…通信部(第1通信部)、
16…コードリーダ(読取部)、
17…カード処理部、
18…現金処理部、
19…発券部、
21…プロセッサ、
22…ROM、
23…RAM、
24…記憶部、
24a…記憶領域、
24b…記憶領域、
25…通信部(第2の通信部)。