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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025165321
(43)【公開日】2025-11-04
(54)【発明の名称】キュービクル
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20251027BHJP
   H02B 1/56 20060101ALI20251027BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069370
(22)【出願日】2024-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】毛利 和久
【テーマコード(参考)】
5G016
5H770
【Fターム(参考)】
5G016AA04
5G016CG05
5G016CG09
5H770AA28
5H770BA11
5H770CA05
5H770CA06
5H770PA01
5H770PA02
5H770PA41
5H770QA27
(57)【要約】
【課題】
キュービクル内に配置したGFIと変圧器の冷却性能の向上。
【解決手段】
外部へ給電する機器を格納するキュービクルであって、キュービクルの背面側にグリッドフォーミングインバータを配置可能とし、キュービクルの正面側に高圧変圧器を配置可能とし、キュービクルの正面と側面にギャラリを備え、正面に備えたギャラリから取り入れられた外気が前記高圧変圧器を冷却し、側面に備えたギャラリから取り入れられた外気がグリッドフォーミングインバータを冷却するキュービクル。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部へ給電する機器を格納するキュービクルであって、
キュービクルの背面側にグリッドフォーミングインバータを配置可能とし、
前記キュービクルの正面側に高圧変圧器を配置可能とし、
前記キュービクルの正面と側面にギャラリを備え、正面に備えたギャラリから取り入れられた外気が前記高圧変圧器を冷却し、側面に備えたギャラリから取り入れられた外気が前記グリッドフォーミングインバータを冷却するキュービクル。
【請求項2】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記キュービクルの背面に扉を備え、背面に備えた扉から前記グリッドフォーミングインバータを操作可能なキュービクル。
【請求項3】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記キュービクルは左側面と右側面にギャラリを備え
正面に備えたギャラリから取り入れられる空気の量が左側面のギャラリ又は右側面のギャラリのいずれか一方から取り入れられる空気の量より多いキュービクル。
【請求項4】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記グリッドフォーミングインバータからの電力の力率を変更するリアクトルを備え、
前記高圧変圧器と前記リアクトルの間には人が通過可能なメンテナンス通路を備え、
前記リアクトルと前記グリッドフォーミングインバータは通路を挟んで同じ側に配置され、
前記高圧変圧器はメンテナンス通路を挟んで前記リアクトルと反対側に配置されたキュービクル。
【請求項5】
請求項1に記載のキュービクルにおいて、
前記キュービクルの正面側に蓄電池を配置可能なキュービクル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキュービクルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力系統では火力発電等の同期電源が慣性力を備え電力品質(周波数,電圧)の維持に貢献してきたが,慣性力を持たないインバータにより連系された太陽光・風力発電が増加するにつれ電力系統の慣性力が低下し、電源脱落事故が発生した際に大規模停電に至るリスクが高まる課題が問題視されている。
【0003】
この課題を解決する為、電力系統に対し慣性力を疑似的に供給する制御機能を有するGFI(Grid Forming Inverter)が用いられている。GFIはPCS(Power Conditioning System)と呼ばれることもある。
【0004】
GFIは変圧器などと一緒に用いられ、屋外に設置されることも多いため風雨に晒され漏電や劣化の問題がある。このため、GFIや変圧器を格納するキュービクルが求められている。
【0005】
特許文献1では発電された直流電力を交流電力に変換するインバータとリアクトルを有するパワーコンディショナと、前記パワーコンディショナから出力される交流電力を高圧電力に変換する昇圧変圧器と、前記昇圧変圧器と既存の高圧電力系統の間に配置される遮断器を備え、発電された電力を高圧電力系統に供給する系統連系用装置であって、装置の天井部に配置した換気扇と、装置の壁面の内側に配置した遮熱ダクトと、前記壁面の下部に配置した吸気用開口部と、を有し、前記遮熱ダクトは、前記壁面の全面或いは一部に沿って、下部から上方に向かって立ち上がり、天井部で前記換気扇に向けて折り曲げられている系統連系用装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-229173号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、キュービクル内に配置したGFIと変圧器の冷却性能を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は外部へ給電する機器を格納するキュービクルであって、キュービクルの背面側にグリッドフォーミングインバータを配置可能とし、キュービクルの正面側に高圧変圧器を配置可能とし、キュービクルの正面と側面にギャラリを備え、正面に備えたギャラリから取り入れられた外気が前記高圧変圧器を冷却し、側面に備えたギャラリから取り入れられた外気がグリッドフォーミングインバータを冷却するキュービクルにより達成される。
【発明の効果】
【0009】
キュービクル内でのGFI、変圧器の発する熱を効率よく排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例におけるキュービクルの正面図の例である。
図2】本発明の実施例におけるキュービクルの背面図の例である。
図3】本発明の実施例におけるキュービクルの右側面図の例である。
図4】本発明の実施例におけるキュービクルの左側面図の例である。
図5】本発明の実施例におけるキュービクルの正面機器配置図の例である。
図6】本発明の実施例におけるキュービクルの右側面機器配置図の例である。
図7】本発明の実施例におけるキュービクルの背面機器配置図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
太陽光発電や蓄電池などの直流電源を交流の電力系統に連系する電力変換装置としてグリッドフォーミングインバータ(Grid-Forming Inverter、以下、GFI)がある。
【0012】
GFIは電圧の周波数と振幅を制御する電圧源として動作する。たとえばGFIが電圧波形の周波数を下げると、交流の電力系統に対してGFIの電圧位相が遅れることで、有効電力の出力が減少する。
【0013】
また、GFIを系統に接続する電力ケーブルが誘導性であることから、GFIが電圧波形の振幅を連系点の電圧に対して下げると、無効電力の出力が減少する。
【0014】
このとき、GFIが出力する有効電力の大きさに比例して電圧周波数を下げるように、また、無効電力の大きさに比例して電圧振幅を下げるように制御することで、GFIは電力系統に接続された他のGFIや同期発電機との間で、自律的に出力の大きさを調整する作用を示す。
【0015】
このような電源間の電圧周波数差、または電圧振幅差によって出力を分担する方法はドループ制御と呼ばれ、今後、電力変換装置を介して接続された再生可能エネルギー(以下、再エネ)のさらなる増加と同期発電機の減少が予想されるなか、電力系統の安定性を向上する手段として期待されている。
【0016】
このようなGFIの制御は変圧器とともに行われることが多く、変圧器とGFIを同じキュービクルに格納しGFIの制御を行う。
【0017】
この場合GFIも変圧器も稼働時には熱が発生する。さらに、キュービクルは太陽光発電装置等の近くの屋外に設置されることも多く太陽光により、これらの機器が過熱することを防ぐことが安定稼働のために必要である。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【実施例0019】
図1は本発明の実施例におけるキュービクルの正面図の例である。
【0020】
ギャラリを正面の扉に各々3枚配置し、キュービクルの正面からの吸気量を増やし機器の熱により加熱された空気を左側面上部に配置したファン2より排気することで空気の流れを良くし、冷却性能を向上させている。
【0021】
正面はキュービクル内に配置された機器に正面からアクセスできるよう、側面側を丁番で筐体に取り付けられた2枚の扉が設けられ中央から両側へ扉を開ける構造になっている。
【0022】
この構造により正面から日常の運用に必要な機器のスイッチ類や高圧変圧器10、蓄電池11にアクセスできるようになっている。
【0023】
図2は本発明の実施例におけるキュービクルの背面図の例である。
【0024】
キュービクル背面には側面側を丁番で筐体に取り付けられた2枚の扉が設けられ中央から両側へ開けられる構造となっている。扉にはギャラリを設けない。
【0025】
この扉によりGFI等の低電圧で駆動する機器の日常の運用に必要な操作ができる。
【0026】
また、背面にギャラリを設けないことにより、より防塵対策が必要なGFIを保護することができる。さらに、清浄機や塵埃測定機を追加することで更なる防塵対策が可能となる。
【0027】
図3は本発明の実施例におけるキュービクルの右側面図の例である。
【0028】
中央にメンテナンスドア5が設けられており、キュービクル内に設けた高電圧機器側と低電圧機器側の間に設けたメンテナンス通路6に人がアクセスすることができる。
【0029】
右側面の左側(前面側)下部にはギャラリ3が設けられ高電圧機器を冷却するための外気を取り入れることができる。
【0030】
図4は本発明の実施例におけるキュービクルの左側面図の例である。
【0031】
左側面の左右上部にはファン2が取り付けられ、キュービクル内の機器を冷却した空気を外部へ排出できるようになっている。
【0032】
左側面の右下部にはギャラリ3が設けられ高電圧機器を冷却した空気を外部へ排出できるようになっている。
【0033】
図5は本発明の実施例におけるキュービクルの正面機器配置図の例である。
【0034】
左下部にはキュービクル内で最も熱を発生する高圧変圧器10が配置され、右下には蓄電池11が配置されている。蓄電池11はキュービクルの運用により無くても良い。
【0035】
高圧変圧器10は左側面下部に設けられたギャラリ3から取り入れた外気により冷却され、高圧変圧器10の熱で温まった空気は上昇し、ファン2により外部へ強制排気される。この気流の流れが(2)で示された気流である。
【0036】
また、蓄電池11は右側面下部に設けられたギャラリ3から取り入れた外気により冷却され、蓄電池11の熱で温まった空気は上昇し、キュービクルの上部を通過してファン2により排気される。
【0037】
図6は本発明の実施例におけるキュービクルの右側面機器配置図の例である。
【0038】
左側手前から蓄電池11、高圧変圧器10が並び、右側には下部に低圧変圧器13、上部にGFI、中央付近にGFIからの電力の力率を変更するリアクトル12が設けられている。
【0039】
中央のメンテナンスドア5からキュービクル内のメンテナンス通路6にアクセスすることが可能であり、高圧変圧器から出る廃油の採取やヒューズの交換等のメンテナンス作業が行えるようになっている。
【0040】
メンテナンスドア5の左側に高圧機器、右側に低圧機器を分けて配置することにより、機器間の電気的ノイズの低減や、高圧機器で発生する熱の低圧機器への影響を低減できるだけでなく、高圧機器へ人が接触する感電に注意できるためメンテナンス効率を向上できる可能性がある。
【0041】
メンテナンス通路6は必ずしも設ける必要はなく、メンテナンス通路6を設けなければスペース効率の良いコンパクトなキュービクルを提供できる。
【0042】
またキュービクル上部前面に換気口が設けられており、正面のギャラリ3から取り入れられ、高圧変圧器10や蓄電池11を冷却し暖められた空気は(3)の気流により上部換気口から排出される。
【0043】
図7は本発明の実施例におけるキュービクルの背面機器配置図の例である。
【0044】
背面上部にはGFIが配置され、背面扉を開けることにより作業員は立った姿勢でGFIを操作することが可能となる。
【0045】
キュービクルの背面側に配置された低圧機器は高圧機器に比べ発熱量は少ないが、左右の側面に設けられたギャラリ3からの外気で生じる(4)(5)の気流で冷却され、暖められた空気は背面側のファン2で排気される。
【0046】
左側面上部に2台のファン2を設けることにより、高圧機器が設置された正面側の空気と低圧機器が設置された背面側の空気を効率よく排気することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 キュービクル、2 ファン、3 ギャラリ、5 メンテナンスドア、6 メンテナンス通路、10 高圧変圧器、11 蓄電池、12 リアクトル、13 低圧変圧器、14 GFI
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7