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特開2025-165325情報収集装置、遠隔監視システム、キュービクル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025165325
(43)【公開日】2025-11-04
(54)【発明の名称】情報収集装置、遠隔監視システム、キュービクル
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20251027BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20251027BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H04Q9/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069375
(22)【出願日】2024-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 信也
(72)【発明者】
【氏名】石崎 伸一
(72)【発明者】
【氏名】澤幡 岳人
(72)【発明者】
【氏名】皆川 明樹
【テーマコード(参考)】
5G064
5K048
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AB01
5G064AC09
5G064BA02
5G064BA04
5G064CB08
5G064CB16
5G064DA05
5K048BA32
5K048BA34
5K048EB10
5K048HA34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機器の遠隔監視対応を容易に実現する情報収集装置および当該情報収集装置を用いた遠隔監視システムもしくはキュービクルを提供する。
【解決手段】情報収集装置は、本体部15に、電源部23と、通信部20と、制御部21と、端子台24を有し、端子台24からの各種情報を制御部21で集約して通信部20から送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、電源部と、通信部と、制御部と、端子台とを有し、
前記端子台からの各種情報を前記制御部で集約して前記通信部より送信可能である情報収集装置。
【請求項2】
請求項1記載の情報収集装置において、筐体はプラスチックもしくは樹脂製である情報収集装置。
【請求項3】
請求項2記載の情報収集装置において、前記筐体は本体部と前扉部を有し、前記前扉部は前記本体部に対し回転移動するものであり、前記前扉部を閉めた際に、前記本体部と前記前扉部は互いに重畳する防水部を有する情報収集装置。
【請求項4】
請求項2記載の情報収集装置において、前記筐体の背面に磁石を有し、他の金属製筐体に取り付け可能である情報収集装置。
【請求項5】
請求項1記載の情報収集装置において、表示装置を有する情報収集装置。
【請求項6】
請求項5記載の情報収集装置において、前記表示装置はタッチパネルを有する情報収集装置。
【請求項7】
請求項6記載の情報収集装置において、前記表示装置は、前記タッチパネルにより複数の情報を切り替える機能を有し、前記端子台から前記制御部が取り込んだ情報を表示できると共に、メンテナンス情報を表示できる情報収集装置。
【請求項8】
請求項1記載の情報収集装置において、前記電源部と、前記通信部と、前記制御部と、前記端子台は、その全て、またはその一部がユニット化されている情報収集装置。
【請求項9】
請求項8記載の情報収集装置において、配線引き回し部を有し、各種配線の引き回しを配線引き回し部にて行う情報収集装置。
【請求項10】
請求項1記載の情報収集装置において、前記端子台は、電圧に対応した端子、電流に対応した端子、ZCTに対応した端子、接点に対応した端子、パルスに対応した端子、アナログ入力に対応した端子、温度情報の入力に対応した端子、センサ入力に対応した端子、水素ガスセンサからの入力に対応した端子のいずれかを有する情報収集装置。
【請求項11】
請求項1記載の情報収集装置において、カメラからの画像情報を前記通信部に伝送するハブを有する情報収集装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報収集装置からの情報をサーバに伝送し、前記サーバはユーザー端末に機器の状況を提示する遠隔監視システム。
【請求項13】
請求項12記載の遠隔監視システムにおいて、前記ユーザー端末に提示可能な情報の種類として、水素濃度、油温度、電圧、電流、電力量、力率、周波数、需要電流、トランス負荷率、トランス損失率、基本波漏れ電流、有効分漏れ電流、接点の状況、パルスのカウント値、アナログ入力値、温度のいずれかを有する遠隔監視システム。
【請求項14】
請求項12記載の遠隔監視システムにおいて、前記情報収集装置の前面扉が予定外に開放された際に、前記サーバから警報を発する機能、もしくはメール報知する機能を有する遠隔監視システム。
【請求項15】
請求項1乃至11のいずれかに記載の情報収集装置を内部に有するキュービクル。
【請求項16】
請求項15記載のキュービクルにおいて、前記キュービクルの外側に外部アンテナを有し、前記外部アンテナと前記情報収集装置の通信部を有線接続したキュービクル。
【請求項17】
請求項16記載のキュービクルにおいて、前記有線接続の配線は前記キュービクルのドアパッキンの一部に切り欠き部を設けて配置され、前記切り欠き部近傍は、外側が低くなるような斜めの遮水板により雨水の侵入を防ぐ構造を有するキュービクル。
【請求項18】
請求項1記載の情報収集装置において、前記制御部は前記端子台からの信号を使用して漏れ電流の有効分を取得し、前記通信部は前記有効分を前記筐体の外部へ出力する情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報収集装置、および当該情報収集装置を用いた遠隔監視システムもしくはキュービクルに関する。
【背景技術】
【0002】
受変電の分野では、機器の安全性を保つため、機器の監視が行われている。一例として、特許文献1は、ユーザーへの報知機能を有する漏電遮断器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-299727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、漏電を検知した際に、その周囲にいる人間に対し報知するものである。一方、受変電の分野では、監視対象機器、監視項目は多岐にわたる。このため、従来は電気事業法に基づく定期点検等により、特に人的な直接点検により確認、安全確保が行われていた。
【0005】
しかし、受変電設備の保守・点検業務において、設備等の高経年化が進む中、電気保安に携わる法的な資格を有する電気保安人財である電気主任技術者の高齢化や、電気保安分野への入職者減少による人手不足が深刻となっている。このため、経済産業省から発表されているスマート保安、すなわち保守・点検業務の省力化は危急の社会的要請となっている。
【0006】
本発明は、かかる事情に基づき、機器の遠隔監視対応を容易に実現するための情報収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段の一例をあげれば、以下のようになる。
【0008】
筐体内に、電源部と、通信部と、制御部と、端子台を有し、前記端子台からの各種情報を前記制御部で集約して前記通信部より送信可能である情報収集装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、種々の監視対象機器の情報を、情報収集装置にて集約、伝送することができるため、各機器個別に情報収集、伝送を行う場合に比べ、設置作業の容易化が実現できる。また、現場においても、各監視対象機器の情報を一元確認できるため、監視作業の迅速化が実現できる。
【0010】
本願発明の更なる手段および更なる効果は、以下明細書全文を通じ明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施例での情報収集装置の正面図である。
図1B】本発明の一実施例での情報収集装置の側面図である。
図1C】本発明の一実施例での情報収集装置の背面図である。
図1D】本発明の一実施例での情報収集装置の上面図である。
図2】本発明の一実施例での情報収集装置の、扉を開けた状態の説明図である。
図3】本発明の一実施例での情報収集装置の、機器構成の説明図である。
図4A】本発明の一実施例での端子台の説明図である。
図4B】本発明の一実施例での端子台への入力信号の説明図である。
図5】本発明の他の実施例での情報収集装置の、機器構成の説明図である。
図6】本発明の情報収集装置を用いた遠隔監視に関する説明図である。
図7】本発明の情報収集装置を用いた遠隔監視に関する説明図である。
図8】本発明の遠隔監視システムでの、監視画面例の模式説明図である。
図9】本発明の情報収集装置にて収集される情報の一例である。
図10】本発明の情報収集装置の内部構造例を示す図である。
図11】実施例6を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について、必要に応じて図面を用いながら説明する。
【実施例0013】
図1にて、本発明の一実施例での情報収集装置の外観を説明する。図1Aは正面図、図1Bは側面図、図1Cは背面図、図1Dは上面図である。
【0014】
情報収集装置10は、前面扉13と本体部15を有する。また前面扉13に前面扉の開閉用の取っ手11を設けてもよい。また背面側に、監視対象機器と接続するケーブルを導入する導入口を設けてもよい。導入口は、本体部15の下面に設けることもできる。もしくは、配線に対応して個別に穴をあけてもよい。
【0015】
情報収集装置10の外装は、金属で構成することもできる。一方、後述するが、本発明では情報収集装置10の内部に通信部20を設置し、携帯電話回線や専用回線等を用いて無線通信するものである。そこで、電波の通りをよくするためには、情報収集装置10の外装をプラスチックや樹脂等の、防水性を有する非金属材料で構成することが、より望ましい。望ましい材質の一例は、ポリカーボネートやABS樹脂、あるいはそれらの組み合わせである。本実施例では、一例として、ポリカーボネートとABS樹脂の組み合わせで構成する。
【0016】
情報収集装置10の取り付け方法は、種々の取り付けが可能であるが、例えば背面にマグネットを設け、それをキュービクルや配電盤の外板などの磁性体平板に取り付けることで、簡単に設置することが出来る。これは、交換容易性の観点も含む。
【0017】
図2は、本発明の一実施例での情報収集装置の、扉を開けた状態の説明図である。本体部15に対し、ヒンジ52により前面扉13が回転して開放されている。50は本体側防水部、51は前面扉側防水部である。前面扉13を本体部15に閉じた際には、この2つの出っ張りが重畳することにより、雨水侵入に対する防水の効果も果たすものである。なお、図中では右回転で扉が開く例であるが、左回転で開く場合、あるいは上側に回転して開く場合なども含むものである。
【0018】
なお、図3にて後述するが、本発明の情報収集装置は、通信機能を備えるものである。このため外部からの不法なアクセスを抑制する配慮を行うことが望ましい。その対策として、前面扉13を予定外に開くと、警報を発する機能を備えるようにしてもよい。あるいは、ドアスイッチを設け、ドアスイッチの状態に関し、通信部20を介して、扉が開いた際に、図6を用いて後述するサーバ60に伝達し、サーバ60が警報を発する、あるいはメール報知する機能を設けてもよい。機器のセキュリティ対応が向上できるからである。
【0019】
図3は、本発明の一実施例での情報収集装置の、機器構成の説明図である。本体部15に内蔵される機器の説明となる。
【0020】
通信部20と、制御部21と、電源部23と、端子台24を有する。表示部22を有すると、情報収集装置10自体で各種情報の表示が可能となるため、より望ましい。
【0021】
通信部20は、一例として、産業用無線ルータである。携帯電話回線を通じて、情報収集装置10に収集された情報を外部に伝送するものである。
【0022】
制御部21は、端子台24に入力される各種情報を、通信部20にて外部伝送できるように、情報を集約、あるいは情報の形式を整える、もしくは情報を整理する部分であり、その処理の目的で、CPU等の演算回路や、メモリ等の一時記憶媒体を有する。なおメモリはCPUに内蔵されたものであってもよい。
【0023】
制御部21と一体に、あるいは別体に、表示部22を有してもよい。いわゆるディスプレイである。情報収集装置10に集められた情報や、情報収集装置10の稼働状態等を、その場で確認するための表示部である。液晶ディスプレイ、自発光素子等、種々の形式のディスプレイが適用できる。いずれの場合も、簡易操作器として表示部22を兼用させる目的では、表示部22はタッチパネルを有することが望ましい。また、複数の情報を切り替える機能を有し、取り込んだ情報を表示でき、かつメンテナンス情報を表示できるようにしてもよい。
【0024】
制御部21と表示部22を合わせ、あるいは一体に有し、監視ユニットと呼称することもできる。
【0025】
電源部23は、通信部20、制御部21、表示部22等に電源を供給するための部分である。なお、この電源部23には、構成が単純なブレーカのみの場合も含むものである。またコンセントや、電圧変換回路等を有する場合も含みものである。さらに、情報収集装置10と接続される外部機器へ電源を供給する場合もある。
【0026】
端子台24は、外部の監視対象機器と結線し、外部機器の情報を情報収集装置10に入力するために用いる。各種センサからの配線作業が容易になるという利点がある。端子台24に入力された情報は、入力信号30として制御部21に送られる。制御部21で情報を集約、あるいは情報の形式を整える、もしくは情報を整理した後、伝送用信号31として通信部20に送られ、通信部20から外部のサーバ等に情報伝送が行われる。
【0027】
端子台24の入力側24Aに接続するケーブル類は、コネクタで集約し、コネクタ接続するようにしてもよい。この場合、配線作業の容易化の効果を奏することが出来る。
【0028】
図4Aは、本発明の一実施例での端子台の説明図である。24Aは入力側、24Bは出力側である。
【0029】
図4Bは、本発明の一実施例での端子台への入力信号の説明図である。一例として、電圧V、電流I、ZCTで検出する低圧漏れ電流、接点の状態、パルス信号、アナログ入力、温度入力がある。電圧は、例えばR-S間、S-T間、電流はR、S、T各相などが一例である。アナログ信号は、例えば直流4~20mAのような微小電流の場合も含む。温度は、例えばPt100Ωのような測温抵抗体の値も含む。なお、入力信号は、あくまで一例である。全ての信号に対応した端子を有する場合、もしくは全ての信号に対応した入力がされる場合のみに限定するものではなく、それらの端子の一部を有する場合、もしくはそれらの信号の一部が入力される場合も含むものである。
【0030】
また各種センサからのアナログ、もしくはデジタルの信号や、トランスの絶縁油に含まれる可燃性ガス濃度や、その他設備に取り付けられたセンサからの値を入力することもできる。
【0031】
本実施例での情報収集装置10は、荷電中に容易に立ち入ることができない設備(部分)の電気量、環境状態など予防保全に寄与する情報を、各種センサから電気信号で取り込む信号取込み部と、取り込んだ情報を整理する制御部と、取り込んだ情報を外部へ出力する通信部とを備えた情報収集装置と表現することもできる。
【0032】
本実施例での情報収集装置は、複数の機器の監視に必要な機能が1つの筐体にまとめられているため、機器の遠隔監視を容易に実現できる。特許文献1では漏電を検知した際に周囲に報知するのもであったが、本実施例の情報収集装置を用いれば、遠隔監視を容易に実現できる。さらに、監視対象機器が増えても、あるいは監視対象項目が増えても、本情報収集装置があれば追加の装置や機能なしに遠隔監視対応が可能となるため、監視業務の省人化、低コスト化、効率化に対する切り札となるものである。また1つの筐体に必要な機能が収められているため、設置作業も容易であり、迅速に遠隔監視対応が実現できるものでもある。
【実施例0033】
本実施例は、実施例1と基本的に同一である。図5は、実施例1の図4に対応する図である。図5では、図4に対し、カメラ40からの画像情報33を、有線もしくは無線のハブ26を介して、通信部20に画像情報等32を送付し、通信部20から外部にカメラ画像を送信する場合の例である。
【0034】
ハブ26からは、直接に通信部20に画像情報等を伝送する場合のみだけでなく、制御部21に伝送する場合も含むものである。但し、カメラ40からの画像情報は情報量が多いため、制御部21に搭載される演算装置では、複雑な処理には性能が不足する、もしくは対応できる演算装置を搭載すると高価格になるという問題がある。それゆえ、カメラ40からの画像情報は、無加工で、あるいは通信可能とするための必要最低限の変換のみを施し、基本的にはそのまま通信部20からサーバ等の外部機器に伝送することが望ましい。
【0035】
本実施例では、実施例1の効果に加え、カメラ画像での画像監視を実現することが出来る。
【実施例0036】
本実施例は、実施例1あるいは実施例2の情報収集装置の、外部への情報伝送と、それによる監視もしくは保守の遠隔化を説明するものである。
【0037】
図6は、本発明の情報収集装置を用いた遠隔監視に関する説明図である。情報収集装置10で収集された情報は、通信回線70により、サーバ60に伝送される。サーバ60は、特定のハードウエアで実現される場合、あるいはクラウド上で実現される場合の、いずれも含むものである。通信回線70は、携帯電話回線や専用回線等の、インターネット以外の専用回線であることが望ましい。情報収集装置10とサーバ60間でやり取りされる情報は、生データであり、企業の設備稼働状況や、企業活動の状況等を判読可能なセンシティブは情報が含まれることがあるため、高いセキュリティを確保することが望ましいからである。
【0038】
なお、情報の出力先は、必要に応じ、直接出力、顧客のPC等にWIFI機能等で接続等、種々の方法で出力するようにしてもよい。
【0039】
ここで、情報収集装置10の通信部20から通信回線70によりサーバ60に伝送される情報の、情報量を低減する、もしくは送信パケット数を低減する目的で、制御部21にて、もしくは通信部20自体にて、あるいは別途専用の処理装置を情報収集装置10の内部に設け、データの圧縮処理を行って、圧縮後のデータをサーバ60に送信しても良い。サーバ60へ送信するデータ量が削減できるので、通信トラフィックの渋滞・遅延、サーバ60側の記憶媒体の肥大化を防止することが可能となるからである。
【0040】
また、カメラ40から得られたデータに対して、制御部21にて、もしくは通信部20自体にて、あるいは別途専用の処理装置を情報収集装置10の内部に設け、パターン認識、テンプレートマッチング等の所望の処理を行って、特定のオブジェクト(不審人物、動物)に関する情報、色情報のみをサーバ60へ送信しても良い。あるいは、特定の時間帯のデータのみを送信しても良い。サーバ60へ送信するデータ量が削減できるので、通信トラフィックの渋滞・遅延、サーバ60側の記憶媒体の肥大化を防止することが可能となるからである。
【0041】
なお、サーバ60へ送信しなかったデータについては、制御部21に、もしくは通信部20自体に、あるいは別途設けた専用の処理装置に一定期間保存した後に削除しても良い。もしくは、サーバ60へのデータ送信後即座に削除してもよい。
【0042】
制御部21に、もしくは通信部20自体に、あるいは別途設けた専用の処理装置に一定期間保存されるデータは、その保存期間中であれば、すなわち一時保存の状態であれば、サーバ60等の外部からの要求、あるいは制御部21の要求、もしくは情報収集装置10内でのプログラムに従って、後から時刻情報と共にサーバ60に送信することも可能である。
【0043】
サーバ60は、情報収集装置10からの情報を元に、情報収集装置の監視対象である各機器の稼働状況や設備状況を監視する。このような監視により、遠隔監視、あるいはリモート監視を実現する。このような監視作業は、サーバ60の形で、単独のハードウエア上に、あるいはクラウド上に構築される監視ソフトウエアにより実施される。またこの監視作業が、遠隔監視サービスというビジネスとなり、従来の人的監視を可能な範囲で代替することになる。遠隔監視サービスには、予兆診断サービスを含むこともできる。なおこの遠隔監視や予兆診断サービスに際しては、AIを用いてもよい。
【0044】
サーバ60は、情報収集装置10からの情報をハード上に、あるいはクラウド上に蓄積し、監視対象機器を保有するユーザーはユーザー端末61からインターネット網71を介してサーバ60にアクセスし、必要な情報を入手できる。72はユーザー端末対応情報である。
【0045】
これにより、ユーザーは、必要な情報をどこからでも入手可能となる。また、自身の設備の稼働状況や状態を、容易に遠隔で確認、監視することが出来るようになる。すなわち、見える化することができる。
【0046】
監視対象機器に異常が発生、あるいは異常の予兆が発生した際には、サーバ60はユーザーに対しメール等で自動連絡を行うようにすることで、ユーザーの設備監視をサポートする。
【0047】
62は管理業者端末である。契約の形態によるが、サーバ60で監視ソフトウエアを運用する会社、あるいは遠隔監視サービスを請け負っている会社などの端末である。73は管理業者端末対応情報である。
【0048】
図7は、図6を元として、異常の予兆が検知された場合の状況を説明する図である。サーバ60が異常の予兆を検知し、ユーザーに対しメールで連絡、あるいはユーザー端末61にアラームを報知する。ユーザーは、電話で、メールで、あるいはユーザー端末61での問い合わせ機能等にて、管理業者に問い合わせ75を行う。なお、この問い合わせ75は、対応依頼の場合も含むものである。
【0049】
管理業者は、管理業者端末62で状況を確認し、ユーザーにサポート74として連絡を行う。連絡方法は、電話で、メールで、あるいはユーザー端末61への連絡など、種々の形態がある。内容としても、対応方法の提案や、設備修理の提案等、状況に応じて種々のサポートがある。またこのようなサポートの提案に関しても、サーバ60には多数のユーザーからの多数の事例が蓄積され、積み上がっていくため、管理対象機器の増加と共に、また時間の経過とともに、管理業者のサポート能力は向上していくことになる。
【0050】
このとき、従来のような、単一の機器の情報のみによる判断では、真の原因の把握等に時間を要する場合もあるが、本発明の情報収集装置10を用いることで、同時に種々の情報を確認しながら、あるいは種々の情報を評価しながら原因の究明が行えるため、迅速な原因の把握と対応が実現できるようになるという利点もある。
【0051】
また従来の電気保安人財による対応は、いわば暗黙知であった。しかし、本発明の情報収集装置10を用いることで、サーバ60での情報蓄積、管理、判断、対応事例の蓄積が可能となり、いわば集合知へと変換することが可能となる。これは、省人化に寄与するのみでなく、対応内容の高度平準化が実現できるという利点も有する。
【0052】
図8は、ユーザー端末61での管理画面の一例である。80は画面表示例であり、81は運転状況表示領域、82は詳細状況表示領域、83は対象選択領域、84はカメラ画像選択領域、85はサポート呼び出し領域である。
【0053】
運転状況表示領域81にて、ユーザーは設備の運転状況の概略を把握できる。一例として、運転状況を分かりやすく色表示やアイコン表示等しても良い、図はアイコン表示の例で、90Aは警告表示アイコン、90Bは注意表示アイコン、90Cは正常表示アイコンである。現在は、90Cの正常表示アイコンが点灯している様子を模式的に示している。
【0054】
83の対象選択領域をマウス等で選択すると、運転状況表示領域81に表示する対象機器を選択することが可能となる。なお、他の対象機器を運転状況表示領域81に表示している場合でも、別の対象機器で緊急性を要するトラブルや異常予兆が検知された際は、それを表示する画面に自動的に切り替わるものである。
【0055】
84はカメラ画像選択領域で、カメラ画像の表示、非常時を切り替える。常時カメラ画像を表示させていると、他の情報の表示領域を圧迫するため、選択可能としているものである。85はサポート呼び出し領域である。これをクリックすると、図7の75にて管理業者に連絡やサポート依頼が可能となる。WEBチャットや、WEB会議に自動連系しても良い。
【0056】
82は詳細状況表示領域である。細かい状況や数値の表示をする領域である。
【0057】
図9は、詳細状況表示領域82に表示される情報の一例である。予め設定された種々の情報の表示が実現する。なお、図9に記載の各項目は、実施例1や実施例2での情報収集装置10の、情報収集項目と言い換えることもできる。但し、全てが同時に監視されることは必須ではなく、あくまで、これらの情報の収集に予め対応しているという意味である。
【0058】
以上詳述のように、本実施例は、あるいは実施例1や実施例2の情報収集装置を用いることで、種々の監視対象機器の情報を、情報収集装置にて集約、伝送することができる。これにより、各機器個別に情報収集、伝送を行う場合に比べ、設置作業の容易化が実現できる。また、現場においても、各監視対象機器の情報を一元確認できるため、監視作業の迅速化が実現できる。
【実施例0059】
図10は、実施例1あるいは実施例2での情報収集装置10の一例を示す。内蔵機器一式がユニット化されている。これにより、情報収集装置10の内部部品を、簡易に着脱できる構造となっている。
【0060】
また、配線引き回し部55を有し、各種配線の引き回しは当該配線引き回しの中で行っている。これにより、配線の乱雑化を防ぐことができるとともに、情報収集装置10の冷却効率を向上することが出来る。
【0061】
本実施例では、実施例1乃至3に記載の効果に加え、情報収集装置10の組み立てや、修正、性能向上改造等を容易に行うことができる。
【実施例0062】
本実施例は、実施例1や実施例2と基本的に同一である。
【0063】
本実施は、情報収集装置10を、金属製の別筐体の内部に設置する場合の一例である。金属製の別筐体としては、例えば配電盤やキュービクルが想定される。このとき、配電盤やキュービクルの筐体が金属製であるため、情報収集装置10に内蔵した通信部20からの電波を阻害する、もしくは弱めることになる。
【0064】
そこで本実施例では、通信部20に有線接続された外部アンテナを設け、当該外部アンテナを金属製の別筐体の外部に取り付ける。通信部20と外部アンテナは、金属製の別筐体のドアパッキンの一部を切り欠いて有線接続用の配線を通す。なお、切り欠き部近傍は、外側が低くなるような斜めとして雨水の侵入を防げる構造とするものである。
【実施例0065】
実施例6について説明する。本実施例は、得られた信号を使用して有効分漏れ電流の監視を情報収集装置10の内部で行うことを特徴とする。より具体的には、例えば、情報収集装置10の内部に配置された制御部21が、端子台から得られた電圧信号、及びZCT(零相変流器)からの信号を使用して、漏れ電流の有効分を得る。
【0066】
図11は、本実施例の機能構成を説明する図である。図示はしていないが、電源部23からの電力は図11の各構成が正しく動作するよう供給され得る。
【0067】
電圧信号108、ZCTからの信号109は、情報収集装置10外部の測定対象物(被測定回路)から得られた信号である。
【0068】
ゼロクロス検出回路104は、測定対象物の電圧波形のゼロクロス点を検出し、サンプリング開始信号110を発生する。記憶部105は、サンプリング開始信号110の実効値が1となる正弦波形のデジタルデータを記憶する。増幅回路101はZCTからの信号109を増幅する。
【0069】
デジタルサンプリング部102は、増幅された漏れ電流信号波形に対するデジタルサンプリングを行う。
【0070】
記憶部103は、サンプリングされたデジタル波形を記憶する。記憶されたデジタル波形は、記憶部105に記憶された実効値1の正弦波波形データと共に電力演算に使用され得る。
【0071】
漏れ電流電力Pは電圧V及び電流I及び位相角φの乗算(力率)である。算出式はP=VIcosファイ(ファイはギリシャ文字)で表現されえる。また、この漏れ電流電力Pから電圧Vを除したものが有効分電流となる。また、サンプリング方式における漏れ電流電力pは、電圧vと電流(漏れ電流)iとの瞬時値の積(p=vi)の平均で表現することができる。この平均の演算は符号106で行われる。
【0072】
この平均した漏れ電流電力pを電圧vで除することで漏れ電流の有効分が得られる。この演算は符号107で行われる。得られた漏れ電流の有効分は、情報収集装置10の外部に出力される。そのようにすれば、外部のサーバーの処理負荷を低減しつつ、不所望なインシデントの早期発見、又はその兆候を捕捉することが可能となる。
【0073】
また、漏れ電流の有効分を得る前の情報を外部に送信して、外部のクラウドサーバー等によって分析を行っても良い。この情報は、ゼロクロス点の情報、サンプリング開始信号110、実効値1の正弦波形のデジタルデータ、記憶部103によって記憶されたデジタル波形、符号106によって得られた平均のデータの少なくとも1つを含む。
【0074】
なお、漏れ電流の有効分は、上記の方法に限定されず実現可能な他の手法によって取得されてもよい。例えば、以下の手順によって取得しても良い。
【0075】
処理1:フーリエ解析により高調波成分の分離、除去を行う。この処理はZCTからの信号109(他の信号でも良い)から所望の周波数成分、例えば電源周波数を示唆する50Hz、60Hzの成分のみ抽出する処理を含む。
【0076】
処理2:位相ベクトル解析による所望のコンポーネント成分(例:コンデンサ成分)の分離、除去を行う。
【0077】
なお、上記の処理1、処理2によって分離された周波数成分、又はコンポーネント成分を情報収集装置10の外部へ出力し、クラウドサーバー等の外部端末によって分析することも本明細書の開示の範囲内である。クラウドサーバー側で漏れ電流の有効分を得ることも本明細書の開示の範囲内である。
【0078】
以上各実施例を用い詳述のように、本発明の情報収集装置10は、この1台で監視業務に必要な情報の収集と伝送を一元管理できるため、リモート保安や保安の省人化の切り札となるものであり、社会の要請に答えるものである。
【0079】
また、各種実施例を用いて本願発明の思想、概念をしたが、実施例を組み合わせて実現される事例も本願発明の範疇に含むものである。さらに、開示された思想や概念を用いる限り、それらの変形例や類似例も、本願発明の範疇に含むものである。
【0080】
また上記各実施例を用いて説明した本願の発明の一例は、以下のように表現することもできる。
【0081】
<その1>
筐体内に、電源部と、通信部と、制御部と、端子台とを有し、前記端子台からの各種情報を前記制御部で集約して前記通信部より送信可能である情報収集装置。
【0082】
<その2>
<その1>記載の情報収集装置において、筐体はプラスチックもしくは樹脂製である情報収集装置。
【0083】
<その3>
<その2>記載の情報収集装置において、前記筐体は本体部と前扉部を有し、前記前扉部は前記本体部に対し回転移動するものであり、前記前扉部を閉めた際に、前記本体部と前記前扉部は互いに重畳する防水部を有する情報収集装置。
【0084】
<その4>
<その2>記載の情報収集装置において、前記筐体の背面に磁石を有し、他の金属製筐体に取り付け可能である情報収集装置。
【0085】
<その5>
<その1>記載の情報収集装置において、表示装置を有する情報収集装置。
【0086】
<その6>
<その5>記載の情報収集装置において、前記表示装置はタッチパネルを有する情報収集装置。
【0087】
<その7>
<その6>記載の情報収集装置において、前記表示装置は、前記タッチパネルにより複数の情報を切り替える機能を有し、前記端子台から前記制御部が取り込んだ情報を表示できると共に、メンテナンス情報を表示できる情報収集装置。
【0088】
<その8>
<その1>記載の情報収集装置において、前記電源部と前記通信部と、前記制御部と、前記端子台は、その全て、またはその一部がユニット化されている情報収集装置。
【0089】
<その9>
<その8>記載の情報収集装置において、配線引き回し部を有し、各種配線の引き回しを配線引き回し部にて行う情報収集装置。
【0090】
<その10>
<その1>記載の情報収集装置において、前記端子台は、電圧に対応した端子、電流に対応した端子、ZCTに対応した端子、接点に対応した端子、パルスに対応した端子、アナログ入力に対応した端子、温度情報の入力に対応した端子、センサ入力に対応した端子、水素ガスセンサからの入力に対応した端子のいずれかを有する情報収集装置。
【0091】
<その11>
<その1>記載の情報収集装置において、カメラからの画像情報を前記通信部に伝送するハブを有する情報収集装置。
【0092】
<その12>
<その1>乃至<その11>のいずれかに記載の情報収集装置からの情報をサーバに伝送し、前記サーバはユーザー端末に機器の状況を提示する遠隔監視システム。
【0093】
<その13>
<その12>記載の遠隔監視システムにおいて、前記ユーザー端末に提示可能な情報の種類として、水素濃度、油温度、電圧、電流、電力量、力率、周波数、需要電流、トランス負荷率、トランス損失率、基本波漏れ電流、有効分漏れ電流、接点の状況、パルスのカウント値、アナログ入力値、温度のいずれかを有する遠隔監視システム。
【0094】
<その14>
<その12>記載の遠隔監視システムにおいて、前記情報収集装置の前面扉が予定外に開放された際に、前記サーバから警報を発する機能、もしくはメール報知する機能を有する遠隔監視システム。
【0095】
<その15>
<その1>乃至<その11>のいずれかに記載の情報収集装置を内部に有するキュービクル。
【0096】
<その16>
<その15>記載のキュービクルにおいて、前記キュービクルの外側に外部アンテナを有し、前記外部アンテナと前記情報収集装置の通信部を有線接続したキュービクル。
【0097】
<その17>
<その16>記載のキュービクルにおいて、前記有線接続の配線は前記キュービクルのドアパッキンの一部に切り欠き部を設けて配置され、前記切り欠き部近傍は、外側が低くなるような斜めの遮水板により雨水の侵入を防ぐ構造を有するキュービクル。
【0098】
<その18>
<その1>記載の情報収集装置において、前記制御部は前記端子台からの信号を使用して漏れ電流の有効分を取得し、前記通信部は前記有効分を前記筐体の外部へ出力する情報収集装置。
【符号の説明】
【0099】
10:情報収集装置
11:取っ手
12:ケーブル導入部
13:前面扉
15:本体部
20:通信部
21:制御部
22:表示部
23:電源部
24:端子台
24A:入力側
24B:出力側
26:ハブ
30:入力信号
31:伝送用信号
32:画像情報等
33:画像情報
40:カメラ
50:本体側防水部
51:前面扉側防水部
52:ヒンジ
55:配線引き回し部
60:サーバ
61:ユーザー端末
62:管理業者端末
70:専用回線での情報伝送
71:インターネット網
72:ユーザー端末対応情報
73:管理業者端末対応情報
74:サポート
75:問い合わせ
80:画面表示例
81:運転状況表示領域
82:詳細状況表示領域
83:対象選択領域
84:カメラ画像選択領域
85:サポート呼び出し領域
90A:警告表示アイコン
90B:注意表示アイコン
90C:正常表示アイコン
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11