(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025165325
(43)【公開日】2025-11-04
(54)【発明の名称】情報収集装置、遠隔監視システム、キュービクル
(51)【国際特許分類】
   H02J  13/00        20060101AFI20251027BHJP        
   H04Q   9/00        20060101ALI20251027BHJP        
【FI】
H02J13/00 301A 
H04Q9/00 301A 
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024069375
(22)【出願日】2024-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢吹  信也
(72)【発明者】
【氏名】石崎  伸一
(72)【発明者】
【氏名】澤幡  岳人
(72)【発明者】
【氏名】皆川  明樹
【テーマコード(参考)】
5G064
5K048
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AB01
5G064AC09
5G064BA02
5G064BA04
5G064CB08
5G064CB16
5G064DA05
5K048BA32
5K048BA34
5K048EB10
5K048HA34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機器の遠隔監視対応を容易に実現する情報収集装置および当該情報収集装置を用いた遠隔監視システムもしくはキュービクルを提供する。
【解決手段】情報収集装置は、本体部15に、電源部23と、通信部20と、制御部21と、端子台24を有し、端子台24からの各種情報を制御部21で集約して通信部20から送信する。
【選択図】
図3 
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  筐体内に、電源部と、通信部と、制御部と、端子台とを有し、
前記端子台からの各種情報を前記制御部で集約して前記通信部より送信可能である情報収集装置。
【請求項2】
  請求項1記載の情報収集装置において、筐体はプラスチックもしくは樹脂製である情報収集装置。
【請求項3】
  請求項2記載の情報収集装置において、前記筐体は本体部と前扉部を有し、前記前扉部は前記本体部に対し回転移動するものであり、前記前扉部を閉めた際に、前記本体部と前記前扉部は互いに重畳する防水部を有する情報収集装置。
【請求項4】
  請求項2記載の情報収集装置において、前記筐体の背面に磁石を有し、他の金属製筐体に取り付け可能である情報収集装置。
【請求項5】
  請求項1記載の情報収集装置において、表示装置を有する情報収集装置。
【請求項6】
  請求項5記載の情報収集装置において、前記表示装置はタッチパネルを有する情報収集装置。
【請求項7】
  請求項6記載の情報収集装置において、前記表示装置は、前記タッチパネルにより複数の情報を切り替える機能を有し、前記端子台から前記制御部が取り込んだ情報を表示できると共に、メンテナンス情報を表示できる情報収集装置。
【請求項8】
  請求項1記載の情報収集装置において、前記電源部と、前記通信部と、前記制御部と、前記端子台は、その全て、またはその一部がユニット化されている情報収集装置。
【請求項9】
  請求項8記載の情報収集装置において、配線引き回し部を有し、各種配線の引き回しを配線引き回し部にて行う情報収集装置。
【請求項10】
  請求項1記載の情報収集装置において、前記端子台は、電圧に対応した端子、電流に対応した端子、ZCTに対応した端子、接点に対応した端子、パルスに対応した端子、アナログ入力に対応した端子、温度情報の入力に対応した端子、センサ入力に対応した端子、水素ガスセンサからの入力に対応した端子のいずれかを有する情報収集装置。
【請求項11】
  請求項1記載の情報収集装置において、カメラからの画像情報を前記通信部に伝送するハブを有する情報収集装置。
【請求項12】
  請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報収集装置からの情報をサーバに伝送し、前記サーバはユーザー端末に機器の状況を提示する遠隔監視システム。
【請求項13】
  請求項12記載の遠隔監視システムにおいて、前記ユーザー端末に提示可能な情報の種類として、水素濃度、油温度、電圧、電流、電力量、力率、周波数、需要電流、トランス負荷率、トランス損失率、基本波漏れ電流、有効分漏れ電流、接点の状況、パルスのカウント値、アナログ入力値、温度のいずれかを有する遠隔監視システム。
【請求項14】
  請求項12記載の遠隔監視システムにおいて、前記情報収集装置の前面扉が予定外に開放された際に、前記サーバから警報を発する機能、もしくはメール報知する機能を有する遠隔監視システム。
【請求項15】
  請求項1乃至11のいずれかに記載の情報収集装置を内部に有するキュービクル。
【請求項16】
  請求項15記載のキュービクルにおいて、前記キュービクルの外側に外部アンテナを有し、前記外部アンテナと前記情報収集装置の通信部を有線接続したキュービクル。
【請求項17】
  請求項16記載のキュービクルにおいて、前記有線接続の配線は前記キュービクルのドアパッキンの一部に切り欠き部を設けて配置され、前記切り欠き部近傍は、外側が低くなるような斜めの遮水板により雨水の侵入を防ぐ構造を有するキュービクル。
【請求項18】
  請求項1記載の情報収集装置において、前記制御部は前記端子台からの信号を使用して漏れ電流の有効分を取得し、前記通信部は前記有効分を前記筐体の外部へ出力する情報収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は情報収集装置、および当該情報収集装置を用いた遠隔監視システムもしくはキュービクルに関する。
【背景技術】
【0002】
  受変電の分野では、機器の安全性を保つため、機器の監視が行われている。一例として、特許文献1は、ユーザーへの報知機能を有する漏電遮断器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  特許文献1は、漏電を検知した際に、その周囲にいる人間に対し報知するものである。一方、受変電の分野では、監視対象機器、監視項目は多岐にわたる。このため、従来は電気事業法に基づく定期点検等により、特に人的な直接点検により確認、安全確保が行われていた。
【0005】
  しかし、受変電設備の保守・点検業務において、設備等の高経年化が進む中、電気保安に携わる法的な資格を有する電気保安人財である電気主任技術者の高齢化や、電気保安分野への入職者減少による人手不足が深刻となっている。このため、経済産業省から発表されているスマート保安、すなわち保守・点検業務の省力化は危急の社会的要請となっている。
【0006】
  本発明は、かかる事情に基づき、機器の遠隔監視対応を容易に実現するための情報収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
  上記課題を解決するための手段の一例をあげれば、以下のようになる。
【0008】
  筐体内に、電源部と、通信部と、制御部と、端子台を有し、前記端子台からの各種情報を前記制御部で集約して前記通信部より送信可能である情報収集装置。
【発明の効果】
【0009】
  本発明によれば、種々の監視対象機器の情報を、情報収集装置にて集約、伝送することができるため、各機器個別に情報収集、伝送を行う場合に比べ、設置作業の容易化が実現できる。また、現場においても、各監視対象機器の情報を一元確認できるため、監視作業の迅速化が実現できる。
【0010】
  本願発明の更なる手段および更なる効果は、以下明細書全文を通じ明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
            【
図1A】本発明の一実施例での情報収集装置の正面図である。
 
            【
図1B】本発明の一実施例での情報収集装置の側面図である。
 
            【
図1C】本発明の一実施例での情報収集装置の背面図である。
 
            【
図1D】本発明の一実施例での情報収集装置の上面図である。
 
            【
図2】本発明の一実施例での情報収集装置の、扉を開けた状態の説明図である。
 
            【
図3】本発明の一実施例での情報収集装置の、機器構成の説明図である。
 
            【
図4A】本発明の一実施例での端子台の説明図である。
 
            【
図4B】本発明の一実施例での端子台への入力信号の説明図である。
 
            【
図5】本発明の他の実施例での情報収集装置の、機器構成の説明図である。
 
            【
図6】本発明の情報収集装置を用いた遠隔監視に関する説明図である。
 
            【
図7】本発明の情報収集装置を用いた遠隔監視に関する説明図である。
 
            【
図8】本発明の遠隔監視システムでの、監視画面例の模式説明図である。
 
            【
図9】本発明の情報収集装置にて収集される情報の一例である。
 
            【
図10】本発明の情報収集装置の内部構造例を示す図である。
 
            
          
【発明を実施するための形態】
【0012】
  以下、本発明の実施例について、必要に応じて図面を用いながら説明する。
【実施例0013】
【0014】
  情報収集装置10は、前面扉13と本体部15を有する。また前面扉13に前面扉の開閉用の取っ手11を設けてもよい。また背面側に、監視対象機器と接続するケーブルを導入する導入口を設けてもよい。導入口は、本体部15の下面に設けることもできる。もしくは、配線に対応して個別に穴をあけてもよい。
【0015】
  情報収集装置10の外装は、金属で構成することもできる。一方、後述するが、本発明では情報収集装置10の内部に通信部20を設置し、携帯電話回線や専用回線等を用いて無線通信するものである。そこで、電波の通りをよくするためには、情報収集装置10の外装をプラスチックや樹脂等の、防水性を有する非金属材料で構成することが、より望ましい。望ましい材質の一例は、ポリカーボネートやABS樹脂、あるいはそれらの組み合わせである。本実施例では、一例として、ポリカーボネートとABS樹脂の組み合わせで構成する。
【0016】
  情報収集装置10の取り付け方法は、種々の取り付けが可能であるが、例えば背面にマグネットを設け、それをキュービクルや配電盤の外板などの磁性体平板に取り付けることで、簡単に設置することが出来る。これは、交換容易性の観点も含む。
【0017】
  図2は、本発明の一実施例での情報収集装置の、扉を開けた状態の説明図である。本体部15に対し、ヒンジ52により前面扉13が回転して開放されている。50は本体側防水部、51は前面扉側防水部である。前面扉13を本体部15に閉じた際には、この2つの出っ張りが重畳することにより、雨水侵入に対する防水の効果も果たすものである。なお、図中では右回転で扉が開く例であるが、左回転で開く場合、あるいは上側に回転して開く場合なども含むものである。
 
【0018】
  なお、
図3にて後述するが、本発明の情報収集装置は、通信機能を備えるものである。このため外部からの不法なアクセスを抑制する配慮を行うことが望ましい。その対策として、前面扉13を予定外に開くと、警報を発する機能を備えるようにしてもよい。あるいは、ドアスイッチを設け、ドアスイッチの状態に関し、通信部20を介して、扉が開いた際に、
図6を用いて後述するサーバ60に伝達し、サーバ60が警報を発する、あるいはメール報知する機能を設けてもよい。機器のセキュリティ対応が向上できるからである。
 
【0019】
  図3は、本発明の一実施例での情報収集装置の、機器構成の説明図である。本体部15に内蔵される機器の説明となる。
 
【0020】
  通信部20と、制御部21と、電源部23と、端子台24を有する。表示部22を有すると、情報収集装置10自体で各種情報の表示が可能となるため、より望ましい。
【0021】
  通信部20は、一例として、産業用無線ルータである。携帯電話回線を通じて、情報収集装置10に収集された情報を外部に伝送するものである。
【0022】
  制御部21は、端子台24に入力される各種情報を、通信部20にて外部伝送できるように、情報を集約、あるいは情報の形式を整える、もしくは情報を整理する部分であり、その処理の目的で、CPU等の演算回路や、メモリ等の一時記憶媒体を有する。なおメモリはCPUに内蔵されたものであってもよい。
【0023】
  制御部21と一体に、あるいは別体に、表示部22を有してもよい。いわゆるディスプレイである。情報収集装置10に集められた情報や、情報収集装置10の稼働状態等を、その場で確認するための表示部である。液晶ディスプレイ、自発光素子等、種々の形式のディスプレイが適用できる。いずれの場合も、簡易操作器として表示部22を兼用させる目的では、表示部22はタッチパネルを有することが望ましい。また、複数の情報を切り替える機能を有し、取り込んだ情報を表示でき、かつメンテナンス情報を表示できるようにしてもよい。
【0024】
  制御部21と表示部22を合わせ、あるいは一体に有し、監視ユニットと呼称することもできる。
【0025】
  電源部23は、通信部20、制御部21、表示部22等に電源を供給するための部分である。なお、この電源部23には、構成が単純なブレーカのみの場合も含むものである。またコンセントや、電圧変換回路等を有する場合も含みものである。さらに、情報収集装置10と接続される外部機器へ電源を供給する場合もある。
【0026】
  端子台24は、外部の監視対象機器と結線し、外部機器の情報を情報収集装置10に入力するために用いる。各種センサからの配線作業が容易になるという利点がある。端子台24に入力された情報は、入力信号30として制御部21に送られる。制御部21で情報を集約、あるいは情報の形式を整える、もしくは情報を整理した後、伝送用信号31として通信部20に送られ、通信部20から外部のサーバ等に情報伝送が行われる。
【0027】
  端子台24の入力側24Aに接続するケーブル類は、コネクタで集約し、コネクタ接続するようにしてもよい。この場合、配線作業の容易化の効果を奏することが出来る。
【0028】
  図4Aは、本発明の一実施例での端子台の説明図である。24Aは入力側、24Bは出力側である。
 
【0029】
  図4Bは、本発明の一実施例での端子台への入力信号の説明図である。一例として、電圧V、電流I、ZCTで検出する低圧漏れ電流、接点の状態、パルス信号、アナログ入力、温度入力がある。電圧は、例えばR-S間、S-T間、電流はR、S、T各相などが一例である。アナログ信号は、例えば直流4~20mAのような微小電流の場合も含む。温度は、例えばPt100Ωのような測温抵抗体の値も含む。なお、入力信号は、あくまで一例である。全ての信号に対応した端子を有する場合、もしくは全ての信号に対応した入力がされる場合のみに限定するものではなく、それらの端子の一部を有する場合、もしくはそれらの信号の一部が入力される場合も含むものである。
 
【0030】
  また各種センサからのアナログ、もしくはデジタルの信号や、トランスの絶縁油に含まれる可燃性ガス濃度や、その他設備に取り付けられたセンサからの値を入力することもできる。
【0031】
  本実施例での情報収集装置10は、荷電中に容易に立ち入ることができない設備(部分)の電気量、環境状態など予防保全に寄与する情報を、各種センサから電気信号で取り込む信号取込み部と、取り込んだ情報を整理する制御部と、取り込んだ情報を外部へ出力する通信部とを備えた情報収集装置と表現することもできる。
【0032】
  本実施例での情報収集装置は、複数の機器の監視に必要な機能が1つの筐体にまとめられているため、機器の遠隔監視を容易に実現できる。特許文献1では漏電を検知した際に周囲に報知するのもであったが、本実施例の情報収集装置を用いれば、遠隔監視を容易に実現できる。さらに、監視対象機器が増えても、あるいは監視対象項目が増えても、本情報収集装置があれば追加の装置や機能なしに遠隔監視対応が可能となるため、監視業務の省人化、低コスト化、効率化に対する切り札となるものである。また1つの筐体に必要な機能が収められているため、設置作業も容易であり、迅速に遠隔監視対応が実現できるものでもある。
 
  ハブ26からは、直接に通信部20に画像情報等を伝送する場合のみだけでなく、制御部21に伝送する場合も含むものである。但し、カメラ40からの画像情報は情報量が多いため、制御部21に搭載される演算装置では、複雑な処理には性能が不足する、もしくは対応できる演算装置を搭載すると高価格になるという問題がある。それゆえ、カメラ40からの画像情報は、無加工で、あるいは通信可能とするための必要最低限の変換のみを施し、基本的にはそのまま通信部20からサーバ等の外部機器に伝送することが望ましい。