(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001656
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】荷電粒子露光装置の画像伝達関数の決定方法及び露光基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241225BHJP
【FI】
H01L21/30 541M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024098297
(22)【出願日】2024-06-18
(31)【優先権主張番号】23180357.8
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509316578
【氏名又は名称】アイエムエス ナノファブリケーション ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ シュペングラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ ナエタル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ライトナー
(72)【発明者】
【氏名】エルマー プラッツギュンマー
【テーマコード(参考)】
5F056
【Fターム(参考)】
5F056AA04
5F056CC13
5F056CD03
(57)【要約】
【課題】とりわけ電子ビームリソグラフィにおいて画像伝達関数の決定を可能にする。
【解決手段】画像伝達関数(点広がり関数)のパラメータの決定方法が提供される。複数のモデルパラメータを含む画像伝達関数を記述するモデルに関し、同じサブパターンテンプレートに基づくがラインの幅やライン間距離のようなテンプレートにおける一特徴の変化する制御幅を有するマルチプルサブパターン(55)を含む試験パターン(50)を用いて試験基板が露光及び現像される。試験基板において、アイソフォーカルドーズ測定は、試験基板においてそのようにして形成された構造を用いて、制御及びイメージングパラメータを変化しながら実行される。そのようにして決定されたアイソフォーカルドーズは画像伝達関数のモデルパラメータの決定のために使用される。
【選択図】
図5D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子露光装置のターゲット面に位置付けられたターゲットの露光中に前記荷電粒子露光装置の画像伝達関数を決定する方法であって、
前記画像伝達関数は、前記荷電粒子露光装置のパターン規定装置のシングルアクティブ要素から、前記シングルアクティブ要素が前記荷電粒子露光装置において基板に画像化される際に生じる前記ターゲット面において生成されるドーズないしエネルギの分布を記述するものであり、
前記方法は以下のステップを含む:
i.前記画像伝達関数のモデルを提供すること、但し前記モデルは決定されるべき少なくとも1つの関数パラメータを含む、
ii.前記画像伝達関数の全体強度を記述するベース露光ドーズ以外の、前記荷電粒子露光装置の予め規定可能なイメージングパラメータを修正することによって調節可能な、ビームブラー及びビームフォーカスの少なくとも1つを含むイメージング特性のセットを選択すること、
iii.前記荷電粒子露光装置を用いて、試験基板を試験パターンで露光し、前記試験基板を現像して、少なくとも1つの試験基板上に試験構造を形成すること、但し、
前記試験パターンは複数のサブパターンを含み、各サブパターンは少なくとも1つの制御パラメータに従って修正されるサブパターンテンプレートのコピーであり、前記少なくとも1つの制御パラメータは所定のパラメータ範囲内において前記複数のサブパターンにわたって変化する、及び、
前記試験パターンは、前記ベース露光ドーズ及び前記荷電粒子露光装置の少なくとも1つのイメージングパラメータが変化されながら、前記試験基板に複数回露光され、前記基板上に複数の試験パターンコピーが形成される、
そのようにして形成された試験構造は複数のサブ構造を含み、各サブ構造はイメージングパラメータ、前記ベース露光ドーズ及び前記少なくとも1つの制御パラメータの特定値と関連付けられている、
iv.サブ構造の特徴の限界寸法を含む少なくとも1つの測定可能量について前記複数のサブ構造を評価すること、
v.前記少なくとも1つの制御パラメータの各値について、前記複数のサブ構造間における前記少なくとも1つの測定可能量の変化を前記イメージングパラメータの関数として決定し、前記変化から、アイソフォーカルドーズの夫々の値を決定すること、但し前記変化は前記イメージングパラメータにおける変化に関し最小の変化である、
vi.ステップvにおいて決定されたアイソフォーカルドーズの値を用いて、前記少なくとも1つの制御パラメータの関数として、前記画像伝達関数の前記少なくとも1つの関数パラメータを計算すること。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
ステップiv及びvにおける前記測定可能量は前記サブ構造の着目特徴の限界寸法を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記画像伝達関数は、半径方向に対称的なマルチガウシアン関数の重み付き和としてモデル化されること、但し前記重み付き和は少なくとも3つのガウシアン成分を被加数として含む、
ステップviにおいて、前記重み及び/又は複数の前記被加数のうちの少なくとも1つの被加数の長さスケールが決定されること
を特徴とする、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記画像伝達関数は、ステップviにおいて決定されるパラメータとして重み及び長さスケールを有する少なくとも1つの中距離成分を含むマルチガウシアン関数を含み、前記長さスケールは200nm~2μmの範囲に制限された幅に対応すること
を特徴とする、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記方法は、更に、以下のステップ:
ii’.ステップiで提供されたモデル及びその少なくとも1つの関数パラメータに関し、前記少なくとも1つの測定可能量のモデル計算を前記イメージング及び制御パラメータのサブセットの関数として計算し、前記モデル計算が前記少なくとも1つの測定可能量が前記パラメータに関し不変であることを予測する場合に前記サブセットのパラメータの値を決定すること、
を含むこと、
ステップii’はステップviの前に実行されること、
ステップviは、前記画像伝達関数の最終パラメータを取得するために、最小変化のコースに対する前記モデル計算の最小二乗フィッティングの実行を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
ステップv[vi]におけるフィッティングは、前記モデル計算におけるパラメータの値と前記最小変化のコースとの間の差の平方の重み付き和を含む評価関数の最適値を見つけることによって実行されること
を特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記評価関数は正則化項が追加されること、前記正則化項は前記画像伝達関数及び/又はその大きさの一次及び/又は二次の半径方向微分(L2)又は画像伝達関数のベクトルの絶対値の和(L1)を含むこと
を特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記荷電粒子露光装置のイメージングシステムのレンズ及び/又はマルチポールレンズコンポーネントの適切な静電電圧の調整によりビームを物理的にデフォーカスすることによって、ビームブラーの複数の異なる値が生成されること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、
増大されるブラーをエミュレートするよう前記パターンを調整することによって、ビームブラーの複数の異なる値が生成されること
を特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、
前記サブパターンテンプレートは、以下:
シングルライン、但し前記制御パラメータはラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記2つの外側ラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記中央ラインからの前記2つの外側ラインの距離である;
又はこれらの組み合わせ
の1つから選択されること、
結果として生じたサブ構造における測定可能量は前記シングルライン又は前記中央ラインの幅であること
を特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の方法のステップi~iiiに従って荷電粒子露光装置において露光された少なくとも1つの試験基板上の試験構造を含む露光された基板であって、
前記試験構造は複数のサブ構造を含み、前記複数のサブ構造はサブパターンにわたって変化する制御パラメータに従って修正された同じ基礎サブパターンテンプレートのコピーを用いて形成されること
を特徴とする、基板。
【請求項12】
請求項11に記載の基板において、
前記基板は、更に、イメージングパラメータの夫々の値を適用することによって前記荷電粒子露光装置において形成されたマルチプルサブ構造を含み、前記値は前記マルチプルサブ構造の夫々の間で異なっていること
を特徴とする、基板。
【請求項13】
請求項11に記載の基板において、
前記基礎サブパターンテンプレートは、以下:
シングルライン、但し前記制御パラメータはラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記2つの外側ラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記中央ラインからの前記2つの外側ラインの距離である;
又はこれらの組み合わせ、
の1つを含むこと、
結果として生じたサブ構造における測定可能量は前記シングルライン又は前記中央ラインの幅であること
を特徴とする、基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2023年6月20日に出願された欧州特許出願第23180357.8号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、荷電粒子処理装置において使用されるパターン描画方法に関し、より詳細には、荷電粒子露光装置のターゲット面において位置決めされたターゲットの露光中における当該装置の―点広がり関数のような―画像伝達関数の決定に関する。
【背景技術】
【0003】
この種の方法及び装置はレチクル製造又はマスクレス直接描画リソグラフィにおいて使用される。本出願人は、例えば、US9,520,268、US6,768,125、US8,222,621及びUS8,378,320に、そのような方法及び装置を記載している。とりわけ、本出願人は、EUVリソグラフィのためのマスク(複数)の及びインプリントリソグラフィのためのテンプレート(複数)(1×マスク(複数))の、193nm液浸リソグラフィのための最先端の複合フォトマスクを実現するための50keV電子マルチビーム描画機を既に実現した。該システムは、6”(インチ)マスクブランク基板の露光用のeMET(electron Mask Exposure Tool:電子マスク露光ツール)又はMBMW(multi-beam mask writer:マルチビームマスク描画機)と称される。
【0004】
本発明の典型的な一具現化例は、
図1(縮尺は正確ではない)に模式的に示されているような荷電粒子露光装置を使用する。該装置は、荷電粒子ビーム12を生成する荷電粒子照射(照明)システム11、投射光学システム13、好ましくはビームを平行に伝搬する複数のサブビーム(「マルチビーム」19)へと成形することによって、ビームないし基板に転写されるパターンの形状を修正するビーム成形装置ないしアパーチャアレイ装置14を含む。更に、該装置は、クランプ16(又は他のタイプのマウント)によって移動ステージ17に機械的に固定された露光されるべきターゲット15(例えばレジスト被覆石英フォトマスク又はシリコンウェハ)を収容する露光チャンバ10を含む。露光装置は処理システム18によって制御される。荷電粒子露光装置についての更なる詳細は上記の刊行された特許文献に見出すことができる。
【0005】
本発明は、描画プロセスのために使用される電子ビームとレジスト及び基板との相互作用によって引き起こされる電子ビームリソグラフィにおける近接効果の補正の一定の改善を目指している。とりわけ、本発明は、近接効果補正における使用に適切な点広がり関数を決定するための方法を目指している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US9,520,268
【特許文献2】US6,768,125
【特許文献3】US8,222,621
【特許文献4】US8,378,320
【特許文献5】US5,241,185
【特許文献6】US6,815,693
【特許文献7】US7,511,290
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H. Tanabe et al. in Proc. SPIE Vol. 7748, Photomask and Next-Generation Lithography Mask Technology XVII, 774823; https://doi.org/10.1117/12.862641において入手可能
【非特許文献2】P. Hudek et al. in J. Micro/Nanopattern. Mats. Metro. 20(4) 041402; https://doi.org/10.1117/1.JMM.20.4.041402において入手可能
【非特許文献3】K. Keil et al. in Microelectronic Engineering, Volume 85, Issues 5-6, pp. 778-781; https://doi.org/10.1016/j.mee.2008.01.042において入手可能
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近接効果補正(PEC:proximity effect correction)は、これは後方散乱電子からの追加ドーズを考慮するために露光されるべきパターンないしその露光ドーズ量を調節するものであるが、電子ビームリソグラフィにおいて確立された技術である。例えば、US5,241,185、US6,815,693又はUS7,511,290参照。
【0009】
この目的のために、パターン規定装置のシングル要素(該シングル要素は最小の横広がりを有し、理想的には点状である)からターゲット面への画像伝達関数を記述する露光強度分布関数(又は点広がり関数)として電子・基板相互作用をモデル化することが知られている;次いで、この露光強度分布関数は、ターゲット上におけるドーズ分布を得るためにパターンで畳み込まれる。
【0010】
193nm液浸リソグラフィで使用されるCoG(Chrome on Glass)又はOMOG(Opaque MoSi on Glass)フォトマスクについては、点広がり関数の典型的な一選択肢は二成分マルチガウシアン(Multi-Gaussian)
である。ここで、
は、(20nmのオーダーの)距離(range)αと1に規格化された重みを有する前方散乱成分であり、
は、(10μmのオーダーの)距離(range)βを有し(0.3~0.8の範囲の典型的な値をとる)重みないし後方散乱比ηを伴う後方散乱成分であり、
は、1に規格化された積分による(回転対称)ガウス分布である。
【0011】
とりわけ、極紫外線(EUV)リソグラフィにおいて使用されるレチクルについては、二ガウス(成分)モデルは通常は十分ではない。というのは、EUVマスクブランク上に見出される厚いMo/Siマルチレイヤ構造によって生成される後方散乱効果はより複雑だからである(H. Tanabe et al. in Proc. SPIE Vol. 7748, Photomask and Next-Generation Lithography Mask Technology XVII, 774823; https://doi.org/10.1117/12.862641において入手可能、参照)。その代わりに、より多くのガウス成分を有するモデルは好適である。例えば、トリプルガウス(成分)モデル
が使用される。ここで、
は、(典型的には400nmのオーダーの)距離(範囲)γを有し対応する重みν(凡そ0.2)を伴う中距離(mid-range)散乱成分である。
【0012】
従来技術のアプローチの1つは、可変のドーズないしパターンについて生成かつ測定される限界寸法(複数)(CD)の値(複数)に対して(現像及びエッチング効果を含み得る)露光モデルを課して(imposing)フィッティングすることによって点広がり関数(PSF)を決定する(例えばP. Hudek et al. in J. Micro/Nanopattern. Mats. Metro. 20(4) 041402; https://doi.org/10.1117/1.JMM.20.4.041402において入手可能、参照)。
【0013】
更に、従来技術においては、電子ビームリソグラフィにおけるプロセスウィンドウ(複数)を決定及び比較するためにアイソフォーカル(isofocal)ドーズ測定の使用が提案されている(例えば、K. Keil et al. in Microelectronic Engineering, Volume 85, Issues 5-6, pp. 778-781; https://doi.org/10.1016/j.mee.2008.01.042において入手可能、参照);しかしながら、このアプローチは、とりわけ近接効果補正に関し、点広がり関数の決定に適していない。
【0014】
以下における本発明に応じた方法の目的は、とりわけ電子ビームリソグラフィにおける近接効果補正における使用に関する、点広がり関数(ないしそのパラメータ(複数))を、より一般的には画像伝達関数を、決定することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の視点により、荷電粒子露光装置のターゲット面に位置付けられたターゲットの露光中に前記荷電粒子露光装置の画像伝達関数を決定する方法が提供される。前記方法において、前記画像伝達関数は、前記荷電粒子露光装置のパターン規定装置のシングルアクティブ要素から、前記シングルアクティブ要素が前記荷電粒子露光装置において基板に画像化される際に生じる前記ターゲット面において生成されるドーズないしエネルギの分布を記述するものであり、
前記方法は以下のステップを含む:
i.前記画像伝達関数のモデルを提供すること、但し前記モデルは決定されるべき少なくとも1つの関数パラメータを含む、
ii.前記画像伝達関数の全体強度を記述するベース露光ドーズ以外の、前記荷電粒子露光装置の予め規定可能なイメージングパラメータを修正することによって調節可能な、ビームブラー及びビームフォーカスの少なくとも1つを含むイメージング特性のセットを選択すること、
iii.前記荷電粒子露光装置を用いて、試験基板を試験パターンで露光し、前記試験基板を現像して、(前記)少なくとも1つの試験基板上に試験構造を形成すること、但し、
前記試験パターンは複数のサブパターンを含み、各サブパターンは少なくとも1つの制御パラメータに従って修正されるサブパターンテンプレートのコピーであり、前記少なくとも1つの制御パラメータは所定のパラメータ範囲内において前記複数のサブパターンにわたって変化する(前記複数のサブパターンのサブパターン毎に変化する)、及び、
前記試験パターンは、前記ベース露光ドーズ及び前記荷電粒子露光装置の少なくとも1つのイメージングパラメータが変化されながら、前記試験基板に複数回露光され、前記基板上に複数の試験パターンコピーが形成される、
そのようにして形成された試験構造は複数のサブ構造を含み、各サブ構造はイメージングパラメータ(複数)、前記ベース露光ドーズ及び前記少なくとも1つの制御パラメータの特定値(複数)と関連付けられている、
iv.サブ構造の特徴(ないし特徴量)の限界寸法(critical dimension)を含む少なくとも1つの測定可能量について前記複数のサブ構造を評価すること、
v.前記少なくとも1つの制御パラメータの各値について、前記複数のサブ構造間における前記少なくとも1つの測定可能量の変化を前記イメージングパラメータの関数として決定し、前記変化から、アイソフォーカルドーズの夫々の値を決定すること、但し前記変化は前記イメージングパラメータ(複数)における変化に関し最小の変化である、
vi.ステップvにおいて決定されたアイソフォーカルドーズの値(複数)を用いて、前記少なくとも1つの制御パラメータの関数として、前記画像伝達関数の前記少なくとも1つの関数パラメータを計算すること。
本発明の第2の視点により、本発明の方法のステップi~iiiに従って荷電粒子露光装置において露光された少なくとも1つの試験基板上の試験構造を含む露光された基板が提供される。
前記基板において、前記試験構造は複数のサブ構造を含み、前記複数のサブ構造は、サブパターン(複数)にわたって変化する制御パラメータに従って修正された同じ基礎(underlying)サブパターンテンプレートのコピー(複数)を用いて形成されること
を特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の方法において、
ステップiv及びvにおける前記測定可能量は前記サブ構造(複数)の着目特徴(ないし着目特徴量)の限界寸法を含むこと
が好ましい。
(形態3)形態1又は2に、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記画像伝達関数は、半径方向に対称的なマルチガウシアン関数の重み付き和としてモデル化されること、但し前記重み付き和は少なくとも3つのガウシアン成分を被加数(summand)として含む、
ステップviにおいて、前記重み及び/又は複数の前記被加数のうちの少なくとも1つの被加数の長さスケール(length scales)が決定されること
が好ましい。
(形態4)形態3に記載の方法において、
前記画像伝達関数は、ステップviにおいて決定されるパラメータとして重み及び長さスケールを有する少なくとも1つの中距離成分を含むマルチガウシアン関数を含み、前記長さスケールは200nm~2μmの範囲に制限された幅に対応すること
が好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかに、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記方法は、更に、以下のステップ:
ii’.ステップiで提供されたモデル及びその少なくとも1つの関数パラメータに関し、前記少なくとも1つの測定可能量のモデル計算を前記イメージング及び制御パラメータの(前記)サブセットの関数として計算し、前記モデル計算が前記少なくとも1つの測定可能量が前記パラメータに関し不変であることを予測する場合に前記サブセットのパラメータの値を決定すること、
を含むこと、
ステップii’はステップviの前に実行されること、
ステップviは、前記画像伝達関数の最終パラメータ(複数)を取得するために、最小変化のコースに対する前記モデル計算の最小二乗フィッティングの実行を含むこと
が好ましい。
(形態6)形態5に記載の方法において、
ステップv[vi]におけるフィッティングは、前記モデル計算におけるパラメータ(複数)の値(複数)と前記最小変化のコースとの間の差(複数)の平方の重み付き和を含む評価関数の最適値を見つけることによって実行されること
が好ましい。
(形態7)形態6に記載の方法において、
前記評価関数は正則化項が追加されること、前記正則化項は、前記画像伝達関数及び/又はその大きさ(magnitude)の一次及び/又は二次の半径方向微分又は画像伝達関数(複数)のベクトルの絶対値の和を含むこと
が好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかに、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記荷電粒子露光装置のイメージングシステムのレンズ及び/又はマルチポールレンズコンポーネントの適切な静電電圧の調整(modulation)によりビームを物理的にデフォーカスすることによって、ビームブラーの複数の異なる値が生成されること
が好ましい。
(形態9)形態1~8の何れかに、とりわけ形態1に記載の方法において、
増大されるブラーをエミュレートするよう前記パターンを調整することによって、ビームブラーの複数の異なる値が生成されること
が好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかに、とりわけ形態1に記載の方法において、
前記サブパターンテンプレートは、以下:
シングルライン、但し前記制御パラメータはラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記他の2つのラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記中央ラインからの前記他の2つのラインの距離である;
又はこれらの組み合わせ
の1つから選択されること、
結果として生じたサブ構造における測定可能量は前記シングルライン又は前記中央ラインの幅であること
が好ましい。
(形態11)上記本発明の第2の視点参照。
(形態12)形態11に記載の基板において、
前記基板は、更に、イメージングパラメータ(複数)の夫々の値(複数)を適用することによって前記荷電粒子露光装置において形成されたマルチプルサブ構造(複数)を含み、前記値(複数)は前記マルチプルサブ構造の夫々の間で異なっていること
が好ましい。
(形態13)形態11又は12に、とりわけ形態11に記載の基板において、
前記基礎(underlying)サブパターンテンプレートは、以下:
シングルライン、但し前記制御パラメータはラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記他の2つのラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記中央ラインからの前記他の2つのラインの距離である;
又はこれらの組み合わせ、
の1つを含むこと、
結果として生じたサブ構造における測定可能量は前記シングルライン又は前記中央ラインの幅であること
が好ましい。
【0017】
本方法は、同じサブパターンテンプレートに基づくがラインの幅やライン間の距離のようなテンプレートの一特徴(ないし一特徴量)の変化する制御幅を有するマルチプルサブパターン(複数)を含む試験パターンを用いて試験基板(これは、好ましい場合、基板(複数)のセットでもあり得る)を露光及び現像することによって、複数のモデルパラメータによって画像伝達関数を記述する(数学的又は数値的)モデルの観点から問題にアプローチする。この試験基板について、相応の(対応する)回数のアイソフォーカルドーズ測定が、そのようにして形成された試験構造(複数)に対し、制御及びイメージングパラメータ(複数)を変化しながら実行される(テンプレートの一特徴の制御幅が後方散乱に影響を及ぼすように変化される場合、着目特徴(ないし着目特徴量)が対象となる)。次いで、アイソフォーカルドーズ測定値(複数)が、画像伝達関数(点広がり関数)を決定するために使用される。
【0018】
より詳細には、本発明は、荷電粒子露光装置のターゲット面に位置付けられたターゲットの露光中に荷電粒子露光装置の、とりわけ点広がり関数のような、画像伝達関数を決定する方法を提案する。本方法において、画像伝達関数は、荷電粒子露光装置のパターン規定装置の(シングルアパーチャ開口、ないし理想的には点状開口のような)シングルアクティブ要素から、シングルアクティブ要素が荷電粒子露光装置において基板に画像化される際に生じるターゲット面において生成されるドーズないしエネルギの分布を記述するものであり、本方法は以下のステップを含む:
i.画像伝達関数のモデルを提供すること、但し該モデルは決定されるべき少なくとも1つの関数パラメータを含む;
ii.荷電粒子(露光)装置の予め規定されるイメージングパラメータ(複数)を修正することによって調節可能な(荷電粒子露光装置に関する)イメージング特性(複数)のセットを選択すること;イメージング特性(複数)は典型的にはビームブラー及び/又はビームフォーカスを含むが、画像伝達関数の(ターゲット面(全体)にわたって積分される強度であるという意味で)全体強度を記述するベース露光ドーズを含まない;
iii.荷電粒子露光装置を用いて、(シングル基板又は個別試験基板(複数)のセットであり得る)試験基板を試験パターンで露光し、該試験基板を現像して(及び任意的に更なる処理、例えばエッチングを行って)、当該少なくとも1つの試験基板上に試験構造を形成すること、但し、
試験パターンは複数のサブパターンを含み、各サブパターンは少なくとも1つの制御パラメータに従って修正されるサブパターンテンプレートのコピーであり、当該少なくとも1つの制御パラメータは所定のパラメータ範囲内において前記複数のサブパターンの(各)サブパターン(複数)にわたって変化する、及び、
試験パターンは、ベース露光ドーズの値(複数)及び荷電粒子(露光)装置の少なくとも1つのイメージングパラメータが変化されながら、試験基板に複数回露光され、以って、基板上に複数の試験パターンコピーが形成される(その結果、複数の試験パターンコピーの各々はイメージングパラメータ(複数)の夫々の/異なるインスタンスに関連付けられ得る)、
そのようにして形成された試験構造は複数のサブ構造を含み、各サブ構造はイメージングパラメータ(複数)、ベース露光ドーズ及び前記少なくとも1つの制御パラメータの特定値(複数)と関連付けられている、
iv.サブ構造の特徴(複数)の限界寸法(critical dimension)を含む少なくとも1つの測定可能量について前記複数のサブ構造を評価すること、
v.少なくとも1つの制御パラメータの各値について、複数のサブ構造間における前記少なくとも1つの測定可能量の変化をイメージングパラメータ(複数)の関数として決定し、当該変化から、アイソフォーカルドーズの夫々の値を決定すること、但し前記変化はイメージングパラメータ(複数)における変化に関し最小の変化である、
vi.ステップvにおいて決定されたアイソフォーカルドーズの値(複数)を用いて、少なくとも1つの制御パラメータの関数として、画像伝達関数の少なくとも1つの関数パラメータを計算すること。
【0019】
とりわけ、点広がり関数(PSF)の場合、イメージングパラメータ(複数)は、露光のグローバルドーズないし最大ドーズ及び/又はPSFのブラー(ボケ)を含む;測定可能量は例えば形成されるサブ構造(複数)における特定のライン(複数)のライン幅である。更に、本発明に応じた方法の多くの実施形態では、アイソフォーカルドーズの追加のパラメータも決定可能である。PSFのパラメータ(複数)の例(複数)は、上記のマルチガウシアンの場合における「距離(range)」パラメータα、β、γのような、PSFの「幾何学的(geometrical)」形状及び/又は距離(range)を記述するパラメータである。
【0020】
上記のような従来法と比べて、本方法は幾つかの利点を提供する。第1に、本方法は、(点広がり関数によってモデル化される)電子・レジスト相互作用と(現像及びエッチングバイアスないしローディングのような)処理効果のある程度のデカップリングを可能にする。これは、本発明に応じたアイソフォーカルドーズ測定(複数)は一定のパターンについての光学パラメータ(複数)を調整することによって実行され、以って、各アイソフォーカルドーズ測定について比較的に狭い範囲の露光CDが得られ、かくして、比較的一定のエッチング及び現像レジームが確立されるためである。これに対し、ライン測定値(複数)への点広がり関数のフィッティングに基づく既知の方法は、典型的には、シングル(単一の)フィッティングにおいて広範囲の特徴サイズの特徴(ないし特徴量)(複数)(及びパターン密度)を使用するが、これは、点広がり関数に処理効果を必然的に組み込み(導入し)、以って、決定された点広がり関数の精度(accuracy)に対し有害な影響を及ぼす。更に、前方散乱距離αと比べて十分に大きいパターンに対しては、(パターンの)アイソフォーカルドーズは、後方散乱の量(amount)及び距離(ないし範囲:range)のみに依存する一方で、前方散乱距離(範囲)には依存しないこととなる。本発明者は、このことは、本発明の意義において、後方散乱パラメータ(複数)の決定を単独で(独立に)可能にし、通常は前方散乱距離を決定する必要はないことに気付いた。非アイソフォーカルドーズについての限界寸法の値(複数)及びドーズ変化下におけるCDの変化は、これに対し、(ドーズ及び/又はバックグランドに依存して)前方散乱距離αに強く依存するが、このことは、既知の従来方法が一般的に点広がり関数のパラメータ(複数)の完全な可変領域を決定する必要があることの理由である。従って、本発明は、アイソフォーカルドーズ及び他のPSFパラメータ(複数)を、より高速にかつ演算の複雑性を低減して、決定することを可能にする。
【0021】
とりわけ、本発明の多くの実施形態では、画像伝達関数は、シングルアクティブ要素によって生成される粒子ビームに応答して、ターゲット面に位置付けられたレジスト被覆ターゲットのレジスト層における吸収エネルギの分布を記述する点広がり関数であり、点広がり関数のモデルはターゲットにおける荷電粒子の散乱を説明するために具現化され得る。この場合、サブ構造(複数)を異なる値の最大露光ドーズ及びイメージングのブラーでステップii[iii]において露光させることは有利であり得る。更に、ステップiv及びvにおける測定可能量は、サブ構造における着目特徴の限界寸法を含み得る。更に、本発明の多くの実施形態は、アイソフォーカルドーズ又はそれに対応するパラメータの決定を含み得るが、この場合、アイソフォーカルドーズが露光されたパターンの測定された限界寸法がビームブラーの変化の下で不変であるドーズ値を表す。とりわけ、本方法は、典型的には、アイソフォーカルドーズ(又はそれに対応するパラメータ)を決定することを含むが、アイソフォーカルドーズは、その場合、ステップviにおいて、画像伝達関数の(1又は複数の)関数パラメータの計算のために使用されることができる。なお、アイソフォーカルドーズは、通常は、制御及びイメージングパラメータの幾つかの関数であるが、そのような場合、アイソフォーカルドーズは、定常パラメータコース(stationary parameter course)に沿って変化する;かくして、画像伝達関数の(1又は複数の)パラメータの計算は、パターン密度又はライン間隔の制御幅のような、あるパラメータ(複数)からのアイソフォーカルドーズの依存性も含み得る。更に、ビームブラーの異なる値を具現化するための簡単ではあるが効率的な方法として、これらは、荷電粒子露光装置のイメージングシステムのレンズ及び/又はマルチポールレンズ成分の適切な静電電圧の調整によって、及び/又は、増大されるブラーをエミュレートするようパターンを調整することによって、ビームを物理的にデフォーカスすることによって生成され得る。パターンの調整は、例えば、カーネルでの畳み込み、又は、パターンと周囲領域との間の緩やかな遷移を得るために実行可能な、(1つの)座標に沿った(例えばVSB描画機における)ベクトルパターンの変化によって、実行されることができる。
【0022】
更に、本方法は、数学的表現に基づくモデル計算に関するフィッティング(フィット)を有利に含み得る。かくして、ステップviの前に、追加ステップとして、ステップiで提供されたモデル及びその少なくとも1つの関数パラメータに関し、上記少なくとも1つの測定可能量のモデル計算(即ち数学的表現)をイメージング及び制御パラメータの上記サブセットの関数として計算するステップ、及び、当該モデル計算が当該少なくとも1つの測定可能量が当該パラメータに関し不変(定常)であることを予測する場合に当該サブセットのパラメータの値を決定するステップが設けられることが可能であり;この場合、ステップv[vi]は、画像伝達関数の最終パラメータ(複数)を取得するために、定常パラメータコースに対する当該モデル計算の最小二乗フィッティング(フィット)の実行を含む。好ましくは、このフィッティングは、モデル計算におけるパラメータ(複数)の値(複数)と定常パラメータコースとの間の差(複数)の平方の重み付き和を含む評価関数の最適値を見つけることによって実行され得る。更に、フィッティング法の安定性及び収束(convergence)を改善するために、評価関数を正則化項で補充(追加)することは有用であり得る。該正則化項は、画像伝達関数及び/又はその大きさ(magnitude)の一次及び/又は二次の半径方向(radial)微分(L2)又は画像伝達関数(複数)のベクトルの絶対値の和(L1)を含む。フィッティングは、画像伝達関数の(1又は複数の)パラメータを取得するために、最小二乗フィッティングを実行することによって実行され得る。本発明の典型的な実施形態(複数)では、画像伝達関数は、半径方向対称区分的(piecewise)多項式関数;半径方向対称マルチガウシアン;それらの重み付き和;又はそれらの重み付き組み合わせとしてモデル化される。例えば、画像伝達関数は、200nm~2μmの幅を有する少なくとも1つの中距離成分を含むマルチガウシアンを含み得る。
【0023】
本発明の更なる一視点は、試験基板上に(ステップi及びiiにおいて提供されるモデル/パラメータ(複数)に基づき、ステップiiiにおいて本発明の方法によって現像又は形成される)試験構造を含む露光された基板に向けられており、該試験構造は、上記の荷電粒子露光装置において露光された複数のサブ構造を含み、これらのサブ構造はサブパターン(複数)にわたって変化する制御パラメータに従って修正された同じ基礎(underlying)サブパターンテンプレートのコピー(複数)を用いて形成される。好ましくは、基板は、更に、イメージングパラメータ(複数)の夫々の値(複数)を適用することによって荷電粒子露光装置において形成されたマルチプルサブ構造(複数)を含み、該値(複数)は当該マルチプルサブ構造の夫々の間で異なっている。サブパターンテンプレートの適切な例は、例えば、
シングルライン、但し制御パラメータはラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し制御パラメータは2つの外側ラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し制御パラメータは中央ラインからの2つの外側ラインの距離である;
又はこれらの組み合わせ
である。
【0024】
これらのケースでは、シングルライン又は中央ラインの幅は、夫々、結果として生じるサブ構造における測定可能量として有利に使用され得る。
【0025】
以下において、本発明は添付の図面を参照して以下において幾つかの実施形態よってより詳細に説明される。ここに示す実施形態は説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではないこと強調しておく。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2A】50nm線の例についてのアイソフォーカルドーズのコンセプト。図には、連続的プロファイル(グラフ)が示されている。
【
図2B】50nm線の例についてのアイソフォーカルドーズのコンセプト。図には、ピクセルベースのプロファイル(グラフ)が示されている。
【
図3A】Bossungプロットを用いたアイソフォーカルドーズを決定する手順。図には、連続的プロファイル及びビームフォーカスΔZの高さの変化を用いた一例が示されている。
【
図3B】Bossungプロットを用いたアイソフォーカルドーズを決定する手順。図には、ピクセルベースプロファイルを変化するピクセルブラーσを用いて評価する一例が示されている。
【
図4】本発明の一実施形態に応じた方法のステップ(複数)のフローチャートの一例。
【
図5A】マルチプルサブパターン(複数)を含む試験パターン(複数)の一例、具体的には、可変の設計幅を有する複数の孤立(単独)ラインを含む試験パターン。
【
図5B】マルチプルサブパターン(複数)を含む試験パターン(複数)の一例、具体的には、サブパターンテンプレート(複数)が2つの外側ラインの可変の制御幅を有する試験パターン。
【
図5C】マルチプルサブパターン(複数)を含む試験パターン(複数)の一例、具体的には、サブパターンテンプレート(複数)が中央ラインと外側ラインの間に可変の距離を有する試験パターン。
【
図5D】変化するイメージング及び制御パラメータに応じたアレイレイアウトの一例を含む試験パターンの一例。
【
図6A】PSF挙動をモデル化するためのベース関数(複数)としての3次(cubic)B-スプライン関数のセット。
【
図6B】例示的関数をフィッティングするためにスプライン関数(複数)を組み合わせる一例。
【
図7】ラインエッジの一例のプロファイルに対するドーズバックグランドの一例の効果(作用)。
【
図8】単位(unit)ドーズバックグランドbの関数としてのアイソフォーカルドーズ。
【
図9】ライン幅の関数としてのアイソフォーカルドーズの挙動の幾つかの例。
【
図10】本発明に応じたフィッティング方法(手順)から決定されるパラメータ(複数)の再現性の一テスト。
【実施例0027】
本書に示す詳細な解説(考察)は本発明及びその例示的実施形態並びに更なる有利な発展形態を説明することが意図されている。本発明の特定の応用にとって適切であると認められるように本書において解説される実施形態(複数)及び視点(複数)の幾つか又は全てを自由に組み合わせることは当業者には明らかなはずである。本開示の全体において、「有利な」、「例示的(な)」又は「好ましい」のような用語は、本発明ないしその一実施形態にとってとりわけ適切である(但し本質的ではない)要素又は寸法を示し、別段の明示の記載がない限り、当業者によって適切であると認められる場合は修正可能である。本発明は、説明の目的のために与えられかつ本発明の好適な具現化例(複数)を提供するに過ぎない以下において解説される例示的実施形態(複数)に限定されないことは分かるはずである。
【0028】
とりわけ、本発明は実質的に任意の荷電粒子リソグラフィ装置と組み合わせて使用可能ではあるが、リソグラフィ式マスク製造のための電子ビーム装置を例示的背景として解説される。とりわけ、
図1のリソグラフィ装置において、以下に解説される計算及び補正方法は、リソグラフィ装置の処理システム18及び/又はデータ処理及び基板における描画プロセスの制御のための他の任意の制御システムにおいて適切に実行され得る(基板及びターゲットという用語は本書では互換的に(同義に)使用される)。マルチビーム荷電粒子ツールについての更なる詳細はUS9,520,268、US6,768,125、US8,222,621及びUS8,378,320及び本書において引用される文献に見出すことができるが、これらはすべて引照を以って本開示の部分を構成するものとして組み込まれているものとする。
【0029】
本発明者は、電子ビームリソグラフィにおける多成分(multi-component)点広がり関数(PSF:point spread function)の一例について以下において説明される画像伝達関数を、例えば上記のマルチガウシアン(Multi-Gaussian)PSFを用いて、種々のサブパターン(複数)を含む試験パターンについてのアイソフォーカルドーズの測定(値)(複数)に基づき、決定するための新規な方法を提案する。
【0030】
図4のフローチャートは本発明の一実施形態に応じた方法を説明する。事前ステップMDLにおいて、本方法は、関連するパラメータ(複数)(及び、必要に応じ、パラメータ(複数)が変化し得る範囲(複数))の決定も行うPSFの適切なモデルを定義又は選択することによって開始する。典型的には、モデルは、PSFの数学的記述(表現)であろうが、例えばマルチガウシアンPSFに関しては、パラメータ(複数)は距離(ranges)(複数)及び相対的重み(複数)である。代替的に、モデルは、(PSF分布の中心に関する半径のような)一次元座標又は二次元空間面上の特定点(複数)に配置された「ノット(knots)」のセットによって表現されることも可能であり、次いで、PSFは、例えば線形補間によって又はスプラインを用いて、これらのノットの間において補間(内挿)されることができる。ステップEXPにおいて、特許請求に係る本発明の制御パラメータ(複数)に対応する、異なる制御寸法(複数)を有する幾つかの着目する(of interest)特徴(着目特徴)を含む複数のサブパターン(例えば可変幅を有するライン)を含む(1つの)試験パターンは、(本発明の部分ではない)特定の性質を有するレジスト及び基板を使用する荷電粒子露光装置によって露光されて現像され、以って、試験基板が製造される。本書において、基板の「現像(developing)」は、基板上の限界寸法のような着目量(quantities)の測定が可能な基板を取得するために必要とされるすべての処理ステップを含むことを意味する。露光プロセス中に変化するイメージングパラメータ、例えば変化する露光ドーズ及びビームブラーは、種々のサブパターンのために使用され、以って、複数のサブ構造が形成される。サブ構造においては、夫々の特徴(ないし特徴量)は夫々のイメージング及び制御パラメータに依存する変化を伴って再現される。次に、ステップMCDにおいて、そのように形成されたサブ構造(複数)が試験され、1つ以上の量、とりわけ構造の着目特徴の限界寸法が測定される。次に、第1の後処理ステップIFDにおいて、各サブパターンについて(より正確には、サブパターンにおける着目特徴について)アイソフォーカルドーズが、限界寸法の測定(値)(複数)から決定される;より一般的には、このステップIFDはイメージングパラメータ(複数)の(1つの)定常(stationary)パラメータセットを決定する。最後に、第2の後処理ステップFITにおいて、電子ビームとターゲットの相互作用をモデル化するPSFが所定の範囲の(ないし種々の:the range of)のアイソフォーカルドーズ(複数)から導き出される。
【0031】
試験パターン
【0032】
このセクションは、各々が本発明にとって好適な夫々のサブパターンのセットを含む試験パターンの幾つかの例を、可変の幅及び距離を有するライン(複数)に重点を置いて、解説する;尤も、本発明者によって導入されたコンセプトは、ドット/コンタクト/矩形のような他のタイプの試験パターン、更にはより複雑なパターンに容易に変換(適用)可能であることに留意すべきである。
【0033】
図5Aは、夫々がサブパターン
(
図5Aには3つのサブパターンのみが示されている)を具現化する可変の設計幅
を有する複数の孤立(分離)ライン511、512、513を含む試験パターン51の好適な実施形態の一例を示す。この例では、各サブパターンは、シングル(一本)ラインを含む基礎(underlying)サブパターンテンプレートのバリアント(variant)である。各サブパターンは夫々のサブパターン[サブ構造]をもたらすことになる。例えば、サブパターンP
1は
図5Aに2つの輪郭ライン514として重ね合わされて示されている(1つの)サブ構造を形成し得る。ここでは、サブパターン[サブ構造]514のライン幅(設計幅と露光ライン幅の間の差は見易さのために誇張されて示されている)は着目限界寸法(これはライン自身によって生成される後方散乱を決定するための測定基準として役立つ)であり、他方、ライン(複数)の設計幅
は制御幅を表すが、これは、この例では、後方散乱の大きさを制御することとして解釈され得る。
【0034】
図5Bは、マルチプルサブパターン(複数)
(
図5Bにはこれらのサブパターンのうちの2つのみが示されている)として再現される、トリプル(三本)ラインを含むサブパターンテンプレートのバリアント(variants)を提供する他の好適な実施形態の試験パターン52の一例を示す。各トリプル(トリプレット)では、中央ライン521、522は(好ましくは3前方散乱距離(注:前方散乱距離の3倍の意味)のオーダー、例えば80nmの)一定のライン幅Wを備えて構成され、外側の2つのラインは可変の制御幅
(i>2の幅w
iについては不図示)を有し、これらの外側ラインは中央ラインから一定の距離Sをあけて配置される。点広がり関数を決定するために使用される、着目限界寸法は露光された中央ラインの幅である;従って、中央ライン521、522は着目特徴であり、他方、(2つの)外側ラインは夫々の着目特徴についてのドーズバックグランドの(後方散乱)発生源として役立つ。パターンは、好ましくは、中央ラインの左右のエッジ(左辺及び右辺)において等しいドーズバックグランドを確保するよう、対称的に設計される。このアプローチの利点は、CD-SEMによって中央ラインを測定する際の視野の均一性であり、これはより安定な測定を容易にし得る。
【0035】
図5Cには、好適な試験パターン53の他の一例が示されている(この場合も、複数のサブパターンのうちの2つのみが図示されている)。この例では、基礎サブパターンテンプレートは、一定の幅(複数)のトリプル(三本)ラインを含むが、(相互の)距離は可変である。従って、試験パターンは、トリプルラインとして具現化されるサブパターン(複数)
を含み、夫々のサブパターンの中央ライン531、532は着目特徴である、即ち、測定される露光限界寸法はアイソフォーカルドーズを決定するための基準として役立ち、2つの外側ラインはバックグランド発生源である。このバリアント(variant)では、中央ラインWの幅(例えば3前方散乱距離のオーダー)及び外側ラインW
0の幅(これは、完全に飽和した(fully saturated)点広がり関数を確保するために、少なくとも3後方散乱距離(注:後方散乱距離の3倍の意味)であることが好ましい)は一定である;中央ラインのエッジにおける後方散乱の大きさを変化するために、中央ラインと、バックグランド生成体(blocks)として役立つ(2つの)外側ラインの間の間隔(距離)は、このパターン53における制御幅を代表する(構成する)可変の幅
によって具現化(達成)される。
【0036】
すべてのバリアント(variants)において、ラインの長さは、好ましくは、3後方散乱距離より長いことが望ましく、これは、モデル計算(複数)を単純化し、これらをこの例では一次元的に実行可能にする。可変の幅及び間隔(距離)は、好ましくは、決定されるべき点広がり関数の範囲に対応することが望ましく、制御幅(複数)のより高い測定密度は、一般的には、より正確な結果(複数)をもたらす。各サブパターンについてアイソフォーカルドーズを決定するためには、ドーズ及びブラーの可変の設定(configurations)によって複数のコピーのサブパターンを露光することが必要になり得る。更に、(例えば各着目特徴に沿った異なる位置(複数)における)着目特徴(複数)から幾つかのそのような測定値を得るために、精度を増大してもよく、これらの測定値は、低い測定ノイズを確保(保証)するために又は、マルチビーム露光装置の場合では、ビームフィールド(これ(の全体)にわたってブラーが変化し得る)(の全体)にわたってサンプリングするために、平均されることができる。
【0037】
また、幾つかのタイプの(例えば
図5A、
図5B、
図5C及び/又は他の図に示したタイプの)サブパターンは、例えば、異なるサブパターンタイプに関する組み合わせたデータに点広がり関数をフィッティングすることによって、組み合わせられ得る。
【0038】
すべてのバリアント(variants)において、サブパターン
間の距離は、後方散乱又はその他の不所望の効果(作用)による相互の影響が回避されるよう、十分に大きな長さが選択されると有利であろう。
【0039】
図5Dは、変化する露光パラメータ(複数)でのマルチプルサブパターンの露光を可能にするレイアウトの一例を含む例示的試験パターン50の一例を示す。このレイアウトは、複数のサブパターン
を含み、各サブパターンは、例えば横列55のサブパターン(複数)にわたって変化する夫々の制御幅
を有する、例えば
図5B又は
図5Cに示されているようなトリプルラインパターンを含む。サブパターン(複数)は、好ましくは、アレイ(行列)に応じて配置され、該アレイにおいては、サブパターン
は縦列(複数)54を形成し、該縦列においては、サブパターン(複数)はすべて同じ制御幅を有し、各縦列内においては、サブパターン(複数)は異なるイメージングパラメータ(複数)で、この場合は異なるドーズ値
(例えば予め規定される初期ドーズ(値)に対する-10%、0%及び+10%)及び異なるブラー値
(例えば基準フォーカス、例えば着目特徴のフォーカスに対する-2μm、0μm及び+2μmビームフォーカス)で露光される。好ましくは、これらのイメージングパラメータは、パラメータ(複数)がレイアウトの横列(複数)55の各々の内部において一定であるよう、サブパターン(複数)に割り当てられる;各縦列についての夫々の値セットは
図5Dから見出すことができる。
図5Dは単純化された一実施形態を示すものであり、実用上は、レイアウトは、測定ノイズを考慮するために及びアイソフォーカルドーズがドーズ変化の範囲内に含まれることを確保(保証)するために、ドーズ及びブラーのより多くの値を取り入れる必要があり得ることは、当業者であれば分かるはずである。個別のサブパターンは距離Dだけ(互いに対し)離隔される。好適には、この距離Dは、サブパターン間の相互作用が回避されるよう、最大後方散乱距離の少なくとも3倍(例えばD=30μm)になるであろう(理想的には、フォギング(fogging)効果のような長距離相互作用を考慮するために、全パターン密度に依存して、Dの一層より大きい値が好まれ得る)。露光のための上述した本出願人のMBMWを使用する本発明の好ましい一実施形態では、均一な露光ブラーを確保するために、これはそうでなければビームフィールドにわたって変化し得るものであるが、測定されるべきパターン(とりわけ中央ライン)が全てのサブパターンにおけるビームフィールドの同じ部分によって露光されることを確保することが付加的に提供されるであろう。これは、例えば、サブパターンのサイズ及び相互間距離をビームフィールドのサイズの整数倍であるように選択することによって提供されることができる。
【0040】
なお、ここ及び以下に解説する本発明の実施形態(複数)においては、ライン(複数)はy方向に沿って(図の紙面の「上下方向に(vertically)」)配向されていると一般性を喪失することなく定められている。
【0041】
アイソフォーカルドーズ
【0042】
アイソフォーカルドーズのコンセプトについては、このセクションにおいて
図2Aを参照して説明する。このコンセプトは、ドーズプロファイル(即ちレジストにおける吸収エネルギ密度)と生成されたパターン形状との間の関係をモデル化する閾値モデルを用いる、バイナリ(binary)パターンの具現化に基づいている。従って、ドーズ閾値を超えるドーズを有する露光ドーズプロファイルの部分(複数)はレジスト処理後に維持され、他の部分はレジスト処理中に除去されることになる(ポジ型レジストの場合;ネガ型レジストの場合は、状態は反対になる)。任意のパターンについて、生成されるドーズプロファイルは、一般的に、露光のために使用されるビームのブラー(ボケ)に依存するであろう。
図2Aを参照すると、例えば、50nmラインは露光されると理想的にはドーズプロファイル20を有するところ、同図は夫々4nm(プロファイル21)、8nm(プロファイル22)及び16nm(プロファイル23)の標準偏差を有するビームブラー(複数)についての出現するプロファイル(複数)を示す。ラインに割り当てられたドーズD
1がレジストの閾値ドーズD
Tの2倍に選択される場合、即ち、D
1=2D
Tの場合、露光幅は通常はビームブラーから独立している(影響を受けない)-従って「アイソフォーカル(isofocal)」である、即ち、光学イメージングシステムの焦点(focal)変化(複数)に対して不変(invariant)である。なお、露光ドーズDの値は同図においてはD
1に規格化されていることに注意すべきである。露光のために、ドーズは後方散乱に対して調節される必要があろうが、これについては
図2Aにおいては簡単化のために無視されている。更に、ビームブラーの標準偏差のオーダーの特徴サイズについては、そのような挙動は、一般的に、ある種のタイプのパターン(例えば等しい幅のライン及び間隔)について可能であるに過ぎないことに注意すべきである。また、不完全なコントラスト曲線を有する物理的レジストについては、アイソフォーカル性は、現像及びエッチングされる形状は通常はブラーに依存するドーズプロファイルの勾配(slope)に依存するため、近似的にのみ可能である。
【0043】
US9,520,268及びUS9,373,482において、荷電粒子マルチビームマスク描画機に関連して、本出願人は、露光パターンの調節によって物理的ビームブラーをエミュレートする技術を導入した。この方法を使用することによって、
図2Bに示されているように、理想ドーズプロファイル20はピクセルベースのカーネルとの畳み込みによって調節され、以って、修正された(修正)露光パターン22が得られる(段差部(複数)は、プロファイル22においては、有限のブラーによって、平滑化されている)。4nm標準偏差の物理的ブラーによって露光されることにより、修正パターンは、オリジナルのパターンによって生成されるドーズプロファイル21と比べて、(より大きいブラーに対応する)よりフラットなドーズプロファイル23を生成する。なお、パターンがアイソフォーカルドーズで露光される場合、露光ライン幅はエミュレートされたブラーに対してまたもや不変(invariant)である(とりわけ、露光ドーズプロファイル21及び23の両者はドーズ閾値D
Tにおいて交差する)ことに注意すべきである。
【0044】
所与のパターン又はサブパターン(これはしばしばパターン密度にも依存するであろう)に対しアイソフォーカルドーズを、実験的に、決定するための1つの好適な方法(手順)は、複数の候補ドーズ値についてのブラーの変化に対するCD(Critical Dimension)の変化をプロットするいわゆる「Bossungプロット」を用いる。この方法について、
図3Aを参照して説明する。ビームフォーカスの高さの変化はビームブラーに対応する変化を引き起こすため、ビームフォーカスの高さを変化しながら、基準ドーズレベルに対し-30%~+30%の間で変化するドーズレベルによって着目パターンが複数回露光及び測定される。ビームフォーカスの高さは、
図3Aでは、ターゲット面のZ位置(又はZ座標上の他の基準(標準)位置(standard position))に対する相対値ΔZによって表され、適切な範囲、例えば±8μmの間で変化される。結果として得られる複数のCD値―
図3AではCDの任意に選択された基準値に対する相対値ΔCDとして表されている―は、プロット30で示されているような表現(presentation)を用いて評価される(異なる記号は異なるドーズレベルを示す);ビームブラーの変化に対する応答(変化)は選択されたドーズレベルに依存することは明らかである。ドーズレベルD
1は、
図3A及び
図3Bでは、基準(標準)ドーズレベルD
refに対する相対的変化によって表され、そのため、D
refに等しいドーズレベルは「+0%」に対応する;基準(標準)ドーズレベルD
refは任意に、例えば、ドーズ閾値の想定値(見積り値)の2倍、即ちD
ref=2D
T
(estim)、に選択される。更に、二次多項式(複数)が、プロット30における曲線(複数)として示されている(ように)、一定のドーズレベルの各々についての測定CD値(複数)に対してフィッティングされる(適用される)。プロット30の曲線(複数)の多項式(複数)の曲率(複数)(即ち、二次項の係数a
2、記号で表すとa
2=d
2(ΔCD)/d(ΔZ)
2)が評価され、曲率値a
2がドーズレベルD
1の関数として(のように)プロット36に挿入される。フォーカスの変化の下で最小の分散(variance)を有するドーズを決定するために、プロット36にグラフ化されているように、二次(second)回帰曲線が決定される。回帰曲線の[勾配即ち微分の]符号(sign)変化の位置32において、曲率a
2は0であることが予測される(見込まれる);この位置は「定常(stationary)パラメータ」の位置と称されることができ、この位置32におけるドーズがアイソフォーカルドーズである(本例では基準ドーズに対し+3%の所に示されている、即ちD
isf=1.03D
ref)。
【0045】
上記の方法は、
図3Bに示されているように、物理的ビームブラーの代わりにエミュレートされたピクセルベースのブラーを用いて実行され得る。
図3Aを参照して説明した方法の場合と同様に、パターンは幾つかのレベルのブラーに対し-30%~+30%の間で変化されるドーズによって露光及び測定される;しかしながら、ブラー変化は、幅が増大するガウスカーネルとの畳み込みによってパターンを調節することによって生成される(標準偏差σを有するピクセルブラー)。プロット33において、データポイント(複数)は、勾配k
1(記号で表すとk
1=d(ΔCD)/dσ)の値を決定するために、回帰直線(複数)によって増加される。勾配a
1[k
1]は、プロット39において割り当てられたドーズレベルに対してプロットされ、勾配値の回帰曲線34が決定される。アイソフォーカルドーズ35を得るために、「定常パラメータ」の位置としての回帰曲線34の符号変化の位置が決定される(本例でも、基準に対し+3%の所に示されている)。
【0046】
なお、一般的には、試験パターン(複数)の適切な制御幅によって表され得る又はシミュレートされ得る、パターン密度のような、アイソフォーカルドーズの値に影響を及ぼし得る更なるパラメータがあることに注意すべきである。従って、
図3A及び
図3BのBossungプロットは、そのような更なるパラメータが変化されると、少々変化するであろうし、定常パラメータの位置はそれに応じて種々のパラメータの関数のように、「定常パラメータコース(course)」のように、変化するであろう。
【0047】
本発明者は、上記のためにグローバルドーズ変化(modulation)を使用することは、複雑さが減少するため、しばしば有利であることを見出した。かくして、「グローバル」アイソフォーカルドーズが決定される、即ち、バックグランドを発生する(バックグランド発生)特徴を含むサブパターン全体が一定のドーズレベルで露光される(そのため、後方散乱によるドーズバックグランドは選択されたドーズレベルにも対応する)。上記の方法のバリエーション(複数)は、着目特徴のエッジにおけるドーズのみが変化される(modulated)「ローカル」アイソフォーカルドーズも決定し得る;尤も、この変化は、以下において更に説明するように、後処理ステップ(工程)(複数)において考慮される必要がある。
【0048】
点広がり関数
【0049】
大抵の実施形態では、本発明は、本発明によって決定されるべき点広がり関数のような画像伝達関数が回転対称でありかつ前方及び後方散乱成分を含むという前提、即ち、
を出発点とする。
【0050】
本発明の典型的な一使用ケースに対応する多くの実施形態では、マルチガウシアンPSFが決定される。このとき、前方散乱距離αと共に、点広がり関数の(記号
でまとめて示される)未知パラメータであるところの重み
及び距離
を伴うガウシアンについて、
である。ターゲットエリアにわたるPSFの積分は1に規格化される。更に、前方散乱重みは、1に固定され、従って、ブラー、幅及び間隔(spacing)とは独立であるところの、等幅(equal width)のライン(複数)及び間隔(spaces)(複数)についてのD50ドーズ(50%パターン密度)に対応する。D50ドーズは、通常、別個に決定され、次いで、相対ドーズを得るために測定後他のドーズ値を規格化するために使用される。例えば、D50ドーズは、試験パターンに等幅のライン(複数)及び間隔(複数)(又は一定の幅の他の適切な特徴)を含むこと及び対応するCD測定(値)(複数)に基づく上述したようなアイソフォーカルドーズのための決定方法を実行することによって決定され得る。
【0051】
本発明の方法は、半径(radius)の区分(piecewise)多項式によって定義される点広がり関数、例えば、3次スプラインPSFを決定するためにも使用可能である。近接効果補正のためのこのタイプの点広がり関数の使用は、例えばUS 10,553,394において既に提案されている。最小二乗フィッティングのためには、Bスプライン(スプライン関数の所与の空間についての基底関数のセット)の使用が好ましい。Bスプラインは、scipy又はPPPACKのような、標準的な数値(numerical)ライブラリにおけるルーチンによって容易に構成される。スプライン及びBスプラインは、ガウシアンやマルチガウシアンよりも一般的なPSF関数をモデル化するために使用され得る。
の自由度を有する次数Mの多項式基底(polynomial degree M basis)のスプライン基底
を定義するために、第1に、ラジアル(radial)グリッド点(複数)
のセットRを決定する。グリッド点(複数)は一定間隔で選択され(カーディナル(cardinal)Bスプライン)、それらのノット(複数)は着目の(目的の)点広がり関数(外では0)の範囲にあれば、十分である。Bスプライン関数は重み付け和
と組み合わせられる。ここで、係数
は、PSFパラメータであり、PSF成分を形成する。
【0052】
図6Aは、12個のグリッド点61を有する8つのカーディナル3次Bスプライン60(即ちK=8、L=12、M=3)の一例示的セットを示す。
図6Bは、スプライン関数62が、グリッド点(複数)によって定義されるインターバル(区間)の外側で減衰する、任意のラジアル関数63をフィッティングするために重み付け和とどのように組み合わせることができるかを説明する一例を示す。このタイプのスプライン関数は任意のPSF挙動をモデル化するために使用できる。
【0053】
完全(full)PSFを形成するために、個別グリッド(複数)を有する上記のタイプのマルチプルスプライン成分(複数)は、総和(summation)、及び、積分を1に規格化することによって組み合わせられることができる。例えば、(1に規格化された重みを有する)前方散乱成分
についての精細(fine)グリッド
(及び係数
)及び(任意の正の重みを有する)後方散乱成分
についての粗グリッド
(及び係数
)は、
によって与えられ得る。
【0054】
ここで、
は、スプライン成分の重みを示し、
は、組み合わせPSF係数(複数)のベクトルである。マルチガウシアンとスプラインPSF(複数)を組み合わせることによって、合成(composite)点広がり関数を形成することも可能であり、例えば、(1及びηの重みを有する)前方及び長距離後方散乱についてのガウシアン成分
と200~2000nmの範囲の中距離後方散乱についてのスプライン成分
を用いることにより、パラメータ表現(parametrization)
を有する
をもたらすことができる。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態では、あるタイプの点広がり関数の部分(複数)(又は、等価的に、その幾つかのパラメータ)は既に既知であり得るか(例えば後方散乱距離β)又はアイソフォーカルドーズの測定範囲から復元可能(recoverable)(独立)でないことが判明し得る(例えば、極めて小さい制御幅
についてアイソフォーカルドーズを変化するに過ぎない前方散乱距離α)。そのような場合では、当業者が適切であると認めるはずであるように、実験又は文献から既知である値(複数)を挿入し、これらの挿入値によって方法を続行することは、一般的に、十分なアプローチである。
【0056】
数値(的)アイソフォーカルドーズ
【0057】
上記の閾値モデルのような露光モデルを用いることにより、所与の点広がり関数及びサブパターンについてアイソフォーカルドーズを決定することができ、次いで、測定されたアイソフォーカルドーズ(複数)との照合を行うことができる。閾値露光モデルについて、露光ドーズプロファイル
は、サブパターン
のバイナリ指示関数(indicator function)(パターン内にあれば1、なければ0)と
で表されるPSFとの畳み込み
によってシミュレートされ得る。垂直(方向)パターンライン(複数)のみを使用する、上に示したパターン(複数)(
図5A~
図5D参照)については、上記の積分は、
で与えられる一次元に還元されることができる。ここで、(マージナル(marginal)点広がり関数とも称される)
及び
は、一定の任意値y
0を有するx方向における一次元パターンである。マルチガウシアンPSFについては、マージナル(marginal)点広がり関数は一次元マルチガウシアンである;スプライン又はコンポジットPSFについては、マージナルPSFは(例えば数値積分によって)数値的に決定できる。
【0058】
式(6)の連続(continuous)畳み込みは、例えば0.1nmの分解能を有する十分に精細な演算グリッドにおける関数p及び
のサンプル(複数)の離散畳み込みによって適切に近似され得る。演算は、好適には、(マルチガウシアンについては)点広がり関数の最大範囲の少なくとも3倍にわたって又はスプライン関数の台(support)にわたって実行されることが望まれる。
【0059】
次いで、閾値モデルでは、アイソフォーカルドーズ
は、測定された構造幅がブラー変動の下で最も小さく変化するドーズを選択することによって決定されることができる。即ち、
ここで、
は(例えば試験ブラーAのセットに取り込まれ、試験パターンに実験的に適用もされた)可変の前方散乱距離を有するマージナルPSF、及び、
は、露光ドーズ
が関連する(重要な)サブパターンに適用されるときに露光される構造特徴の面積ないし幅を決定するために畳み込みパターン
を評価するための記号である。例えば、閾値モデルについていえば、評価
は、露光された構造の、ドーズ閾値
を超えるドーズのところにある部分(複数)のサイズ(dimension、面積ないし幅)をもたらすことになる。最小値(最小変化のドーズ)は、数値最小化又は直接計算の何れかによる候補ドーズのセットについて決定されることができる。
【0060】
アイソフォーカルドーズの解析評価
【0061】
幾つかのケースでは、(一般的には遅い)畳み込みによる複数の露光ドーズプロファイルの計算をする必要なしに、マージナルPSF
から解析的に(一次元)サブパターン
についてアイソフォーカルドーズ
を計算することができる。そうするために、第1ステップでは、着目特徴(例えばアイソ(単)ライン51又はライントリプレット52、53の中央ラインの幅)のラインエッジ
(試験パターンは左右対称であるため何れのエッジであるかは問題ではない)における(単位ドーズ当たりの)ドーズバックグランドが、
によって、即ち、パターンエッジに局限された(localized)、マージナル点広がり関数
の後方散乱部分
をパターン
について積分することによって、計算される。一般的(generic)点広がり関数については、この計算は、均一(uniform)グリッドポイント(複数)のセットを選択し、パターンのグリッドポイント(複数)についてサンプリングされた関数値(複数)を総和し、そして、グリッドステップと乗算することによって(又は他のタイプの数値積分によって)、コンピュータにおいて適切に実行可能である。
【0062】
幾つかのタイプのPSFについては、(1つの)試験パターン(9)は「標準(standard)」関数(複数)を用いて評価可能である。例えば、マルチガウシアンPSF(2)及び試験パターンとしてのアイソライン(複数)51については、
である。ここで、
はガウス誤差関数である。
【0063】
第2ステップでは、アイソフォーカルドーズがドーズバックグランドから決定される。前方散乱距離に対し相対的に大きい幅
(例えばマルチガウシアンPSFについて3α<w)
のライン(複数)について、ラインエッジ
におけるアイソフォーカルドーズ
は、100nmライン70について
図7に示されている閾値モデルにおいて、
で与えられることがよく知られている(例えば、https://doi.org/10.1117/12.617058 で入手可能な、M. Yu et al.,“Photomask and Next-Generation Lithography Mask Technology XII”, Proc. SPIE 5853 参照)。ここで、
は、いわゆるアイソドーズ(iso-dose)、即ち、(ドーズバックグランドのない)孤立特徴(複数)についてのアイソフォーカルドーズであり、
は、(絶対)ドーズバックグランドである。補正ファクタ
は、露光(された)ドーズプロファイル71とドーズ閾値
との交点がバックグランドの存在下でドーズの半分にとどまるように選択される。ドーズバックグランド
は(グローバルに決定されると想定すると)アイソフォーカルドーズにも対応するため、
であり、そのため、アイソフォーカルドーズ
は、単位ドーズバックグランド
から
で決定されることができる。(
についての)
図8のグラフ参照。逆(関数)(inverse)は、
で与えられる。
【0064】
逆問題(Inverse problem)
【0065】
可変の制御幅を有する所定の範囲の(種々の:a range of)サブパターン(複数)についてアイソフォーカルドーズの存在は点広がり関数の「シグネチャ」特性であるが、これは、逆問題を解くことによってその決定を可能にする。マルチガウシアンPSFについては、例えば、各パラメータは、アイソフォーカルドーズ傾向曲線(trend)の形状を特異的に(一意的に:uniquely)変化する。これは
図9に示されている。
図9は、孤立ライン(複数)について、80-1500nmの範囲のライン幅
と、パラメータ
(長距離(long-range)ガウシアンの重み及び距離範囲)及び
(中距離(mid-range)ガウシアンの重み及び距離範囲)を有するトリプルガウシアンモデル
についての4セットのパラメータについて決定された値(複数)を示す。この例では、前方散乱距離αは重要ではない。なぜなら、これは、選択された範囲のライン幅(複数)ではアイソフォーカルドーズに影響を及ぼさないからである。
【0066】
式(8)のシミュレーションアプローチ、又は代替的に、式(9)と式(13)の組み合わせは、所与のPSF
又はその係数(複数)
(又は、それらが部分的に既知であるか若しくは測定(距離)範囲から決定可能でない場合は、それらのサブセット)と、(
図5A~
図5Bの幅(複数)
の1つのような)サブパターン制御幅
の関数として、アイソフォーカルドーズ
の決定を可能にする。
【0067】
この前方(forward)測定関数は、制御幅(複数)
を有するサブパターン(複数)に対応する測定(された)アイソフォーカルドーズ
からPSF係数(複数)
を推定するために、公式について逆が求められる(反転される)ことができる。本発明の好ましい一実施形態では、非線形最小二乗フィッティングがこの目的のために使用される。即ち、
である。
【0068】
ノイズ(又は不十分ではあるが多くの測定値が利用可能であれば)の存在下でフィッティング法の安定性を高めるために、適切な正則化項を用いて、式(16)を補充することは有利であり得る。例えばL1/L2タイプの場合、
である。ここで、例えば、
(「ラッソ正則化」)又は
(「ティホノフ(Tikhonov)正則化」)であり、
は正則化の量を決定する正則化パラメータであり、
は正則化されるべきPSF係数(例えば重みのみ)を選択する選択(selection)ベクトルである。PSFモデルに多数のパラメータがある場合、ラッソ正則化が、通常は、有利であろう。なぜなら、正則化項は、典型的には、最下位(least significant)パラメータ(複数)を0にし、そのため、重みが付けられていない項(複数)は当該モデルから除去可能であるからである。
【0069】
異なる一変形例(variant)は、点広がり関数
の変化ないし湾曲に罰則を課して
とする。ここで、m=1又は2である。この変形例のアプローチは、測定ノイズに対するオーバーフィッティングの回避に有用であり得る。
【0070】
上記の最小化規定(複数)(16)、(17)、(18)は、(最小二乗ルーチン又は一般目的の最小化法を用いる)scipyに含まれるルーチンのような従来技術の数値パッケージによって容易に実行される。
【0071】
フィッティング法の一例は
図10に示されている。パラメータ
を有するマルチガウシアンである初期PSFの一仮想例から出発して、80-1500nmの範囲のライン幅
の20(本の)孤立(isolated)ラインについてアイソフォーカルドーズ傾向曲線101が、(“ground truth”を表すGTで指示された)破線で示されているように、生成され、データポイント102のセットを得るために、人工ノイズが付加された。これらのデータポイント102に基づき、フィッティング(フィット)103がなされたが、これは、フィッティング(された)傾向曲線(trend)103に対応する再構成パラメータ(複数)
を生成した。これらの再構成パラメータ(実線)は初期PSFパラメータ(複数)の10%の範囲内にある。このことは、画像伝達関数のパラメータ(複数)を再現する本発明の高い能力を示している。
【0072】
上記の実施形態及び実施例の全部又は一部は以下の付記として記載可能であるが、それらに限定されない。
[付記1]荷電粒子露光装置のターゲット面に位置付けられたターゲットの露光中に前記荷電粒子露光装置の画像伝達関数を決定する方法。
前記画像伝達関数は、前記荷電粒子露光装置のパターン規定装置のシングルアクティブ要素から、前記シングルアクティブ要素が前記荷電粒子露光装置において基板に画像化される際に生じる前記ターゲット面において生成されるドーズないしエネルギの分布を記述するものである;
前記方法は以下のステップを含む:
i.前記画像伝達関数のモデルを提供すること、但し前記モデルは決定されるべき少なくとも1つの関数パラメータを含む;
ii.前記画像伝達関数の全体強度を記述するベース露光ドーズ以外の、前記荷電粒子露光装置の予め規定可能なイメージングパラメータを修正することによって調節可能な、ビームブラー及びビームフォーカスの少なくとも1つを含むイメージング特性のセットを選択すること;
iii.前記荷電粒子露光装置を用いて、試験基板を試験パターンで露光し、前記試験基板を現像して、(前記)少なくとも1つの試験基板上に試験構造を形成すること、但し、
前記試験パターンは複数のサブパターンを含み、各サブパターンは少なくとも1つの制御パラメータに従って修正されるサブパターンテンプレートのコピーであり、前記少なくとも1つの制御パラメータは所定のパラメータ範囲内において前記複数のサブパターンにわたって変化する(前記複数のサブパターンのサブパターン毎に変化する)、及び、
前記試験パターンは、前記ベース露光ドーズ及び前記荷電粒子露光装置の少なくとも1つのイメージングパラメータが変化されながら、前記試験基板に複数回露光され、前記基板上に複数の試験パターンコピーが形成される、
そのようにして形成された試験構造は複数のサブ構造を含み、各サブ構造はイメージングパラメータ(複数)、前記ベース露光ドーズ及び前記少なくとも1つの制御パラメータの特定値(複数)と関連付けられている;
iv.サブ構造の特徴の限界寸法(critical dimension)を含む少なくとも1つの測定可能量について前記複数のサブ構造を評価すること;
v.前記少なくとも1つの制御パラメータの各値について、前記複数のサブ構造間における前記少なくとも1つの測定可能量の変化を前記イメージングパラメータの関数として決定し、前記変化から、アイソフォーカルドーズの夫々の値を決定すること、但し前記変化は前記イメージングパラメータ(複数)における変化に関し最小の変化である;
vi.ステップvにおいて決定されたアイソフォーカルドーズの値(複数)を用いて、前記少なくとも1つの制御パラメータの関数として、前記画像伝達関数の前記少なくとも1つの関数パラメータを計算すること。
[付記2]付記1に記載の方法において、
ステップiv及びvにおける前記測定可能量は前記サブ構造(複数)の着目特徴の限界寸法を含む。
[付記3]付記1又は2に記載の方法において、
前記画像伝達関数は、半径方向に対称的なマルチガウシアン関数の重み付き和としてモデル化されること、但し前記重み付き和は少なくとも3つのガウシアン成分を被加数(summand)として含む;
ステップviにおいて、前記重み及び/又は複数の前記被加数のうちの少なくとも1つの被加数の長さスケール(length scales)が決定される。
[付記4]付記3に記載の方法において、
前記画像伝達関数は、ステップviにおいて決定されるパラメータとして重み及び長さスケールを有する少なくとも1つの中距離成分を含むマルチガウシアン関数を含み、前記長さスケールは200nm~2μmの範囲に制限された幅に対応する。
[付記5]付記1~4の何れかに記載の方法において、
前記方法は、更に、以下のステップ:
ii’.ステップiで提供されたモデル及びその少なくとも1つの関数パラメータに関し、前記少なくとも1つの測定可能量のモデル計算を前記イメージング及び制御パラメータの前記サブセットの関数として計算し、前記モデル計算が前記少なくとも1つの測定可能量が前記パラメータに関し不変であることを予測する場合に前記サブセットのパラメータの値を決定すること、
を含む;
ステップii’はステップviの前に実行される;
ステップviは、前記画像伝達関数の最終パラメータ(複数)を取得するために、最小変化のコースに対する前記モデル計算の最小二乗フィッティングの実行を含む。
[付記6]付記5に記載の方法において、
ステップv[vi]におけるフィッティングは、前記モデル計算におけるパラメータ(複数)の値(複数)と前記最小変化のコースとの間の差(複数)の平方の重み付き和を含む評価関数の最適値を見つけることによって実行される。
[付記7]付記6に記載の方法において、
前記評価関数は正則化項が追加(補充)される;前記正則化項は前記画像伝達関数及び/又はその大きさ(magnitude)の一次及び/又は二次の半径方向微分又は画像伝達関数(複数)のベクトルの絶対値の和を含む。
[付記8]付記1~7の何れかに記載の方法において、
前記荷電粒子露光装置のイメージングシステムのレンズ及び/又はマルチポールレンズコンポーネントの適切な静電電圧の調整(modulation)によりビームを物理的にデフォーカスすることによって、ビームブラーの複数の異なる値が生成される。
[付記9]付記1~8の何れかに記載の方法において、
増大されるブラーをエミュレートするよう前記パターンを調整することによって、ビームブラーの複数の異なる値が生成される。
[付記10]付記1~9の何れかに記載の方法において、
前記サブパターンテンプレートは、以下:
シングルライン、但し前記制御パラメータはラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記2つの外側ラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記中央ラインからの前記2つの外側ラインの距離である;
又はこれらの組み合わせ
の1つから選択される;
結果として生じたサブ構造における測定可能量は前記シングルライン又は前記中央ラインの幅である。
[付記11]付記1~10の何れかに記載の方法のステップi~iiiに従って荷電粒子露光装置において露光された少なくとも1つの試験基板上の試験構造を含む露光された基板。
前記試験構造は複数のサブ構造を含み、前記複数のサブ構造はサブパターン(複数)にわたって変化する制御パラメータに従って修正された同じ基礎(underlying)サブパターンテンプレートのコピー(複数)を用いて形成される。
[付記12]付記11に記載の露光された基板において、
前記基板は、更に、イメージングパラメータ(複数)の夫々の値(複数)を適用することによって前記荷電粒子露光装置において形成されたマルチプルサブ構造(複数)を含み、前記値(複数)は前記マルチプルサブ構造の夫々の間で異なっている。
[付記13]付記11又は12に記載の露光された基板において、
前記基礎(underlying)サブパターンテンプレートは、以下:
シングルライン、但し前記制御パラメータはラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記2つの外側ラインの幅である;
2つの外側ラインによって挟まれた中央ラインを含むトリプルライン構造、但し前記制御パラメータは前記中央ラインからの前記2つの外側ラインの距離である;
又はこれらの組み合わせ、
の1つを含む;
結果として生じたサブ構造における測定可能量は前記シングルライン又は前記中央ラインの幅である。
【0073】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0074】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0075】
更に、上記の各文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。