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特開2025-1663ラッキングおよびコンベヤの性能を向上させた入れ子式パレット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001663
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】ラッキングおよびコンベヤの性能を向上させた入れ子式パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/40 20060101AFI20241225BHJP
   B65D 19/26 20060101ALI20241225BHJP
【FI】
B65D19/40 A
B65D19/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024099062
(22)【出願日】2024-06-19
(31)【優先権主張番号】18/401,505
(32)【優先日】2023-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/511,875
(32)【優先日】2023-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/521,920
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524233403
【氏名又は名称】デジパル ソリューションズ イスラエル エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】DIGIPAL SOLUTIONS ISRAEL LTD.
【住所又は居所原語表記】Lamerchav 55 Ramat Hasharon 4722604 Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファイナー,ギデオン
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA03
3E063CA06
3E063EE03
3E063FF04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、パレットに関し、特に、ラッキング、スタッキングおよびコンベヤの性能を向上させた入れ子式パレットに関する。
【解決手段】入れ子式パレット(100)は、積荷を支持するためのデッキ(102)と、テーパ状を成す一組の中空脚部(106)とを有し、中空脚部は、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに別のパレットの対応する脚部の一部を受け止めるための、上側開口部、および内向きにテーパ状を成す内面(108)を有する。中空脚部の一部は、中空脚部の内向きにテーパ状を成す部分から、パレットの縁部に向かって水平に突出する下側脚部延在部(110)と、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに別のパレットの下側脚部延在部を受け止めるための上側脚部開口部(114)とを備える周辺支持構成を有する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上で積荷を支持するための入れ子式パレットであって、
(a)前記積荷を支持するための上面を有するとともに、外周部を有するデッキと、
(b)前記デッキと堅く一体化され、前記デッキを床上で支持するように前記デッキから下方に延在する一組の中空脚部であって、前記中空脚部のそれぞれが、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに別のパレットの対応する脚部の一部を受け止めるための、上側開口部および内向きにテーパ状を成す内面を有し、前記外周部に隣接する複数の前記中空脚部がそれぞれ、
(i)前記中空脚部の内向きにテーパ状を成す部分から、前記外周部の下向き射影部に対応するパレットの縁部に向かって水平に突出する下側脚部延在部、および
(ii)複数の同様のパレットが積み重ねられたときに、別のパレットの前記下側脚部延在部を受け止めるための上側脚部開口部
を備える周辺支持構成を含む中空脚部と
を備える入れ子式パレット。
【請求項2】
前記下側脚部延在部が、前記中空脚部の下部が閉じた形状の一部を形成する、請求項1に記載の入れ子式パレット。
【請求項3】
前記中空脚部の前記内向きにテーパ状を成す部分が、少なくとも3度のテーパ角を有し、前記下側脚部延在部が、2度以下の抜き勾配角を有する、請求項1に記載の入れ子式パレット。
【請求項4】
前記デッキの前記外周部が、前記デッキの周囲で連続し、前記下側脚部延在部が、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに前記外周部内に収まるような大きさである、請求項1に記載の入れ子式パレット。
【請求項5】
前記中空脚部のそれぞれの前記内向きにテーパ状を成す内面が、概ね長方形の水平断面形状を画定し、前記長方形の水平断面形状の少なくとも1つの縁部が、前記上側脚部開口部および前記下側脚部延在部によって隔てられ、前記下側脚部延在部が、前記長方形の水平断面形状の外側に延在する、請求項1に記載の入れ子式パレット。
【請求項6】
前記デッキの角部に隣接する前記中空脚部のうちの少なくとも1つが、前記パレットの隣接する2つの縁部に向かって延在する前記周辺支持構成のうちの2つで形成される、請求項1に記載の入れ子式パレット。
【請求項7】
前記中空脚部が、前記デッキと一体形成される、請求項1に記載の入れ子式パレット。
【請求項8】
前記中空脚部が、前記デッキに機械的に取り付けられる、請求項1に記載の入れ子式パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに関し、特に、ラッキング、スタッキングおよびコンベヤの性能を向上させた入れ子式パレットに関する。
【0002】
従来のパレットは、通常木製で、図1に例示されるような、地面に接する積荷支持ッキ(1000)と滑走部(1002)を有する。滑走部は、パレットの端部まで延在する。
【0003】
パレット(1004)(図2A)は、主にポリマー材料で作製され、頑丈かつ再利用可能であるという多くの利点を提供することが知られている。パレットは、コンパクトな復路輸送のために、他の同様のパレットとコンパクトに入れ子にできるように、テーパ状を成す中空脚部構造(1006)で実施されることがある。入れ子を可能にするために必要な内向きのテーパ、およびデッキの周壁の内側に脚部を配置することにより、図2Aのdで示されるように、脚部の下側がパレットデッキの縁部から大きくセットインされる。
【0004】
入れ子式パレットは、空の状態で積み重ねると体積がかなり小さくなるため、使用される機会が増えている。通常、入れ子になったパレットの積重ねは、同じ外寸の従来(ボトムデッキ付き)のパレットと比較して、同じ体積でおおよそ3倍のパレットを収容することができる。しかしながら、入れ子式パレットは、その形状のために、多くの制限や弱みを有する。入れ子可能にするため、入れ子式パレットの脚部には、互いに入れ子にでき、かつ互いに入れ子になったときに容易に互いを分離できるような抜き勾配が必要である。これは、底部(床または支持面に接する部分)のパレット脚部が、パレットのトップデッキの外寸に届かず、内側に傾斜していることを意味する。典型的には、長さが120cmのパレットでは、底部の脚部は、パレットの外周部から両端で少なくとも4cm、典型的にはそれ以上の「d」だけセットインされることになる。
【0005】
パレットの縁部から脚部がセットインされるこの位置は、様々な点でパレットの機能を制限する。第一に、図2Bに概略的に例示されるように、保管時に2本の梁の間にラックされる際の安全余裕度(margin of safety)が少なくなる。従来の(例えば木製の)パレットの脚部間の外側の距離は、パレットの全長であり、120cm×100cmのパレットの場合、120cmとなる。入れ子式パレットの底部の脚部の外寸は、典型的には120cm-8cm=112cm以下である。ラッキングシステムの梁間の外寸は固定であり、通常は約110cmである。つまり、従来のパレットをこのラックに載せる場合、入れ子式パレットに比べて安全余裕度が高くなる。図2Bは、ラックの梁上の「正しい」位置(実線)および「正しくない」位置(破線)に載せられた入れ子式パレットを示す。
【0006】
図2Cに例示される従来の入れ子式パレットのさらなる制限は、入れ子式パレットを開いた枠箱の上に「二段積み(double stack)」できないことに関する。この略図に見られるように、パレットの外側の脚部は下にある枠箱の壁に達しておらず、その結果、上側のパレットは、不安定になる、および/または枠箱の中身を圧迫することになる。
【0007】
さらなる問題は、コンベヤでの使用に関する。入れ子式パレットは、コンベヤ上でのパレットの位置合わせがコンベヤの側面、すなわち脚部の高さにある誘導装置によって達成されるため、コンベヤ(ロールまたはチェーン)上で搬送されるとき、旋回する危険性が高くなる。入れ子式パレットの場合、底部またはトップデッキの下のいずれかの場所における脚部の幅は、トップデッキにおけるパレットの全幅未満である。これにより、図2Dに例示されるように、パレットが回転し、物などに引っかかることにつながり得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ラッキングおよびコンベヤの性能を向上させた入れ子式パレットである。
【0009】
本発明の一実施形態の教示によると、床上で積荷を支持するための入れ子式パレットであって、(a)積荷を支持するための上面を有するとともに、外周部を有するデッキと、(b)デッキと堅く一体化され、デッキを床上で支持するようにデッキから下方に延在する一組の中空脚部であって、中空脚部のそれぞれが、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに別のパレットの対応する脚部の一部を受け止めるための、上側開口部および内向きにテーパ状を成す内面を有し、外周部に隣接する複数の中空脚部がそれぞれ、(i)脚部の内向きにテーパ状を成す部分から、外周部の下向き射影部(donwards projection)に対応するパレットの縁部に向かって水平に突出する下側脚部延在部、および(ii)複数の同様のパレットが積み重ねられたときに、別のパレットの下側脚部延在部を受け止めるための上側脚部開口部を備える周辺支持構成を含む、中空脚部と、を備える入れ子式パレットが提供される。
【0010】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によると、下側脚部延在部は、脚部の下部が閉じた形状の一部を形成する。
【0011】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によると、脚部の内向きにテーパ状を成す部分は、少なくとも3度のテーパ角を有し、下側脚部延在部は、2度以下の抜き勾配角を有する。
【0012】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によると、デッキの外周部は、デッキの周囲で連続し、下側脚部延在部が、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに外周部内に収まるような大きさである。
【0013】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によると、中空脚部のそれぞれの内向きにテーパ状を成す内面は、概ね長方形の水平断面形状を画定し、長方形の水平断面形状の少なくとも1つの縁部は、上側脚部開口部および下側脚部延在部によって隔てられ、下側脚部延在部は、長方形の水平断面形状の外側に延在する。
【0014】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によると、デッキの角部に隣接する中空脚部のうちの少なくとも1つは、パレットの隣接する2つの縁部に向かって延在する周辺支持構成ののうちの2つで形成される。
【0015】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によると、中空脚部はデッキと一体形成される。
【0016】
本発明の一実施形態のさらなる特徴によると、中空脚部は、デッキに機械的に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付の図面を参照しながら、単なる例として本明細書に記載される。
図1】従来の非入れ子式パレットの概略部分側面図である。
図2A】従来の入れ子式パレットの概略部分側面図である。
図2B】ラッキングの文脈における図2Aのパレットの機能的制限の概略図である。
図2C】スタッキングの文脈における図2Aのパレットの機能的制限の概略図である。
図2D】運搬の文脈における図2Aのパレットの機能的制限の概略図である。
図3A】本発明の一実施形態の教示に従って構成され作動するパレットの等角図である。
図3B図3AのIで指し示される領域の拡大図である。
図3C図3AのIIで指し示される領域の拡大図である。
図3D図3Aのパレットの平面図である。
図3E図3Aのパレットの側面図である。
図3F図3Aのパレットの端面図である。
図3G図3DのIII-III線断面図である。
図3H図3Aのパレットの底面図である。
図4A図3GのIVで指し示される領域に示されるパレットの脚部の拡大図である。
図4B図4Aの平面V-Vで切断されたパレットの脚部の切断等角図である。
図5A】互いに入れ子になった図3Aのパレットの2つを示す、等角図である。
図5B図5Aの入れ子になったパレットをVIで指し示される平面を通じた断面図である。
図6A】パレットの長さに平行な垂直面で切断された、図3Aのパレットの角脚部の切断等角図である。
図6B】パレットの幅に平行な垂直面で切断された、図3Aのパレットの角脚部の切断等角図である。
図7A】本発明のさらなる実施形態の教示に従って構成され作動するパレットの等角図である。
図7B図7AのVIIで指し示される領域の拡大図である。
図7C図7AのVIIIで指し示される領域の拡大図である。
図8A】互いに入れ子になった図7Aのパレットの2つを示す、下側等角図である。
図8B図8AのIXで指し示される領域の拡大図である。
図9A】下側脚部延在部が、脚部の概ね内向きにテーパ状を成す外形から外側に逸れている、本発明の一実施形態によるパレットのさらなる変形実装形態による2つの入れ子になったパレットの脚部を通じた概略垂直断面部分図である。
図9B図9Aの逸れた下側脚部延在部の第1の代替実装形態を例示する、パレットの脚部の部分等角図である。
図9C図9Aの逸れた下側脚部延在部の第2の代替実装形態を例示する、パレットの脚部の概略垂直断面部分図である。
図10】本発明のさらなる代替実施形態による、パレットの脚部の概略部分等角図である。
図11A】展開状態にある、枢動的に格納可能な下側脚部延在部を示す、本発明のさらなる実施形態によるパレットの脚部を通じた概略垂直断面部分図である。
図11B】格納状態にある、枢動的に格納可能な下側脚部延在部を示す、本発明のさらなる実施形態によるパレットの脚部を通じた概略垂直断面部分図である。
図12A】展開状態にある、滑動的に格納可能な下側脚部延在部を示す、本発明のさらなる実施形態によるパレットの脚部を通じた概略垂直断面部分図である。
図12B】格納状態にある、滑動的に格納可能な下側脚部延在部を示す、本発明のさらなる実施形態によるパレットの脚部を通じた概略垂直断面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ラッキングおよびコンベヤの性能を向上させた入れ子式パレットである。
【0019】
本発明によるパレットの原理および動作は、図面および添付の説明を参照することで、よりよく理解することができる。
【0020】
ここで図面を参照すると、図3A~10は、本発明の実施形態の教示に従って構成され作動する、床上で積荷を支持するための、概ね(100、200、300、400)で指し示される入れ子式パレットの様々な実装形態を例示する。一般論として、入れ子式パレットは、積荷を支持するための上面を提供するデッキ(102)と、外周部(104)とを有する。一組の中空脚部(106)は、デッキ(102)と堅く一体化され、デッキを床上で支持するようにデッキから下方に延在する。中空脚部(106)はそれぞれ、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに別のパレットの対応する脚部の一部を受け止めるための上側開口部および内向きにテーパ状を成す内面(108)を有する。
【0021】
複数の中空脚部は、外周部(104)に隣接する脚部の一部または全部であってもよく、脚部の内向きにテーパ状を成す部分から外周部(104)の下向き射影部によって画定されるパレットの縁部(112)に向かって水平に突出する下側脚部延在部(110)(図4Aを参照)、および複数の同様のパレットが積み重ねられたときに別のパレットの下側脚部延在部を受け止めるための上側脚部開口部(114)を含む周辺支持構成をそれぞれが有する。
【0022】
この脚部構造の利点は容易に理解されよう。一方では、脚部は、入れ子式パレットの脚部の全体的に好ましい形状を維持し、その形状は、好ましくは少なくとも3度、典型的には約4度の大きな内向きテーパ角を必要とし、コンパクトな入れ子と強度を提供する。このテーパ角は、入れ子の形状によって決まる。デッキが床からおおよそ145mmの高さにあり、入れ子の深さが約85mm、すなわち連続するパレット間の垂直方向の段差が約60mmのパレットの場合、肉厚が約4mmの入れ子になった脚部の隙間は、逆正接(arctan)(4/60)の角度を必要とし、これは4度に近づくため、十分な隙間を確保し、入れ子になったパレット同士の無理な押込み(wedging together)を避けるには、4度が望ましい選択となる。同時に、パレットの縁部(112)に向かって突出する下側脚部延在部(110)を設けることにより、脚部の先端がパレットの縁部に非常に近くなり、それにより、図2B~2Dに関して上述した従来の入れ子式パレットの様々な欠点が改善される。空のパレットを入れ子にするとき、下側脚部延在部(110)は、下にあるパレットの対応する上側脚部開口部(114)によって収容され、下側脚部延在部は、好ましくは、図5Aおよび5Bに例示されるように、同様のパレットが積み重ねられたときに下にあるパレットの下側脚部延在部の上に積み重ねられる。その結果、下側脚部延在部の壁は、製造中に金型から確実に離型させるために必要な抜き勾配角に応じて、垂直またはほとんど垂直であり得る。抜き勾配角は、2度未満が好ましく、典型的には1度程度で十分である。これらの角度の典型的な値は、図4Aに例示される。
【0023】
用語上の問題で、テーパ、角度または傾斜が本明細書において「内向き」または「収束」と称される場合、これは、デッキから脚部の基部に向かうにつれて表面が中心に近づくように、脚部の中心に向かう傾斜を指す。同様に、「外向き」は、デッキから脚部の基部に向かうにつれて脚部の中心から逸れる傾斜を指す。したがって、本明細書に記載されるすべてのパレット脚部の主内面(108)(下側脚部延在部の領域以外)は、内向きにテーパ状を成すと称される。
【0024】
脚部(106)は、デッキ(102)と堅く一体化されているものとして記載される。好ましい実装形態の第1のセットでは、脚部とデッキは、単一の射出成形の製造プロセス中に一体形成される。この選択肢は、最大強度重量比および製造コストの削減をもたらすが、損傷したパレットの修理の選択肢が制限される。ある代替的な好ましい実装形態(図示せず)では、脚部構造は別個に製造され、その後任意の適切な取付け形式を用いて取り付けられ得る。有利なことに、脚部の取付けには、ねじ部品(ねじまたはボルト)の配置などの取付けの可逆的な形式が用いられ、それによって、損傷したいずれかの脚部の交換および交換が容易になる。
【0025】
図3A~9Bの好ましいが非限定的な実装形態では、デッキの外周部(104)は、デッキ(102)の周囲で(途切れず)連続的であり、それによってパレットの剛性および強度に最適に寄与する。したがって、下側脚部延在部(110)は、複数の同様のパレットが積み重ねられたときに外周部内に収まるような大きさである。したがって、パレットの対向する端部で対向して突出する下側脚部延在部(110)間の間隔は、典型的にはデッキの外寸よりも少なくとも約6mm(各縁部において3mm)小さく、上側脚部開口部の外側のデッキ外周部の肉厚(任意選択で、デッキ外周部の残り部分の周りの壁厚と比較して局所的に薄くすることができる)を収容する。パレットの縁部(112)に対する下側脚部延長部(110)のインセット(inset)は、好ましくは6mm~20mmであり、最も好ましくは7mm~10mmの範囲である。脚部の先端をパレットの縁部から2cm以内に、場合によっては縁部から1cm以内にすることによって、図2B図2Dを参照して上述した従来の入れ子式パレットの制限のほとんどが回避され、非入れ子式パレットと同様の機能性でパレットを使用することが可能になる。
【0026】
実装形態のパレット(100)において、下側脚部延在部は、脚部壁の外向きの起伏として形成され、それによって脚部の下部が閉じた形状の一部を形成する。これは、水平面で切断された、図4Bに示される脚部(106)の図に最もよく見られる。この図に見られるように、中空脚部(106)の内向きにテーパ状を成す内面(108)は、概ね長方形の水平断面形状を画定し、長方形の水平断面形状の少なくとも1つの縁部は、上側脚部開口部および下側脚部延在部によって隔てられ、下側脚部延在部は、長方形の水平断面形状の外側に延在する。「概ね長方形」の形状は、典型的には、丸みを帯びた角の長方形であり、丸みを帯びた角の半径は、水平寸法および形状がテーパ角によって変化するにつれて、脚部の高さに沿って変化してもよい。成形されたポリマー脚部の強度の大部分は、これらの角部分によって提供されるため、下側脚部延在部および上側脚部開口部は、好ましくは、角領域を脚部の高さ全体に沿って完全に備えたまま、脚部壁の平坦な領域の変更形態として実装される。図5Bに最もよく見られるように、一組の補強リブ(116)が、典型的には、当技術分野において一般的であるように、中空脚部の下部に設けられ、さらなる剛性を提供し、入れ子にされたときに同様のパレットの足が置かれる面を提供し、それによって、パレット同士の過剰なはめ込みおよび無理な押込みを防止する。また、図4Bでは、様々なパレット追跡機能をサポートするための、RFIDを挿入するために任意選択で設けられ得るスロット(118)も見ることができる。
【0027】
周辺支持構成の位置決めの選択は、予想される用途に応じて異なる。例えば、ラッキングの場合、パレットの短辺のいずれかの端の脚部に周辺支持構成を設けることで十分であり得る。しかしながら、用途の柔軟性を最大化するために、典型的には、パレットの4辺すべてに沿って周辺支持構成を設けることが好ましい。この目的のために、デッキの角部に隣接する中空脚部には、最も好ましくは、例えば図3Bおよび図3Cに見られるように、パレットの2つの隣接する縁部に向かって延在する周辺支持構成のうちの2つが設けられる。特定の用途では、例えば、方向転換前にパレットを位置合せするために中央のパレット停止部が使用されるパレットコンベヤシステムの文脈では、パレットの長辺に隣接する中間脚部にも周辺支持構成を設けることが好ましい場合があり、それによってパレット停止部によるパレットの一貫した位置合せが確保される。
【0028】
ここで図7A図8Bを参照すると、本発明のさらなる実施形態に従って構成され作動し、概ね(200)で指し示される入れ子式パレットが示されている。パレット(200)は、上述のパレット(100)と概ね同様であり、同等の特徴は、同様にラベル付けされている。パレット(200)は、主に、パレット(100)の概ね長方形の脚部(116)の代わりに、パレット(200)の脚部(216)がデッキ(102)の上面により大きな連続性(より小さい開口部)を提供するように、縮小されたサイズの開口部で実装されるという点で、パレット(100)と異なる。非限定的な例として、脚部は、本明細書では、米国特許第11,820,551号に開示されているものと同様の断面形状で実装されて示されており、脚部はそれぞれ、いくつかの比較的細長い形状の交差からなる水平断面形状を有し、概ねT字形またはH字形の脚部を形成する。これらの形状は、下側脚部延長部(110)および上側脚部開口部(114)を含む、上述の周辺支持構成を追加することによって変更される。他のすべての点において、パレット(200)は、パレット(100)と構造的にも機能的にも同様であり、上記に記載され、図示された構造および機能との類似性によって明確に理解されよう。
【0029】
ここで図9A~9Cを参照すると、上記の実施形態は、下側脚部延在部(110)が垂直であるか、またはわずかに内向きの抜き勾配を有するものとして例示するが、代替実装形態のパレット(300)は、脚部の基部に向かって外向きに角度付けられる下側脚部延在部(110)を設けてもよく、それによりその下にある面との最も近い接触点が、確実に脚部のパレットの端部に最も近い点に来る。これは図9Aに概略的に示されており、下側脚部延在部が、脚部の壁の肉厚部分であることを示している。この肉厚部分は、例えば、接着剤、熱溶接、または任意の他の適切な形態の機械的取付けなどの、延在要素の取付けによって提供されてもよい。あるいは、下側脚部延在部は、パレットの製造の主な射出成形プロセスの一部として、適切な金型の使用によって形成されてもよい。図9Bは、延長部を支持するための外側リブ構造を形成するために側方移動コアを必要とする、射出成形のための1つの可能な実装形態を示す。図9Cは、下側脚部延在部(110)を提供するために、常の肉厚の外向きに傾斜した壁部分を形成するように金型が設計される、代替的手法を例示する。これは、下側脚部延在部の領域において脚部の内部容積内へと上方に延在する下型部分と、下側脚部延在部の外面を画定するために上側脚部開口部(114)を通って下方に延在する相補的な上型部分とを使用することによって達成することができる。図9Bおよび図9Cの実装形態を製造するための金型を設計するための様々な設計上の考慮事項は、当業者には明らかであろう。
【0030】
ここで図10を参照すると、上述の実装形態はすべてデッキ(102)の周りに連続的な外周部(104)を維持するが、ある代替実装形態のパレット(400)は、パレットの外周部まで延在し、外周部(104)に間隙を形成する、上側脚部開口部(114)を使用する。これにより、パレットの全体的な剛性が低下する可能性があるが、下側脚部延在部がパレットの端部まで延在することが可能となり、それによって、非入れ子パレットの機能性をより厳密にエミュレートする。パレットの剛性は、典型的には金属または強化ポリマー材料から形成され、パレット(400)の長さに沿って対応するチャネル(122)に沿って挿入される補強梁(120)(図では挿入中の状態が示される)を使用することによって維持することができる。ちなみに、このような補強梁およびチャネルは、図3A、3F、6B、7A、および9Bに非限定的な例として例示されるように、前述の実施形態においても有利に使用される。
【0031】
図10に見られるように、パレットの入れ子中に垂直方向に重なる領域の下方の脚部(106)の部分は、好ましくは(水平面内で)閉じた形状で形成され、それによって、脚部構造の強度および剛性の大部分が維持される。
【0032】
最後に図11A図12Bを参照すると、上記の実施形態の剛性下側脚部延在部の代替として、本発明のある実施形態の教示によるパレット(500)および(600)は、変位可能な下側脚部延在部(510または610)を使用して、使用中にパレット脚部のいくつかに延在部を提供し(図11Aおよび図12A)、そして、この変位可能な下側脚部延在部(510または610)は、パレットを入れ子にするために後退する(図11Bおよび12B)。これらの場合、脚部延在部は入れ子にできるように後退するので、先の実施形態の上側脚部開口部は必要とされない。脚部延在部が、後退時に脚部の内部容積内に収容される場合、展開時に脚部延在部の外向きの突出を可能にするために、下側脚部開口部が必要とされる。
【0033】
パレット(500)の場合、下側脚部延在部(510)は、枢動軸(512)上に枢動可能に取り付けられ、図11Aの展開状態に向かって、ばね(514)によってばね付勢される。下側脚部延在部(510)は、入れ子にするために手動で後退可能であってもよく、例えば、パレットの分離時に自動的に展開するように、下にあるパレットとの入れ子時に解放するキャッチ機構(図示せず)によって、その後退状態に保持される。あるいは、延在部および脚部の対応する面の形状は、下側脚部延長部が、入れ子中に2つのパレットの相互作用によって機械的に変位され、手動による介入なしに後退するようになっていてもよい。
【0034】
パレット(600)の場合、下側脚部延在部(610)は、ばね(614)の付勢下で、パレット脚部内に画定されたチャネル(612)に沿って摺動的に変位可能である。パレット(500)と同様に、キャッチ機構の有無にかかわらず、手動による後退、または入れ子中のパレット間の機械的相互作用による後退という同様の選択肢が、すべて可能な実装形態である。
【0035】
上記の記載は、単に例として役立つことを意図しており、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内で多くの他の実施形態が可能であることが理解されよう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
【外国語明細書】