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特開2025-16648ロックされる車軸を防止するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016648
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】ロックされる車軸を防止するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/10 20060101AFI20250128BHJP
   G01M 13/045 20190101ALI20250128BHJP
【FI】
G01M17/10
G01M13/045
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024191665
(22)【出願日】2024-10-31
(62)【分割の表示】P 2022020609の分割
【原出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】63/152,157
(32)【優先日】2021-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/513,625
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】クマール,アジス クッタナー
(72)【発明者】
【氏名】ウォーデン,ブレット
(57)【要約】
【課題】
収益の損失を招き、鉄道システムの交通を混乱させるという課題を解決する。
【解決手段】
車両の1つ以上の構成要素の振動特性または流体特性のうちの1つ以上を判定し、振動特性または流体特性のうちの1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定することを含み得る方法が提供される。本方法はまた、振動特性または流体特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想されるそれぞれの特性から逸脱しているかどうかを判定することと、振動特性または流体特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱していることを判定したことに応じて、1つ以上の応答アクションを実施することと、も含み得る

【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
車両の1つ以上の構成要素の振動特性、流体特性、または温度特性のうちの1つ以上を判定することと、
前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの前記1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定することと、
前記振動特性、前記流体特性、または温度特性のうちの前記1つ以上が、前記1つ以上の予想されるそれぞれの特性から逸脱しているかどうかを判定することと、
前記振動特性、前記流体特性、または温度特性のうちの前記1つ以上が前記1つ以上の予想される特性から逸脱していると判定したことに応じて、1つ以上の応答アクションを実施することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記温度特性が、前記車両の車軸の1つ以上の軸受の軸受温度、1つ以上の牽引モータ軸受のモータ軸受温度、1つ以上の組み合わせ軸受の組み合わせ軸受温度、1つ以上のジャーナル軸受のジャーナル軸受温度、前記車両のギアケースもしくはエンジンのうちの1つ以上における潤滑剤の流体温度、または前記車両内のモータの1つ以上の導電性巻線の巻線温度のうちの1つ以上として判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両が、複数の車軸を含み、前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの前記1つ以上が、前記車軸の第1の車軸に対して判定され、前記1つ以上の予想される振動特性、流体特性、または前記温度特性が、前記第1の車軸を含まない前記車軸のセットの動作に少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車軸が、複数車両システム内の同じ車両内にある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記振動特性が、判定され、前記車両の車軸の1つ以上の軸受の軸受振動、前記車両の1つ以上のギアのギア振動、前記車両の前記1つ以上のギアによって生成されたギア伝達振動、空気伝達振動、構造伝達振動、前記車両のギアケースのケース振動、または前記車両の1つ以上の車輪の加速度のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の予想される特性が、周囲条件に少なくとも部分的に基づいており、前記周囲条件が、前記車両の1つ以上の車輪の回転速度、周囲温度、周囲音、前記車両が移動している経路の経路特性、前記車両の車両特性、前記車両の1つ以上の車軸に印加されるトルク、前記経路の健全性のうちの1つ以上、前記経路内の1つ以上の隙間の存在、前記経路の曲率、前記経路上の前記車両の位置、もしくは前記経路特性としての前記経路内の不整合、前記車両の重量、前記車両の移動速度、前記車両の車輪のサイズ、または前記車両特性としての推定動的車軸重量のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの前記1つ以上に対する前記1つ以上の予想される特性が、前記車両の動作に基づいており、前記車両の移動速度、前記車両の車軸に及ぼされるトルク、周囲温度、前記車両が移動している経路の1つ以上の特性、または前記車両の1つ以上の特性のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
実施される前記1つ以上の応答アクションが、前記1つ以上の予想される特性からの前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの1つ以上の逸脱に基づいて、前記車両を修理するか、または前記車両のスケジュールされた配車を変更するかを判定する、車外施設への通知を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記車両の前記振動特性を、別の車両に対して測定された振動特性と比較すること、または
第1の条件下で測定された振動特性を、異なる第2の条件下で測定された振動特性と比較すること、または
前記車両の第1の経年数における前記車両に対して測定された振動特性を、前記車両の後の第2の経年数における前記車両に対して測定された振動特性と比較すること、のうちの1つ以上を行う車外システムに、前記振動特性を通信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの前記1つ以上と、前記1つ以上の予想される特性との間の逸脱に基づいて、前記車両の複数の車軸の各々に対する健全性スコアを判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
実施される前記1つ以上の応答アクションが、
前記車軸のうちの1つ以上に印加されたトルクを変更して、前記車軸のうちの少なくとも1つを出力低下させ、前記健全性スコアに基づいて、前記車軸のうちの1つ以上の他の車軸に印加されたトルクを増加させること、または
前記車両の移動を停止することを選択すること、または
前記車両の前記移動を減速させること、前記車両の現在の走行を完了すること、および前記車両が修理されるまで、前記車両の以降の走行を防止すること、または
前記車両の以降の以前にスケジュールされた保守において、前記車両の前記1つ以上の構成要素の点検をスケジュールすること、のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
方法であって、
車両の第1の車軸の少なくとも1つの第1の特性を判定することであって、前記少なくとも1つの第1の特性が、前記第1の車軸に対する温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を含む、判定することと、
前記車両の少なくとも第2の車軸の少なくとも1つの第2の特性を判定することであって、前記少なくとも1つの第2の特性が、前記少なくとも1つの第1の特性に対応し、前記少なくとも前記第2の車軸に対する温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を含む、判定することと、
前記少なくとも1つの第1の特性を前記少なくとも1つの第2の特性と比較することと、
前記少なくとも1つの第1の特性と前記少なくとも1つの第2の特性との前記比較に基づいて、前記第1の車軸の健全性を判定することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記振動シグネチャが、前記車両の前記第1の車軸および前記少なくとも前記第2の車軸と結合された複数のセンサによって判定され、前記方法が、
前記第1の車軸および前記少なくとも前記第2の車軸と結合された前記センサによって測定された振動を比較することと、
前記第1の車軸および前記少なくとも前記第2の車軸と結合された前記センサによって測定され、かつ互いに比較される前記振動に基づいて、経路の損傷部分を識別することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の車軸または前記第2の車軸の前記それぞれの振動シグネチャまたは前記流体潤滑量のうちの前記1つ以上が、直接測定によって判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の車軸または前記第2の車軸の前記それぞれの振動シグネチャまたは前記流体潤滑量のうちの前記1つ以上が、別の異なる特性の測定値から判定され、前記他の異なる特性が、車輪スリップ、前記車両内で伝導される電流、または前記車両内で測定される静電容量のうちの1つ以上を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
(a)前記車両の判定された前記振動シグネチャまたは前記流体潤滑量のうちの1つ以上と、(b)異なる条件下で前記車両に対して測定される、または別の車両に対して測定される振動シグネチャまたは流体潤滑量のうちの1つ以上との間の比較を判定することと、
前記第1の特性と前記第2の特性との間の差を判定することに応じて、1つ以上の応答アクションを実施することと、
前記比較を前記判定することに基づいて、実施される前記1つ以上の応答アクションのうちのどれかを制限することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
方法であって、
車両の1つ以上の構成要素の振動特性、流体特性、または温度特性のうちの1つ以上を判定することと、
前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの前記1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定することであって、前記1つ以上の予想される特性が、周囲条件に少なくとも部分的に基づいている、判定することと、
前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの前記1つ以上が、前記1つ以上の予想される特性から逸脱しているかどうかを判定することと、
前記振動特性、前記流体特性、または前記温度特性のうちの前記1つ以上と、前記1つ以上の予想される特性との間の逸脱に基づいて、前記車両の複数の車軸の各々の健全性スコアを判定することと、
判定される前記健全性スコアに応じて、少なくとも1つの応答アクションを実施することであって、前記少なくとも1つの応答アクションが、前記車両の移動を停止すること、前記車両の移動を減速させること、前記車両の現在の走行を完了すること、および前記車両が修理されるまで前記車両の以降の走行を防止すること、または前記車両の以降の以前にスケジュールされた保守において、前記車両の前記1つ以上の構成要素の点検をスケジュールすること、のうちの1つ以上を含む、実施することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記車両の前記振動特性を、別の車両に対して測定された振動特性と比較すること、
前記振動特性の傾向を調べること、
第1の条件下で測定された前記振動特性を、異なる第2の条件下で測定された前記振動特性と比較すること、または
前記車両の第1の経年数で前記車両に対して測定された前記振動特性を、前記車両の後の第2の経年数で前記車両に対して測定された前記振動特性と比較すること、のうちの1つ以上を行う車外システムに、前記振動特性を通信することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記健全性スコアに基づいて実施される前記1つ以上の応答アクションのうちのどれかを制限することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
実施される前記1つ以上の応答アクションがまた、前記車軸のうちの1つ以上に印加されたトルクを変更して、前記車軸のうちの少なくとも1つを出力低下させ、前記車軸のうちの1つ以上の他の車軸に印加されたトルクを前記健全性スコアに基づいて増加させること、のうちの少なくとも1つも含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月22日に出願された米国仮出願第63/152,157号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
記載される主題は、車両の駆動系故障を早期に検出するための制御システムに関するシステムおよび方法に関する。
【0003】
技術の考察
鉄道車両などの車両システムは、乗客の輸送および/または貨物の輸送の両方に利用される。鉄道車両は、典型的には、鉄道に沿って走行するために機械的に、論理的に、仮想的になど、互いに結合され得る多数の車両を含む車両システムである。車両システム内の車両は、独自の車輪セットおよび任意選択的に対応する車軸を含む。機関車などのいくつかの車両は、車軸に動力を提供するための牽引モータを含み、他の車両は、車輪がそれに応じて回転しながら鉄道に沿って押されるか、または引かれるだけである。そのような鉄道車両は、鉄道システムの多数の軌道に沿って進行し、複数の鉄道車両は、いずれかの時点で鉄道システムを利用する。
【0004】
鉄道システムの本線上で鉄道車両が立ち往生すると、過度の遅延が生じる。その結果、鉄道車両は収益の損失を経験し、同時に鉄道システムの交通を混乱させる。立ち往生した鉄道車両を取り除くには、多くの労力および費用が必要である。例えば、車軸がロックされているために鉄道車両が停止した場合、ロックされる車軸を交換するか、ピニオンを切断するか、または他の一時的な修正を軌道上で行うかのいずれかが必要となる。時には遠隔で停止が生じると、修理を行うための設備を利用できない場所への到達が困難になることがあり、さらなる困難を引き起こす。
【発明の概要】
【0005】
1つ以上の実施形態では、車両の1つ以上の構成要素の振動特性または流体特性のうちの1つ以上を判定し、振動特性または流体特性のうちの1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定することを含み得る方法が提供される。本方法はまた、振動特性または流体特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想されるそれぞれの特性から逸脱しているかどうかを判定することと、振動特性または流体特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱していることを判定したことに応じて、1つ以上の応答アクションを実施することと、も含み得る。
【0006】
1つ以上の実施形態では、車両の第1の車軸の温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を判定することと、車両の少なくとも第2の車軸の温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を判定することと、を含み得る方法が提供される。本方法はまた、第1の車軸に対して判定される温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を、少なくとも第2の車軸に対して判定される温度、振動、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上と比較することと、第1の車軸に対して判定される温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を、少なくとも第2の車軸に対して判定される温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上と比較することに基づいて、第1の車軸の健全性を判定することと、も含み得る。
【0007】
1つ以上の実施形態では、車両の1つ以上の構成要素の振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上を測定し得る1つ以上のセンサを含み得るシステムが提供される。本システムはまた、振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定し得る1つ以上のプロセッサも含み得る。1つ以上の予想される特性は、周囲条件に少なくとも部分的に基づき得る。1つ以上のプロセッサは、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱するかどうかを判定し得る。1つ以上のプロセッサは、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱していることを判定したことに応じて、1つ以上の応答アクションを実施し得る。
【0008】
1つ以上の実施形態では、車両の1つ以上の構成要素の振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上を判定することを含み得る方法が提供される。本方法はまた、振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定することを含み得る。1つ以上の予想される特性は、周囲条件に少なくとも部分的に基づき得る。本方法はまた、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱しているかどうかを判定することと、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上と1つ以上の予想される特性との間の逸脱に基づいて、車両の複数の車軸の各々に対する健全性スコアを判定することと、も含み得る。本方法はまた、車両の移動を停止すること、車両の移動を減速させること、車両の現在の走行を完了すること、および車両が修理されるまで車両の以降の走行を防止することを選択すること、または車両の以降の以前にスケジュールされた保守において、車両の1つ以上の構成要素の点検をスケジュールすることも含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことから理解され得る。
【0010】
図1】車両システムのブロック概略図を例解する。
図2】制御システムのブロック概略図を例解する。
図3】組み合わされた確率を判定する方法のフローブロック図を例解する。
図4A】短期間の油健全性のグラフを例解する。
図4B】ロックされる車軸の確率のグラフを例解する。
図5A】短期間の油健全性のグラフを例解する。
図5B】ロックされる車軸の確率のグラフを例解する。
図6】システムの概略ブロック図を例解する。
図7】車両システムのロックされる車軸を判定する方法のフローブロック図を例解する。
図8】アルゴリズムの概略ブロック図を例解する。
図9】アルゴリズムの概略ブロック図を例解する。
図10】アルゴリズムの概略ブロック図を例解する。
図11】アルゴリズムの概略ブロック図を例解する。
図12】期間アルゴリズムの概略ブロック図を例解する。
図13】車両の駆動系故障の可能性を判定する方法のフローブロック図を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される主題の実施形態は、鉄道車両の駆動系故障の早期検出のためのシステムおよび方法に関する。所与の期間の検出および故障の可能性に基づいて、確率を減少させるか、または駆動系故障を防止するためのアクションが取られる。判定を行うこと、および駆動系故障を軽減するためのアクションを取ることによって、立ち往生した車両システムに起因する困惑を軽減する。
【0012】
図1は、制御システム102を含む車両システム100の一例の概略図を例解する。車両システムは、開始または出発場所から目的地または到着場所までの進行において、経路104に沿って移動し得る。車両システムは、経路に沿って一緒に進行するために互いに機械的に相互接続されている、少なくとも1つの推進力発電型車両108と、任意選択的に少なくとも1つの非推進力発電型車両110と、を含む。代替的に、車両システムは、単一の推進力発電型車両のみ、または2つ以上の推進力発電型車両のみから形成され得る。
【0013】
推進力発電型車両は、経路に沿って車両システムを推進する(例えば、引くかまたは押す)ための牽引力を生成し得る。推進力発電型車両は、推進サブシステム、例えば、車両システムを推進するための牽引力を生成するように動作する、エンジン、1つ以上の牽引モータおよび/または同様のものを含む。推進力発電型車両はまた、車両システムの移動を減速または停止させるための制動力を生成する制動システムも含む。1つの推進力発電型車両および1つの非推進力発電型車両が図1に示されているが、車両システムは、複数の推進力発電型車両および/または複数の非推進力発電型車両を含み得る。さらに別の実施形態では、車両システム内の車両は、論理的にまたは仮想的に一緒に結合されるが、機械的に一緒に結合されない。
【0014】
図1の例では、車両システムの車両は各々、経路に係合する複数の車輪120と、左および右の車輪を一緒に結合する少なくとも1つの車軸122と、を含む(左の車輪のみが図1に示されている)。任意選択的に、車輪および車軸は、1つ以上の貨車または台車118上に位置している。任意選択的に、貨車は、車輪が車軸に回転固定されるように、固定車軸貨車であってもよく、したがって、左側の車輪は、右側の車輪と同じ速度、量、および同じ時間で回転する。一実施形態では、車両システムは、いくつかの鉱業車両、電気自動車などのように、車軸を含まなくてもよい。
【0015】
制御システムは、車両システム内の車両間および/または遠隔(例えば、配車)場所128などの遠隔場所との無線通信を可能にする無線通信システム126をさらに含み得る。通信システムは、受信機および送信機、または受信機能と送信機能との両方を実行する送受信機を含み得る。通信システムはまた、アンテナおよび関連する回路も含み得る。
【0016】
制御システムは、一例では、1つ以上のプロセッサと通信する特性評価回路を含み得る走行特性評価要素130を含むコントローラ129をさらに含む。走行特性評価要素は、経路に沿った車両システムの走行に関する情報を提供し得る。走行情報は、経路特性、指定された場所、指定された停止場所、スケジュール時間、行き違い事象、経路に沿った方向などを含み得る。
【0017】
実施形態では、コントローラはまた、車両特性評価要素134も含み得る。車両特性評価要素は、非推進力発電型車両のタイプ(例えば、製造元、製品番号、材料など)、非推進力発電型車両の数、非推進力発電型車両の重量、非推進力発電型車両が一貫している(車両システムの全長にわたって重量および分布が比較的同一であることを意味する)か、または一貫していないか、貨物のタイプおよび重量、車両システムの総重量、推進力発電型車両の数、非推進力発電型車両に対する推進力発電型車両の位置および配置、推進力発電型車両のタイプ(製造元、製品番号、出力能力、利用可能なノッチ設定、燃料使用率などを含む)など、車両システムの構成に関する情報を提供し得る。
【0018】
車両特性評価要素は、電子記憶装置、またはメモリに記憶されたデータベースであり得る。車両特性評価要素内の情報は、オペレータによって入力/出力(I/O)装置(ユーザインターフェース装置と称される)を使用して入力され得、自動的にアップロードされ得、または通信システムを介して遠隔で受信され得る。車両特性評価要素内の情報の少なくともいくつかのソースは、車両マニフェスト、ログなどであり得る。
【0019】
図2は、推進力発電型車両の動作を制御し得るコントローラ200の概略例解図を提供する。一例では、コントローラは、図1のコントローラを表している。コントローラは、1つ以上のプロセッサ202(マイクロプロセッサ、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)を含む装置であり得る。コントローラはまた、任意選択的に、電子的なコンピュータ可読記憶装置または媒体であり得るコントローラメモリ204も含み得る。コントローラメモリは、コントローラのハウジング内にあってもよく、または代替的に、コントローラおよびその中の1つ以上のプロセッサに通信可能に結合され得る別個の装置上にあってもよい。「通信可能に結合された」とは、2つの装置、システム、サブシステム、アセンブリ、モジュール、構成要素などが、1つ以上の導電性(例えば、銅)ワイヤ、ケーブル、またはバス、ワイヤレスネットワーク、光ファイバケーブルなどの、1つ以上の有線または無線通信リンクによって結合されることを意味する。コントローラメモリは、1つ以上のプロセッサによって使用されるために一時的または恒久的にデータを記憶する有形の非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的RAM(DRAM)、別のタイプのRAM、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、磁気記憶装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、または磁気テープ)、光ディスクなどの1つ以上の揮発性および/または不揮発性メモリ装置を含み得る。メモリは、車両パラメータ、経路特性、走行パラメータなどに関連する情報を記憶するために利用され得る。車両パラメータは、車両重量、車輪径、タコメータ読み取り値、スロットル設定、ブレーキ設定、速度、ブレーキ設定、加速度などを含み得る。経路特性は、経路勾配、経路気象、経路曲率などを含み得る。走行パラメータは、目的地、エリアの速度制限、交通渋滞、休憩場所、トンネルの場所などを含み得る。
【0020】
コントローラはまた、遠隔装置208と通信し得る送受信機206も含み得る。送受信機は、単一のユニットであってあるか、または別個の受信機および送信機であり得る。一例では、送受信機は信号のみを送信し得る。遠隔装置208は、配車コントローラ、別の車両のコントローラ、車両システムに結合された第2のコントローラ、路傍装置内のコントローラなどであり得る。
【0021】
コントローラはまた、車両パラメータ、経路特性、走行パラメータなどを検出するために、車両システムに結合された1つ以上のセンサ210を含み得るか、またはこれと通信し得る。一実施形態では、少なくとも1つのセンサは、車両システムの構成要素の温度を測定する温度センサである。例えば、温度センサは、ピニオンエンド(PE)軸受または他の軸受のいずれかを測定し得る車軸軸受温度センサ、車軸および車軸軸受に関連して利用される油の温度、または周囲温度センサ、エンジン温度センサ、モータ巻線温度センサなどに関連して利用され得るまたは利用され得ない油の温度を測定する油温センサなどであり得る。別の実施形態では、少なくとも1つのセンサは、車両システムの構成要素に関連する振動センサであり得る。例えば、振動センサは、軸受振動センサ、ギア振動センサ、ギアケース振動センサ、ギア音センサ、フラットスポットによって引き起こされる車輪の加速度を検出する振動センサなどであり得る。具体的には、振動センサは、対象となる特定の周波数範囲の振幅、周波数、振幅などを検出し得る。代替的に、少なくとも1つのセンサは、エンジンまたはギアケースのための油流体レベルセンサ、車両システムまたは車両システムの構成要素の周囲条件を検出するセンサ、速度センサを含む車両動作センサなどであり得る。これらのセンサの各々の組み合わせもまた提供され得る。具体的には、各センサは、駆動系故障の早期検出のために利用され得るデータを取得するために動作を検出または監視し得る。一例では、ロックされる車軸が特定の車軸に対して生じる可能性が高いかまたは低いかに関する判定が行われる。
【0022】
コントローラはまた、入力装置212および出力装置214を含み得る。具体的には、入力装置は、オペレータと1つ以上のプロセッサとの間のインターフェースであり得る。入力装置は、ディスプレイまたはタッチスクリーン、入力ボタン、メモリ装置を受容するためのポートなどを含み得る。このようにして、オペレータは、車両パラメータ、経路特性、走行パラメータなどを含むパラメータをコントローラに手動で提供し得る。同様に、出力装置は、オペレータに情報およびデータを提示し得、または情報およびデータのプロンプトを提供し得る。出力装置は同様にディスプレイまたはタッチスクリーンであり得る。このようにして、ディスプレイまたはタッチスクリーンは、入力装置および出力装置であり得る。コントローラはまた、車両特性評価要素218と走行特性評価要素220との両方から入力を受信することもできる。
【0023】
図3は、ロックされる車軸が判定された期間にわたって生じるであろう、組み合わせられた確率を判定する方法300を例解する。他の例示的な実施形態では、他の条件が判定され得るが、図3の例では、ロックされる車軸が判定される。図3の方法論は、図7の方法論の基礎として使用され得る(この方法論は、健全性スコアを判定し、図3で判定された条件の結果として車両システムの停止を防止するために能動的なアクションを取り得る)。具体的には、図3の戦略および方法論を利用することによって、健全性スコアは、測定された車両特性と比較した予想される車両特性間の差に基づいて、車両システム内の各車軸について最終的に判定され得る。
【0024】
ステップ302において、第1の特性が監視される。第1の特性は、振動特性、流体特性、温度特性、潤滑油汚染物質特性などであり得る。第1の特性は、1つ以上のセンサによって監視され得る。例示的な実施形態では、1つ以上のセンサは、温度計、音響センサ、光学センサ、赤外線センサ、振動センサ、加速度計、ギアケースセンサ、車軸軸受温度センサ、油温センサ、モータ巻線温度センサなどを含み得る。第1の特性をセンサで監視することによって、第1の特性に関連する読み取り値、データ、情報などが取得される。一例では、振動特性は、振動センサからの振動シグネチャであり、流体特性は、流体潤滑剤汚染物質量であり、温度特性は、温度である。
【0025】
ステップ304において、所与の期間にロックされる車軸が生じるであろう第1の確率が判定される。所与の期間は、3日などの継続時間であり得る。別の例では、期間は、マイル(またはキロメートル)の数に関連する。具体的には、第1の特性を監視することによって、ロックされる車軸がいつ生じるかに関する確率が判定され得る。
【0026】
例示的な一実施形態では、ギアケース内の油レベルは、監視される流体特性である。図4Aは、油レベル404の関数としての短期間の油健全性402を例解するグラフである。具体的には、油の割合が減少するにつれて、油の健全性状態も減少する。このようにして、第1の特性に基づく第1の確率が判定され得る。図4Bは、短期間の油健全性状態に基づいて1週間など、判定された期間内の油レベル406に基づいてロックされる車軸の第1の確率を例解する。同様に、第1の確率は、100マイル以内などの判定された進行距離であり得る。グラフによって例解されるように、油健全性が低下するにつれて、ロックされる車軸の第1の確率が上昇する。
【0027】
ステップ306において、第2の特性が監視される。第2の特性は、振動特性、流体特性、温度特性、潤滑油汚染物質特性などであり得る。特性は、1つ以上のセンサによって監視され得る。例示的な実施形態では、1つ以上のセンサは、温度計、音響センサ、光学センサ、赤外線センサ、振動センサ、加速度計、ギアケースセンサ、車軸軸受温度センサ、油温センサ、モータ巻線温度センサなどを含み得る。第2の特性をセンサで監視することによって、第2の特性に関連する読み取り値、データ、情報などが取得される。一例では、振動特性は、振動センサからの振動シグネチャであり、流体特性は、流体潤滑剤量であり、温度特性は、温度である。
【0028】
ステップ308において、所与の期間にロックされる車軸が生じるであろう第2の確率が判定される。所与の期間は、3日などの継続時間であり得る。別の例では、期間は、マイル(またはキロメートル)の数に関連する。具体的には、第2の特性を監視することによって、ロックされる車軸がいつ生じるであろうかに関する第2の確率が判定され得る。図5Aは、油温410の関数としての短期間の油健全性408のグラフを例解する。ギアケース内の油の温度が上昇すると、短期間の油健全性が低下する。図5Bは、短期間の油健全性状態に基づいて1週間など、判定された期間内の油温412に基づいてロックされる車軸の第2の確率を例解する。同様に、第2の確率は、100マイル以内などの判定された進行距離であり得る。グラフによって例解されるように、油温が上昇するにつれて、ロックされる車軸の第2の確率も同様に上昇する。
【0029】
ステップ310において、第1の確率と第2の確率とが組み合わされ、所与の期間にロックされる車軸が生じるであろう組み合わされた確率を形成する。さらに、ロックされる車軸が所与の期間に生じるであろう組み合わされた確率を判定するための追加の確率も含み得る。図6は、ロック車軸の確率を判定するためのシステム600の概略ブロック図を例解する。この例では、入力602A、602B、602C、および602Dは、特性に対する監視の結果として提供される。監視された入力から、第1の確率604A、第2の確率604B、第3の確率604C、および第4の確率604Dはすべて、個々の入力に基づいて判定される。一例では、第1の確率604Aは、油レベルに基づいてロックされる車軸の確率である。一実施形態では、油レベルに基づいてロックされる車軸の確率は、図4Aおよび図4Bのグラフによって提供されるように判定される。別の実施形態では、第2の確率は、油温に基づく、ロックされる車軸の確率である。一例では、油温に基づいてロックされる車軸の確率は、グラフ図5Aおよび図5Bによって提供されるように判定される。別の例では、第3の確率は、ギアケースの振動に基づくロックされる車軸の確率であり、第4の確率は、車輪の欠陥に基づくロックされる車軸の確率である。次いで、第1、第2、第3、および第4の確率を利用して、ある期間のロックされる車軸の組み合わされた確率を判定する。ロックされる車軸の組み合わされた確率は、確率を平均化すること、特定の確率により多いまたはより少ない重み付けを与えること、最も高い確率を選択することなどによって判定され得る。変数の組み合わせを利用することによって、精度が向上し、保守および他の防止措置を通じて、ロックされる車軸が防止され得る。
【0030】
図7は、ロックされる車軸の結果としての車両システムのための鉄道車両の駆動系故障の可能性を判定するための方法700を例解する。一例では、車両システムは、図1の車両システムである。別の例では、方法は、図2のコントローラによって実施される。一実施形態では、車両システムは、鉄道車両システムである。他の実施形態では、車両システムは、オフロード車両(複数可)、トロリー(複数可)、航空機のフリート、船舶のフリートなどのうちの1つである。
【0031】
ステップ702において、車両の1つ以上の構成要素の振動特性、流体特性、または温度特性のうちの1つ以上が判定される。例では、判定はコントローラによって行われ得る。一例では、車両は、車両システムの一部である。振動特性は、振動に関連するまたは関連付けられている対象となる特定の周波数範囲の任意の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、振幅、周波数、振動振幅などであり得る。対象となる特定の周波数範囲の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、振幅、周波数、振動振幅などは、それが車両の任意の構成要素の振動を提供する場合、または車両の任意の構成要素の振動を取得するために利用され得る場合、振動に関連するかまたは関連付けられ得る。振動特性は、対象となる特定の周波数範囲の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量、振幅、周波数、振動振幅などによって提供され得る。振動特性は、アルゴリズム、数学的方程式、数学的モデル、関数、ルックアップテーブル、決定木などを利用して取得され得る。判定された振動特性は、車両の車軸の1つ以上の軸受の軸受振動、車両の1つ以上のギアのギア振動、車両の1つ以上のギアによって生成されたギア伝達振動、空気伝達振動、構造伝達振動、車両のギアケースのケース振動、車両の1つ以上の車輪の加速度、振動シグネチャなどのうちの1つ以上を含み得る。
【0032】
温度特性は、温度に関連するまたは関連付けられている任意の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などであり得る。読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などは、車両の任意の構成要素の温度を提供する場合、温度に関連するかまたは関連付けられ得る。温度特性は、アルゴリズム、数学的方程式、数学的モデル、関数、ルックアップテーブル、決定木などを利用して取得され得る。判定された温度特性は、温度、流体温度、潤滑剤温度、PE軸受温度およびCE軸受温度を含む車軸軸受温度(軸受要素、軌道輪、チューブなどを含む)、モータ巻線温度などのうちの1つ以上を含み得る。
【0033】
例示的な実施形態では、特性は、振動特性、流体特性、および温度特性のうちの2つ以上であり得る。例えば、ギアケース内の油などの流体の温度は、流体特性および温度特性の両方であり得る。
【0034】
同様に、流体特性は、流体に関連するまたは関連付けられている任意の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などであり得る。読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などは、それが車両の流体の特性を提供する場合、または車両の流体の特性を取得するために利用され得る場合、流体に関連するかまたは関連付けられ得る。流体特性は、読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などによって提供され得る。流体特性は、アルゴリズム、数学的方程式、数学的モデル、関数、ルックアップテーブル、決定木などを利用して取得され得る。判定された流体特性は、流体量、車両の車軸の1つ以上の軸受の車軸軸受温度、1つ以上の牽引モータ軸受のモータ軸受温度、1つ以上の組み合わせ軸受の組み合わせ軸受温度、1つ以上のジャーナル軸受のジャーナル軸受温度、車両のギアケースまたはエンジンの1つ以上の潤滑剤の流体温度、車両のモータの1つ以上の導電性巻線のモータ巻線温度、潤滑剤または流体レベルなどのうちの1つ以上を含み得る。
【0035】
ステップ704において、振動特性、流体特性、または温度特性のうちの1つ以上に対して1つ以上の予想される特性が判定される。予想される特性は、直接測定に基づいて直接測定または判定され得る実際の特性とは対照的に、計算または判定に基づく特性である。具体的には、車両、車両構成要素などに作用する力に基づいて、構成要素の不具合が生じていない場合に各振動特性、流体特性、および温度特性に関して、計算または判定を行うことができる。例えば、鉄道車両が平均車両速度50mph、平均車軸出力500HPで100マイル進行した場合、車軸のギアケースに対する予想される潤滑流体温度について計算を行うことができる。
【0036】
一方、実際の流体温度もまた、油に浸漬されたセンサによって直接判定され得る。このようにして、進行距離、車両速度などの変数から計算された流体温度は、予想される流体特性であり、温度センサによって直接測定された流体特性は、予想される流体特性ではない。具体的には、一例では、車両は、複数の車軸を含み、振動特性、潤滑油レベルなどの流体特性、または温度特性のうちの1つ以上が、車軸の第1の車軸に対して判定され、1つ以上の予想される振動特性、流体特性、または温度特性が、第1の車軸を含まない車軸のセットの動作に少なくとも部分的に基づいて判定される。具体的には、予想される振動特性および流体特性は、車軸の直接測定を利用する必要はない。
【0037】
一例では、予想される特性は、遠隔地からの情報を利用して判定され得る。特に、鉄道車両の実施形態において、正の車両コントローラ(PVC)は、鉄道システムを利用する他の鉄道車両に関して鉄道システム上の鉄道車両の移動を制限および制御するために利用され得る。継続的に取得されるそのような情報は、予想される特性に関連する判定および計算を行うために利用され得る。さらに、鉄道車両に関連するデータ、情報などを継続的に取得する走行オプティマイザソフトウェアを備えたコントローラが利用され得る。具体的には、走行オプティマイザソフトウェアは、任意の個々の走行に関連する目標を達成するために機能する。例えば、特定の走行は、ある特定の時間量内に、ある特定の量の汚染が発生した状態で行われることが望まれる場合がある。走行オプティマイザソフトウェアは、次いで、これらの目的を満たす方法で動作するように鉄道車両を動作させる。それでも、このような最適化を達成するために、情報、データなどを継続的に収集する。そのような情報、データなどは、予想される特性に関連する判定および計算を行うために利用され得る。
【0038】
例示的な実施形態では、1つ以上の予想される特性は、周囲条件に少なくとも部分的に基づき得る。そのような周囲条件は、予想される特性に関連する直接測定と組み合わせて、または予想される特性の直接測定を利用することなく利用され得る。周囲条件は、車両の1つ以上の車輪の回転速度、周囲温度、周囲音、車両が移動している経路の経路特性、車両の車両特性、車両の1つ以上の車軸に印加されるアクセルトルク、経路もしくは鉄道の健全性もしくは不規則性のうちの1つ以上、経路内の1つ以上の隙間の存在、経路の曲率、経路上の車両の位置、または経路特性としての経路内の不整合、車両の重量、車両速度、車両の車輪のサイズ、車両特性としての推定動的車軸重量などのうちの1つ以上を含み得る。
【0039】
別の例では、振動特性、流体潤滑、または温度潤滑量のうちの1つ以上に対する1つ以上の予想される特性はまた、車両の動作にも基づき得る。具体的には、1つ以上の予想される特性は、車両速度、車両の車軸に及ぼされる車軸トルク、周囲温度、車両が移動している経路の1つ以上の特性、車両の1つ以上の特性の1つ以上などを含む車両の動作に基づき得る。
【0040】
ステップ706において、振動特性、流体特性、または温度特性のうちの1つ以上は、1つ以上の予想されるそれぞれの特性から逸脱したことを判定される。一例では、振動特性、流体特性、または温度特性は、予想されるそれぞれの特性と比較され得る。他の例では、数学的関数、数学的モデル、ルックアップテーブル、決定木、関数、アルゴリズムなどが、逸脱を判定するために利用され得る。他の例では、振動特性、流体特性、または温度特性の間の差が公差よりも大きくない場合、逸脱の判定が提供されないように、公差が判定され得る。別の実施形態では、公差は、判定された量に基づき得る。例えば、流体特性が軸受アセンブリ内の軸受を潤滑する油の油温である場合、判定された公差は、華氏5度(または摂氏約2度)であり得る。このようにして、油の予想される流体特性が華氏297度(摂氏149度)であるとき、油の流体特性が華氏300度(摂氏150度)である場合、流体特性は、予想されるそれぞれの油温から逸脱していないことを判定される。油の予想される流体特性が華氏290度(摂氏143度)である場合、流体特性は予想される流体特性から逸脱している。他の実施形態では、判定された量の代わりに、パーセント差が利用され得る。このようにして、振動特性、流体特性、または温度特性が増加または減少するにつれて、公差の範囲は同様に増加または減少し得る。さらに別の例では、流体特性は、潤滑油汚染物質の量を示し得る。そのような汚染物質は、水、すす、汚れ、金属粒子などを含み得る。そのような特性は、流体の交換および/またはシールもしくはガスケットの修理の必要性を示すことができる。したがって、判定された範囲の外にある汚染物質の量は、そのようなニーズを示し得る。
【0041】
ステップ706において、振動特性、流体特性、または温度特性の間の逸脱が生じていないという判定が行われる場合、振動特性、流体特性、または温度特性は、704において判定され続ける。振動特性、流体特性、または温度特性の間の逸脱が生じたという判定が行われる場合、708において、車両の複数の車軸の各々に対する健全性スコアは、振動特性、潤滑特性、または温度特性のうちの1つ以上と1つ以上の予想される特性との間の逸脱に基づいて判定される。一例では、図3の方法を利用して、スコア付けされた健全性を判定する。具体的には、車軸の健全性に関する判定を行うことができる。
【0042】
振動特性、流体特性、および温度特性を利用して、車軸の健全性、および駆動系故障が生じ得る確率を判定することができる。例えば、ギアケースに減少した油レベルが提供されている場合、ロックされる車軸の確率の上昇が提供され得る。ギアケース内の油温が上昇すると、ロックされる車軸の確率が上昇し得る。ギアケースの振動が増加すると、ロックされる車軸の上昇した確率が提供され得る。車軸軸受温度または軸受軌道輪温度が上昇したとき、ロックされる車軸の上昇した確率が提供され得る。ギアまたは車輪の欠陥はまた、ロックされる車軸の確率を上昇させる可能性もある。さらに別の例では、モータ巻線温度は、ロックされる車軸の確率の上昇の指示であり得る。
【0043】
提供される多くの事例および例では、動作中に温度または振動が増加することが予想されるが、車両システムに作用する力に基づいて、そのような特性に関連する履歴情報に加えて、予想を上回るの上昇は、ロックされる車軸の確率が上昇したという指示である。したがって、これらの特性の1つを監視することによって、ロックされる車軸の可能性に関連する確率を判定することができる。いくつかの実施形態では、1つを超える確率を利用して、ロックされる車軸の全体的な確率を判定し得る。例えば、ギアケースの温度とギアケースの流体レベルとの両方を監視し、両方に対してロックされる車軸の確率を判定し得る。一例では、確率は、ロックされる車軸の全体的な確率を判定するために平均化され得る。別の実施形態では、判定された確率は、判定された要因、予想される値からの逸脱の重大度などに基づいて重み付けされ得る。さらに別の実施形態では、アルゴリズムは、そのような確率判定を行うために利用され得る。全体として、振動特性、流体特性、および/または温度特性に基づいて、車軸の健全性は、判定された確率に基づいて判定され得る。確率に基づいて、ヒーススコアが提供され得る。健全性スコアは、ルックアップテーブル、決定木、アルゴリズム、数学的関数、数学的モデルなどによって判定され得る。
【0044】
ステップ710において、応答アクションは、健全性スコアに基づいて実施され得る。具体的には、健全性スコアがロックされる車軸が生じる高い確率が存在することを示す場合、健全性スコアに基づいて、異なる応答アクションが生じ得る。応答アクションは、運転者にアラートを送信すること、PVC装置または停車場装置を含む車外システムにアラートを送信すること、別の車両または車両システムにアラートを送信すること、車両の修理または車両のスケジュールされた配車の変更が生じるべきかどうかを判定するために車外施設に通知を生成すること、車外システムに振動特性、流体特性、または温度特性を通信すること、車軸の1つ以上に印加された車軸トルクを変更して、車軸のうちの少なくとも1つを出力低下させ、車軸のうちの1つ以上の他のものに印加された車軸トルクを増加させること、車両の移動を停止すること、車両の移動を減速させること、車両の以降の走行を修理まで防止すること、1つ以上の構成要素の点検をスケジュールすることなどを含み得る。アラートは、視覚メッセージ、聴覚メッセージ、聴覚音、点滅ライトなどを含み得る。通知は、電子メッセージ(電子メール)、テキストメッセージ、自動音声メッセージなどを含み得る。具体的には、健全性スコアに基づいて、ロックされる車軸が生じる前にロックされる車軸を防止するための応答アクションが実行され得る。
【0045】
図8は、図7の方法の実施のために利用される例解的な例示的なアルゴリズム800である。この例では、車軸の軸受の健全性に関連する車両システムに関連する特性に基づいて健全性スコアが判定される。より具体的には、判定は、車両システムの動作に基づいている。
【0046】
第1の特性802、第2の特性804、第3の特性806、第4の特性808、および第5の特性810は、軸受の予想される温度の判定812を行う際に利用される。軸受は、PE軸受、CE軸受などであり得る。一例では、第1の特性は、車軸の回転速度であり、第2の特性は、車軸トルクであり、第3の特性は、軸受の周囲環境の周囲温度であり、第4の特性は、勾配、曲率などの軌道特性であり、第5の特性は、軸受要素の材料、車軸のサイズなどの車両特性である。特性の各々は、軸受の予想される温度を判定するために利用され得るため、温度特性である。具体的には、各々は、摩擦および他の温度に基づく特性を計算するために利用され得る。特性802~810は、センサ、車両特性評価要素、走行特性評価要素、車外装置、走行プラン、車外PTCコントローラなどから受信されてよい。予想される温度の判定は、数学的計算、モデル、関数などに基づいて行うことができる。
【0047】
予想される温度の判定の後、予想される温度814および測定された温度816は、両方とも、健全性判定アルゴリズム818に提供される。健全性判定アルゴリズムは、予想される温度と測定された温度との両方を利用して、動作の結果としての軸受の劣化820に関連する判定を行う。この例では、公差822は、そのような測定値間の典型的な変動のために提供される。次に、測定された温度と比較された予想される温度に基づいて、軸受健全性スコア824が提供される。健全性スコアに応じて、アラートを提供すること、運転者または第三者に通知すること、保守予約をスケジュールすること、軸受のアクセルトルクを減少させること、車両システムを停止すること、車両システムの車両速度を減少させることなどを含む応答アクションが取られ得る。このようにして、軸受健全性スコアは、ロックされる車軸に関連するリスクを軽減するために利用される。
【0048】
図9は、図7の方法の実施のために利用されるさらに別の例示的なアルゴリズム900を例解する。この例では、車軸の健全性スコアは、別の車軸との比較に基づいて判定される。具体的には、車両システムの各車軸は、他の車軸と比較的同じ特性を提供する必要がある。結果として、一方の車軸が別の車軸よりも著しく動作するか、または性能が悪い場合、ロックされる車軸の可能性の指示が提供される。さらに、センサが車軸に結合されている場合、複数の車軸に共通の振動信号は、不良な軌道表面条件を示す可能性がある。この情報は、インフラストラクチャ作業範囲または動作速度制限を推進するために使用することができる。
【0049】
各軸の健全性を判定するとき、図9の例示的なアルゴリズムでは、第1の特性902および第2の特性904は第1の車軸に関連し、第3の特性906および第4の特性908は別の車軸、または第2の車軸に関連する。特性の各々は、軸受の予想される温度の判定910に対して入力される。軸受は、PE軸受、CE軸受などであり得る。例えば、第1の特性は、第1の車軸の軸受温度であってもよく、第2の特性は、第1の車軸の車軸トルク要件などのデューティ特性であり得る。第3の特性は、第2の車軸の軸受温度であってもよく、第4の特性は、第2の車軸の軸トルク要件であり得る。これらの入力に基づいて、予想される温度に関連して判定が行われ得る。
【0050】
図8の実施形態と同様に、予想される温度の判定の後、予想される温度914と測定された温度916とは両方とも、健全性判定アルゴリズム918に提供される。健全性判定アルゴリズムは、予想される温度と測定された温度との両方を利用して、動作の結果としての軸受の劣化920に関連する判定を行う。この例では、公差922は、そのような測定値間の典型的な変動のために提供される。次に、測定された温度と比較された予想される温度に基づいて、軸受健全性スコア924が提供される。健全性スコアに応じて、アラートを提供すること、運転者または第三者に通知すること、保守予約をスケジュールすること、劣った健全性スコアを有する軸受を備える車軸のトルクを低下させること、車両システムを停止すること、車両システムの車両速度を減少させることなどを含む応答アクションが取られ得る。
【0051】
図10は、図7の方法の実施のために利用されるさらに別の例示的なアルゴリズム1000を例解する。この例では、車軸の健全性スコアは、駆動系内のセンサに基づいて判定される。具体的には、駆動系に関連する振動特性、流体特性、および/または温度特性を利用することによって、予想される温度が判定され得る。
【0052】
図10の例示的なアルゴリズムにおいて、第1の特性1002は、車軸軸受温度などの軸受構造に関連し得る。一方、第2の特性1004および第3の特性1006は、駆動系に関連し得る。一例では、第2の特性はエンジン油温であり、第3の特性はモータ温度である。特性の各々は、軸受の予想される温度の判定1010に対して入力される。軸受は、PE軸受、CE軸受などであり得る。図8~9の実施形態と同様に、予想される温度の判定は、数学的関数、数学的モデル、コンピュータ生成モード、ルックアップテーブル、決定木などを利用して行われ得る。さらに別の例では、追加の駆動系特性が利用され得る。そのような実施形態では、3駆動系関連特性を比較して、測定された特性のうちの1つが測定値に故障を提供しているかどうかを判定し得る。したがって、比較を利用することによって、実施される1つ以上の応答アクションは、車両の障害の誤検出を排除するための比較に基づいて制限され得る。
【0053】
図8~9の実施形態と同様に、予想される温度の判定の後、予想される温度1014と測定された温度1016とは両方とも、健全性判定アルゴリズム1018に提供される。健全性判定アルゴリズムは、予想される温度と測定された温度との両方を利用して、動作の結果としての軸受の劣化1020に関連する判定を行う。この例では、公差1022は、そのような測定値間の典型的な変動のために提供される。次に、測定された温度と比較された予想される温度に基づいて、軸受健全性スコア1024が提供される。健全性スコアに応じて、アラートを提供すること、運転者または第三者に通知すること、保守予約をスケジュールすること、劣った健全性スコアを有する軸受を備える車軸のトルクを低下させること、車両システムを停止すること、車両システムの出力または車両速度を減少させることなどを含む応答アクションが取られ得る。
【0054】
図11は、図7の方法の実施のために利用されるさらに別の例示的なアルゴリズム1100を例解する。この例では、車軸の健全性スコアは、デルタ温度対予想されるデルタの比較に基づいて判定される。具体的には、駆動系に関連する振動特性、流体特性、および/または温度特性を利用することによって、予想される温度が判定され得る。
【0055】
図11の例示的なアルゴリズムでは、第1の特性1102は、PE軸受の温度に関連し得、第2の特性1104は、CE軸受の温度に関連し得る。特性の各々は、軸受の予想される温度の判定1010に対して入力される。この例示的な実施形態における軸受は、PE軸受である。図8~10の実施形態と同様に、予想される温度の判定は、数学的関数、数学的モデル、コンピュータ生成モード、ルックアップテーブル、決定木などを利用して行われ得る。
【0056】
図8図10の実施形態と同様に、予想される温度の判定の後、予想される温度1114と測定された温度1116とは両方とも、健全性判定アルゴリズム1118に提供される。健全性判定アルゴリズムは、予想される温度と測定された温度との両方を利用して、動作の結果としての軸受の劣化1120に関連する判定を行う。この例では、公差1122は、そのような測定値間の典型的な変動のために提供される。次に、測定された温度と比較された予想される温度に基づいて、軸受健全性スコア1124が提供される。健全性スコアに応じて、アラートを提供すること、運転者または第三者に通知すること、保守予約をスケジュールすること、劣った健全性スコアを有する軸受を備える車軸のトルクを低下させること、車両システムを停止すること、車両システムの車両速度を減少させることなどを含む応答アクションが取られ得る。
【0057】
図8~11はすべて、車軸軸受の予想される温度が判定され、車軸軸受の健全性スコアを判定するために車軸軸受の測定された温度と比較される例示的な実施形態を実証する。さらに、同様の方法論を利用して、他の特性の健全性スコアが判定され、車軸の健全性スコアを判定するために利用され得、次いで、潜在的なロックされる車軸を軽減するためのアクションが取られ得る。
【0058】
図12は、潜在的なロックされる車軸の軽減のために提供される出力低下アルゴリズム1200を例解する。例解されるように、第1、第2、第3、第4、第5、および第6の健全性スコア1202A~Fが例解されている。この実施形態では、6つの健全性スコアが利用されるが、他の実施形態では、1つの健全性スコアのみが利用され得る。代替的に、6つを超える健全性スコアが利用される。具体的には、1つ以上の健全性スコアが利用され得、利用されるより多くの健全性スコアは、より正確な結果を提供する。図12の実施形態について、一例では、第1の健全性スコアは、ギアケース健全性スコアの潤滑剤レベルであり、第2の健全性スコアは、ギアケース健全性スコアの潤滑剤温度であり、第3の健全性スコアは、ギアケース健全性スコアの振動であり、第4の健全性スコアは、ギア健全性スコアであり、第5の健全性スコアは、PE温度健全性スコアであり、第6の健全性スコアは、車輪欠陥健全性スコアである。例示的な実施形態では、PE温度健全性スコアは、図8~11のアルゴリズムを利用して判定される。示されるように、振動特性、流体特性、および/または温度特性を使用することによって、多数の健全性スコアを判定して、車軸の健全性を判定する精度を向上させることができる。
【0059】
各健全性スコアに対して、重み1204A~Fが提供される。重みは、健全性スコアに基づいて判定され得る。一例では、健全性スコアが悪いほど、その健全性スコアに対して提供される重みが大きくなる。このようにして、車輪欠陥スコアが、次の50マイルの進行でロックされる車軸が予想されるようなものであり、他のすべてのスコアが、ロックされる車軸がさらに10,000時間以上経過するまで予想されないことを示している場合、正確な結果が提示されるように、車輪欠陥スコアに著しく多くの重みが提供される。
【0060】
代替的に、重みは、健全性スコアの精度に依存し得る。一実施形態において、健全性スコアは、1~100の尺度である。このような実施形態の例では、潤滑油温度に基づく健全性スコアが20を下回るとき、95%の確率で次の100マイルの走行中にロックされる車軸が生じるが、軸受振動に基づく健全性スコアが20を下回るとき、50%の確率でのみ車軸のロックが生じる。具体的には、そのような実施形態では、軸受を測定する振動センサのタイプは、潤滑油温度システムほど正確ではない場合がある。結果として、軸受振動が20を下回ることに基づく健全性スコアよりも、20を下回る潤滑油温度に基づく健全性スコアにより多くの重みが提供される。代替的に、他の例では、重みは、数学的モデル、関数、ルックアップテーブル、決定木などを利用して計算され得る。
【0061】
重みに基づいて、最大スコア1206A~Fが提供される。最大スコアは、先で考察される判定を行うための方法のうちのいずれかにおいて判定され得る。次いで、最大スコアに基づいて、各車軸に対する最小スコア1208が判定され、各車軸に対する車軸健全性スコア1210A~Cが提供され得る。各車軸に対する車軸健全性スコア1210A~Cから、走行中にロックされる車軸が生じることを防止するために、応答アクション1212が取られ得る。例えば、各車軸の車軸健全性スコアに基づいて、予測される故障、または高確率の故障までの最小期間が提供され得る。故障の高い確率は、ロックされる車軸が期間中に生じるであろう確率が50%を超えることを含み得る。代替的に、故障の高い確率は、ロックされる車軸が最小期間中に生じる確率が20%を上回ることを含み得る。最小期間は、時間、距離などの観点から提供され得る。一例では、最小期間は、現在の車両速度における3時間、500マイル、300マイルなどを超える10回の走行であり得る。
【0062】
このようにして、ロックされる車軸が走行中に生じることを防止するために、応答アクションを取る際に利用され得る情報が提供される。このような応答アクションは、より健全な車軸の車軸トルクを増加させながら、識別された車軸の車軸トルクを減少させるために識別された車軸を出力低下させること、車両システムの車両速度を減少させること、修理が生じるまで車両システムが停止後に駅または停車場を離れることを防止すること、修理をスケジュールすること、保守が生じ得る場合に以前に計画されていない停止のために事前に計画された停止をスキップすること、車軸の健全性スコアを第三者装置に報知すること、車軸の健全性スコアの運転者を変更することなどを含み得る。
【0063】
図13は、鉄道車両の駆動系故障の検出のための方法1300のフローブロック図の例示的な実施形態を例解する。一例では、車両システムは、図1の車両システムである。別の例では、方法は、図2のコントローラによって実施される。一実施形態では、車両システムは、鉄道車両システムである。他の実施形態では、車両システムは、オフロード車両(複数可)、トロリー(複数可)、航空機のフリート、船舶のフリートなどのうちの1つである。
【0064】
ステップ1302において、車両の1つ以上の構成要素の振動特性、流体特性、または温度特性のうちの1つ以上が取得される。例では、特性は、センサ、車内コントローラ、走行プランなどによって取得され得る。一例では、車両は、車両システムの一部である。振動特性は、振動に関連するまたは関連付けられている任意の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などであり得る。読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などは、それが車両の任意の構成要素の振動を提供する場合、または車両の任意の構成要素の振動を取得するために利用され得る場合、振動に関連するかまたは関連付けられ得る。振動特性は、読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などによって提供され得る。振動特性は、アルゴリズム、数学的方程式、数学的モデル、関数、ルックアップテーブル、決定木などを利用して取得され得る。一例では、振動特性は、振動シグネチャである。
【0065】
温度特性は、温度に関連するまたは関連付けられている任意の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などであり得る。読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などは、それが車両の任意の構成要素の温度を提供する場合、温度に関連するかまたは関連付けられ得る。温度特性は、アルゴリズム、数学的方程式、数学的モデル、関数、ルックアップテーブル、決定木などを利用して取得され得る。一例では、温度特性は温度である。
【0066】
同様に、流体特性は、流体に関連するまたは関連付けられている任意の読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などであり得る。読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などは、それが車両の流体の特性を提供する場合、または車両の流体の特性を取得するために利用され得る場合、流体に関連するかまたは関連付けられ得る。流体特性は、読み取り値、データ、情報、信号、電流、スリップ、静電容量などによって提供され得る。流体特性は、アルゴリズム、数学的方程式、数学的モデル、関数、ルックアップテーブル、決定木などを利用して取得され得る。一例では、流体特性は、流体量であり得る。
【0067】
ステップ1304において、振動特性、流体特性、または温度特性は、車外システムに通信される。車外システムは、PTC、停車場コントローラ、保守コントローラ、クライアントコントローラ、カスタマーコントローラなどであり得る。車外システムは、車両システム、車両システムの経路、経路特性、他の同様の車両システム、以前に経路を進行した他の同様の車両システムなどに関連する追加の履歴情報およびデータを含み得る。特性に基づいて、振動特性、流体特性、または温度特性は、車外システムによって判定され得る。判定された振動特性は、車両の車軸の1つ以上の軸受の軸受振動、車両の1つ以上のギアのギア振動、車両の1つ以上のギアによって生成されたギア伝達振動、空気伝達振動、構造伝達振動、車両のギアケースのケース振動、車両の1つ以上の車輪の加速度などのうちの1つ以上を含み得る。判定された温度特性は、流体温度、潤滑剤温度、PE軸受温度およびCE軸受温度を含む車軸軸受温度(軸受要素、軌道輪、チューブなどの温度を含む)、巻線温度などのうちの1つ以上を含み得る。例示的な実施形態では、特性は、振動特性、流体特性、および温度特性のうちの2つ以上であり得る。例えば、ギアケース内の油などの流体の温度は、流体特性および温度特性の両方であり得る。判定された流体特性は、車両の車軸の1つ以上の軸受の車軸軸受温度、1つ以上の牽引モータ軸受のモータ軸受温度、1つ以上の組み合わせ軸受の組み合わせ車軸軸受温度、1つ以上のジャーナル軸受のジャーナル軸受温度、車両のギアケースまたはエンジンの1つ以上の潤滑剤の流体温度、車両内のモータの1つ以上の導電性巻線の巻線温度、潤滑剤または流体レベルなどのうちの1つ以上を含み得る。
【0068】
ステップ1306において、振動特性、流体特性、または温度特性は、車両の特性を別の車両に対して測定された同様の特性と比較することによって判定される。例では、振動特性が車軸サイズ、車両サイズ、車両重量、車両速度、地域地形、車輪摩耗などを含む場合、特性はまた、車外コントローラのデータベースに見られる同じ経路地形上で同じ速度で移動する、同じ車軸サイズを有する車両の特性も含み得る。他の車両からの測定された振動特性は、車両の測定された振動と比較され得る。
【0069】
ステップ1308において、任意選択的に、振動特性、流体特性、または温度特性は、振動特性、流体特性、または温度特性の傾向を調べることによって判定される。具体的には、振動特性の傾向は、走行中の多数の地点における類似の車両速度における振動特性を確認して、振動特性が着実に増加しているか、同じままであるか、減少しているか、変動しているかなどを判定することであり得る。
【0070】
ステップ1310において、任意選択的に、振動特性、流体特性、または温度特性は、第1の条件下で測定された特性と、異なる第2の条件下で測定された特性と、を比較することによって判定される。一例では、振動特性は、車両システムが40mphなどの第1の車両速度で進行しているときに測定され、次いで車両システムが60mphなどのより速い第2の車両速度で進行しているときに測定される。
【0071】
ステップ1312において、任意選択的に、振動特性、流体特性、または温度特性は、車両の第1の経年数における車両について測定された特性と、車両の後の第2の経年数における車両について測定された特性と、を比較することによって判定される。したがって、例では、車両システムの振動特性は、車両システムが10年経過したときに経路の特定の部分で進行したとき、および同じ列車が3年経過したときに同じ経路で同じ走行を行ったときに判定され得る。次に、車両システムが3年経過したときの車両システムの振動特性を、車両システムが10年年経過した車両システムと比較する。
【0072】
1つ以上の実施形態では、車両の1つ以上の構成要素の振動特性または流体特性のうちの1つ以上を判定し、振動特性または流体特性のうちの1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定することを含み得る方法が提供される。本方法はまた、振動特性または流体特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想されるそれぞれの特性から逸脱しているかどうかを判定することと、振動特性または流体特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱していることを判定したことに応じて、1つ以上の応答アクションを実施することとも含み得る。
【0073】
任意選択的に、流体特性は、車両の車軸の1つ以上の軸受の軸受温度、軸受温度として測定されるモータ軸受温度、油温、1つ以上の牽引モータ軸受のモータ巻線温度、1つ以上の組み合わせ軸受の組み合わせ軸受温度、1つ以上のジャーナル軸受のジャーナル軸受温度、車両のギアケースもしくはエンジンのうちの1つ以上の潤滑剤の流体温度、または車両内のモータの1つ以上の導電性巻線の巻線温度のうちの1つ以上として判定され得る。一態様では、判定され得る1つ以上の予想される温度特性は、異なる車軸の軸受間の予想される温度差を含み得る。別の態様では、判定される1つ以上の予想される温度特性は、少なくとも1つの車軸を回転させるモータの予想されるモータ温度を含み得る。
【0074】
任意選択的に、車両は複数の車軸を含み得、振動特性または流体特性のうちの1つ以上は、車軸の第1の車軸に対して判定され、1つ以上の予想される振動特性、流体特性、または温度特性は、第1の車軸を含まない車軸のセットの動作に少なくとも部分的に基づいて判定される。一態様において、判定される1つ以上の予想される振動および流体特性は、セット内の車軸の各々のトルクおよび温度に少なくとも部分的に基づいている予想される車軸温度であり得る。一例では、車軸は、複数車両システム内の同じ車両内にあり得る。別の例では、車軸は、複数車両システム内の異なる車両内にあり得る。
【0075】
任意選択的に、振動特性が判定され得、車両の車軸の1つ以上の軸受の軸受振動、車両の1つ以上のギアのギア振動、車両の1つ以上のギアによって生成されたギア伝達振動、空気伝達振動、構造伝達振動、車両のギアケースのケース振動、または車両の1つ以上の車輪の加速度のうちの1つ以上を含む。一態様では、流体特性は、潤滑量であり得、車両内のエンジン、ギアケース、または駆動系ハウジングのうちの1つ以上における油の量を含む。一実施形態では、1つ以上の予想される特性は、少なくとも部分的に周囲条件にあり得る。実施形態の一例では、周囲条件は、車両の1つ以上の車輪の回転速度、周囲温度、周囲音、車両が移動している経路の経路特性、車両の車両特性、車両の1つ以上の車軸に印加されるトルク、経路の健全性のうちの1つ以上、経路内の1つ以上の隙間の存在、経路の曲率、経路上の車両の位置、もしくは経路特性としての経路内の不整合、車両の重量、車両の移動速度、車両の車輪のサイズ、または車両特性としての推定動的車軸重量のうちの1つ以上を含み得る。
【0076】
任意選択的に、振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上に対する1つ以上の予想される特性はまた、車両の動作にも基づき得る。一態様では、1つ以上の予想される特性は、車両の移動速度、車両の車軸に及ぼされるトルク、周囲温度、車両が移動している経路の1つ以上の特性、または車両の1つ以上の特性のうちの1つ以上を含む車両の動作に基づき得る。一実施形態では、実施される1つ以上の応答アクションは、1つ以上の予想される特性からの振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上の逸脱に基づいて、車両を修理するか、または車両のスケジュールされた配車を変更するかを判定する、車外施設への通知を生成することを含み得る。
【0077】
任意選択的に、方法はまた、車両の振動特性を別の車両に対して測定された振動特性と比較すること、または振動特性の傾向を調べることのうちの1つ以上を行う車外システムに、振動特性を通信することも含み得る。本方法はまた、第1の条件下で測定された振動特性を、異なる第2の条件下で測定された振動特性と比較すること、または車両の第1の経年数における車両に対して測定された振動特性を、車両の後の第2の経年数における車両に対して測定された振動特性と比較すること、のうちの1つ以上を行う車外システムに、振動特性を通信することも含み得る。一態様では、実施され得る1つ以上の応答アクションは、車両の1つ以上の他の車軸が車両を推進するために車両のモータまたはエンジンのうちの1つ以上によって回転され続けている間に、車両の第1の車軸を出力低下させることを含む。
【0078】
任意選択的に、方法はまた、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上と1つ以上の予想される特性との間の逸脱に基づいて、車両の複数の車軸の各々の健全性スコアを判定することも含む。一態様では、実施され得る1つ以上の応答アクションは、車軸のうちの1つ以上に印加されたトルクを変更して、車軸のうちの少なくとも1つを出力低下させ、車軸のうちの1つ以上の他のものに印加されたトルクを健全性スコアに基づいて増加させること、または車両の移動を停止することを選択することのうちの1つ以上を含む。実施され得る1つ以上の応答アクションはまた、車両の移動を減速させること、車両の現在の走行を完了すること、および車両が修理されるまで車両の以降の走行を防止すること、または車両の以降の以前にスケジュールされた保守において車両の1つ以上の構成要素の点検をスケジュールすることのうちの1つ以上も含み得る。別の態様では、実施される1つ以上の応答アクションは、走行を完了する可能性に対する1つ以上の応答アクションの異なる影響に基づいて選択され得る。一例では、実施される1つ以上の応答アクションは、トルクが変更されるときに、車両が勾配上で失速することを判定することに応じて、車軸のうちの1つ以上に印加されるトルクを変更することを防止することを含み得る。
【0079】
1つ以上の実施形態では、車両の第1の車軸の温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を判定することと、車両の少なくとも第2の車軸の温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を判定することと、を含み得る方法が提供される。本方法はまた、第1の車軸に対して判定される温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を、少なくとも第2の車軸に対して判定される温度、振動、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上と比較することと、第1の車軸に対して判定される温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上を、少なくとも第2の車軸に対して判定される温度、振動シグネチャ、または流体潤滑剤量のうちの1つ以上と比較することに基づいて、第1の車軸の健全性を判定することと、も含み得る。
【0080】
任意選択的に、振動特性は、車両の異なる車軸と結合された複数のセンサによって判定され得、本方法はまた、異なる車軸と結合されたセンサによって測定された振動を比較することを含み得る。本方法はまた、異なる車軸と結合されたセンサによって測定され、互いに比較される振動に基づいて経路の損傷部分を識別することを含み得る。別の態様では、振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上は、直接測定によって判定され得る。一例では、振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上は、間接測定によって判定される。別の例では、振動特性または流体潤滑量の1つ以上は、別の異なる特性の測定値から判定される。別の態様では、他の異なる特性は、車輪スリップ、車両内で伝導される電流、または車両内で測定される静電容量のうちの1つ以上を含む。一実施形態では、振動特性が判定され、振動の周波数または振幅のうちの1つ以上を含む。
【0081】
任意選択的に、本方法はまた、振動特性のうちの1つ以上または車両に対して判定された流体潤滑量の間の比較を判定することも含み得る。本方法はまた、異なる条件下で車両に対して測定される、または別の車両に対して測定される振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上の間の比較を判定することも含み得る。本方法はまた、車両との障害の誤検出を排除するために、比較に基づいて実施される1つ以上の応答アクションのうちのどれかを制限することを含み得る。
【0082】
1つ以上の実施形態では、車両の1つ以上の構成要素の振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上を測定し得る1つ以上のセンサを含むシステムが提供される。本システムはまた、振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定し得る1つ以上のプロセッサも含み得る。1つ以上の予想される特性は、周囲条件に少なくとも部分的に基づき得る。1つ以上のプロセッサはまた、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱するかどうかも判定し得る。1つ以上のプロセッサはまた、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱していることを判定したことに応じて、1つ以上の応答アクションも実施し得る。
【0083】
1つ以上の実施形態では、車両の1つ以上の構成要素の振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上を判定することを含み得る方法が提供される。本方法はまた、振動特性または流体潤滑量のうちの1つ以上に対して、1つ以上の予想される特性を判定することを含み得る。1つ以上の予想される特性は、周囲条件に少なくとも部分的に基づき得る。本方法はまた、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上が1つ以上の予想される特性から逸脱しているかどうかを判定することと、振動特性または潤滑特性のうちの1つ以上と1つ以上の予想される特性との間の逸脱に基づいて、車両の複数の車軸の各々に対する健全性スコアを判定することと、も含み得る。本方法はまた、車両の移動を停止すること、車両の移動を減速させること、車両の現在の走行を完了すること、および車両が修理されるまで車両の以降の走行を防止することを選択すること、または車両の以降の以前にスケジュールされた保守において、車両の1つ以上の構成要素の点検をスケジュールすることも含み得る。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「プロセッサ」および「コンピュータ」、ならびに関連する用語、例えば、「処理装置」、「コンピューティング装置」、および「コントローラ」は、コンピュータとして当該技術分野で言及されるそれらの集積回路に限定されないが、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびアプリケーション固有の集積回路、ならびに他のプログラマブル回路を指し得る。好適なメモリは、例えば、コンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリなどのコンピュータ可読不揮発性媒体であり得る。用語「非一時的コンピュータ可読媒体」は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびサブモジュール、または任意の装置内の他のデータなどの情報の短期および長期記憶のために実装される有形のコンピュータに基づく装置を表す。したがって、本明細書に記載される方法は、記憶装置および/またはメモリ装置を含むが、これらに限定されない、有形の非一時的コンピュータ可読媒体に具現化される実行可能命令として符号化され得る。そのような命令は、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、本明細書に記載される方法の少なくとも一部分を実行させる。このように、この用語は、揮発性および不揮発性媒体、ならびにファームウェア、物理的および仮想記憶装置、CD-ROM、DVD、ならびにネットワークまたはインターネットなどの他のデジタルソースなどの取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含むが、これらに限定されない、非一時的コンピュータ記憶装置を含む、有形のコンピュータ可読媒体を含む。
【0085】
一実施形態では、制御システムは、導出に基づく学習成果を可能にするために機械学習を使用し得るローカルデータ収集システムを配備し得る。制御システムは、データ駆動型予測を行い、データのセットに従って適応することによって、データのセット(様々なセンサによって提供されるデータを含む)から学習し、決定を行い得る。実施形態では、機械学習は、教師付き学習、教師なし学習、および強化学習などの機械学習システムによる複数の機械学習タスクを実行することを含み得る。教師付き学習は、例示的な入力および所望の出力のセットを機械学習システムに提示することを含み得る。教師なし学習は、パターン検出および/または特徴学習などの方法によってその入力を構造化する学習アルゴリズムを含み得る。強化学習は、機械学習システムが動的環境内で実行し、次いで、正しい判定および正しくない決定に関するフィードバックを提供することを含み得る。例では、機械学習は、機械学習システムの出力に基づく複数の他のタスクを含み得る。例では、タスクは、分類、回帰、クラスタリング、密度推定、次元縮小、異常検出などのような機械学習問題であり得る。例では、機械学習は、複数の数学的および統計的技術を含み得る。例では、多くのタイプの機械学習アルゴリズムは、決定木に基づく学習、相関ルール学習、深層学習、人工ニューラルネットワーク、遺伝子学習アルゴリズム、帰納的論理プログラミング、サポートベクターマシン(SVM)、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、ルールベースの機械学習、疎な辞書学習、類似性メトリック学習、学習分類子システム(LCS)、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、K平均法、勾配ブースト、K最近傍(KNN)、アプリオリアルゴリズムなどを含み得る。実施形態では、特定の機械学習アルゴリズムが使用され得る(例えば、自然選択に基づき得る拘束最適化問題と非拘束最適化問題との両方を解決するために)。例では、アルゴリズムは、いくつかの構成要素が整数値であることに制限されている、混合整数計画法の問題に対処するために使用され得る。アルゴリズムおよび機械学習技術およびシステムは、計算インテリジェンスシステム、コンピュータビジョン、自然言語処理(NLP)、推奨システム、強化学習、グラフィカルモデルの構築などで使用され得る。例では、機械学習は、車両性能および行動分析などに使用され得る。
【0086】
一実施形態では、制御システムは、1つ以上のポリシーを適用し得るポリシーエンジンを含み得る。これらの方針は、設備または環境の所与の項目の特性に少なくとも部分的に基づき得る。制御ポリシーに関して、ニューラルネットワークは、いくつかの環境パラメータおよびタスク関連パラメータの入力を受信することができる。これらのパラメータは、車両グループに対して判定された走行プランの識別と、様々なセンサからのデータと、場所および/または位置データを含み得る。ニューラルネットワークは、これらの入力に基づいて出力を生成するように訓練され得、出力は、車両グループが走行プランを達成するために取るべきアクションまたはアクションのシーケンスを表す。一実施形態の動作中に、ニューラルネットワークのパラメータを通して入力を処理して、そのアクションを所望のアクションとして指定する値を出力ノードで生成することによって、判定が生じ得る。このアクションは、車両を動作させる信号に変換され得る。これは、バックプロパゲーション、フィードフォワードプロセス、クローズドループフィードバック、またはオープンループフィードバックを介して達成され得る。代替的に、バックプロパゲーションを使用するのではなく、コントローラの機械学習システムは、進化戦略技術を使用して、人工ニューラルネットワークの様々なパラメータを調整し得る。保守システムは、バックプロパゲーションを使用して常に解決可能というわけではない可能性がある関数、例えば、非凸関数を有するニューラルネットワークアーキテクチャを使用し得る。一実施形態では、ニューラルネットワークは、そのノード接続の重みを表すパラメータのセットを有する。このネットワークのいくつかのコピーが生成され、次いで、パラメータに様々な調整が行われ、シミュレーションが行われる。様々なモデルから出力が取得されると、判定された成功メトリックを使用して、それらの性能に基づいて評価され得る。最良のモデルが選択され、車両コントローラは、予測された最良の結果シナリオをミラーリングするために所望の入力データを達成する計画を実行する。さらに、成功メトリックは、互いに重み付けされ得る最適化された結果の組み合わせであり得る。
【0087】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の参照を含む。「任意選択的な」または「任意選択的に」は、続いて記載される事象または状況が生じ得るかまたは生じ得ないことと、その記載が、その事象が生じる場合およびその事象が生じない場合を含み得ることを意味する。本明細書および特許請求の範囲全体を通して本明細書で使用される近似言語は、それが関連し得る基本機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。したがって、「約」、「実質的に」、および「およそ」などの用語(複数可)によって修飾される値は、指定された正確な値に限定されるべきではないことがある。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための器具の精度に対応し得る。本明細書および特許請求の範囲全体を通して、範囲制限を組み合わせ、および/または交換し得、そのような範囲は識別され得、文脈または言語が別途指示しない限り、そこに含まれるすべての部分範囲を含む。
【0088】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良のモードを含む実施形態を開示し、任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含む実施形態を当業者が実践することを可能にする。特許請求の範囲は、本開示の特許可能な範囲を定義し、当業者に着想される他の例を含む。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語とは異なる構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語とは実質的に異なる等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の1又はそれ以上の構成要素の振動特性、流体特性及び温度特性のうちの1又はそれ以上の特性であって、該車両の該1又はそれ以上の構成要素に動作可能に結合された1又はそれ以上のセンサーによって取得される1又はそれ以上の特性を、決定する段階と、
前記車両の1又はそれ以上の過去の動作状況に関連する実際の特性であって、該車両の過去の動作時に取得された実際の特性を、取得する段階と、
前記車両の前記1又はそれ以上の過去の動作状況に関連する前記実際の特性に少なくとも部分的に基づいた1又はそれ以上の予想される特性であって、前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの1又はそれ以上の特性に関連する1又はそれ以上の予想される特性を、計算する段階と、
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性が、前記1又はそれ以上の予想される特性から逸脱しているかどうかを決定する段階と、
前記1又はそれ以上の予想される特性が指定された時間区間内に達成されるであろう確率を決定する段階と、
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性が、前記1又はそれ以上の予想される特性から逸脱しているかどうかを決定することに応答して、1又はそれ以上の応答アクションを実施する段階と、
を含む方法であって、
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性についての前記1又はそれ以上の予想される特性が、前記1又はそれ以上の予想される特性が前記指定された時間区間内に達成されるであろう前記確率に少なくとも部分的に基づいており、
実施される前記1又はそれ以上の応答アクションが、
前記車両の移動を停止させること、
該車両の移動を減速させること、
該車両の現在の走行を完了させること、
該車両が修理されるまで、該車両の走行を防止すること、及び、
後に行われる、過去にスケジュールされた該車両の保守において、該車両の前記1又はそれ以上の構成要素の点検をスケジュールすること、
のうちの1又はそれ以上を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記温度特性が、
前記車両の1つの車軸の1又はそれ以上の軸受の軸受温度、
1又はそれ以上の牽引モーター軸受のモーター軸受温度、1又はそれ以上の組み合わせ軸受の組み合わせ軸受温度、
1又はそれ以上のジャーナル軸受のジャーナル軸受温度、
前記車両のギヤケース及びエンジンのうちの一方又は両方における潤滑剤の流体温度、及び、
前記車両におけるモーターの1又はそれ以上の導電性巻線の巻線温度、
のうちの1又はそれ以上として決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記車両が複数の車軸を含み、
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性が、前記複数の車軸のうちの第1の車軸について決定され、
予想される振動特性、予想される流体特性、及び、予想される温度特性、のうちの1又はそれ以上の特性が、前記第1の車軸を含まない1組の前記複数の車軸の過去の動作状況にづくなくとも部分的に基づいて計算される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記車両が、複数車両システムに含まれ、
前記1組の前記複数の車軸が該複数車両システムにおける第1の車両にある、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記振動特性が、
前記車両の1又はそれ以上の車軸の1又はそれ以上の軸受の軸受振動、
該車両の1又はそれ以上のギヤのギヤ振動、
該車両の前記1又はそれ以上のギヤにより生成されたギヤ伝達振動、
空気伝達振動、
構造伝達振動、
該車両のギヤケースのケース振動、及び、
該車両の1又はそれ以上の車輪の加速度、
のうちの1又はそれ以上として決定される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記1又はそれ以上の予想される特性が、周囲条件、車両特性又は経路特性に少なくとも部分的に基づいており、
前記周囲条件が、前記車両の1又はそれ以上の車輪の回転速度、周囲温度、周囲音、及び、前記車両が移動している経路の経路特性、のうちの1又はそれ以上を含み、
前記車両の前記車両特性が、該車両の1又はそれ以上の車軸に印加されるトルク、該車両の重量、該車両の移動速度、該車両のサイズ、推定動的車軸重量、のうちの1又はそれ以上を含み、
前記経路特性が、前記経路の健全性、該経路における1又はそれ以上の隙間の存在、該経路の曲率、該経路における前記車両の位置、及び、該経路における不整合、のうちの1又はそれ以上を含む、請求項1から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記振動特性、前記流体特性又は前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性に関連する前記1又はそれ以上の予想される特性が、
前記車両の前記過去の動作状況に基づいており、さらに、
該車両の過去の移動速度、
該車両の車軸に及ぼされたトルク、
過去の周囲温度、
該車両が過去に移動した経路の1又はそれ以上の特性、及び、
該車両の1又はそれ以上の特性、
のうちの1又はそれ以上を含む、請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
実施される前記1又はそれ以上の応答アクションが、
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性の前記1又はそれ以上の予想される特性からの逸脱に基づいて前記車両を修理するか又は該車両のスケジュールされた配車を変更するかどうかを決定する車外システムに、通信されるように構成された通知を生成すること、
を含む、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記車両の振動特性を、別の車両について測定された振動特性と比較すること、
第1の条件下で測定された前記車両の振動特性を、異なる第2の条件下で測定された前記車両の振動特性と比較すること、及び、
前記車両の第1の経年数において測定された該車両の振動特性を、該車両の後の第2の経年数において測定された該車両の振動特性と比較すること、
のうちの1又はそれ以上を行う車外システムに対して、前記振動特性を通信する段階、
をさらに含む、請求項1から請求項8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性と、前記1又はそれ以上の予想される特性と、の間における差に基づく前記車両の1又はそれ以上の車軸の状態を決定する段階、をさらに含む、請求項1から請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
車両の1又はそれ以上の構成要素の振動特性、流体特性及び温度特性のうちの1又はそれ以上の特性を、決定する段階と、
前記車両の1又はそれ以上の過去の動作状況に関連する周囲条件の実際の特性に少なくとも部分的に基づいた、前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性に対する、1又はそれ以上の予想される特性を、決定する段階と、
を含む方法であって、
前記実際の特性が前記車両の過去の動作時に取得され、該1又はそれ以上の予想される特性が該車両の過去の動作時における周囲条件に少なくとも部分的に基づいており、
当該方法が、さらに、
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性が、前記1又はそれ以上の予想される特性から逸脱しているかどうかを決定する段階と、
前記1又はそれ以上の予想される特性が指定された時間区間内に達成されるであろう確率を決定する段階と、
前記振動特性、前記流体特性及び前記温度特性のうちの前記1又はそれ以上の特性と前記1又はそれ以上の予想される特性との間の差に基づいた、かつ、前記1又はそれ以上の予想される特性が前記指定された時間区間内に達成されるであろう前記確率に少なくとも部分的に基づいた、前記車両の複数の車軸の各々の状態を決定する段階と、
前記複数の車軸の各々の前記状態を決定することに応答して、1又はそれ以上の応答アクションを実施する段階と、
を含み、
前記1又はそれ以上の応答アクションが、
前記車両の移動を停止させること、
該車両の移動を減速させること、
該車両の現在の走行を完了させること、
該車両が修理されるまで、該車両の走行を防止すること、及び、
該車両の前記1又はそれ以上の構成要素の点検をスケジュールすること、
のうちの1又はそれ以上を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
車外システムに対して前記振動特性を通信する段階、をさらに含み、
該車外システムが、
前記車両の前記振動特性を別の車両について決定された振動特性と比較すること、
該車両の前記振動特性における傾向を調べること、
第1の条件下において測定された前記車両の前記振動特性を、異なる第2の条件下において測定された該車両の前記振動特性と比較すること、及び、
第1の経年数において測定された前記車両の前記振動特性を、該車両の後の第2の経験数において測定された該車両の前記振動特性と比較すること、
のうちの1又はそれ以上を行うものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の車軸の各々の前記状態に基づいて、実施される前記1又はそれ以上の応答アクションのうちのいずれかを制限する段階、をさらに含む、請求項11又は請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記車両の前記1又はそれ以上の過去の動作状況に関連する前記実際の特性を継続的に取得する段階と、
該実際の特性に基づいた前記1又はそれ以上の予想される特性を決定する段階と、
をさらに含む、請求項11から請求項13のいずれかに記載の方法。

【外国語明細書】