(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016653
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】Musk阻害
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20250128BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20250128BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250128BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20250128BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20250128BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20250128BHJP
C07K 16/40 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A61K45/00 ZNA
A61K38/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P1/00
A61P1/02
A61P21/00
A61P21/02
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/06
A61P25/08
C07K16/18
C07K16/40
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024191894
(22)【出願日】2024-10-31
(62)【分割の表示】P 2021513331の分割
【原出願日】2019-09-05
(31)【優先権主張番号】2021589
(32)【優先日】2018-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2023119
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516037671
【氏名又は名称】アカデミシュ・ジークンホイス・ライデン・ハー・オー・デー・エン・ライドス・ユニヴェルシタイル・メディシュ・セントルム
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シルヴェル・マリア・ファン・デル・マーレル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス・ユストゥス・ヘーラルト・マリア・フェルシューレン
(72)【発明者】
【氏名】マルティナ・フェラルディナ・マリア・ハイベルス
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコブ・ヤン・プロンプ
(57)【要約】
【課題】対象において神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療するための新規の方法が、本明細書で提供される。
【解決手段】本発明は、また、それらの治療における使用のための、結合物質を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療する際の使用のための、1つ又は複数の結合領域を含む、結合物質であって、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合物質。
【請求項2】
結合物質が、結合タンパク質である、請求項1に記載の使用のための結合物質。
【請求項3】
MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する領域が、可変領域である、請求項2に記載の使用のための結合物質。
【請求項4】
MuSKタンパク質が、ヒトMuSKタンパク質である、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項5】
結合物質が、1価である、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項6】
結合物質が、2価又は3価である、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項7】
結合物質が、抗体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項8】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項7に記載の使用のための結合物質。
【請求項9】
抗体が、ヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項7又は8に記載の使用のための結合物質。
【請求項10】
抗体が、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される、請求項7から9のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項11】
抗体が、IgGである、請求項7から10のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項12】
IgGが、IgG1、IgG2、又はIgG3から選択される、請求項11に記載の使用のための結合物質。
【請求項13】
IgGが、in vivoにおける、Fabアーム交換に対する減少した能力を有する、又はFabアーム交換できない、IgG4バリアントである、請求項11に記載の使用のための結合物質。
【請求項14】
IgG4バリアントが、in vivoにおける、Fabアーム交換に関する能力を減少させる、又はFabアーム交換を防止する、1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む、請求項13に記載の使用のための結合物質。
【請求項15】
IgG4バリアントが、EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖の、アミノ酸228位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸409位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸405位におけるアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む、請求項13又は14に記載の使用のための結合物質。
【請求項16】
対象が、ヒトである、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項17】
疾患、障害、及び/又は症状が、
(i) 過度の筋活動による、歪んだ外観、又は
(ii) ジストニア、顔面痙攣、斜視、脳性まひ、吃音、慢性緊張性頭痛、咽頭の下咽頭収縮筋の痙攣、痛み、片頭痛、不随意痙攣、筋痙直、斜視、職業性けいれん、裂肛、歯ぎしり、及び任意のそれらの組合せを含む、過度の筋活動によって生じる、疾患、障害、若しくは症状、
から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項18】
MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、ただ1つの結合領域が、
a) 配列番号10を含むVH CDR1、配列番号11を含むVH CDR2、配列番号12を含むVH CDR3、配列番号14を含むVL CDR1、配列番号15を含むVL CDR2、及び配列番号16を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号9を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号13を含む軽鎖可変ドメインを含む;
b) 配列番号18を含むVH CDR1、配列番号19を含むVH CDR2、配列番号20を含むVH CDR3、配列番号22を含むVL CDR1、配列番号23を含むVL CDR2、及び配列番号24を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む;
c) 配列番号26を含むVH CDR1、配列番号27を含むVH CDR2、及び配列番号28を含むVH CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号25を含む重鎖可変ドメインを含む;
d) 配列番号30を含むVH CDR1、配列番号31を含むVH CDR2、配列番号32を含むVH CDR3、配列番号34を含むVL CDR1、配列番号35を含むVL CDR2、及び配列番号36を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号29を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号33を含む軽鎖可変ドメインを含む;
e) 配列番号38を含むVH CDR1、配列番号39を含むVH CDR2、配列番号40を含むVH CDR3、配列番号42を含むVL CDR1、配列番号43を含むVL CDR2、及び配列番号44を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む;
f) 配列番号46を含むVH CDR1、配列番号47を含むVH CDR2、配列番号48を含むVH CDR3、配列番号50を含むVL CDR1、配列番号51を含むVL CDR2、及び配列番号52を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号45を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメインを含む;
g) 配列番号54を含むVH CDR1、配列番号55を含むVH CDR2、配列番号56を含むVH CDR3、配列番号58を含むVL CDR1、配列番号59を含むVL CDR2、及び配列番号60を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号53を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号57を含む軽鎖可変ドメインを含む;又は
h) 上記の任意の組合せ、
から選択される配列を有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の使用のための結合物質。
【請求項19】
対象における皮膚のしわを防止、制御、又は減少させる方法であって、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つ又は複数の結合領域を含む結合物質を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療又は防止する方法であって、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つ又は複数の結合領域を含む結合物質を、対象に投与することを含む、方法。
【請求項21】
疾患、障害、及び/又は症状が、
(i) 過度の筋活動による、歪んだ外観、又は
(ii) ジストニア、顔面痙攣、斜視、脳性まひ、吃音、慢性緊張性頭痛、咽頭の下咽頭収縮筋の痙攣、痛み、片頭痛、不随意痙攣、筋痙直、斜視、職業性けいれん、裂肛、歯ぎしり、及び任意のそれらの組合せを含む、過度の筋活動によって生じる、疾患、障害、若しくは症状、
から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
結合物質が、結合タンパク質である、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する領域が、可変領域である、請求項22の方法。
【請求項24】
MuSKタンパク質が、ヒトMuSKタンパク質である、請求項19から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
結合物質が、1価である、請求項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
結合物質が、2価又は3価である、請求項19から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
結合物質が、抗体である、請求項19から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
抗体が、ヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
抗体が、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される、請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
抗体が、IgGである、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
IgGが、IgG1、IgG2、又はIgG3から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
IgGが、in vivoにおける、Fabアーム交換に対する減少した能力を有する、又はFabアーム交換できない、IgG4バリアントである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
IgG4バリアントが、in vivoにおける、Fabアーム交換に関する能力を減少させる又は防止する、1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
IgG4バリアントが、EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖の、アミノ酸228位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸409位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸405位におけるアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
対象が、ヒトである、請求項19から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
結合物質が、抗体であって、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、ただ1つの結合領域が、
a) 配列番号10を含むVH CDR1、配列番号11を含むVH CDR2、配列番号12を含むVH CDR3、配列番号14を含むVL CDR1、配列番号15を含むVL CDR2、及び配列番号16を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号9を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号13を含む軽鎖可変ドメインを含む;
b) 配列番号18を含むVH CDR1、配列番号19を含むVH CDR2、配列番号20を含むVH CDR3、配列番号22を含むVL CDR1、配列番号23を含むVL CDR2、及び配列番号24を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む;
c) 配列番号26を含むVH CDR1、配列番号27を含むVH CDR2、及び配列番号28を含むVH CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号25を含む重鎖可変ドメインを含む;
d) 配列番号30を含むVH CDR1、配列番号31を含むVH CDR2、配列番号32を含むVH CDR3、配列番号34を含むVL CDR1、配列番号35を含むVL CDR2、及び配列番号36を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号29を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号33を含む軽鎖可変ドメインを含む;
e) 配列番号38を含むVH CDR1、配列番号39を含むVH CDR2、配列番号40を含むVH CDR3、配列番号42を含むVL CDR1、配列番号43を含むVL CDR2、及び配列番号44を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む;
f) 配列番号46を含むVH CDR1、配列番号47を含むVH CDR2、配列番号48を含むVH CDR3、配列番号50を含むVL CDR1、配列番号51を含むVL CDR2、及び配列番号52を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号45を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメインを含む;
g) 配列番号54を含むVH CDR1、配列番号55を含むVH CDR2、配列番号56を含むVH CDR3、配列番号58を含むVL CDR1、配列番号59を含むVL CDR2、及び配列番号60を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号53を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号57を含む軽鎖可変ドメインを含む;又は
h) 上記の任意の組合せ、
から選択される配列を有する、請求項19から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つ又は複数の結合領域を含む抗体であって、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合するただ1つの結合領域が、
a) 配列番号10を含むVH CDR1、配列番号11を含むVH CDR2、配列番号12を含むVH CDR3、配列番号14を含むVL CDR1、配列番号15を含むVL CDR2、及び配列番号16を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号9を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号13を含む軽鎖可変ドメインを含む;
b) 配列番号18を含むVH CDR1、配列番号19を含むVH CDR2、配列番号20を含むVH CDR3、配列番号22を含むVL CDR1、配列番号23を含むVL CDR2、及び配列番号24を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む;
c) 配列番号26を含むVH CDR1、配列番号27を含むVH CDR2、及び配列番号28を含むVH CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号25を含む重鎖可変ドメインを含む;
d) 配列番号30を含むVH CDR1、配列番号31を含むVH CDR2、配列番号32を含むVH CDR3、配列番号34を含むVL CDR1、配列番号35を含むVL CDR2、及び配列番号36を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号29を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号33を含む軽鎖可変ドメインを含む;
e) 配列番号38を含むVH CDR1、配列番号39を含むVH CDR2、配列番号40を含むVH CDR3、配列番号42を含むVL CDR1、配列番号43を含むVL CDR2、及び配列番号44を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む;
f) 配列番号46を含むVH CDR1、配列番号47を含むVH CDR2、配列番号48を含むVH CDR3、配列番号50を含むVL CDR1、配列番号51を含むVL CDR2、及び配列番号52を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号45を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメインを含む;
g) 配列番号54を含むVH CDR1、配列番号55を含むVH CDR2、配列番号56を含むVH CDR3、配列番号58を含むVL CDR1、配列番号59を含むVL CDR2、及び配列番号60を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号53を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号57を含む軽鎖可変ドメインを含む;又は
h) 上記の任意の組合せ、
から選択される配列を有する、抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、対象における、MuSKを媒介した神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療するための新規の方法が提供される。本発明は、また、上記疾患、障害、及び/又は症状を治療する際に使用される結合物質(binding agent)を提供する。
【背景技術】
【0002】
神経筋接合部(NMJ)は、運動ニューロンが筋線維と接触する場所である。この部位において、運動ニューロン及び筋線維は、2つの細胞間で両方向のコミュニケーションを可能にする、特殊化した構造を、一緒に作り出す。運動ニューロンは、収縮するように、筋肉に指示を出す。いくつかのシグナル伝達カスケードは、このコミュニケーション方法を制御することに関与する。神経筋伝達の中心にあるのは、運動ニューロンの末端による、アセチルコリン(ACh)の放出である。Achは、シナプス間隙を通って、筋線維へ拡散する。そこで、AChは、筋線維膜にあるAch受容体(AChR)と結合する。これは、筋膜の活動電位を生じさせ、最終的に筋線維収縮を起こす。
【0003】
十分なAChの放出、及び密集して集まったAChRの存在は、神経筋伝達及び筋収縮の成功の必須条件である。アグリン‐低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4(Lrp4)‐筋特異的キナーゼ(MuSK)シグナルカスケードは、AChRクラスタリングの重要な制御因子である。このシグナルカスケードは、神経筋シナプスの構築及び維持に重要である。MuSKは、細胞外シグナルを内部に伝達して、AChRのクラスタリングを促進する。AChの放出、及びAChRとの結合は、筋収縮を媒介する。
【0004】
神経筋伝達に影響を与える、多くの異なる物質が知られており、美容及び治療の状況において通常、使用される。よく知られている例は、現在、いくつかの治療用途及び非治療用途のため(例えば、しわを減らすため、又は筋肉の痙攣を治療するため)に使用される、ボツリヌス神経毒素である。しかしながら、これらの毒素の極度の毒性及び固有の免疫原性のため、それらの使用は、副作用、例えば、望まない麻痺及び/又は宿主の免疫反応(Naumann, M., Boo, L. M., Ackerman, A. H. & Gallagher, C. J. J Neural Transm (Vienna) 120, 275-290, (2013))を回避又は最小化するために、極度に低用量での投与に、典型的には、通常制限される。
【0005】
A型ボツリヌス神経毒素(BoNT/A)は、神経筋伝達の阻害によって軽減される、いくつかの疾患、障害、及び/又は症状の治療のために現在使用される、調製物中の、活性物質である。ボツリヌス毒素は、細菌のA型ボツリヌス菌(Clostridium botulinum type A)に由来する生物学的製剤である。ほとんどの治療法において、BoNT/Aは、その他のタンパク質との複合物の一部である。従って、これらの製品の組成物における変更は、排除され得ない(例えば、ボトックス(登録商標)/ビスタベル(登録商標)、ディスポート(登録商標)/アザルア(登録商標)、及びゼオミン(登録商標)/ボコーチュア(登録商標)、FrevertJ.Drugs R D.2010;10(2):67-73を参照)。
【0006】
ボツリヌス毒素を用いた治療は、多くの副作用を有することも知られている。そのような副作用は、一過性疲労、嚥下障害、頸部筋力低下(neck weakness)、嗄声、及び限局性の痛みを含む。さらに、ボツリヌス毒素治療に予備的に反応する、多くの個人が、その後、治療に反応しなくなる。従って、多くの個人にとって、ボツリヌス注射は、疾患の満足のいく長期の治療を提供することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Naumann, M., Boo, L. M., Ackerman, A. H. & Gallagher, C. J. J Neural Transm (Vienna) 120, 275-290, (2013)
【非特許文献2】FrevertJ.Drugs R D.2010;10(2):67-73
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
美容及び/又は治療用途の、神経筋伝達のよりよい遮断薬に関する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、自己免疫性重症筋無力症(MG)患者から、いくつかのMuSKモノクローナル抗体を単離し、特性を明らかにし、それらの機能的特性を試験して、MuSK MGの病理学的機序をさらに理解した。
【0011】
MGは、神経筋シナプスの最も一般的な障害であり、米国では、100000人あたり10から20人を侵す。MGは、NMJタンパク質に対する自己抗体が、神経筋伝達を損ない、疲れやすい筋力低下を起こす、消耗性自己免疫疾患である。MGのサブタイプによっては、特定の筋肉サブセットは、自己免疫発作により敏感であるが、全ての骨格筋が影響を受け得る。およそ80%の患者が、筋ニコチン性AChRに対する自己抗体を有し、その結果、AChR MGとなる。ほとんどの患者において、最初の症状は、外眼筋の脱力であり、疾患が進行した場合、骨格筋の眼性又は全身性の脱力も起きる。AChG自己抗体がMGを起こす病理学的機序は、自己抗体アイソタイプ;免疫グロブリン(IgG)1及びIgG3に強く関連する。IgG1及びIgG3は、補体を活性化、免疫細胞上のFc受容体と結合、並びに抗原を架橋及びインターナライズすることができる、炎症性抗体である。さらに、これらのAChR抗体は、AChRを架橋し、AChRの構造変化を誘導することによって、AChRの抗原調節、AChの結合部位のブロック、又はAChに対する親和性の変化を引き起こす。これらのエフェクター機能は、機能的AChRの有効性を減少させることによって、AChR MGにおける疾患に、全面的に寄与し、結果としてNMJの機能障害及び分解を起こす。
【0012】
MG患者のおよそ5%が、MuSKに対する自己抗体を有し、MuSK MGとなる(Hoch et al., 2001)。MuSKは、AChRのクラスタリング及びシナプス遺伝子(sub-synaptic gene)発現を調整し、従って、MuSKは、NMJの形成及び維持に不可欠である(Burden et al., 2018)。眼筋及び呼吸筋は、MuSK自己抗体によって、特に影響を受け、これらの患者のおよそ40%において、呼吸に関する危機がもたらされ得る(Evoli et al., 2003)。AChR MGとは対照的に、MuSK MGにおける自己抗体は、IgG4アイソタイプが大部分である(McConville et al., 2004)。ポリクローナル血清抗体を用いたエピトープマッピングは、疾患の重症度は、MuSKのN末端Ig様1ドメイン(the N-terminal Ig-like 1 domain)に対するIgG4活性と相関することが示された(Huijbers et al., 2016)。さらに、MuSK MG患者由来の、精製されたヒトポリクローナルIgG4の受動伝達は、免疫不全マウスにおいてMGを誘導したので、これらの自己抗体の病原性の性質が確認されたが、IgG1-3は確認されなかった(Klooster et al., 2012)。in vitro研究は、血漿から精製されたMuSK IgG4自己抗体が、MuSK-Lrp4の相互作用をブロックし、それによって、AChRのデクラスタリングを誘導し、神経筋伝達の障害及びMGとなることを示した(Huijbers & Zhang 2013, Koneczny et al., 2013, Otsuka et al., 2015)。
【0013】
本発明者らは、MuSK MG患者に由来する、クローンのMuSK特異的メモリーB細胞培養物由来の組換えMuSK抗体を作製し、遺伝子及び機能レベルで、特性を明らかにした。これらは、相補性決定領域(CDRs)における高レベルの親和性成熟を受けた、異なる重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子を使用し、抗原選択と一致する、IgG1、IgG3、及びIgG4抗体を含む。結合実験によって、MuSKのIg様1ドメインに対するそれらの特異性、及びマウスNMJに対する親和性を確認した。
【0014】
MuSKのIg様1ドメインに結合する、IgG4自己抗体は、MuSK MGの疾患を起こし得ることが知られている。IgG4は、最初に、in vivoで、2価の単一特異的な形態で、生成される(すなわち、同じ標的抗原に対して特異的な、2つの可変領域を有する)。次いで、IgG4は、経時的に、IgGの半分の交換を受け(文字通りで、及び本明細書において、Fabアーム交換(Fab-arm exchange)と呼ばれるプロセス、以下を参照)、結果として、in vivoにおける2価の二重特異性IgG4分子のプールが生じる(すなわち、異なる標的抗原に対して特異的な、2つの可変領域を有する)。従って、in vivoにおいて、経時的に、IgG4は、元の標的抗原に対して、機能的に1価となる(すなわち、IgG4は依然として2つの可変領域を有するが、元の標的(この例の場合、MuSKのIg様1ドメイン)に特異的に結合するただ1つの可変領域のみを持ち続ける)。これは、IgG4のプールの99%超に関して、24時間以内に起きる、急激なプロセスである(ただし、必要となる残基がIgG4のFcテイル中に存在するという、Fabアーム交換に関する全ての必要条件が満たされた場合に限る)。
【0015】
本発明者らは、驚くべきことに、MuSK抗体は、MuSKのIg様1ドメインに対して機能的に1価である場合(すなわち、MuSK抗体が、MuSKのIg様1ドメイン特異的に結合するただ1つの可変領域のみを保持する場合)、アグリン誘導MuSKリン酸化を阻害のみ行う(そして、MuSKの二量体化及び活性化を阻害する)ことを見出した。本明細書で提供されるデータは、初めて、MuSK MG患者で見られるIgG4自己抗体は、機能的に1価となる場合(従って、Fabアーム交換を受けた後、in vivo)、本来的に、抑制性のみをもたらすことを説明する。従って、Fabアーム交換を受ける、患者のIgG4のMuSK抗体の能力は、疾患の発症にとって重大のようである。何故ならば、Fabアーム交換は、内因性のMuSK IgG4を、二重特異性及びMuSKのIg様1ドメインに対して機能的に1価の状態にするからである。この状態においてのみ、IgG4は、MuSK活性の阻害剤として作用する。
【0016】
本発明者らは、また、驚くべきことに、アグリン非依存性MuSKリン酸化は、MuSK抗体がMuSkのIg様1ドメインに対して2価で、且つ単一特異性である場合(すなわち、MuSK抗体が、共に、MuSKのIg様1ドメインに特異的に結合する2つの可変領域を有する場合)、誘導され、増加することを示した。従って、本発明者らは、MuSKのIg様1ドメインに対する抗体の価数が、抗体がMuSKアンタゴニスト(2価の二重特異性抗体、又は1価の単一特異性抗体断片)であるか、アゴニスト(2価の単一特異性抗体)であるかを決定することを示した。
【0017】
本明細書で提示されるデータは、アゴニストである、2価の単一特異性MuSK Ig-1様ドメイン抗体は、MuSKのIg様1ドメインに特異的に結合する、ただ1つの可変領域のみを保持させられる場合、同じ標的抗原に対するアンタゴニストに変換され得ることを示すので、本発明は完全に驚くべきものである。
【0018】
一態様において、1つ又は複数の結合領域を含む結合物質であって、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合物質が、対象における、神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療する際の使用のために提供される。
【0019】
有利には、本明細書で記載される結合物質は、MuSK二量体化及び/又はリン酸化及び/又は活性化を誘導しない(例えば、誘導することができない)。
【0020】
適切には、結合物質は、結合タンパク質である。
【0021】
適切には、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する領域は、可変領域である。
【0022】
適切には、MuSKタンパク質は、ヒトMuSKタンパク質である。
【0023】
適切には、結合物質は、1価である。
【0024】
適切には、結合物質は、2価又は3価である。この場合、2価又は3価の結合物質は、MuSK二量体化又は活性化を誘導しない(例えば、誘導することができない)。
【0025】
適切には、結合物質は、抗体である。
【0026】
適切には、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0027】
適切には、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体である。
【0028】
適切には、抗体は、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。
【0029】
適切には、抗体は、IgGである。IgGは、IgG1、IgG2、又はIgG3から選択されてもよい。代替としては、IgGは、in vivoにおける、Fabアーム交換に対する減少した能力を有する、又はFabアーム交換できない、IgG4バリアントであってもよい。
【0030】
適切には、IgG4バリアントは、in vivoにおける、Fabアーム交換に関する能力を減少させる、又はFabアーム交換を防止する、1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む。
【0031】
適切には、IgG4バリアントは、EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖の、アミノ酸228位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸409位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸405位におけるアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む。
【0032】
適切には、対象はヒトである。
【0033】
適切には、疾患、障害、及び/又は症状は、以下から選択される;
(i) 過度の筋活動による、歪んだ外観、又は
(ii) ジストニア、顔面痙攣、斜視、脳性まひ、吃音、慢性緊張性頭痛、咽頭の下咽頭収縮筋の痙攣(sapsms of the inferior constrictor of the pharynx)、痛み、片頭痛、不随意痙攣、筋痙直、斜視、職業性けいれん、裂肛、歯ぎしり、及び任意のそれらの組合せを含む、過度の筋活動によって生じる、疾患、障害、若しくは症状。
【0034】
適切には、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、ただ1つの結合領域は、以下から選択される配列を有する:
a) 配列番号10を含むVH CDR1、配列番号11を含むVH CDR2、配列番号12を含むVH CDR3、配列番号14を含むVL CDR1、配列番号15を含むVL CDR2、及び配列番号16を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号9を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号13を含む軽鎖可変ドメインを含む;
b) 配列番号18を含むVH CDR1、配列番号19を含むVH CDR2、配列番号20を含むVH CDR3、配列番号22を含むVL CDR1、配列番号23を含むVL CDR2、及び配列番号24を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む;
c) 配列番号26を含むVH CDR1、配列番号27を含むVH CDR2、及び配列番号28を含むVH CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号25を含む重鎖可変ドメインを含む;
d) 配列番号30を含むVH CDR1、配列番号31を含むVH CDR2、配列番号32を含むVH CDR3、配列番号34を含むVL CDR1、配列番号35を含むVL CDR2、及び配列番号36を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号29を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号33を含む軽鎖可変ドメインを含む;
e) 配列番号38を含むVH CDR1、配列番号39を含むVH CDR2、配列番号40を含むVH CDR3、配列番号42を含むVL CDR1、配列番号43を含むVL CDR2、及び配列番号44を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む;
f) 配列番号46を含むVH CDR1、配列番号47を含むVH CDR2、配列番号48を含むVH CDR3、配列番号50を含むVL CDR1、配列番号51を含むVL CDR2、及び配列番号52を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号45を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメインを含む;
g) 配列番号54を含むVH CDR1、配列番号55を含むVH CDR2、配列番号56を含むVH CDR3、配列番号58を含むVL CDR1、配列番号59を含むVL CDR2、及び配列番号60を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号53を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号57を含む軽鎖可変ドメインを含む;又は
h) 上記の任意の組合せ。
【0035】
対象における、皮膚のしわを防止、制御、又は減少させる方法も提供され、上記方法は、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つ又は複数の結合領域を含む結合物質を、対象に投与することを含む、方法である。
【0036】
神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療又は防止する方法も、提供され、上記方法は、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つ又は複数の結合領域を含む結合物質を、対象に投与することを含む、方法である。
【0037】
適切には、疾患、障害、及び/又は症状は、以下から選択される:
(i) 過度の筋活動による、歪んだ外観、又は
(ii) ジストニア、顔面痙攣、斜視、脳性まひ、吃音、慢性緊張性頭痛、咽頭の下咽頭収縮筋の痙攣、痛み、片頭痛、不随意痙攣、筋痙直、斜視、職業性けいれん、裂肛、歯ぎしり、及び任意のそれらの組合せを含む、過度の筋活動によって生じる、疾患、障害、若しくは症状。
【0038】
有利には、本明細書で記載される結合物質は、MuSK二量体化及び/又はリン酸化及び/又は活性化を誘導しない(例えば、誘導することができない)。
【0039】
適切には、結合物質は、結合タンパク質である。
【0040】
適切には、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する領域は、可変領域である。
【0041】
適切には、MuSKタンパク質は、ヒトMuSKタンパク質である。
【0042】
適切には、結合物質は、1価である。
【0043】
適切には、結合物質は、2価又は3価である。この場合、2価又は3価の結合物質は、MuSK二量体化又は活性化を誘導しない(例えば、誘導することができない)。
【0044】
適切には、結合物質は、抗体である。
【0045】
適切には、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0046】
適切には、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体である。
【0047】
適切には、抗体は、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。
【0048】
適切には、抗体は、IgGである。IgGは、IgG1、IgG2、又はIgG3から選択されてもよい。代替としては、IgGは、in vivoにおける、Fabアーム交換に対する減少した能力を有する、又はFabアーム交換できない、IgG4バリアントであってもよい。
【0049】
適切には、IgG4バリアントは、in vivoにおける、Fabアーム交換に関する能力を減少させる、又は防止する、1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む。
【0050】
適切には、IgG4バリアントは、EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖の、アミノ酸228位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸409位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸405位におけるアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む。
【0051】
適切には、対象はヒトである。
【0052】
適切には、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、ただ1つの結合領域は、以下から選択される配列を有する:
a) 配列番号10を含むVH CDR1、配列番号11を含むVH CDR2、配列番号12を含むVH CDR3、配列番号14を含むVL CDR1、配列番号15を含むVL CDR2、及び配列番号16を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号9を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号13を含む軽鎖可変ドメインを含む;
b) 配列番号18を含むVH CDR1、配列番号19を含むVH CDR2、配列番号20を含むVH CDR3、配列番号22を含むVL CDR1、配列番号23を含むVL CDR2、及び配列番号24を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む;
c) 配列番号26を含むVH CDR1、配列番号27を含むVH CDR2、及び配列番号28を含むVH CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号25を含む重鎖可変ドメインを含む;
d) 配列番号30を含むVH CDR1、配列番号31を含むVH CDR2、配列番号32を含むVH CDR3、配列番号34を含むVL CDR1、配列番号35を含むVL CDR2、及び配列番号36を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号29を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号33を含む軽鎖可変ドメインを含む;
e) 配列番号38を含むVH CDR1、配列番号39を含むVH CDR2、配列番号40を含むVH CDR3、配列番号42を含むVL CDR1、配列番号43を含むVL CDR2、及び配列番号44を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む;
f) 配列番号46を含むVH CDR1、配列番号47を含むVH CDR2、配列番号48を含むVH CDR3、配列番号50を含むVL CDR1、配列番号51を含むVL CDR2、及び配列番号52を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号45を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメインを含む;
g) 配列番号54を含むVH CDR1、配列番号55を含むVH CDR2、配列番号56を含むVH CDR3、配列番号58を含むVL CDR1、配列番号59を含むVL CDR2、及び配列番号60を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号53を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号57を含む軽鎖可変ドメインを含む;又は
h) 上記の任意の組合せ。
【0053】
別の態様において、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つ又は複数の結合領域を含む抗体が提供され、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、ただ1つの結合領域は、以下から選択される配列を有する:
a) 配列番号10を含むVH CDR1、配列番号11を含むVH CDR2、配列番号12を含むVH CDR3、配列番号14を含むVL CDR1、配列番号15を含むVL CDR2、及び配列番号16を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号9を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号13を含む軽鎖可変ドメインを含む;
b) 配列番号18を含むVH CDR1、配列番号19を含むVH CDR2、配列番号20を含むVH CDR3、配列番号22を含むVL CDR1、配列番号23を含むVL CDR2、及び配列番号24を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号17を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号21を含む軽鎖可変ドメインを含む;
c) 配列番号26を含むVH CDR1、配列番号27を含むVH CDR2、及び配列番号28を含むVH CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号25を含む重鎖可変ドメインを含む;
d) 配列番号30を含むVH CDR1、配列番号31を含むVH CDR2、配列番号32を含むVH CDR3、配列番号34を含むVL CDR1、配列番号35を含むVL CDR2、及び配列番号36を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号29を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号33を含む軽鎖可変ドメインを含む;
e) 配列番号38を含むVH CDR1、配列番号39を含むVH CDR2、配列番号40を含むVH CDR3、配列番号42を含むVL CDR1、配列番号43を含むVL CDR2、及び配列番号44を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む;
f) 配列番号46を含むVH CDR1、配列番号47を含むVH CDR2、配列番号48を含むVH CDR3、配列番号50を含むVL CDR1、配列番号51を含むVL CDR2、及び配列番号52を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号45を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号49を含む軽鎖可変ドメインを含む;
g) 配列番号54を含むVH CDR1、配列番号55を含むVH CDR2、配列番号56を含むVH CDR3、配列番号58を含むVL CDR1、配列番号59を含むVL CDR2、及び配列番号60を含むVL CDR3であって、任意選択で、結合領域が、配列番号53を含む重鎖可変ドメイン、及び配列番号57を含む軽鎖可変ドメインを含む;又は
h) 上記の任意の組合せ。
【0054】
本明細書の記載及び請求項を通して、単語「含む(comprise)」及び「含む(contain)」並びにそれらの変形は、「含むが、限定はされない(including but not limited to)」を意味し、それらは、その他の部分、添加物、成分、整数、又は工程を除外することを目的としていない(及び、除外しない)。
【0055】
本明細書の記載及び請求項を通して、単数は、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、複数を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、本明細書は、複数であること並びに単数であることを考慮することとして、理解されるべきである。
【0056】
本発明の特定の態様、実施形態、又は実施例と共に記載される、特徴、整数、特性、化合物、化学部分、又は基は、相容れない場合を除き、本明細書に記載される、任意のその他の態様、実施形態、又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。
【0057】
本発明の様々な態様は、以下にさらに詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明の実施形態は、以下の添付の図を参照して、さらに後述される。
【0059】
【
図1】
図1は、患者由来の組換えMuSK抗体が、ホールマウント(whole mount)の長耳挙筋(levator auris longus muscle)中のマウスNMJに結合することを示す。スケールマーカーは、25umである。
【
図2a】
図2aは、患者由来の組換えMuSK抗体が、抗体価によって、MuSKリン酸化及びAChRクラスタリングを活性化又は阻害することができることを示す。2価の単一特異性組換えMuSK抗体(クローン# 11-3F6及び13-3B5)は、アグリンの存在下及び非存在下においてMuSKリン酸化を活性化した(A)。MuSKリン酸化の活性化は、用量依存性であった(B)。クローン13-3B5は、11-3F6と比較して、若干より強力であった。ビオチンコントロール抗体は、(アグリン依存性)MuSKリン酸化に影響を与えなかった。これらの組換えMuSKモノクローナル抗体から作製された、1価のFab断片は、MuSKリン酸化を阻害した(C)。アグリン依存性AChRクラスタリングは、ビオチンコントロール抗体又はそのFab断片に曝露された場合、影響を受けなかった(D)。2価の単一特異性組換えIgG4モノクローナルMuSK抗体は、抗ビオチンコントロールより、アグリン依存性AChRクラスタリングはより低いままであったが、同じモノクローナル抗体に由来するFab断片と比較して、有意にAChRクラスタリングを増加させた(IgG4に関して: P=0.0004、Fab断片に関して: P=0.0001、一元配置分散解析ダネット(one-way ANOVA Dunnett)で補正された、11-3F6 IgG4 vs Fab: P=0.0003, 13-3B5 IgG4 vs Fab: P=0.03, 抗ビオチンIgG4 vs Fab: P=0.3、対応のないt検定(unpaired t test))。Fab断片は、AChRクラスターを、精製された患者IgG4及び「アグリンのない」状態のレベルまで減少させた。2価の単一特異性抗体は、さらに、アグリンから独立して、AChRクラスタリングを有意に増加させた(11-3F6: P=0.03, 13-3B5: P=0.2 一元配置分散解析ダネットで補正された)。データは、平均±SEMを表す。スケールバーは、50μmを表す。
【
図3】
図3は、MuSK MG患者から単離された、8つのB細胞クローンに関する、MuSK反応性の結果を示す。MuSKは、酵母及び大腸菌(E. Coli.)で産生された。MuSK MG患者及び健康なドナーから単離された、MuSK反応性B細胞クローンは、シングルセルソーティングされ、形質細胞に分化させられた。これらの単一細胞培養物由来の培地は、(大腸菌で産生された)MuSK反応性に関して、サブクラス特異的(抗IgG1又は抗IgG4又は抗IgG total)二次抗体を使用して、ELISAで試験された。これらの実験において、8つのMuSK反応性B細胞クローンが単離され、そのうち7つがB細胞受容体(BCR)配列を生成した。MuSKタンパク質に対する反応性のレベルは、クローン間で様々であった。健康なドナーコホート及びMuSK MG患者由来のMuSK非反応性クローンを有する、多くのウェルも試験された。健康なドナー由来の1つのクローンは、このアッセイにおいて、MuSKに対していくらかの反応性を有するようであった(11-1B3)。
【
図4】
図4は、MuSK MG患者から単離された、MuSKクローンに対して観察された反応性はMuSKに特異的であったが、一方で、健康なドナーから単離された、MuSKクローン(11-1B3)に対して観察された反応性は、特異的ではなかった。MuSK反応性の特異性も、酵母で産生されたMuSKを使用して、同じシステムで産生されたコントロール抗原(アセチルコリン受容体アルファサブユニット)と比較して、4つのMuSK MGクローンに関して、試験された。健康なドナー由来の「MuSK」陽性クローン(11-1B3)は、酵母で産生されたMuSKに反応性を示さず、この抗体/BCR配列は、MuSK特異的ではなく、大腸菌に関連するタンパク質を認識することが示唆された。MuSK MG患者から単離されたMuSKクローン(11-3F6、11-7C5、11-8G4、及び11-3D9)は、酵母産生MuSKに対して明確な反応性を示した。
【
図5a】
図5aは、Clustal Wアラインメントプログラムを使用した、配列アラインメントを示す。
【
図6】抗MuSK/抗HIV-b12交換異種特異性(heterospecific)IgG4抗体が、IgG4に合わせて調整された、Labrijn, 2014, Nature Protocols及びGenmab, Labrijn, 2013, PNASに詳述される方法を使用して、作製された。これらの抗体は、ex vivoの長耳挙筋における、マウス神経筋接合部(NMJ)での、MuSK結合に関して、試験された。並行して、等価の抗MuSK同種特異性(homospecific)抗体も試験された。データは、異種特異性MuSK IgG4抗体(13-3B5/HIV IgG4及び11-3F6/HIV IgG4)並びに同種特異性MuSK IgG4抗体(13-3B5 IgG4及び11-3F6 IgG4)の両方が、NMJにおいて、MuSKに結合することを確認する。
【
図7】異種特異性MuSK IgG4抗体は、アグリン誘導性MuSKリン酸化の阻害を引き起こす一方で、同種特異性MuSK IgG4抗体は、アグリンの非存在下で、リン酸化を活性化させる。
【
図8】
図8は、同種特異性と異種特異性musk抗体が、in vivoの神経筋パフォーマンスに対して異なる効果を与えることを示す。Nod/scidマウスは、0、3、及び7日目に、5ug/gbwの組換え抗体を腹腔内注射(I.p.)された。異種特異性(機能的に1価)型の両方のクローンは、迅速で重大な、筋脱力(muscle weakness)及び体重減少を誘導する。同種特異性11-3F6 IgG4は、筋脱力及び体重減少を誘導しなかった。I.p. = 腹腔内(intraperitoneal)、gbw = グラム体重(gram body weight)。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明者らは、MuSK MG患者から得られたMuSK抗体の可変ドメインを使用して、2価でMuSKのIg様1ドメインに対して単一特異性である、組換えIgG1及びIgG4抗体を作製した。
【0061】
驚くべきことに、患者由来の組換えMuSKモノクローナル抗体(IgG1及びIgG4の両方)は、MuSKリン酸化を阻害するよりもむしろ活性化させた(
図2A)。この効果は、アグリンの非存在下及び存在下の両方において、見られた。MuSKリン酸化の活性化は濃度依存性であり(
図2B)、2つのクローン間で若干異なった。これは、Ig様1ドメインに結合する、患者由来の2価の単一特異性MuSK抗体は、in vitroにおける、MuSKの二量体化及び活性化を促進することを示唆する。
【0062】
しかしながら、組換えモノクローナルIgG1及びIgG4の両方は、2価の単一特異性抗体‐抗原相互作用に関わる。患者における、Fabアーム交換されたIgG4 MuSK抗体の、二重特異性及び機能的1価性の機能的効果を調べるために、本発明者らは、パパイン分解によって、これらの組換え抗体から、1価のFab断片を生成した。in vitroにおいて、これらのFab断片は、患者血清由来の抗MuSK IgG4に類似した、アグリン依存性MuSKリン酸化(
図2C)及びAChRクラスタリング(
図2D)を阻害した。対照的に、(及びin vitroにおけるMuSKリン酸化を活性化させることに一致して)2価の単一特異性モノクローナルMuSK抗体は、同じモノクローナル抗体に由来するFab断片と比較して、アグリン依存性AChRクラスタリングを活性化させた。さらに、AChRクラスタリングは、アグリンから独立して、2価の単一特異性抗体を使用して、部分的に誘導され得る(
図2D)。従って、1価のMuSK結合は、AChRクラスタリング経路をブロックする一方で、2価の単一特異性MuSK抗体は、MuSKを刺激し、この組織培養モデルにおいて、AChRクラスタリングを促進又は誘導することができる。
【0063】
NMJにおけるAChRクラスタリングは、神経筋伝達及び筋収縮の成功に関して、非常に重要である(Burden et al., 2018)。AChRクラスタリングのより低いレベルは、臨界閾値に達するまで、患者において、耐容される。例えば、MuSK MGに関して、MuSK抗体を受動的に移されたマウスにおいて、AChRクラスタリングの用量依存的減少が存在する(Klooster et al., 2012)。従って、AChRクラスタリングの増加は、神経筋伝達の向上をもたらす。(例えば、AChR MG患者に対する第一対症療法である、アセチルコリンエステラーゼ治療によって、例示されるように、)神経筋伝達の少しの増加は、患者において、治療的に効果がある可能性がある。有利には、本明細書に記載される2価の単一特異性MuSK抗体は、従って、AChRクラスタリング、及びNMJにおけるシナプス安定性を向上させる治療剤として使用され得る。
【0064】
本発明は、抗体を使用して、例示されてきた。しかしながら、一般的な概念は、また、MuSK Ig様1ドメインに対して特異的な結合領域を有する、その他の結合物質に適用される。例として、本明細書で提供されるデータは、2価の単一特異性MuSK Ig様1結合物質(すなわち、2つの結合領域を有し、その両方がMuSK Ig様1ドメインに特異的である、結合物質)は、(MuSK二量体化及び/又はリン酸化及び/又は活性化を誘導することによって)MuSKアゴニストとして作用することができる一方で、2価の二重特異性MuSK Ig様1結合物質(すなわち、2つの結合領域を有し、そのうちの1つのみがMuSK Ig様1ドメインに特異的である、結合物質)は、(MuSK二量体化及び/又はリン酸化及び/又は活性化を防止することによって)MuSKアンタゴニストとして作用することができることを実証する。
【0065】
本明細書に記載される本発明は、1つ又は複数の結合領域を含む結合物質であって、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合物質が、MuSKリン酸化を阻害することで、NMJにおけるMuSKアンタゴニストとして使用することが可能であるという発見に基づく。MuSKリン酸化の減少は、神経筋伝達を障害する。従って、本明細書に記載される結合物質は、対象における、一時的な又は長期間の、限局性の筋脱力(不全まひ)を誘導するために使用され得る。有利には、本明細書に記載される結合物質は、従って、ボツリヌス毒素治療の代替として、使用され得る。
【0066】
本明細書に記載される結合物質は、その他の既知の神経筋伝達アンタゴニスト、例えばボツリヌス毒素を超える、多くの有利な点を有する:
・ボツリヌス毒素は、バッチ毎に、組成物中で差がある、多タンパク質生物学的製剤であり、それにより、ボツリヌス毒素の活性が、予測又は再現しづらくなる。EU単独において、1年におよそ~400000匹のマウスが、ボトックスの各新しいバッチの有効性を試験するために使用されると推定される(Taylor et al., 2019, ALTEX 36(1), 81-90)。本明細書に記載される結合物質は、バッチ間のいかなる(又は最小の)バリエーションなしで、厳しいGCLP要求下で、例えば、モノクローナル抗体として、作製することが可能である。有利には、本明細書に記載される結合物質は、従って、ボツリヌス毒素と同じ、厳しいバッチ間の試験を必要としないであろう。
・ボツリヌス毒素は、シナプス前神経側で作用し、逆行性軸索輸送によって、中枢神経系に輸送もされ、望まない副作用をもたらし得る。
・本明細書に記載される結合物質は、シナプス後筋膜を標的とし、運動ニューロンによってインターナライゼーションされる可能性が低く、シナプス前神経に害を及ぼすはずがない。
・本明細書に記載される結合物質は、ボツリヌス毒素に対するアレルギー反応を発症した(又は発症するリスクがある)対象にとって、有益な代替であり得る。
・本明細書に記載される結合物質は、ボツリヌス毒素に対する免疫反応を発症した(又は発症するリスクがある)対象にとって、有益な代替であり得る。
・本明細書に記載される結合物質、例えば、抗体等の結合タンパク質は、IgG4のバックグラウンドで開発され得る。そのような結合物質は、補体を活性化させることはできず、従って、いかなる膜損傷を起こさず、局所炎症を起こさない。
・本明細書に記載される結合物質の大きさは、様々であり、好ましい動態を有するバージョンすることができる。例えば、scFvは、標的部位により効率的にアクセスするために使用することができ、また、より長い半減期を有する、多量体IgM様分子が作製され得る。
【0067】
結合物質
1つ又は複数の結合領域を含む結合物質であって、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合物質が、本明細書に記載される。
【0068】
有利には、結合物質は、MuSKリン酸化及び/又は二量体化を阻害することによって、MuSK活性を阻害する(そして、MuSKの機能を阻害する)。すなわち、本明細書に記載される結合物質は、MuSKリン酸化及び/又は二量体化を誘導しない(例えば、誘導することができない)。結合物質は、対象において、神経筋伝達を阻害するために使用され得る。
【0069】
従って、結合物質は、対象において、神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状の治療にとって有益である。
【0070】
以下により詳細に定義されるように、「阻害する」又は「阻害」は、減少又は低下を指し、従って、部分的な阻害を包含する(例えば、対象における、MuSK二量体化、及び/又はリン酸化、及び/又は活性化の完全ではないが一部の阻害、並びに対象における、神経筋伝達の完全ではないが一部の阻害)。
【0071】
1つの特定の例において、結合物質は、1つ又は複数の結合領域を含む結合タンパク質であって、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合タンパク質である。この状況において、結合タンパク質は、以下により詳細に記載される、抗体であってもよく、その場合、結合領域は可変領域である。この例において、抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する。
【0072】
結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、1価又は多価であってもよい。本明細書で使用される、「1価」の結合物質は、1つの結合領域(本明細書では、抗原結合部位とも呼ばれる)のみを有する。本明細書で使用される、多価の結合物質」は、複数の(すなわち、1より多い)結合領域(すなわち、複数の抗原結合部位)を有する、結合物質を指す。
【0073】
従って、多価結合物質は、2、3、4、5、6、又はそれより多くの結合領域/抗原結合部位を有してもよい。例として、「2価」結合物質は、2つの結合領域/抗原結合部位を有する、多価結合タンパク質であって、一方、「3価」結合タンパク質は、3つの結合領域/抗原結合部位を有する多価の結合タンパク質である。
【0074】
用語「結合領域」、「抗原結合部位」、及び「エピトープ結合部位」は、文脈でその他を指さない限り、本明細書において、言い換え可能である。
【0075】
例として、結合物質は、ただ1つの結合領域のみ(すなわち、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域)を有し、その他の結合領域を有さなくてもよい。この文脈において、結合物質は、1価である。
【0076】
多価である、本明細書に記載される結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)に関して、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つの結合領域を有するだけである。すなわち、多価の結合物質の残りの結合領域(すなわち、多価結合物質の第2、3、4、5などの結合領域)は、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合せず、異なる抗原/エピトープに特異的に結合する。典型的には、多価の結合物質の残りの結合領域(すなわち、多価結合物質の第2、3、4、5などの結合領域)は、異なる抗原に特異的に結合する(例えば、MuSKに特異的に結合しない)。しかしながら、誤解を避けるために、別の例では、ただし、多価結合物質が、MuSKリン酸化及び/又は二量体化及び/又は活性化を誘導しない(例えば、誘導できない)ならば、多価の結合物質の残りの結合領域(すなわち、多価結合物質の第2、3、4、5などの結合領域)は、MuSKタンパク質の別の領域(例えば、Ig様2ドメイン、Ig様3ドメイン、フリズルド(Frizzled)ドメインなど)に特異的に結合してもよい。MuSK活性化及び/又は二量体化及び/又はリン酸化が起きるかどうかを確認するための方法は、本分野においてよく知られている。
【0077】
例として、結合物質は、2つの結合領域(すなわち、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つの結合領域、及び別の抗原/エピトープに特異的な別の結合領域(すなわち、別の結合領域は、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合しない))を有してもよい。この状況において、結合物質は、2価(及び二重特異性)であり得る。このタイプの結合物質は、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに関して、「機能的に1価」とも称され得る(すなわち、1つの結合領域を介して、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに結合することしかできない)。
【0078】
更なる例として、結合物質は、3つの結合領域(すなわち、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つの結合領域、及び別の(1つ又は2つの)抗原/エピトープに特異的な別の2つの結合領域(すなわち、付加的な2つの結合領域は、どちらも、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合しない))を有してもよい。この状況において、結合物質は、3価(及び二重特異性又は三重特異性)であり得る。上述のように、このタイプの結合物質は、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに関して、「機能的に1価」とも称され得る(すなわち、1つの結合領域を介して、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに結合することしかできない)。
【0079】
1つの特定の例において、本明細書に記載される結合物質は、抗体である。この状況において、抗体の結合領域は、可変領域であり得る。
【0080】
用語「可変領域」は、それぞれ、カッパ、ラムダ、及び重鎖免疫グロブリン遺伝子座を作り出す、任意のVκ、Vλ、及び/又はVH遺伝子によって実質的にコードされる、1つ又は複数のIgドメインを含む、免疫グロブリンの領域を指す。より具体的には、上記用語は、抗原への抗体の結合に関わる、抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。免疫グロブリンの可変領域は、従って、典型的には、2つの可変領域(すなわち、重鎖の可変領域、及び軽鎖の可変領域)で構成されている。自然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に、4つの保存されたフレームワーク領域(FRs)及び3つの超可変領域(HVRs)を含む各ドメインを有する、類似した構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照。)単一のVH又はVLは、抗原結合の特異性を与えるのに十分であり得る。
【0081】
用語「超可変領域」は、抗原結合を担う、抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」すなわち、「CDR」に由来するアミノ酸残基(例えば、Kabat et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)によると、軽鎖可変ドメインの残基24-34 (L1)、50-56 (L2)、及び89-97 (L3)、並びに重鎖可変ドメインの31-35 (H1)、50-65 (H2)、及び95-102 (H3))、並びに/又は「超可変ループ」に由来するアミノ酸残基(例えば、Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)によると、軽鎖可変ドメインの残基26-32 (L1)、50-52 (L2)、及び91-96 (L3)、並びに重鎖可変ドメインの26-32 (H1)、53-55 (H2)、及び96-101 (H3))を含む。
【0082】
各鎖のアミノ末端部は、抗原認識に主として責任を負う、約100から110、又はそれより多くのアミノ酸の可変領域を含み、一般に、本分野及び本明細書において、「Fvドメイン」又は「Fv領域」と称される。可変領域において、3つのループが、重鎖及び軽鎖の各Vドメインに集まって、抗原結合部位を形成する。各ループは、相補性決定領域(以後、「CDR」とも称される)と称され、アミノ酸配列中のバリエーションが最も著しい。「可変」は、可変領域のある部分が、抗体の間で、配列が大規模に異なるという事実を指す。可変領域内の可変性は、一様に分布されない。実際に、V領域は、各9から15アミノ酸長又はそれより長いアミノ酸長である、「超可変領域」と呼ばれる、極度の可変性のより短い領域によって、区切られる15から30アミノ酸のフレームワーク領域(FRs)と呼ばれる、比較的不変の範囲からなる。各VH及びVLは、3つの超可変領域(「相補性決定領域」、「CDRs」)及び4つのFRから構成され、以下の順でアミノ末端からカルボキシ末端に配列される:FR1 -CDR1 -FR2-CDR2-FR3- CDR3-FR4。
【0083】
本発明の抗体は、1つ又は複数の結合領域(すなわち、可変領域)を含み得、ただ1つの結合領域(すなわち、可変領域)のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する。抗体の場合、用語、可変領域及び結合領域は、本明細書において、言い換え可能で使用される。各可変領域は、軽鎖可変ドメイン(VL)のCDR(すなわち、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)、並びに/又は重鎖可変ドメイン(VH)のCDR(すなわち、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3)を含み得る。本明細書の他の箇所で記載されるように、1つのVL又はVHに由来するCDRは、抗原結合の特異性(すなわち、MuSKのIg様1ドメインに対する特異的な結合)を与えるのに十分である。その他の場合では、抗原結合の特異性(すなわち、MuSKのIg様1ドメインに対する特異的な結合)は、VL及びVHの両方に由来する、CDR1、2、及び3の存在によって得ることが可能である。
【0084】
MuSKのIg様1ドメインに対する抗原結合の特異性を付与する、CDRの組合せの特定の例は、以下に提供される。CDR配列は、IMGT/V-QUESTプログラムバージョン: 3.4.17 (19 February 2019) - IMGT/V-QUEST参照ディレクトリ リリース: 201910-2 (5 March 2019) (http://imgt.org/IMGT_vquest/vquest)を使用し、ホモサピエンス配列に関して選択して、同定された。これらのCDR組合せは、MuSKのIg様1ドメインに特異的に結合する、抗体(Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価(di-)scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディを含む)の結合領域(すなわち、可変領域)を形成する。
【0085】
1) GFNFSTYT (配列番号10)を含むCDR1、ISSRSAYK (配列番号11)を含むCDR2、及びARDFFQLGPPRFDS (配列番号12)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VHの中に存在してもよい、例えば、配列番号9の配列を含むVH。
【0086】
2) QRISSF (配列番号14)を含むCDR1、GAS (配列番号15)を含むCDR2、及びQQSYSPMYT (配列番号16)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VLの中に存在してもよい、例えば、配列番号13の配列を含むVL。
【0087】
3) 例えば、VH及びVLの中の、配列番号10、11、及び12のCDR(重鎖)、並びに配列番号14、15、及び16のCDR(軽鎖)。例えば、抗原特異性は、配列番号9(重鎖)及び配列番号13(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることが可能である。
【0088】
4) GFTFSSYT (配列番号18)を含むCDR1、IGSNGDYI (配列番号19)を含むCDR2、及びARGQLAVAGTHFDY (配列番号20)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VHの中に存在してもよく、例えば、配列番号17の配列を含むVH。
【0089】
5) QKVNKY (配列番号22)を含むCDR1、AAS (配列番号23)を含むCDR2、及びQQSYSPLCT (配列番号24)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VLの中に存在してもよく、例えば、配列番号21の配列を含むVL。
【0090】
6) 例えば、VH及びVLの中の、配列番号18、19、及び20のCDR(重鎖)、並びに配列番号22、23、及び24のCDR(軽鎖)。例えば、抗原特異性は、配列番号17(重鎖)及び配列番号21(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることが可能である。
【0091】
7) GFTFSDFT (配列番号26)を含むCDR1、IGSSGTFI (配列番号27)を含むCDR2、及びARGRIAVAGTHFDL (配列番号28)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VHの中に存在してもよく、例えば、配列番号25の配列を含むVH。
【0092】
8) GYTFTGQY (配列番号30)を含むCDR1、INPSSGVT (配列番号31)を含むCDR2、及びATLSLGVYYVGMVA (配列番号32)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VHの中に存在してもよく、例えば、配列番号29の配列を含むVH。
【0093】
9) GLAQQH (配列番号34)を含むCDR1、KDI (配列番号35)を含むCDR2、及びQSGDRTATSVL (配列番号36)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VLの中に存在してもよく、例えば、配列番号33の配列を含むVL。
【0094】
10) 例えば、VH及びVLの中の、配列番号30、31、及び32のCDR(重鎖)、並びに配列番号34、35、及び36のCDR(軽鎖)。例えば、抗原特異性は、配列番号29(重鎖)及び配列番号33(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることが可能である。
【0095】
11) GFDFSAST (配列番号38)を含むCDR1、VSGDSHHI (配列番号39)を含むCDR2、及びARERLLRLGVGFDS (配列番号40)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VHの中に存在してもよく、例えば、配列番号37の配列を含むVH。
【0096】
12) QRISGF (配列番号42)を含むCDR1、AAS (配列番号43)を含むCDR2、及びQQSYSPLYT (配列番号44)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VLの中に存在してもよく、例えば、配列番号41の配列を含むVL。
【0097】
13) 例えば、VH及びVLの中の、配列番号38、39、及び40のCDR(重鎖)、並びに配列番号42、43、及び44のCDR(軽鎖)。例えば、抗原特異性は、配列番号37(重鎖)及び配列番号41(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることが可能である。
【0098】
14) CDRは以下のようであってもよい:GFTFSSYT (配列番号46)を含むCDR1、ISSGGHYI (配列番号47)を含むCDR2、及びARERLLRLGVGFDF (配列番号48)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VHの中に存在してもよく、例えば、配列番号45の配列を含むVH。
【0099】
15) QSISGY (配列番号50)を含むCDR1、AAS (配列番号51)を含むCDR2、及びQQSYSALYT (配列番号52)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VLの中に存在してもよく、例えば、配列番号49の配列を含むVL。
【0100】
16) 例えば、VH及びVLの中の、配列番号46、47、及び48のCDR(重鎖)、並びに配列番号50、51、及び52のCDR(軽鎖)。例えば、抗原特異性は、配列番号45(重鎖)及び配列番号49(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることが可能である。
【0101】
17) GFTFSSYW (配列番号54)を含むCDR1、LNEDGSTT (配列番号55)を含むCDR2、及びVSDLSGKDEH (配列番号56)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VHの中に存在してもよく、例えば、配列番号53の配列を含むVH。
【0102】
18) QSLLHSNGYYW (配列番号58)を含むCDR1、LGF (配列番号59)を含むCDR2、及びMQGLQ TPYT (配列番号60)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、VLの中に存在してもよく、例えば、配列番号57の配列を含むVL。
【0103】
19) 例えば、VH及びVLの中の、配列番号54、55、及び56のCDR(重鎖)、並びに配列番号58、59、及び60のCDR(軽鎖)。例えば、抗原特異性は、配列番号53(重鎖)及び配列番号57(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることが可能である。
【0104】
上記のCDRは、抗体、例えば、IgGの中に、存在してもよい。例えば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4から選択され得る。
【0105】
例えば、上記の選択肢1、2、3、7、11、12、又は13で提供される、CDR及び可変ドメイン配列は、IgG1抗体のFc配列の中に存在してもよい。例示的な配列は、配列番号61又はそのバリアントの配列であってもよい(例えば、配列番号65、66、又は67のFc領域を参照)。
【0106】
例えば、上記の選択肢8、9、及び10で提供される、CDR及び可変ドメイン配列は、IgG4抗体のFc配列の中に存在してもよい。例示的な配列は、配列番号64又はそのバリアントの配列であってもよい(例えば、配列番号69のFc領域を参照)。
【0107】
例えば、上記の選択肢14、15、又は16で提供される、CDR及び可変ドメイン配列は、IgG3のFc配列の中に存在してもよい。例示的な配列は、配列番号63又はそのバリアントの配列であってもよい(例えば、配列番号68のFc領域を参照)。
【0108】
上記で詳細に記載されるように、本明細書に記載される抗体(Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディを含む)は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する。
【0109】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号9のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する重鎖可変ドメイン;及び配列番号13のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0110】
好ましくは、重鎖可変ドメインは、配列番号9のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号10を有するVH CDR1、配列番号11を有するVH CDR2、及び配列番号12を有するVH CDR3、を含み;軽鎖可変ドメインは、配列番号13のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号14を有するVL CDR1、配列番号15を有するVL CDR2、及び配列番号16を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0111】
最も好ましくは、結合領域は、配列番号9の重鎖可変ドメイン及び配列番号13の軽鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0112】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号9のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号13のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号10を有するVH CDR1、配列番号11を有するVH CDR2、及び配列番号12を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号14を有するVL CDR1、配列番号15を有するVL CDR2、及び配列番号16を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号10を有するVH CDR1、配列番号11を有するVH CDR2、及び配列番号12を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号14を有するVL CDR1、配列番号15を有するVL CDR2、及び配列番号16を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0113】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号9のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号13の軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号10を有するVH CDR1、配列番号11を有するVH CDR2、及び配列番号12を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0114】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号9の重鎖可変ドメイン;及び配列番号13のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号14を有するVL CDR1、配列番号15を有するVL CDR2、及び配列番号16を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0115】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号10を有するVH CDR1、配列番号11を有するVH CDR2、及び配列番号12を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0116】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号14を有するVL CDR1、配列番号15を有するVL CDR2、及び配列番号16を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0117】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号10を有するVH CDR1、配列番号11を有するVH CDR2、及び配列番号12を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号14を有するVL CDR1、配列番号15を有するVL CDR2、及び配列番号16を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0118】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、重鎖CDR:配列番号10を有するVH CDR1、配列番号11を有するVH CDR2、及び配列番号12を有するVH CDR3、並びに軽鎖CDR:配列番号14を有するVL CDR1、配列番号15を有するVL CDR2、及び配列番号16を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0119】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、抗体結合領域は、配列番号17のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、重鎖可変ドメイン;及び配列番号21のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0120】
好ましくは、重鎖可変ドメインは、配列番号17のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号18を有するVH CDR1、配列番号19を有するVH CDR2、及び配列番号20を有するVH CDR3、を含み;軽鎖可変ドメインは、配列番号21のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号22を有するVL CDR1、配列番号23を有するVL CDR2、及び配列番号24を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0121】
最も好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号17の重鎖可変ドメイン及び配列番号21の軽鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0122】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号17のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号21のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号18を有するVH CDR1、配列番号19を有するVH CDR2、及び配列番号20を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号22を有するVL CDR1、配列番号23を有するVL CDR2、及び配列番号24を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号18を有するVH CDR1、配列番号19を有するVH CDR2、及び配列番号20を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号22を有するVL CDR1、配列番号23を有するVL CDR2、及び配列番号24を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0123】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号17のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号21の軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号18を有するVH CDR1、配列番号19を有するVH CDR2、及び配列番号20を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0124】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号17の重鎖可変ドメイン;及び配列番号21のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号22を有するVL CDR1、配列番号23を有するVL CDR2、及び配列番号24を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0125】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号18を有するVH CDR1、配列番号19を有するVH CDR2、及び配列番号20を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0126】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号22を有するVL CDR1、配列番号23を有するVL CDR2、及び配列番号24を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0127】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号18を有するVH CDR1、配列番号19を有するVH CDR2、及び配列番号20を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号22を有するVL CDR1、配列番号23を有するVL CDR2、及び配列番号24を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0128】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、重鎖CDR:配列番号18を有するVH CDR1、配列番号19を有するVH CDR2、及び配列番号20を有するVH CDR3、並びに軽鎖CDR:配列番号22を有するVL CDR1、配列番号23を有するVL CDR2、及び配列番号24を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0129】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号25のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、重鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0130】
好ましくは、重鎖可変ドメインは、配列番号25のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号26を有するVH CDR1、配列番号27を有するVH CDR2、及び配列番号28を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0131】
最も好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号25の重鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0132】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号25のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメインを含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号26を有するVH CDR1、配列番号27を有するVH CDR2、及び配列番号28を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0133】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号26を有するVH CDR1、配列番号27を有するVH CDR2、及び配列番号28を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0134】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、重鎖CDR:配列番号26を有するVH CDR1、配列番号27を有するVH CDR2、及び配列番号28を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0135】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号29のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、重鎖可変ドメイン;及び配列番号33のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0136】
好ましくは、重鎖可変ドメインは、配列番号29のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号30を有するVH CDR1、配列番号31を有するVH CDR2、及び配列番号32を有するVH CDR3、を含み;軽鎖可変ドメインは、配列番号33のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号34を有するVL CDR1、配列番号35を有するVL CDR2、及び配列番号36を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0137】
最も好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号29の重鎖可変ドメイン及び配列番号33の軽鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0138】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号29のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号33のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号30を有するVH CDR1、配列番号31を有するVH CDR2、及び配列番号32を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号34を有するVL CDR1、配列番号35を有するVL CDR2、及び配列番号36を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号30を有するVH CDR1、配列番号31を有するVH CDR2、及び配列番号32を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号34を有するVL CDR1、配列番号35を有するVL CDR2、及び配列番号36を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0139】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号29のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号33の軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号30を有するVH CDR1、配列番号31を有するVH CDR2、及び配列番号32を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0140】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号29の重鎖可変ドメイン;及び配列番号33のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号34を有するVL CDR1、配列番号35を有するVL CDR2、及び配列番号36を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0141】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号30を有するVH CDR1、配列番号31を有するVH CDR2、及び配列番号32を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0142】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号34を有するVL CDR1、配列番号35を有するVL CDR2、及び配列番号36を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0143】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号30を有するVH CDR1、配列番号31を有するVH CDR2、及び配列番号32を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号34を有するVL CDR1、配列番号35を有するVL CDR2、及び配列番号36を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0144】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、重鎖CDR:配列番号30を有するVH CDR1、配列番号31を有するVH CDR2、及び配列番号32を有するVH CDR3、並びに軽鎖CDR:配列番号34を有するVL CDR1、配列番号35を有するVL CDR2、及び配列番号36を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0145】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号37のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、重鎖可変ドメイン;及び配列番号41のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び100%同一である、アミノ酸配列を有する、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0146】
好ましくは、重鎖可変ドメインは、配列番号37のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号38を有するVH CDR1、配列番号39を有するVH CDR2、及び配列番号40を有するVH CDR3、を含み;軽鎖可変ドメインは、配列番号41のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号42を有するVL CDR1、配列番号43を有するVL CDR2、及び配列番号44を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0147】
最も好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号37の重鎖可変ドメイン及び配列番号41の軽鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0148】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号37のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号41のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号38を有するVH CDR1、配列番号39を有するVH CDR2、及び配列番号40を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号42を有するVL CDR1、配列番号43を有するVL CDR2、及び配列番号44を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号38を有するVH CDR1、配列番号39を有するVH CDR2、及び配列番号40を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号42を有するVL CDR1、配列番号43を有するVL CDR2、及び配列番号44を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0149】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号37のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号41の軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号38を有するVH CDR1、配列番号39を有するVH CDR2、及び配列番号40を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0150】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号37の重鎖可変ドメイン;及び配列番号41のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号42を有するVL CDR1、配列番号43を有するVL CDR2、及び配列番号44を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0151】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号38を有するVH CDR1、配列番号39を有するVH CDR2、及び配列番号40を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0152】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号42を有するVL CDR1、配列番号43を有するVL CDR2、及び配列番号44を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0153】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号38を有するVH CDR1、配列番号39を有するVH CDR2、及び配列番号40を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号42を有するVL CDR1、配列番号43を有するVL CDR2、及び配列番号44を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0154】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、重鎖CDR:配列番号38を有するVH CDR1、配列番号39を有するVH CDR2、及び配列番号40を有するVH CDR3、並びに軽鎖CDR:配列番号42を有するVL CDR1、配列番号43を有するVL CDR2、及び配列番号44を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0155】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号45のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、重鎖可変ドメイン;及び配列番号49のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0156】
好ましくは、重鎖可変ドメインは、配列番号45のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号46を有するVH CDR1、配列番号47を有するVH CDR2、及び配列番号48を有するVH CDR3、を含み;軽鎖可変ドメインは、配列番号49のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号50を有するVL CDR1、配列番号51を有するVL CDR2、及び配列番号52を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0157】
最も好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号45の重鎖可変ドメイン及び配列番号49の軽鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0158】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号45ののポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号49ののポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号46を有するVH CDR1、配列番号47を有するVH CDR2、及び配列番号48を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号50を有するVL CDR1、配列番号51を有するVL CDR2、及び配列番号52を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号46を有するVH CDR1、配列番号47を有するVH CDR2、及び配列番号48を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号50を有するVL CDR1、配列番号51を有するVL CDR2、及び配列番号52を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0159】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号45のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号49の軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号46を有するVH CDR1、配列番号47を有するVH CDR2、及び配列番号48を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0160】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号45の重鎖可変ドメイン;及び配列番号49のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号50を有するVL CDR1、配列番号51を有するVL CDR2、及び配列番号52を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0161】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号46を有するVH CDR1、配列番号47を有するVH CDR2、及び配列番号48を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0162】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号50を有するVL CDR1、配列番号51を有するVL CDR2、及び配列番号52を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0163】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号46を有するVH CDR1、配列番号47を有するVH CDR2、及び配列番号48を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号50を有するVL CDR1、配列番号51を有するVL CDR2、及び配列番号52を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0164】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、重鎖CDR:配列番号46を有するVH CDR1、配列番号47を有するVH CDR2、及び配列番号48を有するVH CDR3、並びに軽鎖CDR:配列番号50を有するVL CDR1、配列番号51を有するVL CDR2、及び配列番号52を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0165】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号53のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有する、重鎖可変ドメイン;及び配列番号57のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び100%同一である、アミノ酸配列を有する、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0166】
好ましくは、重鎖可変ドメインは、配列番号53のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号54を有するVH CDR1、配列番号55を有するVH CDR2、及び配列番号56を有するVH CDR3、を含み;軽鎖可変ドメインは、配列番号57のポリペプチドに85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、及び100%同一である、アミノ酸配列を有し、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号58を有するVL CDR1、配列番号59を有するVL CDR2、及び配列番号60を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0167】
最も好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号53の重鎖可変ドメイン及び配列番号57の軽鎖可変ドメインを含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0168】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号53のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号57のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号54を有するVH CDR1、配列番号55を有するVH CDR2、及び配列番号56を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号58を有するVL CDR1、配列番号59を有するVL CDR2、及び配列番号60を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号54を有するVH CDR1、配列番号55を有するVH CDR2、及び配列番号56を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号58を有するVL CDR1、配列番号59を有するVL CDR2、及び配列番号60を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0169】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号53のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、重鎖可変ドメイン;及び配列番号57の軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号54を有するVH CDR1、配列番号55を有するVH CDR2、及び配列番号56を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0170】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、配列番号53の重鎖可変ドメイン;及び配列番号57のポリペプチド配列と比較して、少なくとも1、2、3、4、又は5つの保存的置換を有する、ポリペプチド配列を含む、軽鎖可変ドメイン、を含む。好ましくは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号58を有するVL CDR1、配列番号59を有するVL CDR2、及び配列番号60を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0171】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号54を有するVH CDR1、配列番号55を有するVH CDR2、及び配列番号56を有するVH CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0172】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号58を有するVL CDR1、配列番号59を有するVL CDR2、及び配列番号60を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0173】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの重鎖CDR:配列番号54を有するVH CDR1、配列番号55を有するVH CDR2、及び配列番号56を有するVH CDR3、並びに少なくとも1つ、詳細には少なくとも2つ、より詳細には少なくとも3つの軽鎖CDR:配列番号58を有するVL CDR1、配列番号59を有するVL CDR2、及び配列番号60を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0174】
一実施形態において、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合領域は、重鎖CDR:配列番号54を有するVH CDR1、配列番号55を有するVH CDR2、及び配列番号56を有するVH CDR3、並びに軽鎖CDR:配列番号58を有するVL CDR1、配列番号59を有するVL CDR2、及び配列番号60を有するVL CDR3、を含む。好ましくは、抗体は、抗体、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択される。抗体は、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに、(例えば、上述した配列を介して)特異的に結合する。
【0175】
本明細書で使用される、用語「相同性(homology)」及び「同一性(identity)」は、言い換え可能で使用される。配列間の配列相同性又は配列同一性の計算は、以下のように行われる。
【0176】
2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は、最適な比較をする目的で、アラインメントされる(例えば、最適なアラインメントのために、第一及び第二のアミノ酸配列又は核酸配列の1つ又は両方に、ギャップが導入され得り、非相同配列は、比較する目的で、無視され得る)。好ましい実施形態において、比較する目的のために、アラインメントされる参照配列の長さは、参照配列の長さの、少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも60%、及びさらにより好ましくは少なくとも70%、75%、80%、82%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。次に、対応するアミノ酸の位置又はヌクレオチドの位置の、アミノ酸残基又はヌクレオチドが、比較される。第一の配列中の位置が、第二の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められる場合に、その位置において、分子は同一である(本明細書で使用される、アミノ酸又は核酸「同一性」は、アミノ酸又は核酸「相同性」と同じである)。2つの配列間のパーセント同一性は、配列によって共有される同一の位置の数の関数であり、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要がある、ギャップの数及び各ギャップの長さを考慮する。
【0177】
配列の比較及び2つの配列間のパーセント同一性の決定は、数学アルゴリズムを使用して遂行され得る。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで使用可能)内のGAPプログラム内に組み込まれたアルゴリズム(Needleman et al. (1970) J. Mol. Biol. 48:444-453)を使用し、BLOSUM 62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、並びに16、14、12、10、8、6、又は4のギャップウェイト(gap weight)、及び1、2、3、4、5、又は6のレングスウェイト(length weight)を使用して、決定される。さらに別の好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで使用可能)内のGAPプログラムを使用し、NWSgapdna.CMPマトリックス、並びに40、50、60、70、又は80のギャップウェイト、及び1、2、3、4、5、又は6のレングスウェイトを使用して、決定される。パラメータの特に好ましいセット(及び実行者が、何のパラメータを使用して、分子が、本発明の配列同一性又は相同性の限界のうちであるかどうかを決定するべきか不確かである場合に使用されるべき、パラメータのセット)は、ギャップペナルティ(gap penalty) 12、ギャップ伸長ペナルティ(gap extend penalty) 4、及びフレームシフトギャップペナルティ(frameshift gap penalty) 5を有する、BLOSUM 62スコアリングマトリックスである。
【0178】
代替としては、2つのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(version 2.0)内に組み込まれた、Meyers et al. (1989) CABIOS 4:11-17のアルゴリズムを使用し、ウェイト残基テーブル(weight residue table)、ギャップレングスペナルティ(gap length penalty) 12、及びギャップペナルティ4を使用して決定され得る。
【0179】
本明細書で使用される、用語「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基の、類似した側鎖を有するアミノ酸残基での置き換えを指す。類似した側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、本分野において、規定されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
【0180】
結合の状況において、用語「特異的」及び「特異的に」は、本明細書において、言い換え可能で使用され、その他の生体分子が、対象となる生体分子(対象となる生体分子は、MuSKタンパク質のIg様1ドメインである)に特異的に結合する結合領域(例えば、CDR、可変領域など)に、有意に結合しないことを示す。いくつかの例において、MuSKタンパク質のIg様1ドメイン以外の生体分子への結合のレベルは、ELISA又は親和性決定の方法によって、無視できるほどの(例えば、判定することができない)結合親和性という結果となる。
【0181】
「無視できるほどの結合」とは、MuSKタンパク質のIg様1ドメインへの結合よりも、少なくとも約85%、詳細には少なくとも約90%、より詳細には少なくとも約95%、さらにより詳細には少なくとも約98%、しかしとりわけ少なくとも約99%、及び最大で100%低い結合を意味する。
【0182】
MuSKタンパク質のIg様1ドメインとの、結合領域の結合親和性は、標準的な結合アッセイ、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIAcore(登録商標), GE-Healthcare Uppsala, Sweden)を使用して、決定され得る。本明細書で使用される、用語「表面プラズモン共鳴」は、例えば、BIAcore system(Pharmacia Biosensor AB, Uppsala, Sweden及びPiscataway, N.J.)を使用して、バイオセンサーマトリックス内で、タンパク質濃度の変化を検出することによって、リアルタイムの生体特異的な相互作用の解析を可能にする、光学現象を指す。更なる説明に関しては、Jonsson, U., et al. (1993) Ann. Biol. Clin. 51 : 19-26; Jonsson, U., et al. (1991) Biotechniques 11 :620-627; Johnsson, B., et al. (1995) J. Mol. Recognit. 8: 125-131; and Johnnson, B., et al. (1991) Anal. Biochem. 198:268-277を参照。
【0183】
例えば、所定の抗原/エピトープへの抗体の結合の状況において、「特異的な結合」は、抗体を被検物質として使用して、例えば、BIAcore 3000機器中で、表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって、決定される場合に、約10-7 M以下の、例えば約10-8 M 以下の、例えば約10-9 M以下の、約10-10 M以下の、又は約10-11 Mの若しくはそれよりも低い、KD(平衡解離定数)に相当する親和性での結合を意味する(低いKDは、高い親和性を指す)。この用語は、また、抗体が、所定の抗原又は密接に関連した抗原以外の非特異的抗原(例えば、ウシ血清アルブミン、カゼイン)への結合に関する親和性よりも、少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、例えば少なくとも1000倍低い、例えば少なくとも10000倍低い、例えば少なくとも100000倍低いKDに相当する親和性で、所定の抗原/エピトープに結合することを意味する。抗体のKDが非常に低い(すなわち、抗体が非常に特異的であり、非常によく結合する)場合に、抗原に対する親和性が、非特異的抗原に対する親和性よりも低い量が、少なくとも10000倍であり得るように、親和性がより低い量は、抗体のKDに依存する。本明細書で使用される、用語「KD」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を意味する。
【0184】
本明細書に記載される、その他の結合物質の「特異的な結合」に関する相当する親和性値は、本分野において、よく知られている。
【0185】
本明細書に記載される、結合領域は、MuSKタンパク質のIg様1ドメイン内のエピトープに特異的である(すなわち、特異的に結合する)。本明細書で使用される、用語「エピトープ」は、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体又は抗体断片)が結合する、標的分子(例えば、抗原、例えば、タンパク質、例えば、MuSKタンパク質のIg様1ドメイン)上の部位を指す。エピトープは、分子、例えば、アミノ酸又は糖側鎖のグループであり、通常、特定の構造的特性並びに特定の荷電特性を有する。1つの抗原は、1つより多くのエピトープを有し得る。エピトープは、標的分子の連続する(contiguous)残基又は隣接するが連続しない(adjacent noncontiguous)残基(例えば、アミノ酸残基)の両方から形成されることが可能である。連続する残基(例えば、アミノ酸残基)から形成されるエピトープは、典型的には、直線状エピトープ(linear epitope)とも呼ばれる。エピトープは、典型的には、少なくとも5残基、及び最大で約12残基、ほとんどの場合6残基と10残基の間の残基(例えば、アミノ酸残基)を含む。エピトープは、立体配座(conformational)であってもよい(すなわち、非直線)。
【0186】
一例において、MuSKタンパク質は、ヒトMuSKタンパク質である。ヒトのMuSKタンパク質は、よく特徴づけられている。MuSKタンパク質は、配列を決定され、近年Valenzuelaらによって(国際公開第97/21811号を参照)、タンパク質の特性が示された。MuSKタンパク質は、NMJにおいて、筋細胞の細胞表面上に位置する、受容体チロシンキナーゼ(RTK)であり、配列番号1に示される配列を有する。ヒトMuSKタンパク質は、UniprotKB identifier: O15146によって、同定することができる。ヒトMuSK遺伝子の情報は、Ensembl ref: ENSG00000030304で見つけることができる。以下に概説されるように、遺伝子は、7つの転写産物を有する。
【0187】
【0188】
MuSKの細胞外領域は、3つのIg様ドメイン、及びフリズルドドメインを含む。MuSK中の第一のN末端Ig様ドメイン(本明細書では、Ig様1ドメインとも知られる)は、MuSKがLrp4に結合するのに必要である(Zhang et al., 2011)。第一のIg様1ドメインの溶媒曝露の表面上の、1つの残基、I96、の変異は、MuSKが、Lrp4に結合しアグリンへ反応するのを防止する(Stiegler et al., 2006; Zhang et al., 2011)。第一のIg様1ドメインの反対の側の疎水性表面は、MuSKホモ二量体化を媒介し、MuSKトランスリン酸化にとって必須である。MuSKは、筋によって発現され、運動ニューロンによっては発現されないが、MuSKは、前シナプスの分化(presynaptic differentiation)並びに後シナプスの分化(postsynaptic differentiation)にとって必須である(Burden et al., 2013)。MuSKは、筋においてLrp4をクラスタリングさせることによって、前シナプスの分化を制御し、アグリンに対する受容体及びMuSKに対するリガンドとしてだけではなく、前シナプスの分化に関する直接逆行性シグナルとしても働くことによって、双方向に機能する。シナプス形成の間の役割に加えて、成熟筋におけるMuSKの阻害は、前シナプスの分化及び後シナプスの分化における深刻な不具合をもたらすので、MuSKは成熟シナプスを維持するためにも必要である(Hesser et al., 2006)。
【0189】
本明細書に記載されるように、結合物質の1つの結合領域は、ヒトMuSKタンパク質のIg様1ドメイン(本明細書では、MuSKの免疫グロブリン様1ドメイン;MuSK Ig様
1ドメイン;又はMuSKの第一のIg様1ドメインなどとも称される)内のエピトープに対して特異的である(すなわち、特異的に結合する)。ヒトMuSKタンパク質のIg様1ドメインは、配列番号2:
【0190】
【0191】
に示される配列を有する。
【0192】
本明細書で使用される、「単一特異性」結合物質は、従って、1つの抗原結合部位のみを含む、又は各々が同一である(若しくは少なくとも、各々が、標的抗原中の同じエピトープに結合する)、複数の(例えば、2、3、4、5など)抗原結合部位(例えば、可変領域)を含む、結合物質を指す。本明細書に記載されるように、MuSKアンタゴニストとして作用する結合物質の状況において、例えば、1つの結合領域のみを有し、その結合領域が、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する場合、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、単一特異性であり得る。
【0193】
複数の結合領域を有する、本明細書に記載される、結合タンパク質に関して、結合物質は、必然的に、「多特異性」(例えば、二重特異性又は三重特異性など)である。これは、本明細書に記載される、結合物質は、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに対して特異的である、1つの結合領域を有するだけであり得るからである。「二重特異性」結合物質は、従って、異なる、2つの抗原結合部位を含む(従って、二重特異性結合タンパク質は、2つの異なる抗原/エピトープに結合する)。
【0194】
結合物質は、本分野において既知である、任意の適切な結合物質であり得る。本明細書に記載される、結合物質の非限定的な例は、これらに限定はされないが、アプタマー(例えば、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー、アプタボディ(aptabody)、アフィマー)、結合タンパク質(例えば、抗体、抗体ミメティック、ラクダ科抗体、デュオボディなど)、及び小分子を含む。その他の適切な結合物質は、また、よく知られており、所定の実験手順を使用して、当業者にとって容易に確認できる。
【0195】
本明細書で使用される、「アプタマー」は、核酸アプタマー及び/又はペプチドアプタマーを指す。アプタマーの例は、よく知られており、所定の実験手順を使用して、当業者にとって容易に確認できる、アフィマー(ペプチドアプタマーの進化物)及びアプタボディ(2つのDNAアプタマーのハイブリダイゼーションによって形成される)を含む。
【0196】
一例において、結合物質は、結合タンパク質である。適切な結合物質の例は、抗体及び抗体ミメティックを含む。抗体の例は、本明細書のその他の箇所で提供される。適切な抗体ミメティックの例は、よく知られており、所定の実験手順を使用して、当業者にとって容易に確認できる、アフィボディ分子(アフィマブ(affimab)を含む)、アフィリン、ペプチドアプタマー(アフィマーを含む)、アフィチン(affitin)、アルファボディ(alphabody)、アクチカリン(anticalin)、アビマー(avimer)、DARPins、フィノマー(Fynomer)、クニッツドメインペプチド(Kunitz domain peptide)、モノボディ(monobody)、nanoCLAMPなどを含む。
【0197】
本明細書の他の箇所で記載されるように、及び例で示されるように、結合物質は、抗体である。本明細書で使用される、用語「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」は、既知の抗原に結合する分子又は分子の活性断片を指し、特に免疫グロブリン分子及び免疫グロブリンの免疫学的活性部位、すなわち、抗原に特異的に結合する結合部位を含む分子を指す。本明細書に記載される、免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意のクラス(IgG、IgM、IgD、IgE、IgA、及びIgY)又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)であることができ、任意の種に由来する重鎖配列に基づくことができる。例えば、種は、これらに限定はされないが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、マウス、ラットなどであり得る。種は、霊長類であり得る(例えば、非ヒト霊長類)。好ましい例において、種は、ヒトである。
【0198】
用語「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、及びヒト化抗体、並びにそれらの活性断片を含む。既知の抗原に結合し、有用である、分子の活性断片の例は、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価(di-)scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、デュオボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、及び二重特異性ミニボディを含み、上述した任意の抗体及び断片のエピトープ結合断片、並びにFab免疫グロブリン発現ライブラリーの生成物を含む。
【0199】
特定の例において、抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。本明細書で使用される、用語「モノクローナル抗体」は、単一のクローンから、製造所で大量に生産することができ、ただ1つの抗原のみを認識する、抗体を指す。モノクローナル抗体は、本分野において既知である任意の適切な技術によって(例えば、HEK細胞若しくは昆虫細胞での産生によって、又はB細胞ハイブリドーマの作製によって)、作製することができる。
【0200】
本明細書で使用される、用語「キメラ抗体」は、組換えDNA技術によって、通常調製される、1つの供給源又は種(すなわち、非ヒト霊長類、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、マウス、ラットなど)に由来する、可変領域、すなわち、結合領域、及び少なくとも1つの、異なる供給源又は種に由来する定常領域の部分を含む、モノクローナル抗体を指す。マウス可変領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体が、例である。そのようなキメラ抗体は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメント及びヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む、発現される免疫グロブリン遺伝子の産生物である。本開示によって包含される、「キメラ抗体」のその他の形態は、クラス又はサブクラスが、元の抗体のクラス又はサブクラスから修飾又は変更され、例えば、それらが補体及びFc受容体結合が欠損しているように、それらを変更する、形態である。キメラ抗体を産生するための方法は、本分野において、現在よく知られている、従来の組換えDNA及び遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えば、Morrison, S. L., et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 81 (1984) 6851-6855; U.S. Pat. No. 5,202,238 and U.S. Pat. No. 5,204,244を参照。
【0201】
特定の例において、本明細書に記載される、抗体は、補体及びFc受容体結合が欠損している。
【0202】
特定の例において、抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体であってもよい。
【0203】
本明細書で使用される、用語「ヒト化抗体」又は「抗体のヒト化型」は、フレームワーク又は「相補性決定領域」(CDR)が改変されて、親免疫グロブリンのフレームワーク又は「相補性決定領域」(CDR)と比較して、異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含む、抗体を指す。いくつかの例において、VH及びVLのCDRが、ヒト抗体のフレームワーク領域内に移植されて、「ヒト化抗体」が調製される。例えば、Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323-327;及びNeuberger, M. S., et al., Nature 314 (1985) 268-270を参照。重鎖可変フレームワーク領域及び軽鎖可変フレームワーク領域は、同じ又は異なるヒト抗体配列に由来することができる。重鎖及び軽鎖の両方が、効果的な抗原(MuSK)結合に必要であり得る。ヒト抗体配列は、天然のヒト抗体の配列であり得る。ヒト重鎖可変フレームワーク領域及び軽鎖可変フレームワーク領域は、例えば、Lefranc, M.-P., Current Protocols in Immunology (2000) - Appendix 1P A.1P.1-A.1P.37に記載されており、例えば、IMGT (the international ImMunoGeneTics information System(登録商標))(http://imgt.cines.fr)を介して、又はhttp://vbase.mrc-cpe.cam.ac.ukを介して利用可能である。任意選択で、フレームワーク領域は、更なる変異によって、改変することができる。例示的なCDRは、キメラ抗体に関して上記された抗原を認識する、配列を示すCDRに相当する。いくつかの例において、そのようなヒト化型は、ヒト定常領域とキメラ化される。
【0204】
本明細書で使用される、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する、可変領域及び定常領域を有する、抗体を含むことを意図している。ヒト抗体は、最先端でよく知られている(van Dijk, M. A., and van de Winkel, J. G., Curr. Opin. Chem. Biol. 5 (2001) 368-374)。ヒト抗体は、免疫付与すると、内因性の免疫グロブリンの産生なしに、ヒト抗体の全てのレパトア(repertoire)又は選択物を産生することができる、トランスジェニック動物(例えば、マウス)において、産生することもできる。そのような生殖細胞系列変異マウスに、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの移動させることは、抗原チャレンジ(antigen challenge)時に、ヒト抗体の産生をもたらす(例えば、Jakobovits, A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 2551-2555; Jakobovits, A., et al., Nature 362 (1993) 255-258; Brueggemann, M. D., et al., Year Immunol. 7 (1993) 33-40を参照)。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーで産生することも可能である(Hoogenboom, H. R., and Winter, G., J. Mol. Biol. 227 (1992) 381-388; Marks, J. D., et al., J. Mol. Biol. 222 (1991) 581-597)。Cole, A.ら及びBoerner, P.らの技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Cole, A., et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Liss, A. R. (1985) p. 77;及びBoerner, P., et al., J. Immunol. 147 (1991) 86-95)。
【0205】
特定の例において、抗体は、Fab、二重特異性Fab2、三重特異性Fab3、scFv、二重特異性二価scFv、二重特異性scFv-Fc、二重特異性ダイアボディ、三重特異性トリアボディ、シングルドメイン抗体、又は二重特異性ミニボディから選択され得る。
【0206】
その他の例は、本分野において、広く知られている、シングルドメイン抗体、例えば、以下に限定はされないが、ラマ及びアルパカを含む、ラクダ科の動物;並びに以下に限定はされないが、サメを含む、軟骨魚類に見られるシングルドメイン抗体を含む。
【0207】
本明細書で使用される、「単鎖抗体」は、VHドメイン及びVLドメインが、2つのドメインを結合させて、抗原結合部位を形成することを可能にする、ペプチドリンカーによって、連結される、単鎖Fv分子(scFv)を指す(Bird et al., 1988, Science 242:423-426, Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:5879-5883、又は二重特異性単鎖Fv (国際公開第03/11161号))。典型的なscFvリンカーは、本分野において、よく知られており、一般に10から25アミノ酸の長さであり、グリシン及びセリンを含む。
【0208】
シングルドメイン抗体断片(VHH又はナノボディ)、例えば、軽鎖を欠損し、1つのN末端ドメインが抗原結合を完全に可能にする、ラクダ科の動物によって産生される機能的抗体は、また、本明細書に記載される、結合物質の例である。そのような断片は、また、2価のVHH、又はペンタボディ(すなわち、5つのVHHドメインを有する)を形成することができる。
【0209】
本明細書で使用される、「二価ScFv(di-ScFv)」は、二量体化したscFvを指す。
【0210】
本明細書で使用される、「ミニボディ」は、CH3ドメインに連結しているscFvを含む、最小化された抗体様タンパク質である。Hu et al., 1996, Cancer Res. 56:3055-3061を参照。いくつかの場合において、scFvは、Fc領域に連結され得り、いくつかの又は完全なヒンジ領域を含み得る。
【0211】
本明細書で使用される、「Fab」又は「Fab領域」は、VH、CH1、VH、及びCL免疫グロブリンドメインを含む、ポリペプチドを意味する。Fabは、単独におけるこの領域、又はフルレングスの抗体若しくは抗体断片若しくはfab融合タンパク質におけるこの領域を指す。
【0212】
用語「Fab」、「Fab領域」、「Fab部分」、又は「Fab断片」は、VH、CH1、VL、及びCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを定義すると理解される。Fabは、単独におけるこの領域、又は本明細書に記載される抗体分子におけるこの領域、並びにフルレングスの免疫グロブリン若しくは免疫グロブリン断片を指し得る。典型的には、Fab領域は、抗体の軽鎖全体を含む。Fab領域は、免疫グロブリン分子のアームを規定するとされ得る。Fab領域は、そのIgのエピトープ結合部分を含む。天然の免疫グロブリンのFab領域は、パパイン分解による、タンパク質分解断片として、得ることができる。「F(ab’)2部分」は、ペプシン分解された免疫グロブリンのタンパク質分解断片である。「Fab’部分」は、F(ab’)2部分のジスルフィド結合を還元することから生じる生成物である。本明細書で使用される、用語「Fab」、「Fab領域」、「Fab部分」、又は「Fab断片」は、さらに、抗体アーム(上記を参照)のC末端を規定するヒンジ領域を含む。このヒンジ領域は、抗体分子のアームがYと規定されることができる、フルレングスの免疫グロブリン内のCH1ドメインのC末端に見られる、ヒンジ領域に相当する。用語、ヒンジ領域は、免疫グロブリンがこの領域でいくらかの可動性を有するので、本分野において、使用される。
【0213】
本明細書で使用される、「Fc融合体(Fc fusion)」は、1つ又は複数のポリペプチドが、動作可能にFcに連結された、タンパク質を意味する。Fc融合体は、本明細書では、先行技術(Chamow et al., 1996, Trends Biotechnol 14:52-60; Ashkenazi et al., 1997, Curr Opin Immunol 9:195-200)において使用されるように、用語「イムノアドヘシン(immunoadhesin)」、「Ig融合体」、「Igキメラ」、及び「受容体グロブリン」と(時にはダッシュを伴って)同じ意味であることを意味する。Fc融合体は、免疫グロブリンのFc領域を、一般に、任意のタンパク質、ポリペプチド、又は小分子であり得る、融合パートナーと結合させる。Fc融合体の非Fc部分、すなわち、融合パートナーの役割は、標的結合を媒介することであり、従って、抗体の可変領域に機能的に類似している。実際、任意のタンパク質又は小分子が、Fcに連結され、Fc融合体を生成し得る。タンパク質融合パートナーは、以下に限定はされないが、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、又はいくつかのその他のタンパク質若しくはタンパク質ドメインを含み得る。小分子融合パートナーは、Fc融合体を治療標的に向ける、任意の治療剤を含み得る。そのような標的は、任意の分子、例えば、疾患に関与する細胞外受容体であり得る。
【0214】
本明細書で使用される、用語「抗体断片」は、フルレングスの抗体の一部分、例えば、場合により、その可変ドメイン、又は少なくともその抗原結合部位を指す。抗体断片の例は、ダイアボディ、単鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多特異性抗体を含む。scFv抗体は、例えば、Huston, J. S., Methods in Enzymol. 203 (1991) 46-88に記載されている。抗体断片は、多くの本分野で知られた技術によって、本明細書に記載される、抗体に由来することが可能である。例えば、精製されたモノクローナル抗体は、酵素、例えば、ペプシンを用いて切断され、HPLCゲルろ過を受けることができる。Fab断片を含む適切な分画は、次いで、膜ろ過などによって、回収及び濃縮することができる。抗体の活性断片の単離に関する一般的な技術の更なる説明は、例えば、Khaw, B. A. et al. J. Nucl. Med. 23:1011-1019 (1982); Rousseaux et al. Methods Enzymology, 121:663-69, Academic Press, 1986を参照。
【0215】
本明細書で提供される結合タンパク質は、コドン最適化されて、適切な宿主(例えば、HEK細胞又は昆虫細胞)でタンパク質発現を増加させる、核酸分子によって、コードされ得る。コドン最適化及びタンパク質産生技術は、本分野において、よく知られており、本明細書に記載される、結合タンパク質の産生に容易に適合させることができる。
【0216】
特定の例において、本明細書に記載される、結合タンパク質は、IgGであってもよい。IgGは、IgG1、IgG2、又はIgG3から選択されてもよい。代替となる例において、本明細書に記載される、結合タンパク質は、IgG4バリアントであってもよい(以下により詳細に記載される)。
【0217】
in vivoにおいて、IgG4は、機能的に二重特異性にする、Fabアーム交換を自然に受け、抗原の架橋及びインターナライゼーションを防止する(van der Neut Kolfschoten et al., 2007)。本明細書で使用される、用語「Fabアーム交換」又は「FAE」は、抗体の完全な重鎖‐軽鎖の対(半分子(half-molecule)又は半IgG(half-IgG))の、別の抗体の完全な重鎖‐軽鎖の対との交換及び組換えを意味する。すなわち、「Fabアーム交換」は、ヒトIgG4の「半分子」の交換をもたらすプロセスを指すために、本明細書で(及びより広く文字通りに)使用される(半IgG交換‐例えば、Schuurman et al., mAbs 4:6, 636-636 Nov/Dec 2012を参照)。Fabアーム交換は、還元に対する、元々のIgG4ヒンジジスルフィド結合の感受性の増加が、重鎖を分離し、ランダムに再結合させて、ランダム化された重鎖及び軽鎖の対を有する、IgG4分子の混合集団を生み出すことを可能にする、IgG4シャッフリングとしても知られている(Aalberse et al., 1999. Int Arch Allergy Immunol 118: 187-189; Labrijn, et al, 2009, Nat Biotechnol 27:767-771; Schuurman et al, 2001. Mol Immunol 38: 1-8; van der Neut Kolfschoten et al, 2007. Science 317: 1554-1557)。Makaraviciute A, Jackson CD, Millner PA, Ramanaviciene A. J Immunol Methods. 2016 Feb;429:50-6も参照。用語「Fabアーム交換」、「半抗体(half-antibody)交換」、及び「半IgG交換」は、従って、本明細書において、言い換え可能で使用される。
【0218】
本発明の場合、及び多数の可変ドメインを有する結合タンパク質(例えば、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに対して特異的である、ただ1つの可変領域を有する、二重特異性結合タンパク質)の場合、Fabアーム交換を受ける、IgG4の能力を減少させる若しくは除くこと(すなわち、確実に、結合タンパク質が、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに対して特異的に結合する、ただ1つの可変領域を保持し、従って、MuSKアンタゴニスト特性を維持するようにする)、又は結果として得られるIgGが二重特異性である、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する結合領域の、IgG1(若しくはIgG2若しくはIgG3)のバックグラウンドへの導入を使用すること(すなわち、本明細書の他の箇所で記載されるように、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つの結合領域を有するだけ)は、有利である。
【0219】
従って、本明細書に記載される、結合タンパク質は、in vivoにおけるFabアーム交換に関する、低下した能力を有する、IgG4バリアントであり得る(例えば、IgG4は、Fabアーム交換を受けることができない)。このタイプの結合タンパク質は、IgG4抗体は補体に結合できず、免疫細胞を動員することができないため、「抗炎症」抗体として考えられているので、特に有用である(Lighaam et al., 2016)。従って、本明細書に記載される、IgG4バリアントは、(相当するIgG1、IgG2、又はIgG3と比較して)本明細書に記載されるように、対象に投与される場合、炎症反応を誘導する可能性が低い。
【0220】
in vivoにおけるFabアーム交換に関する、低下した能力を有する、IgG4抗体バリアントは、従って、本明細書に記載される方法における使用のために作製され得り、IgG4バリアントは、2つの可変領域を含み、結合タンパク質の1つのみ可変領域がMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する。
【0221】
「in vivoにおけるFabアーム交換に関する、低下した能力」を有する、IgG4バリアントは、同じ(in vivo)の条件下で、対照IgG4抗体よりも低い割合のFabアーム交換を有する、IgG4を指す。「低下した能力」は、Fabアーム交換の減少(例えば、一定時間にわたるFabアーム交換の割合の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20% 少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%の減少(試験の開始時、例えば、マウス又はヒト対象のような対象へのIgG4の投与、から設定))を指す。Fabアーム交換の割合を測定する方法は、本分野において、既知である。
【0222】
IgG4シャッフリング/Fabアーム交換の減少は、1つ又は複数のアミノ酸置換を含まない、IgG4ヒンジ領域又はCH3領域を含む、IgG4分子から産生される、半抗体分子又はアーム交換の量と比較して、(例えば、ヒンジ領域又はCH3領域に1つ又は複数のアミノ酸置換を含む)本明細書に記載されるIgG4バリアントから産生される、半抗体分子のより少ない量の検出、新しい二重特異性抗体又はアーム交換の検出によって、決定され得る。半抗体産生又は二重特異性抗体分子を検出するために、本分野において、よく知られた任意のアッセイを使用することができる。二重特異性抗体の産生を検出するためのアッセイの例に関しては、Van der Neut Kolfschoten et al, 2007, Science, 317: 1554-1557を参照。
【0223】
本明細書で使用される、「Fabアーム交換を受けることができない」IgG4バリアントは、IgG4バリアントが、抗体の完全な重鎖‐軽鎖の対(半分子)を、別の抗体の完全な重鎖‐軽鎖の対と、in vivo(例えば、マウス対象若しくはヒト対象等の対象に、IgG4の投与の時点から設定され、24時間に亘って測定された場合)又はin vitro(例えば、還元剤、例えば、グルタチオンを使用する場合)で、交換及び再結合することができないということを意味する。すなわち、この状況において、2価で且つ二重特異性である(すなわち、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する1つのアーム、及び関係ないタンパク質に結合する1つのアーム)IgG4バリアントは、Fabアーム交換ができず、従って、(例えば、試験の開始時、例えば、マウス又はヒト対象のような対象へのIgG4の投与、から設定され、一定時間に亘って測定された場合)in vivoにおいて二重特異性のままであるだろう。IgG4が、Fabアーム交換を受けるかどうかを決定するための方法は、本分野において、既知であり、上述されている。
【0224】
一例において、IgG4バリアントは、in vivoにおけるFabアーム交換に関する能力を減少させる、1つ又は複数のアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含む。
【0225】
例えば、IgG4バリアントは、EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖のアミノ酸228位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸405位におけるアミノ酸置換、及び/又はアミノ酸409におけるアミノ酸置換を含む、IgG4定常領域を含むので、Fabアーム交換を受けることができない(Edelman et al., 1969, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 63(1): 78-85及びHuijbers 2016を参照)。ヒトIgG4のヒンジ領域又はCH3領域における、1つ又は複数のこれらのアミノ酸置換は、鎖内のジスルフィド結合形成の相当な減少をもたらし、IgG4「半抗体」分子の減少及びIgG4分子の不均一性/シャッフリングの減少をもたらす(Bloom et al. 1997, Protein Sci, 6:407- 415; Angal et al, 1993, Molecular Immunology, 30(1): 105-108)。これらのヒンジ変異又はCH3変異(又はFabアーム交換に必要である残基を欠失する変異型)は、in vivoにおいて、IgG4シャッフリングを減少させ、IgG4分子の半減期を増加させ得る(Labrijn, et al, 2009, Nat Biotechnol 27:767-771; Stubenrauch, et al, 2010, Drug Metab Dispos 38:84-91)。
【0226】
本明細書に記載される、IgG4バリアントは、従って、IgG4ヒンジ領域又はCH3領域に、1つ又は複数のアミノ酸置換を含んでもよく、IgG4シャッフリングは、上記1つ又は複数のアミノ酸置換含まない、IgG4ヒンジ領域又はCH3領域含む抗体と比較して、減少する。特定の例において、IgG4ヒンジ領域又はCH3領域は、1つのアミノ酸置換(EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖の、228位(例えば、S228P)、又はアミノ酸409位(例えば、R409K)、又はアミノ酸405位(例えば、F405L)のいずれか)を含む。別の特定の例において、IgG4ヒンジ領域又はCH3領域は、2つのアミノ酸置換(EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖の、228位(例えば、S228P)及び409位(例えば、R409K);又は228位(例えば、S228P)及び405位(例えば、F405L);又は405位(例えば、F405L)及び409位(例えば、R409K))を含む。別の特定の例において、IgG4ヒンジ領域又はCH3領域は、3つのアミノ酸置換(EUインデックスに従って番号付けられる、重鎖の、228位(例えば、S228P)、405位(例えば、F405L)及び409位(例えば、R409K))を含む。その他の特定の例において、IgG4領域は、その他のアミノ酸置換をさらに含み、適切な置換は、本分野において、よく知られている。
【0227】
対象の治療
本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、対象において、神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療するのに有用である。
【0228】
本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、対象において、皮膚のしわを防止、制御、又は減少させるためにも使用され得る。
【0229】
用語「対象」、「患者」、及び「個人」は、本明細書において、言い換え可能で使用される。
【0230】
特定の例において、対象は、哺乳類である。従って、対象は、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、マウス、ラットなどを指す。対象は、霊長類であり得る(例えば、非ヒト霊長類)。好ましい例において、対象は、ヒトである。
【0231】
対象は、典型的には、対象において、神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状の治療を必要とする、対象である。
【0232】
本明細書で提供される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、以下に概説されるように、美容(すなわち、非治療)目的又は治療目的で使用され得る。
【0233】
結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、対象において、皮膚のしわを防止、制御、又は減少させるために、有利に使用され得る。一例において、そのような使用は、「美容」及び/又は「非治療」と考えられる。
【0234】
従って、対象において、皮膚のしわを防止、制御、又は減少させる方法であって、本明細書に記載される結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)を、対象に、投与することを含む方法が提供される。一例において、そのような方法は、「美容」及び/又は「非治療」と考えられる。
【0235】
本明細書で使用される、用語「美容」及び「非治療」は、言い換え可能で使用され、対象において、美容的非病理的状態を扱う(例えば、向上させる、防止する、又は制御する)意図をもって実施される介在を指すことを意図する。例えば、美容的処置は、対象の外観を修復又は向上させるために使用され得る。
【0236】
従って、本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、対象において、皮膚のしわを防止、制御、又は減少させるために使用され得る。この目的で、結合物質を投与する適した方法は、本分野において、よく知られており、注射に限定はされない。
【0237】
皮膚のしわを防止、制御、又は減少させる方法は、皮膚組織の弛緩(relaxation)又は弛み(slackening)を高める方法としても考えられている。方法は、本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)を、皮下組織から皮膚組織に存在する、筋又は筋集団の除神経を高めるための有効量で、皮膚組織に局所的に投与することを含み、皮膚組織の弛緩又は弛みを高めてもよい。いくつかの例において、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、皮下投与される。
【0238】
好ましくは、皮膚組織の弛緩又は弛みは、皮膚のしわ又は細いしわ(line)の減少をもたらす。
【0239】
有利には、本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、治療目的でも使用することができる。本明細書で使用される、用語「治療(therapeutic)」は、対象の「治療(treatment)」を指すことを意図する。
【0240】
本明細書で使用される、用語「治療する(treat)」「治療する(treating)」、及び「治療(treatment)」は、疾患、障害、又は症状の進展を防止する、又は疾患、障害、又は症状の病理を変える意図をもって、実施される介入を含む。従って、「治療」は、治療的処置及び予防的(prophylactic)又は予防的(preventive)手段の両方を指し、対象は、標的とする疾患、障害、又は症状を防止する又は遅くする(減らす)ことになる。本明細書で使用される、用語「疾患(disease)」及び「障害(disorder)」は、言い換え可能で使用される。
【0241】
本明細書で使用される、用語「対象」は、特定の疾患、障害、若しくは症状を有する、又は特定の疾患、障害、若しくは症状を有するリスクがある、個人(例えば、ヒト又は非ヒト霊長類)を指す。対象は、患者、すなわち、本発明に従った治療を必要とする対象であり得る。対象は、疾患、障害、又は症状に対する治療を受けたことがあってもよい。代替としては、対象は、本発明に従った治療の前に、治療を受けたことがない。
【0242】
本明細書で提供される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療する又は防止するために使用されてもよい。
【0243】
本明細書において、文章から明確にされるように、記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、神経筋伝達を阻害するために使用され得る。この場合、神経筋伝達の「阻害」は、神経筋伝達の低下又は減少を包含する(例えば、結合物質の非存在下における神経筋伝達のレベルを、結合物質の存在下における神経筋伝達のレベルと比較した場合)。誤解を避けるため、「阻害(inhibition)」、「阻害する(inhibit)」、「低下させる/減少させる(decrease)」、「低下した/減少した(decreased)」、「減少した(reduced)」、又は「減少(reduction)」、及び相当する用語は、全て、本明細書では、一般に、統計学的に有意な量の減少を意味する。「阻害(inhibition)」、「阻害する(inhibit)」、「低下させる/減少させる(decrease)」、「低下した/減少した(decreased)」、「減少した(reduced)」、又は「減少(reduction)」は、典型的には、コントロール(すなわち、結合物質の非存在下)と比較して、少なくとも10%の減少、例えば、少なくとも約20%、若しくは少なくとも約30%、若しくは少なくとも約40%、若しくは少なくとも約50%、若しくは少なくとも約60%、若しくは少なくとも約70%、若しくは少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%、若しくは最大で100%の減少及び100%の減少を意味し、又はコントロール(すなわち、結合物質の非存在下)と比較して、10-100%の間の任意の低下、又はコントロール(すなわち、結合物質の非存在下)と比較して、少なくとも約0.5倍、若しくは少なくとも約1.0倍、若しくは少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、若しくは少なくとも約2倍、若しくは少なくとも約3倍、若しくは少なくとも約4倍、若しくは少なくとも約5倍、若しくは少なくとも約10倍の減少、若しくは1.0倍及び10倍以上の間の任意の減少を意味する。
【0244】
当業者は、ボツリヌス毒素Aの使用が、何年もの間、医療的治療及び美容的治療のために広く用いられてきたので、神経筋伝達の阻害によって軽減される、病気又は疾患に完全に気が付くだろう(例えば、Jankovic (2004) Botulinum in clinical practice. J Neurol Neurosurg Psychiatry 75 951-957を参照)。特に、ボツリヌス毒素Aに媒介される、シナプス伝達の阻害によって軽減される、いくつかの疾患又は状態は、ジストニア、顔面痙攣、斜視、脳性まひによる筋緊張亢進、吃音、慢性緊張性頭痛、咽頭の下咽頭収縮筋の痙攣、痛み、片頭痛、又は美容的治療、例えば、しわ、額しわ(brow furrow)の減少などからなる群から選択される。
【0245】
本明細書で記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、対象において、神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、又は症状を治療又は防止するために使用され得る。神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、又は症状を治療又は防止する方法であって、対象に、本明細書で記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)を投与することを含む、方法が提供される。従って、in vivoの治療の方法であって、予防的及び/又は治療的であり得る、方法が提供される。
【0246】
本明細書で使用される、「神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状」を治療又は防止することは、けいれん又は不随意の筋活動に続発する痛み、対象における神経障害又は疾患、不随意けいれんに由来する状態若しくは疾患、筋痙直、斜視、職業性けいれん、及び裂肛、片頭痛、歯ぎしり、及びそれらの組合せを治療又は防止することを含むと意図されている。
【0247】
一例において、痛みは、神経筋障害と関連する痛みである。
【0248】
一例において、不随意の筋けいれんに由来する状態又は疾患は、片側顔面痙攣、眼瞼痙攣、喉頭の違和感(laryngeal dysphoria)、頭部ジストニア(head dystonia)、頸部ジストニア(neck dystonia)、四肢ジストニア(limb dystonia)、又は直腸けいれんからなる群から選択される。
【0249】
本明細書で使用される、「神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状」を治療又は防止することは、対象における、過度の筋活動によって歪んだ外観を正すこと含むことも意図されている。
【0250】
本明細書で使用される、「過度の筋活動」は、通常と比較した、筋活動の増加を指す。本明細書に記載される、結合物質を使用して、正され得る、歪んだ外観の例は、筋けいれん及びチックを含む。
【0251】
本明細書で使用される、「神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状」を治療又は防止すること(本明細書において、「過度の筋活動に由来する、疾患、障害、及び/又は症状」を治療又は防止することとも称される)は、対象において、筋又は筋の群における、けいれん又は不随意収縮を治療又は防止することも意図されている。けいれん又は不随意収縮の非限定的な例は、眼瞼痙攣、斜視、痙性斜頸、局所性ジストニア、顎ジストニア(jaw dystonia)、職業性ジストニア、角膜潰瘍(保護眼瞼下垂(protective ptosis))、痙攣性発生障害(spasmodic dysphonia)(喉頭ジストニア(laryngeal dystonia))、又は顔面ジスキネジー(facial dyskinesis)、例えば、メージュ症候群、片側顔面痙攣、顔面神経の異所性再生(aberrant regeneration)、若しくは眼瞼開裂の失行(apraxia of eyelid opening)を含む。
【0252】
本発明者らは、本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、MuSKリン酸化を阻害することによって、NMJでのアンタゴニストとして作用することができることを示した。MuSKリン酸化の減少は、AChRクラスタリングを障害し、その後神経筋伝達をブロックする。本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、従って、対象において、一時的で局所的な筋脱力(例えば、不全まひ)を誘導するために使用され得る。より長い期間の局所的な筋脱力/不全まひも、(例えば、複数回の投与によって)誘導され得る。従って、結合物質は、ボツリヌス神経毒素の投与の代替として、使用され得る。
【0253】
A型ボツリヌス神経毒素(A型BoNT;又はBoNT/A)は、微量(1pM濃度)の局所注射後に、非常に長い神経筋不全まひを引き起こす能力のため、非常に医学的に重要であると証明された(Pirazzini-M et al., Pharmacol Rev 2017;69:200)。過去30年に亘り、BoNT/A及びその他のボツリヌス神経毒素は、医薬的目的及び美容目的のために成功裏に利用されてきた。これらの毒素は、NMJを抑え、多くの種類のニューロンからの神経伝達物質の放出をブロックすることもできる。実際的に、脳を含む、ヒト身体の各部分(Botulinum toxin therapy for neuropsychiatric disorders, US 20040180061 A1)は、BoNT/Aを用いて治療することができる。美容的処置に関して成功裏に使用されてきたBoNT/Aの形態の例は、ボトックス(Botox)である。NMJの不全まひは可逆性であるので、筋肉の持続した弛緩(relaxation)は、3から4か月毎の繰り返しの注射を必要とする。BoNT/Aは、横紋筋だけではなく、平滑筋の神経支配をブロックすることができる。従って、ボツリヌスをベースとした治療は、現在、ジストニアから胃腸障害及び尿障害までの100近くの様々な疾患を含むように拡張されている。
【0254】
本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、治療的有効量で、対象に投与されるためのものであり得る。「治療的有効量」は、求められている、対象の生物学的反応又は医学的反応を引き出す、薬、化合物、抗体、又は医薬結合物質の量を意味する。従って、本明細書に記載される、治療用途において、物質及び/又はその組成物は、症状又は疾患及びその合併症を、少なくとも部分的に止めるのに十分な量で、対象に投与される。これを完遂するのに十分な量は、「治療的有効量又は用量」として規定される。この使用に有効な量は、疾患の重症度、並びに患者の体重及び一般症状に依存する。
【0255】
本明細書に記載される、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、結合物質及び1つ又は複数のその他の成分を含む、組成物(例えば、医薬組成物)の一部であり得る。組成物は、本明細書に記載される、結合物質、並びに薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、希釈剤、及び/又は担体を含む、組成物であり得る。組成物は、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、補助的免疫増強剤、例えば、アジュバント及びサイトカイン、並びに任意選択でその他の治療剤又は治療化合物を規定通りに含み得る。
【0256】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される」は、生物学的に又はその他の面で望ましくはない物質を指し、すなわち、上記物質は、いかなる望まない生物学的影響を引き起こさず、医薬組成物中に含まれる、医薬組成物のいかなるその他の成分と、有害な方法で相互作用しない、選択された結合物質と共に、個人に投与され得る。
【0257】
賦形剤は、配合物を強化する目的で含まれる、又は最終投与形態中の活性成分に治療的向上を与える、例えば、薬の吸収又は溶解性を促進するために含まれる、活性成分(例えば、本明細書で提供される、結合物質)と一緒に配合される、天然又は合成物質である。賦形剤は、製造過程において有用であり得え、in vitroの安定性、例えば、予想される貯蔵寿命に亘る変性の防止の促進に加えて、粉末流動性又は付着しない特性を促進させるなどによって、該当する活性物質の取り扱いの役に立つ。薬学的に許容される賦形剤は、本分野において、よく知られている。適切な賦形剤は、従って、当業者によって、容易に同定される。例として、適切な薬学的に許容される賦形剤は、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどを含む。
【0258】
アジュバントは、配合物中のその他の物質の効果を修飾する、薬理学的及び/又は免疫学的物質である。薬学的に許容されるアジュバントは、本分野において、よく知られている。適切なアジュバントは、従って、当業者にとって、容易に確認可能である。
【0259】
希釈剤は、希釈する物質である。薬学的に許容される希釈剤は、本分野において、よく知られている。適切な希釈剤は、従って、当業者にとって、容易に確認可能である。
【0260】
担体は、使用される用量及び濃度において、レシピエントにとって、非有毒であり、配合物中のその他の成分と適合する。用語「担体」は、活性成分と組合されて、適用を容易にする、有機又は無機成分、天然又は合成を示す。薬学的に許容される担体は、本分野において、よく知られている。適切な担体は、従って、当業者にとって、容易に確認可能である。
【0261】
一般に、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)は、薬学的有効量で投与される。実際に投与される、結合物質の量は、典型的には、治療される疾患、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び反応、患者の症状の重症度などを含む、関連する状況に照らして、医師によって、決定される。医薬組成物は、経口、経直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、及び経鼻を含む、様々な経路によって投与することができる。組成物は、典型的には、単位投与形態で存在し、正確な投与を容易にする。用語「単位投与形態」は、ヒト対象及びその他の哺乳類対する単位用量として適切な、物理的に別々の単位を指し、適切な医薬賦形剤と共に、各単位は、計算された活性物質の所定の量を含み、所望の治療的効果を生み出す。典型的な単位用量形態は、予め充填され、予め測定された、液体組成物のアンプル若しくは注射器、又は固体組成物の場合、丸薬、錠剤、カプセル等を含む。そのような組成物において、フランスルホン酸化合物は、通常、微量成分であり(約0.1重量%から約50重量%、又は好ましくは約1重量%から約40重量%)、残りは様々なビヒクル又は担体及び所望の投与形態を形成するのに役に立つ、加工助剤である。
【0262】
経口投与に適した液体形態は、緩衝剤、懸濁剤及び分配剤、着色剤、香料などを有する、適切な水性又は非水性ビヒクルを含んでもよい。固体形態は、例えば、任意の、以下の成分又は似た性質の化合物を含んでもよい:結合剤、例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、若しくはゼラチン;賦形剤、例えば、デンプン若しくはラクトース、崩壊剤、例えば、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、若しくはコーンスターチ;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;流動促進剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えば、スクロール若しくはサッカリン;又は香味剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、若しくはオレンジ香味料。
【0263】
注射可能な組成物は、典型的には、注射可能な滅菌生理食塩水、又はリン酸緩衝生理食塩水、又は本分野で既知のその他の注射可能な担体に基づく。前述のように、そのような組成物中の活性化合物は、典型的には、微量成分であり、0,05重量%から10重量%であることが多く、残りは注射可能な担体などである。
【0264】
経皮的組成物は、典型的には、一般に、約0.01重量%から約20重量%、好ましくは約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約0.1重量%から約10重量%、及びより好ましくは約0.5重量%から約15重量%の範囲の量で、活性成分を含む、局所軟膏又はクリームとして、製剤される。軟膏として製剤される場合、活性成分は、典型的には、パラフィン系又は水混和性軟膏基剤のいずれかと組合される。
【0265】
好ましくは、組成物は、注射可能である、又は経皮的組成物である。
【0266】
医薬組成物に関する、上述された成分は、単に代表例である。その他の物質並びに加工技術などは、Part 8 of Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th edition, 1985, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaに説明されている。
【0267】
本明細書に記載される化合物はまた、長期間の放出形態で投与することができ、又は長期間の放出薬物送達システムで投与することができる。代表的な長期間の放出物質の説明は、Remington's Pharmaceutical Sciencesで見ることができる。
【0268】
本明細書に記載される、化合物は、唯一の活性物質として投与することが可能であり、又は同じ若しくは似た治療的活性を実証し、安全で組合せ投与に関して有効であると決定された、その他の化合物を含む、その他の物質と組合せて投与することが可能である。
【0269】
方法
対象において、皮膚のしわを防止、制御、又は減少させる方法であって、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)を、対象に投与することを含む、方法が提供される。
【0270】
方法は、美容的と考えられる。
【0271】
適切な結合物質、対象、医薬組成物、投与のための手段、及び投与の成功を決定するための試験の特徴は、上記に詳細に記載され、この態様に同様に適用される。
【0272】
神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療又は防止する方法であって、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、1つ又は複数の結合領域を含む結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)を、対象に投与することを含む、方法も提供される。
【0273】
結合物質は、治療的有効量で、適切な対象に投与するためのものである。
【0274】
治療的有効量は、対象において、MuSK活性を減少させ、それによって、対象における神経筋伝達のレベルの増加(増加又は異常)と関連する、疾患、障害、及び/又は症状を軽減させるのに十分であり得る。
【0275】
適切な結合物質、対象、疾患、障害及び症状、医薬組成物、投与のための手段、並びに治療の成功を決定するための試験の特徴は、上記に詳細に記載され、この態様に同様に適用される。
【0276】
本明細書で使用される、「減少(decreasing)」は、下方制御を指す。
【0277】
本明細書で使用される、「増加した(elevated)」は、正常より高い、増加した(increased)、又は上方制御されたを指す。
【0278】
本明細書で使用される、「MuSK活性」は、標準的な技術に従って、in vivo又はin vitroで決定される、(例えば、MuSK発現細胞又は組織における)MuSKタンパク質、ポリペプチド、又は核酸分子の生物学的活性及び機能的活性の両方を指す。MuSK活性は、MuSK二量体化、MuSKのリン酸化、又はNMJにおける細胞膜上のAChRの集合の刺激を含む。MuSK活性化は、後シナプスの分化の誘導又は維持をもたらし得る。
【0279】
神経筋伝達を測定するためのいくつかの方法が、本分野において、既知であり、例えば、筋電図又は電気生理学のエビデンスが使用され得る。
【0280】
医薬の調製
別の態様において、本発明は、対象における、神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療するための医薬の調製物中の、1つ又は複数の結合領域を含み、ただ1つの結合領域のみがMuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合物質(例えば、結合タンパク質、例えば、抗体)の使用を提供する。医薬は、治療的有効量での、適切な対象への投与のためのものである。
【0281】
適切な結合物質、対象、障害及び症状、医薬組成物、投与のための手段、並びに治療の成功を決定するための試験の特徴は、上記に詳細に記載され、この態様に同様に適用される。
【0282】
本発明は、本発明の例として提供される、以下の非限定的な実施例を参照に、より理解され得る。以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を完全に説明するために提示されるが、本発明の広範にわたる範囲を制限するものとして、決して解釈されるべきではない。
【実施例0283】
以下で提供されるデータは、MuSKのIg様1ドメインに結合する、(患者から単離された)機能的に1価のMuSK抗体が、アンタゴニストとして働くことを実証する。反対に、2価で単一特異性型の同じ抗体は、アゴニストとして働く。Fabアーム交換により、血清IgG4も、機能的に1価であり、IgG4患者MuSK抗体は、動物モデル及びヒトにおいて、MGを引き起こすので、これらの抗体の1価性は、MuSK MGの病態生理における決定因子であると考えられる。
【0284】
結果
含まれるMuSK MG患者の説明
MuSK特異的B細胞の単離のために、末梢血単核球(PBMC)が2人のMuSK MG患者から単離された。これらの患者の臨床的特徴は、表2に記載される。最も多くのMuSK特異的B細胞を産生する患者は、リツキシマブ治療後に再発していた。
【0285】
【0286】
MuSK MG患者由来のMuSK自己抗体の単離及び遺伝的特性評価
抗原特異的シングルセルソーティングは、2人のMuSK MG患者から、8つのMuSK結合B細胞をもたらした。循環MuSKクローンの頻度は、患者1に関しては、1億個のPBMCあたり約7個であり、患者2に関しては、1億個のPBMCあたり2.5個であった。MuSK自己抗体の特徴の概要は、表3に与えられる。8つのMuSK自己抗体産生クローンのうち6つに関して、本発明者らは、重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域配列を単離することができた。1つのクローンに関しては、VH可変領域のみが配列を決定することができた。
【0287】
【0288】
興味深いことに、単離された抗体の大多数が、IgG1アイソタイプであった。さらに、本発明者らは、1つのIgG4クローン及び1つのIgG3クローンを同定した。
【0289】
Fabアーム交換はIgG4の重要な特徴であり、MuSK自己抗体の機能的特性に影響を与え得る(Koneczny et al., 2017)。精製されたポリクローナル分画についての以前の研究は、MuSK MG IgG4がFabアーム交換を受ける能力を有することを示唆した(Koneczny et al., 2017)。本発明者らは、単離されたMuSKモノクローナル抗体のVHの配列を決定し、これらの抗体が確かに、Fabアーム交換を受けるのに必要である、228位のセリン及び409位のアルギニンを保有することを確認した(データは不図示)。
【0290】
FabのN結合型グリコシル化は、例えば、関節リウマチACPA自己抗体において、抗原結合に関して重要である可能性がある(van de Bovenkamp et al., 2018)。従って、本発明者らは、モノクローナルMuSK自己抗体可変領域中の、NXST(XはPとはなり得ない)モチーフの存在を評価した。1つのクローンのみにおいて、そのようなモチーフが見出され、Fabのグリコシル化が、全てのMuSK自己抗体に不可欠ではないことを示唆した。
【0291】
組換えMuSKモノクローナル自己抗体の機能的特性
自己抗体が結合するエピトープは、自己免疫疾患における病理メカニズムの重要な決定因子である。MuSKのIg様1ドメインは、以前に、ポリクローナルIgG4患者抗体分画及び血清中のMuSKの主要な免疫原性領域として同定された(Huijbers et al., 2016)。患者由来のMuSK抗体の5つに関して、エピトープがMuSKの第一のIg様1ドメインにマッピングすることができた(表3)。その他のドメインに対するモノクローナル自己抗体は、今のところ、同定されなかった。MuSK自己抗体の機能的特性を規定するために、組換え抗体を、IgG1単離クローン及びIgG4単離クローンから産生した。MuSK MGにおける、自己抗体アイソタイプの重要性を評価するために、これらの各可変領域を、IgG1及びIgG4バックボーンの両方においてクローン化した。
【0292】
NMJのシナプス後膜においてMuSKに結合する、患者由来のIgG1及びIgG4組換えMuSK抗体の能力を評価するために、本発明者らは、単離されたマウス骨格筋の免疫染色を行った。組換えモノクローナル抗体のIgG1及びIgG4型の両方が、NMJに明確に結合した(
図1、IgG4組換え抗体に関して示すデータ)。
【0293】
神経筋伝達の成功は、適切にクラスター化したAChRに依存し、従って、アグリン‐Lrp4‐MuSKシグナルカスケードを通して厳しく調整される(Burden et al., 2018)。アグリンは、運動ニューロン終末によって放出され、Lrp4に結合し、その後、Lrp4は、MuSKに結合し、MuSK二量体化及びトランスリン酸化を刺激する。MuSKリン酸化の活性化は、そのうちの1つがAChRクラスタリングで終わる、様々な細胞内シグナルカスケードを刺激する。精製された患者IgG4 MuSK自己抗体は、MuSK‐Lrp4相互作用、MuSKリン酸化を阻害し、それによって、C2C12筋管細胞(myotube)培養物及びマウスにおけるAChRクラスタリングを減少させる(Huijbers & Zhang 2013, Koneczny et al., 2013)。興味深いことに、患者由来MuSKモノクローナル抗体の効果を、MuSKリン酸化について評価した時、組換えIgG1及びIgG4(2価で単一特異性)抗体の両方が、MuSKリン酸化を阻害するよりもむしろ、強く活性化した(
図2A)。この効果は、アグリンの非存在下及び存在下の両方で、見られた。MuSKリン酸化の活性化は、さらに、濃度依存的であって(
図2B)、2つのクローン間で若干異なっていた。同じ抗体由来のパパイン分解によって産生された、1価のFab抗体断片は、MuSKリン酸化を阻害した(
図2C)。
【0294】
組換えモノクローナルIgG1及びIgG4の両方は、しかしながら、2価で単一特異性抗体‐抗原相互作用に関わる。患者における、Fabアーム交換されたIgG4 MuSK抗体の二重特異性及び機能的1価性の機能的効果を調査するために、本発明者らは、パパイン分解によって、これらの組換え抗体から、1価のFab断片を作製した。in vitroにおいて、これらのFab断片は、患者血清由来の抗MuSK IgG4と同様に、アグリン依存性MuSKリン酸化を阻害し(
図2C)、AChRクラスタリングを阻害した(
図2D)。
【0295】
対照的に、(及びin vitroにおけるMuSKリン酸化を活性化させることに一致して)2価の単一特異性モノクローナルMuSK抗体は、Fab断片と比較して、アグリン依存性AChRクラスタリングを活性化させた。さらに、AChRクラスタリングを、アグリンから独立して、2価の単一特異性抗体を使用して、部分的に誘導することができた(
図2D)。従って、1価のMuSK結合は、AChRクラスタリング経路をブロックする一方で、2価の単一特異性MuSK抗体は、MuSKを刺激し、この組織培養モデルにおいて、AChRクラスタリングを促進又は誘導することができる。
【0296】
これらの観察は、2つのMuSK Ig様1ドメイン結合部位を有する物質は、MuSKを活性化する能力を有する一方で、(患者精製IgG4又はFab断片で見られたのと同様に)1つのみのMuSK Ig様1ドメイン結合部位を有する物質は、MuSK活性化を阻害することを示唆する。
【0297】
MuSK抗体の特性評価
MuSKのIg様1ドメインに結合する、(MuSK血清抗体を有する、重症筋無力症患者から単離された)MuSK抗体を、単離し、以下に記載されるように配列を決定した。
図3及び4に示されるように、総計8つのMuSK Ig様1ドメイン反応性抗体(11-3D9、11-3F6、11-8G4、13-3B5、13-3D10、13-4D3、14-2E9、及び11-7C5)が、MuSK MG患者から得られた。
【0298】
MuSKタンパク質のIg様1ドメインへの結合に特異的な、可変領域配列/結合領域
これらのクローンの7つに関して、可変領域アミノ酸配列を得た(11-3D9、11-3F6、11-8G4、13-3B5、13-3D10、13-4D3、及び14-2E9)。抗体の可変領域は、典型的には、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)からなる。各VH及びVLは、典型的には、一緒になって、標的抗原に対する特異性を付与する、CDR1、CDR2、及びCDR3配列を有する(すなわち、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3が一緒になって、標的抗原に対する特異性を付与する)。しかしながら、本明細書で前述されるように、単一のVH又はVLドメイン(すなわち、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3;又はVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)も、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。
【0299】
6つのクローンに関して、重鎖及び軽鎖可変ドメインの両方は、配列決定が成功し、1つのクローン(11-8G4)に関して、重鎖可変ドメイン配列のみ得ることに成功した。重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列を、以下に、各クローンに関して、提供する。軽鎖の種類も、以下に示す。HC = 重鎖;LC = 軽鎖;VH = 重鎖可変ドメイン;VL = 軽鎖可変ドメイン。下線付きのアミノ酸配列は、CDRを表す(アミノ酸配列のNからC末端:CDR1、CDR2、CDR3)。
【0300】
抗体配列は、IMGT/V-QUESTプログラムバージョン: 3.4.17 (19 February 2019) - IMGT/V-QUEST参照ディレクトリ リリース: 201910-2 (5 March 2019) (http://imgt.org/IMGT_vquest/vquest)を用いて、ホモサピエンス配列に関して選択し、解析した。
【0301】
11-3D9 VH (配列番号9):
【0302】
【0303】
すなわち、重鎖可変ドメイン(VH)CDRは、以下のようであってもよい:GFNFSTYT (配列番号10)を含むCDR1、ISSRSAYK (配列番号11)を含むCDR2、及びARDFFQLGPPRFDS (配列番号12)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号9の配列を含む、VHの中に存在してもよい。
【0304】
11-3D9 VLk (配列番号13):
【0305】
【0306】
すなわち、軽鎖可変ドメイン(VL)CDRは、以下のようであってもよい:QRISSF (配列番号14)を含むCDR1、GAS (配列番号15)を含むCDR2、及びQQSYSPMYT (配列番号16)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号13の配列を含む、VLの中に存在してもよい。
【0307】
抗原特異性は、配列番号10、11、及び12のCDR(重鎖)、並びに配列番号14、15、及び16のCDR(軽鎖)の組合せによって得ることができる。例えば、抗原特異性は、配列番号9(重鎖)及び配列番号13(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることができる。
【0308】
11-3F6 VH (配列番号17):
【0309】
【0310】
すなわち、重鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:GFTFSSYT (配列番号18)を含むCDR1、IGSNGDYI (配列番号19)を含むCDR2、及びARGQLAVAGTHFDY (配列番号20)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号17の配列を含む、VHの中に存在してもよい。
【0311】
11-3F6 VLk (配列番号21):
【0312】
【0313】
すなわち、軽鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:QKVNKY (配列番号22)を含むCDR1、AAS (配列番号23)を含むCDR2、及びQQSYSPLCT (配列番号24)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号21の配列を含む、VLの中に存在してもよい。
【0314】
抗原特異性は、配列番号18、19、及び20のCDR(重鎖)、並びに配列番号22、23、及び24のCDR(軽鎖)の組合せによって得ることができる。例えば、抗原特異性は、配列番号17(重鎖)及び配列番号21(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることができる。
【0315】
11-8G4 VH (配列番号25) (この抗体に関して、VL配列は入手できなかった)
【0316】
【0317】
すなわち、重鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:GFTFSDFT (配列番号26)を含むCDR1、IGSSGTFI (配列番号27)を含むCDR2、及びARGRIAVAGTHFDL (配列番号28)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号25の配列を含む、VHの中に存在してもよい。
【0318】
13-3B5 VH (配列番号29):
【0319】
【0320】
すなわち、重鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:GYTFTGQY (配列番号30)を含むCDR1、INPSSGVT (配列番号31)を含むCDR2、及びATLSLGVYYVGMVA (配列番号32)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号29の配列を含む、VHの中に存在してもよい。
【0321】
13-3B5 VLl 可変領域(配列番号33)
【0322】
【0323】
すなわち、軽鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:GLAQQH (配列番号34)を含むCDR1、KDI (配列番号35)を含むCDR2、及びQSGDRTATSVL (配列番号36)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号33の配列を含む、VLの中に存在してもよい。
【0324】
抗原特異性は、配列番号30、31、及び32のCDR(重鎖)、並びに配列番号34、35、及び36のCDR(軽鎖)の組合せによって得ることができる。例えば、抗原特異性は、配列番号29(重鎖)及び配列番号33(軽鎖)の可変ドメイン組合せによって得ることができる。
【0325】
13-3D10 VH (配列番号37)
【0326】
【0327】
すなわち、重鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:GFDFSAST (配列番号38)を含むCDR1、VSGDSHHI (配列番号39)を含むCDR2、及びARERLLRLGVGFDS (配列番号40)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号37の配列を含む、VHの中に存在してもよい。
【0328】
13-3D10 VLk (配列番号41)
【0329】
【0330】
すなわち、軽鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:QRISGF (配列番号42)を含むCDR1、AAS (配列番号43)を含むCDR2、及びQQSYSPLYT (配列番号44)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号41の配列を含む、VLの中に存在してもよい。
【0331】
抗原特異性は、配列番号38、39、及び40のCDR(重鎖)、並びに配列番号42、43、及び44のCDR(軽鎖)の組合せによって得ることができる。例えば、抗原特異性は、配列番号37(重鎖)及び配列番号41(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることができる。
【0332】
13-4D3 VH (配列番号45)
【0333】
【0334】
すなわち、重鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:GFTFSSYT (配列番号46)を含むCDR1、ISSGGHYI (配列番号47)を含むCDR2、及びARERLLRLGVGFDF (配列番号48)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号45の配列を含む、VHの中に存在してもよい。
【0335】
13-3D4 VLk (配列番号49)
【0336】
【0337】
すなわち、軽鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:QSISGY (配列番号50)を含むCDR1、AAS (配列番号51)を含むCDR2、及びQQSYSALYT (配列番号52)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号49の配列を含む、VLの中に存在してもよい。
【0338】
抗原特異性は、配列番号46、47、及び48のCDR(重鎖)、並びに配列番号50、51、及び52のCDR(軽鎖)の組合せによって得ることができる。例えば、抗原特異性は、配列番号45(重鎖)及び配列番号49(軽鎖)の可変ドメインの組合せによって得ることができる。
【0339】
14-2E9 VH (配列番号53)
【0340】
【0341】
すなわち、重鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:GFTFSSYW (配列番号54)を含むCDR1、LNEDGSTT (配列番号55)を含むCDR2、及びVSDLSGKDEH (配列番号56)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号53の配列を含む、VHの中に存在してもよい。
【0342】
14-2E9 LCk (配列番号57)
【0343】
【0344】
すなわち、軽鎖可変ドメインCDRは、以下のようであってもよい:QSLLHSNGYYW (配列番号58)を含むCDR1、LGF (配列番号59)を含むCDR2、及びMQGLQTPYT (配列番号60)を含むCDR3。これらのCDRは、任意選択で、配列番号57の配列を含む、VLの中に存在してもよい。
【0345】
配列番号54、55、及び56のCDR(重鎖)は、配列番号58、59、及び60のCDR(軽鎖)と一緒に存在してもよい。配列番号53の可変ドメイン(重鎖)及び配列番号57の可変ドメイン(軽鎖)も、組合せられてもよい。
【0346】
抗原特異性は、配列番号54、55、及び56のCDR(重鎖)、並びに配列番号58、59、及び60のCDR(軽鎖)の組合せによって得ることができる。例えば、抗原特異性は、配列番号53の可変ドメイン(重鎖)及び配列番号57の可変ドメイン(軽鎖)の組合せによって得ることができる。
【0347】
Fc領域配列
5クローン由来の十分なcDNAが残され、抗体のFc配列を決定した。サブクラス解析に関して、以下を参照。参照配列を、ensemble.orgから得た。
【0348】
参照配列
IgG1 (配列番号61)
【0349】
【0350】
IgG2 (配列番号62)
【0351】
【0352】
IgG3 (配列番号63)
【0353】
【0354】
IgG4 (配列番号64)
【0355】
【0356】
B細胞クローンから作製されたcDNAは、サンガー法シーケンシングへ送られた。これにより、抗体Fc配列に関する確実なデータを与えられた。DNAシーケンシングは、https://web.expasy.org/translate/を使用して、変換された。
【0357】
11-3D9クローンアミノ酸配列(cDNAから翻訳された)‐配列番号65
【0358】
【0359】
11-8G4クローンアミノ酸配列(cDNAから翻訳された)‐配列番号66
【0360】
【0361】
13-3D10クローンアミノ酸配列(cDNAから翻訳された)‐配列番号67
【0362】
【0363】
13-4D3クローンアミノ酸配列(cDNAから翻訳された)‐配列番号68
【0364】
【0365】
13-3B5クローンアミノ酸配列(cDNAから翻訳された)‐配列番号69
【0366】
【0367】
多重配列アラインメントプログラムClustal W (1.83)を使用して、本発明者らは、11-3D9、11-8G4、13-3D10は全て、標準的なIgG1配列を有すると結論付ける(
図5を参照)。13-3B5は、標準的なIgG4 Fcテイルを有し、13-4D3は、IgG3 Fc配列を有する。13-4D3の全てのバリアントは、ensemble.org上で知られている。色分けは、異なる抗体とマッチするサブクラス参照配列間の類似性を示す。11-3F6及び14-2E9のサブクラス特異性は、また、IgG1特異抗体を用いて、ELISAで決定した(
図3を参照)。
【0368】
考察
この研究の最も目立ち、驚くべき発見の1つは、(患者由来の)MuSK抗体価及びその結果としてのMuSK自己抗体アイソタイプが、MuSKの機能を阻害しMGを誘導する能力における、重要な決定因子であるという事実である。MuSKのIg様1ドメインに結合する、2価単一特異性MuSK組換え抗体は、アゴニストととして働き、アグリンから独立して、筋管細胞培養物において、MuSKリン酸化(及びAChRクラスタリング)を活性化した。元のIgG1及びIgG4抗体の両方が、この効果を示した。反対に、これらの抗体から作製された、機能的に1価のFab断片は、精製された患者IgG4及びIgGtotalと同様に、アグリン依存的MuSKリン酸化(及びAChRクラスタリング)を阻害する(Huijbers & Zhang et al. 2013, Koneczny et al., 2013)。Fabアーム交換を受ける、患者IgG4の能力は、従って、Fabアーム交換が、内因的に産生されるMuSK IgG4を二重特異性で且つMuSK抗原に対して1価の状態にするので、疾患の発症に重要であるようである。以前の研究は、患者IgG4は、Fabアーム交換を受ける能力を有することを示唆し(Koneczny et al. 2017 J autoimmunity)、本明細書に記載されるMuSKモノクローナル抗体の配列は、このプロセスに必要である残基が存在することを確認する。データは、MuSK Ig様1ドメインに結合する、2価の単一特異性MuSK抗体は、MuSKを二量体化し活性化させる能力を有する一方で、機能的に1価のMuSK Ig様1ドメイン抗体は、MuSK二量体化を阻害し、従ってMuSK活性化を阻害する能力を有すると示唆する。
【0369】
まとめると、MuSK抗体価は、機能的効果の重要な決定因子である。2つのMuSK Ig様1ドメイン結合部位を有する、2価の単一特異性抗体は、MuSKを刺激し、一方、1つのみのMuSK Ig様1ドメイン結合部位を有する、1価又は二重特異性抗体は、MuSKの機能をブロックする。
【0370】
結論として、結果は、MuSK抗体の機能的1価性は、筋無力症の特徴の誘導に重要である。
【0371】
材料及び方法
患者選択
MuSK MG患者は、ライデン大学メディカルセンターのMG外来診療所に募られ、ポジティブMuSK抗体試験の存在(RSR ltd)及びMGと一致する臨床所見に基づいて選択された。研究は、ヘルシンキ宣言に従って、実施され、現地の医療倫理委員会によって承認され、全ての患者がインフォームドコンセントにサインした。
【0372】
MuSK MG患者由来のモノクローナル自己抗体の単離
MuSK結合メモリーB細胞は、凍結保存されたPBMCから単離され、CD19+、CD20+、CD27+細胞を選択した(CD19-BV421 HIB19 BD, CD20-AF700 2H7 BD, CD27-APCHy7 M-T271 BD, 0,1%BSA, 2mM EDTA/dPBS, 全てのモノクローナル抗体はマウス抗ヒトであった)。死細胞及び非B細胞を除くために、ダンプチャネルが含まれた(7-AAD,00-6993-50, CD3/FITC UCHT1 BD及びCD14/FITC M5E2, BD及びCD56/FITC HCD56 Biolegend)。抗原特異的細胞に関する選択は、R-PE (AS-72113, Anaspec)で標識された、大腸菌(E. Coli)で産生された組換えMuSK(Huijbers et al., 2016)、及びDyLight 650 (Kostas Lazardinis及びSocrates Tzartosからの親切な提供, Dylight650 NHSエステル, Thermofisher)で標識された、酵母で産生されたMuSK、を使用することによって、行われた。単一の細胞が、1%ペニシリン、ストレプトマイシン、- 50uM ベータメルカプトエタノール(M3148, Sigma)、20ug/ml ヒトアポトランスフェリン (T2036, Sigma-Aldrich、プロテインAセファロースを用いてヒトIgGが枯渇された[GE Healthcare])、1ng/ml IL1b (201-LB-005, R&D)、50ng/ml IL-21 (PHC0215, Thermofisher)、0,3ng/ml TNFa (210-TA-005, Thermofisher)、0,5ug/ml R848 (SML0196, Sigma) (Lighaam et al., 2014)が補充された、RPMI培地中に、96ウェルプレートにおいて、放射線を浴びたL-CD40Lフィーダー細胞(Kees van Kootenからの親切な提供)上で培養された。平均で5千万個のPBMCが、患者あたりで使用され、1~6個の間の抗原特異的な細胞を単離した。2週間後、培地を、前述されるMuSK ELISAを使用して(Huijbers et al., 2016)、MuSK反応性抗体に関して、試験した。端的には、組換えMuSKは、マキシソープ(maxisorp)プレート(NUNC)上で、一晩コーティングされた。翌日、プレートは、PBSを用いて洗浄され、2%カゼイン、0.01% tweenを含むPBSを用いてブロッキングされた。MuSK結合抗体を検出するため、培養培地は、ブロックバッファー中で、1:10でインキュベーションされ、アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒト抗体(ウサギ抗ヒトIgG AP, 309-055-008 Jackson Laboratories)及び基質としてPNPを使用して、結合した抗体が検出された。プレートは、Biotekプレートリーダー上で、405nmで読み取られた。
【0373】
RNA単離、cDNA生成、及び抗体配列単離
2週間後、プレートは回転され、上清が除去されて、上述した抗体解析を実施した。MuSK抗体産生細胞を含む、単一のウェルは、150μlのQiazolを用いて溶解され、RNAが、標準的なクロロホルム抽出及びイソプロパノール/エタノール沈殿を使用して単離された。RNAは、8μlのH2O中に再水和され、更なる使用まで、-80℃で保存された。cDNAは、Smartscribe逆転写酵素(Takara Bio Europe)、OligodT40プライマー、及びテンプレートスイッチングオリゴを使用して、10回の増幅で、(前増幅(pre-amplification)又は精製なしで)直接合成された(プライマー配列は表4)。フルレングスのV(D)Jは、ARTISAN PCRによって得た。Koning et al., 2017。HCプライマーは、重鎖を表す。
【0374】
【0375】
表4:プライマー配列。「dT40」は、後にVNが続く、40 Tヌクレオチドを表し、「V」は、A、C、又はGヌクレオチドのいずれかを表し、「N」は、任意のヌクレオチドを表す(https://www.mathworks.com/help/bioinfo/ref/baselookup.htmlを参照)。BC-TSOにおいて、「rG」は、リボグアノシンを表し、G+は、1つのLNA修飾グアノシンを表す。hkappaLC revプライマーにおいて、「M」は、A又はCヌクレオチドを表し、hlambdaLC revプライマーにおいて、「Y」は、C又はTヌクレオチドを表す。
【0376】
組換え抗体産生、精製、及び特性評価
IgG1及びIgG4バックボーンpcDNA3.1ベクター中の重鎖及び軽鎖配列は、Geneart (Thermofisher)で注文され、FreeStyleTM 293 Expression Medium (12338, ThermoFisher)中で、Fectin (12347-019, Thermofisher)を用いて、浮遊性HEK293-F細胞(R790-07, Thermofisher)懸濁液中にトランスフェクションされた。トランスフェクション効率及び産生効率を増加させるため、細胞は、SV40ラージT抗原、hp21、及びhp27 (Theo Rispensからの親切な提供)をコトランスフェクションされた。6日後、培養培地は回収され、細胞残屑は遠心によって除去され、IgGは、Akta pure (GE Healthcare)上で、HiTrapTM Protein A affinity column (17-0402-01, GE healthcare)を用いて、精製された。抗体はPBSに透析され、濾過滅菌され、-20℃で保存された。Fab断片は、以下の調節を有する、製造業者の説明に従ってパパインを使用して(20341, ThermoFisher)、これらの組換え抗体から作製した:抗体のインプット濃度は0,5mg/mLであり、分解の継続時間は、13-3B5に関しては1時間、11-3F6及び抗ビオチンに関しては3時間であった(分解が1時間より長くかかった場合、13-3B5は失われた)。トータルIgG及びFc断片の枯渇は、プロテインAアガロースビーズ(11134515001, Roche)を用いて、室温で、逆さまで、2時間行った。
【0377】
等量のMuSK特異的Fabが使用されたことを確定するために、濃度を、上述された抗体組合せを、マウス抗ヒトFab(1:1000, SA1-19255, Pierce)及びウサギ抗マウスアルカリホスファターゼ抗体(1:750, D0314, Dako)に置き換えて、MuSK ELISA中の親抗体と比較して測定した。同じ一次抗体及びロバ抗マウス800CW (1:10.000, 925-32212, Licor)を使用して、ウェスタンブロット上で、MuSK Fab濃度を比較して、ビオチンFab濃度を決定した。結合した抗体は、Odyssey CLx (Licor)を使用して、検出された。
【0378】
組換えの、培地産生された抗体の結合特性を決定するために、本発明者らは、以前に記載されるように(Huijbers et al., 2016)、エピトープマッピングELISAを行った。MuSKタンパク質のトランケート型が、マキシソーププレート上に固定され、単一細胞培養由来の抗体で1:10で、又は組換え抗体のいずれかに曝露された。組換え抗体は、また、1:100で、4℃で一晩、マウス長耳挙筋を免疫染色するために使用された。シナプス領域のAChRは、AlexaFluor488がコンジュゲートされたアルファブンガロトキシン(Life technologies)で標識され、結合した組換え抗体は、AlexaFluor594がコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgG (Life technologies)で検出された。筋肉は、Leica SP8 共焦点レーザー顕微鏡上で像を取得され、Las Xソフトウェアを使用して解析された。
【0379】
MuSKリン酸化及びAChRクラスタリングを阻害する、抗体の能力を決定するために、本発明者らは、前述されるように(Huijbers & Zhang et al 2013 PNAS)、C2C12筋管細胞培養物(Cell lines service)を、抗体に曝露した。分化した筋管細胞は、100ng/mLの組換え抗体又はFab断片の存在下又は非存在下において、0.1nMのアグリン(550-AG-100, R&D systems)で刺激された。MuSKリン酸化データに関して、MuSKの免疫沈降は、曝露の30分後に開始された。次いで、筋管細胞は溶解され、MuSKは、4℃における一晩のインキュベーションの間、5μL/サンプルのウサギ抗MuSKポリクローナル血清 (ab94276又はab94277、Steve Burdenからの親切な提供)を使用して、沈降させられた((Huijbers & Zhang et al. 2013 PNAS)。結合した抗原‐抗体複合体は、過度に洗浄されたプロテインAアガロースビーズ(11134515001, Roche)を使用して、沈降させられた。サンプルはその後、SDS-PAGEゲルにかけられ、PDVF膜に転写された。MuSK及びリン酸化MuSKは、一次抗体として、ヤギ抗ラットMuSK (1:2000, AF562, R&D systems) 及びマウス抗リン酸化チロシンクローン4G10 (1:1000, 05-321, Millipore)、並びにロバ抗マウス680RD (1:10,000, 926-68072, Licor)及びロバ抗ヤギ800CW (1:10,000, 926-32214, Licor)を使用して、検出された。結合した抗体は、Odyssey CLx (Licor)を使用して、検出された。
【0380】
AChRクラスタリングは、0.1nMのアグリンの非存在下又は存在下において、100ng/mLの組換え抗体又はFab断片に筋管細胞を曝露した16時間後に、調査した。その後、細胞は分化培地(differentiation medium)(DMEM, 31966 Gibco, 2% 熱失活したウマ血清 26050-088, Gibco、1% pen/strep、及び1% L-グルタミン)で3回洗浄され、37℃で30分間、分化培地で、0,5μg/mLのAlexaFluor488がコンジュゲートされたアルファブンガロトキシン(B13422, ThermoFisher)とインキュベーションされた。染色後、細胞は、5分間、4%ホルマリン液中で固定され、PBSで洗浄され、hardset封入剤(H-1500, Vector laboratories)を使用して封入された。条件につき、2つのカバースリップに分かれた、20の視野が、ランダムに選択され、Leica DM5500顕微鏡で像が取得された。AChRクラスターのカウント及び大きさは、ImageJ (1.48v)を使用して、解析された。
【0381】
統計
全てのデータは、平均±標準誤差(SEM)として表される。処置群間の差の統計学的有意性は、適切であれば、Student's t検定、多重検定の補正を用いて、検定された。P値<0.05を有する差は、統計学的に有意であると考えられた。
【0382】
本明細書で別段に定義されない限り、本明細書で使用される、全ての専門用語及び科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Singleton and Sainsbury, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology, 2d Ed., John Wiley and Sons, NY (1 94);及びHale and Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY (1991)は、本発明で使用される、多くの用語の一般的な辞書を、当業者に提供する。本明細書に記載されるものと類似又は同等である、任意の方法及び物質は、本発明の実施の際の使用を満たすが、好ましい方法及び物質が本明細書に記載される。従って、すぐ下記に定義される用語は、全体として明細書を参照することにより、より十分に記載される。また、本明細書で使用される、単数の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の言及を含む。別段の指示がない限り、それぞれ、核酸は、左から右へ、5’から3’の方向で記載され、アミノ酸配列は、左から右へ、アミノからカルボキシの方向で記載される。この発明は、当業者によって使用される状況によってさまざまであり得るので、記載される、特定の方法論、プロトコル、及び試薬に限定されないと理解される。
【0383】
読み手の注意は、本出願に関連して、本明細書と同時に、又は本明細書の前に提出され、本明細書で公的調査に公開されている、全ての論文及び文書に向けられ、そのような全ての論文及び文書の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0384】
本明細中に開示される特徴の全て(添付の請求項、要約書、及び図面を含む)、及び/又は開示されるいかなる方法又はプロセスの工程の全ては、少なくとも、そのような特徴及び/又は工程のいくつかが、相互に排他的である組合せを除いて、任意の組合せで、組合されてもよい。
【0385】
本明細中に開示される、各特徴(添付の請求項、要約書、及び図面を含む)は、特に明記されていない限り、同じ、同等の、又は類似した目的を果たす代わりとなる特徴によって、置き換えられてもよい。従って、特に明記されていない限り、開示される、各特徴は、同等又は類似の特徴の包括的なシリーズの一例に過ぎない。
【0386】
本発明は、いかなる上述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の請求項、要約書、及び図面を含む)中に開示される特徴の、任意の新規のもの、若しくは任意の新規の組合せ、又は開示される任意の方法又はプロセスの工程の、任意の新規のもの、若しくは任意の新規の組合せにまで及ぶ。
【0387】
配列
配列番号1 MuSK (ヒト‐アイソフォーム 205):
【0388】
【0389】
配列番号:2 ヒトMuSKタンパク質のIg様1ドメイン:
【0390】
【0391】
【0392】
配列9から69に関しては、上述の実施例の節を参照。配列70から78に関しては、
図5を参照。
【0393】
対象において神経筋伝達の阻害によって軽減される、疾患、障害、及び/又は症状を治療する際の使用のための、1つ又は複数の結合領域を含む、結合物質であって、ただ1つの結合領域のみが、MuSKタンパク質のIg様1ドメインに特異的に結合する、結合物質。