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特開2025-1666データ解析システム、データ解析方法、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001666
(43)【公開日】2025-01-08
(54)【発明の名称】データ解析システム、データ解析方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20241225BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20241225BHJP
【FI】
G16H40/00
G06F21/62 354
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099962
(22)【出願日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2023100773
(32)【優先日】2023-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520136537
【氏名又は名称】株式会社4DIN
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】高橋 精彦
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】匿名化し易い形式で統計処理を効率的に行うことができるデータ解析システム、データ解析方法、情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ解析システム100は、被験者に関するデータを記憶する被験者データ記憶部41(記憶手段)と、被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付処理部31(受付手段)と、送信指示により被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信部36(データ送信手段)と、被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行う解析処理部37(データ解析手段)と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に関するデータを記憶する記憶手段と、
前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付手段と、
前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信手段と、
前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記被験者に関するデータを所定の条件に基づいて抽出する抽出手段を更に備え、
前記データ送信手段は、
前記抽出手段によって抽出されたデータを含む前記被験者に関するデータを一括して送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記抽出手段による抽出結果を表示する表示手段を更に備える、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記被験者に関するデータに対して、前記被験者の個人の識別可能性を低減する識別可能性低減加工を実行する識別可能性低減手段、
を更に備え、
前記データ送信手段は、前記識別可能性低減加工が実行された前記被験者に関するデータを送信する、
請求項1から3の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理システムは、前記被験者に関するデータを所有する団体により定められた前記被験者の個人の識別性に関する第1ルールが適用された第1情報処理装置と、当該団体により定められた個人の識別性に関する第2ルールが適用された第2情報処理装置とを含み、
前記第1情報処理装置は、
前記記憶手段と、前記受付手段と、前記識別可能性低減手段と、前記データ送信手段と、を備え、
前記識別可能性低減手段は、前記識別可能性低減加工として、前記第1ルールに準拠した前記被験者に関するデータを前記第2ルールに準拠した前記被験者に関するデータに変換する処理を実行する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記被験者に関するデータには、既往歴と、生活上の習慣を示す情報と、所見と、遺伝子情報と、のうち少なくとも何れか1つが含まれる、
請求項1から3の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記既往歴には、病名、薬剤、薬の投与履歴、手術歴、検査結果、のうち少なくとも何れか1つが含まれる、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記データ解析手段は、前記被験者に関するデータに対して所定の統計処理用言語による統計解析又はグラフ化を実行する、
請求項1から3の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記被験者に関するデータの利用の可否をユーザに対して判定する認証手段を更に備え、
前記認証手段の判定結果に基づいてユーザによる前記被験者に関するデータへのアクセスを制限する、
請求項1から3の何れかに記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記データ解析手段は、仮想デスクトップ環境として提供される、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
コンピュータによる情報処理方法であって、
被験者に関するデータを記憶する記憶ステップと、
前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付ステップと、
前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信ステップと、
前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項12】
被験者に関するデータを記憶する記憶手段と、
前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付手段と、
前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析手段に対し、前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項13】
被験者に関するデータを記憶する記憶機能と、
前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付機能と、
前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析装置に対し、前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信機能と、
をコンピュータによって実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ解析システム、データ解析方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの状態を示すバイタルデータをセンサ等により取得し、解析結果をユーザに知らせるシステムが知られている。この種の技術が記載されるものとして例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、センサ部により測定されたバイタルデータを記憶し、送信するバイタルデータ測定装置と、バイタルデータ測定装置から送信されたバイタルデータを受信し、解析した解析結果を記憶する解析プログラムと、解析プログラムの解析結果を表示する表示部とを含むユーザ端末とを有するシステムについて記載されている。このシステムでは、ユーザの依頼に応じて医師による解析結果をユーザが受けることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-358052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、病気や健康状態について統計解析を行う場合、対象者のデータを大量に取り扱う必要がある。取り扱うデータは個人情報であり、匿名化処理を行う場合もある。この点、特許文献1に記載される技術は、個人自身による健康管理を想定するものであり、対象者の病気や健康状態に関する情報を大量に扱う統計処理を匿名化し易い形式で効率的に取り扱うという点で改善の余地があった。即ち、解析に用いられるデータの取り扱いの利便性の向上が求められていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、解析に用いられるデータの取り扱いにおける利便性を向上させることができるデータ解析システム、データ解析方法、情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、被験者に関するデータを記憶する記憶手段と、前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付手段と、前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信手段と、前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析手段と、を備えるデータ解析システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、コンピュータによるデータ解析方法であって、被験者に関するデータを記憶する記憶ステップと、前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付ステップと、前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信ステップと、前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析ステップと、を含むデータ解析方法である。
【0009】
また、本発明の一態様は、被験者に関するデータを記憶する記憶手段と、前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付手段と、前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析手段に対し、前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信手段と、を備える情報処理装置である。
【0010】
また、本発明の一態様は、被験者に関するデータを記憶する記憶機能と、前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付機能と、前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析装置に対し、前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信機能と、をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、解析に用いられるデータの取り扱いにおける利便性を向上させることができるデータ解析システム、データ解析方法、情報処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るデータ解析システムの構成の概略を示す図である。
図2】管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】管理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】データ解析システムによる統計解析処理の動作を示すフローチャートである。
図5】グラフ形式で示される医療情報と統計解析装置との連携操作を行うための連携ボタンが含まれるダッシュボードの一例である。
図6】データ解析システムの構成の図1とは異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<全体構成>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るデータ解析システム100の構成の概略を示す図である。図1に示すように、本実施形態のデータ解析システム100は、医療情報を管理する管理装置1と、入力装置2と、統計解析装置3と、を含む。
【0014】
管理装置1は、被験者に関するデータである医療情報に対して所定の条件に基づく抽出処理、統計解析装置3と連携して行う統計解析のための処理、医療情報に対する匿名化処理等を行う情報処理装置である。
【0015】
入力装置2は、管理装置1の各種の処理を実行するための操作をユーザが行う情報処理装置である。ユーザは、例えば、大学病院や研究機関等の統計解析を行うサービスを受ける団体である。なお、図1やその説明においては、ユーザは、ある大学病院であるものとして説明する。なお、本サービスのユーザは、1つの団体に限定される訳ではなく、複数接続されてもよい。
【0016】
統計解析装置3は、管理装置1と連携して医療情報に対して統計処理を実行する情報処理装置である。
【0017】
また、データ解析システム100(管理装置1)には、被験者に関するデータを記憶する記憶手段として被験者データ記憶部41、一次記憶領域42、連携用データ記憶部43が構築される。被験者に関するデータ(医療情報)は、医療を受けている患者に限定される訳ではない。医療を受けていない者の健康に関するデータであってもよい。
【0018】
上述したように、データ解析システム100のユーザは、大学病院や研究機関等の統計解析を行うサービスを受ける団体である。
即ち、大学病院や研究機関等の所定団体は、被験者に関するデータ(医療情報)として、当該所定団体で管理している病院の診察の記録や問診、アンケート結果等を所有している。そして、大学病院や研究機関の所定団体に所属する者(例えば、大学病院の医師、教授等)は、当該所定団体が所有する被験者に関するデータ(医療情報)を解析することで、研究を行おうとする。
データ解析システム100は、このような所定団体を支援するものである。
【0019】
ここで、大学が所有する被験者に関するデータ(医療情報)の管理においては、その大学の所定ルールが適用されるのが通常である。
即ち例えば、被験者に関するデータ(医療情報)は、基本的に大学内のネットワーク(例えば、イントラネット等)で記憶させるべきものとされる第1ルールが適用される。
そして、所定の被験者に関するデータ(医療情報)を大学のネットワーク外に記憶させるためには、所定の手続や処理が必要である、という第2ルールが適用される。
【0020】
このような前提のもと、管理装置1、入力装置2及び統計解析装置3は、所定のネットワークを介して接続される。
即ち、図1に示すように、管理装置1及び入力装置2、並びに、被験者データ記憶部41及び一次記憶領域42は、大学内のネットワーク(例えば、イントラネット等)内に設置される。また、統計解析装置3、及び、連携用データ記憶部43は、大学外のネットワーク(例えば、インターネット等)に設置される。
【0021】
即ち、管理装置1及び入力装置2、並びに、被験者データ記憶部41及び一次記憶領域42には、第1ルールが適用されている。そして、統計解析装置3、及び、連携用データ記憶部43には、第2ルールが適用されている。
【0022】
即ち、被験者に関するデータ(医療情報)を第1ルールが適用された情報処理装置(群)から解析のために第2ルールが適用された情報処理装置(群)に送信するために、所定の手続きを行ったり、所定の処理として被験者の個人の識別可能性を低減する識別可能性低減処理を的確に行う手間が、効率的な解析(研究)の妨げとなっている側面があった。
データ解析システム100は、このような手間を低減させ、解析に用いられるデータの取り扱いの利便性を向上させるものである。
【0023】
本実施形態の医療情報には、既往歴、生活上の習慣を示す情報(生活情報)、所見及び遺伝子情報(例えば、ゲノム解析に必要な情報)のちの少なくとも何れか1つを含まれる。既往歴には、病名、薬剤、薬の投与履歴、手術歴、検査結果、のうち少なくとも何れか1つが含まれる。被験者データ記憶部41には、これらの医療情報が、被験者ごとにテーブル形式で記憶される。
【0024】
一次記憶領域42は、被験者データ記憶部41から取得された医療情報又は医療情報を特定するための情報が一時的に保持される記憶領域である。連携用データは、一次記憶領域42から送信され、統計解析装置3によって統計処理するための連携用データが記憶される領域である。
【0025】
<ハードウェア構成>
次に、管理装置1を構成するハードウェア構成の一例について説明する。図2は、本実施形態に係る管理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0026】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0027】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0028】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0029】
なお、図示はしないが、入力装置2や統計解析装置3も、図2に示すハードウェア構成と同様の構成を有するものとする。
【0030】
<機能構成>
次に、データ解析システム100の機能構成について説明する。図3は、データ解析システム100の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。被験者データ記憶部41、一次記憶領域42及び連携用データ記憶部43は、管理装置1の記憶部18や管理装置1の外部の記憶部によって構成される。
【0031】
図3に示すように、管理装置1は、CPU11において動作する機能部として、認証処理部30と、受付処理部31と、抽出処理部32と、表示処理部33と、匿名処理部34と、データ加工部35と、データ送信部36と、を備える。
【0032】
認証処理部30は、データ解析システム100を操作するユーザが被験者に関するデータである医療情報へのアクセス権限を有するか否かを判定し、アクセス権限を有するユーザに対してデータ解析システム100の利用を許可するための処理を実行する。アクセス権限を有するか否かの判定は、例えば、アクセスIDと、それ対応するパスワードと、によって行ってもよいし、個人を識別する生体情報やICカードを用いてもよい。
【0033】
受付処理部31は、ユーザが操作した入力装置2の操作内容を受け付ける受付手段である。受付処理部31は、例えば、一定の条件に基づく医療情報を抽出する抽出処理や統計処理を行うための連携処理等の操作内容を受け付ける。受付処理部31は、受け付けた医療情報又は医療情報を特定する情報を一次記憶領域42に記憶する。本実施形態では、受付処理部31は、医療情報を特定するための情報として医療情報のIDを一次記憶領域42に記憶する。
【0034】
抽出処理部32は、受付処理部31が受け付けた抽出処理の操作内容に基づいて条件を満たす医療情報のデータセットを抽出する。抽出処理部32は、例えば、被験者データ記憶部41に登録される大量の医療情報から操作内容の条件に合致する医療情報を抽出する。抽出処理部32は、抽出条件、抽出条件に基づいて抽出された医療情報又は抽出条件に基づいて抽出された医療情報を特定するための情報を一次記憶領域42に記憶する。
【0035】
表示処理部33は、受付処理部31が受け付けた操作内容に基づいて医療情報をユーザに表示するための処理を実行する。表示処理部33は、例えば、抽出処理部32によって抽出された条件に合致する医療情報に基づいてグラフや表等を生成し、画像情報としてユーザに提示する。画像情報は、例えば、入力装置2の出力部16に表示される。
【0036】
匿名処理部34は、医療情報に対して被験者の個人を識別する可能性を低減する加工をする。具体的には、匿名処理部34は、所定の水準を満たす匿名化処理を実行する。具体的には例えば、匿名化処理は、例えば、氏名、性別、既往歴、身長等に関する情報を削除したり、マスク処理を行ったりして個人の識別可能性を低減する処理である。匿名化処理には、年齢を年代に変更するような数値の変更処理を含むこともできる。
【0037】
また、匿名処理部34は、被験者データ記憶部41に登録される医療情報に対して匿名処理を実行してもよいし、一次記憶領域42に記憶される医療情報に対して匿名処理を実行してもよい。また、匿名処理部34は、匿名処理を実行するタイミングも特に限定されない。匿名処理部34は、被験者データ記憶部41に医療情報が登録される際に匿名処理を実行してもよいし、ユーザが管理装置1を操作するタイミングで匿名処理を実行してもよい。
【0038】
データ加工部35は、抽出した条件に合致した医療情報を加工して統計解析装置3で統計処理を行うための連携用データを生成する。データ加工部35は、統計解析装置3が利用する連携用データ記憶部43に連携用データを記憶する。連携用データには、医療情報そのものが含まれていてもよいし、医療情報を特定するための情報が含まれていてもよい。本実施形態の連携用データは、医療情報を被験者データ記憶部41から読み出すためのID情報群である。また、連携用データには、抽出条件、抽出条件に基づいて抽出された医療情報又は抽出条件に基づいて抽出された医療情報を特定するための情報が含まれてもよい。
【0039】
データ送信部36は、連携用データの一括操作を指示する操作を受付処理部31が受け付けると、ユーザの操作内容に基づいて連携用データを統計解析装置3に一括送信する処理を実行する。本実施形態では、複数の連携用データの一括操作を指示するユーザの操作が、1つの動作であるシングルアクションによって行うことが可能になっている。
【0040】
本実施形態では、データ送信部36は、連携用データに含まれる医療情報のIDに加え、抽出処理部32の抽出結果も合わせて一括送信する。即ち、データ送信部36は、抽出結果のみだけではなく、抽出条件に合致しない医療情報を特定する情報についても統計解析装置3に送信する。なお、この構成に限定される訳ではなく、抽出条件に合致する医療情報のみを送る構成としてもよい。
【0041】
次に、統計解析装置3の機能について説明する。統計解析装置3は、統計解析装置3のCPU11において動作する機能部として、解析処理部37と、を備える。
【0042】
解析処理部37は、データ送信部36から送信される連携データに対して統計解析処理を実行する。解析処理部37は、例えば、R言語等の所定の統計処理用言語により、統計解析処理を実行する。解析処理部37は、統計解析結果をグラフ形式や表形式で表示することができる。
【0043】
次に、図4を参照して統計解析処理の一例について説明する。図4は、データ解析システム100による統計解析処理の動作を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS11において、認証処理部30は、を操作するユーザに対して認証処理を行う。認証判定により、ユーザが医療情報にアクセスできる権限を有するか否かが判定される。認証判定が成功しない場合、処理はステップS12に進まず、ユーザに対して再度、認証判定を要求する、又は処理を一旦終了する。
【0045】
ステップS12において、受付処理部31は、入力装置2を通じてユーザによる抽出条件の入力を受け付ける受付処理を実行する。
【0046】
図5を参照して、受付処理部31が抽出条件を受け付けるための操作処理について説明する。図5は、グラフ形式で示される医療情報と統計解析装置3との連携操作を行うための連携ボタンが含まれるダッシュボードの一例である。図5に示すように、医療情報の画像は、例えば、ダッシュボードのような複数のグラフや表等により医療情報を一覧で確認できる画像である。
【0047】
図5の画像の上部には、医療情報の抽出結果を編集するための編集操作部51、統計解析装置3との連携を開始する連携操作部52、抽出した医療情報を削除する削除操作部53、表示形式を変更するビュー操作部54が示されている。また、図5の画像中部から下部には、男女別の症例数を年齢で区分したグラフ61、服薬期間で患者数を区分したグラフ62、病名で患者数を区分したグラフ63、処方で患者数を区分したグラフ64等が表示されるグラフの一例として示されている。更に、図5の画像右部には、抽出条件を設定するための条件設定部70が示されている。なお、図5の画像例はあくまで一例であり、他の情報を追加したり、図5の表示内容を一部省略したりしてもよい。
【0048】
例えば、ユーザは、図5の条件設定部70を操作し、抽出条件として、被験者に関するデータの中からスタチン投与有りでスタチン服薬期間が48カ月未満のものを除外することを抽出条件として設定すると、この情報が抽出条件として受付処理部31によって受け付けられる。
【0049】
ステップS13において、抽出処理部32は、受付処理部31が受け付けた操作内容に基づいて被験者データ記憶部41に登録される被験者の医療情報から条件に合致する医療情報を抽出する。
【0050】
ステップS14において、表示処理部33は、抽出処理部32により抽出された医療情報をユーザに提示するための表示処理を実行する。表示処理では、上述の通り、グラフ形式や表形式で抽出された医療情報の画像が生成され、当該画像がユーザに提示される。
【0051】
ステップS15において、受付処理部31は、ユーザが入力装置2の入力部17を通じてユーザによる統計解析を開始するためのシングルアクション操作を受け付ける。図5の例では、ユーザがマウスのクリック操作やタッチ操作等で連携操作部52を選択することにより、受付処理部31は、シングルアクション操作が行われたことを検出する。このように、シングルアクション操作は、ユーザによる1回の操作を示す。
【0052】
ステップS16において、匿名処理部34は、医療情報に対して被験者の個人を識別する可能性を低減する加工をすることで、医療情報を匿名化する処理を実行する。
【0053】
ステップS17において、データ加工部35は、統計解析装置3で統計解析を行うために抽出処理部32が抽出した医療情報を指定する連携データを生成する。連携データは、例えば、医療情報のIDを特定するリストである。
【0054】
ステップS18において、データ送信部36は、連携データを統計解析装置3に一括送信する。データ送信部36は、連携データを統計解析装置3が利用可能な場所に保存する。本実施形態では、データ送信部36の一括送信の処理後に、入力装置2に表示される画面が、管理装置1によって提供される画面から統計解析装置3によって提供される画面に遷移する処理が実行される。
【0055】
ステップS19において、統計解析装置3の解析処理部37は、連携データで特定される医療情報に対して所定の統計処理用言語で記述された内容に基づいて統計処理を実行する。例えば、ユーザは、統計解析装置3の解析処理部37によって提示される不図示の操作画面上で、統計解析装置3では、更に統計処理を行うための解析条件を設定する。解析処理部37は、解析条件と医療情報に基づいて統計処理を実行する。
【0056】
上述の例のように、スタチン服薬期間が48カ月未満を除外することを抽出条件としている場合、ユーザは、解析処理部37によって提示される操作画面上で、統計処理の条件としてLDLC(Low Density Lipoprotein Cholesterol)検査なし(例えば、Day0とDay30)、ベースラインのLDLC結果値140未満の医療情報を除外する等の設定を行う。この設定に基づいて解析処理部37は、医療情報を統計解析し、反応者(Responder)や低反応者(Hyporesponder)をグループ分けしたグラフや表等のデータを表示する。
【0057】
本実施形態のデータ解析システム100は、以下のような環境での利用において、特に効果を奏するものである。
即ち、上述したように、被験者に関するデータ(医療情報)は、個人情報である。更に言えば、病気や健康状態に関する情報は、機微情報でもある。そこで、大学病院(所定団体の一例)により、以下のようなルールが規定されるのが通常である。
即ち例えば、大学病院(所定団体の一例)は、被験者に関するデータ(医療情報)は、基本的に大学病院内のネットワーク(例えば、イントラネット等)で記憶させるべきものとされる第1ルールを規定する。また例えば、大学病院は、所定の被験者に関するデータ(医療情報)を大学病院のネットワーク外に記憶させるためには、所定の手続や処理が必要である、という第2ルールを規定する。
【0058】
そして、所定団体に所属する者(例えば、大学病院の医師、教授等)が被験者に関するデータ(医療情報)を解析する場合や発表をする場合、インターネットに接続可能な状況で利用され得る自身の端末や、インターネットを介して利用可能な解析ツールを利用したいというニーズが存在する。その結果、被験者に関するデータ(医療情報)を取り扱う所定タイミングにおいて、所定の手続や処理が必要となることが多々ある。
【0059】
具体的には例えば、所定の手続として、被験者に関するデータ(医療情報)の利用申請の手続や、所定の処理として、被験者に関するデータ(医療情報)の被験者個人の識別可能性を低減させる識別可能性低減加工(例えば匿名化)が求められる。
本実施形態のデータ解析システム100は、このような手間を低減させ、解析に用いられるデータの取り扱いの利便性を向上させるものである。
【0060】
更に言えば、上述の実施形態では、大学病院(所定の団体の一例)がユーザであるものとして説明したが、以下のような形態とすることで、様々な大学病院や研究機関等が公平に被験者に関するデータを利用するシステムとすることもできる。
即ち、複数の団体の夫々が所有する被験者に関するデータ(医療情報)を夫々の団体内において、識別可能性低減加工がされた被験者に関するデータ(医療情報)を送信することで、連携用データとすることが出来る。このとき、複数の団体の夫々における識別可能性低減加工として、複数の団体の夫々により規定されたルールに準拠した処理が実行される。これにより、様々な研究機関が公平に被験者に関するデータを利用するシステムが実現する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のデータ解析システム100は、被験者に関するデータを記憶する被験者データ記憶部41(記憶手段)と、被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付処理部31(受付手段)と、送信指示により被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信部36(データ送信手段)と、被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行う解析処理部37(データ解析手段)と、を備える。また、本実施形態のコンピュータによるデータ解析方法は、被験者に関するデータを記憶する記憶ステップと、前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付ステップと、送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信ステップと、被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析ステップと、を含む。
【0062】
これにより、統計処理を行うために必要な大量の被験者に関するデータ(医療情報)をシングルアクションで、一括で解析処理部37に送信することができる。例えば、被験者に関するデータを外部記憶媒体等に出力せずにクラウド側で被験者に関するデータを保有したまま、クラウド環境下で解析処理までを完結させることができる構成を容易に実現できる。また、本実施形態の構成によれば、クラウド上に被験者に関するデータを保持することもでき、匿名化処理も容易に行うことができる。また、従来技術では、数カ月から半年程度データ解析(データの利用申請および承認、データ出力および取り込み作業、統計解析処理含む)に時間がかかっていたが、クラウド上で処理を実行する本実施形態の構成によれば迅速に統計処理を実行できる。
【0063】
また、本実施形態のデータ解析システム100(管理装置1)は、被験者に関するデータを所定の条件に基づいて抽出する抽出処理部32(抽出手段)を更に備え、データ送信部36は、抽出処理部32によって抽出されたデータを含む被験者に関するデータを一括して送信する。これにより、統計解析処理の前段階で所定の条件に合致する被験者に関するデータを抽出することができ、この抽出結果を統計解析に利用することができる。
【0064】
また、被験者に関するデータが所定の条件に基づいて抽出されることにより、都度のデータの抽出作業が不要となり、利便性が向上する。また、抽出することにより、被験者に関するデータを送信する量が削減され、データ漏洩のリスクが低減するため、所定団体による被験者に関するデータの利用の承認を得やすくなるという効果を奏する。
【0065】
また、本実施形態のデータ解析システム100(管理装置1)は、抽出処理部32による抽出結果を表示する表示処理部33(表示手段)を更に備える。これにより、統計解析を行う前に抽出結果を確認することができる。
【0066】
また、本実施形態のデータ解析システム100(管理装置1)は、被験者に関するデータに対して、被験者の個人の識別可能性を低減する識別可能性低減加工を実行する匿名処理部34を更に備え、識別可能性低減加工が実行された被験者に関するデータを送信させる。これにより、送信されるデータは、識別可能性低減加工が実行された被験者に関するデータとなる。
【0067】
また、本実施形態のデータ解析システム100のうち、管理装置1及び入力装置2には、被験者に関するデータを所有する団体により定められた被験者の個人の識別性に関する第1ルールが適用されている。また、統計解析装置3には、団体により定められた個人の識別性に関する第2ルールが適用されている。
そして、被験者データ記憶部41及び一次記憶領域42と、受付処理部31と、匿名処理部34と、データ送信部36は、管理装置1に備えられている。また、解析処理部37は、統計解析装置3に備えられている。
そして、匿名処理部34は、識別可能性低減加工として、第1ルールに準拠した前記被験者に関するデータを第2ルールに準拠した被験者に関するデータに変換する処理を実行する。
これにより、被験者のデータの送信前に適切な(ルールに準拠した)識別可能性低減加工が行われることが担保される。これにより、所定団体(例えば、情報管理部門の担当者)は、データ解析システム100を利用すれば被験者のデータの送信前に識別可能性低減加工がなされるため、第2ルールが適用された情報処理装置にデータを送信するための所定の手続を省略したり、簡略化するという運用を行うことが出来る。その結果、所定団体に所属して被験者に関するデータ(医療情報)を解析する場合や発表をする者にとっては、解析に用いられるデータの取り扱いの利便性の向上が実現される。
【0068】
また、本実施形態では、被験者に関するデータには、既往歴と、生活上の習慣を示す情報と、所見と、遺伝子情報と、のうち少なくとも何れか1つが含まれる。これらの情報を利用して統計処理を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、既往歴には、病名、薬剤、薬の投与履歴、手術歴、検査結果、のうち少なくとも何れか1つが含まれる。これらの情報を利用してより精度良く統計処理を実行できる。
【0070】
また、本実施形態では、解析処理部37は、被験者に関するデータに対して所定の統計処理用言語による統計解析又はグラフ化を実行する。これにより、所定の統計処理用言語を利用した統計解析の結果や視覚的に理解し易いグラフにより、大量のデータを取り扱った解析結果を容易に把握できる。
【0071】
また、本実施形態では、被験者に関するデータは、個人情報を秘匿化する処理が施されたデータである。これにより、被験者に関するデータに個人情報が含まれる場合であっても、秘匿化処理が行われるので、被験者のプライベートを適切に保護できる。クラウド上で統計処理用のデータを取り扱う場合、複数のユーザが被験者に関するデータにアクセスする可能性が高い場合において、秘匿化処理を行っておくことは特に有効である。
【0072】
また、本実施形態では、個人情報を秘匿化する処理は、個人の識別可能性を低減する処理である。これにより、統計処理に必要な情報を維持しつつ、個人情報を保護することができ、統計処理と個人情報保護をバランス良く両立できる。
【0073】
また、本実施形態では、データ解析システム100(管理装置1)は、被験者に関するデータの利用の可否をユーザに対して判定する認証処理部30(認証手段)を更に備え、認証処理部30の判定結果に基づいてユーザによる被験者に関するデータへのアクセスを制限する。これにより、被験者に関するデータに個人情報が含まれる場合においてアクセス制限により、個人情報を確実に保護できる。また、ユーザに統計処理を利用させるサービスを提供する場合においても、アクセス制限によりユーザに対して適切にサービスを提供できる。従来のサービスでは、被験者に関するデータを抽出して切り売りしていたが、本実施形態の構成によれば、契約で定めた期間だけ被験者に関するデータにアクセス可能とすることも容易である。また、従来は、被験者に関するデータも、統計処理後に適切でない用途に利用されているか否かが不明であるが、クラウド上で管理することにより、特定期間だけ被験者に関するデータを適切に利用できるサービスを展開できる。
【0074】
また、本実施形態では、管理装置1は、被験者データ記憶部41(記憶手段)と、被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付処理部31(受付手段)と、被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析手段に対し、送信指示により被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信部36(データ送信手段)と、を備える。また、本実施形態のプログラムは、被験者に関するデータを記憶する記憶機能と、被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付機能と、被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析装置に対し、前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信機能と、をコンピュータによって実行させる。
【0075】
これにより、本実施形態のように、被験者に関するデータを一括で送信することにより、管理装置1と統計解析装置3と連携して統計解析を行う構成であっても、連携処理を容易かつ効率的に行うことができる。
【0076】
上述のデータ解析システム100において、統計解析装置3、及び、連携用データ記憶部43は、大学外のネットワークに設置されるものとして説明したが、図6に示す構成とすると好適である。
図6は、データ解析システムの構成の図1とは異なる例を示す図である。以下、図1と基本的に共通の構成のものについて、同様の符号を付すとともに、説明を省略する。
【0077】
図6に示す統計解析装置3は、プライベートネットワークに設置され、連携用データ記憶部43に記憶された連携用データの医療情報に対して統計処理を実行することができる情報処理装置である。
ユーザ端末4は、解析(研究)を行うユーザが直接操作する情報処理装置である。ユーザ端末4は、インターネット等に接続されており、所定の認証プロセスののち、統計解析装置3にアクセスすることが可能となっている。ユーザがユーザ端末4を介して統計解析装置3にアクセスすると、統計解析装置3からユーザ端末4に対して、連携用データ記憶部43の医療情報に対して解析可能な解析環境が提供される。
即ち、図6に示す統計解析装置3と連携用データ記憶部43は、仮想環境として提供される。
【0078】
具体的には例えば、ユーザは、図5に示すダッシュボード等のBIツールを用いて、解析対象を特定し連携用データとしたものを、所定形式(例えばCSV、comma separated values形式)のファイルとしてダウンロード可能な、仮想デスクトップ(VDI、Virtual Desktop Infrastructure)を、ユーザ端末4から利用することができる。
【0079】
ここで、統計解析装置3により提供される仮想デスクトップには、ユーザ自身が契約した任意の統計ツールをインストールすることが出来る。
また、仮想デスクトップ上においては、セキュリティ対策が実施される。具体的には例えば、連携用データ等のファイルは、物理端末(例えばユーザ端末4)にはダウンロード不可として制御される。
また、仮想デスクトップ上における操作は、全てユーザ個人単位でログ取得及び監視が行われる。
これにより、分析(研究)を行うユーザ(例えば医学研究者)の利便性が向上するとともに、データ管理上のセキュリティ強化が達成される。
【0080】
即ち、上述の通り、情報漏えい防止等の観点から機能特性、セキュリティ等のため、第1ルールと比較して厳しい第2ルールが規定される。第2ルールによれば、統計ソフトウェアを特定の製品に限定する必要があることがある。即ち例えば、図1に示す統計解析装置3には、特定の統計ソフトウェアしか認められないといった第2ルールが採用されたり、第2ルールに準拠するためには特定の統計ソフトウェアしか認められないことがあった。しかしながら、特定の統計ソフトウェアに限定されることは、ユーザにとって不便である。
上述のように、仮想デスクトップ環境が提供され、データのダウンロード不可等の制御が行われることにより、ユーザは自身が使用したい統計ソフトウェアを利用することができるようになる。
【0081】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0082】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に上述の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバの機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0083】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0084】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0085】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0086】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理システム(例えば、図1図6のデータ解析システム100)は、
被験者に関するデータを記憶する記憶手段(例えば、図1図6の被験者データ記憶部41)と、
前記被験者に関するデータを送信するためのシングルアクションによる送信指示を受け付ける受付手段(例えば、図3の受付処理部31)と、
前記送信指示により前記被験者に関するデータを一括して送信するデータ送信手段(例えば、図3のデータ送信部36)と、
前記被験者に関するデータに基づいて所定の解析を行うデータ解析手段(例えば、図3の解析処理部37)と、
を備える。
【0087】
また、前記被験者に関するデータを所定の条件に基づいて抽出する抽出手段(例えば、図3の抽出処理部32)を更に備え、
前記データ送信手段は、
前記抽出手段によって抽出されたデータを含む前記被験者に関するデータを一括して送信することができる。
【0088】
また、前記抽出手段による抽出結果を表示する表示手段(例えば、図3の表示処理部33)を更に備えることができる。
【0089】
また、前記被験者に関するデータに対して、前記被験者の個人の識別可能性を低減する識別可能性低減加工を実行する識別可能性低減手段(例えば、図3の匿名処理部34)、
を更に備え、
前記データ送信手段は、前記識別可能性低減加工が実行された前記被験者に関するデータを送信することができる。
【0090】
また、前記情報処理システムは、前記被験者に関するデータを所有する団体により定められた前記被験者の個人の識別性に関する第1ルールが適用された第1情報処理装置と、当該団体により定められた個人の識別性に関する第2ルールが適用された第2情報処理装置(例えば、図1図6の統計解析装置3)とを含み、
前記第1情報処理装置は、
前記記憶手段と、前記受付手段と、前記識別可能性低減手段と、前記データ送信手段と、を備え、
前記識別可能性低減手段は、前記識別可能性低減加工として、前記第1ルールに準拠した前記被験者に関するデータを前記第2ルールに準拠した前記被験者に関するデータに変換する処理を実行することができる。
【0091】
また、前記被験者に関するデータには、既往歴と、生活上の習慣を示す情報と、所見と、遺伝子情報と、のうち少なくとも何れか1つが含まれる、ものとすることができる。
【0092】
また、前記既往歴には、病名、薬剤、薬の投与履歴、手術歴、検査結果、のうち少なくとも何れか1つが含まれる、ものとすることができる。
【0093】
また、前記データ解析手段は、前記被験者に関するデータに対して所定の統計処理用言語による統計解析又はグラフ化を実行することができる。
【0094】
また、前記被験者に関するデータの利用の可否をユーザに対して判定する認証手段を更に備え、
前記認証手段の判定結果に基づいてユーザによる前記被験者に関するデータへのアクセスを制限することができる。
【0095】
また、前記データ解析手段は、仮想デスクトップ環境として提供される、ものとすることができる。
【符号の説明】
【0096】
1:管理装置(情報処理装置)
2:入力装置
3:統計解析装置
4:ユーザ端末
30:認証処理部(認証手段)
31:受付処理部(受付手段)
32:抽出処理部(抽出手段)
33:表示処理部(表示手段)
34:匿名処理部(匿名手段)
35:データ加工部(データ加工手段)
36:データ送信部(データ送信手段)
100:データ解析システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6