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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016711
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】自立移動電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02S 10/40 20140101AFI20250128BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20250128BHJP
   H02S 30/20 20140101ALI20250128BHJP
   H02S 20/30 20140101ALN20250128BHJP
【FI】
H02S10/40
H02S10/20
H02S30/20
H02S20/30
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024193782
(22)【出願日】2024-11-05
(62)【分割の表示】P 2021003319の分割
【原出願日】2021-01-13
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523277507
【氏名又は名称】GX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】都 英吾
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通信機能、監視機能、送風機能、冷却機能、及び/又は照明等の多くの用途にも適用できる、太陽電池パネルの支持強度や安定性があり、太陽電池パネルの仰角、上下方向、左右の向きの調整の操作を容易化し、電気利用体の位置及び機能の及ぶ範囲を拡大することができる自立移動電源装置を提供する。
【解決手段】台車2と、蓄電池を収容する電源部4と、制御回路等を収容する制御部5と、台車2に設けられた構造部6と、構造部6に、一端部71が回動可能に連結し、他端部が自在ステーを介して構造部6に連結される太陽電池パネル7と、構造部6へ取り付けるための取付具8と、リンク9を有する一対の第1アーム10と、取付具8を水平回動させ、所定の位置でロックするロック121を有する回動機構と、第1アーム10に連結部11を介して連結され、電気利用体16、17を固定する第2アーム13と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と、
蓄電池を収容する電源部と、
前記台車に設けられた構造部と、
前記構造部に、可動可能に連結する太陽電池パネルと、
前記太陽電池パネルで発生した電気を制御し、前記蓄電池に供給する制御部と、
前記構造部へ取り付けるための取付具を有する一対のアームと、
前記取付具を回動させ、所定の位置でロックするロックと、を有する回動機構と、
前記太陽電池パネルで発生した電気を前記蓄電池に蓄電し、前記蓄電池から電気を前記電気利用体に供給すること、
前記構造部が管から構成されること、
前記一対のアームが前記構造部の管の一側の上部に間隔を設けて設けられ、前記太陽電池パネルに近接して設けられること、
前記アームが第1アームと第2アームを有し、前記第1アーム及び/又は第2アームがリンクを有し、前記第1アームと第2アームが連結部を介して連結され、前記第2アームに電気利用体を固定することができること、及び、
前記連結部が、少なくとも、前記構造部より低い位置で静止する第1位置と、前記構造部よりも高い位置で静止する第2位置と、前記構造部の左右方向に前記アームを進展した状態で静止する第3位置のいずれの位置にも配置可能であることを特徴とする自立移動電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルから電気利用体に電源を供給できる自立移動電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の発明は、非常時、台車に設けた飲料水貯留タンクの飲料水及びソーラーパネルから得た電源を利用することができる水と電気の供給方法及び水と電気の供給装置を提供する。解決手段としては、飲料水貯留タンク5を室内又は室外のいずれかの水道水ラインに接続し、水道水を飲料水貯留タンク5を経て使用する水道水供給工程と、非常使用の時は、水道水ラインから飲料水貯留タンク5を取り外し、キャスター17を有する台車15に載せる飲料水貯留タンク搭載工程と、電源供給部21cを有するソーラーパネル21を台車15に脚状支持部材19を介して揺動自在に設置するソーラーパネル設置工程と、ソーラーパネル21設置後の台車15を、太陽光線が当たる室外の任意の場所まで移動させる台車移動工程と、太陽が出ている間に於いて、操作力により、ソーラーパネル21を少なくとも傾斜姿勢から略水平姿勢へと回動させるソーラーパネルの角度変更工程を含む。
【0003】
特許文献2の発明は、ソーラーパネル以外に蓄電池を充電するための補助電源が使用でき、ソーラーパネルの迎角を設定できる移動式太陽光発電装置を提供する。解決手段と、しては、複数のキャスタを備え、本体を構成するケーシング内に第1,第2の蓄電池16,17と、制御装置と、が配置され、ケーシングの上方にはソーラーパネル18と、このソーラーパネルの迎角を設定できるソーラーパネルの支持機構とが配置され、ケーシングには、ソーラーパネル18の直流電力接続部18aと、補助電源としての商用電源25に接続するための交流電力接続部27と、補助電源としての車のバッテリ26に接続するための直流電力接続部28と、第1,第2の交流負荷用コンセント29,29’と、が配置されている。制御装置は、インバータ12,12’と、充電コントローラ13と、充電整流コントローラ14と、DC,ACコントローラ15と、からなる。
【0004】
特許文献3の発明は、太陽光発電によって充電可能な背負い型携帯用投光器を提供する。解決手段としては、蓄電池、充放電制御回路、充電用コネクタ、電源供給用コネクタ等からなる電源装置2と、電源装置2を収納する筐体3と、筐体3に取り付けられて、上下方向に移動可能なポスト8と、ポスト8の先端部分に取り付けられて、電源装置2から供給される電源によって投光する照明器9と、を備えるものであって、特に、筐体3に太陽電池パネル7を取り付けることで、太陽光発電によって発生した電源を電源装置2内の蓄電池に充電するようにした投光器1である。
【0005】
特許文献4の発明は、移動可能なソーラーシステムを提供することである。解決手段としては、太陽光発電システムのソーラーパネル、そのコントローラやバッテリを被覆するカバー、ソーラーパネルで発電された電気をバッテリに充電する充電回路、バッテリから供給される電気を制御する制御機器、バッテリに充電された電気で点灯させる照明具、照明具を取り付ける支柱を移動車に取り付け可能にセットしておくか又は移動車に搭載した。
【0006】
特許文献5の発明は、停電に見舞われた様々な場所で、或は夜間の工事現場で、誰でもが容易に設置できた上で、操作し易く、手軽に発電効率を上げることができる、ソーラーパネルを用いた安価な移動式照明装置を提供する。解決手段として、それぞれ台車上に設置された1基又は2 基のソーラーパネル、蓄電池、照明灯から成り、1基又は2基のソーラーパネルは台車上へそれぞれ1 本又は2本のソーラーパネル用支柱を介して縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付け、1基又は2基の蓄電池はソーラーパネルで発電された電気を蓄電して1基又は2基の照明灯を点灯させると共に、照明灯は台車上へ取り付けた1本又は2本の照明灯用支柱に対して上下方向へスライド調節可能、或は縦方向及び又は水平方向へ回転調節可能に取り付けたことで解決した。
【0007】
特許文献6の発明は、燃料を必要とせず、ソーラーパネルから又は商用電源から充電ができ、且つ照明及び商用電力を供給ができ、更に移動が簡単に行えるソーラー発電照明装置を提供する。解決手段として、ソーラー発電照明装置100は、台車11 0に配置された筐体80と、柱部材160と、を備える。ソーラーパネル20と、照明器50とは柱部材160に配置され、筐体80内には、蓄電池10と、ソーラーパネル20の電量で蓄電池10を充電する充電コントローラ30と、蓄電池10を外部の商用電力から充電する充電器40と、蓄電池10の電力を商用電力に変換して外部に供給するインバータ60と、が配置される。
【0008】
特許文献7の発明は、突発的な事故や急な工事により発生する交通渋滞に対して、道路上に必要に応じて設置可能な渋滞警報装置を提供する。解決手段として、道路を走行する車両の速度を検知する速度センサと、交通の渋滞及び解消の状況を標示する標示機を備える。速度センサにより検知された車両の速度と、他の装置との無線通信を行う無線部により、交通渋滞の発生および解消の情報を基に、標示機の標示制御を行う制御部を備える。ソーラーパネルと、ソーラーパネルにより発電された電力を蓄積し、センサ、制御部、無線部、標示機を動作させるための電力を供給するバッテリと、バッテリ、速度センサ、制御部、無線部、標示機を載置した、移動設置可能な脚部と、を備える。
【0009】
特許文献8の発明は、工事不要で設置でき、作業性が良好で安価に運用可能な自立移動設置型監視カメラ装置を提供する。解決手段として、自立移動電源装置1は、フレーム構造体20 と、太陽光を受光して発電するソーラーパネル30と、点灯条件を検知して点灯可能なセンサライト40と、撮影及び録画可能な監視カメラ50と、ソーラーパネルの電力を充電してセンサライト及び監視カメラへ電源を供給する蓄電池と、を具備し、ソーラーパネル、センサライト、監視カメラ及び蓄電池をフレーム構造体に装着して一体化してなる装置10と、設置面に載置される架台に一対の支柱72を立設してなる支柱架台ト70と、を備える。装置10は、フレーム構造体が支柱架台トの一対の支柱に着脱自在に支持されている。
【0010】
特許文献9の発明は、施設内を走行移動し、作業を行う移動作業台車に送風ファンを設けて、主として作業者に向け直接送風するようにした送風ファンを備えた施設内移動作業台車を提供する。解決手段として、温室やビニールハウスなどの施設内を走行移動し、作業を行う移動作業台車1であって、移動作業台車1に、バッテリ13を電源として作動する送風ファン11を、上下高さ、水平角度、前後角度をそれぞれ調節可能に設け、主として作業者に向け送風するようにした。移動作業台車1にソーラーパネル16を、受光方向及び受光角度を調節可能に取付け、ソーラーパネル16により発電した電力をバッテリ13に充電する。そして、高温・多湿・無風状態の施設内においても、作業者は快適に作業することができる。また移動作業台車は、中山間地域の商業電気配線の整備されていない施設においても、適正に利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2020-68617号公報
【特許文献2】実用新案登録第3172598号公報
【特許文献3】特開2005-56801号公報
【特許文献4】特開2010-34190号公報
【特許文献5】特開2012-243532号公報
【特許文献6】実用新案登録3198313号公報
【特許文献7】特開2013-92860号公報
【特許文献8】実用新案登録第3228355号公報
【特許文献9】特開2006-73号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献1~9の発明では、照明、監視カメラ等が定点での利用が主になるため、他の用途への拡大が困難である。
【0013】
特許文献2は、太陽電池パネルをヒンジで折り畳めるものの、太陽電池パネルの支持構造が脆弱であり、風圧に対して弱く、土木建築工事等には不向きである。
【0014】
特許文献3は、太陽電池パネルの支持構造が脆弱であり、土木建築工事等には不向きである。照明灯の上下方向の調整、左右の向きの調整はできるものの、これらの調整を個別に行わなければならず、操作が面倒であり、ポストが底板に固定されているので、照明範囲が限定されるものであった。
【0015】
特許文献5は、太陽電池パネルの支持構造が脆弱であり、土木建築工事には不向きである。照明灯は縦方向と、水平方向への回転、高さ、傾斜角度の調整を個別に行わなければならず、操作が面倒であり、下部支持管が台車に固定されているので、照明範囲が限定されるものであった。
【0016】
本発明の自立移動電源装置の第1の目的は、通信機能、監視機能、送風機能、冷却機能、及び/又は照明等の多くの用途にも適用できること、第2の目的は、太陽電池パネルの支持強度や安定性があり、第3の目的は、電気利用体の位置及び機能の及ぶ範囲を拡大できることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための発明は、台車と、蓄電池を収容する電源部と、
前記台車に設けられた構造部と、前記構造部に、可動可能に連結する太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルで発生した電気を制御し、前記蓄電池に供給する制御部と、前記構造部へ取り付けるための取付具を有する一対のアームと、前記取付具を回動させ、所定の位置でロックするロックと、を有する回動機構と、前記太陽電池パネルで発生した電気を前記蓄電池に蓄電し、前記蓄電池から電気を前記電気利用体に供給すること、前記構造部が管から構成されること、前記一対のアームが前記構造部の管の一側の上部に間隔を設けて設けられ、前記太陽電池パネルに近接して設けられること、前記アームが第1アームと第2アームを有し、前記第1アーム及び/又は第2アームがリンクを有し、前記第1アームと第2アームが連結部を介して連結され、前記第2アームに電気利用体を固定することができること、及び、前記連結部が、少なくとも、前記構造部より低い位置で静止する第1位置と、前記構造部よりも高い位置で静止する第2位置と、前記構造部の左右方向に前記アームを進展した状態で静止する第3位置のいずれの位置にも配置可能であることを特徴とする自立移動電源装置である。
【0018】
この構成によれば、第1の目的~第3の目的が達成できる。
【0019】
本発明は、前記アームが第1アームと第2アームを有し、前記第1アーム及び/又は第2アームがリンクを有し、前記第1アームと第2アームが連結部を介して連結され、前記第2アームに電気利用体を固定することができる。
【0020】
この構成によれば、アームの位置の自由度が拡大する。
【0021】
前記連結部が、少なくとも、前記構造部より低い位置で静止する第1位置と、前記構造部よりも高い位置で静止する第2位置と、前記構造部の左右方向に前記アームを進展した状態で静止する第3位置のいずれの位置にも配置可能である。
【0022】
この構成によれば、連結部が、構造体の上下、前後、左右の広範囲に位置することができるので、電気利用体の位置の自由度が高くなる。
【0023】
前記第2アームの上端部が、縦断面がコ字形状であり、上面に複数の取付孔を設ける固定具を有する。
【0024】
この構成によれば、カメラ、照明灯、携帯電話機を含む無線通信機器又は送風機等、様々な種類の電気利用体の取り付けが容易になる。
【0025】
前記第1アームは、相互に平行な位置に配置される第1棒と、第1棒を有し、前記第1棒と、第1棒はリンクで相互に連結され、前記リンクの運動によって、第1棒と、第1棒が近接する第1位置と、前記第1棒と、第1棒が離隔する第2位置の相互の変位が可能である。
【0026】
この構成によれば、大きな位置調整と、小さな位置調整を組み合わせて、電気利用体の位置調整を行うことができる。
【0027】
前記第1アームと第2アームは、垂直状態において、前記構造部の高さの1.5倍~4倍である。
【0028】
この構成によれば、構造部と、太陽電池パネルの大きさに比べて、垂直方向に広範囲に電気利用体の位置を調整できる。
【0029】
前記第1アームと前記第2アームは、水平状態において、前記構造部の横幅の1.5倍~4倍である。
【0030】
この構成によれば、構造部と、太陽電池パネルの大きさに比べて、横方向に広範囲に電気利用体の位置を調整できる。
【0031】
前記第1アームは、前記取付具と、前記第1棒又は前記第2棒と、を連結するシリンダを有する。
【0032】
この構成によれば、第1アームが緩衝作用を有することができ、電気利用体の移動の操作が容易になる。
【0033】
前記回動機構は、トルクヒンジを有する。
【0034】
この構成によれば、電気利用体が適宜の位置で一旦、停止することができる。
【0035】
前記構造部がコ字形状であり、一対の平行に配置された、垂直な第1管と、前記第1管の上部を直交して連結する第2管と、を備える。
【0036】
この構成によれば、簡素な構成で風圧に強い構造を実現できる。
【0037】
前記1つの第1管の上部に対して前記太陽電池パネルの前端が回動可能に取り付けられ、他の第1管の上部に、前記太陽電池パネルの後端が、前記自在ステーを介して取り付けられる。
【0038】
この構成によれば、簡素な構成で太陽電池パネルの仰角を変更できる。
【0039】
複数の太陽電池パネルが、折畳軸の回りに折り畳み可能にヒンジで連結され、パネルの方向にシリンダで連結され、前記折畳軸と、前記第1管の上部の軸方向が平行である。
【0040】
この構成によれば、太陽電池パネルの折り畳み作用が容易であり、人や、第1アームと第2アームの陰が太陽光パネルに映りにくい。
【0041】
前記複数枚の太陽電池パネルが展開した状態では、前記ヒンジを設けた端辺の間に風抜孔が設けられる。
【0042】
この構成によれば、太陽光パネルに加わる風圧を低減できる。
【0043】
前記台車の車輪を取り付ける基板を有し、該基板に前記電源部が連結する。
【0044】
この構成によれば、簡素の構成の上、風圧に強い。特に風圧による、太陽電池パネルを介しての、構造部のねじれや変形を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明実施形態の自立移動電源装置の正面からの斜視図である。
図2】同、自立移動電源装置の背面からの斜視図である。
図3】同、自立移動電源装置の右側面図である。
図4】同、自立移動電源装置から太陽電池パネル等を除外した状態の斜視図である。
図5】同、図1のアーム部分の部分拡大図である。
図6】同、自立移動電源装置の第1アームが取付具と回動機構とロックを介して取付パイプに取り付けられる取付状態を示す左側面図である。
図7】同、図6の右側面図である。
図8】(a)は同第1アームと取付具の斜視図、(b)は第1アームと第2アームと連結部の斜視図である。
図9】同、第1アームの取り付けパイプへの取付状態を示す正面図である。
図10】同、図9の背面図である。
図11】同、第1アームと第2アームを上方に進展させた状態を示す斜視図である。
図12】同、図11の背面からの斜視図である。
図13】同、第1アームと第2アームを斜め上方に進展させた状態を示す斜視図である。
図14】同、図13の平面図である。
図15】同、第1アームと第2アームを下方に折り曲げた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態の自立移動電源装置1について、図1~15を参照して説明する。
【0047】
本実施の形態において、用語「X」、「Y」、「Z」、「上」、「下」、「左」、「右」などの方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づいており、本実施の形態の説明を容易にするためだけであり、装置又は要素が特定の方位を有すると限定するべきではない。用語「第1」、「第2」などは、説明の目的だけに用いられ、相対的な重要性を示したり暗示したりするものではない。
【0048】
自立移動電源装置1は、台車2と、蓄電池3を収容する電源部4と、制御回路や配線等を収容する制御部5と、台車2に設けられた構造部6と、構造部6に、一端部71が回動可能に連結するとともに、他端部72が自在ステー73を介して構造部6に連結される太陽電池パネル7と、構造部6へ取り付けるための取付具8と、リンク9を有する一対の第1アーム10と、取付具8を水平回動させ、所定の位置でロックするロック121を有する回動機構12と、第1アーム10に固定具131を介して連結され、電気利用体16、17を固定する第2アーム13と、を備えている。以下、各要素を説明する。図中、「X」は左右方向、「Y」は前後方向、「Z」は高さ方向を意味する。
【0049】
台車2は、一対の車輪21を取り付ける長手方向を有する基板22を有し、この基板22を電源部4が連結する構造である。車輪21にアジャスターボルト23を用い、自立移動電源装置1を地面に固定する。棒状の架装部材24が基板22と直交して連結している。架装部材24から上方にハンドル25が延び出している。ハンドル25の角度調整用のバネ26を設けている。
【0050】
蓄電池3(図15参照)は、複数個(ここでは2個)が電源部4に内蔵されている。この蓄電池3は、鉛シールドバッテリ(ディープサイクルバッテリ)が例示され、水の補充は不要で、放電深度を有する。普通のスタータバッテリは充電をせずに使い続けることはできないので、太陽電池では不向きである。ディープサイクルバッテリの電圧低くなってもバッテリの劣化が少なく、深くまで使用できる。チャージコントローラ(充放電コントローラ)で電圧を調整後、蓄電池3に供給し、満充電を検知する。蓄電池3は、公知のリチウムイオン電池によって構成されてもよい。蓄電池3の出力側からはケーブルが延出されて電気利用体16、17内の電源端子に接続される。
【0051】
電源部4の上部には、一対の固定部41を設けている。この固定部41にタンク42を取り付けられている。タンク42は、水又は殺菌剤等を含む水を貯留し、ウォーターポンプを経由して、ミストノズル44等に供給するものである(図15参照)。このウォーターポンプの位置は、制御部5の背面本体中央よりのインバーターの下部になる。ミストノズル44の上部には送風ファン43が設けられる。
【0052】
制御部5は長手方向と短手方向とを有する直方体形状を有し、制御回路や配線等を収容するものである。制御部5は、太陽電池パネル7で発生した電気の電圧制御や、蓄電池3の充電電圧制御等を行うものである。
【0053】
構造部6がコ字形状であり、一対の平行に配置された、垂直な第1管61a、61bと、第1管61a、61bの上部を直交して連結する第2管62と、第1管61bに固定具63を介して固定される、第1管61a、61bと平行な、U字ないしコ字形状の第3管64と、を備える。第1管61a、61bにそれぞれ吊上具65、66を取り付けている。第2管62に制御部5が固定されている。第1管61aに平行に第4管67が回動可能に取り付けられる。第3管64は、固定具68、69で第1管61bに固定されている。固定具68、69は緊締具で連結される。
【0054】
太陽電池パネル7はヒンジ74で連結された2枚の太陽電池パネル7a、7bから構成され、下側の太陽電池パネル7aの一端部71が第4管67に回動可能に取り付けられ、太陽電池パネル7の他端部72が自在ステー73を介して第1管61b又は第3管64に取り付けられる。
【0055】
2枚の太陽電池パネル7a、7bが、折畳軸Fの回りに折り畳み可能にヒンジ74で連結され、太陽電池パネル7の側面同士がシリンダ75で連結され、折畳軸Fと、第1管61a、61bの軸方向と平行である。太陽電池パネル7は仰角を30°~54°の範囲で可変にできる。太陽電池パネル7のヒンジ74を設けた端辺の間に連結領域に風抜孔76を設け風圧を減らす構造である。シリンダ75は、例えばガス・スプリングである。
【0056】
太陽電池パネル7は、破損防止のため、一般的なソーラーパネルに代えて、フレキシブルソーラーパネルでもよい。
【0057】
取付具8は、図6図10に示す通り、前面81と後面82と側面83を有する板材84を有し、前面81に第1固定部85と、第2固定部86を有している。後面82に第1ヒンジ87と、第2ヒンジ88を備えている。板材84は、第3管64の垂直部64aに脱着可能に取り付けられる。板材84は中実でも中空でもよい。
【0058】
各第1アーム10は、図6図10に示す通り、相互に平行な位置に配置される第1棒101と、第2棒102を有し、第1棒101と、第2棒102はリンク9で相互に連結され、リンク9の運動によって、第1棒101と、第2棒102が近接する第1位置Q図5参照)と、第1棒101と、第1棒101が離隔する第2位置Q図13図15参照)の相互の変位が可能である。第1棒101、第2棒102の基部を、それぞれ、第1ヒンジ87と、第2ヒンジ88を介して後面82に取り付けられる。
【0059】
第1アーム10と第2アーム13は、垂直状態において、構造部6の高さの1.5倍~4倍である。第1アーム10と第2アーム13は、水平状態において、構造部6の横幅の1.5倍~4倍である。
【0060】
第1アーム10は、取付具8と、第1棒101又は第2棒102と、を連結するシリンダ103を有する。シリンダ103はガス・スプリングである。
【0061】
連結部11は、長手方向を有する、一対の平行な板体から構成され、これらの板体が第1アーム10と第2アーム13に軸着されており、一辺で第2アーム13を挟持し固定し、他辺で第1棒101と第2棒102とは軸着されて、第1アーム10と第2アーム13は相互に位置が変位可能である。
【0062】
連結部11は第1アーム10にピン11a、11bで連結され、第2アーム13にビス11cで固定されている。
【0063】
連結部11が、少なくとも、構造部6より低い位置で静止する第1位置P1図1参照)と、構造部6よりも高い位置で静止する第2位置P2図11参照)と、構造部6の左右方向に第1アーム10と第2アーム13を進展した状態で静止する第3位置P3図13参照)のいずれの位置にも配置可能である。太陽電池パネル7で発生した電気を蓄電池3に蓄電し、蓄電池3から電気を電気利用体16、17に供給する構成である。
【0064】
回動機構12は、図5に示す通り、第1固定部85に取り付けられるロック121と、第2固定部86に取り付けられ、水平回転するスイベル・トルクヒンジ122を備えている。
【0065】
回動機構12は、スイベル・トルクヒンジ122を有するので、電気利用体16、17が適宜の位置で、一旦、停止することができる。
【0066】
第1アーム10と第2アーム13は、連結部11を介して回動可能に連結されている。
【0067】
第2アーム13の上端部は、固定具131を有し、これは縦断面がコ字形状であり、上面に複数の取付孔132を設けている。固定具131に緊締具134と取付孔132を介して、固定部14、15が取り付けられ、固定部14、15に電気利用体16、17が脱着可能に取り付けられている。固定部14、15は電気利用体16、17に適合した形状と構造である。
【0068】
電気利用体16は監視カメラであり、右側の電気利用体16は夜間暗視モード付の監視カメラである。
【0069】
自立移動電源装置1の動作や利用方法について説明する。図1に示す自立移動電源装置1を吊上具65、66を用いてトラック、コンテナ等の輸送手段に積載し、目的場所まで移動する。その後、目的場所に設置された後、図11図12に示す通り、太陽電池パネル7を展開し、リンク9とシリンダ103が変位し、第2棒102の間隔が大きくなり、連結部11を第3管64よりも高い位置に移動する。
【0070】
前記と同様に、図1の自立移動電源装置1を目的場所に移動する。図13図14に示す通り、リンク9とシリンダ103が変位し、第2棒102の間隔が大きくなり、連結部11を第3管64の左右に展開した状態に移動する。図14に示す通り、左右の第1アーム10と第2アーム13の第3管64に対する角度は異なっている。その後、太陽電池パネル7を展開する。
【0071】
前記と同様に、図1の自立移動電源装置1を目的場所に移動する。図15に示す通り、太陽電池パネル7を展開し、リンク9とシリンダ103が変位し、第2棒102の間隔が大きくなり、連結部11を第3管64の下方、かつ、左右に展開した状態に移動する。図14に示す通り、左右の第1アーム10と第2アーム13の第3管64に対する角度は異なっている。
【0072】
図示は略すが、電気利用体16、17として、照明灯、無線通信機器等でも利用できることは無論である。無線通信機器として、例えば、無線ルーターを設置すれば、周辺にある携帯電話機器と遠隔地の間で通信が可能である。
【0073】
カメラの場合、暗視モードを利用できる。カメラと通信機をそれぞれ装着すれば、盗難等の場合に、証拠保全と、盗難等の迅速に通知を行うことができる。第2アーム13に電気利用体16、17として、照明灯とカメラをそれぞれ装着すれば、夜間工事の報告書の作成等に便利である。現場状況に合わせて太陽電池パネル7の方向と、位置を調整できる。夜間照明により、屋外工事、道路工事等の時間短縮、効率化が可能である。
【0074】
電気利用体16、17として照明灯を第2アーム13に取り付ければ、従来、夜間工事に常用されているバルーンライト、又は、それに替わる同等の性能がある省電力ライトに蓄電池3から供給することができ、照明効果がさらに高くなる。第1アーム10と第2アーム13の位置を変更することで、遠近照明が同時に可能である。エンジン音がないので、静粛な工事を行うことができ、近隣に対する迷惑をかけない。工事打合せで声を聞き取りやすい。
【0075】
電気利用体16、17として、送風機とミスト供給機を併用すれば、遠方までミストを拡散できるので、有効な熱中症対策が可能である。同様に、ミストに殺菌剤を含ませれば、コロナ対策として空間除菌が可能である。環境測定、例えば、地すべり等の観測に利用できる。電気利用体16、17をWiFiステーションとすれば、これに電源を供給することで、WiFi環境を構築できる。
【0076】
以上説明した自立移動電源装置1によれば、以下の効果を奏する。
【0077】
本発明の自立移動電源装置1によれば、通信機能、監視機能、送風機能、冷却機能、及び/又は照明等の多くの用途にも適用でき、太陽電池パネル7の支持強度や安定性があり、太陽電池パネル7の仰角、上下方向、左右の向きの調整の操作を容易化し、電気利用体16、17の位置及び機能の及ぶ範囲を拡大でき、修理やメンテナンスが容易である。
【0078】
自立移動電源装置1は、トラックに積載して移動できるので、トラックに積載したまま、広い地域的範囲で電気利用体16、17の活用が可能である。第1アーム10と第2アーム13を操作することで簡単に電気利用体16、17の位置を自在に変更することができる。
【0079】
構造部6によれば、簡素な構成で風圧に強い構造を実現できる。基板22に電源部4が連結するので、簡素の構成の上、風圧に強い。特に風圧による、太陽電池パネル7を介しての、構造部6のねじれや変形を防止できる。
【0080】
複数の太陽電池パネル7が、折畳軸Fの回りに折り畳み可能にヒンジ74で連結されるので、太陽電池パネル7の折り畳み作用が容易であり、人や、第1アーム10や第2アーム13の陰が太陽電池パネル7の集光面に映りにくい。人の影、第1アーム10や第2アーム13等が日光を遮る等、太陽電池パネル7との干渉がない利点がある。
【0081】
自在ステー73により、簡素な構成で太陽電池パネル7の仰角を変更できる。
【0082】
第1棒101、第2棒102、リンク9により、大きな位置調整と、小さな位置調整を組み合わせて、電気利用体16、17の位置調整を行うことができる。
【0083】
風抜孔76により、太陽電池パネル7に加わる風圧を低減できる。
【0084】
第1アーム10が緩衝作用を有することができるので、電気利用体16、17の移動の操作が容易になる。
【0085】
第1アーム10と第2アーム13により、構造部6と、太陽電池パネル7の大きさに比べて、垂直方向に広範囲に電気利用体16、17の位置を調整できる。
【0086】
第1アーム10と第2アーム13を変形させることにより、収納、運搬、折り畳み、角度変更が容易となる。
【0087】
固定具131と固定部14、15の取付孔132と緊締具134を用いて電気利用体16、17を固定する。カメラ、照明灯、携帯電話機又は送風機等、様々な種類の電気利用体16、17の取り付けが容易になる。
【0088】
構造部6と、太陽電池パネル7の大きさに比べて、横方向に広範囲に電気利用体16、17の位置を調整できる。
【0089】
第1アーム10や第2アーム13と、太陽電池パネル7が干渉することを防止できる。
【0090】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変更を施すことが可能である。例えば、上記実施形態では、電気利用体16、17は2個を設置したが、3個以上でもよい。第1アーム10を第3管64に取り付けたが、他の第1管61a、61b、第2管62に取り付けてもよいし、別の取付管を追加して、これに取り付けてもよい。電気利用体16、17を固定部14、15から切り離し利用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の自立移動電源装置1は、建設土木工事に伴う各種工事、資材置き場、休憩所、イベント、キャンプ、農園、熱中症対策、コロナ対策等に用途があり、機能も照明、監視、冷却、送風等、広範囲な機能を活用できるので、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0092】
1・・・自立移動電源装置
2・・・台車
21・・・車輪
22・・・基板
23・・・アジャスターボルト
3・・・蓄電池
4・・・電源部
5・・・制御部
6・・・構造部
61・・・第1管
62・・・第2管
63・・・固定具
64・・・第3管
67・・・第4管
7・・・太陽電池パネル
71・・・一端部
72・・・他端部
73・・・自在ステー
74・・・ヒンジ
75・・・シリンダ
76・・・風抜孔
8・・・取付具
81・・・前面
82・・・後面
83・・・側面
84・・・板材
85・・・第1固定部
86・・・第2固定部
87・・・第1ヒンジ
88・・・第2ヒンジ
9・・・リンク
10・・・第1アーム
101・・・第1棒
102・・・第2棒
103・・・シリンダ
11・・・連結部
12・・・回動機構
121・・・ロック
122・・・スイベル・トルクヒンジ
13・・・第2アーム
131・・・固定具
132・・・取付孔
134・・・緊締具
14、15・・・固定部
16、17・・・電気利用体
1・・・第1位置
2・・・第2位置
3・・・第3位置
・・・第1位置
・・・第2位置
F・・・折畳軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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図15