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特開2025-16726発電システムおよび発電方法の熱管理のための制御スキーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016726
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】発電システムおよび発電方法の熱管理のための制御スキーム
(51)【国際特許分類】
   F02C 3/34 20060101AFI20250128BHJP
【FI】
F02C3/34
【審査請求】有
【請求項の数】42
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024194146
(22)【出願日】2024-11-06
(62)【分割の表示】P 2022523729の分割
【原出願日】2020-10-22
(31)【優先権主張番号】62/924,525
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】フォレスト,ブロック アラン
(72)【発明者】
【氏名】ルー,シージア
(72)【発明者】
【氏名】フェトヴェト,ジェレミー エロン
(72)【発明者】
【氏名】ラファティ,ナビッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、発電所を制御し、場合によっては、1つ以上の生成物ストリームをその最終用途に提供するためのシステムおよび方法に関する。
【解決手段】発電所の制御は、具体的には、そこを通る複数のストリームで動作する熱交換ユニット(HEU)の熱プロファイルを調整するのに有効な1つ以上の機能を実行することを含み得る。これは、複数のストリームの1つ以上の流れを、HEU内の中間温度範囲において、HEUの第1の端部と第2の端部との間に配置される点で、複数のストリームの1つ以上に流れを追加するか、またはそれから流れを取り出すことによって変更する、制御機能を実装することを含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力および1つ以上の最終製品のコジェネレーションのためのシステムであって、前記システムは、
少なくとも燃焼器、タービン、熱交換器、および分離ユニットを含む発電ユニットであって、前記発電ユニットは、燃料ストリームおよび酸化剤を受領し、電力および実質的に純粋な二酸化炭素を出力するように構成される、発電ユニットと、
原料を受領し、合成ガス生成物を提供するように構成される合成ガス生成ユニットであって、前記合成ガス生成物の少なくとも一部は、前記発電ユニットにおける燃料ストリームの少なくとも一部としての使用に有効である、合成ガス生成ユニットと、
前記発電ユニットにおける酸化剤としての使用のための酸素を提供するように構成され、窒素を提供するように構成される空気分離ユニットと、
アンモニア合成ユニットおよび尿素合成ユニットの一方または両方と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記アンモニア合成ユニットが存在し、前記空気分離ユニットから窒素を受領するように構成され、水素源から水素を受領するように構成され、アンモニアを出力するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記水素源は、前記合成ガス生成ユニットから前記合成ガス生成物の少なくとも一部を受領し、水素ストリーム、および前記発電ユニットにおける燃料ストリームの少なくとも一部としての使用に有効な水素減少合成ガスストリームを提供するように構成される、水素分離ユニットである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記尿素合成ユニットが存在し、窒素源から窒素を受領するように構成され、発電サイクルから二酸化炭素を受領するように構成され、尿素ストリームを出力するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記窒素源は、前記アンモニア合成ユニットである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
発電方法であって、
複数のストリームを熱交換ユニット(HEU)に通過させることであって、前記HEUは、第1の動作温度を有する第1のHEU端、および第2の動作温度を有する第2のHEU端を画定し、前記第1の動作温度は前記第2の動作温度よりも高く、前記複数のストリームは、前記第1のHEU端から前記第2のHEU端に向かって通過する少なくとも1つの第1のストリームが冷却され、前記第2のHEU端から前記第1のHEU端に向かって通過する少なくとも1つの第2のストリームが加熱されるような、前記少なくとも1つの第1のストリームおよび前記少なくとも1つの第2のストリームを備え、前記少なくとも1つの第1のストリームの温度は、前記少なくとも1つの第2のストリームの温度よりも高いことと、
迂回される前記HEUの一部を通る少なくとも第1のストリームの質量流量が減少させられるように、前記少なくとも1つの第1のストリームの一部を前記HEUの一部から迂回するようにさせる制御機能を実装することであって、前記制御機能は、制御部によって受領されかつ発電所の動作条件を定める信号に応答して実装され、前記信号は、
前記発電所からの発電を変更するタービンの動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号、および
前記HEU内の温度が前記HEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号
の一方または両方を備えることと、
を備える、発電方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1のストリームは、タービンからの加熱タービン排気ストリームを含む、請求項6に記載の発電方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2のストリームは、前記HEU内で加熱されているリサイクルストリームであり、前記少なくとも1つの第1のストリームは、前記HEU内で冷却されている排気ストリームであり、前記リサイクルストリームの一部は、前記HEUの一部を通過する排気ストリームの質量流量が増加させられるように前記排気ストリームへ通過させられる、請求項6に記載の発電方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第2のストリームは、前記HEU内で加熱されている酸化剤ストリームであり、前記少なくとも1つの第1のストリームは、前記HEU内で冷却されている排気ストリームであり、前記酸化剤ストリームの一部は、前記HEUの一部を通過する排気ストリームの質量流量が増加させられるように前記排気ストリームへ通過させられる、請求項6に記載の発電方法。
【請求項10】
前記発電方法は、前記HEUを通過する複数のストリームのうちの1つ以上に熱を追加することをさらに備え、前記熱は、前記HEU内の中間温度範囲において、前記第1のHEU端と前記第2のHEU端との間に配置される点で追加され、前記熱は、前記HEUから独立して動作させられるヒーターを使用して追加される、請求項6に記載の発電方法。
【請求項11】
前記ヒーターは燃焼ヒーターである、請求項10に記載の発電方法。
【請求項12】
前記熱は、前記HEUを通過するタービン排気ストリームに追加され、前記燃焼ヒーターからの排気ストリームは、前記タービン排気ストリームに直接追加される、請求項11に記載の発電方法。
【請求項13】
発電方法であって、
複数のストリームを熱交換ユニット(HEU)に通過させることであって、前記HEUは、第1の動作温度を有する第1のHEU端、および第2の動作温度を有する第2のHEU端を画定し、前記第1の動作温度は前記第2の動作温度よりも高く、前記複数のストリームは、前記第1のHEU端から前記第2のHEU端に向かって通過する少なくとも1つの第1のストリームが冷却され、前記第2のHEU端から前記第1のHEU端に向かって通過する少なくとも1つの第2のストリームが加熱されるような、前記少なくとも1つの第1のストリームおよび前記少なくとも1つの第2のストリームを備えることと、
前記HEUを通過する複数のストリームのうちの1つ以上の質量流量を変更する制御機能を実装することであって、前記制御機能は、
前記HEUの一部を通過しつつ前記少なくとも1つの第2のストリームの質量流量が増加させられるように、前記少なくとも1つの第1のストリームの一部を前記少なくとも1つの第2のストリームへ通過させられるようにさせるか、または
前記HEUの一部を通過しつつ前記少なくとも1つの第1のストリームの質量流量が増加させられるように、前記少なくとも1つの第2のストリームの一部を前記少なくとも1つの第1のストリームへ通過させられるようにさせる
のに有効であることと、
を備える、発電方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2のストリームは、前記HEU内で加熱されているリサイクルストリームであり、前記少なくとも1つの第1のストリームは、前記HEU内で冷却されている排気ストリームであり、前記リサイクルストリームの一部は、前記HEUの一部を通過する排気ストリームの質量流量が増加させられるように前記排気ストリームへ通過させられる、請求項13に記載の発電方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第2のストリームは、前記HEU内で加熱されている酸化剤ストリームであり、前記少なくとも1つの第1のストリームは、前記HEU内で冷却されている排気ストリームであり、前記酸化剤ストリームの一部は、前記HEUの一部を通過する排気ストリームの質量流量が増加させられるように前記排気ストリームへ通過させられる、請求項13に記載の発電方法。
【請求項16】
前記制御機能は、制御部によって受領される以下の信号:
発電所からの発電を変更するタービンの動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号、および
前記HEU内の温度が前記HEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号
の一方または両方に応答して実行される、請求項15に記載の発電方法。
【請求項17】
発電方法であって、
電力を発生させてタービン排気ストリームを形成するために、加熱、加圧されたストリームをタービン内で膨張させることと、
熱交換ユニット(HEU)のより高い動作温度を有する第1の端部から、前記HEUのより低い動作温度を有する第2の端部に向かって、前記タービン排気ストリームを前記HEUに通過させることと、
リサイクルストリームを形成するために、前記HEUより下流で前記タービン排気ストリームを処理することと、
前記HEUの第1の端部に向かって前記リサイクルストリームの少なくとも一部を前記HEUに通過させることと、
制御機能を実装することであって、前記制御機能によって、前記リサイクルストリームを形成するように処理されるタービン排気ストリームの総質量流量を減少させることなく、前記タービン排気ストリームの質量流量が前記HEUの一部を通じて減少させられるように、前記HEUを通過するタービン排気流のバイパス部分が、前記HEUの第1の端部と前記HEUの第2の端部との間の位置で前記HEUを出て、前記HEUの第2の端部の下流で前記タービン排気ストリームに再合流することと、
を備える、発電方法。
【請求項18】
前記タービン排気ストリームを処理することは、分離器、コンプレッサ、およびポンプのうちの1つ以上を通じて処理することを備える、請求項17に記載の発電方法。
【請求項19】
前記HEUの第1の端部を通過する圧縮されたストリームの少なくとも一部は、前記リサイクルストリームを備える、請求項17に記載の発電方法。
【請求項20】
前記制御機能は、制御部によって受領される以下の信号:
発電を変更するタービンの動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号、および
前記HEU内の温度が前記HEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号
の一方または両方に応答する、請求項17に記載の発電方法。
【請求項21】
前記タービン排気ストリームのバイパス部分を、前記タービン排気ストリームのバイパス部分から1つ以上のさらなるストリームに熱を伝達するのに有効なバイパス熱交換器を通じて処理されるようにさせることをさらに備える、請求項17に記載の発電方法。
【請求項22】
前記制御機能は、前記HEUの第1の端部と前記HEUの第2の端部との間の位置で前記HEUを出るタービン排気ストリームのバイパス部分の質量流量を修正するように弁を開くかまたは閉じるようにさせることを含む、請求項17に記載の発電方法。
【請求項23】
前記弁は、前記HEUと流体連通するバイパスライン内に配置される、請求項22に記載の発電方法。
【請求項24】
発電方法であって、
電力を発生させてタービン排気ストリームを形成するために、加熱、加圧されたストリームをタービン内で膨張させることと、
熱交換ユニット(HEU)のより高い動作温度を有する第1の端部から、前記HEUのより低い動作温度を有する第2の端部に向かって、前記タービン排気ストリームを前記HEUに通過させることと、
制御機能を実装することであって、前記制御機能によって、前記HEUを通過するタービン排気流の一部が、前記HEUの第1の端部と前記HEUの第2の端部との間の位置で前記HEUを出て、再循環コンプレッサ内で圧縮され、かつ前記タービン排気ストリームの一部が前記HEUを出るところより下流にある前記HEUの一部で前記HEU内に戻るように導入されることと、
を備える、発電方法。
【請求項25】
前記再循環コンプレッサからの実質的に一定の排出圧を維持しつつ前記再循環コンプレッサを通る流量を減少させるのに有効な制御機能を実装することをさらに備える、請求項24に記載の発電方法。
【請求項26】
前記HEU内の温度が前記HEUの最大動作温度の閾値以内であることを示す信号に応答して、前記再循環コンプレッサの入口案内翼(IGV)を閉じるのに有効な制御機能を実装することをさらに備える、請求項24に記載の発電方法。
【請求項27】
リサイクルストリームが前記HEU内で加熱されるように、前記HEUの第1の端部に向かって前記リサイクルストリームを前記HEUに通過させること、および
酸化剤ストリームが前記HEU内で加熱されるように、前記HEUの第1の端部に向かって前記酸化剤ストリームを前記HEUに通過させること
の一方または両方をさらに備える、請求項24に記載の発電方法。
【請求項28】
発電方法であって、
電力を発生させてタービン排気ストリームを形成するために、加熱、加圧されたストリームをタービン内で膨張させることと、
熱交換ユニット(HEU)のより高い動作温度を有する第1の端部から、前記HEUのより低い動作温度を有する第2の端部に向かって、前記タービン排気ストリームを前記HEUに通過させることと、
リサイクルストリームを形成するために、前記HEUより下流で前記タービン排気ストリームを処理することと、
前記HEUの第1の端部に向かって前記リサイクルストリームおよび酸化剤ストリームの一方または両方を前記HEUに通過させることと、
前記HEUの第1の端部と前記HEUの第2の端部との間の1つ以上の位置での前記タービン排気ストリームへの流体の追加によって、前記HEUの一部を通るタービン排気ストリームの質量流量を増加させるのに有効な制御機能を実装することと、
を備える、発電方法。
【請求項29】
前記制御機能は、前記リサイクルストリームの一部を前記タービン排気ストリームへ通過させられるようにさせるのに有効である、請求項28に記載の発電方法。
【請求項30】
前記制御機能は、前記酸化剤ストリームの一部を前記タービン排気ストリームへ通過させられるようにさせるのに有効である、請求項28に記載の発電方法。
【請求項31】
以下の条件:
前記制御機能を実装することが、それにより発電を変更するタービンの動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号に応答すること、および
前記制御機能を実装することが、前記HEU内の温度が前記HEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号に応答すること
の一方または両方が満たされる、請求項28に記載の発電方法。
【請求項32】
前記制御機能は、前記HEU内のタービン排気ストリームへ通過するストリームの質量流量を修正するように1つ以上の弁を開くかまたは閉じるようにさせることを含む、請求項28に記載の発電方法。
【請求項33】
発電方法であって、
電力を発生させてタービン排気ストリームを形成するために、加熱、加圧されたストリームをタービン内で膨張させることと、
熱交換ユニット(HEU)のより高い動作温度を有する第1の端部から、前記HEUのより低い動作温度を有する第2の端部に向かって、前記タービン排気ストリームを前記HEUに通過させることと、
リサイクルストリームを形成するために、前記HEUより下流で前記タービン排気ストリームを処理することと、
前記HEUの第1の端部に向かって前記リサイクルストリームおよび酸化剤ストリームの一方または両方を前記HEUに通過させることと、
前記HEUの第1の端部と前記HEUの第2の端部との間の1つ以上の位置での前記タービン排気ストリーム、前記リサイクルストリーム、および前記酸化剤ストリームのうちの1つ以上への質量流量を追加するか、またはそこから質量流量を取り出すことによって、前記HEUの一部を通過するタービン排気ストリーム、リサイクルストリーム、および酸化剤ストリームのうちの1つ以上の質量流量を変更する制御機能を実装することと、
前記HEUの第1の端部と前記HEUの第2の端部との間の前記HEU内の場所で熱を提供するように配列されるヒーターを使用して前記HEUに熱を追加することと、
を備える、発電方法。
【請求項34】
前記ヒーターは電気ヒーターである、請求項33に記載の発電方法。
【請求項35】
前記ヒーターは太陽ヒーターまたは原子力ヒーターである、請求項33に記載の発電方法。
【請求項36】
前記ヒーターは、前記タービン排気ストリームを前記HEUに通過させるライン上に配列される酸素燃焼バーナーである、請求項33に記載の発電方法。
【請求項37】
前記酸素燃焼バーナーは、前記酸素燃焼バーナーからの排出物が前記タービン排気ストリームと混合して前記タービン排気ストリームの温度を増加させるように配列される、請求項36に記載の発電方法。
【請求項38】
以下の条件:
前記ヒーターが、前記リサイクルストリームを通過させるライン上に配列されること、および
前記ヒーターが、前記酸化剤ストリームを通過させるライン上に配列されること
の一方または両方が満たされる、請求項33に記載の発電方法。
【請求項39】
発電所であって、
タービンと、
発電機と、
熱交換ユニット(HEU)と、
1つ以上のコンプレッサまたはポンプと、
制御ユニットと、
を備える、発電所であり、
前記HEUは、第1の動作温度を有する第1のHEU端と、第2のより低い動作温度を有する第2のHEU端との間を通過する複数のストリーム間の熱交換のために構成され、前記第1の動作温度は前記第2の動作温度よりも高く、前記複数のストリームは、前記第1のHEU端から前記第2のHEU端に向かって通過する少なくとも1つの第1のストリーム、および前記第2のHEU端から前記第1のHEU端に向かって通過する少なくとも1つの第2のストリームを備え、
前記HEUは、タービン排気ストリームとリサイクルストリームとの間に置かれるか、またはタービン排気ストリームと酸化剤ストリームとの間に置かれる再循環ラインおよび再循環弁を含み、
前記制御ユニットは、前記発電所の動作条件を定める信号を受領し、それに基づいて、
前記HEUの一部の周りで前記複数のストリームのうちの1つ以上の一部を逸らすこと、および
前記再循環ラインおよび前記再循環弁を、前記少なくとも1つの第1のストリームのうちの1つと前記少なくとも1つの第2のストリームのうちの1つとの間で流体の流動を実施するようにさせること
の一方または両方を行うのに有効な1つ以上の信号を出力するように構成される、発電所。
【請求項40】
バイパスライン、バイパス弁、および前記バイパスラインとともに動作可能なバイパス熱交換器をさらに備える、請求項39に記載の発電所。
【請求項41】
前記発電所は、前記HEUとは独立した動作のために構成されるヒーターをさらに備え、前記ヒーターは、前記第1のHEU端と前記第2のHEU端との間に配置される点での前記タービンからの排気ストリームへの熱の追加のために構成される、請求項39に記載の発電所。
【請求項42】
前記ヒーターは燃焼ヒーターである、請求項41に記載の発電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システムおよび制御方法、より具体的には、発電システムおよび発電方法に組込むことができる制御システムおよび制御方法に関する。制御システムおよび制御方法は、特に、発電システムに出入りする熱流の管理のために実装され得る。
【背景技術】
【0002】
化石燃料を燃焼して発電するためのシステムおよび方法が多く知られている。代替の発電手段が絶えず追求されているが、化石燃料、特に石炭および天然ガス(残油生成物などの廃棄炭化水素も含む)のコスト要因および利用可能性により、そのような燃料を燃焼させるように構成されるシステムは、継続して必要とされている。したがって、炭素を完全に回収することを伴う高効率な発電を可能にするシステムおよび方法への要求が高まっている。
【0003】
炭素を完全に回収することを伴う、化石燃料の燃焼による発電を提供する能力は、価値のある商品としての二酸化炭素の大量生産の可能性を提供する。化合物は、いくつか例を挙げると、例えば、金属工業(例えば、鋳型の硬度を向上させるため)、製造および建設(例えば、MIG/MAG溶接におけるシールドガスとして)、化学製造(例えば、メタノールおよび尿素の生産の原料として)、油田管理(例えば、石油生産技術の向上のため)、ならびに飲食産業(例えば、炭酸化、冷媒としての使用、コーヒーのカフェイン除去、揮発性香味料および香料濃縮物の分離および精製、ならびにエチレンオキシドとの混合物での低温滅菌のため)で使用される。実際の用途に応じて、工業利用への二酸化炭素入力は、しばしば、周囲条件を超えて加圧および/または加熱されなければならない。
【0004】
上記のような用途(および他の用途)のための清浄なCOの提供は、典型的には、工業用ガス混合物からのCOの分離を含み、その混合物はしばしば、CO、H、硫黄などのさらなる化合物を含有する。これはもちろん、一連の精製プロセスを必要とする。精製要件、ならびに所望の圧力および/または温度でCOを提供する必要性は、高い資本コストならびに大量のエネルギー消費をもたらす専用の圧縮、浄化、ならびに加熱装置の調達を必要とし得る。
【0005】
上記に加えて、発電プロセスは、典型的には、大量の熱エネルギーの利用および生産のために構成される。この熱エネルギーは、発電に直接利用され得るか、またはさらなる用途に利用可能であり得る。したがって、二酸化炭素などの様々な生成物の流れおよび熱伝達のモードが効率的に得られ、かつ/またはさらなる使用のために輸送され得るような、発電プロセスを制御するための手段が必要である。
【発明の概要】
【0006】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電システムの1つ以上の態様の制御に有用なシステムおよび方法を提供することができる。制御システムは、具体的には、発電システムにおける1つ以上の流れのストリームの圧力、温度、流量、およびストリーム組成の1つ以上の制御を提供することができる。制御システムは、発電システムの最適効率を提供することができる。制御システムは、さらに、システムのスタートアップ、システムのシャットダウン、システムにおける入力ストリーム(単数または複数)の変更、システムにおける出力ストリーム(単数または複数)の変更、システムに関する緊急時の動作対応、および発電システムの動作に関する類似事項などの、発電システムの態様の制御を提供することができる。いくつかの実施形態では、制御システムを、特に、発電システムおよび発電方法に出入りする熱流の管理を提供するように適合および構成することができる。例えば、熱流は、伝熱流体、および/または異なるシステム内の専用ストリームに対する熱交換器を通る発電システム内の専用ストリームの通路によって具現化され得る。
【0007】
本開示は、より具体的には、実際の使用時にCOの圧縮および/または加熱を必要とせずにCOを様々な有益な最終用途に利用することができるような、発電サイクルからのCOの輸送に関し得る。その開示内容が参照により本明細書に組込まれる、Allamらによる米国特許第8,596,075号は、酸素-燃料燃焼がリサイクルCOストリームを利用して行われ、COの少なくとも一部を比較的純粋なストリームとして回収することができる、高効率な発電サイクルについて記載する。燃焼ガスおよびリサイクルCOを様々な圧力および温度で提供することができるサイクルの性質のため、そのようなシステムおよび方法は、輸送のために有益な幅広い圧力および/または温度範囲にわたって実質的に純粋なCOを取り出すように本開示に従って構成され得る。
【0008】
1つ以上の実施形態では、本開示は、したがって、COを作動流体として利用する発電サイクルから生じるCOを最終製品として得ることができ、材料のさらなる下流での使用に直接供給することができる、システムおよび方法を提供する。例えば、本開示のシステムおよび方法は、下流の吸熱工業プロセスに使用するための様々な温度および圧力の化学原料および/または伝熱流体としてのCOの輸送を可能にし得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、低品位熱を外部プロセスに提供することができるという点で有益である。これは、例示的実施形態において、燃焼由来のCOを熱媒体として有効に使用することによって達成され得る。さらに、本開示は、COが由来する発電システムの高温ガスコンプレッサ(「HGC」)による流量の変更とともに前述の低品位熱の輸送によるプラントターンダウン(すなわち、タービンの安定性および操作性)の管理を提供する。したがって、CO作動流体を利用する発電サイクルに頼ることによって、発電サイクル自体とは別に燃焼を行う必要性を部分的または完全に排除することが可能である。したがって、最大温度は、高温ガスコンプレッサがもはや損失を補う(すなわち、熱交換器プロファイルを維持する)ことができなくなる前に、発電サイクルで利用される復熱式熱交換器列から得ることができる合計の熱の質および量によって制限され得る。このように、本開示のシステムおよび方法は、回収カラムからCOを取り去るのに使用される水蒸気を発生させるのを支援するためにCO圧縮熱が回収されるシステムなどの、他の可能な工業CO源に対する明らかな利点を提供することができる。そのようなあまり望ましくない代替では、熱回収プロセスは、直接的な発電活動から独立した付加的なものであり、したがって、本開示のシステムおよび方法の利点の多くを提供することができない。したがって、既知のシステムおよび方法は、超臨界CO発電サイクルから得られる燃焼由来のCOの使用を含まず、同様に、COを可搬ヒートシンクとして使用することによる化学プロセスへの外部熱エネルギーの供給を企図しない。
【0010】
1つ以上の実施形態では、本開示は、COストリームをその最終用途に提供するための方法を提供することができる。例えば、そのような方法は、燃料を燃焼させてCOを含む燃焼ストリームを形成することと、電力を発生させることと、燃焼ストリームから1つ以上の混入物を除去して実質的に純粋なCOストリームを提供することと、温度および圧力の一方または両方が周囲より高い実質的に純粋なCOストリームを輸送することとを含むことができる。具体的には、輸送されるCOは、約2bar以上、約5bar以上、約10bar以上、約25bar以上、約50bar以上、または約100bar以上の圧力であり得る(前述の輸送圧力は、COを圧縮するのに必要な装置およびCOを運ぶのに使用される装置に固有の圧力限界と一致する上限を有する)。いくつかの実施形態では、圧力は、約2bar~約500bar、約10bar~約490bar、約25bar~約480bar、約50bar~約475bar、約75bar~約450bar、または約100bar~約400barであり得る。輸送されるCOは、約35℃以上、約40℃以上、約50℃以上、約75℃以上、または約100℃以上の温度であり得る(前述の輸送温度は、COを取り扱うのに必要な装置に固有の温度限界と一致する上限を有する)。いくつかの実施形態では、温度は、約35℃~約500℃、約40℃~約450℃、約50℃~約400℃、または約60℃~約350℃であり得る。
【0011】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電所での使用に適した制御システムに関し得る。例えば、発電所は、実質的に純粋な酸素で、燃焼器において、約12MPa以上の圧力で、循環COストリームを加えて、燃料を燃やし、燃焼生成物と循環COとの複合ストリームを生成するプラントであり得る。いくつかの実施形態では、発電は、さらに、任意の数または順序で組み合わせることができる以下の点の1つ以上を特徴とすることができる。
【0012】
複合ストリームは、少なくとも10barの吐出圧で、発電タービンを通過し得る。タービン排気は、エコノマイザ熱交換器で冷却されて、循環COストリームを予熱し得る。タービン排気は、周囲温度付近までさらに冷却され得、復水は除去され得る。COガスストリームは、ガスコンプレッサを使用してタービン吸込圧またはその付近まで圧縮され、続いて、濃COポンプにより、循環COストリームを形成し得る。燃焼器で生成された正味のCOは、タービン吸込圧からタービン排出圧までの間の圧力で除去され得る。タービン排気と、エコノマイザ熱交換器を出る循環COストリームとの間の温度差を約50℃以下に減少させるために、外部供給源からの熱を導入して、循環COストリームの一部を200℃~400℃の範囲の温度に予熱し得る。燃料流量は、タービンから所要電力出力を提供するよう制御され得る。タービン排出温度は、COポンプの速度によって制御され得る。COコンプレッサの吐出圧は、圧縮CO流をコンプレッサの吸込口にリサイクルさせることによって制御され得る。燃料ガス燃焼から生成され、システムから除去された正味のCOの流量は、COコンプレッサの吸込圧を制御するために使用され得る。エコノマイザ熱交換器に入るタービン排気の温度と、エコノマイザ熱交換器を出る循環COストリームの温度と間の差は、追加される熱源により加熱される循環COストリームの一部の流量を制御することによって、50℃以下に制御され得る。システムから除去された、正味の液体水の流量および燃料由来の不純物は、液体水分離器の水準で制御され得る。酸素流量は、燃料ガス流量に対する酸素の比率を維持するよう制御され得、それにより、タービン吸込流における過剰酸素が所定量となり、燃料ガスの完全燃焼および燃料ガスの成分の完全酸化を保証することができる。COコンプレッサの吸込圧の酸素ストリームは、COコンプレッサの吸込口からの多量のCOと混合されて、約15%~約40%(モル濃度)の酸素組成を有する酸化剤ストリームを生成し得、これにより、燃焼器における断熱火炎温度を下げることができる。燃料ガスに対する所要の酸素比をもたらすのに必要な酸化剤流は、酸化剤ポンプの速度によって制御され得る。酸化剤コンプレッサの吐出圧は、コンプレッサの吸込口に圧縮酸化剤流をリサイクルさせることによって制御され得る。酸化剤コンプレッサの吸込圧は、酸化剤ストリームを形成する酸素と混合された希釈剤COの流量によって制御され得る。酸化剤ストリームにおけるCOに対する酸素の比率は、酸素の流れによって制御され得る。酸素は、少なくともタービン吸込圧と同じ高さの圧力で発電システムに送達され得、約15%~約40%(モル濃度)の範囲の酸素組成を有する酸化剤ストリームが望まれ得る。燃料ガスに対する酸素比は、酸素流によって制御され得る。酸化剤流におけるCOに対する酸素比は、COコンプレッサの吐出から得られた希釈剤COの流れによって制御され得る。
【0013】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電システムの少なくとも1つの部品の自動制御のために構成することができる組込み型制御システムを含む発電システムを提供することができる。具体的には、制御システムは、発電システムの計測パラメータに関する入力を受領するように構成され、自動制御の対象となる発電システムの少なくとも1つの部品への出力を提供するように構成される少なくとも1つの制御部ユニットを含み得る。
【0014】
発電システムおよび組込み型制御システムを、さらに、任意の数および順序で組み合わせることができる以下の記述の1つ以上に関して定義することができる。組込み型制御システムは、発電システムの1つ以上の発電部品が生産する電力に関する入力を受領するように構成される電力制御部を含み得る。電力制御部は、発電システムのヒーター部品による熱生産を増減させるヒーター部品への出力を提供する要件と、発電システムに入れる燃料の加減を可能にする燃料弁への出力を提供する要件との一方または両方を満たすように構成され得る。組込み型制御システムは、燃料流量に関する入力および酸化剤流量に関する入力の一方または両方を受領するように構成される燃料/酸化剤比制御部を含み得る。燃料/酸化剤比制御部は、発電システムに入れる燃料の加減を可能にする燃料弁への出力を提供する要件と、発電システムに入れる酸化剤の加減を可能にする酸化剤弁への出力を提供する要件との一方または両方を満たすように構成され得る。組込み型制御システムは、発電システムにあるタービンの排気ストリームの温度に関する入力を受領し、タービンより上流のポンプを出るストリームの流量を増減させるポンプへの出力を提供するように構成されるポンプ制御部を含み得る。組込み型制御システムは、発電システムにあるポンプより上流の流体における吸引圧に関する入力を受領し、ポンプより上流に配置されるスピルバック弁への出力を提供するように構成されるポンプ吸引圧制御部を含み得る。ポンプ吸引圧制御部は、スピルバック弁からさらに上流にある点にスピルバックする流体を加減させる要件と、ポンプより上流で発電システムから除去される流体を加減させる要件との一方または両方を満たすように構成される。組込み型制御システムは、発電システムにあるタービンの排気ストリームの圧力に関する入力を受領し、流体排出弁への出力を提供し、排気ストリームから流体を出すことを可能にし、場合によっては流体吸込弁への出力を提供し、排気ストリームへ流体を入れることを可能にするように構成される圧力調節制御部を含み得る。組込み型制御システムは、発電システムの分離器にある水の量に関する入力を受領し、分離器からの水の除去を可能または不可としかつ分離器にある水の量を所定値内に維持する水除去弁への出力を提供するように構成される水分離器制御部を含み得る。組込み型制御システムは、発電システムにおける、燃料の質量流量および酸化剤の質量流量の一方または両方に関する入力を受領し、燃料と酸化剤との質量流量比を算出するように構成される酸化剤ポンプ制御部を含み得る。酸化剤ポンプ制御部は、発電システムにおける燃料と酸化剤との質量流量比に影響を与えるようポンプの電力を変更する酸化剤ポンプへの出力を提供するように構成され得る。組込み型制御システムは、酸化剤コンプレッサより下流の酸化剤ストリームの圧力に関する入力を受領し、コンプレッサを迂回する酸化剤を加減させる酸化剤バイパス弁への出力を提供するように構成される酸化剤圧力制御部を含み得る。組込み型制御システムは、酸化剤コンプレッサより上流の酸化剤ストリームの圧力に関する入力を受領し、酸化剤コンプレッサより上流の酸化剤ストリームに加えられる発電システムからのリサイクル流体を加減させるリサイクル流体弁への出力を提供するように構成される酸化剤圧力制御部を含み得る。具体的には、リサイクル流体は、実質的に純粋なCOストリームであり得る。組込み型制御システムは、酸化剤の質量流量および酸化剤希釈剤ストリームの質量流量の一方または両方に関する入力を受領し、酸化剤と酸化剤希釈剤との質量流量比を算出するように構成される希釈制御部を含み得る。希釈制御部は、酸化剤希釈剤に対する酸化剤の質量流量比を所定の範囲内とするよう、発電システムに入る酸化剤の加減を可能にする酸化剤エントリー弁への出力を提供するように構成され得る。組込み型制御システムは、発電システムにあるコンプレッサより上流の流体の吸引圧に関する入力を受領し、コンプレッサより下流に配置され、コンプレッサより上流にある点にスピルバックする流体を加減させるスピルバック弁への出力を提供するように構成されるコンプレッサ吸引圧制御部を含み得る。組込み型制御システムは、ポンプより上流の吸引圧に関する入力を受領し、ポンプ速度を上下させるポンプへの出力を提供するように構成されるポンプ速度制御部を含み得る。組込み型制御システムは、発電システムにある高圧リサイクルストリームの側方流のための算出された質量流量要件に関する入力を受領し、側方流における高圧リサイクルストリームの量を増減させる側方流弁への出力を提供するように構成される側方流加熱制御部を含み得る。
【0015】
発電システムは、タービンと、タービンより下流にあり、タービンと流体連通するコンプレッサと、コンプレッサより下流にあり、コンプレッサと流体連通するポンプと、ポンプより下流に配置され、ポンプと流体連通し、タービンより上流に配置され、タービンと流体連通するヒーターとを備え得る。場合によっては、発電システムは、復熱式熱交換器を含み得る。
【0016】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電システムの自動制御のための方法を提供することができる。具体的には、方法は、タービンと、タービンより下流にあり、タービンと流体連通するコンプレッサと、コンプレッサより下流にあり、コンプレッサと流体連通するポンプと、ポンプより下流に配置され、ポンプと流体連通し、タービンより上流に配置され、タービンと流体連通するヒーターとを含む複数の部品を備える発電システムを動作させることを含み得る。さらに、発電システムを動作させることは、発電システムに組込まれる1つ以上の制御部を使用して、発電システムの計測パラメータに関する入力を受領し、発電システムの複数の部品の少なくとも1つを自動で制御する出力を提供することを含み得る。
【0017】
さらなる実施形態では、方法は、任意の数および順序で組み合わせることができる以下のステップの1つ以上を含むことができる。出力は、予めプログラミングされ、電子化された制御アルゴリズムに基づき得る。動作させることは、制御部を使用して、発電システムが生産する電力に関する入力を受領し、ヒーターによる熱生産を増減させるヒーターへの出力を提供する動きと、発電システムに入れる燃料の加減を可能にする発電システムの燃料弁への出力を提供する動きとの一方または両方を指示することを含み得る。動作させることは、制御部を使用して、燃料流量に関する入力および酸化剤流量に関する入力の一方または両方を受領し、発電システムに入れる燃料の加減を可能にする発電システムの燃料弁への出力を提供する動きと、発電システムに入れる酸化剤の加減を可能にする発電システムの酸化剤弁への出力を提供する動きとの一方または両方を指示することを含み得る。動作させる方法は、制御部を使用して、タービンの排気ストリームの温度に関する入力を受領し、ポンプを出るストリームの流量を増減させるタービンより上流のポンプへの出力を提供することを含み得る。動作させることは、制御部を使用して、ポンプより上流の流体における吸引圧に関する入力を受領し、ポンプより上流に配置されるスピルバック弁への出力を提供することを含み得る。具体的には、制御部がスピルバック弁からさらに上流にある点にスピルバックする流体を加減させる要件と、制御部がポンプより上流で発電システムから除去される流体を加減させる要件との一方または両方を満たすことができる。動作させることは、制御部を使用して、タービンの排気ストリームの圧力に関する入力を受領し、流体排出弁への出力を提供し、排気ストリームから流体を出すことを可能にし、場合によっては流体吸込弁への出力を提供し、排気ストリームへ流体を入れることを可能にすることを含み得る。動作させることは、制御部を使用して、発電システムに含まれる分離器にある水の量に関する入力を受領し、分離器からの水の除去を可能または不可としかつ分離器にある水の量を所定値内に維持する水除去弁への出力を提供することを含み得る。動作させることは、制御部を使用して、発電システムに導入される、燃料の質量流量および酸化剤の質量流量の一方または両方に関する入力を受領し、燃料と酸化剤との質量流量比を算出することを含み得る。具体的には、制御部は、発電システムにおける燃料と酸化剤との質量流量比に影響を与えるようポンプの電力を変更する酸化剤ポンプへの出力を提供することができる。動作させることは、制御部を使用して、酸化剤コンプレッサより下流の酸化剤ストリームの圧力に関する入力を受領し、コンプレッサを迂回する酸化剤を加減させる酸化剤バイパス弁への出力を提供することを含み得る。動作させることは、制御部を使用して、酸化剤コンプレッサより上流の酸化剤ストリームの圧力に関する入力を受領し、酸化剤コンプレッサより上流の酸化剤ストリームに加えられるリサイクル流体を加減させるリサイクル流体弁への出力を提供することを含み得る。具体的には、リサイクル流体は、実質的に純粋なCOストリームであり得る。動作させることは、制御部を使用して、酸化剤の質量流量および酸化剤希釈剤ストリームの質量流量の一方または両方に関する入力を受領し、酸化剤と酸化剤希釈剤との質量流量比を算出することを含み得る。具体的には、制御部は、酸化剤希釈剤に対する酸化剤の質量流量比を所定の範囲内とするよう、発電システムに入る酸化剤の加減を可能にする酸化剤エントリー弁への出力を提供するように構成され得る。動作させることは、制御部を使用して、コンプレッサより上流の流体の吸引圧に関する入力を受領し、コンプレッサより下流に配置され、コンプレッサより上流にある点にスピルバックする流体を加減させるスピルバック弁への出力を提供することを含み得る。動作させることは、制御部を使用して、ポンプより上流の吸引圧に関する入力を受領し、ポンプ速度を上下させるポンプへの出力を提供することを含み得る。動作させることは、制御部を使用して、高圧リサイクルストリームの側方流のための算出された質量流量要件に関する入力を受領し、側方流における高圧リサイクルストリームの量を増減させる側方流弁への出力を提供することを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、発電所の制御のための方法は、第1の動作温度を有する第1のHEU端と、第2のより低い動作温度を有する第2のHEU端との間を通る複数のストリームで動作する熱交換ユニット(HEU)の熱プロファイルを調整することを含み、前述の調整することは、第1のHEU端と第2のHEU端との間を通る複数のストリームの1つ以上の質量流量を、HEU内の中間温度範囲において、第1のHEU端と第2のHEU端との間に配置される点で、複数のストリームの1つ以上に質量流量を追加するか、またはそれから質量流量を取り出すことによって変更する、制御機能を実装することを含む。そのような方法は、さらに、任意の数および順序で組み合わせることができる以下の記述の1つ以上に関して定義され得る。
【0019】
調整することは、HEUを通る加熱ストリームの一部を、バイパスラインを通してHEUの一部から迂回させることを含み得、その結果、前述の調整することは、迂回されるHEUの一部を通る加熱ストリームの質量流量を減少させるのに有効である。
【0020】
HEUを通る加熱ストリームは、タービンからの加熱タービン排気ストリームであり得、加熱タービン排気ストリームは、第1のHEU端から第2のHEU端に通って冷却タービン排気ストリームを提供し、冷却タービン排気ストリームは、分離器、コンプレッサ、およびポンプの1つ以上を通ってさらに処理され得る。
【0021】
制御機能は、制御部によって受領される以下の信号:発電所からの発電を変更するタービンの動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号、およびHEUの中の温度がHEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号の一方または両方に応答して、HEUを通る加熱ストリームの一部を、バイパスラインを通してHEUの一部から迂回させることを含み得る。
【0022】
制御機能は、バイパスラインに配置された弁を開放することを含み得る。
【0023】
バイパスラインを通る加熱ストリームの一部は、第2のHEU端より下流かつ分離器、コンプレッサ、およびポンプの1つ以上より上流で、冷却タービン排気ストリームと再合流し得る。
【0024】
方法は、バイパスラインを通る加熱ストリームの一部を、バイパスラインの加熱ストリームの一部から1つ以上のさらなるストリームに熱を伝達するのに有効なバイパス熱交換器に通して処理することをさらに含み得る。
【0025】
調整することは、以下:HEUで加熱されているリサイクルストリームの一部をHEUで冷却されている排気ストリームに通し、その結果、前述の調整することが、HEUの一部を通る排気ストリームの質量流量を増加させるのに有効であること、およびHEUで加熱されている酸化剤ストリームの一部をHEUで冷却されている排気ストリームに通し、その結果、前述の調整することが、HEUの一部を通る排気ストリームの質量流量を増加させるのに有効であることの一方または両方を含み得る。
【0026】
制御機能は、リサイクルストリームおよび酸化剤ストリームのそれぞれの一部を、以下:発電所からの発電を変更するタービンの動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号、HEUの中の温度がHEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号の一方または両方に応答して、排気ストリームに通すことを含み得る。
【0027】
発電所は、HEUを通る加熱タービン排気ストリームの一部を取り出し、取り出された加熱タービン排気ストリームの一部を圧縮し、圧縮された加熱タービン排気ストリームの一部をHEUの下流部分で再合流させるために構成される再循環コンプレッサを含み得る。
【0028】
制御機能は、HEUの中の温度がHEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号に応答して、再循環コンプレッサの入口案内翼(IGV)を閉鎖することを含み得る。
【0029】
方法は、第1のHEU端と第2のHEU端との間を通る複数のストリームの1つ以上に熱を追加することをさらに含み得、熱は、HEU内の中間温度範囲において、第1のHEU端と第2のHEU端との間に配置される点で追加され、熱は、HEUから独立して動作するヒーターを使用して追加される。
【0030】
ヒーターは、燃焼ヒーターであり得る。
【0031】
熱は、HEUを通るタービン排気ストリームに追加され得、燃焼ヒーターからの排気ストリームは、タービン排気ストリームに直接追加される。
【0032】
さらなる実施形態では、本開示は、具体的には発電所に関し得る。例えば、発電所は、タービンと、発電機と、熱交換ユニット(HEU)と、1つ以上のコンプレッサまたはポンプと、制御ユニットとを備え得、HEUは、第1の動作温度を有する第1のHEU端と、第2のより低い動作温度を有する第2のHEU端との間を通る複数のストリーム間の熱交換のために構成され、HEUは、第1のHEU端と第2のHEU端との間に配置される点で、複数のストリームの1つ以上に質量流量を追加するか、またはそれから質量流量を取り出し、その結果、複数のストリームの1つ以上を通る流体の一部が、HEUの残りの部分を通る通路から逸れるように構成される1つ以上の部品を含み、制御ユニットは、発電所の動作条件を定める信号を受領し、それに基づいて、複数のストリームの1つ以上に質量流量を追加するか、またはそれから質量流量を取り出すように構成される1つ以上の部品を制御するのに有効な信号を出力するように構成される。そのような電力プラントは、さらに、任意の数および順序で組み合わせることができる以下の記述の1つ以上に関して定義され得る。
【0033】
HEUは、タービンを出る少なくとも1つのタービン排気ストリームと、リサイクルストリームおよび酸化剤ストリームの一方または両方との間の熱交換のために構成され得る。
【0034】
複数のストリームの1つ以上に質量流量を追加するか、またはそれから質量流量を取り出すように構成される1つ以上の部品は、HEUの一部の周りでタービン排気ストリームの一部を逸らすように構成されるバイパスラインおよびバイパス弁を含み得る。
【0035】
発電所は、バイパスラインとともに動作可能であり、そこを通って逸れたタービン排気ストリームの一部から1つ以上のさらなるストリームに熱を伝達するように構成される、バイパス熱交換器をさらに含み得る。
【0036】
複数のストリームの1つ以上に質量流量を追加するか、またはそれから質量流量を取り出すように構成される1つ以上の部品は、タービン排気ストリームとリサイクルストリームとの間に置かれた再循環ラインおよび再循環弁を含み得る。
【0037】
複数のストリームの1つ以上に質量流量を追加するか、またはそれから質量流量を取り出すように構成される1つ以上の部品は、タービン排気ストリームと酸化剤ストリームとの間に置かれた再循環ラインおよび再循環弁を含み得る。
【0038】
発電所は、HEUから独立した動作のために構成されるヒーターをさらに含み得、ヒーターは、第1のHEU端と第2のHEU端との間に配置される点での、タービン排気ストリームへの熱の追加のために構成される。
【0039】
ヒーターは、燃焼ヒーターであり得る。
【0040】
さらなる実施形態では、本開示は、電力および1つ以上の最終製品のコジェネレーションのためのシステムを提供し得る。そのようなシステムは、少なくとも燃焼器、タービン、熱交換器、および分離ユニットを含む発電ユニットであって、燃料ストリームおよび酸化剤を受領し、電力および実質的に純粋な二酸化炭素を出力するように構成される、発電ユニットと、原料を受領し、合成ガス生成物であって、その少なくとも一部が、発電ユニットにおける燃料ストリームの少なくとも一部としての使用に有効である、合成ガス生成物を提供するように構成される、合成ガス生成ユニットと、発電ユニットにおける酸化剤として使用するための酸素を提供するように構成され、窒素を提供するように構成される、空気分離ユニットと、アンモニア合成ユニットおよび尿素合成ユニットの一方または両方とを備え得る。さらなる実施形態では、そのようなシステムは、任意の数および順序で組み合わせることができる以下の記述の1つ以上に関して定義され得る。
【0041】
アンモニア合成ユニットが存在し得、空気分離ユニットから窒素を受領するように構成され、水素源から水素を受領するように構成され、アンモニアを出力するように構成され得る。
【0042】
水素源は、合成ガス生成ユニットから合成ガス生成物の少なくとも一部を受領し、水素ストリーム、および発電ユニットにおける燃料ストリームの少なくとも一部としての使用に有効な水素減少合成ガスストリームを提供するように構成される、水素分離ユニットであり得る。
【0043】
尿素合成ユニットが存在し得、窒素源から窒素を受領するように構成され、発電サイクルから二酸化炭素を受領するように構成され、尿素ストリームを出力するように構成され得る。
【0044】
窒素源は、アンモニア合成ユニットであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本開示の例示的実施形態に係る発電システムおよび発電方法の図表である。
図2】本開示の別の例示的実施形態に係る発電システムおよび発電方法の図表である。
図3】本開示のさらなる例示的実施形態に係る発電システムおよび発電方法の図表である。
図4】本開示のさらなる例示的実施形態に係る発電システムおよび発電方法の図表である。
図5】本開示のさらに別の例示的実施形態に係る発電システムおよび発電方法の図表である。
図6】本開示の例示的実施形態に係る、輸送に適した1つ以上の製品の形成に関連して電力を生産することができるプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本開示の様々な態様について、本開示の全てではなく一部の実装が示される添付の図面を参照しながら、以下でより詳細に記載する。実際、本開示の様々な実装は、多くの異なる形態で表されてよく、本明細書に明記される実装に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの例示的実装は、本開示を徹底的かつ完全なものとし、当業者に本開示の範囲を十分に伝えるために提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈で特段他の意味が明示されていない限り、複数形を含む。
【0047】
1つ以上の実施形態では、本開示は、発電の制御のためのシステムおよび方法を提供する。制御システムおよび制御方法は、多種多様な発電システムに対して利用され得る。例えば、制御システムおよび制御方法は、加圧流体の膨張のためのタービンを利用する発電システムおよび発電方法に利用され得、具体的には、タービン排出温度は、実質的に一定または狭い所定の温度範囲内(例えば、±20℃、±15℃、±10℃、もしくは±5℃)に保持される。いくつかの実施形態では、本システムおよび方法は、タービン吸込圧を制御する機構がタービン自体から実質的に切り離され得るという点で定義され得る。例示的実施形態では、これは、タービンにシャフトで接続されてもされなくてもよい主加圧機の下流のコンプレッサまたはポンプの形態であり得る。他の例示的実施形態では、タービンは、発電機に接続されてよく、単一の独立駆動の加圧デバイスは、作動流体とともに作動することができる。そのような実施形態では、コンプレッサとポンプとの間の制御点は、本明細書に記載されるように実質的に排除され得る。
【0048】
本明細書に記載されるような制御システムを実装することができる発電システムおよび発電方法の例は、Palmerらによる米国特許第9,068,743号、Allamらによる米国特許第9,062,608号、Palmerらによる米国特許第8,986,002号、Allamらによる米国特許第8,959,887号、Palmerらによる米国特許第8,869,889号、Allamらによる米国特許第8,776,532号、およびAllamらによる米国特許第8,596,075号に開示され、それらの開示内容は参照により本明細書に組込まれる。非限定的な例として、ここで記載されるような制御システムが利用されてよい発電システムは、燃焼器において、CO循環流体の存在下でOを用いて燃料を燃焼させるために構成され得、好ましくは、COは、少なくとも約12MPaの圧力および少なくとも約400℃の温度で導入されて、COを含む燃焼生成物ストリームを提供し、好ましくは、燃焼生成物ストリームは、少なくとも約800℃の温度である。そのような発電システムは、さらに、任意の数および/または順序で組み合わされてよい以下の1つ以上を特徴とすることができる:
燃焼生成物ストリームは、約1MPa以上の吐出圧でタービンを渡って膨張して、電力を発生させ、COを含むタービン吐出ストリームを提供し得、
タービン吐出ストリームは、熱交換器ユニットを通過して、冷却吐出ストリームを提供し得、
冷却タービン吐出ストリームは、CO以外の1つ以上の二次成分を除去するよう処理されて、精製吐出ストリームを提供し得、
精製吐出ストリームは、圧縮されて超臨界CO循環流体ストリームを提供し得、
超臨界CO循環流体ストリームは、冷却されて高密度CO循環流体(好ましくは、密度が、少なくとも約200kg/mである)を提供し得、
高密度CO循環流体は、燃焼器への入力に適した圧力にポンプで圧送され得、
加圧CO循環流体は、熱交換器ユニットを通過することにより、タービン吐出ストリームから回収される熱を使用して加熱され得、
加圧CO循環流体の全てまたは一部は、タービン吐出ストリームから取り出したものではない熱でさらに加熱され得(好ましくは、さらなる加熱は、熱交換器の通過前、通過中、または通過後の1つ以上で提供され)、かつ/または
加熱された加圧CO循環流体は、燃焼器にリサイクルされ得る(好ましくは、燃焼器に入る加熱された加圧CO循環流体の温度は、タービン吐出ストリームの温度よりも最大約50℃低い)。
【0049】
本開示の制御システムは、具体的には、所望の性能および安全性を提供するために精密な制御を必要とするパラメータなどの、複数のストリームに関する複数のパラメータの精密な制御を提供する必要性により、上記で例示したような発電方法に関して有用であり得る。例えば、1つ以上の実施形態では、本制御システムは、本明細書に別途記載される機能のいずれか1つ以上に関して有用であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような制御システムおよび制御方法は、具体的には、その開示内容が参照により本明細書に組込まれる、Fetvedtらによる米国特許第10,103,737号に記載されるようないずれか1つ以上の要素および/または特徴を含み得る。
【0050】
1つ以上の実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、図1図5に示されるシステムなどに関連する熱プロファイル調節に関し得る。そのようなシステムは、概して、1つ以上の制御入力101を受領し、制御ユニット100に、1つ以上の制御出力102を介して実装される1つ以上の制御機能を実行する信号を有効に送るように構成される、少なくとも1つの制御ユニット100を含み得る。制御入力101は、温度、圧力、流量、電力出力などの計測可能な特性に関し得、ここで記載されるシステムは、所望の出力を提供するように構成される1つ以上のセンサまたは他の計測部品を含み得る。制御出力102は、1つ以上の弁の開閉、1つ以上のストリームの流量を修正するための圧縮圧力もしくはポンプ速度の変更、または類似の動作変数の変更などの、システムの動作の変化を引き起こすのに有効であり得る。この目的に向けて、有用な制御システムを、様々な電力サイクル構成における電力出力および/またはタービン排気温度を制御するように適合または構成することができる。熱交換器50における実質的に一定のタービン排出温度を維持することは、熱循環に関連する応力を減少させることができるが、完全には排除しない。本開示は、したがって、そのような欠点に対処するさらなる制御機能を提供することができる。例えば、タービン10における電力需要が減少すると、出力圧力および質量流量の対応する減少が、ポンプ20で生じ得る。これは、熱交換器の熱プロファイルに変化をもたらし得る。
【0051】
例示的実施形態では、本開示は、システムにおける変動する電力需要に関係なくシステム効率を維持し、代替または追加として、熱交換ユニットの1つ以上の部分の中の温度が(最大動作温度に関連し得る)所定の閾値温度を超えるのを防止するのに有効な1つ以上の制御機能を提供することができる。例えば、タービンでの全電力出力に適合する条件用に設計および最適化された主復熱式熱交換器は、電力需要が減少するにつれて次第に過剰になり得る。これは、熱交換器表面積が、タービン排気および高圧作動流体(超臨界二酸化炭素など)リサイクルストリームにおける比較的大きい質量流量用に指定されることになるためである。これは同様に、酸化剤流にも当てはまる場合がある。高圧作動流体リサイクル側における圧力の低下はまた、リサイクル流体(含まれる場合は酸化剤流も)のより低い比熱をもたらし得る。これらの変化は、平均熱交換器温度の上昇として累積的に現れる場合がある。そのような懸念に少なくとも部分的に対処するために、いくつかの実施形態では、熱交換器50は、直列の複数の熱交換器として構成され得、ユニット間の界面温度は、タービンでの電力需要が減少すると上昇し得る。そのような温度の揺れは、熱応力を生み出し得るが、より重要なことに、故障モードももたらす場合がある。
【0052】
いくつかの実施形態では、熱交換器50を、できるだけコスト効率が高くなるように構築することが望ましい場合がある。そのような手法は、熱交換器50の温度範囲全体を通して異なる材料の使用をもたらし得る。全ての材料は、好ましくは、全タービン電力出力でのポンプ20の最大排出圧(最高の性能に対する最小限の損失)を定格とするが、最低コストの解決策(最も安い材料および最低の累積質量)を促進する手段として、異なる温度に材料を設計することが必要であろう。したがって、生じ得る熱交換器平均温度の変化を考慮して設計限界エクスカーションを防止するために、プラント制御が、熱交換器50の中間温度に影響を与えるのに有効な1つ以上の機能を含むことが好ましい場合がある。これは、本明細書で論じられるような様々な方法で達成され得る。より具体的には、制御機能は、熱交換ユニット(HEU)の1つ以上の部分が最大動作温度を超えるのを防止するのに有効であり得る。したがって、1つ以上の制御が、HEU(またはHEUの1つ以上の特定の部分)の中の温度が最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号を出力するために実装され得る。そのような閾値は、例えば、製造者により定められるような最大動作温度より20%未満、10%未満、または5%未満低い場合がある。具体的には、高温信号を出力するための閾値は、最大動作温度の20%~1%以内、15%~1%以内、10%~1%以内、20%~2%以内、15%~2%以内、15%~5%以内、10%~2%以内、または10%~5%以内の範囲であり得る。
【0053】
したがって、本開示は、発電所の制御のための方法に関し得る。具体的には、図1図5は、様々な実施形態に係る発電所の概略フロー図表を示し、本方法は、前述の図に関連して記載されかつ/または前述の図に明示される要素および/または機能の任意の組み合わせを組込むように実装され得る。いくつかの実施形態では、制御方法は、第1の動作温度を有する第1のHEU端50’と、第2のより低い動作温度を有する第2のHEU端50’’との間を通る複数のストリームで動作する熱交換ユニット(HEU)50の熱プロファイルを調整することを含み得る。より具体的には、調整するステップは、第1のHEU端50’と第2のHEU端50’’との間を通る複数のストリームの1つ以上の質量流量または体積流量を、複数のストリームの1つ以上に流体(例えば、質量流量もしくは体積流量)を追加するか、またはそれから流体(例えば、質量流量もしくは体積流量)を取り出すことによって変更する、制御機能を実装することを含み得る。1つ以上のストリームへの流体のこの追加または取り出しは、HEU内の中間温度範囲で行われ得る。これは、追加または取り出しが、具体的には、第1のHEU端50’と第2のHEU端50’’との間に配置される点で行われ得ることを意味する。言い換えれば、これは、第2のHEU端より上流かつ第1のHEU端より下流で起こり得る。これは、例えば、HEU 50のほぼ中間点、または第1のHEU端からの距離の5~45%、10~40%、もしくは20~35%以内にある点、または第1のHEU端からの距離の5~45%、10~40%、もしくは20~35%以内にある点であり得る。したがって、流体の追加または取り出しは、第1の端部(すなわち、「高温」端)により近いHEUの部分、または第2の端部(すなわち、「低温」端)により近いHEUの部分で行われ得る。これらの点のいずれかが、本明細書では、HEUの「中間」位置と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、HEUは、単一の組込み型ユニットであり得る。他の実施形態では、HEUは、流体連通する複数のHEU部分の組み合わせであり得る。したがって、HEUの中間位置は、2つの別個のHEU部分の間の位置であり得る。
【0054】
1つ以上の実施形態では、図1に示されるように、1つ以上のタービン排気バイパスラインが、熱交換器50の保護のために利用され得る。概して、図1では、燃料は、燃料源12からライン13を通り、必要に応じて燃料コンプレッサ14で圧縮され、燃焼器15燃焼される。酸化剤は、例えば、空気分離ユニット、酸素膜、または他の酸化剤源であり得る酸化剤源25からライン22を通る。酸化剤は、燃焼器15に直接通されてよいが、示されるように、酸化剤は、ミキサ/ユニオン27でリサイクルされたCOと混合された後、ポンプ40で圧縮され、ライン29で熱交換器50を通り、燃焼器15に向かうことができる。燃焼器において、燃料は、リサイクルされたCOの存在下で酸化剤を用いて燃焼されて、ライン16で排気ストリームを形成し、排気ストリームは次いで、タービン10で膨張されて、発電機17で電力(例えば、電気)を発生させる。タービン排気は次いで、ライン18でタービン10を出る。
【0055】
すでに述べたようなバイパスを達成するために、ライン18のタービン排気ストリームは、熱交換器50を通り、タービン排気ストリームの一部は、ライン1で、中間温度で、熱交換器50を出る。図1に示されるように、熱交換器50は、2つの別々の熱交換器部分50aおよび50bとして示されているが、破線は、別々の熱交換器部分が、異なる条件の複数の部分(例えば、2つ以上、3つ以上、またはさらに多くの部分)とともに動作する単一のHEUとして接続され得ることを示す。弁5を、タービン排気ストリームの流れの一部がHEUを出て、後に、熱交換器70より上流、および/または分離器35より上流、および/またはコンプレッサ30より上流、および/またはポンプ20より上流の点で、主タービン排気流に再合流し得るように、制御部によって必要に応じて開放することができる。したがって、HEUの熱プロファイルは、タービン排気ストリーム(すなわち、加熱ストリーム)の一部を、バイパスラインを通してHEUの一部から迂回させることによって、有効に調整され得る。熱交換器50の中間点でライン18からタービン排気ガスの一部を除去することは、ライン1のタービン排気ストリームを得る熱交換器での温度未満で伝達される総熱エネルギーを減少させる正味の効果を与える。これは、熱交換器70における負荷の増加を犠牲にして、熱交換器の残りの部分(例えば、熱交換部分50bで利用可能な熱)に平均温度の低下をもたらす。
【0056】
必要に応じて、バイパスライン1を通して除去されたタービン排気ストリーム中の熱はまた、熱交換器50にライン39を通して提供されるリサイクルされたCOおよびライン29を通して提供される酸化剤以外の流体を加熱するのに使用されてもよい。この目的に向けて、バイパス熱交換器60は、図示された電力サイクルの外部の任意のプロセスに熱エネルギーを提供する熱源として、ライン1のバイパスストリームを使用することができる。バイパス熱交換器60は、単に、熱交換器ネットワーク50の専用部分であってよいことに留意すべきである(例えば、バイパス熱交換器60は、熱交換器50と一体であり得、ライン1のストリームのみが熱の除去のためにそこを通るように動作し得る)。
【0057】
この方式で実装される制御機能は、したがって、制御部100によって受領される1つ以上の信号に応答して、HEUを通る加熱ストリームの一部を、バイパスライン1を通してHEUの一部から迂回させることができる。例えば、制御部100によって受領される入力信号は、HEUの中の温度がHEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号であり得る。例えば、温度出力101は、HEU内の1つ以上のチェック点の1つ以上の温度センサから生成され得る。熱交換器50内の温度チェック点は、制御部動作弁5へのフィードバックを提供するように構成され得る。したがって、制御部100は、弁4または発電所のさらなる部品に信号102aを出力して、所与の条件に適切なようにバイパスライン1を通る流体を加減させ得る。熱交換器50内の中間温度が最大設計限界に近づくと、弁5の制御を提供する制御部は、弁5に開放するように信号を送ることになる。これは、バイパス熱交換器60を通り、その後、熱交換器70に移る、ライン1のストリームの流れを促すことになる。動作条件(例えば、電力需要)が、熱交換器50内の中間温度が設計限界未満であるようなものの場合、弁5は、熱交換器50の残り(例えば、熱交換部分50b)を通る流れを付勢するために、閉鎖されたままであり得る(または、すでに開放されている場合は閉鎖され得る)。これは、電力サイクルの熱回収を改善する利益を有する。任意の数のバイパスが、交換器列の様々な部分におけるより限定された温度制御を提供する手段として、熱交換器50に並列に組込まれてよい。弁5および/または任意の他の温度制御弁のための制御部は、実際に、それにより電力サイクル内での熱回収が最小化される、電力サイクルが準最適に動作するような方法で動作し得る。このシナリオは、無炭素熱エネルギーの使用が、タービン10での発電より熱交換器60で多く使用される場合に起こり得る。
【0058】
さらなる実施形態では、バイパスライン1の制御は、タービン10および発電機17からの電力出力に基づいて達成され得る。例えば、発電所の発電機17からの発電を変更するタービン10の動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号101bは、制御部100によって受領され得る。それに応答して、制御部100は、ライン1を通る流体を加減させる出力102bを提供することができる。
【0059】
発電サイクルは、その他の点では、ライン18のタービン排気が、排気ストリームが周囲温度付近まで冷却される熱交換器70へのライン19に通る前に、ミキサ/ユニオン21などでライン1のバイパスストリームと合流することができるという点で連続的であり得る。排気ストリームは、次いで、34を通って、分離器35に入り、実質的に純粋なCOストリームがライン36に提供される。COストリームは、次いでコンプレッサ30で圧縮され、必要に応じて熱交換器80で冷却され、次いでポンプ20で所望の圧力範囲に圧送され、ライン39を通って燃焼器15にリサイクルされて戻る。必要に応じて、ライン39のCOストリームの一部は、上記で言及されたように、酸化剤との混合のために、ライン38に分岐し、ミキサ/ユニオン27に通ることができる。同様に、ライン39のCOの一部は、分離され、輸送またはEORなどの他の最終用途のためにライン37を通ってよい。分離器35からの水は、排水ライン33を通ってシステムから出ることができる。
【0060】
熱交換器温度制御のさらなる手段はまた、上記バイパススキームに加えて、1つ以上の制御機能を組込んでもよい。図2は、したがって、さらなる例示的実施形態を示し、図中、図1に関連してすでに記載された要素は実質的に変化していない。図2では、発電システムは、ポンプ20およびポンプ40から熱交換器50を通る流れの一方または両方の少なくとも一部の再循環を提供するように構成され得る。例えば、弁6は、ライン39で熱交換器50を通るリサイクルCOストリームの少なくとも一部の再循環に利用され得、その結果、リサイクルCOストリームの前述の部分は、ライン18のタービン排気ストリームに通る。同様に、弁7は、ライン29で熱交換器50を通る酸化剤ストリームの少なくとも一部の再循環に利用され得、その結果、酸化剤ストリームの前述の部分は、ライン18のタービン排気ストリームに通る。
【0061】
HEUの熱プロファイルを調整することは、したがって、以下:HEUで加熱されているリサイクルストリームの一部をHEUで冷却されている排気ストリームに通し、その結果、前述の調整が、HEUの一部を通る排気ストリームの質量流量を増加させるのに有効であることと、HEUで加熱されている酸化剤ストリームの一部をHEUで冷却されている排気ストリームに通し、その結果、前述の調整が、HEUの一部を通る排気ストリームの質量流量を増加させるのに有効であることとの一方または両方を含み得る。より具体的には、タービン10の所望の出力が増加すると、燃焼器15へのポンプ20および/またはポンプ40の吐出流量は、必要に応じて同様に増加するように制御され得る。ポンプが固定速度ユニットとして動作している場合、熱交換器50におけるそれぞれの再循環ラインの適切な弁(例えば、ライン39aの弁6またはライン29aの弁7)は、閉鎖し始めるであろう。これは、燃焼器15(および最終的にはタービン10)により多くの質量流量を送達するだけでなく、熱交換器50によって燃焼器15に提供される熱エネルギーの量も増加させることになる。別の方法として、タービン15の電力出力が減少すると、弁6および弁7は、必要に応じて開放され得る。これは、熱交換器50の下半分(例えば、熱交換部分50b)を通る流量を人工的に増加させ、タービン排気温度を急冷し、熱交換器温度プロファイルを管理するのにさらに役立つ。
【0062】
制御機能は、したがって、リサイクルストリームの一部および酸化剤ストリームの一部の一方または両方を、以下の入力:発電所からの発電を変更するタービンの動作変化を引き起こすのに有効な電力需要の変化を示す信号(図1の信号101bを参照)と、HEUの中の温度がHEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号(図1の信号101aを参照)との一方または両方に応答して、排気ストリームに通すことを含み得る。出力信号102cおよび102dは、したがって、弁6および弁7を通る流体の通過をそれぞれ制御するために生成され得る。信号101aおよび101bは、例示的実施形態として示されているが、同様の信号が、本システムの様々な部品から受領されてよいことが理解される。例えば、入力信号は、ポンプ20、ポンプ40、コンプレッサ30、コンプレッサ31、IGV 32、分離器35、コンプレッサ14のいずれか、および本明細書に記載されるラインのいずれかから、制御部によって受領され得る。したがって、信号は、システム内のある点での圧力、システム内のある点での流量、システム内のある点での温度、システム内のある点での化合物のモル濃度、または本明細書に別途記載されるような制御機能の実装に有用であり得る任意の類似のパラメータを対象とする情報に関し得る。例えば、好適な入力信号としては、以下のいずれか1つ以上が挙げられ得る:電力需要信号、(例えば、合成ガス流が所定の閾値量を超えることを示す)ガス化装置出力信号、(例えば、水素流が所定の閾値量を超えることを示す)水素需要信号、(例えば、生成された合成ガスの1つ以上の成分の推定または実測モル分率が所定の閾値を超えることを示すことができる)ガス化装置からの合成ガス化学信号、電力サイクルに送られている合成ガスストリーム(バイパスからの混合ストリームおよび水素減少合成ガスストリーム)の合成ガス化学を定める信号、原料変更信号、ASU動作信号、窒素利用可能性信号、混合燃料ウォッベ指数信号など。同様に、出力信号は、本明細書に別途記載されるような制御機能を実装するために、システムの上記で例示した部品のいずれか1つ以上を制御するように送られ得る。
【0063】
最大出力(例えば、全負荷での動作)を有するようにタービン10を動作させることが望ましい場合がある実施形態では、熱交換器バイパスライン1は、再循環ライン(29a、39a)を最小限で使用する熱交換器50を通してほぼ瞬時に提供されているポンプ20および/またはポンプ40の最大流量と併せて、熱交換器50における温度変化率を制限するために使用され得る。
【0064】
1つ以上の実施形態では、本開示に係る電力サイクルは、1つ以上の再圧縮システムを利用するように動作することができ、そのようなシステムを、同様に、再圧縮サイクルを通る流れを管理して、熱交換器50における中間温度管理を達成するように制御することができる。再圧縮システムは、リサイクル流体を加圧するだけでなく、リサイクル温度最適化の手段として、電力サイクルの主復熱式熱交換器(例えば、熱交換器50)に低品位熱も提供する。図3は、熱交換器50の内部から生じる再圧縮システムを含む直接燃焼式sCOサイクルを示す。再循環コンプレッサ31は、したがって、HEU 50を通る加熱タービン排気ストリームの一部を取り出し、取り出された加熱タービン排気ストリームの一部を圧縮し、圧縮された加熱タービン排気ストリームの一部をHEUの下流部分で再合流させるために構成され得る。示されるように、タービン排気ストリームの一部は、HEU部分50aとHEU部分50bとの間で取り出され、HEU部分50bに再合流する。
【0065】
上に記載されたように、そのようなシステムからの電力需要の減少は、より高い平均熱交換器温度を生じることになる。これは、一定の排出圧が維持される場合、その吸引温度を(したがって、その排出温度も)上昇させることによって、再圧縮ライン3でコンプレッサ31に影響を与える。コンプレッサ31のエネルギー消費も、そのような実施形態では増加すると予想される。いくつかの実施形態では、この傾向は、ライン3の排出ストリームの実質的に一定の排出温度を維持しながら、コンプレッサ31を通る流量を能動的に減少させることによって有効に覆され得る。コンプレッサ31の制御部は、ライン3の1つ以上のチェック点を能動的に監視して、コンプレッサ31の入口案内翼(IGV)32の場所にフィードバックを提供することによって、ライン3のストリームが最適化された所望温度を超えないことを保証することができる。この方式では、制御機能は、HEUの中の温度がHEUの最大動作温度の所定の閾値以内であることを示す信号(例えば、図1の信号101aを参照)に応答して、再循環コンプレッサ31の入口案内翼(IGV)32を閉鎖することを含み得る。そのような出力信号は、図3に、信号102eとして示されている。
【0066】
伝統的な制御の下では、IGVは、サージに対する安全マージンを維持しながら、電力消費を制限するのに使用される。IGVは、様々な制御部によって吐出圧を制御するのに使用されてよい。しかしながら、特定の状況では、IGVは、手動制御され、リサイクルラインの流れを増加させるために開放されてよい。そのような場合、システムのインベントリは増加するであろう。これは、負荷の変更または下流のポンプの作動を先取りするために行われてよい。本開示のような温度最適化により具体的に関連して、最適化された温度に近づくと、コンプレッサ31のIGVは、ユニットを通る排気流を減少させるために閉鎖され得る。流れの減少、およびそれに続く熱交換器50への低品位熱の追加は、平均熱交換器温度が低下するカスケード効果を生み出し得る。最終的に、コンプレッサ31における流れの減少および吸引温度の低下のフィードバックは、チェック点における要件を満たす動作モードに収束するであろう。これはまた、熱交換器50で得ることができるリサイクル温度レベルを最大化するために必要とされる、コンプレッサ31における最低エネルギー消費をもたらすことになる。コンプレッサ31のIGVを閉鎖する場合、コンプレッサ30のIGVを開放して、流れの増加した量の加圧を可能にする必要があり得る。あるいは、熱回収が熱交換器60で生じる場合、コンプレッサ31の吸引温度は低下し得、ライン3の温度チェック点もそうなり得る。これは、実際は、コンプレッサ31のIGVを開放させて、より多くの熱を発生させることになる。反対に、コンプレッサ31における増加した流れを考慮するために、コンプレッサ30のIGVを閉鎖する必要がある。全てのシナリオにおいて、IGVは、再循環ラインおよびクーラーで置き換えられ得る。
【0067】
さらなる実施形態では、熱交換器ネットワーク50に熱を提供する別の方法を、図4に示されるように行うことができる。具体的には、さらなる熱源(ヒーター90)を、熱交換器50に中間温度で設けることができる。ヒーター90は、直接または間接的に熱を提供することによって動作し得る。熱の供給源も様々であり得、例えば、電気資源、太陽資源、原子力資源、または燃料燃焼資源に由来するものであってよい。ヒーター90はまた、熱交換器50内のストリームのいずれか1つに位置し得る。一実施形態では、ヒーター90は、タービン10の排気流の酸素燃焼ダクトバーナーである。燃焼燃料排出物は、タービン排気流と自由に混合され、温度上昇に寄与する。熱エネルギーのこの追加は、いくつかの目的を果たし得る。例えば、示されるように、ヒーター90は、バイパスライン1、再循環ライン29aおよび39a、ならびに再圧縮ライン3の下流に位置し、それらは全て上に記載されている。この状況では、タービン10の周りのサイクルのバランスが実質的に閉ループ方式で動作しながら、プラントは、本質的に予熱され得る。弁6および/または弁7に関連するバイパスラインは、それらの供給源の流れの一部または全てを逸らし得る。設計流量は、トリップシナリオ時のタービン10の過速度保護に適応するように構成され得る。さらなる実施形態では、ヒーター90を使用して、熱交換器ネットワーク50の温度プロファイルが最小限に影響を受ける程度まで、熱交換器60に追加の熱エネルギーを提供し得る。そのような実施形態では、ライン1は、熱交換器ネットワーク50内のヒーター90の下流でタービン排気流ライン18から分岐するように再構成され得る。さらに別の実施形態では、ヒーター90から提供される熱は、コンプレッサ31のIGVの閉鎖を刺激するのに使用され得る。タービン10における電力出力変化、または熱交換器50の熱交換器プロファイルの変化なしで、プラントからの正味の電力は、典型的には比較的高い動作効率を有するように構成されるコンプレッサ30へ優先的に逸らされているリサイクル作動流体の加圧により、増加すると予想される。
【0068】
熱交換器50のプロファイルに影響を与えるタービン排気温度に加えて、ライン29および/または39を通って熱交換器50に入るストリームの温度は、同様に、低温エネルギーシンクとして機能するため、熱交換器プロファイルに影響を与えることになる。熱交換器50が全電力出力に最適化されている実施形態では、リサイクル流体がポンプ20を出て熱交換器50に入る時に有する想定温度が存在する。サイクルが電力出力の減少を経験する場合、熱交換器50に入るリサイクル流体の温度は、より低い圧力のためにポンプ20で必要とされる仕事が減少することを考慮すれば、低下することになる。これは、平均熱交換器温度を低下させる効果がある。そのような効果は、熱交換器50の中間温度チェック点の設計限界を超えないようにし得るが、タービン電力出力が変化すると、熱循環を増加させる。この現象は、ほぼ一定の排出温度を維持するために、ポンプ20で行われる仕事を増加させることによって軽減され得る。ポンプ20の排出口のライン39におけるリサイクルCOストリームの温度チェック点を使用して、ポンプ20と関連して作動する制御部にフィードバックを提供することができる。制御部を使用して、コンプレッサ30の排出口における設定値圧力にバイアスをかけることができる。タービンにおける負荷需要が減少するか、または熱交換器80における冷却温度が低下する場合、コンプレッサ30における設定値圧力も同様に低下することになる(逆の動作も同様に生じる)。ポンプ20においてほぼ一定の排出温度を維持することが望ましいが、これは、全てのシナリオで実現可能ではない場合がある。ポンプ20の吸引圧は、好ましくは、作動流体に関する温度-圧力相関曲線よりも低下することを許可されていない。曲線は、ポンプ20での使用に適合する最小比重を満たす単一相の作動流体をもたらす熱交換器80で必要とされる温度と圧力との一致を示す。コンプレッサ30の排出圧のさらなる低下が実現可能でない場合、熱交換器80の冷却負荷を、ポンプ20の排出口における所望の設定値温度が達成されるまで減らすことができる。冷却負荷の変動は、温度-圧力相関曲線の最低要件が満たされるまで、冷却負荷とコンプレッサ30の排出圧とのバランスを繰り返し取ることを促進し得る。上記スキームは、任意の数の直列のコンプレッサおよびポンプに適合することに留意すべきである。さらに、冷却水温度の変更は、負荷の変更と同等の効果を提供することができ、同様の方法で処理され得る。
【0069】
上記の温度制御スキームに加えて、熱交換器50の温度も、ポンプ20および/またはポンプ40がオフの場合に、調整され得る。これは、例えば、クーラー80および/もしくはクーラー70、または(例えば、コンプレッサ80が、中間冷却を有する多段コンプレッサとして構成される場合)コンプレッサ30内のインタークーラーを通る冷却水の調節によって達成され得る。上記と同じ温度調節を提供するために、熱交換器50の低温端に過剰の低品位熱を提供することが好ましい場合がある。さらに、前述の熱交換器の温度調節はまた、下流のポンプ20および/またはポンプ40が提供する仕事が、主復熱式熱交換器の仕事を提供することもできる吐出条件をもたらす程度まで、それらの吸込温度に影響を与えるために使用され得る。これは、同等の条件を実現可能な方法でもたらすことができる吸込圧の低下の代替として行われ得る。様々なポンプの吸込圧が、一定の圧力に維持され得る一方で、温度は、対応する排出圧を考慮して熱交換器のバランスを取るのに必要な適切な排出温度を提供するように調整され得る。
【0070】
本明細書に記載される様々な温度制御スキームは、独立して、または本明細書に記載されるさらなる制御スキームの1つ以上との任意の組み合わせで、使用され得る。複数の温度制御スキームが同時に使用される場合、それらの活動に、本明細書に記載されるような方法で優先順位をつけることができる。具体的には、ライン1によるタービン排気バイパスを通る流量が、タービン電力出力の全てのレベルで最小化されることが好まれ得る。これは、バイパスライン1を通って移動する流れに含まれる熱エネルギーが、電力サイクルを駆動する熱源に由来し得るためである。タービン排気とリサイクル流体との間の最大伝熱量を保つことは、最高電力サイクル効率を容易にする。あるいは、ヒーター90の使用は、この効果を打ち消し、熱交換器60での熱回収を可能にし、単にプラント資源のバランスを電力サイクルと共有することができる。その後、ポンプ20の排出温度を、その最適値に制御することができる。最後に、再圧縮システム(例えば、ライン3およびコンプレッサ31)を通る流量は、ライン3のチェック点における温度がその所望の最適値に近づく程度まで最小化または最大化され得る。
【0071】
さらなる実施形態では、熱管理は、電力サイクルタービン配置に関する1つ以上の制御機能を介して提供され得る。図5に見られるように、多段タービンまたは直列で動作するタービン部分は、主燃焼器15に加えて1つ以上の介在熱源を有するように構成され得る。図5では、2つのタービン10aおよび10bが1つの介在熱源90とともに示されるが、2つ以上、3つ以上、またはさらなるタービンまたはタービン部分が、1つ以上、2つ以上、またはさらに多くの介在熱源とともに使用されてよい。具体的には、示されるように、ライン16の燃焼器排気は、発電機17aに動力を供給する第1のタービン10aに通り、ライン18aに第1のタービン排気を提供し、これは介在ヒーター90を通る。ライン18bで介在ヒーター90を出る加熱ストリームは、発電機17bに動力を供給する第2のタービン(または最終タービン)10bに通り、ライン18cに第2のタービン(または最終タービン)排気を提供し、これは、本明細書に別途記載されるような熱交換器50に通る。
【0072】
介在ヒーター90に提供される熱は、任意の供給源(例えば、水蒸気、太陽、燃焼)に由来し得る。ある実施形態では、図5に示されるように、ヒーター90は、燃焼ヒーターであってよい。したがって、燃料源12からの燃料が、ライン130を通ってヒーター90に提供されてよく、酸化剤源25からの酸化剤が、ライン220を通ってヒーター90に提供されてよい。
【0073】
本明細書に記載される主制御論理と同様に、ポンプ20での流れの制御は、実質的な定常状態条件および過渡条件下で、熱交換器50への吸込温度を制御するのに使用され得る。タービンアレイにおける負荷出力(例えば、アレイに存在する任意のタービンを出るか、または、より具体的には、アレイの最終タービンを出る)の変更は、燃焼器10から介在ヒーター90に、流れをより多くまたはより少なく逸らすことによって達成され得る。ライン37に存在する弁8は、タービン10bからの一定の排出圧を維持するのに使用され得、燃焼器15と介在ヒーター90との間の燃料の移動は、結果として生じるそれぞれのユニットの吸込温度を変更し得、したがって、タービン10aおよびタービン10bに入るストリームの圧力も変更し得る。続いて、タービン10aおよびタービン10bがそれぞれ行う相対仕事も、所与のシステム燃料入力に応じて変化し得る。タービン10aおよびタービン10bの厳密な動作条件は、ユニットの効率に重大な影響を与え得る。そのようなシステム構成では、固定燃料流は、膨張機の動作特性をそれらの固有の性能曲線を考慮して変更することより、正味の電力出力の様々な変更をもたらし得る。この効果に関連して、ポンプ20によって提供されるシステム全体の流量が、熱交換器50内への一定の温度の維持に従って変化し得ることもある。電力サイクルへの燃料流は一定に保持され得るが、電力出力の減少が望まれる場合、熱交換器50を通る排気流量は、ヒーター60での熱回収を続けるように人工的に操作され得る。
【0074】
図1図5から明らかなように、本開示は、発電所を制御するための方法だけでなく、電力プラント自体の構成にも関し得る。発電所は、示された図に関連して記載されるか、または本明細書に別途記載されるような部品の任意の組み合わせを含み得る。例えば、発電所は、少なくとも、タービン10と、発電機17と、熱交換ユニット(HEU)50と、1つ以上のコンプレッサ30またはポンプ20と、制御ユニット100とを備え得る。加えて、HEU 50は、特に、第1の動作温度を有する第1のHEU端50’と、第2のより低い動作温度を有する第2のHEU端50’’との間を通る複数のストリーム間の熱交換のために構成され得る。ストリームとしては、例えば、タービン排気ストリーム18、(実質的に純粋な二酸化炭素を含み得る)リサイクルストリーム39、および(実質的に純粋な酸素を含み得るか、空気を含み得るか、または酸素と二酸化炭素との混合物を含み得る)酸化剤ストリーム29が挙げられ得る。
【0075】
加えて、HEUは、第1のHEU端50’と第2のHEU端50’’との間に配置される点で、複数のストリームの1つ以上に質量流量を追加するか、またはそれから質量流量を取り出し、その結果、複数のストリームの1つ以上を通る流体の一部が、HEUの残りの部分を通る通路から逸れるように構成される1つ以上の部品を含み得る。例えば、図1を参照すると、タービン排気ストリーム18の一部は、バイパスライン1を通って逸れ、したがって、HEU部分50bを通る通路から逸れる。上記に加えて、制御ユニットは、発電所の動作条件を定める信号101を受領し、それに基づいて、複数のストリームの1つ以上に流れ(例えば、質量流量もしくは体積流量)を追加するか、またはそれから流れを取り出すように構成される1つ以上の部品を制御するのに有効な信号102を出力するように構成され得る。いくつかの実施形態では、HEU 50は、タービンを出る少なくとも1つのタービン排気ストリームと、リサイクルストリームおよび酸化剤ストリームの一方または両方との間の熱交換のために構成され得る。さらに、複数のストリームの1つ以上に流れを追加するか、またはそれから流れを取り出すように構成される1つ以上の部品は、HEUの一部の周りでタービン排気ストリームの一部を逸らすように構成されるバイパスライン1およびバイパス弁5を含み得る。そのような構成では、プラントは、バイパスライン1とともに動作可能であり、そこを通って逸れたタービン排気ストリームの一部から1つ以上のさらなるストリーム2に熱を伝達するように構成される、バイパス熱交換器60も含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、複数のストリームの1つ以上に流れを追加するか、またはそれから流れを取り出すように構成される1つ以上の部品は、タービン排気ストリーム18とリサイクルストリーム39との間に置かれた再循環ライン39aおよび再循環弁6を含み得る。同様に、複数のストリームの1つ以上に流れを追加するか、またはそれから流れを取り出すように構成される1つ以上の部品は、タービン排気ストリーム18と酸化剤ストリーム29との間に置かれた再循環ライン29aおよび再循環弁7を含み得る。
【0077】
さらなる実施形態では、発電所は、HEU 50から独立した動作のために構成されるヒーター90を含み得る。そのような独立した動作は、単に、ヒーター90によって提供される熱が、HEU 50における熱交換を提供するのに使用される任意の加熱ストリーム以外の供給源に由来することを意味し得る。例えば、ヒーター90は、第1のHEU端50’と第2のHEU端50’’との間に配置される点での、タービン排気ストリーム18への熱の追加のために構成され得る。上ですでに述べたように、ヒーター90は、例えば、燃焼ヒーターであり得る。さらなる構成および部品が、上ですでに論じられたような、図1図5に関連して示されるさらなる部品に基づいて特定され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような電力サイクル制御は、液化天然ガス(LNG)再ガス化端と組み合わされる。例えば、その開示内容が参照により本明細書に組込まれる、Allamらによる米国特許第9,523,312号を参照されたい。そのような実施形態では、燃料流量および温度調節のためのその関連送風機は、電力需要に加えて再ガス化需要を調整するように調節され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、本システムおよび方法は、タービンがそのシールを通して漏出し得る出来事を調整するように適合または構成され得る。そのような場合、コンプレッサが、シール漏出物を再圧縮し、それをストリームとコンプレッサとの間のサイクルに戻すために追加され得る。そのような場合、同じコンプレッサが、外部タンクまたはパイプラインからシステムを充填するスタートアップにも使用され得る。そのような場合、コンプレッサの吐出は、システムの低い圧力を調節する制御部を用いて制御され得る。コンプレッサの吸引は、タービングランドシールにおいて陽圧または陰圧のいずれかを生じるように制御され得る。陽圧から陰圧への変化は、大気混入由来の化学を調整するために、動作全体を通して変化し得る。
【0080】
上記のような燃焼サイクルの定常状態動作中、燃焼由来の生成物は、入ってくる燃料および酸化剤との物質収支を維持するために、サイクルから連続的に除去されなければならない(例えば、ライン37を通したCOの除去および/またはライン33を通した水の除去)。結果として生じるHOおよびCOは、排水および/または放出されなければならないが、気相COが下流のプロセスで使用される場合、それは最高でタービン吸込圧の圧力で吐出され得る。最初に排水ステップを行う必要がある。残留SOx/NOxは、その場で(例えば、分離器35で)除去され得る。COは、次いで、発電サイクルに存在する作動流体ターボ機械を使用して、所望の圧力に圧縮および/または圧送され得る。さらに、COストリームは、OおよびArなどの微量混入物がさらに除去される浄化プロセスを受ける場合がある。この時点で、ストリームを、下流での使用のために輸送することができる。
【0081】
COを下流のプロセスでの使用の前に昇温する必要がある場合、発電サイクルの主復熱式熱交換器列で、タービン排気流路に対して向流式に加熱するのが望ましいことがある。輸送流が熱交換器アレイで加熱されると、タービンに入るリサイクルCOは、温度が低下することになる。この変化を防止するために、高温ガスコンプレッサを通る流量を、ユニットの入口案内翼(「IGV」)を開放することによって増加させることができる。これは、熱交換器列への低品位熱の増加を提供する目的を果たすことになる。それはまた、主COコンプレッサを通るCOの総流量も減少させることになる。これは、新しい条件に適応するために、このユニットのIGVを閉鎖させることになる。タービンにおける全体的な総電力出力は、吸込条件が以前と同じままであることを考慮すれば、変化しないであろう。リサイクルCO温度が維持されていることを考慮すれば、設備への燃料入力の変化もないであろう。むしろ、高温ガスコンプレッサが、加圧デバイスとして主COコンプレッサより低効率で動作することを考慮すれば、プラントの正味の電力出力は減少することになる。基本的な効果は、燃料が電気に変換され、次いで、吐出COストリームの熱エネルギーとして輸送されることである。全ての燃焼および加圧活動は、電力サイクルの装置および制御能力によって固有に管理される。下流のプロセスへの熱の質および量は、復熱式熱交換器列によって加熱される輸送COの量、および高温ガスコンプレッサによって処理されるCOの総流量により、変動し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、発電サイクルの高温ガスコンプレッサが、サイクルの輸送COを原料および/または伝熱流体として利用する外部の工業プロセスのための熱源としても機能しながら、復熱式熱交換器の最適化のために低品位熱を提供することを可能にする。高温ガスコンプレッサは、下流の工業プロセスに熱を提供しながら、タービンへの吸込条件(したがって、全体的な性能)は変化しないような方法で管理される。したがって、タービンの熱循環は生じない。発電サイクルの正味の電力出力は、しかしながら、外部の工業プロセスのために発生させた熱が、高温ガスコンプレッサの寄生負荷を増加させることを考慮すれば、減少する(すなわち、電気を熱エネルギーに有効に逆変換する)。これは、発電サイクルのために生成される、1MWhr当たりに発生するCOを変動させる影響を与える(CO需要対電力需要の差に柔軟に対処することを可能にする)。下流の工業プロセスへの利益は、専用の熱発生(例えば、天然ガスバーナーなど)および熱回収装置(蒸気ボイラー、チューブアンドシェル式交換器、給水ポンプなど)の必要性が排除されることである。同様に、下流のプロセスは、燃焼を介した熱エネルギーの発生が、発電サイクルのタービンで起こるため、排出物プロファイルなしで動作することができる。加えて、他の化学プロセスと異なり、発電サイクルで発生したCOは、その燃焼および下流のDeSNOxプロセスにより、追加の装置および溶媒なしで精製される。CH、CO、H、Cなどの残留気体燃料は、燃焼によりCOから除去され、水蒸気、NOx、および/またはSOxは、下流の直接接触式クーラーで除去される。
【0083】
本開示に従って利用可能な制御機能は、ここで記載される発電システムおよび発電方法が、エネルギーに加えて、様々な最終製品を生産するために利用されることを可能にする。CO発生、圧縮、および加熱プロセスを、発電サイクル内に完全に含めることができ、したがって、下流の工業プロセスが存在しない場合でも、電力サイクルにかねてから必要な装置を活用することが可能である。下流のプロセスへの熱入力のための天然ガスの燃焼は、オフピーク電力価格を活用してもよい。これは、発電サイクルが、電力、CO、および熱を提供するトリジェネレーションプラントとして機能することを可能にし得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、尿素合成が、電力サイクルと特に組み合わされてよく、これは、アンモニア源を必要とし得る。必要なアンモニア(NH)は、基礎となる発電サイクルの副産物であり得るか、または(例えば、外部のアンモニアプラントから)商品として購入され得る。NHが商品として購入される実施形態では、尿素合成のためのCOを輸送する、本開示に係る発電サイクルが行われて、電力および尿素の同時生産のための方法を提供することができる。具体的には、COを、本明細書に別途記載されるような燃焼プロセスで形成することができる(例えば、ライン37から生成物として得られるか、ライン39のいくつかの点から上昇した温度で得られるか、またはポンプ20より上流においてより低い温度で得られる)。有利には、燃焼の高品位熱を、燃焼器排気またはタービン排気ストリームから(例えば、熱交換器50からの点で)、低温リサイクルCOの要求燃焼吸込温度への向流加熱によって回収することができる。これは、具体的には、ポンプ20を出る加圧ストリームであり得る。コンプレッサ(例えば、コンプレッサ31)のIGV 32を開放して、コンプレッサの吸込口でのCO流量を増加させ、したがって、下流の尿素合成プロセスのためにコンプレッサから発生させる低品位熱(例えば、約150~300℃の温度)を増加させることができる。コンプレッサの吸込口でのCO流量を、下流の尿素合成に必要な追加の低品位熱の量によって決定することができる。その一方で、主コンプレッサ30のIGVを閉鎖して、そこに入るCOを対応して調整することができる。主熱交換器50の排出口における全COを、液体水除去および(存在する場合は)SOx/NOx除去のために分離器35に送ることができる。COを、(例えば、コンプレッサ30およびポンプ20で)要求圧力に圧縮および圧送することができ、COの一部を、約140~175barの圧力で、主COストリームから分離することができる。分離されたCOを、主熱交換器50に導いて約190℃に加熱することができ、次いで、約140~175barおよび約190℃の、COのこの部分を、下流の尿素生成ユニットに送ることができる。COのこの部分の最終温度、圧力、および流量を、尿素合成プロセスにより決定することができる。必要とされ得る低品位熱を、コンプレッサ31または類似ユニットから発生させることができる。残りの要求COを、燃焼吸込圧に圧送し、主熱交換器50においてタービン排気ストリームで燃焼吸込温度に加熱し、燃焼器15に導くことができる。主熱交換器プロファイルは、この手法により維持される。
【0085】
さらなる実施形態では、尿素合成のためのCOを輸送する、本開示に係る発電サイクルを、発電サイクルで同時に発生するアンモニアを利用して行うことができる。そのような実施形態では、好適な原料を、好適な合成ガス生成ユニットで(例えば、ガス化装置または水蒸気メタン改質(「SMR」)ユニットに送って粗合成ガスを作り出すことによって)、処理することができる。粗合成ガスを、アンモニア合成のために水素を粗合成ガスから分離することができる好適な分離ユニット(例えば、膜分離ユニット)によって処理することができる。水素希薄合成ガスを、本明細書に別途記載されるように、発電のために発電サイクルの燃焼器およびタービンに送ることができ、水素(またはその一部)を、アンモニア合成ユニットに送ることができる。タービン排気(COストリーム)を、高品位熱の回収のために主熱交換器に導くことができる。COの一部を、尿素合成のための低品位熱の発生のためにコンプレッサに導くことができる。熱交換器を出る全COストリームを、次いで、SOx/NOx除去のためにDeSNOxユニットに導くことができる。分離器35の代わりとして、または分離器35に加えて使用することができるこのユニットでは、原料中の全ての硫黄化合物は、COストリームから除去される。したがって、酸性ガス除去システムまたは燃料ガス脱硫システムは、このポリジェネレーションシステムでは排除される。DeSNOxユニットを出るCOは、周囲温度および約30barであり、液体水およびSOx/NOxを含まない。(発電サイクルの一体部分であり得る)空気分離ユニットからの窒素、および膜分離器からの水素は、アンモニア合成ユニットに送られる。アンモニア合成の動作条件は、約200~250barの圧力、および約400~500℃の温度であり得る。アンモニア合成プロセスの熱源は、タービン排気、高温ガス圧縮、またはシステム内の他の熱源に由来し得る。アンモニア合成ユニットから生成されるアンモニアは、化学製品として販売され得るか、または尿素を合成するために、DeSNOxプロセスからの清浄なCOとともに尿素合成ユニットに送られ得る。アンモニアおよび尿素の一方または両方の生成は、図6に示され得る。
【0086】
さらなる実施形態では、本明細書に記載されるような発電サイクルを、ケロジェンの乾留などのプロセスと組み合わせることができる。ケロジェンは、現在は、開発鉱山材料を収集し、炉に入れることによって乾留される。本開示に係るプロセスは、採掘を完全に回避することができ、現在は使用不可能な深くの埋蔵量の採取および使用の選択肢を提供することができる。例示的実施形態では、加圧および加熱された(例えば、油の生産では約50~150℃の温度に、またはガスの生産では約150~200℃の温度に加熱する)COを、ビチューメンを含有する地下のケロジェン埋蔵物に注入することができる。加熱COは、ビチューメンを形成する堆積岩構造の中を通って移動し、油および/またはガスのいずれかの形態の、より軽質の炭化水素の形成をもたらす。COの圧力は、より軽質の炭化水素を収集のための表面に押し付ける。
【0087】
さらなる実施形態では、電力サイクルは、炭素の回収、利用、および塩水帯水層への貯留に関連して利用され得る。例えば、(例えば、ライン37からの)加圧COを、要求される貯留圧力で塩水貯留場所に送達することができる。地下に注入する前に、ストリームを、発電サイクルを利用する本明細書に記載されるシステムおよび方法によって、貯留層の水露点超の温度に予熱することができる。塩水帯水層に接触すると、液体量の一部は、気化する。水蒸気(脱塩水)と注入されたCO流の一部との混合物は、隣接するリリーフ井を通って流れ、地上における水の採取およびCOの再利用を可能にする。脱塩を行うことに加えて、貯留層は減圧され、さらなるCOの貯留を可能にする。
【0088】
本明細書に記載されるようないくつかの実施形態では、COストリームは、酸素を除去するために処理されて、炭化水素回収におけるCO利用能力を改善することができる。例示的実施形態では、1つ以上の高温ガスコンプレッサのIGVを開放し、その結果、流れの増加が提供されて、プラント輸送流と同等のCOストリームを、最高約250℃の温度に加熱することができる(この温度は、いくつかの実施形態では、コンプレッサの設計に応じて、より高くなり得る)。プラント輸送流は、所望の圧力で主熱交換器50を通して提供され、コンプレッサ流で加熱され得るか、またはコンプレッサからその吐出時に直接導かれ得る。加熱されたCO輸送流は、次いで、メタン、天然ガス、またはHが導入されるミキサに供給され得る。加熱された混合ストリームを、次いで、熱エネルギーが、CO中の残留O含有量を用いた燃料含有量の酸化を触媒する触媒燃焼器を通して処理することができる。結果として生じるストリームは、実質的にOを含まず、増加した残留燃料含有量、CO含有量、および/またはHO含有量を含む。ストリームは、次いで冷却され、水分含有量の全てまたは一部が除去される。上記から分かるように、本開示は、特に、電力および1つ以上の最終製品のコジェネレーションのためのシステムおよび方法を提供することができる。例示的実施形態では、図6を特に参照すると、システムは、少なくとも燃焼器、タービン、熱交換器、および分離ユニットを含む発電ユニットであって、燃料ストリームおよび酸化剤を受領し、電力および実質的に純粋な二酸化炭素を出力するように構成される、発電ユニットと、原料を受領し、合成ガス生成物であって、その少なくとも一部が、発電ユニットにおける燃料ストリームの少なくとも一部としての使用に有効である、合成ガス生成物を提供するように構成される、合成ガス生成ユニットと、発電ユニットにおける酸化剤として使用するための酸素を提供するように構成され、窒素を提供するように構成される、空気分離ユニットと、アンモニア合成ユニットおよび尿素合成ユニットの一方または両方とを含み得る。
【0089】
ある実施形態では、アンモニア合成ユニットが特に存在し得る。そのような場合、アンモニア合成ユニットが、空気分離ユニットから窒素を受領するように構成され、水素源から水素を受領するように構成され、アンモニアを出力するように構成されるのが望ましいことがある。関連実施形態では、水素源は、合成ガス生成ユニットから合成ガス生成物の少なくとも一部を受領し、水素ストリーム、および発電ユニットにおける燃料ストリームの少なくとも一部としての使用に有効な水素減少合成ガスストリームを提供するように構成される、水素分離ユニットであり得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、尿素合成ユニットが特に存在し得る。そのような場合、尿素合成ユニットが、窒素源から窒素を受領するように構成され、発電サイクルから二酸化炭素を受領するように構成され、尿素ストリームを出力するように構成されるのが望ましいことがある。関連実施形態では、窒素源は、具体的には、アンモニア合成ユニットであり得る。
【0091】
図6にさらに見られるように、システムおよび方法は、合成ガスの一部を、水素分離から迂回させて電力サイクルに直接進ませることができる、任意選択のバイパスおよび制御の使用を組込むことができる。これは、より多くの動作の自由度、ならびにガス化装置、電力サイクル、および水素生成の部分的な分離を可能にする。1つ以上の実施形態では、バイパスラインは、制御部(例えば、図1図5の制御部100)によって受領され得る様々な入力信号に基づいて制御され得る。例えば、好適な入力信号としては、以下のいずれか1つ以上が挙げられ得る:電力需要信号、(例えば、合成ガス流が所定の閾値量を超えることを示す)ガス化装置出力信号、(例えば、水素流が所定の閾値量を超えることを示す)水素需要信号、(例えば、生成された合成ガスの1つ以上の成分の推定または実測モル分率が所定の閾値を超えることを示すことができる)ガス化装置からの合成ガス化学信号、電力サイクルに送られている合成ガスストリーム(バイパスからの混合ストリームおよび水素減少合成ガスストリーム)の合成ガス化学を定める信号、原料変更信号、ASU動作信号、窒素利用可能性信号、混合燃料ウォッベ指数信号など。1つ以上のこれらの入力信号に基づいて、図6に定められる動作ユニットの1つ以上は、動作可能に調整されて、所望の最終製品および/または所望の電力出力を提供し得る。同様に、そのような信号は、個々のユニット(例えば、発電、合成ガス生成、水素生成、アンモニア生成、空気生成物の生成、および尿素生成)のいずれか1つ以上のプロセス効率を修正するのに使用され得る。同様に、そのような信号は、設備全体の経済的な出力を調整するのに使用され得る。
【0092】
当業者であれば、前述の説明および付随する図面に示される教示の利益を有して本発明に関連する、本発明の多くの変更形態および他の実施形態を思いつくであろう。それゆえ、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、変更形態および他の実施形態が添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されていることを理解されたい。本明細書において特定の用語が用いられているが、それらは単に一般的かつ記述的な意味で使用されており、限定を目的としていない。本明細書における「約」および「実質的に」という語句の使用は、「約」特定の値または「実質的に」特定の値である値が、具体的には、厳密な量±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%であり得るような関連度を示すことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6