(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016780
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】光学パラメトリックチャープパルス増幅器
(51)【国際特許分類】
G02F 1/39 20060101AFI20250128BHJP
G02F 1/37 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
G02F1/39
G02F1/37
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024195968
(22)【出願日】2024-11-08
(62)【分割の表示】P 2022510814の分割
【原出願日】2020-08-10
(31)【優先権主張番号】16/546,178
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512095392
【氏名又は名称】コヒレント, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー シマノフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン ホジソン
(57)【要約】
【課題】光学パラメトリックチャープパルス増幅器の提供。
【解決手段】本発明は、概して、光学パラメトリックチャープパルス増幅器に関する。光学パラメトリックチャープパルス増幅器は、拡張信号ビームを連続的に増幅させる第1の光学パラメトリック増幅器段および第2の光学パラメトリック増幅器段を含む。パルスレーザは、基本ビームを提供する。第2の増幅器段は、基本ビームから発生される第2高調波ビームの完全電力によって励起される。残留基本ビームは、第1の増幅器段を励起する別の第2高調波ビームを発生させるために使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本願は、2019年8月20日に出願された米国特許出願第16/546,178号に対する優先権を主張し、その開示は、その全体として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、概して、光学パラメトリックチャープパルス増幅器に関する。本発明は、特に、多段光学パラメトリックチャープパルス増幅器のための光学励起方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術の議論
光学パラメトリック増幅において、差周波数発生のために配列される光学的に非線形の結晶は、パルスレーザ放射線のビームの増幅を提供するために使用される。パルス化される「励起ビーム」およびより短い波長のパルス化される「信号ビーム」は、非線形結晶を通してともに伝搬する。差周波数発生は、励起ビームの光子を信号ビームの光子および「アイドラビーム」の光子に変換する。アイドラ光子のエネルギーは、励起光子と信号光子との間のエネルギーの差である。電力は、励起ビームから信号ビームおよびアイドラビームに転換され、光子を信号ビーム内に追加し、それによって、信号ビームを増幅させる。各励起光子が1つの信号光子および1つのアイドラ光子に完全に変換されるため、非線形結晶は、光学パラメトリック増幅プロセスによって有意に加熱されない。
【0004】
従来の光学利得媒体内にあるが、非線形結晶内にエネルギー貯蔵はない。故に、増幅プロセスの最適効率のために、励起ビームおよび信号ビームのパルス持続時間は、緊密に合致されるべきであり、パルスは、時間的に重複するべきである。光学パラメトリック増幅は、わずか数ミリメートル(mm)の長さである非線形結晶における数桁の大きさの光学利得を提供することができる。この比較的に高い利得とは、大部分の場合、2つ以下の増幅段が要求されることを意味する。
【0005】
光学パラメトリックチャープパルス増幅は、超短パルスレーザ放射線のビームを増幅させるために使用される。超短パルスレーザビームは、広スペクトル帯域幅を有する。例えば、パルスは、300フェムト秒(fs)未満の持続時間および3ナノメートル(nm)を上回る対応するスペクトル帯域幅を有する。チャープパルス光学パラメトリック増幅では、増幅の間、光学損傷閾値を下回る信号ビームのピーク強度を維持するために、信号ビーム内のパルスは、増幅に先立って時間的に拡張される。特に、非線形結晶の光学損傷閾値を下回ってピーク強度を維持する。信号パルスを1桁ナノ秒の持続時間に拡張することは、はるかにより高い励起パルスエネルギーを印加することを可能にし、したがって、はるかにより高い増幅された信号パルスエネルギーを取得する。増幅後、信号パルスは、時間的に圧縮されることができ、それによって、高パルスエネルギーと高ピーク電力とを有する超短増幅信号パルスを生産する。
【0006】
信号パルスを拡張することはまた、超短励起パルスを使用して超短信号パルスに合致させる必要を排除する。強力かつ比較的に単純なレーザは、ナノ秒励起パルスの励起ビームを提供することができる。例えば、ダイオード励起式Qスイッチソリッドステートレーザは、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)またはイットリウムオルトバナジン酸塩(YVO4)等のネオジム(Nd3+)またはイッテルビウム(Yb3+)でドープされた利得媒体を有する。典型的には、これらのレーザは、約950nm~1,100nmの電磁スペクトルの近赤外線領域内の波長を有する「基本ビーム」を送達する。光学パラメトリック増幅のために励起パルスとして使用されるべき十分に短波長を有するパルスを提供するために、近赤外線基本ビームは、基本ビームの波長の2分の1である波長を有する「第2高調波ビーム」に変換されなければならない。例えば、第2高調波ビームは、電磁スペクトルの可視の領域内に約475nm~550nmの波長を有する。別の光学的に非線形の結晶は、第2高調波ビームを基本ビームから発生させるために使用される。
【0007】
典型的従来技術の2段光学パラメトリックチャープパルス増幅配列では、第2高調波ビームは、より高い電力ビームおよびより低い電力ビームに分割される。第2高調波ビームに変換されないわずかな基本ビームは、破棄される。より低い電力ビームは、第1段の増幅器を励起するために使用され、より高い電力ビームは、第2段の増幅器を励起するために使用される。第2高調波ビームの約80%は、より高い電力ビームに指向され、第2高調波ビームの約20%は、より低い電力ビームに指向される。80%対20%の電力比率が、典型的であるが、他の電力比率も、ビーム分割要素の適した仕様によって提供されることができる。チャープ信号ビームは、第1段および第2段の増幅器において連続的に増幅される。光学パラメトリックチャープパルス増幅器のための設計基準の広範囲の詳細な説明は、解説記事「Design criteria for ultrafast optical parametric amplifiers」(C. Manzoni and G. Cerullo, J. Opt. 18(2016)103501)において提供される。
【0008】
従来技術の配列の有意な欠点は、第2高調波ビームへの基本ビームの効率変換が、せいぜい約50%であることである。ビームが非線形結晶を通して伝搬するにつれて、増幅されている信号ビームのスペクトル帯域幅によって、かつ時間的「ウォークオフ」によって、この変換効率は、限定される。両方の限界は、非線形結晶長さを数ミリメートル以下に制約する。基本ビームにおいて電力のかなりの無駄が存在する。電力を基本ビームからより高い全体的効率を伴う信号ビームに転換する多段光学パラメトリックチャープパルス増幅器の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「Design criteria for ultrafast optical parametric amplifiers」(C. Manzoni and G. Cerullo, J. Opt. 18(2016)103501)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
一側面では、本発明による光学増幅器装置は、基本レーザ放射線のビームを発生させるパルスレーザを備える。第1の光学的に非線形の結晶は、基本ビームを第2高調波レーザ放射線の第1のビームに部分的に変換し、未変換基本レーザ放射線の残留ビームを残す。第2の光学的に非線形の結晶は、残留基本ビームを第2高調波レーザ放射線の第2のビームに部分的に変換する。第1の光学パラメトリック増幅器段は、第2の第2高調波ビームによって光学的に励起され、信号ビームを増幅させるように配列される。第2の光学パラメトリック増幅器段は、第1の第2高調波ビームによって光学的に励起され、信号ビームをさらに増幅させるように配列される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
光学増幅器であって、
基本レーザ放射線のビームを発生させるパルスレーザと、
前記基本ビームを第2高調波レーザ放射線の第1のビームに部分的に変換し、未変換基本レーザ放射線の残留ビームを残す第1の光学的に非線形の結晶と、
前記残留基本ビームを第2高調波レーザ放射線の第2のビームに部分的に変換する第2の光学的に非線形の結晶と、
前記第2の第2高調波ビームによって光学的に励起され、信号ビームを増幅させるように配列される第1の光学パラメトリック増幅器段と、
前記第1の第2高調波ビームによって光学的に励起され、前記信号ビームをさらに増幅させるように配列される第2の光学パラメトリック増幅器段と
を備える、光学増幅器。
(項目2)
前記第1の増幅器段で増幅された前記信号ビームは、短パルスレーザによって発生され、パルスストレッチャによって拡張される、項目1に記載の光学増幅器。
(項目3)
前記パルスレーザおよび前記短パルスレーザにおけるパルス発生は、前記第1の増幅器段において、前記第2の第2高調波ビームのパルスおよび前記信号ビームのパルスを時間的に重複させるように同期される、項目2に記載の光学増幅器。
(項目4)
前記第2の増幅器段において、前記第1の第2高調波ビームのパルスおよび前記信号ビームのパルスを時間的に重複させるように配列される光学遅延をさらに含む、項目1に記載の光学増幅器。
(項目5)
前記第2の光学増幅器からの前記増幅された信号ビームは、前記増幅された信号ビームを時間的に圧縮するように配列されるパルスコンプレッサの中に指向される、項目1に記載の光学増幅器。
(項目6)
前記第1および第2の非線形結晶は、三ホウ酸リチウムまたはベータホウ酸バリウムから作製される、項目1に記載の光学増幅器。
(項目7)
前記第1および第2の増幅器段は、ベータホウ酸バリウムから作製される非線形結晶の形態にある、項目1に記載の光学増幅器。
(項目8)
前記第2の第2高調波ビームのパルスは、前記第1の第2高調波ビームのパルスより長い持続時間を有する、項目1に記載の光学増幅器。
(項目9)
前記基本ビームは、約950ナノメートル~約1,100ナノメートルの波長を有する、項目1に記載の光学増幅器。
(項目10)
前記基本ビームは、約1,030ナノメートルの波長を有する、項目9に記載の光学増幅器。
(項目11)
光学増幅器であって、
信号ビームを受け取り、前記信号ビームを増幅させるように配列される第1の光学パラメトリック増幅器段と、
前記増幅された信号ビームを受け取り、前記信号ビームをさらに増幅させるように配列される第2の光学パラメトリック増幅器段と、
基本レーザ放射線のビームを発生させるパルスレーザと、
前記基本ビームを第2高調波レーザ放射線の第1のビームに部分的に変換し、未変換基本レーザ放射線の残留ビームを残す第1の光学的に非線形の結晶であって、前記第1の第2高調波ビームは、前記第2の増幅器段に送達される、第1の光学的に非線形の結晶と、
前記残留基本ビームを第2高調波レーザ放射線の第2のビームに部分的に変換する第2の光学的に非線形の結晶であって、前記第2の第2高調波ビームは、前記第1の増幅器段に送達される、第2の光学的に非線形の結晶と、
前記第1の非線形結晶と前記第2の増幅器段との間に位置する光学遅延であって、前記光学遅延は、前記増幅された信号ビームのパルスおよび前記第1の第2高調波ビームのパルスが、前記第2の増幅器段において時間的に重複するように、配列される、光学遅延と
を備え、
前記基本ビームのパルスおよび前記信号ビームのパルスの発生は、前記第1の増幅器段において、前記第2の第2高調波ビームのパルスおよび前記信号ビームのパルスに時間的を重複させるように同期される、光学増幅器。
(項目12)
前記第1の増幅器において増幅された前記信号ビームは、短パルスレーザによって発生され、パルスストレッチャによって拡張される、項目1に記載の光学増幅器。
(項目13)
前記第2の光学増幅器からの前記増幅された信号ビームは、前記増幅された信号ビームを時間的に圧縮するように配列されるパルスコンプレッサの中に指向される、項目1に記載の光学増幅器。
(項目14)
前記第1および第2の非線形結晶は、三ホウ酸リチウムまたはベータホウ酸バリウムから作製される、項目1に記載の光学増幅器。
(項目15)
前記第1および第2の増幅器段は、ベータホウ酸バリウムから作製される非線形結晶の形態にある、項目1に記載の光学増幅器。
(項目16)
前記第2の第2高調波ビームのパルスは、前記第1の第2高調波ビームのパルスより長い持続時間を有する、項目1に記載の光学増幅器。
(項目17)
前記基本ビームは、約950ナノメートル~約1,100ナノメートルの波長を有する、項目1に記載の光学増幅器。
(項目18)
前記基本ビームは、約1,030ナノメートルの波長を有する、項目17に記載の光学増幅器。
(項目19)
信号ビームを増幅させる方法であって、
基本レーザ放射線のビームを発生させるステップと、
前記基本ビームの一部を第2高調波レーザ放射線の第1のビームに変換し、未変換基本レーザ放射線の残留ビームを残すステップと、
前記残留基本ビームの一部を第2高調波レーザ放射線の第2のビームに変換するステップと、
前記第2の第2高調波ビームを第1の光学パラメトリック増幅器段に指向するステップであって、前記第1の光学パラメトリック増幅器段は、それによって光学的に励起され、前記信号ビームを増幅させるように配列される、ステップと、
前記第1の第2高調波ビームを第2の光学パラメトリック増幅器段に指向するステップであって、前記第2の光学パラメトリック増幅器段は、それによって光学的に励起され、前記信号ビームをさらに増幅させるように配列される、ステップと
を含む、方法。
(項目20)
前記信号ビームは、パルス化され、前記信号ビームのパルスは、前記第1の光学パラメトリック増幅器段における増幅に先立って拡張され、前記信号ビームのパルスは、前記第2の光学パラメトリック増幅器段における増幅後に圧縮される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記信号ビームおよび前記基本ビームは、パルス化され、前記信号ビームパルスおよび前記基本ビームパルスの発生は、前記第1のパラメトリック増幅器段において、前記第2の第2高調波ビームのパルスおよび前記信号ビームのパルスを時間的に重複させるように同期される、項目19に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する付随の図面は、本発明の好ましい実施形態を図式的に図示し、上記に与えられる一般的説明および下記に与えられる好ましい実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を解説する役割を果たす。
【0012】
【
図1】
図1は、本発明による、光学パラメトリックチャープパルス増幅器の好ましい実施形態を図式的に図示し、光学パラメトリックチャープパルス増幅器は、基本ビームを送達するパルスレーザと、基本ビームから第1の第2高調波ビームを発生させる第1の非線形結晶と、残留基本ビームから第2の第2高調波ビームを発生させる第2の非線形結晶とを含み、第1の第2高調波ビームおよび第2の第2高調波ビームは、それぞれ、第2の増幅器段および第1の増幅器段を光学的に励起する。
【
図2A】
図2Aおよび2Bは、
図1の光学増幅器のある実施例における、正規化された計算された電力を、基本ビーム、残留基本ビーム、第1の第2高調波ビーム、および第2の第2高調波ビームのそれぞれの1つのパルスに対する時間の関数として図式的に図示するグラフである。
【
図2B】
図2Aおよび2Bは、
図1の光学増幅器のある実施例における、正規化された計算された電力を、基本ビーム、残留基本ビーム、第1の第2高調波ビーム、および第2の第2高調波ビームのそれぞれの1つのパルスに対する時間の関数として図式的に図示する、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
ここで図面に目を向けると、同様の特徴は、同様の参照番号によって識別され、
図1は、本発明による、光学パラメトリックチャープパルス増幅器10の好ましい実施形態を図式的に図示する。光学増幅器10は、光学的に非線形の結晶の形態における、それぞれ、第1および第2の光学パラメトリック増幅器段12および14を備える。
【0014】
光学増幅器10はまた、パルスレーザ16を含み、これは、単一矢頭Fによって識別されるパルス化される基本レーザ放射線のビームを発生させる。第2高調波発生のために配列される第1の光学的に非線形の結晶18は、基本ビームFを、二重矢頭SH1によって識別されるパルス化される第2高調波レーザ放射線のビームに部分的に変換する。第2高調波ビームSH1の波長は、基本ビームFの波長の半分である。第2高調波発生は、未変換基本レーザ放射線RF1の残留ビームを残す。実施例として、第2高調波ビームSH1は、元の基本ビームFの電力の約50%を有する。同等に、基本ビームFの各元のパルスは、第2高調波ビームSH1のパルスおよび残留基本ビームRF1のパルスに分割され、その各パルスは、元のパルスのエネルギーの約50%を有する。
【0015】
第2高調波ビームSH1および残留基本ビームRF1は、ダイクロイックミラー20によって空間的に分離され、これは、第2高調波ビームSH1を反射させ、残留基本ビームRF1を透過させる。また、第2高調波発生のために配列される第2の光学的に非線形の結晶22は、残留基本ビームRF1をパルス化される第2高調波レーザ放射線SH2のビームに部分的に変換する。再び、未変換基本レーザ放射線RF2の残留ビームがまた、存在する。第2高調波ビームSH2および残留基本ビームRF2は、別のダイクロイックミラー24によって空間的に分離され、これは、第2高調波ビームSH2を反射させる。ダイクロイックミラー24は、残留基本ビームRF2を透過させ、これは、破棄され得る、または、付加的前置増幅器段のための励起ビームを発生させるために使用され得る。
【0016】
第1の非線形結晶18において第2高調波発生によって枯渇される残留基本ビームRF1は、概して、基本ビームFよりも長いパルス持続時間および低いビーム品質を有する。これらの理由から、第2高調波発生は、概して、第1の非線形結晶18においてよりも第2の非線形結晶22において、効率的ではない。実施例として、残留基本ビームRF1は、約10%~約20%の範囲内の効率で、第2高調波ビームSH2に変換され、残留基本ビームRF2は、残留基本ビームRF1の電力の約80%~約90%を有する。第2高調波ビームSH2は、したがって、第2高調波ビームSH1の電力の約10%~20%を有する。光学増幅器10の最適な全体的効率に関して、第1の非線形結晶18において第2高調波発生の効率を最適化することが、好ましい。それにもかかわらず、第2の非線形結晶22において20%を上回る変換効率は、依然として、慎重な最適化によって達成されることができる。
【0017】
短パルスレーザ26は、大きい単一矢頭Sによって識別されるパルス化されるシードレーザ放射線のビームを発生させ、光学増幅器10において増幅される。シードビームSは、超短パルスおよび広スペクトル帯域幅を有する。シードビームSは、第2高調波ビームSH1およびSH2よりも波長が長い。実施例として、短パルスレーザ26は、超高速レーザ共振器を含み、シードビームSを生産するために超連続発生を使用し得る。
【0018】
シードビームSは、超短パルスを時間的に拡張するように配列されるパルスストレッチャ28に指向され、拡張されるシードビームS1を生産する。拡張されるシードビームS1におけるパルスは、第2高調波ビームSH1およびSH2のパルスに匹敵する持続時間を有する。固定されて可変であるパルスストレッチャ配列は、当技術分野において周知である。その詳述される説明は、したがって、本発明の原理の理解のために必要ではなく、故に、本明細書に提示されない。
【0019】
ダイクロイックミラー30は、第2高調波ビームSH2を受け取り、ダイクロイックミラー24から反射され、かつ拡張されるシードビームS1を伴って第1の増幅器段12の中に共通経路に沿って第2高調波ビームSH2を指向する。第2高調波ビームSH2のパルスおよび拡張されるシードビームS1のパルスが時間的に重複するように、パルスレーザ16および短パルスレーザ26におけるパルス発生は、同期される。第1の増幅器段12を通したこれらの共伝搬するビームの通過の間、時間的重複が、光学パラメトリック増幅のために要求される。第2高調波ビームSH2は、励起ビームであり、拡張されるシードビームS1は、第1の増幅器段12において信号ビームである。第1の段の光学パラメトリック増幅は、増幅された信号ビームS2を生産する。
【0020】
ダイクロイックミラー20は、光学遅延32を通して第2高調波ビームSH1を指向する。第2高調波ビームSH1は、別のダイクロイックミラー34上に伝搬し続け、これは、増幅された信号ビームS2を伴って共通経路に沿って第2高調波ビームSH1を指向する。光学遅延32は、第2高調波ビームSH1のパルスおよび増幅された信号ビームS2のパルスが、第2の増幅器段14を通したこれらの共伝搬するビームの通過の間、時間的に重複するように、配列される。第2高調波ビームSH1は、励起ビームであり、増幅された信号ビームS2は、第2の増幅器段14における信号ビームである。第2の段の光学パラメトリック増幅は、さらなる増幅された信号ビームS3を生産し、これは、光学増幅器10からの出力ビームである。
【0021】
増幅された信号ビームS3は、随意のパルスコンプレッサ36に送達されてもよく、これは、増幅された拡張されるパルスを時間的に圧縮するように配列され、増幅された圧縮された信号ビームS4を生産する。増幅された圧縮された信号ビームS4内のパルスは、元のシードビームS内のパルスの持続時間に匹敵する持続時間を有し得る。パルスコンプレッサ配列は、当技術分野において周知であり、その詳述される説明は、本発明の原理を理解するために必要ではない。
【0022】
実施例として、基本ビームFは、近赤外線波長を有し、第2高調波ビームSH1およびSH2は、対応する可視波長を有する。例えば、近赤外線波長は、950nm~1,100nmの範囲内である。これらのビームは、数百フェムト秒~数ナノ秒の範囲内のパルス持続時間を有してもよい。第1および第2の光学的に非線形の結晶は、三ホウ酸リチウム(LBO)またはベータホウ酸バリウム(BBO)から作製され得る。第1および第2の増幅器段における非線形結晶はまた、LBOまたはBBOから作製され得る。
【0023】
増幅された信号ビームS2およびS3は、第1および第2の増幅器段におけるシードビームの波長の変動および非線形結晶の回転によって、可視および赤外線波長にわたって同調されてもよい。シードおよび信号ビームの中心波長は、第1および第2の増幅器段の非線形結晶におけるパラメトリック増幅に対して位相合致されることができる任意の波長であってもよい。約1,030nmの基本波長および約515nmの第2高調波波長に関して、LBOまたはBBOから作製される適切に配向される結晶は、600nmから最大で材料が不透明になる波長(これは2,000nmを上回る)までの範囲内の波長を有するビームを増幅させることができる。
【0024】
図2Aおよび2Bは、
図1の光学増幅器10のある実施例において、1,030nmの基本波長および515nmの第2高調波波長に対して、正規化された計算された電力を時間の関数として図式的に図示するグラフである。実施例では、第2高調波レーザ放射線は、BBO結晶内でタイプ-1第2高調波発生によって発生される。図面は、基本ビームF、残留基本ビームRF
1、第2高調波ビームSH
1、および第2高調波ビームSH
2のそれぞれにおける1つのパルスを描写する。これらのパルスは、比較の目的のために図面内で重複する。
【0025】
図2Aは、第1の非線形結晶18内の基本ビームFの第2高調波発生が、残留基本ビームRF
1のパルスのピークを優先的に枯渇させることを示し、これは、このパルスの持続時間を効果的に増加させる。
図2Bは、第2の非線形結晶22内で発生される第2高調波ビームSH
2のパルスが、したがって、第1の非線形結晶18内で発生される第2高調波ビームSH
1のパルスより長い持続時間を有することを示す。第2高調波ビームSH
2のパルスを長くすることは、ひいては、第1の増幅器段12内で発生される増幅された拡張されるシードビームS
2のパルスを長くし、第1の段の光学パラメトリック増幅において狭まる時間的利得を補償する。増幅された拡張されるシードビームS
2のより長いパルスは、第2の増幅器段14における第2高調波ビームSH
1のパルスとの改良された時間的重複を有し、それによって、第2の段の光学パラメトリック増幅の効率を増加させる。
【0026】
本発明の2段光学パラメトリックチャープパルス増幅器は、従来技術の2段配列に優る全体的効率における有意な増加をもたらす。第2高調波ビームSH1における電力全てが、第2の増幅器段14の中に指向される。対照的に、従来技術の配列では、第2高調波ビームにおける電力の約80%のみが、最終増幅器段の中に指向される。第2高調波ビームの電力の全てを第2の増幅器段の中に指向することは、第2の増幅器段における信号ビームに約25%を上回る利得を提供することができる。一方、残留基本ビームRF1内の電力は、従来技術の配列におけるように破棄されるのではなく、第1の増幅器段12に対する励起ビームを発生させるために利用される。上記に議論されるように、増幅された拡張されるビームS2のパルスは、本発明の第2の増幅器段14における第2高調波ビームSH1のパルスとの良好な時間的重複を有する。先行技術の配列では、第1の増幅器段において狭まる時間的利得は、最終増幅器段における励起パルスより短い信号パルスを作製し、これは、励起パルスから信号パルスへの電力伝達を限定する。全体的に、本発明の増幅器は、従来技術の配列より約50%より高い効率を有する。
【0027】
要約すると、拡張信号ビームは、第1の光学パラメトリック増幅器段において増幅され、次いで、第2の光学パラメトリック増幅器段においてさらに増幅される。第1の非線形結晶は、第2の増幅器段を励起するために、基本ビームを第2高調波ビームに変換し、残留基本ビームを残す。第2の非線形結晶は、第1の増幅器段を励起するために、残留基本ビームを別の第2高調波ビームに変換する。
【0028】
本発明は、好ましい実施形態の観点から、上記に説明される。本発明は、しかしながら、本明細書に説明および描写される実施形態によって限定されない。むしろ、本発明は、本明細書に添付の請求項によってのみ限定される。
【外国語明細書】