(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025167805
(43)【公開日】2025-11-07
(54)【発明の名称】中空シャフト部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 41/04 20060101AFI20251030BHJP
B21D 51/10 20060101ALI20251030BHJP
B21C 37/16 20060101ALI20251030BHJP
【FI】
B21D41/04 C
B21D51/10
B21C37/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072732
(22)【出願日】2024-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116655
【氏名又は名称】愛知製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
(74)【代理人】
【識別番号】100115657
【弁理士】
【氏名又は名称】進藤 素子
(74)【代理人】
【識別番号】100196759
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 雪
(72)【発明者】
【氏名】島田 岳幸
(72)【発明者】
【氏名】三浦 海斗
【テーマコード(参考)】
4E028
【Fターム(参考)】
4E028FA07
(57)【要約】
【課題】軸部に対するフランジ部の後付けが不要で、材料選択の自由度が高い中空シャフト部材の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】中空ワーク1cは一体物である。軸部2cとフランジ部3cとは一体的に連なっている。成形孔503は、フランジ部ガイド部504と、軸部ガイド部505と、口絞り部506と、を有している。中空シャフト部材1dの製造方法においては、中空ワーク1cを成形孔503に押し込むことにより、中空シャフト部材1dの軸部2dにテーパー部211dを成形する。当該製造方法は、口絞り工程を有している。口絞り工程においては、鍛造により中空ワーク1cを成形孔503に押し込む際に、フランジ部ガイド部504でフランジ部3cをガイドすることにより中空ワーク1cの姿勢を安定化させながら、口絞り部506で中空部4cの開口40cに口絞り加工を施し、軸部2dにテーパー部211dを成形する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部と、前記軸部から径方向外側に突出するフランジ部と、前記軸部の軸方向一端に開口する中空部と、を備える中空ワークを、ダイの成形孔に押し込むことにより、前記軸部にテーパー部を成形する中空シャフト部材の製造方法であって、
前記中空ワークは一体物であって、前記軸部と前記フランジ部とは一体的に連なっており、
前記軸部の軸方向であって前記成形孔に対する前記中空ワークの押込方向を押込方向、前記軸方向一端側であって前記押込方向の前側を前側、前記押込方向の後側を後側として、
前記成形孔は、フランジ部ガイド部と、前記フランジ部ガイド部の前記前側に配置され前記フランジ部ガイド部よりも内径が小径の軸部ガイド部と、前記軸部ガイド部の前記前側に配置され前記後側から前記前側に向かって内径が縮径する口絞り部と、を有し、
鍛造により前記中空ワークを前記成形孔に押し込む際に、前記フランジ部ガイド部で前記フランジ部をガイドすることにより前記中空ワークの姿勢を安定化させながら、前記口絞り部で前記中空部の開口に口絞り加工を施し、前記軸部に前記テーパー部を成形する口絞り工程を有することを特徴とする中空シャフト部材の製造方法。
【請求項2】
前記軸部が前記口絞り部に押し込まれる前の状態を未圧入状態として、
前記未圧入状態において、前記軸部と前記軸部ガイド部との間には、1.0mm以上2.5mm以下の隙間が確保される請求項1に記載の中空シャフト部材の製造方法。
【請求項3】
前記押込方向に対する前記口絞り部の傾斜角度である絞り角は、20°未満である請求項1に記載の中空シャフト部材の製造方法。
【請求項4】
前記口絞り工程前における前記中空部の内径を成形前内径、前記口絞り工程後における前記テーパー部の最小外径を成形後外径として、
前記成形前内径は、前記成形後外径よりも小さい請求項1に記載の中空シャフト部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フランジ付きの中空シャフト部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フランジ付きの中空シャフト部材は、例えば、絞り加工により中空のハイプ材を縮管し(例えば特許文献1参照)、当該パイプ材にフランジ部を接合する方法を用いて、製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当該製造方法の場合、パイプ材にフランジ部を接合つまり後付けする必要がある。このため、工数が多く、工程が煩雑である。また、軸部の材料として、パイプ材を用いる必要がある。このため、材料選択の自由度が低い。そこで、本開示の中空シャフト部材の製造方法は、軸部に対するフランジ部の後付けを不要とし、材料選択の自由度を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決するため、本開示の中空シャフト部材の製造方法は、軸部と、前記軸部から径方向外側に突出するフランジ部と、前記軸部の軸方向一端に開口する中空部と、を備える中空ワークを、ダイの成形孔に押し込むことにより、前記軸部にテーパー部を成形する中空シャフト部材の製造方法であって、前記中空ワークは一体物であって、前記軸部と前記フランジ部とは一体的に連なっており、前記軸部の軸方向であって前記成形孔に対する前記中空ワークの押込方向を押込方向、前記軸方向一端側であって前記押込方向の前側を前側、前記押込方向の後側を後側として、前記成形孔は、フランジ部ガイド部と、前記フランジ部ガイド部の前記前側に配置され前記フランジ部ガイド部よりも内径が小径の軸部ガイド部と、前記軸部ガイド部の前記前側に配置され前記後側から前記前側に向かって内径が縮径する口絞り部と、を有し、鍛造により前記中空ワークを前記成形孔に押し込む際に、前記フランジ部ガイド部で前記フランジ部をガイドすることにより前記中空ワークの姿勢を安定化させながら、前記口絞り部で前記中空部の開口に口絞り加工を施し、前記軸部に前記テーパー部を成形する口絞り工程を有することを特徴とする。
【0006】
本開示の中空シャフト部材は、フランジ付きの中空シャフト部材である。本構成によると、中空ワークは一体物であり、軸部とフランジ部とは一体的に連なっている。このため、中空ワークの軸部にフランジ部を後付けする必要がない。したがって、製造工数を削減することができる。また、工程を簡単化することができる。本構成によると、軸部の材料として、中空のパイプ材や中実のバルク材などを選択することができる。このため、材料選択の自由度が高い。
【0007】
本構成の成形孔は、フランジ部ガイド部を備えている。このため、中空ワークを成形孔に押し込む際、フランジ部ガイド部でフランジ部をガイドすることにより、中空ワークの姿勢を安定化させることができる。したがって、成形孔に対して、中空ワークを調芯することができる。
【0008】
(1-1)上記(1)の構成において、前記中空ワークは、中実のバルク材から製造される構成とする方がよい。本構成によると、中空シャフト部材を、中空のパイプ材と比較して安価な、中実のバルク材から製造することができる。このため、中空シャフト部材をパイプ材から製造する場合と比較して、製造コストを削減することができる。
【0009】
(1-2)上記いずれかの構成において、前記口絞り加工は、冷間鍛造により実行される構成とする方がよい。本構成によると、中空ワークを意図的に加熱することなく、中空部の開口に口絞り加工を施し、軸部にテーパー部を成形することができる。
【0010】
(1-3)上記いずれかの構成において、前記軸部に前記テーパー部が成形される間、前記フランジ部ガイド部は継続的に前記フランジ部をガイドする構成とする方がよい。本構成によると、テーパー部が成形される間、継続的に中空ワークの姿勢を安定化させることができる。
【0011】
(1-4)上記いずれかの構成において、前記口絞り部は、前記後側から前記前側に向かって内径が縮径する孔側テーパー部を複数有し、複数の孔側テーパー部は、前記軸方向に、所定間隔ずつ離間して配置される構成とする方がよい。本構成によると、口絞り工程において、口絞り部の孔側テーパー部により、軸部にテーパー部を成形することができる。また、軸部に、複数のテーパー部を、断続的に配置することができる。
【0012】
(1-5)上記いずれかの構成において、前記中空シャフト部材は、モーターのローターシャフトの中間品である構成とする方がよい。本構成によると、ローターシャフトを製造する際、中空ワークの軸部にフランジ部を後付けする必要がない。このため、ローターシャフトの製造工数を削減することができる。また、工程を簡単化することができる。
【0013】
(2)上記いずれかの構成において、前記軸部が前記口絞り部に押し込まれる前の状態を未圧入状態として、前記未圧入状態において、前記軸部と前記軸部ガイド部との間には、1.0mm以上2.5mm以下の隙間が確保される構成とする方がよい。
【0014】
口絞り工程においては、押込荷重および反力により、軸部は前後方向(軸方向)から圧縮される。当該圧縮力により、軸部は、径方向外側に膨張しやすくなる。このため、軸部のうち、軸部ガイド部の内部空間に未だ進入していない部分(以下、「軸部ガイド部未進入部分」と称す)は、軸部ガイド部の内部空間に進入しにくくなる。また、軸部のうち、軸部ガイド部の内部空間に進入済みの部分(以下、「軸部ガイド部進入部分」と称す)は、軸部ガイド部に圧接しやすくなる。
【0015】
この点、本構成によると、未圧入状態において、軸部と軸部ガイド部との間に隙間が確保されている。当該隙間により、軸部の膨張量を吸収することができる。このため、軸部ガイド部未進入部分が軸部ガイド部の内部空間に進入しやすくなる。また、軸部ガイド部進入部分が軸部ガイド部に圧接しにくくなる。
【0016】
未圧入状態において、隙間は1.0mm以上に設定されている。このため、隙間が1.0mm未満の場合と比較して、軸部ガイド部未進入部分が軸部ガイド部の内部空間に進入しやすくなる。また、軸部ガイド部進入部分が軸部ガイド部に圧接しにくくなる。また、未圧入状態において、隙間は2.5mm以下に設定されている。このため、隙間が2.5mm超過の場合と比較して、口絞り工程完了後に、隙間が軸部の膨張部分により埋まりやすくなる。したがって、軸部の外径を安定化させることができる。
【0017】
(3)上記いずれかの構成において、前記押込方向に対する前記口絞り部の傾斜角度である絞り角は、20°未満である構成とする方がよい。絞り角が大きくなると、押込荷重が縮径方向に作用しやすく、押込方向に作用しにくくなる。このため、中空ワークが押込方向に進行しにくくなる。この点、本構成によると、絞り角は20°未満に設定されている。このため、絞り角が20°以上の場合と比較して、中空ワークが押込方向に進行しやすくなる。
【0018】
(4)上記いずれかの構成において、前記口絞り工程前における前記中空部の内径を成形前内径、前記口絞り工程後における前記テーパー部の最小外径を成形後外径として、前記成形前内径は、前記成形後外径よりも小さい構成とする方がよい。
【0019】
「成形前内径≧成形後外径」の場合、絞り量が大きくなる。絞り量が大きくなると、中空ワークが押込方向に進行しにくくなる。この点、本構成によると、「成形前内径<成形後外径」に設定されている。このため、「成形前内径≧成形後外径」の場合と比較して、中空ワークが押込方向に進行しやすくなる。したがって、テーパー部の押込方向全長を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の中空シャフト部材の製造方法によると、軸部に対するフランジ部の後付けを不要とし、材料選択の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1(A)~
図1(E)は、ローターシャフトの製造方法の各工程におけるワークの上下方向断面図である。
【
図2】
図2は、中空シャフト部材の製造方法の口絞り工程初期における鍛造金型の上下方向断面図である。
【
図3】
図3は、同工程終期における鍛造金型の上下方向断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1の解析結果(第一段階)を示すコンター図である。
【
図5】
図5は、実施例1の解析結果(第二段階)を示すコンター図である。
【
図6】
図6は、実施例1の解析結果(第三段階)を示すコンター図である。
【
図7】
図7は、実施例2の解析結果(第一段階)を示すコンター図である。
【
図8】
図8は、実施例2の解析結果(第二段階)を示すコンター図である。
【
図9】
図9は、実施例2の解析結果(第三段階)を示すコンター図である。
【
図10】
図10は、実施例3の解析結果(第一段階)を示すコンター図である。
【
図11】
図11は、実施例3の解析結果(第二段階)を示すコンター図である。
【
図12】
図12は、実施例3の解析結果(第三段階)を示すコンター図である。
【
図13】
図13は、実施例4の解析結果(第一段階)を示すコンター図である。
【
図14】
図14は、実施例4の解析結果(第二段階)を示すコンター図である。
【
図15】
図15は、実施例4の解析結果(第三段階)を示すコンター図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の中空シャフト部材の製造方法の実施の形態について説明する。
【0023】
[ローターシャフトの製造方法に対する、本実施形態の中空シャフト部材の製造方法の位置づけ]
まず、ローターシャフトの製造方法に対する、本実施形態の中空シャフト部材の製造方法の位置づけについて説明する。
図1(A)~
図1(E)に、ローターシャフトの製造方法の各工程におけるワークの上下方向断面図(軸方向断面図)を示す。
【0024】
なお、ワーク1a~1d、ローターシャフト1eの各部位のうち、符号(数字部分、文字部分)の数字部分が共通する部位同士は、互いに対応している。例えば、
図1(A)のワーク1aと
図1(B)のワーク1bとは、互いに対応している。また、
図1(C)、
図1(E)に示すワークの点線は、各々、直前の工程のワークの外形線を示している。例えば、
図1(E)に示すワーク1eの点線は、
図1(D)のワーク1dの外形線を示している。上下方向は本開示の「軸方向」、「押込方向」に、下側は本開示の「押込方向の前側」に、上側は本開示の「押込方向の後側」に、各々対応している。
【0025】
図1(A)から
図1(E)に向かって、ローターシャフトの製造方法は進行する。
図1(A)に示すワーク1aは、S35C(JIS G 4051)製の棒材から切り出された中実のバルク材である。
図1(B)に示すワーク1bは、ワーク1aに鍛造等の加工を施したものである。
図1(C)に示すワーク1cは、ワーク1bの中空部4bの内周面に切削加工を施したものである。
図1(D)に示すワーク1dは、ワーク1cに口絞り加工を施したものである。
【0026】
図1(E)に示すのは、ローターシャフト1eである。すなわち、ローターシャフト1eが完成品(製品)であり、ワーク1a~1dが中間品(製造過程の途中段階の物)である。後述するワーク1c、1dの構成に対応して、
図1(B)に示すワーク1bは、軸部2b(柱状部20b、筒状部21b)と、フランジ部3bと、中空部4bと、を備えている。同様に、
図1(E)に示すローターシャフト1eは、軸部2e(柱状部20e、筒状部21e)と、フランジ部3eと、中空部4eと、を備えている。
【0027】
本実施形態の中空シャフト部材の製造方法は、
図1(D)に示す口絞り工程を担当している。当該製造方法により、
図1(C)に示すワーク1cに口絞り加工を施している。
図1(C)に示すワーク1c(口絞り加工前のワーク)は、本開示の「中空ワーク」の概念に含まれる。
図1(D)に示すワーク1d(口絞り加工後のワーク)は、本開示の「中空シャフト部材」(フランジ付きの中空シャフト部材)の概念に含まれる。
【0028】
[ワークの構成]
次に、ワーク1c(本実施形態の中空シャフト部材の製造方法が実行される前のワーク)、ワーク1d(本実施形態の中空シャフト部材の製造方法が実行された後のワーク)の構成について説明する。
【0029】
ワーク1c(口絞り加工前のワーク)は、一体物であって、軸部2cと、フランジ部3cと、中空部4cと、を備えている。軸部2cは、上下方向に延在している。軸部2cは、柱状部20cと、筒状部21cと、を備えている。柱状部20cは、中実の同径(上下方向全長に亘って外径が一定)円柱状を呈している。筒状部21cは、中空の同径(上下方向全長に亘って外径および内径が一定)円筒状を呈している。筒状部21cは、柱状部20cの下側に連なっている。筒状部21cは、柱状部20cよりも外径が大径である。フランジ部3cは、円環状を呈している。フランジ部3cは、柱状部20cの下端部の外周面から径方向外側に突出している。柱状部20cとフランジ部3cとは一体的に連なっている。中空部4cは、筒状部21cの径方向内側に区画されている。中空部4cの開口40cは、筒状部21cの下端(軸方向一端)に開設されている。
【0030】
ワーク1d(口絞り加工後のワーク)とワーク1c(口絞り加工前のワーク)とは、筒状部21d、21c以外の形状が互いに一致している。ワーク1dの筒状部21dには、口絞り加工(本実施形態の中空シャフト部材の製造方法)により、テーパー部211dが成形されている。
【0031】
すなわち、筒状部21dは、円筒部210dと、テーパー部211dと、を備えている。円筒部210dは、同径円筒状を呈している。テーパー部211dは、円筒部210dの下側に連なっている。テーパー部211dは、上側から下側に向かって内径および外径が縮径する、テーパー状(テーパー筒状)を呈している。
【0032】
[ローターシャフトの構成]
次に、ローターシャフト1eの構成について、簡単に説明する。
図1(E)に示すローターシャフト1eの柱状部20eは、環状の軸受(図略)の径方向内側に圧入される。柱状部20eは「軸受圧入部」である。円筒部210eは、環状のローター(図略)の径方向内側に圧入される。円筒部210eは「ローター圧入部」である。テーパー部211eのうち、上側部分は、環状の軸受(図略)に、下側部分はシールリング(図略)に、各々圧入される。テーパー部211eの上側部分は「軸受圧入部」である。中空部4eには、開口40eを介して、冷却剤(オイル、冷却水など)が供給、排出される。
【0033】
[鍛造金型の構成]
次に、本実施形態の中空シャフト部材の製造方法に用いられる鍛造金型の構成について説明する。前述のとおり、本実施形態の中空シャフト部材の製造方法は、
図1(D)に示す口絞り工程を担当している。当該製造方法により、
図1(C)に示すワーク1cに口絞り加工を施している。
図2に、口絞り工程初期における鍛造金型の上下方向断面図を示す。
図3に、口絞り工程終期における鍛造金型の上下方向断面図を示す。
【0034】
図2~
図3に示すように、鍛造金型5は、金属製であって、下型(固定型)50と、上型(可動型)51と、ノックアウトピン53と、を備えている。下型50は、ダイ500と、ダイホルダ501と、ダイホルダ502と、を備えている。
【0035】
ダイホルダ501には、収容孔501Aが開設されている。収容孔501Aは、ダイホルダ501を上下方向に貫通している。ダイホルダ502は、ダイホルダ501の下側に配置されている。ダイホルダ502には、収容孔502Aが開設されている。収容孔502Aは、ダイホルダ502を上下方向に貫通している。
【0036】
ダイ500は、第一ダイ500Aと、第二ダイ500Bと、ピンガイド500Cと、を備えている。第一ダイ500Aは、円筒状を呈している。第一ダイ500Aは、ダイホルダ501の収容孔501Aに収容されている。第一ダイ500Aの径方向中心には、第一成形孔503Aが区画されている。第一成形孔503Aは、第一ダイ500Aを上下方向に貫通している。
【0037】
第一成形孔503Aの内周面は、上側から下側に向かって、フランジ部ガイド部504と、軸部ガイド部505と、を備えている。フランジ部ガイド部504は、同径(上下方向全長に亘って内径が一定)状を呈している。軸部ガイド部505は、フランジ部ガイド部504の下側に、段差部509を介して、連なっている。軸部ガイド部505は、同径状を呈している。軸部ガイド部505は、フランジ部ガイド部504よりも、内径が小径である。
【0038】
第二ダイ500Bは、ダイホルダ502の収容孔502Aに挿入されている。第二ダイ500Bは、第一ダイ500Aの下側に配置されている。第二ダイ500Bの径方向中心には、第二成形孔503Bが区画されている。第二成形孔503Bは、第二ダイ500Bを上下方向に貫通している。第二成形孔503Bは、第一成形孔503Aの下側に連なっている。
【0039】
第二成形孔503Bの内周面は、上側から下側に向かって、口絞り部506と、ピンガイド部507と、を備えている。口絞り部506は、軸部ガイド部505の下側に連なっている。口絞り部506の全面には、孔側テーパー部506aが配置されている。孔側テーパー部506aの内径は、上側から下側に向かって漸次的に縮径している。すなわち、孔側テーパー部506aは、テーパー面状を呈している。ピンガイド部507は、口絞り部506の下側に連なっている。
【0040】
成形孔503は、上側から下側に向かって、上述の第一成形孔503Aと、第二成形孔503Bと、を備えている。成形孔503の内周面は、上側から下側に向かって、フランジ部ガイド部504と、軸部ガイド部505と、口絞り部506と、ピンガイド部507と、を備えている。フランジ部ガイド部504、軸部ガイド部505、口絞り部506、ピンガイド部507は、上下方向に直線状に連なっている。
【0041】
ピンガイド500Cは、第二ダイ500Bの下側に配置されている。ピンガイド500Cには、ピン挿通孔508が区画されている。ピン挿通孔508は、ピンガイド500Cを上下方向に貫通している。ピン挿通孔508は、ピンガイド部507の下側に連なっている。
【0042】
ノックアウトピン53は、金属製であって、下側から、ピン挿通孔508、第二成形孔503B(ピンガイド部507の内部空間)に挿入されている。ノックアウトピン53は、上下方向(1軸方向)に往復動可能である。ノックアウトピン53は、成形孔503に対して、下側から進退可能である。
【0043】
上型51は、金属製のポンチ510を備えている。ポンチ510は、上下方向に延在している。ポンチ510は、上下方向(1軸方向)に往復動可能である。ポンチ510は、成形孔503(第一成形孔503A)に対して、上側から進退可能である。ポンチ510とノックアウトピン53とは、上下方向に対向している。
【0044】
[本実施形態の中空シャフト部材の製造方法]
次に、本実施形態の中空シャフト部材の製造方法について説明する。本実施形態の中空シャフト部材の製造方法は、口絞り工程を有している。口絞り工程により、
図1(C)に示すワーク1cに口絞り加工を施し、
図1(D)に示すワーク1dを製造する。
【0045】
具体的には、まず、
図2に示すように、ワーク1cを、下型50の成形孔503にセットする。セット状態において、ワーク1cの軸部2cの筒状部21cの下端(開口40c)は、口絞り部506の上端部(詳しくは、上端部よりも下側部分(孔側テーパー部506aの内部)に、上側から当接している。当該セット状態は、本開示の「未圧入状態」の概念に含まれる。
【0046】
未圧入状態において、フランジ部3cの外周面は、成形孔503のフランジ部ガイド部504に、全周的に当接している。未圧入状態において、上側(軸方向)から見て、軸部2cは、フランジ部ガイド部504の径方向内側に配置されている。軸部2cの外周面とフランジ部ガイド部504との間には、全周的に隙間C1が区画されている。隙間C1の径方向幅は、全周的に一定である。また、未圧入状態において、上側から見て、軸部2cは、軸部ガイド部505の径方向内側に配置されている。軸部2cの外周面と軸部ガイド部505との間には、全周的に隙間C2が区画されている。隙間C2の径方向幅は、全周的に一定である。
【0047】
このように、未圧入状態において、フランジ部3cは、成形孔503に、全周的に当接している。また、ワーク1cと成形孔503との間には、上側から下側に向かって、隙間C1と隙間C2とが区画されている。また、ワーク1cの中心軸A1は、成形孔503の孔軸A2に、調芯されている。
【0048】
次に、
図2、
図3に示すように、上側から、上型51のポンチ510を、成形孔503に挿入する。ポンチ510は、上側から、軸部2cの柱状部20cの上端部、フランジ部3cの上面に、圧接する。ポンチ510は、フランジ部ガイド部504に沿って、フランジ部3cを、段差部509に到達するまで、下側に押し込む。フランジ部3cが段差部509に到達するまでの間、軸部2cのうちフランジ部3cよりも下側の部分(筒状部21c)は、軸部ガイド部505の内部空間を、下側に移動する。筒状部21cの下側部分211cは、口絞り部506に押し込まれる。
図2、
図3に示すように、口絞り部506の孔側テーパー部506aにより開口40cに絞り加工が施され、下側部分211cが縮径変形することにより、筒状部21dにテーパー部211dが成形される。ポンチ510がストロークの下死点に到達すると、テーパー部211dの下端(開口40d)は、ノックアウトピン53に当接する。並びに、フランジ部3cの下面は、段差部509に当接する。このようにして、ワーク1dが完成する。その後の排出工程において、ノックアウトピン53により、下側から上側に向かって、ワーク1dを排出する。排出後のワーク1dに所定の加工が施されることにより、
図1(E)に示すローターシャフト1eが完成する。
【0049】
[作用効果]
次に、本実施形態の中空シャフト部材の製造方法の作用効果について説明する。
図2に示すように、ワーク1cは一体物であり、軸部2cとフランジ部3cとは一体的に連なっている。このため、ワーク1cの軸部2cにフランジ部3cを後付けする必要がない。したがって、製造工数を削減することができる。また、工程を簡単化することができる。
【0050】
図1(A)に示すように、ワーク1aは中実のバルク材である。本実施形態の中空シャフト部材の製造方法によると、軸部2cの材料として、中空のパイプ材や中実のバルク材などを選択することができる。このため、材料選択の自由度が高い。
【0051】
図2、
図3に示すように、成形孔503は、フランジ部ガイド部504を備えている。このため、ワーク1cを成形孔503に押し込む際、フランジ部ガイド部504でフランジ部3cをガイドすることにより、ワーク1cの姿勢を安定化させることができる。すなわち、成形孔503に対して、ワーク1cを調芯することができる。したがって、全周的に、軸部ガイド部505とワーク1cとの間に隙間C2を確保することができる。
【0052】
図1(A)、
図1(C)に示すように、本実施形態の中空シャフト部材の製造方法によると、ワーク1cは、ワーク1aつまり中実のバルク材から製造されている。このため、ワーク1d(つまりローターシャフト1e)を、中空のパイプ材と比較して安価な、中実のバルク材から製造することができる。このため、ワーク1dをパイプ材から製造する場合と比較して、製造コストを削減することができる。
【0053】
図2、
図3に示す口絞り加工は、冷間鍛造により実行される。このため、ワーク1cを意図的に加熱することなく、中空部4cの開口40cに口絞り加工を施し、軸部2dにテーパー部211dを成形することができる。
【0054】
図2、
図3に示すように、テーパー部211dが成形される間、フランジ部ガイド部504は継続的にフランジ部3c、3dをガイドしている。このため、テーパー部211dが成形される間、継続的にワーク1c、1dの姿勢を安定化させることができる。
【0055】
図1(D)、
図1(E)に示すように、ワーク1dは、モーターのローターシャフト1eの中間品である。このため、ローターシャフト1eの製造時に、ワーク1dの軸部2dにフランジ部3dを後付けする必要がない。したがって、ローターシャフト1eの製造工数を削減することができる。また、工程を簡単化することができる。
【0056】
図2、
図3に示す口絞り工程においては、軸部2cを口絞り部506に押し込む際の押込荷重、および当該押込荷重の反力により、軸部2cは上下方向(軸方向)から圧縮される。当該圧縮力により、軸部2cのうちの特に筒状部21cは、径方向外側に膨張しやすくなる。このため、筒状部21cのうち、
図2に示す軸部ガイド部未進入部分2ca(筒状部21cのうち、軸部ガイド部505の内部空間に未だ進入していない部分)は、軸部ガイド部505の内部空間に進入しにくくなる。また、
図2に示す軸部ガイド部進入部分2cb(筒状部21cのうち、軸部ガイド部505の内部空間に進入済みの部分)は、軸部ガイド部505に圧接しやすくなる。
【0057】
この点、本実施形態の口絞り工程によると、
図2に示すように、未圧入状態において、筒状部21cと軸部ガイド部505との間に隙間C2が確保されている。隙間C2により、筒状部21cの膨張量を吸収することができる。このため、軸部ガイド部未進入部分2caが軸部ガイド部505の内部空間に進入しやすくなる。また、軸部ガイド部進入部分2cbが軸部ガイド部505に圧接しにくくなる。
【0058】
未圧入状態において、隙間C2(隙間C2の径方向幅)は1.0mm以上に設定されている。このため、隙間C2が1.0mm未満の場合と比較して、軸部ガイド部未進入部分2caが軸部ガイド部505の内部空間に進入しやすくなる。また、軸部ガイド部進入部分2cbが軸部ガイド部505に圧接しにくくなる。また、未圧入状態において、隙間C2は2.5mm以下に設定されている。このため、隙間C2が2.5mm超過の場合と比較して、口絞り工程完了後に、隙間C2が筒状部21cの膨張部分により埋まりやすくなる。したがって、筒状部21cの外径を安定化させることができる。
【0059】
図2に示す絞り角θ1は、中心軸A1、孔軸A2の軸方向(押込方向)に対する口絞り部506(孔側テーパー部506a)の傾斜角度である。絞り角θ1が大きくなると、押込荷重が縮径方向に作用しやすく、押込方向に作用しにくくなる。このため、ワーク1cが押込方向に進行しにくくなる。この点、本実施形態の口絞り工程によると、絞り角θ1は20°未満に設定されている。このため、絞り角θ1が20°以上の場合と比較して、ワーク1cが押込方向に進行しやすくなる。
【0060】
図2に示す口絞り工程前における中空部4cの内径(
図3に示す口絞り工程後における円筒部210dの内径)を成形前内径D1、
図3に示す口絞り工程後におけるテーパー部211dの最小外径(テーパー部211dの下端の外径)を成形後外径D2として、成形前内径D1は、成形後外径D2よりも小さく設定されている。
【0061】
「成形前内径D1≧成形後外径D2」の場合、絞り量が大きくなる。絞り量が大きくなると、ワーク1cが押込方向に進行しにくくなる。この点、本実施形態の口絞り工程によると、「成形前内径D1<成形後外径D2」に設定されている。このため、「成形前内径D1≧成形後外径D2」の場合と比較して、ワーク1cが押込方向に進行しやすくなる。したがって、
図3に示すテーパー部211dの上下方向全長を大きくすることができる。
【0062】
[その他]
以上、本開示の中空シャフト部材の製造方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0063】
図2、
図3に示すように、口絞り部506は、単一の孔側テーパー部506aを備えている。しかしながら、口絞り部506における孔側テーパー部506aの配置数は特に限定しない。単一であっても複数であってもよい。例えば、複数の孔側テーパー部506aが、軸方向に、所定間隔ずつ離間して配置されていてもよい。こうすると、複数の孔側テーパー部506aの各々により、軸部2dに複数のテーパー部211dを成形することができる。すなわち、軸部2dに、複数のテーパー部211dを、断続的に配置することができる。複数の孔側テーパー部506aの絞り角θ1は、同一であっても異なっていてもよい。複数のテーパー部211dの傾斜角度(絞り角θ1に対応する角度)についても同様である。
【0064】
図1(C)に示すワーク1cは、ワーク1aつまり中実のバルク材から製造しても、中空のパイプ材から製造してもよい。
図2、
図3に示す口絞り加工は、冷間鍛造、温間鍛造、熱間鍛造のいずれかにより実行してもよい。軸部2c、2dにテーパー部211dを成形する間、継続的に、フランジ部ガイド部504がフランジ部3c、3dをガイドしてもよい。あるいは、軸部2c、2dにテーパー部211dを成形する間、断続的、または一時的に、フランジ部ガイド部504がフランジ部3c、3dをガイドしてもよい。
【0065】
図1(D)に示すワーク1dは、モーターのローターシャフト1eの中間品であっても、中間品でなくてもよい。ローターシャフト1e以外のフランジ付き中空シャフト部材の中間品であってもよい。
図1に示すワーク1dは、完成品であってもよい。
【0066】
図2に示す未圧入状態において、筒状部21cと軸部ガイド部505との間には、隙間C2が確保されていても、確保されていなくてもよい。隙間C2が確保されている場合、隙間C2の径方向幅は、全周的に均一であっても、不均一であってもよい。隙間C2の径方向幅が全周的に均一である場合、当該径方向幅は、1.0mm以上であっても、1.0mm未満であってもよい。隙間C2の径方向幅が全周的に均一である場合、当該径方向幅は、2.5mm以下であっても、2.5mm超過であってもよい。
【0067】
図2、
図3に示す絞り角θ1は、特に限定しない。絞り角θ1は、20°未満であっても、20°以上であってもよい。成形前内径D1と成形後外径D2との大小関係は特に限定しない。「成形前内径D1≧成形後外径D2」であっても、「成形前内径D1<成形後外径D2」であってもよい。
【0068】
図1(E)に示すローターシャフト1eの柱状部20eは、中実であっても、中空であってもよい。例えば、柱状部20eに、自身を上下方向に貫通し、中空部4eに連なる軸方向貫通孔が開設されていてもよい。当該軸方向貫通孔、中空部4eを介して、冷却剤を流動させてもよい。当該軸方向貫通孔と柱状部20eの外周面との間、中空部4eとテーパー部211eとの間のうち、少なくとも一方に、径方向貫通孔を開設してもよい。当該径方向貫通孔を介して、冷却剤を軸受(図略)に供給してもよい。
【0069】
鍛造金型5の下型50のダイ500における芯金(図略)の有無は特に限定しない。例えば、
図2、
図3に示すノックアウトピン53の上面に、テーパー部211dの内周面を成形するための、芯金を配置してもよい。こうすると、テーパー部211dの内径精度を向上させることができる。
【実施例0070】
以下、本開示の中空シャフト部材の製造方法について行ったCAE(Computer Aided Engineering)解析について、
図1~
図3を援用しながら説明する。解析においては、以下に示す4水準(実施例1~4)を設定し、上述の中空シャフト部材の製造方法(口絞り工程)を模擬試験した。
【0071】
[実施例1~4について]
実施例1~4においては、各々、
図1(C)に示すワーク1cと同様の材質、構成のワークを用いた。実施例1のワークについて、
図2、
図3に示す隙間C2の径方向幅は1.0mm(1.0mm以上2.5mm以下の範囲内)、絞り角θ1は7°(20°未満の範囲内)、成形前内径(直径)D1はφ29.5mm、成形後外径(直径)D2はφ30.2mm(成形前内径D1<成形後外径D2)である。
【0072】
実施例2のワークと実施例1のワークとの相違点は、隙間C2の径方向幅だけである。実施例2のワークの隙間C2の径方向幅は0.3mm(1.0mm以上2.5mm以下の範囲外)である。実施例3のワークと実施例1のワークとの相違点は、絞り角θ1だけである。実施例3のワークの絞り角θ1は20°(20°未満の範囲外)である。
【0073】
実施例4のワークと実施例1のワークとの相違点は、成形前内径D1と成形後外径D2との大小関係だけである。実施例4のワークの成形前内径D1はφ29.5mm、成形後外径D2はφ27.8mmである。すなわち、実施例4のワークの場合、「成形前内径D1<成形後外径D2」の関係が成立していない。
【0074】
[解析条件について]
解析は、塑性加工シミュレーションソフトウェアであるFORGE(Transvalor社製)を用いて行った。解析においては、口絞り工程におけるワークの応力分布を演算した。成形速度(ポンチ510の下降速度)は、10mm/sとした。口絞り工程開始時のワーク全体および鍛造金型の温度は、20℃とした。ワークと鍛造金型との間の摩擦係数μは0.05とした。
【0075】
[解析結果について]
(実施例1)
図4~
図6に、実施例1(水準1)の解析結果(第一段階~第三段階)をコンター図で示す。なお、
図4~
図6は、
図2、
図3同様の上下方向断面図である。
図4の左端のバーに示すように、黒色の濃い部分が応力(圧縮応力)が低い部分である。黒色の淡い部分が応力が高い部分である。濃(黒色)から淡(白色)に向かって、応力は高くなる。
【0076】
図4(第一段階、口絞り加工開始)、
図2に示すように、未圧入状態において、フランジ部3cの外周面は、成形孔503のフランジ部ガイド部504に、全周的に当接している。また、ワーク1cと成形孔503との間には、隙間C1、C2が区画されている。また、ワーク1cの中心軸A1は、成形孔503の孔軸A2に、調芯されている。
【0077】
図5(第二段階、口絞り加工途中)、
図6の第三段階(口絞り加工完了)、
図2、
図3に示すように、口絞り加工の進行に伴い、ポンチ510は、フランジ部ガイド部504に沿って、フランジ部3cを、段差部509に到達するまで、下側に押し込む。筒状部21cの下側部分211cは、口絞り部506に押し込まれる。口絞り部506の孔側テーパー部506aにより、下側部分211cは縮径変形する。当該縮径変形により、筒状部21dにテーパー部211dが成形される。
【0078】
図4~
図6、
図2、
図3に示すように、口絞り加工の進行に伴い、ワーク1cには徐々に応力が加わっている。また、柱状部20cよりも、筒状部21cに、より高い応力が加わっている。また、筒状部21c中、特に下側部分211c(つまりテーパー部211d)に高い応力が加わっている。このように、実施例1によると、口絞り加工の進行に伴い、ワーク1cに応力が加わるものの、滞りなく、ワーク1cに口絞り加工を施すことができる。
【0079】
(実施例2)
図7~
図9に、実施例2(水準2)の解析結果(第一段階~第三段階)をコンター図で示す。図の見方については、前出の
図4~
図6と同様である。
図7~
図9に示すように、
図4~
図6同様に、口絞り加工の進行に伴い、ワークには徐々に応力が加わっている。
【0080】
図6と
図9とを比較すると(
図2、
図3を援用)、
図9の円筒部210dの上端部付近(フランジ部3dの根本部分)には、局所的に応力が集中している。このことから、実施例2の隙間C2の径方向幅は0.3mm(1.0mm以上2.5mm以下の範囲外)であるため、実施例1と比較して、
図2に示す軸部ガイド部未進入部分2caが隙間C2に進入しにくいことが判る。
【0081】
(実施例3)
図10~
図12に、実施例3(水準3)の解析結果(第一段階~第三段階)をコンター図で示す。図の見方については、前出の
図4~
図6と同様である。
図10~
図12に示すように、
図4~
図6同様に、口絞り加工の進行に伴い、ワークには徐々に応力が加わっている。
【0082】
図4と
図10とを比較すると(
図2、
図3を援用)、実施例1(
図4)と比較して、実施例3(
図10)の方が、口絞り部506(孔側テーパー部506a)の傾斜角度(絞り角θ1)が大きくなっている。これに伴い、実施例1と比較して、実施例3の方が、口絞り部506(孔側テーパー部506a)の上下方向長さが短くなっている。
【0083】
図5と
図11とを比較すると(
図2、
図3を援用)、実施例1(
図5)と比較して、実施例3(
図11)の方が、絞り角θ1が大きい分だけ、口絞り加工途中の応力は全体的に高くなることが判る。
【0084】
(実施例4)
図13~
図15に、実施例4(水準4)の解析結果(第一段階~第三段階)をコンター図で示す。図の見方については、前出の
図4~
図6と同様である。
図13~
図15に示すように、
図4~
図6同様に、口絞り加工の進行に伴い、ワークには徐々に応力が加わっている。
【0085】
図6、
図15に示すように(
図2、
図3を援用)、実施例1(
図6)、実施例4(
図15)共に、口絞り加工完了時において、円筒部210dの上側部分の応力が高くなっている。ただし、実施例1(
図6)よりも、実施例4(
図15)の方が、高い応力が分布している区間が広いことが判る。
【0086】
以上の解析により、実施例1~4(水準1~4)のいずれであっても、口絞り加工可能であることが判った。実施例1~4の中でも、特に、実施例1によると、ワーク全体に加わる応力、およびワークに局所的に加わる応力を、共に抑制できることが判った。
1a~1b:ワーク、1c:ワーク(中空ワーク)、1d:ワーク(中空シャフト部材)、1e:ローターシャフト、2c:軸部、20c:柱状部、21c:筒状部、211c:下側部分、21d:筒状部、210d:円筒部、211d:テーパー部、3c:フランジ部、4c:中空部、40c:開口、5:鍛造金型、50:下型、500:ダイ、500A:第一ダイ、500B:第二ダイ、500C:ピンガイド、501:ダイホルダ、501A:収容孔、502:ダイホルダ、502A:収容孔、503:成形孔、503A:第一成形孔、503B:第二成形孔、504:フランジ部ガイド部、505:軸部ガイド部、506:口絞り部、506a:孔側テーパー部、507:ピンガイド部、508:ピン挿通孔、509:段差部、51:上型、510:ポンチ、53:ノックアウトピン、A1:中心軸、A2:孔軸、C1:隙間、C2:隙間、D1:成形前内径、D2:成形後外径