(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016795
(43)【公開日】2025-02-04
(54)【発明の名称】色補正部材
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20250128BHJP
【FI】
A61C19/04 D
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024197381
(22)【出願日】2024-11-12
(31)【優先権主張番号】113106325
(32)【優先日】2024-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】202410730491.9
(32)【優先日】2024-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】113135516
(32)【優先日】2024-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522293984
【氏名又は名称】達▲けい▼股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葉 晋榮
(72)【発明者】
【氏名】郭 威州
(72)【発明者】
【氏名】李 淑琴
(72)【発明者】
【氏名】王 柏緯
(57)【要約】 (修正有)
【課題】色補正部材を提供する。
【解決手段】色補正部材は、第1の平面111がある本体11を備え、本体には第1の側辺113と、第2の側辺114と、第3の側辺115と、第4の側辺116とがあり、そのうちの第1の側辺は第3の側辺に対向し、第2の側辺は第4の側辺に対向する。第1のマーキング領域12は第1の平面上に設置され、第1の側辺に位置する。第2のマーキング領域13は第1の平面上に設置され、第1のマーキング領域に対向するように第3の側辺に設置される。第1の測色領域14は第1の平面上に設置され、第2の側辺に位置する。第2の測色領域15は第1の平面上に設置され、第1の測色領域に対向するように第4の側辺に設置される。これにより、歯の写真または仮歯との比色において色の信頼性を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面があり、且つ第1の側辺と、第2の側辺と、第3の側辺と、第4の側辺とがあって、前記第1の側辺は前記第3の側辺に対向し、前記第2の側辺は前記第4の側辺に対向する、本体と、
前記第1の平面上に設置され、前記第1の側辺に位置する、第1のマーキング領域と、
前記第1の平面上に設置され、前記第3の側辺に位置する、第2のマーキング領域と、
前記第1の平面上に設置され、前記第2の側辺に位置する、第1の測色領域と、
前記第1の平面上に設置され、前記第4の側辺に位置する、第2の測色領域とを備えることを特徴とする、
色補正部材。
【請求項2】
前記第1のマーキング領域と前記第2のマーキング領域のうちの一方に定規フレームがあり、他方に識別フレームがあることを特徴とする、
請求項1に記載の色補正部材。
【請求項3】
前記定規フレームには第1の枠線があり、前記識別フレームには第2の枠線があって、且つ前記第1の枠線の部分は前記第2の枠線の部分と同一水平線上に位置することを特徴とする、
請求項2に記載の色補正部材。
【請求項4】
前記定規フレームには基準線があることを特徴とする、
請求項2に記載の色補正部材。
【請求項5】
前記第1のマーキング領域と前記第2のマーキング領域のうちの一方に第1のマークがあり、他方に第2のマークがあることを特徴とする、
請求項1に記載の色補正部材。
【請求項6】
前記第1のマークは黒点十字であり、前記第2のマークは白点十字であって、前記第1のマークと前記第2のマークは同一水平線上に位置し、且つ間隔を有することを特徴とする、
請求項5に記載の色補正部材。
【請求項7】
前記第1の平面は灰色面を含み、且つ前記灰色面は無彩色であり、前記灰色面の色の色値の範囲は、明度が70~90、赤色緑色が±1.5であって、黄色青色が±1.5であることを特徴とする、
請求項1に記載の色補正部材。
【請求項8】
前記第1の測色領域と前記第2の測色領域にはそれぞれ複数の色ブロックがあり、且つ各前記色ブロックはそれぞれ完全に前記第2の側辺と前記第4の側辺の端まで延びていることを特徴とする、
請求項1に記載の色補正部材。
【請求項9】
前記第1の測色領域と前記第2の測色領域にはそれぞれ複数の色ブロックと複数の隣接ブロックがあり、前記複数の色ブロックと前記複数の隣接ブロックは互いに隣接し、且つ前記複数の色ブロックの両側はそれぞれ少なくとも1つの隣接ブロックに隣接しており、また、前記少なくとも1つの隣接ブロックの一側がそれぞれ前記第1の側辺と前記第3の側辺に隣接していることを特徴とする、
請求項7に記載の色補正部材。
【請求項10】
各前記少なくとも1つの隣接ブロックには前記第1の平面と同じ前記灰色面が含まれることを特徴とする、
請求項9に記載の色補正部材。
【請求項11】
各前記少なくとも1つの隣接ブロックが同じ色であることを特徴とする、
請求項9に記載の色補正部材。
【請求項12】
各前記少なくとも1つの隣接ブロックの幅は各前記複数の色ブロックの幅の2分の1であることを特徴とする、
請求項9に記載の色補正部材。
【請求項13】
前記複数の色ブロックと前記複数の隣接ブロックは上下に切り揃えられ、前記第1の側辺と前記第3の側辺との間に均等に設置されていることを特徴とする、
請求項9に記載の色補正部材。
【請求項14】
前記第1の測色領域と前記第2の測色領域にはそれぞれ少なくとも2つの色ブロックと少なくとも2つの隣接ブロックがあり、各前記少なくとも2つの隣接ブロックの幅は各前記少なくとも2つの色ブロックの幅の2分の1であって、且つ各前記少なくとも2つの隣接ブロックのうちの1つが前記少なくとも2つの色ブロックの一側に位置し、また、各前記少なくとも2つの隣接ブロックのもう1つが前記少なくとも2つの色ブロックのもう一側に位置しており、少なくとも2つの色ブロックと少なくとも2つの隣接ブロックは上下に切り揃えられ、前記第1の側辺と前記第3の側辺との間に設置されていることを特徴とする、
請求項9に記載の色補正部材。
【請求項15】
前記複数の色ブロックが互いに隣接している間には間隙があり、且つ前記間隙には前記第1の平面と同じ前記灰色面が含まれることを特徴とする、
請求項12に記載の色補正部材。
【請求項16】
前記複数の隣接ブロックの一側はそれぞれ前記第1の側辺と前記第3の側辺に隣接し、また、前記複数の隣接ブロックのもう一側には分割線があることを特徴とする、
請求項15に記載の色補正部材。
【請求項17】
前記分割線の幅は前記間隙の幅の1倍から1.5倍であることを特徴とする、
請求項16に記載の色補正部材。
【請求項18】
前記分割線の色は黒色であることを特徴とする、
請求項16に記載の色補正部材。
【請求項19】
前記第1の平面上に位置し、前記第1のマーキング領域と、前記第2のマーキング領域と、前記第1の測色領域と、前記第2の測色領域とを含む第1の印刷層を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の色補正部材。
【請求項20】
前記第1の印刷層上に位置する第1のめっき層を更に備えることを特徴とする、
請求項19に記載の色補正部材。
【請求項21】
前記本体には第2の平面があり、且つ前記第1の平面と前記第2の平面はそれぞれ前記本体の対向面に位置し、また、前記第2の平面上には第2の印刷層が設置され、前記第2の印刷層上に第2のめっき層があることを特徴とする、
請求項1に記載の色補正部材。
【請求項22】
前記本体には更に中心領域があり、前記第1のマーキング領域と、前記第2のマーキング領域と、前記第1の測色領域と、前記第2の測色領域とが前記中心領域を囲むように設置されていることを特徴とする、
請求項1に記載の色補正部材。
【請求項23】
各2つの隣接する色ブロックと隣接ブロックとの間に間隙があり、且つ各前記間隙の色が隣接する前記色ブロックおよび前記隣接ブロックの色と関連付けられていることを特徴とする、
請求項9に記載の色補正部材。
【請求項24】
前記色ブロックおよび前記隣接ブロックの色と関連付けられている前記間隙の色はHSV色空間によって表現されることを特徴とする、
請求項23に記載の色補正部材。
【請求項25】
前記色ブロックおよび前記隣接ブロックの色と関連付けられている前記間隙の色はHSL色空間によって表現されることを特徴とする、
請求項23に記載の色補正部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は色補正部材に関するものであり、特に視覚的な知覚、例えば色知覚を補正するための色補正部材に関する。更に、色補正部材を基準として、ディスプレイの表示画像と比較物の両者の色彩値を補正するために用いられ、色補正部材、ディスプレイの表示画像、および比較物の三者の色知覚値をほぼ一致させるものである。
【背景技術】
【0002】
特定の領域において、色知覚値は重要な要素である。例えば、補綴物(俗称:仮歯、入れ歯、義歯)の製作領域では、補綴物の正確な色補正は、患者の口腔全体の美観に関係する。また、現在の補綴物製造プロセスでは、色補正を完了した仮歯の写真とカラーガイドの色を1つ1つ比較するのに時間がかかることがよくある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カラーガイドは通常3D構造であり、使用時には方向や傾斜度などを調整するのに時間がかかり、その上でカラーガイドを用いて使用状況、環境、および色補正写真の信頼性を確認することができる。したがって、比色プロセスの時間を如何に短縮し、歯科技工士が最も効率的な時間内に比色を完了して、使用状況と色補正写真の信頼性を確認しなければならないことが、本技術分野で解決すべき重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、色補正部材を提供する。例えば、2次元平面カード式設計である。この色補正部材は、可視面において使用状況、環境、および色補正写真の信頼性を確認するために用いられる。即ち、色補正部材を基準として、ディスプレイの表示画像と比較物の両者の色彩値を補正し、色補正部材と、ディスプレイの表示画像と、比較物との三者の色知覚値をほぼ一致させるものである。
【0005】
本発明が提供する色補正部材は第1の平面がある本体を備え、前記本体には第1の側辺と、第2の側辺と、第3の側辺と、第4の側辺とがあり、そのうちの前記第1の側辺は前記第3の側辺に対向し、前記第2の側辺は前記第4の側辺に対向する。第1のマーキング領域は前記第1の平面上に設置され、前記第1の側辺に位置する。第2のマーキング領域は前記第1の平面上に設置され、前記第3の側辺に位置する。第1の測色領域は前記第1の平面上に設置され、前記第2の側辺に位置する。第2の測色領域は前記第1の平面上に設置され、前記第4の側辺に位置する。
【0006】
本発明の一実施例において、前記第1のマーキング領域と前記第2のマーキング領域のうちの一方に定規フレームがあり、他方に識別フレームがある。
【0007】
本発明の一実施例において、前記定規フレームには第1の枠線があり、また、前記識別フレームには第2の枠線があって、且つ前記第1の枠線の部分は前記第2の枠線の部分と同一水平線上に位置する。
【0008】
本発明の一実施例において、前記定規フレームには基準線がある。
【0009】
本発明の一実施例において、前記第1のマーキング領域と前記第2のマーキング領域のうちの一方に第1のマークがあり、他方に第2のマークがある。
【0010】
本発明の一実施例において、前記第1のマークは黒点十字であり、前記第2のマークは白点十字であって、且つ前記第1のマークと前記第2のマークは同一水平線上に位置し、間隔を有する。
【0011】
本発明の一実施例において、前記第1の平面は灰色面を含み、且つ前記灰色面は無彩色であり、前記灰色面の色の色値の範囲は、明度が70~90、赤色緑色が±1.5であり、黄色青色が±1.5の範囲である。
【0012】
本発明の一実施例において、前記第1の測色領域と前記第2の測色領域にはそれぞれ複数の色ブロックがあり、且つ各前記色ブロックはそれぞれ完全に前記第2の側辺と前記第4の側辺の端まで延びている。
【0013】
本発明の一実施例において、前記第1の測色領域と前記第2の測色領域にはそれぞれ複数の色ブロックと複数の隣接ブロックとがあり、前記複数の色ブロックと前記複数の隣接ブロックは互いに隣接し、且つ前記複数の色ブロックの両側はそれぞれ少なくとも1つの隣接ブロックに隣接しており、また、前記少なくとも1つの隣接ブロックの一側がそれぞれ前記第1の側辺と前記第3の側辺に隣接している。
【0014】
本発明の一実施例において、各前記少なくとも1つの隣接ブロックには前記第1の平面と同じ前記灰色面が含まれる。
【0015】
本発明の一実施例において、各前記少なくとも1つの隣接ブロックが同じ色である。
【0016】
本発明の一実施例において、各前記少なくとも1つの隣接ブロックの幅は各前記複数の色ブロックの幅の2分の1である。
【0017】
本発明の一実施例において、前記複数の色ブロックと前記複数の隣接ブロックは上下に切り揃えられ、前記第1の側辺と前記第3の側辺との間に均等に設置されている。
【0018】
本発明の一実施例において、前記第1の測色領域と前記第2の測色領域にはそれぞれ少なくとも2つの色ブロックと少なくとも2つの隣接ブロックがあり、そのうちの各前記少なくとも2つの隣接ブロックの幅は各前記少なくとも2つの色ブロックの幅の2分の1であって、且つ各前記少なくとも2つの隣接ブロックのうちの1つが前記少なくとも2つの色ブロックの一側に位置し、また、各前記少なくとも2つの隣接ブロックの他の1つが前記少なくとも2つの色ブロックのもう一側に位置しており、少なくとも2つの色ブロックと少なくとも2つの隣接ブロックは上下に切り揃えられ、前記第1の側辺と前記第3の側辺との間に設置されている。
【0019】
本発明の一実施例において、前記複数の色ブロックが互いに隣接している間には間隙があり、且つ前記間隙には前記第1の平面と同じ前記灰色面が含まれる。
【0020】
本発明の一実施例において、前記複数の隣接ブロックの一側はそれぞれ前記第1の側辺と前記第3の側辺に隣接し、また、前記複数の隣接ブロックのもう一側には分割線がある。
【0021】
本発明の一実施例において、前記分割線の幅は前記間隙の幅の1倍から1.5倍である。
【0022】
本発明の一実施例において、前記分割線の色は黒色である。
【0023】
本発明の一実施例において、前記色補正部材は、前記第1の平面上に位置し、前記第1のマーキング領域と、前記第2のマーキング領域と、前記第1の測色領域と、前記第2の測色領域とを含む第1の印刷層を更に備える。
【0024】
本発明の一実施例において、前記色補正部材は、前記第1の印刷層上に位置する第1のめっき層を更に備える。
【0025】
本発明の一実施例において、前記本体には第2の平面があり、且つ前記第1の平面と前記第2の平面はそれぞれ前記本体の対向面に位置し、また、前記第2の平面上には第2の印刷層が設置され、前記第2の印刷層上に第2のめっき層がある。
【0026】
本発明の一実施例において、前記本体には更に中心領域があり、そのうちの前記第1のマーキング領域と、前記第2のマーキング領域と、前記第1の測色領域と、前記第2の測色領域とが前記中心領域を囲むように設置されている。
【0027】
本発明の一実施例において、前記各2つの隣接する色ブロックと隣接ブロックとの間に間隙があり、且つ各間隙の色が隣接する色ブロックおよび隣接ブロックの色と関連付けられている。
【0028】
本発明の一実施例において、色ブロックおよび隣接ブロックの色と関連付けられている前記間隙の色がHSV色空間によって表現される。
【0029】
本発明の一実施例において、色ブロックおよび隣接ブロックの色と関連付けられている前記間隙の色がHSL色空間によって表現される。
【0030】
本発明は、2次元の平面を採用し、複数の領域を設計することで回転、測定および比色を行うため、比色プロセスの時間を加速し、歯科技工士が比色時に使用状況と色補正写真の信頼性を確認しなければならない時間を短縮する。利用者は実体色補正部材と表示再現結果を通じて使用状況、環境および人間の目の視覚のゼロ補正を行い、歯科技工士が色補正写真に対する信頼性を迅速に確認できるようにする。
【0031】
本発明の上述した、若しくはその他の目的、特徴、利点をより明確に理解できるように、以下に実施例を挙げ、添付された図面を参照しながら、以下のように詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施例が提供する色補正部材の概略図。
【
図2】本発明の別の実施例が提供する色補正部材の概略図。
【
図3】本発明の一実施例が提供する色補正部材の側面図。
【
図4】本発明の別の実施例が提供する色補正部材の側面図。
【
図5】本発明の別の実施例が提供する色補正部材の概略図。
【
図6】本発明の別の実施例が提供する色補正部材の概略図。
【
図7】本発明の更に別の実施例が提供する色補正部材の概略図。
【
図8】本発明の更に別の実施例が提供する色補正部材の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は以下の例により特に説明されるが、これらの例は単に説明のためのものに過ぎず、当業者にとって、本開示内容の精神範囲から逸脱しない限り、様々な変更および修飾が可能であるため、本開示内容の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。明細書の全部および特許請求の範囲において、特に明確に指定されていない限り、「1つ」および「前記」の意味は、「1つまたは少なくとも1つ」の部材または成分を含む記述も含むものとする。更に、本発明において、特定の文脈から明らかに複数を排除することが示されていない限り、単数の冠詞は複数の部材または成分の記述をも含む。また、本明細書の記述および以下の特許請求の範囲の全部において使用される「(その)うちの」の意味は、特に明確に指定されていない限り、「(その)中に」および「(その)上に」の意味も含むものとする。明細書および特許請求の範囲の全部で使用される用語(terms)は、特に記載がない限り、通常、用語ごとにこの分野、この開示の内容と特殊内容に使用される一般的な意味を有する。本発明を記述するために使用される特定の用語は、以下または本明細書の他の部分で議論され、当業者(practitioner)が本発明の説明について追加の指導を受けられるようにする。明細書全体の如何なる箇所における例も、ここで議論される如何なる用語の使用例を含め、それは単なる説明のために過ぎず、本発明または如何なる例示用語の範囲および意味を限定するものではない。同様に、本発明が本明細書で提示される様々な実施例に限定されるものではない。
【0034】
本明細書で使用される「実質的に(substantially)」、「およそ(around)」、「約(about)」または「ほぼ(approximately)」という用語は、与えられた一定の値または範囲の大体20%以内を意味し、好ましくは10%以内を意味する。また、本発明が提供する数量は近似的であるため、特に記述がない限り、「およそ」、「約」または「ほぼ」の用語で表現されることを意味する。数量、濃度または他の数値若しくはパラメータが、特定の範囲、好ましい範囲または表で列挙された上限と下限の理想値のいずれかを有する場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関係なく、任意の上限と下限の数値または理想値からなる全ての範囲が具体的に開示されているものと見なすべきである。例えば、ある長さがXcmからYcmの範囲と開示されている場合、その長さはHcmであり、HはXからYまでの間の任意の実数と見なされる。
【0035】
また、「結合する」或いは「接続する」とは、直接および間接のいずれかの電気接続手段を含む。例えば、文中で第1の装置が第2の装置に電気的に結合されると記述されている場合、第1の装置は直接第2の装置に接続されるか、他の装置や接続手段を介して間接的に第2の装置に接続されることを意味する。また、電気信号の伝達や提供について記述されている場合、当業者は電気信号の伝達過程で減衰や他の非理想的な変化が伴う可能性があることを理解できるが、特に言及がない限り、電気信号の伝達または提供元と受信端は実質的に同じ信号と見なされる。例えば、電子回路の端点Aから電気信号Sが電子回路の端点Bに伝達(または提供)される場合、トランジスタスイッチのソース電極とドレイン電極の端点および/または浮遊容量による電圧降下が生じる可能性があるが、この設計の目的が、意図的に伝達(または提供)時に生じる減衰やその他の非理想的な変化を利用して特定の技術効果を達成するものでない限り、電気信号Sは電子回路の端点Aと端点Bにおいて実質的に同一の信号と見なすことができる。
【0036】
ここで使用される「含む(comprising)」、「備える(including)」、「ある、有する(having)」、「含有する(containing)」、「関係する(involving)」などの用語は、オープンエンド形式(open-ended)であり、つまり、列挙されたものに限定されないことを意図していると理解できる。また、本発明の任意の実施例または特許請求の範囲により、本発明に開示される全ての目的、利点または特徴を実現する必要はない。なお、要約部分と発明の名称は、単に特許文献の検索の補助として用いられるものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0037】
図1を参照すると、本発明の一実施例が提供する色補正部材の概略図が示されている。本実施例が提供する色補正部材1は、医師が患者のために仮歯を作成する際に使用することができ、まず患者の口腔内の歯を撮影する際に使用され、その後、歯科技工士が患者の歯の色に合った仮歯を作成するために提供される。また、歯科技工士が患者のために仮歯を作成した後に、その仮歯と画像との間に色差が存在するかどうかを比較する際に用いられる。
【0038】
本実施例が提供する色補正部材1は、カード式の2次元平面の装置であり、本体11と、第1のマーキング領域12と、第2のマーキング領域13と、第1の測色領域14と、第2の測色領域15とを備える。そのうちの本体11には、第1の平面(例えば正面)111と第2の平面(例えば背面)112とがあり、第1の平面111と第2の平面112はそれぞれ本体11の対向面に位置している。第1の平面111上において、本体11には、第1の側辺113と、第2の側辺114と、第3の側辺115と、第4の側辺116とがあり、そのうちの第1の側辺113と第3の側辺115とが対向し、第2の側辺114と第4の側辺116とが対向する。第1のマーキング領域12は第1の平面111上に設置され、第1の側辺113または第3の側辺115に位置し、第2のマーキング領域13は第1の平面111上に設置され、第1のマーキング領域12に対向するように第3の側辺115または第1の側辺113に設置される。例えば、第1のマーキング領域12が第1の平面111上に設置され、第1の側辺113に位置する場合、第2のマーキング領域13は第1の平面111上に設置され、第1のマーキング領域12に対向するように第3の側辺115に設置される。逆に、第1のマーキング領域12が第3の側辺115に設置される場合、第2のマーキング領域13は第1の側辺113に設置される。第1の測色領域14は第1の平面111上に設置され、第2の側辺114に位置し、第2の測色領域15は第1の平面111上に設置され、第1の測色領域14に対向するように第4の側辺116に設置される。逆に、第1の測色領域14が第4の側辺116に設置される場合、第2の測色領域15は第2の側辺114に設置される。更に、本実施例では、色補正部材1の形状は矩形である。他の実施例では、色補正部材1の形状は台形や多角形などの形状であってもよい。
【0039】
本実施例において、第1の平面111は灰色面を含み、且つこの灰色は無彩色である。更に、この灰色の色の色値(Lab)の範囲は、明度(黒白)Lが70~90、赤色緑色(a)が±1.5であり、黄色青色(b)が±1.5の範囲であって、色差計で測定することができる。第1のマーキング領域12と第2のマーキング領域13のいずれか一方には歯の測定用の定規フレーム121が含まれる。図に示すように、本実施例における定規フレーム121は第1のマーキング領域12に位置し、また、第1のマーキング領域12と第2のマーキング領域13のもう一方には識別フレーム122が含まれる。図に示すように、本実施例における識別フレーム122は第2のマーキング領域13に位置する。識別フレーム122は会社のロゴ、製品のロゴ、説明、使用期限などのイラストやテキストを印刷するために用いられる。更に、定規フレーム121には第1の枠線1211と、歯の隙間などのオブジェクトに位置合わせするための基準線1212とがあり、また、識別フレーム122には第2の枠線1221があって、且つ第1の枠線1211の部分と第2の枠線1221の部分は同一水平線L1上に位置し、撮影時の領域の位置合わせの提供を容易にする。また、第1のマーキング領域12と第2のマーキング領域13のうちの一方には第1のマーク123が含まれ、もう一方には第2のマーク124が含まれる。図に示すように、本実施例における第1のマーク123は黒点十字であり、第2のマーク124は白点十字である。第1のマーク123と第2のマーク124は同一水平線L2上に位置し、間隔d1を有しており、撮影時のホワイトバランス調整に用いられる。なお、第1のマーク123と第2のマーク124は互いに位置を入れ替えることができることに留意されたい。第1の測色領域14と第2の測色領域15にはそれぞれ複数の色ブロック45があり、且つ各色ブロック45はそれぞれ第2の側辺114と第4の側辺116の端まで完全に延びていて、第1の測色領域14と第2の測色領域15の色ブロック45は、それぞれ異なる色(色相、明度、彩度がいずれも異なる)であり、同時に区別するために異なる図で示されていて、例えば第1の測色領域14と第2の測色領域15はそれぞれ明るい色と暗い色である。各色ブロック45の幅は7mm~11mmであるが、好ましい幅は8mm~9mmであり、複数の色ブロック45は、例えば7つの色ブロック45が色の濃淡に従って配列され、且つこれら7つの色ブロック45は上下に切り揃えられていて、第2の側辺114と第4の側辺116との間に均等に設置されており、そのうちの色ブロック45の幅と数は例示に過ぎないが、本発明がこれに限定されることはない。他の実施例において、
図2に示す色補正部材100と前の一実施例が提供する色補正部材1との違いは、色ブロック45が互いに隣接している間には間隙d2があり、これは隣接する各色ブロック45を区別するためであって、且つこの間隙d2には第1の平面111と同じ灰色面が含まれることである。
【0040】
図3を参照すると、本発明の一実施例が提供する色補正部材の側面図が示されている。本実施例が提供する色補正部材1は、本体11の第1の平面111上に印刷層1111を備え、印刷層1111には、第1のマーキング領域12と、第2のマーキング領域13と、第1の測色領域14と、第2の測色領域15とが含まれ、第1の平面111上に印刷されている(
図1も参照)。また、印刷層1111上にめっき層1112があり、めっき層1112は印刷層1111上に位置する。他の実施例では、
図4に示すように、色補正部材1は本体11の第2の平面112上に印刷層1121を備え、印刷層1121の上にめっき層1122がある。
【0041】
図5を参照すると、本発明の別の実施例が提供する色補正部材の概略図が示されている。本実施例が提供する色補正部材10と前の一実施例が提供する色補正部材1との差異は、色補正部材10が中心領域16を更に備え、そのうちの第1のマーキング領域12と、第2のマーキング領域13と、第1の測色領域14と、第2の測色領域15とが中心領域16を囲むように設置されていることである。中心領域16は利用者が把持し回転させるために用いられ、利用者の必要に応じて対応する機能を実行する。例えば、利用者が第1のマーキング領域12に回転させると、定規フレーム121の定規を用いて歯の幅を測定でき、第2のマーキング領域13に回転させると、会社のロゴ、製品のロゴ、説明、使用期限などを読むことができ、第1の測色領域14と第2の測色領域15に回転させると、まず第1のマーク123と第2のマーク124とを用いて同一水平線上に位置決めし、歯との比色を容易にする。
【0042】
図6を参照すると、本発明の別の実施例が提供する色補正部材の概略図が示されている。本実施例が提供する色補正部材20と前の一実施例が提供する色補正部材1との差異は、色補正部材20の第1の測色領域14と第2の測色領域15には、それぞれ複数の色ブロック45と複数の隣接ブロック19とがあることである。これらの色ブロック45と隣接ブロック19は互いに隣接し、且つこれらの色ブロック45の両側にはそれぞれ少なくとも1つの隣接ブロック19が隣接している。また、隣接ブロック19の一側はそれぞれ第1の側辺113と第3の側辺115に隣接し、各隣接ブロック19には第1の平面111と同じ灰色面が含まれており、且つ各隣接ブロック19の幅は各色ブロック45の幅の2分の1である。本実施例では、6つの色ブロック45と2つの隣接ブロック19を例示しており、2つの隣接ブロック19は6つの色ブロック45の両側に位置し、且つ6つの色ブロック45と2つの隣接ブロック19は第2の側辺114と第4の側辺116との間に上下に切り揃えられて設置されている。別の実施例では、2つの隣接ブロック19には他の色があり、6つの色ブロック45と比べてより薄い色である。
【0043】
図7を参照すると、本発明の更に別の実施例が提供する色補正部材の概略図が示されている。本実施例が提供する色補正部材30と、前の一実施例が提供する色補正部材20との差異は、複数の隣接ブロック19の一側はそれぞれ第1の側辺113と第3の側辺115に隣接し、また、複数の隣接ブロック19のもう一側には分割線71があって、この分割線71の幅は
図2の間隙d2の幅の1倍から1.5倍であり、且つ黒色であることである。別の実施例では、この分割線71の色の輝度を調整して視覚的美観を維持することができる。そのうちの第1の測色領域14と第2の測色領域15の色ブロック45は異なる色(色相、明度、彩度がいずれも異なる)であり、区別するために異なる図で示されているが、本実施例における4つの隣接ブロック19は同じ色(色相、明度、彩度がいずれも同じ)であり、特徴を説明するために同じ図で示されている。更に、実際の使用時には、4つの隣接ブロック19の色は、例えば口腔内の皮膚に近い色であってもよい。
【0044】
図8を参照すると、
図8は本発明の更に別の実施例が提供する色補正部材の概略図である。本実施例が提供する色補正部材40は、前実施例が提供する色補正部材30との違いとして、各隣接ブロック19と隣接する色ブロック45の間に間隙d2が設けられており、この間隙d2は分割線71に代わるものである。この間隙d2の色は、隣接する色ブロック45および隣接ブロック19の色と関連付けられるように設計することができ、例えばHSVまたはHSL色空間を用いて、間隙d2の色が隣接する色ブロック45および隣接ブロック19の色と関連付けられるようにすることができる。
図8の左上隅の隣接ブロック19、間隙d2、及び色ブロック45をHSV色空間の例として、HSV色空間における色ブロック45には第1の色相(Hue)H1、第1の彩度(Saturation)S1、第1の明度(Value)V1がある。また、隣接ブロック19には、第2の色相H2、第2の彩度S2、第2の明度V2がある。更に、間隙d2には、第3の色相H3、第3の彩度S3、第3の明度V3がある。この時、間隙d2の第3の色相H3は、第1の色相H1の±5の範囲内(例:H3=H1±5)で設計可能であり、第3の彩度S3は第1の彩度S1の±5の範囲内(例:S3=S1±5)で設計可能である。また、第3の明度V3は第1の明度V1と第2の明度V2との間の小さい方の明度値の65%~85%の範囲(例:min(V1,V2)×65%~min(V1,V2)×85%)で設計可能である。更に、
図8における右上隅、右下隅、左下隅の間隙d2の色と隣接する色ブロック45および隣接ブロック19の色との関連も、上記の例に準じて類推することができるため、詳細な説明は省略する。同時に、当業者であれば実際の必要に応じて隣接ブロック19、間隙d2、及び色ブロック45の間の関連を設計することが可能であり、本発明は上記の例に限定されるものではないことに留意されたい。
【0045】
更に、当業者は、実際の必要に応じて、第1の測色領域14と第2の測色領域15の色ブロック45の数、分割線の色、輝度、位置および数を設計でき、更には第1の測色領域14と第2の測色領域15の色ブロック45の数などを異なるように設計できることに留意されたい。したがって、本発明が上述した実施例に限定されることはない。
【0046】
以上をまとめると、本発明の色補正部材は、2次元の平面を採用し、複数の領域を設計することで回転、測定および比色を行うため、比色プロセスの時間を加速し、歯科技工士が比色時に使用状況と色補正写真の信頼性を確認しなければならない時間を短縮する。利用者は実体色補正部材と表示再現結果を通じて使用状況、環境および人間の目の視覚のゼロ補正を行い、歯科技工士が色補正写真に対する信頼性を迅速に確認できるようにする。
【0047】
以上、実施例を用いて本発明を開示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者は、本発明の精神範囲から逸脱することなく、いくつかの変更修飾を行うことができる。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により限定されるものとする。
【符号の説明】
【0048】
1:色補正部材
10:色補正部材
11:本体
12:第1のマーキング領域
13:第2のマーキング領域
14:第1の測色領域
15:第2の測色領域
16:中心領域
19:隣接ブロック
20:色補正部材
30:色補正部材
45:色ブロック
71:分割線
100:色補正部材
111:第1の平面
112:第2の平面
113:第1の側辺
114:第2の側辺
115:第3の側辺
116:第4の側辺
121:定規フレーム
122:識別フレーム
123:第1のマーク
124:第2のマーク
1111:印刷層
1112:めっき層
1121:印刷層
1122:めっき層
1211:第1の枠線
1212:基準線
1221:第2の枠線
L1:水平線
L2:水平線
d1:間隔
d2:間隙