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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016836
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】電気融着継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/03 20060101AFI20250129BHJP
【FI】
F16L47/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119561
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】橋津 健二
(72)【発明者】
【氏名】坂本 宏昭
(72)【発明者】
【氏名】松崎 元甫
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019EA11
3H019EA19
3H019FA07
3H019FA14
3H019GA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利便性に優れるエルボ型の電気融着継手を提供する。
【解決手段】電気融着継手10は、横方向に延びる曲管部14と、曲管部の両端のそれぞれから延びて形成される電気融着受口部16とを含む継手本体12を備える、エルボ型の電気融着継手である。継手本体の外側面底部には、地面などの載置面に接する平面状の底面30aを有する台座部30が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルボ型の電気融着継手であって、
横方向に延びる曲管部と、前記曲管部の両端のそれぞれから延びて形成される電気融着受口部とを含む継手本体、および
前記継手本体の外側面底部に形成され、載置面に接する平面状の底面を有する台座部を備える、電気融着継手。
【請求項2】
所定間隔をあけて形成された2つの前記台座部を備える、請求項1記載の電気融着継手。
【請求項3】
前記電気融着継手は、射出成形によって形成され、
射出成形時に合成樹脂を金型に流し込むゲート位置に生じるゲート跡部が前記2つの台座部の間に形成されている、請求項2記載の電気融着継手。
【請求項4】
前記台座部は、前記曲管部の外側面底部に形成されている、請求項1または2記載の電気融着継手。
【請求項5】
前記台座部の底面は、前記継手本体の最低部と面一または略面一に形成されている、請求項1または2記載の電気融着継手。
【請求項6】
前記台座部は、前記曲管部の外側面底部に形成されており、
前記台座部の底面は、前記電気融着受口部の最低部と面一または略面一に形成されている、請求項1または2記載の電気融着継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気融着継手に関し、特にたとえば、曲管部と電気融着受口部とを含む継手本体を備える、エルボ型の電気融着継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエルボ型の電気融着継手の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の電気融着継手(エルボ型EF継手)は、熱可塑性樹脂からなり、両側の直管部およびその間の曲管部を主体とするエルボ状の継手本体と、その内周側に配設された電熱線とを有する。継手本体は、直管から曲げ加工を施して形成された部材であるとともに、電熱線は、各直管部の内周面に巻回された埋設部と各埋設部の端部同士を連結する渡し部からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-283813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、継手本体の外側面底部が曲面状であるため、地面などに置いたときに不安定となり、不便である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電気融着継手を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、利便性に優れる、電気融着継手を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、エルボ型の電気融着継手であって、横方向に延びる曲管部と、曲管部の両端のそれぞれから延びて形成される電気融着受口部とを含む継手本体、および継手本体の外側面底部に形成され、載置面に接する平面状の底面を有する台座部を備える、電気融着継手である。
【0008】
第1の発明では、電気融着継手は、エルボ型の電気融着継手(EFエルボ)であって、合成樹脂製の継手本体を備える。継手本体は、横方向に延びる曲管部と、曲管部の両端のそれぞれから延びて形成される電気融着受口部とを含む。そして、継手本体の外側面底部には、載置面に接する平面状の底面を有する台座部が形成される。
【0009】
第1の発明によれば、継手本体の外側面底部に形成された台座部を有するので、載置面に安定して載置することができる。したがって、利便性に優れる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、所定間隔をあけて形成された2つの台座部を備える。
【0011】
第2の発明によれば、台座部によって電気融着継手をバランスよく安定して支持できる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明に従属し、電気融着継手は、射出成形によって形成され、射出成形時に合成樹脂を金型に流し込むゲート位置に生じるゲート跡部が2つの台座部の間に形成されている。
【0013】
第3の発明によれば、ゲート跡部の処理に手間をかけることなく、台座部によって電気融着継手を安定して支持できる。
【0014】
第4の発明は、第1または第2の発明に従属し、台座部は、曲管部の外側面底部に形成されている。
【0015】
第4の発明によれば、受口部の厚みが変わって射出成形時にひずみが発生することを防止できるので、受口部の内側面(内径)が真円から外れることを防止できる。
【0016】
第5の発明は、第1または第2の発明に従属し、台座部の底面は、継手本体の最低部(つまり横方向から見て最も下側に出っ張っている部分)と面一または略面一に形成されている。
【0017】
第5の発明によれば、台座部を形成した部分の継手本体の厚みが、他の部分と比較して大きくなり過ぎることを防止でき、射出成形時に発生するひずみを低減できると共に使用する樹脂量を低減できる。
【0018】
第6の発明は、台座部は、曲管部の外側面底部に形成されており、台座部の底面は、電気融着受口部の最低部と面一または略面一に形成されている。
【0019】
第6の発明によれば、台座部に加えて電気融着受口部の最低部によっても電気融着継手が支持されるので、電気融着継手をより安定して載置面に載置することができる。また、射出成形時に発生するひずみを低減できると共に使用する樹脂量を低減できる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、継手本体の外側面底部に形成された台座部を有するので、載置面に安定して載置することができ、利便性に優れる。
【0021】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の一実施例である電気融着継手を示す正面図である。
図2図1の電気融着継手を示す背面図である。
図3図1の電気融着継手を示す平面図である。
図4図1の電気融着継手を示す底面図である。
図5図1のV-V線における電気融着継手の断面を示す断面図である。
図6図1のVI-VI線における電気融着継手の断面を示す断面図である。
図7】この発明の他の実施例の電気融着継手を示す正面図である。
図8図7の電気融着継手を示す背面図である。
図9図7の電気融着継手を示す平面図である。
図10図7の電気融着継手を示す底面図である。
図11図7のXI-XI線における電気融着継手の断面を示す断面図である。
図12図7のXII-XII線における電気融着継手の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照して、この発明の一実施例である電気融着継手10は、合成樹脂管どうしを互いに交差する方向に電気融着接合して曲り配管を形成する、エルボ型の電気融着継手(EFエルボ)である。
【0024】
電気融着継手10を用いて施工する配管の用途および口径などは、特に限定されないが、電気融着継手10は、水道配水用またはガス用などの呼び径(内径)が20mm~150mmのポリエチレン製の合成樹脂管の接続に好適に用いられる。以下では、呼び径が100mmの電気融着継手10を例示して説明する。また、電気融着継手10の製造方法は、特に限定されないが、この実施例の電気融着継手10は、射出成形によって形成される。
【0025】
図1図6に示すように、電気融着継手10は、ポリエチレンおよびポリブテン等のポリオレフィン系の合成樹脂によって形成される継手本体12を備える。継手本体12は、横方向に延びる曲管部14と、曲管部の両端のそれぞれから延びて形成される電気融着受口部16(以下、単に「受口部16」と言う。)とを含む。すなわち、継手本体12は、軸方向中央部に設けられる曲管部14と、軸方向両端部のそれぞれに設けられる受口部16とを含む。この実施例では、曲管部14が90度湾曲しており、2つの受口部16は互いに直交する方向に延びる(開口する)。
【0026】
受口部16は、接続する合成樹脂管の端部を受容する部分である。受口部16の内側面近傍には、電熱線(図示せず)が螺旋状に延びるように埋設される。また、受口部16の電熱線よりも奥側には、受口部16の奥端を規定するストッパ18が形成される。この実施例では、受口部16の奥端内側面を段差状に縮径することで円環状のストッパ18を形成している。ただし、ストッパ18は、周方向に所定間隔で形成される複数の突起であってもよい。受口部16に合成樹脂管の端部を接続する際には、合成樹脂管の先端がストッパ18に突き当たることで、受口部16に対する合成樹脂管の挿入長さが規定される。
【0027】
また、電熱線の両端部は、受口部16の先端部の頂部から突出して形成された電源接続端子20に接続されている。電源接続端子20を電源に接続して、電熱線に電流を流すと熱が発生する。この熱によって受口部16と合成樹脂管との接合面の樹脂が加熱溶融されることで、受口部16と合成樹脂管とが融着接合される。さらに、受口部16の頂部には、電源接続端子20よりも軸方向中央側に、インジケータ22が形成される。インジケータ22は、受口部16と合成樹脂管との接合面が融着したこと(或いは融着の進行状況)を示すためのものである。
【0028】
そして、継手本体12の外側面底部には、台座部30が形成される。台座部30は、地面などの載置面に接する平面状の底面30a(下面)を有している。このような台座部30を備えることで、電気融着継手10を載置面に安定して載置することができる。
【0029】
ここで、台座部30は、受口部16の外側面底部に形成することもできるが、曲管部14の外側面底部に形成することが好ましい。これは、受口部16の内側面と合成樹脂管の外側面との隙間が周方向の全長に亘って均一な方が熱融着性能が高いことから、受口部16の内側面(内径)は真円に近いことが望まれるからである。すなわち、受口部16に台座部30を形成すると、受口部16の厚みが変わって射出成形時にひずみが発生し、受口部16の内側面が真円から外れる恐れが生じるが、曲管部14に台座部30を形成することで、この問題を回避できる。この実施例では、曲管部14の外側面底部に、曲管部14の軸方向に所定間隔をあけて形成された2つの台座部30を備えている。具体的には、曲管部14の両端部のそれぞれに台座部30が形成されており、台座部30のそれぞれは、略矩形状の底面30aを有している。底面30aの各辺(つまり曲管部14の軸方向における長さおよびそれに直交する幅)の長さは、たとえば15mm-30mmに設定されることが好ましい。所定間隔をあけて形成された2つの台座部30を備えることで、台座部30によって電気融着継手10をバランスよく安定して支持できる。
【0030】
また、台座部30の底面30aは、継手本体12の最低部(最下部)、すなわち横方向から見て最も下側に出っ張っている部分と面一または略面一(たとえば0.1mm~0.5mm程度下方に出っ張るように)に形成されることが好ましい。これにより、台座部30を形成した部分の継手本体12の厚みが、他の部分と比較して大きくなり過ぎることを防止できるので、射出成形時に発生するひずみを低減できると共に使用する樹脂量を低減できる。この実施例では、受口部16の基端部の外側面が曲管部14の外側面よりも拡径して形成されており、受口部16の基端部外周面の最低部(底点)が継手本体12の最低部となる。このため、台座部30の底面30aは、この受口部16の最低部と略面一に(具体的は0.3mm下方に出っ張るように)形成されている。曲管部14に形成した台座部30の底面30aを受口部16の最低部と面一または略面一とすることで、台座部30に加えて受口部16の最低部によっても電気融着継手10が支持されるので、電気融着継手10をより安定して載置面に載置することができる。
【0031】
さらに、曲管部14の外側面底部には、2つの台座部30の間に、射出成形時に生じるゲート跡部32が形成されている。すなわち、電気融着継手10を射出成形する際には、ゲートから金型内に合成樹脂を流し込むが、このゲートを2つの台座部30の間に配置することで、ゲート位置に生じるゲート跡部32が2つの台座部30の間に形成されるようにしている。この実施例では、継手本体12の頂部の両端部に電源接続端子20が設けられるので、射出成形時に合成樹脂の流れを最適とするためには、曲管部14の軸方向中央部の底部にゲートを配置することが好ましい。仮に、曲管部14の軸方向中央部の底部に台座部30を設けると、台座部30の底面30aにゲート跡部32が形成されることになり、台座部30によって電気融着継手10を安定して支持するためには、ゲート跡部32を台座部30の底面30aと面一に(つまり製品ギリギリで)切断する必要が生じる。これに対して、2つの台座部30の間にゲート跡部32を配置することで、ゲート跡部32を必ずしもきれいに面一に切断する必要がなくなり、ゲート跡部32の処理にかける手間を低減できる。
【0032】
言い換えると、この実施例では、曲管部14の軸方向に沿って湾曲帯状に延びる台座部30の中央部に窪み部を設け、この窪み部内にゲート跡部32を形成しているとも言える。
【0033】
以上のように、この実施例によれば、継手本体12の外側面底部に形成された台座部30を有するので、載置面に安定して載置することができる。したがって、利便性に優れる。
【0034】
また、2つの台座部30の間にゲート跡部32を形成しているので、ゲート跡部32の処理に手間をかけることなく、台座部30によって電気融着継手10を安定して支持できる。
【0035】
次に、図7図12を参照して、この発明の他の実施例(第2実施例)の電気融着継手10について説明する。第2実施例では、呼び径が50mmの電気融着継手10を例示して説明する。この第2実施例では、台座部30の配置態様などが上述の実施例(第1実施例)と異なる。なお、以下の説明では、上述の実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0036】
図7図12に示すように、電気融着継手10の継手本体12は、曲管部14と、曲管部の両端のそれぞれから延びて形成される受口部16とを含む。また、継手本体12には、受口部16の先端面から突出するようにクランプ部24が形成される。このクランプ部24は、上下半割りの第1クランプ部分24aと第2クランプ部分24bとを有する。電気融着継手10の受口部16に合成樹脂管を融着接合する際には、第1クランプ部分24aと第2クランプ部分24bとの間に合成樹脂管を挟み込んでねじで締め付けることで、合成樹脂管が固定される。
【0037】
そして、この実施例では、1つの台座部30が、曲管部14の軸方向中央部の外側面底部において、曲管部14の軸方向に沿って延びるように湾曲帯状に形成されている。また、この実施例では、曲管部14の軸方向中央部の外径が、受口部16などの継手本体12の他の部分の外径よりも大きく、曲管部14の中央部外周面の最低部(底点)が継手本体12の最低部となる。そして、台座部30の底面30aは、この曲管部14の最低部と略面一に(具体的は0.3mm下方に出っ張るように)形成されている。
【0038】
この第2実施例においても、第1実施例と同様に、継手本体12の外側面底部に形成された台座部30を有するので、載置面に安定して載置することができる。したがって、利便性に優れる。
【0039】
なお、上述の各実施例では、受口部16が互いに直交する方向に延びる90度エルボ型の電気融着継手10を例示したが、電気融着継手10は、22.5度エルボ型および45度エルボ型などであっても構わない。
【0040】
また、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的構成は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 …電気融着継手
12 …継手本体
14 …曲管部
16 …電気融着受口部
20 …電源接続端子
22 …インジケータ
30 …台座部
32 …ゲート跡部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12