(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016838
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】圧縮空気除湿装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20250129BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F25B39/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119564
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 航太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 則久
(72)【発明者】
【氏名】長島 信人
(72)【発明者】
【氏名】堀川 正樹
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA01
4D052BA04
4D052BB01
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB00
4D052GB01
4D052GB02
4D052GB04
4D052GB06
4D052GB08
(57)【要約】
【課題】運転負荷状態に合わせたより最適な運転状態へ切り替える制御ができる圧縮空気除湿装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体30が設けられ、除湿装置筐体30の内部に冷却用媒体を流通させる流路(例えば蒸発器14)が配置され、除湿装置筐体30の一次側の圧縮空気が導入される圧縮空気入口31に、空気流量センサ38と空気圧力センサ39が配設され、空気流量センサ38と空気圧力センサ39によって検出された前記一次側の圧縮空気に係る流量と圧力の検出情報に基づいて冷却用媒体を流通させる装置(例えば冷凍サイクル装置10)の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて前記冷却用媒体を流通させる装置の運転の制御を行う制御装置60を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体が設けられ、圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、前記除湿装置筐体の内部に冷却用媒体を流通させる流路が配置されている圧縮空気除湿装置において、
前記除湿装置筐体の一次側の圧縮空気が導入される圧縮空気入口に、空気流量センサと空気圧力センサが配設され、
前記空気流量センサと空気圧力センサによって検出された前記一次側の圧縮空気に係る流量と圧力の検出情報に基づいて冷却用媒体を流通させる装置の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて前記冷却用媒体を流通させる装置の運転の制御を行う制御装置を備えることを特徴とする圧縮空気除湿装置。
【請求項2】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備える冷凍サイクル装置が併設されると共に、空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体が設けられ、圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、前記除湿装置筐体の内部に前記冷凍サイクル装置の前記蒸発器が設置されている圧縮空気除湿装置において、
前記除湿装置筐体の一次側の圧縮空気が導入される圧縮空気入口に、空気流量センサと空気圧力センサが配設され、
前記空気流量センサと空気圧力センサによって検出された前記一次側の圧縮空気に係る流量と圧力の検出情報に基づいて冷凍サイクル装置の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて、前記圧縮機の運転の制御や、前記凝縮器の構成要素である凝縮器用冷却ファンの運転の制御を行う制御装置を備えることを特徴とする圧縮空気除湿装置。
【請求項3】
前記運転の制御が、インバータ制御によるものであることを特徴とする請求項2記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項4】
前記除湿装置筐体の内部に熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部との二段階に設けられ、前記第1の熱交換器部が、一次側の圧縮空気の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気の再熱を行うように、一次側の圧縮空気に係る予冷用の流路と二次側の圧縮空気に係る再熱用の流路とが交錯するように配されることによって設けられ、前記第2の熱交換器部が、前記第1の熱交換器部で予冷された圧縮空気を前記蒸発器で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられていることを特徴とする請求項3記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項5】
前記蒸発器がプレート式の熱交換器になっていることを特徴とする請求項4記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の圧縮空気除湿装置を用い、導入される一次側の圧縮空気の流量と圧力の変化に応じて運転モードを切り替える制御方法であって、
流量が定格負荷の一定割合以下で且つ圧力が一定以下を維持しているか否かを判断する第1の判定ステップと、
第1の判定ステップで肯定的な判断がされた場合には無負荷或いは低負荷と判断して低負荷時モードへ運転を切り替える第1の切替ステップと、
第1の判定ステップで否定的な判断がされた場合において、流量が定格負荷以上で且つ圧力が一定以下を維持しているか否かを判断する第2の判定ステップと、
第2の判定ステップで肯定的な判断がされた場合には低圧増風負荷と判断して水分の結露の集合体であるドレン水の発生を低減させるモードである巻き上がり防止モードへ運転を切り替える第2の切替ステップと、
第2の判定ステップで否定的な判断がされた場合には通常運転を維持する運転維持ステップとを含むことを特徴とする圧縮空気除湿装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体が設けられ、圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、前記除湿装置筐体の内部に冷却用媒体を流通させる流路が配置されている圧縮空気除湿装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷凍サイクル装置の電動モータが一定速回転で駆動する圧縮機が搭載されたドライヤー(圧縮空気除湿装置)では、負荷状態が変動しても回転数制御ができないため、常に一定の電力且つ100%の能力で運転し、低温環境での無負荷時や低負荷時に凍結の可能性があった。また、低圧増風時の状況下でも、常に100%の能力で運転していたため、ドレン水が多量に発生し、流速が速い条件時にはそのドレン水の持ち出しが発生し易くなっていた。
【0003】
これに対して、従来の圧縮空気除湿装置の例としては、気体導入口から導入された圧縮空気を冷凍サイクルにおける蒸発器で冷却して圧縮空気内の水分を結露させることによって除湿して気体排出口から排出する熱交換器と、蒸発器を冷却するための冷媒を圧縮する冷媒圧縮機と、除湿対象の圧縮空気についての除湿負荷を測定する除湿負荷測定手段(温度センサおよび制御部)と、除湿負荷測定手段の測定結果に基づいて冷媒圧縮機の動作状態を制御する制御部とを備え、制御部は、除湿負荷測定手段の測定結果が所定の負荷量を下回っているときに、少なくとも所定時間の間だけ冷媒圧縮機を間欠動作および動作停止のいずれかに制御する(特許文献1参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0004】
また、従来のプレート式の熱交換器を備える圧縮空気除湿装置の例としては、空気導入口、空気排出口、排水口、冷媒導入口および冷媒排出口が設けられて、第1空間内の圧縮空気および第2空間内の冷媒の間で熱交換させることによって圧縮空気に含まれている水分を結露させて除湿するプレート式の熱交換器と、冷凍サイクルの動作を制御する制御部と、第2空間に滞留している潤滑油を冷媒配管に排出するための潤滑油排出用配管と、潤滑油排出用配管内を移動する流体の流量を調整する電磁弁とを備え、制御部が、予め規定された高負荷状態を検出したときに、電磁弁を制御して潤滑油排出用配管内を移動する流体の流量を増加させる「第1処理」を実行する(特許文献2参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0005】
また、従来の縦置き筒型の圧縮空気除湿装置としては、熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部の二段階に設けられ、その二つの熱交換器部が、隣り合わせに縦長に配され、外壁筒状本体に内蔵されて設けられ、二つの熱交換器部の下方に位置して第2の熱交換器部の空気出口が開口すると共に再熱用の流路の入口が開口する小室であって下端部にドレン部が設けられた第1の小室と、二つの熱交換器部の上方に位置して排出される直前の圧縮空気を滞留させる第2の小室と、第2の熱交換器部の空気出口が再熱用の流路の入口よりも下方に位置するように下方へ延設された延長通気路部と、その延長通気路部内の下端部に配設されて圧縮空気が通過されるデミスターとを具備する(特許文献3参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-246336号公報(第1頁)
【特許文献2】特開2014-124565号公報(第1頁)
【特許文献3】特開2017-127801号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧縮空気除湿装置及びその制御方法に関して解決しようとする問題点は、従来は特許文献1にあるように、除湿負荷測定手段として温度センサが主体的に設けられたものが開示されているが、他のセンサの組み合わせで圧縮空気除湿装置の運転負荷状態を把握し、その運転負荷状態に合わせたより最適な運転状態へ切り替える制御ができる圧縮空気除湿装置及びその制御方法に関する提案がなされていないことにある。
【0008】
そこで本発明の目的は、運転負荷状態に合わせたより最適な運転状態へ切り替える制御ができる圧縮空気除湿装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体が設けられ、圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、前記除湿装置筐体の内部に冷却用媒体を流通させる流路が配置されている圧縮空気除湿装置において、前記除湿装置筐体の一次側の圧縮空気が導入される圧縮空気入口に、空気流量センサと空気圧力センサが配設され、前記空気流量センサと空気圧力センサによって検出された前記一次側の圧縮空気に係る流量と圧力の検出情報に基づいて冷却用媒体を流通させる装置の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて前記冷却用媒体を流通させる装置の運転の制御を行う制御装置を備える。
【0010】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備える冷凍サイクル装置が併設されると共に、空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体が設けられ、圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、前記除湿装置筐体の内部に前記冷凍サイクル装置の前記蒸発器が設置されている圧縮空気除湿装置において、前記除湿装置筐体の一次側の圧縮空気が導入される圧縮空気入口に、空気流量センサと空気圧力センサが配設され、前記空気流量センサと空気圧力センサによって検出された前記一次側の圧縮空気に係る流量と圧力の検出情報に基づいて冷凍サイクル装置の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて、前記圧縮機の運転の制御や、前記凝縮器の構成要素である凝縮器用冷却ファンの運転の制御を行う制御装置を備える。
【0011】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記運転の制御が、インバータ制御によるものであることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記除湿装置筐体の内部に熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部との二段階に設けられ、前記第1の熱交換器部が、一次側の圧縮空気の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気の再熱を行うように、一次側の圧縮空気に係る予冷用の流路と二次側の圧縮空気に係る再熱用の流路とが交錯するように配されることによって設けられ、前記第2の熱交換器部が、前記第1の熱交換器部で予冷された圧縮空気を前記蒸発器で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられていることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記蒸発器がプレート式の熱交換器になっていることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の制御方法の一例によれば、以上に記載の圧縮空気除湿装置を用い、導入される一次側の圧縮空気の流量と圧力の変化に応じて運転モードを切り替える制御方法であって、流量が定格負荷の一定割合以下で且つ圧力が一定以下を維持しているか否かを判断する第1の判定ステップと、第1の判定ステップで肯定的な判断がされた場合には無負荷或いは低負荷と判断して低負荷時モードへ運転を切り替える第1の切替ステップと、第1の判定ステップで否定的な判断がされた場合において、流量が定格負荷以上で且つ圧力が一定以下を維持しているか否かを判断する第2の判定ステップと、第2の判定ステップで肯定的な判断がされた場合には低圧増風負荷と判断して水分の結露の集合体であるドレン水の発生を低減させるモードである巻き上がり防止モードへ運転を切り替える第2の切替ステップと、第2の判定ステップで否定的な判断がされた場合には通常運転を維持する運転維持ステップとを含むことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る圧縮空気除湿装置及びその制御方法によれば、運転負荷状態に合わせたより最適な運転状態へ切り替える制御ができるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例を模式的に示す模式図である。
【
図2】本発明に係る圧縮空気除湿装置の制御方法の一例を示すフローチャート図である。
【
図3】本発明に係る圧縮空気除湿装置の冷凍サイクル装置が併設された形態例を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例を添付図面(
図1~3)に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明に係る圧縮空気除湿装置では、基本構成として、空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体30が設けられ、圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、除湿装置筐体30の内部に冷却用媒体を流通させる流路が配置されている。この冷却用媒体を流通させる流路とは、後述するような冷凍サイクルの冷媒を流通させる流路や、チラー装置や地下水などの冷水源から導入される冷水の流路を挙げることができる。
【0019】
または、本発明に係る圧縮空気除湿装置では、基本構成として、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13及び蒸発器14を備える冷凍サイクル装置10が併設されると共に、空気圧縮機から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を排出するように除湿装置筐体30が設けられ、圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、除湿装置筐体30の内部に冷凍サイクル装置10の蒸発器14が設置されている。
【0020】
そして、本発明に係る圧縮空気除湿装置では、除湿装置筐体30の一次側の圧縮空気が導入される圧縮空気入口31に、その一次側の圧縮空気の流量と圧力を計測するように、空気流量センサ38と空気圧力センサ39が配設されている。
【0021】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置では、空気流量センサ38と空気圧力センサ39によって検出された一次側の圧縮空気に係る流量と圧力の検出情報に基づいて冷却用媒体を流通させる装置の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて冷却用媒体を流通させる装置の運転の制御を行う制御装置60を備えている。この冷却用媒体を流通させる装置とは、後述するような冷凍サイクルの冷媒を流通させる装置である冷凍サイクル装置や、冷水について流量を調整しつつ供給できるポンプ機能を備えたチラー装置や地下水などの冷水源から冷水を供給する冷水供給装置を挙げることができる。
【0022】
または、本発明に係る圧縮空気除湿装置では、空気流量センサ38と空気圧力センサ39によって検出された前記一次側の圧縮空気に係る流量と圧力の検出情報に基づいて冷凍サイクル装置10の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて、圧縮機11の運転の制御や、凝縮器12の構成要素である凝縮器用冷却ファン12aの運転の制御を行う制御装置を備えている。なお、12bは放熱フィンである。また、制御装置60は、後述するように比例制御電磁弁22を制御することができる。
【0023】
この本発明に係る圧縮空気除湿装置によれば、運転負荷状態に合わせたより最適な運転状態へ切り替える制御ができるという特別有利な効果を奏する。すなわち、本発明に係る圧縮空気除湿装置によれば、圧縮空気入口31に配置された空気流量センサ38と空気圧力センサ39とにより、除湿装置筐体30へ導入される圧縮空気(一次側の圧縮空気)の圧力が低下して流速が上昇した際には、低圧増風状態であると判断して運転状態をドレン水の持ち出しを抑制する運転制御(例えば、圧縮機11や凝縮器用冷却ファン12aの回転数を低下させ、除湿能力を低下させる制御)への切り替え、また、無負荷または低負荷状態になったと判断した際には凍結防止兼省エネ運転制御(例えば、圧縮機11や凝縮器用冷却ファン12aの回転数を最低回転状態とし、冷媒温度を低下させない制御)へ切り替えることが可能となり、運転負荷状態に合わせたより最適な運転ができることになる。
【0024】
また、本形態例では、上述の運転の制御が、インバータ制御によるものであることを特徴とすることができる。これによれば、圧縮機11の運転の制御(電動モータの回転数制御)や、凝縮器12の構成要素である凝縮器用冷却ファン12aの運転の制御(電動モータの回転数制御)を無段階で行うことができ、運転負荷状態に合わせたより正確且つ最適な運転状態へ切り替える制御ができる。
【0025】
さらに、本形態例では、蒸発器14がプレート式の熱交換器になっており、以下に詳細を説明する。
【0026】
本形態例では、
図1に示すように、エアーコンプレッサなどの空気圧縮機(圧縮空気源)から導入される一次側の圧縮空気(
図1の黒色の矢印参照)について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気(
図1の白抜きの矢印参照)を排出(供給)するように、熱交換器ユニット50の本体として除湿装置筐体30が設けられ、その除湿装置筐体30の内部に熱交換器(プレート式の熱交換器)が第1の熱交換器部33と第2の熱交換器部40の二段階に設けられている。
【0027】
そして、第1の熱交換器部33が、一次側の圧縮空気の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気の再熱を行うように、一次側の圧縮空気に係る予冷用の流路33aと二次側の圧縮空気に係る再熱用の流路33bとが交錯するように配されることによって設けられ、第2の熱交換器部40が、前記第1の熱交換器部33で予冷された圧縮空気を蒸発器14で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられている。これによれば、一次側の圧縮空気を合理的且つ効率的に冷却して除湿できると共に、二次側の圧縮空気を好適に再熱して排出できる。
【0028】
そして、本形態例では、第2の熱交換器部40が、上側から一次側の圧縮空気を導入し、下側へ二次側の圧縮空気を排出するように設けられ、第2の熱交換器部40から第1の熱交換器部33へ二次側の圧縮空気を連通させる二次側連通路55と、第2の熱交換器部40の下側の空間であって、結露によって生じたドレン水70を滴下させてその集合体を下部に滞留させることができると共に、二次側の圧縮空気を二次側連通路55に連通させるように形成された気液分離流路部45と、その気液分離流路部45又は二次側連通路55の下端部にドレン水を排出させるように設けられたドレン排出口35と、気液分離流路部45の空間におけるドレン水70が滞留しない上側の部位に、温度を検知するセンシング部が配置された温度センサ34(
図3参照)とを備える。
【0029】
この本形態例の温度センサ34は、除湿装置筐体30の内部における下部(底部)であって、圧縮空気が、第2の熱交換器部40において冷却用媒体(冷水や、蒸発器14を流れる冷媒)によって冷却され、最も温度が低下した状態となっている空間(流路スペース)に、センシング部が配置される構成になっている。なお、ドレン排出口35には、例えば、ドレン排出装置36の制御弁36に接続される構成要素であるドレン排出回路装置(図示せず)が接続される。そのドレン排出回路装置としては、例えば、気液分離槽と吸着処理槽(油水分離器)とを備えるドレン処理機が接続される。
【0030】
また、本形態例では、第1の熱交換器部33と第2の熱交換器部40とが、除湿装置筐体30の水平方向の一方端側51と他方端側52とに配設され、第1の熱交換器部33が、一次側の圧縮空気を下側から上側へ連通させ、二次側の圧縮空気を上側から下側へ連通させるように設けられ、二次側連通路55が、第1の熱交換器部33と第2の熱交換器部40との間である除湿装置筐体30の水平方向の中間部に設けられ、二次側の圧縮空気を下側から上側へ連通させるように設けられている。
【0031】
そして、
図1に示す形態例では、第1の熱交換器部33及び第2の熱交換器部40のどちらもが、プレート式に設けられた熱交換器であり、両者が連続的に接続されて熱交換器ユニット50になっている。これによれば、圧縮空気除湿装置を、コンパクト且つ簡素な形態に構成できる。また、この熱交換器ユニット50では、箱形の形状となるため、設置空間を効率的に利用できる装置形態になっている。
【0032】
次に、
図1に示す形態例の除湿装置筐体30内での圧縮空気の流れについて説明する。
第1の熱交換器部33が配された側である除湿装置筐体30の一方端側51の端面を形成する一端壁部51aの下部には、圧縮空気入口31と圧縮空気出口32が設けられている。また、二次側連通路55の上部には、一次側の圧縮空気を、第1の熱交換器部33の予冷用の流路33aから第2の熱交換器部40へ連通させる第2の熱交換器部入口40aが設けられている。また、気液分離流路部45と二次側連通路55とは、二次側連通路入口55aによって接続されている。さらに、二次側連通路55の上部には、二次側の圧縮空気を、二次側連通路55から第1の熱交換器部33の再熱用の流路33bへ連通させる二次側連通路出口55bが設けられている。
【0033】
これによれば、一次側の圧縮空気が、空気圧縮機から圧縮空気入口31を介して第1の熱交換器部33へ導入され、第1の熱交換器部33から第2の熱交換器部入口40aを介して第2の熱交換器部40へ導入される。そして、第2の熱交換器部40を通過して生じた二次側の圧縮空気を、二次側連通路入口55aを介して二次側連通路55へ連通させ、二次側連通路出口55bを介して第1の熱交換器部33へ連通させる。本形態例の圧縮空気は、第1の熱交換器部33の予冷用の流路33aでは下から上へ流れ、第2の熱交換器部40の被冷却流路42では上から下へ流れ、二次側連通路55では下から上へ流れ、第1の熱交換器部33の再熱用の流路33bでは上から下へ流れる。
【0034】
そして、第2の熱交換器部40が配された側である除湿装置筐体30の他方端側52の端面を形成する他端壁部52aであって、その下部には第2の熱交換器部40における冷却用媒体(冷媒)の入口(蒸発器の冷媒入口14a)が設けられ、その上部には第2の熱交換器部40における冷却用媒体(冷媒)の出口(蒸発器の冷媒出口14b)が設けられている。冷却用媒体の入口(蒸発器の冷媒入口14a)には、冷媒供給源(例えば、
図3に示した冷凍サイクル装置10の膨張弁13)から冷媒が供給される。この第2の熱交換器部40では、
図1に灰色の矢印で示すように冷媒は下側から上側へ流れ、冷媒流路41と、被冷却流路42とが交錯して設けられていることで、第2の熱交換器部40の被冷却流路42に流入された圧縮空気を冷却し、その圧縮空気中の水分を結露させる。被冷却流路42を流れる圧縮空気は、下降流となり、重力が作用する方向と同一になる。このため、結露によって生じたドレン水70を、スムースに押し流し、気液分離流路部45の方向へ排出・滴下させて集合させることができる。
【0035】
次に、本発明に係る圧縮空気除湿装置の制御方法について
図2に基づいて説明する。この制御方法は、上述した圧縮空気除湿装置を用い、導入される一次側の圧縮空気の流量と圧力の変化に応じて運転モードを切り替えるものであり、以下の判定及び切替工程(ステップ)を含むことを特徴とすることができる。なお、
図2のフローチャートに示すように、ドライヤー(圧縮空気除湿装置)運転開始によって、圧縮空気がドライヤーに流れることになり、次いで、流量と圧力に応じて運転状態を切り替える(常時判定)のステップに進み、以下の判定及び切替ステップが実行されることになる。
【0036】
先ず、第1の判定ステップ100では、流量が定格負荷の一定割合以下で且つ圧力が一定以下を維持しているか否かを判断する。すなわち、第1の判定ステップ100では、空気流量センサ38によって計測される圧縮空気の流量が定格負荷の一定割合以下であって、且つ空気圧力センサ39によって計測される圧縮空気の圧力が一定以下を維持しているか否かを、制御装置が判断する。なお、流量が定格負荷の一定割合とは、例えば、定格流量の20~40%とすることができる。具体例としては、定格流量が5m3/minであれば、1~2m3/minになる。また、圧縮空気の圧力が一定とは、例えば、常用に対し70~80%とすることができる。具体例としては、常用が0.7MPaであれば、0.49~0.56MPaになる。さらに、圧縮空気の圧力は、一定値を監視する方法の他、一定時間内での圧力変動量を積算して判定してもよい。この場合、瞬間的な圧力変動による誤判定を排除し、より正確な判定を可能とする。
【0037】
次に、第1の切替ステップ200では、第1の判定ステップ100で肯定的な判断がされた場合には無負荷或いは低負荷と判断して低負荷時モードへ運転を切り替える制御がなされる。すなわち、第1の切替ステップ200では、空気流量センサ38によって計測される圧縮空気の流量が定格負荷の一定割合以下であって且つ空気圧力センサ39によって計測される圧縮空気の圧力が一定以下を維持していると制御装置60が判断した場合、その制御装置60が無負荷或いは低負荷と判断して低負荷時モードへ運転を切り替える制御をする。なお、この低負荷時モードとは、例えば、圧縮機11や凝縮器用冷却ファン12aの回転数を最低回転状態とし、冷媒温度を低下させない制御をする(目標露点を変更する)ことで凍結を防ぎ、省エネ運転が可能となる状態にする運転モードとすることができる。
【0038】
次に、第2の判定ステップ300では、第1の判定ステップ100で否定的な判断がされた場合において、流量が定格負荷以上で且つ圧力が一定以下を維持しているか否かを判断する。すなわち、第2の判定ステップ300では、空気流量センサ38によって計測される圧縮空気の流量が定格負荷以上で且つ空気圧力センサ39によって計測される圧縮空気の圧力が一定以下を維持しているか否かを、制御装置60が判断する。
【0039】
次に、第2の切替ステップ400では、第2の判定ステップ300で肯定的な判断がされた場合には低圧増風負荷と判断して水分の結露の集合体であるドレン水の発生を低減させるモードである巻き上がり防止モードへ運転を切り替える制御がなされる。すなわち、第2の切替ステップ400では、空気流量センサ38によって計測される圧縮空気の流量が定格負荷以上で且つ空気圧力センサ39によって計測される圧縮空気の圧力が一定以下を維持していると制御装置60が判断した場合、その制御装置60が低圧増風負荷と判断して水分の結露の集合体であるドレン水の発生を低減させるモードである巻き上がり防止モードへ運転を切り替える制御をする。なお、この巻き上がり防止モードとは、例えば、圧縮機11や凝縮器用冷却ファン12aの回転数を低下させ、除湿能力を低下させる制御する(目標露点を変更する)ことでドレン水の発生量を抑えて、低圧時のドレン水の持ち出しを抑制する運転モードとすることができる。
【0040】
そして、運転維持ステップ500では、第2の判定ステップ300で否定的な判断がされた場合には通常運転を維持する制御がなされる。すなわち、運転維持ステップ500では、空気流量センサ38によって計測される圧縮空気の流量が定格負荷以上で且つ空気圧力センサ39によって計測される圧縮空気の圧力が一定以下を維持していることが否定されると制御装置60が判断した場合には通常運転を維持する制御がなされる。
【0041】
これによれば、前述したように、運転負荷状態に合わせたより最適な運転状態へ切り替える制御ができるという特別有利な効果を奏する。
【0042】
次に、
図3に基づいて、
図1の形態例が、冷凍サイクル装置10と併設されて圧縮空気除湿装置として構成された場合の形態例について説明する。
【0043】
この形態例の圧縮空気除湿装置では、基本構成として、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13及び蒸発器14を備える冷凍サイクル装置10が併設されると共に、空気圧縮機から導入される圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿するように、冷凍サイクル装置10の蒸発器14が内部に設置された除湿装置筐体30を備え、蒸発器14がプレート式の熱交換器として除湿装置筐体30と一体的に形成され、蒸発器14の下側に冷媒が導入される蒸発器の冷媒入口14aが設けられていると共に蒸発器14の上側に冷媒が排出される蒸発器の冷媒出口14bが設けられている。
【0044】
なお、下側(下、下端、下部)とは、鉛直方向に沿う方向においての下側(下、下端、下部)を指す。同様に、上側(上、上端、上部)とは、鉛直方向に沿う方向においての上側(上、上端、上部)を指す。
【0045】
また、この形態例では、上流側が膨張弁13と蒸発器の冷媒入口14aとの間の冷媒用配管15に接続され、下流側が蒸発器の冷媒出口14bと圧縮機11との間の冷媒用配管15である冷媒用戻り配管15aに接続されることで、圧縮機11に戻される戻り潤滑油を、蒸発器14をパイパスして圧縮機11に戻すように配管された潤滑油戻り配管20を備えている。
【0046】
そして、この形態例では、潤滑油戻り配管20の中途部であって蒸発器の冷媒入口14aよりも下側に位置するように配管された部位に接続されて、戻り潤滑油の流量を調整するように配置された比例制御電磁弁22と、その比例制御電磁弁22を制御する制御装置60とを備えている。
【0047】
この形態例の圧縮空気除湿装置によれば、冷凍サイクルの圧縮機11から冷媒に含まれて循環する潤滑油を、潤滑油戻り配管20を通して蒸発器14をパイパスして圧縮機11へ戻す際に、適切な位置に配された潤滑油戻り配管20と比例制御電磁弁22の作用で、より適切に圧縮機11へ戻すことができ、高負荷状態においても応答性よく運転できるという特別有利な効果を奏する。
【0048】
すなわち、潤滑油戻り配管20の上流側が、膨張弁13と蒸発器の冷媒入口14aとの間の冷媒用配管15に接続され、その潤滑油戻り配管20に接続される比例制御電磁弁22が、蒸発器の冷媒入口14aよりも下側に位置するように配されている。このため、比例制御電磁弁22よりも上流側の潤滑油戻り配管20(上流側戻り配管21)から、冷媒用配管15を通って蒸発器の冷媒入口14a及び蒸発器14の下側の部位までの配管構成を、その比例制御電磁弁22の高さ位置よりも実質的に上側に配した形態とすると共、その蒸発器の冷媒入口14aから比例制御電磁弁22までの容積が、例えば特許文献1に記載した発明の構成よりも、小さい形態とすることができる。
【0049】
これによれば、蒸発器14の下側の部位と、蒸発器の冷媒入口14aから冷媒用配管15を通って比例制御電磁弁22よりも上流側の潤滑油戻り配管20(上流側戻り配管21)によって構成される戻り潤滑油の上流側流路区間は、比例制御電磁弁22の高さ位置よりも実質的に上側に位置し、戻り潤滑油が重力によって比例制御電磁弁22の上流側に好適に滞留し易く、比例制御電磁弁22が開いた際に冷媒の圧力によって戻り潤滑油をスムースに流すことができる。
【0050】
このように、比例制御電磁弁22と戻り潤滑油の上流側流路区間との接続関係によって戻り潤滑油をスムースに流すことができることに加えて、比例制御電磁弁22であることで、冷凍サイクル装置10が高負荷状態と判定された際に、滞留した潤滑油(戻り潤滑油)を応答性良く圧縮機11に戻す制御を適切に行うことができる。例えば、後述する吐出管温度センサ16や高圧圧力センサ17や露点センサ34によって負荷状態を判定し、その負荷状態に応じて比例制御電磁弁22の開度を制御し、インバータによる圧縮機11の回転数制御(電動モータM1の制御)によって露点性能を確保しつつ、圧縮機11での潤滑油のオイルレベルを正常な範囲に維持できるように制御することができる。
【0051】
すなわち、プレート式の熱交換器として構成された冷凍サイクル装置10の蒸発器14から、圧縮機11へ戻される戻り潤滑油を、単に高負荷時に戻す制御をするのではなく、露点に影響することなく戻り潤滑油を必要に応じて戻すことができるため、戻り量の安定化及び応答性を良好にすることができる。また、露点や圧縮機11の電流値(回転数)などの変化度から、冷凍サイクル装置10の状態を把握することにより、必要とされるオイル量(戻り潤滑油)をタイムリーに戻すことが可能となる。
【0052】
なお、従来の潤滑油戻り配管に設けられた電磁弁ではON/OFF開閉制御であるため、開いた際に、戻り潤滑油が急激に流れることになり、それに伴って冷媒もバイパスするように流れるため、急激な露点変動を生じていた。これに対して、本発明では、比例制御電磁弁22によって急激な露点変動を防止することができ、上述のように滞留した潤滑油(戻り潤滑油)を応答性良く圧縮機11へ戻すことができる。
【0053】
また、この形態例では、潤滑油戻り配管20の流路の容積が、冷媒用戻り配管15aの流路の容積よりも小さくなるように設けられている。これによれば、滞留する潤滑油(戻り潤滑油)をより少量にすることができるため、戻り潤滑油を応答性良く圧縮機11へ戻すことができ、圧縮機11での潤滑油のオイルレベル(必要オイル量)をより適切に維持することができる。なお、蒸発器14から比例制御電磁弁22へ戻り潤滑油が戻される配管の区間である冷媒用配管15の一部と上流側戻り配管21とを極力短くし、比例制御電磁弁22に接続すると、戻り潤滑油を実質的により少量化できるため、より効果的に圧縮機11へ戻すことができる。
【0054】
また、この形態例では、潤滑油戻り配管20の中途部に、圧縮機11に戻される戻り潤滑油の流れを規制するキャピラリーチューブ23が接続されている。これによれば、戻り潤滑油の流れを制限することができるため、その戻り潤滑油の流れに伴って冷媒がバイパスされてしまう流れも制限できることから、急激な露点変動を防止することができる。
【0055】
さらに、この形態例では、キャピラリーチューブ23が、潤滑油戻り配管20における比例制御電磁弁22が接続された部位よりも圧縮機11の側である戻り潤滑油の流れの下流側(下流側戻り配管24の側)に接続されている。これによれば、キャピラリーチューブ23の配置位置が、比例制御電磁弁22よりも戻り潤滑油の流れの上流側(上流側戻り配管21の側)の蒸発器14に近接して冷却されやすい側とは、比例制御電磁弁22を挟んで反対側になることから、キャピラリーチューブ23の流通性を確保し易く、より安定性のある装置構成とすることができる。
【0056】
そして、この形態例では、圧縮機11の冷媒出口側の冷媒温度を計測する吐出管温度センサ16、凝縮器12の冷媒出口側の冷媒圧力を計測する高圧圧力センサ17、及び除湿装置筐体30内の蒸発器14によって熱交換されて除湿された二次側の圧縮空気の露点を計測する露点センサ34のうち、少なくともいずれか一つのセンサを備え、該少なくともいずれか一つのセンサの検出情報に基づいて冷凍サイクル装置10の負荷状態を判定し、負荷状態に応じて比例制御電磁弁22を制御する制御装置60と、前記少なくともいずれか一つのセンサとが接続されている。そして、この制御装置60は、比例制御電磁弁22を制御するだけでなく、圧縮機11の電動モータM1や、凝縮器12の凝縮器用冷却ファン12aの電動モータM2を制御することで、冷凍サイクル装置10の運転を制御するようにも設けられている。
【0057】
これによれば、吐出管温度センサ16や高圧圧力センサ17や露点センサ34によって、個々の検知結果のデータまたは複数の検知結果の組み合わせで導き出されるデータに基づいて負荷状態を判定し、その負荷状態に応じて比例制御電磁弁22の開度を制御し、インバータによる圧縮機11や凝縮器用冷却ファン12aの回転数制御(電動モータ制御)によって露点性能を確保しつつ、圧縮機11での潤滑油のオイルレベルを維持できるように好適に制御することができる。
【0058】
例えば、吐出管温度センサ16によって冷媒の温度が設定温度と比較して高くなっていることを検知した場合(高負荷状態と判断した場合)は、その度合いに応じて比例制御電磁弁22の開度を調整して開くことで、戻り潤滑油を圧縮機11へ戻すように制御すればよい。また、例えば、高圧圧力センサ17によって冷媒の圧力(凝縮圧力)が設定圧力と比較して高くなっていることを検知した場合(高負荷状態と判断した場合)は、その度合いに応じて比例制御電磁弁22の開度を調整して開くことで、戻り潤滑油を圧縮機11へ戻すように制御すればよい。また、例えば、露点センサ34(温度センサ)によって圧縮空気の温度(露点)が設定温度と比較して高くなっていることを検知した場合(高負荷状態と判断した場合)は、その度合いに応じて比例制御電磁弁22の開度を調整して開くことで、戻り潤滑油を圧縮機11へ戻すように制御すればよい。そして、上述の状態とは反対に、低負荷状態と判断した場合には、比例制御電磁弁22の開度を調整して閉じる方向へ制御するなど、上述の高負荷状態と判断した場合とは、逆の動作を行うように制御すればよい。
【0059】
また、この形態例としては、潤滑油戻り配管20の比例制御電磁弁22よりも戻り潤滑油の流れの上流側の配管である上流側戻り配管21が、断熱材によって断熱されている構成とすることができる。これによれば、上流側戻り配管21が、外気と断熱され、結露の発生を防止できる。
【0060】
また、この形態例としては、潤滑油戻り配管20の比例制御電磁弁22よりも戻り潤滑油の流れの下流側の配管である下流側戻り配管24が、冷凍サイクル装置10の排熱によって加熱される位置に配されている構成とすることができる。例えば、下流側戻り配管24を、凝縮器12の入口配管近傍に配置することができる。これによれば、戻り潤滑油が適度に加温され、その戻り潤滑油の流動性を上げることができるため、その戻り潤滑油の流れの制御に係る追随性を高めことができ、圧縮機11への戻り潤滑油の戻り量を安定させることができる。
【0061】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0062】
10 冷凍サイクル装置
11 圧縮機
12 凝縮器
12a 凝縮器用冷却ファン
12b 放熱フィン
13 膨張弁
14 蒸発器
14a 蒸発器の冷媒入口
14b 蒸発器の冷媒出口
15 冷媒用配管
15a 冷媒用戻り配管
16 吐出管温度センサ
17 高圧圧力センサ
20 潤滑油戻り配管
21 上流側戻り配管
22 比例制御電磁弁
23 キャピラリーチューブ
24 下流側戻り配管
30 除湿装置筐体
31 圧縮空気入口
32 圧縮空気出口
33 第1の熱交換器部
33a 予冷用の流路
33b 再熱用の流路
34 露点センサ
35 ドレン排出口
36 ドレン排出装置の制御弁
38 空気流量センサ
39 空気圧力センサ
40 第2の熱交換器部
40a 第2の熱交換器部入口
41 冷媒流路
42 被冷却流路
45 気液分離流路部
50 熱交換器ユニット
51 一方端側
51a 一端壁部
52 他方端側
52a 他端壁部
55 二次側連通路
55a 二次側連通路入口
55b 二次側連通路出口
60 制御装置
70 ドレン水
100 第1の判定ステップ
200 第1の切替ステップ
300 第2の判定ステップ
400 第2の切替ステップ
500 運転維持ステップ