(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001685
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20241226BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H01Q1/12 E
H01Q1/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101294
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】592236371
【氏名又は名称】サン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 修
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 建治
(72)【発明者】
【氏名】松原 寛至
(72)【発明者】
【氏名】山崎 祐吾
(72)【発明者】
【氏名】浦部 祥行
(72)【発明者】
【氏名】工藤 太一
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA03
5J047AA09
5J047BF01
5J047BG01
5J047BG02
5J047BG10
5J047EF01
(57)【要約】
【課題】壁面取付け金具にアンテナを取り付ける際、アンテナが壁面取付け金具から抜けないように仮止めできるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】受信感度方向と反対側で樹脂ケース1と一体成形されてアンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、予め壁面8等に取り付けの壁面取付け金具5に仮止めされ、壁面取付け金具5に付設のボルト53とナット54で固定される。壁面取付け金具5にアンテナ固定部3が仮止め時に抜けないように、壁面取付け金具5のボルト53を支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部50に形成され、アンテナ固定部3には、ボルト53が差し込まれるボルト差込溝31の端部に、抜け防止凸部50が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部30が形成され、抜け防止凸部50に係合凹部30が係合してアンテナ2の仮止めと固定が自在である。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂ケース内にアンテナ素子が配置されているアンテナの装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケースと一体成形されてアンテナを固定するアンテナ固定部が、予め壁面に取り付けられている壁面取付け金具に仮止めされ、前記壁面取付け金具に付設されたボルトとナットで締め付け固定される構造であり、
前記壁面取付け金具に前記アンテナ固定部が仮止めされた際に抜けないように、前記壁面取付け金具のボルトを支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部として形成され、
一方、前記アンテナ固定部には、前記壁面取付け金具のボルトが差し込まれるボルト差込溝の端部に、前記抜け防止凸部が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部が形成され、
前記壁面取付け金具の抜け防止凸部に前記アンテナ固定部の係合凹部が係合して前記アンテナの仮止めと固定が自在に構成されていること、
を特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
樹脂ケース内にアンテナ素子が配置されているアンテナの装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケースと一体成形されてアンテナを固定するアンテナ固定部が、ポールにポール取付け金具で挟持される壁面取付け金具に仮止めされ、前記壁面取付け金具に付設されたボルトとナットで締め付け固定される構造であり、
前記壁面取付け金具に前記アンテナ固定部が仮止めされた際に抜けないように、前記壁面取付け金具のボルトを支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部として形成され、
一方、前記アンテナ固定部には、前記壁面取付け金具のボルトが差し込まれるボルト差込溝の端部に、前記抜け防止凸部が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部が形成され、
前記壁面取付け金具の抜け防止凸部に前記アンテナ固定部の係合凹部が係合して前記アンテナの仮止めと固定が自在に構成されていること、
を特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ固定部が、縦長の前記アンテナの下方部に形成され、かつ前記ボルト差込溝が左右と中央の縦方向に3箇所形成され、
前記ボルト差込溝の上端と下端に、前記略半球状の係合凹部がそれぞれ形成されており、
前記3箇所のボルト差込溝のいずれかの係合凹部が、前記壁面取付け金具の抜け防止凸部に係合された際、前記いずれかの係合凹部の中心を中心軸として前記アンテナが、壁面又はポールに対して最大180度まで角度調整が回転可能であること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載したアンテナ装置。
【請求項4】
前記壁面取付け金具は、垂直面部とその垂直面部の上下でそれぞれ水平方向に折曲された水平面部に形成され、前記上下の水平面部の先端部で貫通する貫通孔の内方の周辺部に前記抜け防止凸部が形成され、前記貫通孔に前記ボルトが挿通されており、
前記ボルトの中心軸と前記垂直面部までの長さが、前記アンテナ固定部の左右いずれかの係合凹部の中心から前記アンテナ固定部の近い側面側のアンテナ側面までの長さより長く形成され、
前記左右いずれかの係合凹部が前記抜け防止凸部に係合された際、前記アンテナ固定部が左右いずれかの方向へ90度まで回転可能であること、
を特徴とする、請求項3に記載したアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナの裏面にある出力端子からの配線ケーブルを覆う化粧カバーが、前記アンテナ裏面に着脱自在に設けられていること、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載したアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射素子や給電素子を樹脂ケース内部に収容するアンテナ装置に関し、さらに言えば、地上デジタル放送を受信するアンテナ装置を家の壁面やポールに取り付ける際、固定ボルトを締め付けるまでの間、抜けないように安全に仮止めできるアンテナ装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地上デジタル放送を受信するアンテナは、アンテナ素子がむき出しになった八木式アンテナからアンテナ素子が樹脂でおおわれたデザインアンテナが主流になってきている。
これらのアンテナのうち主に壁面に取り付けられるアンテナとして、例えば下記特許文献1には、アンテナ装置100の背面110に一体的に形成されている突出部120と、突出部120と連結されるとともに、アンテナ装置100の取付対象物1に固定されてアンテナ装置100を支持する支持金具200とからなり、支持金具200は、基部210と、1対の突出片部220と、ボルト締結体240とを含み、突出部120は、1対の突出片部220と面する1対の端面121と、ボルト締結体240といずれか1つが択一的に嵌合する複数の嵌合溝123、124、125と、複数の嵌合溝123、124、125の各々を互いに連結する連結溝126と、ボルト締結体240が突出部120の外側から連結溝126内に通過可能とする開口127とを含み、壁面の支持金具200のボルト240は、前記第1、第2、第3の3つの嵌合溝123、124、125に形成されている各突起123p、124p、125pで保持される構造のアンテナ支持体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のアンテナ支持体における構造では、アンテナを設置するとき、ボルト240が突起123p、124p、125pを通過するのに大きな力を必要とすることがあった。また、突起123p、124p、125pが経年使用で弱くなると簡単にボルト240が抜けてしまうといった安全性の面での不都合もある。
そして、壁に対する回転角度は60度までであるため、受信電波が玄関正面方向から到来するときは、玄関のある壁面にはアンテナの設置を拒まれるケースがあり、他の壁面に設置したのではアンテナの角度調整ができないという問題があり、かかる点が解決すべき課題とされている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、壁面等に取り付けられた壁面取付け金具に対してアンテナを取り付けるとき、固定ボルトを締め付けるまでの間、アンテナが壁面取付け金具から抜けないように安全に仮止め(仮固定)できる構造にすることにある。
また、壁面に直角となる軸とアンテナの受信感度の中心軸との角度を90度付近まで回転できる構造を実現し、回転角度が90度付近となった時、アンテナ裏面に配線されているケーブルなどが見えなくてすっきりとした外観になるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、樹脂ケース1内にアンテナ素子が配置されているアンテナ2の装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケース1と一体成形されてアンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、予め壁面8に取り付けられている壁面取付け金具5に仮止めされ、前記壁面取付け金具5に付設されたボルト53とナット54で締め付け固定される構造であり、
前記壁面取付け金具5に前記アンテナ固定部3が仮止めされた際に抜けないように、前記壁面取付け金具5のボルト53を支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部50として形成され、
一方、前記アンテナ固定部3には、前記壁面取付け金具5のボルト53が差し込まれるボルト差込溝31の端部に、前記抜け防止凸部50が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部30が形成され、
前記壁面取付け金具5の抜け防止凸部50に前記アンテナ固定部3の係合凹部30が係合して前記アンテナ2の仮止めと固定が自在に構成されていること、
を特徴とするアンテナ装置である。
【0007】
請求項2に記載した発明は、樹脂ケース1内にアンテナ素子が配置されているアンテナ2の装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケース1と一体成形されてアンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、ポール7にポール取付け金具6で挟持される壁面取付け金具5に仮止めされ、前記壁面取付け金具5に付設されたボルト53とナット54で締め付け固定される構造であり、
前記壁面取付け金具5に前記アンテナ固定部3が仮止めされた際に抜けないように、前記壁面取付け金具5のボルト53を支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部50として形成され、
一方、前記アンテナ固定部3には、前記壁面取付け金具5のボルト53が差し込まれるボルト差込溝31の端部に、前記抜け防止凸部50が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部30が形成され、
前記壁面取付け金具5の抜け防止凸部50に前記アンテナ固定部3の係合凹部30が係合して前記アンテナ2の仮止めと固定が自在に構成されていること、
を特徴とするアンテナ装置である。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記アンテナ固定部3が、縦長の前記アンテナ2の下方部に形成され、かつ前記ボルト差込溝31が左右と中央の縦方向に3箇所形成され、
前記ボルト差込溝31の上端31aと下端31bに、前記略半球状の係合凹部30がそれぞれ形成されており、
前記3箇所のボルト差込溝31のいずれかの係合凹部30が、前記壁面取付け金具5の抜け防止凸部50に係合された際、前記いずれかの係合凹部30の中心Tを中心軸として前記アンテナ2が、壁面8又はポール7に対して最大180度まで角度調整が可能であること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載したアンテナ装置。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記壁面取付け金具5は、垂直面部51とその垂直面部51の上下でそれぞれ水平方向に折曲された水平面部52に形成され、前記上下の水平面部52の先端部で貫通する貫通孔52aの内方の周辺部に前記抜け防止凸部50が形成され、前記貫通孔52aに前記ボルト53が挿通されており、
前記ボルト53の中心軸Pと前記垂直面部51までの長さKが、前記アンテナ固定部3の左右いずれかの係合凹部30の中心Tから前記アンテナ固定部3の近い側面側のアンテナ側面32までの長さWより長く形成され、
前記左右いずれかの係合凹部30が前記抜け防止凸部50に係合された際、前記アンテナ固定部3が左右いずれかの方向へ90度まで回転可能であること、
を特徴とする、請求項3に記載したアンテナ装置である。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記アンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブルを覆う化粧カバー4が、前記アンテナ裏面20に着脱自在に設けられていること、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載したアンテナ装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1、2のアンテナ装置によれば、アンテナを壁面やポールに取り付けるとき、壁面等に取り付けられた壁面取付け金具の略半球状の凸部と、アンテナ固定部の略半球状の凹部が係合して仮止め(仮固定)されるため、手を放してもアンテナが落下せず工事が大変楽で、安全性が確保される。
アンテナの向きが確定して固定する際には、略半球状凸部と略半球状凹部が球体状にしっかり係合して嵌合するため、摩擦力が発生して強固な固定が実現される。
また、請求項3、4の発明によれば、アンテナの受信方向の回転角度を左右それぞれ90度の最大180度にできるため、どんな電波到来方向であっても家のつくりに合わせることが可能になる。
さらに、請求項5のように化粧カバーを使用すれば、アンテナ裏面に取り付けられた増幅器やそれら機器に対する配線ケーブルが丸見えになることを防ぐことができ、より良い美観を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のアンテナ装置のアンテナ固定部を示しており、(A)は全体斜視図、(B)は拡大斜視図である。
【
図2】壁面取付け金具を示した斜視図(A)と側面図(B)である。
【
図3A】アンテナ固定部の壁面取付け金具への係合状態を示した部分拡大斜視図である。
【
図3C】
図3Bの状態から90度右回転した状態を示した平面図である。
【
図4】化粧カバーの取り付け直前のアンテナ装置を示した斜視図である。
【
図5】化粧カバーを取り付けたアンテナ装置の斜視図である。
【
図6A】化粧カバーを取り付けたアンテナ装置の異なる斜視図である。
【
図6B】
図6Aの状態から少し化粧カバーを開いた状態を示した斜視図である。なお、この
図6Bでは壁面取付け金具が取り付けられている。
【
図7A】本発明のアンテナ装置をポールに取り付けた状態を示した裏面方向から示した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のアンテナ装置の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
アンテナ2の裏面20には、
図4に示した増幅器22が取り付けられるビス穴25が設けられており(
図1)、必要に応じて増幅器22が取り付け自在になっている。化粧カバー4の内側に取り付けられた増幅器22は、配線ケーブル26、27、28を含めて外からは見えない状態になる(
図4~
図5、
図7参照)。
【0014】
<第1実施例>
本発明の第1実施例のアンテナ装置を要説すると、このアンテナ装置は、樹脂ケース1内にアンテナ素子(反射素子や給電素子等)が配置されている地上デジタル放送受信アンテナ2の装置において、受信感度方向と反対側で樹脂ケース1と一体成形されてアンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、予め壁面8に取り付けられている壁面取付け金具5に仮止め(仮固定)され、壁面取付け金具5に付設されたボルト53とナット54で締め付け固定される構造となっている。
そして、壁面取付け金具5にアンテナ固定部3が仮止めされた際に抜けないように、壁面取付け金具5のボルト53を支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部50として形成されている。一方、アンテナ固定部3には、壁面取付け金具5のボルト53が差し込まれるボルト差込溝31の端部に、抜け防止凸部50が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部30が形成されている。よって、壁面取付け金具5の抜け防止凸部50にアンテナ固定部3の係合凹部30が係合してアンテナ2の仮止めと固定が自在に構成されているものである。
【0015】
詳述すると、壁面取付け金具5は、
図2に示したように全体形状がコ字状で、垂直面部51とその垂直面部51の上下でそれぞれ水平方向に折曲された水平面部52に形成されている。この上下の各水平面部52の先端部には、ボルト53を通すために貫通された貫通孔52aが形成されている。この貫通孔52aは、ボルト径より大きくなっており、水平面部52が撓む場合に対応できるようになっている。
前記貫通孔52aの内方の周辺部に、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部50が形成され(
図2B参照)、ボルト53が前記貫通孔52aに挿通して付設されている。また、回転に対する抵抗を増すために、抜け防止凸部50に回転方向に直角となる凸状の筋50aを入れて実施することも好適に行われる(
図2A)。
【0016】
そして、
図3Aに示したように、上記の付設ボルト53の中心軸Pと垂直面部51までの長さKが、後述するアンテナ固定部3の左右いずれかの係合凹部30の中心Tからアンテナ固定部3の近い側面側のアンテナ側面32までの長さWより長く形成されている。また、ボルト53と垂直面部51までの空間が、後述するアンテナ固定部3が回転できるスペースSとなっている(
図2、
図3参照)。
なお、アンテナ固定部3を取り付けて仮止め(仮固定)するとき、アンテナ固定部3がスムーズに壁面取付け金具5に入ることを目的として、前記水平面部52は弾力性あるように、その中央部は打ち抜かれた空間の打抜き部52bに形成されている(
図2A参照)。
【0017】
一方、縦長のアンテナ2の裏面20の下方部には、
図1に示したように、アンテナ固定部3が一体的に形成されている。このアンテナ固定部3には、アンテナ2を回転させる軸中心となる部分(符号T参照)に、壁面取付け金具5のボルト53が差し込まれる縦長で、裏面方向に開口されたボルト差込溝31が左右と中央の縦方向に3箇所形成されている。左右のボルト差込溝31は、平面からみてJ字形状に形成する実施形態が好ましいが、この限りではない。前記ボルト差込溝31の上端31aと下端31bに、壁面取付け金具5の抜け防止凸部50が係合自在なように略半球状に形成された係合凹部30がそれぞれ設けられている(
図1B、
図6A参照)。
したがって、壁面8に固定するためのボルト差込溝31を1箇所使用しても、残り2箇所は空いており、その残りのボルト差込溝31にBSアンテナからの配線ケーブル27を押し込み、もう一つのボルト差込溝31にホーム共同受信用の配線ケーブル28を押し込むことが可能である。こうすることにより、見栄えをよくすることが可能となっている(
図4、
図5参照)。
【0018】
そして、
図3Aに示したように、上記壁面取付け金具5の付設ボルト53の中心軸Pと垂直面部51までの長さKが、アンテナ固定部3の左右いずれかの係合凹部30の中心Tからアンテナ固定部3の近い側面側のアンテナ側面32までの長さWより長く形成されているため、左右いずれかの係合凹部30が抜け防止凸部50に係合された際、壁面取付け金具5の前記スペースSを利用して、アンテナ固定部3が左右いずれかの方向へ90度まで回転可能となっている(
図3A、B、C)。
言い換えれば、3箇所のボルト差込溝31の左方又は右方の係合凹部30が、壁面取付け金具5の抜け防止凸部50に係合された際、係合凹部30の中心Tを中心軸としてアンテナ2が、壁面8に対して最大180度まで角度調整が可能となっている。
【0019】
かくして、アンテナ固定部3を壁面取付け金具5に挿入した時点で、略半円球状の抜け防止凸部50と係合凹部30がしっかり噛み合って係合し、アンテナ2から手を放してもアンテナ2が壁面取付け金具5抜けてしまうことはない。
また、係合凹部30(略半球状の凹部)と抜け防止凸部50(略半球状の凸部)の凹凸になっているため、アンテナ固定部3と壁面取付け金具5との摩擦抵抗が大きく設定でき、ボルト53をナット54で締め付けることによりアンテナ1が不動状態を保持して回転しない。
【0020】
上述したように、本実施形態のアンテナ2の方向調整を行うボルト53の回転軸は、アンテナ固定部3が樹脂製でそこに略半球状の係合凹部30が形成され、その係合凹部30に係合するボルト53の抜け防止凸部50が壁面取り付け金具5に形成されて、略半球状の凹部30と凸部50の中心が回転軸となっているため、方向調整を滑らかに行えて微妙な調整が実現できる結果、アンテナ2の受信性能を向上させることができる。
【0021】
上述したアンテナ装置には、
図4~
図6に示したように、アンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブル26や増幅器22からの配線ケーブル(同軸ケーブル)27、28を覆う化粧カバー4が、アンテナ裏面20に着脱自在に設けられている。この化粧カバー4は、前面と下面が無く、裏面と両側面と上面の4面から成る蓋体に構成されている。
すなわち、
図4に示すように、アンテナ裏面20の上部両端には上下に開口して平面方向視形状がコ字形の被係止片23、同アンテナ裏面20の下部両端にはビス止め孔付き外向きのビス固定用片24が付設された被係止片23がそれぞれ設けられている。と共に、化粧カバー4には前記の各被係止片23に対応する位置に対応した係止辺40が計4箇所設けられている。よって、化粧カバー4を少し上方向からアンテナ裏面20に引っ掛けて、アンテナ本体方向に押さえ付けることにより化粧カバー4を簡単に取り付けることができる。一方、化粧カバー4が固定されている状態から、僅か上方に化粧カバー4をスライドさせることによりアンテナ本体から化粧カバー4を簡単に外すことができる。
また、化粧カバー4の側面には、前記アンテナ裏面20のビス固定用片24に対応する位置にビス固定用の孔41が穿設されており、固定用ビス42を前記孔41に通し、ビス固定用片24に固定することにより、強風時に当該カバー4が上方へスライドして抜けない構成とされている(
図5)。
【0022】
かくして、このような化粧カバー4を取り付けることにより、家の壁面8に設置されるアンテナ2の外観の見栄えがよくなる。また、
図6に示したような化粧カバー4をアンテナ裏面20に取り付けることにより、強風が吹いたとき、配線ケーブル26、27、28が風でなびいてアンテナ2に打ち付けられて音が出ることを防ぐことができる。
【0023】
<第2実施例>
上述したアンテナ装置は、ポール7に取り付けて実施することもできる。
図7に示したこの第2実施例は、上記した第1実施例と構成は殆んど同じなので重複する説明は省略する。
異なる構成は、壁面8に取り付けられる壁面取付け金具5が、ポール取付け金具6によりポール7を挟むようにしてボルト60でポール7に固定される点である(
図7A)。
しかるに、このようなポール7にアンテナ2を設置する際にも、やはり壁面取付け金具5の抜け防止凸部50にアンテナ固定部3の係合凹部30が係合してアンテナ2の仮止めと固定が自在に構成されている。
図7Aに示したように、中央のボルト差込溝31を用いてアンテナ固定部3を壁面取付け金具5に取り付ければ、ポール7に対して安定状態が確保される。
【0024】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0025】
1 樹脂ケース
2 アンテナ
20 裏面
21 アンテナ出力端子
22 増幅器
23 被係止片
24 ビス固定片
25 ビス孔
26 配線ケーブル
27 配線ケーブル
28 配線ケーブル
3 アンテナ固定部
30 係合凹部
31 ボルト差込溝
31a 上端
31b 下端
32 アンテナ側面
4 化粧カバー
40 係止片
41 ビス固定用孔
5 壁面取付け金具
50 抜け防止凸部
50a 突条の筋
51 垂直面部
52 水平面部
52a 貫通孔
52b 打抜き部
53 ボルト
54 ナット
6 ポール取付け金具
7 ポール
8 壁面
K、W 長さ
P ボルトの中心軸
T 係合凹部の中心
S スペース
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂ケース内にアンテナ素子が配置されているアンテナの装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケースと一体成形されてアンテナを固定するアンテナ固定部が、予め壁面に取り付けられている壁面取付け金具に仮止めされ、前記壁面取付け金具に付設されたボルトとナットで締め付け固定される構造であり、
前記壁面取付け金具に前記アンテナ固定部が仮止めされた際に抜けないように、前記壁面取付け金具のボルトを支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部として形成され、
一方、前記アンテナ固定部には、前記壁面取付け金具のボルトが差し込まれるボルト差込溝の端部に、前記抜け防止凸部が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部が形成され、
前記壁面取付け金具の抜け防止凸部に前記アンテナ固定部の係合凹部が係合して前記アンテナの仮止めと固定が自在に構成されていること、
を特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
樹脂ケース内にアンテナ素子が配置されているアンテナの装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケースと一体成形されてアンテナを固定するアンテナ固定部が、ポールにポール取付け金具で挟持される壁面取付け金具に仮止めされ、前記壁面取付け金具に付設されたボルトとナットで締め付け固定される構造であり、
前記壁面取付け金具に前記アンテナ固定部が仮止めされた際に抜けないように、前記壁面取付け金具のボルトを支持している周辺の部位が、略半球状に内方に盛り上がった抜け防止凸部として形成され、
一方、前記アンテナ固定部には、前記壁面取付け金具のボルトが差し込まれるボルト差込溝の端部に、前記抜け防止凸部が係合自在な略半球状に凹んだ係合凹部が形成され、
前記壁面取付け金具の抜け防止凸部に前記アンテナ固定部の係合凹部が係合して前記アンテナの仮止めと固定が自在に構成されていること、
を特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ固定部が、縦長の前記アンテナの下方部に形成され、かつ前記ボルト差込溝が左右と中央の縦方向に3箇所形成され、
前記ボルト差込溝の上端と下端に、前記略半球状の係合凹部がそれぞれ形成されており、
前記3箇所のボルト差込溝のいずれかの係合凹部が、前記壁面取付け金具の抜け防止凸部に係合された際、前記いずれかの係合凹部の中心を中心軸として前記アンテナが、壁面又はポールに対して最大180度まで角度調整が回転可能であること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載したアンテナ装置。
【請求項4】
前記壁面取付け金具は、垂直面部とその垂直面部の上下でそれぞれ水平方向に折曲された水平面部に形成され、前記上下の水平面部の先端部で貫通する貫通孔の内方の周辺部に前記抜け防止凸部が形成され、前記貫通孔に前記ボルトが挿通されており、
前記ボルトの中心軸と前記垂直面部までの長さが、前記アンテナ固定部の左右いずれかの係合凹部の中心から前記アンテナ固定部の近い側面側のアンテナ側面までの長さより長く形成され、
前記左右いずれかの係合凹部が前記抜け防止凸部に係合された際、前記アンテナ固定部が左右いずれかの方向へ90度まで回転可能であること、
を特徴とする、請求項3に記載したアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナの裏面にある出力端子からの配線ケーブルを覆う化粧カバーが、前記アンテナ裏面に着脱自在に設けられていること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載したアンテナ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記アンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブルを覆う化粧カバー4が、前記アンテナ裏面20に着脱自在に設けられていること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載したアンテナ装置である。