(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001686
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
H01Q1/12 E
H01Q1/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101295
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】592236371
【氏名又は名称】サン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 修
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 建治
(72)【発明者】
【氏名】松原 寛至
(72)【発明者】
【氏名】山崎 祐吾
(72)【発明者】
【氏名】浦部 祥行
(72)【発明者】
【氏名】工藤 太一
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA02
5J047AB03
5J047BC08
5J047BF02
5J047BF04
(57)【要約】
【課題】壁面等に取り付けられる長方形の立方体のアンテナで、アンテナ裏面に電子機器が取り付けられた場合でも、それらの機器の配線ケーブル等が見えなくてすっきりしたアンテナ装置を提供する。
【解決手段】受信感度方向と反対側で樹脂ケース1と一体成形されてアンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、予め壁面8に取り付けられている壁面取付け金具5に取り付け自在であること、及びアンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブル26に接続される電子機器22がアンテナ裏面20に取り付けられ、電子機器22やその電子機器22に接続自在な配線ケーブル26、27、28を覆う化粧カバー4が、アンテナ2の裏面20に着脱自在に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂ケース内にアンテナ素子が配置されているアンテナの装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケースと一体成形されて前記アンテナを固定するアンテナ固定部が、予め壁面に取り付けられている壁面取付け金具に取り付け自在であること、
及び前記アンテナの裏面にある出力端子からの配線ケーブルに接続される電子機器がアンテナ裏面に取り付けられ、前記電子機器とその電子機器に接続自在な配線ケーブルを覆う化粧カバーが、前記アンテナの裏面に着脱自在に設けられていること、
を特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
樹脂ケース内にアンテナ素子が配置されているアンテナの装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケースと一体成形されて前記アンテナを固定するアンテナ固定部が、ポールにポール取付け金具で挟持される壁面取付け金具に取り付け自在であること、
及び前記アンテナの裏面にある出力端子からの配線ケーブルに接続される電子機器がアンテナ裏面に取り付けられ、前記電子機器とその電子機器に接続自在な配線ケーブルを覆う化粧カバーが、前記アンテナの裏面に着脱自在に設けられていること、
を特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナの樹脂ケースは、立方体形状に形成され、
及び前記化粧カバーは、前記アンテナ固定部を除く前記アンテナの裏面を被覆して納まる大きさの蓋体であること、
前記化粧カバーの下部に突き出た前記アンテナ固定部が、前記壁面取付け金具に付設されたボルトとナットで締め付け固定されること、
を特徴とする請求項1又は2に記載したアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナの裏面において、上部に被係止片が設けられていると共に、下部両端にビス止め孔付きのビス固定用片が設けられ、
及び前記化粧カバーの側面には、前記ビス固定用片に対応する位置にビス固定用の孔が穿設され、
前記化粧カバーの上面が、前記被係止片に係止された状態で、前記ビス固定用の孔に挿通した固定ビスにより前記ビス固定片に固定自在に構成されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載したアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射素子や給電素子を樹脂ケース内部に収容するアンテナ装置に関し、さらに言えば、地上デジタル放送を受信するアンテナ装置を家の壁面やポールに取り付けられるアンテナ装置の裏面の配線ケーブルを見えなくするアンテナ装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地上デジタル放送を受信するアンテナは、アンテナ素子がむき出しになった所謂“八木式アンテナ”から、アンテナ素子が樹脂で覆われてデザイン的に優れた“デザインアンテナ”が主流になってきている。
これらのアンテナのうちマストに取り付けられる技術として、例えば下記特許文献1には、その
図2等のように、アンテナ装置10、100の固定金具35、351、352、400と出力コネクタ25、250を覆うカバー部31を備えたアンテナ装置が開示されている。
すなわち、同文献1の請求項1の発明は、マスト70等に固定して使用するアンテナ装置10等であって、柱形状のアンテナ本体部20等と、その底面である本体部底面22等に取り付けられた接続部30等と、を備え、その接続部30等は、内部に空間が形成され、且つ底面にマスト70等を挿入するためのマスト挿入口が形成された柱形状のカバー部31と、その内部に設置され、マスト70等を固定するように構成されている少なくとも1つの固定金具35等と、を有し、請求項3の発明のアンテナ本体部20等は、本体部底面22等からカバー部31の内部へ突出するように設けられた出力コネクタ25等を有し、請求項5の発明の接続部30等は、カバー部31の内部に、本体部底面22等から突出した出力コネクタ25等を取り囲み、出力コネクタ25等の周囲の空間と、カバー部31内の空間とを仕切るように構成された小部屋部40を有し、カバー部材31のそれぞれは、カバー部材31が閉じられた際に小部屋部40を形成する仕切部材40a等を有し、仕切部材40aには出力コネクタ25等に接続されるケーブル80を小部屋部40の内部へ挿入するためのケーブル挿入口33等が形成されている旨記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のアンテナ装置の構造では、アンテナ20等を設置するとき、アンテナ20等をマスト70等に固定する金具35等とアンテナ20等に接続されるコネクタ25等と接続されるケーブル80の一部はカバー部31で覆われるが、その直後に接続される増幅器やそれらの機器に接続されるケーブル80は、むき出しで見栄えが悪いという問題があり、また、このアンテナ20等は壁面に取り付けられないという不都合もあり、かかる点が解決すべき課題とされている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、壁面等に取り付けられる立方体形状のアンテナで、壁面に直角となる軸とアンテナの受信感度の中心軸との角度が大きくなった時でも、アンテナ裏面に増幅器などの電子機器が取り付けられた場合でも、それらの機器に配線されているケーブルなどが見えなくてすっきりとした外観になるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、樹脂ケース1内にアンテナ素子が配置されているアンテナ2の装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケース1と一体成形されて前記アンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、予め壁面8に取り付けられている壁面取付け金具5に取り付け自在であること、
及び前記アンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブル26に接続される電子機器22がアンテナ裏面20に取り付けられ、前記電子機器22とその電子機器22に接続自在な配線ケーブル26、27、28を覆う化粧カバー4が、前記アンテナ2の裏面20に着脱自在に設けられていること、
を特徴とするアンテナ装置である。
【0007】
請求項2に記載した発明は、樹脂ケース1内にアンテナ素子が配置されているアンテナ2の装置において、
受信感度方向と反対側で前記樹脂ケース1と一体成形されて前記アンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、ポール7にポール取付け金具6挟持される壁面取付け金具5に取り付け自在であること、
及び前記アンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブル26に接続される電子機器22がアンテナ裏面20に取り付けられ、前記電子機器22とその電子機器22に接続自在な配線ケーブル26、27、28を覆う化粧カバー4が、前記アンテナ2の裏面20に着脱自在に設けられていること、
を特徴とするアンテナ装置である。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記アンテナ2の樹脂ケース1は、立方体形状に形成され、
及び前記化粧カバー4は、前記アンテナ固定部3を除く前記アンテナ2の裏面20を被覆して納まる大きさの蓋体であること、
前記化粧カバー4の下部に突き出た前記アンテナ固定部3が、前記壁面取付け金具5に付設されたボルト53とナット54で締め付け固定されること、
を特徴とする請求項1又は2に記載したアンテナ装置である。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記アンテナ2の裏面20において、上部に被係止片23が設けられていると共に、下部両端にビス止め孔25付きのビス固定用片24が設けられ、
及び前記化粧カバー4の側面41には、前記ビス固定用片24に対応する位置にビス固定用の孔41aが穿設され、
前記化粧カバー4の上面42が、前記被係止片23に係止された状態で、前記ビス固定用の孔41aに挿通した固定ビス43により前記ビス固定片24に固定自在に構成されていること、
を特徴とする請求項1又は2に記載したアンテナ装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ装置によれば、アンテナを壁面に設置して、アンテナの受信感度が最大になるように電波到来方向に調整した時、壁面に対して直角となる面に対して大きな角度となった時でも、化粧カバーを使用すれば、アンテナ裏面に取り付けられた増幅器等の電子機器やそれらに対する配線ケーブルが丸見えになることを防ぐことができ、より良い美観の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】化粧カバーが取り付けられたアンテナ装置の壁面取り付け状態を裏面から示した斜視図である。
【
図2】化粧カバーの取り付け直前のアンテナ装置(裏面)を示した斜視図である。
【
図3】化粧カバーを取り付けたアンテナ装置を示した斜視図である。
【
図4】アンテナの被係止片に化粧カバーの上面が係止された状態を示した斜視図である。
【
図5】化粧カバーが取り付けられたアンテナ装置のポールへの取り付け状態を裏面から示した斜視図である。
【
図7】化粧カバーのアンテナ裏面への取り付け要領を示した図で、Aは側方から部分的に拡大して見た上部断面図、Bは下方から部分的に拡大して見た下部断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のアンテナ装置の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。
【0013】
<第1実施例>
本発明の第1実施例のアンテナ装置を要説すると、このアンテナ装置は、
図2に示したように、立方体形状に形成された樹脂ケース1内に、アンテナ素子(反射素子や給電素子等)が配置されている地上デジタル放送受信アンテナ2の装置において、受信感度方向と反対側で樹脂ケース1と一体成形されてアンテナ2を固定するアンテナ固定部3が、予め壁面8に取り付けられている壁面取付け金具5に仮固定された後、壁面取付け金具5に付設されたボルト53とナット54で締め付け固定される構造となっている。
そして、アンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブル26に接続される増幅器や混合器等の電子機器22がアンテナ裏面20に取り付けられ、前記電子機器22に配線されるケーブル27、28が接続自在となっており、前記の電子機器22や配線ケーブル26、27、28を覆う化粧カバー4が、アンテナ2の裏面20に着脱自在に設けられているものである。
【0014】
壁面取付け金具5は、
図1に示したように、壁面8に取り付けられる垂直面部51とその垂直面部51の上下でそれぞれ垂直方向に折曲された水平面部52に形成されている。この上下の各水平面部52の先端部には、ボルト53を通すために貫通された貫通孔52aが形成されている。また、ボルト53と垂直面部51までの空間が、アンテナ固定部3が回転できるスペースとなっている。
なお、アンテナ固定部3を取り付けて仮止め(仮固定)するとき、このアンテナ固定部3がスムーズに壁面取付け金具5に入るように、水平面部52の中央部は打ち抜かれて弾力性ある打抜き部52bに形成されている(
図1参照)。
【0015】
この縦長のアンテナ2の裏面20の下方部には、
図1~
図3に示したように、アンテナ固定部3が一体的に形成されている。このアンテナ固定部3には、アンテナ2を回転させる軸中心となる部分に、壁面取付け金具5のボルト53が差し込まれる縦長で、裏面方向に開口されたボルト差込溝31が左右と中央の縦方向に3箇所形成されている。よって、壁面8に固定するためのボルト差込溝31を1箇所使用しても、残り2箇所は空いており、その残りのボルト差込溝31にBSアンテナからの配線ケーブル27を押し込み、もう一つのボルト差込溝31にホーム共同受信用の配線ケーブル28を押し込むことが可能である。
そして、アンテナ裏面20の上部の両端にはコ字形の被係止片23、同アンテナ裏面20の下部の両端には、後述する化粧カバー4のビス固定用の孔41aが内接して合致する位置に、ビス固定用片24が設けられている。
【0016】
このアンテナ装置には、
図1~
図4に示したように、アンテナ2の裏面20にある出力端子21からの配線ケーブル26や電子機器22からの配線ケーブル(同軸ケーブル)27、28を覆う化粧カバー4が、アンテナ裏面20に着脱自在に設けられている。
本実施形態の化粧カバー4は、前面と下面が無く、裏面40とその両側の側面41、41と、上面42の4面から成り、上述したアンテナ固定部3を除くアンテナ2(立方体形状の樹脂ケース1)の裏面20を被覆して納まる大きさの蓋体で構成されている。そのため、化粧カバー4の下部に突き出たアンテナ固定部3が、壁面取付け金具5に付設されたボルト53とナット54で締め付け固定自在となっている。
そして、化粧カバー4の下方の各側面41には、前記アンテナ裏面20に設けられたビス固定用片24に対応する位置に、ビス固定用の孔41aが穿設されている(
図3、
図4参照)。
【0017】
したがって、化粧カバー4は、その上面42の爪部44をアンテナ2の被係止片23に係止した後(
図4、
図7A)、同化粧カバー4の下方側面41の爪部44を、アンテナ裏面20のビス固定片24近傍の凹部(符号は省略)に押さえ付ければ、爪部44の弾性力を利用して楽に止められる(
図7B参照)。そして、位置が合致するビス固定用の孔41aに固定ビス43を挿通して、ビス固定片24のビス止め孔25に簡単かつ確実に固定することができる(
図1~
図3)。
一方、前記の固定ビス43を緩めて外すだけで、楔形係止片45と被楔形係止片29の横幅が各々10mmで形成されているため化粧カバー4を上方へ僅かにスライドすることにより、アンテナ2(樹脂ケース1)から当該化粧カバー4を簡単に外すことができる(
図7B)。なお、
図4に被楔形係止片29の横幅を符号Wで示した。
【0018】
かくして、このような化粧カバー4をアンテナ裏面20に取り付けることによって、アンテナ裏面20に設置される電子機器22や配線されるケーブル26、27、28は殆んど見えなくなり、家の壁面8に設置されるアンテナ2の外観の見栄えがよくなる。また、強風が吹いたとき、配線ケーブル26、27、28が風でなびいてアンテナ2に打ち付けられて音が出ることを防止することができる(
図1)。
【0019】
<第2実施例>
上述した化粧カバーが着脱自在なアンテナ装置は、
図5と
図6に示したように、壁面取付け金具5を介してポール7に取り付けて実施することもできる。この第2実施例は、上記した第1実施例と構成は殆んど同じなので重複する説明は省略する。
異なる構成は、壁面8に取り付けられる壁面取付け金具5が、ポール取付け金具6によりポール7を挟むようにしてボルト60でポール7に固定される点である(
図5)。
このようなポール7にアンテナ2を設置する際にも、やはりアンテナ2の受信方向の回転角度を左右それぞれ電波到来方向に調整した時など、上述した化粧カバー4を使用すれば、アンテナ裏面20に取り付けられた電子機器22に対する配線ケーブル26、27、28が丸見えになることを防ぐことができ、より良い美観の向上を安全に実現できる。
【0020】
以上、実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0021】
1 樹脂ケース
2 アンテナ
20 アンテナ裏面
21 アンテナ出力端子
22 電子機器
23 被係止片
24 ビス固定片
25 ビス止め孔
26 配線ケーブル
27 配線ケーブル
28 配線ケーブル
29 被楔形係止片
3 アンテナ固定部
31 ボルト差込溝
4 化粧カバー
40 裏面
41 側面
41a ビス固定用の孔
42 上面
43 固定ビス
44 爪部
45 楔形係止片
5 壁面取付け金具
51 垂直面部
52 水平面部
52a 貫通孔
52b 打抜き部
53 ボルト
54 ナット
6 ポール取付け金具
7 ポール
8 壁面