(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025168796
(43)【公開日】2025-11-12
(54)【発明の名称】ねじキャップ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20251105BHJP
B65D 41/34 20060101ALI20251105BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20251105BHJP
【FI】
B65D41/04 100
B65D41/34 110
B65D1/02 212
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024073556
(22)【出願日】2024-04-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E033
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033AA03
3E033DA03
3E084AA12
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084FB05
3E084FB09
3E084GA03
3E084GB03
3E084HB02
3E084HD01
3E084HD04
3E084LA01
(57)【要約】
【課題】 少ない回転角度で開閉できるとともに、容器本体の内圧が上昇しても、螺合が外れ難いねじキャップ容器を提供する。
【解決手段】 容器本体Aと、ねじキャップBとからなるねじキャップ容器であって、容器本体は、口筒部1外周に、スロープねじ部2と、スロープねじ部の下方に当接突部9とを備え、スロープねじ部は、周方向に等間隔で複数カ所に上部ねじ突部6と、上部ねじ突部から下方に所定の間隔で平行する下部ねじ突部8と、下部ねじ突部と上部ねじ突部間に連設する傾斜ねじ突部7とを備え、ねじキャップは、頂壁10と、頂壁の外縁から垂設される外周壁11とを備え、外周壁は、内周に、等間隔かつ同じ高さで複数カ所に上部キャップねじ突部15と、上部キャップねじ突部から下方に所定の間隔で平行する下部キャップねじ突部16と、下部キャップねじ突部の下方に突設され、口筒部の当接突部を乗り越える振動突起22とを備える構成を採用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、容器本体の口筒部に螺合するねじキャップとからなるねじキャップ容器であって、
容器本体は、口筒部外周に、突設されるスロープねじ部と、スロープねじ部の下方に突設される当接突部とを備え、
スロープねじ部は、周方向に等間隔で複数カ所に配設される上部ねじ突部と、上部ねじ突部から下方に所定の間隔を隔てて平行する下部ねじ突部と、下部ねじ突部と上部ねじ突部間に連設する傾斜ねじ突部とを備え、
ねじキャップは、頂壁と、頂壁の外縁から垂設される外周壁とを備え、
外周壁は、内周に、等間隔かつ同じ高さで複数カ所に配設される上部キャップねじ突部と、上部キャップねじ突部から下方に所定の間隔を隔てて平行する下部キャップねじ突部と、下部キャップねじ突部の下方に突設され、閉蓋時に、口筒部の当接突部を乗り越える振動突起とを備えることを特徴とするねじキャップ容器。
【請求項2】
上部ねじ突部は、上部に平坦となる上平坦面部と、下部に閉蓋時に回転する方向に向けて所定の角度で傾斜する下傾斜面部とを備え、
下部ねじ突部は、上部に上面部と、下部に閉蓋時に回転する方向に向けて所定の角度で傾斜する下傾斜面部とを備え、
上部キャップねじ突部および下部キャップねじ突部は、上部が閉蓋時に回転する方向に向け下方に傾斜する傾斜上部と、下部が平坦となる平坦下部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のねじキャップ容器。
【請求項3】
容器本体は、口筒部の当接突部の下方に突設される係止突部を備え、
ねじキャップは、外周壁の下端に、破断可能な弱化片を介して連設され、係止突部に嵌合する封緘リングを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のねじキャップ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口筒部に螺合するねじキャップを備えたねじキャップ容器に関し、とくに少ない回転角度で容易に開閉でき、内圧によるねじキャップの外れを防止できるねじキャップ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器本体の口筒部に設けられた雄ねじ部に、ねじキャップに設けられた雌ねじ部を螺合し、開閉するねじキャップ容器は多く用いられている。
とくに、口筒部の外周面に多条のねじ山を有する容器本体と、該ねじ山に係合する係合部を内周に有するねじキャップとを備え、一回転よりも小さな回転角度で開閉操作できるだけでなく、閉蓋後は容易に固定解除されることがないねじキャップ容器は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載のねじキャップ容器は、閉蓋時に、ねじキャップを容器本体に被せる際に、斜め被りが起こり得るという問題があり、とくに、広口容器の場合、斜め被りが起こり易くなり、斜め被りが起こった時、力を掛けて強制的に水平に戻す必要があり、場合によっては、力が足りないために、斜め被りが解消されず、閉蓋不良を起こすという問題があった。
【0005】
また、上記特許文献1記載のねじキャップ容器では、閉蓋状態から開蓋するのに構造上、約240°回転させなくてはならない。
さらに、内容物を充填後、保管時の温度上昇等により、容器本体内の内圧が上昇した時、ねじキャップが内圧で押し上げられ、螺合が外れ易くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、少ない回転角度で開閉できるとともに、内容物を充填後、保管時の温度上昇等により、容器本体の内圧が上昇しても、螺合が外れ難いねじキャップ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ねじキャップ容器として、容器本体と、容器本体の口筒部に螺合するねじキャップとからなるねじキャップ容器であって、容器本体は、口筒部外周に、突設されるスロープねじ部と、スロープねじ部の下方に突設される当接突部とを備え、スロープねじ部は、周方向に等間隔で複数カ所に配設される上部ねじ突部と、上部ねじ突部から下方に所定の間隔を隔てて平行する下部ねじ突部と、下部ねじ突部と上部ねじ突部間に連設する傾斜ねじ突部とを備え、ねじキャップは、頂壁と、頂壁の外縁から垂設される外周壁とを備え、外周壁は、内周に、等間隔かつ同じ高さで複数カ所に配設される上部キャップねじ突部と、上部キャップねじ突部から下方に所定の間隔を隔てて平行する下部キャップねじ突部と、下部キャップねじ突部の下方に突設され、閉蓋時に、口筒部の当接突部を乗り越える振動突起とを備えることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ねじキャップ容器の実施態様として、上部ねじ突部は、上部に平坦となる上平坦面部と、下部に閉蓋時に回転する方向に向けて所定の角度で傾斜する下傾斜面部とを備え、下部ねじ突部は、上部に上面部と、下部に閉蓋時に回転する方向に向けて所定の角度で傾斜する下傾斜面部とを備え、上部キャップねじ突部および下部キャップねじ突部は、上部が閉蓋時に回転する方向に向け下方に傾斜する傾斜上部と、下部が平坦となる平坦下部とを備えることを特徴とする構成を採用し、さらに、容器本体は、口筒部の当接突部の下方に突設される係止突部を備え、ねじキャップは、外周壁の下端に、破断可能な弱化片を介して連設され、係止突部に嵌合する封緘リングを備えることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のねじキャップ容器は、上記構成を採用することにより、閉蓋時、ねじキャップを容器本体の口筒部に被せる際には、ねじキャップを容器本体に対し水平に保ち、斜め被りを防止するとともに、少ない回転角度で容器を簡単に密封することができ、開蓋時には、少ない回転角度で簡単に開蓋することができるとともに、開閉の際に、クリック感を使用者に与え、開閉状況を知らせることができる。
さらに、内容物を充填後、保管時の温度上昇等により、容器本体の内圧が上昇し、ねじキャップを上方に押し上げて上方に抜けてしまうことを防止でき、安全に閉蓋状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施例であるねじキャップ容器の閉蓋時の説明図で、(a)は(b)のX-X線断面矢視図、(b)は部分透視側面図である。
【
図2】本発明の第1実施例であるねじキャップ容器の容器本体の説明図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【
図3】本発明の第1実施例であるねじキャップ容器のねじキャップの説明図で、(a)は側面断面図、(b)は下面図である。
【
図4】本発明の第1実施例である容器本体のスロープねじ部とねじキャップのキャップねじ突部との作用図で、(a)は開閉操作時の螺合されてない状態、(b)は螺合初期または螺合が外れる前、(c)は螺合中期、(d)は螺合完了時である。
【
図5】本発明の第2実施例であるねじキャップ容器の閉蓋時の説明図で、(a)は(b)のY-Y線断面矢視図、(b)は部分透視側面図である。
【
図6】本発明の第2実施例であるねじキャップ容器のねじキャップと容器本体の開蓋時の部分透視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のねじキャップ容器について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1(a)でみて、右側を0°(起点)として、右回りに90°間隔で、区画a、b、c、dを便宜上設定している。
【0012】
(実施例1)
図1において、Aは容器本体、Bはねじキャップである。
図1および
図2に示すように、容器本体Aは、口筒部1の外周に、ねじキャップBと螺合する4条のスロープねじ部2(2a、2b、2c、2d)と、スロープねじ部2の下方に位置するビードリング3と、ビードリング3の下方に位置するネックリング4とが突設されている。
ネックリング4は、ねじキャップBの外径と同じか、やや大きい径で、ねじキャップBの下部内方を塞ぐように形成されている。
【0013】
スロープねじ部2は、
図2(b)に示すように、寸法αの幅で形成されるとともに、周方向に90°間隔(等間隔)かつ同じ高さで4カ所に配設され、それぞれ閉蓋時に回転する方向に向けて周方向の長さ(角度範囲)が約30°の水平な上部ねじ突部6と、上部ねじ突部6の終端から周方向の長さ(角度範囲)が約30°で下方に所定の間隔β(少なくとも寸法αと同等か、これより大きい間隔)で傾斜する傾斜ねじ突部7と、傾斜ねじ突部7の終端から周方向の長さ(角度範囲)が約30°の上部ねじ突部6と平行する下部ねじ突部8とから構成されている。
スロープねじ部2は、それぞれ、上部ねじ突部6と、傾斜ねじ突部7と、下部ねじ突部8との周方向の長さの比率が1:1:1で形成され、下部ねじ突部8のそれぞれの終端位置が次のスロープねじ部2の上部ねじ突部6の始端の下方に位置するようになっている。
【0014】
上部ねじ突部6は、上部に平坦となる上平坦面部6aと、下部に閉蓋時に回転する方向に向けて緩やかな角度θで傾斜する下傾斜面部6bとが口筒部1外周に突設されている。
傾斜ねじ突部7は、上部に上傾斜部7aと、下部に下傾斜部7bとが上部ねじ突部6と下部ねじ突部8との間の口筒部1外周に突設されている。
下部ねじ突部8は、上部に上面部8aと、下部に閉蓋時に回転する方向に向けて緩やかな角度θで傾斜する下傾斜面部8bとが口筒部1外周に突設されている。
【0015】
ビードリング3は、スロープねじ部2の外径より拡径して形成され、外周には、当接突部9が突設されている。
当接突部9は、連続して形成しても、間隔を開けて間欠的に形成してもよい。
【0016】
図1および
図3に示すように、ねじキャップBは、円板状の頂壁10と、頂壁10の外縁から垂設される円筒状の外周壁11とからなり、頂壁10の裏面には、閉蓋時に外周が容器本体Aの口筒部1の内周に挿入されて密接する内側密封筒部12が垂設され、内側密封筒部12の外側に、口筒部1上面に密接するコンタクトリング13が突設されている。
外周壁11の外周には、手指等で把持した際に指の掛かりが良くなるようにローレット14などの指掛かりが設けられている。
【0017】
外周壁11の内周には、寸法γの幅(少なくとも容器本体Aのスロープねじ部2の間隔βと同等か、これより小さい幅)で形成されるとともに、
図3に示すように、周方向に90°間隔(等間隔)かつ同じ高さで4カ所に配設され、それぞれ周方向の長さが約30°の上部キャップねじ突部15(15a、15b、15c、15d)と、上部キャップねじ突部15から下方に所定の間隔δ(少なくとも幅αと同等か、これより大きい間隔)を隔てて平行する下部キャップねじ突部16(16a、16b、16c、16d)とが突設され、下部キャップねじ突部16の下方には、閉蓋時にビードリング3の当接突部9を乗り越え、僅かに振動する振動突起22が突設されている。
【0018】
下部キャップねじ突部16は、
図3に示すように、周方向に、それぞれの始端位置が上部キャップねじ突部15の終端の下方に位置するように配設されている。
上部キャップねじ突部15および下部キャップねじ突部16は、それぞれ、上部が閉蓋時に回転する方向に向け下方に傾斜する傾斜上部17および傾斜上部19と、下部が平坦となる平坦下部18および平坦下部20とから幅が先細りするように形成されている。
【0019】
傾斜上部17および傾斜上部19には、閉蓋時に回転する方向に向けて緩やかな角度θで傾斜し、上部ねじ突部6および下部ねじ突部8の下傾斜面部6bおよび下傾斜面部8bに係合する上傾斜面17aおよび上傾斜面19aと、回転する方向側端部に、傾斜ねじ突部7の下傾斜部7bに係合する上傾斜端部17bおよび上傾斜端部19bが形成されており、上傾斜面17aおよび19aの角度と、下傾斜面部6bおよび8bの角度は、同一であり、上傾斜端部17bおよび19bの角度と、下傾斜部7bの角度は、同一である。
平坦下部18および平坦下部20には、閉蓋時に上部ねじ突部6および下部ねじ突部8の上平坦面部6aおよび上面部8aと係合する下平坦面部18aおよび下平坦面部20aと、回転する方向の反対側端部に傾斜ねじ突部7の上傾斜部7aに係合する下傾斜端部18bおよび下傾斜端部20bが形成されており、上傾斜部7aの角度と、下傾斜端部18bおよび20bの角度は、略同一である。
【0020】
振動突起22は、ビードリング3の当接突部9に当接し、変形して乗り越えて復元することで僅かに振動し、クリック感を与えることができればよく、連続して形成しても、間隔を開けて、少なくとも当接突部9の間隔より大きく、すり抜けない幅で間欠的に形成してもよい。なお、振動突起22が当接突部9に当接し、乗り越えた時、音を発するようにしてもよい。
【0021】
次に、本実施例のねじキャップ容器の使用態様と作用効果について説明する。
内容物を充填した容器本体Aの口筒部1に上方から、
図4(a)に示すように、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの下部ねじ突部8の上面範囲に、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの下面範囲を位置合わせして、ねじキャップBを被せ、閉蓋前の状態にセットする。
【0022】
例えば、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの下面範囲が、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの上部ねじ突部6の上面範囲に位置する場合は、下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの平坦下部20の下平坦面部20aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの上部ねじ突部6の上平坦面部6aに当接し、平坦面で係合し、横回転は可能であるが、水平に保たれ下降はできない状態となる。
【0023】
また、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの下面範囲が、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの傾斜ねじ突部7の上面範囲に位置する場合は、下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの平坦下部20の下傾斜端部20bが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの傾斜ねじ突部7の上傾斜部7aに当接し、傾斜に応じて案内されるので、下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの上方からの下降に対してねじキャップBを水平に保ちながら閉蓋方向に、回転させ、最後は、
図4(a)に示すように、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの下部ねじ突部8の上面範囲に、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの下面範囲を位置合わせした状態でセットされる。
【0024】
ねじキャップBの外周壁11を容器本体Aの口筒部1に位置合わせして被せると、下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dのそれぞれの平坦下部20の下平坦面部20aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの下部ねじ突部8の上面部8aに当接するとともに、上部キャップねじ突部15a、15b、15c、15dのそれぞれの平坦下部18の下平坦面部18aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの上部ねじ突部6の上平坦面部6aに当接するので、ねじキャップBを容器本体Aの口筒部1に対して閉蓋前の水平に被せられた状態となる。
【0025】
図4(a)に示す、ねじキャップBを容器本体Aの口筒部1に位置合わせして被せた状態から、ねじキャップBを閉蓋方向に回転させると、下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dおよび上部キャップねじ突部15a、15b、15c、15dのそれぞれの平坦下部20および平坦下部18がスロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの下部ねじ突部8および上部ねじ突部6の上面部8aおよび上平坦面部6aと当接し、水平に閉蓋方向に回転する。
【0026】
次に、ねじキャップBを閉蓋方向に回転始めから約30°回転させると、
図4(b)に示すように、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cのそれぞれの傾斜上部19の上傾斜端部19bが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの傾斜ねじ突部7の下傾斜部7bの上部に当接する位置に移動するとともに、上部キャップねじ突部15a、15b、15c、15dのそれぞれの平坦下部18の下傾斜端部18bが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの傾斜ねじ突部7の上傾斜部7aの上部に当接する位置に移動する。
【0027】
さらに、ねじキャップBを閉蓋方向に回転させると、それぞれの傾斜上部19の上傾斜端部19bとそれぞれの傾斜ねじ突部7の下傾斜部7bとの当接する傾斜に応じ、ねじキャップBを回転とともに下降させていく。
また、それぞれの平坦下部18の下傾斜端部18bが、それぞれの傾斜ねじ突部7の上傾斜部7aに当接して回転するので、傾斜に応じて水平に保たれながら下降していく。
【0028】
次に、ねじキャップBを閉蓋方向に回転始めから約60°回転させると、
図4(c)に示すように、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cのそれぞれの傾斜上部19の上傾斜端部19bが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの傾斜ねじ突部7の下傾斜部7bの下部を越える位置に移動するとともに、上部キャップねじ突部15a、15b、15c、15dのそれぞれの平坦下部18の下平坦面部18aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの下部ねじ突部8の上面部8aに当接する位置に移動する。
この状態のねじキャップBでは、それぞれの平坦下部18の下平坦面部18aが、それぞれの下部ねじ突部8の上面部8aに当接するので、水平に保たれた状態となる。
【0029】
さらに、ねじキャップBを閉蓋方向に回転させると、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cのそれぞれの傾斜上部19の上傾斜面19aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの下部ねじ突部8の下傾斜面部8bに端部から当接し、また、上部キャップねじ突部15d、15a、15b、15cのそれぞれの傾斜上部17の上傾斜面17aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの上部ねじ突部6の下傾斜面部6bに端部から当接し、回転とともに摺動することで、ねじキャップBを僅かに下降させていく。
【0030】
ねじキャップBを回転とともに僅かに下降させていくと、ねじキャップBの外周壁11内周下部の振動突起22が容器本体Aのビードリング3の当接突部9の外周上部に当接し、最後は、振動突起22が当接突部9を乗り越えるとともに、
図4(d)に示すように、ねじキャップBを閉蓋方向に回転始めから約90°回転させた位置で、ねじキャップBの頂壁10の裏面のコンタクトリング13が口筒部1の上面に当接し、ねじキャップBの下降が止められ、さらに、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cのそれぞれの傾斜上部19の上傾斜面19aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの下部ねじ突部8の下傾斜面部8bに、また、上部キャップねじ突部15d、15a、15b、15cのそれぞれの傾斜上部17の上傾斜面17aが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dのそれぞれの上部ねじ突部6の下傾斜面部6bに係合し、閉蓋される。
【0031】
閉蓋終了時には、ねじキャップBの振動突起22が、容器本体Aの当接突部9を乗り越え、振動するので、容器の使用者にクリック感を与えることができ、閉蓋が終了することを知らせることができる。
【0032】
閉蓋時には、ねじキャップBの頂壁10の裏面のコンタクトリング13が口筒部1の上面に当接することにより、ねじキャップBが下降を止めて終端位置まで到達すると、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cおよび上部キャップねじ突部15d、15a、15b、15cのそれぞれの傾斜上部19の上傾斜面19aおよび傾斜上部17の上傾斜面17aが、容器本体Aのそれぞれの下部ねじ突部8の下傾斜面部8bおよび上部ねじ突部6の下傾斜面部6bに係合し、ねじキャップBの閉蓋方向の回転を止め、完全に閉蓋される。なお、終端位置では、上部キャップねじ突部15の上傾斜端部17bは、スロープねじ部2の下傾斜部7bに食い込んだ状態となる。
また、ねじキャップBの頂壁10の裏面のコンタクトリング13が口筒部1の上面に密接するとともに、内側密封筒部12が口筒部1の内周に挿入され、密封される。
【0033】
閉蓋時には、容器本体Aの口筒部1の90°間隔で形成された4条のスロープねじ部2a、2b、2c、2dの上面に、ねじキャップBの外周壁11の下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dまたは上部キャップねじ突部15a、15b、15c、15dのいずれかの下面またはその一部が均等に当接することになり、ねじキャップBを容器本体Aの口筒部1に対して常に水平に被せることができ、ねじキャップBが口筒部1に対して斜め被りしてしまうことを防止し、閉蓋を安定して進めることができる。
また、ねじキャップBを容器本体Aに対して位置合わせして被せた際には、閉蓋方向に約90°回転させるだけで閉蓋することができる。
【0034】
本実施例のねじキャップ容器は、内容物を充填後、保管時の温度上昇等により、容器本体Aの内圧が上昇すると、ねじキャップBを上方に押し上げるが、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cのそれぞれの傾斜上部19と、上部キャップねじ突部15d、15a、15b、15cのそれぞれの傾斜上部17とが、スロープねじ部2a、2b、2c、2dの上面のそれぞれの下部ねじ突部8と、上部ねじ突部6とで、上下二重に強固に係合するので、ねじキャップBの上昇を抑え、ねじキャップBが上方に抜けてしまうことを防止できる。
【0035】
ねじキャップBを開蓋する際には、最初にねじキャップBを開蓋方向に回転させると、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cおよび上部キャップねじ突部15d、15a、15b、15cのそれぞれの傾斜上部19の上傾斜面19aおよび傾斜上部17の上傾斜面17aが、容器本体Aのそれぞれの下部ねじ突部8の下傾斜面部8bおよび上部ねじ突部6の下傾斜面部6bに傾斜面同志で係合して摺動し、ねじキャップBを僅かに上昇させるとともに、外周壁11内周下部の振動突起22が当接突部9を下から上へ乗り越えさせる。
振動突起22が当接突部9を下から上へ乗り越え、振動するので、容器の使用者にクリック感を与えることで、開蓋が始まることを知らせることができる。
【0036】
ねじキャップBを開蓋方向に約30°回転させた位置では、
図4(c)に示すように、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cの傾斜上部19と、それぞれの下部ねじ突部8の下傾斜面部8bとの係合、および上部キャップねじ突部15d、15a、15b、15cの傾斜上部17と、それぞれの上部ねじ突部6の下傾斜面部6bとの係合が完全に外される。
さらに、開蓋方向に回転させると、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cの傾斜上部19の上傾斜端部19bと、それぞれの傾斜ねじ突部7の下傾斜部7bとが当接し、また、上部キャップねじ突部15d、15a、15b、15cの平坦下部18の下傾斜端部18bと、それぞれの傾斜ねじ突部7の上傾斜部7aとが当接し、それぞれの傾斜に応じてねじキャップBを上昇させる。
【0037】
ねじキャップBを開蓋方向に約60°回転させた位置では、
図4(b)に示すように、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cの傾斜上部19が、それぞれの上部ねじ突部6の下傾斜面部6bと係合し、さらなる回転とともに、ねじキャップBを水平に摺動しながら緩やかに上昇させると、ねじキャップBを開蓋方向に約90°回転させた位置では、
図4(a)に示すように、下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cの傾斜上部19と、それぞれの上部ねじ突部6の下傾斜面部6bとの係合も外され、ねじキャップBの容器本体Aに対する上昇を阻止する係合が全て外され、開蓋される。
また、ねじキャップBを開蓋方向に90°以上回転させると、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16a、16b、16c、16dの平坦下部20の下傾斜端部20bが、それぞれの傾斜ねじ突部7の上傾斜部7aに当接して傾斜に応じ、ねじキャップBを回転とともに持ち上げ、簡単に開蓋することができる。
【0038】
本実施例のねじキャップ容器は、内容物を充填後、保管時の温度上昇等により、容器本体Aの内圧が上昇すると、ねじキャップBが上方に押し上げられるが、開蓋方向に90°回転未満の
図4(d)から
図4(b)の間の状態では、容器本体Aのスロープねじ部2a、2b、2c、2dの下面のいずれかに、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cの傾斜上部19が当接し、水平に保ちながらねじキャップBの上昇を抑え、ねじキャップBが上方に抜けてしまうことを防止できる。
【0039】
本実施例のねじキャップ容器は、開閉時に最短で約90°回転させることで、ねじキャップBを容器本体Aに開閉することができ、従来のねじキャップ容器に比べ、回転角度が少なくてすみ、簡単に開閉することができる。
さらに、閉蓋終了時、あるいは、開蓋開始時に、ねじキャップBの外周壁11内周下部の振動突起22が、容器本体Aの口筒部1のビードリング3の当接突部9を上から、あるいは、下から乗り越えさせ、振動するので、容器の使用者にクリック感を与えることができ、閉蓋の終了、あるいは、開蓋が始まることを知らせることができる。
また、内容物を充填後、保管時の温度上昇等により、容器本体Aの内圧が上昇し、ねじキャップBを上方に押し上げても、容器本体Aのスロープねじ部2a、2b、2c、2dの下面のいずれかに、ねじキャップBの下部キャップねじ突部16d、16a、16b、16cの傾斜上部19が均等に当接し、ねじキャップBが上方に抜けてしまうことを防止することができる。
【0040】
上記実施形態では、容器本体Aの口筒部1に、同じ周方向の角度範囲が約30°の長さの上部ねじ突部6と、傾斜ねじ突部7と、下部ねじ突部8とでそれぞれ形成されているスロープねじ部2を90°間隔で連続的に4条突設され、ねじキャップBの外周壁11内周に、上部キャップねじ突部15と、下部キャップねじ突部16とをそれぞれ90°間隔で4カ所ずつ配設されているが、同じ周方向の角度範囲が約30°の長さの上部ねじ突部6と、傾斜ねじ突部7と、下部ねじ突部8とで形成されているスロープねじ部2を180°間隔で間欠的に2条突設するようにしても、開閉の際に、2条のスロープねじ部2のいずれかの突部に、ねじキャップBのそれぞれ90°間隔で4カ所ずつ配設されている上部キャップねじ突部15と下部キャップねじ突部16のいずれかが係合し、少ない回転角度で開閉することができる。
【0041】
また、同じ周方向の角度範囲が約30°の長さの傾斜ねじ突部7と、下部ねじ突部8とでそれぞれ形成されているスロープねじ部2を90°間隔で4条突設し、180°間隔で間欠的に傾斜ねじ突部7の上端部から周方向の角度範囲が約30°の長さの上部ねじ突部6を2カ所形成するようにしても、開閉の際に、2カ所の上部ねじ突部6のいずれかに、ねじキャップBのそれぞれ90°間隔で4カ所ずつ配設されている上部キャップねじ突部15と、下部キャップねじ突部16のいずれかが係合し、少ない回転角度で開閉することができる。
【0042】
以上のように、本発明のねじキャップは、容器本体Aの口筒部1のスロープねじ部2およびスロープねじ部2を構成する上部ねじ突部6の数は、複数であればよく、また、スロープねじ部2を配設する間隔は、連続的または間欠的でもよく、さらに、ねじキャップBの外周壁11内周の上部キャップねじ突部15および下部キャップねじ突部16の数は、スロープねじ部2の条数および形状に合わせて数を設定すればよいので、スロープねじ部2およびスロープねじ部2を構成する上部ねじ突部6の数、また、スロープねじ部2を配設する間隔、さらに、上部キャップねじ突部15と下部キャップねじ突部16の数は、上記実施形態に限定されない。
【0043】
(実施例2)
次に、第1実施例のねじキャップ容器に封緘機能を付加した第2実施例について説明する。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、変更部分に新たな符号を付し、相違点を中心に説明する。
【0044】
図5において、Aaは容器本体、Baはねじキャップである。
図5に示すように、容器本体Aaは、口筒部1の外周に、ねじキャップBaと螺合する4条のスロープねじ部2(2a、2b、2c、2d)と、スロープねじ部2の下方に位置するビードリング3と、ビードリング3の下方に位置する係止突部30と、係止突部30の下方に位置するネックリング4とが突設されている。
係止突部30は、ビードリング3の外径より大きい径で、かつ、ネックリング4より小さい径で形成されている。
【0045】
ねじキャップBaは、円板状の頂壁10と、頂壁10の外縁から垂設される円筒状の外周壁11とからなり、外周壁11の内周下部には、振動突起22が突設されている。
さらに、外周壁11の下端には、複数の破断可能な弱化片36を介して封緘リング35が連設されている。
【0046】
封緘リング35の内周は、容器本体Aaの係止突部30の外径より大きく、内周上部に、内側に向けて係止突部30の外径より内径が小さく、かつ、乗り越え可能な係止突起37が突設されている。
【0047】
次に、本実施例のねじキャップ容器の使用態様と作用効果について説明する。
ねじキャップBaの最初の閉蓋時に、容器本体Aaに対してねじキャップBaが下降することにより、ねじキャップBaの封緘リング35の係止突起37は、容器本体Aaの係止突部30を乗り越え、
図5(b)に示すように、係止突部30の下方にセットされ、封緘リング35が容器本体Aaの係止突部30を覆って装着される。
【0048】
ねじキャップBaの最初の開蓋時に、ねじキャップBaを回転させると、ねじキャップBaが容器本体Aaに対して上昇することによって、ねじキャップBaの封緘リング35の係止突起37の上部が、容器本体Aaの係止突部30の下部に当接し、容器本体Aaに対して封緘リング35が上昇できない。
このため、ねじキャップBaが上昇すると、封緘リング35と外周壁11との間の弱化片36を破断し、
図6に示すように、封緘リング35を容器本体Aaの係止突部30とネックリング4との間に残して、ねじキャップBaは、外周壁11だけが上昇していく。
【0049】
一度開蓋した後は、再度閉蓋しても、封緘リング35の高さおよび封緘リング35と外周壁11との間の弱化片36の状況を外から見ることによって、不正開封の有無を確認できる。
その他の作用効果については、第1実施例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のねじキャップ容器は、閉蓋時、ねじキャップを容器本体の口筒部に被せる際には、ねじキャップを容器本体に対し水平に保ち、斜め被りを防止するとともに、少ない回転角度で容器を簡単に密封することができ、開蓋時には、少ない回転角度で簡単に開蓋することができるとともに、開閉の際に、クリック感を使用者に与え、開閉状況を知らせることができ、さらに、内容物を充填後、保管時の温度上昇等により、容器本体の内圧が上昇し、ねじキャップを上方に押し上げて上方に抜けてしまうことを防止でき、安全に閉蓋状態を維持できるねじキャップ容器として広く利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
A、Aa 容器本体
B、Ba ねじキャップ
a、b、c、d 区画
α、γ 幅
β、δ 間隔
θ 角度
1 口筒部
2(2a、2b、2c、2d) スロープねじ部
3 ビードリング
4 ネックリング
6 上部ねじ突部
6a 上平坦面部
6b、8b 下傾斜面部
7 傾斜ねじ突部
7a 上傾斜部
7b 下傾斜部
8 下部ねじ突部
8a 上面部
9 当接突部
10 頂壁
11 外周壁
12 内側密封筒部
13 コンタクトリング
14 ローレット
15(15a、15b、15c、15d) 上部キャップねじ突部
16(16a、16b、16c、16d) 下部キャップねじ突部
17、19 傾斜上部
17a、19a 上傾斜面
17b、19b 上傾斜端部
18、20 平坦下部
18a、20a 下平坦面部
18b、20b 下傾斜端部
22 振動突起
30 係止突部
35 封緘リング
36 弱化片
37 係止突起