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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016888
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】電磁調理器の操作部用カバー
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20250129BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
H05B6/12 307
F24C15/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119671
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】中川 圭一
(72)【発明者】
【氏名】木村 将俊
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151AA25
3K151AA29
3K151BA68
(57)【要約】
【課題】電磁調理器の操作部の操作性や視認性に影響を与えることなく、その汚れを防止すること。
【解決手段】操作部に被せる操作部用カバー10として、天板11と、前板12と、左右の側板13と、フランジ14と、を有し、後面は開口するものである。操作部用カバー10は、透明または半透明であって、操作部を覆った状態で、その操作ボタンおよびディスプレイを視認可能である。また、弾性を有して、操作部を覆った状態で、その操作ボタンを天板11ごと押すことが可能である。操作部に向けて飛散した煮汁等は、操作部用カバー10に付着するため、操作部が汚れることが防止される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁調理器のトッププレートの誘導加熱部よりも手前側に位置する、操作ボタンと、ディスプレイを含む電磁調理器の操作部を覆うことが可能な形状となっており、
壁部が透明または半透明であり、前記操作部を覆った状態で、前記操作ボタンおよび前記ディスプレイを視認可能となっており、
前記壁部が弾性を有して、前記操作部を覆った状態で、前記操作ボタンを前記壁部を介して操作可能な、電磁調理器の操作部用カバー。
【請求項2】
前記壁部は、
天板と、
前記天板の前縁から垂下する前板と、
前記天板の左右縁からそれぞれ垂下する左右の側板と、
前記前板から前記側板の下縁にかけて張り出すフランジと、を有し、
後面は開口する、請求項1に記載の電磁調理器の操作部用カバー。
【請求項3】
前記天板の裏面に、
前記操作部を覆った状態で、
前記操作部に当接可能なリブが形成されている、請求項1または2に記載の電磁調理器の操作部用カバー。
【請求項4】
前記リブは、複数が前記天板の短手方向に沿って並列し、かつそれぞれが前記天板の長手方向に沿って延びている請求項3に記載の電磁調理器の操作部用カバー。
【請求項5】
前記天板、前板、側板およびフランジは、その表裏面に、つや面と、つや消し面とを有している請求項2に記載の電磁調理器の操作部用カバー。
【請求項6】
前記天板の表面は、その中央部がつや面に、その外縁部がつや消し面になっている、請求項5に記載の電磁調理器の操作部用カバー。
【請求項7】
前記天板の裏面は、その中央部がつや消し面に、その外縁部が前記中央部のつや消し面から天板の左右縁にかけて延びるつや消し通路と、その余のつや面とになっている、請求項5または6に記載の電磁調理器の操作部用カバー。
【請求項8】
操作部用カバーの全体がシリコーン樹脂製である、請求項1または2に記載の電磁調理器の操作部用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁調理器の操作部を覆い、操作部が汚れるのを防ぐカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱方式により、鍋やフライパンなどの底部を発熱させ、調理をおこなう電磁調理器(IH調理器)が普及している。
調理の際には、鍋などから煮汁等が電磁調理器のトッププレートに飛散して付着することがあるため、特許文献1のように、トッププレートの誘導加熱部(鍋載置部)を含む領域に、マットを設置することがおこなわれている。
【0003】
このマット上に鍋などをおいて調理をおこなう場合、煮汁等が吹きこぼれたり近くに飛散したりしても、マットが受け止めるため、電磁調理器のトッププレートが汚れることが一定程度防止されている。
この種のマットは、誘導加熱部を覆う関係上、耐熱性の極めて高い素材から形成されており、このような素材は、通常不透明となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-140887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、トッププレートの誘導加熱部よりも手前側には、電磁調理器の操作部、すなわち操作ボタンと操作結果等が表示されるディスプレイなどが集積された部分が存在するところ、煮汁の飛散距離が大きい場合等には、この操作部に付着し汚れてしまう。
一方、上記したようなマットは不透明であるため、このようなマットで操作部を覆ってしまうと、汚れは防止できても、操作ボタンやディスプレイを視認することができず、用をなさない。
もちろん、マットが硬質のものである場合には、マットで操作部を覆った状態で、操作ボタンを操作すること等もできない。
【0006】
そこで本発明の解決すべき課題は、電磁調理器の操作部の操作性や視認性に影響を与えることなく、その汚れを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明者らは、電磁調理器の操作部用カバーとして、操作ボタンと、ディスプレイを含む電磁調理器の操作部を覆うことが可能な形状となっており、壁部が透明または半透明であり、操作部を覆った状態で、操作ボタンおよびディスプレイを視認可能となっており、壁部が弾性を有して、操作部を覆った状態で、操作ボタンを壁部を介して操作可能な構成としたのである。
【0008】
このように構成すると、操作部は操作部用カバーにより覆われているため、煮汁が大きく飛散等しても、これが操作部に付着することが防止され、操作部が汚れることはない。
操作部用カバーは、透明または半透明であるため、操作部を覆った状態でも、操作ボタン等が透けて見えるため、操作ボタンの位置の確認や、ディスプレイの表示内容の確認に支障が生じない。
操作部用カバーは、弾性を有しているため、これごと操作ボタンを押すなどして操作することができ、ボタン操作に支障が生じない。
【0009】
発明にかかる操作部用カバーにおいて、その壁部は、天板と、天板の前縁から垂下する前板と、天板の左右縁からそれぞれ垂下する左右の側板と、前板から側板の下縁にかけて張り出すフランジと、を有し、後面は開口する構成を採用することが好ましい。
【0010】
このように構成すると、天板が操作部に近接または当接し、電磁調理器のトッププレートの外縁であって、キッチンのトッププレートとの境界に形成される段差を、前板および側板が跨ぎ、フランジがキッチンのトッププレートに当接することで、操作部用カバーを、操作部をほぼ隙間なく覆った状態に設置することができる。
【0011】
発明にかかる操作部用カバーにおいて、天板の裏面に、操作部を覆った状態で、操作部に当接可能なリブが形成されている構成を採用することができる。
【0012】
このように構成すると、天板の裏面が操作部の面から浮き上がった状態になるため、天板の裏面が操作部の面に密着した状態になり、その間に微細な気泡が入り込むなどして、操作部の視認に悪影響を及ぼすことが防止される。
【0013】
この場合に、リブは、複数が天板の短手方向に沿って並列し、かつそれぞれが天板の長手方向に沿って延びている構成を採用することが好ましい。
【0014】
このように構成すると、並列する複数条のリブにより天板が操作部の面から浮き上がった状態に支持されるため、天板の裏面の操作部に対する密着を一層確実に防止することができる。
リブは天板の長手方向に沿って延びているため、天板の長手方向の曲げ強度が補強されている。
【0015】
発明にかかる操作部用カバーにおいて、天板、前板、側板およびフランジは、その表裏面に、つや面(グロス面)と、つや消し面(マット面)とを有している構成を採用することができる。
ここでつや面とは、当業者の目視においてつやがあるように看取できる面をいい、ISO25178に準じた面の算術平均高さ(Sa)としては、0.05μmから0.15μmが、面の最大高さ(Sz)としては、2.0μmから7.0μmがおおよその目安となる。
また、つや消し面とは、当業者の目視においてつや消しがされているように(マット調に)看取できる面をいい、面の算術平均高さ(Sa)としては、1.0μmから1.5μmが、面の最大高さ(Sz)としては、17.0μmから20.0μmがおおよその目安となる。
【0016】
このように構成すると、操作部用カバーの、操作部に対する密着性の高い箇所(つや面)、密着性の低い箇所(つや消し面)、操作部に対する視認性を適宜に調節することができ、利便性が向上する。
【0017】
発明にかかる操作部用カバーにおいて、つや面とつや消し面の配置は種々考えられるが、たとえば天板の裏面は、主につや消し面とすることが好ましい。
【0018】
天板の裏面がつや面である場合には、その部分が操作部の面に密着しやすくなるが、広い面積につや面とすると、密着した状態(空気が抜けている状態)の部分とそうではない状態(空気が抜けていない状態)の部分とが混在した状態となり、斑模様になってしまう。そうすると、見た目が非常に悪くなるとともに操作物の視認性が低下してしまう。
天板の裏面をつや消し面とすることで、裏面の操作部との接触は粗面の微小な凹凸による点接触のような状態となるので、前述のような斑模様が生じなくなり、天板の裏面が天板の裏面がつや面である場合に比べ、操作部の視認性は向上する。
【0019】
また、天板の裏面をつや面つや消し面の混在する配置とする場合、天板の表面は、主につや面とすることが好ましい。
【0020】
このように構成すると、表面全体がつや面になっていることから透明性が高く、操作部の操作ボタンやディスプレイが視認しやすくなるとともに、指で操作ボタンを操作しようとする際に指が滑りにくくなっており操作性が向上する。
【0021】
発明にかかる操作部用カバーにおいて、天板の表面は、その中央部がつや面に、その外縁部がつや消し面になっている構成を採用することが特に好ましい。
【0022】
このように構成すると、表面中央部がつや面になっていることから透明性が高く、操作部の操作ボタンやディスプレイが視認しやすくなるとともに、指で操作ボタンを操作しようとする際に指が滑りにくくなっており操作性向上の効果は維持できる。
他方で、表面外縁部もつや面とすると、その裏面もつや面とした場合に、操作部と天板の裏面との間に気泡が入るなどして見た目が悪い状態がそのまま直接的に表面にも現れるが、表面外縁部がつや消し面になっていると表面がマット調になることから、裏面の見た目が悪い状態が見えにくくなり、意匠性の悪化が緩和される。
【0023】
発明にかかる操作部用カバーにおいて、天板の裏面は、その中央部がつや消し面に、その外縁部が中央部のつや消し面から天板の左右縁にかけて延びるつや消し通路と、その余のつや面とになっている構成を採用することが特に好ましい。
【0024】
このように構成すると、裏面中央部がつや消し面になっていることから操作部の面に密着しにくく、つや面のように操作部と天板の裏面との間に気泡が入るなどして視認性に悪影響を与えることが防止される。また仮に間に気泡が入っても、外縁部のつや消し通路を通じて空気が抜けるため、気泡が滞留して操作部視認の妨げになることが一層防止されている。
裏面外縁部はつや消し通路を除く大部分がつや面であるため、この部分は操作部に密着しやすく操作部用カバーがずれ動くことが防止される。裏面外縁部は、操作部のうちの操作ボタンやディスプレイに重なり合う位置にはないため、仮に気泡が入る等があっても、これらの視認性には影響しない。
【0025】
発明にかかる操作部用カバーにおいて、全体が、一定程度の透明性があり、耐熱性があり、かつ柔軟性のある素材で構成されるのが好ましく、その中でもシリコーン樹脂製である構成がさらに好ましい。
【0026】
このように構成すると、操作部用カバー全体を、透明または半透明であり、操作部を覆った状態で、操作ボタンおよびディスプレイを視認可能に、弾性を有して、操作部を覆った状態で、操作ボタンを押すことが可能に、構成することが比較的安価に実現できる。
【発明の効果】
【0027】
発明にかかる操作部用カバーを以上のように構成したので、電磁調理器の操作部の操作性や視認性に影響を与えることなく、その汚れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】電磁調理器の操作部に操作部用カバーを被せた状態の平面図
図2】操作部用カバーの表面から見た全体斜視図
図3】操作部用カバーの表面から見た部分拡大斜視図
図4】操作部用カバーの裏面から見た(a)は全体斜視図、(b)は部分拡大斜視図
図5】操作部用カバーの他の例を示す、(a)は平面図、(b)は底面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1から図4に示す実施形態の操作部用カバー10は、図1のように、電磁調理器のトッププレートにおいて、鍋やフライパンなどを加熱する誘導加熱部T1からT3よりも手前側に設けられた、操作ボタンBやディスプレイDを集積してなる電磁調理器の操作部Oに被せて用いられ、操作部Oが煮汁等により汚れるのを防止する。
【0030】
操作部用カバー10は、透明または半透明であり、図1のように操作部Oに被せた状態で、その操作ボタンBやディスプレイDを良好に視認できるようになっている。
また、操作部用カバー10は、いわゆるゴム状の弾性を有しており、このカバー10を通じて(介して)操作ボタンBを押すなどして操作できるようになっている。
【0031】
操作部用カバー10の材質は、このような透明性または半透明性を有し、かつゴム状の弾性を有する限りにおいて特に限定されないが、コストや耐熱性などを考慮すると、シリコーン樹脂製であることが好ましい。
操作部用カバー10の厚みも特に限定されないが、0.5mmから1.5mmが例示できる。
厚みが0.5mmを下回ると、強度が劣って破損等しやすいおそれがあり、厚みが1.5mmを上回ると、透明性が低下して視認性に影響を及ぼす恐れがあり、また可撓性が低下して操作部用カバー10ごと操作ボタンBを押す際の操作性に影響を及ぼす可能性がある。
【0032】
図2から図4のように、操作部用カバー10は、天板11と、天板11の前縁から垂下する前板12と、天板11の左右縁からそれぞれ垂下する左右の側板13と、を備える。
操作部用カバー10は、その後面は全体が開口しており、前板12の下縁から左右の側板13の下縁にかけては、フランジ14が付属している。
【0033】
天板11は、左右方向を長手方向とする横長矩形をなしており、その表面は平坦であるのに対して、その裏面は、図4のようにリブが付属している。
リブの数、位置などは特に限定されないが、図では天板11の長手方向に延びる横リブ11aと、短手方向に延びる縦リブ11bとからなる。
横リブ11aは、天板11の短手方向(前後方向)に複数が並列しており、それぞれが天板11の左右縁にまで達している。
縦リブ11bは、天板の長手方向に複数が並列しており、それぞれが、横リブ11aと交差することはなく、隣接する横リブ11aと横リブ11aの間において終端している。
【0034】
操作部用カバー10を操作部Oに被せた状態で、天板11は、操作部Oの面(トッププレートTの手前側の面)のほぼ全体を覆い、かつ、その横リブ11aや縦リブ11bは、操作部Oの面に当接している。
天板11は、横リブ11a等があることでその裏面が操作部Oの面に密着することなく、操作部Oから微小に浮き上がった状態となる。
したがって、天板11が操作部Oの面に密着している場合と比較して、隙間に微細な気泡が残留等することはなく、視認性に悪影響を与えることが防止されている。
【0035】
天板11の寸法は特に限定されないが、左右の長さが500mmから800mmであることが、前後の長さが80mmから120mmであることが例示できる。一般的なビルトイン型の電磁調理器のサイズは600mmから750mmであることから、このような電磁調理器の操作部が覆うことができるサイズであればよい。
左右の長さが500mmを下回ったり、前後の長さが80mmを下回ったりすると、一般的な電磁調理器の操作部Oに被せるのに寸法が足りなくなるおそれがある。
左右の長さが800mmを上回ったり、前後の長さが120mmを上回ったりすると、一般的な電磁調理器の操作部Oに被せた際に過剰に余るなどして邪魔になるおそれがある。特に前後の長さが過剰になると電磁調理器の誘導加熱部も覆うような状態になるので、電磁調理器の誤作動が生じるおそれがある。
【0036】
前板12は操作部用カバー10の左右方向に長い、左右の側板13は操作部用カバー10の前後方向に長い、それぞれ短冊形をなしている。
前板12の左右縁と左右の側板13の前縁とは、丸みを付けた状態で一体に連結されている。
前板12および側板13は、リブ等が付属しておらず、表裏面共に平坦である。
図3のように、電磁調理器のトッププレートTの外縁(キッチンのトッププレートとの境界)には、数mm程度の高さの段差T4が形成されるところ、操作部用カバー10を操作部Oに被せた状態で、前板12および側板13は、この段差T4を跨いだ状態となる。
【0037】
前板12および側板13の短冊の幅(上下の高さ)は特に限定されないが、8mmから12mmが例示できる。
高さが8mmを下回ると、段差T4を跨ぐことができず、フランジ14がキッチンのトッププレートに接地せずに、浮き上がった状態になってしまうおそれがある。
また、高さが12mmを上回ると、天板11が過剰に持ち上がった状態となり、操作部Oの面との距離が離れて、操作ボタンBやディスプレイDの視認性や操作性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0038】
フランジ14は、前板12の下縁から左右の側板13の下縁にかけて、一体的に連設されている。
フランジ14は、リブ等が付属しておらず、表裏面共に平坦である。
操作部用カバー10を操作部Oに被せた状態で、フランジ14は、電磁調理器のトッププレートTよりも外側に位置する、キッチンのトッププレートに接地している。
【0039】
フランジの幅は特に限定されないが、8mmから12mmが例示できる。
幅が8mmを下回ると、操作部用カバー10を良好に支持できないおそれがあり、幅が12mmを上回ると、幅が過剰になって嵩張ってしまうおそれがある。
【0040】
図5に実施形態の操作部用カバー10の他の例を示す。
この例では、操作部用カバー10の天板11の裏面にはリブ11a、11bは設けられておらず平坦に形成されている。
その代わりに、前板12、側板13およびフランジ14を含めて、その表裏面につや面21とつや消し面22が形成されている。なお、この例におけるつや面21とつや消し面22の配置は例示であり、これには限定されない。
【0041】
図5(a)のように、天板11の表面においては、その横長矩形の中央部がつや面21に、その方環形の外縁部がつや消し面22になっている。
操作部Oの操作ボタンBやディスプレイDに臨む中央部が、つや面21になっていることから透明性が高く、これら操作ボタンBやディスプレイDが視認しやすくなっている。また、指が引っかかりやすくなっており、操作ボタンBを操作しようとする際に指が滑って操作部用カバー10外へと飛び出てしまうことなどが防止され、操作性が向上する。なお、つや面21は密着性が上がるが、天板11の表面は、他の物品とは密着しないため、気泡等が入り込む余地がない。
また、外縁部がつや消し面22になっていることから、後述する裏面側の気泡が入った状態の部分が視認しにくくなるので、意匠性の悪化が緩和される。
なお、つや消し面22は中央部に比べて視認性が低下するが、操作ボタンBやディスプレイDと重なり合う位置には無いため、これらの視認性に影響は及ぼさない。
【0042】
天板11の表面における、横長矩形の中央部の寸法は特に限定されないが、左右の長さが400mmから700mmであることが、前後の長さが60mmから100mmであることが例示できる。
左右の長さが400mmを下回ったり、前後の長さが60mmを下回ったりすると、つや面21が小さくなりすぎて、操作ボタンBやディスプレイDの視認性に影響を及ぼす可能性がある。
左右の長さが700mmを上回ったり、前後の長さが100mmを上回ったりすると、外縁部のつや消し面22を形成する余地が少なくなり、操作部Oの操作性に影響を及ぼすおそれがある。
【0043】
なお、図示のように、フランジ14の表面は全体がつや消し面22となっており、図では現れていないが、天板11の外縁部からフランジ14にかけて、すなわち前板12および側板13も表面の全体がつや消し面22となっている。
【0044】
図5(b)のように、天板11の裏面においては、その横長矩形の中央部がつや消し面22に、その方環形の外縁部が一部の例外を除いてつや面21になっている。
また、外縁部の例外部分として、中央部のつや消し面22から天板11の左右縁にかけて延びるつや消し通路22aとなっている。
つや消し通路22aは、外縁部の左右に2つずつが前後に並列して、計4つ設けられている。
【0045】
裏面中央部がつや消し面22になっていることから操作部Oの面に密着しにくく、間に気泡が入るなどして視認性に悪影響を与えることが防止されている。
仮に気泡が入っても、外縁部のつや消し通路22aを通じて空気が抜けるため、気泡が滞留して操作部視認の妨げになることが一層防止されている。
裏面外縁部はつや消し通路22aを除く大部分がつや面21であるため、操作部Oに密着しやすく操作部用カバー10がずれ動くことが防止されている。
なお、裏面外縁部は、操作部Oのうちの操作ボタンBやディスプレイDに重なり合う位置にはないため、仮に気泡が入る等があっても、これらの視認性には影響を及ぼさない。
【0046】
天板11の裏面における、横長矩形の中央部の寸法は特に限定されないが、左右の長さが400mmから700mmであることが、前後の長さが60mmから100mmであることが例示できる。
左右の長さが400mmを下回ったり、前後の長さが60mmを下回ったりすると、つや消し面22が小さくなりすぎて、外縁部のつや面21の操作部Oへの密着に伴ない、操作ボタンBやディスプレイDの視認性に影響を及ぼす可能性がある。
左右の長さが700mmを上回ったり、前後の長さが100mmを上回ったりすると、外縁部のつや面21を形成する余地が少なくなり、操作部用カバー10の操作部Oに対する密着性が低下し、ずれ動く等してしまうおそれがある。
また、つや消し通路22aの数や寸法も特に限定されないが、その幅としては8mmから12mmが例示できる。
幅が8mmを下回ると気泡が上手く抜けないおそれがあり、幅が12mmを上回ると、外縁部のつや面21の範囲が小さくなって、密着性に影響を及ぼす可能性がある。
【0047】
なお、図示のように、フランジ14の裏面は全体がつや面21となっており、図では現れていないが、天板11の外縁部からフランジ14にかけて、すなわち前板12および側板13も裏面の全体がつや面21となっている。
【実施例0048】
以下、本発明の実施例を挙げて、本発明の内容を一層明確なものとする。
実施例1から4の操作部用カバーとして、図4に示すように、天板11,前板12,側板13,フランジ14からなり、天板11の裏面にリブ11a、11bを有しないものを準備した。
いずれの実施例も、材質はシリコーン樹脂であり、寸法については、厚みは1mm、天板は600mm×110mm、前板は600mm×9mm、側板は110mm×9mm、フランジの幅は9mmとした。
これら実施例1から4の操作部用カバーについて、その表面および裏面の性状を表1のように、つや面、つや消し面に調整した。
【0049】
【表1】
【0050】
表1において、つや面は、Saが0.09μmから0.12μmの範囲に、Szが2.50から6.51μmの範囲にそれぞれあり、つや消し面は、Saが1.18μmから1.25μmの範囲に、Szが17.62から19.14μmの範囲にそれぞれあった。
具体的な測定数値としては、次表2のようになった。
【0051】
【表2】
【0052】
かかる面粗さの測定は、レーザ顕微鏡による表面凹凸の観察は、株式会社キーエンス製のレーザマイクロスコープVK-X3000を用いて、レーザコンフォーカルによる形状測定を1059.68μm×1413.37μmの短形視野で行った。
得られた観察結果に対して、株式会社キーエンス製のVK-X3000マルチファイル解析アプリケーションを使用して面の算術平均高さSa、面の最大高さSzを計測した。 まず、得られた形状データに対してカットオフ値0.08mmでうねり除去の面形状補正を行い、続いてレーザ光反射のノイズ成分を除去すべく、カットレベル75で高さカットレベル補正を実施し、最後に得られている補正画像に対して凹凸平均に相当する高さを基準面として設定した。
面の算術平均高さSa、面の最大高さSzはISO25178に準じて株式会社キーエンス製のVK-X3000マルチファイル解析アプリケーションを使用して計測値を得た。なお、つや面とつや消し面でそれぞれ任意の3箇所を選んで測定した。
【0053】
かかる実施例1から4の操作部用カバーについて、操作部への設置性と操作部に被せた状態での視認性の評価をおこなった。
結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものでない。
本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、その範囲内およびこれと均等の意味での、すべての修正と変更を含むものとする。
【0056】
操作部用カバー10の形状は、電磁調理器の操作部Oに煮汁等が付着しないよう、これを覆うことができる限りにおいて限定されず、たとえば天板11と前板12、側板13などが区画されることなく、全体が曲面状、ドーム状に盛り上がった形状とし、その下縁にフランジ14が付属するようにしてもよい。
操作部用カバー10において、リブ11a、11b、つや面21、つや消し面22は省略可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 操作部用カバー
11 天板
11a 横リブ
11b 縦リブ
12 前板
13 側板
14 フランジ
21 つや面
22 つや消し面
22a つや消し通路
T 電磁調理器のトッププレート
T1からT3 誘導加熱部
T4 段差
O 電磁調理器の操作部
B 操作ボタン
D ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5