(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016897
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】ロボットアーム及びロボットアームの駆動方法
(51)【国際特許分類】
B25J 5/00 20060101AFI20250129BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B25J5/00 Z
B25J5/00 E
B25J13/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119692
(22)【出願日】2023-07-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-11
(71)【出願人】
【識別番号】319009222
【氏名又は名称】オングリットホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100140051
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 靖和
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】森川 歩
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS26
3C707ES05
3C707ET03
3C707WA21
(57)【要約】
【課題】照明柱や標識柱等の柱状の構造物に沿って移動するロボットアームについて、対象となる構造物に沿って、自由度が高く、かつ、安定した移動が可能であり、脱落等の不具合が生じにくいロボットアーム及びロボットアームの駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明を適用したロボットアームの一例であるロボットアームAは、本体部1と、ハンド部2を備えている。本体部1は、ボディ10、ボディ11、ボディ12及びボディ13を有している。また、本体部1は、ボディ屈伸ジョイント30、ボディ屈伸ジョイント31及びボディ屈伸ジョイント32を有している。また、本体部1は、ボディ回転ジョイント50及びボディ回転ジョイント51を有している。第1ハンド20と、第2ハンド20は、柱状構造物の外周面を把持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が柱状に形成された所定の構造物に沿って移動するロボットアームであって、
第1のボディと、
前記第1のボディとなす角度を変える第1の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの一端側に接続された第2のボディと、
前記第1のボディとなす角度を変える第2の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの他端側に接続された第3のボディと、
前記第2のボディとなす角度を変える第3の屈伸接続部を介して、前記第2のボディの一端側に接続された第4のボディと、
前記第3のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第1のハンドと、
前記第1のハンドに取り付けられ、前記第1のハンドを開閉する第1のハンド開閉接続部と、
前記第1のハンド開閉接続部と、前記第3のボディの間に配置され、前記第3のボディに対して、前記第1のハンド及び前記第1のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第1のハンド回転接続部と、
前記第4のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第2のハンドと、
前記第2のハンドに取り付けられ、前記第2のハンドを開閉する第2のハンド開閉接続部と、
前記第2のハンド開閉接続部と、前記第4のボディの間に配置され、前記第4のボディに対して、前記第2のハンド及び前記第2のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第2のハンド回転接続部とを備える
ロボットアーム。
【請求項2】
前記第1のハンド及び前記第2のハンドは、前記所定の構造物の外周面を把持した際に、前記第1のハンド及び前記第2のハンドの内周面で略筒状の空間を形成して、その内周面の一部が、前記所定の構造物の外周面に当接し、
前記第1のハンドのみで前記所定の構造物の外周面を把持した際には、前記第1のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心が、前記所定の構造物のうち、前記第1のハンドで把持した領域の軸心に対して傾いた位置関係になり、
前記第2のハンドのみで前記所定の構造物の外周面を把持した際には、前記第2のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心が、前記所定の構造物のうち、前記第2のハンドで把持した領域の軸心に対して傾いた位置関係になる
請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記第1の屈伸接続部、前記第2の屈伸接続部、前記第3の屈伸接続部、前記第1のハンド開閉接続部、前記第1のハンド回転接続部、前記第2のハンド開閉接続部及び前記第2のハンド回転接続部の駆動を制御する駆動制御部を備える
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記第1の屈伸接続部、前記第2の屈伸接続部、前記第3の屈伸接続部、前記第1のハンド開閉接続部、前記第1のハンド回転接続部、前記第2のハンド開閉接続部及び前記第2のハンド回転接続部の7つの部材の駆動を介して、全体の姿勢を変える
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記第1のハンド開閉接続部による前記第1のハンドの開閉動作及び前記第2のハンド開閉接続部による前記第2のハンドの開閉動作と、前記第1のハンド回転接続部、前記第2のハンド回転接続部による回転動作と、前記第1の屈伸接続部、前記第2の屈伸接続部及び前記第3の屈伸接続部による角度調節を連動させて、前記所定の構造物の外周面の周方向に沿って移動可能に構成された
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項6】
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第1のハンドの基部から前記第2の屈伸接続部までの部位と、前記第2の屈伸部から前記第1の屈伸部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第1のハンドを、前記第2のハンドが越える動作を行い、
または、
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第2のハンドの基部から前記第3の屈伸接続部までの部位と、前記第3の屈伸部から前記第1の屈伸部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第2のハンドを、前記第1のハンドが越える動作を行うように構成された
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項7】
前記第1のボディと、前記第2の屈伸接続部との間に設けられ、前記第1のボディに対して、前記第3のボディ及び第2の屈伸接続部を回転可能に接続する第1のボディ回転接続部と、
前記第2のボディと、前記第3の屈伸接続部との間に設けられ、前記第2のボディに対して、前記第4のボディ及び第3の屈伸接続部を回転可能に接続する第2のボディ回転接続部とを備える
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項8】
前記第1のハンド開閉接続部による前記第1のハンドの開閉動作及び前記第2のハンド開閉接続部による前記第2のハンドの開閉動作と、前記第1のハンド回転接続部、前記第1のボディ回転接続部、前記第2のハンド回転接続部及び前記第2のボディ回転接続部による回転動作を連動させて、前記所定の構造物の外周面の周方向に沿って移動可能に構成された
請求項7に記載のロボットアーム。
【請求項9】
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第1のハンドの基部から前記第2の屈伸接続部までの部位と、前記第1の屈伸部から前記第3の屈伸部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第1のハンドを、前記第2のハンドが越える動作を行い、
または、
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第2のハンドの基部から前記第3の屈伸接続部までの部位と、前記第1の屈伸部から前記第2の屈伸部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第2のハンドを、前記第1のハンドが越える動作を行うように構成された
請求項7に記載のロボットアーム。
【請求項10】
前記第1のハンド及び前記第2のハンドは、一対の第1の爪部と、前記一対の第1の爪部と略平行、かつ、前記一対の第1の爪部と間隔を設けて形成された、一対の第2の爪部を有する
請求項7に記載のロボットアーム。
【請求項11】
少なくとも一部が柱状に形成された所定の構造物に沿ってロボットアームを移動させるロボットアームの駆動方法であって、
前記ロボットアームの端部に形成され、開閉可能に構成された第1のハンド及び第2のハンドの少なくともいずれか一方で、前記所定の構造物の外周面を把持すると共に、前記ロボットアームを構成する4つのボディと、それぞれの前記ボディの間の角度を調整する3つの屈伸部を介して、前記ボディの角度を変えて、前記ロボットアームを移動させる
ロボットアームの駆動方法。
【請求項12】
前記第1のハンドの内周面に形成される略筒状の空間の軸心を、前記所定の構造物のうち、前記第1のハンドで把持した領域の軸心に対して傾けることで、前記第1のハンドのみで前記所定の構造物の外周面を把持して、前記ロボットアームを前記所定の構造物に取り付けた状態を支持し、
または、
前記第2のハンドの内周面に形成される略筒状の空間の軸心を、前記所定の構造物のうち、前記第2のハンドで把持した領域の軸心に対して傾けることで、前記第2のハンドのみで前記所定の構造物の外周面を把持して、前記ロボットアームを前記所定の構造物に取り付けた状態を支持する
請求項11に記載のロボットアームの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットアーム及びロボットアームの駆動方法に関する。詳しくは、照明柱や標識柱等の柱状の構造物に沿って移動するロボットアームについて、対象となる構造物に沿って、自由度が高く、かつ、安定した移動が可能であり、脱落等の不具合が生じにくいロボットアーム及びロボットアームの駆動方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従前、道路において、照明柱や標識柱または情報装置柱等の柱状の構造物が設置されている。特に高速道路においては、これらの柱状の構造物が多数設置され、安全な車両の運行に利用されている。
【0003】
また、これらの照明柱等の構造物については、設置後、相当の年数を経ている物も多数存在し、その大部分が屋外に設置されていることから、気象等の外的要因による損傷や老朽化を調べるべく、定期的な点検を実施する必要がある。
【0004】
しかしながら、高速道路または一般道の照明柱や標識柱等は、道路上に間隔を空けて、膨大な数が設置されており、1つずつ点検する作業には多大な時間と労力を要する。
【0005】
そのため、照明柱や標識柱等の点検において、作業時間の短縮及び作業効率を向上すべく、検査装置を搭載した移動ロボットを活用した点検作業の開発が望まれている。
【0006】
また、従前、移動ロボットの一種として、対象物に対して昇降動作が可能な昇降ロボットが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ここで、特許文献1に記載された昇降ロボットは、高層ビルの各階のベランダに設けられた手すりを把持しながら、各階を昇降するように構成されている。
【0008】
また、特許文献1に記載された昇降ロボットでは、アーム間関節軸及び先端側関節軸の各々を回動させ、複数のアームの姿勢を変化させながら、一方の把持部が把持した位置を、他方の把持部が超えて、昇降動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された昇降ロボットを、道路に設置された照明柱等に沿って移動する移動ロボットとして適用しようとすると、以下のような不具合が生じる。
【0011】
まず、特許文献1に記載された昇降ロボットでは、ベランダの各階に設けられた手すりを把持しながら、鉛直方向に沿って昇降するのみで、手すりの横方向への移動手段が開示されていない。
【0012】
また、特許文献1に記載された昇降ロボットでは、照明柱等の外周面に沿った周方向への移動を行うこともできない。即ち、特許文献1に記載された昇降ロボットは、移動の自由度が低い問題があった。
【0013】
今回、対象とする照明柱等の構造物では、ミラーや標識板、または、これらを取り付けるための締結具等が、柱の途中に設けられている構造がある。
【0014】
しかし、特許文献1に記載された昇降ロボットでは、こうした柱の途中にある障害物を、柱の外周面における横方向または周方向に沿って移動して、障害物を回避しながら、柱の長手方向に沿って移動することが困難である。
【0015】
また、特許文献1に記載された昇降ロボットが昇降する際、1つの把持部のみがベランダの手すりを把持した状態で、アーム間関節軸及び先端側関節軸の各々を回動させ、複数のアームの姿勢を変化させる際に、複数のアームが、ベランダの手すりから大きく離れた姿勢を経由することになる。
【0016】
この場合、複数のアームが、ベランダの手すりから大きく離れた姿勢となることで、昇降ロボットの自重による負担が大きくなり、把持部がベランダの手すりを把持した状態を維持できず、脱落してしまうおそれがあった。
【0017】
また、特許文献1に記載された昇降ロボットに限らず、道路に設置された照明柱等に沿って、安定した移動を可能にするような移動ロボットは、これまでにほとんど提案されていなかった。
【0018】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、照明柱や標識柱等の柱状の構造物に沿って移動するロボットアームについて、対象となる構造物に沿って、自由度が高く、かつ、安定した移動が可能であり、脱落等の不具合が生じにくいロボットアーム及びロボットアームの駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、本発明のロボットアームは、少なくとも一部が柱状に形成された所定の構造物に沿って移動するロボットアームであって、第1のボディと、
前記第1のボディとなす角度を変える第1の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの一端側に接続された第2のボディと、前記第1のボディとなす角度を変える第2の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの他端側に接続された第3のボディと、前記第2のボディとなす角度を変える第3の屈伸接続部を介して、前記第2のボディの一端側に接続された第4のボディと、前記第3のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第1のハンドと、前記第1のハンドに取り付けられ、前記第1のハンドを開閉する第1のハンド開閉接続部と、前記第1のハンド開閉接続部と、前記第3のボディの間に配置され、前記第3のボディに対して、前記第1のハンド及び前記第1のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第1のハンド回転接続部と、前記第4のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第2のハンドと、前記第2のハンドに取り付けられ、前記第2のハンドを開閉する第2のハンド開閉接続部と、前記第2のハンド開閉接続部と、前記第4のボディの間に配置され、前記第4のボディに対して、前記第2のハンド及び前記第2のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第2のハンド回転接続部とを備える。なお、ここでいう柱状とは、円柱状や角柱状の形状を含むものを意味する。また、少なくとも一部が柱状とは、構造物の全体構造の一部が、柱状の真っすぐな形状に該当し、その他の部分に、例えば、湾曲した形状等が含まれうることを意味する。
【0020】
ここで、第1のボディと、第2のボディと、第3のボディ及び第4のボディによって、ロボットアームの本体に相当する部分を構築することができる。
【0021】
また、第3のボディに支持され、所定の構造物の外周面を把持可能な第1のハンドによって、所定の構造物を第1のハンドで掴み、対象となる構造物にロボットアームを取り付けることができる。また、第3のボディで、第1のハンドの手首となる部分を構築することができる。
【0022】
また、第4のボディに支持され、所定の構造物の外周面を把持可能な第2のハンドによって、所定の構造物を第2のハンドで掴み、対象となる構造物にロボットアームを取り付けることができる。また、第4のボディで、第2のハンドの手首となる部分を構築することができる。
【0023】
また、所定の構造物の外周面を把持可能な第1のハンドと、所定の構造物の外周面を把持可能な第2のハンドによって、2つの把持部の両方を介して、対象となる構造物にロボットアームを取り付けることができる。
【0024】
また、第2のボディが、第1のボディとなす角度を変える第1の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの一端側に接続され、第3のボディが、第1のボディとなす角度を変える第2の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの他端側に接続され、第4のボディが、第2のボディとなす角度を変える第3の屈伸接続部を介して、前記第2のボディの一端側に接続されたことによって、第1のボディ、第2のボディ、第3のボディ及び第4のボディが連結した構造の中で、各ボディ間の角度を細かく変えることができる。即ち、ロボットアームの本体を構成する各部材の接続部の角度を細かく曲げて、本体に複雑な形状を取らせることが可能となる。また、第1のボディ、第2のボディ、第3のボディ及び第4のボディが連結した構造について、柔軟な姿勢制御が可能となる。
【0025】
また、第1のハンド回転接続部が、第1のハンド開閉接続部と、第3のボディの間に配置され、第3のボディに対して、第1のハンド及び第1のハンド開閉接続部を回転可能に接続し、第2のハンド回転接続部が、第2のハンド開閉接続部と、第4のボディの間に配置され、第4のボディに対して、第2のハンド及び第2のハンド開閉接続部を回転可能に接続することによって、第1のハンド及び第2のハンドを回転させ、所定の構造物の把持したい箇所の向きに合わせて、第1のハンド及び第2のハンドで把持しやすくなる。また、所定の構造物の外周面に沿って、周方向に沿って移動する際に、第1のハンドまたは第2のハンドを回転させ、第1のハンドまたは第2のハンドで、所定の構造物の把持する位置をずらしやすくなる。
【0026】
また、第1のハンド及び第2のハンドが、所定の構造物の外周面を把持した際に、第1のハンド及び第2のハンドの内周面で略筒状の空間を形成して、その内周面の一部が、所定の構造物の外周面に当接し、第1のハンドのみで所定の構造物の外周面を把持した際には、第1のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心が、所定の構造物のうち、第1のハンドで把持した領域の軸心に対して傾いた位置関係になる場合には、第1のハンドのみで、ロボットアームを所定の構造物に取り付けた状態を維持することができる。即ち、ロボットアーム全体の自重がかかることで、第1のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心の向きが変わる。そして、第1のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心の向きが、所定の構造物のうち、第1のハンドで把持した領域の軸心に対して傾くことになる。この結果、第1のハンドの内周面の中に、所定の構造物に強く接する箇所と、弱く接する箇所が生じ、接触する圧力の違いによりバランスがとれ、第1のハンドが所定の構造物から外れにくくなる。つまり、2つのハンドのうち、1つの第1のハンドのみで、ロボットアームが所定の構造物を把持した状態を維持し、ロボットアームが脱落することを抑止できる。
【0027】
また、第1のハンド及び第2のハンドが、所定の構造物の外周面を把持した際に、第1のハンド及び第2のハンドの内周面で略筒状の空間を形成して、その内周面の一部が、所定の構造物の外周面に当接し、第2のハンドのみで所定の構造物の外周面を把持した際には、第2のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心が、所定の構造物のうち、第2のハンドで把持した領域の軸心に対して傾いた位置関係になる場合には、第1のハンドと同様に、第2のハンドのみで、ロボットアームを所定の構造物に取り付けた状態を維持することができる。
【0028】
また、第1の屈伸接続部、第2の屈伸接続部、第3の屈伸接続部、第1のハンド開閉接続部、第1のハンド回転接続部、第2のハンド開閉接続部及び第2のハンド回転接続部の駆動を制御する駆動制御部を備える場合には、駆動制御部を介して動作を制御することで、自律的な移動をロボットアームに行わせることが可能となる。
【0029】
また、第1の屈伸接続部、第2の屈伸接続部、第3の屈伸接続部、第1のハンド開閉接続部、第1のハンド回転接続部、第2のハンド開閉接続部及び第2のハンド回転接続部の7つの部材の駆動を介して、全体の姿勢を変える場合には、比較的少ない数の部材の駆動を組み合わせて、ロボットアームの本体に複雑な形状を取らせることが可能となる。即ち、ロボットアームの本体を複雑な形状に変形させて、所定の構造物の長手方向や周方向に沿った移動を実現することができる。
【0030】
また、第1のハンド開閉接続部による第1のハンドの開閉動作及び第2のハンド開閉接続部による第2のハンドの開閉動作と、第1のハンド回転接続部、第2のハンド回転接続部による回転動作と、第1の屈伸接続部、第2の屈伸接続部及び第3の屈伸接続部による角度調節を連動させて、所定の構造物の外周面の周方向に沿って移動可能に構成された場合には、2つのハンドの開閉動作及び回転動作と、各ボディ間の角度調節を組み合わせて、周方向への細かい移動が可能となるように、ロボットアームの全体形状を少しずつ変形させることができる。この結果、ロボットアームの移動を精度高く制御して、周方向への移動をより確実に行うことが可能となる。
【0031】
また、所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、第1のハンドの基部から第2の屈伸接続部までの部位と、第2の屈伸部から第1の屈伸部までの部位が延び出した状態で、所定の構造物の外周面を把持した第1のハンドを、第2のハンドが越える動作を行うように構成された場合には、ロボットアームを所定の構造物の外周面に取り付けた状態での、ロボットアームの自重により生じる重力モーメントを、半径方向に延び出した距離に基づく大きさにすることができる。即ち、例えば、ロボットアームの全長に渡って半径方向に延び出した態様に比べて、重力モーメントを小さくすることができる。この結果、所定の構造物の外周面を把持した第1のハンドを、第2のハンドが越える動作を行う際に、ロボットアームが脱落しにくくすることができる。
【0032】
また、所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第2のハンドの基部から前記第3の屈伸接続部までの部位と、前記第3の屈伸部から前記第1の屈伸部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第2のハンドを、前記第1のハンドが越える動作を行うように構成された場合には、ロボットアームを所定の構造物の外周面に取り付けた状態での、ロボットアームの自重により生じる重力モーメントを、半径方向に延び出した距離に基づく大きさにすることができる。即ち、例えば、ロボットアームの全長に渡って半径方向に延び出した態様に比べて、重力モーメントを小さくすることができる。この結果、所定の構造物の外周面を把持した第2のハンドを、第1のハンドが越える動作を行う際に、ロボットアームが脱落しにくくすることができる。
【0033】
また、所定の構造物の外周面を把持した第1のハンドを、第2のハンドが越える動作を行い、または、所定の構造物の外周面を把持した第2のハンドを、第1のハンドが越える動作を行うように構成された場合には、2つの動作を組み合わせて、所定の構造物の外周面に取り付けられた、移動の障害となる物体を乗り越えて、ロボットアームが進行方向に移動可能となる。
【0034】
また、第1のボディ回転接続部が、第1のボディと、第2の屈伸接続部との間に設けられ、第1のボディに対して、第3のボディ及び第2の屈伸接続部を回転可能に接続し、第2のボディ回転接続部が、第2のボディと、第3の屈伸接続部との間に設けられ、第2のボディに対して、第4のボディ及び第3の屈伸接続部を回転可能に接続する場合には、第1のボディと第3のボディの間と、第2のボディと第4のボディの間のそれぞれを回転させ、それぞれのボディの間でひねりを入れた形状へと変形させることができる。これにより、第1の屈伸接続部、第2の屈伸接続部、及び、第3の屈伸接続部を介した角度の調整と合わせて、より一層、ロボットアームの本体に複雑な形状を取らせることが可能となる。即ち、ロボットアームの本体を複雑な形状に変形させて、所定の構造物の長手方向や周方向に沿った移動を実現することができる。
【0035】
また、第1のハンド開閉接続部による第1のハンドの開閉動作及び第2のハンド開閉接続部による第2のハンドの開閉動作と、第1のハンド回転接続部、第1のボディ回転接続部、第2のハンド回転接続部及び第2のボディ回転接続部による回転動作を連動させて、所定の構造物の外周面の周方向に沿って移動可能に構成された場合には、2つのハンドの開閉動作及び回転動作と、各ボディ間の回転動作を組み合わせて、周方向への細かい移動が可能となるように、ロボットアームの全体形状を少しずつ変形させることができる。この結果、ロボットアームの移動を精度高く制御して、周方向への移動をより確実に行うことが可能となる。
【0036】
また、所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、第1のハンドの基部から第2の屈伸接続部までの部位と、第1の屈伸部から第3の屈伸部までの部位が延び出した状態で、所定の構造物の外周面を把持した第1のハンドを、第2のハンドが越える動作を行うように構成された場合には、ロボットアームを所定の構造物の外周面に取り付けた状態での、ロボットアームの自重により生じる重力モーメントを、半径方向に延び出した距離に基づく大きさにすることができる。即ち、例えば、ロボットアームの全長に渡って半径方向に延び出した態様に比べて、重力モーメントを小さくすることができる。この結果、所定の構造物の外周面を把持した第1のハンドを、第2のハンドが越える動作を行う際に、ロボットアームが脱落しにくくすることができる。
【0037】
また、所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、第2のハンドの基部から第3の屈伸接続部までの部位と、第1の屈伸部から第2の屈伸部までの部位が延び出した状態で、所定の構造物の外周面を把持した第2のハンドを、第1のハンドが越える動作を行うように構成された場合には、ロボットアームを所定の構造物の外周面に取り付けた状態での、ロボットアームの自重により生じる重力モーメントを、半径方向に延び出した距離に基づく大きさにすることができる。即ち、例えば、ロボットアームの全長に渡って半径方向に延び出した態様に比べて、重力モーメントを小さくすることができる。この結果、所定の構造物の外周面を把持した第2のハンドを、第1のハンドが越える動作を行う際に、ロボットアームが脱落しにくくすることができる。
【0038】
また、所定の構造物の外周面を把持した第1のハンドを、第2のハンドが越える動作を行い、または、所定の構造物の外周面を把持した第2のハンドを、第1のハンドが越える動作を行うように構成された場合には、2つの動作を組み合わせて、所定の構造物の外周面に取り付けられた、移動の障害となる物体を乗り越えて、ロボットアームが進行方向に移動可能となる。
【0039】
また、第1のハンド及び第2のハンドが、一対の第1の爪部と、一対の第1の爪部と略平行、かつ、一対の第1の爪部と間隔を設けて形成された、一対の第2の爪部を有する場合には、1つのハンドにおいて、一定の間隔を設けた2組の爪部で、所定の構造物の外周面を充分に把持することが可能となる。
【0040】
また、上記の目的を達成するために、本発明のロボットアームの駆動方法は、少なくとも一部が柱状に形成された所定の構造物に沿ってロボットアームを移動させるロボットアームの駆動方法であって、前記ロボットアームの端部に形成され、開閉可能に構成された第1のハンド及び第2のハンドの少なくともいずれか一方で、前記所定の構造物の外周面を把持すると共に、前記ロボットアームを構成する4つのボディと、それぞれの前記ボディの間の角度を調整する3つの屈伸部を介して、前記ボディの角度を変えて、前記ロボットアームを移動させるように構成されている。
【0041】
ここで、ロボットアームの端部に形成され、開閉可能に構成された第1のハンド及び第2のハンドの少なくともいずれか一方で、所定の構造物の外周面を把持することによって、第1のハンドまたは第2のハンドを介して、対象となる構造物にロボットアームを取り付けることができる。
【0042】
また、ロボットアームを構成する4つのボディと、それぞれのボディの間の角度を調整する3つの屈伸部を介して、ボディの角度を変えて、ロボットアームを移動させることによって、各ボディ間の角度を細かく曲げて、ロボットアームの本体に複雑な形状を取らせて、移動の自由度を高めることができる。
【0043】
また、第1のハンドの内周面に形成される略筒状の空間の軸心を、所定の構造物のうち、第1のハンドで把持した領域の軸心に対して傾けることで、第1のハンドのみで所定の構造物の外周面を把持して、ロボットアームを所定の構造物に取り付けた状態を支持する場合には、第1のハンドのみで、ロボットアームを所定の構造物に取り付けた状態を維持することができる。即ち、ロボットアーム全体の自重がかかることで、第1のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心の向きが変わる。そして、第1のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心の向きが、所定の構造物のうち、第1のハンドで把持した領域の軸心に対して傾くことになる。この結果、第1のハンドの内周面の中に、所定の構造物に強く接する箇所と、弱く接する箇所が生じ、接触する圧力の違いによりバランスがとれ、第1のハンドが所定の構造物から外れにくくなる。つまり、2つのハンドのうち、1つの第1のハンドのみで、ロボットアームが所定の構造物を把持した状態を維持し、ロボットアームが脱落することを抑止できる。
【0044】
また、第2のハンドの内周面に形成される略筒状の空間の軸心を、所定の構造物のうち、第2のハンドで把持した領域の軸心に対して傾けることで、第2のハンドのみで所定の構造物の外周面を把持して、ロボットアームを所定の構造物に取り付けた状態を支持する場合には、第1のハンドと同様に、第2のハンドのみで、ロボットアームを所定の構造物に取り付けた状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係るロボットアーム及びロボットアームの駆動方法は、照明柱や標識柱等の柱状の構造物に沿って移動するロボットアームについて、対象となる構造物に沿って、自由度が高く、かつ、安定した移動が可能であり、脱落等の不具合が生じにくいものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明を適用したロボットアームの一例であるロボットアームAの全体構造を示す概略斜面図である。
【
図2】(a)は、
図1に示すロボットアームAを側面から見た概略図であり、(b)は、
図2(a)に示すロボットアームAを簡略化して図示した概略図である。
【
図3】(a)は、2つのハンドで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図であり、(b)は、上方に位置するハンドのみで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図である。
【
図4】(a)は、2つのハンドで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図であり、(b)は、下方に位置するハンドのみで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図である。
【
図5】水平方向に移動する際に、一方のハンドのみで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図である。
【
図6】(a)~(d)は、柱状構造物に沿ってロボットアームAが上昇する工程を示す概略図である。
【
図7】(a)~(c)は、柱状構造物の周方向に沿ってロボットアームAが移動する工程を示す概略図である。
【
図8】(a)~(f)は、柱状構造物に取り付けられた障害物を、ロボットアームAが乗り越えて移動する工程を示す概略図である。
【
図9】(a)~(f)は、
図8に続いて、柱状構造物に取り付けられた障害物を、ロボットアームAが乗り越えて移動する工程を示す概略図である。
【
図10】(a)~(f)は、
図9に続いて、柱状構造物に取り付けられた障害物を、ロボットアームAが乗り越えて移動する工程を示す概略図である。
【
図11】(a)及び(b)は、
図10に続いて、柱状構造物に取り付けられた障害物を、ロボットアームAが乗り越えて移動する工程を示す概略図である。
【
図12】(a)及び(b)は、柱状構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、ロボットアームAの延び出した部分を示す概略図である。
【
図13】本発明を適用したロボットアームの一例であるロボットアームBの全体構造を示す概略斜面図である。
【
図14】
図13に示すロボットアームBを側面から見た概略図である。
【
図15】(a)は、2つのハンドで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図であり、(b)は、上方に位置するハンドのみで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図である。
【
図16】(a)は、2つのハンドで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図であり、(b)は、下方に位置するハンドのみで柱状構造物を把持した状態を示す概略側面図である。
【
図17】(a)~(d)は、柱状構造物に沿ってロボットアームBが上昇する工程を示す概略図である。
【
図18】(a)~(f)は、柱状構造物に取り付けられた障害物を、ロボットアームBが乗り越えて移動する工程を示す概略図である。
【
図19】(a)~(f)は、
図18に続いて、柱状構造物に取り付けられた障害物を、ロボットアームBが乗り越えて移動する工程を示す概略図である。
【
図20】(a)~(b)は、
図19に続いて、柱状構造物に取り付けられた障害物を、ロボットアームBが乗り越えて移動する工程を示す概略図である。
【
図21】(a)及び(b)は、柱状構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、ロボットアームBの延び出した部分を示す概略図である。
【
図22】(a)~(e)は、柱状構造物の周方向に沿ってロボットアームBが移動する工程を示す概略図である。
【
図23】(a)~(e)は、
図22に続いて、柱状構造物の周方向に沿ってロボットアームBが移動する工程を示す概略図である。
【
図24】(a)~(e)は、柱状構造物の形状に一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[本発明の第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
なお、以下に示す構造は、本発明を適用したロボットアームの一例であり、本発明の内容はこれに限定されるものではなく、適宜設定変更することが可能である。
【0048】
また、以下に示す内容では、
図1を基準にして、鉛直方向と略平行な方向をZ軸方向とする。また、
図1を基準に、第2ハンド21とボディ13を結ぶ方向と略平行な方向、かつ、Z軸方向と直交する方向をX軸方向と称し、Z軸方向及びX軸方向の双方と略直交する方向をY軸方向と称する。
【0049】
また、ここでいう「
図1を基準にして」とは、
図1に示したロボットアームAの形状(ロボットアームAを側面視した状態で略コの字)を基準にXYZ軸方向を設定したことを意味しており、ロボットアームAの全体形状が変化した場合にも、
図1で設定したXYZ軸方向に基づき説明を行うことがある。
【0050】
図1に示すように、本発明を適用したロボットアームの一例であるロボットアームAは、本体部1と、ハンド部2を備えている。
【0051】
このロボットアームAは、高速道路等に設置された照明柱、標識柱または情報装置柱等の柱状の構造物(以下、「柱状構造物」と称する)に対して、自律して保守点検を行う点検装置の一部を構成する部材であり、点検装置の移動を担う部分となる。
【0052】
即ち、ロボットアームAは、柱状構造物に取り付けられ、その長手方向や外周面に沿って移動する移動装置である。また、図示しないが、ロボットアームAのハンド部2(後述する2つのハンド)には、柱状構造物を点検する各種検査装置を搭載可能となっている。
【0053】
この各種検査装置とは、例えば、柱状構造物の内部構造を検査するための振動計測器や板厚計測器である。また、検査装置として赤外線サーモグラフィーを搭載して、柱状構造物の内部に、雨水等が溜まった滞水の有無を検査することが可能である。さらには、カメラを搭載して、撮像画像に対してAIによる画像解析を行うことも可能である。このように、ロボットアームAは、人の目視検査に変えて、各種検査装置で柱状構造物を検査するための自律式の点検装置の移動部として機能する。なお、ハンド部に各種検査装置を搭載可能である点は、後述するロボットアームBについても同様である。
【0054】
また、以下の説明では、ロボットアームAを取り付けて、その外周面に沿って移動する柱状構造物に符合Pを付して示している(
図1~
図21)。また、各図に示した柱状構造物Pは、説明の便宜上、柱状構造物の構造の一部を示したものとなっている。
【0055】
また、本体部1は、ロボットアームAの本体を構成する部分である。また、本体部1は、後述するハンド開閉ジョイント、ハンド回転ジョイント、ボディ屈伸ジョイント、ボディ回転ジョイントの各部材を介して、その形状を変化させる部材である。
【0056】
この本体部1の形状の変化により、柱状構造物に対する昇降動作、周方向への移動、水平方向への移動等の際に、ロボットアームAの全体形状が、各移動動作に適した形状に変化するものとなる。また、本体部1の形状の変化により、ハンド部2における、柱状構造物を把持する位置を変えることができる。
【0057】
また、ハンド部2は、柱状構造物を把持する把持部材である。ハンド部2は、本体部1の形状の変化に合わせて、柱状構造物を把持する位置や、把持するタイミングを変えて、柱状構造物の外周面上でのロボットアームAの移動を担う部分である。
【0058】
ここで、本体部1及びハンド部2の大きさは、ロボットアームAを取り付ける柱状構造物の大きさや形状に合わせて、適宜設計することができる。
【0059】
また、ロボットアームAを取り付ける柱状構造物の形状は、高速道路等に設置された照明柱、標識柱または情報装置柱等の既知の形状が対象となる。例えば、逆L字型の標識柱(
図24(a)参照)、単柱式の標識柱(
図24(b)参照)、照明柱(
図24(c)参照)、F型の情報装置柱(
図24(d)参照)、共架型の照明(
図24(e)参照)等、各種の形状が対象となる。
【0060】
また、本体部1は、ボディ10、ボディ11、ボディ12及びボディ13を有している(
図1、
図2(a)及び
図2(b)参照)。
【0061】
また、本体部1は、ボディ屈伸ジョイント30、ボディ屈伸ジョイント31及びボディ屈伸ジョイント32を有している(
図1、
図2(a)及び
図2(b)参照)。
【0062】
また、本体部1は、ボディ回転ジョイント50及びボディ回転ジョイント51を有している(
図1、
図2(a)及び
図2(b)参照)
【0063】
また、本体部1は、ハンド回転ジョイント52及びハンド回転ジョイント53を有している(
図1、
図2(a)及び
図2(b)参照)。
【0064】
ここで、ボディ屈伸ジョイント30は、ボディ10とボディ11のなす角度を変更するための接続部材である。このボディ屈伸ジョイント30を介して、ボディ10とボディ11がなす角度が所望の角度となるように、ボディ10及びボディ11を回動させることができる。
【0065】
また、ボディ屈伸ジョイント31は、ボディ10とボディ12のなす角度を変更するための接続部材である。このボディ屈伸ジョイント31を介して、ボディ10とボディ12がなす角度が所望の角度となるように、ボディ10及びボディ12を回動させることができる。
【0066】
また、ボディ屈伸ジョイント32は、ボディ11とボディ13のなす角度を変更するための接続部材である。このボディ屈伸ジョイント32を介して、ボディ11とボディ13がなす角度が所望の角度となるように、ボディ11及びボディ13を回動させることができる。
【0067】
なお、ここでいうボディ10、ボディ11、ボディ12及びボディ13が、本願請求項における第1のボディ、第2のボディ、第3のボディ及び第4のボディに相当する部材である。
【0068】
また、ここでいうボディ屈伸ジョイント30、ボディ屈伸ジョイント31及びボディ屈伸ジョイント32が、本願請求項における第1の屈伸接続部、第2の屈伸接続部及び第3の屈伸接続部に相当する部材である。
【0069】
また、ボディ回転ジョイント50は、ボディ10とボディ屈伸ジョイント31の間に設けられ、ボディ10に対して、ボディ12及びボディ屈伸ジョイント31を回転可能に接続する部材である。
【0070】
また、ボディ回転ジョイント51は、ボディ11とボディ屈伸ジョイント32の間に設けられ、ボディ11に対して、ボディ13及びボディ屈伸ジョイント32を回転可能に接続する部材である。
【0071】
なお、ここでいうボディ回転ジョイント50及びボディ回転ジョイント51が、本願請求項における第1のボディ回転接続部及び第2のボディ回転接続部に相当する部材である。
【0072】
また、ハンド回転ジョイント52は、ボディ12と、後述するハンド開閉ジョイント40の間に設けられ、ボディ12に対して、後述する第1ハンド20及びハンド開閉ジョイント40を回転可能に接続する部材である。
【0073】
また、ハンド回転ジョイント53は、ボディ13と、後述するハンド開閉ジョイント41の間に設けられ、ボディ13に対して、後述する第2ハンド21及びハンド開閉ジョイント41を回転可能に接続する部材である。
【0074】
なお、ここでいうハンド回転ジョイント52及びハンド回転ジョイント53が、本願請求項における第1のハンド回転接続部及び第2のハンド回転接続部に相当する部材である。
【0075】
図1に示すように、ハンド部2は、第1ハンド20と、第2ハンド21を有している。第1ハンド20と、第2ハンド21は、柱状構造物の外周面を把持する部分である。また、第1ハンド20と、第2ハンド21は図示しない制御装置を介して、互いに独立して駆動可能に構成されている。
【0076】
なお、ここでいう第1ハンド20及び第2ハンド21が、本願請求項における第1のハンド及び第2のハンドに相当する部材である。
【0077】
また、第1ハンド20は、一対の第1爪部200と、一対の第2爪部201を有している。また、第1爪部200及び第2爪部201は、ボディ12に取り付けられたハンド開閉ジョイント40(
図1、
図2(a)及び
図2(b)参照)を介して開閉可能に構成されている。
【0078】
この第1爪部200及び第2爪部201が開閉することで、柱状構造物の外周面に当接または離間して、第1ハンド20が柱状構造物を把持した状態と、第1ハンド20が柱状構造物から離れた状態を切り替えることができる。
【0079】
また、第2ハンド21は、第1ハンド20と同様に、一対の第1爪部210と、一対の第2爪部211を有している。また、第1爪部210及び第2爪部211は、ボディ13に取り付けられたハンド開閉ジョイント41(
図1、
図2(a)及び
図2(b)参照)を介して開閉可能に構成されている。
【0080】
この第1爪部210及び第2爪部211が開閉することで、柱状構造物の外周面に当接または離間して、第2ハンド21が柱状構造物を把持した状態と、第2ハンド21が柱状構造物から離れた状態を切り替えることができる。
【0081】
また、第1爪部200及び第2爪部201で、柱状構造物の外周面を把持した際には、各爪部の内周面に略筒状の空間が形成される。この略筒状の空間の内側に、柱状構造物の一部が位置し、第1爪部200及び第2爪部201で柱状構造物が把持される。
【0082】
また、同様に、第1爪部210及び第2爪部211で、柱状構造物の外周面を把持した際には、各爪部の内周面に略筒状の空間が形成される。この略筒状の空間の内側に、柱状構造物の一部が位置し、第1爪部210及び第2爪部211で柱状構造物が把持される。
【0083】
なお、ここでいう、第1爪部200及び第2爪部201の内周面に形成される略筒状の空間、または、第1爪部210及び第2爪部211の内周面に形成される略筒状の空間が、本願請求項における略筒状の空間に相当する部分である。
【0084】
また、ボディ屈伸ジョイント30、ボディ屈伸ジョイント31、ボディ屈伸ジョイント32、ボディ回転ジョイント50、ボディ回転ジョイント51、ハンド回転ジョイント52、ハンド回転ジョイント53、ハンド開閉ジョイント40、ハンド開閉ジョイント41はそれぞれ、図示しないサーボモータを介して、各駆動が制御されている。
【0085】
また、これらの各部材を駆動するサーボモータは、図示しない制御装置に、有線または無線で接続され、回転角度が制御可能に構成されている。なお、ここでいう制御装置が、本願請求項における駆動制御部に相当する部材である。
【0086】
[1つのハンドのみで取り付け状態を維持する構造]
続いて、ロボットアームAが移動する際、1つのハンドのみで、柱状構造物を把持して、ロボットアームAが柱状構造物に取り付いた状態を維持する構造について説明する。
【0087】
ロボットアームAでは、柱状構造物Pに沿った移動、即ち、昇降動作、周方向への移動、または、水平方向への移動等の際、本体部1の形状を変化させながら、これに、第1ハンド20及び第2ハンド21の開閉動作を組み合わせて、所望の方向に移動することが可能である。
【0088】
また、各種移動の際、一方のハンドのみで柱状構造物Pを把持しつつ、他方のハンドは開いた状態で柱状構造物Pを把持せず、移動方向に合わせた目標位置に、他方のハンドが位置するように、本体部1の各部分を変形させる。
【0089】
つまり、ロボットアームAの移動時には、2つあるハンドのうち、一方のみで、柱状構造物PにロボットアームAが取りついた状態を維持する、言い換えれば、自重を支えながら、脱落することなく、柱状構造物PにロボットアームAがしがみついた状態を維持する。
【0090】
この際、柱状構造物を把持したハンドにおける各爪部の内周面に略筒状の空間が形成されることで、1つのハンドのみで、柱状構造物PにロボットアームAが取りついた状態を維持することが可能となる。
【0091】
図3(a)及び
図3(b)を用いて、鉛直方向と略平行な部分を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームAのうち、上側に位置したハンドのみで、柱状構造物Pを把持する例を説明する。
【0092】
まず、
図3(a)に示すように、第1ハンド20及び第2ハンド21の両方が、それぞれのハンドの各爪部を閉じて、いずれもが柱状構造物Pを把持した状態を初期状態とする。
【0093】
この第1ハンド20及び第2ハンド21の両方で、柱状構造物Pを把持した状態では、2つのハンドを介して柱状構造物Pを把持するために、柱状構造物PにロボットアームAが取りついた状態をしっかりと維持することができる。
【0094】
また、第1ハンド20及び第2ハンド21の両方で、柱状構造物Pを把持した状態では、第1ハンド20の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T1と、第2ハンド21の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T2のそれぞれの向きは、柱状構造物(正確には、柱状構造物のうち各ハンドで把持された領域の軸心)の軸心P1と、略平行な位置関係にある(
図3(a)参照)。
【0095】
ここから、
図3(b)に示すように、下側に位置する第2ハンド21を開いて、第2ハンド21が柱状構造物Pから離れ、上側に位置する第1ハンド20のみが閉じたままとし、第1ハンド20だけで柱状構造物Pを把持した状態とする。
【0096】
この状態では、ロボットアームAの全体に自重がかかり、その自重により、ロボットアームAの姿勢が一部斜めに傾く。また、これにより、第1ハンド20の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T1も斜めに傾く。
図3(b)で見るところ、軸心T1の向きは、鉛直方向(軸心P1の方向)から、やや左側に傾いた向きとなる。
【0097】
この第1ハンド20の姿勢では、その姿勢が斜めに傾いたことで、第1ハンド20の内周面のうち、符合S1及び符合S2で示す箇所が、柱状構造物Pに強く接することになる。一方、第1ハンド20の内周面のうち、符合S1で示す箇所よりもハンド基部側(ボディ12側)の箇所と、符合S2で示す箇所よりもハンド先部側(符号S1よりも下方)の箇所では、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成されることになる。
【0098】
このように第1ハンド20の姿勢が斜めに傾いて、第1ハンド20の内周面の中で、柱状構造物Pに強く接する箇所(符号S1及び符合S2)と、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成される箇所が生じ、柱状構造物Pに対する接触する圧力のバランスが取れることで、第1ハンド20が、柱状構造物Pに強く係合した状態となる。
【0099】
即ち、1つの第1ハンド20のみでも、ロボットアームAが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することが可能となる。この状態から、本体部1を変形させ、第2ハンド21を移動方向に合わせた目標位置に移動させることで、ロボットアームAを移動させることができる。
【0100】
このような1つのハンドのみで、柱状構造物を把持できる点は、
図4(b)に示すように、鉛直方向と略平行な部分を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームAのうち、下側に位置したハンドのみで、柱状構造物Pを把持する場合でも同様である。
【0101】
即ち、第1ハンド20及び第2ハンド21の両方が柱状構造物Pを把持した初期状態では、
図3(a)と同様に、第1ハンド20の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T1と、第2ハンド21の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T2のそれぞれの向きは、柱状構造物(正確には、柱状構造物のうち各ハンドで把持された領域の軸心)の軸心P1と、略平行な位置関係にある(
図4(a)参照)。
【0102】
ここから、
図4(b)に示すように、上側に位置する第1ハンド20を開いて、第1ハンド20が柱状構造物Pから離れ、下側に位置する第2ハンド21のみが閉じたままとし、第2ハンド21だけで柱状構造物Pを把持した状態とする。
【0103】
この状態でも、ロボットアームAの自重により、ロボットアームAの姿勢が一部斜めに傾く。また、これにより、第2ハンド21の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T2も斜めに傾く。
図4(b)で見るところ、軸心T2の向きは、鉛直方向(軸心P1の方向)からやや左側に傾いた向きとなる。
【0104】
この第2ハンド21の姿勢も、その姿勢が斜めに傾いたことで、第2ハンド21の内周面のうち、符合S1及び符合S2で示す箇所が、柱状構造物Pに強く接することになる。一方、第2ハンド21の内周面のうち、符合S1で示す箇所よりもハンド基部側(ボディ13側)の箇所と、符合S2で示す箇所よりもハンド先部側(符号S1よりも下方)の箇所では、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成されることになる。
【0105】
このように第2ハンド21の姿勢が斜めに傾いて、第2ハンド21の内周面の中で、柱状構造物Pに強く接する箇所(符号S1及び符合S2)と、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成される箇所が生じ、柱状構造物Pに対する接触する圧力のバランスが取れることで、第2ハンド21が、柱状構造物Pに強く係合した状態となる。
【0106】
即ち、このように、鉛直方向において、下側に位置した第2ハンド21のみでも、ロボットアームAが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することが可能となる。この状態から、本体部1を変形させ、第1ハンド20を移動方向に合わせた目標位置に移動させることで、ロボットアームAを移動させることができる。
【0107】
さらに、柱状構造物Pが水平方向に延びた形状に沿って、ロボットアームAを取り付けた際にも、ロボットアームAのうち、一方のハンドのみで、柱状構造物Pを把持して、ロボットアームAを、柱状構造物Pに取り付けた状態を維持することができる。
【0108】
図5には、水平方向に延びた形状を有する柱状構造物Pを、第1のハンド20のみが把持した状態を示している。また、第2のハンド21を開いて、第2ハンド21は柱状構造物Pから離れている。
【0109】
この状態でも、ロボットアームAの自重により、ロボットアームAの姿勢が一部斜め(
図5において本体部1の右側が下がる方)に傾く。また、これにより、第1ハンド20の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T1も斜めに傾く。
図5で見るところ、軸心T1の向きは、水平方向(軸心P1の方向)からやや右下側に傾いた向きとなる。
【0110】
即ち、第1ハンド20の姿勢が斜めに傾いたことで、第1ハンド20の内周面のうち、符合S1及び符合S2で示す箇所が、柱状構造物Pに強く接することになる。一方、第1ハンド20の内周面のうち、符合S1で示す箇所よりもハンド基部側(ボディ12側)の箇所と、符合S2で示す箇所よりもハンド先部側(符号S1よりも左方)の箇所では、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成されることになる。
【0111】
このように、水平方向に延びた形状を有する柱状構造物Pに対しても、第1ハンド20の姿勢が斜めに傾いて、第1ハンド20の内周面の中で、柱状構造物Pに強く接する箇所(符号S1及び符合S2)と、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成される箇所が生じ、柱状構造物Pに対する接触する圧力のバランスが取れることで、第1ハンド20が、柱状構造物Pに強く係合した状態となる。
【0112】
つまり、鉛直方向に延びた形状を有する柱状構造物Pだけでなく、水平方向に延びた形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームAを取り付けて移動する際にも、一方のハンドのみで、ロボットアームAが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することが可能となる。
【0113】
なお、水平方向において、第2のハンドのみで柱状構造物Pを把持した際にも同様の状態となるが説明は省略する。また、ロボットアームAが、柱状構造物Pの外周面の周方向に沿って移動する際や、曲がった形状を有する柱状構造物Pに沿って移動する際にも同様に、1つのハンドのみで、取り付け状態を維持できる。
【0114】
以上のとおり、ロボットアームAが移動する際、1つのハンドのみで、柱状構造物を把持して、ロボットアームAが柱状構造物に取り付いた状態を維持することができる。これにより、ロボットアームAが、柱状構造物から脱落することなく、安定した移動を行うことが可能となる。
【0115】
続いて、ロボットアームAによる移動の具体的な内容について説明する。
【0116】
[昇降動作]
図6(a)~
図6(d)を用いて、ロボットアームAの昇降動作の一例を説明する。ここでは、鉛直方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームAが上昇する動きを示す。
【0117】
図6(a)に示す定常状態では、第1ハンド20及び第2ハンド21の両方で、柱状構造物Pを把持している。
【0118】
ここから、ハンド開閉ジョイント41を介して、第2ハンド21を開く。また、これに合わせて、符合R1で示す角度が90度になるように、ボディ屈伸ジョイント30でボディ10とボディ11を回動させる(
図6(b)参照)。さらに、符合R2及び符合R3で示す角度が135度となるように、ボディ屈伸ジョイント31及びボディ屈伸ジョイント32を介して、ボディ10及びボディ12と、ボディ11及びボディ13を、それぞれ回動させる(
図6(b)参照)。
【0119】
図6(a)に示す定常状態から、
図6(b)に示す屈折状態へと変形する際、鉛直方向に沿って、各ボディで構成される本体部1が縮んだ形状となり、柱状構造物Pから離れた第2ハンド21が、
図6(a)における高さ位置から上方(
図6(b)の符合Z1で示す方向)に移動する。
【0120】
また、続いて、
図6(c)に示すように、ハンド開閉ジョイント41を介して、第2ハンド21を閉じて、第2ハンド21で柱状構造物Pを把持する。さらに、ハンド開閉ジョイント40を介して、第1ハンド20を開く。
【0121】
また、これに合わせて、符合R1で示す角度が180度になるように、ボディ屈伸ジョイント30でボディ10とボディ11を回動させる(
図6(c)参照)。さらに、符合R2及び符合R3で示す角度が90度となるように、ボディ屈伸ジョイント31及びボディ屈伸ジョイント32を介して、ボディ10及びボディ12と、ボディ11及びボディ13を、それぞれ回動させる(
図6(c)参照)。
【0122】
図6(b)に示す屈折状態から、
図6(c)に示す状態へと変形する際、鉛直方向に沿って、各ボディで構成される本体部1が延びた形状となり、柱状構造物Pから離れた第1ハンド20が、
図6(a)及び
図6(b)における高さ位置から上方(
図6(c)の符合Z2で示す方向)に移動する。
【0123】
そして、
図6(d)に示すように、ハンド開閉ジョイント40を介して、第1ハンド20を閉じて、第1ハンド20で柱状構造物Pを把持する。ここまでで、ロボットアームAの形状は、
図6(a)と同じ定常状態に戻る。
【0124】
また、一連の動作により、ロボットアームA全体が、柱状構造物Pに沿って、鉛直上方に移動する。ロボットアームAを上昇させる際には、
図6(a)~
図6(d)の動作を繰り返すことで、柱状構造物Pの長手方向に沿って、ロボットアームAを上昇させることができる。
【0125】
また、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、1つのハンドのみで柱状構造物Pを把持した際には、上述したように、1つのハンドの内周面の中で、柱状構造物Pに対する接触する圧力のバランスが取れ、柱状構造物Pに強く係合した状態となり、1つのハンドのみで、ロボットアームAが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することができる。
【0126】
また、ハンド開閉ジョイント40、ハンド開閉ジョイント41、ボディ屈伸ジョイント30、ボディ屈伸ジョイント31及びボディ屈伸ジョイント32の各駆動は、制御装置を介して制御することができる。
【0127】
ここで、必ずしも、ボディ屈伸ジョイント30で調整する角度が90度及び180度に限定される必要はない。また、必ずしも、ボディ屈伸ジョイント31及びボディ屈伸ジョイント32で調整する角度が135度及び90度に限定される必要はない。ここで示す角度は一例であり、ロボットアームAが、柱状構造物Pの長手方向に沿って上昇可能であれば、調整する角度は適宜設定することができる。
【0128】
また、図示は省略するが、
図6(a)~
図6(d)の動作と同様の動きにより、鉛直方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームAが下降する動きが可能となる。
【0129】
ロボットアームAを下降させる際には、定常状態から、上方に位置するハンド(
図6(a)であれば第1ハンド20)を開いて、屈折状態として、上方に位置するハンドを下降させて柱状構造物Pを把持する。続いて、下方に位置するハンド(
図6(a)であれば第2ハンド21)を開いて、各ボディで構成される本体部1が延びた形状に戻し、下方に位置するハンドを下降させて柱状構造物Pを把持することで、ロボットアームAを下降させることができる。
【0130】
また、図示は省略するが、
図6(a)~
図6(d)の動作と同様の動きにより、水平方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームAが横方向に移動する動きが可能となる。さらに、曲がった形状を有する柱状構造物P(例えば、
図24(e)の構造)に対しても、やはり、
図6(a)~
図6(d)の動作と同様の動きにより、曲線に沿ってロボットアームAを移動させることができる。
【0131】
[周方向への移動]
次に、
図7(a)~
図7(c)を用いて、ロボットアームAが、柱状構造物Pの外周面に沿って、その周方向に移動する動きの一例を説明する。
【0132】
ここで示す周方向への移動とは、
図7(a)~
図7(c)の各図の上側の図を基準にして、柱状構造物Pを中心に、ロボットアームAの位置が反時計回りの方向に向かう移動である。
【0133】
図7(a)に示す定常状態では、第1ハンド20及び第2ハンド21の両方で、柱状構造物Pを把持している。
【0134】
ここから、ハンド開閉ジョイント41を介して、第2ハンド21を開く。また、これに合わせて、ハンド回転ジョイント52を介してボディ12を、ハンド回転ジョイント53を介してボディ13を、それぞれ、
図7(b)に示す向きに20度回転させる。また、これに合わせて、ボディ回転ジョイント50を介してボディ10を、ボディ回転ジョイント51を介してボディ11を、それぞれ、
図7(b)に示す向きに50度回転させる。
【0135】
なお、
図7(a)~
図7(c)の上側の図では、図の構成上、ハンド回転ジョイント52及びハンド回転ジョイント53のうち、ハンド回転ジョイント52のみが図に現れている。また、
図7(a)~
図7(c)の上側の図では、図の構成上、ハンド回転ジョイント52及びハンド回転ジョイント53が図中で見えなくなっている。
【0136】
この
図7(b)に示す各部材の回転動作を行うことで、柱状構造物Pから離れた第2ハンド21の位置が、周方向における反時計回りの進行方向に移動する。また、移動した後、第2ハンド21を閉じて、柱状構造物Pを把持させる。
【0137】
こうした、
図7(a)から
図7(b)への一連の動きにより、第2ハンド21の長手方向が、
図7(a)の上側の図に示すX軸方向に略平行な向きから、
図7(b)の上側の図の符合αで示す角度分移動して、第2ハンド21の長手方向は、符合R1で示す向きとなる。
【0138】
続いて、
図7(b)に示す状態から、ハンド開閉ジョイント40を介して、第1ハンド20を開く。また、これに合わせて、ハンド回転ジョイント52を介してボディ12を、ハンド回転ジョイント53を介してボディ13を、それぞれ、
図7(b)に示すと反対向きに20度回転させる。また、これに合わせて、ボディ回転ジョイント50を介してボディ10を、ボディ回転ジョイント51を介してボディ11を、それぞれ、
図7(b)に示す向きと反対向きに50度回転させる。
【0139】
このように、各部材を、
図7(b)に示す向きと反対向きに回転させる回転動作を行うことで、柱状構造物Pから離れた第1ハンド20の位置が、周方向における反時計回りの進行方向に移動する(
図7(c)参照)。また、移動した後、第1ハンド20を閉じて、柱状構造物Pを把持させる。
【0140】
第1ハンド20の移動した位置は、第2ハンド21の鉛直上方となり、ロボットアームAの全体が、柱状構造物Pを中心に、ロボットアームAの位置が反時計回りの方向に移動する。
図7(c)では、ロボットアームAは、
図7(a)と同様、定常状態に戻る。
【0141】
また、ロボットアームAをさらに周方向に沿って、反時計回りの方向に移動させる際には、
図7(a)~
図7(c)の動作を繰り返すことで、ロボットアームAを進行方向に移動させることができる。
【0142】
また、ハンド開閉ジョイント40、ハンド開閉ジョイント41、ボディ回転ジョイント50及びボディ回転ジョイント51の各駆動は、制御装置を介して制御することができる。
【0143】
ここで、必ずしも、ハンド開閉ジョイント40及びハンド開閉ジョイント41で調整する角度が20度に限定される必要はない。また、必ずしも、ボディ回転ジョイント50及びボディ回転ジョイント51で調整する角度が50度に限定される必要はない。ここで示す角度は一例であり、ロボットアームAが、柱状構造物Pの周方向に沿って移動可能であれば、調整する角度は適宜設定することができる。
【0144】
また、図示は省略するが、
図7(a)~
図7(c)の動作と同様の動きにより、
図7(a)~
図7(c)の各図の上側の図を基準にして、柱状構造物Pを中心に、ロボットアームAの位置が時計回りの方向に向かう、周方向への移動を行うことも可能である。
【0145】
この際には、ハンド開閉ジョイント40及びハンド開閉ジョイント41と、ボディ回転ジョイント50及びボディ回転ジョイント51が最初に回転する向きを、
図7(b)に示す向きと反対方向にすればよい。また、その後、次の回転動作で、各ジョイントが回転する向きを、
図7(b)に示す向きと同じ向きにすればよい。
【0146】
このように、ロボットアームAは、柱状構造物Pの外周面に沿って、その周方向に移動することができる。
【0147】
このことによれば、例えば、柱状構造物Pの一部に、標識やミラー等の大きな構造物(移動を妨げる障害物)が設けられていた場合に、柱状構造物Pの周方向において、障害物がない位置にロボットアームAを移動させ、これを回避することができる。また、ロボットアームAを周方向に移動させ、再度、柱状構造物Pの長手方向に沿って昇降動作させることが可能となる。
【0148】
[障害物の乗り越え]
続いて、
図8~
図12を用いて、柱状構造物Pの一部に、ロボットアームAの移動を妨げる障害物が取り付けられており、この障害物を乗り越える動作の一例について説明する。
【0149】
ここでは、柱状構造物Pが、ミラーM及びミラーMを取り付けるための取り付け金具M1を有している。また、ロボットアームAは、柱状構造物Pの長手方向に沿って、鉛直方向において上昇する移動を行うものとする。
【0150】
動作開始前には、第1ハンド20及び第2ハンド21が、柱状構造物Pを把持した定常状態にある。ここでは、ロボットアームAは、取り付け金具M1の下方に位置している。ここから、第2ハンド21の上方への移動が開始される。
【0151】
まず、ハンド開閉ジョイント41を介して、第2ハンド21を開いて、第2ハンド21から柱状構造物Pを離す(
図8(a)参照)。
【0152】
また、ボディ屈伸ジョイント30を介して、ボディ10とボディ11がなす角度が90度となるように、ボディ10に対して、ボディ11を回動させる(
図8(b)参照)。
【0153】
また、ボディ回転ジョイント50を介して、ボディ屈伸ジョイント31を中心として、ボディ10を90度回動させる(
図8(c)参照)。
【0154】
また、ボディ屈伸ジョイント32を介して、第2ハンド21が下方を向いた向きから、上方を向くように、ボディ13を180度回動させる(
図8(d)及び
図8(e)参照)。
【0155】
また、図中に現れないハンド回転ジョイント52を介して、ボディ12を180度回転させる(
図8(f)及び
図9(a)参照)。また、この動作に伴い、ボディ屈伸ジョイント32を介して、ボディ13及びボディ11のなす角度が180度となるように、ボディ13を回動させる(
図8(f)及び
図9(a)参照)。
【0156】
また、ボディ屈伸ジョイント32を介して、ボディ13及びボディ11のなす角度が90度となるように、ボディ13を回動させる(
図9(a)及び
図9(b)参照)。
【0157】
また、ボディ回転ジョイント50を介して、ボディ屈伸ジョイント31を中心として、ボディ10を90度回動させる(
図9(c)参照)。
【0158】
また、ボディ屈伸ジョイント30を介して、ボディ10及びボディ11のなす角度が180度となるように、ボディ11を回動させる(
図9(d)参照)。
【0159】
また、ハンド開閉ジョイント41を介して、第2ハンド21を閉じて、第2ハンド21で柱状構造物Pを把持する。
【0160】
ここまでの動作により、当初、
図8(a)に示す状態で、第1ハンド20よりも下方にあった第2ハンド21が、上方に移動して、第1ハンド20を超えて、第2ハンド21が第2ハンド20よりも上方に位置する。
【0161】
また、ここまでの動作により、第2ハンド21は、取り付け金具M1よりも上方に位置することになる。また、ここでは、取り付け金具M1は、鉛直方向において、第2ハンド21と第1ハンド20の間に位置する。
【0162】
次に、第1ハンド20の上方への移動が行われる。
【0163】
まず、ハンド開閉ジョイント40を介して、第1ハンド20を開いて、第1ハンド20から柱状構造物Pを離す(
図9(e)参照)。
【0164】
また、ボディ屈伸ジョイント30を介して、ボディ10とボディ11がなす角度が90度となるように、ボディ11に対して、ボディ10を回動させる(
図9(e)参照)。
【0165】
また、ボディ回転ジョイント51を介して、ボディ屈伸ジョイント32を中心として、ボディ11を90度回動させる(
図9(f)参照)。
【0166】
また、ボディ屈伸ジョイント31を介して、第1ハンド20が下方を向いた向きから、上方を向くように、ボディ12を180度回動させる(
図10(a)及び
図10(b)参照)。
【0167】
また、図中に現れないハンド回転ジョイント53を介して、ボディ13を180度回転させる(
図10(c)及び
図10(d)参照)。
【0168】
また、ボディ屈伸ジョイント31を介して、第1ハンド20が下方を向いた向きから、上方を向くように、ボディ12を180度回動させる(
図10(e)及び
図10(f)参照)。
【0169】
また、ボディ回転ジョイント51を介して、ボディ屈伸ジョイント32を中心として、ボディ11を90度回動させる(
図11(a)参照)。
【0170】
また、ボディ屈伸ジョイント30を介して、ボディ10及びボディ11のなす角度が180度となるように、ボディ10を回動させる(
図11(b)参照)。
【0171】
また、ハンド開閉ジョイント40を介して、第1ハンド20を閉じて、第1ハンド20で柱状構造物Pを把持する。
【0172】
ここまでの動作により、
図9(d)に示す状態で、第2ハンド21よりも下方にあった第1ハンド20が、上方に移動して、第2ハンド21を超えて、第1ハンド20が再び、第2ハンド21よりも上方に位置する。
【0173】
また、ここまでの動作により、第1ハンド20及び第2ハンド21の両方が、取り付け金具M1よりも上方に位置することになる。即ち、ロボットハンドAが、取り付け金具M1を乗り越えて、上方に移動することができる。
【0174】
この
図8~
図11に示す動作を行うことで、柱状構造物Pの一部に、ロボットアームAの移動を妨げる障害物が取り付けられていたとしても、この障害物を乗り越えて、ロボットアームAは、さらに上方へ移動することが可能となる。
【0175】
また、詳細な説明は省略するが、
図8~
図11に示す動作を同様の動作を行うことで、ロボットアームAは、上方から下方に向けて、障害物を乗り越えて移動することができる。また、水平方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームAが横方向に移動する際も、
図8~
図11に示す動作を同様の動作を行うことで、ロボットアームAは、横方向に向けて、障害物を乗り越えて移動することができる。
【0176】
また、ロボットアームAでは、
図8~
図11に示す一連の動作を行う際に、柱状構造物Pを把持しないハンドが柱状構造物Pから離れたる距離が、なるべく小さくなるように、ロボットアームAの形状が変形するように構成されている。
【0177】
例えば、具体的には、
図12(a)に示す状態(
図8(b)の状態に相当)では、柱状構造物Pの軸心P1を基準とした半径方向、かつ、同一の方向(
図12(a)における柱状構造物Pから右側に向かう方向)では、ロボットアームAにおける同方向に延び出した部分の部材は、第1ハンド20の基部からボディ屈伸ジョイント31までの部位と、ボディ屈伸ジョイント30からボディ屈伸ジョイント32までの部位となっている。
【0178】
また、柱状構造物Pの軸心P1を基準とした半径方向、かつ、同一の方向で、ロボットアームAにおける同方向に延び出した部分の距離は、
図12(a)に示す符合X1及び符合X2を合わせた距離の範囲となっている。
【0179】
なお、符合X1に示す距離は、第1ハンド20の基部からボディ屈伸ジョイント31の回転中心31cまでの距離であり、符合X2に示す距離は、ボディ屈伸ジョイント30の回転中心30cからボディ屈伸ジョイント32までの距離である。
【0180】
この符合X1及び符合X2の各距離を合わせた長さは、言い換えれば、柱状構造物Pから最も離れた位置にあるハンド21に働く、ロボットアームAの重さに基づく重力モーメントの腕の長さに相当する。
【0181】
そして、X1及びX2を合わせた長さは、ボディ10、ボディ11、ボディ12及びボディ13を、
図12(a)における右方向に、一列に並べた際の長さよりも充分に短くなっている。即ち、ボディ10、ボディ11、ボディ12及びボディ13を、
図12(a)における右方向に、一列に並べた状態より、ハンド21に働く、ロボットアームAの重さに基づく重力モーメントが小さくなっている。
【0182】
このことによれば、第1ハンド20のみで柱状構造物Pを把持した際に、重力モーメントに基づきロボットアームAに働く負荷が比較的小さくなっているものと言える。そのため、
図8~
図11に示す一連の動作を行う際に、ロボットアームAが、柱状構造物Pから脱落しにくく、安定した移動が実現できる構造となっている。
【0183】
なお、
図12(b)には、例えば、
図9(c)に相当する状態を示している。ここでも同様に、柱状構造物Pの軸心P1を基準とした半径方向、かつ、同一の方向で、ロボットアームAにおける同方向に延び出した部分の距離は、
図12(b)に示す符合X3及び符合X4を合わせた距離の範囲となり、重力モーメントに基づきロボットアームAに働く負荷が比較的小さくなっている。
【0184】
[本発明の第2の実施の形態]
続いて、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0185】
なお、以下で説明する本発明の第2の実施の形態における、上述した本発明の第1の実施の形態との違いは、本発明の第1の実施の形態が、9つの駆動部(3つのボディ屈伸ジョイント、2つのハンド開閉ジョイント、2つのボディ回転ジョイント及び2つのハンド回転ジョイント)で、ロボットアームの全体の姿勢を変形させるのに対して、本発明の第2の実施の形態では、7つの駆動部(3つのボディ屈伸ジョイント、2つのハンド開閉ジョイント及び2つのハンド回転ジョイント)で、ロボットアームの全体の姿勢を変形させる点にある。以下、詳細を説明する。
【0186】
図13に示すように、本発明を適用したロボットアームの一例であるロボットアームBは、本体部100と、ハンド部6を備えている。
【0187】
このロボットアームBは、ロボットアームAと同様に、高速道路等に設置された柱状構造物に対して、自律して保守点検を行う点検装置の一部を構成する部材であり、点検装置の移動を担う部分となる。
【0188】
また、本体部100は、ロボットアームBの本体を構成する部分である。また、ハンド部6は、柱状構造物を把持する把持部材である。
【0189】
ここで、本体部100及びハンド部6の大きさは、ロボットアームBを取り付ける柱状構造物の大きさや形状に合わせて、適宜設計することができる。
【0190】
また、本体部100は、ボディ110、ボディ111、ボディ112及びボディ113を有している(
図13及び
図14参照)。
【0191】
また、本体部100は、ボディ屈伸ジョイント70、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72を有している(
図13及び
図14参照)。
【0192】
また、本体部100は、ハンド回転ジョイント90及びハンド回転ジョイント91を有している(
図13及び
図14参照)。
【0193】
ここで、ボディ屈伸ジョイント70は、ボディ110とボディ111のなす角度を変更するための接続部材である。このボディ屈伸ジョイント70を介して、ボディ110とボディ111がなす角度が所望の角度となるように、ボディ110及びボディ111を回動させることができる。
【0194】
また、ボディ屈伸ジョイント71は、ボディ110とボディ112のなす角度を変更するための接続部材である。このボディ屈伸ジョイント71を介して、ボディ110とボディ112がなす角度が所望の角度となるように、ボディ110及びボディ112を回動させることができる。
【0195】
また、ボディ屈伸ジョイント72は、ボディ111とボディ113のなす角度を変更するための接続部材である。このボディ屈伸ジョイント72を介して、ボディ111とボディ113がなす角度が所望の角度となるように、ボディ111及びボディ113を回動させることができる。
【0196】
なお、ここでいうボディ110、ボディ111、ボディ112及びボディ113が、本願請求項における第1のボディ、第2のボディ、第3のボディ及び第4のボディに相当する部材である。
【0197】
また、ここでいうボディ屈伸ジョイント70、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72が、本願請求項における第1の屈伸接続部、第2の屈伸接続部及び第3の屈伸接続部に相当する部材である。
【0198】
また、ハンド回転ジョイント90は、ボディ112と、後述するハンド開閉ジョイント80の間に設けられ、ボディ112に対して、後述する第1ハンド60及びハンド開閉ジョイント80を回転可能に接続する部材である。
【0199】
また、ハンド回転ジョイント91は、ボディ113と、後述するハンド開閉ジョイント81の間に設けられ、ボディ113に対して、後述する第2ハンド61及びハンド開閉ジョイント81を回転可能に接続する部材である。
【0200】
なお、ここでいうハンド回転ジョイント90及びハンド回転ジョイント91が、本願請求項における第1のハンド回転接続部及び第2のハンド回転接続部に相当する部材である。
【0201】
図13に示すように、ハンド部6は、第1ハンド60と、第2ハンド61を有している。第1ハンド60と、第2ハンド61は、柱状構造物の外周面を把持する部分である。また、第1ハンド60と、第2ハンド61は図示しない制御装置を介して、互いに独立して駆動可能に構成されている。
【0202】
なお、ここでいう第1ハンド60及び第2ハンド61が、本願請求項における第1のハンド及び第2のハンドに相当する部材である。
【0203】
また、第1ハンド60は、2本の爪から構成された第1爪部600と、1本の爪から構成された第2爪部601を有している。また、第1爪部600及び第2爪部601は、ボディ112に取り付けられたハンド開閉ジョイント80(
図13及び
図14参照)を介して開閉可能に構成されている。
【0204】
この第1爪部600及び第2爪部601が開閉することで、柱状構造物の外周面に当接または離間して、第1ハンド60が柱状構造物を把持した状態と、第1ハンド60が柱状構造物から離れた状態を切り替えることができる。
【0205】
また、第2ハンド61は、1本の爪から構成された第1爪部610と、2本の爪から構成された第2爪部611を有している。また、第1爪部610及び第2爪部611は、ボディ113に取り付けられたハンド開閉ジョイント81(
図13及び
図14参照)を介して開閉可能に構成されている。
【0206】
この第1爪部610及び第2爪部611が開閉することで、柱状構造物の外周面に当接または離間して、第2ハンド61が柱状構造物を把持した状態と、第2ハンド61が柱状構造物から離れた状態を切り替えることができる。
【0207】
また、第1爪部600及び第2爪部601で、柱状構造物の外周面を把持した際には、各爪部の内周面に略筒状の空間が形成される。この略筒状の空間の内側に、柱状構造物の一部が位置し、第1爪部600及び第2爪部601で柱状構造物が把持される。
【0208】
また、同様に、第1爪部610及び第2爪部611で、柱状構造物の外周面を把持した際には、各爪部の内周面に略筒状の空間が形成される。この略筒状の空間の内側に、柱状構造物の一部が位置し、第1爪部610及び第2爪部611で柱状構造物が把持される。
【0209】
なお、ここでいう、第1爪部600及び第2爪部601の内周面に形成される略筒状の空間、または、第1爪部610及び第2爪部611の内周面に形成される略筒状の空間が、本願請求項における略筒状の空間に相当する部分である。
【0210】
また、ボディ屈伸ジョイント70、ボディ屈伸ジョイント71、ボディ屈伸ジョイント72、ハンド回転ジョイント90、ハンド回転ジョイント91、ハンド開閉ジョイント80、ハンド開閉ジョイント81はそれぞれ、図示しないサーボモータを介して、各駆動が制御されている。
【0211】
また、これらの各部材を駆動するサーボモータは、図示しない制御装置に、有線または無線で接続され、回転角度が制御可能に構成されている。なお、ここでいう制御装置が、本願請求項における駆動制御部に相当する部材である。
【0212】
[1つのハンドのみで取り付け状態を維持する構造]
続いて、ロボットアームB移動する際、1つのハンドのみで、柱状構造物を把持して、ロボットアームが柱状構造物に取り付いた状態を維持する構造について説明する。
【0213】
ロボットアームBでは、柱状構造物Pに沿った移動、即ち、昇降動作、周方向への移動、または、水平方向への移動等の際、本体部1の形状を変化させながら、これに、第1ハンド60及び第2ハンド61の開閉動作を組み合わせて、所望の方向に移動することが可能である。
【0214】
また、各種移動の際、ロボットアームAと同様に、一方のハンドのみで柱状構造物Pを把持しつつ、他方のハンドは開いた状態で柱状構造物Pを把持せず、移動方向に合わせた目標位置に、他方のハンドが位置するように、本体部100の各部分を変形させる。
【0215】
つまり、ロボットアームBの移動時には、2つあるハンドのうち、一方のみで、柱状構造物PにロボットアームBが取りついた状態を維持する、言い換えれば、自重を支えながら、脱落することなく、柱状構造物PにロボットアームBがしがみついた状態を維持する。
【0216】
この際、柱状構造物を把持したハンドにおける各爪部の内周面に略筒状の空間が形成されることで、1つのハンドのみで、柱状構造物PにロボットアームBが取りついた状態を維持することが可能となる。
【0217】
図15(a)及び
図15(b)を用いて、鉛直方向と略平行な部分を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームBのうち、上側に位置したハンドのみで、柱状構造物Pを把持する例を説明する。
【0218】
まず、
図15(a)に示すように、第1ハンド60及び第2ハンド61の両方が、それぞれのハンドの各爪部を閉じて、いずれもが柱状構造物Pを把持した状態を初期状態とする。
【0219】
この第1ハンド60及び第2ハンド61の両方で、柱状構造物Pを把持した状態では、2つのハンドを介して柱状構造物Pを把持するために、柱状構造物PにロボットアームAが取りついた状態をしっかりと維持することができる。
【0220】
また、第1ハンド60及び第2ハンド61の両方で、柱状構造物Pを把持した状態では、第1ハンド60の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T1と、第2ハンド61の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T2のそれぞれの向きは、柱状構造物(正確には、柱状構造物のうち各ハンドで把持された領域の軸心)の軸心P1と、略平行な位置関係にある(
図15(a)参照)。
【0221】
ここから、
図15(b)に示すように、下側に位置する第2ハンド61を開いて、第2ハンド61が柱状構造物Pから離れ、上側に位置する第1ハンド60のみが閉じたままとし、第1ハンド60だけで柱状構造物Pを把持した状態とする。
【0222】
この状態では、ロボットアームBの全体に自重がかかり、その自重により、ロボットアームBの姿勢が一部斜めに傾く。また、これにより、第1ハンド60の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T1も斜めに傾く。
図15(b)で見るところ、軸心T1の向きは、鉛直方向(軸心P1の方向)から、やや左側に傾いた向きとなる。
【0223】
この第1ハンド60の姿勢では、その姿勢が斜めに傾いたことで、第1ハンド60の内周面のうち、符合S1及び符合S2で示す箇所が、柱状構造物Pに強く接することになる。一方、第1ハンド60の内周面のうち、符合S1で示す箇所よりもハンド基部側(ボディ112側)の箇所と、符合S2で示す箇所よりもハンド先部側(符号S1よりも下方)の箇所では、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成されることになる。
【0224】
このように第1ハンド60の姿勢が斜めに傾いて、第1ハンド60の内周面の中で、柱状構造物Pに強く接する箇所(符号S1及び符合S2)と、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成される箇所が生じ、柱状構造物Pに対する接触する圧力のバランスが取れることで、第1ハンド60が、柱状構造物Pに強く係合した状態となる。
【0225】
即ち、1つの第1ハンド60のみでも、ロボットアームBが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することが可能となる。この状態から、本体部100を変形させ、第2ハンド61を移動方向に合わせた目標位置に移動させることで、ロボットアームBを移動させることができる。
【0226】
このような1つのハンドのみで、柱状構造物を把持できる点は、
図16(b)に示すように、鉛直方向と略平行な部分を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームBのうち、下側に位置したハンドのみで、柱状構造物Pを把持する場合でも同様である。
【0227】
即ち、第1ハンド60及び第2ハンド61の両方が柱状構造物Pを把持した初期状態では、
図15(a)と同様に、第1ハンド60の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T1と、第2ハンド61の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T2のそれぞれの向きは、柱状構造物(正確には、柱状構造物のうち各ハンドで把持された領域の軸心)の軸心P1と、略平行な位置関係にある(
図16(a)参照)。
【0228】
ここから、
図16(b)に示すように、上側に位置する第1ハンド60を開いて、第1ハンド60が柱状構造物Pから離れ、下側に位置する第2ハンド61のみが閉じたままとし、第2ハンド61だけで柱状構造物Pを把持した状態とする。
【0229】
この状態でも、ロボットアームBの自重により、ロボットアームBの姿勢が一部斜めに傾く。また、これにより、第2ハンド61の内周面に形成された略筒状の空間の軸心T2も斜めに傾く。
図16(b)で見るところ、軸心T2の向きは、鉛直方向(軸心P1の方向)からやや左側に傾いた向きとなる。
【0230】
この第2ハンド61の姿勢も、その姿勢が斜めに傾いたことで、第2ハンド61の内周面のうち、符合S1及び符合S2で示す箇所が、柱状構造物Pに強く接することになる。一方、第2ハンド61の内周面のうち、符合S1で示す箇所よりもハンド基部側(ボディ113側)の箇所と、符合S2で示す箇所よりもハンド先部側(符号S1よりも下方)の箇所では、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成されることになる。
【0231】
このように第2ハンド61の姿勢が斜めに傾いて、第2ハンド61の内周面の中で、柱状構造物Pに強く接する箇所(符号S1及び符合S2)と、柱状構造物Pに弱く接するか、柱状構造物Pの外周面との間に隙間が形成される箇所が生じ、柱状構造物Pに対する接触する圧力のバランスが取れることで、第2ハンド61が、柱状構造物Pに強く係合した状態となる。
【0232】
即ち、このように、鉛直方向において、下側に位置した第2ハンド61のみでも、ロボットアームBが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することが可能となる。この状態から、本体部100を変形させ、第1ハンド60を移動方向に合わせた目標位置に移動させることで、ロボットアームBを移動させることができる。
【0233】
さらに、柱状構造物Pが水平方向に延びた形状に沿って、ロボットアームBを取り付けた際にも、ロボットアームBのうち、一方のハンドのみで、柱状構造物Pを把持して、ロボットアームBを、柱状構造物Pに取り付けた状態を維持することができる。
【0234】
つまり、鉛直方向に延びた形状を有する柱状構造物Pだけでなく、水平方向に延びた形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームBを取り付けて移動する際にも、一方のハンドのみで、ロボットアームBが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することが可能となる。
【0235】
なお、水平方向において、一方のハンドのみで柱状構造物Pを把持できる点については、ロボットアームAと同様であり、図を用いた説明は省略する。また、ロボットアームBが、柱状構造物Pの外周面の周方向に沿って移動する際や、曲がった形状を有する柱状構造物Pに沿って移動する際にも同様に、1つのハンドのみで、取り付け状態を維持できる。
【0236】
以上のとおり、ロボットアームBが移動する際、1つのハンドのみで、柱状構造物を把持して、ロボットアームBが柱状構造物に取り付いた状態を維持することができる。これにより、ロボットアームBが、柱状構造物から脱落することなく、安定した移動を行うことが可能となる。
【0237】
続いて、ロボットアームBによる移動の具体的な内容について説明する。
【0238】
[昇降動作]
図17(a)~
図17(d)を用いて、ロボットアームBの昇降動作の一例を説明する。ここでは、鉛直方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームBが上昇する動きを示す。
【0239】
図17(a)に示す定常状態では、第1ハンド60及び第2ハンド61の両方で、柱状構造物Pを把持している。
【0240】
ここから、ハンド開閉ジョイント81を介して、第2ハンド61を開く。また、これに合わせて、符合R1で示す角度が90度になるように、ボディ屈伸ジョイント70でボディ110とボディ111を回動させる(
図17(b)参照)。さらに、符合R2及び符合R3で示す角度が135度となるように、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72を介して、ボディ110及びボディ112と、ボディ111及びボディ113を、それぞれ回動させる(
図17(b)参照)。
【0241】
図17(a)に示す定常状態から、
図17(b)に示す屈折状態へと変形する際、鉛直方向に沿って、各ボディで構成される本体部100が縮んだ形状となり、柱状構造物Pから離れた第2ハンド61が、
図17(a)における高さ位置から上方(
図17(b)の符合Z1で示す方向)に移動する。
【0242】
また、続いて、
図17(c)に示すように、ハンド開閉ジョイント81を介して、第2ハンド61を閉じて、第2ハンド61で柱状構造物Pを把持する。さらに、ハンド開閉ジョイント80を介して、第1ハンド60を開く。
【0243】
また、これに合わせて、符合R1で示す角度が180度になるように、ボディ屈伸ジョイント70でボディ110とボディ111を回動させる(
図17(c)参照)。さらに、符合R2及び符合R3で示す角度が90度となるように、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72を介して、ボディ110及びボディ112と、ボディ111及びボディ113を、それぞれ回動させる(
図17(c)参照)。
【0244】
図17(b)に示す屈折状態から、
図17(c)に示す状態へと変形する際、鉛直方向に沿って、各ボディで構成される本体部100が延びた形状となり、柱状構造物Pから離れた第1ハンド60が、
図17(a)及び
図17(b)における高さ位置から上方(
図17(c)の符合Z2で示す方向)に移動する。
【0245】
そして、
図17(d)に示すように、ハンド開閉ジョイント80を介して、第1ハンド60を閉じて、第1ハンド60で柱状構造物Pを把持する。ここまでで、ロボットアームBの形状は、
図17(a)と同じ定常状態に戻る。
【0246】
また、一連の動作により、ロボットアームB全体が、柱状構造物Pに沿って、鉛直上方に移動する。ロボットアームBを上昇させる際には、
図17(a)~
図17(d)の動作を繰り返すことで、柱状構造物Pの長手方向に沿って、ロボットアームBを上昇させることができる。
【0247】
また、
図17(b)及び
図17(c)に示すように、1つのハンドのみで柱状構造物Pを把持した際には、上述したように、1つのハンドの内周面の中で、柱状構造物Pに対する接触する圧力のバランスが取れ、柱状構造物Pに強く係合した状態となり、1つのハンドのみで、ロボットアームBが柱状構造物Pに取りついた状態を維持することができる。
【0248】
また、ハンド開閉ジョイント80、ハンド開閉ジョイント81、ボディ屈伸ジョイント70、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72の各駆動は、制御装置を介して制御することができる。
【0249】
ここで、必ずしも、ボディ屈伸ジョイント70で調整する角度が90度及び180度に限定される必要はない。また、必ずしも、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72で調整する角度が135度及び90度に限定される必要はない。ここで示す角度は一例であり、ロボットアームBが、柱状構造物Pの長手方向に沿って上昇可能であれば、調整する角度は適宜設定することができる。
【0250】
また、図示は省略するが、
図17(a)~
図17(d)の動作と同様の動きにより、鉛直方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームBが下降する動きが可能となる。
【0251】
ロボットアームBを下降させる際には、定常状態から、上方に位置するハンド(
図17(a)であれば第1ハンド60)を開いて、屈折状態として、上方に位置するハンドを下降させて柱状構造物Pを把持する。続いて、下方に位置するハンド(
図17(a)であれば第2ハンド61)を開いて、各ボディで構成される本体部100が延びた形状に戻し、下方に位置するハンドを下降させて柱状構造物Pを把持することで、ロボットアームBを下降させることができる。
【0252】
また、図示は省略するが、
図17(a)~
図17(d)の動作と同様の動きにより、水平方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームBが横方向に移動する動きが可能となる。さらに、曲がった形状を有する柱状構造物P(例えば、
図22(e)の構造)に対しても、やはり、
図17(a)~
図17(d)の動作と同様の動きにより、曲線に沿ってロボットアームBを移動させることができる。
【0253】
[障害物の乗り越え]
続いて、
図18~
図21を用いて、柱状構造物Pの一部に、ロボットアームBの移動を妨げる障害物が取り付けられており、この障害物を乗り越える動作の一例について説明する。
【0254】
ここでは、柱状構造物Pが、ミラーM及びミラーMを取り付けるための取り付け金具M1を有している。また、ロボットアームBは、柱状構造物Pの長手方向に沿って、鉛直方向において上昇する移動を行うものとする。
【0255】
動作開始前には、第1ハンド60及び第2ハンド61が、柱状構造物Pを把持した定常状態にある。ここでは、ロボットアームBは、取り付け金具M1の下方に位置している。ここから、第2ハンド61の上方への移動が開始される。
【0256】
まず、ハンド開閉ジョイント81を介して、第2ハンド61を開いて、第2ハンド61から柱状構造物Pを離す(
図18(a)参照)。
【0257】
また、ボディ屈伸ジョイント70を介して、ボディ110とボディ111がなす角度が90度となるように、ボディ111に対して、ボディ110を回動させる(
図18(b)及び
図18(c)参照)。また、この際、ボディ屈伸ジョイント71を介して、ボディ110とボディ112がなす角度が180度となるように、ボディ112に対して、ボディ110を回動させる。
【0258】
また、ハンド回転ジョイント90を180度回転させ、鉛直方向において、ボディ110の下方にあるボディ111、ボディ113及び第2ハンド61を、ボディ110よりも上方に位置させる(
図18(c)、
図18(d)及び
図18(e)参照)。
【0259】
また、ボディ屈伸ジョイント70を介して、ボディ110及びボディ111のなす角度が180度となるように、ボディ111に対して、ボディ110を回動させる(
図18(f)及び
図19(a)参照)。また、この際、ボディ屈伸ジョイント71を介して、ボディ110とボディ112がなす角度が90度となるように、ボディ112に対して、ボディ110を回動させる。
【0260】
また、ハンド開閉ジョイント81を介して、第2ハンド61を閉じて、第2ハンド61で柱状構造物Pを把持する(
図19(a)及び
図19(b)参照)。
【0261】
ここまでの動作により、当初、
図18(a)に示す状態で、第1ハンド60よりも下方にあった第2ハンド61が、上方に移動して、第1ハンド60を超えて、第2ハンド61が第2ハンド60よりも上方に位置する。
【0262】
また、ここまでの動作により、第2ハンド61は、取り付け金具M1よりも上方に位置することになる。また、ここでは、取り付け金具M1は、鉛直方向において、第2ハンド61と第1ハンド60の間に位置する。
【0263】
次に、第1ハンド60の上方への移動が行われる。
【0264】
まず、ハンド開閉ジョイント80を介して、第1ハンド60を開いて、第1ハンド60から柱状構造物Pを離す(
図19(b)参照)。
【0265】
また、ボディ屈伸ジョイント70を介して、ボディ110とボディ111がなす角度が90度となるように、ボディ110に対して、ボディ111を回動させる(
図19(c)及び
図19(d)参照)。また、この際、ボディ屈伸ジョイント72を介して、ボディ111とボディ113がなす角度が180度となるように、ボディ113に対して、ボディ111を回動させる。
【0266】
また、ハンド回転ジョイント91を180度回転させ、鉛直方向において、ボディ111の下方にあるボディ110、ボディ112及び第1ハンド60を、ボディ111よりも上方に位置させる(
図19(d)、
図19(e)及び
図19(f)参照)。
【0267】
また、ボディ屈伸ジョイント70を介して、ボディ110及びボディ111のなす角度が180度となるように、ボディ110に対して、ボディ111を回動させる(
図20(a)及び
図20(b)参照)。また、この際、ボディ屈伸ジョイント72を介して、ボディ111とボディ113がなす角度が90度となるように、ボディ113に対して、ボディ111を回動させる。
【0268】
また、ハンド開閉ジョイント80を介して、第1ハンド60を閉じて、第1ハンド60で柱状構造物Pを把持する(
図20(b)参照)。
【0269】
ここまでの動作により、
図19(b)に示す状態で、第2ハンド61よりも下方にあった第1ハンド60が、上方に移動して、第2ハンド61を超えて、第1ハンド60が再び、第2ハンド61よりも上方に位置する。
【0270】
また、ここまでの動作により、第1ハンド60及び第2ハンド61の両方が、取り付け金具M1よりも上方に位置することになる。即ち、ロボットハンドBが、取り付け金具M1を乗り越えて、上方に移動することができる。
【0271】
この
図18~
図20に示す動作を行うことで、柱状構造物Pの一部に、ロボットアームBの移動を妨げる障害物が取り付けられていたとしても、この障害物を乗り越えて、ロボットアームBは、さらに上方へ移動することが可能となる。
【0272】
また、詳細な説明は省略するが、
図18~
図20に示す動作を同様の動作を行うことで、ロボットアームBは、上方から下方に向けて、障害物を乗り越えて移動することができる。また、水平方向に沿った形状を有する柱状構造物Pに対して、ロボットアームBが横方向に移動する際も、
図18~
図20に示す動作を同様の動作を行うことで、ロボットアームBは、横方向に向けて、障害物を乗り越えて移動することができる。
【0273】
また、ロボットアームBでは、
図18~
図20に示す一連の動作を行う際に、柱状構造物Pを把持しないハンドが柱状構造物Pから離れたる距離が、なるべく小さくなるように、ロボットアームBの形状が変形するように構成されている。
【0274】
例えば、具体的には、
図21(a)に示す状態(
図18(c)の状態に相当)では、柱状構造物Pの軸心P1を基準とした半径方向、かつ、同一の方向(
図21(a)における柱状構造物Pから右側に向かう方向)では、ロボットアームBにおける同方向に延び出した部分の部材は、第1ハンド60の基部からボディ屈伸ジョイント71の中心までの部位と、ボディ屈伸ジョイント71の中心からボディ屈伸ジョイント70の端部までの部位となっている。
【0275】
また、柱状構造物Pの軸心P1を基準とした半径方向、かつ、同一の方向で、ロボットアームAにおける同方向に延び出した部分の距離は、
図21(a)に示す符合X1及び符合X2を合わせた距離の範囲となっている。
【0276】
なお、符合X1に示す距離は、第1ハンド60の基部からボディ屈伸ジョイント71の中心までの距離であり、符合X2に示す距離は、ボディ屈伸ジョイント71の中心からボディ屈伸ジョイント70の端部までの距離である。
【0277】
この符合X1及び符合X2の各距離を合わせた長さは、言い換えれば、柱状構造物Pから最も離れた位置にあるハンドボディ111に働く、ロボットアームBの重さに基づく重力モーメントの腕の長さに相当する。
【0278】
そして、X1及びX2を合わせた長さは、ボディ110、ボディ111、ボディ112及びボディ113を、
図21(a)における右方向に、一列に並べた際の長さよりも充分に短くなっている。即ち、ボディ110、ボディ111、ボディ112及びボディ113を、
図21(a)における右方向に、一列に並べた状態より、ロボットアームBに働く、その重さに基づく重力モーメントが小さくなっている。
【0279】
このことによれば、第1ハンド60のみで柱状構造物Pを把持した際に、重力モーメントに基づきロボットアームBに働く負荷が比較的小さくなっているものと言える。そのため、
図18~
図20に示す一連の動作を行う際に、ロボットアームBが、柱状構造物Pから脱落しにくく、安定した移動が実現できる構造となっている。
【0280】
なお、
図21(b)には、例えば、
図18(e)に相当する状態を示している。ここでも同様に、柱状構造物Pの軸心P1を基準とした半径方向、かつ、同一の方向で、ロボットアームBにおける同方向に延び出した部分の距離は、
図21b)に示す符合X3及び符合X4を合わせた距離の範囲となり、重力モーメントに基づきロボットアームBに働く負荷が比較的小さくなっている。
【0281】
[周方向への移動]
次に、
図22(a)~
図22(e)及び
図23(a)~
図23(e)を用いて、ロボットアームBが、柱状構造物Pの外周面に沿って、その周方向に移動する動きの一例を説明する。
【0282】
ここで示す周方向への移動とは、柱状構造物Pを中心に、ロボットアームBの位置が時計回りの方向に向かう移動である。
【0283】
まず、図示しない定常状態では、第1ハンド60及び第2ハンド61の両方で、柱状構造物Pを把持している。
【0284】
ここから、ハンド開閉ジョイント81を介して、第2ハンド61を開く。また、これに合わせて、ボディ屈伸ジョイント70を介して、ボディ110とボディ111がなす角度が90度となるように、ボディ111に対して、ボディ110を回動させる(
図22(a)及び
図22(b)参照)。また、この際、ボディ屈伸ジョイント71を介して、ボディ110とボディ112がなす角度が180度となるように、ボディ112に対して、ボディ110を回動させる。
【0285】
次に、ハンド回転ジョイント90を介して、ボディ112、ボディ屈伸ジョイント71、ボディ110、ボディ屈伸ジョイント70、ボディ111、ボディ屈伸ジョイント72、ボディ113、ハンド回転ジョイント91、ハンド開閉ジョイント81及び第2ハンド61を回転させる(
図22(b)及び
図22(c)参照)。この回転動作により、鉛直方向において、ボディ110の高さ位置よりやや下の位置まで、ボディ111、ボディ113及び第2ハンド61の高さ位置が上昇する。
【0286】
続いて、ハンド回転ジョイント91を介して、ハンド開閉ジョイント81及び第2ハンド61を回転させ、第2ハンド61が柱状構造物Pの外周面を掴める向きにする(
図22(c)及び
図22(d)参照)。
【0287】
また、ボディ屈伸ジョイント71を介して、ボディ110とボディ112がなす角度が90度となるように、ボディ112に対して、ボディ110を回動させる(
図22(d)及び
図22(e)参照)。
【0288】
そして、ハンド開閉ジョイント81を介して、第2ハンド61を閉じることで、第2ハンド61が柱状構造物Pの外周面を把持した状態となる(
図22(e)参照)。
【0289】
この
図22(e)までの動作を行うことで、柱状構造物Pから離れた第2ハンド61の位置が、周方向における時計回りの進行方向に移動する。
【0290】
続いて、
図22(e)に示す状態から、ハンド開閉ジョイント80を介して、第1ハンド60を開く(
図23(a)参照)。
【0291】
また、ボディ屈伸ジョイント72を介して、ボディ111とボディ113がなす角度が180度となるように、ボディ113に対して、ボディ111を回動させる(
図23(a)及び
図23(b)参照)。
【0292】
次に、ハンド回転ジョイント91を介して、ボディ113、ボディ屈伸ジョイント72、ボディ111、ボディ屈伸ジョイント70、ボディ110、ボディ屈伸ジョイント71、ボディ112、ハンド回転ジョイント90、ハンド開閉ジョイント80及び第1ハンド60を回転させる(
図23(b)及び
図23(c)参照)。この回転動作により、鉛直方向において、ボディ111の高さ位置より下の位置に、ボディ110、ボディ112及び第1ハンド60の高さ位置が下降する。
【0293】
続いて、ハンド回転ジョイント90を介して、ハンド開閉ジョイント80及び第1ハンド60を回転させ、第1ハンド60が柱状構造物Pの外周面を掴める向きにする(
図23(c)及び
図23(d)参照)。
【0294】
また、ボディ屈伸ジョイント70を介して、ボディ110とボディ111がなす角度が180度となるように、ボディ110に対して、ボディ111を回動させる(
図23(d)及び
図23(e)参照)。また、この際、ボディ屈伸ジョイント72を介して、ボディ111とボディ113がなす角度が90度となるように、ボディ113に対して、ボディ111を回動させる。
【0295】
そして、図示しないが、ハンド開閉ジョイント80を介して、第1ハンド60を閉じることで、第1ハンド60が柱状構造物Pの外周面を把持した状態となる。
【0296】
ここまでの動作を行うことで、柱状構造物Pから離れた第1ハンド60の位置が、周方向における時計回りの進行方向に移動する。そして、柱状構造物Pを中心に、ロボットアームBの位置が時計回りの方向に移動したものとなる。
【0297】
また、ロボットアームBをさらに周方向に沿って、時計回りの方向に移動させる際には、
図22(a)~
図23(e)の動作を繰り返すことで、ロボットアームBを進行方向に移動させることができる。
【0298】
また、ハンド開閉ジョイント80、ハンド開閉ジョイント81、ハンド回転ジョイント90、ハンド回転ジョイント91、ボディ屈伸ジョイント70、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72の各駆動は、制御装置を介して制御することができる。
【0299】
ここで、必ずしも、ボディ屈伸ジョイント70、ボディ屈伸ジョイント71及びボディ屈伸ジョイント72で調整する角度が90度または180度に限定される必要はない。また、必ずしも、ハンド回転ジョイント80及びハンド回転ジョイント81で調整する角度が上述した内容に限定される必要はない。ここで示す角度は一例であり、ロボットアームBが柱状構造物Pの周方向に沿って移動可能であれば、調整する角度は適宜設定することができる。
【0300】
また、図示は省略するが、
図22(a)~
図23(e)の動作と同様の動きにより、柱状構造物Pを中心に、ロボットアームBの位置が反時計回りの方向に向かう、周方向への移動を行うことも可能である。
【0301】
このように、ロボットアームBは、柱状構造物Pの外周面に沿って、その周方向に移動することができる。
【0302】
このことによれば、例えば、柱状構造物Pの一部に、標識やミラー等の大きな構造物(移動を妨げる障害物)が設けられていた場合に、柱状構造物Pの周方向において、障害物がない位置にロボットアームBを移動させ、これを回避することができる。また、ロボットアームBを周方向に移動させ、再度、柱状構造物Pの長手方向に沿って昇降動作させることが可能となる。
【0303】
以上のように、本発明のロボットアーム及びロボットアームの駆動方法は、照明柱や標識柱等の柱状の構造物に沿って移動するロボットアームについて、対象となる構造物に沿って、自由度が高く、かつ、安定した移動が可能であり、脱落等の不具合が生じにくいものとなっている。
【符号の説明】
【0304】
A ロボットアーム
P 柱状構造物
1 本体部
10 ボディ
11 ボディ
12 ボディ
13 ボディ
2 ハンド部
20 第1ハンド
200 (一対の)第1爪部
201 (一対の)第2爪部
21 第2ハンド
210 (一対の)第1爪部
211 (一対の)第2爪部
30 ボディ屈伸ジョイント
31 ボディ屈伸ジョイント
32 ボディ屈伸ジョイント
40 ハンド開閉ジョイント
41 ハンド開閉ジョイント
50 ボディ回転ジョイント
51 ボディ回転ジョイント
52 ハンド回転ジョイント
53 ハンド回転ジョイント
B ロボットアーム
P 柱状構造物
100 本体部
110 ボディ
111 ボディ
112 ボディ
113 ボディ
6 ハンド部
60 第1ハンド
600 第1爪部
601 第2爪部
61 第2ハンド
610 第1爪部
611 第2爪部
70 ボディ屈伸ジョイント
71 ボディ屈伸ジョイント
72 ボディ屈伸ジョイント
80 ハンド開閉ジョイント
81 ハンド開閉ジョイント
90 ハンド回転ジョイント
91 ハンド回転ジョイント
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が柱状に形成された所定の構造物に沿って移動するロボットアームであって、
第1のボディと、
前記第1のボディとなす角度を変える第1の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの一端側に接続された第2のボディと、
前記第1のボディとなす角度を変える第2の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの他端側に接続された第3のボディと、
前記第2のボディとなす角度を変える第3の屈伸接続部を介して、前記第2のボディの一端側に接続された第4のボディと、
前記第3のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第1のハンドと、
前記第1のハンドに取り付けられ、前記第1のハンドを開閉する第1のハンド開閉接続部と、
前記第1のハンド開閉接続部と、前記第3のボディの間に配置され、前記第3のボディに対して、前記第1のハンド及び前記第1のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第1のハンド回転接続部と、
前記第4のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第2のハンドと、
前記第2のハンドに取り付けられ、前記第2のハンドを開閉する第2のハンド開閉接続部と、
前記第2のハンド開閉接続部と、前記第4のボディの間に配置され、前記第4のボディに対して、前記第2のハンド及び前記第2のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第2のハンド回転接続部とを備え、
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第1のハンドの基部から前記第2の屈伸接続部までの部位と、前記第2の屈伸接続部から前記第1の屈伸接続部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第1のハンドを、前記第2のハンドが越える動作を行い、
または、
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第2のハンドの基部から前記第3の屈伸接続部までの部位と、前記第3の屈伸接続部から前記第1の屈伸接続部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第2のハンドを、前記第1のハンドが越える動作を行うように構成された
ロボットアーム。
【請求項2】
前記第1のハンド及び前記第2のハンドは、前記所定の構造物の外周面を把持した際に、前記第1のハンド及び前記第2のハンドの内周面で略筒状の空間を形成して、その内周面の一部が、前記所定の構造物の外周面に当接し、
前記第1のハンドのみで前記所定の構造物の外周面を把持した際には、前記第1のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心が、前記所定の構造物のうち、前記第1のハンドで把持した領域の軸心に対して傾いた位置関係になり、
前記第2のハンドのみで前記所定の構造物の外周面を把持した際には、前記第2のハンドの内周面における略筒状の空間の軸心が、前記所定の構造物のうち、前記第2のハンドで把持した領域の軸心に対して傾いた位置関係になる
請求項1に記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記第1の屈伸接続部、前記第2の屈伸接続部、前記第3の屈伸接続部、前記第1のハンド開閉接続部、前記第1のハンド回転接続部、前記第2のハンド開閉接続部及び前記第2のハンド回転接続部の駆動を制御する駆動制御部を備える
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記第1の屈伸接続部、前記第2の屈伸接続部、前記第3の屈伸接続部、前記第1のハンド開閉接続部、前記第1のハンド回転接続部、前記第2のハンド開閉接続部及び前記第2のハンド回転接続部の7つの部材の駆動を介して、全体の姿勢を変える
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項5】
前記第1のハンド開閉接続部による前記第1のハンドの開閉動作及び前記第2のハンド開閉接続部による前記第2のハンドの開閉動作と、前記第1のハンド回転接続部、前記第2のハンド回転接続部による回転動作と、前記第1の屈伸接続部、前記第2の屈伸接続部及び前記第3の屈伸接続部による角度調節を連動させて、前記所定の構造物の外周面の周方向に沿って移動可能に構成された
請求項1または請求項2に記載のロボットアーム。
【請求項6】
少なくとも一部が柱状に形成された所定の構造物に沿って移動するロボットアームであって、
第1のボディと、
前記第1のボディとなす角度を変える第1の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの一端側に接続された第2のボディと、
前記第1のボディとなす角度を変える第2の屈伸接続部を介して、前記第1のボディの他端側に接続された第3のボディと、
前記第2のボディとなす角度を変える第3の屈伸接続部を介して、前記第2のボディの一端側に接続された第4のボディと、
前記第3のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第1のハンドと、
前記第1のハンドに取り付けられ、前記第1のハンドを開閉する第1のハンド開閉接続部と、
前記第1のハンド開閉接続部と、前記第3のボディの間に配置され、前記第3のボディに対して、前記第1のハンド及び前記第1のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第1のハンド回転接続部と、
前記第4のボディに支持され、前記所定の構造物の外周面を把持可能な第2のハンドと、
前記第2のハンドに取り付けられ、前記第2のハンドを開閉する第2のハンド開閉接続部と、
前記第2のハンド開閉接続部と、前記第4のボディの間に配置され、前記第4のボディに対して、前記第2のハンド及び前記第2のハンド開閉接続部を回転可能に接続する第2のハンド回転接続部と、
前記第1のボディと、前記第2の屈伸接続部との間に設けられ、前記第1のボディに対して、前記第3のボディ及び前記第2の屈伸接続部を回転可能に接続する第1のボディ回転接続部と、
前記第2のボディと、前記第3の屈伸接続部との間に設けられ、前記第2のボディに対して、前記第4のボディ及び前記第3の屈伸接続部を回転可能に接続する第2のボディ回転接続部とを備え、
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第1のハンドの基部から前記第2の屈伸接続部までの部位と、前記第1の屈伸接続部から前記第3の屈伸接続部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第1のハンドを、前記第2のハンドが越える動作を行い、
または、
前記所定の構造物の軸心を基準とした半径方向、かつ、同一の方向に向けて、前記第2のハンドの基部から前記第3の屈伸接続部までの部位と、前記第1の屈伸接続部から前記第2の屈伸接続部までの部位が延び出した状態で、前記所定の構造物の外周面を把持した前記第2のハンドを、前記第1のハンドが越える動作を行うように構成された
ロボットアーム。
【請求項7】
前記第1のハンド開閉接続部による前記第1のハンドの開閉動作及び前記第2のハンド開閉接続部による前記第2のハンドの開閉動作と、前記第1のハンド回転接続部、前記第1のボディ回転接続部、前記第2のハンド回転接続部及び前記第2のボディ回転接続部による回転動作を連動させて、前記所定の構造物の外周面の周方向に沿って移動可能に構成された
請求項6に記載のロボットアーム。