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特開2025-1693車両制御装置、車両制御方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001693
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/12 20120101AFI20241226BHJP
【FI】
B60W50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101306
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆太
(72)【発明者】
【氏名】高辻 誠也
(72)【発明者】
【氏名】大石 将士
(72)【発明者】
【氏名】上撫 琢也
(72)【発明者】
【氏名】松永 尚也
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 綾
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA10
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE06
3D241DA13Z
3D241DA52Z
3D241DC33Z
3D241DC34Z
3D241DC35Z
(57)【要約】
【課題】コストを抑えつつ適切な状況においてアクセルペダル操作に応じた駆動力を抑制する。
【解決手段】車両制御装置100は、センサ装置200の検知結果を利用して駐車列を特定する駐車列特定部11と、検知結果を利用して車両が駐車場内に存在するか否かを判定する駐車場内判定部12と、アクセルペダルの操作状態を取得する操作状態取得部13と、車両が駐車場内に存在すると判定され、且つ、アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、操作量に応じた車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御部14と、駐車列の態様に応じて駆動力抑制条件を調整する条件調整部15と、を備える。条件調整部は、駐車列の態様が、第1態様である場合に、駐車場内の駐車列である尤もらしさが第1態様よりも高い第2態様である場合に比べて、駆動力抑制条件としてより成立し難い条件を設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を制御する車両制御装置(100)であって、
前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両の周囲において前記車両とは異なる駐車車両(PV)と駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する駐車列特定部(11)と、
前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する駐車場内判定部(12)と、
前記アクセルペダルの操作状態を取得する操作状態取得部(13)と、
前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記操作量に応じた前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御部(14)と、
特定された前記駐車列の態様に応じて、前記駆動力抑制条件を調整する条件調整部(15)と、
を備え、
前記条件調整部は、前記駐車列の態様が、予め定められた第1態様である場合に、前記駐車列が前記駐車場内の駐車列である尤もらしさが前記第1態様よりも高い態様として予め定められた第2態様である場合に比べて、前記駆動力抑制条件として、より成立し難い条件を設定する、
車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記第1態様は、前記車両の前方左右のうちのいずれか一方に、前記共通の方向として前記車両の進行方向に沿って、前記駐車車両と前記駐車枠とのうちの少なくとも一方が前記連続閾値数として第1数以上連続して並んだ態様であり、
前記第2態様は、前記車両の前方左右のうちの両方に、前記共通の方向として前記進行方向に沿って、前記駐車車両と前記駐車枠とのうちの少なくとも一方が前記連続閾値数として前記第1数以上連続して並んだ態様である、車両制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御装置において、
前記駐車列に含まれる前記駐車車両の車両長さ方向は、前記進行方向に対して交差する方向である、車両制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記第2態様は、前記車両の前方左右のうちの少なくとも一方に、前記共通の方向として前記進行方向に沿って、前記駐車車両と前記駐車枠とのうちの少なくとも一方が前記連続閾値数として第1数以上連続して並んだ態様であり、
前記第1態様は、前記車両の前方、後方、左側、右側のうちの少なくとも1つに、前記駐車車両と前記駐車枠とのうちの少なくとも一方が、前記連続閾値数として前記第1数よりも少ない第2数以上であって前記第1数よりも少ない数連続して前記共通の方向に並んだ態様である、車両制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両制御装置において、
前記第1態様において、前記駐車列に含まれる前記駐車車両の車両長さ方向は、前記車両の進行方向に対して交差する方向である、車両制御装置。
【請求項6】
周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を、車両制御装置(100)を用いて制御する車両制御方法であって、
前記車両制御装置において、前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両の周囲において前記車両とは異なる駐車車両(PV)と駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する工程(S105)と、
前記車両制御装置において、前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する工程(S110、S115、S120)と、
前記車両制御装置において、前記アクセルペダルの操作状態を取得する工程と、
前記車両制御装置において、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記操作量に応じた前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する工程(S140)と、
前記車両制御装置において、特定された前記駐車列の態様に応じて、前記駆動力抑制条件を調整する工程(S125、S130、S135)と、
を備え、
前記駆動力抑制条件を調整する工程は、前記駐車列の態様が、予め定められた第1態様である場合に、前記駐車列が前記駐車場内の駐車列である尤もらしさが前記第1態様よりも高い態様として予め定められた第2態様である場合に比べて、前記駆動力抑制条件として、より成立し難い条件を設定する工程を含む、
車両制御方法。
【請求項7】
周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両とは異なる駐車車両(PV)と前記車両の周囲の駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する機能と、
前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する工程と、
前記アクセルペダルの操作状態を取得する機能と、
前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記操作量に応じた前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する機能と、
特定された前記駐車列の態様に応じて、前記駆動力抑制条件を調整する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記駆動力抑制条件を調整する機能は、前記駐車列の態様が、予め定められた第1態様である場合に、前記駐車列が前記駐車場内の駐車列である尤もらしさが前記第1態様よりも高い態様として予め定められた第2態様である場合に比べて、前記駆動力抑制条件として、より成立し難い条件を設定する機能を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両において、ドライバがブレーキペダルを踏む意図を有しながらアクセルペダルを誤って踏み込んだ場合に、アクセルペダル操作に応じた駆動力を抑制する技術が提案されている。アクセルペダルの誤踏み込み操作は、主として駐車場内において行われること、また、駐車場外において駆動力が抑制されてしまうと、必要な急加速ができなくなり通常走行が制限されてしまうことを考慮して、特許文献1の車両制御システムでは、自車両が駐車場内に存在することが特定された場合に、上記駆動力を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の車両制御システムでは、自車両が駐車場内に存在することを特定するために、自車両の駐車場への入場と自車両の駐車場からの退場とを、狭域通信システムを用いて検知している。このため、駐車場と車両のいずれにも通信設備を設けなければならず、ユーザに大きなコスト負担を強いるという問題がある。そこで、適切な状況においてアクセルペダル操作に応じた駆動力が抑制されることを、コストを抑えつつ実現可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態として、周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を制御する車両制御装置(100)が提供される。この車両制御装置は、前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両の周囲において前記車両とは異なる駐車車両(PV)と駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する駐車列特定部(11)と、前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する駐車場内判定部(12)と、前記アクセルペダルの操作状態を取得する操作状態取得部(13)と、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記操作量に応じた前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御部(14)と、特定された前記駐車列の態様に応じて、前記駆動力抑制条件を調整する条件調整部(15)と、を備える。前記条件調整部は、前記駐車列の態様が、予め定められた第1態様である場合に、前記駐車列が前記駐車場内の駐車列である尤もらしさが前記第1態様よりも高い態様として予め定められた第2態様である場合に比べて、前記駆動力抑制条件として、より成立し難い条件を設定する。
【0006】
この形態の車両制御装置によれば、周囲の環境を検知可能なセンサ装置の検知結果を利用して、駐車列を特定し、また、車両が、特定された駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定するので、車両が駐車場内に存在するか否かを判定するための通信装置を設けることを要せず、コストを抑えることができる。また、車両が駐車場内に存在すると判定され、且つ、操作状態はアクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、操作量に応じた車両の駆動力を抑制し、さらに、駐車列の態様が、予め定められた第1態様である場合に、駐車列が駐車場内の駐車列である尤もらしさが第1態様よりも高い態様として予め定められた第2態様である場合に比べて、駆動力抑制条件として、より成立し難い条件を設定するので、適切な状況においてアクセルペダル操作に応じた駆動力が抑制されることを実現できる。このようなことから、この形態の車両制御装置によれば、適切な状況においてアクセルペダル操作に応じた駆動力が抑制されることを、コストを抑えつつ実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態としての車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】大規模両側駐車場の一例を示す説明図である。
図3】大規模片側駐車場の一例を示す説明図である。
図4】中規模駐車場の一例を示す説明図である。
図5】第1実施形態における車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態における駆動力抑制条件の内容を示す説明図である。
図7】第2実施形態における駆動力抑制条件の内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1に示す第1実施形態の車両制御装置100は、車両V1に搭載されて用いられる。車両制御装置100は、車両制御装置100の他に、センサ装置200と、アクセルペダルセンサ300と、アクセルペダル310と、駆動装置410と、操舵装置420と、制動装置430とを備える。
【0009】
センサ装置200は、車両V1の周囲の環境を検知可能なセンサ群からなる。具体的には、センサ装置200は、カメラセンサ210と、レーダセンサ220とを含む。カメラセンサ210は、車両V1の周囲を撮像し、得られた撮像画像データを画像処理することにより、車両V1の周囲の情報、例えば、他車両や歩行者や電柱等の構造物といった障害物や、白線等の情報を検知する。カメラセンサ210は、少なくとも車両V1の前方の画像を取得する。なお、車両V1の前方に限らず、左右方向や後方の画像を取得するように、例えば、複数のカメラセンサ210を備える構成としてもよい。レーダセンサ220は、所定波長の電磁波(電波や光)を射出し、受信する反射波を利用して、車両V1の周囲の障害物を検知する。レーダセンサ220として、例えば、ミリ波レーダや、LiDAR(Light Detection and Ranging)等を用いることができる。LiDARであれば、所定波長の光を走査しながら射出し、その反射光を受光し、反射波のピークを検出した位置から障害物の方角を特定し、光の射出から反射波の受光までの時間(TOF:Time Of Flight)を利用して、障害物までの距離を特定できる。センサ装置200は、検知結果を車両制御装置100に通知する。車両制御装置100では、図示しない機能部において、障害物の特定や、白線検出など、車両V1の運転支援に用いられる情報を得るための各種処理が実行される。
【0010】
駆動装置410は、車両V1を駆動させるための装置群である。駆動装置410は、エンジンやモータジェネレータなどの駆動力を生じさせる装置と、エンジンやモータジェネレータを駆動させるための各種アクチュエータと、かかるアクチュエータを制御するためのECU(Electronic Control Unit)とを備える。車両V1は、エンジン車、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気車(EV)、燃料電池車両(FCV、FCHV)など、任意の種類の車両として構成してもよい。操舵装置420は、車両V1の操舵を行うための装置群である。操舵装置420は、ステアリングホイールと、操舵角センサと、アシスト用油圧装置と、油圧発生のためのアクチュエータと、操舵を制御するためのECUとを備える。制動装置430は、車両V1に制動力を生じさせるための装置群である。制動装置430は、ディスクロータと、ブレーキパッドと、ブレーキ用油圧装置と、油圧発生のためのアクチュエータと、制動を制御するためのECUとを備える。上述の駆動装置410、操舵装置420および制動装置430は、いずれも車両制御装置100との間で通信を行う。このとき、車両制御装置100は、これらの装置410~430に対して制御信号を送信し、他方、装置410~430から各装置における動作状態を示す信号を受信する。本実施形態では、上述の「動作状態を示す信号」には、車両V1の車速、ブレーキの操作有無、方向指示器の操作有無などを示す信号が含まれる。
【0011】
アクセルペダルセンサ300は、ドライバによるアクセルペダル310の操作量および操作速度を検知する。アクセルペダルセンサ300は、検知結果を車両制御装置100に通知する。なお、アクセルペダルセンサ300およびアクセルペダル310を、駆動装置410の一部と捉えることもできる。
【0012】
車両制御装置100は、車両V1を制御する。本実施形態において、車両制御装置100は、CPU10と、ROM20と、RAM30とが内部バス90により互いに通信可能な構成を有するECUにより構成されている。ROM20は、不揮発性メモリ、例えば、EEPROMを含み、予め制御用プログラムを記憶している。車両制御装置100は、ROM20に記憶されている上述の制御用プログラムを読みだしてRAM30に展開して実行することにより、駐車列特定部11、駐車場内判定部12、操作状態取得部13、制御部14、および条件調整部15として機能する。
【0013】
駐車列特定部11は、駐車列を特定する。本実施形態において「駐車列」とは、車両V1とは異なる駐車車両と、駐車枠とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ構成を意味する。「駐車枠」とは、車両が駐車するための区画された領域を示すための枠を意味する。具体的には、駐車場の路面に白線や黄線により描かれた矩形や直線などが該当する。駐車列特定部11は、カメラセンサ210により得られる撮像画像に対して、エッジ抽出、パターンマッチング、特徴点抽出などの画像解析処理を行うことにより、駐車枠を特定する。なお、検出された白線等から構成される区画が駐車枠であるか否かは、例えば、白線等で構成される区画の寸法と、一般的な駐車場における駐車場枠の寸法とを比較して、差分が所定の寸法の範囲内である場合に駐車枠であると判定し、差分が所定の寸法の範囲を超えている場合に駐車枠でないと判定してもよい。駐車車両についても同様に、駐車列特定部11は、レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果を利用して、障害物が静止物であり、且つ、それが車両(駐車車両)であることを特定する。上述の「連続閾値数」は、本実施形態では、駐車場の規模に応じて2つの値(第1数および第2数)が設定されている。具体的には、大規模駐車場については、第1数として「8」が設定されている。また、中規模駐車場については、第2数として「2」が設定されている。大規模駐車場および中規模駐車場の識別については、後述する。
【0014】
駐車場内判定部12は、レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果を利用して、車両V1が、駐車列特定部11により特定された駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する。本実施形態では、下記(i)~(iii)の3種類の駐車場が想定されている。
(i)大規模駐車場であり、且つ、通路の両側に駐車列が存在する駐車場(以下、「大規模両側駐車場」と呼ぶ)
(ii)大規模駐車場であり、且つ、通路の片側に駐車列が存在する駐車場(以下、「大規模片側駐車場」と呼ぶ)
(iii)店舗前等の比較的少ない数の駐車列が存在する駐車場(以下、「中規模駐車場」と呼ぶ)
上記(i)~(iii)の駐車場について、図2図5を用いて説明する。
【0015】
図2に示す大規模両側駐車場P1では、通路C1を挟んで2つの駐車列L11、L12が対面し、且つ、2つの駐車列L11、L12が通路C1に沿って配置されている。このような駐車場は、例えば、大型スーパーマーケットや、駅や、大型ビルなどの駐車場が該当する。なお、図2では、車両V1の前後方向、左右方向、および上方向を矢印により示している。上述の駐車列特定部11は、レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果から、車両V1の前方左側および前方右側に、駐車車両PVまたは駐車枠PAが、車両V1の前後方向、すなわち進行方向に沿って9以上並んだ駐車列L11、L12を特定する。上述のように、大規模駐車場については、連続閾値数として「8」が設定されているため、駐車列特定部11は、2つの駐車列L11、L12を特定できる。そして、駐車場内判定部12は、以下の条件(a-1)~(a-5)が成立した場合に、車両V1は、大規模両側駐車場内に存在すると判定する。
(a-1)車両V1の前方左右のうちの両方に、共通の方向に沿って、駐車車両PVと駐車枠PAとのうちの少なくとも一方が、連続閾値数「8」以上連続して並んでいる。
(a-2)駐車列の方向(上記「共通の方向」)は、車両V1の進行方向に沿った方向である。
(a-3)駐車列において、隣り合う駐車車両PVまたは駐車枠PA同士の距離が所定距離以下である。
(a-4)駐車列において、向かい合う2つの駐車列の間の距離(幅)が、所定距離以下である。
(a-5)車両V1は、特定された2つの駐車列から所定距離以内に位置している。
上記条件(a-3)における「所定距離」は、例えば、3m(メートル)としてもよい。なお、3mに限らず、隣り合う駐車枠PAに停車した車両同士の距離として適切な任意の距離に設定してもよい。また、上記条件(a-4)における「所定距離」は、一般的な車両幅の2台分以下であることが好ましい。そのようにすることで、車両V1が走行する通路C1が公道でなく駐車場内の通路であることを確実に特定できるからである。上記条件(a-5)における「所定距離」は、例えば、10mとしてもよい。なお、10mに限らず、特定された駐車列と同じ敷地内に存在することを特定可能な任意の距離に設定してもよい。本実施形態では、上記条件(a-2)に関して、「共通の方向」が車両V1の進行方向に沿った方向である場合、駐車車両PVの車両長さ方向(前後方向)は、図1に示すように、車両V1の進行方向に対して直交する方向である。
【0016】
図3に示す大規模片側駐車場P2では、通路C2に沿った片側に1つの駐車列L21のみが配置されている。なお、通路C2は、駐車列L21と、道路境界線CSとに挟まれた領域である。このような駐車場は、比較的狭い領域に設けられた大型スーパーマーケットや、駅や、大型ビルなどの駐車場が該当する。レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果から、上述の駐車列特定部11は、車両V1の前方左側に、駐車枠PAまたは駐車車両PVが、車両V1の前後方向に沿って9以上並んだ駐車列L21を特定する。上述のように、大規模駐車場については、連続閾値数として「8」が設定されているため、駐車列特定部11は、1つの駐車列L21を特定できる。そして、駐車場内判定部12は、下記条件(b―1)および(b-2)と、上記条件(a-1)~(a-5)のうちの条件(a-2)および(a-3)とが成立した場合に、車両V1は、大規模片側駐車場内に存在すると判定する。
(b-1)車両V1の前方左右のうちのいずれか一方に、共通の方向に沿って、駐車車両PVと駐車枠PAとのうちの少なくとも一方が、連続閾値数「8」以上連続して並んでいる。
(b-2)車両V1は、特定された1つの駐車列から所定距離以内に位置している。
なお、条件(b-2)における「所定距離」は、上記条件(a-5)における「所定距離」と同様である。
【0017】
図4に示す中規模駐車場P3は、公道R1沿いの敷地Ar1内に設けられた小規模店舗S1の前方に配置されている。このような駐車場は、例えば、道路沿いに建てられているコンビニエンスストアの駐車場などが該当する。図4の例では、車両V1が中規模駐車場P3に駐車しようと公道R1から敷地Ar1に進入している。レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果から、上述の駐車列特定部11は、車両V1の前方、前方左側、前方右側に、駐車枠PAまたは駐車車両PVが、4つ並んだ駐車列L31を特定する。なお、4つ並んだ駐車枠PAと少し離れて1つの駐車枠PAが配置されている。この1つの駐車枠PAは、4つ並んだ駐車枠PAとは平行であり、大きさも同程度であるので、4つ並んだ駐車枠PA(駐車列L31)との間の距離が所定距離以下であれば、駐車列L31の一部として特定されてもよい。上述のように、中規模駐車場については、連続閾値数として「2」が設定されているため、駐車列特定部11は、1つの駐車列L31を特定できる。そして、駐車場内判定部12は、下記条件(c-1)~(c-3)が成立した場合に、車両V1は、中規模駐車場内に存在すると判定する。
(c-1)車両V1の前方、後方、左側、右側のうちの少なくとも1つに、共通の方向に沿って、駐車車両PVと駐車枠PAとのうちの少なくとも一方が、連続閾値数「2」以上且つ「7」以下だけ連続して並んでいる。
(c-2)駐車列において、隣り合う駐車車両PVまたは駐車枠PA同士の距離が所定距離以下である。
(c-3)車両V1は、特定された駐車列から所定距離以内に位置している。
なお、上記条件(c-1)において、車両V1の前方のみならず、後方、左側、右側において駐車列を検出することを条件としているのは、図4のように、公道R1から敷地Ar1に入るような場面では、車両V1の進行方向が大きく変化し得るため、車両V1の前方のみならず、後方、左側、右側においても駐車列を検出する可能性があるためである。なお、条件(c-3)における「所定距離」は、上記条件(a-5)における「所定距離」と同様である。
【0018】
図1に示す操作状態取得部13は、アクセルペダル310の操作状態を取得する。具体的には、本実施形態では、操作状態取得部13は、アクセルペダルセンサ300により検知されたアクセルペダル310の踏み込み量および踏み込み速度を、アクセルペダル310の操作状態として取得する。
【0019】
制御部14は、アクセルペダル310の操作量に応じた車両V1の駆動力を抑制する制御(以下、「駆動力抑制制御」と呼ぶ)を実行する。駆動力抑制制御は、ドライバがブレーキペダルを踏む意図を有しながらアクセルペダルを誤って踏み込んだ場合に、車両V1の駆動力を抑制すること等を目的とする制御である。本実施形態において、制御部14は、車両V1が駐車場内に存在すると判定され、且つ、駆動力抑制条件が成立した場合に、駆動力抑制制御を実行する。本実施形態では、「駆動力抑制条件」は、駐車場の規模に応じて予め設定されている。詳細は後述するが、概略を説明すると、駐車列特定部11により特定された駐車列の態様が、かかる駐車列が駐車場内の駐車列である尤もらしさがより低い場合には、駆動力抑制条件として、より成立し難い条件が設定されている。
【0020】
ここで「駐車場内の駐車列である尤もらしさ」について、図2図4を用いて説明する。図2のように、車両V1の前方の左右両方に、比較的多い第1数である「8」以上、駐車車両PVまたは駐車枠PAが連続する駐車列(図2では、2つの駐車列L11、L12)が車両V1から所定距離以内の範囲に存在する場合には、車両V1は、駐車場内に存在する可能性は非常に高い。図3のように、車両V1の前方左右のいずれか一方に、比較的多い第1数である「8」以上、駐車車両PVまたは駐車枠PAが連続する駐車列(図3では、1つの駐車列L21)が車両V1から所定距離以内の範囲に存在する場合には、車両V1は、図2の場合に比べたら低いものの、駐車場内に存在する可能性は高い。ただし、車両V1が比較的台数の多い駐車場の横に設けられた道路を走行している可能性もある。図4のように、車両V1の前方、後方、左側、右側の少なくとも1つに、比較的少ない第2数「2」以上且つ第1数「8」未満だけ連続する駐車列が車両V1から所定距離以内の範囲に存在する場合には、小規模店舗の前の駐車場内に存在する可能性もあるが、道路沿いに設けられた中規模駐車場の横に設けられた道路を走行している、或いは、道路内に設けられたパーキングスペースの横を通過しようとしている可能性もある。このように、大規模両側駐車場内の駐車列は、他の2つの駐車場(大規模片側駐車場および中規模駐車場)内の駐車列に比べて、駐車場内の駐車列である尤もらしさが高い。また、大規模片側駐車場内の駐車列は、中規模駐車場内の駐車列に比べて、駐車場内の駐車列である尤もらしさが高い。したがって、駆動力抑制条件として、特定された駐車列が中規模駐車場内の駐車列の態様の場合には、最も成立し難い条件が設定され、大規模片側駐車場内の駐車列の態様の場合には、2番目に成立し難い条件が設定され、大規模両側駐車場内の駐車列の態様の場合には、最も成立し易い条件が設定される。なお、特定された駐車列の態様が大規模両側駐車場内の駐車列の態様である場合の駆動力抑制条件を「第1駆動力抑制条件」と呼ぶ。また、特定された駐車列の態様が大規模片側駐車場内の駐車列の態様である場合の駆動力抑制条件を「第2駆動力抑制条件」と呼ぶ。特定された駐車列の態様が中規模駐車場内の駐車列の態様である場合の駆動力抑制条件を「第3駆動力抑制条件」と呼ぶ。第1~第3駆動力抑制条件の詳細については、後述する。
【0021】
なお、大規模両側駐車場内の駐車列の態様と、大規模片側駐車場内の駐車列の態様とのうちでは、大規模両側駐車場内の駐車列の態様が本開示の「第2態様」に相当し、大規模片側駐車場内の駐車列の態様が本開示の「第1態様」に相当する。また、大規模両側駐車場内の駐車列の態様と、中規模駐車場内の駐車列の態様とのうちでは、大規模両側駐車場内の駐車列の態様が本開示の「第2態様」に相当し、中規模駐車場内の駐車列の態様が本開示の「第1態様」に相当する。また、大規模片側駐車場内の駐車列の態様と、中規模駐車場内の駐車列の態様とのうちでは、大規模片側駐車場内の駐車列の態様が本開示の「第2態様」に相当し、中規模駐車場内の駐車列の態様が本開示の「第1態様」に相当する。
【0022】
図1の条件調整部15は、駐車列特定部11により特定された駐車列の態様に応じて、駆動力抑制条件を調整する。具体的には、特定された駐車列の態様に応じて、上述の第1~第3駆動力抑制条件のいずれかを駆動力抑制制御を実行するための条件として選択する。
【0023】
A2.車両制御処理:
図5に示す車両制御処理は、適切な状況において駆動力抑制制御を実行するための処理である。車両制御処理は、車両制御装置100の電源がオンすると実行される。
【0024】
ステップS105において、駐車列特定部11は、駐車列を特定したか否かを判定する。上述のように、第1数「8」および第2数「2」が連続閾値数として設定されているため、ステップS105では、駐車列特定部11は、少なくとも2以上の駐車車両PVまたは駐車枠PAが共通の方向に連続する駐車列があるか否かを判定する。駐車列が特定されない場合(ステップS105:NO)、ステップS105が再び実行される。
【0025】
駐車列が特定されたと判定された場合(ステップS105:YES)、駐車場内判定部12は、特定された駐車列が大規模両側駐車場内の駐車列であり、且つ、かかる大規模両側駐車場内に車両V1が存在するか否かを判定する(ステップS110)。上述のように、上記条件(a-1)~(a-5)のすべてが成立した場合には、車両V1は、大規模両側駐車場内に存在すると判定する。
【0026】
車両V1が大規模両側駐車場内に存在すると判定された場合(ステップS110:YES)、条件調整部15は、駆動力抑制条件を第1駆動力抑制条件に設定し、制御部14は、かかる第1駆動力抑制条件が成立するか否かを判定する(ステップS125)。
【0027】
図6に示すように、本実施形態では、第1~第3駆動力抑制条件は、下記副条件(1-1)~(1-6)のうちの2以上の組み合わせとして予め設定されている。
副条件(1-1):車両V1の車速が所定の車速閾値未満である。
副条件(1-2):アクセルペダル操作量が所定の操作量閾値以上である。
副条件(1-3):アクセルペダル操作速度が所定の操作速度閾値以上である。
副条件(1-4):ブレーキが操作されていない。
副条件(1-5):方向指示器が操作されていない。
副条件(1-6):所定長さ以上連続する白線を検出していない。
【0028】
上記副条件(1-1)~(1-6)は、いずれも、自車両V1が駐車場内に存在する状況で意図せずにアクセルペダルを大きく踏み込んだ状況において成立し得る条件である。具体的には、副条件(1-1)は、駐車場内においては、車速は比較的低いことを考慮して設定されている。副条件(1-2)および(1-3)は、ドライバがアクセルペダル310を瞬間的に大きく踏み込むことを考慮して設定されている。副条件(1-4)は、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダル310を踏み込むことを考慮して設定されている。副条件(1-5)は、先行車両を追い越すためにアクセルペダル310を大きく踏み込んだ状況ではないことを考慮して設定されている。副条件(1-6)は、車両V1が、所定長さ以上連続する白線が設けられている公道を走行している状況ではないことを考慮して設定されている。なお、「所定長さ以上連続する白線」としては、道路の境界を示す白線や、隣の車線との境界を示す白線などが該当する。また、「白線」とは、白色の線に限らず、黄色やオレンジ色など、道路や車線の境界を示す一般的な線を意味する。「所定の長さ」は、例えば、200mなど、道路上に設けられる白線の長さであって、センサ装置200により検知可能な長さに設定されてもよい。
【0029】
図6に示すように、第1駆動力抑制条件は、2つの副条件(1-1)、(1-2)がいずれも成立することを内容とする。第2駆動力抑制条件は、5つの副条件(1-1)~(1-5)がいずれも成立することを内容とする。第3駆動力抑制条件は、すべての副条件(1-1)~(1-6)がいずれも成立することを内容とする。上述した通り、また、図6に示すように、ステップS105において特定された駐車列が大規模両側駐車場内の駐車列であり、駐車場内の駐車列である尤もらしさが最も高い態様では、副条件の数が2つである条件、すなわち、第2および第3駆動力抑制条件に比べて成立し易い条件が、駆動力抑制条件(第1駆動力抑制条件)として設定されている。2番目に尤もらしさが高い態様では、副条件の数が5つの条件、すなわち、第1駆動力抑制条件に比べて成立し難く、且つ、第3駆動力抑制条件に比べて成立し易い条件が駆動力抑制条件(第2駆動力抑制条件)として設定されている。尤もらしさが最も低い態様では、副条件の数が6つの条件、すなわち、第1および第2駆動力抑制条件に比べて成立し難い条件が、駆動力抑制条件(第3駆動力抑制条件)として設定されている。
【0030】
図5に示すように、第1駆動力抑制条件が成立したと判定された場合(ステップS125:YES)、制御部14は、駆動力抑制制御を実行する(ステップS140)。本実施形態では、駆動力抑制制御として、車両V1の車速が所定の上限速度以下となるように、駆動装置410および制動装置430を制御する処理を意味する。なお、上限速度は、一定値であってもよく、また、アクセルペダル310の踏み込み量または踏み込み速度が大きいほど、小さな値となるように設定されてもよい。例えば、上限速度として「時速5km」が設定されてもよい。なお、駆動力抑制制御としては、上記の処理に限らず、例えば、車両V1の加速度を低減させる処理や、車両V1の車速を低減又は停車状態を維持して最終的に停車させる処理、など、車両V1の駆動力が低減可能な任意の処理としてもよい。ステップS140の完了後、処理はステップS105に戻る。
【0031】
上述のステップS125において、第1駆動力抑制条件が成立しないと判定された場合(ステップS125:NO)、処理は、ステップS105に戻る。
【0032】
上述のステップS110において、車両V1が大規模両側駐車場内に存在しないと判定された場合(ステップS110:NO)、駐車場内判定部12は、特定された駐車列が大規模片側駐車場内の駐車列であり、且つ、かかる大規模片側駐車場内に車両V1が存在するか否かを判定する(ステップS115)。上述のように、上記条件(b―1)、(b-2)、(a-2)および(a-3)のすべてが成立した場合には、駐車場内判定部12は、車両V1は大規模片側駐車場内に存在すると判定する。
【0033】
車両V1が大規模片側駐車場内に存在すると判定された場合(ステップS115:YES)、条件調整部15は、駆動力抑制条件を第2駆動力抑制条件に設定し、制御部14は、かかる第2駆動力抑制条件が成立するか否かを判定する(ステップS130)。ステップS130では、図6に示すように、副条件(1-1)~(1-5)がいずれも成立されるか否かが判定される。
【0034】
第2駆動力抑制条件が成立したと判定された場合(ステップS130:YES)、上述のステップS140が実行され、駆動力抑制制御が実行される。他方、第2駆動力抑制条件が成立しないと判定された場合(ステップS130:NO)、処理は、ステップS105に戻る。
【0035】
上述のステップS115において、車両V1が大規模片側駐車場内に存在しないと判定された場合(ステップS115:NO)、駐車場内判定部12は、特定された駐車列が中規模駐車場内の駐車列であり、且つ、かかる中規模駐車場内に車両V1が存在するか否かを判定する(ステップS120)。上述のように、上記条件(c-1)~(c-3)のすべてが成立した場合には、駐車場内判定部12は、車両V1は中規模駐車場内に存在すると判定する。
【0036】
車両V1が中規模駐車場内に存在すると判定された場合(ステップS120:YES)、条件調整部15は、駆動力抑制条件を第3駆動力抑制条件に設定し、制御部14は、かかる第3駆動力抑制条件が成立するか否かを判定する(ステップS135)。ステップS130では、図6に示すように、副条件(1-1)~(1-6)がいずれも成立されるか否かが判定される。
【0037】
第3駆動力抑制条件が成立したと判定された場合(ステップS135:YES)、上述のステップS140が実行され、駆動力抑制制御が実行される。他方、第2駆動力抑制条件が成立しないと判定された場合(ステップS135:NO)、処理は、ステップS105に戻る。また、上述のステップS120において、車両V1が中規模駐車場内に存在しないと判定された場合(ステップS120:NO)も、処理はステップS105に戻る。
【0038】
以上説明した第1実施形態の車両制御装置100によれば、周囲の環境を検知可能なセンサ装置200の検知結果を利用して、駐車列を特定し、また、車両V1が、特定された駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定するので、車両V1が駐車場内に存在するか否かを判定するための通信装置を駐車場と車両V1のいずれにも設けることを要せず、コストを抑えることができる。また、車両V1が駐車場内に存在すると判定され、且つ、加速操作装置の操作量が予め定められた閾値量以上の操作状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、アクセルペダル310の操作量に応じた車両の駆動力を抑制し、さらに、駐車列の態様が、予め定められた第1態様である場合に、駐車列が駐車場内の駐車列である尤もらしさが第1態様よりも高い態様として予め定められた第2態様である場合に比べて、駆動力抑制条件として、より成立し難い条件を設定するので、適切な状況においてアクセルペダル310の操作に応じた駆動力が抑制されることを実現できる。このようなことから、本実施形態の車両制御装置100によれば、適切な状況においてアクセルペダル310の操作に応じた駆動力が抑制されることを、コストを抑えつつ実現できる。
【0039】
また、駐車列の態様が、車両V1の前方左右のうちの両方に、共通の方向として車両V1の進行方向に沿って、駐車車両PVと駐車枠PAとのうちの少なくとも一方が連続閾値数として第1数「8」以上連続して並んだ第2態様に比べて、車両V1の前方左右のうちのいずれか一方に、共通の方向として車両V1の進行方向に沿って、駐車車両PVと駐車枠PAとのうちの少なくとも一方が連続閾値数として第2数「2」以上連続して並んだ第1態様の場合に、より成立し難い条件を、駆動力抑制条件として設定するので、特定された駐車列が駐車場内の駐車列である尤もらしさが低い場合に、駆動力抑制制御が実行されることを抑制できる。換言すると、特定された駐車列が駐車場内の駐車列である尤もらしさがより高い場合に、駆動力抑制制御が実行される可能性を高めることができる。
【0040】
また、いわゆる平行駐車のための駐車枠PA、または、平行駐車している駐車車両PVが、車両V1の前方左右の両方に、第1数以上連続して車両の進行方向に沿って並んだ駐車列の態様が、駐車場内の駐車列である尤もらしさがより高い第2態様であるので、適切な状況において駆動力抑制条件を成立させ、アクセルペダル310の操作に応じた駆動力を抑制できる。
【0041】
また、例えば、車両V1がコンビニエンスストアなどの小規模店舗S1の駐車場に停車している駐車車両PVやかかる駐車場のための駐車枠PAが、車両V1の前方、後方、左側、右側のうちの少なくとも1つに、第1数「8」よりも少ない第2数「2」以上であって第1数よりも少ない数連続して共通の方向に並んだ態様が、駐車場内の駐車列である尤もらしさがより低い第1態様であるので、適切でない状況において駆動力抑制条件が成立することを抑制できる。車両V1の前方、後方、左側、右側のうちの少なくとも1つに、第1数よりも少ない第2数以上であって第1数よりも少ない数連続して共通の方向に並んだ態様は、上記のような小規模店舗S1の駐車場以外にも、公道R1走行中にも発生する可能性が高い態様だからである。
【0042】
B.第2実施形態:
第2実施形態の車両制御装置100は、第1実施形態の車両制御装置100と同様な構成を有するので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。第2実施形態の車両制御装置100は、第1~第3駆動力抑制条件の具体的な内容において、第1実施形態の車両制御装置100と異なる。
【0043】
具体的には、図7に示すように、第2実施形態では、第1~第3駆動力抑制条件は、下記3つの副条件(2-1)~(2-3)のうちの1つ以上として予め設定されている。
副条件(2-1):アクセルペダル操作量が所定の操作量閾値以上である。
副条件(2-2):軌道上に障害物が無い。
副条件(2-3):所定長さ以上連続する白線を検出していない。
【0044】
上記副条件(2-1)~(2-3)は、上記副条件(1-1)~(1-6)と同様に、いずれも、自車両V1が駐車場内に存在する状況で意図せずにアクセルペダルを大きく踏み込んだ状況において成立し得る条件である。具体的には、副条件(2-1)は、上記副条件(1-2)と同じである。副条件(2-2)は、一般に駐車場内での走行中には軌道上(これから走行予定の予定軌道上)に障害物が無いことを考慮されて設定されている。他方、公道を走行する場合には、先行車両や、交差点を曲がる場合の対向車線を走行する車両などの障害物が、車両V1の軌道上に存在する。副条件(2-3)は、上記副条件(1-6)と同じである。
【0045】
図7に示すように、第1駆動力抑制条件は、1つの副条件(2-1)が成立することを内容とする。第2駆動力抑制条件は、2つの副条件(2-1)、(2-2)がいずれも成立することを内容とする。第3駆動力抑制条件は、3つの副条件(2-1)~(2-3)がすべて成立することを内容とする。
【0046】
以上説明した第2実施形態の車両制御装置100は、第1実施形態の車両制御装置100と同様な効果を有する。
【0047】
C.他の実施形態:
(C1)各実施形態では、駐車列の態様として、大規模両側駐車場内の駐車列と、大規模片側駐車場内の駐車列と、中規模駐車場内の駐車列の合計3種類が想定されていたが、本開示はこれに限定されない。これら3種類の態様のうちの、いずれか2種類のみを想定して車両制御処理を実行してもよい。また、2種類または3種類に限らず、任意の複数種類の態様を想定して車両制御処理が実行されてもよい。例えば、特定された駐車列が、大規模両側駐車場内の駐車列よりも、駐車場内の駐車列である尤もらしさがより高くなるような駐車列の態様を追加してもよい。具体的には、例えば、センサ装置200の検知結果により、駐車場の出入口に設けられたゲート装置を検出した後の所定時間内に特定された駐車列を、「より駐車場内の駐車列である尤もらしさが高くなるような駐車列」として想定し、より成立し易い条件を、駆動力抑制条件に設定してもよい。
【0048】
(C2)各実施形態において、大規模両側駐車場および大規模片側駐車場における「共通の方向」、すなわち車列を構成する駐車車両PVおよび駐車枠PAが連続する方向は、車両V1の進行方向に沿った方向であったが、本開示はこれに限定されない。例えば、共通の方向は、車両V1の進行方向に対して90度以外の角度で交わる方向であってもよい。また、例えば、共通の方向は、車両V1の進行方向と平行な方向であってもよい。かかる構成においては、駐車車両PVがいわゆる縦列駐車している構成が想定される。
【0049】
(C3)各実施形態において、車両V1が大規模両側駐車場内であるか否か(ステップS110)、車両V1が大規模片側駐車場内であるか否か(ステップS115)、および車両V1が中規模駐車場内であるか否か(ステップS120)を判定する際に、センサ装置200の検知信頼度を考慮して判定するようにしてもよい。例えば、駐車枠PAを構成する白線の一部が掠れている或いは欠落している場合や、撮像時の天候が荒天である場合など、検知信頼度(検知精度)が低い状況においては、かかる信頼度を点数化しておき、かかる信頼度が閾値信頼度未満の場合には、各駐車場内であるとの条件が成立し難いような判定条件を設定してもよい。
【0050】
(C4)本開示に記載の車両制御装置100及びそれら手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の車両制御装置100及びそれら手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の車両制御装置100及びそれら手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0051】
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、車両制御方法、車両制御装置や車両制御方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【0052】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。本開示は、例えば、衝突被害軽減機能の制御方法、かかる方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体などの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
11…駐車列特定部、12…駐車場内判定部、13…操作状態取得部、14…制御部、15…条件調整部、100…車両制御装置、200…センサ装置、310…アクセルペダル、PV…駐車車両、PA…駐車枠、V1…車両、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7