(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025169338
(43)【公開日】2025-11-12
(54)【発明の名称】抗体-薬物コンジュゲートの改良製造方法
(51)【国際特許分類】
C07K 7/02 20060101AFI20251105BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20251105BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20251105BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20251105BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20251105BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20251105BHJP
【FI】
C07K7/02 ZNA
C07K16/28
C07K19/00
A61K47/68
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025134792
(22)【出願日】2025-08-13
(62)【分割の表示】P 2023109892の分割
【原出願日】2018-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2017167691
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【弁理士】
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
(72)【発明者】
【氏名】江湖 崇
(72)【発明者】
【氏名】野口 滋
(72)【発明者】
【氏名】山根 庸平
(72)【発明者】
【氏名】近藤 文克
(72)【発明者】
【氏名】青木 崇紘
(72)【発明者】
【氏名】武田 斉大
(72)【発明者】
【氏名】坂西 航平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 均
(72)【発明者】
【氏名】上田 剛
(72)【発明者】
【氏名】松浦 伸治
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 慧
(72)【発明者】
【氏名】北川 豊
(72)【発明者】
【氏名】中村 竜也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】クロマトグラフィーでの精製を要しない、工業的に優れた薬物リンカー中間体の改良製造方法を提供する。また、該薬物リンカー中間体の改良製造方法を用いた抗体-薬物コンジュゲートの改良製造方法を提供する。
【解決手段】式(1)で表される化合物の結晶、及びその製造方法、並びに該結晶を用いた抗体-薬物コンジュゲートの製造方法が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体-薬物コンジュゲートの薬物リンカー中間体の改良製造方法、及びこれ
を用いた抗体-薬物コンジュゲートの改良製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
がん細胞表面に発現し、かつ細胞に内在化できる抗原に結合する抗体に、細胞毒性を有
する薬物を結合させた抗体-薬物コンジュゲート(Antibody-Drug Con
jugate; ADC)は、がん細胞に選択的に薬物を送達できることによって、がん
細胞内に薬物を蓄積させ、がん細胞を死滅させることが期待できる(非特許文献1~5)
。
【0003】
抗体-薬物コンジュゲートの一つとして、抗体とトポイソメラーゼI阻害剤であるエキ
サテカンを構成要素とする抗体-薬物コンジュゲートが知られている(特許文献1~5、
非特許文献6、7)。これらの抗体-薬物コンジュゲートは、優れた抗腫瘍効果と安全性
を有することから、現在、臨床試験が進行中である。
【0004】
上記の抗体-薬物コンジュゲートを製造するための薬物リンカー中間体の製造方法とし
て、特許文献1~4に記載された方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2014/057687号
【特許文献2】国際公開第2015/098099号
【特許文献3】国際公開第2015/115091号
【特許文献4】国際公開第2015/155998号
【特許文献5】国際公開第2018/135501号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Ducry, L., et al., Bioconjugate Chem. (2010) 21, 5-13.
【非特許文献2】Alley, S. C., et al., Current Opinion in Chemical Biology (2010) 14, 529-537.
【非特許文献3】Damle N. K. Expert Opin. Biol. Ther. (2004) 4, 1445-1452.
【非特許文献4】Senter P. D., et al., Nature Biotechnology (2012) 30, 631-637.
【非特許文献5】Howard A. et al., J Clin Oncol 29: 398-405.
【非特許文献6】Ogitani Y. et al., Clinical Cancer Research (2016) 22(20), 5097-5108.
【非特許文献7】Ogitani Y. et al., Cancer Science (2016) 107, 1039-1046.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートを製造するための薬物リンカー中間体は、式(1)
【0008】
【0009】
で表される化合物である。
【0010】
式(1)で表される化合物の製造方法として、特許文献1~4に記載された方法が知ら
れている。しかし、式(1)で表される化合物が結晶として取得され得るということは知
られておらず、クロマトグラフィーでの精製を要する等、煩雑な操作を行う必要があるた
め、工業的により優れた製造方法の開発が望まれる。
【0011】
本発明の一つの課題は、クロマトグラフィーでの精製を要しない、工業的に優れた薬物
リンカー中間体の改良製造方法を見出すことである。本発明の他の一つの課題は、該薬物
リンカー中間体の改良製造方法を用いた抗体-薬物コンジュゲートの改良製造方法を構築
することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、薬物リンカー中間体の製造方法を鋭意検討した結果、驚くべきことに、
式(1)で表される化合物が結晶として取得できることを見出した。また、式(1)で表
される化合物の製造方法を改良した結果、クロマトグラフィーでの精製を要しない、工業
的に優れた製造方法を見出した。さらに式(1)で表される化合物の結晶を用いた抗体-
薬物コンジュゲートの改良製造方法を構築し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、
[1]
式(1)
【0014】
【0015】
で表される化合物の結晶。
[2]
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、5.6±0.2°、15.5±0
.2°、及び22.0±0.2°の回折角度(2θ)に主要なピークを示す、[1]に記
載の結晶。
[3]
式(1)
【0016】
【0017】
で表される化合物が溶解した溶液を調製する工程、次いで、前記の溶液から式(1)で表
される化合物の結晶を析出させる工程、を含む、式(1)で表される化合物の結晶の製造
方法。
[4]
式(1)で表される化合物の結晶が、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折におい
て、5.6±0.2°、15.5±0.2°、及び22.0±0.2°の回折角度(2θ
)に主要なピークを示す、[3]に記載の製造方法。
[5]
式(1)で表される化合物が溶解した溶液が、低級ケトンと低級アルコールを溶媒とし
て含む、[3]又は[4]に記載の製造方法。
[6]
低級ケトンがアセトンである、[5]に記載の製造方法。
[7]
低級ケトンがメチルエチルケトンである、[5]に記載の製造方法。
[8]
低級アルコールが1-プロパノールである、[5]から[7]のいずれか1項に記載の
製造方法。
[9]
低級アルコールが2-ブタノールである、[5]から[7]のいずれか1項に記載の製
造方法。
[10]
式(1)で表される化合物の結晶の種晶を添加する工程を含む、[3]から[9]のい
ずれか1項に記載の製造方法。
[11]
式(1)で表される化合物が、製造方法(I)によって製造されることを特徴とする、
[3]から[10]のいずれか1項に記載の製造方法;
(ここで、製造方法(I)は、
式(B)
【0018】
【0019】
で表される化合物(ここで、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、R2は保護基で
保護されたカルボキシ基を示す)のアミノ基及びカルボキシ基の保護基を脱保護し、
式(8)
【0020】
【0021】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(8)で表される化合物と、
式(C)
【0022】
【0023】
で表される化合物(ここで、Xは活性エステル基、又はカルボキシ基を示す)を縮合する
ことにより、
式(10)
【0024】
【0025】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(10)で表される化合物と、式(11)
【0026】
【0027】
で表される化合物を縮合することにより、
式(1)
【0028】
【0029】
で表される化合物へ変換する工程、を含む製造方法である)。
[12]
式(1)で表される化合物が、製造方法(II)によって製造されることを特徴とする
、[3]から[10]のいずれか1項に記載の製造方法;
(ここで、製造方法(II)は、
式(B)
【0030】
【0031】
で表される化合物(ここで、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、R2は保護基で
保護されたカルボキシ基を示す)のアミノ基の保護基を脱保護することにより、
式(D)
【0032】
【0033】
で表される化合物(ここで、R2は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次いで、式(
D)で表される化合物と、
式(C)
【0034】
【0035】
で表される化合物(ここで、Xは活性エステル基、又はカルボキシ基を示す)を縮合する
ことにより、
式(E)
【0036】
【0037】
で表される化合物(ここで、R2は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次いで、式(
E)で表される化合物のカルボキシ基の保護基を脱保護することにより、
式(10)
【0038】
【0039】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(10)で表される化合物と、式(11)
【0040】
【0041】
で表される化合物を縮合することにより、
式(1)
【0042】
【0043】
で表される化合物へ変換する工程、を含む製造方法である)。
[13]
1,2-ジメトキシエタンを含む溶媒に、式(10)で表される化合物を溶解させる工
程、次いで、式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶を析
出させる工程、を含む、[11]又は[12]のいずれか1項に記載の製造方法。
[14]
式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶が、銅のKα線
の照射で得られる粉末X線回折において、19.0±0.2°、及び25.0±0.2°
の回折角度(2θ)に主要なピークを示す、[13]に記載の製造方法。
[15]
式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合することにより、
式(1)で表される化合物へ変換する工程が、硫酸ナトリウム水溶液とテトラヒドロフラ
ンの2相系中にて行われる、[11]から[14]のいずれか1項に記載の製造方法。
[16]
式(1)で表される化合物が、製造方法(III)によって製造されることを特徴とす
る、[3]から[10]のいずれか1項に記載の製造方法;
(ここで、製造方法(III)は、
式(B)
【0044】
【0045】
で表される化合物(ここで、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、R2は保護基で
保護されたカルボキシ基を示す)のカルボキシ基の保護基を脱保護することにより、
式(F)
【0046】
【0047】
で表される化合物(ここで、R1は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次いで、式(
F)で表される化合物と、
式(11)
【0048】
【0049】
で表される化合物を縮合することにより、
式(G)
【0050】
【0051】
で表される化合物(ここで、R1は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次いで、式(
G)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、
式(16)
【0052】
【0053】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(16)で表される化合物と、
式(C)
【0054】
【0055】
で表される化合物(ここで、Xは活性エステル基、又はカルボキシ基を示す)を縮合する
ことにより、
式(1)
【0056】
【0057】
で表される化合物へ変換する工程、を含む製造方法である)。
[17]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩である、[11]から[16]の
いずれか1項に記載の製造方法。
[18]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・m水和物(ここで、mは0~3
個の範囲内である)である、[11]から[16]のいずれか1項に記載の製造方法。
[19]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・無水物である、[11]から[
16]のいずれか1項に記載の製造方法。
[20]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・1水和物である、[11]から
[16]のいずれか1項に記載の製造方法。
[21]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・2水和物である、[11]から
[16]のいずれか1項に記載の製造方法。
[22]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・3水和物である、[11]から
[16]のいずれか1項に記載の製造方法。
[23]
式(B)で表される化合物が、製造方法(IV)によって製造されることを特徴とする
、[11]から[22]のいずれか1項に記載の製造方法;
(ここで、製造方法(IV)は、
式(H)
【0058】
【0059】
で表される化合物(ここで、R3は保護基で保護されたアミノ基を示す)と、四酢酸鉛と
反応させることにより、
式(J)
【0060】
【0061】
で表される化合物(ここで、R3は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次いで、式(
J)で表される化合物と、
式(K)
【0062】
【0063】
で表される化合物(ここで、R2は請求項11から22のいずれか1項に記載のR2と同
義を示す)を、酸又は塩基の存在下で反応させることにより、
式(L)
【0064】
【0065】
で表される化合物(ここで、R2及びR3は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次い
で、式(L)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、
式(M)
【0066】
【0067】
で表される化合物(ここで、R2は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次いで、式(
M)で表される化合物と、
式(N)
【0068】
【0069】
で表される化合物(ここで、R1は[11]から[22]のいずれか1項に記載のR1と
同義を示す)を縮合することにより、
式(B)
【0070】
【0071】
で表される化合物(ここで、R1及びR2は前記と同意義を示す)へ変換する工程、を含
む製造方法である)。
[24]
式(H)で表される化合物を四酢酸鉛と反応させることにより式(J)で表される化合
物へ変換する工程が、酢酸の存在下で行われる、[23]に記載の製造方法。
[25]
式(J)で表される化合物と式(K)で表される化合物を反応させ、式(L)で表され
る化合物へ変換する工程が、水酸化ナトリウム水溶液の存在下で行われる、[23]又は
[24]に記載の製造方法。
[26]
式(J)で表される化合物と式(K)で表される化合物を反応させ、式(L)で表され
る化合物へ変換する工程が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下で行われ
る、[23]又は[24]に記載の製造方法。
[27]
式(L)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式(M)で表
される化合物へ変換する工程の後、酸を添加することにより、式(M)で表される化合物
と酸との塩を析出させる工程を含む、[23]から[26]のいずれか1項に記載の製造
方法。
[28]
酸が、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである、[27]に記載の製造方法。
[29]
R1がベンジルオキシカルボニル基で保護されたアミノ基である、[11]から[28
]のいずれか1項に記載の製造方法。
[30]
R1が(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基で
ある、[11]から[28]のいずれか1項に記載の製造方法。
[31]
R2がベンジル基で保護されたカルボキシ基である、[11]から[30]のいずれか
1項に記載の製造方法。
[32]
R3が(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基で
ある、[23]から[31]のいずれか1項に記載の製造方法。
[33]
Xが(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシカルボニル基である、[11]
から[32]のいずれか1項に記載の製造方法。
[34]
式(1)で表される化合物が、製造方法(V)によって製造されることを特徴とする、
[3]から[10]のいずれか1項に記載の製造方法;
(ここで、製造方法(V)は、
式(2)
【0072】
【0073】
で表される化合物を、四酢酸鉛と反応させることにより、
式(3)
【0074】
【0075】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(3)で表される化合物を、酸又は塩基の
存在下、グリコール酸ベンジルと反応させることにより、
式(4)
【0076】
【0077】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(4)で表される化合物のアミノ基の保護
基を脱保護することにより、
式(5)
【0078】
【0079】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(5)で表される化合物と、
式(6)
【0080】
【0081】
で表される化合物を縮合することにより、
式(7)
【0082】
【0083】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(7)で表される化合物のアミノ基及びカ
ルボキシ基の保護基を脱保護し、
式(8)
【0084】
【0085】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(8)で表される化合物と、
式(9)
【0086】
【0087】
で表される化合物を縮合することにより、
式(10)
【0088】
【0089】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(10)で表される化合物と、式(11)
【0090】
【0091】
で表される化合物を縮合することにより、
式(1)
【0092】
【0093】
で表される化合物へ変換する工程、を含む製造方法である)。
[35]
1,2-ジメトキシエタンを含む溶媒に、式(10)で表される化合物を溶解させる工
程、次いで、式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶を析
出させる工程、を含む、[34]に記載の製造方法。
[36]
式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶が、銅のKα線
の照射で得られる粉末X線回折において、19.0±0.2°、及び25.0±0.2°
の回折角度(2θ)に主要なピークを示す、[35]に記載の製造方法。
[37]
式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合することにより、
式(1)で表される化合物へ変換する工程が、硫酸ナトリウム水溶液とテトラヒドロフラ
ンの2相系中にて行われる、[34]から[36]のいずれか1項に記載の製造方法。
[38]
式(1)で表される化合物が、製造方法(VI)によって製造されることを特徴とする
、[3]から[10]のいずれか1項に記載の製造方法;
(ここで、製造方法(VI)は、
式(2)
【0094】
【0095】
で表される化合物を、四酢酸鉛と反応させることにより、
式(3)
【0096】
【0097】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(3)で表される化合物を、酸又は塩基の
存在下、グリコール酸ベンジルと反応させることにより、
式(4)
【0098】
【0099】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(4)で表される化合物のアミノ基の保護
基を脱保護することにより、
式(5)
【0100】
【0101】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(5)で表される化合物と、
式(12)
【0102】
【0103】
で表される化合物を縮合することにより、
式(13)
【0104】
【0105】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(13)で表される化合物のカルボキシ基
の保護基を脱保護することにより、
式(14)
【0106】
【0107】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(14)で表される化合物と、
式(11)
【0108】
【0109】
で表される化合物を縮合することにより、
式(15)
【0110】
【0111】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(15)で表される化合物のアミノ基の保
護基を脱保護することにより、
式(16)
【0112】
【0113】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(16)で表される化合物と、
式(9)
【0114】
【0115】
で表される化合物を縮合することにより、
式(1)
【0116】
【0117】
で表される化合物へ変換する工程、を含む製造方法である)。
[39]
式(2)で表される化合物を四酢酸鉛と反応させることにより式(3)で表される化合
物へ変換する工程が、酢酸の存在下で行われる、[34]から[38]のいずれか1項に
記載の製造方法。
[40]
式(3)で表される化合物を式(4)で表される化合物へ変換する工程が、水酸化ナト
リウム水溶液の存在下で行われる、[34]から[39]のいずれか1項に記載の製造方
法。
[41]
式(3)で表される化合物を式(4)で表される化合物へ変換する工程が、トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ボランの存在下で行われる、[34]から[39]のいずれか1
項に記載の製造方法。
[42]
式(4)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式(5)で表
される化合物へ変換する工程の後、酸を添加することにより、式(5)で表される化合物
と酸との塩を析出させる工程を含む、[34]から[41]のいずれか1項に記載の製造
方法。
[43]
酸が、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである、[42]に記載の製造方法。
[44]
式(6)で表される化合物が、
式(23)
【0118】
【0119】
で表される化合物とN-ヒドロキシスクシンイミドと縮合することにより、
式(24)
【0120】
【0121】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(24)で表される化合物と、L-フェニ
ルアラニンを縮合することにより、式(6)で表される化合物へ変換する工程、を含む方
法により製造されたものである、[34]から[43]のいずれか1項に記載の製造方法
。
[45]
式(9)で表される化合物が、
式(17)
【0122】
【0123】
で表される化合物と無水マレイン酸を反応させることにより、
式(18)
【0124】
【0125】
で表される化合物へ変換する工程、次いで、式(18)で表される化合物と、N-ヒドロ
キシスクシンイミド、及び2,6-ルチジンを含む混合溶液に、塩化チオニルを添加する
ことにより、式(9)で表される化合物へ変換する工程、を含む方法により製造されたも
のである、[34]から[44]のいずれか1項に記載の製造方法。
[46]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩である、[34]から[45]の
いずれか1項に記載の製造方法。
[47]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・m水和物(ここで、mは0~3
個の範囲内である)である、[34]から[45]のいずれか1項に記載の製造方法。
[48]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・無水物である、[34]から[
45]のいずれか1項に記載の製造方法。
[49]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・1水和物である、[34]から
[45]のいずれか1項に記載の製造方法。
[50]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・2水和物である、[34]から
[45]のいずれか1項に記載の製造方法。
[51]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・3水和物である、[34]から
[45]のいずれか1項に記載の製造方法。
[52]
式(H)
【0126】
【0127】
で表される化合物(ここで、R3は保護基で保護されたアミノ基を示す)を、酢酸の存在
下で、四酢酸鉛と反応させることにより、
式(J)
【0128】
【0129】
で表される化合物(ここで、R3は前記と同意義を示す)へ変換する工程を含む、式(J
)で表される化合物の製造方法。
[53]
R3が(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基で
ある、[52]に記載の製造方法。
[54]
式(J)
【0130】
【0131】
で表される化合物(ここで、R3は保護基で保護されたアミノ基を示す)と、
式(K)
【0132】
【0133】
で表される化合物(ここで、R2は保護基で保護されたカルボキシ基を示す)を、水酸化
ナトリウム水溶液又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下で反応させるこ
とにより、
式(L)
【0134】
【0135】
で表される化合物(ここで、R2及びR3は前記と同意義を示す)へ変換する工程を含む
、式(L)で表される化合物の製造方法。
[55]
水酸化ナトリウム水溶液の存在下で反応させることを特徴とする、[54]に記載の製
造方法。
[56]
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランの存在下で反応させることを特徴とする、[
54]に記載の製造方法。
[57]
R2がベンジル基で保護されたカルボキシ基である、[54]から[56]のいずれか
1項に記載の製造方法。
[58]
R3が(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基で
ある、[54]から[57]のいずれか1項に記載の製造方法。
[59]
式(L)
【0136】
【0137】
で表される化合物(ここで、R2は保護基で保護されたカルボキシ基を示し、R3は保護
基で保護されたアミノ基を示す)のアミノ基の保護基を脱保護することにより、
式(M)
【0138】
【0139】
で表される化合物(ここで、R2は前記と同意義を示す)へ変換する工程、次いで、酸を
添加することにより、式(M)で表される化合物と酸との塩を析出させる工程を含む、式
(M)で表される化合物と酸との塩の製造方法。
[60]
酸が、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである、[59]に記載の製造方法。
[61]
R2がベンジル基で保護されたカルボキシ基である、[59]又は[60]に記載の製
造方法。
[62]
R3が(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基で
ある、[59]から[61]のいずれか1項に記載の製造方法。
[63]
式(18)
【0140】
【0141】
で表される化合物と、N-ヒドロキシスクシンイミド、及び2,6-ルチジンを含む混合
溶液に、塩化チオニルを添加することにより、
式(9)
【0142】
【0143】
で表される化合物へ変換する工程を含む、式(9)で表される化合物の製造方法。
[64]
式(18)で表される化合物が、
式(17)
【0144】
【0145】
で表される化合物と無水マレイン酸を反応させる工程を含む方法により製造されたもので
ある、[63]に記載の製造方法。
[65]
1,2-ジメトキシエタンを含む溶媒に、
式(10)
【0146】
【0147】
で表される化合物を溶解させる工程、次いで、式(10)で表される化合物の1,2-ジ
メトキシエタン付加物の結晶を析出させる工程、を含む、式(10)で表される化合物の
1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶の製造方法。
[66]
式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶が、銅のKα線
の照射で得られる粉末X線回折において、19.0±0.2°、及び25.0±0.2°
の回折角度(2θ)にピークを示す、[65]に記載の製造方法。
[67]
式(10)
【0148】
【0149】
で表される化合物と、
式(11)
【0150】
【0151】
で表される化合物を、硫酸ナトリウム水溶液とテトラヒドロフランの2相系中にて縮合す
ることにより、
式(1)
【0152】
【0153】
で表される化合物へ変換する工程を含む、式(1)で表される化合物の製造方法。
[68]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩である、[67]に記載の製造方
法。
[69]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・m水和物(ここで、mは0~3
個の範囲内である)である、[67]に記載の製造方法。
[70]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・無水物である、[67]に記載
の製造方法。
[71]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・1水和物である、[67]に記
載の製造方法。
[72]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・2水和物である、[67]に記
載の製造方法。
[73]
式(11)で表される化合物が、メタンスルホン酸塩・3水和物である、[67]に記
載の製造方法。
[74]
クロマトグラフィーを使用しないことを特徴とする、[3]から[73]のいずれか1
項に記載の製造方法。
[75]
式(10)
【0154】
【0155】
で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶。
[76]
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、19.0±0.2°、及び25.
0±0.2°の回折角度(2θ)に主要なピークを示す、[75]に記載の結晶。
[77]
式(5)
【0156】
【0157】
で表される化合物と酸との塩。
[78]
酸が1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである、[77]に記載の塩。
[79]
[3]から[51]のいずれか1項に記載された方法により製造された
式(1)
【0158】
【0159】
で表される化合物の結晶を出発原料として使用することを特徴とし、
i)抗体を、還元する工程、次いで、
ii)上記方法で製造された式(1)で表される化合物の結晶が溶解した溶液を添加し、
還元された抗体と反応させる工程、
を含む、
式(19)
【0160】
【0161】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートの製造方法。
[80]
抗体が、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TROP2抗体、抗B7-H3抗体、又
は抗GPR20抗体である、[79]に記載の製造方法。
[81]
抗体が、抗HER2抗体である、[80]に記載の製造方法。
[82]
抗HER2抗体が、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載のアミノ酸配
列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のアミノ酸配列
からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及
び配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である、[81]に記
載の製造方法。
[83]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[81]又は[82]に記載の製造方法。
[84]
抗体が、抗HER3抗体である、[80]に記載の製造方法。
[85]
抗HER3抗体が、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号4に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端
のリシン残基が欠失している抗体である、[84]に記載の製造方法。
[86]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[84]又は[85]に記載の製造方法。
[87]
抗体が、抗TROP2抗体である、[80]に記載の製造方法。
[88]
抗TROP2抗体が、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン残
基が欠失している抗体である、[87]に記載の製造方法。
[89]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3から
5個の範囲である、[87]又は[88]に記載の製造方法。
[90]
抗体が、抗B7-H3抗体である、[80]に記載の製造方法。
[91]
抗B7-H3抗体が、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記載のアミノ
酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン残
基が欠失している抗体である、[90]に記載の製造方法。
[92]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が3から
5個の範囲である、[90]又は[91]に記載の製造方法。
[93]
抗体が、抗GPR20抗体である、[80]に記載の製造方法。
[94]
抗GPR20抗体が、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記載のアミノ
酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に記載のアミ
ノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端のリシン
残基が欠失している抗体である、[93]に記載の製造方法。
[95]
抗体-薬物コンジュゲートにおける1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数が7から
8個の範囲である、[93]又は[94]に記載の製造方法。
に関する。
【発明の効果】
【0162】
本発明により、式(1)で表される化合物の結晶の取得が可能となり、一定品質の式(
1)で表される化合物を提供することができる。また、クロマトグラフィーでの精製を要
しない、工業的に優れた式(1)で表される化合物の製造方法を提供することができる。
さらにこれを用いた抗体-薬物コンジュゲートの改良製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【
図1】抗HER2抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。
【
図2】抗HER2抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【
図3】式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶の粉末X線回折を示す。
【
図4】式(1)で表される化合物の結晶の粉末X線回折を示す。
【
図5】抗HER3抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号3)を示す。
【
図6】抗HER3抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【
図7】抗TROP2抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号5)を示す。
【
図8】抗TROP2抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号6)を示す。
【
図9】抗B7-H3抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号7)を示す。
【
図10】抗B7-H3抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【
図11】抗GPR20抗体重鎖のアミノ酸配列(配列番号9)を示す。
【
図12】抗GPR20抗体軽鎖のアミノ酸配列(配列番号10)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0164】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお
、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、こ
れによって本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0165】
[抗体-薬物コンジュゲート]
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートは、
式(19)
【0166】
【0167】
(式中、Aは抗体との結合位置を示す)
で示される薬物リンカーと、抗体とがチオエーテル結合によって結合した抗体-薬物コン
ジュゲートである。
【0168】
本発明においては、抗体-薬物コンジュゲートのうち、リンカー及び薬物からなる部分
構造を「薬物リンカー」と称する。この薬物リンカーは抗体の鎖間のジスルフィド結合部
位(2箇所の重鎖-重鎖間、及び2箇所の重鎖-軽鎖間)において生じたチオール基(言
い換えれば、システイン残基の硫黄原子)に結合している。
【0169】
本発明の薬物リンカーは、トポイソメラーゼI阻害剤であるエキサテカンを構成要素と
している。エキサテカンは、
式(11)
【0170】
【0171】
で示される、抗腫瘍効果を有するカンプトテシン誘導体である。
【0172】
本発明において使用される抗体-薬物コンジュゲートは、
式(20)
【0173】
【0174】
で表されることもできる。
【0175】
ここで、薬物リンカーは抗体とチオエーテル結合によって結合している。また、nはい
わゆる平均薬物結合数(DAR; Drug-to-Antibody Ratio)と
同義であり、1抗体あたりの薬物リンカーの平均結合数を示す。
【0176】
本発明で使用される抗体-薬物コンジュゲートは、がん細胞内に移行した後に
式(22)
【0177】
【0178】
で表される化合物を遊離することにより、抗腫瘍効果を発揮する。
式(22)で表される化合物は、本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲート
の抗腫瘍活性の本体であると考えられ、トポイソメラーゼI阻害作用を有することが確認
されている(Ogitani Y. et al., Clinical Cancer Research, 2016, Oct 15;22(20):509
7-5108, Epub 2016 Mar 29)。
【0179】
式(22)で表される化合物は、本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲート
のリンカー部分が切断されることにより生じると考えられる、
式(21)
【0180】
【0181】
で表される化合物のアミナール構造が分解することにより生じると考えられる。
【0182】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートは、バイスタンダー効果を有する
ことも知られている(Ogitani Y. et al., Cancer Science (2016) 107, 1039-1046)。
【0183】
このバイスタンダー効果は、本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートが、
標的発現がん細胞に内在化した後、遊離された式(22)で表される化合物が、標的を発
現していない近傍のがん細胞に対しても抗腫瘍効果を及ぼすことにより発揮される。
【0184】
[抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される薬物リンカー中間体]
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される薬物リンカー中間体は、
式(1)
【0185】
【0186】
で表される化合物である。本発明によって、式(1)で表される化合物は結晶として取得
することができ、該結晶は本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造のために好適に使用
することができる。
【0187】
式(1)で表される化合物の結晶の品質は、例えば、不純物含有率、残留溶媒量、及び
外観等を指標に評価することができる。また、例えば、25℃/60%RH下、又は40
℃/75%RH下のような環境下における、3ヵ月間、6ヵ月間、12ヵ月間、24ヵ月
間、及び36ヵ月間での保存安定性を指標に評価することができる。
【0188】
これらの品質評価により、非晶性の式(1)で表される化合物に対する優位性を確認す
ることもできる。
【0189】
本発明の製造方法は、式(1)で表される化合物が溶解した溶液から、式(1)で表さ
れる化合物の結晶を析出させることにより、式(1)で表される化合物の結晶を製造する
ことを特徴とする。これにより、純度が高く、一定の品質を有する式(1)で表される化
合物の結晶を製造することができる。
【0190】
式(1)で表される化合物の結晶は、好適には、銅のKα線の照射で得られる粉末X線
回折において、5.6°、15.5°、及び22.0°の回折角度(2θ)に主要なピー
クを示すことを特徴とする。一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は、±0.
2°の範囲内で誤差が生じ得るため、上記の回折角度の値は±0.2°の範囲内の数値も
含むものとして理解される必要がある(粉末X線回折による測定・評価の技術常識につい
ては、例えば、第十六改正日本薬局方 p64-68(2.58 粉末X線回折測定法)、又は第十七
改正日本薬局方 p71-74(2.58 粉末X線回折測定法)等を参照することができる)。
【0191】
従って、上記の回折角度と完全に一致する結晶だけでなく、5.6±0.2°、15.
5±0.2°、及び22.0±0.2°の回折角度(2θ)に主要なピークを有する結晶
も同一であり、本発明に含まれる。本発明において、「±0.2°」とは、特定の数値に
対し-0.2°~+0.2°の範囲の数値であることを示す。例えば、「5.6±0.2
°」とは、5.4°~5.8°の範囲の数値であることを示す。
【0192】
式(1)で表される化合物の結晶を析出させるための溶液は、好適には、アセトンと低
級アルコールを溶媒として含む溶液である。同様に、低級ケトンと低級アルコールを溶媒
として含む溶液も、式(1)で表される化合物の結晶を析出させるための溶液として好適
に使用することができる。
【0193】
本発明において、「低級ケトン」とは、炭素数が3~6個のケトン類を示し、例えば、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メ
チルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルtert-ブチルケトン、エチルエ
チルケトン、エチルプロピルケトン、及びエチルイソプロピルケトンを挙げることができ
、好適には、アセトン、及びメチルエチルケトンを挙げることができ、より好適には、ア
セトンを挙げることができる。
【0194】
本発明において、「低級アルコール」とは、炭素数が1~4個のアルコール類を示し、
例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノー
ル、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、及びtert-ブタノールを挙げ
ることができ、好適には、1-プロパノール、及び2-ブタノールを挙げることができ、
より好適には、1-プロパノールを挙げることができる。
【0195】
従って、式(1)で表される化合物の結晶を析出させるための溶液は、好適には、アセ
トンと1-プロパノールを含む溶液、又は、アセトンと2-ブタノールを含む溶液であり
、より好適には、アセトンと1-プロパノールを含む溶液である。
【0196】
式(1)で表される化合物の結晶の析出は、式(1)で表される化合物を含む溶液に、
式(1)で表される化合物の結晶の種晶を添加することにより、行うこともできる。
【0197】
式(1)で表される化合物の結晶の種晶は、上記の方法を直接行っても取得することが
できるが、好適には、式(1)で表される化合物の少量をクロマトグラフィーで精製した
後に、アセトンと1-プロパノールを含む溶媒、又はアセトンと2-ブタノールを含む溶
媒に溶解し、該溶液から晶析させることにより取得することができる。
【0198】
式(1)で表される化合物は、国際公開第2014/057687号、国際公開第20
15/098099号、国際公開第2015/115091号、国際公開第2015/1
55998号等の記載を参考に製造することもできるが、好適には、以下の製造方法(I
)、(II)、(III)、(V)、(VI)、及び(IX)により製造されたものを用
いることができる。これにより、全工程において、クロマトグラフィーを使用せずに、高
収率にて式(1)で表される化合物の結晶を製造することができる。
【0199】
[製造方法(I)]
製造方法(I)は、式(B)で表される化合物から、工程1~3を経て式(1)で表さ
れる化合物へ変換する方法である。以下、工程1~3について詳細に説明する。
【0200】
【0201】
[式中、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、好適には、ベンジルオキシカルボニ
ル基で保護されたアミノ基を示し、R2は保護基で保護されたカルボキシ基を示し、好適
には、ベンジル基で保護されたカルボキシ基を示し、Xは活性エステル基、又はカルボキ
シ基を示し、好適には、(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシカルボニル基
を示す。]
【0202】
工程1:
本工程は、式(B)で表される化合物のアミノ基及びカルボキシ基の保護基を脱保護す
ることにより、式(8)で表される化合物へ変換する工程である。
【0203】
式(B)で表される化合物のアミノ基及びカルボキシ基の保護基の脱保護は、当業者に
周知の方法で行うことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Gree
ne’s Protective Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscie
nce等を参照)。
【0204】
R1がベンジルオキシカルボニル基で保護されたアミノ基であり、R2がベンジル基で
保護されたカルボキシ基である場合、本工程は、好適には、以下の方法で行うことができ
る。
【0205】
式(B)で表される化合物のアミノ基及びカルボキシ基の保護基の脱保護は、反応が進
行する限り方法は制限されないが、好適には、水素雰囲気下、パラジウム触媒、白金触媒
、ニッケル触媒、ルテニウム触媒、又はロジウム触媒を用いて行うことができ、より好適
には、パラジウム触媒を用いて行うことができ、更により好適には、パラジウム炭素を用
いて行うことができ、更により好適には、5%パラジウム炭素を用いることができる。本
工程に用いられる5%パラジウム炭素の量は、反応が進行する限り制限されないが、好適
には、式(B)で表される化合物に対して、5~40重量%である。
【0206】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、テトラヒドロフランと水の混合溶媒を挙げることができる。
【0207】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、1~5時間
である。
【0208】
工程2:
本工程は、式(8)で表される化合物と、式(C)で表される化合物を縮合することによ
り、式(10)で表される化合物へ変換する工程である。式(C)で表される化合物は市
販のもの、又は公知の方法により製造したもの、又は、下記の製造方法(VII)に準じ
た方法により製造したものを用いることができる。Xが(2,5-ジオキソピロリジン-
1-イル)オキシカルボニル基である場合、本工程は、好適には、以下の方法で行うこと
ができる。
【0209】
本工程に用いられる式(C)で表される化合物の量は、反応が進行する限り制限されな
いが、好適には、式(8)で表される化合物に対して、1~4当量である。
【0210】
本工程は好適には塩基を用いる。本工程に用いられる塩基は、反応が進行する限り特に
制限は無いが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルア
ミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジン等を挙
げることができ、好適には、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを挙げることができる
。本工程に用いられるN,N-ジイソプロピルエチルアミンの量は、反応が進行する限り
制限されないが、好適には、式(8)で表される化合物に対して、0.5~2当量である
。
【0211】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、アセトニトリルと水の混合溶媒を挙げることができる。
【0212】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、7~30時
間である。
【0213】
式(10)で表される化合物は、好適には、1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶と
して取得することができる。
【0214】
式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶の品質は、例え
ば、不純物含有率、残留溶媒量、及び外観等を指標に評価することができる。また、例え
ば、25℃/60%RH下、又は40℃/75%RH下のような環境下における、3ヵ月
間、6ヵ月間、12ヵ月間、24ヵ月間、及び36ヵ月間での保存安定性を指標に評価す
ることができる。これらの品質評価により、非晶性の式(10)で表される化合物に対す
る優位性を確認することもできる。
【0215】
式(10)で表される化合物の1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶は、好適には、
銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折において、19.0°、及び25.0°の回折
角度(2θ)に主要なピークを示すことを特徴とする。一般に、粉末X線回折における回
折角度(2θ)は、±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るため、上記の回折角度の値は±
0.2°の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある(粉末X線回折による測
定・評価の技術常識については、例えば、第十六改正日本薬局方 p64-68(2.58 粉末X線
回折測定法)、又は第十七改正日本薬局方 p71-74(2.58 粉末X線回折測定法)等を参照
することができる)。従って、上記の回折角度と完全に一致する結晶だけでなく、19.
0±0.2°、及び25.0±0.2°の回折角度(2θ)に主要なピークを有する結晶
も同一であり、本発明に含まれる。
【0216】
工程3:
本工程は、式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合するこ
とにより、式(1)で表される化合物へ変換する工程である。式(11)で表される化合
物は、好適には、メタンスルホン酸塩として用いることができ、より好適には、メタンス
ルホン酸塩・m水和物(ここでmは0~3個である)として用いることができ、更により
好適には、メタンスルホン酸塩・無水物、メタンスルホン酸塩・1水和物、メタンスルホ
ン酸塩・2水和物、又はメタンスルホン酸塩・3水和物として用いることができ、更によ
り好適には、メタンスルホン酸塩・2水和物として用いることができるが、いずれも本発
明の製造方法に用いることができる。なお、上記の水和物数は、結晶取得・乾燥時の湿度
を調整することにより、コントロールすることができる。
【0217】
本工程に用いられる式(11)で表される化合物の量は、反応が進行する限り制限され
ないが、好適には、式(10)で表される化合物に対して、0.5~2当量である。
【0218】
式(10)で表される化合物は、好適には、活性エステルへ誘導することにより、式(
11)で表される化合物と縮合させることができる。本工程における活性エステルへの誘
導は、反応が進行する限り方法は制限されないが、例えば、1-エチル-3-(3-ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSCD・HCl)、又はN,N’-ジ
シクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の縮合剤を用いて、1-ヒドロキシベンゾト
リアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、
N-ヒドロキシスクシンイミド、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、又はp-ニト
ロフェノール等の添加剤と反応させることにより行うことができ、好適には、3-(3-
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩とシアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エ
チルを用いて行うことができる。本工程に用いられる3-(3-ジメチルアミノプロピル
)カルボジイミド・塩酸塩の量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(
10)で表される化合物に対して、0.5~2当量である。本工程に用いられるシアノ(
ヒドロキシイミノ)酢酸エチルの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、
式(10)で表される化合物に対して、0.02~0.2当量である。
【0219】
本工程は、好適には塩基を用いる。本工程に用いられる塩基は、反応が進行する限り特
に制限は無いが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジン等を
挙げることができ、好適には、N-メチルモルホリンを挙げることができる。本工程に用
いられるN-メチルモルホリンの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、
式(10)で表される化合物に対して、0.5~2当量である。
【0220】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、テトラヒドロフランと水の混合溶媒を挙げることができる。
【0221】
なお、式(11)で表される化合物のメタンスルホン酸塩は、塩基で中和され、フリー
体となった後に反応が進行する。ここで、式(11)で表される化合物のメタンスルホン
酸塩が、親水性である一方、式(11)で表される化合物のフリー体は、親油性であるた
め、一連の反応を効率よく進行させるためには、本工程は好適には、水層と有機層の2相
系にて行うことができる。有機層がテトラヒドロフランである場合、これに混和しにくい
水層として、イオン強度の高い水溶液、例えば、硫酸ナトリウム水溶液を好適に用いるこ
とができる。
【0222】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、0.5~2
時間である。
【0223】
[製造方法(II)]
製造方法(II)は、式(B)で表される化合物から、工程4~7を経て式(1)で表
される化合物へ変換する方法である。以下、工程4~7について詳細に説明する。
【0224】
【0225】
[式中、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、R2は保護基で保護されたカルボキ
シ基を示し、Xは活性エステル基、又はカルボキシ基を示し、好適には、(2,5-ジオ
キソピロリジン-1-イル)オキシカルボニル基を示す。]
【0226】
工程4:
本工程は、式(B)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式
(D)で表される化合物へ変換する工程である。
【0227】
式(B)で表される化合物のアミノ基の保護基の脱保護は、当業者に周知の方法で行う
ことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Greene’s Protective
Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscience等を参照)。
【0228】
工程5:
本工程は、式(D)で表される化合物と、式(C)で表される化合物を縮合することに
より、式(E)で表される化合物へ変換する工程である。
【0229】
本工程は、製造方法(I)の工程2と同様の方法により、行うことができる。
【0230】
工程6:
本工程は、式(E)で表される化合物のカルボキシ基の保護基を脱保護することにより
、式(10)で表される化合物へ変換する工程である。
【0231】
式(B)で表される化合物のカルボキシ基の保護基の脱保護は、当業者に周知の方法で
行うことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Greene’s Protec
tive Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscience等を参照
)。
【0232】
式(10)で表される化合物は、好適には、製造方法(I)の工程2と同様の方法によ
り、1,2-ジメトキシエタン付加物の結晶として取得することができる。
【0233】
工程7:
本工程は、式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合するこ
とにより、式(1)で表される化合物へ変換する工程である。
【0234】
本工程は、製造方法(I)の工程3と同様の方法により行うことができる。
【0235】
[製造方法(III)]
製造方法(III)は、式(B)で表される化合物から、工程8~11を経て式(1)
で表される化合物へ変換する方法である。以下、工程8~11について詳細に説明する。
【0236】
【0237】
[式中、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、好適には、(9H-フルオレン-9
-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基を示し、R2は保護基で保護された
カルボキシ基を示し、好適には、ベンジル基で保護されたカルボキシ基を示し、Xは活性
エステル基、又はカルボキシ基を示し、好適には、(2,5-ジオキソピロリジン-1-
イル)オキシカルボニル基を示す。]
【0238】
工程8:
本工程は、式(B)で表される化合物のカルボキシ基の保護基を脱保護することにより
、式(F)で表される化合物へ変換する工程である。
【0239】
式(B)で表される化合物のカルボキシ基の保護基の脱保護は、当業者に周知の方法で
行うことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Greene’s Protec
tive Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscience等を参照
)。
【0240】
R2がベンジル基で保護されたカルボキシ基である場合、本工程は、好適には、以下の
方法で行うことができる。
【0241】
式(B)で表される化合物のカルボキシ基の保護基の脱保護は、反応が進行する限り方
法は制限されないが、好適には、水素雰囲気下、パラジウム触媒、白金触媒、ニッケル触
媒、ルテニウム触媒、ロジウム触媒を用いて行うことができ、より好適には、パラジウム
触媒を用いて行うことができ、更により好適には、パラジウム炭素を用いて行うことがで
き、更により好適には、パラジウム炭素-エチレンジアミン錯体を用いることができる。
本工程に用いられるパラジウム炭素-エチレンジアミン錯体の量は、反応が進行する限り
制限されないが、好適には、式(B)で表される化合物に対して、34~136重量%で
ある。
【0242】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、テトラヒドロフランと水の混合溶媒を挙げることができる。
【0243】
本工程の反応温度は、好適には、10~40℃であるが、反応が進行する限りこれに制
限されない。本工程の反応時間は、好適には、1~54時間であるが、反応が進行する限
りこれに制限されない。
【0244】
工程9:
本工程は、式(F)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合すること
により、式(G)で表される化合物へ変換する工程である。
【0245】
式(F)で表される化合物は、好適には、活性エステルへ誘導することにより、式(1
1)で表される化合物と縮合することができる。本工程に用いられる式(11)で表され
る化合物の量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(F)で表される化
合物に対して、0.7~1.3当量である。本工程における活性エステルへの誘導は、反
応が進行する限り方法は制限されないが、例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミ
ノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSCD・HCl)、又はN,N’-ジシクロヘ
キシルカルボジイミド(DCC)等の縮合剤を用いて、1-ヒドロキシベンゾトリアゾー
ル(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、N-ヒド
ロキシスクシンイミド、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、又はp-ニトロフェノ
ール等の添加剤と反応させることにより行うことができ、好適には、3-(3-ジメチル
アミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩と1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いて
行うことができる。本工程に用いられる3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイ
ミド・塩酸塩の量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(F)で表され
る化合物に対して、0.7~1.3当量である。本工程に用いられる1-ヒドロキシベン
ゾトリアゾールの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(F)で表さ
れる化合物に対して、0.7~1.3当量である。
【0246】
本工程は、好適には塩基を用いる。本工程に用いられる塩基は、反応が進行する限り特
に制限は無いが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジン等を
挙げることができ、好適には、トリエチルアミンを挙げることができる。本工程に用いら
れるトリエチルアミンの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(F)
で表される化合物に対して、0.7~1.3当量である。
【0247】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0248】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、1~4時間
である。
【0249】
工程10:
本工程は、式(G)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式
(16)で表される化合物へ変換する工程である。
【0250】
式(G)で表される化合物のアミノ基の保護基の脱保護は、当業者に周知の方法で行う
ことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Greene’s Protective
Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscience等を参照)。
【0251】
R1が(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基で
ある場合、本工程は、好適には、以下の方法で行うことができる。
【0252】
式(G)で表される化合物のアミノ基の保護基の脱保護は、反応が進行する限り特に制
限は無いが、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、トリメ
チルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン、又は7
-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン1,5-ジアザ
ビシクロ[4,3,0]-5-ノネンを用いて行うことができ、好適には、1,8-ジア
ザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンを用いて行うことができる。本工程に用いら
れる1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンの量は、反応が進行する限
り制限されないが、好適には、式(15)で表される化合物に対して、0.5~2当量で
ある。
【0253】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0254】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、1~5時間
である。
【0255】
工程11:
本工程は、式(16)で表される化合物と、式(C)で表される化合物を縮合すること
により、式(1)で表される化合物へ変換する工程である。式(C)で表される化合物は
市販のもの、公知の方法により製造したもの、又は、下記の製造方法(VII)に準じた
方法により製造したものを用いることができる。Xが(2,5-ジオキソピロリジン-1
-イル)オキシカルボニル基である場合、本工程は、好適には、以下の方法で行うことが
できる。
【0256】
本工程に用いられる式(C)で表される化合物の量は、反応が進行する限り制限されな
いが、好適には、式(16)で表される化合物に対して、0.5~2当量である。
【0257】
本工程は、好適には塩基を用いる。本工程に用いられる塩基は、反応が進行する限り特
に制限は無いが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジン等を
挙げることができ、好適には、トリエチルアミンを挙げることができる。本工程に用いら
れるトリエチルアミンの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(16
)で表される化合物に対して、0.75~6当量である。
【0258】
本工程は、好適には、さらに、ピリジニウム p-トルエンスルホナートを用いること
ができる。本工程に用いられるピリジニウム p-トルエンスルホナートの量は、反応が
進行する限り制限されないが、好適には、式(16)で表される化合物に対して、1~4
当量である。
【0259】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、及び水、並びにこれらの混
合溶媒を挙げることができ、好適には、ピリジン、アセトニトリル、及びテトロヒドロフ
ランの混合溶媒を挙げることができる。
【0260】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、1.5~7
時間である。
【0261】
製造方法(I)~(III)における、式(B)で表される化合物は、好適には、以下
の製造方法(IV)により製造されたものを用いることができる。
【0262】
[製造方法(IV)]
製造方法(IV)は、式(H)で表される化合物から、工程12~15を経て式(B)
で表される化合物へ変換する方法である。以下、工程12~15について詳細に説明する
。
【0263】
【0264】
[式中、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、好適には、ベンジルオキシカルボニ
ル基、又は(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基
を示し、R2は保護基で保護されたカルボキシ基を示し、好適には、ベンジル基で保護さ
れたカルボキシ基を示し、R3は保護基で保護されたアミノ基を示し、好適には、(9H
-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基を示し、Xは活性
エステル基、又はカルボキシ基を示し、好適には、(2,5-ジオキソピロリジン-1-
イル)オキシカルボニル基を示す。]
工程12:
本工程は、式(H)で表される化合物を、四酢酸鉛と反応させることにより、式(J)
で表される化合物へ変換する工程である。式(H)で表される化合物は、市販のもの又は
公知の方法を参考に製造したものを用いることができる。本工程に用いられる四酢酸鉛の
量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(H)で表される化合物に対し
て、1~3当量である。
【0265】
本工程は、好適には、酢酸、又はピリジンの存在下で行うことができ、より好適には、
酢酸の存在下で行うことができる。
【0266】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メ
チルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムア
ミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メチル-2-ピロリドン、及びジメチルスル
ホキシド、並びにこれらの混合溶媒を挙げることができ、好適には、テトラヒドロフラン
を挙げることができる。
【0267】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、45~85℃で
あり、より好適には、テトラヒドロフランの加熱還流下となる温度である。本工程の反応
時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、0.5~3時間である。
【0268】
工程13:
本工程は、式(J)で表される化合物と式(K)で表される化合物を、酸又は塩基の存
在下で反応させることにより、式(L)で表される化合物へ変換する工程である。本工程
に用いられる式(K)で表される化合物の量は、反応が進行する限り制限されないが、好
適には、式(J)で表される化合物に対して、1~4当量である。
【0269】
本工程は、塩基、又は酸の存在下で行うことができる。本工程に用いられる塩基は、好
適には、水酸化ナトリウム水溶液である。本工程に用いられる水酸化ナトリウム水溶液の
量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(J)で表される化合物に対し
て、0.5~2当量である。本工程に用いられる酸は、好適には、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ボランである。本工程に用いられるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラ
ンの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(J)で表される化合物に
対して、0.01~0.1当量である。
【0270】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロ
フラン、及び1,4-ジオキサンを挙げることができ、好適には、1,2-ジメトキシエ
タンを挙げることができる。
【0271】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、-10~15℃
である。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、0.5~
6時間である。
【0272】
工程14:
本工程は、式(L)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式
(M)で表される化合物へ変換する工程である。
【0273】
式(L)で表される化合物のアミノ基の保護基の脱保護は、当業者に周知の方法で行う
ことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Greene’s Protective
Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscience等を参照)。
【0274】
R3が(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル基で保護されたアミノ基で
ある場合、本工程は、好適には、以下の方法で行うことができる。
式(L)で表される化合物のアミノ基の保護基の脱保護は、反応が進行する限り特に制
限は無いが、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、トリメ
チルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン、又は7
-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン1,5-ジアザ
ビシクロ[4,3,0]-5-ノネンを用いて行うことができ、好適には、1,8-ジア
ザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンを用いて行うことができる。本工程に用いら
れる1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンの量は、反応が進行する限
り制限されないが、好適には、式(L)で表される化合物に対して、0.25~1当量で
ある。
【0275】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、アセトニトリル、及びN,N-ジメチルアセトアミドを挙げ
ることができる。
【0276】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、2~8時間
である。
【0277】
式(M)で表される化合物は、酸との塩にすることにより、反応溶液から析出させ、好
適に単離精製することができる。これにより、以降の工程の反応阻害要因となり得る副生
成物を除去することができる。
上記の酸は、好適には、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである。本工程で用いた1-
ヒドロキシベンゾトリアゾールは、次の工程15において、縮合剤の一つとして機能する
こともできる。同様に、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール以外の酸も、縮合剤の一つと
して機能するものであれば、本工程に好適に用いることができる。
【0278】
工程15:
本工程は、式(M)で表される化合物と、式(N)で表される化合物を縮合することに
より、式(B)で表される化合物へ変換する工程である。式(N)で表される化合物は市
販のもの、公知の方法により製造したもの、又は、下記の製造方法(VIII)に準じた
方法により製造したものを用いることができる。本工程に用いられる式(N)で表される
化合物の量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(M)で表される化合
物に対して、0.7~1.3当量である。
【0279】
式(M)で表される化合物は、好適には、活性エステルへ誘導することにより、式(N
)で表される化合物と縮合させることができる。活性エステルへの誘導は、例えば、1-
エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSCD・HC
l)、又はN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の縮合剤を用いて、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリ
アゾール(HOAt)、N-ヒドロキシスクシンイミド、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢
酸エチル、又はp-ニトロフェノール等の添加剤と反応させることにより行うことができ
、好適には、3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩と1-ヒドロ
キシベンゾトリアゾールを用いて行うことができる。本工程に用いられる3-(3-ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩の量は、反応が進行する限り制限されない
が、好適には、式(5)で表される化合物に対して、0.7~1.3当量である。 本工
程に用いられる1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの量は、反応が進行する限り制限され
ないが、好適には、式(M)で表される化合物に対して、0.7~1.3当量である。
【0280】
また、式(M)で表される化合物が1-ヒドロキシベンゾトリアゾール塩である場合に
は、本工程は、好適には、新たな1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを添加せずに行うこ
とができる。
【0281】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、アセトニトリル及び水の混合溶媒を挙げることができる。
【0282】
なお、工程14において、式(M)で表される化合物を単離せずに、連続して本工程を
行う場合、本工程の溶媒は、工程14で使用した溶媒をそのまま用いることができる。
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、-10~15℃
である。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、1.5~
7時間である。
【0283】
より具体的な態様として、式(1)で表される化合物は、好適には、以下の製造方法(
V)又は(VI)により製造されたものを用いることができる。
【0284】
[製造方法(V)]
製造方法(V)は、式(2)で表される化合物から、工程16~22を経て式(1)で
表される化合物へ変換する方法である。以下、工程16~22について詳細に説明する。
【0285】
【0286】
工程16:
本工程は、式(2)で表される化合物を、四酢酸鉛と反応させることにより、式(3)
で表される化合物へ変換する工程である。式(2)で表される化合物は、市販のもの又は
公知の方法を参考に製造したものを用いることができる。本工程は、製造方法(IV)の
工程12と同様の方法により、行うことができる。
【0287】
工程17:
本工程は、式(3)で表される化合物を、酸又は塩基の存在下で、グリコール酸ベンジ
ルと反応させることにより、式(4)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は
、製造方法(IV)の工程13と同様の方法により、行うことができる。
【0288】
工程18:
本工程は、式(4)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式
(5)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(IV)の工程14
と同様の方法により、行うことができる。
【0289】
工程19:
本工程は、式(5)で表される化合物と、式(6)で表される化合物を縮合することに
より、式(7)で表される化合物へ変換する工程である。式(6)で表される化合物は、
市販のもの、公知の方法により製造したもの、又は下記の製造方法(VIII)により製
造したものを用いることができる。本工程は、製造方法(IV)の工程15と同様の方法
により、行うことができる。
【0290】
工程20:
本工程は、式(7)で表される化合物のアミノ基及びカルボキシ基の保護基を脱保護す
ることにより、式(8)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(
I)の工程1と同様の方法により、行うことができる。
【0291】
工程21:
本工程は、式(8)で表される化合物と、式(9)で表される化合物を縮合することに
より、式(10)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(I)の
工程2と同様の方法により、行うことができる。
【0292】
工程22:
本工程は、式(10)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合するこ
とにより、式(1)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(I)
の工程3と同様の方法により、行うことができる。
【0293】
[製造方法(VI)]
製造方法(VI)は、式(2)で表される化合物から、工程23~30を経て式(1)
で表される化合物へ変換する方法である。以下、工程23~30について詳細に説明する
。
【0294】
【0295】
工程23:
本工程は、式(2)で表される化合物を、四酢酸鉛と反応させることにより、式(3)で
表される化合物へ変換する工程である。式(2)で表される化合物は、市販のもの又は公
知の方法を参考に製造したものを用いることができる。本工程は、製造方法(IV)の工
程12と同様の方法により、行うことができる。
【0296】
工程24:
本工程は、式(3)で表される化合物を、酸又は塩基の存在下で、グリコール酸ベンジル
と反応させることにより、式(4)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、
製造方法(IV)の工程13と同様の方法により、行うことができる。
【0297】
工程25:
本工程は、式(4)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式
(5)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(IV)の工程14
と同様の方法により、行うことができる。
【0298】
工程26:
本工程は、式(5)で表される化合物と、式(12)で表される化合物を縮合することに
より、式(13)で表される化合物へ変換する工程である。式(13)で表される化合物
は市販のもの、又は公知の方法により製造したものを用いることができる。本工程は、製
造方法(IV)の工程15と同様の方法により、行うことができる。
【0299】
工程27:
本工程は、式(13)で表される化合物のカルボキシ基の保護基を脱保護することによ
り、式(14)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(III)
の工程8と同様の方法により、行うことができる。
【0300】
工程28:
本工程は、式(14)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合するこ
とにより、式(15)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(I
II)の工程9と同様の方法により、行うことができる。
【0301】
工程29:
本工程は、式(15)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、
式(16)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(III)の工
程10と同様の方法により、行うことができる。
【0302】
工程30:
本工程は、式(16)で表される化合物と、式(9)で表される化合物を縮合すること
により、式(1)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(III
)の工程11と同様の方法により、行うことができる。
【0303】
[製造方法(VII)]
式(9)で表される化合物は、好適には、以下の製造方法(VII)により製造したも
のを用いることができる。これにより、以降の工程で製造される化合物の品質に影響を及
ぼす可能性がある不純物を抑制することができ、高品質の式(1)で表される化合物の取
得に寄与することができる。
【0304】
【0305】
工程31:
本工程は、式(17)で表される化合物と無水マレイン酸を縮合することにより、式(
18)で表される化合物へ変換する工程である。本工程に用いられる無水マレイン酸の量
は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(17)で表される化合物に対し
て、0.7~1.3当量である。
【0306】
本工程は、好適には、酢酸中にて行われる。
【0307】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、80~120℃
である。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、8~32
時間である。
【0308】
工程32:
本工程は、式(18)で表される化合物とN-ヒドロキシスクシンイミドを縮合するこ
とにより、式(9)で表される化合物へ変換する工程である。本工程に用いられるN-ヒ
ドロキシスクシンイミドの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(1
7)で表される化合物に対して、0.7~1.3当量である。
【0309】
式(18)で表される化合物は、活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等
に誘導することにより、N-ヒドロキシスクシンイミドと縮合することができ、好適には
、酸ハロゲン化物に誘導することにより、N-ヒドロキシスクシンイミドと縮合すること
ができる。
【0310】
酸ハロゲン化物への誘導は、好適には、塩化チオニルを用いて行うことができる。本工
程に用いられる塩化チオニルの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式
(18)で表される化合物に対して、0.5~1.5当量である。本工程では好適には塩
基を用いる。本工程に用いられる塩基は好適には2,6-ルチジンである。本工程に用い
られる2,6-ルチジンの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(1
8)で表される化合物に対して、1~3当量である。
【0311】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、1,
2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチ
ル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン
、トルエン、及びクロロベンゼン、並びにこれらの混合溶媒を挙げることができ、好適に
は、アセトニトリルを挙げることができる。
【0312】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、-25℃~0℃
である。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、0.5~
2時間である。
【0313】
[製造方法(VIII)]
式(6)で表される化合物は、以下の製造方法(VIII)により製造したものを用い
ることができる。
【0314】
【0315】
工程33:
本工程は、式(23)で表される化合物をN-ヒドロキシスクシンイミドと縮合するこ
とにより、式(24)で表される化合物へ変換する工程である。本工程に用いられる式(
23)で表される化合物の量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(2
3)で表される化合物に対して、0.7~1.5当量である。
【0316】
式(23)で表される化合物は、活性エステル、混合酸無水物、又は酸ハロゲン化物等
に誘導することにより、N-ヒドロキシスクシンイミドと縮合することができ、好適には
、活性エステル化物に誘導することにより、N-ヒドロキシスクシンイミドと縮合するこ
とができる。
【0317】
活性エステル化は、好適には、3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・
塩酸塩を用いて行うことができる。本工程に用いられる3-(3-ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド・塩酸塩の量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式
(23)で表される化合物に対して、0.7~1.5当量である。
【0318】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、アセトニトリルを挙げることができる。
【0319】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、10~40℃で
ある。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、2~8時間
である。
【0320】
工程34:
本工程は、式(24)で表される化合物を、L-フェニルアラニンと縮合することによ
り、式(6)で表される化合物へ変換する工程である。本工程に用いられるL-フェニル
アラニンの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(24)で表される
化合物に対して、0.7~1.3当量である。
【0321】
本工程は、好適には塩基を用いる。本工程に用いられる塩基は、反応が進行する限り特
に制限は無いが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチル
アミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピロリジン、及びN-メチルピペリジン等を
挙げることができ、好適には、トリエチルアミンを挙げることができる。本工程に用いら
れるトリエチルアミンの量は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(24
)で表される化合物に対して、0.7~1.3当量である。
【0322】
本工程に用いられる溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされない
が、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール
、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテト
ラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シ
クロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、アセトン
、2-ブタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-
メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、及び水、並びにこれらの混合溶媒を挙
げることができ、好適には、アセトニトリルと水の混合溶媒を挙げることができる。
【0323】
本工程の反応温度は、反応が進行する限り制限されないが、好適には、式(23)で表
される化合物である。本工程の反応時間は、反応が進行する限り制限されないが、好適に
は、1~4時間である。
【0324】
[製造方法(IX)]
式(1)で表される化合物は、以下の製造方法(IX)により製造されたものを用いる
こともできる。
【0325】
【0326】
[式中、R1は保護基で保護されたアミノ基を示し、R2は保護基で保護されたカルボキ
シ基を示し、R3は保護基で保護されたアミノ基を示し、Xは活性エステル基、又はカル
ボキシ基を示し、好適には、(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシカルボニ
ル基を示す。]
【0327】
工程35:
本工程は、式(H)で表される化合物を、四酢酸鉛と反応させることにより、式(J)で
表される化合物へ変換する工程である。式(H)で表される化合物は、市販のもの又は公
知の方法を参考に製造したものを用いることができる。本工程は、製造方法(IV)の工
程12と同様の方法により、行うことができる。
【0328】
工程36:
本工程は、式(J)で表される化合物を、酸又は塩基の存在下で、式(K)で表される
化合物と反応させることにより、式(L)で表される化合物へ変換する工程である。本工
程は、製造方法(IV)の工程13と同様の方法により、行うことができる。
【0329】
工程37:
本工程は、式(L)で表される化合物のカルボキシ基の保護基を脱保護することにより
、式(O)で表される化合物へ変換する工程である。
【0330】
式(L)で表される化合物のカルボキシ基の保護基の脱保護は、当業者に周知の方法で
行うことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Greene’s Protec
tive Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscience等を参照
)。
【0331】
工程38:
本工程は、式(O)で表される化合物と、式(11)で表される化合物を縮合すること
により、式(P)で表される化合物へ変換する工程である。
【0332】
式(O)で表される化合物は、好適には、活性エステルへ誘導することにより、式(1
1)で表される化合物と縮合することができる。
【0333】
工程39:
本工程は、式(P)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式
(25)で表される化合物へ変換する工程である。
【0334】
式(P)で表される化合物のカルボキシ基の保護基の脱保護は、当業者に周知の方法で
行うことができる(例えば、Peter G. M. Wuts, Theodora W. Greene, Greene’s Protec
tive Groups in Organic Synthesis 4th Edition (2007), Wiley-Interscience等を参照
)。
【0335】
工程40:
本工程は、式(25)で表される化合物と、式(N)で表される化合物を縮合すること
により、式(G)で表される化合物へ変換する工程である。
【0336】
式(N)で表される化合物は、好適には、活性エステルへ誘導することにより、式(2
5)で表される化合物と縮合することができる。
【0337】
工程41:
本工程は、式(G)で表される化合物のアミノ基の保護基を脱保護することにより、式
(16)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(III)の工程
10と同様の方法により、行うことができる。
【0338】
工程42:
本工程は、式(16)で表される化合物と、式(C)で表される化合物を縮合すること
により、式(1)で表される化合物へ変換する工程である。本工程は、製造方法(III
)の工程11と同様の方法により、行うことができる。
【0339】
[抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される抗体]
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される抗体は、いずれの種に由来して
もよいが、好適には、ヒト、ラット、マウス、及びウサギに由来する抗体である。抗体が
ヒト以外の種に由来する場合は、周知の技術を用いて、キメラ化又はヒト化することが好
ましい。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であって
もよいが、モノクローナル抗体が好ましい。
【0340】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される抗体は、好適にはがん細胞を標
的にできる性質を有するものであり、がん細胞を認識できる特性、がん細胞に結合できる
特性、がん細胞内に取り込まれて内在化する特性、及び/又はがん細胞に対する殺細胞活
性等を備えているものが好ましい。
【0341】
抗体のがん細胞への結合性は、フローサイトメトリーを用いて確認できる。がん細胞内
への抗体の取り込みは、(1)治療抗体に結合する二次抗体(蛍光標識)を用いて細胞内
に取り込まれた抗体を蛍光顕微鏡で可視化するアッセイ(Cell Death and Differentiati
on (2008) 15, 751-761)、(2)治療抗体に結合する二次抗体(蛍光標識)を用いて細
胞内に取り込まれた蛍光量を測定するアッセイ(Molecular Biology of the Cell Vol. 1
5, 5268-5282, December 2004)、又は(3)治療抗体に結合するイムノトキシンを用い
て、細胞内に取り込まれると毒素が放出されて細胞増殖が抑制されるというMab-ZA
Pアッセイ(Bio Techniques 28:162-165, January 2000)を用いて確認できる。イムノ
トキシンとしては、ジフテテリア毒素の触媒領域とプロテインGとのリコンビナント複合
蛋白質も使用可能である。
【0342】
抗体の抗腫瘍活性は、in vitroでは、細胞の増殖の抑制活性を測定することで
確認できる。例えば、抗体の標的蛋白質を過剰発現しているがん細胞株を培養し、培養系
に種々の濃度で抗体を添加し、フォーカス形成、コロニー形成及びスフェロイド増殖に対
する抑制活性を測定することができる。in vivoでは、例えば、標的蛋白質を高発
現しているがん細胞株を移植したヌードマウスに抗体を投与し、がん細胞の変化を測定す
ることによって、抗腫瘍活性を確認できる。
【0343】
抗体自体が抗腫瘍効果を有することは、好ましいが、抗体-薬物コンジュゲートは抗腫
瘍効果を発揮する化合物を結合させてあるので、抗体自体の抗腫瘍効果は必須ではない。
抗腫瘍性化合物の細胞障害性をがん細胞において特異的・選択的に発揮させる目的からは
、抗体が内在化してがん細胞内に移行する性質のあることが重要であり、好ましい。
【0344】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される抗体は、公知の手段によって取
得することができる。例えば、この分野で通常実施される方法を用いて、抗原となるポリ
ペプチドを動物に免疫し、生体内に産生される抗体を採取、精製することによって得るこ
とができる。抗原の由来はヒトに限定されず、マウス、ラット等のヒト以外の動物に由来
する抗原を動物に免疫することもできる。この場合には、取得された異種抗原に結合する
抗体とヒト抗原との交差性を試験することによって、ヒトの疾患に適用可能な抗体を選別
できる。
【0345】
また、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein, Nature (1975) 256, p.495-497;Ke
nnet, R. ed., Monoclonal Antibodies, p.365-367, Plenum Press, N.Y.(1980))に従っ
て、抗原に対する抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによ
ってハイブリドーマを樹立し、モノクローナル抗体を得ることもできる。
【0346】
なお、抗原は抗原蛋白質をコードする遺伝子を遺伝子操作によって宿主細胞に産生させ
ることによって得ることができる。具体的には、抗原遺伝子を発現可能なベクターを作製
し、これを宿主細胞に導入して該遺伝子を発現させ、発現した抗原を精製すればよい。上
記の遺伝子操作による抗原発現細胞、或は抗原を発現している細胞株、を動物に免疫する
方法を用いることによっても抗体を取得できる。
【0347】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される抗体は、ヒトに対する異種抗原
性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメ
ラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体であることが好ましく
、又はヒト由来の抗体の遺伝子配列のみを有する抗体、すなわちヒト抗体であることが好
ましい。これらの抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
【0348】
キメラ抗体としては、抗体の可変領域と定常領域が互いに異種である抗体、例えばマウ
ス又はラット由来抗体の可変領域をヒト由来の定常領域に接合したキメラ抗体を挙げるこ
とができる(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81, 6851-6855,(1984))。
【0349】
ヒト化抗体としては、異種抗体の相補性決定領域(CDR;complementar
ity determining region)のみをヒト由来の抗体に組み込んだ抗
体(Nature(1986) 321, p.522-525)、CDR移植法によって、異種抗体のCDRの配列
に加えて、異種抗体の一部のフレームワークのアミノ酸残基もヒト抗体に移植した抗体(
国際公開第90/07861号)、遺伝子変換突然変異誘発(gene convers
ion mutagenesis)ストラテジーを用いてヒト化した抗体(米国特許第5
821337号)を挙げることができる。
【0350】
ヒト抗体としては、ヒト抗体の重鎖と軽鎖の遺伝子を含むヒト染色体断片を有するヒト
抗体産生マウスを用いて作成した抗体(Tomizuka, K. et al., Nature Genetics(1997) 1
6, p.133-143;Kuroiwa, Y. et. al., Nucl. Acids Res.(1998) 26, p.3447-3448;Yoshida
, H. et. al., Animal Cell Technology:Basic and Applied Aspects vol.10, p.69-73(K
itagawa, Y., Matsuda, T. and Iijima, S. eds.), Kluwer Academic Publishers, 1999;
Tomizuka, K. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(2000) 97, p.722-727等を参照。)
を挙げることができる。或いは、ヒト抗体ライブラリーより選別したファージディスプレ
イにより取得した抗体(Wormstone, I. M. et. al, Investigative Ophthalmology & Vis
ual Science. (2002)43 (7), p.2301-2308;Carmen, S. et. al., Briefings in Function
al Genomics and Proteomics(2002), 1(2), p.189-203;Siriwardena, D. et. al., Ophth
almology(2002) 109(3), p.427-431等参照。)も挙げることができる。
【0351】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用される抗体には、抗体の修飾体も含ま
れる。当該修飾体とは、本発明に係る抗体に化学的又は生物学的な修飾が施されてなるも
のを意味する。化学的な修飾体には、アミノ酸骨格への化学部分の結合、N-結合又はO
-結合炭水化物鎖への化学部分の結合を有する化学修飾体等が含まれる。生物学的な修飾
体には、翻訳後修飾(例えば、N-結合又はO-結合型糖鎖の付加、N末端又はC末端の
プロセッシング、脱アミド化、アスパラギン酸の異性化、メチオニンの酸化等)されたも
の、原核生物宿主細胞を用いて発現させることによってN末にメチオニン残基が付加され
たもの等が含まれる。また、本発明に係る抗体又は抗原の検出又は単離を可能にするため
に標識されたもの、例えば、酵素標識体、蛍光標識体、アフィニティ標識体もかかる修飾
体の意味に含まれる。この様な本発明に係る抗体の修飾体は、抗体の安定性及び血中滞留
性の改善、抗原性の低減、抗体又は抗原の検出又は単離等に有用である。
【0352】
また、本発明に係る抗体に結合している糖鎖修飾を調節すること(グリコシル化、脱フ
コース化等)によって、抗体依存性細胞傷害活性を増強することが可能である。抗体の糖
鎖修飾の調節技術としては、国際公開第99/54342号、国際公開第00/6173
9号、国際公開第02/31140号等が知られているが、これらに限定されるものでは
ない。本発明に係る抗体には当該糖鎖修飾が調節された抗体も含まれる。
【0353】
なお、哺乳類培養細胞で生産される抗体では、その重鎖のカルボキシル末端のリシン残
基が欠失することが知られており(Journal of Chromatography A, 705: 129-134(1995)
)、また、同じく重鎖カルボキシル末端のグリシン、リシンの2アミノ酸残基が欠失し、
新たにカルボキシル末端に位置するプロリン残基がアミド化されることが知られている(
Analytical Biochemistry, 360: 75-83(2007))。しかし、これらの重鎖配列の欠失及び
修飾は、抗体の抗原結合能及びエフェクター機能(補体の活性化や抗体依存性細胞障害作
用等)には影響を及ぼさない。したがって、本発明に係る抗体には、当該修飾を受けた抗
体及び当該抗体の機能性断片も含まれ、重鎖カルボキシル末端において1又は2のアミノ
酸が欠失した欠失体、及びアミド化された当該欠失体(例えば、カルボキシル末端部位の
プロリン残基がアミド化された重鎖)等も包含される。但し、抗原結合能及びエフェクタ
ー機能が保たれている限り、本発明に係る抗体の重鎖のカルボキシル末端の欠失体は上記
の種類に限定されない。本発明に係る抗体を構成する2本の重鎖は、完全長及び上記の欠
失体からなる群から選択される重鎖のいずれか一種であってもよいし、いずれか二種を組
み合わせたものであってもよい。各欠失体の量比は本発明に係る抗体を産生する哺乳類培
養細胞の種類及び培養条件に影響を受け得るが、本発明に係る抗体は、好ましくは2本の
重鎖の双方でカルボキシル末端のひとつのアミノ酸残基が欠失しているものを挙げること
ができる。
【0354】
本発明に係る抗体のアイソタイプとしては、例えばIgG(IgG1、IgG2、Ig
G3、IgG4)等を挙げることができるが、好ましくはIgG1又はIgG2を挙げる
ことができる。
【0355】
本発明の抗体-薬物コンジュゲートの製造に使用できる抗体は、特に制限はないが、例
えば、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TROP2抗体、抗B7-H3抗体、抗CD
3抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD37抗体、抗CD56抗体、抗CD9
8抗体、抗DR5抗体、抗EGFR抗体、抗EPHA2抗体、抗FGFR2抗体、抗FG
FR4抗体、抗FOLR1抗体、抗VEGF抗体、及び抗GPR20抗体を挙げることが
でき、好適には、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗TROP2抗体、抗B7-H3抗
体、及び抗GPR20抗体を挙げることができる。
【0356】
本発明において、「抗HER2抗体」とは、HER2(Human Epiderma
l Growth Factor Receptor Type 2; ErbB-2)
に特異的に結合し、好ましくは、HER2と結合することによってHER2発現細胞に内
在化する活性を有する抗体を示す。
【0357】
抗HER2抗体としては、例えば、トラスツズマブ(trastuzumab)(米国
特許第5821337号)、及び、ペルツズマブ(pertuzumab)(国際公開第
01/00245号)を挙げることができ、好適にはトラスツズマブを挙げることができ
る。
【0358】
本発明において、「トラスツズマブ」は、配列番号1(
図1)においてアミノ酸番号1
乃至449に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2(
図2)においてアミノ酸
番号1乃至214に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなるヒト化抗HER2モノ
クローナル抗体である。
【0359】
本発明において、「抗HER3抗体」とは、HER3(Human Epiderma
l Growth Factor Receptor Type 3; ErbB-3)
に特異的に結合し、好適には、HER3発現細胞表面上のHER3と結合して該HER3
発現細胞に内在化する活性を有する抗体を示す。
【0360】
抗HER3抗体としては、例えば、パトリツマブ(patritumab; U3-1
287)、U1-59(国際公開第2007/077028号)、MM-121(ser
ibantumab)、国際公開2008/100624号記載の抗ERBB3抗体、R
G-7116(lumretuzumab)、及びLJM-716(elgemtuma
b)を挙げることができ、好適には、パトリツマブ、及びU1-59を挙げることができ
る。
【0361】
本発明において、「抗TROP2抗体」とは、TROP2(TACSTD2:Tumo
r-associated calcium signal transducer 2
; EGP-1)に特異的に結合し、好ましくは、TROP2と結合することによってT
ROP2発現細胞に内在化する活性を有する抗体を示す。
【0362】
抗TROP2抗体としては、例えば、hTINA1-H1L1(国際公開第2015/
098099号)を挙げることができる。
【0363】
本発明において、「抗B7-H3抗体」とは、B7-H3(B cell antig
en #7 homolog 3; PD-L3; CD276)に特異的に結合し、好
ましくは、B7-H3と結合することによってB7-H3発現細胞に内在化する活性を有
する抗体を示す。
【0364】
抗B7-H3抗体としては、例えば、M30-H1-L4(国際公開第2014/05
7687号)を挙げることができる。
【0365】
本発明において、「抗GPR20抗体」とは、GPR20(G Protein-co
upled receptor 20)に特異的に結合し、好ましくは、GPR20と結
合することによってGPR20発現細胞に内在化する活性を有する抗体を示す。
抗GPR20抗体としては、例えば、h046-H4e/L7(国際公開第2018/
135501号)を挙げることができる。
【0366】
[抗体と薬物リンカー中間体のコンジュゲーション]
本発明の抗体-薬物コンジュゲートは、式(1)で表される化合物と、チオール基(又
はスルフヒドリル基とも言う)を有する抗体を反応させることによって製造することがで
きる。
【0367】
本発明の式(1)で表される化合物の結晶は、好適には、溶媒に溶解し、式(1)で表
される化合物を含む溶液とした後、反応に用いることができる。本工程に用いられる溶媒
としては、反応を阻害するものでなければ特に限定はされないが、好適には、ジメチルス
ルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンを含
む溶媒を用いることができ、より好適には、ジメチルスルホキシドを含む溶媒を用いるこ
とができる。
【0368】
スルフヒドリル基を有する抗体は、当業者周知の方法で得ることができる(Hermanson,
G. T, Bioconjugate Techniques, pp.56-136, pp.456-493, Academic Press(1996))。
例えば、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)等の還元剤を、
抗体内鎖間ジスルフィド1個当たりに対して0.3乃至3モル当量用い、エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)等のキレート剤を含む緩衝液中で、抗体と反応させることで、抗体
内鎖間ジスルフィドが部分的若しくは完全に還元されたスルフヒドリル基を有する抗体を
得ることができる。
【0369】
さらに、スルフヒドリル基を有する抗体1個あたり、2乃至20モル当量の式(1)で
表される化合物を使用して、抗体1個当たり2個乃至8個の薬物が結合した抗体―薬物コ
ンジュゲートを製造することができる。
【0370】
製造した抗体-薬物コンジュゲートの抗体一分子あたりの平均薬物結合数の算出は、例
えば、280nm及び370nmの二波長における抗体-薬物コンジュゲートとそのコン
ジュゲーション前駆体のUV吸光度を測定することにより算出する方法(UV法)や、抗
体-薬物コンジュゲートを還元剤で処理し得られた各フラグメントをHPLC測定により
定量し算出する方法(HPLC法)により行うことができる。
【0371】
抗体と薬物リンカー中間体(式(1)で表される化合物)のコンジュゲーション、及び
抗体-薬物コンジュゲートの抗体一分子あたりの平均薬物結合数の算出は、国際公開第2
014/057687号、国際公開第2015/098099号、国際公開第2015/
115091号、国際公開第2015/155998号、及び国際公開第2018/13
5501号等の記載を参考に実施することができる。
【0372】
本発明において、「抗HER2抗体-薬物コンジュゲート」とは、抗体-薬物コンジュ
ゲートにおける抗体が抗HER2抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示す。
【0373】
抗HER2抗体は、好適には、配列番号1においてアミノ酸番号1乃至449に記載の
アミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号2においてアミノ酸番号1乃至214に記載のア
ミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列から
なる重鎖及び配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体である。
【0374】
本発明によって製造される抗HER2抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物
リンカーの平均結合数は、好適には2から8であり、より好適には3から8であり、更に
より好適には7から8であり、更により好適には7.5から8であり、更により好適には
約8である。
【0375】
該抗HER2抗体-薬物コンジュゲートは、本発明の製造方法により製造した式(1)
で表される化合物の結晶を用いて、国際公開第2015/115091号等の記載を参考
に製造することができる。
【0376】
本発明において、「抗HER3抗体-薬物コンジュゲート」とは、抗体-薬物コンジュ
ゲートにおける抗体が抗HER3抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示す。
【0377】
抗HER3抗体は、好適には、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列
番号4に記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボ
キシル末端のリシン残基が欠失している抗体である。
【0378】
本発明によって製造される抗HER3抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬物
リンカーの平均結合数は、好適には2から8であり、より好適には3から8であり、更に
より好適には7から8であり、更により好適には7.5から8であり、更により好適には
約8である。
【0379】
該抗HER3抗体-薬物コンジュゲートは、本発明の製造方法により製造した式(1)
で表される化合物の結晶を用いて、国際公開第2015/155998号等の記載を参考
に製造することができる。
【0380】
本発明において、「抗TROP2抗体-薬物コンジュゲート」とは、抗体-薬物コンジ
ュゲートにおける抗体が抗TROP2抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示す。
【0381】
抗TROP2抗体は、好適には、配列番号5においてアミノ酸番号20乃至470に記
載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号6においてアミノ酸番号21乃至234に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端
のリシン残基が欠失している抗体である。
【0382】
本発明によって製造される抗TROP2抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬
物リンカーの平均結合数は、好適には2から8であり、より好適には3から5であり、更
により好適には3.5から4.5であり、更により好適には約4である。
【0383】
該抗TROP2抗体-薬物コンジュゲートは、本発明の製造方法により製造した式(1
)で表される化合物の結晶を用いて、国際公開第2015/098099号等の記載を参
考に製造することができる。
【0384】
本発明において、「抗B7-H3抗体-薬物コンジュゲート」とは、抗体-薬物コンジ
ュゲートにおける抗体が抗B7-H3抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示す。
【0385】
抗B7-H3抗体は、好適には、配列番号7においてアミノ酸番号20乃至471に記
載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号8においてアミノ酸番号21乃至233に記
載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末端
のリシン残基が欠失している抗体である。
【0386】
本発明によって製造される抗B7-H3抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬
物リンカーの平均結合数は、好適には2から8であり、より好適には3から5であり、更
により好適には3.5から4.5であり、更により好適には約4である。
【0387】
該抗B7-H3抗体-薬物コンジュゲートは、本発明の製造方法により製造した式(1
)で表される化合物の結晶を用いて、国際公開第2014/057687号等の記載を参
考に製造することができる。
【0388】
本発明において、「抗GPR20抗体-薬物コンジュゲート」とは、抗体-薬物コンジ
ュゲートにおける抗体が抗GPR20抗体である抗体-薬物コンジュゲートを示す。
【0389】
抗GPR20抗体は、好適には、配列番号9においてアミノ酸番号20乃至472に記
載のアミノ酸配列からなる重鎖及び配列番号10においてアミノ酸番号21乃至234に
記載のアミノ酸配列からなる軽鎖を含んでなる抗体、又は、該抗体の重鎖カルボキシル末
端のリシン残基が欠失している抗体である。
【0390】
本発明によって製造される抗GPR20抗体-薬物コンジュゲートの1抗体あたりの薬
物リンカーの平均結合数は、好適には2から8であり、より好適には3から8であり、更
により好適には7から8であり、更により好適には7.5から8であり、更により好適に
は約8である。
【0391】
該抗GPR20抗体-薬物コンジュゲートは、本発明の製造方法により製造した式(1
)で表される化合物の結晶を用いて、国際公開第2018/135501号等の記載を参
考に製造することができる。
【0392】
[医薬組成物]
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートは、1種以上の薬学的に適合性の
成分を含み投与され得る。薬学的に適合性の成分は、本発明によって製造される抗体-薬
物コンジュゲートの投与量や投与濃度等に応じて、この分野において通常使用される製剤
添加物その他から適宜選択して適用することができる。例えば、本発明によって製造され
る抗体-薬物コンジュゲートは、ヒスチジン緩衝剤等の緩衝剤、スクロース又はトレハロ
ース等の賦形剤、並びにポリソルベート80又はポリソルベート20等の界面活性剤を含
む医薬組成物として投与され得る。
【0393】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、患者に対し
ては全身療法として適用する他、がん組織に局所的に適用して治療効果を期待することが
できる。
【0394】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、哺乳動物に
対して好適に使用することができるが、より好適にはヒトに対して使用することができる
。
【0395】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、好適には、
注射剤として使用することができ、より好適には、水性注射剤又は凍結乾燥注射剤として
使用することができ、更により好適には、凍結乾燥注射剤として使用することができる。
【0396】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物が水性注射剤で
ある場合、好適には、適切な希釈液で希釈した後、静脈内に点滴投与することができる。
希釈液としては、ブドウ糖溶液(好適には5%ブドウ糖溶液)や、生理食塩液、等を挙げ
ることができる。
【0397】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物が凍結乾燥注射
剤である場合、好適には、注射用水により溶解した後、必要量を適切な希釈液で希釈した
後、静脈内に点滴投与することができる。希釈液としては、ブドウ糖溶液(好適には5%
ブドウ糖溶液)や、生理食塩液等を挙げることができる。
【0398】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物を投与するため
に使用され得る導入経路としては、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、及び腹腔内の
経路を挙げることができ、好適には、静脈内の経路を挙げることができる。
【0399】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートは、ヒトに対して、1~180日
間に1回の間隔で投与することができ、好適には、1週、2週、3週、又は4週に1回の
間隔で投与することができ、さらにより好適には、3週に1回の間隔で投与することがで
きる。また、本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートは、1回あたり約0.
001~100mg/kgの投与量で投与することができ、好適には、1回あたり0.8
~12.4mg/kgの投与量で投与することができる。本発明によって製造される抗体
-薬物コンジュゲートが抗HER2抗体-薬物コンジュゲートである場合、好適には、1
回あたり5.4、6.4、又は7.4mg/kgの投与量で投与することができ、更によ
り好適には、1回あたり5.4mg/kg又は6.4mg/kgの投与量で投与すること
ができる。
【0400】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、がんの治療
のために使用することができ、好適には、乳がん、胃がん(胃腺がんと呼ぶこともある)
、大腸がん(結腸直腸がんと呼ぶこともあり、結腸がん及び直腸がんを含む)、肺がん(
小細胞肺がん及び非小細胞肺がんを含む)、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん
、胆管がん、ページェット病、膵臓がん、卵巣がん、子宮がん肉腫、尿路上皮がん、前立
腺がん、膀胱がん、胃腸間質腫瘍、消化管間質腫瘍、子宮頸がん、扁平上皮がん、腹膜が
ん、肝臓がん、肝細胞がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、子宮がん、腎臓がん、
外陰部がん、甲状腺がん、陰茎がん、白血病、悪性リンパ腫、形質細胞腫、骨髄腫、神経
上皮組織性腫瘍、神経鞘性腫瘍、頭頸部がん、皮膚がん、咽頭がん、胆のうがん、胆管が
ん、中皮腫、及び肉腫からなる群より選択される少なくとも一つのがんの治療のために使
用することができ、例えば、本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートが抗H
ER2抗体-薬物コンジュゲートである場合、より好適には、乳がん、胃がん、大腸がん
、非小細胞肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆管がん、ページェッ
ト病、膵臓がん、卵巣がん、及び子宮がん肉腫からなる群より選択される少なくとも一つ
のがんの治療のために使用することができ、より好適には、乳がん、胃がん、大腸がん、
非小細胞肺がん、食道がん、唾液腺がん、胃食道接合部腺がん、胆管がん、及びページェ
ット病からなる群より選択される少なくとも一つのがんの治療のために使用することがで
き、さらにより好適には、乳がん、胃がん、大腸がん、又は非小細胞肺がんの治療のため
に使用することができる。
【0401】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、がん治療の
主要な治療法である薬物療法のための薬剤として選択して使用することができ、その結果
として、がん細胞の成長を遅らせ、増殖を抑え、さらにはがん細胞を破壊することができ
る。これらの作用によって、がん患者において、がんによる症状からの解放や、QOLの
改善を達成でき、がん患者の生命を保って治療効果が達成される。がん細胞の破壊には至
らない場合であっても、がん細胞の増殖の抑制やコントロールによってがん患者において
より高いQOLを達成しつつより長期の生存を達成させることができる。
【0402】
このような薬物療法においての薬物単独での使用の他、本発明によって製造される抗体
-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、アジュバント療法において他の療法と組み合
わせて使用することもでき、外科手術や、放射線療法、ホルモン療法等と組み合わせるこ
とができる。さらにはネオアジュバント療法における薬物療法として使用することもでき
る。
【0403】
以上のような治療的使用の他、本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを
含む医薬組成物は、微細な転移がん細胞の増殖を押さえ、さらには破壊するといった予防
効果も期待することができる。例えば、転移過程で体液中にあるがん細胞を抑制し破壊す
る効果や、いずれかの組織に着床した直後の微細ながん細胞に対する抑制、破壊等の効果
が期待できる。したがって、特に外科的ながんの除去後においてのがん転移の抑制、予防
効果が期待できる。
【0404】
本発明によって製造される抗体-薬物コンジュゲートを含む医薬組成物は、他のがん治
療剤と併用して投与することもでき、これによって抗腫瘍効果を増強させることができる
。この様な目的で使用される他のがん治療剤として、5-フルオロウラシル(5-FU)
、ペルツズマブ(Pertuzumab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)
、パクリタキセル(Paclitaxel)、カルボプラチン(Carboplatin
)、シスプラチン(Cisplatin)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、
カペシタビン(Capecitabine)、イリノテカン(Irinotecan)(
CPT-11)、ドセタキセル(Docetaxel)、ペメトレキセド(Pemetr
exed)、ソラフェニブ(Sorafenib)、ビンブラスチン(Vinblast
in)、ビノレルビン(Vinorelbine)、エベロリムス(Everolims
)、タネスピマイシン(Tanespimycin)、ベバシズマブ(Bevacizu
mab)、オキサリプラチン(Oxaliplatin)、ラパチニブ(Lapatin
ib)、トラスツズマブエムタンシン(Trastuzumab emtansine)
(T-DM1)及び国際公開第2003/038043号に記載の薬剤、更にLH-RH
アナログ(リュープロレリン(Leuprorelin)、ゴセレリン(Goserel
in)等)、エストラムスチン・フォスフェイト(Estramustine Phos
phate)、エストロジェン拮抗薬(タモキシフェン(Tamoxifen)、ラロキ
シフェン(Raloxifene)等)、アロマターゼ阻害剤(アナストロゾール(An
astrozole)、レトロゾール(Letrozole)、及びエキセメスタン(E
xemestane)等)等を挙げることができるが、抗腫瘍活性を有する薬剤であれば
限定されることはない。
【実施例0405】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定さ
れるものではない。
【0406】
実施例中の「1H-NMR」及び「13C-NMR」は、「核磁気共鳴スペクトル」を
意味し、括弧内のCDCl3は測定溶媒である重クロロホルムを意味し、DMSO-d6
は測定溶媒である重ジメチルスルホキシドを意味し、D2Oは測定溶媒である重水を意味
し、MeOH-d4は測定溶媒である重メタノールを意味する。内部標準物質としてTM
S(テトラメチルシラン)を用いた。1H-NMRにおける多重度は、s=single
t、d=doublet、t=triplet、q=quartet、、m=multi
plet、及びbrs=broad singletを意味する。
【0407】
(実施例1)
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシ
ルグリシナート
【0408】
【0409】
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシルグリシン(200.00g,0.75
1mol)のアセトニトリル(2.0L)混合物に、N-ヒドロキシスクシンイミド(9
5.10g,0.826mol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3―エチルカ
ルボジイミド塩酸塩(172.80g,0.901mol)を加え、室温で約4時間撹拌
した。反応液を1℃まで冷却し、約3時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末をア
セトニトリル(400mL)で洗浄した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、2,5
-ジオキソピロリジン-1-イル N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシルグリ
シナート(221.6g,0.610mol,収率81.2%)を得た。
【0410】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ2.81(4H,s),δ3.69
(2H,d,6.7Hz),δ4.28(2H,d,6.1Hz),δ5.04(2H,
s),δ7.29-7.39(5H,m),δ7.56(1H,t,6.4Hz),δ8
.55(1H,t,5.8Hz).
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ25.4,38.2,43.3,
65.6,127.7,127.8,128.3,137.0,156.5,166.3
,170.0,170.0.
MS(ESI)(m/z):364([M+H]+).
【0411】
(実施例2)
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニン
【0412】
【0413】
L-フェニルアラニン(80.0g,0.487mol)のアセトニトリル(400m
L)、水(400mL)の混合物に、トリエチルアミン(74.7mL,0.536mo
l)、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]
グリシルグリシナート(212.4g,0.585mol)を加え、室温で約2時間撹拌
した。反応液に水(800mL)、濃塩酸(40.6mL)を加えた後、N-[(ベンジ
ルオキシ)カルボニル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニン(80mg)を加え、
室温で約6時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末を水(160mL)で洗浄した
。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシ
ルグリシル-L-フェニルアラニン(157.2g,0.380mol,収率78.0%
)を得た。
【0414】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ2.86-2.91(1H,m),
δ3.03-3.08(1H,m),δ3.64-3.78(4H,m),δ4.41-
4.47(1H,m),δ5.04(2H,s),δ7.18-7.40(10H,m)
,δ7.50(1H,t,6.1Hz),δ8.05(1H,t,5.8Hz),δ8.
17(1H,d,7.9Hz),δ12.77(1H,s).
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ36.8,41.6,43.5,
53.5,65.5,126.5,127.7,127.8,128.2,128.3,
129.1,137.0,137.4,156.5,168.6,169.3,172.
7.
MS(ESI)(m/z):412([M-H]-).
【0415】
(実施例3)
({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メ
チルアセテート
【0416】
【0417】
N-[(9H-フルオレン-イルメトキシ)カルボニル]グリシルグリシン(650.
0g,1.834mol)にテトラヒドロフラン(9.75L)、酢酸(1.95L)を
加え、40℃に加温し溶解させた。四酢酸鉛(1301.3g,2.935mol)を加
え、約1.5時間還流した。室温に冷却し、不溶物を濾去し、濾別した不溶物を酢酸エチ
ル(3.25L)で洗浄し、濾液と合致した。得られた溶液に20(w/v)%クエン酸
三ナトリウム二水和物水溶液(3.25L)を加えて撹拌し、分液して水層を取り除いた
。得られた有機層を20(w/v)%クエン酸三ナトリウム二水和物水溶液(3.25L
)で2回洗浄し、その後有機層を6.5Lまで減圧濃縮した。水(1.95L)を加えた
後、({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ
)メチルアセテート(0.65g)を添加し、室温で約1時間撹拌した。水(6.5L)
を滴下し、0~5℃に冷却して約3時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末を冷3
0(v/v)%テトラヒドロフラン水溶液(2.6L)で洗浄した。得られた粉末を減圧
下40℃で乾燥し、({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グ
リシル}アミノ)メチルアセテート(617.1g,1.675mol,収率91.3%
)を得た。
【0418】
1H-NMR (400MHz,CDCl3)δ2.06(3H,s),δ3.90(2
H,d,4.9Hz),δ4.23(1H,t,6.7Hz),δ4.45(2H,d,
6.7Hz),δ5.25(2H,d,7.3Hz),δ5.39(1H,brs),δ
7.05(1H,brs),δ7.30-7.34(2H,m),δ7.41(2H,t
,7.3Hz),δ7.59(2H,d,7.3Hz),δ7.77(2H,d,7.3
Hz).
13C-NMR (100MHz,CDCl3)δ20.8,44.4,47.0,63
.9,67.2,120.0,125.0,127.1,127.7,141.3,14
3.6,156.6,169.8,171.7.
MS(ESI)(m/z):369([M+H]+).
【0419】
(実施例4)
ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}
アミノ)メトキシ]アセテート
【0420】
【0421】
({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)
メチルアセテート(610.0g,1.656mol)の1,2-ジメトキシエタン(9
.15L)混合物に、ベンジルグリコレート(470mL,3.312mol)を加え、
0~5℃に冷却した。10mol/L水酸化ナトリウム溶液(162.6mL,1.62
6mol)を加え、約1時間撹拌した。酢酸(47.4mL)を加え、1℃で約1時間撹
拌した後、水(2.0L)を滴下し、ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イ
ルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メトキシ]アセテート(0.61g)を添
加して0~5℃で約1時間撹拌した。水(4.7L)を滴下し、0~5℃で約2.5時間
攪拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末を冷50(v/v)%1,2-ジメトキシエタ
ン水溶液(2.44L)で洗浄した。得られた湿品粉末に1,2-ジメトキシエタン(9
.15L)を加えて、室温で約30分間撹拌し溶解させた。水(3.66L)を加えた後
、ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル
}アミノ)メトキシ]アセテート(0.61g)を添加し、室温で約1時間撹拌した。水
(3.05L)を滴下し、室温で約1時間撹拌した。0~5℃に冷却し、約1時間撹拌し
た後、析出物を濾過し、濾別した粉末を冷50(v/v)%1,2-ジメトキシエタン水
溶液(2.44L)で洗浄した。得られた湿品粉末に1,2-ジメトキシエタン(9.0
L)を加えて、室温で約30分間撹拌し溶解させた。水(3.6L)を加えた後、ベンジ
ル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ
)メトキシ]アセテート(0.01g)を添加し、室温で約1時間撹拌した。水(3.0
L)を滴下し、室温で約1時間撹拌した。0~5℃に冷却し、約1時間撹拌した後、析出
物を濾過し、濾別した粉末を冷(v/v)50%1,2-ジメトキシエタン水溶液(2.
4L)で洗浄した。得られた湿品粉末に1,2-ジメトキシエタン(9.0L)を加えて
、室温で約20分間撹拌し溶解させた。水(3.6L)を加えた後、ベンジル[({N-
[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メトキシ]
アセテート(0.15g)を添加し、室温で約2時間撹拌した。水(3.0L)を滴下し
、室温で約1時間撹拌した。0~5℃に冷却し、約2時間撹拌した後、析出物を濾過し、
濾別した粉末を冷50(v/v)%1,2-ジメトキシエタン水溶液(2.4L)で洗浄
した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、粗ベンジル[({N-[(9H-フルオレ
ン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メトキシ]アセテートを得た。
得られた粗ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]
グリシル}アミノ)メトキシ]アセテートにトルエン(12L)を加え、70℃に加熱し
、溶解させた。0~5℃まで冷却し、約2時間撹拌した後、析出物を濾過し、濾別した粉
末を冷トルエン(2.4L)で洗浄した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、ベンジ
ル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ
)メトキシ]アセテート(575.5g,1.213mol,収率73.2%)を得た。
【0422】
1H-NMR (400MHz,CDCl3)δ3.82(2H,d,4.9Hz),δ
4.19-4.22(3H,m),δ4.45(2H,d,6.7Hz),δ4.83(
2H,d,6.7Hz),δ5.15(2H,s),δ5.34(1H,brs),δ6
.95(1H,brs),δ7.29-7.37(7H,m),δ7.40(2H,t,
7.3Hz),δ7.58(2H,d,7.3Hz),δ7.76(2H,d,7.9H
z).
13C-NMR (100MHz,CDCl3)δ44.5,47.1,66.6,66
.8,67.1,70.6,120.0,124.9,127.1,127.8,128
.4,128.5,128.6,135.2,141.3,143.6,170.2,1
70.2,170.4.
MS(ESI)(m/z):475([M+H]+).
【0423】
(実施例5)
グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキシ)メチル]グリ
シンアミド
【0424】
【0425】
ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル
}アミノ)メトキシ]アセテート(340.0g,0.717mol)のアセトニトリル
(10.2L)混合物に、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(5
3.6mL,0.358mol)を加え、室温で約2時間撹拌した。0~5℃に冷却し、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(132.0g,0.862mol)、N-
[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニン(311.
0g,0.752mol)を加えた後、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3―エチ
ルカルボジイミド塩酸塩(158.0g,0.824mol)を分割添加し、0~5℃で
約1時間撹拌した。10(w/v)%リン酸緩衝液(pH3,3.4L)を加え、室温ま
で加温した。分液して水層を取り除いた後、3.7Lまで減圧濃縮した。酢酸エチル(3
.4L)、水(1.7L)を加え、分液して水層を取り除いた。10(w/v)%炭酸水
素カリウム水溶液(3.4L)を加えて撹拌し、分液して水層を取り除いた。10(w/
v)%炭酸水素カリウム水溶液(3.4L)を加えて撹拌し、分液して水層を取り除いた
。水(3.4L)を加えて撹拌し、分液して水層を取り除いた後、1.5Lまで減圧濃縮
した。2-メトキシエタノール(3.74L)を加え、3.06Lまで減圧濃縮した。2
0Lオートクレーブへ移し、テトラヒドロフラン(1.36L)、水(3.4L)、5%
パラジウム炭素(72.6g,水分53.2%)を加え、雰囲気を水素に置換した。室温
で約19時間撹拌した後、雰囲気を窒素に置換し、水(360mL)を加え、室温で約3
0分間撹拌した。パラジウム炭素を濾別し、パラジウム炭素を水(1.36L)で洗浄し
、濾液と合致した。酢酸エチル(0.85L)、n-ヘプタン(2.55L)を加えて撹
拌した後、分液して有機層を取り除き、1.6Lまで減圧濃縮した。水(221mL)、
2-メトキシエタノール(126mL)を加えた後、グリシルグリシル-L-フェニルア
ラニル-N-[(カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド(0.34g)を添加し
、40℃に加熱して約19時間攪拌した。エタノール(3.4L)を滴下し、室温で約1
8時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末をエタノール(1.02L)で洗浄した
。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N
-[(カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド(243.7g,0.576mol
,収率80.3%)を得た。
【0426】
1H-NMR (400MHz,D2O)δ3.03-3.20(2H,m),δ3.7
9-3.96(6H,m),δ3.97(2H,s),δ4.64(1H,t,7.9H
z),δ4.67-4.75(2H,m),δ7.29-7.42(5H,m).
13C-NMR (100MHz,D2O)δ37.3,41.0,42.7,43.2
,56.0,67.3,70.0,127.8,129.4,129.8,136.9,
168.4,171.7,172.9,174.4,178.1.
MS(ESI)(m/z):422([M-H]-).
【0427】
(実施例6)
ベンジル[(グリシルアミノ)メトキシ]アセテート 1H-ベンゾトリアゾール-1-
オール
【0428】
【0429】
ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル
}アミノ)メトキシ]アセテート(50.00g,105.4mmol)のアセトニトリ
ル(1.5L)混合物に、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン(8
.02g,52.7mmol)を加え、室温で約4時間撹拌した。室温で1-ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール一水和物(35.51g,231.9mmol)を分割添加し、約3
0分撹拌した。1℃まで冷却し、約11時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末を
アセトニトリル(250mL)で洗浄した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、ベン
ジル[(グリシルアミノ)メトキシ]アセテート 1H-ベンゾトリアゾール-1-オー
ル(38.98g,100.6mol,収率95.4%)を得た。
【0430】
1H-NMR (500MHz,MeOH-d4)δ3.63-3.68(2H,brs
),δ4.19-4.23(2H,brs),δ4.79(2H,s),δ5.16-5
.20(2H,brs),δ7.25-7.38(7H,m),δ7.64-7.72(
2H,dd,17.3Hz,7.8Hz).
13C-NMR (125MHz,MeOH-d4)δ41.9,66.3,67.6,
71.0,112.3,118.7,125.24,125.27,128.8,129
.25,129.30,129.5,136.9,144.4,169.5,171.8
【0431】
(実施例7)
N-[(ベンジルオキシ)カルボキシル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N
-{[2-(ベンジルオキシ)-2-オキソエトキシ]メチル}グリシンアミド
【0432】
【0433】
N-[(ベンジルオキシ)カルボニル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニン(1
0.99g,26.58mmol)のアセトニトリル(120mL)、水(20mL)の
混合物に、ベンジル[(グリシルアミノ)メトキシ]アセテート 1H-ベンゾトリアゾ
ール-1-オール(10.00g,25.81mmol)を加え、2℃まで冷却し、1-
(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(5.70g,29
.73mmol)を添加し、0~5℃で約3.5時間撹拌した。反応液にエタノール(1
00mL)、水(150mL)を添加し、室温で14時間攪拌した。水(130mlL)
を分割添加し、2時間攪拌した後、1℃まで冷却し約1時間撹拌した。析出物を濾過し、
濾別した粉末をアセトニトリル:水=1:2(60mL)で洗浄した。得られた粉末を減
圧下40℃で乾燥し、N-[(ベンジルオキシ)カルボキシル]グリシルグリシル-L-
フェニルアラニル-N-{[2-(ベンジルオキシ)-2-オキソエトキシ]メチル}グ
リシンアミド(15.34g,23.68mmol,収率91.7%)を得た。
【0434】
1H-NMR (500MHz,DMSO-d6)δ2.79(1H,dd,14Hz,
9.2Hz),δ3.06(1H,dd,14Hz,4.5Hz),δ3.55-3.8
0(6H,m),δ4.15(2H,s),δ4.51(1H,ddd,Hz,9.2H
z,8.6Hz,4.5Hz),δ4.63(2H,d,6.5Hz),δ5.03(2
H,s),δ5.15(2H,s),δ7.15-7.40(15H,m),δ7.15
-7.40(15H,m),δ7.50(1H,t,6Hz),δ8.02(1H,t,
5.8Hz),δ8.15(1H,d,8.6Hz),δ8.33(1H,t,5.8H
z),δ8.60(1H,t,7Hz)
13C-NMR (125MHz,DMSO-d6)δ37.4,41.9,42.2,
43.6,54.2,64.5,65.6,65.7,69.1,126.3,127.
77,127.85,128.10,128.14,128.2,128.4,128.
5,129.2,135.8,137.0,137.9,156.6,168.9,16
9.5,169.9,170.2,171.5.
【0435】
(実施例8)
グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキシ)メチル]グリ
シンアミド
【0436】
【0437】
N-[(ベンジルオキシ)カルボキシル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-
N-{[2-(ベンジルオキシ)-2-オキソエトキシ]メチル}グリシンアミド(15
.0g、23.16mmol)のテトラヒドロフラン(315mL)、水(210mL)
の混合物に、5%パラジウム炭素(3.31g,水分54.7%)を加え、雰囲気を水素
に置換した。室温で約2.5時間撹拌した後、雰囲気を窒素に置換し、パラジウム炭素を
濾別し、パラジウム炭素を水(60mL)で洗浄し、濾液と合致した。濾液を240mL
まで減圧濃縮した。エタノール(150mL)を加え、180mLまで減圧濃縮した。エ
タノール(150mL)を加え、135mLまで減圧濃縮した。エタノール(150mL
)を加え、90mLまで減圧濃縮した。エタノール(300mL)加え、17時間攪拌し
た。析出物を濾過し、濾別した粉末をエタノール(75mL)で洗浄した。得られた粉末
を減圧下40℃で乾燥し、グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキ
シメトキシ)メチル]グリシンアミド(8.95g,21.14mmol,収率91.3
%)を得た。
【0438】
1H-NMR (400MHz,D2O)δ3.03-3.20(2H,m),δ3.7
9-3.96(6H,m),δ3.97(2H,s),δ4.64(1H,t,7.9H
z),δ4.67-4.75(2H,m),δ7.29-7.42(5H,m).
13C-NMR (100MHz,D2O)δ37.3,41.0,42.7,43.2
,56.0,67.3,70.0,127.8,129.4,129.8,136.9,
168.4,171.7,172.9,174.4,178.1.
MS(ESI)(m/z):422([M-H]-).
【0439】
(実施例9)
6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサン酸
【0440】
【0441】
6-アミノヘキサン酸(2.5kg,19.1mol)の酢酸(10L)溶液に、無水
マレイン酸(1.87kg,19.1mol)の酢酸(10L)溶液を25~30℃下で
1時間かけて滴下し、同温で2時間攪拌した。得られたスラリー液に硫酸(0.93kg
,9.55mol)を滴下し、100℃まで昇温後、16時間攪拌した。反応液を30℃
まで冷却後、7.0Lまで減圧濃縮した。0~5℃の冷水(20L)に攪拌条件下、得ら
れた濃縮液(約7.0L)を1時間かけて滴下し、同温で1時間攪拌した。析出物を濾過
し、濾別した粉末を冷水(5.0L)で洗浄した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し
、6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサン酸
(1.46kg,6.95mol,収率36.4%)を得た。
【0442】
得られた6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘ
キサン酸 (1.40kg,6.66mol)を酢酸(2.1L)、精製水(1.4L)
の混合液に25~30℃で溶解し、精製水(0.7L)を加えた後、20~25℃に冷却
後、2時間攪拌した。得られた懸濁液に精製水(7.0L)を1時間かけて滴下し、0~
5℃に冷却後、1時間攪拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末を冷水(2.1L)で洗
浄した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒ
ドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサン酸(1.27kg,6.02mol,収率9
0.4%)を得た。
【0443】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ1.18-1.24(2H,m),
δ1.45-1.52(4H,m),δ2.18(2H,t,7.5Hz),δ3.38
(2H,t,7.5Hz),δ7.01(2H,s),δ11.98(1H,s).
(実施例10)
1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル
}-1H-ピロール-2,5-ジオン
【0444】
【0445】
6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサン酸
(5.0g,23.6mmol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(3.0g,26.0
mmol)のアセトニトリル(50mL)混合物に、1-(3-ジメチルアミノプロピル
)-3―エチルカルボジイミド塩酸塩(5.45g,28.4mmol)を加え、室温で
約3.5時間撹拌した。水(100mL)、トルエン(100mL)を加えて撹拌した後
、分液して水層を取り除いた。有機層を水(50mL)で2回洗浄し、有機層を25mL
まで減圧濃縮した。シリカゲルカートリッジ(KP-sil 10g)にチャージし、ト
ルエン:アセトン=9:1(100mL)で通液して溶出液を回収し、25mLまで減圧
濃縮した。1-ブタノール(50mL)を加えた後、1-{6-[(2,5-ジオキソピ
ロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-1H-ピロール-2,5-ジオ
ン(10mg)を添加し、室温で1時間撹拌した。1-ブタノール(50mL)を滴下し
、-10℃に冷却して撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末を冷1-ブタノール(2
0mL)で洗浄した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、1-{6-[(2,5-ジ
オキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-1H-ピロール-2,
5-ジオン(6.52g,21.1mmol,収率89.4%)を得た。
【0446】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ1.27-1.35(2H,m),
δ1.48-1.56(2H,m),δ1.59-1.67(2H,m),δ2.65(
2H,t,7.3Hz),δ2.81(4H,s),δ3.39(2H,t,7.0Hz
),δ7.00(2H,s).
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ23.7,25.1,25.4,
27.4,30.0,36.8,134.4,168.9,170.2,171.1.
MS(ESI)(m/z):309([M+H]+).
【0447】
(実施例11)
1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル
}-1H-ピロール-2,5-ジオン
【0448】
【0449】
6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサン酸
(1.1kg,5.21mol)、N-ヒドロキシスクシンイミド(0.72kg,6.
25mol)のアセトニトリル(11L)混合液を-15℃まで冷却し、2,6-ルチジ
ン(1.34kg,12.50mol)を添加した後、塩化チオニル(0.74kg,6
.25mol)を-15℃~-10℃で1時間かけて滴下した。水(11L)、トルエン
(11L)を加えて撹拌した後、分液して水層を取り除いた。有機層を0-5℃の冷水(
11L)で2回、0-5℃の20%食塩水(11L)で洗浄し、有機層を5.5Lまで減
圧濃縮した後、トルエン(5.5L)を加え、再度5.5Lまで減圧濃縮した。トルエン
で湿潤させた中性シリカゲル(Silicagel60N,3.3kg)を漏斗に充填し
、濃縮液を通液し、トルエン:アセトン=9:1(29L)で洗浄してろ液を得た。得ら
れたろ液を5.5Lまで減圧濃縮後、1-ブタノール(8.8L)を加えた後、20-2
5℃で16時間攪拌した。1-ブタノール(13.2L)を滴下し、-15℃に冷却して
1時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末を冷1-ブタノール(4.4L)で洗浄
した。得られた粉末を減圧下40℃で乾燥し、1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジ
ン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-1H-ピロール-2,5-ジオン(1
.45kg,4.72mol,収率90.5%)を得た。
【0450】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ1.27-1.35(2H,m),
δ1.48-1.56(2H,m),δ1.59-1.67(2H,m),δ2.65(
2H,t,7.3Hz),δ2.81(4H,s),δ3.39(2H,t,7.0Hz
),δ7.00(2H,s).
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ23.7,25.1,25.4,
27.4,30.0,36.8,134.4,168.9,170.2,171.1.
MS(ESI)(m/z):309([M+H]+).
【0451】
(実施例12)
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサ
ノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキシ)メチ
ル]グリシンアミド
【0452】
【0453】
1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシ
ル}-1H-ピロール-2,5-ジオン(291.3g,0.945mol)のアセトニ
トリル(1.8L)溶液に、グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボ
キシメトキシ)メチル]グリシンアミド(200.0g,0.472mol)、水(4.
2L)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(48.8g,0.378mol)を加え
、室温で約9時間撹拌した。酢酸イソプロピル(2.0L)、無水リン酸二水素ナトリウ
ム(400.0g)、無水リン酸水素二ナトリウム(26.0g)を加えて撹拌した後、
分液して有機層を取り除いた。テトラヒドロフラン(1.0L)、酢酸エチル(1.0L
)、無水リン酸二水素ナトリウム(160.0g)を加えて撹拌した後、分液して水層を
取り除いた。10(w/v)%リン酸緩衝液(pH3.4,0.6L)を加えて撹拌し、
分液して水層を取り除いた後、1.0Lまで減圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(
4.0L)を加え、1.0Lまで減圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(4.0L)
、アセトニトリル(0.4L)を加え、1.0Lまで減圧濃縮した。アセトニトリル(2
0mL)を加え、溶液の水分測定した結果6.1%(水18.8mL相当)であった。水
(19mL)を加えた後、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピ
ロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(
カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド(0.2g)を添加し、1,2-ジメトキ
シエタン(0.8L)を滴下し、室温で約16時間撹拌した。1,2-ジメトキシエタン
(3.2L)を滴下し、4.0Lまで減圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(1.0
L)を加え、0~5℃に冷却し、約19.5時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉
末を1,2-ジメトキシエタン(0.8L)で洗浄した。得られた粉末を減圧下40℃で
乾燥し、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル
)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキ
シ)メチル]グリシンアミド(268.3g,0.435mol,収率92.1%)を得
た。
【0454】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ1.15-1.23(2H,m),
δ1.43-1.52(4H,m),δ2.11(2H,t,7.3Hz),δ2.78
-2.84(1H,m),δ3.04-3.09(1H,m),δ3.37(2H,t,
7.0Hz)δ3.61-3.79(6H,m),δ3.94(2H,s),δ4.47
-4.52(1H,m),δ4.61(2H,d,6.7Hz),δ6.99(2H,s
),δ7.15-7.27(5H,m),δ8.11-8.15(2H,m),δ8.2
2(1H,d,8.5Hz),δ8.31(1H,t,5.8Hz),δ8.63(1H
,t,6.4Hz).
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ24.6,25.8,27.8,
34.9,37.0,37.2,41.9,42.1,42.1,54.2,65.1,
69.2,126.2,128.1,129.1,134.4,137.9,168.9
,169.5,169.8,171.1,171.4,171.9,172.6.
MS(ESI)(m/z):615([M-H]-).
【0455】
(実施例13)
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサ
ノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキシ)メチ
ル]グリシンアミドの1,2-ジメトキシエタン付加物
【0456】
【0457】
1-{6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシ
ル}-1H-ピロール-2,5-ジオン(72.8g,0.236mol)のアセトニト
リル(450.0mL)溶液に、グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カ
ルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド(50.0g,0.118mol)、水(1
050.0mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(16.5mL,0.095m
ol)を加え、室温で約15時間撹拌した。酢酸イソプロピル(500.0mL)、無水
リン酸二水素ナトリウム(100.0g)、無水リン酸水素二ナトリウム(6.5g)を
加えて撹拌した後、分液して有機層を取り除いた。酢酸イソプロピル(500.0mL)
を加えて撹拌した後、分液して有機層を取り除いた。1,2-ジメトキシエタン(250
.0mL)、酢酸エチル(250.0mL)、アセトニトリル(25.0mL)、無水リ
ン酸二水素ナトリウム(400.0g)を加えて撹拌した後、分液して水層を取り除いた
。アセトニトリル(750.0mL)、水(113.0mL)、塩化ナトリウム(30.
0g)、無水リン酸二水素ナトリウム(7.5g)、リン酸(85%、1.5g、0.0
12mol)を加えて撹拌し、分液して水層を取り除いた。水(113.0mL)、塩化
ナトリウム(30.0g)、無水リン酸二水素ナトリウム(7.5g)を加えて撹拌し、
分液して水層を取り除いた。水(113mL)、塩化ナトリウム(30.0g)、無水リ
ン酸二水素ナトリウム(7.5g)を加えて撹拌し、分液して水層を取り除いた後、50
0.0mLまで減圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(750.0mL)を加えた後
、500.0mLまで減圧濃縮した。溶液の水分測定した結果6.9%(水31.3g相
当)であった。水(9.5mL)、1,2-ジメトキシエタン(1.0L)を加えた後、
室温で約13時間撹拌した。1,2-ジメトキシエタン(250.0mL)を滴下し、室
温で約5時間撹拌した後、1.0Lまで減圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(1.
0L)を滴下し、室温で約1時間撹拌した後、1.0Lまで減圧濃縮した。1,2-ジメ
トキシエタン(250.0mL)を滴下し、室温で約16時間撹拌した後、析出物を濾過
し、濾別した粉末を1,2-ジメトキシエタン(250.0L)で洗浄した。得られた湿
品粉末に1,2-ジメトキシエタン(2.0L)、水(65.0mL)を加え、45℃に
昇温した。30分間撹拌した後、塩化ナトリウムを濾別し、塩化ナトリウムを1,2-ジ
メトキシエタン/水(97/3、150mL)で洗浄して濾液を合致し、1.0Lまで減
圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(1.0L)を加え、室温で約3時間撹拌した後
、1.0Lまで減圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(1.0L)を滴下し、1.0
Lまで減圧濃縮した。1,2-ジメトキシエタン(250.0mL)を滴下し、室温で約
16時間撹拌した後、析出物を濾過し、濾別した粉末を1,2-ジメトキシエタン(25
0mL)で洗浄した。得られた粉末を減圧下(4kPa)25℃で乾燥し、N-[6-(
2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリ
シルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキシ)メチル]グリシン
アミドの1,2-ジメトキシエタン付加物(65.7g,0.107mol,収率90.
3%)を結晶として得た。
【0458】
1H-NMR (500MHz,DMSO-d6)δ1.16-1.23(2H,m),
δ1.44-1.52(4H,m),δ2.11(2H,t,7.5Hz),δ2.79
-2.84(1H,m),δ3.05-3.09(1H,m),δ3.24(6H,s)
,δ3.37(2H,t,7.3Hz),δ3.43(4H,s),δ3.56-3.7
8(6H,m),δ3.99(2H,s),δ4.48-4.52(1H,m),δ4.
61(2H,d,6.5Hz),δ7.00(2H,s),δ7.16-7.27(5H
,m),δ8.02-8.10(2H,m),δ8.15(1H,d,8.0Hz),δ
8.32(1H,t,6.0Hz),δ8.58(1H,t,6.8Hz).δ12.6
1(1H,brs)
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ25.5,26.8,28.7,
35.9,37.9,38.2,42.8,43.0,43.1,55.1,59.0,
65.2,69.8,72.0,127.2,129.0,130.1,135.4,1
38.8,169.8,170.4,170.9,172.0,172.3,172.4
,173.6.
MS(ESI)(m/z):615([M-H]-).
【0459】
粉末X線回折:
標題化合物の結晶について、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折を行った。結果
を表1及び
図3に示す。19.0°、及び25.0°の回折角度(2θ)に主要なピーク
が認められた。
【0460】
【0461】
(実施例14)
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサ
ノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-
9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,
3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’
,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキ
ソエトキシ)メチル]グリシンアミド
【0462】
【0463】
メタンスルホン酸(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-
メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,
12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノ
リン-1-アミニウム2水和物(グロス量154.6g,水分値2.95%補正後内容量
150.0g,0.282mol)のテトラヒドロフラン(1.8L)懸濁液に、5(w
/v)%硫酸ナトリウム水溶液(1.5L)、N-メチルモルホリン(28.5g,0.
282mol)を加え、32℃で約1時間撹拌した。シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エ
チル(8.0g,56.3mmol)、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒド
ロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニ
ル-N-[(カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド(グロス量232.0g,1
,2-ジメトキシエタン2.50%換算後内容量226.2g,0.367mol)、1
-(3-ジメチルアミノプロピル)-3―エチルカルボジイミド塩酸塩(108.2g,
0.564mol)を加え、29~32℃で約1時間撹拌した後、分液して水層を取り除
いた。酢酸エチル(1.8L)、5(v/v)%酢酸水溶液(0.45L)を加えて撹拌
し、分液して水層を取り除いた。活性炭(15.0g,強力白鷺(大阪ガスケミカル株式
会社製))を加えて室温で約30分間撹拌した後、活性炭を濾別し、活性炭をテトラヒド
ロフラン(0.45L)で洗浄して濾液を合致し、0.75Lまで減圧濃縮した。1-プ
ロパノール(1.5L)を加え、0.75Lまで減圧濃縮し、アセトン:1-プロパノー
ル=1:1(3.0L)を加えた。N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-
1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-
N-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メ
チル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,1
2H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリ
ン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド(0.15g)
を添加し、室温で約45時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した粉末をアセトン:1-
プロパノール=1:1(0.6L)で洗浄した。得られた湿品粉末にテトラヒドロフラン
(1.5L)、水(0.3L)を加えて溶解し、0.75Lまで減圧濃縮した。1-プロ
パノール(1.5L)を加え、0.75Lまで減圧濃縮し、アセトン:1-プロパノール
=1:1(3.0L)を加えた。N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1
H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N
-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチ
ル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12
H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン
-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミド(0.15g)を
添加し、室温で約24時間撹拌した。析出物を濾過し、濾別した結晶をアセトン:1-プ
ロパノール=1:1(0.6L)で洗浄した。得られた結晶を減圧下40℃で乾燥し、N
-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノ
イル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-9
-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3
,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,
4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソ
エトキシ)メチル]グリシンアミド(254.6g,収率87.3%)を結晶として得た
。
【0464】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ0.87(3H,t,7.3Hz)
,δ1.14-1.21(2H,m),δ1.41-1.50(4H,m),δ1.78
-1.93(2H,m),δ2.09(2H,t,7.3Hz),δ2.13-2.23
(2H,m),δ2.36(3H,s),δ2.74-2.80(1H,m),δ3.0
0-3.04(1H,m),δ3.08-3.25(2H,m),δ3.32-3.37
(2H,m),δ3.56-3.77(6H,m),δ4.02(2H,s),δ4.4
4-4.50(1H,m),δ4.64(2H,d,6.7Hz),δ5.17(2H,
d,5.5Hz),δ5.41(2H,s),δ5.57-5.62(1H,m),δ6
.51(1H,s),δ6.99(2H,s),δ7.14-7.26(5H,m),δ
7.30(1H,s),δ7.75(1H,d,11.0Hz),δ8.00(1H,t
,5.8Hz),δ8.06(1H,t,5.3Hz),δ8.12(1H,d,7.9
Hz),δ8.29(1H,t,5.8Hz),δ8.49(1H,d,8.5Hz),
δ8.62(1H,t,6.7Hz).
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ7.6,10.8,10.9,2
3.5,24.6,25.7,27.7,30.2,30.6,34.8,36.9,3
7.1,41.7,42.0,44.4,49.5,54.1,65.1,66.9,6
9.7,72.2,96.6,109.6,109.8,119.0,121.5,12
3.4,123.6,125.3,126.2,128.0,129.0,134.3,
136.2,136.3,137.7,140.4,145.0,147.7,147.
8,149.9,152.2,156.6,160.2,162.7,168.8,16
9.1,169.3,170.0,171.0,171.3,172.3,172.5.
MS(ESI)(m/z):1034([M+H]+).
【0465】
粉末X線回折:
標題化合物の結晶について、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折を行った。結果
を表2及び
図4に示す。5.6°、15.5°、及び22.0°の回折角度(2θ)に主
要なピークが認められた。
【0466】
【0467】
(実施例15)
({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}アミノ)メ
チルアセテート
【0468】
【0469】
窒素雰囲気下、N-9-フルオレニルメトキシカルボニルグリシルグリシン(2.85
kg,8.04mol)の無水テトラヒドロフラン(38.0kg)懸濁液に、酢酸(2
.41kg,40.1mol)、四酢酸鉛(IV)(5.35kg,12.0mol)を
加え、1.5時間還流した。室温まで冷却した後、析出している固体を濾別し、濾別した
固体をテトラヒドロフラン(10.1kg)で洗浄した。得られた濾洗液を減圧下、液量
が16L程度になるまで濃縮し、得られた濃縮液に酢酸エチル(26kg)、10%くえ
ん酸水溶液(17.1L)、20%食塩水(5.7L)を加え、撹拌後分液した。得られ
た有機層を10%くえん酸水溶液(17.1L)、9%炭酸水素ナトリウム水溶液(28
.5L)、20%食塩水(14.3L)で順次分液洗浄した。得られた有機層にシリカゲ
ル60(5.7kg)、酢酸エチル(10.3kg)を加え1時間撹拌した後、固体を濾
別し、濾別した固体を酢酸エチル(7.7kg)で洗浄した。得られた濾洗液を減圧下、
液量が5L程度になるまで濃縮し、シクロペンチルメチルエーテル(24.5kg)を添
加した。再度減圧下、液量が5L程度になるまで濃縮し、得られた濃縮液にでシクロペン
チルメチルエーテル(14.7kg)を添加し、5℃程度で1時間撹拌した。析出した固
体を濾過し、得られた結晶を5℃程度に冷却したシクロペンチルメチルエーテル(4.9
kg)で洗浄した。得られた結晶を減圧下40℃で乾燥し、標記化合物(2.01kg,
収率68%)を無色固体として得た。
【0470】
(実施例16)
ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル}
アミノ)メトキシ]アセテート
【0471】
【0472】
窒素雰囲気下、({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリ
シル}アミノ)メチルアセテート(2.01kg、5.46mol)の無水1,2-ジメ
トキシエタン(21kg)懸濁液にグリコール酸ベンジル(1.81kg,10.9mo
l)を加え、0℃程度に冷却した。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(142g
、0.27mol)を加え、同温度で3時間撹拌後、酢酸エチル(27.1kg)、10
%炭酸水素カリウム水溶液を添加し、室温に昇温し、分液した。得られた有機層に10%
食塩水(20.1L)を加え分液洗浄した。得られた有機層を減圧下、液量が4L程度に
なるまで濃縮し、メタノール(15.7kg)を添加した。減圧下、液量が4L程度にな
るまで濃縮し、得られた濃縮液にメタノール(7.8kg)を添加した。減圧下、液量が
4L程度になるまで濃縮した。得られた濃縮液にメタノール(12.5kg)を添加し、
5℃程度に冷却し、1時間撹拌した。析出した結晶を濾過し、得られた結晶を5℃程度に
冷却したメタノール(4.7kg)で洗浄した。得られた固体を減圧下40℃で乾燥し、
標記化合物(2.28kg,収率88%)を得た。
【0473】
(実施例17)
ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシルグ
リシル-L-フェニルアラニル}アミノ)メトキシ]アセテート
【0474】
【0475】
窒素雰囲気下、ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボ
ニル]グリシル}アミノ)メトキシ]アセテート(2.28kg、4.81mol)のN
,N-ジメチルアセトアミド(15.0kg)溶液に1,8-ジアザビシクロ[5.4.
0]ウンデク-7-エン(0.37kg、2.4mol)を加え、室温下30分撹拌した
。ピリジニウム p-トルエンスルホナート(0.60kg,2.4mol),1-ヒド
ロキシベンゾトリアゾール 1水和物(0.74kg、4.8mol)、N-[(9H-
フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニン
(2.19kg、4.37mol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)
-カルボジイミド塩酸塩(0.84kg、4.37mol)を加え、室温下3時間撹拌し
た。酢酸エチル(21.0kg)、10%食塩水(34L)を加え、撹拌後分液した。得
られた有機層を10%くえん酸水溶液(11.4L)で分液洗浄した。 得られた有機層
にテトラヒドロフラン(20kg)、15%炭酸水素カリウム水溶液(22.8L)を加
え、撹拌分液した。得られた有機層を10%食塩水(22.8L)で分液洗浄した。得ら
れた有機層を減圧下、液量が6.8L程度になるまで濃縮し、2-プロパノール(12.
4kg)を添加した。減圧下、再度液量が6.8L程度になるまで濃縮し、得られた濃縮
液に約50℃の加温下、2-プロパノール(30.2kg)を添加した。同温度で1時間
撹拌後、5℃程度まで冷却し更に2時間撹拌した。析出した固体を濾過し、濾別した固体
を5℃程度に冷却した2-プロパノール(14.2kg)で洗浄した。得られた結晶2を
2-プロパノール(36kg)に懸濁させ、5℃程度で1時間撹拌した後に、析出してい
る固体を濾過し、濾別した固体を5℃程度に冷却した2-プロパノール(28.5kg)
で洗浄した。得られた結晶を減圧下50℃で乾燥し、標記化合物(3.34kg,収率9
4%)を得た。
【0476】
1H-NMR (400MHz,DMSO-d6)δ2.79(1H,dd,J=14.
0, 9.8Hz),3.05(1H,dd,J=14.0, 4.3Hz),3.58
-3.79(6H,m),4.15(2H,s),4.20-4.24(1H,m),4
.28-4.30(2H,m),4.48-4.53(1H,m),4.63(2H,d
,J=6.7Hz),5.14(2H,s),7.15-7.43(13H,m),7.
58(1H,t,J=6.1Hz),7.71(2H,d,J=7.3Hz),7.89
(2H,d,J=7.9Hz),8.01(1H,t,J=5.5Hz),8.15(1
H,d,J=7.9Hz),8.33(1H,t,J=5.8Hz),8.59(1H,
t,J=6.4Hz).
13C-NMR (100MHz,DMSO-d6)δ37.3, 41.8, 42.
1, 43.5, 46.6, 54.1, 64.4, 65.6, 65.7, 6
9.0, 120.1, 125.2, 126.3, 127.1, 127.6,
128.0, 128.1,128.1, 128.4, 129.1, 135.8,
137.8, 140.7, 143.8, 156.5, 168.8, 169.
4, 169.9, 170.1, 171.4.
MS(ESI)(m/z):736([M+H]+).
【0477】
(実施例18)
N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシルグリシル-L-フ
ェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド
【0478】
【0479】
ベンジル[({N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシル
グリシル-L-フェニルアラニル}アミノ)メトキシ]アセテート(367g、0.49
9mol)のテトラヒドロフラン(5.88kg)、水(1.61L)懸濁液にパラジウ
ム炭素-エチレンジアミン錯体(28g)を添加し、常圧の水素ガス雰囲気、室温下1時
間から3時間撹拌した。触媒を濾別し、濾別した触媒をテトラヒドロフラン(1.63k
g)で洗浄し、濾洗液を得た。上記、反応と触媒の濾別操作を9回繰り返し、得られた9
回分の濾洗液を合致した。減圧下、液量が17L程度になるまで濃縮した。得られた濃縮
液に2-プロパノール(39kg)を添加し、減圧下、液量が17L程度になるまで濃縮
する操作を3回繰り返した。得られた濃縮液に酢酸エチル(45kg)を添加し、室温下
で6時間撹拌した。この懸濁液を5℃程度で更に1時間撹拌した。析出した固体を濾過し
、濾別した固体を5℃程度に冷却した2-プロパノールと酢酸エチルの1:3混合液(2
3.1L)で洗浄した。得られた結晶を減圧下40℃で乾燥し、標記化合物の粗体(2.
18kg,収率75%)を得た。得られた粗体(400g,0.62mol)にテトラヒ
ドロフラン(2.4L)、酢酸エチル(5.6L)に懸濁させ、1%硫酸水素カリウム水
溶液(4L)を加え32℃程度まで加温撹拌し、溶解させた。分液し、得られた有機層を
水(2L)で分液洗浄した。得られた有機層を減圧下液量2L程度まで濃縮した。得られ
た濃縮液にアセトニトリル(6L)を添加し、減圧下液量2.8L程度まで濃縮したとこ
ろ固体が析出した。酢酸エチル(6L)を添加し、室温で18時間撹拌した後、5℃程度
に冷却し、3時間撹拌した。析出している固体を濾過し、濾別した結晶をアセトニトリル
と酢酸エチルの1:2混合液(7L)で洗浄した。得られた固体を減圧下40℃で乾燥し
、標記化合物(356g,収率89%)を得た。
【0480】
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ2.79(1H,dd,J=14.0
, 9.8Hz),3.06(1H,dd,J=13.7, 4.6Hz),3.58-
3.79(6H,m),3.98(2H,s),4.21-4.25(1H,m),4.
28-4.30(2H,m),4.48-4.54(1H,m),4.61(2H,d,
J=6.7Hz),7.16-7.20(1H,m),7.22-7.27(4H,m)
,7.33(2H,t,J=7.3Hz),7.42(2H,t,J=7.3Hz),7
.59(1H,t,J=6.1Hz),7.71(2H,d,J=7.3Hz),7.8
9(2H,d,J=7.3Hz),8.03(1H,t,J=5.5Hz),8.16(
1H,d,J=7.9Hz),8.33(1H,t,J=5.8Hz),8.57(1H
,t,J=6.7Hz).
13C-NMR (100MHz,CDCl3)δ37.4, 41.8, 42.1,
43.5, 46.6, 54.1, 64.2, 65.7, 68.8, 120
.1, 125.2, 126.3, 127.1, 127.6, 128.1, 1
29.1, 137.8, 140.7, 143.8, 156.5, 168.8,
169.4, 170.0, 171.4, 171.4.
MS(ESI)(m/z):646([M+H]+).
【0481】
(実施例19)
N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシルグリシル-L-フ
ェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒ
ドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサ
ヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3‘,4’:6,7]インドリジノ[1
,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミ
ド
【0482】
【0483】
窒素雰囲気下、メタンスルホン酸 (1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-
ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキ
サヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[
1,2-b]キノリン-1-アミニウム 2水和物(260g,0.458mol)のジ
メチルスルホキシド(1.8L)、テトラヒドロフラン(1.3L)懸濁液にトリエチル
アミン(55.6g,0.549mol )、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール 1水
和物(84.2g,0.549mol)、N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ
)カルボニル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(カルボキシメトキシ
)メチル]グリシンアミド(325g,0.503mol)、1-エチル-3-(3-ジ
メチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(114g、0.595mol)を加え
、室温下2時間撹拌した。テトラヒドロフラン(3.9L)、酢酸エチル(2.6L)、
11%炭酸水素カリウム水溶液(5.2L)を加え、撹拌分液した。得られた有機層を1
9%くえん酸水溶液(3.9L)、22%炭酸水素カリウム水溶液(2.6L)、18%
食塩水(0.78L)で順次洗浄した。得られた有機層に活性炭(52g)を添加し、3
0分撹拌した後、テトラヒドロフラン(0.78L)、無水硫酸マグネシウム(0.78
g)を添加し、30分撹拌した。固体を濾別し、濾別した固体をテトラヒドロフラン(0
.78L)で洗浄した。得られた濾洗液を減圧下液量200mL程度まで濃縮した。得ら
れた濃縮液に酢酸エチル(1.3L)を添加し、減圧下液量200mL程度まで濃縮した
。得られた濃縮液にテトラヒドロフラン(1.8L)を添加した。得られた溶液を別容器
に用意した酢酸エチル(1.3L)、シクロペンチルメチルエーテル(1.3L)混合液
に12分かけて滴下した。この懸濁液にシクロペンチルメチルエーテル(2.6L)を添
加し、18時間撹拌した後、5℃程度に冷却し、更に1時間撹拌した。析出している固体
を濾過し、濾別した固体をテトラヒドロフランとシクロペンチルメチルエーテルの1:3
混合液(1.3L)で洗浄した。得られた固体を減圧下40℃で乾燥し、標記化合物(4
08g,収率84%)を得た。
【0484】
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.86(3H,t,J=7.3),
1.79-1.90(2H,m),2.11-2.22(2H,m),2.37(3H,
s),2.77(1H,dd,J=14.0, 9.8Hz),3.02(1H,dd,
J=13.7, 4.6Hz),3.07-3.25(2H,m),3.58-3.79
(6H,m),4.02(2H,s),4.18-4.23(1H,m),4.26-4
.30(2H,m),4.45-4.54(1H,m),4.64(2H,d,J=6.
7Hz),5.17(2H,dd,J=23.5,J=19.2Hz),5.40(2H
,s),5.56-5.61(1H,m),6.52(1H,s),7.14-7.43
(10H,m),7.58(1H,t,J=6.1Hz),7.68(2H,d,J=7
.3Hz),7.76(1H,d,J=11.0Hz),7.86(2H,d,J=7.
3Hz),8.02(1H,t,J=5.5Hz),8.15(1H,d,J=7.9H
z),8.32(1H,t,J=5.8Hz),8.50(1H,d,J=8.5Hz)
,8.63(1H,t,J=6.4Hz).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d6)δ7.7, 10.9, 11.0,
23.1, 23.7, 27.8, 30.3, 31.4, 37.3, 41.
8, 42.1, 43.5, 44.6, 46.6, 49.6, 54.2, 5
5.6, 65.2, 65.8, 67.0, 69.8, 72.3, 82.0,
96.7, 109.7, 109.9, 119.1, 120.0, 121.6
, 123.5, 123.7, 125.2, 125.3, 126.3, 127
.0, 127.6,128.1, 129.1, 136.3, 136.4, 13
7.8, 140.5, 140.7, 143.8, 143.8, 145.1,
147.8, 147.9, 150.0, 152.3, 156.5, 156.7
, 160.3, 162.8, 168.9, 169.2, 169.4, 170
.2, 171.4, 172.4.
MS(ESI)1063:(M+H)+
【0485】
(実施例20)
グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-9-エチ
ル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,
10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3‘,4’:
6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキ
シ)メチル]グリシンアミド
【0486】
【0487】
窒素気流下、N-[(9H-フルオレン-9-イルメトキシ)カルボニル]グリシルグ
リシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フ
ルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13
,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3‘,4’:6,7]イ
ンドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル
]グリシンアミド(400g,0.376mol)の脱水テトラヒドロフラン(8L)懸
濁液に1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(51.6g,0.3
39mol)を5分毎、8回に分割して添加し、2.5時間撹拌した。窒素気流下、析出
している固体を濾過し、濾別した固体をテトラヒドロフラン(2.4L)で洗浄した。得
られた固体を減圧下40℃で乾燥し、標記化合物を含む混合物(363g,収率115%
)を得た。
【0488】
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ0.87(3H,t,J=7.3),
1.57-1.67(6H,m),1.80-1.92(2H,m),2.06-2.2
5(2H,m),2.35-2.38(3H,m),2.61-2.63(2H,m),
2.73-2.89(1H,m),3.00-3.79(29H,m),3.80(1H
,dd,J=16.2, 7.0Hz),3.99-4.10(2H,m),4.30-
4.51(1H,m),4.58(1H,dd,J=9.8, 6.1Hz),4.63
-4.69(1H,m),5.01(0.5H,br),5.15(1H,t,J=18
.3Hz),5.24(1H,t,J=18.3Hz),5.41(2H,s),5.5
4-5.62(1H,m),6.52(0.6H,br),7.11-7.31(6H,
m),7.75-7.79(1H,m),8.12-8.15(0.6H,m),8.2
2(0.2H,d,J=8.5Hz),8.36(0.2H,t,J=5.8Hz),8
.52(0.2H,t,J=5.5Hz),8.66(0.2H,t,J=6.4Hz)
,8.93(0.6H,t,J=5.5Hz),9.10(1H,dd,J=20.1,
9.2Hz),9.82(0.6H,br).
MS(ESI)841:(M+H)+
【0489】
(実施例21)
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサ
ノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-
9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,
3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3‘
,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキ
ソエトキシ)メチル]グリシンアミドの種晶の調製
【0490】
【0491】
グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-9-エ
チル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9
,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3‘,4’
:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエト
キシ)メチル]グリシンアミド(200mg,0.24mmol)のピリジン(0.2m
L)、テトロヒドロフラン(2.0mL)、アセトニトリル(0.6mL)懸濁液にピリ
ジニウム p-トルエンスルホナート(120mg,0.48mmol),トリエチルア
ミン(100μL,0.72mmol),6-マレイミドヘキサン酸N-スクシンイミジ
ル(73mg, 0.24mmol)を加え、室温下3時間撹拌した。反応液をシリカゲ
ルフラッシュカラムクロマトグラフィー(Biotage AB)[テトラヒドロフラン
:アセトン=3:7~7:3(v/v)]にて精製し、標記化合物を油状物として得た。
得られた油状物19.5mgにアセトン(0.4mL),2-ブタノール(0.2mL)
を加え、約60℃に加温し、析出した固体を室温にて濾過し、濾別した固体を2-ブタノ
ール(約0.2mL)で洗浄し、標記化合物(14.3mg)を無色粉末として得た。得
られた粉末は種晶として次の反応に用いることとした。
【0492】
(実施例22)
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサ
ノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-
9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,
3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3‘
,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキ
ソエトキシ)メチル]グリシンアミド
【0493】
【0494】
窒素雰囲気下、ピリジン(0.35L)、アセトニトリル(1.1L)、テトロヒドロ
フラン(3.5L)にピリジニウム p-トルエンスルホナート(209g,0.832
mol),6-マレイミドヘキサン酸N-スクシンイミジル(128g, 0.415m
ol)、グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-
9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,
3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3‘
,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキ
ソエトキシ)メチル]グリシンアミド(350g,0.416mol)を溶解させた後、
トリエチルアミン(63.2g,0.625mol)を加え、室温下3.5時間撹拌した
。テトラヒドロフラン(3.5L)、19%くえん酸水溶液(3.5L)、酢酸エチル(
2.5L)、18%食塩水(2.5L)を添加し、撹拌後分液した。得られた有機層に1
9%くえん酸水溶液(2.5L)、18%食塩水(2.5L)を添加し、撹拌後分液した
。得られた有機層を22%炭酸水素カリウム水溶液(2.1L)次いで18%食塩水(1
.8L)で分液洗浄した。得られた有機層を別容器に用意した活性炭(35g)のアセト
ニトリル(35L)懸濁液に滴下し、30分撹拌した後、活性炭を濾別し、濾別した活性
炭をアセトニトリル(1.8L)で洗浄した。得られた濾洗液を減圧下外温40℃程度で
溶媒が留出しなくなるまで濃縮した。得られた濃縮残渣にアセトン(1.8L)、1-プ
ロパノール(3.5L)を順次添加し、55℃に加温し溶解させた後、室温まで冷却した
。実施例21で得た粉末(0.2g)を種晶として添加し、86時間撹拌した後、析出し
ている固体を濾過し、濾別した固体をアセトン(1.1L)で洗浄した。得られた固体を
減圧下40℃で乾燥し、標記化合物(191g,収率44%)を結晶として得た。
【0495】
(実施例23)
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサ
ノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-
9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,
3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’
,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキ
ソエトキシ)メチル]グリシンアミド
【0496】
【0497】
無水硫酸ナトリウム(1.8g)、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(0.16
g,1.13mmol)、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピ
ロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(
カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド(グロス量5.76g,1,2-ジメトキ
シエタン12.40%換算後内容量5.05g,8.18mmol)を含む精製水とテト
ラヒドロフラン(24mL及び18mL)の混合液に対し、20~30℃でメタンスルホン
酸(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,1
3-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[
de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-アミニ
ウム(3.0g,5.64mmol)を含む精製水とテトラヒドロフラン(9mL及び1
5mL)の混合懸濁液を加えた。混合液にテトラヒドロフラン(9mL)及びN-メチルモ
ルホリン(0.63g,6.23mmol)を含むテトラヒドロフラン7.5mLの溶液
を添加し、同温にて15分攪拌後、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3―エチルカ
ルボジイミド塩酸塩(2.16g,11.27mmol)及び精製水とテトラヒドロフラ
ン(1.5mL及び1.5mL)の混合液を添加した。混合液を20~30℃で30分以上
攪拌し、反応終了を確認後、分液して水層を取り除いた。有機層を15~25℃に温度調
整し、酢酸エチル(36mL)及び無水硫酸ナトリウム(1.26g)、N-メチルモル
ホリン(0.14g,1.38mmol)を含む精製水(24mL)を加えて撹拌し、分
液して水層を取り除いた。有機層に精製水(9mL)を加えて撹拌、分液し、更に、酢酸
(0.45mL)を含む精製水(9mL)を加えて攪拌、分液して、有機層を得た。活性炭
(0.30g,強力白鷺(大阪ガスケミカル株式会社製))を加えて室温で約15分間撹
拌した後、活性炭を濾別し、活性炭をテトラヒドロフラン(9mL)で洗浄して濾液を合
致し、30mLまで減圧濃縮した。濃縮液にテトラヒドロフラン(75mL)を加え、30
mLまで減圧濃縮し、更にテトラヒドロフラン(45mL)を加え、30mLまで減圧濃縮
した。濃縮液中の水分量が8.0%(v/v)以下であることを確認後、アセトンと1-
プロパノール(30mL及び71mL)の混合液を加えた。N-[6-(2,5-ジオキソ
-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L
-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9
-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘ
キサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ
[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシン
アミド(30mg)を添加し、20~30℃で12時間以上撹拌した。懸濁液を0~5℃
に冷却後、更に24時間以上撹拌し、析出物を濾過し、濾別した粉末を0~5℃にてアセ
トンと1-プロパノールの1:1混合液(30mL)で洗浄した。得られた結晶を減圧下
35℃で乾燥し、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-
1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[
(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13
-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[d
e]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]ア
ミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミドの粗結晶(5.23g,収率89
.6%)を得た。
【0498】
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキ
サノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)
-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2
,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3
’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オ
キソエトキシ)メチル]グリシンアミドの粗結晶(4.50g,4.35mmol)に酢
酸(15μL)を含むアセトンと精製水(10.6mL及び2.9mL)の混合液を加え、
34~38℃で1時間以上攪拌し、溶解を確認後、20~25℃に冷却した。アセトンと
1-プロパノール(31.5mL及び64.8mL)の混合液を加え、N-[6-(2,5
-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグ
リシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フ
ルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13
,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]イ
ンドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル
]グリシンアミド(27mg)を添加し、20~25℃で24時間以上撹拌した。懸濁液
を0~5℃に冷却後、更に12時間以上撹拌し、析出物を濾過し、濾別した粉末を0~5
℃アセトンと1-プロパノールの1:1混合液(27mL)で洗浄した。得られた結晶を
減圧下35℃で乾燥し、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロ
ール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2
-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10
,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベン
ゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イ
ル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミドの精結晶(4.37g,収
率93.0%)を得た。
機器データは、実施例14に記載の化合物と同様であった。
【0499】
(実施例24)
N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサ
ノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(2-{[(1S,9S)-
9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,
3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’
,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-2-オキ
ソエトキシ)メチル]グリシンアミド
【0500】
【0501】
無水硫酸ナトリウム(1.8g)、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル(0.16
g,1.13mmol)、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピ
ロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル-N-[(
カルボキシメトキシ)メチル]グリシンアミド(グロス量5.76g,1,2-ジメトキ
シエタン12.40%換算後内容量5.05g,8.18mmol)を含む精製水とテト
ラヒドロフラン(24mL及び18mL)の混合液に対し、20~30℃でメタンスルホン
酸(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,1
3-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[
de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-アミニ
ウム(3.0g,5.64mmol)を含む精製水とテトラヒドロフラン(9mL及び1
5mL)の混合懸濁液を加えた。混合液にテトラヒドロフラン(9mL)及びN-メチルモ
ルホリン(0.63g,6.23mmol)を含むテトラヒドロフラン7.5mLの溶液
を添加し、同温にて15分攪拌後、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3―エチルカ
ルボジイミド塩酸塩(2.16g,11.27mmol)及び精製水とテトラヒドロフラ
ン(1.5mL及び1.5mL)の混合液を添加した。混合液を20~30℃で30分以上
攪拌し、反応終了を確認後、分液して水層を取り除いた。有機層を15~25℃に温度調
整し、酢酸エチル(36mL)及び無水硫酸ナトリウム(1.26g)、N-メチルモル
ホリン(0.14g,1.38mmol)を含む精製水(24mL)を加えて撹拌し、分
液して水層を取り除いた。有機層に精製水(9mL)を加えて撹拌、分液し、更に、酢酸
(0.45mL)を含む精製水(9mL)を加えて攪拌、分液して、有機層を得た。活性炭
(0.30g,強力白鷺(大阪ガスケミカル株式会社製))を加えて室温で約15分間以
上撹拌した後、活性炭を濾別し、活性炭をテトラヒドロフラン(9mL)で洗浄して濾液
を合致し、30mLまで減圧濃縮した。濃縮液にテトラヒドロフラン(75mL)を加え、
30mLまで減圧濃縮し、更にテトラヒドロフラン(45mL)を加え、30mLまで減圧
濃縮した。濃縮液中の水分量が8.0%(v/v)以下であることを確認後、アセトンと
1-プロパノール(30mL及び71mL)の混合液を加え、20~30℃で22時間撹拌
した。懸濁液を0~5℃に冷却後、更に24時間以上撹拌し、析出物を濾過し、濾別した
粉末を0~5℃アセトンと1-プロパノールの1:1混合液(30mL)で洗浄した。得
られた結晶を減圧下35℃で乾燥し、N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ
-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]グリシルグリシル-L-フェニルアラニル
-N-[(2-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-
メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,
12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノ
リン-1-イル]アミノ}-2-オキソエトキシ)メチル]グリシンアミドの結晶(5.
08g,収率87.0%)を得た。
【0502】
機器データは、実施例14に記載の化合物と同様であった。