(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016938
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】入出力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20250129BHJP
【FI】
G06F3/041
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119754
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】北村 一博
(57)【要約】
【課題】外部からの配線なしに電源を確保することができ、実現できる機能の制約が少ない入出力装置を提供すること。
【解決手段】入出力装置100は、表示画面上に配置されており、表示画面に対向する向きの受光面を有する太陽光パネル110と、太陽光パネル110による発電によって得られた電力を用いて動作電圧を生成する電源回路112と、電源回路112によって生成された動作電圧によって入出力動作を行う操作部114、操作検出部116とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に配置される入出力装置であって、
前記表示画面に対向する向きの受光面を有する太陽光パネルと、
前記太陽光パネルによる発電によって得られた電力を用いて動作電圧を生成する電源回路と、
前記電源回路によって生成された動作電圧によって入出力動作を行う入出力手段と、
を備えることを特徴とする入出力装置。
【請求項2】
前記表示画面の裏側にはバックライトが配置されており、
前記表示画面を通した前記バックライトの照射光によって前記太陽光パネルの発電が行われることを特徴とする請求項1に記載の入出力装置。
【請求項3】
前記バックライトは、ローカルディミングによって複数の領域のそれぞれについて輝度を設定可能であり、
前記太陽光パネルに対向する前記領域が最大輝度に維持されることを特徴とする請求項2に記載の入出力装置。
【請求項4】
前記入出力手段の動作に対応する情報を無線で送信あるいは受信する通信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の入出力装置。
【請求項5】
前記入出力手段は、利用者による操作を受け付ける操作手段と、操作手段を用いた操作内容を検出する操作検出手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の入出力装置。
【請求項6】
前記入出力手段は、音あるいは光を用いて利用者に通知する通知手段と、前記音あるいは前記光の出力内容を設定する出力処理手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置上に取り付けられる入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タッチパネル付きディスプレイ上に配置され、環状の導電体からなる操作部を回転させたときに、この操作部と連動する導電性の導電端子部の回転位置をタッチパネルによって検出するようにした入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この入力装置を用いることにより、操作部の回転位置を検出する際の非接触や誤検出を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された入力装置のような入力装置は、外部からの給電がないため給電のための配線が不要であって取り付けが容易であるが、実現できる機能が限定されるという問題がある。また、半導体等の部品が使用できないため、設計の自由度が少ない。例えば、上述した入力装置の場合は、タッチパネルの検出機構を利用することを前提として、特定の機能を実現している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、外部からの配線なしに電源を確保することができ、実現できる機能の制約が少ない入出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の入出力装置は、表示画面上に配置される入出力装置であって、表示画面に対向する向きの受光面を有する太陽光パネルと、太陽光パネルによる発電によって得られた電力を用いて動作電圧を生成する電源回路と、電源回路によって生成された動作電圧によって入出力動作を行う入出力手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
表示画面の光を用いて太陽光パネルで発電を行い、この発電電力で動作電圧を生成しているため、入出力装置の外部からの給電のための配線が不要となる。また、電源を確保することで、半導体等の能動部品を含む回路を用いた入出力手段を構成することが可能になり、制約が少ない多種多様な入出力機能を実現することができる。
【0008】
また、上述した表示画面の裏側にはバックライトが配置されており、表示画面を通したバックライトの照射光によって太陽光パネルの発電が行われることが望ましい。これにより、画面を表示する際に使用されるバックライトの光を利用して電源を確保することが可能となる。
【0009】
また、上述したバックライトは、ローカルディミングによって複数の領域のそれぞれについて輝度を設定可能であり、太陽光パネルに対向する領域が最大輝度に維持されることが望ましい。これにより、太陽光パネルの最大の発電量を維持しながら、表示画面全体として使用状況に応じた適切な明るさを維持することができる。
【0010】
また、上述した入出力手段の動作に対応する情報を無線で送信あるいは受信する通信手段をさらに備えることが望ましい。これにより、入出力手段による入出力動作に必要な情報を、複雑な配線なしに外部との間で送受信することが可能となる。
【0011】
また、上述した入出力手段は、利用者による操作を受け付ける操作手段と、操作手段を用いた操作内容を検出する操作検出手段とを含むことが望ましい。これにより、スイッチなどの入力装置として使用することができる。
【0012】
また、上述した入出力手段は、音あるいは光を用いて利用者に通知する通知手段と、音あるいは光の出力内容を設定する出力処理手段とを含むことが望ましい。これにより、音や光を用いた通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態の入出力装置の設置状態を示す図である。
【
図2】本実施形態の入出力装置の構成を示す図である。
【
図4】入出力装置内の要部配置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態の入出力装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施形態の入出力装置100の設置状態を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の入出力装置100は、端末装置200の表示装置210の表面(表示画面)の一部に密着した状態で固定されている。表示装置210は、裏側に配置されたバックライト212によって照明された液晶表示装置が用いられている。本実施形態では、表示装置210は、ローカルディミングによって複数の領域のそれぞれについてバックライト212の輝度が別々に設定可能になっている。また、端末装置200は、スマートホンなどの携帯端末装置やタブレット端末装置などを想定しているが、バックライト212で照明される表示装置210が含まれるものであれば、携帯端末装置の形態である必要はない。例えば、パーソナルコンピュータのディスプレイやテレビ受像機などに入出力装置100を取り付けるようにしてもよい。
【0016】
図2は、本実施形態の入出力装置100の構成を示す図である。また、
図3は入出力装置100の外観形状を示す図である。
図4は、入出力装置100内の要部配置を示す断面図である。
【0017】
図2に示すように、本実施形態の入出力装置100は、太陽光パネル110、電源回路112、操作部114、操作検出部116、通信部118を備えている。この入出力装置100は、例えば円柱状の外観(
図3)を有しており、その底部が端末装置200の表示画面の一部に密着した状態で装着されている。
【0018】
太陽光パネル110は、円柱状の入出力装置100の底部に、受光面が端末装置200の表示画面に対向するように配置されている(
図4)。また、この太陽光パネル100に対向する端末装置200の表示画面の部分領域の輝度が最大となるように、ローカルディミングによってバックライト212が設定されている。なお、この部分領域の輝度を最大にするためには、バックライト212からの光の透過を阻害しないように、この部分領域に対応する表示画面の各画素の色(カラーフィルタの色)が設定されている。電源回路112は、太陽光パネル110による発電によって得られた電力を用いて入出力装置100に含まれる各構成回路の動作電圧を生成する。
【0019】
操作部114は、利用者による操作を受け付ける。
図3に示す例では、円板状の回転部材114Aが操作部114として用いられている。利用者は、指先を押しつけながらこの回転部材114Aを回転させることができる。なお、操作部114としての回転部材114Aは一例であって、その具体的な実現例は特定のものに限定されない。例えば、各種のスイッチ、操作レバー、操作つまみなどを操作部114として用いるようにしてもよい。
【0020】
操作検出部116は、操作部114を用いた利用者の操作内容を検出する。操作部114として回転部材114A(
図3)を用いた場合には、操作検出部116は、回転部材114Aの回転方向や回転量(回転角)などを検出する。
【0021】
通信部118は、操作部114の動作に対応する情報(操作検出部116によって検出した回転方向や回転量など)を、この情報を受信して処理する外部の受信部(図示せず)に向けて無線で送信する。無線方式としては、Bluetooth(登録商標)や無線LANなどを用いる場合が考えられる。また、通信相手としての受信部は、端末装置200内に設けられており、受信部で受信した情報が、同じく端末装置200内に設けられた処理部(図示せず)での処理に用いられる。
【0022】
上述した操作部114、操作検出部116が入出力手段に、操作部114が操作手段に、操作検出部116が操作検出手段に、通信部118が通信手段にそれぞれ対応する。
【0023】
このように、本実施形態の入出力装置100では、端末装置200の表示画面の光を用いて太陽光パネル110で発電を行い、この発電電力で動作電圧を生成しているため、入出力装置100の外部から給電のための配線が不要となる。また、電源を確保することで、半導体等の能動部品を含む回路を用いた操作部114や操作検出部116を構成することが可能になり、制約が少ない多種多様な入出力機能を実現することができる。
【0024】
また、端末装置200の表示画面の裏側にはバックライト212が配置され、表示画面を通したバックライト212の照射光によって太陽光パネル110の発電が行われており、一般に画面表示に使用されるバックライト212の光を利用して電源を確保することが可能となる。特に、バックライト212の複数の領域のそれぞれについて輝度が設定可能なローカルディミングの手法を用いて表示装置210の照明を行うことにより、太陽光パネル110に対応する領域の輝度を最大として太陽光パネル110の最大の発電量を維持しながら、それ以外の表示画面全体として使用状況に応じた適切な明るさ(例えば、周囲が暗い場合には輝度を下げて画面を暗くするなど)を維持することができる。
【0025】
また、操作部114の動作に対応する情報を無線で送信する通信部118を備えることにより、複雑な配線なしに、外部との間で必要な情報を送信することが可能となる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、太陽光パネル110による発電によって得られた電力を用いて電源回路112によって生成した動作電圧で各構成回路を動作させるようにしたが、電源回路112の出力電力を蓄電部113で蓄電して、この蓄電によって得られた動作電圧を各構成回路に供給するようにしてもよい。
図5は、蓄電部113を用いた変形例の入出力装置の構成を示す図である。これにより、太陽光パネル110の発電電力よりも大きな動作電力が必要な場合にも、入出力装置100Aとして安定的な動作を維持することが可能となる。なお、蓄電部113としては、二次電池やキャパシタを用いることができる。
【0027】
また、上述した実施形態では、利用者が何らかの操作を行う入出力装置100について説明したが、所定の情報を音や光で通知するようにした入出力装置についても本発明を適用することができる。
【0028】
図6は、変形例の入出力装置の構成を示す図である。
図6に示すように、変形例の入出力装置100Bは、太陽光パネル110、電源回路112、通知部114B、出力処理部116B、通信部118Bを備えている。太陽光パネル110と電源回路112は、
図2に示した入出力装置100に含まれるものと同じであって、これらによって発電および動作電圧生成が行われる。通知部114Bは、音をあるいは光を用いて利用者に通知を行う。例えば、ブザー等で音をならしたり、発光ダイオードを点灯/点滅させたり、液晶表示装置に文字や記号等を表示する場合が考えられる。出力処理部116Bは、通知対象となる音や光の内容(出力タイミングや出力音の種類、表示内容など)を設定する。通信部118Bは、通知対象となる情報を外部から無線で受信する。無線方式は、通信部118と同様に、Bluetooth(登録商標)や無線LANなどを用いる場合が考えられる。また、受信する情報については、特に制限はない。例えば、端末装置200の動作状態(動作中/待機中、異常の有無など)を示す情報が端末装置200内の送信部(図示せず)から送信され、これを通信部118Bで受信する。出力処理部116Bは、この受信した情報に基づいて音あるいは光の通知内容を設定し、通知部114Bを用いた通知が行われる。
【0029】
また、上述した入出力装置100と入出力装置100Bの両方の機能(操作と通知)を持たせるようにしたもよい。
【0030】
図7は、変形例の入出力装置の外観を示す図である。
図7に示す入出力装置100Bは、操作部として音量減少を指示するダウンボタン10Aと音量増加を指示するアップボタン10Bと、音楽再生時の音量を示すLEDのインジケータ10Cとが含まれる。ダウンボタン10Aやアップボタン10Bが押下されるとこれらの操作内容が通信部118(
図2)から送信され、インジケータ10Cを点灯させるために必要な音量情報を通信部118A(
図5)で受信すると、出力処理部116Aがインジケータ10C(通知部114A)の必要箇所を点灯させる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
上述したように、本発明によれば、表示画面の光を用いて得られた太陽光パネルの発電電力で動作電圧を生成しているため、入出力装置の外部から給電のための配線が不要となる。また、電源を確保することで、半導体等の能動部品を含む回路を用いた入出力手段を構成することが可能になり、制約が少ない多種多様な入出力機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0032】
100、100A、100B 入出力装置
110 太陽光パネル
112 電源回路
113 蓄電部
114 操作部
114A 回転部材
114A 通知部
116 操作検出部
116B 出力処理部
118、118B 通信部
200 端末装置
210 表示装置
212 バックライト