(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016940
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】誘導物誘導ツール及び誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20250129BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
H02G1/06
H02G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119758
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】000220572
【氏名又は名称】株式会社トーツー創研
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 育也
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】馬場 功
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AA01
5G352AB09
5G352CB01
5G352CK05
(57)【要約】
【課題】既に敷設された線状障害物を回避しながら新たにケーブルなどの誘導物を追加配設することもできる誘導物誘導ツールおよびその線状障害物回避方法を提供する。
【解決手段】
誘導物誘導ツール10は本体20と、誘導板30とで構成されている。本体20に設けられたカーテンレールのように中空で一部が開口しているガイドレール21が円弧状に設けられている。誘導板30には断面がL字状のレール31が円弧状に設けられている。ガイドレール21がレール31を支持案内することにより誘導板30が揺動する構成となっている。誘導物誘導ツール10の中心部分は開口部Aとなっていて、誘導板30が一方向に揺動すると開口部Aと外部が連通して、この部分に線状障害物Bを取り込むように通過していく。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状障害物を回避しながら誘導物をけん引誘導するためのツールであって、
円弧状に湾曲したレールと誘導物を取り付けるためのけん引点と前記レールの円弧の中心点側に開口部とを有する誘導板と、
前記レールを保持し揺動可能に支持案内する前記レールに沿う円弧状のガイドレールと前記ガイドレールの円弧の中心点側に開口部とを有する本体と、
を備えた誘導物誘導ツールであり、
前記ガイドレールに前記レールが案内されることによって前記本体と前記誘導板とが組み合わされた前記誘導物誘導ツールの揺動の中心部には前記線状障害物が通過可能な開口部が設けられ、前記誘導板が一方向へ揺動すると所定の角度で開口されて前記線状障害物が前記開口部と外部との間を通過可能となること
を特徴とする誘導物誘導ツール。
【請求項2】
前記本体の前記開口部は円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツール。
【請求項3】
前記本体に持ち手が装着可能であることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツール。
【請求項4】
前記レールはベアリングを円弧状に連続して配置してなることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツール。
【請求項5】
前記本体に前記線状障害物を前記開口部へと導くための導入部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツール。
【請求項6】
線状障害物を回避しながら誘導物を誘導するためのツールの線状障害物回避方法であって、
円弧状に湾曲したレールと誘導物を取り付けるためのけん引点と前記レールの円弧の中心点側に開口部とを有する誘導板と、
前記レールを保持し揺動可能に支持案内する前記レールに沿う円弧状のガイドレールと前記ガイドレールの円弧の中心点側に開口部とを有する本体と、
を備えた誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法は、
前記ガイドレールに前記レールが案内されることによって前記本体と前記誘導板とが組み合わされた前記誘導物誘導ツールの揺動の中心部には前記線状障害物が通過可能な開口部が設けられ、
前記誘導物誘導ツールの前記けん引点に誘導物を取り付けて進行すると前記誘導板が揺動して進行方向側が開口して前記線状障害物が外部から前記開口部へと通過し、
前記線状障害物が前記開口部を通過し終えると前記誘導板にぶつかりながら前記誘導板を逆方向へ揺動して進行方向側とは反対側が開口して前記線状障害物が前記開口部から外部へと通過することを特徴とする誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法。
【請求項7】
線状障害物を回避しながら誘導物をけん引誘導するためのツールであって、
複数の前記線状障害物に当接しながら直線状に移動する本体であるスライド板と、
円弧状に湾曲したガイド部を有して前記スライド板に前記ガイド部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記ガイド部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有するガイド板と、
前記ガイド板の前記線状障害物を回避する方向の揺動を押し戻す方向に付勢されたバネと、
円弧状に湾曲した誘導部を有して前記ガイド板に前記誘導部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記誘導部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有する誘導板と、
前記誘導板に回動可能に取り付けられ誘導物をけん引するためのけん引点を有するけん引板と、
前記スライド板に回動可能に取り付けられて前記ガイド板に当接して揺動を補助するための押上板と、
を備えたことを特徴とする誘導物誘導ツール。
【請求項8】
前記ガイド板にはワイヤーけん引により強制揺動させるためのワイヤー接続部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の誘導物誘導ツール。
【請求項9】
前記けん引板に複数のけん引点が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の誘導物誘導ツール。
【請求項10】
前記スライド板に持ち手が装着可能であることを特徴とする請求項7に記載の誘導物誘導ツール。
【請求項11】
線状障害物を回避しながら誘導物をけん引誘導するためのツールであって、
複数の前記線状障害物に当接しながら直線状に移動する本体であるスライド板と、
円弧状に湾曲したガイド部を有して前記スライド板に前記ガイド部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記ガイド部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有するガイド板と、
円弧状に湾曲した誘導部を有して前記ガイド板に前記誘導部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記誘導部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有する誘導板と、
前記誘導板に回動可能に取り付けられ誘導物をけん引するためのけん引点を有するけん引板と、
前記スライド板に回動可能に取り付けられて前記ガイド板に当接して揺動を補助するための押上板と、
を備えた誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法は、
本体である前記スライド板を前記線状障害物に当接しながら移動させると、
第1に前記押上板に前記線状障害物が当接して前記押上板が回動を始め、
第2に前記押上板の当接している前記ガイド板が前記押上板に押される状態で所定の方向へ揺動を開始して前記線状障害物を前記ガイド板の開口部へ誘導し、
第3に前記ガイド板が揺動を開始したのちに前記誘導板に前記線状障害物が当接して前記誘導板が所定の方向へ揺動を開始して前記線状障害物を前記誘導板の開口部へ誘導し、
第4に前記線状障害物が前記ガイド板の開口部に達して接触が解除されると前記ガイド板がバネ付勢により反対方向である初期位置方向へ揺動するとともに前記押上板も初期位置方向へ回動し、
第5に前記線状障害物が前記誘導板の開口部を通過すると前記誘導板が反対方向である初期位置方向へ揺動し、
前記線状障害物の回避が完了することを特徴とする誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に線状障害物を回避しながら誘導物を誘導するためのツールに関するものであり、特にビルなどの建設で配設されている鉄筋(配筋)を回避しながらケーブルや呼び線、可とう電線菅等の誘導物を配筋と床との間に配線するためのツールおよびその線状障害物回避方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビルの建設でのケーブル類の配線は、既に床等に鉄筋が配筋された状態で鉄筋とコンクリート床との隙間に配線する作業となっている。この配線作業では狭い隙間を鉄筋を回避しながら配線する必要があるので、作業者はかがんで配線したり、長いケーブルを一端から押し込み障害物を回避しながら配線するという非常に煩雑で重労働となっている。ケーブルが重くて取り回しが難しい場合は、あらかじめ軽量の針金状の配線ガイドを配線しておいて、一端にケーブルを結びつけて他端を引っ張ってケーブルを配線する作業が一般的である。
【0003】
また、配筋とは異なるが、電線など架空に既に配線されている一束化ハンガーや建物内で天井部に設けられているケーブルラックなどの線状障害物を回避しながら新たにケーブルを追加配線するための器具としては特許文献1や特許文献2のような装置が開発されている。
【0004】
特許文献1の発明は、架空でのケーブルを一束化するため支持線にスパイラル状などに巻かれた一束化ハンガー内に新たなケーブルを通すための通線工具であり、輪転部の各柱状部材の先端部と揺動自在に係合する牽引部と、を有し、作業者が、牽引部の後端に新たなケーブルまたはひもを取り付け、操作棒を操作して牽引部を一束化ハンガー内に挿入し、所定方向に通線工具が向かうように操作棒を操作することにより、一束化ハンガーが、輪転部の回転に伴って、保持部と牽引部との間の入り口から入り、保持部と牽引部との間の出口から出て、一束化ハンガー内における所定方向へ牽引部が移動し、 牽引部の前方の下部には、牽引部の所定方向への移動において、一束化ハンガー内にすでに敷設されたケーブルが保持部と牽引部との間に巻き込まれないように、敷設されたケーブルを掻き分ける掻き分けフィンが設けられていることを特徴としている。
【0005】
また、特許文献2の配線用器具は主に建物内の天井に設置されているケーブルラック上にケーブル等の線状部材を配線するための配線用器具であり、本体は、少なくとも3つの傾倒可能な連結体を介して離間して連結された2つの部材を備え、連結体は、2つの部材の一方に回動可能に取り付けられ、その先端部には両側に突出する突起を有し、本体の移動の際に阻害要因となる阻害部材が2つの部材の間を通過することによる接触によって傾倒し連結を解除する解除位置と、2つの部材を連結する連結位置と、の間を移動可能であって、 突起は2つの部材の他方に形成されたスリットに係合されて連結状態が維持され、 1つの連結体が阻害部材との接触によって連結が解除された際に、少なくとも2つの連結体により連結状態を維持することを特徴とする配線用器具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-46739号公報
【特許文献2】特開2018-74820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ビルの建設でのケーブル類の配線は、配線ガイドを使用したとしても非常に重労働であり現在のビル建設ラッシュにおいて作業者への負担を軽減することは急務である。
【0008】
また、特許文献1や特許文献2のような装置は特定の使用方法では非常に有用であるが、汎用性は無いに等しく、また、装置自体も比較的大型複雑で、取り回しが良いわけでは無く、さらに架空での作業となるため、その装置の大型な構造と重さが作業者の負担となる可能性もある。
【0009】
本発明は上述のような課題に鑑みなされたものであり、ビルなどの建設で配設されている鉄筋(配筋)を回避しながらケーブルや呼び線、可とう電線菅等を配筋と床との間に配線したり、また、電線など架空に既に配線されている一束化ハンガーや建物内で天井部に設けられているケーブルラックなどの既に敷設された線状障害物を回避しながら新たにケーブルなどの誘導物を追加配設することもできる誘導物誘導ツールおよびその線状障害物回避方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決したものであって、請求項1の発明は、線状障害物を回避しながら誘導物をけん引誘導するためのツールであって、円弧状に湾曲したレールと誘導物を取り付けるためのけん引点と前記レールの円弧の中心点側に開口部とを有する誘導板と、前記レールを保持し揺動可能に支持案内する前記レールに沿う円弧状のガイドレールと前記ガイドレールの円弧の中心点側に開口部とを有する本体と、を備えた誘導物誘導ツールであり、前記ガイドレールに前記レールが案内されることによって前記本体と前記誘導板とが組み合わされた前記誘導物誘導ツールの揺動の中心部には前記線状障害物が通過可能な開口部が設けられ、前記誘導板が一方向へ揺動すると所定の角度で開口されて前記線状障害物が前記開口部と外部との間を通過可能となることを特徴とする誘導物誘導ツールである。
【0011】
また、請求項2の発明は、前記本体の前記開口部は円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツールである。
【0012】
また、請求項3の発明は、前記本体に持ち手が装着可能であることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツールである。
【0013】
また、請求項4の発明は、前記レールはベアリングを円弧状に連続して配置してなることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツールである。
【0014】
また、請求項5の発明は、前記本体に前記線状障害物を前記開口部へと導くための導入部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の誘導物誘導ツールである。
【0015】
また、請求項6の発明は、線状障害物を回避しながら誘導物を誘導するためのツールの線状障害物回避方法であって、円弧状に湾曲したレールと誘導物を取り付けるためのけん引点と前記レールの円弧の中心点側に開口部とを有する誘導板と、前記レールを保持し揺動可能に支持案内する前記レールに沿う円弧状のガイドレールと前記ガイドレールの円弧の中心点側に開口部とを有する本体と、を備えた誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法は、前記ガイドレールに前記レールが案内されることによって前記本体と前記誘導板とが組み合わされた前記誘導物誘導ツールの揺動の中心部には前記線状障害物が通過可能な開口部が設けられ、前記誘導物誘導ツールの前記けん引点に誘導物を取り付けて進行すると前記誘導板が揺動して進行方向側が開口して前記線状障害物が外部から前記開口部へと通過し、前記線状障害物が前記開口部を通過し終えると前記誘導板にぶつかりながら前記誘導板を逆方向へ揺動して進行方向側とは反対側が開口して前記線状障害物が前記開口部から外部へと通過することを特徴とする誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法である。
【0016】
また、請求項7の発明は、線状障害物を回避しながら誘導物をけん引誘導するためのツールであって、複数の前記線状障害物に当接しながら直線状に移動する本体であるスライド板と、円弧状に湾曲したガイド部を有して前記スライド板に前記ガイド部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記ガイド部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有するガイド板と、前記ガイド板の前記線状障害物を回避する方向の揺動を押し戻す方向に付勢されたバネと、円弧状に湾曲した誘導部を有して前記ガイド板に前記誘導部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記誘導部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有する誘導板と、前記誘導板に回動可能に取り付けられ誘導物をけん引するためのけん引点を有するけん引板と、前記スライド板に回動可能に取り付けられて前記ガイド板に当接して揺動を補助するための押上板と、を備えたことを特徴とする誘導物誘導ツールである。
【0017】
また、請求項8の発明は、前記ガイド板にはワイヤーけん引により強制揺動させるためのワイヤー接続部が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の誘導物誘導ツールである。
【0018】
また、請求項9の発明は、前記けん引板に複数のけん引点が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の誘導物誘導ツールである。
【0019】
また、請求項10の発明は、前記スライド板に持ち手が装着可能であることを特徴とする請求項7に記載の誘導物誘導ツールである。
【0020】
また、請求項11の発明は、線状障害物を回避しながら誘導物をけん引誘導するためのツールであって、複数の前記線状障害物に当接しながら直線状に移動する本体であるスライド板と、円弧状に湾曲したガイド部を有して前記スライド板に前記ガイド部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記ガイド部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有するガイド板と、円弧状に湾曲した誘導部を有して前記ガイド板に前記誘導部が前記線状障害物を回避する際に所定の方向へ揺動可能に保持され前記誘導部の円弧の中心点側に前記線状障害物が通過するための開口部を有する誘導板と、前記誘導板に回動可能に取り付けられ誘導物をけん引するためのけん引点を有するけん引板と、前記スライド板に回動可能に取り付けられて前記ガイド板に当接して揺動を補助するための押上板と、を備えた誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法は、本体である前記スライド板を前記線状障害物に当接しながら移動させると、第1に前記押上板に前記線状障害物が当接して前記押上板が回動を始め、第2に前記押上板の当接している前記ガイド板が前記押上板に押される状態で所定の方向へ揺動を開始して前記線状障害物を前記ガイド板の開口部へ誘導し、第3に前記ガイド板が揺動を開始したのちに前記誘導板に前記線状障害物が当接して前記誘導板が所定の方向へ揺動を開始して前記線状障害物を前記誘導板の開口部へ誘導し、第4に前記線状障害物が前記ガイド板の開口部に達して接触が解除されると前記ガイド板がバネ付勢により反対方向である初期位置方向へ揺動するとともに前記押上板も初期位置方向へ回動し、第5に前記線状障害物が前記誘導板の開口部を通過すると前記誘導板が反対方向である初期位置方向へ揺動し、前記線状障害物の回避が完了することを特徴とする誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1~6の誘導物誘導ツールは、線状障害物を順に通過させるだけで障害物を回避しながら誘導物を配線することができるので非常に簡便であって作業者への負担を大幅に軽減することができ、構成も複雑でないのでツールのサイズを非常に軽量コンパクトに構成することができ、配筋を回避しながらケーブルや呼び線、可とう電線菅等を配筋と床との間に配線することができるだけで無く、架空での一束化ハンガーへの配線作業など、主に線状障害物などの誘導物誘導ツールの開口部を通過できるものであれば利用可能である汎用性も持ち合わせている。
【0022】
また、本発明の請求項7~12の誘導物誘導ツールは、ビルなどで所定の高さで大量に線状障害物が配筋されているような状況で非常にスピーディーに複数の障害物を直線状に一気に回避しながら誘導物を配線することができるので作業時間の短縮や作業者への負担の軽減ができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1の誘導物誘導ツールの図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は背面図、(f)は斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1の誘導物誘導ツールの本体の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は背面図、(f)は斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1の誘導物誘導ツールの誘導板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は背面図、(f)は斜視図である。
【
図4】本発明の実施例1の誘導物誘導ツールの線状障害物回避方法の図であり、第1は線状障害物B取り込み前の図、第2は線状障害物Bを取り込み後に線状障害物Bが誘導板にぶつかって揺動を開始する図、第3は取り込まれた線状障害物Bがツールの外へ出る際の図、第4は次の線状障害物Bを取り込む図である。
【
図5】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールの全体図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)~(h)は斜視図である。
【
図6】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールのガイド板取付部の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)~(i)は斜視図である。
【
図7】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールのガイド板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)~(i)は斜視図である。
【
図8】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールの誘導板の部品図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)~(i)は斜視図である。
【
図9】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールの誘導板の部品図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)~(i)は斜視図である。
【
図10】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールのけん引板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)~(i)は斜視図である。
【
図11】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールの押上板の図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)は右側面図、(f)~(i)は斜視図である。
【
図12】本発明の実施例2の誘導物誘導ツールの動作図である。
【
図13】本発明の実施例1と実施例2の誘導物誘導ツールの移動の軌跡の比較図であり、(a)は実施例1、(b)は実施例2である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る誘導物誘導ツールについて、図面を参照して説明する。
図1~
図4は実施例1に関する図、
図5~
図12は実施例2に関する図、
図13は実施例1と実施例2の誘導物誘導ツールの動作の軌跡の比較図である。
【実施例0025】
図1~
図4は本発明の誘導物誘導ツール10の一実施形態の図であり、特許請求の範囲でいう請求項1~6に該当する。誘導物誘導ツール10は本体20と、誘導板30とで構成されている。本体20に設けられたカーテンレールのように中空で一部が開口しているガイドレール21が円弧状に設けられている。誘導板30には断面がL字状のレール31が円弧状に設けられている。ガイドレール21がレール31を支持案内することにより誘導板30が揺動する構成となっている。誘導物誘導ツール10の中心部分は開口部Aとなっていて、誘導板30が一方向に揺動すると開口部Aと外部が連通して、この部分に線状障害物Bを取り込むように通過していく。なお、誘導物誘導ツール10の材質は主に樹脂で構成されているがこれに限らずステンレスなどの金属製で構成されても良い。
【0026】
本体20は
図2のように、飛行機の翼形状に似た板に円弧状のガイドレール21が設けられた構成となっている。中心部は円弧状の開口部となっている。ガイドレール21はカーテンレールのように中空で一部が開口していてこの中空部分でレール31をカーテンランナーのように支持案内する。上部には図示しない持ち手を取り付けるための持ち手接続部22が設けられている。また、ガイドレール21の両脇に設けられた翼形状に似た部分は導入部23となっていて配筋などの線状障害物を開口部Aへと誘導しやすいように図では逆三角形の翼形状に似ている形状となっている。
【0027】
誘導板30は
図3のように、逆への字に似た板に円弧状のレール31が設けられた構成となっている。また、誘導板30の下端近傍には誘導物Cをけん引するためのけん引点31が設けられている。レール31は断面がL字状となっていて円弧状に設けられている。このレール31を本体20のガイドレール21の中空部分に挿通することによって本体20が誘導板30を支持し円弧状となっているのでその軌道にそって揺動する構成となっている。
【0028】
また、誘導板30のガイドレール21は図示しないベアリングを円弧状に連続して配置することによってよりスムーズに揺動するような構成としても良い。
【0029】
次に、誘導物誘導ツール10の線状障害物回避をしながらけん引して配設する方法を
図4を参照して説明する。まず第1に、誘導板30のけん引点31に誘導物Cを紐などを介して取り付けてけん引進行すると、誘導物Cの重さや接地面との摩擦で自然と誘導板30が揺動して進行方向側が開口することになる。この開口部分から配筋などの線状障害物Bを取り込み開口部Aへと導かれる。
【0030】
第2に、開口部Aに線状障害物Bを取り込んだ状態のままさらに進行すると、線状障害物Bが誘導板30の内壁に接触し
図4の第2の図のように誘導板30が線状障害物Bに押されて反時計方向へ揺動し始める。
【0031】
第3に、第2の状態からさらに進行すると、誘導板30が揺動して進行方向と反対側が開口することになる。この開口部分から取り込まれた線状障害物Bが誘導物誘導ツール10の外へ出る。
【0032】
第4は、誘導物Cの重さや接地面との摩擦で自然と誘導板30が揺動して進行方向側が開口することになり第1の状態に戻る。これを繰り返すことにより線状障害物Bを回避しながら誘導物Cを簡単に配設することができる。
また、ガイド板120にはワイヤー接続部124が設けられていて、ここにワイヤーを取り付けることにより作業者がワイヤーを引くとガイド板120が強制揺動されて線状障害物Bを開口部Aに誘導することができるので、例えば線状障害物Bが複数連なって配置されている場合には一度に回避誘導動作を行うことができる。
また、誘導板130は自重及び接続された誘導物Cの重さや接地面との摩擦で自然と初期位置方向へ戻る力が作用するため、線状障害物Bが開口部Aを通過するとバネ付勢をせずとも初期位置へ揺動完了する優れた構造となっている。
実施例1の誘導物誘導ツール10は構造が比較的簡単で軽量コンパクトに構成されていて、線状障害物Bの配置が規則的で無く高さも異なるような場面での回避誘導に長けている。実施例2の誘導物誘導ツール100は長めのスライド板を有しているので、線状障害物Bの配置が同じ高さのような直線的に配置されているようなビルの配筋などの場面での回避誘導を非常にスピーディーに行うことができる。