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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025016951
(43)【公開日】2025-02-05
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20250129BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20250129BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250129BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J11/02
B41J2/01 305
B41J2/01 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119775
(22)【出願日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】324012246
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】奥田 美沙輝
(72)【発明者】
【氏名】野中 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭洋
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
【Fターム(参考)】
2C056EA24
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA44
2C056HA46
2C058AB05
2C058AC07
2C058AE04
2C058AE08
2C058AE14
2C058AF31
2C058AF51
2C058DA21
2C058DA27
2C058DA35
2C058DA38
2C058LA03
2C058LA14
2C058LB05
2C058LB27
2C058LB42
(57)【要約】
【課題】製造時においてカッター溝を容易に形成することが可能なプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ10は、媒体5を支持するプラテン60と、プラテン60に支持された媒体5を搬送方向Xの上流側から下流側に搬送する搬送機構50と、プラテン60の搬送方向Xの下流側に配置され、プラテン60から搬送された媒体5を支持するエプロン80と、プラテン60とエプロン80との間において、プラテン60とエプロン80とによって形成され、走査方向Yに延びたカッター溝90と、カッター溝90の上部に設けられ、媒体5を切断するシートカッター35と、シートカッター35を走査方向Yに移動させるシートカッター移動機構40と、を備える。シートカッター35は、媒体5を切断する際に、カッター溝90に入るように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンに支持された媒体を搬送方向の上流側から下流側に搬送する搬送機構と、
前記プラテンの前記搬送方向の下流側に配置され、前記プラテンから搬送された媒体を支持するエプロンと、
前記プラテンと前記エプロンとの間において、前記プラテンと前記エプロンとによって形成され、走査方向に延びたカッター溝と、
前記カッター溝の上部に設けられ、媒体を切断するシートカッターと、
前記シートカッターを前記走査方向に移動させるシートカッター移動機構と、
を備え、
前記シートカッターは、媒体を切断する際に、前記カッター溝に入るように構成された、プリンタ。
【請求項2】
前記プラテンは、
媒体を支持するプラテン支持壁と、
前記プラテン支持壁の前記搬送方向における下流側の端から下方に延びたプラテン延伸部と、
を備え、
前記エプロンは、
媒体を支持するエプロン支持壁と、
前記エプロン支持壁の前記搬送方向における上流側の端から下方に延びたエプロン延伸部と、
を備え、
前記カッター溝は、前記プラテン延伸部と前記エプロン延伸部との間に形成されている、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記プラテンおよび前記エプロンの少なくともいずれか一方には、吸着孔が貫通形成されており、
前記プラテンおよび前記エプロンによって構成され、前記吸着孔と連通する吸着室と、
前記吸着室に負圧を発生させる吸着ファンと、
を備え、
前記カッター溝は、前記吸着室に形成されており、下方に向かうにしたがって間隔が狭くなっている、請求項2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記エプロン延伸部は、下方に向かうにしたがって前記プラテン延伸部側に近づくように傾斜している、請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記プラテン延伸部の下端と、前記エプロン延伸部の下端との間隔は、前記吸着孔の直径よりも小さい、請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記エプロンは、前記プラテンよりも薄い板状の部材によって形成され、
前記吸着孔は、前記エプロンに形成されている、請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項7】
前記プラテン延伸部の下端、および、前記エプロン延伸部の下端の少なくともいずれか一方に接続され、前記搬送方向に延びた底板を備えた、請求項2に記載されたプリンタ。
【請求項8】
前記プラテンは、前記プラテン延伸部よりも前記搬送方向における上流側の端部から下方に延び、かつ、前記底板に接続される他のプラテン延伸部を備え、
前記プラテン支持壁、前記プラテン延伸部、前記底板、および前記他のプラテン延伸部に囲まれたヒータ室と、
前記ヒータ室に配置されたヒータと、
を備えた、請求項7に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ロール状の記録媒体に対して印刷を行うインクジェットプリンタが開示されている。このインクジェットプリンタは、記録媒体が載置されるプラテンと、プラテンの上方において主走査方向に移動可能なキャリッジとを備えている。プラテンには、主走査方向に延びたカッター溝が形成されている。キャリッジには、記録媒体を主走査方向に切断して2分割するシートカッターが設けられている。
【0003】
プラテンに載置された記録媒体を2分割に切断する際、カッター溝上に記録媒体が配置されている状態において、シートカッターをカッター溝に入り込ませる。このとき、シートカッターは、記録媒体を貫通する。このような状態で、キャリッジと共にシートカッターを主走査方向に移動させることで、記録媒体を2分割に切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-15578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記インクジェットプリンタでは、プラテンの上面にカッター溝が形成されている。そのため、インクジェットプリンタの製造時において、例えばプラテン形成時に押し出し加工などを行うことによって、カッター溝を形成していた。カッター溝を形成するための作業は、出来るだけ簡易的であることが好ましい。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造時においてカッター溝を容易に形成することが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、媒体を支持するプラテンと、搬送機構と、エプロンと、カッター溝と、シートカッターと、シートカッター移動機構とを備えている。前記搬送機構は、前記プラテンに支持された媒体を搬送方向の上流側から下流側に搬送する。前記エプロンは、前記プラテンの前記搬送方向の下流側に配置され、前記プラテンから搬送された媒体を支持する。前記カッター溝は、前記プラテンと前記エプロンとの間において、前記プラテンと前記エプロンとによって形成され、走査方向に延びている。前記シートカッターは、前記カッター溝の上部に設けられ、媒体を切断する。前記シートカッター移動機構は、前記シートカッターを前記走査方向に移動させる。前記シートカッターは、媒体を切断する際に、前記カッター溝に入るように構成されている。
【0008】
前記プリンタによれば、プラテンとエプロンとの間の隙間によって、カッター溝を形成することができる。よって、従来のように例えばプラテン形成時に押し出し加工などを行うことなく、カッター溝を形成することができるため、カッター溝を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造時においてカッター溝を容易に形成することが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るプリンタを示す斜視図である。
図2】実施形態に係るプリンタを示す正面図である。
図3】インクジェットヘッドおよびカッティングヘッドを示す正面図である。
図4】プラテン、上流側エプロンおよび下流側エプロンを示す右側面断面図である。
図5】プラテン、上流側エプロンおよび下流側エプロンを示す平面図である。
図6図4の範囲Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、実施形態に係るプリンタ10を示す斜視図である。図2は、実施形態に係るプリンタ10を示す正面図である。以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10から上記ユーザに近づく方を前方、上記ユーザから遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。図面中の符号Yは走査方向を示している。本実施形態では、走査方向Yは左右方向である。符号Xは搬送方向を示している。搬送方向Xは、平面視において走査方向Yと交差(詳しくは直交)している。本実施形態では、搬送方向Xは前後方向である。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ10は、媒体5に対して印刷および切断(カッティング)が可能なプリント&カット機である。プリンタ10は、印刷機能を有する。プリンタ10は、いわゆるインクジェット方式のプリンタであり、インクジェットプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は、インクジェット方式に限定されず、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
【0014】
媒体5は、例えば記録紙である。ただし、媒体5は、記録紙に限定されない。例えば媒体5は、PVC、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシートや、台紙と台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材であってもよいし、樹脂製やガラス製などの透明なシートであってもよいし、金属製やゴム製等のシートであってもよい。本明細書において「切断」、「カッティング」には、媒体5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、媒体5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とが含まれる。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、箱状に形成されたプリンタ本体10aと、ロール支持部材18とを備えている。プリンタ本体10aには、内部空間12Sが形成されている。プリンタ本体10aには、フロントカバー23が含まれる。ここでは、フロントカバー23は、上端を軸に回転可能に、プリンタ本体10aに支持されている。フロントカバー23を上方に回転させることによって、プリンタ本体10aの内部空間12Sと外部空間とが連通される。内部空間12Sは、後述するインクジェットヘッド21(図2参照)によって媒体5に印刷が行われる空間である。このように、内部空間12Sがフロントカバー23によって覆われていることによって、印刷中などにおいて外部の塵および埃が内部空間12Sに入り込み難い。
【0016】
図1に示すように、フロントカバー23の下部には、窓23Aが設けられている。窓23Aは、例えば透明または半透明のアクリル板によって形成されている。窓23Aには、外部からの光(例えば紫外線)が内部空間12Sに到達し難いように処理が施されている。ユーザは、窓23Aを通じてプリンタ本体10aの内部(ここでは内部空間12S)を視認することが可能である。
【0017】
ロール支持部材18は、プリンタ本体10aの下方に配置されている。ロール支持部材18は、走査方向Yに延びた部材であり、ロール状に形成された媒体5を支持する。ロール支持部材18に支持された媒体5がプリンタ本体10aを通り、プリンタ10の後方から前方に向かって引き出される。引き出された媒体5は、後述するプラテン60(図2参照)に支持される。
【0018】
次に、プリンタ10の内部構成について説明する。図3は、インクジェットヘッド21およびカッティングヘッド31を示す正面図である。図4は、プラテン60、上流側エプロン70および下流側エプロン80を示す右側面断面図である。図5は、プラテン60、上流側エプロン70および下流側エプロン80を示す平面図である。図4に示すように、プリンタ10は、プラテン60と、上流側エプロン70と、下流側エプロン80と、ガイドレール15(図2参照)と、キャリッジ17と、インクジェットヘッド21と、カッティングヘッド31と、シートカッター35と、ヘッド移動機構40(図2参照)と、搬送機構50と、を備えている。
【0019】
図4に示すように、プラテン60は、媒体5への印刷、および、媒体5を切断する際、媒体5を支持するものである。プラテン60は、媒体5を支持する支持面61aを有している。支持面61aは、プラテン60の上面を構成しており、走査方向Yおよび搬送方向Xに広がった平らな面である。ここでは、支持面61aに媒体5が載置される。媒体5への印刷は、支持面61aで行われる。
【0020】
本実施形態では、媒体5は、プラテン60上を搬送方向Xの上流側から下流側に向かって搬送される。ここで、搬送方向Xの上流側とは、プラテン60の後方側のことをいう。搬送方向Xの下流側とは、プラテン60の前方側のことをいう。ここでは、媒体5は、プラテン16に対して後方側から前方側に向かって搬送される。
【0021】
上流側エプロン70は、プラテン60における搬送方向Xの上流側、ここでは後方側に配置されている。上流側エプロン70は、例えば横断面円弧状に形成されている。上流側エプロン70は、プラテン60から搬送方向Xの上流側に向かって離れるほど下方に向かうように湾曲した上流側湾曲面71aを有している。上流側湾曲面71aは、上流側エプロン70の上面を構成している。
【0022】
下流側エプロン80は、本発明のエプロンの一例である。下流側エプロン80は、プラテン60における搬送方向Xの下流側、ここでは前方側に配置されている。下流側エプロン80は、例えば横断面円弧状に形成されている。下流側エプロン80は、プラテン60から搬送方向Xの下流側に向かって離れるほど下方に向かうように湾曲した下流側湾曲面81aを有している。下流側湾曲面81aは、下流側エプロン80の上面を構成している。
【0023】
本実施形態では、ロール支持部材18から搬送された媒体5は、上流側エプロン70において上流側湾曲面71a上を通過し、プラテン60の支持面61aに搬送される。プラテン60に支持された媒体5は、下流側エプロン80に向かって搬送され、下流側エプロン80において下流側湾曲面81a上を通過し、その後、下流側エプロン80における搬送方向Xの下流側に排出される。なお、プラテン60、上流側エプロン70、下流側エプロン80の詳しい構成については、後述する。
【0024】
図2に示すように、ガイドレール15は、プラテン60および下流側エプロン80よりも上方に配置されている。図示は省略するが、ガイドレール15は、上流側エプロン70よりも上方に配置されている。ガイドレール15は、走査方向Yに延びている。ガイドレール15は、例えばプリンタ本体10a内において走査方向Yに延びた本体フレーム19に固定されている。
【0025】
図3に示すように、キャリッジ17は、ガイドレール15に支持され、ガイドレール15に対して走査方向Yに摺動可能に構成されている。ここでは、キャリッジ17は、プラテン60の真上であって、平面視においてプラテン60と搬送方向Xに重なる位置に配置されている。ここでは、キャリッジ17は、インクヘッドキャリッジ20と、カッティングキャリッジ30とを有している。インクヘッドキャリッジ20には、インクジェットヘッド21が設けられている。カッティングキャリッジ30には、カッティングヘッド31が設けられている。ここでは、キャリッジ17が走査方向Yに移動すると、インクジェットヘッド21およびカッティングヘッド31が走査方向Yに移動する。本実施形態では、カッティングキャリッジ30は、インクヘッドキャリッジ20の左方に配置されているが、インクヘッドキャリッジ20の右方に配置されていてもよい。ここでは、インクヘッドキャリッジ20とカッティングキャリッジ30とは、連結部材29を介して相互に連結されている。そのため、インクヘッドキャリッジ20とカッティングキャリッジ30とは、同時に走査方向Yに移動する。
【0026】
インクジェットヘッド21は、プラテン60に支持された媒体5に印刷を行う。インクジェットヘッド21は、走査方向Yに移動可能に構成されている。インクジェットヘッド21は、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)を有する記録ヘッド22を有している。なお、記録ヘッド22の数は特に限定されない。本実施形態では、記録ヘッド22の数は5つであり、5つの記録ヘッド22が、インクヘッドキャリッジ20に支持されている。5つの記録ヘッド22は、走査方向Yに並んで配置されている。5つの記録ヘッド22は、互いに異なる色のインクを吐出する。ここでは、各記録ヘッド22は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクおよびブラックインクなどのプロセスカラーインク、ならびに、クリアインク、ホワイトインクなどのプロセスカラーインクとは異なる特色インクのうちの何れかの色のインクを吐出する。
【0027】
カッティングヘッド31は、プラテン60に支持された媒体5を切断する。カッティングヘッド31は、走査方向Yに移動可能に構成されている。図3に示すように、カッティングヘッド31は、ソレノイド32と、カッター33とを備えている。カッター33は、ソレノイド32を介してカッティングキャリッジ30に取り付けられている。ここでは、ソレノイド32がON/OFFされると、カッター33は、上下方向に移動して媒体5に接触し、あるいは媒体5から離反する。本実施形態では、カッター33は、例えばカットデータに基づいて媒体5を切断するものであり、直線状の他に曲線状に媒体5を切断することが可能である。
【0028】
本実施形態では、図3に示すように、カッティングヘッド31は、シートカッター35を備えている。シートカッター35は、媒体5を走査方向Yに沿って直線状に切断するときに使用されるものである。シートカッター35によって切断された媒体5は、搬送方向Xの上流側の部分と、搬送方向Xの下流側の部分とに2分割される。以下の説明において、媒体5を走査方向Yに沿って直線状に2分割に切断することを「シートカット」という。シートカッター35は、カッター33とは用途が異なり、カットデータに基づいて媒体5を切断したり、曲線状や搬送方向Xに沿った直線状に媒体5を切断したりするものではない。シートカッター35は、シートカット専用のカッターである。本実施形態では、シートカッター35は、カッティングヘッド31に取り付けられており、カッティングヘッド31に対して上下方向に移動可能に構成されている。例えばシートカッター35は、図示しないソレノイドに取り付けられており、ソレノイドをON/OFFさせることで上下方向に移動されるように構成されてもよい。ただし、シートカッター35は、インクジェットヘッド21に設けられており、インクジェットヘッド21に対して上下方向に移動可能に構成されていてもよい。
【0029】
ヘッド移動機構40は、プラテン60に支持された媒体5に対して、キャリッジ17(言い換えると、インクジェットヘッド21およびカッティングヘッド31)を相対的に走査方向Yに移動させる。なお、ヘッド移動機構40の構成は特に限定されない。図2に示すように、ヘッド移動機構40は、左右のプーリ41、42と、ベルト43と、キャリッジモータ44とを備えている。左のプーリ41は、ガイドレール15の左端部の周囲に設けられている。右のプーリ42は、ガイドレール15の右端部の周囲に設けられている。ベルト43は、例えば無端状であり、左右のプーリ41、42に巻き掛けられている。ベルト43は、キャリッジ17の背面上部に固定されている。ここでは、左のプーリ41にキャリッジモータ44が接続されている。本実施形態では、キャリッジモータ44が駆動して、左のプーリ41が回転することによって、左右のプーリ41、42の間においてベルト43が走行する。このことによって、キャリッジ17は走査方向Yに移動する。キャリッジ17が走査方向Yに移動することによって、インクヘッドキャリッジ20およびカッティングキャリッジ30が走査方向Yに移動し、インクジェットヘッド21(ここでは5つの記録ヘッド22)、および、カッティングヘッド31(ここではカッター33およびシートカッター35)が走査方向Yに移動する。本実施形態では、ヘッド移動機構40は、シートカッター35を走査方向Yに移動させるシートカッター移動機構の一例である。
【0030】
図4に示すように、搬送機構50は、搬送方向Xの上流側から下流側に向かって媒体5を搬送する機構である。ここでは、搬送機構50は、プラテン60に支持された媒体5を搬送方向X(ここでは下流側)に移動させる。なお、搬送機構50の構成は特に限定されない。本実施形態では、搬送機構50は、グリットローラ51と、ピンチローラ52と、フィードモータ53とを備えている。グリットローラ51は、プラテン60に設けられている。ここでは、グリットローラ51は、グリットローラ51の上部が外部に露出するように、プラテン60に埋設されている。グリットローラ51は走査方向Yに並列している。なお、グリットローラ51の数は特に限定されない。図4に示すように、ピンチローラ52は、グリットローラ51の上方に配置されている。ピンチローラ52は、グリットローラ51と共に媒体5を挟むものであり、媒体5を押さえ付けるものである。フィードモータ53は、グリットローラ51に接続されている。ここでは、グリットローラ51とピンチローラ52との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ53が駆動することで、グリットローラ51が回転する。グリットローラ51が回転することで、プラテン60に支持された媒体5は、搬送方向Xの下流側に向かって搬送される。
【0031】
次に、プラテン60およびその周囲の構成について説明する。本実施形態では、図4に示すように、プラテン60と下流側エプロン80との間には、カッター溝90が形成されている。カッター溝90は、プラテン60と下流側エプロン80とによって形成されている。ここでは、プラテン60の下流端(ここでは前端)と、下流側エプロン80の上流端(ここでは後端)との間には隙間が形成されており、当該隙間がカッター溝90である。カッター溝90は、カッティングヘッド31に設けられたシートカッター35を使用して、媒体5を走査方向Yに直線状に2分割に切断する際、すなわちシートカットする際に、シートカッター35が入り込む溝である。図5に示すように、カッター溝90は、走査方向Yに延びた溝であり、平面視においてシートカッター35と搬送方向Xに重なる位置に形成されている。本実施形態では、図6に示すように、シートカッター35は、カッター溝90の上部に設けられている。シートカッター35は、媒体5を切断する際に、カッター溝90に入るように構成されている。
【0032】
本実施形態では、図4に示すように、プラテン60は、プラテン支持壁61と、第1プラテン延伸部62と、第2プラテン延伸部63とを有している。プラテン支持壁61は、媒体5を支持する。プラテン支持壁61は、走査方向Yおよび搬送方向Xに広がったものである。プラテン支持壁61の上面には、支持面61aが設けられている。
【0033】
第1プラテン延伸部62は、プラテン60の搬送方向Xにおける下流側の端(ここでは前端)から下方に延びている。ここでは、第1プラテン延伸部62は、本発明のプラテン延伸部の一例である。第1プラテン延伸部62は、プラテン支持壁61の前端から下方に延びている。第1プラテン延伸部62は、プラテン支持壁61と連続している。図6は、図4の範囲Aの拡大図である。図6に示すように、第1プラテン延伸部62とプラテン支持壁61とによって成す角度は直角である。第1プラテン延伸部62は、板状のものであり、走査方向Yに延びている。図4に示すように、第2プラテン延伸部63は、プラテン60の搬送方向Xの上流側の部分から下方に延びている。第2プラテン延伸部63は、第1プラテン延伸部62よりも搬送方向Xにおける上流側(ここでは後方)の端部から下方に延びている。本実施形態では、第2プラテン延伸部63は、本発明の他のプラテン延伸部の一例である。ここでは、第2プラテン延伸部63は、プラテン支持壁61の後端から下方に延びている。第2プラテン延伸部63は、プラテン支持壁61と連続している。第2プラテン延伸部63とプラテン支持壁61とによって成す角度は直角である。第2プラテン延伸部63は、第1プラテン延伸部62と同様に、板状のものであり、走査方向Yに延びている。
【0034】
本実施形態では、プラテン支持壁61と第1プラテン延伸部62と第2プラテン延伸部63によってコの字状が形成されている。プラテン支持壁61、第1プラテン延伸部62および第2プラテン延伸部63は、1つの第1部材65によって形成されている。第1部材65は、板状の部材であり、例えば板金である。第1部材65の搬送方向Xの中央部分がプラテン支持壁61となる。第1部材65の中央部分よりも前方に位置する第1部材65の前部を下方に折り曲げ形成することで、第1部材65の前部によって第1プラテン延伸部62が形成される。更に、第1部材65の中央部分よりも後方に位置する第1部材65の後部を下方に折り曲げ形成することで、第1部材65の後部によって第2プラテン延伸部63が形成される。
【0035】
図4に示すように、下流側エプロン80は、下流側エプロン支持壁81と、第1エプロン延伸部82と、第2エプロン延伸部83とを有している。下流側エプロン支持壁81は、媒体5を支持する。下流側エプロン支持壁81は、プラテン60から前方に離れるほど下方に向かうように湾曲したものである。本実施形態では、下流側エプロン支持壁81は、本発明のエプロン支持壁の一例である。下流側エプロン支持壁81の上面には、下流側湾曲面81aが設けられている。
【0036】
第1エプロン延伸部82は、下流側エプロン80の搬送方向Xにおける下流側の端(ここでは前端)から下方に延びている。ここでは、第1エプロン延伸部82は、下流側エプロン支持壁81の前端から下方に延びている。詳しくは、第1エプロン延伸部82は、下流側エプロン支持壁81の前端から下方に向かうにしたがって後方に傾斜している。第1エプロン延伸部82は、下流側エプロン支持壁81と連続している。ここでは、第1エプロン延伸部82と下流側エプロン支持壁81とによって成す角度は鋭角である。第1エプロン延伸部82は、板状のものであり、走査方向Yに延びている。
【0037】
第2エプロン延伸部83は、下流側エプロン80の搬送方向Xの上流側の端(ここでは後端)から下方に延びている。本実施形態では、第2エプロン延伸部83は、本発明のエプロン延伸部の一例である。ここでは、第2エプロン延伸部83は、下流側エプロン支持壁81の後端から下方に延びている。図6に示すように、第2エプロン延伸部83は、下方に向かうにしたがって第1プラテン延伸部62側に近づくように傾斜している。すなわち、第2エプロン延伸部83は、下方に向かうにしたがって後方に傾斜している。第2エプロン延伸部83は、下流側エプロン支持壁81と連続している。ここでは、第2エプロン延伸部83と下流側エプロン支持壁81とによって成す角度は鈍角である。第2エプロン延伸部83は、板状のものであり、走査方向Yに延びている。
【0038】
本実施形態では、図4に示すように、下流側エプロン支持壁81、第1エプロン延伸部82および第2エプロン延伸部83は、1つの第2部材85によって形成されている。第2部材85は、板状の部材であり、例えば板金である。第2部材85の搬送方向Xの中央部分を湾曲させる。この第2部材85の湾曲した中央部分が下流側エプロン支持壁81となる。第2部材85の中央部分よりも前方に位置する第2部材85の前部を、下方かつ後方に折り曲げ形成することで、第2部材85の前部によって第1エプロン延伸部82が形成される。更に、第2部材85の中央部分よりも後方に位置する第2部材85の後部を下方かつ後方に折り曲げ形成することで、第2部材85の後部によって第2エプロン延伸部83が形成される。
【0039】
本実施形態では、図4に示すように、上流側エプロン70は、上流側エプロン支持壁71を有している。上流側エプロン支持壁71は、プラテン60から後方に離れるほど下方に向かうように湾曲したものである。上流側エプロン支持壁71の上面には、上流側湾曲面71aが設けられている。ここでは、上流側エプロン70とプラテン60との間には、隙間が形成されていない。上流側エプロン70のうち上流側エプロン支持壁71の前端部は、プラテン60の後端部に載置されている状態になっているため、上流側エプロン70とプラテン60との間には隙間が形成されていない。
【0040】
本実施形態では、下流側エプロン80(詳しくは下流側エプロン支持壁81)は、プラテン60(詳しくはプラテン支持壁61)よりも薄い板状の部材によって形成されている。すなわち下流側エプロン80を形成する第2部材85は、プラテン60を形成する第1部材65よりも厚みが薄い。また、上流側エプロン70は、プラテン60よりも薄い板状の部材によって形成されている。上流側エプロン70と下流側エプロン80との厚みは同じであるが、異なっていてもよい。
【0041】
本実施形態では、プリンタ10は、吸着装置110と、ヒータ装置120とを備えている。吸着装置110は、媒体5をプラテン60および下流側エプロン80に吸着させる装置である。吸着装置110は、プラテン60および下流側エプロン80の下方に設けられている。
【0042】
本実施形態では、下流側エプロン80には、複数の吸着孔111が形成されている。図5に示すように、吸着孔111は、下流側エプロン80のうち、下流側エプロン支持壁81の後部に形成されている。吸着孔111は、下流側エプロン80(ここでは下流側エプロン支持壁81)を上下に貫通するように形成されている。複数の吸着孔111は、走査方向Yに並列されている。ここでは、走査方向Yに並んだ吸着孔111の列の数は特に限定されず、複数であってもよい。なお、本実施形態では、吸着孔111は、下流側エプロン80に形成されているが、プラテン60(詳しくはプラテン支持壁61)に形成されていてもよい。吸着孔111は、下流側エプロン80とプラテン60の何れか一方に形成されてもよいし、下流側エプロン80とプラテン60の両方に形成されてもよい。すなわち、吸着孔111は、プラテン60および下流側エプロン80の少なくともいずれか一方に貫通形成されている。
【0043】
図4に示すように、吸着装置110は、吸着室112と、吸着ファン115と備えている。吸着室112は、プラテン60および下流側エプロン80によって構成され、吸着孔111と連通するものである。ここでは、吸着室112は、プラテン60から下流側エプロン80に亘るように配置され、かつ、プラテン60および下流側エプロン80の下方に配置されている。ここでは、吸着室112は、平面視において吸着孔111と重なるような位置に配置されている。そのため、吸着孔111は、吸着室112と、吸着室112の外部とを連通させる孔である。
【0044】
本実施形態では、吸着室112は、吸着室形成部材113と、プラテン60と、下流側エプロン80とによって囲まれた空間である。吸着室形成部材113は、プラテン60と下流側エプロン80の一部(ここでは後部)を下方から覆う部材である。吸着室形成部材113は、底壁113aと、前壁113bと、前フランジ113cと、後壁113dと、上壁113eとを有している。
【0045】
底壁113aは、プラテン60の下方に配置され、かつ、プラテン60のプラテン支持壁61と平行になるように配置されている。底壁113aは、走査方向Yおよび搬送方向Xに広がった平らなものである。前壁113bは、底壁113aの前端から上方に延びている。前壁113bの上端は、下流側エプロン80の下流側エプロン支持壁81の裏面に当接している。ここでは、図5に示すように、前壁113bは、下流側エプロン80に形成された吸着孔111よりも前方に配置されている。図4に示すように、前フランジ113cは、前壁113bの上端から後方に延びている。前フランジ113cは、下流側エプロン80に形成された吸着孔111よりも前方に配置されている。前フランジ113cは、下流側エプロン80の下流側エプロン支持壁81の裏面に固定されている。このことによって、吸着室形成部材113は、下流側エプロン80に固定される。
【0046】
後壁113dは、底壁113aの後端から上方に延びている。上壁113eは、後壁113dの上端から前方に延びている。本実施形態では、上壁113eは、プラテン60の一部を構成している。上壁113eは、プラテン60のプラテン支持壁61および第2プラテン延伸部63よりも後方に配置されている。ここでは、上壁113eの上面と、プラテン支持壁61の上面とは略面一である。上壁113eには、上流側エプロン70の上流側エプロン支持壁71の前端部が載置されている。
【0047】
なお、本実施形態では、図示は省略するが、プラテン60、上流側エプロン70および下流側エプロン80の右方および左方には、左右一対のサイドプレートが設けられている。左右一対のサイドプレートには、プラテン60、上流側エプロン70および下流側エプロン80が接続され、かつ、固定されている。また、左右一対のサイドプレートは、吸着室形成部材113の左端および右端に接続されおり、吸着室112の左方および右方は、左右一対のサイドプレートによって閉鎖されている。
【0048】
上述のように、搬送機構50のグリットローラ51は、上部が露出するようにプラテン60に埋設されている。ここでは、プラテン60(詳しくは上壁113e)には、ローラ孔68が形成されている。グリットローラ51は、このローラ孔68に上部を露出させた状態で収容されている。このような状態において、グリットローラ51とローラ孔68の縁との間には、隙間69が形成されている。この隙間69は、吸着室112と連通している。
【0049】
本実施形態では、図4に示すように、吸着ファン115は、吸着室112に負圧を発生させるものである。吸着ファン115は、吸着室112を負圧にして、媒体5をプラテン60または下流側エプロン80に吸着させるものである。ここでは、吸着ファン115は、吸着室形成部材113の底壁113aの下面に設けられている。ただし、吸着ファン115の位置は特に限定されない。本実施形態では、吸着ファン115が駆動(言い換えると回転)すると、吸着室112が負圧になり、吸着孔111、および、プラテン60のローラ孔68とグリットローラ51との隙間69を通じて、外部の空気が吸着室112に入り込もうとする。このとき、媒体5は、プラテン60(ここではプラテン支持壁61)または下流側エプロン80(ここでは下流側エプロン支持壁81)に吸着される。
【0050】
本実施形態では、図6に示すように、カッター溝90は、第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83との間に形成されている。言い換えると、カッター溝90は、第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83とに挟まれて形成されている。ここでは、第2エプロン延伸部83は、下方に向かうほど第1プラテン延伸部62側に傾斜している。そのため、カッター溝90は、吸着室112に形成されており、下方に向かうにしたがって搬送方向Xの間隔は狭くなっている。本実施形態では、第1プラテン延伸部62の下端と、第2エプロン延伸部83の下端とは接触しており、カッター溝90において、下端が閉鎖されている。ただし、第1プラテン延伸部62の下端と、第2エプロン延伸部83の下端との間には、部材の大きさのばらつきなどの影響で多少の隙間が形成されていてもよい。本実施形態では、第1プラテン延伸部62の下端と第2エプロン延伸部83の下端との搬送方向Xの間隔92は、吸着孔111の直径111a(図5参照)よりも小さい。ここで、間隔92には0が含まれるものとする。なお、本実施形態では、図5に示すように、第1プラテン延伸部62の上端と第2エプロン延伸部83の上端との搬送方向Xの間隔93は、吸着孔111の直径111aよりも大きいが、直径111aと同じであってもよいし、直径111aよりも小さくてもよい。
【0051】
図4に示すように、ヒータ装置120は、プラテン60を加熱する装置である。プラテン60が加熱されることで、プラテン60に支持された媒体5が加熱される。このことによって、媒体5に吐出されたインクの乾燥を促進させることができる。ヒータ装置120は、プラテン60の下方に設けられている。本実施形態では、ヒータ装置120は、ヒータ室121と、ヒータ122とを備えている。
【0052】
ヒータ室121は、プラテン60の下方に配置されている。ここでは、プラテン60のプラテン支持壁61の下方であって、かつ、吸着室形成部材113の底壁113aの上方には、底板125が設けられている。底板125は、走査方向Yおよび搬送方向Xに延びた板状の部材である。底板125は、プラテン支持壁61および底壁113aと平行になるように配置されている。底板125には、第1プラテン延伸部62の下端、および、第2プラテン延伸部63の下端に接続されている。なお、ここでは、下流側エプロン80の第2エプロン延伸部83の下端は、底板125に接続されていないが、底板125に接続されていてもよい。底板125は、第1プラテン延伸部62の下端、および、第2エプロン延伸部83の下端の少なくともいずれか一方に接続されている。本実施形態では、ヒータ室121は、プラテン60(詳しくはプラテン支持壁61)、第1プラテン延伸部62、第2プラテン延伸部63、および底板125によって囲まれた空間である。ここでは、ヒータ室121の左方および右方は、上述の左右一対のサイドプレートによって閉鎖されている。
【0053】
ヒータ122は、ヒータ室121に配置されている。ここでは、ヒータ122は、プラテン60のプラテン支持壁61の下面に設けられている。本実施形態では、ヒータ122は、例えばニクロム線や鉄クロム線等の電熱線である。ただし、ヒータ122の種類は特に限定されない。
【0054】
本実施形態では、記録ヘッド22から、プラテン60に支持された媒体5にインクが吐出されることで媒体5に印刷が行われる。印刷時において、ヒータ装置120のヒータ122が加熱することで、ヒータ室121の温度が上昇する。このことで、プラテン60が加熱されて、プラテン60に支持された媒体5が加熱されることになる。よって、媒体5に吐出されたインクの乾燥を促進させることができる。
【0055】
印刷時、および、カッティングヘッド31のカッター33によって、プラテン60と下流側エプロン80に支持された媒体5が切断されるときにおいて、プラテン60または下流側エプロン80から媒体5が浮き上がることがあり得る。そのため、印刷時および切断時において、吸着装置110を作動させる。ここでは、吸着装置110の吸着ファン115を回転させて、吸着室112を負圧にする。このとき、吸着孔111、および、プラテン60のローラ孔68の隙間69を通じて、外部の空気が吸着室112に入り込もうとする。よって、媒体5は、プラテン60(ここではプラテン支持壁61)または下流側エプロン80(ここでは下流側エプロン支持壁81)に吸着される。その結果、プラテン60および下流側エプロン80から媒体5が浮き上がり難くすることができる。なお、本実施形態では、第2エプロン延伸部83は、下方に向かうほど第1プラテン延伸部62側に傾斜しており、カッター溝90において、下方に向かうにしたがって搬送方向Xの間隔は狭くなっている。そのため、吸着ファン115を駆動させたとき、外部の空気がカッター溝90から吸着室112内に入り難くすることができる。よって、吸着ファン115を回転させた際に、吸着室112を負圧に形成し易くすることができる。
【0056】
なお、プリンタ10において媒体5に対する印刷および切断が終了すると、シートカッター35によって、媒体5へのシートカットが行われる。ここでは、カッター溝90上に媒体5が配置されている状態で、シートカッター35をカッター溝90に入り込ませる。このとき、シートカッター35はカッター溝90上の媒体5の部分を貫通させる。このような状態で、ヘッド移動機構40によってキャリッジ17を走査方向Yに移動させる。キャリッジ17の移動に伴い、カッティングヘッド31に設けられたシートカッター35は、カッター溝90に入り込んだ状態で、カッター溝90に沿って走査方向Yに移動する。そして、シートカッター35が走査方向Yに移動することで、シートカッター35が媒体5を走査方向Yに直線状に切断して2分割することで、シートカットが行われる。
【0057】
以上、本実施形態では、図4に示すように、プリンタ10は、媒体5を支持するプラテン60と、搬送機構50と、エプロンの一例である下流側エプロン80と、カッター溝90と、シートカッター35と、シートカッター移動機構の一例であるヘッド移動機構40とを備えている。搬送機構50は、プラテン60に支持された媒体5を搬送方向Xの上流側から下流側に搬送する。下流側エプロン80は、プラテン60の搬送方向Xの下流側に配置され、プラテン60から搬送された媒体5を支持する。カッター溝90は、プラテン60と下流側エプロン80との間において、プラテン60と下流側エプロン80とによって形成され、図5に示すように、走査方向Yに延びている。図6に示すように、シートカッター35は、カッター溝90の上部に設けられ、媒体5を切断する。ヘッド移動機構40は、シートカッター35を走査方向Yに移動させる。シートカッター35は、媒体5を切断する際に、カッター溝90に入るように構成されている。このように、プラテン60と下流側エプロン80との間の隙間によって、カッター溝90を形成することができる。よって、従来のように例えばプラテン形成時に押し出し加工などを行うことなく、カッター溝90を形成することができるため、プリンタ10の製造時において、カッター溝90を容易に形成することができる。
【0058】
本実施形態では、図4に示すように、プラテン60は、媒体5を支持するプラテン支持壁61と、プラテン支持壁61の搬送方向Xにおける下流側の端(ここでは前端)から下方に延びた第1プラテン延伸部62とを備えている。下流側エプロン80は、媒体5を支持する下流側エプロン支持壁81と、下流側エプロン支持壁81の搬送方向Xにおける上流側の端(ここでは後端)から下方に延びた第2エプロン延伸部83とを備えている。カッター溝90は、第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83との間に形成されている。このことによって、プラテン支持壁61の下流側の端部、および、下流側エプロン支持壁81の上流側の端部の剛性を高めつつ、第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83との間の隙間によってカッター溝90を容易に形成することができる。
【0059】
本実施形態では、プラテン60および下流側エプロン80の少なくともいずれか一方(ここでは、下流側エプロン80のみ)には、吸着孔111が貫通形成されている。プリンタ10は、吸着室112と、吸着ファン115とを備えている。吸着室112は、プラテン60および下流側エプロン80によって構成され、吸着孔111と連通している。吸着ファン115は、吸着室112に負圧を発生させる。カッター溝90は、吸着室112に形成されており、下方に向かうにしたがって間隔が狭くなっている。例えば吸着ファン115を回転させて、吸着室112を負圧にする際、第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83との間に形成されたカッター溝90から空気が吸着室112に入り込むことがあり得る。しかしながら、本実施形態では、カッター溝90が下方に向かうにしたがって間隔が狭くなっており、すなわち第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83とは、下方に向かうにしたがって間隔が狭くなっているため、カッター溝90を通じて外部の空気が吸着室112に入り込み難くすることができる。よって、吸着ファン115を回転させたときに、吸着室112を負圧にし易くすることができる。したがって、吸着ファン115を回転させた際、媒体5をプラテン60または下流側エプロン80に吸着し易くすることができる。
【0060】
本実施形態では、第1プラテン延伸部62の下端と、第2エプロン延伸部83の下端との間隔92(図6参照)は、吸着孔111の直径111a(図5参照)よりも小さい。ここで、間隔92には0も含まれることとする。このことによって、第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83の下端の間隔92を小さくすることができる。よって、吸着ファン115を回転させたとき、カッター溝90を通じて外部の空気が吸着室112により入り込み難くすることができるため、吸着室112を負圧にし易くすることができる。
【0061】
本実施形態では、図6に示すように、第2エプロン延伸部83は、下方に向かうにしたがって第1プラテン延伸部62側に近づくように傾斜している。このように、第2エプロン延伸部83を傾斜させるように形成するという簡単な方法で、第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83との間隔を、下方に向かうにしたがって小さくすることができる。
【0062】
本実施形態では、図4に示すように、プリンタ10は、第1プラテン延伸部62の下端、および、第2エプロン延伸部83の下端の少なくともいずれか一方に接続され、搬送方向Xに延びた底板125を備えている。このことによって、仮に第1プラテン延伸部62と第2エプロン延伸部83との間に形成されたカッター溝90から吸着室112に空気が入り込もうとした場合であっても、当該空気は、底板125に遮られることによって吸着室112に入り込み難くすることができる。よって、吸着室112を負圧にし易くすることができる。
【0063】
本実施形態では、図4に示すように、下流側エプロン80は、プラテン60よりも薄い板状の部材によって形成されている。吸着孔111は、下流側エプロン80に形成されている。このことによって、プラテン60よりも厚みが薄い下流側エプロン80に吸着孔111を形成するため、製造時において、吸着孔111を形成し易い。
【0064】
本実施形態では、プラテン80は、第1プラテン延伸部62よりも搬送方向Xにおける上流側の端部から下方に延び、かつ、底板125に接続される第2プラテン延伸部63を備えている。第2プラテン延伸部63は、他のプラテン延伸部の一例である。プリンタ10は、更に、プラテン支持壁61、第1プラテン延伸部62、底板125、および第2プラテン延伸部63に囲まれたヒータ室121と、ヒータ室121に配置されたヒータ122と、を備えている。このことによって、カッター溝90を形成するために用いられた第1プラテン延伸部62を使用して、ヒータ室121を形成することができる。よって、部品点数を削減しつつ、ヒータ122を駆動させてプラテン60上の媒体5を加熱させて、インクの乾燥を促進させることができる。
【符号の説明】
【0065】
5 媒体
35 シートカッター
40 ヘッド移動機構(シートカッター移動機構)
50 搬送機構
60 プラテン
61 プラテン支持壁
62 第1プラテン延伸部(プラテン延伸部)
63 第2プラテン延伸部(他のプラテン延伸部)
80 下流側エプロン(エプロン)
81 下流側エプロン支持壁(エプロン支持壁)
83 第2エプロン延伸部(エプロン延伸部)
90 カッター溝
111 吸着孔
112 吸着室
115 吸着ファン
121 ヒータ室
122 ヒータ
125 底板
X 搬送方向
Y 走査方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6