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特開2025-1698車両制御装置、車両制御方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001698
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/12 20120101AFI20241226BHJP
【FI】
B60W50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101313
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆太
(72)【発明者】
【氏名】高辻 誠也
(72)【発明者】
【氏名】大石 将士
(72)【発明者】
【氏名】上撫 琢也
(72)【発明者】
【氏名】松永 尚也
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 綾
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA10
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD07
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA52Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC35Z
3D241DC50Z
(57)【要約】
【課題】適切な状況において駆動力抑制制御を実行させ、不適切な状況では実行を停止する。
【解決手段】車両制御装置100、100a、100bは、センサ装置200の検知結果を利用して駐車列を特定する駐車列特定部11と、車両が駐車場内に存在するか否かを判定する駐車場内判定部12と、駆動力抑制条件が成立した場合に、車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御部13と、駆動力抑制制御の実行に関する第1例外条件であって、(i)センサ装置がレーンマーカを検出したこと、(ii)センサ装置が、車両が旋回していることを検出したこと、のうちの少なくとも一方を含む第1例外条件が成立するか否かを判定する第1例外条件判定部15と、を備える。制御部は、第1例外条件が成立した場合には、車両が駐車場内に存在すると判定され、且つ、駆動力抑制条件が成立した場合であっても、駆動力抑制制御の実行を停止する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を制御する車両制御装置(100、100a、100b)であって、
前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両とは異なる駐車車両(PV)と前記車両の周囲の駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する駐車列特定部(11)と、
前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する駐車場内判定部(12)と、
前記アクセルペダルの操作状態を取得する操作状態取得部(14)と、
前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御部(13)と、
前記駆動力抑制制御の実行に関する第1例外条件であって、
(i)前記センサ装置がレーンマーカを検出したこと、
(ii)前記センサ装置が、前記車両が旋回していることを検出したこと、
のうちの少なくとも一方を含む第1例外条件が成立するか否かを判定する第1例外条件判定部(15)と、
を備え、
前記制御部は、前記第1例外条件が成立した場合には、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記駆動力抑制条件が成立した場合であっても、前記駆動力抑制制御の実行を停止する、
車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記センサ装置の検知結果を利用して、将来における前記車両の軌跡を推定する軌跡推定部(16)と、
前記抑制制御の実行に関する第2例外条件であって、
(iii)推定された前記軌跡が、特定された前記駐車列に対して前記車両が斜めに向かう軌跡であること、
(iv)推定された前記軌跡が、前記レーンマーカから逸脱して前記車両が走行する軌軌跡であること、
のうちの少なくとも一方を含む第2例外条件が成立するか否かを判定する第2例外条件判定部(17)と、
を、さらに備え、
前記制御部は、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記駆動力抑制条件が成立した場合であって、さらに、前記第1例外条件として前記条件(i)が成立した場合であっても、前記第2例外条件が成立した場合には、前記駆動力抑制制御を実行する、車両制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御装置において、
前記抑制制御の実行に関する第3例外条件であって、
(v)推定された前記軌跡が、特定された前記駐車列のうちの手前側の端部に向かう軌跡であること、を含む第3例外条件が成立するか否かを判定する第3例外条件判定部(18)を、さらに備え、
前記制御部は、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記駆動力抑制条件が成立した場合であって、さらに、前記第1例外条件として前記条件(i)が成立し、さらに、前記第2例外条件として前記条件(iii)が成立した場合であっても、前記第3例外条件が成立した場合には、前記駆動力抑制制御を停止する、車両制御装置。
【請求項4】
周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を制御する車両制御方法であって、
前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両とは異なる駐車車両(PV)と前記車両の周囲の駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する工程と、
前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する工程と、
前記アクセルペダルの操作状態を取得する工程と、
前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御工程と、
前記駆動力抑制制御の実行に関する第1例外条件であって、
(i)前記センサ装置がレーンマーカを検出したこと、
(ii)前記センサ装置が、前記車両が旋回していることを検出したこと、
のうちの少なくとも一方を含む第1例外条件が成立するか否かを判定する工程と、
を備え、
前記制御工程は、前記第1例外条件が成立した場合には、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記駆動力抑制条件が成立した場合であっても、前記駆動力抑制制御の実行を停止する工程を含む、
車両制御方法。
【請求項5】
周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両とは異なる駐車車両(PV)と前記車両の周囲の駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する機能と、
前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する機能と、
前記アクセルペダルの操作状態を取得する機能と、
前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御機能と、
前記駆動力抑制制御の実行に関する第1例外条件であって、
(i)前記センサ装置がレーンマーカを検出したこと、
(ii)前記センサ装置が、前記車両が旋回していることを検出したこと、
のうちの少なくとも一方を含む第1例外条件が成立するか否かを判定する機能と、
をコンピュータに実現させ、
前記制御機能は、前記第1例外条件が成立した場合には、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記駆動力抑制条件が成立した場合であっても、前記駆動力抑制制御の実行を停止する機能を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両において、ドライバがブレーキペダルを踏む意図を有しながらアクセルペダルを誤って踏み込んだ場合に、アクセルペダル操作に応じた駆動力を抑制する制御(以下、「駆動力抑制制御」と呼ぶ)が提案されている。アクセルペダルの誤踏み込み操作は、主として駐車場内において行われることから、特許文献1の車両制御システムでは、自車両が駐車場内に存在することが特定された場合に、上記駆動力抑制制御を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駐車場内であることが誤って特定された場合には、例えば、公道を走行中に急加速をするためにアクセルペダルを踏んだとしても加速が行われず、乗員に違和感を与えるという問題や車のスムーズな流れを遮るといった問題が生じ得る。そこで、適切な状況において駆動力抑制制御を実行させ、且つ、不適切な状況では駆動力抑制制御の実行を停止可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態として、周囲の環境を検知可能なセンサ装置(200)とアクセルペダル(310)とを有する車両(V1)を制御する車両制御装置(100、100a、100b)が提供される。この車両制御装置は、前記センサ装置の検知結果を利用して、前記車両とは異なる駐車車両(PV)と前記車両の周囲の駐車枠(PA)とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ駐車列を特定する駐車列特定部(11)と、前記車両が、特定された前記駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する駐車場内判定部(12)と、前記アクセルペダルの操作状態を取得する操作状態取得部(14)と、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記操作状態は前記アクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、前記車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行する制御部(13)と、前記駆動力抑制制御の実行に関する第1例外条件であって、(i)前記センサ装置がレーンマーカを検出したこと、(ii)前記センサ装置が、前記車両が旋回していることを検出したこと、のうちの少なくとも一方を含む第1例外条件が成立するか否かを判定する第1例外条件判定部(15)と、を備える。前記制御部は、前記第1例外条件が成立した場合には、前記車両が前記駐車場内に存在すると判定され、且つ、前記駆動力抑制条件が成立した場合であっても、前記駆動力抑制制御の実行を停止する。
【0006】
この形態の車両制御装置によれば、車両が駐車場内に存在すると判定され、且つ、操作状態はアクセルペダルの操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、車両の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行するので、適切な状況において駆動力抑制制御を実行させることができる。また、条件(i)「センサ装置がレーンマーカを検出したこと」、条件(ii)「センサ装置が、車両が旋回していることを検出したこと」の少なくとも一方を含む第1例外条件が成立した場合には、車両が駐車場内に存在すると判定され、且つ、駆動力抑制条件が成立した場合であっても、駆動力抑制制御の実行を停止するので、公道を走行中の状況と、交差点を右折または左折するために旋回中の状況とのうちの少なくとも一方において、駐車列に相当する車両の並びが特定された場合であっても、駆動力抑制制御の実行が停止されるので、不適切な状況において駆動力抑制制御が実行されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態としての車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】駐車場に駐車する際の自車両の状況の一例を示す説明図である。
図3】渋滞列に向かう際の自車両の状況の一例を示す説明図である。
図4】交差点を右折する際の自車両の状況の一例を示す説明図である。
図5】第1実施形態における車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態の車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図7】第2実施形態における車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態の車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図9】第3実施形態における車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
図10】三叉路の交差点を左折する際の自車両の状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A-1.装置構成:
図1に示す第1実施形態の車両位置推定装置100は、車両V1に搭載されて用いられる。車両制御装置100は、車両制御装置100の他に、センサ装置200と、アクセルペダルセンサ300と、アクセルペダル310と、駆動装置410と、操舵装置420と、制動装置430とを備える。なお、車両V1を「自車両V1」とも呼ぶことがある。
【0009】
センサ装置200は、車両V1の周囲の環境を検知可能なセンサ群からなる。具体的には、センサ装置200は、カメラセンサ210と、レーダセンサ220とを含む。カメラセンサ210は、車両V1の周囲を撮像し、得られた撮像画像データを画像処理することにより、車両V1の周囲の情報、例えば、他車両や歩行者や電柱等の構造物といった障害物や、白線等の情報を検知する。カメラセンサ210は、少なくとも車両V1の前方の画像を取得する。なお、車両V1の前方に限らず、左右方向や後方の画像を取得するように、例えば、複数のカメラセンサ210を備える構成としてもよい。レーダセンサ220は、所定波長の電磁波(電波や光)を射出し、受信する反射波を利用して、車両V1の周囲の障害物を検知する。レーダセンサ220として、例えば、ミリ波レーダや、LiDAR(Light Detection and Ranging)等を用いることができる。LiDARであれば、所定波長の光を走査しながら射出し、その反射光を受光し、反射波のピークを検出した位置から障害物の方角を特定し、光の射出から反射波の受光までの時間(TOF:Time Of Flight)を利用して、障害物までの距離を特定できる。センサ装置200は、検知結果を車両制御装置100に通知する。車両制御装置100では、図示しない機能部において、障害物の特定や、白線検出など、車両V1の運転支援に用いられる情報を得るための各種処理が実行される。
【0010】
駆動装置410は、車両V1を駆動させるための装置群である。駆動装置410は、エンジンやモータジェネレータなどの駆動力を生じさせる装置と、エンジンやモータジェネレータを駆動させるための各種アクチュエータと、かかるアクチュエータを制御するためのECU(Electronic Control Unit)とを備える。車両V1は、エンジン車、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気車(EV)、燃料電池車両(FCV、FCHV)など、任意の種類の車両として構成してもよい。操舵装置420は、車両V1の操舵を行うための装置群である。操舵装置420は、ステアリングホイールと、操舵角センサと、アシスト用油圧装置と、油圧発生のためのアクチュエータと、操舵を制御するためのECUとを備える。制動装置430は、車両V1に制動力を生じさせるための装置群である。制動装置430は、ディスクロータと、ブレーキパッドと、ブレーキ用油圧装置と、油圧発生のためのアクチュエータと、制動を制御するためのECUとを備える。上述の駆動装置410、操舵装置420および制動装置430は、いずれも車両制御装置100との間で通信を行う。このとき、車両制御装置100は、これらの装置410~430に対して制御信号を送信し、他方、装置410~430から各装置における動作状態を示す信号を受信する。本実施形態では、上述の「動作状態を示す信号」には、車両V1の車速、ブレーキの操作有無、方向指示器の操作有無などを示す信号が含まれる。
【0011】
アクセルペダルセンサ300は、ドライバによるアクセルペダル310の操作量および操作速度を検知する。アクセルペダルセンサ300は、検知結果を車両制御装置100に通知する。なお、アクセルペダルセンサ300およびアクセルペダル310を、駆動装置410の一部と捉えることもできる。
【0012】
車両制御装置100は、車両V1を制御する。本実施形態において、車両制御装置100は、CPU10と、ROM20と、RAM30とが内部バス90により互いに通信可能な構成を有するECUにより構成されている。ROM20は、不揮発性メモリ、例えば、EEPROMを含み、予め制御用プログラムを記憶している。車両制御装置100は、ROM20に記憶されている上述の制御用プログラムを読みだしてRAM30に展開して実行することにより、駐車列特定部11、駐車場内判定部12、制御部13、操作状態取得部14および第1例外条件判定部15として機能する。
【0013】
駐車列特定部11は、駐車列を特定する。本実施形態において「駐車列」とは、車両V1とは異なる駐車車両と、駐車枠とのうちの少なくとも一方が、予め定められた連続閾値数以上連続して共通の方向に並んだ構成を意味する。「駐車枠」とは、車両が駐車するための区画された領域を示すための枠を意味する。具体的には、駐車場の路面に白線や黄線により描かれた矩形や直線などが該当する。駐車列特定部11は、カメラセンサ210により得られる撮像画像に対して、エッジ抽出、パターンマッチング、特徴点抽出などの画像解析処理を行うことにより、駐車枠を特定する。なお、検出された白線等から構成される区画が駐車枠であるか否かは、例えば、白線等で構成される区画の寸法と、一般的な駐車場における駐車場枠の寸法とを比較して、差分が所定の寸法の範囲内である場合に駐車枠であると判定し、差分が所定の寸法の範囲を超えている場合に駐車枠でないと判定してもよい。駐車車両についても同様に、駐車列特定部11は、レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果を利用して、障害物が静止物であり、且つ、それが車両(駐車車両)であることを特定する。上述の「連続閾値数」として、本実施形態では、「2」が設定されている。なお、「2」に限らず、2以上の任意の値が設定されてもよい。また、連続閾値数を、駐車場の規模に応じて複数種類設定してもよい。例えば、大規模駐車場に対しては、最も多い数(例えば、「8」)が設定され、中規模駐車場に対しては、2番目に多い数(例えば、「4」)が設定され、小規模駐車場に対しては、最も少ない数(例えば、「2」)が設定されてもよい。
【0014】
駐車場内判定部12は、レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果を利用して、車両V1が、駐車列特定部11により特定された駐車列を含む駐車場内に存在するか否かを判定する。具体的には、下記条件(a1)、(a2)が成立した場合に、車両V1が、駐車列特定部11により特定された駐車列を含む駐車場内に存在すると判定する。
(a1)特定された駐車列において、隣り合う駐車車両PVまたは駐車枠PA同士の距離が所定距離以下である。
(a2)車両V1は、特定された駐車列から所定距離以内に位置している。
上記条件(a1)における「所定距離」は、例えば、3m(メートル)としてもよい。なお、3mに限らず、隣り合う駐車枠PAに停車した車両同士の距離として適切な任意の距離に設定してもよい。また、上記条件(a2)における「所定距離」は、例えば、10mとしてもよい。なお、10mに限らず、特定された駐車列と同じ敷地内に存在することを特定可能な任意の距離に設定してもよい。
【0015】
制御部13は、アクセルペダル310の操作量に応じた車両V1の駆動力を抑制する制御(以下、「駆動力抑制制御」と呼ぶ)を実行する。駆動力抑制制御は、ドライバがブレーキペダルを踏む意図を有しながらアクセルペダルを誤って踏み込んだ場合に、車両V1の駆動力を抑制すること等を目的とする制御である。本実施形態において、制御部13は、車両V1が駐車場内に存在すると判定され、且つ、駆動力抑制条件が成立した場合に、駆動力抑制制御を実行する。本実施形態では、駆動力抑制制御として、車両V1の車速が所定の上限速度以下となるように、駆動装置410および制動装置430を制御する処理を意味する。なお、上限速度は、一定値であってもよく、また、アクセルペダル310の踏み込み量または踏み込み速度が大きいほど、小さな値となるように設定されてもよい。例えば、上限速度として「時速5km」が設定されてもよい。なお、駆動力抑制制御としては、上記の処理に限らず、例えば、車両V1の加速度を低減させる処理や、車両V1の車速を低減又は停車状態を維持して最終的に停車させる処理、など、車両V1の駆動力が低減可能な任意の処理としてもよい。
【0016】
本実施形態では、上述の「駆動力抑制条件」は、下記条件(b1)~(b6)のすべてが成立することである。
(b1)車両V1の車速が所定の車速閾値未満である
(b2)アクセルペダル操作量が所定の操作量閾値以上である。
(b3)アクセルペダル操作速度が所定の操作速度閾値以上である。
(b4)ブレーキが操作されていない。
(b5)方向指示器が操作されていない。
(b6)所定長さ以上連続する白線を検出していない。
なお、上記(b2)を除く他の条件(b1)、(b3)~(b6)のうちの少なくとも一部を省略してもよい。
【0017】
操作状態取得部14は、アクセルペダル310の操作状態を取得する。具体的には、本実施形態では、操作状態取得部14は、アクセルペダルセンサ300により検知されたアクセルペダル310の踏み込み量および踏み込み速度を、アクセルペダル310の操作状態として取得する。
【0018】
第1例外条件判定部15は、上述の駆動力抑制制御の実行に関する例外条件が成立するか否かを判定する。第1例外条件判定部15が成否を判定する例外条件を、「第1例外条件」と呼ぶ。第1例外条件の詳細については、後述する。
【0019】
ここで、上述した駐車列特定部11が特定する駐車列の具体例について説明する。図2に示す状況では、自車両V1は、小規模店舗S1の駐車場P1に駐車しようと、公道R1から店舗敷地Ar1内に進入している。小規模店舗S1は、例えば、コンビニエンスストアなどが該当する。なお、図2では、自車両V1を基準とした、前後、左右および上方向を矢印により示している。
【0020】
この状況では、駐車列特定部11は、レーダセンサ220およびカメラセンサ210の検知結果から、自車両V1の前方に、駐車枠PAまたは駐車車両PVが4つ並んだ駐車列L11を特定する。なお、4つ並んだ駐車枠PAと少し離れて1つの駐車枠PAが配置されている。この1つの駐車枠PAは、4つ並んだ駐車枠PAとは平行であり、大きさも同程度であるので、4つ並んだ駐車枠PA(駐車列L11)との間の距離が所定距離以下であれば、駐車列L11の一部として特定されてもよい。上述のように、連続閾値数として「2」が設定されているため、図2の状況において、駐車列特定部11は、1つの駐車列L11を特定できる。そして、駐車場内判定部12は、上記条件(b1)~(b6)が成立した場合に、自車両V1は、駐車場内に存在すると判定する。
【0021】
図3に示す状況では、自車両V1は、車線La1~La6を有する道路を走行し、渋滞の最後尾に付こうと加速している。渋滞の最後尾には、3台の他車両V11、V21、V31が並んでいる。2台の他車両V11、V12の間には空隙が空いているが、かかる空隙が上記条件(a1)を満たす場合、駐車列特定部11は、駐車列L21を特定することとなる。そして、駐車場内判定部12は、上記条件(b1)~(b6)が成立した場合に、自車両V1は、駐車場内に存在すると判定することとなる。ただし、この判定は、明らかに誤りである。なお、図3に示す状況では、センサ装置200は、複数のレーンマーカLM0、LM1、LM2、LM3、LM4、LM5を検出できる。「レーンマーカ」とは、車線と車線の境界線の他、中央分離帯や路肩との境界線などを含む広い概念であり、一般には、車両の走行方向に沿って所定の長さ以上に連続する白線や構造物により構成される。
【0022】
図4に示す状況では、自車両V1は、交差点CR1において、右折しようと旋回している。交差点CR1では、車線La11~La16を有する道路と、車線La21~La24を有する道路とが交差している。車両V1は、車線La23から右折して、車線La12に入ろうとしている。ここで、2つの車線La11、La13において、交差点CR1を越えた位置には、それぞれ他車両V21、V22が車列の最後尾に位置している。また、このとき、2つの車線La14、La15において、交差点CR1の手前の停止線には、それぞれ他車両V23、V24が停車している。ここで、2台の他車両V21、V22の間の空隙が上記条件(a1)を満たす場合、駐車列特定部11は、かかる空隙と4台の他車両V21~V24からなる駐車列L31を特定することとなる。そして、駐車場内判定部12は、上記条件(b1)~(b6)が成立した場合に、自車両V1は、駐車場内に存在すると判定することとなる。ただし、この判定は、明らかに誤りである。なお、図4に示す状況では、車両V1は交差点CR1の中にいるため、図3の例とは異なり、センサ装置200は、レーンマーカを検出できない。他方、カメラセンサ210により得られる撮像画像や、レーダセンサ220の検知結果から、センサ装置200は、自車両V1が右折のために旋回していることは検出できる。
【0023】
上述のように、図2~4の状況では、いずれも自車両V1は駐車場内に存在すると判定され、上述した条件(b1)~(b6)が成立した場合に、駆動力抑制制御が実行され得る。図2の状況は、駆動力抑制制御を実行するのに適切な状況であり、条件(b1)~(b6)が成立した場合に、駆動力抑制制御を実行させるべきである。他方、図3、4の状況は、駆動力抑制制御を実行するのに不適切な状況であり、条件(b1)~(b6)が成立した場合であっても、駆動力抑制制御の実行を停止すべき状況である。車両位置推定装置100では、後述の車両制御処理を実行することにより、図2のような適切な状況では駆動力抑制制御を実行させ、図3、4のような不適切な状況では駆動力抑制制御の実行を停止できる。
【0024】
A-2.車両制御処理:
図5に示す車両制御処理は、適切な状況において駆動力抑制制御を実行し、不適切な状況において駆動力抑制制御の実行を停止するための処理である。車両制御処理は、車両制御装置100の電源がオンすると実行される。
【0025】
ステップS105において、駐車列特定部11は、駐車列を特定したか否かを判定する。上述のように、「2」が連続閾値数として設定されているため、ステップS105では、駐車列特定部11は、少なくとも2以上の駐車車両PVまたは駐車枠PAが共通の方向に連続する駐車列があるか否かを判定する。駐車列が特定されない場合(ステップS105:NO)、ステップS105が再び実行される。
【0026】
駐車列が特定されたと判定された場合(ステップS105:YES)、駐車場内判定部12は、ステップS105により特定された駐車列を含む駐車場内に、自車両V1が存在するか否かを判定する(ステップS110)。具体的には、駐車場内判定部12は、上述のとおり、上記条件(a1)、(a2)がいずれも成立するか否かを判定する。自車両V1が駐車場内に存在しないと判定された場合(ステップS110:NO)、処理はステップS105に戻る。
【0027】
自車両V1が駐車場内に存在すると判定された場合(ステップS110:YES)、制御部13は、駆動力抑制条件が成立するか否かを判定する(ステップS115)。具体的には、制御部13は、上記条件(b1)~(b6)がいずれも成立するか否かを判定する。駆動力抑制条件が成立しないと判定された場合(ステップS115:NO)、制御部13は、駆動力抑制制御の実行を停止する(ステップS205)。なお、このステップS205は、「制御部13は、いずれの処理も実行しない」と同様である。
【0028】
駆動力抑制条件が成立したと判定された場合(ステップS115:YES)、第1例外条件判定部15は、第1例外条件が成立するか否かを判定する(ステップS120)。本実施形態において、第1例外条件は、下記条件(i)と下記条件(ii)とのうちの少なくとも一方が成立する、との条件を意味する。
(i)センサ装置200がレーンマーカを検出した
(ii)センサ装置200が、自車両V1が旋回していることを検出した
【0029】
第1例外条件が成立したと判定された場合(ステップS120:YES)、上述のステップS205が実行される。したがってこの場合、駆動力抑制制御は実行されない。図3の状況では、センサ装置200により、レーンマーカLM0~LM5が検出されるので、上記条件(i)が成立する。このため、駆動力抑制制御は実行されない。また、図4の状況では、センサ装置200によりレーンマーカは検出されない一方、自車両V1の旋回は検出される。したがって、この場合、上記条件(ii)が成立し、駆動力抑制制御は実行されない。
【0030】
第1例外条件が成立しないと判定された場合(ステップS120:NO)、制御部13は、駆動力抑制制御を実行する(ステップS200)。図2の状況では、センサ装置200は、レーンマーカと自車両V1の旋回のいずれも検出しない。したがって、第1例外条件は成立せず、駆動力抑制制御が実行されることとなる。
【0031】
以上説明した第1実施形態の車両制御装置100によれば、車両V1が駐車場内に存在すると判定され、且つ、操作状態はアクセルペダル310の操作量が予め定められた閾値量以上の状態であるとの条件を含む駆動力抑制条件が成立した場合に、車両V1の駆動力を抑制する駆動力抑制制御を実行するので、適切な状況において駆動力抑制制御を実行させることができる。また、条件(i)「センサ装置200がレーンマーカを検出したこと」、条件(ii)「センサ装置200が、車両が旋回していることを検出したこと」の少なくとも一方を含む第1例外条件が成立した場合には、車両が駐車場内に存在すると判定され、且つ、駆動力抑制条件が成立した場合であっても、駆動力抑制制御の実行を停止するので、図3に示すような公道を走行中の状況と、図4の示すような交差点を右折または左折するために旋回中の状況とのうちの少なくとも一方において、駐車列に相当する車両の並びが特定された場合であっても、駆動力抑制制御の実行が停止されるので、不適切な状況において駆動力抑制制御が実行されることを抑制できる。
【0032】
B.第2実施形態:
図6に示す第2実施形態の車両制御装置100aは、CPU10が、軌跡推定部16および第2例外条件判定部17としても機能する点において、図1に示す第1実施形態の車両制御装置100と異なる。車両制御装置100aにおけるその他の構成は、車両制御装置100と同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
軌跡推定部16は、将来における車両V1の軌跡を推定する。かかる推定は、例えば、駆動装置410、操舵装置420および制動装置430から受信する動作状態を示す信号や、センサ装置200の検知結果を利用して実行できる。例えば、軌跡推定部16は、車速や制動力や操舵角や方向指示器の操作状態といった動作状態の他、センサ装置200により検出される白線や信号機の点灯状態等の情報を利用して、自車両V1の軌跡を推定する。軌跡推定部16は、車両制御装置100aの電源オンの後、自車両V1の軌跡を繰り返し推定する。
【0034】
第2例外条件判定部17は、駆動力抑制制御の実行に関する例外条件が成立するか否かを判定する。第2例外条件判定部17が成否を判定する例外条件を、「第2例外条件」と呼ぶ。第2例外条件は、下記条件(iii)と下記条件(iv)とのうちの少なくとも一方が成立する、との条件を意味する。
(iii)推定された軌跡は、特定された駐車列に対して斜めに向かう軌跡である
(iv)推定された軌跡は、レーンマーカから逸脱して走行する軌跡である
【0035】
上記条件(iii)とは、駐車列における上述の「共通の方向」に対して、直交する方向或いは水平な方向とは異なる方向で、駐車列に向かっていく軌跡であることを意味する。また、上記条件(iv)とは、レーンマーカと平行な軌跡ではなく、レーンマーカと交差する方向の軌跡であることを意味する。
【0036】
図7に示す第2実施形態の車両制御処理は、ステップS125、S130を追加して実行する点において、図5に示す第1実施形態の車両制御処理と異なる。第2実施形態の車両制御処理におけるその他の手順は、第1実施形態の車両制御処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0037】
上述のステップS120において、第1例外条件が成立したと判定された場合(ステップS120:YES)、第2例外条件判定部17は、上記条件(i)が成立したか否かを判定する(ステップS125)。上述のとおり、第1例外条件が成立する場合、条件(i)が成立する場合としない場合とが含まれる。ステップS125では、この条件(i)の成否が判定される。
【0038】
条件(i)が成立しないと判定された場合(ステップS125:NO)、すなわち、上記条件(ii)が成立したために第1例外条件が成立した場合、上述のステップS205が実行される。したがって、この場合、駆動力抑制制御の実行は停止される。
【0039】
条件(i)が成立すると判定された場合(ステップS125:YES)、第2例外条件判定部17は、第2例外条件が成立するか否かを判定する(ステップS130)。具体的には、第2例外条件判定部17は、上述の条件(iii)、(iv)の少なくとも一方が成立するか否かを判定する。
【0040】
第2例外条件が成立しないと判定された場合(ステップS130:NO)、上述のステップS205が実行される。したがって、この場合、駆動力抑制制御の実行は停止される。他方、第2例外条件が成立すると判定された場合(ステップS130:YES)、上述のステップS200が実行される。したがって、この場合、駆動力抑制制御が実行される。
【0041】
条件(i)が成立する、すなわち、レーンマーカが検出された場合であっても、条件(iii)や(iv)が成立する場合、すなわち、自車両V1の将来の軌跡が、特定された駐車列に対して斜めに向かう軌跡であったり、レーンマーカから逸脱して走行する軌跡であったりする場合、自車両V1は、公道を異常な態様を走行することが想定される。このような場合には、駆動力抑制制御を実行することにより、自車両V1の安定走行をサポートできる。
【0042】
以上説明した第2実施形態の車両制御装置100aは、第1実施形態の車両制御装置100と同様な効果を有する。加えて、条件(iii)「推定された自車両V1の軌跡が、特定された駐車列に対して自車両V1が斜めに向かう軌跡であること」、条件(iv)「推定された自車両V1の軌跡が、レーンマーカから逸脱して自車両V1が走行する軌軌跡であること」のうちの少なくとも一方を含む第2例外条件が成立した場合には、自車両V1が駐車場内に存在すると判定され、且つ、駆動力抑制条件が成立した場合であって、さらに、第1例外条件として条件(i)が成立した場合であっても、駆動力抑制制御を実行するので、条件(iii)や条件(iv)が成立するような、公道走行中であっても明らかなアクセルペダルの誤操作が想定される状況において、駆動力抑制制御を実行させることができる。
【0043】
C.第3実施形態:
図8に示す第3実施形態の車両制御装置100bは、CPU10が、第3例外条件判定部18としても機能する点において、図6に示す第2実施形態の車両制御装置100aと異なる。車両制御装置100bにおけるその他の構成は、車両制御装置100aと同じであるので、同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0044】
第3例外条件判定部18は、駆動力抑制制御の実行に関する例外条件が成立するか否かを判定する。第3例外条件判定部18が成否を判定する例外条件を、「第3例外条件」と呼ぶ。第3例外条件は、下記条件(v)が成立する、との条件を意味する。
(v)推定された軌跡は、特定された駐車列の手前側端部に向かう軌跡である
【0045】
例えば、図10に示す状況では、自車両V1は、4つの車線La31~La34からなる道路と、6つの車線La41~La46からなる道路と、2つの車線La51~La52からなる道路とが交差する三叉路である交差点CR2を走行中である。具体的には、自車両V1は、車線La31から車線La43に移るために、交差点CR2内を走行している。このとき、3つの車線La44~La46に停車している3台の他車両V31~V32が駐車列L41として特定され得る。このとき、車線La44を区画するレーンマーカが特定される。そして、破線の矢印にて示す軌跡Trは、特定された駐車列L41の手前側端部e1に向かう軌跡である。したがって、図10の状況では、上記条件(v)が成立し、第3例外条件が成立することとなる。
【0046】
図9に示す第3実施形態の車両制御処理は、ステップS135、S140を追加して実行する点において、図7に示す第2実施形態の車両制御処理と異なる。第3実施形態の車両制御処理におけるその他の手順は、第2実施形態の車両制御処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
上述のステップS130において、第2例外条件が成立したと判定された場合(ステップS130:YES)、第3例外条件判定部18は、上記条件(iii)が成立したか否かを判定する(ステップS135)。上述のとおり、第2例外条件が成立する場合、条件(iii)が成立する場合としない場合とが含まれる。ステップS135では、この条件(iii)の成否が判定される。
【0048】
条件(iii)が成立しないと判定された場合(ステップS135:NO)、すなわち、上記条件(iv)が成立したために第2例外条件が成立した場合、第2実施形態と同様に、上述のステップS200が実行される。したがって、この場合、駆動力抑制制御が実行される。
【0049】
条件(iii)が成立すると判定された場合(ステップS135:YES)、第3例外条件判定部18は、第3例外条件が成立するか否かを判定する(ステップS140)。具体的には、第3例外条件判定部18は、上述の条件(v)が成立するか否かを判定する。
【0050】
第3例外条件が成立すると判定された場合(ステップS140:YES)、上述のステップS205が実行される。したがって、この場合、駆動力抑制制御の実行は停止される。他方、第3例外条件が成立しないと判定された場合(ステップS140:NO)、上述のステップS200が実行される。したがって、この場合、駆動力抑制制御が実行される。
【0051】
条件(v)が成立する、すなわち、レーンマーカが検出され、且つ、自車両V1の将来の軌跡が、図10のように特定された駐車列L41に対して斜めに向かう軌跡であった場合であっても、推定された軌跡Trは、特定された駐車列L41の手前側端部e1に向かう軌跡である場合には、異常な態様で自車両V1が公道を走行している状況ではない。したがって、この場合には、駆動力抑制制御の実行を停止して、スムーズな走行を実現できる。他方、条件(v)が成立しない場合には、図10のような状況は想定されず、したがって、第2実施形態と同様に、自車両V1が公道を異常な態様で走行することが想定される。このため、第3実施形態では、駆動力抑制制御を実行するようにしている。
【0052】
以上説明した第3実施形態の車両制御装置100bは、第1実施形態の車両制御装置100および第2実施形態の車両制御装置100aと同様な効果を有する。加えて、条件(v)「推定された自車両V1の軌跡が、特定された駐車列のうちの手前側の端部に向かう軌跡であること」を含む第3例外条件が成立する場合には、自車両V1が駐車場内に存在すると判定され、且つ、駆動力抑制条件が成立した場合であって、さらに、第1例外条件として条件(i)が成立し、さらに、第2例外条件として条件(iii)が成立した場合に、駆動力抑制制御を停止するので、条件(v)が成立するような状況、例えば、図10に示すように、公道の三叉路(交差点CR2)を曲がる際に、並列駐車と同様な状態で一列に並んで停車している他車両V31~V33の列が存在する場合において、駆動力抑制制御が実行されることを避けることができる。
【0053】
D.他の実施形態:
(D1)各実施形態における車両制御装置100、100a、100bは、あくまでも一例に過ぎず、様々に変更可能である。例えば、駐車場内判定部12は、自車両V1が駐車場内に存在するか否かを判定する際に、上記条件(a1)および(a2)を満たすか否かを判定することに加えて、センサ装置200の検知信頼度を考慮して判定するようにしてもよい。例えば、駐車枠PAを構成する白線の一部が掠れている或いは欠落している場合や、撮像時の天候が荒天である場合など、検知信頼度(検知精度)が低い状況においては、かかる信頼度を点数化しておき、かかる信頼度が閾値信頼度未満の場合には、各駐車場内であるとの条件が成立し難いような判定条件を設定してもよい。
【0054】
(D2)本開示に記載の車両制御装置100、100a、100b及びそれら手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の車両制御装置100、100a、100b及びそれら手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の車両制御装置100、100a、100b及びそれら手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0055】
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、車両制御方法、車両制御装置や車両制御方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【0056】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。本開示は、例えば、衝突被害軽減機能の制御方法、かかる方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体などの形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0057】
11…駐車列特定部、12…駐車場内判定部、13…制御部、14…操作状態取得部、15…第1例外条件判定部、100,100a,100b…車両制御装置、200…センサ装置、310…アクセルペダル、PA…駐車枠、PV…駐車車両、V1…車両(自車両)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10