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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025169814
(43)【公開日】2025-11-14
(54)【発明の名称】画像読取装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20251107BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20251107BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20251107BHJP
   B65H 29/52 20060101ALN20251107BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
G03B27/50 A
B65H29/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074969
(22)【出願日】2024-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐史
【テーマコード(参考)】
3F101
5C072
【Fターム(参考)】
3F101FB17
3F101FC11
3F101FD02
3F101FE17
3F101LA11
3F101LB02
5C072AA01
5C072BA20
5C072DA25
5C072EA07
5C072LA02
5C072LA07
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072NA04
5C072XA01
(57)【要約】
【課題】押圧部の押圧により搬送領域の厚みが狭くなることを防止すること。
【解決手段】画像読取装置は、ホルダ部材(115)とそのホルダ部材に取付けられるカバー部材(116)とを有する読取ユニット(110)と、透明部材(111)に対向配置されて原稿の搬送領域(AS)を形成するガイド部(123)と、主走査方向(Y)において搬送領域の外側に配置される第1突き当て部及び第2突き当て部(125A,125B)と、読取ユニットを第1突き当て部及び前記第2突き当て部を介してガイド部に押圧する押圧部(118A,118B)と、を備え、ホルダ部材は、カバー部材に当接する第1当接部(115a,115b)及び第2当接部(115c,115d)を有し、第1当接部及び第2当接部のそれぞれは、主走査方向において、第1突き当て部及び第2突き当て部の外側となる位置に配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明部材と、前記透明部材を介して画像を読取る読取部と、前記読取部を収納すると共に前記透明部材を一面に支持するホルダ部材と、前記一面とは反対側において前記ホルダ部材に取付けられるカバー部材と、を有する読取ユニットと、
前記透明部材に対向配置されて原稿の搬送領域を形成するガイド部と、
前記ガイド部と前記透明部材との間で、かつ前記読取部の主走査方向において前記搬送領域の外側に前記搬送領域を挟んで配置される第1突き当て部及び第2突き当て部と、
前記カバー部材を押圧することで前記読取ユニットを前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部を介して前記ガイド部に押圧する押圧部と、を備え、
前記ホルダ部材は、前記カバー部材に当接する第1当接部及び第2当接部を有し、
前記第1当接部及び前記第2当接部のそれぞれは、前記主走査方向において、前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部と少なくとも一部が重なる位置、又は前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部の外側となる位置に配置された、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記主走査方向において、前記第1当接部及び前記第2当接部よりも内側となる位置に配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記押圧部は、第1押圧部であり、
前記カバー部材を押圧することで前記読取ユニットを前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部を介して前記ガイド部に押圧する第2押圧部を備え、
前記第1押圧部及び前記第2押圧部のそれぞれは、前記主走査方向において、前記第1当接部及び前記第2当接部よりも内側となる位置に配置された、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1当接部及び前記第2当接部のそれぞれは、前記主走査方向において、前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部と少なくとも一部が重なる位置に配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1当接部及び前記第2当接部のそれぞれは、前記主走査方向において、前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部の外側となる位置に配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ホルダ部材は、
前記一面から前記一面とは反対側に延びて前記読取部を囲うように形成された側壁部と、
前記側壁部から、前記一面とは反対側に向けて突出するように形成された前記第1当接部及び前記第2当接部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記搬送領域に向けて原稿を搬送する搬送部を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像読取装置と、
シートに画像を形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読取る画像読取装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複合機等の画像形成装置には、原稿の画像を読取る画像読取装置(画像読取部)が備えられたものがある(特許文献1参照)。この特許文献1の画像読取部は、ADFガラス(23)を介して原稿の表側の画像を読取るCIS(30)に加え、原稿の裏側の画像を読取るCIS(31)を有する裏面CISユニット(710)が備えられている。この裏面CISユニット(710)は、位置決め突起(711d)をガイド部(702)に当接させることでガラス(705)とガイド部(702)との間に原稿の搬送領域を確保している。そして、裏面CISユニット(710)とフレーム(8)との間に設けたばね(715)によって、位置決め突起(711d)をガイド部(702)に押付けるように構成されている。即ち、このばね(715)によって、原稿の搬送領域の厚み、つまり裏面CISユニット(710)とガイド部(702)との間隔を一定位置に位置決めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-102390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような裏面CISユニット(710)は、下ケース(711b)と上ケース(711a)とにより構成されてCIS(31)を収納するケース部材(711)を備えている。そして、上記ばね(715)は上ケース(711a)を押圧することで裏面CISユニット(710)を押圧している。しかしながら、ばね(715)によって押圧されることによりケース部材(711)の全体が撓む虞があり、ケース部材(711)が撓むと、ガラス(705)も撓んで上記搬送領域の厚みを狭くし、原稿の詰まり等を発生させる虞があった。
【0005】
そこで本発明は、押圧部の押圧により搬送領域の厚みが狭くなることを防止することが可能な画像読取装置、及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、透明部材と、前記透明部材を介して画像を読取る読取部と、前記読取部を収納すると共に前記透明部材を一面に支持するホルダ部材と、前記一面とは反対側において前記ホルダ部材に取付けられるカバー部材と、を有する読取ユニットと、前記透明部材に対向配置されて原稿の搬送領域を形成するガイド部と、前記ガイド部と前記透明部材との間で、かつ前記読取部の主走査方向において前記搬送領域の外側に前記搬送領域を挟んで配置される第1突き当て部及び第2突き当て部と、前記カバー部材を押圧することで前記読取ユニットを前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部を介して前記ガイド部に押圧する押圧部と、を備え、前記ホルダ部材は、前記カバー部材に当接する第1当接部及び第2当接部を有し、前記第1当接部及び前記第2当接部のそれぞれは、前記主走査方向において、前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部と少なくとも一部が重なる位置、又は前記第1突き当て部及び前記第2突き当て部の外側となる位置に配置された、ことを特徴とする画像読取装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、押圧部の押圧により搬送領域の厚みが狭くなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は本実施形態に係るプリンタを示す全体概略図である。(b)は画像形成エンジンを示す模式図である。
図2】第1実施形態に係る裏面読取ユニット及び搬送ガイドを示す断面図である。
図3】第1実施形態に係るCISを取外した状態の裏面読取ユニット及び搬送ガイドを示す断面図である。
図4】第1実施形態に係るCISホルダ及びホルダカバーを示す分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係るCISユニットを押圧部により第1突き当て部及び第2突き当て部に押圧した状態を示す模式図である。
図6】第2実施形態に係るCISユニットを押圧部により第1突き当て部及び第2突き当て部に押圧した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
[画像形成装置の概略構成]
以下、第1実施形態について図を用いて説明する。まず、第1実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ100の概略構成について図1(a)及び図1(b)を用いて説明する。図1(a)は本実施形態に係るプリンタを示す全体概略図である。図1(b)は画像形成エンジンを示す模式図である。
【0010】
第1実施形態に係るプリンタ100は、電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ100は、図1(a)に示すように、プリンタ本体70と、プリンタ本体70の上部に装着される画像読取装置10と、を備えている。なお、以下において、シートとは、普通紙の他にも、厚紙、コート紙等の特殊紙、封筒やインデックス紙等の特殊形状からなる記録材、及びオーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルムや布などを含むものとし、原稿もシートの一例である。
【0011】
プリンタ本体70は、その内部に画像形成部としての画像形成エンジン60を有している。画像形成エンジン60は、図1(b)に示すように、電子写真方式の画像形成手段としての画像形成ユニットPUと、定着装置67と、を備えている。画像形成動作の開始が指令されると、感光体である感光ドラム61が回転し、ドラム表面が帯電装置62によって一様に帯電される。すると、露光装置63が、画像読取手段としての画像読取装置10又は外部のコンピュータから送信された画像データに基づいてレーザ光を変調して出力し、感光ドラム61の表面を走査して静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置64から供給されるトナーによって可視化(現像)されてトナー像となる。
【0012】
このような画像形成動作に並行して、不図示のカセット又は手差しトレイに積載されたシートを画像形成エンジン60へ向けて給送する給送動作が実行される。給送されたシートは、画像形成ユニットPUによる画像形成動作の進行に合わせて搬送される。そして、感光ドラム61に担持されたトナー像は、転写ローラ65によってシートに転写される。トナー像転写後に感光ドラム61上に残ったトナーは、クリーニング装置66によって回収される。未定着のトナー像が転写されたシートは、定着装置67へと受け渡されて、ローラ対に挟持されて加熱及び加圧される。トナーがシートに対して溶融及び固着して画像が定着したシートは、排出ローラ対等の排出手段によって、排出される。
【0013】
[画像読取装置]
次に、画像読取装置10について詳述する。画像読取装置10は、図1(a)に示すように、原稿トレイ121に積載された原稿を給送し排出トレイ122に排出するADF(自動原稿搬送装置)20と、ADF20によって搬送される原稿を読取る画像読取ユニット40と、を備えている。即ち、ADF20は、画像読取ユニット40に原稿としてのシートを搬送する。画像読取ユニット40は、原稿の表面の画像を読取る表面読取ユニット210を有している。このADF20は、光を透過する透光部材としてのプラテンガラス202及び原稿台ガラス(不図示)が開放可能となるように、不図示のヒンジ機構によって画像読取ユニット40に対して回動可能に支持されている。なお、シートの一例である原稿は、白紙でも、片面又は両面に画像が形成されていてもよい。また、図1(a)において、方向Xが画像読取装置10の左右方向であり、後述するCIS213の副走査方向であり、方向Z1が画像読取装置10の上下方向である。また、方向Z2は、詳しくは後述する裏面読取ユニット110の上下方向であり、つまり後述の読取ガラス111と直交する方向である。
【0014】
画像読取ユニット40は、プラテンガラス202と、そのプラテンガラス202を介してシートの第1面(表面)を読取る表面読取ユニット210とを有している。また、表面読取ユニット210は、シートに光を照射する照明211と、照明211によりシートに照射された光の反射光を複数のミラー212を介して読取るCIS213と、を有して構成されている。
【0015】
一方、ADF20は、後述の搬送路AS(搬送領域)に原稿を搬送する搬送部109として、ピックアップローラ101と、分離ローラ対102と、レジストレーションローラ対103と、搬送ローラ対104,105と、排出ローラ対106とを有している。また、ADF20には、読取ガラス111を介してCIS112によって原稿の裏面の画像を読取る裏面読取ユニット110が備えられている。なお、この裏面読取ユニット110の詳細な構成については後述する。
【0016】
画像読取装置10は、原稿トレイ121に積載された原稿をADF20により給送しながら原稿画像を走査する流し読みモードと、図示を省略した原稿台ガラスに載置された原稿を走査する固定読みモードと、により、原稿から画像を読取ることが可能である。流し読みモードは、原稿トレイ121に積載された原稿を不図示の原稿有無検知センサが検出した場合、又はプリンタ本体70の操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。
【0017】
流し読みモードが実行されると、ピックアップローラ101が回転駆動し、原稿トレイ121上にセットされた最上位の原稿の給送を開始する。ピックアップローラ101によって給送された原稿は、分離ローラ対102において1枚ずつに分離されて搬送される。搬送される原稿の先端は、停止状態のレジストレーションローラ対103に突き当たり、原稿の斜行が補正される。斜行が補正された原稿は、レジストレーションローラ対103によって搬送され、搬送ローラ対104によってプラテンガラス202の表面上を通過するように搬送され、その後、裏面読取ユニット110の読取位置を通過するように搬送される。
【0018】
原稿の表面の画像は、プラテンガラス202を介して表面読取ユニット210によって読取られ、また、原稿の裏面の画像は、裏面読取ユニット110によって読取られる。これら表面読取ユニット210及び裏面読取ユニット110のCIS213,112によって光電変換された画像情報は、制御部80(図1(a)参照)へと転送される。そして、プラテンガラス202を通過し、搬送ローラ対105によって搬送されて裏面読取ユニット110を通過した原稿は、排出ローラ対106によって排出トレイ122に排出される。
【0019】
一方、固定読みモードは、図示を省略した原稿台ガラスに載置された原稿を装置が検出した場合又はプリンタ本体70の操作パネル等によってユーザが明示的に指示した場合に選択される。この場合、不図示の原稿台ガラス上の原稿は動くことなく、表面読取ユニット210が原稿台ガラスに沿って方向Xに沿って移動して原稿を走査する。同様に表面読取ユニット210のCIS213によって光電変換された画像情報は、制御部80(図1(a)参照)へと転送される。
【0020】
[裏面読取ユニットの構成]
続いて、上記裏面読取ユニット110の詳細な構成について図2図3、及び図4を用いて説明する。図2は第1実施形態に係る裏面読取ユニット及び搬送ガイドを示す断面図である。図3は第1実施形態に係るCISを取外した状態の裏面読取ユニット及び搬送ガイドを示す断面図である。図4は第1実施形態に係るCISホルダ及びホルダカバーを示す分解斜視図である。
【0021】
図2に示すように、裏面読取ユニット110は、大まかに、透明部材としての読取ガラス111と、読取部としてのCIS112と、ホルダ部材としてのCISホルダ115と、カバー部材としてのホルダカバー116と、を有して構成されている。図2及び図4に示すように、CISホルダ115の一面である底面部115Sには、開口115fが形成されており、その開口115fに読取ガラス111が嵌め込まれて取付けられている。また、CISホルダ115は、底面部115Sから底面部115Sとは反対側に延びるように立設された側壁部111eを有して上方が開口した箱状に形成されている。CIS112は、その側壁部111eに囲まれる形で読取ガラス111に対向して配置され、CISホルダ115に収納されている。また、CISホルダ115の側壁部111eの上方には、ホルダカバー116が取付けられて固定される。ホルダカバー116は、CISホルダ115に取付けられた状態でCIS112を覆うように形成された天板部116eを有している。なお、CIS112は、天板部116eとの間に配置された不図示の付勢部材により軽微な荷重で読取ガラス111に付勢されている。
【0022】
裏面読取ユニット110と画像読取装置10の不図示のフレームとの間には、上記天板部116eの天面116Sを押圧するように、第1押圧部としての押圧部118Aと第2押圧部としての押圧部118Bとが配置されている。押圧部118A,118Bのそれぞれは、スプリング118sと、そのスプリング118sを覆うと共にスプリング118sの一端に当接するケース118aとを有して構成されている。また、上記ホルダカバー116の天板部116eには、これら押圧部118A,118Bのスプリング118sの他端が当接する受圧部116g,116gが形成されている。これら押圧部118A,118Bの配置位置、つまり受圧部116g,116gの位置は、後述する当接面115a,115b,115c,115dに対して、CIS112の主走査方向Yの内側に配置されている。これにより、押圧部118A,118Bは、画像読取装置10の不図示のフレームに対してホルダカバー116を押圧し、CISホルダ115を介して読取ガラス111を後述する突き当て部125A,125Bに押圧するように構成されている。
【0023】
なお、主走査方向Yは、画像読取装置10の左右方向(方向X)及び上下方向(方向Z2)と直交する手前奥方向であり、原稿(シート)の幅方向である。また、以下の説明において、主走査方向Yの内側或いは外側と言う場合は、主走査方向Yと直交する方向Z2から視た場合において、基準となる部材の内側或いは外側となることを言う。
【0024】
上記裏面読取ユニット110の下方には、読取ガラス111に搬送ガイド123が対向配置されている。搬送ガイド123の上面には、読取ガラス111に対向する白板となるガイド部材124が配置されている。そして、CIS112の主走査方向Yにおいて、ガイド部材124の両端部には、その表面より読取ガラス111に向けて突出している第1突き当て部としての突き当て部125Aと第2突き当て部としての突き当て部125Bが配置されて固定されている。即ち、上述の押圧部118A,118Bにより押圧された裏面読取ユニット110の読取ガラス111が突き当て部125A,125Bに突き当たる。これにより、読取ガラス111と搬送ガイド123のガイド部材124との間に、突き当て部125A,125Bの厚みによる隙間が形成され、つまり、その隙間によって、原稿が搬送される搬送領域となる搬送路ASが形成される。なお、本第1実施形態においては、突き当て部125A,125Bがガイド部材124に固定されたものを説明したが、これに限らず、裏面読取ユニット110に固定されているものでも構わない。
【0025】
[CISホルダ及びホルダカバーの当接部分]
ついで、CISホルダ115とホルダカバー116との当接部分について図4を用いて説明する。図4に示すように、CISホルダ115は、CIS112(図2参照)を囲うように4面に形成された側壁部115eを有している。そして、その側壁部115eの上部には、他の部分よりも上方に向けて突出するように4箇所の当接面115a,115b,115c,115dが形成されている。これら当接面115a,115b,115c,115dは、CISホルダ115にホルダカバー116を取付けた際に、ホルダカバー116における対応する箇所である4箇所の当接面116a,116b,116c,116dに当接するように構成されている。なお、本実施形態において、これらのうちの当接面115a,115bが第1当接部を構成し、当接面115c,115dが第2当接部を構成している。
【0026】
これらのうちの当接面115a,115bと、それに当接する当接面116a,116bとは、CIS112の主走査方向Yにおいてホルダカバー116の中央(或いはCISホルダ115の中央)に対して一方側(図4中の左側)に配置されている。また、当接面115c,115dとそれに当接する当接面116c,116dとは、CIS112の主走査方向Yにおいてホルダカバー116の中央(或いはCISホルダ115の中央)に対して他方側(図4中の右側)に配置されている。これにより、CISホルダ115とホルダカバー116とにおける当接面115a,115b,115c,115dと当接面116a,116b,116c,116dとの当接部分以外で隙間(クリアランス)を有する構造となっている。従って、ホルダカバー116の天板部116eは、これら4箇所の当接面116a,116b,116c,116dよりも主走査方向Yの中央側で、押圧部118A,118Bにより押圧された場合に湾曲する。しかしながら、天板部116eが湾曲したとしても、当接面116a,116b,116c,116d以外の部位で、CISホルダ115に当接しないように構成されている。そして、本第1実施形態において、当接面115a,115b,115c,115dと当接面116a,116b,116c,116dとの当接部分は、上述した突き当て部125A,125Bに対して、主走査方向Yの外側に配置されている(図5参照)。即ち、主走査方向Yに交差する方向Z2から視て、当接面115a,115b,115c,115dと当接面116a,116b,116c,116dとの当接部分は、突き当て部125A,125Bと重ならないようにずれて配置されている。
【0027】
[押圧部のよる押圧力の伝達]
続いて、以上のように構成された裏面読取ユニット110における押圧部118A,118Bに押圧された場合の押圧力の伝達について図5を用いて説明する。図5は第1実施形態に係るCISユニットを押圧部により第1突き当て部及び第2突き当て部に押圧した状態を示す模式図である。
【0028】
図5に示すように、ホルダカバー116は、押圧部118A,118Bにより不図示のフレームに対して下方に2箇所で荷重Pを受ける。すると、CISホルダ115の当接面115a~115dと、ホルダカバー116の当接面116a~116dとの当接部分において、ホルダカバー116からCISホルダ115に対してそれぞれ荷重Pを付与する。ここで、当接面115a~115dと当接面116a~116dとは、主走査方向に幅dを有しているが、ホルダカバー116に生じた荷重Pの作用点がこれらの当接部分よりも主走査方向の中央寄りの位置にある。このため、ホルダカバー116の天板部116eは、図5中の一点鎖線で示すように下方に撓み、荷重Pの作用点は幅dの中でも中央寄り端部の位置になる。
【0029】
一方、CISホルダ115の下面にある読取ガラス111は、搬送ガイド123に固定された突き当て部125A,125Bで下方から支持されており、上向きに荷重Pが生じる。ここで、CISホルダ115と読取ガラス111との複合体は、図5に示すように、荷重P及び荷重Pの内力を受けるが、これら荷重P及び荷重Pの作用点が主走査方向で同じではなく、荷重Pの作用点が主走査方向の外側の位置にある。このため、読取ガラス111には、図5の破線で示すように、主走査方向の中央を上方に撓ませる曲げモーメントが発生する。そのため、読取ガラス111の撓みによって、読取ガラス111と搬送ガイド123との間の隙間である搬送路AS(搬送領域)の厚みが狭くなることが防止できる。従って、原稿の搬送時に原稿に過大な搬送抵抗が発生することがなく、良好な搬送性を得ることができ、紙詰まりの発生を低減できる。また、原稿の搬送速度も過大な搬送抵抗によるムラが生じなくなるため、CIS112に読取った画像における幾何特性や色ずれ等の画質も良好にすることができる。
【0030】
<第2実施形態>
ついで、上記第1実施形態を一部変更した第2実施形態について図6を用いて説明する。図6は第2実施形態に係るCISユニットを押圧部により第1突き当て部及び第2突き当て部に押圧した状態を示す模式図である。なお、本第2実施形態の説明においては、上記第1実施形態と同様な部分に同符号を用い、その説明を省略する。
【0031】
上記第1実施形態においては、CIS112の主走査方向にあって、当接面115a~115dと当接面116a~116dとが、突き当て部125A,125Bの外側に配置されたものであった。これに対して第2実施形態においては、図6に示すように、当接面115a~115dと当接面116a~116dとが、主走査方向にあって突き当て部125A,125Bと重なるように配置したものである。即ち、当接面115a,115bと当接面116a,116bとは、主走査方向にあって突き当て部125Aに少なくとも一部が重なるように配置されている。同様に、当接面115c,115dと当接面116c,116dとは、主走査方向にあって突き当て部125Bに少なくとも一部が重なるように配置されている。
【0032】
このように構成された第2実施形態に係る裏面読取ユニット110では、上述の荷重Pと荷重Pとの方向が略一直線上に並び、CISホルダ115と読取ガラス111との複合体に曲げモーメントが生じない。従って、読取ガラス111には、押圧部118A,118Bによる荷重の影響による撓みが殆ど発生しない。これにより、読取ガラス111と搬送ガイド123との間の隙間である搬送路ASの厚みは、主走査方向の全域において略均等となり、良好な搬送性を得ることができ、紙詰まりの発生を低減できる。また、原稿の搬送速度も過大な搬送抵抗によるムラが生じなくなるため、CIS112に読取った画像における幾何特性や色ずれ等の画質も良好にすることができる。
【0033】
<他の実施形態の可能性>
なお、以上説明した第1及び第2実施形態に係る画像読取装置10においては、2つの押圧部118A,118Bを備えたものを説明したが、これに限らず、押圧部が1つ、或いは3つ以上あっても構わない。つまり押圧部の少なくとも1つが当接面115a,115b及び当接面116a,116bに対して主走査方向Yの内側に配置されていれば、押圧部の数はどのような数でも構わない。
【0034】
また、第1及び第2実施形態においては、CISホルダ115がホルダカバー116に当接する第1当接部として2箇所の当接面115a,115bを有するもの、第2当接部として2箇所の当接面115c,115dを有するものを説明した。しかしながら、これに限らず、第1当接部や第2当接部において当接する箇所の数は、少なくとも1箇所以上であれば、とのような数でも構わない。
【0035】
また、第1及び第2実施形態においては、押圧部により押圧される読取ユニットとして裏面読取ユニット110を一例に説明したが、これに限らず、原稿の表面を読取る読取ユニットでも構わない。
【0036】
また、第1及び第2実施形態においては、画像読取装置10がプリンタ100に備えられたものを説明したが、これに限らず、スキャナ装置や検品装置等、原稿の画像を読取る装置であれば、どのような装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0037】
10…画像読取装置/60…画像形成エンジン(画像形成部)/100…プリンタ(画像形成装置)/109…搬送部/110…裏面読取ユニット(読取ユニット)/111…読取ガラス(透明部材)/112…CIS(読取部)/115…CISホルダ(ホルダ部材)/115a…当接面(第1当接部)/115b…当接面(第1当接部)/115c…当接面(第2当接部)/115d…当接面(第2当接部)/115e…側壁部/116…ホルダカバー(カバー部材)/118A…押圧部(第1押圧部)/118B…押圧部(第2押圧部)/123…搬送ガイド(ガイド部)/125A…突き当て部(第1突き当て部)/125B…突き当て部(第2突き当て部)/AS…搬送路(搬送領域)/Y…主走査方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6