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  • 特開-砂蓄熱式風力発電装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025001701
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】砂蓄熱式風力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 9/18 20160101AFI20241226BHJP
   F03D 3/04 20060101ALI20241226BHJP
   F03D 1/04 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
F03D9/18
F03D3/04 Z
F03D1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101319
(22)【出願日】2023-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】304007455
【氏名又は名称】林 精一
(72)【発明者】
【氏名】林 精一
(72)【発明者】
【氏名】林 幸子
(72)【発明者】
【氏名】林 寿一
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA02
3H178AA12
3H178AA43
3H178AA66
3H178BB31
3H178BB73
3H178DD24X
3H178DD29X
3H178DD30X
(57)【要約】
【課題】砂容器内に珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材と風洞を有し、風車と、風力発電機とを、備え、前記風洞内の上昇気流によって風力発電を行う砂蓄熱式風力発電装置を提供することにある。
【解決手段】砂蓄熱式風力発電装置は、風洞内又は前記風洞前室内に設置された風車を備え、熱交換器による加熱、温熱加熱、ヒータ電力加熱等により前記砂容器内の前記砂ベース材において蓄熱を可能とし、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積とに関係する空気量の上昇気流が流れ、風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される前記風力発電機により発電を行うことと、外部からの余剰電力、又は前記風力発電機からの余剰電力を前記砂ベース材内の熱交換器による加熱、ヒータ電力などにて加熱し、熱エネルギーを蓄え、外部に電力を必要とする場合においては前記砂容器内の前記熱交換器、又は前記熱伝導線から熱エネルギーを出力する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材と、
上部開口部と下部開口部を有する風洞と、
前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、
風流入口を有すると共に、前記風洞に接続された風洞前室と、
前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材は、熱交換器による加熱、蒸気配管による温熱加熱、ヒータによる電力加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかの加熱により得られた第一熱エネルギーを蓄熱し、
前記砂ベース材に蓄熱された第一熱エネルギーによって前記風洞内の空気の温度が上昇することにより生じる前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車が駆動され、前記風車に連動して駆動される前記風力発電機により発電するように構成されており、
前記砂ベース材は、外部からの余剰電力、又は前記風力発電機からの余剰電力を熱エネルギーに変換する前記熱交換器による加熱、又は前記ヒータにより加熱により得られた第二熱エネルギーを蓄積し、
前記砂ベース材に蓄熱された前記第一熱エネルギーの一部、又は第二熱エネルギーを前記熱交換器、又は熱伝導線により外部に出力可能に構成されていることを特徴とする砂蓄熱式風力発電装置。
【請求項2】
珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材と、
上部開口部と下部開口部を有する風洞と、
前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、
風流入口を有すると共に、
前記風洞に接続され、前記風洞が延伸する上部方向と、交差する方向に延伸する風洞前室と、
前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の砂蓄熱式風力発電装置。
【請求項3】
前記風洞前室には蓋部を有し、前記蓋部は、前記風洞前室の一部を覆い開閉可能に設けられ、前記風洞前室は、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検するとき以外は、前記蓋部により閉められた状態とすることが可能であり、
前記風洞前室は、上側面に風流入口、風流入室、風流入口蓋を有し、
前記風流入口の高さは、外部からの水、砂塵の流入を防止可能に設定されていると共に、外部からの空気が流入可能に設定されており、前記風流入口の前記風流入口蓋は、風流入量の調節のための開閉を可能とし、
前記風洞前室は、側面に風流入口、及び下側面に排水・除塵部を有し、
側面の前記風流入口は、必要に応じて外部からの空気が流入可能に設定されており、
前記排水・除塵部は、排水、除塵を可能に構成されていることを特徴とする請求項2、及び請求項3に記載の砂蓄熱式風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材と、風洞と、前記砂ベース材を収納した砂容器と、前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材に外部より加熱されて熱エネルギーとして前記砂容器内に蓄熱され、前記風洞内の上昇気流によって、前期風車を駆動し、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により発電し出力することと、外部からの余剰電力、又は前記風力発電機からの余剰電力を前記砂ベース材に熱交換器、又はヒータ等にて加熱し、熱エネルギーを前記砂容器内に蓄え、外部に電力を必要とする場合においては前記砂容器内の前記熱交換器から熱エネルギーを出力することに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載には、砂利、砂類を含む砂ベース材と、上部開口部と下部開口部を有する風洞と、前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、
風流入口を有すると共に、前記風洞に接続された風洞前室と、前記風洞内又は前記風洞前室内に設置された風車と、前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材は、太陽光照射加熱、電力加熱、又は温水加熱のうち少なくともいずれかにより加熱されて熱エネルギーとして蓄熱され、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車を駆動し、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により発電を行うことを特徴とする砂蓄熱式風力発電装置。と記載されている。
【0003】
特許文献2の記載には、延直方向に設置した風洞と、前記筒状部材の周壁に設けられて前記集風板によって集約された風を前記風洞内に導く複数の風取込口と、隣接する集風板間に設けられて集風板によって集約された風によって駆動されるタービンにより駆動される風力発電装置。と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許7232559公報
【特許文献2】再表2008/0756766公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、砂ベース材としては、熱エネルギーを蓄熱する為に「珪砂」による特段効果的な砂類は特に明確にされていないこと。
熱交換器にて加熱し、蒸気配管による温熱加熱等により加熱されて熱エネルギーとして前記砂容器内に蓄熱される手段が記載されていないことと、
外部からの余剰電力、又は前記風力発電機からの余剰電力を前記砂ベース材に、熱交換器、又はヒータ等にて加熱し、熱エネルギーを前記砂容器内に蓄える手段が記載されていないことと、外部に電力を必要とする場合においては前記砂ベース材の、前記熱交換器等から熱エネルギーを出力することを特徴とする砂蓄熱式風力発電装置の記述はありません。
【0006】
特許文献2は、延直方向に設置した風洞と、前記筒状部材の周壁に設けられて前記集風板によって集約された風を前記風洞内に導く複数の風取込口と、隣接する集風板間に設けられて集風板によって集約された風によって駆動されるタービンにより駆動される風力発電装置であって、複数の風取込口をもつ風洞の構成は複雑であり、外部の風の影響(風塵等)を直接受け、建設費・維持費は高く、メンテナンス作業も困難と想定される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱エネルギーを蓄熱する砂容器内に砂ベース材と風洞を有し、前記砂ベース材は珪砂を用いて、外部より前記砂ベース材に熱エネルギーに変換する前記熱交換器による加熱、又は前記ヒータにより加熱をされて第一熱エネルギーの蓄熱を可能とし、前記風洞内の空気の温度上昇による上昇気流によって、風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される風力発電機にて、発電を行うことと、
外部からの余剰電力、又は前記風力発電機からの余剰電力を熱エネルギーに変換する前記熱交換器による加熱、又は前記ヒータにより加熱をされて第二熱エネルギーとして蓄積され、前記砂ベース材に蓄熱された前記第一熱エネルギーの一部、又は第二熱エネルギーを前記熱交換器、又は前記熱伝導線等により外部に出力可能に構成されていることを特徴とする砂蓄熱式風力発電装置とし、
前記風車は前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と前記風車に接続されて駆動される風力発電機とにあるため、前記風洞内の流速は弱風から発電が可能であり損傷が少なく、交換頻度が少なく、落雷等の被害に遭いにくく、蓄熱材料費は安価であり、建設費・維持費が安く、設置場所は需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つことが可能である。発電量に対して投資金額が少ない。これらを効果的に提供することを目的としている。
特に珪砂への電力加熱は太陽光照射加熱と比較して、より高温度に蓄熱することが可能とする。
【0008】
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材と、上部開口部と下部開口部を有する風洞と、
前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、
風流入口を有すると共に、前記風洞に接続された風洞前室と、
前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材は、熱交換器による加熱、蒸気配管による温熱加熱、ヒータによる電力加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかの加熱により得られた第一熱エネルギーを蓄熱し、前記砂ベース材に蓄熱された第一熱エネルギーによって前記風洞内の空気の温度が上昇することにより生じる前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車が駆動され、前記風車に連動して駆動される前記風力発電機により発電するように構成されており、
前記砂ベース材は、外部からの余剰電力、又は前記風力発電機からの余剰電力を熱エネルギーに変換する前記熱交換器による加熱、又は前記ヒータにより加熱により得られた第二熱エネルギーを蓄積し、
前記砂ベース材に蓄熱された前記第一熱エネルギーの一部、又は第二熱エネルギーを前記熱交換器(液体)、又は熱伝導線(金属、炭素等)により外部に出力可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材と、上部開口部と下部開口部を有する風洞と、
前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、
風流入口を有すると共に、
前記風洞に接続され、前記風洞が延伸する上部方向と、交差する方向に延伸する風洞前室と、前記風洞内及び/又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記風洞前室には蓋部を有し、前記蓋部は、前記風洞前室の一部を覆い開閉可能に設けられ、前記風洞前室は、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検するとき以外は、前記蓋部により閉められた状態とすることが可能であり、
前記風洞前室は、上側面に風流入口、風流入室、風流入口蓋を有し、
前記風流入口の高さは、外部からの水、砂塵の流入を防止可能に設定されていると共に、外部からの空気が流入可能に設定されており、前記風流入口の前記風流入口蓋は、風流入量の調節のための開閉を可能とし、
前記風洞前室は、側面に風流入口、及び下側面に排水・除塵部を有し、
側面の前記風流入口は、必要に応じて外部からの空気が流入可能に設定されており、
前記排水・除塵部は、排水、除塵を可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記風洞内の空気の内外温度差があると、前記風洞内の空気の密度差が生じ、これによって、内外圧力差が生ずる。これによって上昇気流が生ずることにある。
【0012】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、外部より前記砂容器内の前記砂ベース材としての珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材とに蓄熱を可能とする手段として、前記砂ベース材に加熱用熱交換器、又は電力加熱としてヒータを配置して外部から加熱し蓄熱を行い、又は蒸気加熱として前記砂容器内の前記砂ベース材に加熱用蒸気パイプを配置して外部から加熱し蓄熱することを特徴としてもよい。
【0013】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材は、1000℃以上に蓄熱を可能とすることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記砂ベース材に蓄熱された前記第一熱エネルギーの一部、又は第二熱エネルギーを前記熱交換器、又は前記熱伝導線により外部に出力される熱エネルギーは、通常熱エネルギーが高いところ低いところにながれる。
再度利用する場合は、出力された熱エネルギーを利用し、例えば、電力需要が高い時は、熱交換器により、タービンと発電機を回して電力を生成し、
電力需要が低い時には、再び余剰電力としてタービンと発電機を回して電力を生成してエネルギーを蓄えることを可能とすることを特徴とする。
【0015】
また、外部に出力される熱エネルギーは、室内ヒータによる室内暖房、温泉プールなどに適応を可能とすることを特徴とする。
【0016】
また、珪砂、又は砂利類として乾燥した前記砂ベース材を構成することを特徴としてもよい。
なお、放熱面当たりの重量と保熱のために断熱材をどのように入れるかなどで変わってくる。石類は蓄熱、放熱させる場合、蓄熱した熱エネルギーは、かなりのピーク時タイムラグとピークエネルギー減衰を伴って放熱されている。
【0017】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、熱エネルギーを蓄熱する前記砂容器の外面は、電力加熱、又は蒸気などによる温熱加熱等にて内部蓄熱を行う場合は断熱スチール、コンクリート等、断熱材を設定することを特徴としてもよい。
【0018】
また、熱エネルギーを効果的に利用する上では、社会全体のエネルギー効率を向上させて、熱を有効活用する技術を開発し社会実装することが重要とし、熱エネルギーを効果的に、再利用(ヒートポンプ技術)、変換利用(熱電変換、排熱発電)するための技術開発と、これらの技術を熱マネージメント技術と基盤技術の開発を行い、環境中に排出される膨大な未利用熱を効果的に削減又は回収して再利用・変換利用することで、産業分野、運輸分野、民生分野における更なる省エネ化を図ります。
【0019】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記風洞内又は前記風洞前室内には、主として、軸流風車、軸流タービン型風車等が設置されることを特徴とする。なお、前記軸流風車、前記軸流タービン型風車が設置される場合は、前記風洞の側壁の形状は略円筒形状とする。
【0020】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記風車は、水平軸風車、又は垂直軸風車であり、ベルヌーイ定理式風車、プロペラ式風車、マグナス式風車、ダリウス式風車、又はサボニウス式風車のうち少なくともいずれかを有して、前記風車を駆動し、前記風車により駆動される前記風力発電機にて、発電を行うことを特徴としてもよい。
【0021】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記風洞の前記風洞前室に前記風車と、風車に接続されて駆動される前記風力発電機を複数台設置可能とすることが出来る。また、前記風洞の周辺に複数の前記風洞前室を設け、前記風車に接続されて駆動される前記風力発電機を複数台設置可能とすることが出来る。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、前記砂蓄熱式風力発電装置として、記砂容器内に熱エネルギーを蓄熱する珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材と風洞を有し、風車と、風力発電機とを備え、
熱交換器による加熱、温熱加熱、ヒータによる電力加熱、又は太陽光照射加熱により前記砂容器内の前記砂ベース材において蓄熱を可能とし、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積とに関係する空気量の上昇気流が流れ、風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される前記風力発電機により発電を行うことと、外部からの余剰電力、又は前記風力発電機からの余剰電力を前記砂容器内の前記砂ベース材において、熱交換器、又はヒータ等にて加熱し、熱エネルギーを前記砂容器内に蓄え、外部に熱エネルギーを必要とする場合においては前記砂容器内の前記熱交換器、又は前記熱伝導線から熱エネルギーを出力する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態にかる砂蓄熱式風力発電装置Wの例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施するための形態を説明する。
【0025】
太陽光や風力といった断続的な再生可能エネルギーを有効活用するには、優れたエネルギー貯蔵技術が重要となる。太陽光や風力による余剰電力でヒータを動かして、蓄熱材料の珪砂を1200℃まで加熱し、熱エネルギーを持った砂を断熱コンクリート製の前記砂容器に貯蔵する。電力需要が高い時は、砂を熱交換器からの出力し、タービンと発電機を回して電力を生成し、電気料金が安い時に再び前記砂ベース材を加熱してエネルギーを蓄える。
このシステムには、低コスト、高効率、安全性という強みがある。
また、珪砂は不活性材料のため、大規模エネルギーの長期保存に適している。設置場所にも特別な制約がなく、至る所の空き地、高地、寒冷地など設置可能であり、貯蔵容量の変更も比較的容易である。再生可能電力を熱に変換することで、脱炭素化も可能になる。
【0026】
また、前記砂ベース材を蓄熱、放熱させる場合、蓄熱した熱エネルギーは、かなりのピーク時タイムラグとピークエネルギー減衰を伴って放熱されている。放熱面当たりの重量と保熱のために断熱材をどのように入れるかなどで変わる。例えば、無垢の大理石の例として、厚さ10cmに積んだものの片面を暖めると、大雑把に言って反対面から放熱のピークは凡そ7時間ぐらいのタイムラグを伴って表れる。この場合の減衰率は、断熱材なしの場合、ピーク入力熱エネルギーの50%弱程度になるとされている。
【0027】
本発明に係る熱エネルギーを蓄熱する珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材は、乾燥した前記砂ベース材を構成する。
【0028】
以下に、本発明は、砂ベース材の大容量の熱エネルギーを貯蔵することが可能であることを利用した風力発電装置について詳しく説明する。
【0029】
本発明に係る、風洞の温度差による上昇気流量を[数1]に示す。
[数1] Qt=αA√{2gh(θi-θo)/Ti}×3600
但し、Qt:風洞内の温度差による上昇気流量[m/h]、
αA:風洞の開口部の実効面積[m]、θi:風洞内空気温度[℃]、θo:外気温度[℃]、θi―θo:風洞内の空気の内外温度差[℃]、h:風洞の開口部の位置の高低差[m]、
g:重力加速度[m/s2]、Ti:室内絶対温度[K])である。
本発明の実施例として、前記砂ベース材に熱エネルギーとして蓄熱し、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、
前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、
前記風車の駆動に作用し、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により、
発電を行うことを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置である。
【0030】
本発明の一実施例として、前記砂蓄熱式風力発電装置Wは製品構成としての概念図1を示す。
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、
砂容器1と、砂容器設置部2があって、珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材3と、前記風洞6に接続され、前記風洞6が延伸する上部方向と、交差する方向に延伸する風洞前室9と、
又は基礎面から垂直方向に設置した上部開口部4と下部開口部5を有する風洞6と、前記風洞6の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、風流入口71を有すると共に、前記風洞6に接続され基礎面から水平方向に延伸し設置した風洞前室9と、
上側面又は側面に設けられた風洞前室開口部13、14と、この風洞前室開口部13、14にはそれぞれ蓋部15、16を設けられており、前記風洞6内又は前記風洞前室9内に設置された風車8、81と、前記風車8、81に接続されて駆動される風力発電機10、11と、を備える。
前記風洞前室9は、前記風車81又は前記風力発電機11の設置又は保守点検を可能とし、
前記砂ベース材は、熱交換器による加熱、又はヒータ18による電力加熱、蒸気配管による温熱加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかにより加熱されて熱エネルギーとして蓄熱され、前記風洞6内の空気の温度上昇による、前記風洞6内の空気の内外温度差と、前記風洞6の開口部4、5の位置の高低差と、前記風洞6の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車8、81を駆動し、前記風車8、81と連動し駆動される前記風力発電機10、11により発電を行うことを特徴とする。
また、前記風洞6の前記風洞前室9に、前記風車81と、記風車81に接続されて駆動さ
れる前記風力発電機11を複数台設置可能とすることが出来る、ことを特徴とする。
また、前記風洞6の周辺に複数の前記風洞前室9を設け(図示省略)、前記風車81に接続されて駆動される前記風力発電機11を複数台設置可能とすることが出来る、ことを特徴とする。
また、外部からの余剰電力、又は前記風力発電機10、11からの余剰電力を前記砂容器内の熱交換器17、又はヒータ18にて加熱し、熱エネルギーを前記砂容器1内に蓄え、外部に電力を必要とする場合においては前記砂容器1内の前記熱交換器17、又は前記熱伝導線18から熱エネルギーを出力する、ことを特徴とする。
【0031】
また、本発明の一実施例として、前記砂蓄熱式風力発電装置Wは製品構成としての概念図1を示す。
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、砂容器1と、砂容器設置部2があって、珪砂、又は砂利類を含む砂ベース材3と、前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、風流入口71を有すると共に、前記風洞6に接続され、前記風洞6が延伸する上部方向と、交差する方向に延伸する風洞前室9と、
又、基礎面から垂直方向に設置した上部開口部4と下部開口部5を有する風洞6と、
前記風洞6の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、前記風洞6に接続され基礎面から水平方向に延伸し設置した風洞前室9と、
風流入口71と、風流入室72と、風流入口蓋73とを有すると共に、排水・除塵部12と、上側面又は側面に設けられた風洞前室開口部13、14と、
この風洞前室開口部13、14にそれぞれ設けられた蓋部15、16を有し、
前記風洞6内又は前記風洞前室9内に設置された風車8、81と、前記風車8、81に接続されて駆動される風力発電機10、11と、を備える。
前記風洞前室9は、例えば、前記風洞前室9の上側面又は側面に前記風車81又は前記風力発電機11を設置又は保守点検するための風洞前室開口部13、14と、当該風洞前室開口部13、14を覆う蓋部15、16を有することができる。
前記風洞前室9の一部を覆い開閉可能に設けられた前記風洞前室開口部13、14の前記蓋部15、16を開閉して、前記風車81又は前記風力発電機10、11の設置又は保守点検を可能とし、又は前記風洞前室9において、風洞前室開口部13、14は、当該風洞前室開口部13、14を覆い、開閉可能な前記蓋部15、16を有することができる。
前記風車81又は前記風力発電機10、11を設置又は保守点検するとき以外は、
風洞前室開口部13、14は、前記蓋部15、16により閉められた状態とすることができる。
なお、風車81又は前記風力発電機11を設置するときは、風洞前室9の上側面全体を取り外し可能に構成することもできる。
前記風流入口71、前記風流入室72は、水害、砂塵、雨水の防止する高さに設定を可能とし、前記風流入口71の前記風流入口蓋73は、風流入量の調節、水害、又は砂塵の防止にて開閉を可能とし、前記排水・除塵部12は、排水、除塵にて開閉を可能とし、前記砂ベース材は、熱交換器17による加熱、ヒータ18による電力加熱、蒸気配管による温熱加熱、又は太陽光照射加熱のうち少なくともいずれかにより加熱されて熱エネルギーとして蓄熱され、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部4、5の位置の高低差と、前記風洞6の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車8、81を駆動し、前記風車8、81と連動し駆動される前記風力発電機10、11により発電を行うことを特徴とする。
また、前記風洞6の周辺に複数の前記風洞前室9を設け(図示省略)、前記風車81に接続されて駆動される前記風力発電機11を複数台設置可能とすることが出来る。
【0032】
本発明の一実施例として、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、前記砂容器1は、横断面外形形状が略円形、略楕円形、略半円形、略三日月形半円形、略三角形、略四角形、又は多角形の形状を有することを特徴することができる。
【0033】
また、本発明の一実施例として、前記風車8、81は、ベルヌーイ定理式風車、又はプ
ロペラ式風車等のうち少なくともいずれかを有して、前記風車8、81を駆動し、前記風車8、81により駆動される前記風力発電機10、11にて、発電を行うことを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置である。
【0034】
また、本発明の一実施例として、前記垂直軸型風車の例として、マグナス式風車、ダリウス式風車、又はサボニウス式風車の、少なくともいずれかを有して、前記風車を回転し、前記風力発電機11にて発電を行うことを特徴とする、前記砂蓄熱式風力発電装置である。
【0035】
なお、前記風車の前記垂直軸型風車の例として、同心円軸上に回転軸を有する揚力型風車と抗力型風車を備えた垂直軸型風車に関する。揚力型風車と抗力型風車を備えており、マグナス効果に加え、表面効果も利用することで高トルクを生み出すことができるため、小型であるにも拘わらず高い回転効率を実現することができる垂直軸型風車に関する。
【0036】
また、本発明の一実施例として、外部より前記砂容器内の前記砂ベース材に蓄熱を可能とする手段として、熱交換器による加熱、ヒータによる電力加熱、蒸気配管による温熱加熱、又は太陽光照射加熱として、前記砂容器内の前記砂ベース材に加熱用電熱ヒータを配置して外部から加熱し蓄熱を行い、又は温熱加熱として前記砂容器内の前記砂ベース材に加熱用蒸気による温熱パイプを配置して外部から加熱し蓄熱することを特徴とする、前記砂蓄熱式風力発電装置である。
【0037】
本発明は、熱エネルギーとして砂ベースの蓄熱であり、前記砂容器内に前記風洞があって、基本的には円筒であり、シンプルな構成であり、前記風洞、及び前記風車は砂塔装置内にあるため損傷が少なく、交換頻度が少なく、落雷等の被害に遭いにくく、また蓄熱する材料費は安価であり、建設費・維持費が安い。
前記風洞内の風速は弱風から発電が可能であり、設置場所は需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つことが可能である。
【0038】
本発明は、熱エネルギーとして砂ベースの蓄熱であり、前記砂容器内に前記風洞があって、基本的には円筒であり、シンプルな構成であり、前記風洞、及び前記風車は砂塔装置内にあるため損傷が少なく、交換頻度が少なく、落雷等の被害に遭いにくく、また蓄熱する材料費は前記砂ベース材の珪砂、又は砂利類として安価であり、建設費・維持費が安い。前記風洞内の風速は弱風から発電が可能であり、設置場所は需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つことが可能である。発電量に対して投資金額が少ない等の特徴を有し、効果的に実施し得ることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 砂容器
2 砂容器設置部
3 砂ベース材
4 上部開口部
5 下部開口部
6 風洞
71 風流入口
72 風流入室
73 風流入口蓋
8、81、 風車
9 風洞前室
10、11 風力発電機
12 排水・除塵部
13、14 風洞前室開口部
15、16 蓋部
17 熱交換器
18 ヒータ、又は熱伝導線
図1